(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】シロキサン環含有量が少ない、官能化されたQ-T-シロキサンに基づくポリマー材料及び同材料を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
C08G 77/04 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
C08G77/04
(21)【出願番号】P 2022536510
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2020085619
(87)【国際公開番号】W WO2021116334
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-26
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/075890
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522232695
【氏名又は名称】エーエムペーアー・アイドゲネッシッシェ・マテリアルプリュフングス-ウント・フォルシュンサンシュタルト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ケーベル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィム・マルフェ
(72)【発明者】
【氏名】マレク・ネメク
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー・ハウザー
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-184297(JP,A)
【文献】特開2003-049113(JP,A)
【文献】特開2003-012803(JP,A)
【文献】特開2017-132879(JP,A)
【文献】特開平05-306338(JP,A)
【文献】国際公開第2012/077770(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00 - 77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記単位式;
(i)
【化1】
からなる群から選択される非オルガノ官能性Q型シロキサン基:
(iv)
【化2】
からなる群から選択されるモノオルガノ官能性T型シロキサン基:
(ii)
【化3】
からなる群から選択されるトリオルガノ官能性M
1型シロキサン基:
(iii)
【化4】
からなる群から選択されるジオルガノ官能性D型シロキサン基:
のうち、(i)単位及び(iv)単位のみからなる若しくは含む、(i)単位、(iv)単位、及び(ii)単位のみからなる若しくは含む、(i)単位、(iv)単位、及び(iii)単位のみからなる若しくは含む、又は(i)単位、(iv)単位、(ii)単位及び(iii)単位のみからなる若しくは含む、ポリマー性液体ポリシロキサン材料であって、
上記式中、
【化5】
は、(i)、(ii)、(iii)及び/又は(iv)で定義される別のQ、M、D及び/又はT型部分のケイ素原子への共有シロキサン結合を示し;
R
1は、メチル、エチル、プロピル、-P(=O)(OR
1’)(OH)、-P(OR
1’)
2、-P(=O)(OH)
2からなる群から選択され;
R
1’は、メチル、エチル、プロピル及びブチルから選択され;
R
2、R
3、及びR
4はそれぞれ独立に、メチル、エチル、フェニル、シクロヘキシル、ビニル及びシクロペンタジエニルからなる群から選択され;
R
5は、R
5U及びR
5Sからなる群から選択され、
R
5Uが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、直鎖状、分岐状又は環状のC
5~16アルキル残基、直鎖状又は分岐状のヘキシル、オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、(3,3,3-トリフルオロ)プロピル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)オクチル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ドデシル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ヘキサデシル、ビニル、フェニル、シクロヘキシル、シクロペンタジエニル、シクロペンチル、
【化6】
及び-L-Zからなる群から選択され、
ここで、
R
6は、メチル、エチル、n-ブチル、直鎖状又は分岐状のC
5~14アルキル残基からなる群から選択され;
nは、1、2、3、4、及び5からなる群から選択される整数であり;
Lは、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-C
6H
4-、-C
6H
4-CH
2-、及び-CH
2-CH
2-C
6H
4-CH
2-からなる群から選択される脂肪族リンカーであり;かつ
Zは、Cl、Br、I、-OH、-SH、
【化7】
からなる群から選択される部分であり、
ここで
R
7は、メチル、エチル及びn-ブチルからなる群から独立して選択され;
R
5Sは、
【化8】
及び-L’-Yからなる群から選択され、
ここで、
mは、1、2、3、及び4からなる群から選択される整数であり;
R
8は、-Cl、-Br、-I、-F、-CN、-SCN、-N
3、-NO
2、-OH、-SO
2OR
1’
、及び-O-C(=O)R
12からなる群から選択され;
R
9は、-Cl、-Br、-I、-F、-CN、-COOH、-COOR
1’、フェニル、o-、m-及びp-ビニルフェニルからなる群から選択され;
R
9’は、-COOH及び-COOR
1’からなる群から選択され;
L’は、-CH
2-、-CH
2CH
2-、及び-CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択される脂肪族リンカーであり;かつ
Yは、
【化9】
【化10】
からなる群から選択される基であり、
ここで、
Xは存在しないか、-(NH)-又は-O-であり;
R
10は、
【化11】
【化12】
からなる群から選択され;
R
11は、R
8、-X-R
1’、及びR
12cからなる群から選択され;
R
12は、R
12a、R
12b、及びR
12cからなる群から選択され、
ここで
R
12aは、直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のC
1~18アルキル、C
2~18アルケニル及びC
2~18アルキニルからなる群から選択され;
R
12bは、
- 分子量5000g/molまでの直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のアルキルエーテル、アルケニルエーテル、アルキニルエーテル;
- 非置換ポリジメチルシロキサン及びポリジビニルシロキサン;並びに
- 分子量5000g/molまでの多糖及びオリゴ糖からなる群から選択され;かつ
R
12cは、
- 分子量5000g/molまでのアミノ酸、オリゴペプチド及びポリペプチド;並びに
- C
12~24脂肪酸からなる群から選択され、
但し、R
5Sが、
【化13】
ではないことを条件とし、
ここで、
Q型のアルコキシ末端の基の重合度DP
Q型が、1.3から2.7の範囲であり;
D型のアルコキシ末端のシロキサン基の重合度DP
D型が、1.0から1.9の範囲であり;
T型のアルコキシ末端のシロキサン基の重合度DP
T型が、1.1から2.7の範囲であり;
ポリシロキサン材料中のトリオルガノ官能性M型シロキサン基(iii)の合計含有量が、10mol%を超えず;
ポリシロキサン材料中のジオルガノ官能性D型シロキサン基(iii)の合計含有量が、50mol%を超えず;
前記材料が、10から100000cPの範囲の粘度を有し;
前記材料が、5mol%未満のシラノール基(Si-OH)を含み;
前記材料中のT種のQ種に対する原子比率が、0.01:1から1:1の範囲であり;
前記材料中のすべてのR
5部分の少なくとも1mol%が、R
5S基であり;
以下の点:
- ポリシロキサン材料が、合計したQ型シロキサン種に対して、45mol%未満の、4つのメンバーが結合されたQ
2r型及びQ
3s,d型のシロキサン環種を含み;かつ/又は
- ポリシロキサン材料が、すべてのQ
3型シロキサン種に対して、70mol%未満の、4つのメンバーが結合されたQ
3s,3d型のシロキサン環種を含み;かつ/又は
- ポリシロキサン材料が、合計したQ型シロキサン種に対して、4.5mol%未満の、ダブルで4つのメンバーが結合されたQ
3d型のシロキサン環種を含み、かつ/又は
- ポリシロキサン材料が、すべてのQ
3型シロキサン種に対して、25mol%未満の、ダブルで4つのメンバーが結合されたQ
3d型のシロキサン環種を含むこと、
を特徴とする、ポリマー性液体ポリシロキサン材料。
【請求項2】
R
8が、-Cl、-Br、-I、-CN、-SCN、-N
3、-NO
2、-SO
2OR
1’及び-O-C(=O)R
1’からなる群から選択され;
Yが、
【化14】
からなる群から選択され;
R
10が、
【化15】
【化16】
からなる群から選択され;
R
11が、R
8、及びR
12cから選択され;
R
12が、R
12a、R
12b、R
12cからなる群から選択され;
ここで、
R
12aが、直鎖状又は分岐状の、置換又は非置換のC
1~18アルキル又はC
2~18アルケニルからなる群から選択され;
R
12bが、
- 最大で分子量3000g/molまでの直鎖状又は分岐状の、非置換の又は末端がアミノ又はチオールで置換されたアルキル又はアルケニルエーテル;
- 最大で分子量3000g/molまでの多糖又はオリゴ糖、並びに
- 非置換ポリジメチルシロキサン又はポリジビニルシロキサンからなる群から選択され;及び
R
12cが、
- 最大で分子量3000g/molまでのアミノ酸及びオリゴペプチド又はポリペプチド;並びに
- C
12~24脂肪酸からなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー性液体ポリシロキサン材料。
【請求項3】
R
8が、-Cl、-Br、-I、-CN、-SCN、-N
3、-NO
2、-SO
2OR
1’及び-O-C(=O)R
1’からなる群から選択され;
Yが、
【化17】
からなる群から選択され;
R
10が、
【化18】
からなる群から選択され;
R
11が、R
8、及びR
12cから選択され;かつ
R
12が、R
12a、R
12b、R
12cからなる群から選択され、
ここで、
R
12aが、直鎖状又は分岐状の、置換又は非置換のC
1~12アルキル及びC
2~12アルケニルからなる群から選択され;
R
12bが、
- 最大で分子量2000g/molまでの直鎖状の非置換又は末端がアミノ置換されたアルキルエーテル;並びに
- 最大で分子量2000g/molまでの多糖又はオリゴ糖
からなる群から選択され;かつ
R
12cが、
- 最大で分子量2000g/molまでのアミノ酸及び天然に存在するアミノ酸からできているオリゴペプチド又はポリペプチド;
- ヒマシ油、大豆油及びヒマワリ油トリグリセリド;並びに
- 天然に存在するC
12~24脂肪酸、
からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のポリマー性液体ポリシロキサン材料。
【請求項4】
材料が、
(v)少なくとも2つの非同一にR
5置換されたモノオルガノ官能性T型アルコキシ末端シロキサン集団(各集団は、材料中のすべてのモノオルガノ官能性T型基の少なくとも3mol%を構成する);及び/又は
(vi)材料中のすべてのモノオルガノ官能性T型基に対して少なくとも3mol%の量のキラルモノオルガノ官能性T
1型基
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリマー性液体ポリシロキサン材料。
【請求項5】
(vii)Q型アルコキシ末端基の重合度DP
Q型が、1.5~2.5の範囲であり;
(viii)D型アルコキシ末端シロキサン基の重合度DP
D型が、1.25~1.75の範囲であり;及び/又は
(ix)T型アルコキシ末端シロキサン基の重合度DP
T型が、1.3~2.2の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマー性液体ポリシロキサン材料。
【請求項6】
ジオルガノ官能性D型シロキサンの合計含有量及び/又はトリオルガノ官能性M型シロキサン基の合計含有量が0(ゼロ)である、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリマー性液体ポリシロキサン材料。
【請求項7】
T種とQ種の相対的な原子比率が、0.02:1~0.75:1の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリマー性液体ポリシロキサン材料。
【請求項8】
R
12bが、
- 置換された又は非置換のポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)及びポリテトラヒドロフラン;並びに
- 最大分子量5000g/molまでのポリD-グルコース、オリゴ-D-グルコース、キトサン、脱アセチル化オリゴキチン、オリゴ-ベータ-D-ガラクトピラヌロン酸、ポリアルギン酸、オリゴアルギン酸、ポリアミロース、オリゴアミロース、ポリガラクトース、及びオリゴガラクトースからなる群から選択され;及び
R
12cが、
- 最大で分子量5000g/molまでの天然に存在するアミノ酸からできているオリゴペプチド及びポリペプチド;並びに
- 1から3個の二重結合を有する、天然に存在するC
12~24不飽和脂肪酸、エポキシ化脂肪酸、エポキシ化ヒマシ油、大豆油、ヒマワリ油、開環したエポキシ化された脂肪酸ベースポリオール、天然油ベースのポリオール(NOP)、ヒマシ油、大豆油又はヒマワリ油トリグリセリドからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー性液体ポリシロキサン材料。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリマー性液体
ポリシロキサン材料を、所定量の水と、又は所定量の水-溶媒混合物と、少なくとも1つの界面活性剤の存在下又は非存在下で、反応させることにより得ることができる、加水分解生成物。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー性液体
ポリシロキサン材料を、所定量の水を用いて、少なくとも1つの界面活性剤の存在下又は非存在下で、乳化させることにより得ることができる、エマルション。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー性液体
ポリシロキサン材料を製造するための方法であって、以下の工程:
- 材料中のすべてのR
5基の少なくとも1mol%が、R
5U基である、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリマー性液体
ポリシロキサン材料を用意する工程;
- 前記ポリマー性液体
ポリシロキサン材料のR
5U残基を官能化して、すべてのR
5残基に対して少なくとも1mol%のR
5S残基を得る工程;
- ポリマー性液体
ポリシロキサン材料を回収する工程
を含む、方法。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー性液体
ポリシロキサン材料を製造するための方法であって、以下の工程:
(a)Q型ポリメトキシ、ポリエトキシ、ポリプロポキシ、又は混合ポリ(メトキシ/エトキシ/プロポキシ)ポリシロキサン前駆体を用意する工程であって、
前駆体が、
(a1)ジオルガノ官能性D型シロキサン基;及び/又は
(a2)R
5が、R
5U及びR
5Sから選択されるモノオルガノ官能性T型シロキサン基を含みあるいは含まず、
すべてのQ型種の合計量に対して、12mol%未満の組み合わせられた(a1)及び(a2)を含み又は含まず;
組み換え触媒をさらに含み又は含まず;
ここで、
前駆体が、合計したQ型シロキサン種に対して少なくとも28mol%の、4つのメンバーが結合されたQ
2r型及びQ
3s,d型シロキサン環種を含み;及び/又は
前駆体が、すべてのQ
3型シロキサン種に対して少なくとも60%の、4つのメンバーが結合されたQ
3s,3d型シロキサン環種を含み;かつ
Q型ポリシロキサンの重合度DP
Q型が、1.5~2.7の範囲である、工程;
(b)以下:
(b1)トリオルガノ官能性M型シランSi(OR
1)(R
2)(R
3)(R
4)、及び/又は
(b2)ジオルガノ官能性D型シランSi(OR
1)
2(R
2)(R
3)、及び/又は
(b3)モノオルガノ官能性T型シランSi(OR
1)
3(R
5)(式中、R
5は、R
5U及びR
5Sから選択される)
の少なくとも1つをモノマー又はオリゴマー形態で、(a)のポリシロキサンに添加する工程;
(c)組み換え触媒を工程(b)の混合物に添加する又は添加しない工程;
(d)水の不存在下で、(c)の混合物を加熱する工程;
(e)工程(b)から(d)を少なくとも1回繰り返す又は繰り返さない工程;
(f)ポリマー性液体
ポリシロキサン材料のR
5U残基を官能化して、すべてのR
5残基に対して、少なくとも1mol%のR
5S残基を得るあるいは官能化しない工程;
(g)ポリマー性液体
ポリシロキサン材料を回収する工程
を含み、
但し、工程(a2)又は(b3)の少なくとも1つを実施することを条件とし、かつ、
組み換え触媒が、工程(a)又は(c)の少なくとも1つにおいて存在することを条件とする、方法。
【請求項13】
- 工程(a)において、T型シロキサン基のR
5が、R
5Uであり;
- 工程(b)において、T型シランのR
5が、R
5Uであり;かつ
- 方法が、ポリマー性液体
ポリシロキサン材料のR
5U残基を官能化して、すべてのR
5残基に対して少なくとも1mol%のR
5S残基を得る工程(f)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
- 工程(a)において、T型シロキサン基のR
5が、R
5Uであり;
- 工程(b)において、少なくとも1つのT型シランのR
5が、R
5Sであり;この場合、任意選択による工程(e)において、T型シランのR
5が、R
5U及びR
5Sから選択され;かつ
- 方法が、工程(f)を含む又は含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
工程(d)又は(e)の後で、方法が、トリオルガノ官能性M型シランSi(OR
1)(R
2)(R
3)(R
4)、又はM型シロキサン(R
2)(R
3)(R
4)Si-O-Si(R
2)(R
3)(R
4)を添加し、更に工程(b2)に記載されているモノマー又はオリゴマー形態のジオルガノ官能性D型シランを、水及び適切な共溶媒並びに酸触媒の存在下で添加し、又は添加せず、次にその混合物を加熱して、還流させる又は還流させない工程を更に含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程(c)から(e)のための反応温度が、30~170℃の範囲であり、かつ、工程(c)から(e)のあいだの圧力が、0.1bar~2barの範囲である、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
組み換え触媒が、
- Ti(IV)(OR
13)
4及びZr(IV)(OR
13)
4;
- Ti(IV)X
4及びZr(IV)X
4;
- O=Ti(IV)X
2及びO=Zr(IV)X
2;
- Ti(IV)X
2(OR
13)
2及びZr(IV)X
2(OR
13)
2;
- Ti(IV)X
2(OAcAc)
2及びZr(IV)X
2(OAcAc)
2;
- Ti(IV)(OSi(CH
3)
3)
4及びZr(IV)(OSi(CH
3)
3)
4、
- (R
13O)
2Ti(IV)(OAcAc)
2及び(R
13O)
2Zr(IV)(OAcAc)
2;
- O=Ti(IV)(OAcAc)
2及びO=Zr(IV)(OAcAc)
2;
- Ti(IV)(OAc)
4及びZr(IV)(OAc)
4;
- Ti(IV)(OAc)
2(OR
13)
2及びZr(IV)(OAc)
2(OR
13)
2;及び
- O=Ti(IV)(OAc)
2及びO=Zr(IV)(OAc)
2
からなる群から選択され、
ここで、R
13が、-CH
3、-CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH
2CH
2CH
3、-C(CH
3)
3、-CH
2CH
2CH
2CH
3、及びCH
2CH
2CH(CH
3)
2からなる群から選択され、かつ、Xが、ハライド、擬ハライド、ナイトレート、クロレート、又はパークロレートアニオンであり、かつ
工程(a)又は(c)のそれぞれにおける触媒量が、前記工程において存在するケイ素の合計モル含有量を基準にして、0.01~5mol%の間である、請求項12から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー性液体
ポリシロキサン材料の使用であって、ポリマー性液体
ポリシロキサン材料が、配合物のなかの架橋剤として、ビニル、メタクリレート、ブタクリレート、アクリレート、
【化19】
からなる群から選択されるラジカル重合性オルガノ官能性残基としてR
5を有するT型シロキサン基の少なくとも1つの集団を含み、ポリマー性液体
ポリシロキサン材料の含有量が、配合物に対して0.2質量%~25質量%の範囲にある、使用。
【請求項19】
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー性液体
ポリシロキサン材料、請求項9に記載の加水分解生成物、又は請求項10に記載のエマルションの、疎水性配合物における使用であって、ポリマー性液体
ポリシロキサン材料が、R
5については、メチル、エチル、ビニル、メタクリレート、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、(3,3,3-トリフルオロ)プロピル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)オクチル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ドデシル、及び(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ヘキサデシルから選択されるオルガノ官能基を有するT型アルコキシ末端シロキサン基の少なくとも1つの集団を含み、配合物中のポリマー性液体
ポリシロキサン材料、加水分解生成物又はエマルションの組み込み量が、0.5質量%から25質量%である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非オルガノ官能性Q型シロキサン基及びモノオルガノ官能性T型シロキサン基、並びに任意選択により場合によってはトリオルガノ官能性M型シロキサン基及び/又はジオルガノ官能性D型シロキサン基を含む、官能化されたポリマー性液体ポリシロキサン材料に関連し、そのポリシロキサン材料が、特定の重合度を有すること、合計したQ型シロキサン種に対して、限定された少量の、4つのメンバーが環を形成したQ2型及び/又はQ3型シロキサン環種を含むこと、並びに特定の部分で官能化されていることを特徴とする。本発明は、ポリマー性液体ポリシロキサン材料を製造するための方法、並びにその材料の付随する使用に更に関連する。
【背景技術】
【0002】
ナノテクノロジーでは、有機/無機ハイブリッド材料は、多種多様な調製技術を通して得られる。ゾルゲルベース技術は、例えば溶液中で作業し、ナノ粒子構成成分の自発的形成を引き起こす、分子又はオリゴマー前駆体のコロイド懸濁液からスタートする。ゾルは、オリゴマーポリヒドロキシメタレートのオレーション(olation)及び縮合反応から、又は、水-アルコール混合物中のアルコキシシランの加水分解によりin situで調製される。低度の縮合が望ましい場合、少量の水反応原料のみが使用され、これにより、低分子量の分岐状シロキサン化合物を生じる。非希釈系(溶媒なし)中で酸触媒加水分解を用いるそのような調製技術の例は、EP1510520A1に記載されている。一般的に、アルコキシシランモノマーのそのような少量の水を用いた加水分解により、オリゴマーが得られる。単一成分の化合物の多くは市販されており、例えば、Q型テトラエトキシシラン(TEOS)の場合は、通例エチルシリケート40、エチルシリケート50と呼ばれ、又はブランド名、例えばDynasylan 40又はDynasylan Silbond 50(Evonik Industries社)によっても公知の、シリケート含有量を40%、又は50%までさえ有するエチルシリケートの市販オリゴマー混合物が存在する。
【0003】
高分岐状ポリエトキシシロキサン(PEOS)は、典型的な分子量が500から50’000ダルトンに及び、数オングストロームから一桁ナノメートルのサイズ範囲にわたる小分子の構成成分である。高分岐状という単語は、そのような化合物が、ごくわずかな直鎖状種を特徴とするが、シロキサン環も様々な程度で含有する化合物も意味する。好ましい合成経路は、無水又は「非加水分解」反応条件である。これは、一般に、高分岐状シロキサンポリマーの調製は、縮合反応が、反応原料の化学量論的添加によって制御できるため、上で言及した加水分解経路よりはるかに汎用性があり、最終反応生成物を良好に制御するようにすることが理由である。更に、その合成は「ニート」で実施でき、これは、追加の共溶媒、例えばアルコールがないことを意味する。中心において高い重合度をもつ高度な樹状(dendritic)構造、及びその外周における直鎖状鎖の分岐の低い程度の結果として、PEOSは、それらの直鎖状鎖シロキサン類似体よりも、低い溶融粘度、及びPEOS自体の中だけでなくその他の有機溶媒中での非常に大きな溶解性を示す。
【0004】
高分岐状PEOSは、「非加水分解」法によって容易に利用できる、全ての種類のハイブリッド分子のビルディングブロックのための分子前駆体の興味を引く群であることができ、非加水分解法は、例えば:
1)金属アルコキシドと水酸化アルカリの反応によって得られる金属水酸化物の縮合(シラノール経路);
2)金属塩化物と金属アルコキシドの縮合(塩化物経路);
3)エーテルの脱離による、単一の金属アルコキシド自体の縮合;
4)対応する酢酸エステルの脱離による、混合アセトキシ-アルコキシ-メタレート自体の縮合(アセトキシ経路);又は
5)酢酸エステル脱離による、好適な触媒の存在下での無水酢酸との反応による金属アルコキシドの縮合(無水物経路)
である。
【0005】
方法2)は、EP0728793A1に記載されており、そこでは高分岐状ポリシロキサンの調製は、ハロゲン化アルキル脱離によるクロロ-及びアルコキシシランのヘテロ縮合を通して進行する。反応は、Ti、V及びZr含有有機金属化合物によって触媒される。
【0006】
方法3)は、十分研究されていないが、アルコキシ転位機構についてのBradleyらの先駆的業績に従って様々な遷移金属酸化物の縮合を可能にすることが想定される(J.Chem.Soc.,1958年,99~101頁)。
【0007】
方法4)は一般的に、かなりコストのかかるアセトキシシランを使用する。WO00/40640A1は、三官能性シランを使用して架橋しているジメチルシロキサンプレポリマーからスタートするアセトキシ誘導体化を通した軽度分岐状有機ケイ素化合物の調製について記載している。WO00/40640A1は、いくつかの縮合結合のみが作られる必要がある場合、すなわちモノマー性構成成分を、オリゴマー性/ポリマー性構成成分に結合してより大きい高分子を生み出す場合における、伝統的なアセトキシ経路の有用性について記載している。これは、例えば、上昇させた温度において還流させながら、シラノール末端プレポリマーを、アルコキシ末端架橋剤と酢酸の存在下で、又はアセトキシ末端架橋剤(例えばトリアセトキシシラン)と直接還流させることにより行われ得る。
【0008】
方法5)は、Moellerら(例えばMacromolecules 2006年,39,1701~1708頁)により公表されており、方法1)から4)と比較して、規模の拡大性、プロセスの安全性及び実施の容易さに関して、ポリアルキルメタレート(PAM)を調製するためのより進歩した技術である。WO2004/058859A1は、無水物経路を使用した単一成分PAMの調製について記載している。
【0009】
WO2019/234062A1は、コアシェルのPEOSコアをオルガノ官能性シランシェル材料を用いて製造する方法を開示している。WO2019/234062A1は、非加水分解性の無水酢酸縮合化学、次いでシェルのグラフトによる高分岐状エチルシリケート「コア」の調製について記載しており、シェルは、ハイブリッドオルガノ官能性コアシェル分子の構成成分を作り出すための第二の一時的に別個の工程において、オルガノ官能性T型トリアルコキシシランの選択物から優先的に作られる。両方の工程が、好ましくはテトラアルコキシチタネート組み換え触媒の存在下で実施される。
【0010】
PCT/EP2020/075890は、同一の高分子内にQ及びM、D及び/又はT型官能基を含む高分岐状ポリアルコキシシロキサン材料について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】EP1510520A1
【文献】EP0728793A1
【文献】WO00/40640A1
【文献】WO2004/058859A1
【文献】WO2019/234062A1
【文献】PCT/EP2020/075890
【文献】EP1576035B1
【非特許文献】
【0012】
【文献】J.Chem.Soc.,1958年,99~101頁
【文献】Macromolecules 2006年,39,1701~1708頁
【文献】Nanoscale,2010年,2,829~843頁
【文献】Nanoscale,2011年,3,5120~5125頁
【文献】Macromol.Chem.Phys.2003年,204(7),1014~1026頁
【文献】Doklady Chem.,第349巻,1996年,190~19頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、同一の高分子内にQ及びT、並びに任意選択で場合によってはM及びD型官能基を含む、改善されかつ官能化されたオルガノ官能性高分岐状ポリアルコキシシロキサン材料、同材料を製造するための方法、並びにそれらの様々な用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の側面では、本発明は、
(i)
【化1】
からなる群から選択される非オルガノ官能性Q型シロキサン基;
(ii)任意選択により場合によっては
【化2】
からなる群から選択されるトリオルガノ官能性M
1型シロキサン基;
(iii)任意選択により場合によっては
【化3】
からなる群から選択されるジオルガノ官能性D型シロキサン基、並びに
(iv)
【化4】
からなる群から選択されるモノオルガノ官能性T型シロキサン基を含み、又はそれらのみからなるポリマー性液体ポリシロキサン材料を目的とし、
上記式中、
【化5】
は、(i)、(ii)、(iii)及び/又は(iv)で定義される別のQ、M、D及び/又はT型基のケイ素原子への共有シロキサン結合を示し、
R
1は、メチル、エチル、プロピル、-P(=O)(OR
1’)(OH)、-P(OR
1’)
2、-P(=O)(OH)
2、任意選択でメチル及びエチルからなる群から選択され;
R
1’は、メチル、エチル、プロピル及びブチルから選択され;
R
2、R
3及びR
4はそれぞれ、メチル、エチル、フェニル、シクロヘキシル、ビニル及びシクロペンタジエニルからなる群から独立して選択され;
R
5は、R
5U及びR
5Sからなる群から選択され;
R
5Uは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、直鎖状、分岐状又は環状のC
5~16アルキル残基、任意選択により直鎖状又は分岐状のヘキシル、オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、(3,3,3-トリフルオロ)プロピル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)オクチル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ドデシル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ヘキサデシル、ビニル、フェニル、シクロヘキシル、シクロペンタジエニル、シクロペンチル、
【化6】
及び-L-Zからなる群から選択され、
ここで、
R
6は、メチル、エチル、n-ブチル、直鎖状又は分岐状のC
5~14アルキル残基、任意選択により-(CH
2)
5CH
3、-(CH
2)
6CH
3、-(CH
2)
7CH
3、-(CH
2)
8CH
3、-(CH
2)
9CH
3、-(CH
2)
11CH
3及び-(CH
2)
13CH
3からなる群から選択され;
nは、1、2、3、4及び5からなる群から選択される整数であり;
Lは、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-C
6H
4-、-C
6H
4-CH
2-及び-CH
2-CH
2-C
6H
4-CH
2-からなる群から選択される脂肪族連結基であり;
Zは、Cl、Br、I、-OH、-SH、
【化7】
からなる群から選択される基であり、
ここで、
R
7は、メチル、エチル及びn-ブチルからなる群から独立して選択され;
R
5Sは、
【化8】
及び-L’-Yからなる群から選択され、
ここで、
mは、1、2、3及び4からなる群から選択される整数であり;
R
8は、-Cl、-Br、-I、-F、-CN、-SCN、-N
3、-NO
2、-OH、-SO
2OR
1’及び-O-C(=O)R
12からなる群から選択され;
R
9は、-Cl、-Br、-I、-F、-CN、-COOH、-COOR
1’、フェニル、o-、m-及びp-ビニルフェニルからなる群から選択され;
R
9’は、-COOH及び-COOR
1’からなる群から選択され;
L’は、-CH
2-、-CH
2CH
2-及び-CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択される脂肪族リンカーであり;かつ
Yは、
【化9】
【化10】
からなる群から選択される基であり、
ここで、
Xは存在しないか、-(NH)-又は-O-であり;
R
10は、
【化11】
【化12】
からなる群から選択され;
R
11は、R
8、-X-R
1’及びR
12cからなる群から選択され;
R
12は、R
12a、R
12b及びR
12cからなる群から選択され;
ここで、
R
12aは、直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のC
1~18アルキル、C
2~18アルケニル及びC
2~18アルキニルからなる群から選択され;
R
12bは、
- 最大で分子量5000g/molまでの直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のアルキルエーテル、アルケニルエーテル、アルキニルエーテル、任意選択により置換されていてもよい又は非置換のポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)及びポリテトラヒドロフラン;
- 非置換ポリジメチルシロキサン及びポリジビニルシロキサン、並びに
- 最大で分子量5000g/molまでの多糖及びオリゴ糖、任意選択により分子量5000g/molまでのポリD-グルコース、オリゴ-D-グルコース、キトサン、脱アセチル化オリゴキチン、オリゴ-ベータ-D-ガラクトピラヌロン酸(oligo-beta-D-galactopyranuronic acid)、ポリアルギン酸、オリゴアルギン酸、ポリアミロース、オリゴアミロース、ポリガラクトース及びオリゴガラクトースからなる群から選択され;かつ、
R
12cは、
- 最大で分子量5000g/molまでのアミノ酸、オリゴペプチド及びポリペプチド、任意選択で最大分子量5000g/molまでの天然に存在するアミノ酸でできているオリゴペプチド及びポリペプチド;並びに
- C
12~24脂肪酸、任意選択により天然に存在するC
12~24脂肪酸、任意選択により天然に存在する不飽和脂肪酸、任意選択により、1から3個の二重結合を有する、天然に存在するC
12~24不飽和脂肪酸、任意選択によりエポキシ化脂肪酸、任意選択によりエポキシ化ヒマシ油、大豆油、ヒマワリ油、任意選択により開環エポキシ化脂肪酸ベースポリオール、任意選択により天然油ベースポリオール(NOP)、任意選択によりヒマシ油、大豆油又はヒマワリ油トリグリセリドからなる群から選択され、
但し、R
5Sが
【化13】
ではないことを条件とし;
ここで、
Q型のアルコキシ末端の基の重合度DP
Q型が、1.3から2.7の範囲であり;
D型のアルコキシ末端のシロキサン基の重合度DP
D型が、1.0から1.9の範囲であり;
T型のアルコキシ末端のシロキサン基の重合度DP
T型が、1.1から2.7の範囲であり;
ポリシロキサン材料中のトリオルガノ官能性M型シロキサン基(iii)の合計含有量が、15mol%、任意選択で10mol%を超えず、任意選択で5mol%を超えず;
ポリシロキサン材料中のジオルガノ官能性D型シロキサン部分(iii)の合計含有量が、5、10、20、30、35又は50mol%を超えず;
前記材料が、10から100,000cP、任意選択で約25から50,000cP、任意選択で10から1,000cPの範囲の粘度を有し;
前記材料が、5、2.5、2、1.5、1又は0.5mol%未満のシラノール基(Si-OH)しか含まず;
前記材料中のT種のQ種に対する原子比率が、0.01:1から1:1の範囲であり;
前記材料中のすべてのR
5基の少なくとも1mol%、任意選択で少なくとも3mol%、任意選択で少なくとも5mol%、任意選択で少なくとも7mol%が、R
5S基であり、
かつ以下の点を特徴とする:
- ポリシロキサン材料が、合計したQ型シロキサン種に対して、45mol%未満、任意選択で37mol%未満、任意選択で30mol%未満又は25mol%未満の、4つのメンバーが結合されたQ
2r型及びQ
3s,d型のシロキサン環種を含み;かつ/又は
- ポリシロキサン材料が、すべてのQ
3型のシロキサン種に対して、70mol%未満、任意選択で63mol%未満、任意選択で56mol%未満又は50mol%未満の、4つのメンバーが結合されたQ
3s,3d型シロキサン環種を含み;かつ/又は
- ポリシロキサン材料が、合計したQ型のシロキサン種に対して、4.5mol%未満、任意選択で4.0mol%未満、任意選択で3.5mol%未満又は3.0mol%未満の、ダブルで4つのメンバーが結合された(double four-menbered)のQ
3d型のシロキサン環種を含み;かつ/又は
- ポリシロキサン材料が、すべてのQ
3型のシロキサン種に対して、25mol%未満、任意選択で20mol%未満、任意選択で17mol%未満又は14mol%未満の、ダブルで4つのメンバーが結合されたQ
3d型のシロキサン環種を含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ダブルで4つのメンバーが結合された(double four membered)シロキサン環種、及び、Q2r、Q3s、並びにQ3dという用語は、以下で更に説明される。
【0016】
例えば、すべての態様での本明細書に記載されているポリマー性液体ポリシロキサン材料は、コアシェル構造であり得、コアは、主にQ型基からなり、シェルは、主にT型基からなるシェルとは異なる組成を有し、任意選択でM及びD型基を更に含む。本明細書では、コアは、「前駆体(材料)」ともよばれる。或いは、ポリマー性液体材料は、シェルがないこと、並びにQ及びT型部分が前記コア内に本質的にランダムに分布していることを意味する「コアのみ」の材料も含み得る。本明細書で使用されている「コアシェル」という用語は、当業界で一般に理解されている(例えば、Nanoscale,2010年,2、829~843頁又はNanoscale,2011年,3,5120~5125頁を参照されたい)。コアシェル生成物に関して、コアとシェルとの間の界面は、組成が突然変化するはっきりした境界ではなく拡散シェルと理解されるべきである。機能性シェル種の濃度が数単位の結合距離又は数オングストロームにわたって変動するこの拡散シェル層の構造は、縮合化学、すなわち、機能性シランシェルの予め形成されたポリシロキサンコアへのグラフトの直接的な結果である。樹状ポリシロキサンコアの外側分岐は、小さいシランモノマー及びオリゴマーに対して高度に透過性のため、シェルのグラフトの程度が周辺で最高であるが、はっきりした分断(カットオフ)がないことが明らかである。それにも関わらず、コアシェルという用語は、コアの中心におけるグラフトが、コアの中心における平均の結合度(ケイ素中心当たりの橋かけ酸素結合(Si-O-Si結合)の数)が、コア周辺より多いことにより、立体的理由及び反応性アルコキシ基の利用可能性が低下することの両方で大いに妨げられるため、依然として適用されている。結果として、コアシェルという用語は、本明細書に記載されている拡散シェルを有するポリシロキサンコアという意味で、ポリマー性液体材料に関して使用される。
【0017】
R5がシラン基を含む場合、結果として生じた部分は、「二脚シラン(bipodal silane)」とよばれる。
【0018】
本明細書に記載されているポリシロキサン材料は、四員環のQ2r型及び/又はQ3s,d型シロキサン環種の数が少ないため、高度に樹状(dendritic)で直鎖状かつ液状の種である。
【0019】
例えば、本発明による典型的な材料は、Q、T、D及び/又はM型シランモノマー(Q0、T0、D0、M0)を、Qn、Tn、Dn及びMn(n≧1である)部分と比較して、例えばより少ないモル量で含んでいてもよく、言い換えれば、その合計のシロキサンモル含有量は、モノマーとしても、例えば溶媒又は共溶媒としても、任意の量で存在し得るHMDSOを除いて、シランモノマーの合計モル含有量より大きくなければならない。同様に、材料は、任意選択により場合によってはより小さなオリゴマー、例えば、場合によっては混合Q-T、及び場合によってはQ-D結合様式も特徴とするダイマーからペンタマーポリシロキサンの範囲にわたるオリゴマーの混合物の相当な画分を含有してもよい。
【0020】
本発明の材料は、5、2.5、2、1.5、1、又は0.5mol%未満のシラノール基(Si-OH)しか含まず、これは、Q、T、又はD型シランのOR1基が、この程度までは-OH基であることを意味する。
【0021】
本明細書に記載されている材料は、例えば、本明細書に記載されている組み換え触媒(rearrangement catalyst)を使用することにより、いずれかの活性な縮合反応剤、例えば無水酢酸を必要と必要とすることなく調製され得ることを意外にも発見した。M、D及び/又はT型シランを、求核性置換/縮合(「組み換え」)反応において、Q型前駆体又はコア物質と反応させる。理論に束縛されることを望まないが、この置換反応(「グラフト」ともよばれる)に対する原動力の1つは、本明細書に記載されているポリシロキサン材料を調製するのに使用されるQ型前駆体材料における、4つのメンバーが結合されたQ
2r型及び/又はQ
3s,d型シロキサン環種の環ひずみから生じると考えられる。Q型コア物質中の環の張力の解放は、M、D及び/又はT型シランを更なる化学反応剤、例えば無水酢酸の必要なしにQ型コア物質に効率的に付加する、すなわちグラフトするために十分であり、反応時間がかなり延びうるとしても、本明細書で規定するように組み換え触媒も本質的に必要ない。そのようなコア物質の例示的な構造式(2Dで表現)は、
図1に示されており、
図1では、選択された典型的なR
1アルコキシリガンド集団が、それぞれの前駆体調製において使用されたモノマー又はオリゴマーQ型出発物質の比較的多い量に応じて、見られる。
【0022】
更に、本明細書に記載されている物質の同様の構造的な例示の表現は、ここでも様々なオルガノ官能性T、D及びM官能基を有する一般的なケースとして、及び3個の非同一のT型官能基をもつ特定のケースとしても、
図2に示されている。
【0023】
【0024】
本明細書で言及される「4つのメンバーが形成する(four-membered)」環又はポリシロキサン環又はQ型の環種という用語は常に、4つのメンバーによるポリシロキサン環構造の一部である、その物質中に含まれるすべてのQ2r及びQ3s,d型基の集合体(ensemble)を指す。単一及びダブル(double)の4つのメンバーが形成する環構造中の基のそのような典型的な配置の代表的な2つの例が、上の式に示されている。Q2r環基は、「単一」及び「ダブル」の環構造の両方において生じ、環構造の両方の部分にある各Q2rの2個のシロキサン結合及び2個のアルコキシ基(-OR1)置換基を含む。左の単一の4つのメンバーが形成するシロキサン環の例では、Q2r環種(丸)及び「一つ」Q3s環種(四角)のみが可能である。右に示されている2つの連結された4つのメンバーで形成されたシロキサン環(二環式構造)の第2の例では、Q2r環種(丸)及び「一つの環の」Q3s種(四角)に加えて、それら2つの環に連結する橋かけ部位に位置する「ダブルの環の」Q3d種(長方形、破線)も可能である。これらのQ3d種において、すべてのシロキサン結合が、2つの環のネットワークの一部であることに注意されたい。Q3s基に結合する酸素原子上の波線は、任意の他の可能なQn、Tn、Dn又はMn基(n≧1)へのシロキサン結合を表すことにも注意されたい。典型的な配置に関する上の例では、基はQ型のものであるが、これらは当業者の理解を助けるための例に過ぎず、実際にこれらはQ型基に限定されないことが更に理解されるべきである。実際にこれは、本開示の範囲内であり、そのような4つのメンバーが形成するポリシロキサン環構造中に、T型及び/又はD型基が存在することも十分予想される。
【0025】
本明細書では、任意の4つのメンバーが形成するシロキサン環構造中のQ2種は、「Q2r」といい、単一環構造中及びダブル環構造中の「Q3」種は、それぞれ「Q3s」及び「Q3d」という。
【0026】
定量の目的で、上で言及している4つのメンバーが形成するポリシロキサン環種を定義又は限定するために使用できる様々な指標がある。第1の指標は、その物質中の合計したQ種に対するQ2r及びQ3s,d環種の合計数として定義されるべきものである:
【0027】
【0028】
第2の指標は、その物質中のすべてのQ3種に対するQ3s,d環種の合計数として定義されるべきものである:
【0029】
【0030】
第3の指標は、その物質中の合計したQ種に対するQ3d環種の合計数として定義されるべきものである:
【0031】
【0032】
第4の指標は、その物質中のすべてのQ3種に対するQ3d環種の合計数として定義されるべきものである:
【0033】
【0034】
本明細書に記載されているすべてのmol%数は、別途特に言及されない限り、例えば定量29Si-NMRによって測定される、その物質中のすべてのケイ素原子の総計で割った、すべてのD、M又はT型ケイ素原子の総計により定義される。変数Aは、以下で更に定義されるスペクトルピーク面積である。
【0035】
合計のQ型シロキサン種に対する、4つのメンバーが形成するQ2型及び/又はQ3型シロキサン環種のmol%は、以下で実施例において実証されているように29Si-NMR分析により決定され得る。本明細書に記載されているポリシロキサン材料は、合計のQ型シロキサン種に対して、規定したmol%未満の、4つのメンバーが形成する(Q2r&Q3s,d)及び/又は(Q2r)及び/又は(Q3s単一)及び/又は(Q3dダブル)環の化学種を含む。これは、この材料が、規定したmol%未満の、4つのメンバーが形成するQ2r型シロキサン環の化学種、規定したmol%未満の、4つのメンバーが形成するQ3s,d型シロキサン環の化学種及び/又は規定したmol%未満の、4つのメンバーが形成するQ2r型及びQ3s,d型シロキサン環の化学種を累積的に含むことを意味する。本明細書に記載されているすべての実施形態について、4つのメンバーが形成するQ3s,d型シロキサン環の化学種は、Q3s,d型シロキサン種を含み、その場合1つのQ3s,d型シロキサンは、1つ又は2つの、4つのメンバーが形成する環類の一部である。
【0036】
この材料中のT種のQ種に対する原子比率は、すべてのT型種(T0、T1、T2、及びT3)のケイ素原子と、すべてのQ型種(Q0、Q1、Q2、Q3、及びQ4)のケイ素原子の間の比である。
【0037】
本明細書に記載されているポリマー性液体ポリシロキサン材料は、R5Sが官能化されており、すなわち材料中のすべてのR5部分の少なくとも1mol%、任意選択で少なくとも3mol%、任意選択で少なくとも5mol%、任意選択で少なくとも7mol%がR5S基であり、R5Sは、官能化された基と考えられる。R5Sの官能化は、既にR5Sが官能化された(すなわち、再構成グラフト化のために用いられる、予めR5Sが官能化されたT0又はT型オリゴマー前駆体である)T型シラン又はシロキサン部分のいずれかを、ポリシロキサン材料を製造するために、例えば本明細書で定義される程度まで、又はそれに代わり、より少ない程度、すなわち1mol%未満まで選択することによって、ポリシロキサン材料中に導入することができる。本明細書に開示されているものに対応する材料中のT型シロキサン又はシラン部分がR5Sを含まないか又は(R5のT型置換基の合計モル数に対して)1mol%未満しかR5Sを含まない場合、T型シロキサン基は、既にグラフトされたT型シロキサン部分上のR5Uを官能化することによって、又は、R5S基を含む予めR5S官能化されたT型シラン若しくはオリゴマーを更にグラフトすることによってR5S官能化することができる。R5U基の官能化は、公知の化学的方法により行うことができ、本方法に関連して記載されている。R5S官能化は、本明細書に記載されているように、官能化の特殊な形態であることに留意されたいが、一方、「オルガノ官能性シラン又はシロキサン」という一般用語は、そのケイ素原子に直接結合する有機基を一般的に有するシラン/シロキサンを指す。
【0038】
任意選択により場合によっては、本明細書に記載されているすべての側面及び実施形態について、材料中のすべてのR5基の0mol%がR5S基である。
【0039】
グラフトされたT型シロキサンのR
5U基が官能化されている場合、R
5UとR
2、R
3、R
4置換基の間に、いくらかの反応性若しくは同程度の反応性が予想でき、又は化学的選択性の差がないとさえ予想されうるケースは、本発明の範囲内であり、R
2、R
3及び/又はR
4がフェニル及びビニルから選択される場合、R
5Uに対して、R
2、R
3、及び/又はR
4基のいくらか、例えば5~95mol%、又は例えば25~90mol%が、官能化される。R
2、R
3、及び/又はR
4基の官能化は、以下の例示的な化学基を生じ得る:
【化15】
【0040】
R2、R3、R4及びR5の官能化は、公知の分光分析手段により、例えば核磁気共鳴分光法により、例えば1H-、13C-、及び任意選択により場合によっては15N又は33S又は31P-NMRにより同定及び定量することができ、任意選択により場合によってはこれらの官能化反応の分析による立証のために同位体濃縮する。具体的には、これらのタイプの有機反応、例えば付加又は置換又はラジカル反応のあいだ、プロトン及び炭素のシグナルは、電子構造及び構造的環境における変化、及び磁気カップリングに対するその生じた影響によるNMR応答においてシフトをする。典型的には、プロトン又はプロトン若しくは炭素の群からのシグナルは、そのような有機反応が起こる場合に消失し、官能化反応が、注目している種の磁気カップリングにどのような影響を及ぼすかに応じて、スペクトルの高磁場側又は低磁場側に新たなピークが更に現れる。したがって、古い化学的シグナルの消失及び新たなシグナルの出現の両方を、NMR分光法で定量的に追跡することができる。有機反応の定量的な反応のモニタリングは、共通した一般的知識であり、更なる説明を必要としない。
【0041】
本明細書で使用されている「非置換」という用語は、水素でしか置換されないことを意味する。本明細書で使用されている「置換」という用語は、指定された原子又は基における任意の1個又は複数の水素が、独立に、水素とは異なる原子で、任意選択により場合によってはハロゲンにより、任意選択により場合によってはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、チオール、カルボキシル、アクリレート、シアノ、ニトロ、アルキル(任意選択でC1~C10)、アリール(任意選択でフェニル、ベンジル又はベンゾイル)、アルコキシ基、スルホニル基により、第三級若しくは四級化アミンにより、又は指し示されている置換基から選択したものによって置き換えられていることを意味するが、但し、指定された原子の通常の価数を超えないこと、及び、その置換が安定な化合物、すなわち、単離でき、従来の手段を使用して特徴付けられる化合物をもたらすことを条件とする。任意選択で、置換は、炭化水素鎖のベータ位若しくはオメガ位(R5S置換基の結び付きがアルファ位を介する場合、反対側の末端炭化水素)上で、又は任意選択により場合によっては、炭化水素鎖のベータ又はガンマ位(置換基が結合する炭素の次、又は次の次に隣接する炭素)上で生じる。不飽和炭化水素の場合には、置換は、任意選択により場合によっては、炭化水素鎖のベータ若しくはオメガ位で、或いは任意選択により場合によっては、二重若しくは三重結合の一部である炭素上で、又はその直接隣接した炭素上で生じる。
【0042】
本発明との関連で、先に出てきた用語、例えば「直鎖状又は分岐状」、「置換又は非置換」は、それに後続する用語のそれぞれ1つが、前記の先にでてきた用語によって修飾されると解釈されるべきであることを示していることが理解される。例えば、「直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環」という用語の範囲は、直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のアルキル;直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のアルケニル;直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のアルキニル;直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のアルキリデン;及び直鎖状又は分岐状、置換又は非置換の炭素環を包含する。例えば、「C1~18アルキル、C2~18アルケニル、及びC2~18アルキニル」という用語は、1又は2から18個の炭素、及びアルキル、アルケニル又はアルキニル官能基を有する化合物の群を示している。
【0043】
「アルキル」という表現は、指し示されている数の炭素を含む飽和の、直鎖又は分岐状の炭化水素基を指し、例えば直鎖状又は分岐状の「(C1~18)アルキル」は、1~18個の炭素原子を有する炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、2,2-ジメチルブチル等を表す。
【0044】
アルキル鎖が、直鎖状又は分岐状の異性体を可能にする名称により特徴付けられている場合、すべての直鎖状又は分岐状の異性体が、その名称によって包含される。例えば、「ブチル」は、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルを包含する。
【0045】
「アルケニル」という表現は、指し示されている数の炭素原子を有する、少なくとも部分的に不飽和の、置換又は非置換の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を指し、例えば「(C2~18)アルケニル」は、2~18個の炭素原子を有する炭化水素基、例えばエテニル(ビニル)、プロペニル(アリル)、イソプロペニル、ブテニル、イソプレニル、若しくはヘキサ-2-エニル基、又は例えばモノ不飽和脂肪酸で見られる、1個の二重結合によって中断されたメチレン鎖を含む炭化水素基、又はメチレンによって中断されたポリエンを含む炭化水素基、例えばポリ不飽和脂肪酸に見られる、以下の構造単位-[CH=CH-CH2]-を2つ以上含む炭化水素基を表す。
【0046】
「アルキニル」という表現は、例えば2~18個の炭素原子を有し得る、少なくとも部分的に不飽和の、置換又は非置換の直鎖又は分岐状の炭化水素基、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、アセチレニル、又はプロパルギル基を指す。
【0047】
「アルキルエーテル」という表現は、最大5000g/molまでの分子量を生じる数の原子を有する飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐状の炭化水素基を指す。本明細書で使用されているアルキルエーテル基は、酸素原子をエーテルモチーフとして、すなわち2個のメチレン基によって結合されている酸素を含む、任意の直鎖状又は分岐状の、置換又は非置換のアルキル鎖を意味すると理解されるべきである。例示的なアルキルエーテルは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びポリテトラヒドロフラン鎖である。エーテル残基は、エーテル残基の酸素原子を介して、本発明において示されている式に結合する。任意選択により場合によっては、エーテル残基が、炭素原子において求核性置換基、例えばアミン又はチオールで置換されている場合、そのエーテル残基は、その求核性置換基を介して、本発明で示されている式に結合し得る。
【0048】
本明細書中で使用されるように、長さ範囲の限界を定義する言い回し、例えば、「1~5」又は「(C1~5)」は、1から5の任意の整数、すなわち1、2、3、4、及び5を意味する。言い換えれば、明白に言及されている2つの整数によって定義される任意の範囲は、前記の限界を定義する任意の整数、及び前記の範囲に含まれる任意の整数を含み、かつ開示していることを意味する。
【0049】
本発明の範囲は、1つ又は複数の炭素に結合した水素、任意選択により場合によっては1つ又は複数の芳香族炭素に結合した水素が、ハロゲン原子、例えばF、Cl又はBr、任意選択により場合によってはFによって交換されていることによって特徴付けられる、上述した及び特許請求の範囲記載した化合物の類似体を含む。
【0050】
本明細書に記載されている残基又は基が、同一名称の2個の更なる残基を有することで特徴付けられる場合、例えばR
10が
【化16】
である場合、これらの更なる残基のそれぞれ(この例ではR
12)は、本明細書に示されているこの残基(この例ではR
12)の定義から独立して選択され得る。
【0051】
当業者は、R5Sを形成するためのR1’、R8、R9、R9’、L’、Y、X、R10、R11、及びR12の任意の組合せは、安定な化合物、すなわち、慣用される手段を使用して単離され、特性分析されることができる化合物をもたらさなければならないことを承知している。当業者は、ポリマー性液体材料において、どの化合物、すなわちR1’、R8、R9、R9’、L’、Y、X、R10、R11、及びR12の組合せが安定ではないか、さらに、具体的にはどのリンカー化学が可能であり、かつ他の化学物質の官能基を阻害しないか、共通した一般知識から判定できる。安定していない化合物を生じ得るR1’、R8、R9、R9’、L’、Y、X、R10、R11、及びR12の組合せは、特許請求の範囲から除かれる。
【0052】
例えば、R12bに関して、多糖及びオリゴ糖は、酸素原子を介して、又は任意選択で場合によっては窒素原子を介して(例えばキトサン)、それぞれの基に(例えば、R8、Y、R10、又はR11に)結合される。
【0053】
例えば、R12cに関して、アミノ酸、オリゴペプチド、又はポリペプチドは、それらのアミンを介して、又はカルボニル炭素を介して、又は任意選択で場合によってはチオールを介して(例えば、R12bを有するシステインの場合)、それぞれの部分に(例えば、R8、Y、R10、又はR11に)結合される。
【0054】
脂肪酸は、R12cに関して、例えば、ヒドロキシル基(例えばヒマシ油に関して)を介して、又はカルボン酸官能基を介して、又は任意選択で場合によっては、不飽和脂肪酸については二重結合基を通して、例えばラジカル重合化学によって、それぞれの部分に(例えば、R8、Y、R10、又はR11に)結合される。
【0055】
エポキシ化及び開環、例えば水酸化アルカリの塩基を用いた開環によって、脂肪酸から誘導されたトリグリセリド又はポリオールもまた、そのヒドロキシル官能基を介して、エーテル結合若しくはエステル化によって直接、又は任意選択により場合によっては二次的置換により、例えば、臭素化又はケトンへの酸化及び、例えば、続いてのさらなる置換により、あるいは任意選択により場合によっては、イソシアネート末端のR5S基との反応によって、結合されうる。
【0056】
ある実施形態では、本発明のポリマー性液体高分岐状ポリシロキサン材料は、以下の一つであって、この場合、
R
8は、-Cl、-Br、-I、-CN、-SCN、-N
3、-NO
2、-SO
2OR
1’及び-O-C(=O)R
1’からなる群から選択され;
Yは、
【化17】
からなる群から選択され;
R
10は、
【化18】
からなる群から選択され;
R
11は、R
8、及び任意選択でR
12cから選択され;かつ
R
12は、R
12a、R
12b、R
12cからなる群から選択され、
ここで、
R
12aは、直鎖状又は分岐状の、置換又は非置換のC
1~18アルキル又はC
2~18アルケニルからなる群から選択され;
R
12bは、以下のもの:
- 最大で分子量3000g/molまでの直鎖状又は分岐状の、非置換又は末端がアミノ-又はチオール-置換されたアルキル又はアルケニルエーテル、任意選択により、末端がアミノ-又はチオール-置換された又は非置換のポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)及びポリテトラヒドロフラン;
- 最大で分子量3000g/molまでの多糖又はオリゴ糖、任意選択により、最大で分子量3000g/molまでのポリD-グルコース、オリゴ-D-グルコース、キトサン、脱アセチル化オリゴキチン、オリゴ-ベータ-D-ガラクトピラヌロン酸、ポリアルギン酸、オリゴアルギン酸、ポリアミロース、オリゴアミロース、ポリガラクトース、オリゴガラクトース;及び
- 任意選択によって、非置換ポリジメチルシロキサン又はポリジビニルシロキサンからなる群から選択され;かつ、
R
12cは、以下のもの:
- 最大で分子量3000g/molまでのアミノ酸及びオリゴペプチド又はポリペプチド、任意選択により、最大で分子量3000g/molまでの天然に存在するアミノ酸でできているオリゴペプチド及びポリペプチド;及び
- C
12~24脂肪酸、任意選択により天然に存在するC
12~24脂肪酸、任意選択により天然に存在する不飽和脂肪酸、任意選択により、1から3個の二重結合を有する、天然に存在するC
12~24不飽和脂肪酸、任意選択によりエポキシ化脂肪酸、例えば、エポキシ化されたヒマシ油、大豆油、ヒマワリ油、任意選択により、開環したエポキシ化脂肪酸ベースポリオール、任意選択により、天然油ベースのポリオール(natural oil based polyol, NOP)例えば、ヒマシ油、大豆油又はヒマワリ油トリグリセリド
からなる群から選択されるものである。
【0057】
別の実施形態では、本発明によるポリマー性液体高分岐状ポリシロキサン材料は、以下の一つであって、この場合、
R
8は、-Cl、-Br、-I、-CN、-SCN、-N
3、-NO
2、-SO
2OR
1’及び-O-C(=O)R
1’からなる群から選択され;
Yは、
【化19】
からなる群から選択され;
R
10は、
【化20】
からなる群から選択され;
R
11は、R
8、及び任意選択によりR
12cから選択され;かつ
R
12は、R
12a、R
12b、R
12cからなる群から選択され、
ここで、
R
12aは、直鎖状又は分岐状の、置換又は非置換のC
1~12アルキル及びC
2~12アルケニルからなる群から選択され;
R
12bは、以下の:
- 最大で分子量2000g/molまでの直鎖状の非置換又は末端がアミノ置換されたアルキルエーテル、任意選択により、非置換又は末端がアミノ置換されたポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド);及び
- 最大で分子量2000g/molまでの多糖又はオリゴ糖、任意選択により、ポリ-D-グルコース、オリゴ-D-グルコース、キトサン、脱アセチル化オリゴキチン、及びオリゴ-ベータ-D-ガラクトピラヌロン酸
からなる群から選択され;かつ
R
12cは、以下の:
- 最大で分子量2000g/molまでのアミノ酸及び天然に存在するアミノ酸からできているオリゴペプチド又はポリペプチド;
- ヒマシ油、大豆油、及びヒマワリ油トリグリセリド;及び
- 天然に存在するC
12~24脂肪酸、任意選択により、1から3個の二重結合を有する、天然に存在するC
12~24不飽和脂肪酸
からなる群から選択されるものである。
【0058】
更なる実施形態では、本発明のポリマー性液体高分岐状ポリシロキサン材料は、以下の一つであって、当該材料は以下のものを含む:
(v)少なくとも2つの非同一にR5で置換されたモノオルガノ官能性T型アルコキシ末端シロキサン集団(各集団は、当該材料中のすべてのモノオルガノ官能性T型基の少なくとも3mol%を占める)、及び/又は
(vi)当該材料中のすべてのモノオルガノ官能性T型基に対して、少なくとも3mol%の量のキラルモノオルガノ官能性T1型基。
【0059】
本明細書で使用されている「集団」という用語は、ポリマー材料中の基、あるいは所定のオルガノ官能性T型若しくはD型、又は任意選択によりM型基を集めたものを指す。例として、2つの類似していないT型トリアルコキシシラン類、例えば2つの無作為に選択された例として、ビニルトリメトキシシラン及びメチルトリエトキシシランの、Q型ポリシロキサン前駆体へのグラフト又はヘテロ縮合は2つの異なる集団をもたらし(T0=未反応モノマー)、T1、T2、及びT3がオルガノ官能性R5置換基として-メチル及び-ビニルをそれぞれ有し、これらはそれぞれのT型の中心Si原子に対するR5置換基の効果によって29Si-NMRスペクトルにおいて区別することができる。
【0060】
本明細書に記載されている少なくとも2つの非同一のR5で置換されたモノオルガノ官能性T型アルコキシ末端シロキサン集団は、R5については、R5U及びR5Sの任意の組合せを包含するが、それは、ポリマー性液体高分岐状ポリシロキサン材料中のすべてのR5基の少なくとも1mol%、任意選択により少なくとも3mol%、任意選択により少なくとも5mol%、任意選択により少なくとも7mol%が、R5S基であるかぎりにおいてである。
【0061】
第1の条件(v)は、材料が、そのオルガノ官能性置換基R5が異なる、モノオルガノ官能性(T型)アルコキシ末端シロキサン基(T1、T2、T3)の少なくとも2つの集団を含むという意味で理解されるべきである。これは、材料が、少なくとも2つの異なるR5官能基を特徴とすること、及び、少ない方の種が検出可能な量で存在する(例えば29Si-NMRにより)ことを意味する。
【0062】
第2の条件(vi)は、そのケイ素原子上に4つの異なる置換基、すなわち1個のSi-O-Si結合、R
5オルガノ官能基に連結している1個のSi-C結合、及び2個の異なるアルコキシ置換基R
1、例えば、1個のエトキシ及び1個のメトキシを有するT
1型のグラフトされた基によって満たされる。これは、R
5で官能化されたT型種の1つの集団のみがその材料中に既に存在する場合に生じる。一般的に、非同一のR
1アルコキシ基は、Q型及びT型基のなかでリガンド交換をしうる。
図3は、Q型及びT型スペクトルシグナルの両方において、エトキシ/メトキシ交換を生じる、同一の材料中にエトキシ及びメトキシR
1基の両方を有するR
5で官能化されたT型集団の1つのタイプを含む材料の
29Si NMRスペクトルを示している。
【0063】
別の実施形態では、本発明によるポリマー性液体高分岐状ポリシロキサン材料は、以下の一つであって、それにおいては、
(vii)Q型アルコキシ末端基の重合度DPQ型は、1.5から2.5の範囲であり;
(viii)D型アルコキシ末端シロキサン基の重合度DPD型は、1.25から1.75の範囲であり;及び/又は
(ix)T型アルコキシ末端シロキサン部分の重合度DPT型は、1.3から2.2の範囲である。
【0064】
任意の非結晶性酸化ケイ素材料についての(本明細書に記載されているポリシロキサン材料についての、並びに対応する方法及び使用についての)重合度DPは、その系内の金属原子Sitotの総数に対する、橋かけ酸素BO(Si-O-Si結合の数)の比として本明細書において定義される。
【0065】
Q、T、及びD型シロキサン基についての「アルコキシ末端の」という用語は、本質的にアルコキシ基である前記の基の残りの置換基を指すと理解され、なぜなら、ポリマー性液体材料は、モノマー又はオリゴマー形態のアルコキシ(エトキシ/メトキシ)含有シラン前駆体から誘導されるからである。これは、Q0モノマー並びにQ1、Q2、Q3、及びQ4基については、前記の「アルコキシ末端」は、それぞれ、4、3、2、1、及び0個のアルコキシ基からなること、及びT0モノマー及びT1、T2、及びT3基については、前記の「アルコキシ末端」は、それぞれ、3、2、1、及び0個のアルコキシ基からなることを意味する。同様に、D0モノマー及びD1及びD2基については、前記の「アルコキシ末端」は、それぞれ、2、1、及び0個のアルコキシ基からなる。
【0066】
材料のDP
Q型、DP
T型、及びDP
D型は、以下の式:
【数5】
(後者は一般的なT型シランに対して);
【数6】
(二脚(bipodal)T型シランに対して);及び
【数7】
に従って、定量的
29Si-NMRデータから直接得ることができる。
【0067】
DPQ型に対する上の式において、AQnという用語は、橋かけ酸素(BO)原子を介してn個のシロキサン結合により配位されたSi原子であるそのQn基に関連した定量的29Si-NMRピーク面積(スペクトルシグナル)を表し、橋かけ酸素(BO)原子は、そのケイ素原子をその最も近くの隣接するSi原子及び(4-n)の非橋かけ酸素(NBO)原子に連結させ、非橋かけ酸素原子はここで定義した末端アルコキシ基Si-ORに結合している。同様に、ATn及びADnは、それぞれT型及びD型基に対応する29Si-NMRピーク面積(スペクトルシグナル)を表す。
【0068】
上のDPの定義では、Q2及びQ3は、すべてのタイプのQ2及びQ3種を指し、それには直鎖状及び単環、並びに二重環(ダブルリング)種が含まれる。
【0069】
DPT型の式に関して、二脚(bipodal)T型シランと、すべての他の「一般的な」T型シランの群とを区別することが必要である。後者は、市販のT型シランの過半数を構成し、3個のアルコキシ基及び1個のオルガノ官能基に結合した単一のSi原子のみを含む。それとは対照的に、(RO)3Si-(CH2)-X-(CH2)-Si(OR)3として表すことができる二脚シラン(bipodal silane)は、適したリンカー基「X」を介して第1のトリアルコキシシリル単位に結合した更なるトリアルコキシシリル単位を含み、それぞれが少なくとも1個のメチレン(-CH2-)基によって間があけられている。二脚シランの重合度についての修正された定義の導入は、ポリシロキサンネットワークへの単一の結合性が、官能基を共有結合させ、かつその目的とする界面の官能性を発現させるために十分であることを考慮に入れている。例えば、二脚シランの両方のトリメトキシシリル基による同時グラフト化は、それが分岐と一方の高分子から別の高分子への結合を迅速に引き起こすという意味で逆効果であり、二脚T型シランの低い表面被覆率でさえ、望ましくないゲル化を引き起こす。したがって、単一のトリアルコキシシリル結合の形式に関しては、DPT型、二脚シランを参照することが理にかなっており、上で示されている定義につながる。
【0070】
オルガノ官能性T型トリアルコキシシラン及びD型ジアルコキシシランについては、
29Siスペクトルの指紋領域は、更に低磁場に次第にシフトし、
図4で示されているように、オルガノ官能性T
m及びD
l基と異なる非オルガノ官能性Q
nの明白な分離を可能にする。
図4は、1つの材料中にM、D、T、及びQ型基を含み、それぞれ標識がされている材料の
29Si NMRスペクトルを示す。
【0071】
任意選択により、本明細書に記載されている材料中の、合計のケイ素と、遊離加水分解性アルコキシのモル比は、ポリシロキサン材料中のジオルガノ官能性D型シロキサン基(iii)の合計の含有量が、10mol%を超えない場合、1:1.0~1:3.0、任意選択により1:1.2~1:2.5、任意選択により1:1.3~1:2.2の範囲である。
【0072】
任意選択により、本明細書に記載されている材料中のエトキシ末端単位(-OCH2CH3)のモル数は、メトキシ末端単位(-OCH3)の数の少なくとも2倍であり、その材料は、プロポキシ末端単位(-OCH2CH2CH3)を本質的に含まず、例えば、すべてのアルコキシ末端単位の3%未満しか、プロポキシ末端単位ではない。
【0073】
任意選択により、本明細書に記載されている材料中のメトキシ末端単位(-OCH3)のモル数は、エトキシ末端単位(-OCH2CH3)の数の少なくとも2倍であり、その材料は、プロポキシ末端単位(-OCH2CH2CH3)を本質的に含まず、例えば、すべてのアルコキシ末端単位の3%未満しか、プロポキシ末端単位ではない。
【0074】
本明細書に記載されているいずれのポリマー性液体材料についても、相互接続の異なる様式、すなわちi)2つのQ型パートナーによるシロキサン結合(Q-Qホモ縮合)、ii)2つのT型パートナーによるシロキサン結合(T-Tホモ縮合)、iii)2つのD型パートナーによるシロキサン結合(D-Dホモ縮合)、及びiv)非同一パートナーによるシロキサン結合(Q-T、Q-D、T-D、Q-M、T-M、D-Mヘテロ縮合)が存在する。
【0075】
ヘテロ縮合の概念は、コアのみにおける統計的混合物並びにコアシェル材料における統計的混合物の両方の結合状態にそれぞれ適用され、Q-T型シロキサン結合に対する下の式において例示される:
【化21】
【0076】
Q-Tヘテロ縮合の上の例において、オルガノ官能性トリアルコキシシランは、T0からT1に変換される一方、反応の左側のQ型アルコキシシラン(3本の波線のシロキサン結合によって記号的に表されている)は、Q3からQ4に変換され、同時に形成される各シロキサン結合は、DPQ型及びDPT型を増やすことを説明している。可能なグラフト反応の他の全ての組合せが明らかに存在し、例えばT2種のQ2へのグラフトはT3及びQ3をそれぞれ生じさせ、又はT1種のQ2へのグラフトはT2及びQ3を生じさせ、並びにD型ジアルコキシシロキサン基が関わる同様の組合せがある。
【0077】
DPQ型、DPT型、及びDPD型は、材料中のT型のQ型に対する原子比率、及び任意選択により材料中のD型種の合計モル含有量と共に、本明細書に記載したポリマー性液体材料を定義する主要なパラメーターである。これらのパラメーターはすべて、定量的29Si-NMR分光法データから決定することができ、二脚シランに対するDPT型の計算については、特別な規定を上に示してある。
【0078】
非同一のR
5オルガノ官能性置換基を有する1つより多いT型サブグループを含む材料については、T-スペクトルウィンドウ内の2つの非同一R
5サブグループに属するT型基が十分に分離されうる場合、その材料内の2つのT型化学種の定量は、
29Si-NMRスペクトルの定量的分析から直接行うことができる。非同一R
5置換T型集団のスペクトルによる分離は、R
1=Meであるアミノプロピル(AP)及びビニル(V)R
5U-官能性T型を有する材料を用いた例について示されている(
図5)。或いは、例えばメトキシ/エトキシR
1基の両方が材料中に存在する場合、非同一のR
5を有するT型サブグループは、例えば
29Si-NMRデータと比較してより少ない解像度制限で、
1H-又は
13C-NMRデータを用いて独立に分析することができる。
【0079】
本明細書に記載されているポリマー性液体材料を定義するその他のパラメーターは、標準的な分析ツールを使用して測定することができ、材料中のヒドロキシ基の含有量は、例えば、29Si-及び/又は1H-NMR分光法並びにKarl Fischer滴定を使用して決定することができる。材料中のエトキシ及びメトキシ末端アルコキシ単位のモル比は、13C-NMRから、及び独立に29Si-NMRデータから、直接手に入れることができる。粘度に関する反応生成物の特性分析は、標準化された粘度測定、例えば、ASTM E2975-15「Standard Test method for Calibration of Concentric Cylinder Rotational Viscometers」に準拠する円筒回転型粘度計によって容易に分析される。その他の粘度試験法の可能であり、例えば、Staudinger型毛管粘度計又は最新の動的粘度測定法がある。
【0080】
更なる実施形態では、本発明によるポリマー性液体高分岐状ポリシロキサン材料は、ジオルガノ官能性D型シロキサンの合計含有量及び/又はトリオルガノ官能性M型シロキサン基の合計含有量が0(ゼロ)であるものである。
【0081】
任意選択により、本発明によるポリマー性液体高分岐状ポリシロキサン材料は、モノオルガノ官能性T型シロキサン部分が以下のものを含むものである:
(x)R
5が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、(3,3,3-トリフルオロ)、プロピル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)オクチル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ドデシル及び(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ヘキサデシルからなる群から選択される、モノオルガノ官能性T型アルコキシ末端シロキサン基の第1の集団、並びに
(xi)R
5が、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、(3,3,3-トリフルオロ)プロピル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)オクチル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ドデシル及び(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ヘキサデシルからなる群から選択される、モノオルガノ官能性T型アルコキシ末端シロキサン基の第2の集団であって、上記の第1及び第2の集団のR
5基が同一ではない、第2の集団、
(xii)R
5が、L-Z、ビニル、
【化22】
である、モノオルガノ官能性T型アルコキシ末端シロキサン基、又は
(xiii)R
5が、R
5Sである、モノオルガノ官能性T型アルコキシ末端シロキサン基。
【0082】
上の選択肢は、(x)及び(xi)の組合せについては、調整可能な疎水性材料、並びに(x)及び(xii)の組合せについては、疎水性/機能性が混合された材料を目的としている。
【0083】
例えば(x)及び(xi)を組み合わせることにより、ポリマー性液体材料は、複数の疎水性R5-オルガノ官能性T型基を用いて作り出すことができ、これがその材料の立体的な接近しやすさ及び疎水特定を、ひいてはポリマー、溶媒、無機及びハイブリッド相等に対するその溶解度及び相容性を制御することを可能にする。これが、例えば、事実上任意の特定用途の配合に、今日の市販されているシランモノマー及び予備加水分解物システムによっては達成できない自由度を持たせて、ポリマー性液体材料を目的に適合させることを可能にする。
【0084】
例えば、(x)と、(xii)又は(xiii)との組合せ、疎水性及び特定の官能基(特徴(xii)を参照されたい)の両方を有するR5基の組合せは、次いで、特定用途のマトリックスとの全体の相容性を目的に合わせて調節することを可能にする一方、更なる化学結合性を導入することも可能にする。例えば、特徴(x)から選択される疎水性R5を呈示する一方で、同時にラジカル重合基、例えばメタクリレート基(特徴(xii)から選択される)を同時に有する材料は、次いで、疎水性成分、及び前記メタクリレート成分の取り込みによる本質的に独立したそのラジカル架橋反応性を通して、その相互反応/適合性を制御することができる。第1の型を選択すること及び疎水性R5官能基を有すること、及び第2のR5基を選択して特定の化学官能基を導入することによって、用途に関連したシステムの相容性を別に分けることは、シラン及びシロキサン技術の性能及び費用効率を大きく改善すると予想される。このアプローチの利点は、コアシェル型構造から更に利益を得る一方、様々な組合せが可能であり、用途に応じて個々に選択できることであると思われる:
- R5は、シェルを形成する疎水性T型シロキサン(特徴x)を有するコア内における特徴(xii)で定義される通りであり、したがって、システムの相容性を、コア中に特定の機能を組み込む能力と組み合わせる。R5置換を通したそのような官能基の選択肢の拡張は、さらに、官能基の範囲をかなり拡大する。
- 疎水性(特徴(x))及び官能性(特徴(xii))のR5基は両方とも、シェル内に存在して、疎水性/マトリックス相容性の目的に合わせた調整と、官能基の密度及び活性のとのあいだの相互作用を作り出す。
- コアの内部に分布している疎水性(特徴(x))基及びシェル内の官能(特徴(xii))基。
- R5S(特徴(xiii))を含む追加の組合せ。
【0085】
別の実施形態では、本発明によるポリマー性液体高分岐状ポリシロキサン材料は、T種とQ種の相対的な原子比率が、0.02:1~0.75:1の範囲、任意選択で0.03:1~0.5:1の範囲であるものである。
【0086】
例えば、本発明によるポリマー性液体材料の利点は、材料が、シラノール種(Si-OH)を本質的に含まないということである。具体的には、材料中に存在するSi原子の合計数に対するシラノールのモル含有量は、約5、2.5、2、1.5、1、又は0.5%未満、任意選択により約0.2%未満である。このことは、例えば、従来のゾルゲル(例えば加水分解で調製される)ベースのハイブリッド材料を上回って、大きく改善された安定性及び保存可能期間、並びに実質的により大きな構造的制御をもたらす。実践的な用途では、これらは、非極性有機溶媒中で、ブレンド等において「そのまま」使用でき、あるいは疎水性マトリックス、例えばポリマー溶融物(ポリマーメルト)に直接組み込むことができる。
【0087】
別の側面では、本発明は、本明細書に記載されている少なくとも1つのポリマー性液体材料を、所定量の水又は所定量の水-溶媒混合物と、任意選択により場合によっては少なくとも1つの界面活性剤の存在下で反応させることによって得られる加水分解生成物を目的とする。
【0088】
加水分解のため又は乳化のための所定量の水又は水-溶媒混合物は、例えば、典型的な配合において上限及び下限によって限定された、そのシステム中のSiの合計モル量に対する水のモル量によって決定される。水と合計Siとのモル比を規定する下限値は、0.02:1、任意選択により0.1:1又は0.5:1であることができる。水と合計Siとのモル比を規定する上限値は、5000:1、任意選択で500:1又は50:1であることができる。共溶媒の量は、独立して、かつ技術的に水とSiのモル比によって課される限定なしに選択することができる。
【0089】
例えば、加水分解のための溶媒は、水溶性有機溶媒、例えば、低分子量アルコール、エーテル類、カルボン酸からなる群から選択することができ、例として以下のものが挙げられる:
・Rxが、-CH3、-C2H5、-C3H7、-C4H9、-C5H11、及び-C6H13からなる群から選択される、式Rx-OHのアルコール;
・Rx,Ryが、独立に、-CH3、-C2H5及び-C3H7からなる群から選択される、式Rx,Ry-(C=O)のケトン;
・Rxが、-CH3、-C2H5、-C3H7、-C4H9、-C5H11、及び-C6H13からなる群から選択される、式Rx-COOHのカルボン酸;
・低分子量の有機エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、若しくはギ酸エチル、ギ酸メチル;及び/又は
・Rx,Ryが、独立に、-CH3、-C2H5、及び-C3H7、又は環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン、からなる群から選択される、式Rx-O-Ryのエーテル。
【0090】
溶媒と共に、酸又は塩基を、加水分解/縮合触媒として使用することもできる。使用される典型的な酸は、無機酸及び低分子有機カルボン酸である。典型的な塩基は、水酸化アルカリ、アンモニア、又は脂肪族/芳香族第一級、第二級又は第三級アミンである。
【0091】
例えば、加水分解及び/又は乳化のための界面活性剤は、以下のものからなる群から選択することができる:
・非イオン性界面活性剤、例えばポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー若しくは同様のポリエーテルブロックコポリマー界面活性剤;
・カルボン酸ベースのイオン性界面活性剤、特に脂肪酸及び関連した飽和若しくは不飽和直鎖状及び/若しくは分岐状脂肪族炭化水素-カルボキシレート、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等、並びにそれらの対応するアルカリ塩;
・スルホン酸若しくはホスホン酸ベースのイオン性界面活性剤、特に、飽和若しくは不飽和直鎖状及び/若しくは分岐状脂肪族炭化水素-スルホネート、例えば、ドデシルスルホン酸(SDS)、並びにそれらの対応するアルカリ塩;及び/又は
・トリアルキルアンモニウム塩ベースのイオン性界面活性剤、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)又は塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)。
【0092】
別の側面では、本発明は、本明細書に記載されているポリマー性液体材料を、所定量の水を用いて、任意選択により場合によっては少なくとも1つの界面活性剤の存在下で、乳化させることによって得ることができる、エマルションを目的とする。
【0093】
別の側面では、本発明は、本発明のポリマー性液体材料を調製するための方法を目的とし、その方法は以下の工程を含む:
- 材料中のすべてのR5基の少なくとも1mol%、任意選択により少なくとも3mol%、任意選択により少なくとも5mol%、任意選択により少なくとも10mol%、任意選択により少なくとも20mol%が、R5U基である、本明細書に記載されているポリマー性液体材料を用意する工程;
- そのポリマー性液体材料のR5U基を官能化して、すべてのR5基に対して少なくとも1mol%、任意選択により少なくとも3mol%、任意選択により少なくとも5mol%、任意選択により少なくとも7mol%のR5S基を得る工程;
- ポリマー性液体材料を回収し、任意選択により場合によっては単離し、任意選択により場合によっては精製する工程。
【0094】
R5S残基を得るための、本明細書で使用されている、修飾すること又はR5S-官能化することという用語は、R5U残基をR5S残基に変換するために適切である化学反応が行われることを意味する。適切な化学反応は、当業者に公知であり、望ましいR5S残基を得るために日常的に選択されている。
【0095】
適した非限定的な化学反応は、例えば、以下に列挙されている通りである。
【0096】
Michael付加、アザ-Michael付加(例えばアミン又はチオールとアクリレート、アルケン、アルキン、カルボニルイソシアネート、又は不飽和カルボニル);無水物との反応(例えばアミンと無水マレイン酸);酸塩化物との反応(例えばアミンと適切な-C(=O)Cl基);エポキシドの開環(例えば、アミン、チオール、CN-、又はハロゲンを用いて);イミンの形成(第一級アミンとケトン);ハロゲノアルカンでのチオール置換;ハロゲノアルカン上の様々な求核性置換(例えば、SN2);二重結合を形成するハロゲノアルカン上での脱離;アルキルアジドを形成するハロゲノアルカンのアジ化ナトリウムとの反応、任意選択によりそれに続くそのアルキルアジドの反応、例えばクリック化学反応(アジド-アルキン環化付加)においての反応、又はイソシアネートへの変換を通したアルキルアジドの反応;ジイソシアネート及びトリイソシアネートとの様々な官能化反応;アルケンの反応、例えば、チオールとの「チオール-エン」反応、アルケン、例えばビニルへのハロゲンの求電子付加、とそれに続くアルキンへの脱離;ラジカル供給源(例えばラジカル開始剤)、有機及び無機過酸化物の存在下での、脂肪族若しくは芳香族の直鎖状若しくは環状のエポキシドの存在下での、不飽和芳香族若しくは不飽和脂肪族化合物との、テトラスルフィド若しくはチオール若しくは不飽和化合物(例えば、ビニル、メタクリレート)の反応;芳香族環、例えばフェニル環上でのFriedel-Crafts-アルキル化若しくはアシル化;或いは、アミン又はカルボン酸基を通したペプチド結合の形成。
【0097】
当業者は、どの型の反応及び/又は反応条件が、(少量の)水及び/又はシラノール基の存在と適合するかを知っている。当業者は、水及び/又はシラノール基との望ましくない副反応を最小化するために、個々の合成工程を実施するための適切な手順を選択する。水及び/又はシラノール基の存在と適合しないが、それらの存在下で実施しなければならないR5S-官能化反応は、本発明の範囲から任意選択により排除してもよい。水及び/又はシラノール基に対して感受性のR5S-官能化反応のための好ましい手順は、最初に官能化をT0モノマー上で実施し、それに続いてT0モノマーをシロキサンコアにグラフトし、したがって、R5S-官能化を一時的に別にすることによって、水及び/又はシラノール基の存在下での反応を避けることを含む。
【0098】
本明細書に記載されている方法により調製されるポリマー性液体ポリシロキサン材料は、R5S-官能化がされ、すなわち材料中のすべてのR5基の少なくとも1mol%、任意選択により少なくとも3mol%、任意選択により少なくとも5mol%、任意選択により少なくとも7mol%は、R5S基であり、ここで、R5Sは、R5S-官能化された基と考えられる。本方法のための出発物質は、R5S-官能化されていなくてよい(材料中のすべてのR5基の本質的に100mol%がR5U基である)、又は部分的にR5S-官能化されていてよい(材料中のすべてのR5部分の少なくとも3mol%がR5U基である)。出発物質のR5S-官能化は、グラフト化されたT型シロキサン基のR5Uを官能化することにより、又は任意選択により場合によっては、R5S基を含む予めR5S-官能化されたT型シランを更にグラフトすることにより行うことができる。R5U基のR5S-官能化は、公知の化学的方法によって行うことができる。ポリマー性液体材料を回収し、任意選択により場合によっては単離し、任意選択によって場合によっては精製する工程は、本方法の工程(g)との関連で下において概説するように行うことができる。
【0099】
別の側面では、本発明は、本明細書に記載されているポリマー性液体材料を調製するための方法を目的とし、その方法は、以下の工程:
(a)Q型ポリメトキシ、ポリエトキシ、ポリプロポキシ、又は混合ポリ(メトキシ/エトキシ/プロポキシ)ポリシロキサン前駆体を用意する工程であって、
前駆体が、任意選択により
(a1)ジオルガノ官能性D型シロキサン基、及び/又は
(a2)R5が、R5U及びR5Sから選択されるモノオルガノ官能性T型シロキサン基を含んでいてもよく;
任意選択により、すべてのQ型種の合計量に対して、12mol%未満の組み合わせた(a1)及び(a2)しか含まなくてもよく;
任意選択により組み換え触媒を更に含んでもよく;
ここで、前駆体は、合計したQ型シロキサン種に対して少なくとも28mol%、任意選択により少なくとも35mol%、任意選択により少なくとも42mol%の、4つのメンバーが結合されたQ2r型及びQ3s,d型シロキサン環種を含み;及び/又は
前駆体は、すべてのQ3型シロキサン種に対して少なくとも60%、任意選択で少なくとも67%、任意選択で少なくとも75%の、4つのメンバーが結合されたQ3s,3d型シロキサン環種を含み;かつ
Q型ポリシロキサンDPQ型の重合度が、1.5~2.7、任意選択により1.5~2.5、任意選択により1.7~2.5の範囲である工程;
(b)以下:
(b1)トリオルガノ官能性M型シランSi(OR1)(R2)(R3)(R4);及び/又は
(b2)ジオルガノ官能性D型シランSi(OR1)2(R2)(R3);及び/又は
(b3)モノオルガノ官能性T型シランSi(OR1)3(R5)(ここで、R5は、R5U及びR5Sから選択される)
の少なくとも1つを、モノマー又はオリゴマー形態で(a)のポリシロキサンに添加する工程;
(c)任意選択により場合によっては、組み換え触媒を工程(b)の混合物に添加する工程;
(d)水の不存在下で(c)の混合物を加熱する工程;
(e)任意選択により場合によっては、工程(b)から(d)を少なくとも1回繰り返す工程;
(f)任意選択により場合によっては、ポリマー性液体材料のR5U残基を官能化して、すべてのR5残基に対して少なくとも1mol%、任意選択により少なくとも3mol%、任意選択により少なくとも5mol%、任意選択により少なくとも7mol%のR5S残基を得る工程;
(g)ポリマー性液体材料を回収し、任意選択により場合によっては単離し、任意選択により場合によっては精製する工程
を含み、
但し、工程(a2)又は(b3)の少なくとも1つを実施することを条件とし、かつ
組み換え触媒が、工程(a)又は(c)の少なくとも1つにおいて存在することを条件とする。
【0100】
工程(a)のQ型ポリメトキシ、ポリエトキシ、ポリプロポキシ、又は混合ポリ(メトキシ/エトキシ/プロポキシ)ポリシロキサン前駆体は、任意の、例えば市販のQ型ポリメトキシ、ポリエトキシ、ポリプロポキシ、又は混合ポリ(メトキシ/エトキシ/プロポキシ)ポリシロキサンであることができるが、但し、それが、本明細書のポリシロキサン材料について定義される非オルガノ官能性Q1からQ4型シロキサン部分を含み、その場合に、すべてのQ型種の少なくとも28mol%、任意選択で少なくとも35mol%、任意選択で少なくとも42mol%は、4つのメンバーが結合されたQ2型及びQ3型シロキサン環種(単環及び二環式環(double rings)を含めて)の部分であり、並びに/又はすべてのQ3型種の少なくとも60%、任意選択で少なくとも67%、任意選択で少なくとも75%は、4つのメンバーが結合されたQ3s,3d型シロキサン環の部分であること、及び、Q型ポリシロキサンの重合度DPQ型が、1.5~2.5、任意選択で1.5~2.7、任意選択で1.7~2.4の範囲であることを条件とする。本方法との関連では、4つのメンバーが結合されたQ3型シロキサン環種は、それぞれ1つ又は2つの4つのメンバーが結合された環の一部であるそれらのQ3型シロキサン種である。本方法に関して「すべてのQ型種」という用語は、すべてのQ1からQ4シロキサン種、並びにQ0シランモノマーを含む。
【0101】
工程(a)のQ型ポリメトキシ、ポリエトキシ、ポリプロポキシ、又は混合ポリ(メトキシ/エトキシ/プロポキシ)ポリシロキサンは、本明細書に記載している前駆体材料を構成する。コアシェル構造を目的とする場合、典型的には純粋なQ型前駆体材料がコアとして使用される。典型的かつ例示的なQ型前駆体材料の
29Si NMRスペクトルは、
図6(上)に示されており、かなりの量のQ
2r及びQ
3s,dテトラシロキサン環種を示している。T型モノマーシランをグラフトすると、
図6(下)にも示されているように環種は著しく減少する。
【0102】
例えば、以下のQ型ポリメトキシ、ポリエトキシ、又は混合ポリ(メトキシ/エトキシ)ポリシロキサンを工程(a)において使用することができる:TEOS又はTMOSの市販されているオリゴマー類、例えば、40質量%の合計SiO2等価物含有量を有するエチルシリケート、例えば、Dynasylan 40(Evonik Industries社)、Wacker Silicate TES 40 WN(Wacker社)、TEOS-40(Momentive社)、又は多くのブランド化されていないアジア系供給業者によって単に「エチルシリケート-40」とよばれているもの。また、より高いシリケート含有量をもつオリゴマー、例えば、Dynasylan Silbond 50、又は例えば最大で50%当量のSiO2固形物量をもつ等価生成物が使用され得る。同じことは、TMOSオリゴマー、例えば、例えば「テトラメトキシシランのオリゴマー加水分解物」(Gelest Inc.社)又は「MKCシリケート」(Mitsubishi Chemicals社)についても当てはまり、これらは最大で59%のSiO2等価物含有量をもつバリエーションで存在し、メチルシリケートのための供給源として使用することができる。類似するプロポキシ-シリケートも、もし市販されていれば使用することができる。
【0103】
或いは、工程(a)のQ型ポリメトキシ、ポリエトキシ、ポリプロポキシ、又は混合ポリ(メトキシ/エトキシ/プロポキシ)ポリシロキサンは、当技術分野において公知の手順に従って合成することができ、それには、加水分解及び非加水分解法が含まれ、例えば以下の実施例、WO2019/234062A1、EP1576035B1、Macromolecules 2006年,39,5,1701~1708頁、Macromol.Chem.Phys.2003年,204(7),1014~1026頁、又はDoklady Chem.,第349巻,1996年,190~19に記載されているとおりである。
【0104】
本方法との関連で、トリオルガノ官能性M型シランSi(OR1)(R2)(R3)(R4)、ジオルガノ官能性D型シロキサン基Si(OR1)2(R2)(R3)、及びモノオルガノ官能性T型シロキサン基Si(OR1)3(R5)における化学置換基の定義は、本明細書に記載されているポリシロキサン材料との関連で与えられている定義に対応する。
【0105】
本明細書で使用されている「モノマー又はオリゴマー形態で」という用語は、M、D及びT型シランが、前駆体として用いるときに高度に重合されていない、すなわち、モノマー又は、例えば、典型的なオリゴマー中の10モノマー単位未満の普通の混合物の小さなオリゴマーのいずれかであることを意味する。
【0106】
本方法において使用するための組み換え触媒は、本明細書に記載されているポリマー性液体材料をもたらす求核性置換によってT、D、及びM型モノマー又はオリゴマーのグラフト化を加速させる任意の触媒であることができる。触媒濃度は、一般的に、調製される材料中のケイ素の合計モル含有量に基づいて0.01mol%~1.5mol%の範囲である。触媒は、工程(a)若しくは(c)、又はその両方において存在し得るが、但し、工程(a)又は(c)の少なくとも1つに存在することを条件とする。
【0107】
更なる実施形態では、主な基、又は遷移金属塩、又は有機金属化合物、又は有機塩基(例えば、脂肪族アミン塩基又はアミノシラン塩基)若しくは無機塩基が、組み換え触媒として使用される。
【0108】
組み換え触媒は、ここで使用されているように、例えば、以下の例27の手順(プロトコル)に従うことによって、有利であると特定されうる。例27の手順において定義されているMTESモデル化合物に対して、T0の少なくとも75%のグラフト(25%未満の残りのT0モノマー)を引き出す任意の触媒が、本発明において使用するための組み換え触媒である。
【0109】
本方法において使用するための触媒は、以下の概略式をもつ化合物の群から選択することができる:
M(II)L1L2 (酸化状態が+2の金属イオン、例えばZn+2又はFe+2の場合)
M(III)L1L2L3又はO=M(III)L1(酸化状態が+3の金属イオン、例えばCe+3又はFe+3の場合)
M(IV)L1L2L3L4又はO=M(IV)L1L2(酸化状態が+4の金属イオン、例えばTi+4又はHf+4の場合)
M(V)L1L2L3L4L5又はO=M(V)L1L2L3(酸化状態が+5の金属イオン、例えばV+5又はNb+5の場合)
式中、M(II、III、IV、IV)は、主な基又は酸化状態が+2~+5の遷移金属イオンであり、共有結合、イオン結合若しくは配位結合、又はそれらの組合せにより、同一の又は非同一の配位対イオン及び/又はリガンドL1からL5に結合し、ここで、これらのリガンドの少なくとも1つは、ハライド(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、擬ハライド(例えば、SCN-、N3
-、CN-)、カルコゲニド、無機酸対イオン、有機カルボキシレート、有機アルコレート、アセチルアセトナート、有機スルホン酸又はホスホン酸対イオンの群から選択され、ここで、好ましくは主な基又は遷移金属イオンは、その天然に存在する酸化状態にある元素Fe、Al、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Ce、Co、Fe、及びMnの群から選択される。
【0110】
工程d)で言及される「水の不存在下で」は、任意選択により場合によっては、本方法において定義されるトリオルガノ官能性M型シランを用いた反応、例えば、グラフト反応及び/又は組み換え反応に適用されない。本方法においては、トリオルガノ官能性M型シランを用いる反応工程は、水の存在下で、例えば当技術分野において一般に使用されるように、水性の酸/共溶媒混合物(例えば、EtOH、水、ケトン)の存在下で行うことができる。任意選択により場合によっては、M型シランのグラフト化は、その前又は後のいずれかで実施されるD型及び/又はT型グラフト化から、時間的に分けられている。
【0111】
十分に速い反応速度論を可能にして、妥当な反応時間を得るために、触媒と共に昇温した温度を使用することが、典型的には、少なくとも本明細書に記載されている工程(d)において、任意選択により工程(b)から(e)で必要とされる。
【0112】
各反応工程は、使用される組み換え触媒のタイプ及び濃度に応じて、例えば30分から数時間、又は数日実施されうる。或いは、高周波による加熱方法が使用される場合、反応時間は著しく短縮されうる。
【0113】
工程(b)から(f)のすべては、任意選択により場合によっては、撹拌下で実施される。任意選択により場合によって、撹拌は、M、D又はT型シランを添加した後に、工程d)及び/又は(f)において少なくとも30分続けられる。
【0114】
例えば、工程(d)及び/又は(f)のあいだ、全体の重合度は、その反応を水の不存在下で実施する場合、本質的に一定のままである。本明細書で言及されているように、重合度は常に、シロキサン材料のものを指す。
【0115】
任意選択により場合によっては、工程(d)及び/又は(f)において、反応混合物に中の低分子反応生成物及び/又は残留出発材料は、真空蒸留により、例えば、反応容器の内側で圧力を徐々に低下させること、及び、最終圧力を例えば約5~250mbarの範囲で一定期間、例えば2~60分の間保持することを通して除去され得る。任意選択により、残留揮発性有機化合物、溶媒残留物及び/又は低分子の出発生成物(VOC)は、任意の段階において、好ましくはまだ温かい又は熱い反応混合物中に、パージガスを吹き込むことによる後処理手順において、更に除去してもよい。
【0116】
例えば、本方法の工程(a)から(e)のそれぞれは本質的に、化学反応剤及び/又は、重合及び/若しくはグラフト反応を促進するための組み換え触媒以外の化学反応剤なしで実施される。例えば、工程(a)から(e)のすべては本質的に、無水酢酸、酢酸、若しくは他の無水物、又は脂肪族若しくは芳香族カルボン酸、又は水の不存在下で、任意選択により場合によっては、クロロシラン類、クロロシロキサン類、アセトキシシラン類、又はアセトキシシロキサン類の不存在下で実施される。「本質的に不存在下で」とは、痕跡量又は触媒量の前述の物質が存在し得ることを意味するが、「本質的に不存在下で」とは、量が、これらの物質によって検出可能な又は顕著な重合反応を促進するのに十分ではないことを意味する。
【0117】
理論に束縛されることを望まないが、工程(d)におけるこの置換反応(「グラフト」ともいわれる)の原動力は、工程(a)のQ型材料に中の4つのメンバーが結合されたQ
2型及び/又はQ
3型シロキサン環種の環ひずみによって、少なくとも有意な程度にまで生じると考えられる。Q型前駆体又はコア材料中の環の張力の解放は、M、D及、び/又はT型シランをQ型コア材料上に、更なる化学反応剤、例えば無水酢酸の必要なしに効率的に付加する、すなわちグラフトするために十分である。任意選択により場合によっては、反応温度及び継続時間が適切に調整されている場合は、本明細書において定義される組み換え触媒も必須ではない。以下の例でわかるように、工程(a)の材料中の環種のmol%は、ここでの調製方法による生成物において著しく低下する。典型的なグラフト反応の例として、
図6(下)は、ポリエトキシシロキサンQ型前駆体(
図6(上))及びモノマーT型前駆体としてのMTESを使用した典型的な例の組み換え後の反応生成物を示している。これらを直接比較することにより、グラフトされた生成物がQ
2r、及びまたQ
3s、Q
3dテトラシロキサン環種の両方における顕著な減少、並びに部分的なQ型解重合に起因する可能性が最も高いQ
0モノマーの増加を特徴とすることが分かる。同時に、直鎖状Q型基(Q
2l及びQ
3l)の割合が、顕著に増大した。
図7は、典型的な組み換えグラフト反応の経過にわたるQ
2r及びQ
3s,dテトラシロキサン種の一時的減衰((Q
2r+Q
3s,d)/Q
totとして%単位で示される)を示している。
【0118】
工程(a2)又は(b3)の少なくとも1つが実施されるという条件は、本発明の方法の生成物において、ここに記載したポリマー性液状ポリシロキサン材料は、ここに記載したモノオルガノ官能性T型シロキサン基を含んでおり、それゆえ、式Si(OR1)3(R5)のT型シランが、本方法の少なくとも1つの工程において、モノマー又はオリゴマー形態で添加されなければならないことを意味する。このことは、生成物がT型基を含まなければならないということと同義である。
【0119】
工程(e)が任意選択によって行われる場合、工程(b)の繰り返しは、そのあいだに又はさらなる繰り返し工程のあいだに添加される原料が、それより前に行われた工程と比べて必ずしも同じ原料ではないということを含んでいる。例えば、工程(b3)の最初の実施に対して、R5についてR5Uを選択する場合は、R5U、R5S又はそれらの任意の組合せを、工程(b3)を繰り返すときにR5について選択することができる。それと同じことが、全ての他の繰り返し工程に当てはまり、例えば、M、D又はT型シランが添加されるどうか、及び/又はR1、R2、R3及びR4のどのタイプが選択されるか、並びにどのようなタイプ及び量の触媒がその繰り返し中に添加されるか、である。
【0120】
工程(a2)及び(b3)のモノオルガノ官能性T型シロキサン基及びシランについては、R5は、R5U及びR5Sから選択される。このことは、T型シロキサン基/シランが、R5S-官能化されていなくてよい(材料中のすべてのT型シロキサン基/シランのすべてのR5基の本質的に100mol%が、R5U基である)、完全にR5S-官能化されていてよい(材料中のすべてのT型シロキサン基/シランのすべてのR5部分の本質的に100mol%が、R5S基である)、又は部分的にR5S-官能化されていてよい(T型シロキサン基/シランが、R5U及びR5S部分の両方を任意の可能な比で含む)ことを意味する。任意選択により場合によっては、本方法の工程(a2)におけるモノオルガノ官能性T型シロキサン基のR5は、R5Uである。
【0121】
工程(f)なしに、本方法の生成物においてすべてのR5基の少なくとも1mol%、任意選択により少なくとも3mol%、任意選択により少なくとも5mol%、任意選択により少なくとも7mol%がR5S基であるように、工程(a2)及び/又は(b3)のT型シロキサン基及びシランが選択される場合、R5U残基の官能化が必須ではない限りにおいて工程(f)は任意選択工程である。工程(a2)及び/又は(b3)のT型シロキサン基及びシランが、材料中のすべてのR5部分の少なくとも1mol%がR5Sである生成物を既にもたらしている場合であっても、もちろん工程(f)を実施して、例えば官能化されたR5残基のモル百分率を上昇させることができる。
【0122】
任意選択により、工程(f)は、工程(d)と(e)の間で行ってもよく、工程(e)及び(f)の順序は、任意選択により交換可能である。
【0123】
更なる実施形態では、本明細書に記載されている方法は次のものである:、
- 工程(a)において、T型シロキサン基のR5が、R5Uであり;
- 工程(b)において、T型シランのR5が、R5Uであり;かつ、
- この方法は、ポリマー性液体材料のR5U残基を官能化して、すべてのR5残基に対して少なくとも1mol%、任意選択により少なくとも3mol%、任意選択により少なくとも5mol%、任意選択により少なくとも7mol%のR5S残基を得る工程(f)を含む方法。
【0124】
別の実施形態では、本明細書に記載されている方法は次のものである:、
- 工程(a)において、T型シロキサン基のR5が、R5Uであり;
- 工程(b)において、少なくとも1つのT型シランのR5が、R5Sであり;この場合、任意選択による工程(e)において、T型シランのR5が、R5U及びR5Sから選択され、かつ、
- この方法が、任意選択により場合によっては、工程(f)を含まない、方法。
【0125】
工程(a2)及び(b3)の、R5S-官能化された、又はR5S-官能化されていないT型シロキサン基及びシランの選択は、任意選択による工程(e)及び(f)と共に、すべてのR5基の少なくとも1mol%、任意選択により少なくとも3mol%、任意選択により少なくとも5mol%、任意選択により少なくとも7mol%が、R5S基である、ポリマー性液体材料をもたらす任意の選択であることができる。出発材料の選択における任意の並べ替え、及びR5基に関連する更なる官能化反応を慣例の手順で行うことは、当業者の行動範囲内にある。
【0126】
R
5S-官能化手順(プロトコル)の可変性の概念は、3つの例示的な非限定的モデルの官能化に対して示されているNMR分光分析研究によって説明されることができ、その3つはすなわち、
i)グリシジルR
5U-T型を有するポリシロキサンへの、「Jeffamine」型PPG-ジアミンの「ポリシロキサン上」官能化(
図8は
1H NMRスペクトルを示し、
図9は
13C NMRスペクトルを示し、
図10は
29Si NMRスペクトルを示す)、
ii)純粋なQ型ポリシロキサン前駆体への、ジアクリレートとアミノプロピル-トリエトキシシランとのアザ-Micheal付加生成物の、「T
0グラフト」官能化(
図11は
1H NMRスペクトルを示し、
図12は
13C NMRスペクトルを示す)、
iii)アミノプロピルR
5U-T型ポリシロキサンへの、無水マレイン酸の「ポリシロキサン上」官能化(
図13は
1H NMRスペクトルを示し、
図14は
13C NMRスペクトルを示す)
であり、図中のポリシロキサンコアへの結合は、対応するT型単位をポリ「シロキサン」に結合している単一のシロキサン結合によって象徴的に表している。
【0127】
本方法の生成物は、反応容器からの材料を集めることによって工程(g)において回収される。生成物は、当業界で公知の標準的方法によって任意選択により単離し、精製してもよく、それは例えば、蒸留、任意選択により薄膜蒸発装置を使用する蒸留、パージガスを用いたストリッピングによるVOCの除去などによる。
【0128】
ある実施形態では、本明細書に記載されている方法は、工程(b)の前、又は工程(d)若しくは(e)の後に、トリオルガノ官能性M型シランSi(OR1)(R2)(R3)(R4)、又はM型シロキサン(R2)(R3)(R4)Si-O-Si(R2)(R3)(R4)、及び任意選択により場合よってはモノマー又はオリゴマー形態のジオルガノ官能性D型シランを、工程(b2)において説明したように、水及び好適な共溶媒、並びに酸触媒の存在下で添加し、次にその混合物を加熱して、任意選択により場合によっては還流させる工程を更に含む。その添加を工程(b)の前に行う場合、工程(b)が開始される前に水が除去される。
【0129】
例えば、トリオルガノ官能性M型シランSi(OR1)(R2)(R3)(R4)、及び/又は任意選択によりジオルガノ官能性D型シロキサンを添加するための溶媒は、エタノール、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテルからなる群から選択することができる。
【0130】
例えば、酸触媒は、負のpKa値を有する強酸から選択することができ、好ましくは塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素酸、又はヨウ化水素酸からなる群から選択することができる。
【0131】
別の実施形態では、本明細書に記載されている方法の工程(c)から(e)のための反応温度は、30~170℃、任意選択により50~150℃、又は70℃~120℃の範囲であり、工程(c)から(e)のあいだの圧力は、0.1bar~2barの範囲、任意選択により0.5bar~1.4barの範囲、又は0.6bar~1.2barの範囲である。
【0132】
任意選択により場合によって官能化する工程(f)は、工程(e)の前にこの工程を行うとしても、必ずしも昇温した温度において行われる必要はない。どの反応温度が工程(f)におけるどのタイプのR5S-官能化反応に必要であるかは、共通の一般的知識である。
【0133】
更なる実施形態において、本方法に使用するための組み換え触媒は、以下のものからなる群から選択される:
- Ti(IV)(OR13)4及びZr(IV)(OR13)4;
- Ti(IV)X4及びZr(IV)X4;
- O=Ti(IV)X2及びO=Zr(IV)X2;
- Ti(IV)X2(OR13)2及びZr(IV)X2(OR13)2;
- Ti(IV)X2(OAcAc)2及びZr(IV)X2(OAcAc)2;
- Ti(IV)(OSi(CH3)3)4及びZr(IV)(OSi(CH3)3)4;
- (R13O)2Ti(IV)(OAcAc)2及び(R13O)2Zr(IV)(OAcAc)2;
- O=Ti(IV)(OAcAc)2及びO=Zr(IV)(OAcAc)2;
- Ti(IV)(OAc)4及びZr(IV)(OAc)4;
- Ti(IV)(OAc)2(OR13)2及びZr(IV)(OAc)2(OR13)2;並びに
- O=Ti(IV)(OAc)2及びO=Zr(IV)(OAc)2;
ここで、
R13は、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH3、-C(CH3)3、-CH2CH2CH2CH3、及びCH2CH2CH(CH3)2からなる群から選択され、Xは、ハライド、擬ハライド、ナイトレート、クロレート、又はパークロレートアニオンであり、かつ
工程(a)又は(c)のそれぞれにおける触媒量は、前記工程に存在するケイ素の合計モル含有量に基づいて、任意選択で0.01~5mol%の間、任意選択で0.05又は0.1~3mol%の間である。
【0134】
別の側面では、本発明は、本明細書に記載されている方法のいずれかにより得られた又は得ることができる生成物を対象とする。
【0135】
更なる側面では、本発明は、本明細書に記載されているポリマー性液体材料の使用であって、ポリマー性液体材料が、配合物のなかに架橋剤として、ビニル、メタクリレート、ブタクリレート、アクリレート、
【化23】
からなる群から選択されるラジカル重合性有機官能基としてR
5を有するT型シロキサン基の少なくとも1つの集団を含み、ポリマー性液体材料の含有量が、配合物に対して0.2質量%~25質量%の範囲である、ポリマー性液体材料の使用を対象とする。
【0136】
本明細書で使用されている「配合物」という用語は、本明細書に記載されているポリマー性液体材料を、例えば架橋剤として、又は任意の他の機能性物質として含む任意の生成物(製品)を指す。配合物は、液体、ペースト又はエマルション又はスラリーであり得る。そのような配合物は、典型的には、例えば、他の相溶性ラジカル重合性のモノマー、オリゴマー若しくはプレポリマー又はシラン末端ポリマー性ビルディングブロック部分、フィラー並びに性能を向上する又は寿命を延ばす添加剤及び安定剤、例えば:UV及び光安定剤、抗酸化剤、レオロジー改質剤、タック改質剤、フィルム形成添加剤、光沢添加剤、帯電防止剤、核生成剤等を含む。熱活性化可能な場合、そのような配合物は、典型的には、例えば、設計された硬化開始温度を満たすように選択されるラジカル開始剤分子も含有する。
【0137】
更なる側面では、本発明は、本明細書に記載されているポリマー性液体材料、加水分解生成物又はエマルションの使用であって、ポリマー性液体材料が、疎水性配合物中に、R5についてはメチル、エチル、ビニル、メタクリレート、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、(3,3,3-トリフルオロ)プロピル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)オクチル、(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ドデシル、及び(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロ)ヘキサデシルから選択される有機官能基を有するT型アルコキシ末端シロキサン基の少なくとも1つの集団を含み、配合物中のポリマー性液体、加水分解生成物又はエマルションの量が0.5質量%~25質量%である、ポリマー性液体材料等の使用を対象とする。
【0138】
以下の図及び実施例は、本発明を説明するのに役立ち、添付した特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【
図1】
図1は、一般的なケース(
図1a)(R
1についてはメトキシ、エトキシ、プロポキシのすべての組合せが可能である)、及び、R
1についてエトキシが多くメトキシが少ない(
図1b)、エトキシ及びメトキシがおおよそ等しい(
図1c)、並びに、エトキシR
1基のみであるが少量のシラノール基も存在する(
図1d)という3つのより具体的なケースにおける、典型的な純粋なQ型前駆体材料又はコアの例示的な2D分子構造表現を示す図である。
【
図2】
図2は、純粋なQ型前駆体材料のみに基づく、本明細書に記載されている典型的な材料の例示的な2D分子構造表現を示す図である。一般的なケース(
図2a)では、M、D及びT官能化のすべての組合せが可能である、選択されたT
1、T
2、D
1、D
2及びM
1基の存在によって示されている。一般的な説明ではT
3基も可能であるが、これらは、この単純化された2D構造的表現に含まれていない。更に、これらの3つの具体的なケースは、Q型前駆体/単一のT型グラフトシロキサンの組合せに関して、多様性の態様を説明するために、(
図2b)R
5U及びR
5Sの両方を特徴とする、アミン基の部分的な-R
10官能化でのアミノプロピル官能性、(
図2c)R
5Sのみを特徴とする、完全な官能化を伴うR
11-グリシドキシプロピル-付加体官能性、並びに(
図2d)R
5U及びR
5ST型シロキサン部分の両方を特徴とする、フェニル(Ph)基の部分的な-R
11官能化でのフェニル官能性を特徴とする理想化された化合物に限定されている。これらの表現は、説明の目的のみのためであり、更なるT(R
5S及びR
5U)、D、M型グラフトの組合せにおけるいかなる限定も示していない。
【
図3】
図3は、エトキシベースのQ型及びメトキシベースのT型前駆体から調製された材料の
29Si NMRスペクトルを示しており、これは最終材料中でのQ型及びT型スペクトルドメインの両方における、エトキシ/メトキシリガンド交換を説明している。T
0及びQ
0モノマーでの例により、エトキシ/メトキシ交換は、様々なサブピークに分かれている各部分のシグナルの形態で示されている。T
0については3つのピークのサブセットT
0a、T
0bが観察され、それらは3個のエトキシ、並びに2個のエトキシ及び1個のメトキシ置換基を含むT
0基に由来する。この特定の材料はエトキシがきわめて多いので、更なるピークT
0c(1個のエトキシ及び2個のメトキシ)及びT
0d(3個のメトキシ)は分割できない(シグナルが小さすぎる)。同様に、Q
0スペクトル範囲については、5つのピークQ
0a、Q
0b、Q
0cのサブセットが見られ、それらは4個のエトキシ、3個のエトキシ及び1個のメトキシ、2個のエトキシ及び2個のメトキシを含むQ
0基に由来し、Q
0d(1個のエトキシ及び3個のメトキシ置換基)及びQ
0e(4個のメトキシ)シグナルはここでもまた見ることができない。
【
図4】
図4は、1つの材料中に、グラフトされたM型(トリメチルエトキシシラン、TMESから)、D型(ジメチルジエトキシシラン、DMDESから)、並びに官能化されていないR
5U及び官能化されたR
5ST型基(部分的に-R
11官能化されたメルカプトプロピルトリエトキシシラン、MPTESから)の両方を特徴とするエトキシベースのQ型前駆体から調製された材料の
29Si NMRスペクトルを示し、個々の部分のスペクトルピークのシグナルを標識してある。
【
図5】
図5は、TEOSオリゴマーQ型前駆体、並びに2つの異なるトリエトキシシランモノマーT型前駆体、すなわちビニルトリエトキシシラン(VTES)及びアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)から作られた材料の
29Si NMRスペクトルを示しており、アミノプロピル官能性T型が、有機のR
10基で部分的にR
5S-官能化されており、それは、ビニルT型基は、官能化されていないR
5Uのみを有し、アミノプロピルT型基は、官能化されていないR
5U及び官能化されたR
5Sの両方を有していることを意味する。ビニル(V)及びアミノプロピル(AP、R
5U及びR
5Sの両方)R
5-官能性T型部分集団に属する個々の基は、明確にスペクトルにおいて分割されることができ、明確にするために標識されている。
【
図6】
図6は、テトラシロキサン環種の含有量に対する組み換えグラフトの効果を示している。ポリエチルシリケートQ型前駆体材料の、上の
29Si NMRスペクトルは、Q
2r及びQ3
s,dテトラシロキサン環種の多さを示している。下の
29Si NMRスペクトルは、単一のトリエトキシシランモノマーT型前駆体を用いたTi(IV)触媒組み換えグラフトによって、ポリエチルシリケートQ型前駆体そのものから作られた材料を、対応するQ型及びT型基のピーク帰属とともに示している。その生成物が、Q
2r及びQ3
s,dテトラシロキサン環種を、その元になったQ型前駆体材料よりはるかに少なくしか有していないことが明らかにわかる。具体的には、大部分のQ
2r種が、Q
2lに変換されており、また大半のQ
3d及び一部のQ
3sテトラシロキサン環種も消失しており、おそらく組み換えグラフト反応の結果として、直鎖状Q
3l種に置き換えられている。
【
図7】
図7は、反応時間の増加にともなう、Q型モデル前駆体化合物に対するMTESのモデルグラフト反応中の、(Q
2r&Q
3s,d)環種%指標によって例示される環種の消失を示している。組み換え触媒の存在下での熱処理のあいだの環種の消失は、モノマーT型モデルシラン化合物の、Q型前駆体へのグラフトと同時である。
【
図8】
図8「ポリシロキサン上」での官能化による、R
5S-官能化されたQ-Tポリシロキサン材料の調製に使用される様々な中間体の
1H NMRスペクトルによるR
5S-官能化反応モニタリングを示している。様々なスペクトルが、R
5S-官能化のために使用される有機基質、α,ωアミノ末端ポリプロピレングリコール(Jeffamine D400、
図8a)、R
5U非官能化(R
5U=グリシドキシプロピル(Gly))T型基を有するポリシロキサン(
図8b)、及び有機基質とのエポキシド開環官能化によって得られるR
5S-官能化されたポリシロキサンポリマー性液体材料(
図8c)の参照スペクトルを示している。
【
図9】
図9は、「ポリシロキサン上」の官能化による、R
5S-官能化されたQ-Tポリシロキサン材料の調製において使用される様々な中間体の
13C NMRスペクトルによるR
5S-官能化反応モニタリングを示している。様々なスペクトルが、R
5S-官能化に使用される有機基質、α,ωアミノ末端ポリプロピレングリコール(Jeffamine D400、
図9a)、R
5U非官能化(R
5U=グリシドキシプロピル(Gly))T型基を有するポリシロキサン(
図9b)、及び有機基質とのエポキシド開環官能化によって得られるR
5S-官能化されたポリシロキサンポリマー性液体材料(
図9c)の参照スペクトルを示している。
【
図10】
図10は、R
5U=グリシドキシプロピル(Gly)T型基を有するポリシロキサン(上)、及びα,ωアミノ末端ポリプロピレングリコール(Jeffamine D400)とのエポキシド開環によるR
5S-官能化後の同じ材料(下)の
29Si NMRスペクトルを示している。
【
図11】
図11は、「T
0グラフト」アプローチを使用したR
5S-官能化されていないQ-Tポリシロキサン材料の調製に使用される材料の
1H NMRスペクトルによるR
5S-官能化反応モニタリングを示している。様々なスペクトルが、R
5S-官能化されていない(R
5U=-CH
2CH
2CH
2-NH
2)モノマーT型シラン APTES(
図11a)、R
5S-官能化のために使用される有機基質ジエチレングリコール-ジアクリレート(DEGDA)の参照スペクトル(
図11b)、後で縮合グラフト化に使用される官能化されたR
5S-を有するT
0モノマーを構成する、APTESとのDEGDA-R
5S-官能化生成物(
図11c)、並びに最後に、前記のグラフトされたR
5Sを有するT型基を特徴とするポリシロキサン材料(
図11d)を示している。
【
図12】
図12は、R
5S-官能化されたQ-Tポリシロキサン材料の調製に使用される材料の
13C NMRスペクトルによるR
5S-官能化反応モニタリングを示している。様々なスペクトルが、R
5S-官能化されていない(R
5U=-CH
2CH
2CH
2-NH
2)モノマーT型シラン APTES(
図12a)、R
5S-官能化のために使用される有機基質 ジエチレングリコール-ジアクリレート(DEGDA)の参照スペクトル(
図12b)、後で縮合グラフト化に使用される、官能化されたR
5Sを有するT
0モノマーを構成するAPTESとのDEGDA-R
5S-官能化生成物(
図12c)、並びに最後に、前記のグラフト化されたR
5Sを有するT型基を特徴とするポリシロキサン材料(
図12d)を示している。
【
図13】
図13は、「ポリシロキサン上」のR
5S-官能化による、R
5S-官能化されたQ-Tポリシロキサン材料の調製に使用される材料の
1H NMRスペクトルによるR
5S-官能化反応モニタリングを示している。様々なスペクトルが、R
5S-官能化に使用される有機基質 無水フタル酸の参照スペクトル(PhA、
図13a)、R
5Sが官能化されていない(R
5U=アミノプロピル(AP))T型基を有するポリシロキサン(
図13b)、及び有機基質とのアミドカップリングによって得られるR
5S-官能化されたポリシロキサンポリマー性液体材料(
図13c)を示している。
【
図14】
図14は、「ポリシロキサン上」のR
5S-官能化による、R
5S-官能化されたQ-Tポリシロキサン材料の調製に使用される様々な材料の
13C NMRスペクトルによるR
5S-官能化反応モニタリングを示している。様々なスペクトルが、R
5S-官能化に使用される有機基質 無水フタル酸(PhA)の参照スペクトル(
図14a)、R
5S-官能化されていない(R
5U=アミノプロピル(AP))T型基を有するポリシロキサン(
図14b)、及び有機基質とのアミドカップリングによって得られるR
5S-官能化されたポリシロキサンポリマー性液体材料(
図14c)を示している。
【実施例】
【0140】
すべての例において、(テトラシロキサン)環種のモル百分率は、別途特に言及されない限り、Q種の合計数に対するすべてのQ2及びQ3環種の総計を指し、本明細書では(Q2r&Q3s,d)環種%ともいう。
【0141】
すべての例において、(テトラシロキサン)環種のモル百分率は、別途特に言及されない限り、Q種の合計数に対するすべてのQ2及びQ3環種の総計を指し、本明細書では(Q2r&Q3s,d)環種%ともいう。実施例は、以下のように構成されている。
【0142】
例1は、R5S-官能化されていない(すなわちR5Uを有する)液体材料の様々な調製手順について記載している。
【0143】
例2は、様々な有機基質を用いた、R5U-を有するT型モノマーのR5S-官能化についての例であって、R5UのR5S置換基への完全な又は部分的な変換を生じる例を用いた一般的な手順について記載している。
【0144】
例3は、異なる官能化手順を用いる様々な官能化手順を記載している(具体的には、「ポリシロキサン上」での有機官能化は、その有機官能化反応がQ-T(D,M)ポリシロキサン上のR5Uを有するT型基上で行われること、あるいは「T0グラフト化」を意味し、その場合、予め調製したR5S-官能化されていない(すなわちR5Uを有する)T型モノマー(又はオリゴマー)が、組み換えグラフト機構によってグラフトされる)。
【0145】
次に、例4は、1つの材料において、R5S-官能化の型のそれぞれの少なくとも1つを組み合わせて、「ポリシロキサン上」の官能化及び「T0グラフト」の両方を用いる、有機R5S-官能化の組合せについて記載している。
【0146】
<例1:R5S-官能化されていないD-50/(APTMS:TMCS)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nM型)=1:(0.20:0.05:0.05))の合成>
483g/3.78mol Si当量の市販されているエチルシリケートQ型前駆体「Dynasylan Silbond 50」(Evonik Industries社)又はその同等物を、油浴中の、還流カラムを備えた1L丸底フラスコ内に、134.2g/0.75molのモノマーT型前駆体メチルトリエトキシシラン(MTES)及び28.0g/0.19molのモノマーD型前駆体ジメチルジエトキシシラン(DMDES)と共に入れた。その混合物を100℃の温度に加熱し、その時点で組み換え触媒テトラキス(トリメチルシロキシ)チタン(IV)をその熱い混合物に添加した。その混合物を40時間撹拌し続け、その時点で20.5g/0.19molのモノマーM型前駆体トリメチルクロロシラン(TMCS)を添加し、30分撹拌し続けた。次に、120gの無水エタノール及び5.5g/0.31molの水を含む溶液をその熱い反応混合物に添加し、これを次に2時間還流させたままにした。最後に、還流冷却器を蒸留ブリッジに置き換え、留去することによって、残留溶媒を除去した。およそ125gの凝縮物及び669.8gの未精製反応生成物が単離された。29Si NMR分析により、その生成物が、T型部分の合計量により測定して、それぞれ8%未満のT0-モノマー、並びに19%未満のQ型テトラシロキサン環種を含んでいることを確認した。
【0147】
<例1b:D-50/(APTMS:DVDMS:TMCS)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型:nM型)=1:(0.20:0.05:0.05))の代替合成>
上の例1で示されている手順を、TMCS M型前駆体の添加のやり方について変更をし、TMCS M型前駆体は50mlのエタノールと共に添加するが、追加の水はQ型前駆体と共に最初には添加しない。更に、R5U-T型グラフト中、D型モノマー(ジフェニルジメトキシシラン、DPhDMS、46.2g/0.19mol)前駆体も添加した。M及びQ型前駆体は、最初に100℃にて7h還流させ、その後、T型及びD型前駆体、並びに組み換え触媒を添加した(同一量)。37hの反応時間後、過剰の揮発性物質を、最初に周囲圧力にて、次いで200mbar真空において、蒸留によって除去した。
【0148】
<例1c:TEOS重縮合物/(PTES+N3-PTES)重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:(0.05+0.08))の合成、>
チタン(IV)イソプロポキシド組み換え触媒の存在下で、無水酢酸を用いたテトラエトキシシラン(TEOS)の非加水分解縮合によって調製されたDP_Q型2.17及び44.7%環種を有するQ型前駆体334gを1L丸底フラスコ内に入れ、その後27.4g/0.13molのモノマーT型前駆体プロピルトリエトキシシラン(PTES)及び52.2g/0.21molの第2のT型前駆体3-アジドプロピルトリメトキシシラン(N3-PTES)を一緒に、更なる組み換え触媒の添加なしで入れた。その混合物を118℃の温度に加熱し、9時間撹拌し続け、その時点で一切の残留揮発性物質は、5分間、250mbarの真空に引くことによって除去した。29Si NMR分析によって、T型部分の合計量によって測定して、それぞれ6.5%未満の合計T0モノマー%、並びに27%未満のQ型テトラシロキサン環種を、生成物が含むことを確認した。
【0149】
<例1d:R5S-官能化されていないエチルシリケート重縮合物/(PTES+APTMS)重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:(0.05+0.15))の合成>
ここでもまた、上の例1cと全く同じ合成手順を使用して材料を調製したが、T型前駆体の組み替えグラフトのために、O=Zr(IV)(OAcAc)2をチタン(IV)イソプロポキシドの代わりに触媒として添加した点、及び、第2のT型前駆体の量及び型(N3-PTESの代わりにAPTMS)を替えた点のみが異なっていた。
【0150】
<(例1e):R5S-官能化されていないTEOS重縮合物/(PTES+N3-PTES)重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:(0.05+0.08))の代替合成、>
上の例1cと全く同じ合成手順を使用して材料を調製したが、第1のT型前駆体PTESを、Q型前駆体の調製工程中にTEOSと共に既に添加したという点が主に異なり、nQ型:nT型モル比=1:0.05の混合Q-T前駆体が生じた。第2の縮合工程中に、第2の組み換え触媒Hf(NO3)4の追加部分を添加した一方、残りのパラメーター及び調製工程は変えないままであった。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ4.5%未満の合計T0-モノマー、並びに25%未満のQ型テトラシロキサン環種及び49%未満の(Q3s,d)/Q3環種%を含むことを確認した。
【0151】
<例1f:R5S-官能化されていないTEOS重縮合物/(アルキニル官能性T型)重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:(0.03))の合成>
市販されているエチルシリケート-40の制御された加水分解によって予め調製された0.46mol当量の、DP_Q型1.84及び環状種41.2%を有するQ型前駆体を、100ml丸底フラスコ内に入れた。次に、4.2g/13.8mmolのアルケニル末端T型前駆体(O-(プロパルギル)-N-トリエトキシシリルプロピルカルバメート,Gelest Inc.社)及び250ppmのチタン(IV)t-ブトキシド組み換え触媒を添加した。撹拌しながら、混合物を109℃の温度に加熱した。その反応溶液を、窒素ガス雰囲気下で、その温度に14時間保持し、その時点で混合物を室温に冷却した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ8%未満の合計T0モノマー、並びに31%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0152】
<例1g:R5S-官能化されていないエチルシリケート重縮合物/(PTES+APTMS)重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:(0.05+0.15))の合成>
ここでもまた、上の例1cと全く同じ合成手順を使用して材料を調製したが、T型前駆体を組み替えグラフトするために、O=Zr(IV)(OAcAc)2をチタン(IV)イソプロポキシドの代わりに触媒として添加するという点、並びに第2のT型前駆体の量及び型(N3-PTESの代わりにAPTMS)が変わる点で異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ5%未満の合計T0-モノマー、並びに24%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0153】
<例1h:R5S-官能化されていないメチルシリケート重縮合物/(オリゴPTES+APTMS)重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:(0.05+0.15))の合成>
上の例1gと全く同じ合成手順を使用して材料を調製したが、Q型前駆体が、DPQ型値1.63を有するテトラメトキシシラン(TMOS)から調製されたメチルシリケート前駆体であるという点、及び第1のT型前駆体PTESをオリゴマー形態(オリゴPTES)で添加するという点で異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ13%未満の合計T0-モノマー、並びに21%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0154】
<例1i:R5S-官能化されていないTMOS/TEOS/TPOS重縮合物/(Cl-PTES:DMDES)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型)=1:(0.20:0.05)の合成>
1.33mol当量のQ型前駆体を、0.3:0.4:0.3のモル比のTMOS、TEOS、及びTPOS混合物の制御された加水分解によって調製した。最初の組み換えグラフト工程は、前記前駆体を、48.0g/0.20molの3-クロロプロピルトリエトキシシラン(Cl-PTES)と、マイクロ波オートクレーブ反応器中で19分混合することにより実施した。ビス-アセチルアセトナート-チタン(IV)-ジイソプロポキシドを組み換え触媒として使用した。第2のグラフトのために、追加の16.0g/0.067mol Cl-PTES T型前駆体及び9.9g/0.067mol DMDES D型前駆体を添加し、反応を、その同じマイクロ波オートクレーブ反応器中で更に67分再度実施した。出来上がった反応生成物を単離し、残留揮発性物質を研究室用ロータリーエバポレーターで除去した。29Si NMR分析により、生成物が、T型及びD型基の合計量によって測定して、それぞれ9%未満のT0-モノマー及び11%未満のD0-モノマーの組合せ、並びに22%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0155】
<例1j:R5S-官能化されていないエチルシリケート40/GPTMS重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:(0.10))の合成>
Wacker社からの40% SiO2固形分量をもつ380g/2.6molエチルシリケート(Wacker Silicate TES 40 WN)を、蓋付き気密オートクレーブ中に注ぎ、62.4g/0.26molのT型前駆体(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、及び触媒としてO=Zr(IV)(NO3)2を共に添加した。オートクレーブを次いで密封し、108℃の温度に加熱し、圧力上昇を生じさせた。その混合物を14時間反応させ、その後オートクレーブを室温に冷却し、未精製反応生成物を単離した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、9.5%未満の合計T0-モノマー、及び22%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0156】
<例1k:R5S-官能化されていないTMOS+TPOS:DMDES重縮合物前駆体/(MTES)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型)=1:(0.05:0.05))の合成>
チタン(IV)メトキシド組み換え触媒の存在下で無水酢酸を用いて、nQ型:nD型=1:0.05のモル比からなるD型シラン共前駆体DMDESをも含む、TMOS及びTPOSの50:50モル比の混合物の非加水分解縮合によって調製したDP_Q型2.03及び44.7%環種を有するQ型前駆体 2.2mol Si当量を、1L丸底フラスコ内に入れた。T型前駆体MTESのグラフトを、追加のTi(IV)エトキシドを組み換え触媒として使用して次に実施した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ7.0%未満の合計T0-モノマー、並びに25%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0157】
<例1l:R5S-官能化されていないTEOS&TMOS/SH-PTMS重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:(0.15))の合成>
テトラメトキシシラン(TMOS)511g/2.66mol Si、並びにテトラメトキシシラン(TEOS)277g/1.33mol Si、及びジルコニウム(IV)-イソブトキシド触媒を、蒸留ブリッジを有する1L丸底フラスコ内に入れ、Q型前駆体調製のために、2:1のTMOS対TEOSモノマー相対的モル比とした。そのフラスコを窒素でパージし、密封し、窒素圧力(バルーン)下におき、熱い油浴中に浸し、これを130℃にて保持した。そのQ型モノマー/触媒混合物を、500rpmで撹拌しながら所定温度にした。その温度に達したら、選択した量(465.3g/4.56mol)の無水酢酸を少しずつ添加した。その後間もなく、反応副生成物である酢酸エチルの還流が起こった。およそ8分後、酢酸メチル及び酢酸エチルの連続流が、蒸留ブリッジを通して上へ蒸留され、捕集容器に集められた。反応を更に約75分の合計時間続け、その時点で、酢酸メチル/エチル留出の停止と同時に反応を止めた。1時間40分の合計反応時間後に収集容器を除去し、空にし、全質量725gの収集した凝縮物及び465gのQ型前駆体を得た。29Si NMR分析により、前駆体が、グラフト工程の前に、DP_Q型2.22及び51.0%Q型テトラシロキサン環種を有していることを確認した。この前駆体を、次にT型前駆体としての117.8g/0.6molメルカプトプロピルトリメトキシシラン(SH-PTMS)と混合した。その混合物を次に115℃の温度まで、同じ反応容器中で撹拌しながら再度加熱し、5時間保持し、その時点で熱源を取り除き、生成物が室温に冷却するようにさせておいた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ8.3%未満の合計T0モノマー、並びに22%未満のQ型テトラシロキサン環種、及び43.2%未満の(Q3s,d)/Q3環種%を含むことを確認した。
【0158】
<例1m:R5S-官能化されていないTEOS/(PhTES+PTMS:DPhDES)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型)=1:(0.10+0.05:0.05))の合成>
TEOSの制御された加水分解によって調製された4.5mol Si当量を含む量のQ型前駆体を、105℃の温度に設定した、密封撹拌ガラス反応器(Buechi versoclave、1l)中に注入した。次に、108.2g/0.45mol及び37.0g/0.23molの第1及び第2のT型モノマー前駆体であるフェニルトリエトキシシラン(PhTES)及びプロピルトリメトキシシラン(PTMS)を、56.2g/0.23molのD型前駆体であるジフェニルジメトキシシラン(DPhDMS)及び触媒としてのチタン(IV)-メトキシドと共に、その熱いオートクレーブ中に注入した。その混合物を13時間撹拌しながら所定の温度にて保持し、次に熱源から取り除き、室温に冷却するようにしておいた。29Si NMR分析により、生成物が、T型及びD型基の合計量によって測定して、それぞれ16%未満のT0-モノマー及び11%未満のD0-モノマー、並びに26.9%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0159】
<例1n:R5S-官能化されていないTEOS/(PhTES+PTMS)重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:(0.10+0.05))の合成>
上の例1mと全く同じ合成手順を使用して材料を調製したが、合成時にD型前駆体を除いたという点のみが異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型及びD型部分の合計量により測定して13%未満のT0-モノマー、並びに26.9%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0160】
<例1o:R5S-官能化されていないTEOS(オリゴマー)/(TESPT+VTES)重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:(0.17+0.06))の合成>
上記「シラノール経路」(水酸化ナトリウムを用いたTEOSからのトリエトキシシラノールの調製、続いてそのトリエトキシシラノールの後処理及び縮合)によって作られた2.66mol Si当量のQ型前駆体を、キャップ付きの500mlガラスシリンダー内に入れた。次に、185.8g/0.44molの第1のT型前駆体であるビス(トリエトキシシリルプロピル)四硫化物(TESPT)及び23.1g/0.16molの第2のT型前駆体であるビニルトリエトキシシラン(VTES)を、ビス-アセチルアセトネート-チタン(IV)-ジイソプロポキシド組み換え触媒と共に添加した。その混合物を、80℃に加熱し、6日間撹拌し続けた。残留溶媒を、100mbar真空に30分間引くことによって除去した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して42%未満のT0種、並びに29.2%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0161】
<例1p:R5S-官能化されていないTEOS(オリゴマー)/MaPTMS重縮合物材料(nQ型:nT型=1:0.10)の合成>
例1jに記載されているものと同一の手順を使用してこの材料を調製したが、T型前駆体が、共溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MaPTMS)であったという点、及びオートクレーブがマイクロ波源によって加熱され、3.5時間の短縮した反応時間を用いたという点で大きく異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、11%未満の合計T0-モノマー、及び24%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0162】
<例2a~l:組み換えグラフトに使用される、R5S-官能化されたグラフト可能なT0モノマー(又はオリゴマー)を調製するための一般的合成手順(プロトコル)>
典型的な試験においては、R5S-官能化されていない「R5Uモノマー」(又はオリゴマー)は、以下の手順を使用して官能化される:「R5Uモノマー」は、無溶媒で使用されるか又は溶媒(SO)に溶解される。これを次に、以下の表1において特定の例aからlによって例示される好適な有機基質(SU)と、後のものをゆっくり投入することによって反応させる。反応の化学量論量は、個々のSU化合物の多官能性の能力に従って選択される。添加様式は逆にしてもよく、このことは、有機基質を、最初に容器に(溶媒SOと)入れてよく、次に「R5Uモノマー」T型シランをゆっくり投入してよいことを意味する。大まかにいうと、化学量論的に限定される成分である材料は、過剰に存在する成分に投入されるものである。反応を、次に、必要があれば好適な触媒の存在下で、望ましい反応時間(TR)のあいだ、撹拌しながら、望ましい反応温度に保持した。反応のタイプに応じて、後処理及び精製工程が必要なりえる。得られたR5S-官能化されたT0モノマーは、次に下の例3で例示するように好適なQ(T,D)前駆体材料への組み換えグラフト化に使用することができる。
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
<例3a~t:2つの個別の調製アプローチのうち1つを使用して、本発明によるR5S-官能化されたポリマー性液体材料を調製するための一般的合成手順(プロトコル)>
典型的な試験において、少なくとも1つのT型シランを有するポリマー性液体材料は、2つのアプローチのいずれかを使用してR5S-官能化することができ、2つのアプローチは、すなわち、i)R5S-官能化されたグラフト可能なT0モノマー若しくはオリゴマーの組み換えグラフトによるもの、又はii)特定の有機官能化反応を使用して、その材料上の既にグラフトされた好適なR5U-T型基の直接の有機官能化によるものである。これらの手順のうちいずれか1つは、化学的に意味がありかつ適用可能な場合は交換可能に、且つまた複数回使用され得るが、明確にするために、この例では、いずれの所定のポリマー性液体材料に対しても単回のR5S-官能化のみを選択した。典型的な例aからtのリストは、表2において上に示してある。それぞれの特定のR5S-官能化に対して、適合する特定の「有機官能化」手順(プロトコル)が割り当てられること注意されたい。その手順の選択は、与えられたシロキサン(R5)/有機(SU)基質の組合せに対して必須のものではない。
【0168】
「T0グラフト」R5S-官能化の方法論:
表1中の例のリストから選択されるものであることができるオルガノ官能基を有するR5S-官能化されたT0モノマー又はオリゴマーは、例えば例1に記載したものなどの、R5S-官能化されていない(すなわちR5Uを有する)ポリマー性液体材料にグラフトされる。組み換え反応グラフト化は、前記のR5S-官能化されたT型モノマー又はオリゴマーを、ポリマー性液体材料と、組み換え触媒の存在下で反応させることによって実施される。その反応の温度、触媒及び継続時間は、満足すべきグラフト化の効果が達成されるように選択される。任意選択により、理想的なグラフト状態を見出すために、異なるグラフト条件を試験して、29Si NMR分光法によってグラフト化の有効性を分析することができる。
【0169】
「ポリシロキサン上」でのR5S-官能化の方法論:
このケースでは、有機R5S-官能化は、既に予めグラフトされている好適なR5Uを有するT型基上で直接実施される。例2と同様に、官能化のために好適なR5U-基を特徴とするT型グラフト化ポリシロキサン(例1kを除いた、例1におけるすべての説明は概して適格であるが、多くの他の考えられる組合せもある)は、非希釈で使用されるか又は溶媒(SO)に溶解される。これを次に、上の表2における特定の例でによって例示した好適な有機基質(SU)と、後者をゆっくり投入することによって反応させる。ここでもまた、反応の化学量論量は、個々のSU化合物の多官能性能力に従って選択される。添加の仕方は逆にしてもよく、それは、有機基質を、最初に容器に(溶媒SOと共に)入れ、、次に有機基質(SU)をゆっくり入れてよいことを意味する。大まかにいうと、化学量論的に限定される成分である材料は、過剰に存在する成分に投入されるものである。その反応は次に、必要があれば好適な触媒の存在下で、所望する反応時間(TR)、撹拌しながら、所望の反応温度に保たれる。反応のタイプに応じて、後処理及び精製工程が必要になりえる。
【0170】
<例4a>
例1kによるR5S-官能化されていないTMOS+TPOS:MTES:DMDES重縮合物材料を調製した。次に、例2cによるR5S-官能化されたT0モノマーを調製し、標準的な組み換えグラフト化手順(90℃,32時間,Ti(IV)イソプロポキシド組み換え触媒)を使用してグラフト化した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ10.5%未満の合計T0-モノマー、並びに22%未満のQ型テトラシロキサン環種及び41.1%未満の(Q3s,d)/Q3環種%を含むことを確認した。
【0171】
<例4b>
例3qで示されている単純化された手順によるR5S-官能化されていないQ-T重縮合物を、例1lに従って出発材料から調製した。次に、例2iによる第2のR5S-官能化されたT0モノマーを、標準的な組み換えグラフト手順(100℃,24時間,Ti(IV)イソプロポキシド組み換え触媒)を使用してグラフト化した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ7.2%未満の合計T0-モノマー、並びに25%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0172】
<例4c>
例4bに記載されているものと同一の材料を調製したが、例2iのT0モノマーのグラフト時に、追加のM型前駆体エトキシトリメチル-シラン(ETMS)を添加するという点で異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ8.5%未満の合計T0-モノマー、並びに24%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0173】
<例4d>
プロピル及びアジドプロピルR5U-置換基を特徴とするR5S-官能化されていないQ-Tポリマー性液体材料を、例1cに従って調製した。次に、例2bによるR5S-官能化されたT0モノマーを別途調製し、標準的な組み換えグラフト手順(100℃,24時間,Ti(IV)イソプロポキシド組み換え触媒)を使用してグラフト化した。次に、アジドプロピル置換基を、Cu(s)触媒クリック化学によって、40%の目標とするR5S官能化度で4-クロロヘキシンを用いて部分的に官能化した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ6.1%未満の合計T0-モノマー、並びに26%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0174】
<例4e>
合成の終わりに、例2eによる第2のT0モノマーを、標準的な組み換えグラフト手順(100℃,24時間,追加の組み換え触媒添加なし)を使用してポリシロキサン液体材料上にグラフト化した、例4dで調製したものと同一の材料。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ7.1%未満の合計T0-モノマー、並びに30%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0175】
<例4f>
プロピル及びアミノプロピルR5U-置換基を特徴とするR5S-官能化されていないQ-Tポリマー性液体材料を、例1hに従って調製した。次に、例2iによるR5S-官能化されたT0モノマーを別途調製し、標準的な組み換えグラフト手順(100℃,24時間,Ti(IV)イソプロポキシド組み換え触媒)を使用してグラフト化した。次に、残りのR5U-アミノプロピル置換基を、例3eに従って、トルエン中の過剰なヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)との反応によって完全に官能化した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ9.7%未満の合計T0-モノマー、並びに22%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0176】
<例4g>
例4fと同一の材料を調製したが、第2のT0モノマーのグラフト中に、D型シランであるジメチルジエトキシシラン及び追加の組み換え触媒もまた、グラフト溶液に添加するという点のみが異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ5.9%未満の合計T0-モノマー、並びに26%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0177】
<例4h>
プロピル及びフェニルR5U-置換基を特徴とするR5S-官能化されていないQ-Tポリマー性液体材料を、例1nに従って調製した。次に、例2iによるR5S-官能化されたT0モノマー(過剰なアミノシランモノマーを用いた部分的な変換のみ)を別途調製し、標準的な組み換えグラフト手順(100℃,24時間,Ti(IV)イソプロポキシド組み換え触媒)を使用してグラフト化した。次に、残りのR5U-アミノプロピル置換基を、過剰のビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)との反応によって完全に官能化した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ11%未満の合計T0-モノマー、並びに22%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0178】
<例4i>
例4hと同一の材料を調製したが、反応の終了後に、R5U-フェニル基を、フリーデル-クラフツアシル化によって部分的に官能化したという点のみが異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ9.7%未満の合計T0-モノマー、並びに29%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0179】
<例4j>
例4iと同一の材料を調製したが、例2iによるR5S-官能化されたT0モノマーのグラフト中に、D型モノマーであるジフェニル-ジメトキシシラン(DPhDMS)及び追加の組み換え触媒もまた、グラフト溶液に添加するという点で異なっていた。更に、フリーデル-クラフツアシル化中、一部の反応は、D型基のフェニル基(この場合はR2、R3も反応性である)で起こった。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ7.4%未満の合計T0-モノマー、並びに23%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0180】
<例4k>
TEOSの制御された加水分解によって調製したQ型前駆体を前駆体として使用し、その上に、例2l及び2cに従って独立に調製した2つのR5S-官能化されたT0モノマーを、標準的な組み換えグラフト手順(100℃,24時間,Ti(IV)イソプロポキシド組み換え触媒)を使用してグラフト化した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ4.2%未満の合計T0-モノマー、並びに27%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0181】
<例4l>
例4kに従って調製した材料を、最初に98%エタノール中でM型前駆体HMDSOと混合し、触媒量の塩酸の存在下で、85℃において1時間反応させた。次に、ヘキサメチルジシラザンのアリコート(aliquot)を混合物に添加し、撹拌を更に45分続けた。残留揮発性物質を、次に、真空蒸留によって除去した。次に、例2jに従って独立に調製した第3のR5S-官能化されたT0モノマーを添加し、標準的な組み換えグラフト手順(100℃,24時間,Ti(IV)イソプロポキシド組み換え触媒)を使用してグラフト化した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ6.7%未満の合計T0-モノマー、並びに28%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0182】
<例4m>
例1oによるR5S-官能化されていないTEOS:TESPT+VTES重縮合物材料を調製した。次に、例2iによるR5S-官能化されたT0モノマーを調製し、標準的な組み換えグラフト手順(90℃,32時間,Ti(IV)イソプロポキシド組み換え触媒)を使用してグラフト化した。次に、ラジカル重合性R5U-基の官能化は、制御されたラジカル重合手順においてその混合物をアクリロニトリルと反応させることによって達成した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ7.7%未満の合計T0-モノマー、並びに44.2%未満の(Q3s,d)/Q3環種%を含むことを確認した。
【0183】
<例4n>
例4mと同一の材料を調製したが、最後の工程(制御されたラジカル重合)の後で、残りのビニル基を、例3rにしたがい過剰の1-ヘキセンを用いたチオール-エン反応によって別の反応工程において官能化した点で異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ7.4%未満の合計T0-モノマー、並びに26%未満のQ型テトラシロキサン及び42.5%未満の(Q3s,d)/Q3環種%を含むことを確認した。
【0184】
<例5:TEOS/(iBTES:TMES)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型)=1:(0.20:0.05))の合成>
例4からの311gの未精製前駆体を、146.0g/0.53molのモノマーT型前駆体であるオクチルトリエトキシシラン(OTES)及び27.2g/0.13molのモノマーD型前駆体であるジメチルジエトキシシラン(DMDES)と共に1L丸底フラスコ内に入れた。その混合物を100℃の温度に加熱し、その時点で組み換え触媒であるビス-アセチルアセトネート-チタン(IV)-ジアセテートをその熱い混合物に添加した。その混合物を48時間撹拌し続け、その時点で一切の残留溶媒を、250mbar真空に5分間ひくことによって除去した。29Si NMR分析により、生成物が、T型及びD型基の合計量によって測定して、それぞれ11%未満のT0-モノマー及び5%未満のD0-モノマー、並びに23%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0185】
<例5b:TEOS/(OTES:DVDMS)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型)=1:(0.25:0.05))の代替合成>
T型及びD型モノマーの両方を、例4からの前もって作ったQ型前駆体と共に添加する代わりに、ここでは、例4dに従って前駆体縮合工程中に導入されるD型基を既に含む、前もって作った前駆体を使用した。したがって、例4dからの前もって作られた未精製前駆体バッチを、182.4g/0.66molのモノマーT型前駆体であるオクチルトリエトキシシラン(OTES)、並びに同一タイプ及び同一量の組み換え触媒と更に予め混した。残りの手順は、例5に記載されているものと同一であった。29Si NMR分析により、生成物が、T型及びD型基の合計量によって測定して、15%未満のT0-モノマー及び5%未満のD0-モノマー、並びに29.5%未満のQ型テトラシロキサン環種、及び45.8%のQ3s,d/Q3環種を含むことを確認した。
【0186】
<例6:TEOS/(APTMS+PTES)重縮合物材料(nQ型:nT型 1:(0.20+0.05))の合成>
例4bからの334gの未精製前駆体を、まとめて1L丸底フラスコ内に入れ、その後27.4g/0.13molのモノマーT型前駆体であるプロピルトリエトキシシラン(PTES)及び95.0g/0.53molの第2のT型前駆体である3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)を、組み換え触媒である塩化ジルコニウム(IV)と共に添加した。その混合物を125℃の温度に加熱し、5.5時間撹拌し続け、その時点で一切の残留溶媒を、5分間、250mbar真空に引くことによって除去した。29Si NMR分析により、生成物が、T型部基の合計量によって測定して、それぞれ7%未満の合計T0-モノマー、並びに27%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0187】
<例6b:TEOS/(APTMS+PTES)重縮合物材料(nQ型:nT型 1:(0.20+0.05))の代替合成>
例5bと同様に、ここでは、Q-Tオリゴマー形態でPTES T型官能性シランを既に含む、例4eからの前もって作った全体の未精製前駆体バッチの全体をまた、95.0g/0.53molの第2のT型前駆体である3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、並びに同一のタイプ及び同一量の組み換え触媒と混合した。残りの手順は、例6に記載したものと同一であった。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、6%未満の合計T0-モノマー、及び24%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0188】
<例7:エチルシリケート-40/(iBTES:TMES)重縮合物材料(nQ型:(nT型+nM型)=1:0.15:0.05)の合成>
例4fで調製した前駆体材料バッチを、密封可能な1Lガラスボトル中に注ぎ、追加の触媒である臭化Ti(IV)を、87.8g/0.40molのT型前駆体であるイソブチル-トリエトキシシラン(iBTES)及び31.1g/0.26molのM型前駆体であるトリメチルエトキシシラン(TMES)と共に添加した。そのボトルを軽く封止し、加熱キャビネット内に入れ、これを100℃の定温に設定した。その混合物をこの温度において100時間反応させ、その後、未精製反応生成物を単離した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、10%未満の合計T0-モノマー、及び21%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0189】
<例8:TMOS/GPTMS重縮合物材料(nQ型:nT型=1:0.10)の合成>
例4cで調製した前駆体材料バッチを、蓋付きの気密オートクレーブ中に注ぎ、追加の触媒を、62.4g/0.26molのT型前駆体である(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランと共に添加した。オートクレーブを次いで密封し、110℃の温度に加熱して、圧力上昇が生じた。その混合物を14時間反応させ、その後オートクレーブを室温に冷却し、未精製反応生成物を単離した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、8%未満の合計T0-モノマー、及び23%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0190】
<例9:テトラエトキシシラン又はそのオリゴマーからの、目標とするDP_Q型=2.44を有するQ型重縮合物前駆体材料の調製>
モノマー又はオリゴマー形態のテトラエトキシシラン(TEOS)を、共溶媒の存在下で、DP_Q型=2.44の前駆体材料の望ましい重合度を達成するために必要とされる化学量論量の水を用い、標準的な加水分解/縮合触媒を使用して、現状の技術に従って加水分解した。加水分解が完了したら、過剰な共溶媒及び加水分解中に放出されたアルコールは、真空蒸留によって除去した。29Si NMR分析により、前駆体材料中の54.9%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0191】
<例9b:テトラプロポキシシラン又はそのオリゴマーからの、目標とするDP_Q型=2.0を有するQ型重縮合物前駆体材料の調製>
テトラプロポキシシラン(TPOS)を出発Q型モノマー又はオリゴマーとして使用すること、及び添加する化学量論量の水を調整して、重合度DP_Q型=2.0を得ることを除いて、例9におけるものと同一の材料を調製した。前駆体材料の29Si NMR分析により、44.5%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0192】
<例9c:テトラエトキシシラン又はそのオリゴマーからの、目標とするDP_Q型=1.72を有するQ型重縮合物前駆体材料の調製>
添加する化学量論量の水を調整して、重合度DP_Q型=1.72を得ることを除いて、例9におけるものと同一の材料を調製した。前駆体材料の29Si NMR分析により、33.7%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0193】
<例9d:テトラエトキシシラン又はそのオリゴマーからの、目標とするDP_Q型=2.2を有するQ型重縮合物前駆体材料の調製>
添加する化学量論量の水を調整して、重合度DP_Q型=2.2を得ることを除いて、例9におけるものと同一の材料を調製した。前駆体材料の29Si NMR分析により、47.0%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0194】
<例9e:テトラエトキシシラン又はそのオリゴマーからの、目標とするDP_Q型=2.56を有するQ型重縮合物前駆体材料の調製>
添加する化学量論量の水を調整して、重合度DP_Q型=2.56を得ることを除いて、例9におけるものと同一の材料を調製した。前駆体材料の29Si NMR分析により、57.0%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0195】
<例9f:組み換え触媒を添加する、テトラエトキシシラン又はそのオリゴマーからの、目標とするDP_Q型=2.0を有するQ型重縮合物前駆体材料の調製>
標準的な加水分解/縮合触媒に加えて、加水分解プロセスの終了に向けて、一定量のHf(IV)エトキシドを組み換え触媒として添加することを除いて、例9bにおけるものと同一の材料を調製した。前駆体材料の29Si NMR分析により、46.8%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0196】
<例9g:エチルシリケート-40及びDMDMSからの、目標とするDP_Q型=2.2及びDP_D型=1.5を有する混合Q型/D型重縮合物前駆体材料(nQ型:nD型=1:0.05)の調製>
オリゴマーエチルシリケート-40(Q型供給源)に加えて、それぞれのSiモル量によって測定して5%の量のD型供給源であるDMDMSを、その調製に使用することを除いて、例9dにおけるものと同一の材料を調製した。更に、添加する水の化学量論量を調整して、目標とするDP_D型=1.5値の値となるようにした。前駆体材料の29Si NMR分析により、45.2%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0197】
<例9h:エチルシリケート-40及びDMDCSからの、目標とするDP_Q型=2.2及びDP_D型=1.5を有する混合Q型/D型重縮合物前駆体材料(nQ型:nD型=1:0.05)の代替調製>
ジメチルジクロロシラン(DMDCS)を、DMDMSの代わりにD型供給源として使用したことを除いて、例9gにおけるものと同一の材料を調製した。反応の終わりに、パージガスとして窒素を吹き込むことによって、残留塩酸を除去した。前駆体材料の29Si NMR分析により、43.6%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0198】
<例10:TPOS(オリゴマー)/(Cl-PTMS:HMDSO)重縮合物材料(nQ型:(nT型+nM型)=1:0.15:0.09)の合成>
例9bに従って調製したQ型前駆体5.87mol Si当量を、還流カラム及び抵抗加熱マントルを備えた2L丸底フラスコ内に、146.1g/0.90molのダイマーM型前駆体であるヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と共に入れた。この混合物に、25mlエタノール及び0.3mlトリフルオロ酢酸(TFA)からなる溶液を添加した。次いで撹拌しながらその装置を110℃のマントル温度に加熱し、最初の反応工程a)において2時間反応させ、その時点で還流カラムを蒸留ブリッジに置き換え、残留揮発性物質を最初に周囲圧力において留去し、次いで終わりに向けて180mbarに達する真空を用い、180mbarに達した時点で蒸留物収集が完全に止まった。
【0199】
真空ポンプを止め、反応容器を次いで窒素で周囲圧力にし、140.0g/0.70molのモノマーT型前駆体である(3-クロロプロピル)トリメトキシシラン(Cl-PTMS)及び触媒としてTi(IV)-メトキシドを添加した。その混合物を、第2の反応工程b)のため、撹拌しながら、120℃において更に6時間保持し、次いで熱源から取り出し、室温に冷却した。975.4gの未精製反応生成物を単離した。29Si NMR分析により、その生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ5%未満のT0-モノマー、並びに26%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0200】
<例11:TEOS(オリゴマー)/(GPTMS+VTMS)重縮合物材料(nQ型:nT型 1:(0.10+0.05))の合成>
例9fにおいて調製したQ型前駆体18.4g/137mmolを、第1の((3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(GPTMS)、3.3g/14mmol)及び第2の(ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、1.0g/7mmol T型前駆体)と共に、50ml Teflon容器内に入れ、適合する有機合成マイクロ波反応器(flexiWAVE、Milestone Inc.社)の内部に設置した。最高190℃までの合成温度での予め設定した合成手順を行い、これを6分間続けた。冷却して、22.6gの未精製反応生成物を単離した。NMR分析により、その生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ4%未満のT0-モノマー、並びに21%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0201】
<例12:TEOS(オリゴマー)/ MaPTMS重縮合物材料(nQ型:nT型=1:0.10)の合成>
例8に記載されているものと同一の手順を使用してこの材料を調製したが、例9cに従って調製したQ型前駆体材料及び3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MaPTMS)を出発材料として、共溶媒(酢酸エチル)と共に使用したという点、並びにオートクレーブをマイクロ波源によって加熱し、短縮された3時間の反応時間を使用したという点で大きく異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、13%未満の合計T0-モノマー、及び24%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0202】
<例13:エチルシリケート-40/(HS-PTMS:DMDMS)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型)=1:(0.15:0.05))の合成>
例8に記載されているものと同一の手順を使用してこの材料を調製したが、例9gに従って調製したQ型前駆体材料及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(HS-PTMS)を、出発物質として使用したという点で大きく異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型及びD型基の合計量によって測定して、それぞれ4%未満の合計T0-モノマー及び4%未満の合計D0-モノマー、並びに24%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0203】
<例13b:エチルシリケート-40/(HS-PTMS:DMDCS)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型)=1:(0.15:0.05))の合成>
例13に記載されているものと同一の手順を使用してこの材料を調製したが、例9hに従って調製した前駆体材料を出発材料として使用したという点で大きく異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型及びD型基の合計量によって測定して、それぞれ6%未満の合計T0-モノマーの及び3%未満の合計D0-モノマー、並びに26%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0204】
<例14:TEOS(オリゴマー)/(VTES:HMDSO)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nM型)=1:(0.25:0.26))の合成>
例10に記載されているものと同一の手順を使用してこの材料を調製したが、例9dに従って調製したQ型前駆体材料及び3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(HS-PTMS)を出発材料として用い、また、第2の反応工程b)中により高いモル量(1:0.25を目標とするQ型とT型のSiモル比)で用いたという点で大きく異なっていた。第1の反応工程a)中、望ましいQ型とM型のSiモル比に対して、5倍モル過剰のHMDSOを用い、第1の反応工程を105℃において4時間実施した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、19%未満の合計T0-モノマー、及び17%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0205】
<例15:TEOS(オリゴマー)/(VTES:MTMS)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型)=1:(0.30:0.12))の合成>
例6に記載されているものと同一の手順を使用してこの材料を調製したが、例9eに従って調製した前駆体材料、及びビニルトリエトキシシラン(VTES)、並びにメチルトリメトキシシラン(MTMS)を、それぞれQ型及びT型出発材料として使用したという点で大きく異なっていた。オキソ-チタン(IV)ジアセチルアセトネートを組み換え触媒として使用した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して9%未満の組み合わせたT0-モノマー、及び22%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0206】
<例16:TEOS/(APTES+MTMS+PTES)重縮合物材料(nQ型:nT型 1:(0.20+0.05+0.05))の合成>
例6に記載されているものと同一の手順を使用してこの材料を調製したが、TEOSから作られた例9dに従って調製した前駆体材料、及び3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、並びにプロピルトリエトキシシラン(PTES)を、それぞれQ型、並びに第1、第2、及び第3のT型出発材料として使用したという点で大きく異なっていた。Zr(IV)エトキシド及びTi(IV)n-プロポキシドの混合物を組み換え触媒として使用した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して7%未満の組み合わせたT0-モノマー、及び16%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0207】
<例16b:TEOS/(APTES+MTMS+PTES)重縮合物材料(nQ型:nT型 1:(0.20+0.05+0.05))の代替合成>
例16に記載されているものと同一の手順を使用してこの材料を調製したが、例6cに記載されている無水酢酸である非加水分解前駆体の共縮合経路と同様に、3つのT型前駆体のうち少なくとも1つの一部が、例9dによる前駆体材料の調製中に既に含まれるという点で大きく異なっていた。O=Ti(IV)(SCN)2及びO=Zr(IV)(OAc)2混合物を組み換え触媒として使用した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、5%未満の組み合わせたT0-モノマー、及び20%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0208】
<例16c:TEOS/(APTES+MTMS+PTES)重縮合物材料(nQ型:nT型 1:(0.20+0.05+0.05))の代替合成>
例16bに記載されているものと同一の手順を使用してこの材料を調製したが、例9dから派生した記載されている変更したプロセスによる前駆体材料の調製に含まれている、3つのT型トリアルコキシシラン前駆体の少なくとも1つの一部は、トリクロロシラン対応物によって置き換えられているという点で大きく異なっていた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して9%未満の組み合わせたT0-モノマー、及び23%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0209】
<例16d:TEOS/(APTES+MTMS+PTES)重縮合物材料(nQ型:nT型 1:(0.20+0.05+0.05))の代替合成>
例16に記載されているものと同一の手順を使用してこの材料を調製したが、APTESを、最初に、第1の組み換え手順において、例9dに従って調製したQ型前駆体材料上にグラフトするという点で大きく異なっていた。このため、同量のQ型前駆体及び第1のT型前駆体それぞれを、125℃に加熱し、触媒としての(EtO)2Zr(IV)(OAcAc)2の存在下で4時間反応させた。その反応混合物を次いで90℃の温度に冷却し、その時点でメチルトリメトキシシラン(MTMS)並びにプロピルトリエトキシシラン(PTES)を次に第2及び第3のT型前駆体として添加した。その混合物を次に、その温度において更に26時間反応させた。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して14%未満の組み合わせたT0-モノマー、及び22%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0210】
<例17:テトラメトキシシラン又はそのオリゴマーからの、目標とするDP_Q型=2.4を有するQ型重縮合物前駆体材料の調製>
例9と同様に、モノマー又はオリゴマー形態のテトラエトキシシラン(TMOS)を、共溶媒の存在下で、DP_Q型=2.4である望ましい重合度の前駆体材料を達成するために必要とされる化学量論量の水を用い、標準的な加水分解/縮合触媒を使用して、現状の技術に従って加水分解した。加水分解が完了したら、過剰な共溶媒及び加水分解中に放出されたアルコールを、真空蒸留により除去した。29Si NMR分析により、前駆体材料における53.0%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0211】
<例18:
TEOS(オリゴマー)/(TESPT:VTES)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nM型)=1:(0.17:0.06))の合成>
例17からの未精製前駆体242.6gを、キャップ付き500mlガラスシリンダー内に入れた。次に、185.8g/0.44molの第1のT型前駆体であるビス(トリエトキシシリルプロピル)四硫化物(TESPT)及び23.1g/0.16molの第2のT型前駆体であるビニルトリエトキシシラン(VTES)を、ビス-アセチルアセトネート-チタン(IV)-ジイソプロポキシド組み換え触媒と共に添加した。その混合物を、75℃に加熱し、6日間撹拌し続けた。残留溶媒を、30分間、100mbarの真空に引くことによって除去した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して44%未満のT0-モノマー、並びに29.2%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0212】
<例19:テトラメトキシシラン(TMOS)及びテトラエトキシシラン(TEOS)からの、目標とするDP_Q型=2.28を有する混合Q型重縮合物前駆体材料の調製>
511g/2.66mol Siのテトラメトキシシラン(TMOS)及び277g/1.33mol Siのテトラメトキシシラン(TEOS)、並びにジルコニウム(IV)-イソブトキシド触媒を、蒸留ブリッジを備えた1L丸底フラスコ内に入れた。言い換えれば、用いたTMOSモノマーのTEOSモノマーに対する相対モル比は、2:1であった。フラスコを窒素でパージし、密封し、窒素圧力(バルーン)下に置き、熱い油浴中に浸し、これを130℃において保持した。そのQ型モノマー/触媒混合物に、500rpmで撹拌しながら所定温度にした。所定の温度に達したら、選択された量(465.3g/4.56mol)の無水酢酸を少しずつ添加した。反応副生成物である酢酸エチルの還流がかなり速やかに起こった。およそ8分後、酢酸メチル及び酢酸エチルの連続流が、蒸留ブリッジを通して留出し、それを捕集容器に集めた。その反応を更に約70分の合計時間続け、その時点で、酢酸メチル/エチル蒸留が止まるのと同時に反応を止めた。1h及び25分の合計反応時間後に収集容器を取り除き、空にして、全質量725gの集めた凝縮物及び465gのQ型前駆体を得た。29Si NMR分析により、その前駆体が、2.22のDP_Q型及び51.0%のQ型テトラシロキサン環種を有することを確認した。
【0213】
<例20:TEOS/(APTMS:DMDMS)重縮合物材料(nQ型:nT型 1:nD型 1:(0.20:0.10))の合成>
例19からの未精製前駆体310gをまとめて、1L丸底フラスコ内に入れ、その後0.27mol(Siベース)のオリゴマー形態のT型前駆体である3-アミノプロピルトリメトキシシラン(オリゴ-APTMS)及び16.0g/0.13molのD型前駆体であるジメチルジメトキシシラン(DMDMS)を一緒に、例19からのQ型前駆体中に既に存在する量以外の追加の組み換え触媒なしに、添加した。その混合物を110℃の温度に加熱し、29時間撹拌し続け、その時点で一切の残留溶媒を、5分間、250mbarの真空に引くことによって除去し、窒素を反応混合物中に15分吹き込んで、さらなるVOCを除去した。29Si NMR分析により、その生成物が、T型及びD型基の合計量によって測定して、それぞれ7%未満の合計T0-モノマー及び22%未満の合計D0-モノマー、並びに25%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0214】
<例21:テトラメトキシシラン(TMOS)及びテトラエトキシシラン(TEOS)の混合物からの、目標とするDP_Q型=1.52を有するQ型重縮合物前駆体材料の調製>
20%対80%モル比のテトラメトキシシラン(TMOS)及びテトラエトキシシラン(TEOS)からなる混合物を、共溶媒の存在下で、DP_Q型=1.52である前駆体材料の望ましい重合度を達成するのに必要とされる化学量論量の水を用い、標準的な加水分解/縮合触媒を使用して、現状の技術に従って加水分解した。加水分解が完了したら、過剰な共溶媒及び加水分解中に放出されたアルコールを、真空蒸留によって除去した。29Si NMR分析により、前駆体材料中の35.7%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0215】
<例22:TMOS+TEOS/(tFPTMS)重縮合物材料(nQ型:(nT型)=1:0.07)の合成>
例21に従って調製した、1.92mol Si当量を含有する量の混合メトキシ/エトキシ末端Q型前駆体を、500ml丸底中に充填し、これを続いて抵抗加熱マントル内に入れ、95℃の温度に設定した。次に、29.3g/0.13molのモノマーT型前駆体である(3,3,3-トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(tFPTMS)及びTi(IV)テトラエトキシド(TEOT)触媒を添加した。その混合物を撹拌しながら95℃において更に19時間保持し、次いで熱源から取り出し、室温に冷却した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ18%未満のT0-モノマー、並びに24%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0216】
<例23:シラノール法による、テトラエトキシシラン(TEOS)からの目標とするDP_Q型=2.0を有するQ型重縮合物前駆体材料の調製>
ナトリウムトリエトキシシラノレートは、最初に、1g(3.5mol)粉末状水酸化ナトリウムを、1.3lのトルエン中の728g(3.5mol)テトラエトキシシランの溶液と、5℃において撹拌しながら混合することによって調製した。その温度において2時間後、トルエン及び反応中に生成されたエタノールからなる溶媒相を、真空下で蒸留した。その油状残留物を、50mbar及び40℃において真空乾燥チャンバ中で夜通し乾燥させて、628gの未精製生成物を得た。
【0217】
上の工程からのナトリウムトリエトキシシラノレートのトルエン中の溶液を、322gの未精製生成物から、それを3l丸底フラスコ中で1800mlの合計体積までトルエンで満たすことにより調製した。この溶液を、1lのトルエン中の化学量論量の酢酸の溶液に、0℃にて、ここでも激しく撹拌しながら滴下により添加した。化学量論的に消費される酢酸量を、ナトリウムトリエトキシシラノレートの理論式に基づき、未精製生成物を100%純度と仮定して計算した。沈殿した酢酸ナトリウムを濾別し、トルエンで洗浄した後、残留溶媒(主にトルエン)を、45℃及び<15mbarの絶対圧力にて、一緒にした反応混合物及び酢酸ナトリウム洗浄液から蒸留によってここでも除去した。生成物の収率は、133.9gの黄色がかった液体であり、これはトリエトキシシラノールと同定された。最終的なポリエトキシシロキサンQ型前駆体を、次いで、得られたトリエトキシシラノール(133.9g)を、100ml無水エタノール中に溶かした22.5gアンモニア(水酸化ナトリウムペレットの上で脱水したもの)の、水を含まない溶液に、-30℃にて90分にわたって添加することにより合成した。その混合物を室温に温めた後で、反応混合物を夜通し放置したままにし、その後、残留アンモニア及びエタノールをここでも真空蒸留により再度除去し、続いて窒素パージガスを10分間バブリングして留去して、102.7gの黄色のポリエトキシシロキサンQ型前駆体材料を得た。その前駆体材料の29Si NMR分析は、45%のQ型テトラシロキサン環種を明らかにした。
【0218】
<例24:TEOS/(VTES+MTMS:TMMS)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nM型)=1:(0.1+0.05:0.1))の合成>
例21に従って調製した混合メトキシ/エトキシ末端Q型前駆体の1.92mol Si当量を含有する量を、500ml丸底中に充填し、これを続いて抵抗加熱マントル内に入れ、90℃の温度に設定した。次に、36.5g/0.19molの第1のモノマーT型前駆体であるビニルトリエトキシシラン(VTES)及び13.1g/0.1molの第2のモノマーT型前駆体であるメチルトリメトキシシラン(MTMS)並びにTi(IV)-臭化物組み換え触媒を添加した。その混合物を8時間撹拌しながら110℃に加熱し、110℃で保持し、その後、温度を再度90℃に下げ、20.0g/0.19molのM型前駆体であるトリメチルメトキシシラン(TMMS)を30分かけてその反応混合物に投入した。その混合物を、次いで90℃において更に12時間撹拌し続け、熱源から取り出した。29Si NMR分析により、生成物が、T型基の合計量によって測定して、それぞれ14%未満のT0-モノマー、及び24%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0219】
<例25:「塩化物経路」による、テトラエトキシシラン(TEOS)及び四塩化ケイ素(SiCl4)の混合物からの、目標とするDP_Q型=2.1を有するQ型重縮合物前駆体材料の調製>
2:1モル比でテトラエトキシシラン(TEOS)と四塩化ケイ素を含む混合物を、閉じたオートクレーブ容器の内部で145℃の温度に加熱し、その時点で、0.75%の四塩化ジルコニウム(ZrCl4)を縮合触媒として添加した。その混合物を、不活性ガス雰囲気下で撹拌し続けた。21時間後、反応を止め、その混合物を室温にし、その後、副生成物としての塩化エチル及び残留揮発性物質を、蒸留によって除去した。そのQ型重縮合物材料は、わずかに黄色がかった液体であり、これは後処理後に集め、分析をした。29Si NMR分析により、前駆体材料中の51.5%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0220】
<例25b:「塩化物経路」によるテトラエトキシシラン(TEOS)、四塩化ケイ素(SiCl4)及びジフェニルジクロロシラン(DPhDCS)の混合物からの、目標とするDP_Q型=2.0及びDPD型=1.75を有するQ型/D型重縮合物前駆体材料(nQ型:n_D型=1:0.05)の代替調製>
例25と同等の手順を使用して、混合Q型/D型前駆体材料を調製した。代わりに、1.95:0.94:0.05モル比のテトラメトキシシラン(TMOS)、四塩化ケイ素及びジフェニルジクロロシラン(DPhDCS)を、出発材料として使用した。反応は、縮合触媒として0.9%のジルコニウム(IV)テトラアセテートを用いて、135℃にて25時間実施した。その混合Q型/D型重縮合物材料は、わずかに黄色がかった液体であり、これを冷却、オートクレーブの減圧、並びに後処理して集め、分析した。29Si NMR分析により、前駆体材料中の48.6%のQ型テトラシロキサン環種が明らかになった。
【0221】
<例26:TEOS/(PhTES+PTMS:DPhDES)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型)=1:(0.10+0.05:0.05))の合成>
例25に従って調製したQ型前駆体の4.5mol Si当量を含む量を、105℃の温度に設定した撹拌ガラス反応器内に入れた(Buechi versoclave、1l)。次に、108.2g/0.45mol及び37.0g/0.23molの第1及び第2のT型モノマー前駆体であるフェニルトリエトキシシラン(PhTES)及びプロピルトリメトキシシラン(PTMS)を、56.2g/0.23molのD型前駆体であるジフェニルジメトキシシラン(DPhDMS)及び触媒としてのチタン(IV)-メトキシドと共に反応器中に仕込んだ。その混合物を13時間、撹拌しながらその温度に保持し、次いで熱源から取り出し、室温に冷却した。29Si NMR分析により、その生成物が、T型及びD型基の合計量によって測定して、それぞれ26%未満のT0-モノマー及び16%未満のD0-モノマー、並びに26.9%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0222】
<例26b:TEOS/(PhTES+PTMS:DPhDCS)重縮合物材料(nQ型:(nT型:nD型)=1:(0.10+0.05:0.05))の代替合成>
例26と同様の手順を使用して材料を調製したが、別途調製した混合Q型/D型前駆体材料を使用したという点が異なっていた。結果として、調製中に、追加のD型モノマーを添加する必要はないが、PhTES及びPTMSのみを前駆体材料に添加した。すべての他の工程及び反応剤は、変えないままであった。29Si NMR分析により、その生成物が、T型及びD型基の合計量によって測定して、それぞれ23%未満のT0-モノマー及び11%未満のD0-モノマー、並びに27.2%未満のQ型テトラシロキサン環種を含むことを確認した。
【0223】
<例27:可能性のある組み換え触媒に関する効率の試験>
手順は、様々なモデル触媒がT型モノマーモデルシランであるメチルトリエトキシシラン(MTES)のグラフト化を触媒する効率について様々なモデル触媒を試験するために考案した。手短にいえば、市販のDynasylan Silbond 50をQ型前駆体として使用した。1:0.15のモル比nQ型:nT型を使用し、前記のQ型及びT型シラン前駆体を含有する予め混合された溶液の一部30mlを、蓋付きの50mlガラスボトル中に充填した。各ボトルに1質量%のモデル組み換え触媒を添加し、ブランク試料を更にその検討に含めた。すべてのガラスボトルを同時に100℃に保った加熱キャビネット内に入れ、試料を24時間のインキュベーション期間そこに置いた。その後、それらを加熱キャビネットから取り出し、室温に冷却し、29Si NMR分光法によって分析した。
【0224】
【0225】
NMRスペクトル分析に続いて、触媒の性能及び適合性を、T0モノマーをグラフトさせるその能力(DPT-T型及びT0%指標)、並びにグラフト工程後の残留テトラシロキサン環種の百分率((Q2r&Q3s,d)/Qtot%及び(Q3s,d)/Q3%指標)の百分率の観点から評価することができる。
【0226】
<例28:ポリマー性液体材料の加水分解>
40gのエタノール、及び例3jからの粗反応生成物29.3gを混合し、エーレンマイヤーフラスコ中で撹拌しながら40℃に加熱した。温度の平衡になったら、4mlの0.1Mメタンスルホン酸溶液、続いて3mlの蒸留水を添加した。軽く混合する工程(マグネチックスターラー)の後で、その溶液を、密封キャップを有するガラスボトル中に移し、40℃において16時間、オーブン中に保持した。最終的な加水分解生成物を次に濾過し、冷蔵庫中に貯蔵した。
【0227】
<例29:油中水エマルションの調製>
例3kの材料試料のサンプル228gを600mlの蒸留水と混合し、50gの界面活性剤(Tween20)を添加した。その二相系を、次に、メカニカルインペラースターラーを使用して35℃において1時間激しく撹拌した。生じたエマルションは、目立った沈降効果なしに数週間の貯蔵寿命をもつ低粘性の安定なエマルションであった。
【0228】
<例30:水中油型エマルションの調製>
例4kの材料試料のサンプル90gを、34.5ml蒸留水及び2.2gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)と混合した。その二相システムを、次に、高rpmメカニカルホモジナイザーを使用して均質化した。生じたエマルションはクリーム状ペーストであり、これは、密閉容器中に保った場合、数週間の貯蔵寿命を有していた。