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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】情報処理システム及び入力制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04812 20220101AFI20241203BHJP
   G06F 3/04886 20220101ALI20241203BHJP
【FI】
G06F3/04812
G06F3/04886
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023018392
(22)【出願日】2023-02-09
(65)【公開番号】P2024113424
(43)【公開日】2024-08-22
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】白川 貴久
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特許第6372485(JP,B2)
【文献】韓国登録特許第10-1560748(KR,B1)
【文献】特開2012-160023(JP,A)
【文献】特開2010-009533(JP,A)
【文献】特開2010-239251(JP,A)
【文献】特許第6229315(JP,B2)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0130510(KR,A)
【文献】国際公開第2011/106468(WO,A2)
【文献】国際公開第2020/121776(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示部及び第1入力部を有する第1情報処理装置と、第2表示部を有する第2情報処理装置とを具備し、前記第1情報処理装置の前記第1入力部からの文字入力に応じて前記第1表示部及び前記第2表示部に文字列を表示可能な情報処理システムであって、
前記第1情報処理装置は、
前記第2表示部に表示されている文字列中のカーソルを移動させるカーソル移動指示が前記第1入力部から入力された場合に、カーソル移動に関するカーソル移動情報を前記第2情報処理装置に送信する送信部と、
前記第2情報処理装置から文字列を受信した場合に、受信した文字列を前記第1表示部に表示させる表示制御部と
を有し、
前記第2情報処理装置は、
前記カーソル移動情報を受信した場合に、前記第2表示部に表示された文字列中のカーソルを移動させる表示制御部と、
移動後のカーソル位置から特定される所定範囲の文字列を取得する文字列取得部と、
取得された前記文字列を文字入力のために前記第1情報処理装置に送信する送信部と
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記文字列取得部は、前記カーソル位置に基づいて段落単位で文字列を取得する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記文字列取得部が取得する文字列の条件をユーザが設定可能な構成とされている請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記文字列取得部は、前記第2表示部に表示されている文字列において所定の文字列が指定された場合に、指定された前記文字列を取得する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1入力部は、ソフトウェアキーボードを含む請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
第1表示部及び第1入力部を有する第1情報処理装置と、第2表示部を有する第2情報処理装置とを具備する情報処理システムに適用され、前記第1情報処理装置の前記第1入力部からの文字入力に応じて前記第1表示部及び前記第2表示部に文字列を表示する入力制御方法であって、
前記第1情報処理装置は、
前記第2表示部に表示されている文字列中のカーソルを移動させるカーソル移動指示が前記第1入力部から入力された場合に、カーソル移動に関するカーソル移動情報を前記第2情報処理装置に送信する工程と、
前記第2情報処理装置から文字列を受信した場合に、受信した文字列を前記第1表示部に表示させる工程と
を実行し、
前記第2情報処理装置は、
前記カーソル移動情報を受信した場合に、前記第2表示部に表示された文字列中のカーソルを移動させる工程と、
移動後のカーソル位置から特定される所定範囲の文字列を取得する工程と、
取得された前記文字列を文字入力のために前記第1情報処理装置に送信する工程と
を実行する入力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム及び入力制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、スマートフォンとディスプレイデバイスとを無線通信を介して接続し、スマートフォンをディスプレイデバイスのリモートコントローラとして使用する技術が開示されている。
また、近年、ノートPC、デスクトップ型PC、タブレット端末等の入力デバイスとして、スマートフォンを利用する技術が提案されている。これは、スマートフォンに搭載されている標準のソフトウェアキーボード(以下「SWKB」という。)をPCのキーボードとして使用するものである。これにより、スワイプ入力、フリック入力等の片手入力が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6378487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スマートフォンのSWKBを入力デバイスとして用いる場合、例えば、スマートフォン上には、新規に入力したPC送信前の文字列しか表示されない。このため、例えば、長文への加筆や修正等を行う場合には、ユーザはPC画面を見て前後の文章を確認しなければならず、大きな視線移動を繰り返す必要があった。更に、PC送信前の文字列はPC画面に表示されないため、ユーザは、PC画面に表示されている前後の文章と、スマートフォンに入力中の文字列とを頭の中で合成しながら文章の修正作業等を進めていく必要があった。
【0005】
また、スマートフォンを入力デバイスとして使用する際の他の入力方式として、スマートフォンから文字列の画像イメージをPC側に転送する方式も提案されている。しかしながら、この場合は、画面サイズが大きくなるため、スマートフォン上の文字サイズが小さくなってしまう。また、文字サイズを大きくするために拡大表示させた場合には、スクロールが多発することとなり、いずれの場合も使いにくい。
【0006】
また、他の入力方式として、文書データをクラウドに保存し、PCでもスマートフォンでもどちらでも編集できるアプリケーションも提供されている。しかしながら、この場合には、特定のアプリケーションに限定されてしまい、汎用性を獲得できない。
【0007】
また、上記のような課題は、スマートフォンを入力デバイスとして使用する場合に限った課題ではなく、入力機能を有する他のデバイスを外付けの入力デバイスとして用いる場合に共通して生じる課題であった。
【0008】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、アプリケーションを限定することなく、入力機能を有する他のデバイスを入力デバイスとして利用する際のユーザエクスペリエンスを向上させることのできる情報処理システム及び入力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様は、第1表示部及び第1入力部を有する第1情報処理装置と、第2表示部を有する第2情報処理装置とを具備し、前記第1情報処理装置の前記第1入力部からの文字入力に応じて前記第1表示部及び前記第2表示部に文字列を表示可能な情報処理システムであって、前記第1情報処理装置は、前記第2表示部に表示されている文字列中のカーソルを移動させるカーソル移動指示が前記第1入力部から入力された場合に、カーソル移動に関するカーソル移動情報を前記第2情報処理装置に送信する送信部と、前記第2情報処理装置から文字列を受信した場合に、受信した文字列を前記第1表示部に表示させる表示制御部とを有し、前記第2情報処理装置は、前記カーソル移動情報を受信した場合に、前記第2表示部に表示された文字列中のカーソルを移動させる表示制御部と、移動後のカーソル位置から特定される所定範囲の文字列を取得する文字列取得部と、取得された前記文字列を文字入力のために前記第1情報処理装置に送信する送信部とを有する情報処理システムである。
【0010】
本開示の第2態様は、第1表示部及び第1入力部を有する第1情報処理装置と、第2表示部を有する第2情報処理装置とを具備する情報処理システムに適用され、前記第1情報処理装置の前記第1入力部からの文字入力に応じて前記第1表示部及び前記第2表示部に文字列を表示する入力制御方法であって、前記第1情報処理装置は、前記第2表示部に表示されている文字列中のカーソルを移動させるカーソル移動指示が前記第1入力部から入力された場合に、カーソル移動に関するカーソル移動情報を前記第2情報処理装置に送信する工程と、前記第2情報処理装置から文字列を受信した場合に、受信した文字列を前記第1表示部に表示させる工程とを実行し、前記第2情報処理装置は、前記カーソル移動情報を受信した場合に、前記第2表示部に表示された文字列中のカーソルを移動させる工程と、移動後の前記カーソル位置から特定される所定範囲の文字列を取得する工程と、取得された前記文字列を文字入力のために前記第1情報処理装置に送信する工程とを実行する入力制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、使用するアプリケーションを限定することなく、入力機能を有する他のデバイスを入力デバイスとして利用する際のユーザエクスペリエンスを向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成を概略的に示したシステム構成図である。
図2】本開示の一実施形態に係る第1情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図3】本開示の一実施形態に係る第2情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図4】本開示の一実施形態に係る情報処理システムが有する入力制御機能の一例を示した機能構成図である。
図5】本開示の一実施形態に係る入力制御方法について説明するための図である。
図6】本開示の一実施形態に係る入力制御方法について説明するための図である。
図7】本開示の一実施形態に係る入力制御方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る情報処理システム及び入力制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理システム1の全体構成を概略的に示したシステム構成図である。
【0014】
図1に示すように、情報処理システム1は、第1情報処理装置10と、第2情報処理装置20とを備えている。情報処理システム1において、第1情報処理装置10と第2情報処理装置20とは情報の授受が可能な構成とされ、第1情報処理装置10は、例えば、第2情報処理装置20の入力デバイスとして使用される。
第1情報処理装置10の一例として、スマートフォン、タブレット端末等が挙げられる。また、第2情報処理装置20の一例として、ノートPC、デスクトップ型PC、タブレット端末、PC本体とディスプレイとを1つの筐体に統合した一体型PC等が挙げられる。
【0015】
図2は、本開示の一実施形態に係る第1情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。第1情報処理装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、メインメモリ(Main Memory)12、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)13、外部インターフェース16、通信インターフェース17、タッチパネル式ディスプレイ18を備えている。これら各部は、例えば、バスを介して相互に接続されている。
【0016】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された二次記憶装置13に格納されたOS(Operating System)により第1情報処理装置全体の制御を行うとともに、二次記憶装置13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU11は、1つ又は複数設けられており、互いに協働して処理を実現してもよい。
【0017】
メインメモリ12は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0018】
二次記憶装置13は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置13は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。二次記憶装置13の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置13は、例えば、iOS(登録商標)、Android(登録商標)、Windows(登録商標)等の第1情報処理装置全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置13は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置13に上述したようなプログラムやデータが分割されて格納されていてもよい。
【0019】
外部インターフェース16は、外部機器と接続するためのインターフェースである。外部機器の一例として、他の情報処理装置(例えば、第2情報処理装置20)、外部モニタ、USBメモリ、外付けHDD等が挙げられる。なお、図2に示した例では、外部インターフェースは、1つしか図示されていないが、複数の外部インターフェースを備えていてもよい。
【0020】
通信インターフェース17は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースである。
タッチパネル式ディスプレイ18は、第1情報処理装置10に対して入力指示を与えるための入力部31(図4参照)として機能するとともに、情報をユーザに提供する表示部34(図4参照)として機能する。
【0021】
第1情報処理装置10が備える機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置13などに記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置13に予めインストールされている形態や、他の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどが挙げられる。
【0022】
図3は、本開示の一実施形態に係る第2情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。図3に示すように、第2情報処理装置20は、例えば、第1情報処理装置10とほぼ同様の構成とされ、CPU21、メインメモリ22、二次記憶装置23、外部インターフェース26、通信インターフェース部27、及びタッチパネル式ディスプレイ28を備えている。なお、タッチパネル式ディスプレイ28に代えて入力部と表示部とをそれぞれ備えていてもよい。
【0023】
第2情報処理装置20が備える機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置23などに記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)21がメインメモリ22に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置13に予めインストールされている形態や、他の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどが挙げられる。
【0024】
図4は、本実施形態に係る情報処理システム1が有する入力制御機能の一例を示した機能構成図である。
図4に示すように、第1情報処理装置10は、例えば、入力部(第1入力部)31、入力制御部32、表示制御部33、表示部(第1表示部)34、及び通信部(送信部)35を主な構成として備えている。
【0025】
入力部31は、例えば、文字列を入力するためのキーボードや第2情報処理装置20の表示部43に表示されているカーソルを上下左右に移動させるための上下左右キー31a(図5図7参照)を備えている。本実施形態において、入力部31は、ソフトウェアキーボード(SWKB)である。
【0026】
入力制御部32は、入力部31からの入力に応じて文字列を作成(削除、変更を含む)する。また、入力制御部32は、第2情報処理装置20の表示部43に表示されているカーソルを移動させるカーソル移動指示が入力部31から入力された場合に、カーソル移動に関するカーソル移動情報を通信部に出力する。
【0027】
表示制御部33は、入力制御部32によって作成された文字列を表示部34に表示する。また、表示制御部33は、第2情報処理装置20から文字列を受信した場合に、受信した文字列を表示部34に表示させる。
【0028】
通信部35は、第2情報処理装置20との間で情報の授受を行う。例えば、通信部35は、入力制御部32から出力された文字列やカーソル移動情報を第2情報処理装置20に送信する。また、通信部35は、第2情報処理装置20から受信した文字列を表示制御部33に出力する。
【0029】
第2情報処理装置20は、例えば、通信部(送信部)41、表示制御部42、表示部(第2表示部)43、及び文字列取得部44を備えている。また、図示しないが入力部及び入力制御部を備えていても良い。
【0030】
通信部41は、第1情報処理装置10との間で情報の授受を行う。例えば、通信部41は、第1情報処理装置10から受信した文字列やカーソル移動情報を表示制御部42に出力する。また、通信部41は、文字列取得部44から出力された文字列を第1情報処理装置10に送信する。
【0031】
表示制御部42は、通信部41を介して第1情報処理装置10から受信した文字列を表示部43に表示する。また、表示制御部42は、通信部41を介して第1情報処理装置10からカーソル移動情報を受信した場合に、表示部43に表示されているカーソルをカーソル移動情報に基づいて移動させる。
【0032】
文字列取得部44は、移動後のカーソル位置から特定される所定範囲の文字列を取得し、この文字列を通信部41に出力する。例えば、文字列取得部44は、カーソル位置に基づいて段落単位で文字列を取得する。換言すると、文字列取得部44は、カーソルが置かれた文字列の文頭から文末までの文章を取得する。なお、本取得処理は、カーソルの文頭への移動、文末への移動、選択範囲のコピー動作など、情報処理装置用のOSが備える標準的なコマンドの組合せにて実現可能である。このようにシステムのクリップボードを経由して文字列を取得する場合は、直前にクリップボードに保持していた文字列を一時保存し、文字列取得後に再度格納しなおすことで、ユーザのクリップボード利用に悪影響を及ぼさないようにすることも可能である。
また、カーソルの「移動中」と「移動後」の判定は、カーソル移動が終わり、一定時間t秒後を「移動後」と判定する等がある。情報処理装置間の通信速度に合わせ、この時間tを調整することで、第1情報処理装置の表示遅れの時間を短くすることができる。
【0033】
次に、本実施形態に係る情報処理システム1による入力制御方法について図面を参照して説明する。以下、第1情報処理装置10としてスマートフォンを、第2情報処理装置20としてノートPCを適用する場合を例示して説明する。
【0034】
まず、ユーザにより第1情報処理装置10の入力部31、換言すると、SWKBが入力操作されると、この入力操作に基づいて入力制御部32によって文字列が生成される。この文字列は表示制御部33に出力されるとともに、通信部35、41を介して第2情報処理装置20の表示制御部42に送信される。
【0035】
表示制御部33は、例えば、段落(パラグラフ)単位で文字列を表示部34に表示させる。これにより、例えば、図5に示されるように、SWKBから「This is a pen.」と入力された場合には、表示部34には、「This is a pen.」と表示されることとなる。また、同様に、第2情報処理装置20の表示部43にも「This is a pen.」と表示される。具体的には、第2情報処理装置20において、文字列はアクティブ状態にあるアプリケーションウィンドウW1の表示領域に表示される。
【0036】
続いて、ユーザによって更に入力が行われると、上記と同様に、入力部31からの入力に基づく文字列が入力制御部32によって作成され、作成された文字列が表示制御部33に出力されるとともに、通信部35、41を介して表示制御部42に送信される。これにより、図6に示すように、表示部34には新たに入力された段落(例えば、「That is a pen.」)が表示される。また、表示部43には、先に表示されている「This is a pen.」に続いて「That is a pen.」が表示される。
そして、ユーザが入力操作を続けることにより、表示部34には最新の文字列が段落単位で表示されるとともに、表示部43には、予め設定された一定行数を超えない範囲で入力された文字列が表示される。なお、表示部43において、入力された文字列が一定行数を超えると、古い行から表示されなくなり、直近の一定行数の文字列が表示されるようになる。
【0037】
次に、例えば、ユーザが文章を最初から確認したいと考え、入力部31に設けられている上下左右キー31aを操作すると、この上下左右キー31aの入力に基づくカーソル移動情報が入力制御部32によって生成され、通信部35を介して第2情報処理装置20に送信される。第2情報処理装置20では、表示制御部42がカーソル移動情報に基づいて表示部43に表示されているカーソルを移動させる。ここでは、図7に示すように、一行目の文字列の中央にカーソルCが移動された場合を想定する。
【0038】
カーソルが移動されると、文字列取得部44は、移動後のカーソル位置から特定される所定範囲の文字列を取得し、この文字列を通信部41に出力する。例えば、文字列取得部44は、カーソル位置に基づいて段落単位で文字列を取得する。この結果、「This is a pen.」の一文が取得され、取得された文字列が通信部41を介して第1情報処理装置10に送信される。
【0039】
第1情報処理装置10において、文字列「This is a pen.」は、表示制御部33に出力され、表示部34に表示される。これにより、図7に示すように、表示部34には、文字列「This is a pen.」が表示される。
【0040】
そして、この文字列において、入力部31から文字の追加、削除等の修正がされると、この入力に基づいて入力制御部32は、文字列の修正を行う。これにより、入力部31から行われた文字列の修正が、表示部34、43に表示されている文字列に反映されることとなる。
【0041】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る情報処理システム1及び入力制御方法によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態に係る情報処理システム1は、第1情報処理装置10の入力部31からの入力に応じて表示部34、43に文字列を表示可能なシステムであり、第1情報処理装置10において、表示部43に表示されているカーソルCを移動させるカーソル移動指示が入力部31から入力された場合に、カーソル移動に関するカーソル移動情報が第2情報処理装置20に送信される。第2情報処理装置20では、カーソル移動情報を受信した場合に、表示部43におけるカーソルを移動させるとともに、移動後のカーソル位置から特定される所定範囲の文字列が取得され、取得された文字列が第1情報処理装置10に送信される。これにより、第1情報処理装置10の表示部34には、カーソル位置に基づく所定範囲の文字列、例えば、カーソルCが置かれた1段落分の文字列が表示されることとなる。
【0042】
このような構成によれば、ユーザは作成した文章を修正したい場合には、第1情報処理装置10が備える入力部31から所望の文章にカーソルを移動させる入力操作を行うことで、所望の文章を第1情報処理装置10の表示部34に表示させることができる。これにより、表示部34に表示された文章を見て修正を行うことが可能となる。この結果、従来のように、表示部34に表示された文字列と表示部43に表示された文字列とを交互に確認しながら修正を行う必要がなくなり、容易に文章の確認作業や修正作業を行うことが可能となる。また、本実施形態によれば、特定のアプリケーションに限定されることもない。
このように、本実施形態によれば、アプリケーションを限定することなく、入力機能を有する他のデバイスを入力デバイスとして利用する際のユーザエクスペリエンスを向上させることが可能となる。
【0043】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、表示制御部33は、表示部34に対し段落単位で文字列の表示を行うこととしたが、この例に限られない。例えば、表示制御部33は、表示部34において予め設定された一定行数を超えない範囲で文字列を表示するようにしてもよい。この場合、表示部34において文字列が一定行数を超えた場合には、古い行から表示されなくなり、直近の一定行数の文字列が表示されるようになる。
【0045】
また、上述した実施形態では、文字列取得部44がカーソル位置に基づいて段落単位で文字列を取得する場合について説明したが、文字列取得部44が取得する文字列の範囲についてはこの例に限られない。例えば、文字列取得部44が取得する文字列の条件をユーザが設定可能な構成とされていてもよい。
【0046】
また、文字列取得部44は、表示部43に表示されている文字列において所定の文字列が指定された場合に、指定された文字列を取得することとしてもよい。例えば、文字列範囲の指定は、第1情報処理装置10が備える入力部31、換言すると、SWKBのキー操作によって指定できるようにしてもよいし、第2情報処理装置20が備える入力部(図示略)や外部接続された他の入力デバイスから指定できるような構成とされていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 :情報処理システム
10 :第1情報処理装置
11 :CPU
12 :メインメモリ
13 :二次記憶装置
16 :外部インターフェース
17 :通信インターフェース
18 :タッチパネル式ディスプレイ
20 :第2情報処理装置
21 :CPU
22 :メインメモリ
23 :二次記憶装置
26 :外部インターフェース
27 :通信インターフェース部
28 :タッチパネル式ディスプレイ
31 :入力部(第1入力部)
32 :入力制御部
33 :表示制御部
34 :表示部(第1表示部)
35 :通信部(送信部)
41 :通信部(送信部)
42 :表示制御部
43 :表示部(第2表示部)
44 :文字列取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7