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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】管理システム、及びバッテリ
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20241203BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20241203BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H02J7/04 H
H02J13/00 311S
H01M10/42 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022565008
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2020044542
(87)【国際公開番号】W WO2022113354
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】藤山 貴士
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-222945(JP,A)
【文献】特開2019-187231(JP,A)
【文献】特開2017-45449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/04
H02J 13/00
H01M 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器に着脱自在に搭載され、前記機器に電力を供給可能なバッテリを管理する管理システムであって、
前記バッテリが返却されるバッテリステーションと、
前記バッテリを保有するユーザを識別するユーザ識別情報に紐づけられた前記機器の固有の機器識別情報を記憶する、前記バッテリに設けられたバッテリ側記憶部と
前記機器への装着状態で、前記機器が保有する使用時認証識別情報と前記機器識別情報との一致を判定した場合に、前記バッテリの電力供給を行う一方で、前記使用時認証識別情報と前記機器識別情報との不一致を判定した場合に、前記バッテリの電力供給を停止する、前記バッテリに設けられた制御部と
を有し、
前記バッテリステーション又は前記バッテリは、前記ユーザ識別情報を取得する取得部を有し、
前記バッテリに設けられた前記制御部、又は、前記バッテリステーションに設けられたレンタル制御部は、選択したバッテリに対して、前記取得部が取得した前記ユーザ識別情報に紐づけられた前記機器識別情報を前記バッテリ側記憶部に記憶させ、
前記バッテリに設けられた前記制御部、又は、前記バッテリステーションに設けられた前記レンタル制御部は、前記バッテリステーションに返却された前記バッテリのバッテリ識別情報と、前記取得部が取得した前記ユーザ識別情報に紐づけられたバッテリ識別情報とが一致した場合、前記機器識別情報を前記バッテリ側記憶部から削除することを特徴とする管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の管理システムにおいて、
前記バッテリステーションは、前記バッテリの充電を行う充電器、及び前記バッテリを交換する交換機のうち少なくとも一方であることを特徴とする管理システム。
【請求項3】
請求項2記載の管理システムにおいて
記ユーザに前記バッテリを貸し出す場合に、前記取得部から前記ユーザ識別情報を取得することに基づき前記機器識別情報を前記バッテリ側記憶部に記憶し、
前記ユーザが前記バッテリを返却する場合に、前記取得部から前記ユーザ識別情報を取得することに基づき前記バッテリ側記憶部から前記機器識別情報を削除することを特徴とする管理システム。
【請求項4】
請求項3記載の管理システムにおいて、
前記バッテリステーションは、前記バッテリを取出可能状態と取出不能状態を切り替え可能であり、
前記機器識別情報を記憶していない前記バッテリを前記取出不能状態とし、前記ユーザに前記バッテリを貸し出す場合に、前記機器識別情報を記憶した前記バッテリを前記取出不能状態から前記取出可能状態に移行することを特徴とする管理システム。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の管理システムにおいて、
前記バッテリステーションと情報通信可能であり、前記バッテリの利用を契約した前記ユーザの前記ユーザ識別情報と前記機器識別情報を紐づけて記憶するデータベースを有する管理サーバを有し
前記管理サーバは、前記取得部において取得された前記ユーザ識別情報に基づき前記データベースから前記機器識別情報を抽出し、抽出した前記機器識別情報を前記バッテリステーションに送信することを特徴とする管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の管理システムにおいて、
前記管理サーバは、取得した前記ユーザ識別情報に基づき前記バッテリを利用可能なユーザか否かを認証するユーザ認証部を有することを特徴とする管理システム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の管理システムにおいて、
前記管理サーバは、前記バッテリを前記ユーザに貸し出す場合に、貸し出す前記バッテリの貸出個数と前記ユーザ識別情報とを紐づけて管理し、
前記ユーザが前記バッテリを持ち出す個数が前記貸出個数以下の場合に、前記ユーザによる前記バッテリの持ち出しを許容し、
前記ユーザが前記バッテリを持ち出す個数が前記貸出個数を上回る場合に、前記ユーザによる前記バッテリの持ち出しを規制することを特徴とする管理システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の管理システムにおいて、
前記バッテリ側記憶部は、前記機器識別情報を複数記憶可能であることを特徴とする管理システム。
【請求項9】
請求項8記載の管理システムにおいて、
前記バッテリに設けられた前記制御部、又は、前記バッテリステーションに設けられた前記レンタル制御部は、前記ユーザから前記ユーザ識別情報を取得した場合に、複数の前記機器識別情報を、前記バッテリ側記憶部にまとめて記憶する又は前記バッテリ側記憶部からまとめて削除することを特徴とする管理システム。
【請求項10】
器に着脱自在に搭載され、前記機器に電力を供給可能なバッテリであって、
前記機器の固有の機器識別情報を記憶するバッテリ側記憶部と
前記機器への装着状態で、前記機器が保有する使用時認証識別情報と前記機器識別情報との一致を判定した場合に、前記バッテリの電力供給を行う一方で、前記使用時認証識別情報と前記機器識別情報との不一致を判定した場合に、前記バッテリの電力供給を停止する制御部と
前記バッテリを保有するユーザを識別するユーザ識別情報を取得する取得部と、
を有し、
前記バッテリのバッテリ識別情報と、前記取得部に入力された前記ユーザ識別情報に紐づけられたバッテリ識別情報とが一致した場合、前記機器識別情報は、前記制御部により、前記バッテリ側記憶部に記憶される又は前記バッテリ側記憶部から削除されることを特徴とするバッテリ。
【請求項11】
請求項10記載のバッテリにおいて、
前記機器識別情報は、
前記ユーザに前記バッテリが貸し出される場合に、前記取得部が前記ユーザ識別情報を取得することに基づき前記バッテリ側記憶部に記憶され、
前記ユーザが前記バッテリを返却する場合に、前記取得部が前記ユーザ識別情報を取得することに基づき前記バッテリ側記憶部から削除されることを特徴とするバッテリ。
【請求項12】
請求項10又は11記載のバッテリにおいて、
前記バッテリ側記憶部は、前記機器識別情報を複数記憶可能であることを特徴とするバッテリ。
【請求項13】
請求項12記載のバッテリにおいて、
複数の前記機器識別情報は、前記取得部が前記ユーザ識別情報を取得した場合に、前記バッテリ側記憶部にまとめて記憶される又は前記バッテリ側記憶部からまとめて削除されることを特徴とするバッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器に着脱自在に搭載されるバッテリを管理する管理システム、及びバッテリに関する。
【背景技術】
【0002】
着脱可能なバッテリを搭載して駆動する作業機や車両等の機器は、例えば、ユーザが機器から一時的に離れた際に、別の者によりバッテリが盗難される可能性がある。このため、特開2019-187231号公報に開示の認証システムのように、キャリア装置(機器)にバッテリ(電力供給装置)を搭載した際に認証を行うことで、バッテリの不正使用を未然に抑制する技術が提案されている。
【0003】
具体的には、特開2019-187231号公報に開示のバッテリは、複数の参照キャリア識別子を保有しており、搭載時の認証において、機器から固有キャリア識別子を取得し、参照キャリア識別子と固有キャリア識別子の一致を判定する。そして、バッテリは、認証が成立した場合に機器への電力供給を許容する一方で、認証が不成立の場合に機器への電力供給を停止する。
【発明の概要】
【0004】
ところで、特開2019-187231号公報のように、バッテリと機器との間で認証を行うシステムは、バッテリに記憶される識別情報を、ユーザ側において変更する(登録や消去する)ことができない。例えば、バッテリをユーザに貸し出す又は複数のユーザにより共有するシェアリングシステムでは、事業者のみが認証用の識別情報の登録、消去等を行うように構成される。
【0005】
しかしながら、このような構成であると、状況の変化(機器を利用しなくなった、別の機器にバッテリを使い回す等)に直ぐに対応することができない。そのため、ユーザに対する利便性が低下し、また識別情報を設定する事業者の負担が増加する等の不都合が生じる。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みたものであり、バッテリの盗難を抑制しつつ、利便性を一層高めることができる管理システム、及びバッテリを提供することを目的とする。
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明の第1態様は、機器に着脱自在に搭載され、前記機器に電力を供給可能なバッテリを管理する管理システムであって、前記バッテリは、前記機器の固有の機器識別情報を記憶するバッテリ側記憶部と、前記機器への装着状態で、前記機器が保有する使用時認証識別情報と前記機器識別情報との一致を判定した場合に、前記バッテリの電力供給を行う一方で、前記使用時認証識別情報と前記機器識別情報との不一致を判定した場合に、前記バッテリの電力供給を停止する制御部と、を有し、前記バッテリを保有するユーザを識別するためのユーザ識別情報を取得した場合に、前記機器識別情報を、前記バッテリ側記憶部に記憶する又は前記バッテリ側記憶部から削除する管理部を備える。
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の第2態様は、機器に着脱自在に搭載され、前記機器に電力を供給可能なバッテリであって、前記機器の固有の機器識別情報を記憶するバッテリ側記憶部と、前記機器への装着状態で、前記機器が保有する使用時認証識別情報と前記機器識別情報との一致を判定した場合に、前記バッテリの電力供給を行う一方で、前記使用時認証識別情報と前記機器識別情報との不一致を判定した場合に、前記バッテリの電力供給を停止する制御部と、を有し、前記機器識別情報は、前記バッテリを保有するユーザを識別するためのユーザ識別情報を取得した管理部により、前記バッテリ側記憶部に記憶される又は前記バッテリ側記憶部から削除される。
【0009】
上記の管理システム、及びバッテリは、バッテリの盗難を抑制しつつ、利便性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る管理システムの全体構成を示す説明図である。
図2】シェアリングシステムの利用手順を示すフロー図である。
図3】シェアリングシステムで貸し出されるバッテリを示す斜視図である。
図4】バッテリの利用契約時の流れを示す説明図である。
図5】利用契約データベースを例示する表である。
図6】ユーザ識別情報の取得時におけるバッテリステーション及び管理サーバの動作を説明するためのブロック図である。
図7】ユーザによるバッテリの借り受け時の処理を例示するフローチャートである。
図8】バッテリを機器に搭載した際の動作を説明するためのブロック図である。
図9】バッテリの搭載時の処理フローを示すフローチャートである。
図10】ユーザによるバッテリの利用終了時の処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
本発明の一実施形態に係る管理システム10は、図1に示すように、事業者から複数のユーザUにバッテリ14を貸し出す(リース又はレンタルする)シェアリングシステム12に適用される。シェアリングシステム12においてバッテリ14を借り受けたユーザUは、バッテリ14を機器16に搭載し、バッテリ14の電力供給に基づき、機器16を使用する。なお、シェアリングシステム12の「ユーザU」とは、一個人を指すと共に、複数人の団体(会社、グループ等)を指すものである。また、シェアリングシステム12は、事業者がユーザUにバッテリ14を貸し出す形態に限らず、1以上のバッテリ14を複数のユーザU間で共有する形態でもよい。
【0013】
ユーザUに貸し出されるバッテリ14は、種々の機器16に着脱自在に搭載される汎用型の着脱式バッテリである。ユーザUの機器16は、ユーザUが所有するものでもよく、或いはバッテリ14とは別に借り受けたものでもよい。この機器16としては、作業機(例えば、建設機械、重機、工業用機器、家庭用機器)や移動体(例えば、四輪自動車、二輪自動車、電動自転車、カート、ロボット)等があげられる。図1には、機器16としてバッテリ14の電力供給により動作する電動ショベルカーを代表的に図示している。機器16は、モータ等の駆動源18、制御装置20aを含む電装品20等を備え、搭載されたバッテリ14から駆動源18又は電装品20に電力が供給されることで動作を行う。なお、機器16は、バッテリ14の非搭載時に、電装品20を低電力で駆動するための電池部(不図示)を備えた構成でもよい。
【0014】
ここで、本発明の理解の容易化のため、図2を参照して、本実施形態に係るシェアリングシステム12の利用手順について説明する。
【0015】
シェアリングシステム12の利用において、ユーザUは、まずシェアリングシステム12の事業者との間でバッテリ14の利用契約を行う(ステップS1)。この利用契約に応じた利用期間中に、ユーザUは、適宜のバッテリステーション22(図1参照)に赴いてバッテリ14を借り受ける(ステップS2)。
【0016】
そして、ユーザUは、借り受けたバッテリ14を機器16に搭載して機器16を利用する(ステップS3)。利用期間中にバッテリ14の電池残量が少なくなった場合、ユーザUは、受け取ったバッテリステーション22又は受け取りと異なるバッテリステーション22にバッテリ14を収容する。これにより、バッテリステーション22は、収容されたバッテリ14の充電を行う。バッテリ14の利用を継続する場合、ユーザUは、バッテリステーション22から充電済みのバッテリ14を新たに借り受ける。
【0017】
バッテリ14の利用を終了する場合、ユーザUは、バッテリステーション22にバッテリ14を返却し、さらに利用終了手続きを行うことで、利用契約を終了する(ステップS4)。
【0018】
以上の利用手順を実施するために、シェアリングシステム12は、図1に示すように、システムの事業者においてインターネットやイントラネット等のネットワーク24を利用したクライアントサーバ型に構築されている。シェアリングシステム12は、ネットワーク24に接続される構成として、事業者端末26、管理サーバ28、及び上記のバッテリステーション22を備える。或いは、バッテリ14自体がネットワーク24に接続可能な無線通信機能を持ち、ユーザUの利用中やバッテリステーション22での待機中に、管理サーバ28との間で通信を行う構成でもよい。
【0019】
シェアリングシステム12の事業者は、ユーザUがバッテリ14の利用を契約する際に訪問する事業者施設30を備える。事業者施設30には、事業者側の担当者Pが操作する事業者端末26が設置されている。例えば、事業者端末26は、ネットワーク24を介して通信可能なコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ)が適用される。なお、事業者端末26は、PDA、タブレット、スマートフォン、携帯電話、ウェアラブルコンピュータ等の情報処理端末が適用されてもよい。また、事業者は、事業者端末26を持ち歩いて営業を行ってもよく、事業者施設30を備えなくてもよい。
【0020】
事業者は、利用契約を行ったユーザUに対してユーザ識別情報(以下、ユーザIDという)を付与する。ユーザIDは、バッテリ14を保有(「貸与」又は「所有」の概念を含む)するユーザUを個別に識別するための情報を言う。ユーザIDは、ユーザUの指定、又は事業者側の自動付与により設定され、事業者端末26を介して管理サーバ28に送信されることで、事業者端末26及び管理サーバ28に管理される。また事業者施設30は、RFタグを内蔵したICカード32と、事業者端末26に接続されICカード32に情報を書き込むライタ34とを有する。事業者は、ユーザIDを含む情報が記憶されたICカード32を、利用契約を行ったユーザUに発行する。
【0021】
バッテリステーション22は、複数のバッテリ14を収容可能なスロット36をマトリクス状に配置した棚状に形成され、例えば、事業者施設30の屋外に設置される。バッテリステーション22は、ユーザU又は事業者側の担当者Pによりバッテリ14が収容された際に、バッテリ14の充電を行う充電器としての機能と、他のバッテリ14に交換する交換機としての機能とを有する。なお、バッテリステーション22は、街中の様々な場所に設置されることがより好ましい。バッテリステーション22は、例えば、機器16により作業を行う場所(作業現場)に一時的に設置されてもよい。
【0022】
バッテリステーション22は、図示しない1以上のプロセッサ、メモリ、入出力インタフェースを含むコンピュータ(レンタル制御部38)を有すると共に、管理サーバ28との間で通信可能に構成される。本シェアリングシステム12において、相互に情報通信可能に構成されるレンタル制御部38及び管理サーバ28は、ユーザID及び後記の機器識別情報を管理する管理部40に相当する。
【0023】
バッテリステーション22の外部には、レンタル制御部38の制御下に画像を表示すると共にユーザUによる画像操作を認識するタッチパネル42又は他の操作部と、ユーザUのICカード32の情報を読み取るリーダ44(入力部)とが設けられる。さらに、バッテリステーション22のスロット36は、収容されたバッテリ14との間で情報通信を行う図示しない通信モジュールと、バッテリ14の取出許容状態と取出不可状態を切り替えるバッテリロック機構46と、を有する。
【0024】
バッテリステーション22のレンタル制御部38は、通信モジュールを介して収容されたバッテリ14からバッテリ識別情報(以下、バッテリIDという)、バッテリ14の電池残量等の情報を取得し、取得した情報を管理サーバ28に自動的に送信する。またレンタル制御部38は、ユーザUによるタッチパネル42の操作、及びリーダ44が取得したICカード32の情報を処理し、管理サーバ28との間で情報通信を行うことで、ユーザUに貸し出すバッテリ14を適宜管理する。
【0025】
ユーザUに貸し出されるバッテリ14は、例えば図3に示すように、全体的に角柱状に形成されており、一端部にユーザUが把持するための取手50を有する。また、バッテリ14は、実際に電力を蓄積及び放出する電池セル本体52と、電力を入出力可能な複数の端子54と、バッテリ14の充放電を制御する制御回路56とを有する。
【0026】
電池セル本体52は、液体電池、全固体電池等の電池セル(不図示)を複数接続することで、適宜の出力電圧、電池容量等を有するように構成される。複数の端子54は、例えば、取手50と反対側(又は同側)に設けられ、バッテリ14を機器16に搭載した際に図示しない機器側端子に接触すると共に、バッテリ14をバッテリステーション22に収容した際に図示しないバッテリステーション側端子に接触する。
【0027】
制御回路56は、図示しない1以上のプロセッサ、メモリ、入出力インタフェースを含むコンピュータに構成されている。制御回路56は、バッテリ14を機器16に搭載した際に認証を行うと共に、電池セル本体52の放電を制御する。この構成については後に詳述する。
【0028】
以下、本実施形態に係るシェアリングシステム12の構成について、図2の利用手順に沿ってさらに詳しく説明していく。シェアリングシステム12の利用を要望するユーザUは、事業者施設30に赴き、事業者との間でバッテリ14の利用契約を行う(ステップS1)。利用契約に赴く前に、図4に示すように、ユーザUは、バッテリ14を搭載する機器16の情報として、機器識別情報(以下、機器IDという)を事前に用意する。
【0029】
機器IDは、通常付されている機器16固有の識別子であり、たとえ同一機種であっても異なるコードに設定される。例えば、機器IDは、製造業者によって機器16の製造時に設定され、機器16を識別するための情報として取扱説明書又は保証書等に添付される。また、機器16の制御装置20aは機器IDを予め記憶している。シェアリングシステム12は、ユーザUが所持するユーザ端末60(スマートフォン、ラップトップコンピュータ、PDA、タブレット等の携帯型情報処理装置)と機器16とが互いに情報通信可能に構成されてもよい。この場合、図4に示すように、ユーザ端末60の図示しないアプリケーションは、機器16との通信を行うことで、機器16から機器IDを自動取得する構成とすることができる。
【0030】
バッテリ14の利用契約において、事業者施設30に赴いたユーザUは、バッテリ14の利用条件、機器IDを事業者施設30の担当者Pに伝えて利用契約を行う。利用条件としては、ユーザUの個人情報(例えば、氏名、住所、電話番号、メールアドレス)、利用開始日時、利用終了日時、利用個数、利用場所等があげられる。担当者Pは、利用条件及び機器IDを事業者端末26に入力すると共に、事業者端末26を介して管理サーバ28にアクセスして、ユーザU固有のユーザIDを設定する。なお、シェアリングシステム12を既に利用してユーザIDが設定されている場合、担当者Pは、ユーザIDを読み出して、ユーザIDに紐づくように利用条件を入力する。
【0031】
事業者端末26に入力されたユーザID、利用条件及び機器IDは、管理サーバ28に送信され、事業者端末26及び管理サーバ28にて管理される。バッテリ14の利用において複数の機器16を使用する場合には、ユーザUは、機器16毎の機器IDを用意する。事業者端末26及び管理サーバ28は、入力された複数の機器IDをユーザIDに紐づけて管理する。
【0032】
管理サーバ28は、利用契約データベース62(以下、利用契約DB62という)を予め保有しており、事業者端末26からユーザID、利用条件及び1以上の機器IDが送信されると、利用契約DB62に登録する。図5に示すように、利用契約DB62は、ユーザID、個人情報、利用開始日時、利用終了日時、利用個数、利用場所、1以上の機器IDを相互に紐づけた状態で記憶する。管理サーバ28は、日時を計測しつつ利用契約DB62を参照することで、所定の時点における、利用契約したユーザUへのバッテリ14の貸与状態を監視する。
【0033】
図4に戻り、事業者は、事業者端末26に記憶されたユーザIDと、1以上の機器IDとを、ライタ34を介してICカード32に書き込むことで、ICカード32を発行する。なお、シェアリングシステム12は、ユーザID及び機器IDをICカード32に記憶することに限らず、ユーザ端末60等に記憶させる構成でもよい。ユーザ端末60は、バッテリステーション22のリーダ44に通信可能な通信モジュールを有し、ユーザUによりリーダ44に近接されることで、ユーザID等をレンタル制御部38に送信する。またシェアリングシステム12は、ICカード32にユーザIDのみを書き込む構成でもよい。
【0034】
利用契約が完了すると、ユーザUは、利用期間中に、バッテリステーション22からバッテリ14を借り受ける(図2のステップS2)。この際、図6に示すように、バッテリステーション22のレンタル制御部38と管理サーバ28は、それぞれ適宜の処理を行いつつ相互間で情報通信を行うことで、ユーザUにバッテリ14を貸し出す。レンタル制御部38には、貸出処理部70、充電制御部72及び返却処理部74が形成されている。また管理サーバ28内には、ユーザ認証部64、バッテリ監視部66、バッテリデータベース68(以下、バッテリDB68という)が構築されている。
【0035】
バッテリDB68は、事業者が提供している複数のバッテリ14の情報が記憶されている。例えば、バッテリDB68には、バッテリID、所属するバッテリステーション22(又は現在位置)、電池残量、貸出中/未貸出等の貸出状態、貸出中のユーザUの利用期間(利用開始日時、利用終了日時)、貸出中のユーザUのユーザID等が記憶される。利用契約DB62とバッテリDB68とは、相互にフェデレーション可能に連携しており、両方に共通する情報のうち一方の情報が書き換えられた場合に、他方の情報も書き換えられる。
【0036】
レンタル制御部38の貸出処理部70は、例えば、図7の処理フローに沿って、バッテリ14をユーザUに貸し出す際の処理を行う。具体的には、ユーザUがICカード32を所持してバッテリステーション22に向かい、バッテリステーション22のタッチパネル42を介してバッテリ14の借り受け操作を行う。貸出処理部70は、この借り受け操作を認識すると、ICカード32をリーダ44にかざすように案内する(ステップS2-1)。ユーザUがICカード32をリーダ44に近接させると、リーダ44はICカード32の情報(ユーザID、機器ID)を読み取り、この情報をレンタル制御部38に送信する。
【0037】
そして、貸出処理部70は、ICカード32の情報をリーダ44から取得して記憶する(ステップS2-2)。さらに、貸出処理部70は、ユーザUからの貸し出しの要求を示す貸出要求情報と共に、ユーザIDを管理サーバ28に送信する(ステップS2-3)。
【0038】
管理サーバ28のユーザ認証部64は、バッテリステーション22から貸出要求情報及びユーザIDを受信すると、利用契約DB62を読み出し、ユーザIDに基づき利用契約DB62に登録されているユーザUの利用条件を抽出する(ステップS2-4)。さらに、ユーザ認証部64は、現在の日時と、抽出した利用条件の利用開始日時及び利用終了日時とが一致しているか否かを判定すると共に、バッテリDB68を参照して現在ユーザUに貸出中のバッテリ14の個数と利用条件の利用個数とを比較する。つまり、本実施形態に係るシェアリングシステム12は、現タイミングで、バッテリ14を貸し出すことができる正規のユーザUか否かを管理サーバ28において認証している(ステップS2-5)。
【0039】
そして、ユーザ認証において、ユーザ認証部64は、バッテリ14を貸出可能なユーザUであることを判定すると、貸出許可指示をバッテリステーション22に送信する(ステップS2-6)。貸出許可指示には、バッテリ14の貸出を許容する情報の他に、利用個数、機器IDが含まれる。なお、ユーザ認証部64は、ユーザUが利用契約をしていない、貸出要求のタイミングが利用期間に一致しない、予定の利用個数を既に貸し出している等の場合に、貸出不許可指示をバッテリステーション22に送信する。貸出処理部70は、貸出不許可指示を受信すると、タッチパネル42にバッテリ14を貸し出せない旨及びその理由情報を表示する。
【0040】
一方、貸出処理部70は、貸出許可指示を受信して記憶すると、収容されているバッテリ14の電池残量を確認し、利用個数に応じて充分な電池残量を有するバッテリ14を選択する(ステップS2-7)。この際、レンタル制御部38は、複数個のバッテリ14が未貸出の場合、複数のバッテリ14を選択する。また例えば、利用契約における利用個数が2個で、且つ1個のバッテリ14をユーザUに貸し出している場合、貸出許可情報に基づき、レンタル制御部38は1個のバッテリ14を選択する。
【0041】
さらに、貸出処理部70は、選択したバッテリ14の制御回路56に対し、ユーザIDに紐づいている機器IDを書き込む(ステップS2-8)。バッテリ14の制御回路56は、1以上の機器IDを記憶及び消去可能なバッテリ側記憶部80を内部に形成しており、このバッテリ側記憶部80に機器IDを記憶した状態でユーザUに貸し出される。なお、複数のバッテリ14をユーザUに貸し出す場合に、貸出処理部70は、各バッテリ14に機器IDを付与する。また、ユーザIDに複数の機器IDが紐づいている場合に、貸出処理部70は、個々のバッテリ14毎に複数の機器IDを付与する。
【0042】
そして、貸出処理部70は、選択したバッテリ14を取出不能状態としているバッテリロック機構46を解錠し(ステップS2-9)、解錠したバッテリ14の位置をユーザUに報知する。これにより、ユーザUは、解錠されたバッテリ14を取り出すことで、バッテリ14を借り受ける。
【0043】
また、貸出処理部70は、ユーザUに貸し出したバッテリ14の情報(バッテリID、電池残量等)を管理サーバ28に送信する(ステップS2-10)。管理サーバ28は、バッテリ14の情報を受信すると、バッテリDB68を読み出して、バッテリIDとユーザIDとを紐づけた状態とし且つバッテリ14の貸出状況を貸出中に変える処理を行って、バッテリDB68を更新する(ステップS2-11)。
【0044】
なお、バッテリ14の借り受け時の処理フローは、上記に限定されるものではない。例えば、ユーザUがバッテリ14を借り受けるバッテリステーション22が定まっている場合、管理サーバ28が日時に応じてユーザUの利用条件(ユーザID、利用個数)をレンタル制御部38に予め送信し、レンタル制御部38にてユーザ認証を実施してもよい。また例えば、シェアリングシステム12は、管理サーバ28からレンタル制御部38に送信した機器IDをバッテリ14に付与する構成とせずに、ICカード32から取得した機器IDをバッテリ14に付与する構成としてもよい。
【0045】
次に、ユーザUが借り受けたバッテリ14を利用する際(図2のステップS3)の処理について説明する。この際、シェアリングシステム12は、バッテリ14と機器16との間で、利用のためにユーザUが予め登録した機器16であるか否かを認証する機器認証を行う。この機器認証により、シェアリングシステム12は、ユーザUが登録した機器16へバッテリ14の充電電力を供給する一方で、登録していない機器16に対する電力供給を禁止する。
【0046】
具体的には図8に示すように、バッテリ14の制御回路56は、ユーザUによるバッテリ14の借り受け時に、バッテリステーション22から送信された機器IDをバッテリ側記憶部80に記憶している。また制御回路56内には、メモリに記憶された図示しないプログラムをプロセッサが実行処理することで、各種の機能部が形成されている。詳細には制御回路56は、機器16との間で情報通信を行う通信部82と、機器認証を行うための機器認証部84と、バッテリ14から機器16への放電を制御する放電制御部86とを備える。
【0047】
制御回路56の通信部82は、バッテリ14が機器16のホルダに装着された際に、機器16の制御装置20aとの間で通信を行って、制御装置20aが記憶している使用時認証識別情報(以下、使用時認証IDという)を取得する。この使用時認証IDは、機器16が予め有している機器IDそのもの(機器IDに関する情報)である。使用時認証IDの取得に伴い、機器認証部84は、機器IDと使用時認証IDとを照合し、機器IDと使用時認証IDの一致又は不一致を判定する。そして、ID同士が一致している場合には、バッテリ14の電力を供給可能な機器16であることを認証する(以下、ID同士が一致した機器16を正規機器という)。なお、機器認証部84は、正規機器を一旦確定した後も、機器認証を定期的に行うことで、機器16に対するバッテリ14の継続的な使用を確認し続けることが好ましい。
【0048】
放電制御部86は、機器認証部84による正規機器の認証がなされるまで、バッテリ14から機器16への電力供給を禁止した放電禁止状態としている。従って機器16の駆動停止が継続される。機器認証部84が機器IDと使用時認証IDとの不一致を認証した場合も、放電制御部86は放電禁止状態を維持する。これにより、シェアリングシステム12は、正規機器とは異なる機器16にバッテリ14が利用されることを防いで、バッテリ14の盗難を抑止することができる。
【0049】
放電制御部86は、機器IDと使用時認証IDとの一致(正規機器)を認証した場合に、放電禁止状態からバッテリ14の電力供給を許容する放電許容状態に移行する。これにより、機器16は、バッテリ14から駆動源18又は電装品20に電力が供給されることになり、ユーザUの操作下に適宜の動作を行う。
【0050】
また、機器16は、バッテリ14の離脱を防止する離脱防止機構88(図1参照)を備えることが好ましい。離脱防止機構88は、例えば、バッテリ14を収容するケースを閉塞する蓋88aと、蓋88aをロックするロック部(不図示)とで構成される。制御装置20aは、バッテリ14の制御回路56から正規機器の情報を受信すると、離脱防止機構88を動作して蓋88aをロックする。これにより機器16は、ユーザUの利用中に、例えばユーザUが一時的に機器16を離れた場合等において、バッテリ14の盗難を防ぐことができる。
【0051】
以下、図9を参照して、バッテリ14の搭載時における処理フローについて説明する。ユーザUが借り受けたバッテリ14を、目的の機器16のホルダに装着することで、バッテリ14の制御回路56(通信部82)は、機器16から使用時認証IDを自動的に取得する(ステップS3-1)。
【0052】
そして制御回路56の機器認証部84は、予め記憶している機器IDと、取得した使用時認証IDとが一致しているか否かを判定する機器認証を行う(ステップS3-2)。
【0053】
機器認証において、機器IDと使用時認証IDが一致した場合(ステップS3-2:YES)、機器認証部84は、バッテリ14が搭載された機器16について正規機器であることを認証する(ステップS3-3)。これにより、制御回路56の放電制御部86は、放電禁止状態から放電許容状態に切り換えることで、バッテリ14から機器16への電力供給を可能にする(ステップS3-4)。また、制御回路56は、正規機器である旨(認証OK)の情報を機器16の制御装置20aに送信する(ステップS3-5)。これにより、制御装置20aは、例えば、離脱防止機構88にロック指令を出力することで、離脱防止機構88はバッテリ14のロックを行うことができる。
【0054】
一方、機器認証において、機器IDと使用時認証IDが不一致の場合(ステップS3-2:NO)、機器認証部84は、バッテリ14が搭載された機器16について正規機器ではない(非正規機器である)と認識する(ステップS3-6)。これにより、制御回路56の放電制御部86は、バッテリ14の放電を禁止した放電禁止状態を継続する(ステップS3-7)。
【0055】
以上のように、バッテリ14は、機器16への装着に伴い機器IDを用いた機器認証を行うことで、ユーザUが登録した機器16に対してのみ充電電力を供給することが可能となる。
【0056】
図6に戻り、ユーザUは、バッテリ14の利用期間中に、バッテリ14の電池残量が少なくなると、バッテリステーション22又は他の充電器にバッテリ14を収容することで、バッテリ14の充電又は交換を行う。バッテリステーション22の充電制御部72は、バッテリ14の収容に伴って制御回路56と通信を行い、バッテリID及び電池残量を取得し、充電状態を管理する。この際、充電制御部72は、機器IDを記憶したままバッテリ14の充電を行うことができ、これによりユーザUは同じバッテリ14を簡単に持ち出すことができる。なお、充電のためにバッテリ14を収容した際に、管理部40は、ICカード32からユーザIDを取得してユーザ認証を行う構成でもよい。これにより正規のユーザUが収容した際のみにバッテリ14の充電を行うことができ、バッテリ14の盗難を一層抑制することができる。
【0057】
或いは、ユーザUは、現在のバッテリ14を充電済みの別のバッテリ14と交換したい場合、タッチパネル42を介して交換を要求する操作を行う。この際、充電制御部72は、ICカード32をリーダ44にかざすように案内する。ICカード32のユーザIDを読み取ると、充電制御部72は、スロット36に収容された現在のバッテリ14の機器IDを消去すると共に(後記のバッテリ14返却時の処理も参照)、充電済みの別のバッテリ14を選択する。さらに、充電制御部72は、選択したバッテリ14に機器IDを付与することで、このバッテリ14をユーザUに貸し出すことができる。なお、バッテリ14を交換した場合、レンタル制御部38は交換したバッテリ14のバッテリIDを管理サーバ28に送信し、管理サーバ28は、この送信情報に基づきバッテリDB68のバッテリIDと、ユーザID及び機器IDの紐づきを更新する。
【0058】
次に、ユーザUが借り受けたバッテリ14の利用を終了する際(図2のステップS4)の処理について説明する。図10に示すように、バッテリステーション22のレンタル制御部38と管理サーバ28は、それぞれ適宜の処理を行いつつ相互間で情報通信を行うことで、バッテリ14の利用終了の処理を行う。この際、レンタル制御部38の返却処理部74(図6参照)は、ユーザUによるバッテリ14の返却操作と、ICカード32からのユーザIDの取得とに基づき、収容されたバッテリ14に記憶されている機器IDを削除する。
【0059】
詳細には、返却処理部74は、タッチパネル42を介してユーザUによる返却操作を認識すると、返却予定のバッテリ14をスロット36に収容するように案内すると共に、ICカード32をリーダ44にかざすように案内する(ステップS4-1)。ユーザUがICカード32をリーダ44に近接させると、リーダ44はICカード32の情報(ユーザID)を読み取り、この情報をレンタル制御部38に送信する。これにより返却処理部74は、ICカード32の情報を取得して記憶する(ステップS4-2)。
【0060】
また返却処理部74は、取得したユーザIDを管理サーバ28に送信する(ステップS4-3)。管理サーバ28のバッテリ監視部66は、ユーザIDに基づきユーザUに貸し出しているバッテリID(以下、貸出済IDという)をバッテリDB68から抽出し(ステップS4-4)、バッテリステーション22に貸出済IDを送信する(ステップS4-5)。
【0061】
一方、返却処理部74は、スロット36に収容されたバッテリ14からバッテリIDを取得して記憶する(ステップS4-6)。そして、返却処理部74は、取得したバッテリIDと、受信した貸出済IDとを照合し、相互のIDが一致しているか否かを判定する(ステップS4-7)。
【0062】
そして、返却処理部74は、バッテリIDと貸出済IDが一致した場合に、そのバッテリ14に記憶されている機器IDを削除する(ステップS4-8)。すなわち、バッテリステーション22は、ICカード32からのユーザIDの取得に基づき、バッテリ14の機器IDを削除する。これにより、バッテリ14は、機器IDを有さないブランクの状態となり、ユーザUによるバッテリ14の返却が完了する。
【0063】
この際、返却処理部74は、バッテリ14が機器IDを複数記憶している場合でも、ユーザIDの取得によって、複数の機器IDをまとめて削除する。また、返却処理部74は、ユーザUが複数のバッテリ14を各スロット36に収容した場合に、各バッテリ14の機器IDをまとめて削除する。
【0064】
さらに、返却処理部74は、ユーザUによる返却が完了したバッテリ14の情報(バッテリID、電池残量等)を管理サーバ28に送信する(ステップS4-9)。管理サーバ28は、このバッテリ14の情報を受信すると、バッテリDB68を読み出して、バッテリIDに紐づいたユーザID及び機器IDを削除すると共に、バッテリ14の貸出状況を未貸出に更新する(ステップS4-10)。
【0065】
以上のように、シェアリングシステム12は、バッテリ14が機器IDに基づく機器認証を行って放電の許可と禁止を切り替えることでバッテリ14の盗難を抑制することができる。しかも、バッテリ14内の機器IDは、バッテリステーション22(充電器又は交換機)によって、ユーザIDを取得することで簡単に記憶又は削除することができる。
【0066】
またシェアリングシステム12は、ユーザUに貸し出すバッテリ14の個数(利用個数)をユーザID単位で管理し、ユーザIDに紐づいた個数のバッテリ14に機器IDを付与することになる。このため、シェアリングシステム12は、一のユーザUのみにバッテリ14を多数貸し出すことを回避して、他のユーザUが貸出を受けられなくなることを抑制することができる。
【0067】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、発明の要旨に沿って種々の改変が可能である。シェアリングシステム12(管理システム10)は、ユーザUが所持するユーザ端末60から管理サーバ28にアクセスして、バッテリ14の利用契約(機器IDの申請を含む)を行う構成でもよい。この際、管理サーバ28がユーザ端末60にユーザIDを送信することで、ユーザ端末60がユーザIDを管理することができる。そして、ユーザUがバッテリステーション22に赴いてバッテリ14を借り受ける場合に、バッテリステーション22にユーザIDを入力することで、バッテリステーション22はバッテリ14に機器IDを記憶してバッテリ14を貸し出す。
【0068】
また他の変形例として、管理システム10は、ユーザUが所有する又は借り受けたバッテリ14、充電器(不図示)及び機器16によっても構成することができる。この場合、充電器は、1以上のプロセッサ、メモリ、入出力インタフェースを有するコンピュータからなる上記の管理部40の機能を有する。充電器は、ユーザIDを取得することに基づき、バッテリ14のバッテリ側記憶部80に機器IDを書き込み可能、且つバッテリ側記憶部80の機器IDを削除可能に構成される。
【0069】
このようにユーザUが所有する又は借り受けたバッテリ14についても、機器IDを用いて機器認証を行うことで、そのバッテリ14の盗難を抑制することができる。またユーザIDに基づき充電器が機器IDを記憶及び削除することで、ユーザUは、バッテリ14を適用する機器16を簡単に切り替えることができる。
【0070】
或いは、管理システム10は、上記した管理部40の機能を、ユーザUが所有する又は借り受けたバッテリ14の制御回路56自体に備えていてもよい。例えば、バッテリ14は、ユーザIDを取得可能なリーダ等の取得部(不図示)を有すると共に、制御回路56内においてユーザID及び機器IDを予め記憶している。そして、制御回路56は、取得部を介してユーザIDを取得した際に、記憶しているユーザIDとの照合を行いID同士が一致した場合に、記憶している機器IDを削除する。
【0071】
この場合、放電制御部86は、機器IDを保有している場合には上記した機器認証を実施することで、ID同士の一致により電力供給を行い、ID同士の不一致により電力供給を禁止する。その一方で機器IDを保有していない場合には、放電制御部86は、機器認証を行わずに装着された機器16に対して電力供給を行う構成とするとよい。これにより、ユーザUは、予め使用を想定していた機器16とは別の機器16を急に使用することになった場合に、機器IDを削除することで別の機器16に対してバッテリ14を適用することができる。
【0072】
機器認証部84や放電制御部86は、バッテリ14の制御回路56に設けられるだけでなく、機器16の制御装置20aに設けられてもよい。ユーザIDは、ユーザUのICカード32又はユーザ端末60をバッテリステーション22のリーダ44により読み取る構成に限定されず、ユーザUがタッチパネル42又は他の操作部を操作して入力する構成でもよい。バッテリステーション22は、バッテリ14の充電を行う充電器としての機能と、バッテリ14を交換する交換機としての機能との両方を持つことに限らず、充電器又は交換機のいずれか一方の機能を有する構成でもよい。
【0073】
上記の実施形態から把握し得る技術的思想及び効果について以下に記載する。
【0074】
本発明の第1態様は、機器16に着脱自在に搭載され、機器16に電力を供給可能なバッテリ14を管理する管理システム10であって、バッテリ14は、機器16の固有の機器識別情報(機器ID)を記憶するバッテリ側記憶部80と、機器16への装着状態で、機器16が保有する使用時認証識別情報(使用時認証ID)と機器識別情報との一致を判定した場合に、バッテリ14の電力供給を行う一方で、使用時認証識別情報と機器識別情報との不一致を判定した場合に、バッテリ14の電力供給を停止する制御部(制御回路56)と、を有し、バッテリ14を保有するユーザUを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID)を取得した場合に、機器識別情報を、バッテリ側記憶部80に記憶する又はバッテリ側記憶部80から削除する管理部40を備える。
【0075】
上記によれば、管理システム10は、バッテリ14の制御部(制御回路56)により機器識別情報(機器ID)と使用時認証識別情報(使用時認証ID)との一致を判定した場合にバッテリ14の電力供給を行う。このため、管理システム10は、バッテリ14の搭載に伴い目的の機器16を簡単に使用することができる。しかも、管理部40がユーザ識別情報(ユーザID)の取得に基づき、バッテリ側記憶部80の機器識別情報の記憶又は削除を行うので、バッテリ14の機器識別情報を容易に更新することができる。よって、管理システム10は、バッテリ14を様々な機器16に使いまわす等の利便性が一層高められる。機器識別情報の記憶又は削除にはユーザ識別情報が必要になるため、バッテリ14のユーザU以外の他者がバッテリ14の電力を使用できなくなり、その結果バッテリ14の盗難が抑制される。また、このようなシステムであれば、機器16を始動するための鍵(物理キー、イモビライザ等)をなくして、機器16の構成を簡素化することも可能となる。
【0076】
また、管理部40は、バッテリ14の充電を行う充電器、及びバッテリ14を交換する交換機のうち少なくとも一方を有する。このように、充電器又は交換機に機器識別情報(機器ID)の記憶及び削除を行う管理部40の機能をもたせることで、管理システム10は、バッテリ14に機器識別情報を記憶及び削除する構造が不要となり、バッテリ14の構成を簡素化することができる。
【0077】
また、充電器又は交換機は、ユーザUによりユーザ識別情報(ユーザID)が入力される入力部(リーダ44)を有し、ユーザUにバッテリ14を貸し出す場合に、入力部からユーザ識別情報を取得することに基づき機器識別情報(機器ID)をバッテリ側記憶部80に記憶し、ユーザUがバッテリ14を返却する場合に、入力部からユーザ識別情報を取得することに基づきバッテリ側記憶部80から機器識別情報を削除する。これにより、充電器又は交換機は、ユーザUにバッテリ14を貸し出す場合における機器識別情報の記憶と、ユーザUがバッテリ14を返却する場合における機器識別情報の削除と、を簡単に使い分けることができる。
【0078】
また、充電器又は交換機は、バッテリ14を取出可能状態と取出不能状態を切り替え可能であり、機器識別情報(機器ID)を記憶していないバッテリ14を取出不能状態とし、ユーザUにバッテリ14を貸し出す場合に、機器識別情報を記憶したバッテリ14を取出不能状態から取出可能状態に移行する。これにより、ユーザUは、機器識別情報を確実に記憶したバッテリ14を充電器又は交換機から取り出すことができる。
【0079】
また、管理部40は、充電器又は交換機と情報通信可能であり、バッテリ14の利用を契約したユーザUのユーザ識別情報(ユーザID)と機器識別情報(機器ID)を紐づけて記憶するデータベースを有する管理サーバ28を含み、管理サーバ28は、充電器又は交換機から取得したユーザ識別情報に基づきデータベースから機器識別情報を抽出し、抽出した機器識別情報を充電器又は交換機に送信する。このように、管理システム10は、管理サーバ28から充電器又は交換機に機器識別情報を送信することで、充電器又は交換機において機器識別情報を保有していなくても、バッテリ14に機器識別情報を記憶することができる。
【0080】
また、管理部40は、取得したユーザ識別情報(ユーザID)に基づきバッテリ14を利用可能なユーザUか否かを認証するユーザ認証部64を有する。このように、ユーザ認証部64を有することで、管理システム10は、バッテリ14を利用することができない者がバッテリ14を持ち出すことを防ぐことができる。
【0081】
また、管理部40は、バッテリ14をユーザUに貸し出す場合に、貸し出すバッテリ14の貸出個数とユーザ識別情報(ユーザID)とを紐づけて管理し、ユーザUがバッテリ14を持ち出す個数が貸出個数以下の場合に、ユーザUによるバッテリ14の持ち出しを許容し、ユーザUがバッテリ14を持ち出す個数が貸出個数を上回る場合に、ユーザUによるバッテリ14の持ち出しを規制する。これにより、管理システム10は、ユーザUが持ち出すバッテリ14の個数を制限することができ、他者がバッテリ14の貸し出しを受けられない状況を抑制することができる。
【0082】
また、バッテリ側記憶部80は、機器識別情報(機器ID)を複数記憶可能である。これにより、管理システム10は、ユーザUが所持する複数の機器16でバッテリ14を使い回すことが可能となる一方で、複数の機器16以外ではバッテリ14を使用不能とし、盗難を抑制することができる。
【0083】
また、管理部40は、ユーザUからユーザ識別情報(ユーザID)を取得した場合に、複数の機器識別情報(機器ID)を、バッテリ側記憶部80にまとめて記憶する又はバッテリ側記憶部80からまとめて削除する。これにより、管理システム10は、バッテリ14に対して複数の機器識別情報を簡単に記憶又は削除することができる。
【0084】
また、本発明の第2態様は、機器16に着脱自在に搭載され、機器16に電力を供給可能なバッテリ14であって、機器16の固有の機器識別情報(機器ID)を記憶するバッテリ側記憶部80と、機器16への装着状態で、機器16が保有する使用時認証識別情報(使用時認証ID)と機器識別情報との一致を判定した場合に、バッテリ14の電力供給を行う一方で、使用時認証識別情報と機器識別情報との不一致を判定した場合に、バッテリ14の電力供給を停止する制御部(制御回路56)と、を有し、機器識別情報は、バッテリ14を保有するユーザUを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID)を取得した管理部40により、バッテリ側記憶部80に記憶される又はバッテリ側記憶部80から削除される。これにより、バッテリ14は、バッテリ14の盗難を抑制しつつ、利便性を一層高めることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10