(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】クランプ回路
(51)【国際特許分類】
H02H 9/04 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
H02H9/04 A
(21)【出願番号】P 2022501790
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2021004310
(87)【国際公開番号】W WO2021166679
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2020025829
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安坂 信
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-090278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1MOSトランジスタと、
前記第1MOSトランジスタに直列接続される第2MOSトランジスタと、
を備え、
前記第1MOSトランジスタのゲートは前記第1MOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第2MOSトランジスタのゲートは前記第2MOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第1MOSトランジスタはNチャネル型MOSトランジスタであり、
前記第2MOSトランジスタはPチャネル型MOSトランジスタであり、
前記第1MOSトランジスタのソースは前記第2MOSトランジスタのソースに接続され、
前記第1MOSトランジスタ及び前記第2MOSトランジスタの
両方に基板バイアス効果が生じるように構成される、クランプ回路。
【請求項2】
前記第1MOSトランジスタのバックゲートは前記第2MOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第2MOSトランジスタのバックゲートは前記第1MOSトランジスタのドレインに接続される、請求項
1に記載のクランプ回路。
【請求項3】
抵抗又はダイオードを備え、
前記第1MOSトランジスタのソースは前記抵抗又は前記ダイオードを介して前記第2MOSトランジスタのソースに接続される、請求項
1又は請求項
2に記載のクランプ回路。
【請求項4】
第3MOSトランジスタを備え、
前記第3MOSトランジスタは、前記第1MOSトランジスタの閾値電圧及び前記第2MOSトランジスタの閾値電圧に基づく第1クランプ電圧が前記第3MOSトランジスタのゲートに印加されるように構成され、且つ、前記第1クランプ電圧及び前記第3MOSトランジスタの閾値電圧に基づく第2クランプ電圧を発生させるように構成される、請求項1~
3のいずれか一項に記載のクランプ回路。
【請求項5】
第1MOSトランジスタと、
前記第1MOSトランジスタに直列接続される第2MOSトランジスタと、
第3MOSトランジスタと、
を備え、
前記第1MOSトランジスタのゲートは前記第1MOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第2MOSトランジスタのゲートは前記第2MOSトランジスタのドレインに接続され、
前記第3MOSトランジスタは、前記第1MOSトランジスタの閾値電圧及び前記第2MOSトランジスタの閾値電圧に基づく第1クランプ電圧が前記第3MOSトランジスタのゲートに印加されるように構成され、且つ、前記第1クランプ電圧及び前記第3MOSトランジスタの閾値電圧に基づく第2クランプ電圧を発生させるように構成され、
前記第1MOSトランジスタ及び前記第2MOSトランジスタの少なくとも一方に基板バイアス効果が生じるように構成される、クランプ回路。
【請求項6】
前記第1MOSトランジスタ及び前記第2MOSトランジスタの一方のみに基板バイアス効果が生じるように構成される、請求項
5に記載のクランプ回路。
【請求項7】
前記第3MOSトランジスタは、デプレッション型MOSトランジスタである、請求項
4~6のいずれか一項に記載のクランプ回路。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のクランプ回路を備える、半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、電圧をクランプするクランプ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、ツェナダイオードを用いたクランプ回路を示す図である。
図9に示すクランプ回路は、所定の電圧よりも大きい入力電圧VINが電流源1に印加された場合に、電流源1とツェナダイオードZD1との接続ノードに印加される電圧をツェナダイオードZD1の降伏電圧Vzにクランプする。
【0003】
図10は、ダイオードを用いたクランプ回路を示す図である。
図10に示すクランプ回路は、所定の電圧よりも大きい入力電圧VINが電流源1に印加された場合に、電流源1とダイオードD1との接続ノードに印加される電圧を順方向電圧Vfのm倍にクランプする。なお、mは直列接続されるダイオードの個数である。
【0004】
図10に示すクランプ回路において、ダイオード接続されたバイポーラトランジスタ(コレクタとベースとが短絡されたバイポーラトランジスタ)をダイオードD1~Dmそれぞれとして用いてもよく、ダイオード接続されたMOSトランジスタ(ドレインとゲートとが短絡されたMOSトランジスタ)をダイオードD1~Dmそれぞれとして用いてもよい。
【0005】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ツェナダイオードをディスクリート部品で構成するのではなく半導体集積回路装置に内蔵する場合、ツェナダイオードの降伏電圧は一般的に固定される。したがって、
図9に示すクランプ回路を半導体集積回路装置に内蔵する場合、一般的にクランプ電圧を調整することができない。
【0008】
一方、
図10に示すクランプ回路では、直列接続されるダイオードの個数を変えることでクランプ電圧を調整することができる。しかしながら、直列接続されるダイオードの個数が増えるほど、クランプ電圧のばらつき及びクランプ電圧の温度特性が悪化する。また、直列接続されるダイオードの個数が増えるほど、不都合なことに回路面積が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中に開示されているクランプ回路は、第1MOSトランジスタと、前記第1MOSトランジスタに直列接続される第2MOSトランジスタと、を備え、前記第1MOSトランジスタのゲートは前記第1MOSトランジスタのドレインに接続され、前記第2MOSトランジスタのゲートは前記第2MOSトランジスタのドレインに接続され、前記第1MOSトランジスタ及び前記第2MOSトランジスタの少なくとも一方に基板バイアス効果が生じるような構成(第1の構成)である。
【0010】
上記第1の構成のクランプ回路において、前記第1MOSトランジスタはNチャネル型MOSトランジスタであり、前記第2MOSトランジスタはPチャネル型MOSトランジスタであり、前記第1MOSトランジスタのソースは前記第2MOSトランジスタのソースに接続され、前記第1MOSトランジスタ及び前記第2MOSトランジスタの両方に基板バイアス効果が生じるような構成(第2の構成)であってもよい。
【0011】
上記第2の構成のクランプ回路において、前記第1MOSトランジスタのバックゲートは前記第2MOSトランジスタのドレインに接続され、前記第2MOSトランジスタのバックゲートは前記第1MOSトランジスタのドレインに接続される構成(第3の構成)であってもよい。
【0012】
上記第2又は第3の構成のクランプ回路において、抵抗又はダイオードを備え、前記第1MOSトランジスタのソースは前記抵抗又は前記ダイオードを介して前記第2MOSトランジスタのソースに接続される構成(第4の構成)であってもよい。
【0013】
上記第1の構成のクランプ回路において、前記第1MOSトランジスタ及び前記第2MOSトランジスタの一方のみに基板バイアス効果が生じるような構成(第5の構成)であってもよい。
【0014】
上記第1~第5いずれかの構成のクランプ回路において、第3MOSトランジスタを備え、前記第3MOSトランジスタは、前記第1MOSトランジスタの閾値電圧及び前記第2MOSトランジスタの閾値電圧に基づく第1クランプ電圧が前記第3MOSトランジスタのゲートに印加されるように構成され、且つ、前記第1クランプ電圧及び前記第3MOSトランジスタの閾値電圧に基づく第2クランプ電圧を発生させるように構成される構成(第6の構成)であってもよい。
【0015】
上記第6の構成のクランプ回路において、前記第3MOSトランジスタは、デプレッション型MOSトランジスタである構成(第7の構成)であってもよい。
【0016】
本明細書中に開示されている半導体集積回路装置は、上記第1~第7いずれかの構成のクランプ回路を備える構成(第8の構成)である。
【発明の効果】
【0017】
本明細書中に開示されているクランプ回路によれば、適切なクランプ電圧を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図
【
図3】第2実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図
【
図4】第3実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図
【
図5】第4実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図
【
図6】第5実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図
【
図7】第6実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図
【
図8】第7実施形態に係る半導体集積回路装置の概略構成を示す図
【
図9】ツェナダイオードを用いたクランプ回路を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、MOSトランジスタとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「P型、N型、又は真性の半導体層」”の少なくとも3層からなるトランジスタをいう。つまり、MOSトランジスタのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る半導体集積回路装置101(以下、「半導体集積回路装置101」と略す)の概略構成を示す図である。
【0021】
半導体集積回路装置101は、端子PVINと、端子PGNDと、電流源1と、低耐圧回路2と、第1~第3MOSトランジスタM1~M3と、を備える。
【0022】
半導体集積回路装置101の用途は特に限定されない。例えば、半導体集積回路装置101がスイッチング電源装置用の半導体集積回路装置であれば、半導体集積回路装置101及びその外付け部品によってスイッチング電源装置が構成される。また例えば、半導体集積回路装置101がLEDドライバであれば、半導体集積回路装置101及びその外付け部品によってLED照明装置が構成される。
【0023】
端子PVINは、入力電圧VINが印加されるように構成される。
【0024】
端子PGNDは、入力電圧VINよりも低いグランド電位に接続されるように構成される。
【0025】
第1MOSトランジスタM1は、エンハスメント型のNチャネル型MOSトランジスタである。第1MOSトランジスタM1は、ダイオード接続されたMOSトランジスタである。つまり、後述するように、第1MOSトランジスタM1のゲートは第1MOSトランジスタM1のドレインに接続される。
【0026】
第2MOSトランジスタM2は、エンハスメント型のPチャネル型MOSトランジスタである。第2MOSトランジスタM2も、第1MOSトランジスタM1と同様に、ダイオード接続されたMOSトランジスタである。つまり、後述するように、第2MOSトランジスタM2のゲートは第2MOSトランジスタM2のドレインに接続される。
【0027】
第3MOSトランジスタM3は、デプレッション型のNチャネル型MOSトランジスタである。
【0028】
電流源1の一端及び第3MOSトランジスタM3のドレインは、端子PVINに接続される。
【0029】
電流源1の他端は、第1MOSトランジスタM1のゲート及びドレインと、第2MOSトランジスタM2のバックゲートと、第3MOSトランジスタM3のゲートとに接続される。
【0030】
第1MOSトランジスタM1のソースは、第2MOSトランジスタM2のソースに接続される。
【0031】
第2MOSトランジスタM2のゲート及びドレイン並びに第1MOSトランジスタM1のバックゲートは端子PGNDに接続される。
【0032】
低耐圧回路2は、第3MOSトランジスタM3のソースと端子PGNDとの間に設けられる。低耐圧回路2は、第3MOSトランジスタM3のソース電圧とグランド電位との差に相当する電圧を電源電圧として用いて動作する。低耐圧回路2は、入力電圧VINの想定される最大値よりも耐圧が低い回路である。そのため、半導体集積回路装置101は、入力電圧VINが過大になった場合に、第3MOSトランジスタM3のソース電圧をクランプして低耐圧回路2の破壊を防止する。
【0033】
所定の電圧よりも大きい入力電圧VINが端子PVINに印加された場合に、電流源1が第1MOSトランジスタM1及び第2MOSトランジスタM2に電流を出力する。このとき、第1MOSトランジスタM1のドレイン電圧は、グランド電位に第2MOSトランジスタM2の閾値電圧Vth2’及び第1MOSトランジスタM1の閾値電圧Vth1’を加えた値となる。つまり、所定の電圧よりも大きい入力電圧VINが端子PVINに印加された場合に、第1MOSトランジスタM1のドレイン電圧は、第1クランプ電圧(=グランド電位+閾値電圧Vth2’+閾値電圧Vth1’)にクランプされる。
【0034】
ここで、上述した通り第1MOSトランジスタM1のバックゲートは第2MOSトランジスタM2のドレインに接続されるため、第1MOSトランジスタM1のバックゲート電圧は第1MOSトランジスタM1のソース電圧より低くなる。したがって、第1MOSトランジスタM1に基板バイアス効果が生じる(
図2参照)。つまり、第1MOSトランジスタM1の閾値電圧Vth1’は、第1MOSトランジスタM1のバックゲートを第2MOSトランジスタM2のドレインではなく第1MOSトランジスタM1のソースに接続した場合の第1MOSトランジスタM1の閾値電圧Vth1よりも大きくなる。
【0035】
また、上述した通り第2MOSトランジスタM2のバックゲートは第1MOSトランジスタM1のドレインに接続されるため、第2MOSトランジスタM2のバックゲート電圧は第2MOSトランジスタM2のソース電圧より高くなる。したがって、第2MOSトランジスタM2に基板バイアス効果が生じる(
図2参照)。つまり、第2MOSトランジスタM2の閾値電圧Vth2’は、第2MOSトランジスタM2のバックゲートを第1MOSトランジスタM1のドレインではなく第2MOSトランジスタM2のソースに接続した場合の第2MOSトランジスタM2の閾値電圧Vth2よりも大きくなる。
【0036】
さらに、上記閾値電圧Vth2’が上記閾値電圧Vth2よりも大きくなることで第1MOSトランジスタM1における基板バイアス効果の影響がより大きくなり、上記閾値電圧Vth1’が上記閾値電圧Vth1よりも大きくなることで第2MOSトランジスタM2における基板バイアス効果の影響がより大きくなる。
【0037】
その結果、上記閾値電圧Vth1及び上記閾値電圧Vth2はそれぞれ0.6[V]~1[V]程度(MOSトランジスタの種類やサイズにより具体的な値は変動)であるのに対して、上記閾値電圧Vth1’及び上記閾値電圧Vth2’はそれぞれ1[V]~1.6[V]程度(MOSトランジスタの種類やサイズにより具体的な値は変動)まで大きくなる。これにより、上述した第1クランプ電圧を発生させるために必要な素子の個数を減らすことができる。
【0038】
例えば、上述した第1クランプ電圧を3[V]に設定する場合、半導体集積回路装置101では2つのMOSトランジスタ(第1MOSトランジスタM1、第2MOSトランジスタM2)を直列接続するのに対して、
図10に示すクランプ回路においてクランプ電圧を3[V]に設定する場合には5つのダイオードを直列接続する必要がある。
【0039】
そして、一例として、MOSトランジスタの閾値電圧のばらつき及びダイオードの順方向電圧のばらつきがそれぞれ±0.15[V]であり、MOSトランジスタの閾値電圧の温度特性及びダイオードの順方向電圧の温度特性がそれぞれ-2[mV/℃]である場合を考えると、
図10に示すクランプ回路ではクランプ電圧のばらつき及び温度特性を±0.75[V]、-10[mV/℃]であるのに対して、半導体集積回路装置101では、上述した第1クランプ電圧のばらつき及び温度特性を±0.3[V]、-4[mV/℃]に抑えることができる。
【0040】
所定の電圧よりも大きい入力電圧VINが端子PVINに印加された場合に、第3MOSトランジスタM3のソース電圧は、第2クランプ電圧にクランプされる。上述した第2クランプ電圧は、上述した第1クランプ電圧(=グランド電位+閾値電圧Vth2’+閾値電圧Vth1’)から第3MOSトランジスタM3の閾値電圧Vth3を引いた値である。したがって、MOSトランジスタの閾値電圧の温度特性が-2[mV/℃]である場合を考えると、上述した第2クランプ電圧の温度特性を-2[mV/℃]に抑えることができる。
【0041】
半導体集積回路装置101では、第3MOSトランジスタM3がデプレッション型のNチャネル型MOSトランジスタであるので、入力電圧VINが小さくて電流源1が動作しない場合でも、第3MOSトランジスタM3をオン状態にして低耐圧回路2に電源電圧を供給することができる。
【0042】
なお、本実施形態とは異なり、第3MOSトランジスタM3をエンハンスメント型のNチャネル型MOSトランジスタにしてもよく、NPN形バイポーラトランジスタにしてよい。さらに、本実施形態とは異なり、電源側にクランプする場合には、第3MOSトランジスタM3として、Pチャネル型MOSトランジスタ又はPNP形バイポーラトランジスタを用いてもよい。
【0043】
また、半導体集積回路装置101は、上述した第1クランプ電圧を発生させる第1クランプ回路(第1~第2MOSトランジスタM1~M2を備えるクランプ回路)を含み上述した第2クランプ電圧を発生させる第2クランプ回路(第1~第3MOSトランジスタM1~M3を備えるクランプ回路)を備える構成であるが、上述した第1クランプ回路は単独で使用されてもよい。つまり、本実施形態とは異なり、半導体集積回路装置は、上述した第1クランプ回路を備え、第3MOSトランジスタM3を備えない構成であってもよい。
【0044】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態に係る半導体集積回路装置102(以下、「半導体集積回路装置102」と略す)の概略構成を示す図である。
【0045】
半導体集積回路装置102は、第1MOSトランジスタM1のバックゲートが第1MOSトランジスタM1のソースに接続される点で半導体集積回路装置101と異なっており、それ以外の点で半導体集積回路装置101と同じ構成である。
【0046】
半導体集積回路装置102では、第2MOSトランジスタM2には基板バイアス効果が生じるが、第1MOSトランジスタM1には基板バイアス効果が生じない。これにより、半導体集積回路装置102では、上述した第1クランプ電圧及び上述した第2クランプ電圧を半導体集積回路装置101よりも小さくすることができる。つまり、クランプ電圧を低めに設定したい場合には、半導体集積回路装置101ではなく例えば半導体集積回路装置102を採用すればよい。
【0047】
<第3実施形態>
図4は、第3実施形態に係る半導体集積回路装置103(以下、「半導体集積回路装置103」と略す)の概略構成を示す図である。
【0048】
半導体集積回路装置103は、第1MOSトランジスタM1の代わりに第4MOSトランジスタM4を備える点で半導体集積回路装置102と異なっており、それ以外の点で半導体集積回路装置102と同じ構成である。
【0049】
第4MOSトランジスタM4は、エンハスメント型のPチャネル型MOSトランジスタである。第4MOSトランジスタM4のソース及びバックゲートは、電流源1の他端、第3MOSトランジスタM3のゲート、及び第2MOSトランジスタM2のバックゲートに接続される。第4MOSトランジスタM4のゲート及びドレインは、第2MOSトランジスタM2のソースに接続される。なお、第4MOSトランジスタM4は、請求項中の「第1MOSトランジスタ」に相当する。
【0050】
半導体集積回路装置103では、第2MOSトランジスタM2には基板バイアス効果が生じるが、第4MOSトランジスタM4には基板バイアス効果が生じない。これにより、半導体集積回路装置103では、上述した第1クランプ電圧及び上述した第2クランプ電圧を半導体集積回路装置101よりも小さくすることができる。つまり、クランプ電圧を低めに設定したい場合には、半導体集積回路装置101ではなく例えば半導体集積回路装置103を採用すればよい。
【0051】
<第4実施形態>
図5は、第4実施形態に係る半導体集積回路装置104(以下、「半導体集積回路装置104」と略す)の概略構成を示す図である。
【0052】
半導体集積回路装置104は、第2MOSトランジスタM2のバックゲートが第2MOSトランジスタM2のソースに接続される点で半導体集積回路装置101と異なっており、それ以外の点で半導体集積回路装置101と同じ構成である。
【0053】
半導体集積回路装置104では、第1MOSトランジスタM1には基板バイアス効果が生じるが、第2MOSトランジスタM2には基板バイアス効果が生じない。これにより、半導体集積回路装置104では、上述した第1クランプ電圧及び上述した第2クランプ電圧を半導体集積回路装置101よりも小さくすることができる。つまり、クランプ電圧を低めに設定したい場合には、半導体集積回路装置101ではなく例えば半導体集積回路装置104を採用すればよい。
【0054】
<第5実施形態>
図6は、第5実施形態に係る半導体集積回路装置105(以下、「半導体集積回路装置105」と略す)の概略構成を示す図である。
【0055】
半導体集積回路装置105は、第2MOSトランジスタM2の代わりに第5MOSトランジスタM5を備える点で半導体集積回路装置104と異なっており、それ以外の点で半導体集積回路装置104と同じ構成である。
【0056】
第5MOSトランジスタM5は、エンハスメント型のNチャネル型MOSトランジスタである。第5MOSトランジスタM5のソース及びバックゲートは、端子PGND、第1MOSトランジスタM1のバックゲート、及び低耐圧回路2に接続される。第5MOSトランジスタM5のゲート及びドレインは、第1MOSトランジスタM1のソースに接続される。なお、第5MOSトランジスタM5は、請求項中の「第2MOSトランジスタ」に相当する。
【0057】
半導体集積回路装置105では、第1MOSトランジスタM1には基板バイアス効果が生じるが、第5MOSトランジスタM5には基板バイアス効果が生じない。これにより、半導体集積回路装置105では、上述した第1クランプ電圧及び上述した第2クランプ電圧を半導体集積回路装置101よりも小さくすることができる。つまり、クランプ電圧を低めに設定したい場合には、半導体集積回路装置101ではなく例えば半導体集積回路装置105を採用すればよい。
【0058】
<第6実施形態>
図7は、第6実施形態に係る半導体集積回路装置106(以下、「半導体集積回路装置106」と略す)の概略構成を示す図である。
【0059】
半導体集積回路装置106は、抵抗R1を備え、第1MOSトランジスタM1のソースが抵抗R1を介して第2MOSトランジスタM2のソースに接続される点で半導体集積回路装置101と異なっており、それ以外の点で半導体集積回路装置101と同じ構成である。なお、クランプ電圧の変動を抑えるために、本実施形態では、電流源1として定電流源を用いることが望ましい。
【0060】
本実施形態では、抵抗R1の両端電位差によって第1MOSトランジスタM1及び第2MOSトランジスタM2それぞれにおける基板バイアス効果の影響が第1実施形態より大きくなる。これにより、半導体集積回路装置106では、上述した第1クランプ電圧及び上述した第2クランプ電圧を半導体集積回路装置101よりも大きくすることができる。つまり、クランプ電圧を高めに設定したい場合には、半導体集積回路装置101ではなく例えば半導体集積回路装置106を採用すればよい。
【0061】
なお、本実施形態とは異なり、抵抗R1の代わりにダイオード(例えば、ダイオード接続されたバイポーラトランジスタ、ダイオード接続されたMOSトランジスタ等)を用いてもよい。しかしながら、抵抗R1は正の温度特性を有するため、第1MOSトランジスタM1のソースと第2MOSトランジスタM2のソースとの間にダイオードではなく抵抗R1を設けることで、上述した第1クランプ電圧及び上述した第2クランプ電圧の温度特性値[V/℃]を小さくすることができる。
【0062】
<第7実施形態>
図8は、第7実施形態に係る半導体集積回路装置107(以下、「半導体集積回路装置107」と略す)の概略構成を示す図である。
【0063】
半導体集積回路装置107は、第2MOSトランジスタM2のバックゲートが端子PVINに接続される点で半導体集積回路装置101と異なっており、それ以外の点で半導体集積回路装置101と同じ構成である。
【0064】
本実施形態では、第2MOSトランジスタM2のバックゲート電圧が第1MOSトランジスタM1のドレイン電圧よりも高くなるので第2MOSトランジスタM2における基板バイアス効果の影響が第1実施形態より大きくなる。これにより、半導体集積回路装置107では、上述した第1クランプ電圧及び上述した第2クランプ電圧を半導体集積回路装置101よりも大きくすることができる。つまり、クランプ電圧を高めに設定したい場合には、半導体集積回路装置101ではなく例えば半導体集積回路装置107を採用すればよい。
【0065】
本実施形態では、入力電圧VINが変動すれば、第2MOSトランジスタM2における基板バイアス効果の影響度合いが変動して第2MOSトランジスタM2の閾値電圧Vth2’が変動する。これにより、入力電圧VINが変動すれば、上述した第1クランプ電圧及び上述した第2クランプ電圧も変動する。したがって、上述した第1クランプ電圧及び上述した第2クランプ電圧の安定性を重視する場合には、例えば半導体集積回路装置101~105或いは電流源1として定電流源を用いた半導体集積回路装置106を採用すればよい。
【0066】
<その他>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0067】
例えば、或る実施形態において説明した変形例は、回路が問題無く動作するのであれば他の実施形態においても変形例として適用してよい。
【0068】
また、例えば第7実施形態と同じように、第2実施形態、第3実施形態、及び第6実施形態において、第2MOSトランジスタM2のバックゲートを第1MOSトランジスタM1のドレインではなく端子PVINに接続するようにしてもよい。
【0069】
また、端子PVINに限らず、半導体集積回路装置内の所定箇所に第1MOSトランジスタM1のバックゲートを接続して第1MOSトランジスタM1において基板バイアス効果が生じるようにしてもよい。同様に、半導体集積回路装置内の所定箇所に第2MOSトランジスタM2のバックゲートを接続して第2MOSトランジスタM2において基板バイアス効果が生じるようにしてもよい。
【0070】
このように、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0071】
1 電流源
2 低耐圧回路
M1~M3 第1~第3MOSトランジスタ
PVIN、PGND 端子