(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】グルホシネートの調製方法
(51)【国際特許分類】
C07F 9/30 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
C07F9/30
(21)【出願番号】P 2022534422
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2021072854
(87)【国際公開番号】W WO2021147894
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-06-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】202010064268.7
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522225099
【氏名又は名称】リアー ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LIER CHEMICAL CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】522225103
【氏名又は名称】グァンアン リアー ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GUANGAN LIER CHEMICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【氏名又は名称】和田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ヨンジアン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, レイ
(72)【発明者】
【氏名】ゼン, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュー, ミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ケ
(72)【発明者】
【氏名】イン, インスイ
【合議体】
【審判長】瀬良 聡機
【審判官】阪野 誠司
【審判官】野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】Helvetica Chimica Acta,1972年01月31日,Vol.55,No.1,p224-239,doi:10.1002/hlca.19720550126
【文献】Inorganic Chemistry,1974年10月01日,Vol.13,No.10,p2346-2350,doi:10.1021/ic50140a010
【文献】Angewandte Chemie International Edition,1981年,Vol.20,No.3,p223-233,doi:10.1002/anie.198102231
【文献】Chinese Chemical Letters,2006年,Vol.17,No.2,p177-179
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
CAplus(STN)、REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のグルホシネートまたはその塩、それらの鏡像異性体もしくは全ての比率の鏡像異性体の混合物を調製するための方法であって、当該方法は、
【化1】
a)式(II)の化合物またはその塩、それらの鏡像異性体もしくは全ての比率の鏡像異性体の混合物を、
【化2】
1種以上の式(III)の化合物;または1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(III)の化合物、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物から選択されるリン含有化合物または混合物と反応させる工程;
【化3】
b)工程a)で得られた生成物を、それが単離されているか否かにかかわらず、水と酸または塩基との存在下で反応させて、グルホシネート(I)またはその塩、それらの鏡像異性体もしくは全ての比率の鏡像異性体の混合物を得る工程;
を備え、
PGがアミノ保護基である場合、当該アミノ保護基を除去する工程をさらに備えることができ;
ここで、Hal
1およびHal
2は、それぞれ独立して、ハロゲンであり;
PGは、水素またはアミノ保護基であり;および
R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、アルキル
またはフェニ
ルであり、前記リン含有混合物が1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物の混合物を含む場合、または前記リン含有混合物が1種以上の式(III)の化合物、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物の混合物を含む場合、R
2はR
3またはR
4のいずれかである、方法。
【請求項2】
式(I)の鏡像異性的に純粋なグルホシネートまたはその塩を調製するための方法であって、当該方法は、
【化4】
a1)式(II)の鏡像異性的に純粋な化合物またはその塩を、
【化5】
1種以上の式(III)の化合物;または1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(III)の化合物、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物から選択されるリン含有化合物または混合物と反応させる工程;
【化6】
b1)工程a1)で得られた生成物を、それが単離されているか否かにかかわらず、水と酸または塩基との存在下で反応させて、鏡像異性的に純粋なグルホシネート(I)またはその塩を得る工程;
を備え、
PGがアミノ保護基である場合、当該アミノ保護基を除去する工程をさらに備えることができ;
ここで、Hal
1およびHal
2は、それぞれ独立して、ハロゲンであり;
PGは、水素またはアミノ保護基であり;および
R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、アルキル
またはフェニ
ルであり、前記リン含有混合物が1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物の混合物を含む場合、または前記リン含有混合物が1種以上の式(III)の化合物、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物の混合物を含む場合、R
2はR
3またはR
4のいずれかである、方法。
【請求項3】
式(I)のグルホシネートの鏡像異性体比が、(L):(D)-鏡像異性体または(D):(L)-鏡像異性体として、50.5:49.5~99.5:0.5であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(I)のグルホシネートの鏡像異性体比が、(L):(D)-鏡像異性体として、50.5:49.5~99.5:0.5であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
PGが水素であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
Hal
1が塩素原子であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
Hal
2が塩素原子であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
R
1、R
2、R
3およびR
4がそれぞれ独立してC
1~C
6アルキルであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
R
1、R
2、R
3およびR
4がそれぞれ独立してC
1~C
4アルキルであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
R
1がエチルであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
R
2がエチルであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
R
3がエチルであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
R
4がエチルであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記リン含有混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物の混合物であり、式(IV)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.05~1.1):1である;または前記リン含有混合物は、1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物の混合物であり、式(V)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.05~1.1):1である;または前記リン含有混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物であり、式(IV)の化合物と式(V)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記リン含有混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物の混合物であり、式(IV)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1である;または前記リン含有混合物は、1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物の混合物であり、式(V)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1である;または前記リン含有混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物であり、式(IV)の化合物と式(V)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程a)またはa1)において、反応温度が20~200℃であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程a)またはa1)において、反応温度が90~140℃であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程a)またはa1)が塩基の存在下で行われることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
工程a)またはa1)における塩基が有機塩基またはアンモニアであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程a)またはa1)における有機塩基が有機アミンであることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
工程a)またはa1)において、有機塩基が、ピリジンまたは複素環中の1個以上の炭素原子に結合した1~3個の置換基を有するピリジン誘導体、ピペリジンまたは複素環中の1個以上の炭素原子に結合した1~3個の置換基を有するピペリジン誘導体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
有機塩基が、トリエチルアミン、ピペリジンまたはピリジンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
工程a)またはa1)において、塩基と式(III)の化合物および式(V)の化合物の総量とのモル比が(1~10):1であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
工程a)またはa1)において、反応を無溶媒条件下または不活性溶媒中で行うことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
工程a)またはa1)において、前記不活性溶媒は、アミド溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、スルホンまたはスルホキシド溶媒、エーテル溶媒またはエステル溶媒のいずれか1種以上から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
工程a)またはa1)において、前記不活性溶媒は、ベンゼン系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒またはエステル系溶媒のいずれか1種以上から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
工程a)またはa1)において、前記不活性溶媒は、ベンゼン系溶媒である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
工程a)またはa1)において、前記不活性溶媒は、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、1,4-ジオキサン、1,2-ジクロロエタン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、石油エーテル、n-ヘプタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルおよび酢酸ブチルから選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
工程a)またはa1)において、前記リン含有化合物または混合物と式(II)の化合物とのモル比が1:(0.8~10)である;または式(II)の化合物と前記リン含有化合物または混合物とのモル比が1:(0.8~10)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
工程a)またはa1)において、前記リン含有化合物または混合物と式(II)の化合物とのモル比が1:(1~3)である;または式(II)の化合物と前記リン含有化合物または混合物とのモル比が1:(1~3)である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
工程b)またはb1)において、無機酸または有機酸を添加することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
無機酸が塩酸または硫酸であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
工程b)またはb1)において、前記塩基が無機塩基または有機塩基であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩またはアルカリ土類金属重炭酸塩であることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
塩基が、NaOH、KOHまたはBa(OH)
2であることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
工程b)またはb1)において、反応温度が20~150℃であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
L-グルホシネートまたはその塩を調製するための方法であって、
式(IIa)の化合物を式(IIIa)の化合物と反応させ、
【化7】
次いで、酸を添加して、L-グルホシネートを得ることを特徴とする方法。
【請求項38】
酸が塩酸である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
グルホシネートもしくはその塩、またはL-グルホシネートもしくはその塩の調製における、式(III)の化合物の使用。
【化8】
(式中、Hal
2およびR
2は、請求項1~13のいずれか一項に定義される通りである。)
【請求項40】
グルホシネートもしくはその塩、またはL-グルホシネートもしくはその塩の調製における式(IIIa)の化合物の使用。
【化9】
【請求項41】
混合物であって、
1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(III)の化合物、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物である、混合物。
【化10】
(式中、Hal
2、R
2、R
3およびR
4は、請求項1~13のいずれか一項に定義される通りである。ただし、R
2、R
3およびR
4は、いずれもメチルではない。)
【請求項42】
混合物であって、
1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物であって、式(IV)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.05~1.1):1である混合物;または前記混合物は、1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物であって、式(V)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.05~1.1):1である混合物である、混合物。
【化11】
(式中、Hal
2、R
2、R
3およびR
4は、請求項1~13のいずれか一項に定義される通りである。)
【請求項43】
前記混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物であって、式(IV)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1である混合物;または前記混合物は、1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物であって、式(V)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1である混合物であることを特徴とする、請求項42に記載の混合物。
【請求項44】
式(IV)の化合物がジエチルメチルホスホナイトであり、式(V)の化合物がジクロロ(メチル)ホスファンであることを特徴とする、請求項41~43のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項45】
グルホシネートもしくはその塩、またはL-グルホシネートもしくはその塩の調製における、請求項41~44のいずれか一項に記載の混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、グルホシネートの調製方法に関する。
【0002】
[従来技術]
グルホシネートは重要な除草剤である。
【0003】
[発明の内容]
本発明は、式(I)のグルホシネートまたはその塩、それらの鏡像異性体もしくは全ての比率の鏡像異性体の混合物を調製するための方法であって、当該方法は、
【化1】
a)式(II)の化合物またはその塩、それらの鏡像異性体若しくは全ての比率の鏡像異性体の混合物を、
【化2】
1種以上の式(III)の化合物または混合物と反応させる工程であって、
上記混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(III)の化合物、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物である工程;
【化3】
b)中間体を、それが単離されているか否かにかかわらず、水と酸または塩基との存在下で反応させて、グルホシネート(I)またはその塩、それらの鏡像異性体もしくは全ての比率の鏡像異性体の混合物を得る工程;
PGがアミノ保護基である場合、当該アミノ保護基を除去する段階をさらに備えることができ;
ここで、Hal
1およびHal
2はそれぞれ独立してハロゲンであり;PGは、水素またはアミノ保護基であり;R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、アルキル、フェニルまたは置換フェニルであり、混合物が1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物の混合物を含む場合、または混合物が1種以上の式(III)の化合物、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物の混合物を含む場合、R
2はR
3またはR
4のいずれかであり;キラル炭素原子は*で標識されている、方法を提供する。
【0004】
本発明はさらに、式(I)の鏡像異性的に純粋なグルホシネートまたはその塩を調製するための方法であって、当該方法は、
【化4】
a1)式(II)の鏡像異性的に純粋な化合物またはその塩を、
【化5】
式(III)の化合物、
【化6】
または1種以上の式(III)の化合物もしくは混合物と反応させる工程であって、
上記混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(III)の化合物、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物である工程;
【化7】
b1)中間体を、それが単離されているか否かにかかわらず、水と酸または塩基との存在下で反応させて、鏡像異性的に純粋なグルホシネート(I)またはその塩を得る工程;
を備え、
PGがアミノ保護基である場合、当該アミノ保護基を除去する段階をさらに備えることができ;
ここで、Hal
1およびHal
2はそれぞれ独立してハロゲンであり;PGは、水素またはアミノ保護基であり;R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、アルキル、フェニルまたは置換フェニルであり、混合物が1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物の混合物を含む場合、または混合物が1種以上の式(III)の化合物および1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物の混合物を含む場合、R
2はR
3またはR
4のいずれかであり;キラル炭素原子は*で標識されている、方法を提供する。
【0005】
ある特定の実施形態では、1種の式(III)の化合物、例えば、クロロ(エトキシ)(メチル)ホスファンが使用される。
【0006】
ある特定の実施形態では、ジクロロ(メチル)ホスファンおよびジエチルメチルホスホナイトの混合物などの、1種の式(IV)の化合物および1種の式(V)の化合物の混合物が使用され、この混合物に、式(III)の化合物、例えば、クロロ(エトキシ)(メチル)ホスファンを任意の比でさらに添加することができる。
【0007】
さらに、鏡像異性体比は、(L):(D)-鏡像異性体または(D):(L)-鏡像異性体として、50.5:49.5~99.5:0.5である。
【0008】
さらに、鏡像異性体比は、(L):(D)-鏡像異性体として、50.5:49.5~99.5:0.5である。
【0009】
さらに、PGは水素である。
【0010】
また、Hal1は塩素原子である。
【0011】
また、Hal2は塩素原子である。
【0012】
さらに、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立してC1~C6アルキル、好ましくはC1~C4アルキルである。
【0013】
さらに、R1はエチルである。
【0014】
さらに、R2はエチルである。
【0015】
さらに、R3はエチルである。
【0016】
さらに、R4はエチルである。
【0017】
ある特定の実施形態において、上記混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物の混合物であり、式(IV)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1または(0.05~1.1):1である;または上記混合物は、1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物の混合物であり、式(V)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1または(0.05~1.1):1である;または上記混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物であり、式(IV)の化合物と式(V)の化合物とのモル比は(0.9~1.1):1である。
【0018】
また、上記工程a)またはa1)において、反応は室温で進行することができ、反応温度は反応効率を考慮して20~200℃、好ましくは90~140℃であることができる。
【0019】
また、上記工程a)またはa1)は、塩基の存在下で行われる。
【0020】
さらに、上記工程a)またはa1)における塩基は、有機塩基またはアンモニアである。
【0021】
さらに、上記工程a)またはa1)において、有機塩基は、有機アミン、ピリジンまたは複素環中の1個以上の炭素原子に結合した1~3個の置換基を有するピリジン誘導体、ピペリジンまたは複素環中の1個以上の炭素原子に結合した1~3個の置換基を有するピペリジン誘導体からなる群から選択される。
【0022】
さらに、有機塩基は、トリエチルアミン、ピペリジンまたはピリジンからなる群から選択される。
【0023】
さらに、上記工程a)またはa1)において、塩基と式(III)の化合物および式(V)の化合物の総量とのモル比は、(1~10):1である。
【0024】
さらに、上記工程a)またはa1)において、反応は無溶媒条件下または不活性溶媒中で行われる。
【0025】
さらに、上記工程a)またはa1)において、不活性溶媒は、ベンゼン溶媒、アミド溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、スルホンまたはスルホキシド溶媒、エーテル溶媒またはエステル溶媒のいずれか1種以上から選択され;好ましくは、不活性溶媒は、ベンゼン系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒またはエステル系溶媒のいずれか1種以上から選択される。
【0026】
さらに、上記工程a)またはa1)において、不活性溶媒は、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、1,4-ジオキサン、1,2-ジクロロエタン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、石油エーテル、n-ヘプタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルおよび酢酸ブチルのいずれか1種以上から選択される。
【0027】
さらに、上記工程a)またはa1)において、式(III)の化合物または混合物と式(II)の化合物とのモル比は、1:(0.8~10)、好ましくは1:(1~3)である;または式(II)の化合物と式(III)の化合物または混合物とのモル比は、1:(0.8~10)、好ましくは1:(1~3)である。
【0028】
また、上記工程b)またはb1)において、無機酸または有機酸を添加する。
【0029】
また、無機酸は塩酸または硫酸である。
【0030】
また、上記工程b)またはb1)において、塩基は無機塩基または有機塩基である。
【0031】
さらに、塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩またはアルカリ土類金属重炭酸塩である。
【0032】
さらに、塩基は、NaOH、KOHまたはBa(OH)2である。
【0033】
さらに、上記工程b)またはb1)において、反応温度は20~150℃である。
【0034】
特定の実施形態として、式(IIa)の化合物を式(IIIa)の化合物と反応させ、
【化8】
次いで、酸(例えば、塩酸)を添加して、L-グルホシネートを得る。
【0035】
本発明はさらに、式(III)の化合物を提供する。
【化9】
式中、Hal
2およびR
2は上記で定義したとおりである。
【0036】
本発明はさらに、式(III)の化合物、特に式(IIIa)の化合物の、グルホシネートもしくはその塩、またはL-グルホシネートもしくはその塩の調製における使用を提供する。
【化10】
【0037】
本発明はさらに、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物;または1種以上の式(III)の化合物、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物を提供する。
【化11】
式中、Hal
2、R
2、R
3およびR
4は上記で定義した通りである。
【0038】
さらに、上記混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(V)の化合物を含む混合物であり、式(IV)の化合物と式(V)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1である;または上記混合物は、1種以上の式(IV)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物であり、式(IV)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1または(0.05~1.1):1である;または上記混合物は、1種以上の式(V)の化合物および1種以上の式(III)の化合物を含む混合物であり、式(V)の化合物と式(III)の化合物とのモル比が(0.9~1.1):1または(0.05~1.1):1である。
【0039】
さらに、式(IV)の化合物はジエチルメチルホスホナイトであり、式(V)の化合物はジクロロ(メチル)ホスファンである。
【0040】
本発明はさらに、グルホシネートもしくはその塩、またはL-グルホシネートもしくはその塩の調製における上記混合物の使用を提供する。
【0041】
本発明の方法は、グルホシネートの調製に特に適しており、既存の調製プロセスの工程を実質的に減少させる。特に、L-グルホシネートの調製において、生成物は、原料のee値を効果的に維持することができる。例えば、鏡像異性的に純粋な原料(例えば、鏡像体過剰率(%ee)が90%超である)が用いられる場合、調製されたL-グルホシネートの鏡像体過剰率(%ee)は、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%超である。
【0042】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される用語は、以下の意味を有する。
【0043】
「アミノ保護基」という用語は、アミノ基中の窒素原子に結合してアミノ基を反応に関与することから保護することができ、その後の反応において容易に除去することができる基を指す。適切なアミノ保護基としては、以下の保護基が挙げられるが、これらに限定されない:
式-C(O)O-R(式中、Rはメチル、エチル、tert-ブチル、ベンジル、フェネチル、CH2=CH-CH2-などである)のカルバメート基;式-C(O)-R’(式中、R’は、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメチルなどである)のアミド基;式-SO2-R”(式中、R”はトリル、フェニル、トリフルオロメチル、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-イル-、2,3,6-トリメチル-4-メトキシベンゼンなどである)のN-スルホニル誘導体基。
【0044】
「アルキル」という用語は、1~18個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖基を含む飽和脂肪族炭化水素基を指す。メチル、エチル、プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルおよびペンチルなどの1~6個の炭素原子を有するアルキルが好ましい。アルキルは、置換または非置換であり得、置換される場合、置換基は、ハロゲン、ニトロ、スルホニル、エーテルオキシ、エーテルチオ、エステル、チオエステルまたはシアノであり得る。
【0045】
C1~C4アルキルは、1~4個の炭素原子を有する飽和炭化水素鎖を含む直鎖または分岐鎖である。それは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチルであり得る。
【0046】
本明細書中で使用される場合、「全ての比率の鏡像異性体の混合物」は、「任意の比率の鏡像異性体の混合物」と同じ意味を有する。
【0047】
[発明を実施するための形態]
[化合物1の調製]
【化12】
10gのL-ホモセリンラクトン塩酸塩(ee値99%、137.56g/mol、0.073mol)を反応フラスコ中に秤量し、50mLのエタノール(46.07g/mol、0.886mol、0.816g/mL)を添加した(ホモセリンラクトン塩酸塩とエタノールとのモル比は1:12.1である)。系を10℃に冷却し、21.7gの塩化チオニル(118.97g/mol、0.182mol)をゆっくりと滴下した(L-ホモセリンラクトン塩酸塩と塩化チオニルとのモル比は1:2.5である)。系の温度を10℃に維持し、30分間撹拌した。反応物を35℃に加熱し、20時間撹拌し、その間に気泡が連続的に発生した。反応をLC-MSでモニターした。反応を停止し、系を室温まで冷却し、残存する塩化チオニルおよびエタノールを減圧下留去した。固体残留物を30mLのn-ヘキサン/酢酸エチル混合溶媒(n-ヘキサンと酢酸エチルとの体積比は2:1である)でスラリー化し、濾過し、乾燥させて、13.69gのクロロ-ホモセリンエチルエステル塩酸塩(202.08g/mol、0.0657mol)を得た。ここで、HPLC純度は97%であり、反応剤L-ホモセリンラクトン塩酸塩の量に基づいて計算された収率は90%である。
【0048】
クロロ-ホモセリンエチルエステル塩酸塩固体を飽和炭酸ナトリウム溶液と反応させた。系をpH7~8に調整し、酢酸エチルで3回抽出した。3回の抽出プロセスにおける酢酸エチルの量はそれぞれ30mL、10mLおよび10mLであった。有機相を回収し、濃縮して、10.30gの油状の目的生成物クロロ-ホモセリンエチルエステル(165.62g/mol、0.0591mol)を得た。ここで、HPLC純度は95%であり、ee値は99%であり、中間生成物クロロ-ホモセリンエチルエステル塩酸塩に基づいて計算された収率は90%であった。
MS (ESI): m/z [M + H]+calculated for C6H13ClNO2: 166.06, found: 166.0.
1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ: 4.04 (q, J =7.1 Hz, 2H), 3.65 - 3.50 (m, 2H),3.48 (dd, J =9.0, 4.7 Hz, 1H), 2.05 (dddd, J =14.7, 8.5, 6.4, 4.6 Hz, 1H), 1.87- 1.64 (m, 3H), 1.13 (t, J =7.2 Hz, 3H).
13C NMR(CDCl3, 100 MHz) δ: 175.3, 61.0, 51.6, 41.5, 37.0, 14.1.
【0049】
(実施例1)
【化13】
窒素雰囲気下、丸底フラスコにジエチルメチルホスホナイト(65.9g,484.8mmol,1.0eq)および溶媒1,4-ジオキサン(66g)を加え、ジクロロ(メチル)ホスファン(62.3g,533.3mmol,1.1eq)の1,4-ジオキサン(63g)溶液を定圧漏斗で滴下し、室温で一晩撹拌した。1,4-ジオキサンおよびクロロ(エトキシ)(メチル)ホスファン(無色液体、85.8g、収率:70%)を減圧下で留去した。
1H NMR(D
2O, 43 MHz) δ: 3.92 - 2.96 (m, 2H), 1.31 (d, J =12.8 Hz, 3H), 0.84(t, J =7.0 Hz, 3H).
【0050】
(実施例2)
【化14】
窒素雰囲気下、三ツ口フラスコに化合物1(40.0g,242.4mmol,1.0eq)、クロロベンゼン(81.9g,727.2mmol,3.0eq)、トリエチルアミン(29.4g,290.9mmol,1.2eq)をそれぞれ加え、クロロ(エトキシ)(メチル)ホスファン(36.8g,290.9mmol,1.2eq)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応物を100℃に加熱し、20時間進行させた。MS検出は、原料が消失したことを示した。反応物を室温に冷却し、36%HCl(294.9mL、3432.6mmol、14.0当量)を滴下し、出発物質が完全に反応するまで加熱還流した。溶媒を蒸発させ、95%エタノール(200mL)および水(20mL)を添加し、生成物が完全に溶解するまで混合物を加熱還流した。混合物を冷却し、結晶化させ、濾過し、乾燥させて、L-グルホシネート(白色結晶、38.4g、収率:88%、98%ee)を得た。
MS (ESI): m/z [M + H]
+calculated for C5H13NO4P: 182.05, found 182.1.
1H NMR(D
2O, 400 MHz) δ: 4.08 (t, J =6.2 Hz, 1H), 2.11 (dddd, J =14.6,11.0, 8.7, 6.0 Hz, 2H), 1.99 - 1.73 (m, 2H), 1.44 (d, J =14.2 Hz, 3H).
13C NMR(D
2O, 100 MHz) δ: 171.0, 52.8, 52.6, 25.5, 24.6, 22.6, 22.5, 13.9,13.0.
31P NMR(D
2O, 160 MHz) δ: 53.8.
【0051】
(実施例3)
【化15】
窒素雰囲気下、三ツ口フラスコに化合物1(40.0g,242.4mmol,1.0eq)、クロロベンゼン(81.9g,727.2mmol,3.0eq)、ピリジン(23.0g,290.9mmol,1.2eq)をそれぞれ加え、クロロ(エトキシ)(メチル)ホスファン(36.8g,290.9mmol,1.2eq)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応物を100℃に加熱し、20時間進行させた。MS検出は、原料が消失したことを示した。反応物を室温に冷却し、36%HCl(294.9mL、3432.6mmol、14.0当量)を滴下し、出発物質が完全に反応するまで加熱還流した。溶媒を蒸発させ、95%エタノール(200mL)および水(20mL)を添加し、生成物が完全に溶解するまで混合物を加熱還流した。混合物を冷却し、結晶化させ、濾過し、乾燥させて、L-グルホシネート(白色結晶、35.3g、収率:81%、96%ee)を得た。
【0052】
(実施例4)
【化16】
窒素雰囲気下、三つ口フラスコに化合物1(40.0g,242.4mmol,1.0eq)、クロロベンゼン(81.9g,727.2mmol,3.0eq)およびピペリジン(24.8g,290.9mmol,1.2eq)をそれぞれ加え、クロロ(エトキシ)(メチル)ホスファン(36.8g,290.9mmol,1.2eq)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応物を100℃に加熱し、20時間進行させた。MS検出は、原料が消失したことを示した。反応物を室温に冷却し、36%HCl(294.9mL、3432.6mmol、14.0当量)を滴下し、出発物質が完全に反応するまで加熱還流した。溶媒を蒸発させ、95%エタノール(200mL)および水(20mL)を添加し、生成物が完全に溶解するまで混合物を加熱還流した。混合物を冷却し、結晶化させ、濾過し、乾燥させて、L-グルホシネート(白色結晶、33.2g、収率:76%、94%ee)を得た。
【0053】
(実施例5)
【化17】
窒素雰囲気下、三つ口フラスコに化合物1(40.0g、242.4mmol、1.0eq)とクロロベンゼン(81.9g、727.2mmol、3.0eq)をそれぞれ入れた。クロロ(エトキシ)(メチル)ホスファン(36.8g、290.9mmol、1.2当量)を滴下し、同時にアンモニアを飽和するまでバブリングした。反応物を室温で2時間撹拌した。反応物を100℃に加熱し、20時間進行させた。MS検出は、原料が消失したことを示した。反応物を室温に冷却し、36%HCl(294.9mL、3432.6mmol、14.0当量)を滴下し、出発物質が完全に反応するまで加熱還流した。溶媒を蒸発させ、95%エタノール(200mL)および水(20mL)を添加し、生成物が完全に溶解するまで混合物を加熱還流した。混合物を冷却し、結晶化させ、濾過し、乾燥させて、L-グルホシネート(白色結晶、38g、収率:87%、97%ee)を得た。
【0054】
(実施例6)
【化18】
窒素雰囲気下、三つ口フラスコに化合物1(40.0g,242.4mmol,1.0eq)、1,4-ジオキサン(64g,727.2mmol,3.0eq)およびトリエチルアミン(29.4g,290.9mmol,1.2eq)をそれぞれ加え、クロロ(エトキシ)(メチル)ホスファン(36.8g,290.9mmol,1.2eq)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応物を100℃に加熱し、20時間進行させた。MS検出は、原料が消失したことを示した。反応物を室温に冷却し、36%HCl(294.9mL、3432.6mmol、14.0当量)を滴下し、出発物質が完全に反応するまで加熱還流した。溶媒を蒸発させ、95%エタノール(200mL)および水(20mL)を添加し、生成物が完全に溶解するまで混合物を加熱還流した。混合物を冷却し、結晶化させ、濾過し、乾燥させて、L-グルホシネート(白色結晶、36.2g、収率:83%、97%ee)を得た。
【0055】
(実施例7)
【化19】
窒素雰囲気下、室温(20℃)で丸底フラスコにジクロロ(メチル)ホスファン(520.5mmol、0.6eq、純度90%)を入れ、定圧漏斗でジエチルメチルホスホナイト(1735mmol、2.0eq、純度98%)を滴下した後、10分間撹拌を続けた。化合物1(867.5mmol,1.0eq,純度96%,ee値99%)およびトリエチルアミン(107.5g,1041mmol,1.2eq,純度98%)の1,4-ジオキサン(500g)溶液を滴下し、滴下後1.5時間撹拌を続けた。次いで、反応溶液を90℃に加熱し、20時間進行させた。反応溶液を室温に冷却し、吸引濾過し、濾過ケーキを1,4-ジオキサン(150mL×3)で洗浄し、濾液を回転蒸発させて1,4-ジオキサンを除去した。反応物に100mLの濃塩酸(36%)を加え、90℃に加熱し、10時間進行させた。溶媒を回転蒸発させて乾燥し、200mLの濃塩酸(36%)を補充し、反応を90℃で10時間継続した。MS検出は中間体が消失したことを示し、この時点での反応溶液の分析は、反応溶液中のL-グルホシネートの鏡像体過剰率(%ee)が92%であることを示した。反応溶液を室温に冷却し、回転蒸発させて溶媒を除去し、95%エタノール(300mL)を添加し、粗生成物が完全に溶解するまで加熱還流した。混合物を冷却し、結晶化させ、濾過し、乾燥させて、L-グルホシネートの化合物を得た(収率:69%、97%ee)。
【0056】
本明細書に記載されたものに加えて、上述の記載に従って、本発明に対する種々の改変が当業者に明らかである。このような改変は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書に引用される各参考文献(全ての特許、特許出願、学術論文、書籍、および任意の他の開示を含む)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。