(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】構造すべり軸受および構造軸受システム
(51)【国際特許分類】
F16C 17/26 20060101AFI20241203BHJP
F16C 29/02 20060101ALI20241203BHJP
F16C 23/04 20060101ALI20241203BHJP
F16C 33/10 20060101ALI20241203BHJP
F16C 33/20 20060101ALI20241203BHJP
E01D 19/04 20060101ALI20241203BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20241203BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F16C17/26
F16C29/02
F16C23/04 E
F16C33/10 Z
F16C33/20 A
E01D19/04 Z
E04H9/02 331E
F16F15/02 L
(21)【出願番号】P 2022545431
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2021052079
(87)【国際公開番号】W WO2021152073
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】102020201078.1
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515269464
【氏名又は名称】マウレール エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン クリスティアン
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0101772(KR,A)
【文献】特開2007-211405(JP,A)
【文献】特開2019-007186(JP,A)
【文献】特開2016-216919(JP,A)
【文献】特開2009-144429(JP,A)
【文献】特開2000-104731(JP,A)
【文献】特開2014-012972(JP,A)
【文献】特開昭51-092521(JP,A)
【文献】実開平05-030210(JP,U)
【文献】実開昭58-129905(JP,U)
【文献】特表昭59-500829(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108532451(CN,A)
【文献】特開昭63-190927(JP,A)
【文献】特開平09-210129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/26
F16C 29/02
F16C 23/04
F16C 33/10
F16C 33/20
E01D 19/04
E04H 9/02
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構造部品を第2の構造部品に接続するための構造すべり軸受(210)であって、
前記第1の構造部品に取り付けることができる軸受台(212)と、
前記第2の構造部品に取り付けることができる
すべり板(216)と、および、
前記軸受台(212)と前記すべり板(216)の間に配置された中間軸受部(214)を含み、
前記構造すべり軸受(210)の一次すべり面(226)が、前記中間軸受部(214)と前記すべり板(216)との間に配置され、
前記一次すべり面(226)は、
それぞれが互いに角度を付けられたすべり面(230A、230B)に配置された少なくとも2つの部分的なすべり面(228A、228B)を含み、前記すべり面(230A、230B)が、共通の交差線(S)で交わり、それに沿って前記すべり板(216)が動くことができる前記構造すべり軸受(210)の移動軸(A)を形成し、および、
前記2つのすべり面(230A、230B)は、第1の角度(α)を取り囲み、前記第1の角度(α)が、構造すべり軸受(210)の保守性限界状態において、前記一次すべり面(226)の領域に隙間が生じないように選択される、構造すべり軸受(210)。
【請求項2】
構造すべり軸受(210)は、すべり板(216)が中間軸受部分(214)に対して移動軸(A)に沿ってのみ移動することができる一軸案内構造すべり軸受である、
請求項1に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項3】
2つのすべり面(230A、230B)は、交線(S)が水平になるように配置されている、
請求項1または2に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項4】
第1の角度(α)は、構造すべり軸受(210)の極限状態において、一次すべり面(226)の領域に隙間が生じないように選択される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項5】
一次すべり面
(226)には、恒久的に潤滑されたすべり材料(232)が
ある、
請求項1から4のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項6】
前記一次すべり面(226)の前記すべり材料(232)は、PTFE、UHMWPE、POM、および/またはPAを含む、
請求項5に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項7】
前記一次すべり面(226)の前記すべり材料
(232)の摩擦係数は0.03を超えない、
請求項
5または6に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項8】
前記一次すべり面(226)の前記すべり材料(232)は、少なくとも1つの潤滑されたすべりディスクを
含む、
請求項5
から7のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの潤滑されたすべりディスクは、少なくとも1つの潤滑ポケットを含む、
請求項8に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項10】
互いに角度を付けられた少なくとも2つの部分的なすべり面(228A、228B)は、対応するすべり面(230A、230B)が傾斜した屋根の形状を形成するように配置される、
請求項1から9のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項11】
互いに角度を付けられた少なくとも2つの部分的なすべり面(228A、228B)は、対応するすべり面(230A、230B)が逆さまの傾斜屋根の形状を形成するように配置される、
請求項1から10のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項12】
互いに角度を付けられた少なくとも2つの部分的なすべり面(228A、228B)は、垂直方向に交差線(S)を通って延びる対称面(E)に対して互いに対称的に形成される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項13】
一次すべり面(226)の互いに対して角度を付けられた少なくとも2つの部分的なすべり面(228A、228B)は、異なるサイズで形成される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項14】
少なくとも1つのすべり面(230A、230B)は、水平(H)に対して、0度から10度の
間の第2の角度(β)だけ下向きに傾斜している、
請求項1から13のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項15】
少なくとも1つのすべり面(230A、230B)は、水平(H)に対して、6度の第2の角度(β)だけ下向きに傾斜している、
請求項1から13のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項16】
前記第1の角度(α)は、160度から180度の間
の角度である、
請求項1から15のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項17】
前記第1の角度(α)は、168度である、
請求項1から15のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項18】
すべり板(316)はマルチパーツであり、対応するすべり板パーツ(316A、316B)間の距離は調整可能である、
請求項1から17のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(310)。
【請求項19】
構造すべり軸受(610)は、中間軸受部分(614)がポット蓋を有し、軸受台(612)がエラストマーパッド(616)と共にポットを有するポット軸受として設計されている、
請求項1から18のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(610)。
【請求項20】
構造すべり軸受(210)は、中間軸受部分(214)がキャロット
である球面軸受として設計され、
キャロットは凸部(220)を有し、軸受台(212)は対応する凹部(218)を有し、キャロットの凸部(220)は、軸受台(212)の凹部(218)にスライド可能に配置されている、
請求項1から1
8のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(210)。
【請求項21】
軸受台(412)の凹面部分(418)は、下部極(P)に窪み(436)を有し、その結果、窪み(436)の領域では、キャロットの凸状部分(220)は、軸受台(412)の凹状部分(418)と接触しない、
請求項
20に記載の構造すべり軸受(410)。
【請求項22】
窪み(436)は、下部ポール(P)の中心に円形に配置されている、
請求項
21に記載の構造すべり軸受(410)。
【請求項23】
すべり材料(424
)が、軸受台(412)の凹面部分(418)に配置され、窪み(436)がすべり材料(424)に形成される、
請求項
21または
22に記載の構造すべり軸受(410)。
【請求項24】
前記軸受台(412)の前記凹面部分(418)に配置された前記すべり材料(424)は、ポリマーすべりディスクである、
請求項23に記載の構造すべり軸受(410)。
【請求項25】
構造用すべり軸受(510)は、すべり板(516)と軸受台(212)との間に少なくとも1つの橋台(536)をさらに含む、
請求項
20から
24のいずれか一項に記載の構造すべり軸受(510)。
【請求項26】
少なくとも2つの構造部品(712、714)を接続するための少なくとも2つのすべり軸受(710A、710B)を含む構造軸受システム(700)であって、
各すべり軸受(710A、710B)は、第1の構造部品(712)に取り付けることができる軸受台(716A)、
第2の構造部品(714)に取り付けることができるすべり板(718A、718B)、および、
前記軸受台(716A、716B)と前記すべり板(718A、718B)の間に配置された中間軸受部(720A、720B)を含み、前記すべり軸受(710A、710B)の少なくとも1つの平面一次すべり面(722A、722B)が、前記中間軸受
部(720A、720B)と前記すべり板(718A、718B)との間に配置され、
前記2つのすべり軸受(710A、710B)は、
前記第1のすべり軸受(710A)の前記一次すべり面(722A)が水平(H)に対して角度を付けられた第1のすべり面(724A)に配置され、前記第2のすべり軸受(710B)の前記一次すべり面(722B)が水平(H)に対して角度を付けられた第2のすべり面(724B)に配置される一対の軸受を形成し、前記
すべり面(724A、724B)は、共通の交差線(S)で交わり、前記すべり板(718A、718B)がそれに沿って移動することができる一対のベアリングの移動軸(A)を形成する、構造軸受システム(700)。
【請求項27】
少なくとも2つのすべり軸受(710A、710B)は、すべりおよび傾斜軸受として、またはエラストマー軸受として設計されている、
請求項2
6に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項28】
第1のすべり面(724A)および第2のすべり面(724B)は、第1の角度(α)を取り囲み、第1の角度(α)が構造軸受システム(700)の使用状態において、一次すべり面(722A、722B)の領域に隙間が生じないように選択される、
請求項2
6または2
7に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項29】
前記第1の角度(α)は、160度から180度の間
の角度である、
請求項2
8に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項30】
前記第1の角度(α)は、168度である、
請求項28に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項31】
前記第1の角度(α)は、構造軸受システム(700)の極限状態において、一次すべり面(722A、722B)の領域に隙間が生じないように選択される、
請求項
28から30のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項32】
対の軸受は、すべり板(718A、718B)が中間軸受部(720A、720B)に対して移動軸(A)に沿ってのみ移動できる対の一軸案内軸受である、
請求項2
6から
31のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項33】
第1のすべり平面(724A)と第2のすべり平面(724B)は、交線(S)が水平になるように配置されている、
請求項2
6から
32のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項34】
少なくとも1つの一次すべり面(722A、722B)は
、恒久的に潤滑されたすべり材料(726)を含む、
請求項2
6から
33のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項35】
前記少なくとも1つの一次すべり面(722A、722B)の前記すべり材料(726)は、PTFE、UHMWPE、POMおよび/またはPAを含む、
請求項34に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項36】
前記少なくとも1つの一次すべり面(722A、722B)の前記すべり材料
(726)の摩擦係数は0.03を超えない、
請求項
34または35に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項37】
前記少なくとも1つの一次すべり面(722A、722B)の前記すべり材料(726)は、少なくとも1つの潤滑されたすべりディスクを
含む、
請求項
34から36のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項38】
前記少なくとも1つの潤滑されたすべりディスクは、少なくとも1つの潤滑ポケットを含む、
請求項37に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項39】
互いに角度を付けられた少なくとも2つの一次すべり面(722A、722B)は、垂直方向に交差線(S)を通って延びる対称面(E)に関して互いに対称的に形成される、
請求項2
6から3
8のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項40】
互いに角度を付けた少なくとも2つの主要なすべり面(722A、722B)は、異なるサイズで形成される、
請求項2
6から3
9のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項41】
少なくとも1つのすべり面(724A、724B)は、水平(H)に対して、0度から10度の
間の第2の角度(β)だけ下向きに傾斜している、
請求項2
6から
40のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項42】
少なくとも1つのすべり面(724A、724B)は、水平(H)に対して、6度の第2の角度(β)だけ下向きに傾斜している、
請求項26から40のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項43】
互いに向かって角度を付けられた少なくとも2つの主要なすべり面(722A、722B)は、対応するすべり面(724A、724B)が傾斜屋根の形状を形成するように配置される、
請求項2
6から
42のいずれか
一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項44】
互いに向かって角度を付けられた少なくとも2つの主要なすべり面(722A、722B)は、対応するすべり面(724A、724B)が逆さまの傾斜屋根の形状を形成するように配置される、
請求項2
6から
43のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項45】
第1のすべり軸受(710A)および/または第2のすべり軸受(710B)は
、迫台装置(730A、730B)を有し、軸受台(716A、716B)に対するすべり板(718A、718B)の動きを制限する、
請求項
26から
44のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項46】
前記迫台装置(730A、730B)は、横方向の迫台装置である、
請求項45に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項47】
前記迫台装置(730A、730B)は、それぞれのすべり軸受(710A、710B)の移動軸(A)に面するか、または軸から離れる側に配置される、
請求項
45または46に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項48】
前記迫台装置(730A、730B)は、迫台装置(730A、730B)の位置を調整するための調整装置を備える、
請求項45から47のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項49】
前記迫台装置(730A、730B)は、移動軸(A)に平行な方向にすべり板(718A、718B)を案内するすべり装置(732A、732B)を含む、
請求項
45から
48のいずれか一項に記載の構造軸受システム(700)。
【請求項50】
構造軸受システム(800)は、少なくとも2対の軸受(810、820)および軸(B)を含み、一対の軸受(810、820)は、軸(B)に沿って連続して配置され、
互いに対して角度を付けられた一次すべり面は、対の軸受(810、820)の対応するすべり面が軸(B)に沿って交互に傾斜した屋根の形状と逆さまの傾斜した屋根の形状を形成するように配置されている、
請求項2
6から
49のいずれか一項に記載の構造軸受システム(800)。
【請求項51】
構造軸受システム(900)は、少なくとも2対の軸受(910、920、930、940)と軸(B)を含み、対の軸受(910、920、930、940)は、軸(B)に沿って連続して配置され、
互いに対して角度を付けられた一次すべり面は、対の軸受(910,920,930,940)の対応するすべり面が軸(B)に沿って交互に、軸に沿った軸受の2番目の対ごとに傾斜した屋根の形状と逆さまの傾斜した屋根の形状を形成するように配置されている、
請求項2
6から
49のいずれか一項に記載の構造軸受システム(900)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1および第2の構造部品を接続するための構造すべり軸受、および少なくとも2つの構造部品を接続するための少なくとも2つのすべり軸受を有する構造軸受システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な構造すべり軸受は、通常、第1構造部に接続できる軸受台、第2構造部に接続できるすべり板、軸受台とすべり板の間に配置された中間軸受部を備えている。これにより、構造すべり軸受の一次すべり面は、一般に、中間軸受部とすべり板との間に配置され、構造すべり軸受を使用した状態ですべり板がすべり込むことができる。こういった構造すべり軸受のいくつかが結合し、それぞれの構造部品間に対応して多数の接続点を備えた構造軸受システムを形成する。
【0003】
種多様な構造部品を接続するために利用されるこういった構造すべり軸受または構造軸受システムは、原則として、最新鋭の技術から十分に知られている。
【0004】
構造すべり軸受は、一般に垂直方向と水平方向の荷重を伝達し、必要に応じて回転と相対変位を可能にする。したがって、構造すべり軸受は、定義された定義に一般的に使用される特殊なタイプの構造すべり軸受であり、橋などのあらゆる種類の構造物、特に道路や鉄道の交通、桁など、あらゆる種類の建物またはその部分を可能な限り、制約のない状態で補助している。したがって、それらは、問題の構造の2つの部分の間の相対的な動きを可能にする。こういった相対的な動きは構造の使用によって、または風や地震などの外部の影響によっても引き起こされる可能性がある。こういった構造的すべり軸受または対応する構造的軸受システムを使用することにより、特に対応する構造への損傷を回避することができる。
【0005】
DIN EN 1337規格によると、構造すべり軸受のさまざまな設計と動作モードが知られている。設計と動作モードに応じて、構造と自由度が異なる。構造すべり軸受は、すべての側面に固定されている軸受、またはすべての側面または片側に変位できる軸受のいずれかとして設計できる。DIN 4141-13規格によると、ロック装置を使用して案内軸受を固定軸受に変換する解決法もある。本発明は、特に、一軸案内または一方向に変位可能な構造すべり軸受に関するものであり、一次すべり面の特定の軸方向に沿ったすべり板の変位運動が可能となる。続いて変換される固定軸受もまた、本発明に関連する。このような一軸案内構造のすべり軸受は、例えば、ポット軸受または球面軸受として実現することができる。両方のタイプの構造すべり軸受を
図1および2に概略的に示す。1と2について、以下で簡単に説明する。
【0006】
図1は、従来技術から知られているように、ポットすべり軸受とも呼ばれる、ポット軸受10の形態の一軸案内構造すべり軸受を示している。図から分かるように、前記ポットすべり軸受10は、構造の第1部分に接続することができる軸受台としてポット12を有する。前記ポット12は、エラストマーパッド16、内部シール18、および前記ポットすべり軸受10の中間軸受部であるポット蓋20を受け入れるための機械加工された窪み14を含む。前記ポット蓋20は、前記ポット12の開口部を閉じ、その下に配置された前記エラストマーパッド16上に平らに置かれる。前記ポット蓋20の上に、すべり板22が第2の構造部品に接続されるように配置されている。前記ポット蓋20と前記すべり板22の両方が水平に配向されているため、前記ポットすべり軸受10の水平一次すべり面24は、これらの2つの構成要素の間に延びている。
【0007】
この目的のために、すべり材料26が前記ポット蓋20上に配置され、前記ポット蓋20と前記すべり板22との間の摩擦を低減する。これにより、前記すべり板22を一次すべり面24に沿って、可能な限り少ない抵抗で滑らせることができる。
【0008】
したがって、前記ポットすべり軸受10は、前記すべり板22、前記水平一次すべり面24、前記ポット蓋20および前記エラストマーパッド16を介して垂直方向に誘発された力または荷重を吸収し、それらを下のポット12に移すことができる。同時に、前記エラストマーパッド16は、前記ポットすべり軸受10のすべての回転を可能にする。これは、前記ポット蓋20によって誘導された力の領域で前記エラストマーパッド16が時間通りに降伏することによって起こる。前記内部シール18は、前記エラストマーパッド16に圧縮荷重が発生するとすぐに、ポット壁と前記ポット蓋20との間の隙間を通って前記エラストマーパッド16が押し出されるのを防ぐことができるように配置されている。さらに、外部シールを前記前記ポット蓋20と前記ポット12との間に配置し、水分および汚れを対応する隙間から遠ざけることができる。
【0009】
さらに、前記ポットすべり軸受10は、前記すべり板22の一軸変位性を実現するための中央案内レール28を有する。中央誘導レール28は、前記一次すべり面24の領域で前記ポット蓋20の上に配置され、前記すべり板22の対応する溝に係合する。したがって、前記案内レール28は、すべり方向を横切るすべての水平力を吸収することができるという点で、前記ポットすべり軸受10の移動軸を規定する。前記案内レール28と前記すべり板22との間の2つのスライド面は、移動軸に沿って垂直に配置されている。したがって、水平方向に作用する力が、前記中央の案内レール28に両側から垂直に加えられ、効果的に吸収することができる。前記案内レール28はまた、最初に潤滑される両方の垂直すべり面に沿ってすべり材料30を有する。したがって、前記案内レール28と前記すべり板22との間の摩擦が低減され、移動軸に沿った前記すべり板22の移動が容易になる。
【0010】
したがって、前記案内レール28と平行に走る前記ポットすべり軸受10に水平方向の力が作用すると、前記すべり板22は、下のポット蓋20に対して移動する。したがって、これらの分力は、前記ポットすべり軸受10によって吸収および伝達されない。したがって、構造部品の対応する動きを相殺することができる。
【0011】
前記案内レール28を横切って作用する水平力の場合は状況が異なる。前記すべり板22は、前記案内レール28を横切る水平方向の動きを実行することができない。したがって、水平方向への力は、前記案内レール28または前記ポットすべり軸受10によって吸収および伝達される。したがって、構造部品の対応する動きを相殺することはできない。
【0012】
図1に示した設計に加え、案内レールをすべり板に形成し、次に溝をポットの蓋に形成する解決法もある。自由度およびポットの蓋とすべり板間の力の伝達に関する上記の基本的な機能原理は、それに応じてここに適用される。
【0013】
図2は、従来技術で知られているように、球面軸受110の形態の一軸案内構造すべり軸受を示している。前記球面軸受110は、第1の構造部品に接続可能な軸受台112を含む。さらに、前記球面軸受110は、前記球面軸受110の中間軸受部分であるキャロット114を含む。前記キャロット114は、下向きに凸状に湾曲しており、前記軸受台112の上部の対応する凹状部分で受け取られる。したがって、二次すべり面116または前記球面軸受110の二次すべり面は、前記キャロット114と前記軸受台112との間に形成される。すべり材料118は、二次すべり面116の領域に配置され、前記キャロット114が、可能な限り少ない抵抗で前記軸受台112の凹面部分内を移動することを可能にする。キャロットの上には、第2の構造部品に接続することができる前記すべり板120が置かれている。したがって、主水平すべり面122または前記球面軸受110の一次すべり面は、前記キャロット114と前記すべり板120との間に配置される。すべり材料124は、前記キャロット114と前記すべり板120との間の摩擦を低減するために、前記一次すべり面122の領域で前記キャロット114上に配置される。結果として、前記一次すべり面122に沿ったすべり板24のすべりも可能な限り少ない抵抗でここで達成される。
【0014】
したがって、前記球面軸受110は、前記すべり板120、水平一次すべり面122、および前記キャロット114を介して垂直に作用する力または荷重を吸収し、それらを前記軸受台112に伝達することができる。同時に、前記キャロット114の凸状の湾曲および前記軸受台112の受容凹状部分は、前記キャロット114または前記球面軸受110の対応する回転を可能にする。これは、二次すべり面116に沿って前記キャロット114をすべらせることによって起こる。
【0015】
この実施形態では、前記球面軸受110の一軸案内は、2つの水平横方向案内レール126によって実施される。これらはそれぞれ、前記すべり板120と係合するために、前記軸受台112の側面で一次すべり面122に隣接して配置されている。したがって、2つの横方向案内レール126を横切る水平方向の力もここで吸収され、それにより、前記球面軸受110の移動軸を規定する。ここで、前記ポットすべり軸受10の場合と同様に、2つの横方向案内レール126と前記すべり板120との間のすべり面は、それぞれ、移動軸に沿って垂直に形成されている。2つの案内レール126のすべり面に対する水平力の垂直作用により、より高い力の影響も効果的に吸収することができる。同様に、2つの横方向案内レール126は、最初に潤滑される垂直すべり面の領域にすべり材料128を有する。したがって、2つの案内レール126と前記すべり板120との間の摩擦を大幅に低減することができ、これにより、それに応じて移動軸に沿った前記すべり板120の移動が容易になる。
【0016】
水平方向の力が2つの前記横方向の案内レール126に平行な前記球面軸受110に作用した直後、前記すべり板120は、下にある前記球面軸受110に対して移動する。したがって、これらの水平方向の力は、前記球面軸受110によって吸収および伝達されない。したがって、構造部品の対応する動きを相殺することができる。
【0017】
反対のことが、2つの横方向案内レール126を横切って作用する水平力で起こる。前記すべり板120は、この方向に対応する水平方向の動きを実行することができない。したがって、こういった水平方向の力は、2つの横方向の案内レール126によって吸収されるか、または前記すべり板120から前記軸受台112に直接伝達される。したがって、2つの横方向案内レール126を横方向に走る水平方向の力は、前記球面軸受110によって吸収される。したがって、構造部品の対応する動きを相殺することはできない。
【0018】
したがって、一軸案内構造のすべり軸受の説明された形式では、垂直方向の力の伝達と水平方向の力の伝達との間に機能的な分離がある。垂直方向の荷重は中間軸受部分のそれぞれの一次すべり面によって吸収されるが、移動軸に対して横方向に作用する水平方向の力は、対応する案内レールに伝達される。建設業界のベアリングに関するDIN EN 1337-2:2004規格の項目6.8に規定されているように、既知の構造すべり軸受は、使用状態で一次水平すべり面の領域に隙間が生じないように寸法が決められている。本開示において、隙間は、すべり面内の部分的な離昇であると理解される。したがって、全体的な隙間は、構造すべり軸受の耐荷重能力にとって決定的である。
【0019】
構造設計の基本に関する標準DIN EN 1990:2010-12によると、使用状態は、保守性限界状態まで拡張される。保守性限界状態を超えると、構造物または構成要素の使用状態について指定された条件が満たされなくなる。したがって、通常の使用条件下での構造物またはその部品の1つの機能、またはユーザーの安泰または構造物の外観に影響を与える限界状態も、保守性限界状態として分類される。
【0020】
したがって、地震などの極端な場合のために設計された特殊な構造すべり軸受または構造軸受システムの場合、極端な場合が発生したときに使用状態が存在する可能性がある。これは、特に、極端な場合にのみ使用される緊急機能とバッファー機能が開始された後の状態にも当てはまる。ここで、例えば、中間軸受部分からのすべり板の目標を定めた離昇は、使用状態の中で提供される。
【0021】
表面、軸、および力の方向はすべて簡便さのために本明細書では水平または垂直として説明されているが、厳密な意味での水平面や垂直面、または方向に関して限定されていない。本開示において、こういった配向の表示は、構造すべり軸受または構造軸受システムの運動面のみを指す。これは、構造すべり軸受または構造軸受システムが斜めに設置されている場合などに特に当てはまる。したがって、この場合、水平一次すべり面の向きは、狭義の水平面とは異なる可能性があり、したがって、傾斜する可能性もある。同じことが、それに垂直に配置された垂直案内面および対応して説明された力の効果にも当てはまる。
【0022】
こういった力の伝達に関する証明された原理にもかかわらず、特にこのような構造すべり軸受を長期間使用している場合ではレール構造物の領域には、大量のほこり、汚れ、その他の異物が蓄積する可能性があることがわかっている。すべり材料の摩耗が増加したり、構造すべり軸受のすべり挙動が損なわれたりする可能性があるため、構造すべり軸受は定期的なメンテナンスを必要とする。これは主に、こういったレール構造では、それぞれの構成要素間にある程度の遊びがあるという事実がある。これは、ここでは特に、案内レールとすべり板の間の垂直すべり面の領域にあるため、原則として回避できない。したがって、構造すべり軸受が使用状態にあるとき、通常、垂直案内面の領域に隙間がある。この遊びまたは隙間は、案内面の領域で端部圧縮を引き起こし、その結果、構造すべり軸受内の力の伝達が不均一になり、すべり材料のすり減りが増加・不均一になる可能性がある。さらに、レール構造の案内面は、その遊びのために最初にのみ潤滑することができ、潤滑剤の恒久的な供給は保証されない。さらに、高い局所圧縮を吸収できるすべり材料を使用する必要がある。したがって、ここでは、摩擦係数が比較的高く、摩耗が比較的高いためにすべり挙動が比較的悪いすべり材料が最終的に使用される。
【0023】
特に、中央案内レールを備えた一軸構造すべり軸受は、非常に高い力をサポートするために限られた範囲でしか使用できない。一方、2本の横方向案内レールを使用すると、垂直軸を中心とした軸受の回転が妨げられる。最終的に、説明されている構造すべり軸受は、設置スペースと製造および保守のコストの点で、それに対応して高レベルの労力を必要とする複雑な構造を表している。同じ欠点が、そのような構造すべり軸受を特徴とする構造軸受システムに影響を及ぼしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、本発明の課題は、一方では設計が可能な限り単純である、改良された構造すべり軸受および構造軸受システムを提供することであり、一方、メンテナンスなしで可能な限り長く動作し、力が加わっても確実に動作するため、製造中および使用中のコストと労力を削減できる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明によれば、前述の問題の解決は、請求項1に記載の構造すべり軸受および請求項21に記載の構造軸受システムによって達成される。本発明の有利なさらなる実施形態は、従属請求項2から20および従属請求項22から36に起因する。
【0026】
したがって、本発明による構造すべり軸受は、一次すべり面が少なくとも2つの部分すべり面を有し、それぞれが相互に角度を付けられたすべり平面に配置され、すべり平面が、すべり板が移動できる構造すべり軸受の移動軸を形成する共通の交差線で交わるという特徴がある。また、2つのすべり平面には第1の角度があり、構造すべり軸受を使用した状態で一次すべり面の領域に隙間が生じないように第1の角度を選択する。つまり、すべてのすべり面に隙間のない構造すべり軸受が提供されている。
【0027】
一次すべり面の互いに対して角度が付けられた2つのすべり面は、構造すべり軸受内の垂直および水平の力伝達の機能を組み合わせている。移動軸に対して横方向に作用する垂直方向の力と水平方向の力を、構造すべり軸受の主すべり面で吸収できるようになった。したがって、以前は中央または側面で使用されていたレール構造は、その機能が主要なすべり面によって完全に実行されるため、不要になり、その結果、構造すべり軸受の構造が大幅に簡素化され、対応する製造コストを削減することができる。限られた範囲内でしか利用できない設置スペースも大幅に削減できる。これは、レール構造の省略だけでなく、対応するすべり板の設計にも当てはまる。レール構造と係合するためのセクションまたは窪みは、すべり板内またはすべり板上に不要になり、これは、すべり板の寸法、特に厚さを減らすことができることを意味する。レール構造の省略はまた、横方向の動きによるこの領域への汚れや異物の侵入の可能性を排除する。
【0028】
構造すべり軸受の可能な最大垂直力と水平力の比率は、2つの部分すべり面の相互の傾きまたは最初の角度の選択によって最適に調整できる。2つの部分すべり面の互いに対する傾斜を適切に選択することにより、構造すべり軸受の使用状態において、対応する最小の垂直方向の力と組み合わせた最大の水平方向の力でも一次すべり面の領域の隙間を回避することができる。たとえば、構造すべり軸受をより高い水平荷重用に設計する場合は、2つの傾斜した部分すべり面は、作用する水平力に対して非常に急勾配であるように設計されているので、構造すべり軸受の使用状態では、中間軸受部分からのすべり板の持ち上げは起こらない。同時に、摩擦が可能な限り低いすべり材料を一次すべり面の領域に使用して、それにもかかわらず、動きの軸の方向へのすべり板の動きを容易にすることができる。
【0029】
一次すべり面の領域での連続的かつ均一な圧縮を伴う建設業界のベアリングのDIN EN 1337-2:2004規格で知られているような、恒久的に潤滑されたすべり材料もまた案内に適している。これらは摩擦係数が低く、特に摩耗が少ない。出願人が実施した試験では、以前に分離された最初に潤滑された案内面よりも最大25倍高い現在の案内一次すべり面の累積すべり距離で、対応するすべり材料との抵抗を確立することがすでに可能である。
【0030】
さらに、互いに対して角度が付けられた2つの部分的なすべり面は、移動軸に対して構造すべり軸受の中間軸受部分上のすべり板の連続的な自己センタリングを可能にする。したがって、すべり板は常に中間軸受部に対して最適に配置され、移動軸に沿った端部圧縮の可能性を回避できる。案内レールによる軸受の遊びは、もはや存在しない。
【0031】
好ましくは、一次すべり面は、正確に2つ、最も好ましくは2つだけの部分的なすべり面を有する。このように、本発明による構造すべり軸受は、可能な限り単純である。2つの傾斜した部分的なすべり面は、例えば、移動軸の領域で一度だけ曲がった継続的な一次すべり面を形成することができる。ここで、相互に角度を付けられたすべり平面に加えて、2つの相互に傾斜した部分的なすべり面もまた、移動軸に沿って交差する。あるいは、2つの傾斜した部分的なすべり面は、それぞれのすべり平面において互いに別々に形成することもできる。
【0032】
好ましくは、構造すべり軸受は、すべり板が中間軸受部分に対して移動軸に沿ってのみ移動することができる一軸案内構造すべり軸受である。これにより、構造すべり軸受は、中間軸受部分に対して移動軸に沿った移動を超えたすべり板の移動を許可しなくなる。したがって、構造すべり軸受は、一方向への水平移動が許可される場合に特に使用できる。
【0033】
好ましくは、2つのすべり面は、交線が水平に走るように配置される。これは、構造すべり軸受の移動軸も水平であることを意味する。この構成では、構造すべり軸受に力の伝達に関して可能な限り均一に荷重がかけられる。さらに、すべり板は、移動軸の両方向に同じ抵抗で均一に移動できる。上で説明したように、水平方向の位置合わせは、構造すべり軸受の移動面を参照して理解する必要がある。したがって、交差線は、狭義の水平線とは異なる方向をとることもできる。
【0034】
有利には、第1の角度は、構造すべり軸受の極限状態において、一次すべり面の領域に隙間が生じないように選択される。使用状態から始めて、構造すべり軸受の荷重をさらに大きくすると、極限状態となる。構造設計の基礎に関するDIN EN 1990:2010-12規格によると、この状態は崩壊または他の形態の構造破損に関連しており、人の安全および/または構造物の安全に影響を与えるこれらの限界状態も、最終的な限界状態として分類される。これには、この状態でも、一次すべり面の領域に隙間が生じないこと、またはすべり板が中間軸受部から浮き上がらないことが保証されるという利点がある。
【0035】
有利には、一次すべり面は、好ましくは、PTFE、UHMWPE、POMおよび/またはPAで、恒久的に潤滑されたすべり材料を有する。一次すべり面の領域に恒久的の潤滑されたすべり材により、すべり板と中間軸受部との摩擦を大幅に低減することができる。少なくとも2つの部分的なすべり面が互いに角度を付けられているため、ここでは、摩擦係数の低いすべり材料を使用することができる。傾斜した部分的なすべり面の対応する傾斜によって、高い水平力をすでに吸収することができる。これにより、移動軸に沿ったすべり板のすべりが容易になる。好ましくは、すべり材料は、すべり材料の圧縮の定格値に対して0.03以下の摩擦係数を有する。
【0036】
有利には、すべり材料は、少なくとも1つの潤滑されたすべりディスクを有し、これは、好ましくは、少なくとも1つの潤滑ポケットを有する。既製の潤滑ポケットは、潤滑剤を保管し、すべり面全体に均一に分散させることができる。これにより、摩擦係数が低く、特に摩耗の少ないすべり材料が得られる。これにより、移動軸に沿ったすべり板のすべり運動が容易になり、構造すべり軸受のメンテナンス間隔が長くなる。
【0037】
好ましくは、互いに向かって角度を付けられた少なくとも2つの部分的なすべり面は、対応するすべり平面が傾斜した屋根の形状を形成するように配置される。この傾斜屋根は、交差線または移動軸が傾斜屋根の尾根を形成するように設計されている。傾斜屋根の形状は、互いに傾斜した少なくとも2つの部分的なすべり面の領域における汚れおよび異物の蓄積を可能な限り回避することができるという特別な利点を有する。これは、特に移動軸の領域に当てはまる。これは、傾斜した屋根の最上点を屋根の棟として表すためである。
【0038】
好ましくは、互いに角度を付けられた少なくとも2つの部分的なすべり面は、対応するすべり平面が逆さまの傾斜した屋根の形状を形成するように配置される。ここでも、傾斜屋根は、交差線または移動軸が傾斜屋根の尾根を形成するように設計されている。屋根が逆さまになっているため、上下方向の設置スペースを確保することなく、最も荷重がかかる中央部のすべり板を端部よりも強くすることができる。したがって、負荷が増加しても、設置スペースを再び節約できる。
【0039】
さらに、互いに向かって角度を付けられた少なくとも2つの部分的なすべり面は、垂直方向の交線を通る対称面に関して、互いに対称的に形成することができる。少なくとも2つの相互に傾斜した部分的なすべり面の対称的な配置は、中間軸受部上のすべり板の改善された自己センタリングをもたらす。さらに、特にすべての側面からのバランスのとれた力の適用の場合、移動軸に沿った両方向のすべり板の変位の条件が可能な限り等しい場合は有利である。さらに、構造すべり軸受は設計が単純であるため、製造に費用効果がある。上でさらに説明したように、垂直方向は、建物のすべり軸受の移動面を参照して理解されるべきである。したがって、垂直方向は、狭義の垂直方向とは異なる方向をとることもできる。
【0040】
好ましくは、一次すべり面の互いに対して角度を付けられた少なくとも2つのすべり面は、異なるサイズのものである。この設計は、さまざまな大きさの水平力がさまざまな方向から構造すべり軸受に作用する場合に特に有利である。したがって、本発明による構造すべり軸受は、移動軸を横切る特定の水平方向から、反対方向からよりも大きな作用力を吸収できるように特別に設計することができる。これにより、加えられた力が不均一であっても、隙間が発生したり、すべり板が離昇することがなくなる。代替的または追加的に、対称面とそれぞれの傾斜した部分的なすべり面との間の2つの開口角度もまた、異なるサイズであり得る。
【0041】
有利には、少なくとも1つのすべり平面は、水平に対して、0度から10度の間、好ましくは6度の間の第2の角度だけ下向きに傾斜している。ここで、水平面に対して滑走面が傾斜して配置されているため、0度の境界値は指定された範囲を含むとは見なされないことを釈明する。より急な第2の角度で、それに対応する移動軸を横切るより高い水平力は、それぞれの傾斜した部分的なすべり面によって吸収され得る。同時に、一次すべり面の領域で摩擦係数の低いすべり材を使用することも可能である。一方では、これにより、中間軸受部からのすべり板の隙間または離昇さえも防止される。一方、これはすべり板が移動軸に沿って移動する際の抵抗を最小限に抑える。上でさらに説明したように、水平方向は、構造すべり軸受の移動面を参照して理解されるべきである。したがって、水平面は、狭義の水平面とは異なる向きを持つこともできる。特に好ましくは、第2の角度は、少なくとも設計に許容されるように加えられる摩擦に対応する。
【0042】
さらに、第1の角度は、160度から180度の間、好ましくは168度である。ここでは、すべり平面が相互に角度を付けて配置されているため、指定された範囲でエッジ値が180度であるとは見なされないことを釈明する。より鋭い第1の角度で、対応してより高い水平力は、それぞれの傾斜した部分的なすべり面によって移動軸を横切って吸収され得る。同時に、一次すべり面の領域で摩擦係数の低いすべり材を使用することも可能である。一方では、これにより、中間軸受部からのすべり板の隙間または離昇さえも防止される。一方、これはすべり板が移動軸に沿って移動する際の抵抗を最小限に抑える。
【0043】
好ましくは、すべり板には複数の部分があり、対応するすべり板部品間の距離は調整可能である。本発明による構造すべり軸受のこの配置により、簡単な高さ調整が提供される。特に、すべり板またはすべり板部品と軸受台との間の距離を調整することが可能になる。したがって、2つの構造部品間の距離もまた変化する。有利には、すべり板は2つのすべり板部分に分割される。この最も単純なケースでは、1つのすべり板部品が、2つの相互に傾斜した部分的なすべり面のそれぞれに沿って配置される。2つのすべり板部品が、移動軸を横切る対応するすべり平面に沿って互いに同期して、または互いに離れるように押されると、2つのすべり板部品と構造すべり軸受の軸受台との間の水平距離も変化する。他方、例えば、2つのすべり板部分のうちの一方のみがこのように変位する場合、または両方のすべり板部分が同期してずれて変位する場合、第2の構造部分は、第1の構造に対してその位置で傾斜する。
【0044】
構造すべり軸受もポット軸受として設計されており、中間軸受部分にはポット蓋があり、軸受台にはエラストマーパッドと一緒にポットがある。ポットの蓋とその下のエラストマーパッドによって、垂直方向に作用する力をすべり板からポットに効果的に伝達することができる。同時に、すべり板とポットの間のねじれが可能になる。
【0045】
あるいは、構造すべり軸受は、中間軸受部分にキャロットが付いた球面軸受として設計されている。キャロットは凸状部分を有し、軸受台は対応する凹状部分を有し、キャロットの凸状部分は軸受台の凹状部分にスライドするように配置されている。この場合も、キャロットによって、垂直方向に作用する力がすべり板から軸受台に効果的に伝達される。同様に、すべり板と軸受台の間のねじれが可能になる。逆さまの傾斜屋根の形で互いに傾斜した少なくとも2つの部分的なすべり面の設計と組み合わせて、作用する水平力からの偏心が大幅に低減されることも達成される。同時に、すべり板は、端部よりも最も高い応力を受ける中央で厚くなる。これは、すべり板全体を薄くすることができるため、より経済的に製造できることを意味する。
【0046】
好ましくは、軸受台の凹面部分は、下部極に窪みを有し、その結果、窪みの領域において、キャロットの凸面部分は、軸受台の凹面部分と接触しない。下極は、軸受台の凹面部分の最低点であると理解されている。下極の窪みは慣性半径を大きくし、外径は同じまま圧力領域を減らすことで圧力を上げ、摩擦とねじれに対する抵抗、つまり作用トルクを減らす。これにより、隙間のリスクが軽減される。したがって、作用する垂直荷重からの反作用圧縮は、持ち上げる水平力からの圧縮と比較して増加する。この比率は、窪みの直径によって制御できる。したがって、一方では、一次すべり面を増やさなくても、構造すべり軸受によってさらに大きな力を吸収することができる。他方、構造すべり軸受は、一次すべり面の少なくとも2つの相互に傾斜した部分すべり面と組み合わせて個別に調整および設計することができる。したがって、最初の角度の選択と窪みの直径の選択の両方が、吸収可能な垂直力と水平力の比率を調整する可能性を提供する。
【0047】
好ましくは、窪みは、下極の中心に円形に配置される。この配置により、異なる作用方向からの吸収可能な垂直力および水平力の均一な影響が達成される。同様に、軸受に作用する力は、キャロットから軸受の下部に均等に伝達される。均一な力の伝達の対応する変位を伴う楕円形の窪みを有することも考えられる。
【0048】
有利には、すべり材料、好ましくはポリマーすべりディスクが、軸受の下部の凹面部分に配置され、すべり材料に窪みが形成される。すべり材またはポリマーすべりディスクは、球面軸受の二次すべり面の領域の摩擦を減らすことができる。この目的のために、すべり材料は基本的にキャロットの凸部と接触している。したがって、すべり材料の窪みは、すでに説明した利点を達成するために、この領域でのキャロットとのそのような接触を回避する。さらに、すべり材料の窪みも製造が容易である。例えば、二次すべり面の領域で軸受台の凹面部分に取り付けられる環状ポリマーすべりワッシャーを使用することができる。
【0049】
有利には、構造すべり軸受は、すべり板と軸受台との間に少なくとも1つの橋台をさらに備える。迫台は、軸受台に対するすべり板の動きを所定の範囲に制限するように任意の方法で構成することができる。したがって、構造すべり軸受を固定軸受に変換することもできる。一方では、こういった軸受は、相互に傾斜した部分的なすべり面を横方向に移動する遊びがない。一方、ねじり抵抗は低い。
【0050】
本発明による構造軸受システムは、少なくとも2つの構造部品を接続するための少なくとも2つのすべり軸受を含む。各すべり軸受は、第1構造部に接続可能な軸受台、第2構造部に接続可能なすべり板、および軸受台とすべり板との間に配置された中間軸受部からなる。すべり軸受の主平面すべり面の少なくとも1つは、中間軸受部材とすべり板との間に配置されている。さらに、構造軸受システムは、2つのすべり軸受が一対の軸受を形成し、第1のすべり軸受の一次すべり面が、水平に対して角度を付けられた第1のすべり平面に配置され、第2のすべり軸受の一次すべり面は、水平面に対して角度を付けられた第2のすべり平面に配置されていることを特徴とする。すべり平面は、すべり板がそれに沿って動くことができる一対の軸受の動きの軸を形成する共通の交差線で交わる。
【0051】
本発明による構造的すべり軸受の前述の利点は、ここでは、対応する構造軸受システムによって達成される。互いに傾斜している第1のすべり軸受と第2のすべり軸受の2つの主要なすべり面は、一対の軸受内で、垂直方向および水平方向の力伝達の機能的統合を達成するため、構造軸受システム全体の機能的統合を達成する。したがって、移動軸を横切って作用する垂直力ならびに水平力は、第1のすべり軸受および第2のすべり軸受の一次すべり面によって吸収され得る。第1のすべり軸受は、移動軸を横切る1つの特定の方向からのみ水平力を吸収することができるが、反対方向からの水平力は、第2のすべり軸受によって吸収される。したがって、両方のすべり軸受は互いに補完し合い、構造軸受システムとしての前述の構造すべり軸受の機能と利点を可能にする。
【0052】
その結果、水平方向の力の伝達は両方のすべり軸受の傾斜した一次すべり面によって完全に満たされるため、ここでも中央または横方向に取り付けられたレール構造は不要になる。これにより、個々のすべり軸受の設計が大幅に簡素化され、その結果、対応する構造軸受システムの設計が大幅に簡素化される。対応する製造コストを大幅に削減できる。限られた範囲内でしか利用できない設置スペースも大幅に削減できる。これは、レール構造だけでなく、補完的なすべり板にも当てはまる。すべり板内またはすべり板上に、案内レールと係合するための部分または窪みは不要となった。したがって、すべり板の寸法、特に厚さを大幅に減らすことができる。同様に、レール構造の省略により、横方向の動きによるこの領域への汚れや異物の侵入の可能性も排除される。最終的には、摩擦とすり減りが大幅に少ない恒久的に潤滑されたすべり材料を案内表面に使用することもできる。
【0053】
さらに、2つの傾斜した一次すべり面は、2つのすべり板と2つのすべり軸受によって規定される移動軸に対して接続された構造で構成されるシステムを連続的に自己センタリングする。したがって、このシステムは、2つのすべり軸受の中間軸受部分に対して常に最適に配置され、移動軸に沿った端部圧縮の可能性を回避する。また、ガイドレール使用による軸受の遊びが現在では存在しない。したがって、このような配置は、高速鉄道用の橋の建設に特に有利である。ここでは、対応する横方向のオフセットを回避することが不可欠である。
【0054】
2つのすべり軸受の2つの別々のすべり板により、簡単な高さ調整がさらに提供される。特に、2枚のすべり板とそれぞれの軸受台部品との間の距離を調整することが可能である。したがって、2つの構造部品間の距離も変更される。2つのすべり板が、移動軸を横切る対応するすべり平面に沿って互いに同期して、または互いに離れるように押されると、2つのすべり板と2つのすべり軸受のそれぞれの軸受台との間の水平距離も変化する。他方、例えば、2つのすべり板のうちの一方のみがこのように変位する場合、または両方のすべり板の非同期変位もある場合、第2の構造部品は、第1の構造部品に対してその位置で傾斜している。あるいは、2つのすべり板を一体に形成することもできる。
【0055】
すでに上で説明したように、水平は構造軸受システムの運動面を参照して理解されるべきである。したがって、水平面は、狭義の水平面とは異なる向きを持つこともあり得る。
【0056】
有利なことに、少なくとも2つのすべり軸受は、すべりおよび傾斜軸受として設計されている。たとえば、球面軸受が考えられる。球面軸受は、上記の利点をもたらす。あるいは、少なくとも2つのすべり軸受をエラストマー軸受として設計することができる。すべり特性に加えて、中間軸受部の変形特性もあり、回転荷重や点荷重を特に効果的に補正することができる。
【0057】
有利には、第1のすべり平面および第2のすべり平面が第1の角度を取り囲み、構造軸受システムが使用状態にあるときに一次すべり面の領域に隙間が生じないように第1の角度が選択される。構造軸受システムが吸収できる最大の垂直力と水平力の比率は、2つの主要なすべり面の相互の傾きまたは最初の角度の選択によって設定できる。これは、個々の主要なすべり面の寸法を調整することなく行うことができる。したがって、2つの主要なすべり面の互いに対する傾斜を適切に選択することにより、構造軸受システムの使用状態での対応する最小垂直力と組み合わせた最大水平力を使用しても、一次すべり面の領域の隙間を回避することができる。たとえば、構造軸受システムがより高い水平荷重用に設計される場合、2つの傾斜した一次すべり面は、それらに作用するそれぞれの水平力に対して非常に急傾斜するように設計されているため、 構造軸受システムの使用状態では、それぞれの中間軸受部品は発生しない。同時に、可能な限り摩擦が少ないすべり材料を一次すべり面の領域に使用して、それにもかかわらず、動きの軸の方向へのすべり板の動きを可能な限り容易にすることができる。
【0058】
好ましくは、軸受の対は、すべり板が中間の軸受部分に対して移動軸に沿ってのみ移動することができる一軸案内された軸受の対である。これにより、構造軸受システムは、中間軸受部品に対して移動軸に沿ったものよりもすべり板のそれ以上の移動を阻止する。したがって、構造軸受システムは、一方向への水平移動が許可される場合に特に使用できる。
【0059】
好ましくは、第1のすべり平面および第2のすべり平面は、交線が水平に延びるように配置される。したがって、一対の軸受の移動軸も水平方向に伸びている。この構成では、一対の軸受に力の伝達に関して均一に荷重がかかる。さらに、すべり板は、移動軸の両方向に同じ抵抗で均一に移動できる。先に説明したように、水平方向は、構造軸受システムの移動面を参照して理解する必要がある。したがって、交差線は、狭義の水平線とは異なる方向をとることもあり得る。
【0060】
有利には、第1の角度は、構造軸受システムの極限状態において、一次すべり面の領域に隙間が生じないように選択される。構造軸受システムの荷重が使用状態からさらに大きくなると、極限状態が発生する。構造設計の基礎に関するDIN EN 1990:2010-12規格によると、この状態は崩壊または他の形態の構造破損に関連している。したがって、人の安全および/または構造物の安全に影響を与えるこれらの限界状態も、最終的な限界状態として分類される。したがって、この状態でも、一次すべり面の領域に隙間が生じないこと、またはすべり板が中間軸受部から離昇しないことが保証される。
【0061】
有利には、少なくとも1つの一次すべり面は、好ましくは、PTFE、UHMWPE、POMおよび/またはPAで、恒久的に潤滑されたすべり材料を有する。一次すべり面の領域に恒久的に潤滑されたすべり材料は、すべり板と中間軸受部分との間の摩擦を大幅に減らすことができる。一次すべり面が傾斜しているため、摩擦係数の低いすべり材を使用することができる。高い水平力の吸収は、主要なすべり面を適切に傾斜させることですでに可能である。これにより、移動軸に沿ったすべり板のスライドが容易になる。好ましくは、すべり材料は、すべり材料の圧縮の定格値に対して0.03以下の摩擦係数を有する。
【0062】
好ましくは、すべり材料は、少なくとも1つの潤滑されたすべりディスクを有し、これは、好ましくは、少なくとも1つの潤滑ポケットを有する。既製の潤滑ポケットは、潤滑剤を保管し、すべり面全体に均一に分散させることができる。これにより、摩擦係数が低く、特に摩耗の少ないすべり材料が得られる。これにより、移動軸に沿った対応するすべり板のスライド移動が容易になり、構造軸受システムのメンテナンス間隔が延長される。
【0063】
有利には、互いに向かって角度を付けられた少なくとも2つの主要なすべり面は、対応するすべり平面が傾斜した屋根の形状を形成するように配置される。この傾斜屋根は、交差線または移動軸が傾斜屋根の尾根を形成するように設計されている。傾斜屋根の形状は、一次すべり面の領域に汚れや異物が蓄積するのを可能な限り回避できるという特別な利点がある。これは、屋根の尾根としての移動軸が傾斜屋根の最上点を表すため、第1および第2のすべり軸受がすぐ近くに設置されている場合の移動軸の領域に特に当てはまる。
【0064】
有利には、互いに向かって角度を付けられた少なくとも2つの主要なすべり面は、対応するすべり平面が逆さまの傾斜した屋根の形状を形成するように配置される。ここでも、傾斜屋根は、交差線または移動軸が傾斜屋根の尾根を形成するように設計されている。屋根の形状が逆さまになっているため、垂直方向に設置スペースを追加することなく、移動軸に向かって端部でそれぞれのすべり板をより強くすることができる。したがって、負荷が増加しても、設置スペースを再び節約できる。
【0065】
有利には、互いに向かって角度を付けられた少なくとも2つの主要なすべり面が、垂直方向の交線を通る対称面に関して対称に形成される。本発明による構成は、2つのすべり軸受によって規定される移動軸に対して、すべり板および接続された構造の両方からなるシステムの改善された自己センタリングを可能にする。さらに、特にすべての側面からのバランスのとれた力の適用の場合、移動軸に沿った両方向のそれぞれのすべり板の変位の条件が可能な限り等しい場合は有利である。さらに、構造軸受システムは設計が単純であるため、製造に費用効果がある。上でさらに説明したように、垂直方向は、建物の軸受システムの移動面を参照して理解されるべきである。したがって、垂直方向は、狭義の垂直方向とは異なる方向をとることもできる。
【0066】
好ましくは、少なくとも2つの角度の付いた一次すべり面は、異なるサイズのものである。この設計は、さまざまな大きさの水平力がさまざまな方向から構造軸受システムに作用する場合に特に有利である。このようにして、本発明による構造軸受システムは、移動軸を横切る特定の水平方向から、反対方向からよりも大きな作用力を吸収できるように特別に設計することができる。このようにして、力が不均一に加えられた場合でも、隙間の発生、またはすべり板の離昇さえも確実にすることができる。
【0067】
有利には、少なくとも1つのすべり平面は、水平に対して、0度から10度、好ましくは6度の間の第2の角度だけ下向きに傾斜している。ここでは、水平に対してグライドプレーンが角度を付けて配置されているため、境界値0度は指定された範囲を含むとは見なされないことを釈明する。より急な第2の角度で、それに対応する移動軸を横切るより高い水平力は、それぞれの傾斜した部分的なすべり面によって吸収され得る。同時に、一次すべり面の領域で摩擦係数の低いすべり材料を使用することも可能である。一方では、これにより、中間軸受部分からのすべり板の隙間または離昇さえも防止することができる。一方、すべり板が移動軸に沿って移動する際の抵抗を最小限に抑える。上でさらに説明したように、水平は、構造軸受システムの移動面を参照して理解されるべきである。したがって、水平面は、狭義の水平面とは異なる向きを持つこともありえる。特に好ましくは、第2の角度は、少なくとも設計に許容されるように加えられる摩擦に対応する。
【0068】
好ましくは、第1の角度は、160度から180度、好ましくは168度の間である。ここでは、すべり平面が角度を付けて配置されているため、180度のエッジ値は指定された範囲を含むとは見なされないことを釈明する。より鋭角の第1の角度では、対応する移動軸を横切るより高い水平力が、それぞれの傾斜した一次すべり面によって吸収され得る。同時に、一次すべり面の領域で摩擦係数の低いすべり材料を使用することも可能である。一方では、これにより、中間軸受部分からのすべり板の隙間または離昇さえも防止することができる。一方、すべり板が移動軸に沿って移動する際の抵抗を最小限に抑える。
【0069】
有利には、第1のすべり軸受および/または第2のすべり軸受は、好ましくは横方向の迫台装置を有し、これは、軸受台に対するすべり板の動きを制限する。したがって、第1の構造部分に対する第2の構造部分の回転は中和される。好ましくは、迫台装置は、第2の構造部分に作用するトルクが、移動軸に平行な軸の周りで支持されるように設計される。迫台装置は、例えば、一体迫台装置または多数部分を有する迫台装置として設計することができる。一例では、迫台装置は軸受台に取り付けられている。
【0070】
有利には、迫台装置は、移動軸に面するか、または移動軸から離れて傾斜しているそれぞれのすべり軸受側に配置される。この配置により、移動軸に平行な軸の周りで第2の構造部分に作用するトルクを吸収することができる。好ましくは、迫台装置は、垂直方向により高いすべり軸受の側に配置される。これには、トルクが小さいか取るに足らない場合に、主に自重の垂直力成分が、操作上誘発される追加荷重に対して軸受に作用するという利点がある。これにより、迫台装置に課される力は完全になくなり、迫台装置の摩耗が大幅に減少し、寿命が延びる。
【0071】
有利には、迫台装置は、迫台装置の位置を調整するための調整装置を有する。状況に応じて、すべり軸受の個々の構成要素に対して迫台装置を最適かつ正確に調整することができる。調整装置は、例えば、ねじ接続を介して実施することができる。迫台装置の位置を特に正確におよび/または自動的に調整するために、調整装置が電気モーターを有することも考えられる。
【0072】
好ましくは、迫台装置は、移動軸に平行な方向にすべり板を案内するすべり装置を有する。すべり装置は、迫台装置が、移動軸に向かう、または移動軸から離れる動きを制限する機能にもかかわらず、可能な限り少ない摩擦で、移動軸に沿って軸受台に対してすべり板を動かし続けることを可能にする。一実施形態では、すべり装置は、すべり部分として設計されている。
【0073】
有利には、構造軸受システムは、少なくとも2対の軸受および軸を有する。対の軸受は軸に沿って連続して配置され、互いに向かって角度を付けられた一次すべり面は、一対の軸受の対応するすべり平面が、軸に沿って傾斜屋根の形状と逆さまの傾斜屋根の形状を交互に形成するように配置されている。好ましくは、軸は、形状が直線的であり得る。たとえば、道路、線路、またはパイプラインの場合のように、湾曲した軸も考えられる。一次すべり面の交互配置により、構造の可能なねじりトルクを目標の方法で吸収することができる。
【0074】
好ましくは、構造軸受システムは、少なくとも2対の軸受および軸を有する。対の軸受は軸に沿って連続して配置され、軸受のペアの対応するすべり平面が、軸に沿った軸受の2番目のペアごとに傾斜屋根の形状と逆さまの傾斜屋根の形状を交互に形成するように、互いに角度を付けた一次すべり面が配置される。好ましくは、軸は、形状が直線的であり得る。たとえば、道路、線路、またはパイプラインの場合のように、湾曲した軸も考えられる。この原理は、特に、構造軸受システムによって軸に沿って複数の単径間ビームが前後に支持されている場合に適用することができる。ここでは、各単径間ビームの一端が一対の軸受によって保持されている。単径間ビーム間の接続ポイントでは、両方のペアの軸受の主要なすべり面の一定の配置がそれぞれの場合に使用される。したがって、構造物が横方向に拡張する場合、2つの単径間ビーム間の接合部の高さオフセットを可能な限り小さく保つことができる。好ましくは、一次すべり面の傾斜は、そのような接続点の領域の軸に沿った2つの連続するすべり軸受についても同一である。これにより、高さのずれのリスクをさらに減らすことができる。
【0075】
したがって、本発明による構造すべり軸受および構造軸受システムは、設計が可能な限り単純であると同時に、メインテナンスを必要とせず、そして増加した力の下で確実に長期間動作することができる。したがって、構造すべり軸受および構造軸受システムの製造および操作に伴うコストと労力が削減される。
【0076】
以下では、本発明の有利な実施形態を、図を参照して概略的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】従来技術から知られ、本開示の導入部分に記載されている一軸案内ポット軸受の斜視図が示されている。
【
図2】従来技術から知られており、本開示の導入部分に記載されている一軸案内球面軸受の斜視図が示されている。
【
図3】第1の実施形態による球形軸受の形態の構造すべり軸受の斜視図が示されている。
【
図4】
図3に示した構造すべり軸受の分解図が示されている。
【
図5】
図3に示したすべり軸受を、すべり板を外した状態の概略上面図が示されている。
【
図6】
図5に示した線A-Aに沿った断面が示されている。
【
図7】
図5に示した線B-Bに沿った断面が示されている。
【
図8】構造すべり軸受の高さ調整を示す、第2の実施形態による球形軸受の形態の構造すべり軸受の一連の概略断面図が示されている。
【
図9】第3の実施形態による球形軸受の形態の構造すべり軸受の分解図が示されている。
【
図10】第4の実施形態による球形軸受の形態の構造すべり軸受の分解図が示されている。
【
図11】第5の実施形態によるポット軸受の形態の構造すべり軸受の分解図が示されている。
【
図12】第1の実施形態による構造軸受システムの概略側面図が示されている。
【
図13】第2の実施形態による構造軸受システムの概略側面図が示されている。
【
図14】第3の実施形態による構造軸受システムの概略側面図が示されている。
【
図15】第4の実施形態による構造軸受システムの概略上面図が示されている。
【
図16】第5の実施形態による構造軸受システムの概略上面図が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0078】
様々な実施形態における同一の構成要素は、同じ参照記号でマークされている。
【0079】
図3~7は、特に有利な第1の実施形態に対応する構造すべり軸受210の概略構造を示している。前記構造すべり軸受210は、一軸案内球面軸受の形で設計されており、力伝達のために、第1の構造部分に接続することができる軸受台212、中間軸受部分214としてのキャロット、および第2の構造部分に接続することができるすべり板216を有する。
【0080】
前記軸受台212は、キャロットがその凸状部分220によってスライドを受けられるという点で、凹状部分218を含む。したがって、前記キャロットの凸部220と前記軸受台212の凹部218との間に、構造的すべり軸受210の二次すべり面222がある。前記二次すべり面222の領域では、ポリマーすべりディスクの形態のすべり材料224が、前記軸受台212の凹部218上に配置されている。これは、前記キャロットの凸状部分220と前記軸受台212の凹状部分218との間の摩擦を低減することができる。したがって、前記軸受台212に対するキャロットの移動が容易になり、前記構造的すべり軸受210は、垂直軸および水平軸の周りの回転を可能にする。
【0081】
特に
図4の分解図から分かるように、前記すべり板216は、上で第2の構造部分に接続されるキャロット上にスライド可能な状態で載っている。したがって、前記構造すべり軸受210の前記主すべり面226は、前記キャロットとすべり前記板216との間に配置されている。
図5の平面図および
図6および7の断面図に示されるように、前記一次すべり面226は、互いに傾斜している2つの部分的なすべり面228Aおよび228Bを含む。部分的なすべり面228Aおよび228Bの両方は、2つの相互に角度を付けられたすべり平面230Aおよび230Bに配置され、これらは、交差点Sの共通の水平線で交わる。交線Sは、前記構造すべり軸受210の移動軸Aを形成し、それに沿って前記すべり板216が移動することができる。したがって、第2の構造部分に対する第1の構造部分の適切な変位を許容することができる。
【0082】
互いに傾斜している2つの部分的なすべり面228Aおよび228Bは、対応するすべり平面230Aおよび230Bが傾斜屋根の形状を形成するように配置されている。ここで考えられるのは、逆さまの傾斜屋根(図示せず)の形状であり、それぞれの場合に移動軸Aが傾斜屋根の尾根を形成している。さらに、2つの相互に傾斜した部分すべり面228Aおよび228Bは、等しいサイズであり、垂直方向に交線Sを通って延びる対称面Eに関して互いに対称的に形成される。あるいは、前記2つの相互に傾斜した部分的なすべり面228Aおよび228Bもまた、異なるサイズであり得る(示されていない)。
【0083】
さらに、前記一次すべり面226は、キャロットとすべり板216との間の摩擦を低減するためのすべり材料232を有する。この場合、2つの相互に傾斜した部分すべり面228Aおよび228Bのそれぞれは、恒久的に潤滑されたポリマーすべりディスクを有し、それらのそれぞれは、キャロット上の窪み234に取り付けられている。前記ポリマーすべりディスクは、PTFE、UHMWPE、POM、および/またはPAでできており、潤滑剤を保管して接触面全体に均一に供給することができる事前に形成された潤滑ポケットを備えている。結果として、前記すべり材料232は、摩擦係数が非常に低く、その使用において特に摩耗が少ない。本実施形態では、摩擦係数は最大0.03である。
【0084】
互いに対して傾斜している前記一次すべり面226または2つの前記部分すべり面228Aおよび228Bの特別な配置は、垂直および水平の力伝達の機能的組み合わせを可能にする。したがって、前記構造すべり軸受210は、一方で、2つの相互に傾斜した前記部分すべり面228Aおよび228Bを介して垂直方向に作用する力を吸収し、それらを第2の構造部分から第1の構造部分に伝達することができる。したがって、この実施形態では、垂直方向に作用する力は、前記すべり板216、前記キャロット、および前記軸受台212を介して、前記第2の構造部分から第1の構造部分に導入される。他方、移動軸Aを横方向に向けられた水平力はまた、2つの相互に傾斜した前記部分すべり面228Aおよび228Bによって吸収され、2つの前記構造部品間でそれに応じて伝達され得る。
【0085】
移動軸Aを横切る吸収可能な垂直荷重および水平力の比は、2つの前記部分的なすべり面228Aおよび228Bまたは対応する2つのすべり平面230Aおよび230Bの傾斜によって調整することができる。したがって、すべり平面230Aおよび230Bの両方は、前記構造すべり軸受210が使用されているときに一次すべり面226の領域に隙間が生じないように選択された第1の角度αを含む。実際、前記構造すべり軸受210の第1の角度αは、前記構造すべり軸受210の極限状態においても、前記一次すべり面226の領域に隙間が生じないように選択されている。
図3~7に示される前記構造すべり軸受210は、168度の第1の角度を有する。しかしながら、前記構造すべり軸受210が非常に高い水平力のために設計されるべきである場合、より鋭い第1の角度αが使用され得る。
【0086】
代替的または追加的に、2つの前記すべり平面230Aおよび230Bの傾斜はまた、水平Hに対するそれらの交差角度を介して指定され得る。したがって、前記スライド面230Aおよび230Bの両方は、水平Hに対して第2の角度βだけ下向きに傾斜している。本実施形態では、前記構造すべり軸受210のすべり面230Aと230Bの両方が、同じ第2の角度β(6度)を有する。しかしながら、非常に高い水平力の適用の場合、特に急な角度が選択され得る。異なる方向からの異なるレベルの力の適用に特に対応するために、前記すべり平面230Aがすべり平面230Bとは異なる第2の角度βを有することも可能であろう(図示せず)。
【0087】
図8は、構造すべり軸受の高さ調整を示す、第2の実施形態による構造すべり軸受310の2つの概略断面図のシーケンスを示している。前記構造すべり軸受310は、第1の実施形態の前記構造すべり軸受210と実質的に同様である。同一の構成要素については、以下ではこれ以上説明しない。
【0088】
しかしながら、前記構造すべり軸受310は、前記すべり板316が複数の部分に形成され、対応するすべり板部316Aと316Bとの間の距離が調整可能であるという点で、第1の実施形態の前記構造すべり軸受210とは異なる。この実施形態では、前記すべり板316は、単に2つの半分に分割され、その結果、前記すべり板316は、2つの同じサイズのすべり板部分316Aおよび316Bによって形成される。 2つの前記すべり板部分316Aおよび316Bはそれぞれ、互いに対して傾斜している2つの前記部分的なスライディング面228Aおよび228Bのうちの1つに沿って配置されている。これは、前記第2の構造部分の水平接続を提供するために協力するためである。
【0089】
図8の2つの断面の左側には、高さ調整前の構造すべり軸受310の初期状態が示されている。2つの前記すべり板部分316Aおよび316Bは、水平方向の第1の距離d1で互いに分離して配置されている。この場合、すべり板部品316Aおよび316Bの両方は、移動軸Aから同じ水平距離を有する。この配置では、前記構造すべり軸受310は、第1の全高G1を有する。
【0090】
2つのすべり板部316Aおよび316Bが、それぞれの前記部分すべり面228Aおよび228Bに沿って同期して互いに向かってまたは互いに離れるように押されると、前記構造すべり軸受の第1の全高G1は、高さ差ΔHだけ変化する。したがって、前記構造すべり軸受310の簡単な高さ調整が可能になる。
図8の右断面において、2つの前記すべり軸受部分316Aおよび316Bが互いに向かって適切に動かされた後の前記構造すべり軸受310の最終状態の例が示されている。図から分かるように、2つの前記すべり板部分316Aと316Bとの間の水平方向の第1の距離d1は、水平方向の第2の距離d2まで減少している。それにもかかわらず、すべり板部品316Aおよび316Bの両方は、依然として、それぞれ、移動軸Aから同じ水平距離を有する。したがって、前記第1の全高G1は、それに対応して、高さ差ΔHによって第2の全高G2まで増加する。一方、2つの前記すべり板部分316Aおよび316Bが離れて移動される場合、第1の全高G1はそれに応じて減少する。
【0091】
図9は、有利な第3の実施形態による、本発明による構造すべり軸受410の概略分解図を示している。前記構造すべり軸受310は、本質的に、第1の実施形態の前記構造すべり軸受210に対応する。同一の構成要素については、以下ではこれ以上説明しない。
【0092】
しかしながら、前記構造すべり軸受410は、前記軸受台412の凹部418が下部極Pに窪み436を含むという点で、第1の実施形態の前記構造すべり軸受210とは異なる。したがって、窪み436の領域では、キャロットの凸状部分220は、軸受台412の凹状部分418と接触しない。本実施形態では、この窪み436は、第2のすべり面422の領域のすべり材料424のポリマーすべりディスクに形成される。これに関して、前記窪み436は、下部極Pに対して中心がなされる円形の形状を有する。
【0093】
下極Pの窪み436は、慣性半径を増加させる。したがって、作用する垂直荷重からの反作用圧力は、持ち上げる水平力からの圧力と比較して増加する。この比率は、前記窪み436の直径Dによって制御することができる。したがって、一方では、さらに大きな力を前記構造的すべり軸受410によって収容することができる。他方、前記窪み436を備えた前記構造すべり軸受410は、吸収可能な垂直方向の力と水平方向の力との間の比率を調整するためのさらなる調整の可能性を提供する。したがって、互いに傾斜した2つの前記部分すべり面228Aおよび228Bの傾斜の選択は、多種多様な力効果のために構造すべり軸受410を最適に設計するために、前記窪み436の直径Dに適合させることができる。
【0094】
図10には、有利な第4の実施形態による、本発明による構造すべり軸受510の概略分解図が示されている。前記構造すべり軸受510は、第1の実施形態の前記構造すべり軸受210に実質的に対応する。同一の構成要素については、以下ではこれ以上説明しない。
【0095】
前記構造すべり軸受510は、すべり板516が2つの迫台538を含むという点で、第1の実施形態の前記構造すべり軸受210とは異なる。迫台538は、それぞれ中央、横方向、および反対側にすべり板516上に配置されている。両方のストップ538は、前記軸受台212の方向に突出し、その結果、迫台538は、前記軸受台212とすべり板516との間に配置される。したがって、前記軸受台212に対するすべり板516の動きは制限される。この実施形態では、前記迫台538は、構造用すべり軸受510を固定軸受に変換するように構成される。
【0096】
図11は、有利な第5の実施形態による、本発明による構造すべり軸受610の斜視図を示している。前記構造すべり軸受610は、第1の実施形態の前記構造すべり軸受210と実質的に同一である。同一の構成要素については、以下ではこれ以上説明しない。
【0097】
しかしながら、前記構造すべり軸受610は、ポット軸受として構成されているという点で、第1の実施形態の前記構造すべり軸受210とは異なる。したがって、中間軸受部614は、すべり板216がスライド可能な方法で載るポット蓋として形成される。他方、前記軸受台612は、その上に配置されたポット蓋、したがってポット軸受のわずかな回転または変位を可能にするために、エラストマーパッド640と一緒にポットを有する。それに応じて、説明した一次すべり面のすべての利点が適用される。
【0098】
図12には、第1の実施形態による、本発明による構造軸受システム700の概略側面図が示されている。ここで、前述の構造用すべり軸受の利点は、2つの別個のすべり軸受710Aおよび710Bによって実現される。したがって、前記構造軸受システム700は、第1の構造部品712を第2の構造部品714に接続するために、第1のすべり軸受710Aおよび第2のすべり軸受710Bを有する。この例では、第1のすべり軸受710Aおよび第2のすべり軸受710Bは、それぞれすべりおよび傾斜軸受である。
【0099】
第1のすべりおよび傾斜軸受710Aおよび第2のすべりおよび傾斜軸受710Bは、基本的に同一の構成要素を有する。したがって、第1のスライドおよびチルトベアリング710Aは、第1の構造部品712に取り付けることができる軸受台716A、第2の構造部品714に取り付けることができるすべり板718A、および軸受台716Aとすべり板718Aとの間に配置されている中間軸受部720Aまたは傾斜部を含む。これに関して、第1のすべりおよび傾斜軸受710Aの平面の一次すべり面722Aは、中間軸受部分720Aとすべり板718Aとの間に延びる。
【0100】
第2のスライドおよびチルトベアリング710Bもまた、第1の構造部品712に取り付けることができる軸受台716B、第2の構造部品714に取り付けることができるすべり板718B、および軸受台716Bとすべり板718Bとの間に配置された中間軸受部720Bまたは傾斜部分を有する。したがって、第2のすべり傾斜軸受710Bの平面一次すべり面722Bも、ここでは、中間軸受部分720Bとすべり板718Bとの間に延びる。
【0101】
すべり軸受と傾斜軸受710Aと710Bの両方が、一軸案内の対の軸受を形成する。ここで、第1のすべり傾斜軸受710Aの一次すべり面722Aは、水平Hに対して傾斜した第1のすべり平面724Aに配置されている。また、第2のすべり傾斜軸受710Bの一次すべり面722Bは、水平Hに対して傾斜した第2のすべり面724Bに配置されている。それにより、滑走面724Aおよび724Bの両方が、交差点Sの共通の水平線で交わり、それにより、一対の軸受の移動軸Aを形成し、それに沿って2つの滑走板718Aおよび718Bが移動することができる。したがって、第2の構造部分714に対する第1の構造部分712の対応する変位が許容され得る。
【0102】
2つの傾斜した一次すべり面722Aおよび722Bは、第1のすべり平面724Aおよび第2のすべり面724Bが逆さまの傾斜屋根の形状を形成するように配置されている。ここで考えられるのは、通常の傾斜屋根(図示せず)の形状であり、それぞれの場合に移動軸Aが傾斜屋根の尾根を形成している。さらに、2つの相互に傾斜した一次すべり面722Aおよび722Bは、等しいサイズであり、垂直方向に交差線Sを通って延びる対称面Eに関して互いに対称的に形成される。あるいは、相互に傾斜した2つの一次すべり面722Aおよび722Bもまた、異なるサイズであり得る(示されていない)。
【0103】
さらに、2つの主要なすべり面722Aおよび722Bのそれぞれは、2つの中間軸受部720Aおよび720Bとそれぞれのすべり板718Aおよび718Bとの間の摩擦を低減するためのすべり材料726を含む。この場合、2つの傾斜した一次すべり面722Aおよび722Bのそれぞれは、恒久的に潤滑されたポリマーすべりディスクを含み、これらのそれぞれは、それぞれの中間軸受部材720Aおよび720B上の窪み728に配置される。ポリマーすべりディスクは、PTFE、UHMWPE、POM、および/またはPAでできており、潤滑剤を保管して接触面全体に均一に供給することができる事前に形成された潤滑ポケットを備えている。結果として、すべり材料726は、摩擦係数が非常に低く、その使用において特に摩耗が少ない。本実施形態では、摩擦係数は最大0.03である。
【0104】
2つの主要なすべり面722Aおよび722Bの特別な配置により、一対のベアリング内の垂直方向および水平方向の力の伝達の機能的統一もここで達成される。したがって、一方で、一対のベアリングは、2つの傾斜した一次すべり面722Aおよび722Bを介して垂直に作用する力を吸収し、それらを第2の構造部分714から第1の構造部分712に伝達することができる。したがって、この実施形態では、垂直方向に作用する力は、2つのすべり板718Aおよび718B、2つの中間軸受部720Aおよび720B、ならびに軸受台716Aおよび716Bをそれぞれ介して、第2の構造部品714から第1の構造部品712に導入される。他方、移動軸Aを横方向に向けられた水平力はまた、互いに対して傾斜している2つの主要なすべり面722Aおよび722Bによって吸収され得、それに応じて2つの構造部品712および714の間で伝達される。
【0105】
移動軸Aを横切る吸収可能な垂直荷重および水平力の比は、2つの一次すべり平面722Aおよび722B、または第1のすべり平面724Aおよび第2のすべり平面724Bの傾斜によって調整することができる。したがって、すべり平面724Aおよび724Bの両方は、構造軸受システム700が使用されているときに2つの主要なすべり面722Aおよび722Bの領域に隙間が形成されないように選択された第1の角度αを含む。構造軸受システム700の第1の角度αは、構造軸受システム700の極限状態においてさえ、2つの主要なすべり面722Aおよび722Bの領域に隙間が生じないようにさえ選択される。図示の構造軸受システム700は、140度の第1の角度αを有する。しかしながら、構造軸受システム700がより低い水平力のために設計されるべきである場合、160度から180度または正確に168度の間など、より鈍角な第1の角度αが使用され得る。
【0106】
代替的または補足的に、第1のすべり平面724Aおよび第2のすべり平面724Bの傾斜はまた、水平Hに対するそれらの交差角を介して指定することができる。したがって、すべり平面724Aおよび724Bの両方は、水平Hに対して第2の角度βだけ下向きに傾斜している。本実施形態では、構造軸受システム700の両方のすべり平面724Aおよび724Bは、同じ第2の角度β(この場合は20度)を有する。ただし、水平方向の力の適用が0度から10度の間、または正確に6度の間など、より少ない場合は、より浅い2番目の角度βを選択できる。異なる方向からの異なるレベルの力の適用に特に対応するために、すべり平面724Aがすべり平面724Bとは異なる第2の角度βを有することも可能であろう(図示せず)。
【0107】
構造軸受システム700では、2つのすべり軸受および傾斜軸受710Aおよび710Bがそれぞれ別個のすべり板718Aおよび718Bを有するので、ここでも、対応する一対の軸受を用いて簡単な高さ調整が成功する。
図8に示される高さ調整の原理を適用することができ、ここで、2つのすべり板718Aおよび718Bは、それぞれ、2つの部分のすべり板316のすべり板部分316Aおよび316Bをそれぞれ表す。
【0108】
図13には、第2の実施形態による、本発明による構造軸受システム700の概略側面図が示されている。第2の実施形態の構造軸受システム700は、本質的に、第1の実施形態の構造軸受システム700に対応する。同じ設計の構成要素については、以下ではこれ以上説明しない。
【0109】
第2の実施形態の構造軸受システム700は、2つの傾斜した一次すべり面722Aおよび722Bが、第1のすべり平面724Aおよび第2のすべり平面724Bが通常の傾斜屋根の形状を形成するように配置されているという点で、第1の実施形態の構造軸受システム700とは異なる。さらに、第1のすべりおよび傾斜軸受710Aは、軸受台716Aに対するすべり板718Aの動きを制限する横方向迫台装置730Aを含む。迫台装置730Aは、移動軸Aに面する第1のスライドおよび傾斜ベアリング710Aの側面に配置されている。この目的のために、迫台装置730Aは、一体的に形成され、軸受台716Aに取り付けられている。さらに、迫台装置730Aは、移動軸Aに平行な方向にすべり板718Aを案内するスライディングバーの形態のすべり装置732Aを有する。調整装置によって、迫台装置730Aの軸受台716Aからの、したがってまたすべり板718Aからの横方向距離を調整することができる。これは、ここでは、軸受台716Aと迫台装置730Aの間のネジ接続によって実現される。
【0110】
さらに、第2のスライディングおよびチルトベアリング710Bは、軸受台716Bに対するすべり板718Bの動きを制限する横方向迫台装置730Bを有する。迫台装置730Bは、第2のスライドおよびチルトベアリング710Bの移動軸Aに面する側に配置される。この目的のために、迫台装置730Bは、一体的に形成され、軸受台716Bに固定される。さらに、迫台装置730Bは、移動軸Aに平行な方向にすべり板718Bを案内するスライディングバーの形態のすべり装置732Bを有する。調整装置によって、迫台装置730Bの軸受台716Bからの、したがってまたすべり板718Bからの横方向距離を調整することができる。これは、軸受台716bと迫台装置730bとの間のねじ接続によってここでも達成される。
【0111】
トルクMが、時計回りの方向に移動軸Aに平行な軸の周りで第2の構造部品714に作用する場合、それは、第1のスライドおよび傾斜ベアリング710Aの橋台装置730Aに対して引っ張られ、第2のスライドおよび傾斜ベアリング710Bの基部の瞬間回転中心MPにおいて反対側で支持される。結果として、力Fが迫台装置730Aに作用して、第2の構造部分714の回転を打ち消す。反時計回りのトルクの場合も同様である。この場合、第2の構造部品714は、第2のスライドおよび傾斜ベアリング710Bの迫台装置730Bに対して引っ張られ、第1のスライドおよび傾斜ベアリング710Aの基部の瞬間回転中心において反対側で支持される。
【0112】
この実施形態では、迫台装置730Aおよび730Bの両方が、垂直方向により高い対応するスライドおよび傾斜ベアリング710Aおよび710Bの側面に配置されている。したがって、作用トルクが小さいか無視できる場合、主に自重の垂直力成分が、動作によって誘発される追加荷重に対してベアリングに作用し、それによって迫台装置730Aおよび730Bは完全に力がなくなる。したがって、適切な寸法を使用すると、迫台装置730Aおよび730Bが作動することはめったになく、これは疲労による寿命に有利である。
【0113】
図14は、第3の実施形態による本発明による構造軸受システム700の概略側面図を示している。第3の実施形態の構造軸受システム700は、本質的に、第2の実施形態の構造軸受システム700に対応する。同じ設計の構成要素については、以下ではこれ以上説明しない。
【0114】
第3の実施形態の構造軸受システム700は、第1のすべり軸受710Aおよび第2のすべり軸受710Bがエラストマー軸受として設計されているという点で、第2の実施形態の構造軸受システム700とは異なる。この目的のために、それぞれの中間軸受部品720Aおよび720Bは、対応する変形特性をもたらすエラストマー層を有する。
【0115】
図15には、第4の実施形態による、本発明による構造軸受システム800の概略上面図が示されている。構造軸受システム800は、軸Bに沿って配置された2対の軸受810および820を有する。ベアリング810および820の各対は、2つのスライディングベアリング810A、810B、820A、820Bを含む。したがって、第1の対の軸受810は、第1のすべり軸受810Aおよび第2のすべり軸受810Bを含む。第2の対の軸受820は、第1のすべり軸受820Aおよび第2のすべり軸受820Bを含む。
【0116】
第2の構造部品714は、構造軸受システム800によって支持されている。これにより、2対のベアリング810および820が、第2の構造部品714の細長い端部に配置され、その結果、単径間ビームが形成される。ベアリング810の第1の対は、
図12に示されるように、第1の実施形態の構造的ベアリングシステム700のベアリングの対に対応する。したがって、互いに向かって角度を付けられた2つの主要なすべり面は、対応するすべり平面が逆さまの傾斜した屋根を形成するようにここに配置される。
【0117】
ベアリング820の第2の対は、同様に、第1の実施形態のものと本質的に同じである。ただし、ここでは、相互に角度を付けた2つの主要なすべり面が、対応するすべり平面が通常の傾斜屋根の形状を形成するように配置されている。したがって、ベアリング810、820の対の相互に角度を付けられた一次すべり面は、ベアリング810の第1の対およびベアリング820の第2の対の対応するすべり平面が軸Bに沿って傾斜した屋根の形と逆さまの傾斜した屋根の形を交互に形成するように配置される。この原理は、3つ以上の連続する対の軸受にも適用できる。軸Bに沿って相互に角度を付けられた一次すべり面を交互に配置することは、第2の構造部品714のねじりトルクを吸収するのに特に効果的であり得る。別の実施形態では、第2または第3の実施形態の構造軸受システム700のベアリングの対が、構造軸受システム800のために使用される。
【0118】
図16は、第5の実施形態による、本発明による構造軸受システム900の概略上面図を示している。構造軸受システム900は、軸Bに沿って配置された4対の軸受910、920、930、940を有する。ベアリング910、920、930、940の各対は、2つのスライディングベアリングを含む。したがって、軸受910、920、930、940のすべての対は、第1のすべり軸受910A、920A、930A、940Aおよび第2のすべり軸受910B、920B、930B、940Bを含む。第2の構造部分914は、2つの単径間ビーム914A、914Bを含む。両方の単径間ビーム914A、914Bは、軸Bに沿ってすぐに連続して配置される。個々の単径間ビーム914A、914Bは、例えば、線路セクション、道路セクション、またはパイプラインのセクションを表すことができる。
【0119】
前と同じように、2つの単径間ビーム914A、914Bは、それらの細長い端部でベアリング910、920、930、940の対によって支持されている。したがって、第1の単径間ビーム914Aは、第1の対のベアリング910および第2の対のベアリング920によって支持されている。一方、第2の単径間ビーム914Bは、第3の対のベアリング930および第4の対のベアリング940によって支持されている。
【0120】
ベアリング910、920、930、940のすべての対は、第1の実施形態の構造的ベアリングシステム700のベアリングの対と実質的に同じである。しかしながら、ここでは、互いに傾斜した一次すべり面は、対の軸受910、920、930、940の対応するすべり平面が、軸Bに沿ったベアリングの第2のペアごとに、傾斜屋根の形状および逆さまの傾斜屋根の形状を交互に形成するように配置されている。特に、第1の対の軸受910および第4の対の軸受940の2つのすべり面は、傾斜した屋根の形状を有する。一方、第2の対の軸受920および第3の対の軸受930の2つのすべり平面は、逆さまの傾斜屋根の形態である。したがって、一次すべり面またはすべり平面の同じ配置が、両方の単径間ビーム914A、914Bの接続点の領域で使用される。
【0121】
第2対の軸受920の第1のすべり傾斜軸受920Aと第3対の軸受930の第1のすべり傾斜軸受930Aの主すべり面の傾斜は同一である。したがって、対応する第1の角度と第2の角度もここでは同じである。同じことが、第2の対の軸受920の第2のすべりおよび傾斜軸受920Bの第1のすべり面および第3の対の軸受930の第2のすべりおよび傾斜軸受930Bにも当てはまる。このようにして、2つの単径間ビーム714A、714Bの間の接続点の領域における高さのオフセットは、構造の横方向の拡張の場合に可能な限り小さく保たれる。さらなる実施形態では、第2または第3の実施形態の構造軸受システム700の一対の軸受が、構造軸受システム900に使用される。
【符号の説明】
【0122】
10 ポット軸受、12 ポット、14 窪み、16 エラストマーパッド、18 内部シール、20 ポット蓋、22 すべり板、24 一時すべり面、26 すべり材料、28 中央案内レール、30 すべり材料、110 球面軸受、112 軸受台、114 キャロット、116 二次すべり面、118 すべり材料、120 すべり板、122 一次すべり面、124 すべり材料、126 横方向案内レール、128 すべり材料、210 構造すべり軸受、212 軸受台、214 中間軸受部、216 すべり板、218 凹部、220 凸部 222 二次すべり面、224 すべり材料、226 一次すべり面、228A 部分すべり面、228B 部分すべり面、230A 角度を付けられたすべり面、230B 角度を付けられたすべり面、232 すべり材料、234 窪み、310 構造すべり軸受、316 すべり板、316A すべり板部、316B すべり板部、316B すべり板部、410 構造すべり軸受、412 軸受台、418 凹部、422 二次すべり面、424 すべり材料、436 窪み、510 構造すべり軸受、516 すべり板、538 迫台、610 構造すべり軸受、612 軸受台、614 中間軸受部、640 エラストマー相、700 構造すべり軸受、710A 一次すべり軸受、710B 二次すべり軸受、712 一次構造部、714 二次構造部、716A 軸受台、716B 軸受台、718A すべり板、718B すべり板、720A 中間軸受部、720B 中間軸受部、722A 一次すべり面、722B 一次すべり面、724A 一次すべり平面、724B 二次すべり平面、726 すべり材料、728 窪み、730A 迫台装置、730B 迫台装置、732A すべり装置、732B すべり装置、800 構造軸受システム、810 第一の対の軸受、810A 一次すべり軸受、810B 二次すべり軸受、820 第二の対の軸受、820A 一次すべり軸受、820B 二次すべり軸受、900 構造すべり軸受、910 第一の対の軸受、910A 一次すべり軸受、910B 二次すべり軸受、914 第二構造部、914A 第一単径間ビーム、914B 第二単径間ビーム、920 第二の対の軸受、920A 一次すべり軸受、920B 二次すべり軸受、930 第一の対の軸受、930A 一次すべり軸受、930B 二次すべり軸受、940 第一の対の軸受、940A 一次すべり軸受、940B 二次すべり軸受、A 移動軸、B 軸、D 直径、E 対称面、F 力、G1 第一全高、G2 第二全高、H 水平、M トルク、MP 瞬間回転中心部、P 下部柱、S 交線、d1 第一距離、d2 第二距離、α 第一角度、β 第二角度、ΔH 高低差。