(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 50/22 20200101AFI20241203BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B62J50/22
B62J23/00 F
(21)【出願番号】P 2023024119
(22)【出願日】2023-02-20
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】大庭 佑介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 樹
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-144751(JP,A)
【文献】特開2019-181968(JP,A)
【文献】特開2015-066989(JP,A)
【文献】特開2000-118465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 23/00,50/21-50/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両(10)の状態情報を示すメータ(56)を支持する支持部材(90)と、
前記支持部材(90)を覆うカバー部材(94)と、
を備える鞍乗型車両(10)であって、
前記支持部材(90)には、締結部(96)と、複数の固定部(98)とが備えられており、
前記カバー部材(94)には、前記締結部(96)に対応する締結孔(FH)と、複数の前記固定部(98)にそれぞれ対応するとともに前記締結孔(FH)よりも大きな複数の貫通孔(TH)とが備えられており、
前記メータ(56)と前記支持部材(90)と前記カバー部材(94)とは、前記締結部(96)において第1締結部材(100)によって締結されており、
前記メータ(56)と前記支持部材(90)とは、前記固定部(98)において第2締結部材(102)によって締結されており、
前記第2締結部材(102)は、前記カバー部材(94)を締結することなく、前記貫通孔(TH)を介して視認される、鞍乗型車両(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記締結部(96)は、前記固定部(98)よりも上方に位置する、鞍乗型車両(10)。
【請求項3】
請求項1に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記締結部(96)は、車幅方向における中央に位置し、
複数の前記固定部(98)のうちの第1固定部(98A)は、前記締結部(96)に対して車幅方向一方側に位置し、
複数の前記固定部(98)のうちの第2固定部(98B)は、前記締結部(96)に対して車幅方向他方側に位置する、鞍乗型車両(10)。
【請求項4】
請求項1に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記カバー部材(94)は、前記鞍乗型車両(10)の下方に向かって左右に広がる、鞍乗型車両(10)。
【請求項5】
請求項1に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記カバー部材(94)の下側中央部は、前記鞍乗型車両(10)の前方に突出する、鞍乗型車両(10)。
【請求項6】
請求項1に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記カバー部材(94)は、前記支持部材(90)を係止する複数の係止部(104)を備え、
複数の前記係止部(104)は、複数の前記固定部(98)の各々に対して車幅方向外側に位置する、鞍乗型車両(10)。
【請求項7】
請求項1に記載の鞍乗型車両(10)において、
前記支持部材(90)が装着される車体に備えられたシート(42)と、前記カバー部材(94)との間に前記メータ(56)が位置する、鞍乗型車両(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鞍乗型車両のメータ支持構造が開示されている。特許文献1のメータ支持構造は、合成樹脂に形成されるステーを備える。このステーは、ステー主部と、メータ支持部とを有している。ステー主部は、フロントフォークに支持され、ヘッドライトを後方から覆っている。メータ支持部は、ステー主部に一体に連なり、メータユニットを支持している。ステー主部には、ヘッドライトの開口部を前面に有するフロントカウルが取り付けられる。そのため、ステー主部は、フロントカウルに覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時では、メータの取り付け易さを向上し得る技術が待望されている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、鞍乗型車両の状態情報を示すメータを支持する支持部材と、前記支持部材を覆うカバー部材と、を備える鞍乗型車両であって、前記支持部材には、締結部と、複数の固定部とが備えられており、前記カバー部材には、前記締結部に対応する締結孔と、複数の前記固定部にそれぞれ対応するとともに前記締結孔よりも大きな複数の貫通孔とが備えられており、前記メータと前記支持部材と前記カバー部材とは、前記締結部において第1締結部材によって締結されており、前記メータと前記支持部材とは、前記固定部において第2締結部材によって締結されており、前記第2締結部材は、前記カバー部材を締結することなく、前記貫通孔を介して視認される。
【0007】
また、本発明の他の一態様は、鞍乗型車両の状態情報を示すメータを支持する支持部材と、前記支持部材を覆うカバー部材と、を備える鞍乗型車両であって、前記支持部材には、締結部と、複数の固定部とが備えられており、前記カバー部材には、前記締結部に対応する締結孔が備えられており、前記メータと前記支持部材と前記カバー部材とは、前記締結部において第1締結部材によって締結されており、前記メータと前記支持部材とは、前記固定部において第2締結部材によって締結されており、前記カバー部材は、前記支持部材を係止する複数の係止部を備え、複数の前記係止部は、複数の前記固定部の各々に対して車幅方向外側に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、メータの取り付け易さを向上し得る鞍乗型車両を提供することができる。すなわち、メータの配置位置が操舵軸に近くても、一般工具を用いて取り付け易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、メータの支持構造を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、カバー部材の内面を示す正面図である。
【
図5】
図5は、メータがメータステイに取り付けられた状態を示す図である。
【
図6】
図6は、カバー部材がメータステイに取り付けられた状態を示す図である。
【
図7】
図7は、係止部がメータステイを係止する状態を示す図である。
【
図8】
図8は、メータが取り付けられた自動二輪車の一部を示す図である。
【
図9】
図9は、自動二輪車の一部の左側面図である。
【
図10】
図10は、変形例によるカバー部材の内面を示す正面図である。
【
図11】
図11は、変形例によるカバー部材がメータステイに取り付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一実施形態による鞍乗型車両について図面を用いて説明する。本実施形態では、鞍乗型車両が自動二輪車である場合を例に説明するが、これに限定されない。
図1は、自動二輪車10の左側面図である。以下の説明では、自動二輪車10が前進する方向を前方として、前後、左右および上下の方向を規定する。
【0011】
自動二輪車10は、車体フレーム12(車体)を備える。車体フレーム12は、ヘッドパイプ14と、メインフレーム16と、センターフレーム18と、ダウンフレーム20と、左右一対のシートフレーム22と、左右一対のサブフレーム24とを備える。
【0012】
ヘッドパイプ14は、車体フレーム12の前端部の一部である。メインフレーム16は、ヘッドパイプ14から後方且つ斜め下方に延びている。センターフレーム18は、メインフレーム16の後端部から下方に延びている。ダウンフレーム20は、メインフレーム16よりも下方に位置する。ダウンフレーム20は、ヘッドパイプ14から後方且つ斜め下方に延びている。左右のシートフレーム22の各々は、メインフレーム16の後端部から後方に延びている。左右のサブフレーム24の各々は、センターフレーム18の下部とシートフレーム22とを連結する。
【0013】
センターフレーム18には、ピボット支持部(不図示)が設けられている。ダウンフレーム20には、サイドスタンド26が設けられている。
【0014】
自動二輪車10は、フロントフォーク28と、前輪30と、フロントフェンダ32と、スイングアーム34と、後輪36と、リアフェンダ38と、エンジン40と、シート42と、燃料タンク44とをさらに備える。
【0015】
フロントフォーク28は、ヘッドパイプ14に揺動可能に支持されている。フロントフォーク28は、ステアリングシャフト(不図示)と、左右一対のフォークパイプ46と、トップブリッジ48と、ボトムブリッジ50とを有する。
【0016】
ステアリングシャフトは、ヘッドパイプ14に回動可能に支持されている。フォークパイプ46は、前輪30の左右両側に配置されている。左右のフォークパイプ46の下端部には、前輪30が回転可能に支持されている。トップブリッジ48は、ステアリングシャフトの上端部に固定されている。ボトムブリッジ50は、ステアリングシャフトの下端部に固定されている。トップブリッジ48およびボトムブリッジ50の各々は、左右のフォークパイプ46を連結する。左右のフォークパイプ46には、左右一対のブラケット52を介して、ウインカー(図示せず)が取り付けられている。トップブリッジ48には、後述する支持構造によって、ヘッドライト54と、メータ56とが取り付けられている。トップブリッジ48は、左右のフォークパイプ46の上部に位置しており、当該トップブリッジ48の上部には、ハンドル58が取り付けられている。
【0017】
前輪30は、フロントフォーク28を介して、車体フレーム12の前端部に操舵可能に配置されている。フロントフェンダ32は、フロントフォーク28に取り付けられる。フロントフェンダ32は、前輪30を上方から覆う。
【0018】
スイングアーム34は、ピボット軸60から後方に延びている。スイングアーム34の前端部は、ピボット軸60に揺動可能に支持されている。スイングアーム34の後端部は、後輪36を回転可能に支持している。
【0019】
後輪36は、スイングアーム34を介して、車体フレーム12の後端部に配置されている。リアフェンダ38は、左右のシートフレーム22の後端部から後方に延びている。リアフェンダ38は、後輪36を上方から覆う。
【0020】
エンジン40は、メインフレーム16の下方で、センターフレーム18とダウンフレーム20との間に配置されている。エンジン40は、クランクケース62と、シリンダ部64とを有する。クランクケース62は、左右方向(車幅方向)に延びるクランク軸(不図示)を支持する。クランクケース62の後部には、変速機(不図示)が内蔵されている。
【0021】
シリンダ部64は、クランクケース62の前部から、前方且つ斜め上方に延びている。シリンダ部64には、吸気装置(不図示)と、排気装置(不図示)とが接続されている。排気装置はマフラー66を含む。マフラー66は、エンジン40の下方に配置されている。
【0022】
シート42は、左右のシートフレーム22に固定されている。シート42は、前側シート42Aと、後側シート42Bとを有する。前側シート42Aは、左右のシートフレーム22の前側に配置されている。前側シート42Aには、運転者が着座する。前側シート42Aに着座した運転者は、メインフレーム16に接続されるステップ68に足を掛ける。後側シート42Bは、前側シート42Aの後方に設けられている。後側シート42Bは、左右のシートフレーム22の後側に配置されている。後側シート42Bには、同乗者が着座する。後側シート42Bに着座した同乗者は、左右のサブフレーム24に連結されるピリオンステップ70に足を掛ける。
【0023】
燃料タンク44は、ヘッドパイプ14とシート42との間に配置されている。本実施形態では、燃料タンク44は、前側シート42Aの前方で、且つ、ヘッドパイプ14の後方に配置されている。燃料タンク44は、メインフレーム16の上部に取り付けられている。
【0024】
自動二輪車10は、車体カバー72をさらに備える。車体カバー72は、タンクカバー74と、左右一対のセンターカバー76と、リアカバー78と、アンダーカバー80と、左右一対のシュラウド82とを有する。
【0025】
タンクカバー74は、燃料タンク44を覆う。左右一対のセンターカバー76の各々は、前側シート42Aの下方を覆う。リアカバー78は、左右のセンターカバー76の後方で、シート42の下方を覆う。アンダーカバー80は、クランクケース62の下部を、前方、側方および下方から覆う。左右一対のシュラウド82の各々は、燃料タンク44の側面の一部と、ヘッドパイプ14と、メインフレーム16の前部と、ダウンフレーム20の上部とを覆う。
【0026】
次に、自動二輪車10に備えられるメータ56の支持構造について説明する。
図2は、メータ56の支持構造の分解斜視図である。支持構造は、支持部材90と、カバー部材94とを備える。
【0027】
メータ56は、表示機器である。メータ56は、液晶表示器であってもよい。メータ56の表示面56Fには、自動二輪車10の走行状態を示す状態情報が表示される。
【0028】
状態情報は、車速を含む。状態情報は、エンジン40の回転数、走行距離、ギアのポジションの少なくとも1つを含んでもよい。また、状態情報は、燃料タンク44の残燃料を含んでもよい。また、状態情報は、前輪30および後輪36の各々の空気圧を含んでもよい。また、状態情報は、バッテリ電圧、冷却水温、オイル残量、ウインカインジケータ、ロービームインジケータ、ハイビームインジケータの少なくとも1つを含んでもよい。また、状態情報は、自動二輪車10の現在位置、現在位置の周辺の地図を含んでもよい。
【0029】
メータ56の背面部56Rには、複数のボス56Sと、コネクタ56Cとが設けられている。背面部56Rは、表示面56Fが位置する部位の反対側に位置する。
【0030】
複数のボス56Sのうちの1つは、メータ56の背面部56Rの左下端部に配置されている。複数のボス56Sのうちの1つは、メータ56の背面部56Rの右下端部に配置されている。複数のボス56Sのうちの1つは、メータ56の背面部56Rの上端中央部に配置されている。ボス56Sには、締結孔FHが形成されている。締結孔FHは、締結するための孔である。
【0031】
コネクタ56Cは、メータ56の背面部56Rの下端中央部に配置されている。コネクタ56Cは、メータ56の背面部56Rの左下端部に配置されるボス56Sと、メータ56の背面部56Rの右下端部に配置されるボス56Sとの間に配置されている。
【0032】
支持部材90は、メータ56を支持する部材である。支持部材90は、メータステイ92を含む。メータステイ92は、メータ56を支持する。本実施形態では、メータステイ92は、ヘッドライト54を支持する部材でもある。メータステイ92は、トップブリッジ48に固定される。メータステイ92は、トップブリッジ48の前側に位置している。メータステイ92は、左右一対のブラケット52(
図1)と一体に形成されてもよい。
【0033】
図3は、メータステイ92を示す図である。
図2および
図3に示すように、メータステイ92は、部材連結部92Aと、メータ支持部92Bとを有する。部材連結部92Aは、トップブリッジ48に固定される部分であり、ヘッドライト54を連結する部分でもある。部材連結部92Aは、ベース板92A_1と、左右のリブ92A_2とを含む。部材連結部92Aは、ベース板92A_1と左右のリブ92A_2とに接続される補強板92A_3を含んでもよい。
【0034】
ベース板92A_1は、左右一対のブラケット52(
図1)の間に配置される。ベース板92A_1には、トップブリッジ48にメータステイ92を取り付けるための第1取付孔MH1および第2取付孔MH2が形成されている。第1取付孔MH1と第2取付孔MH2との間に、ヘッドパイプ14が配置される凹部が形成されてもよい。左右のリブ92A_2は、トップブリッジ48の下方に配置される。左右のリブ92A_2は、ベース板92A_1の左右端の各々から後方に延びている。左右のリブ92A_2の各々には、ヘッドライト54を取り付けるための第3取付孔MH3が形成されている。
【0035】
メータ支持部92Bは、部材連結部92Aと一体に形成される。メータ支持部92Bは、ベース板92A_1から延びている。メータ支持部92Bは、ベース板92A_1に対して傾斜している。メータ支持部92Bは、一対のアーム92B_1と、メータ受け板92B_2とを有する。
【0036】
一対のアーム92B_1は、ベース板92A_1からメータ受け板92B_2を離間させる。メータ受け板92B_2には、メータ56の背面部56Rが当接される。メータ56の背面部56Rがメータ受け板92B_2に当接されると、メータ56のコネクタ56Cが一対のアーム92B_1の間に配置される。メータ受け板92B_2は、ギリシャ文字の「Λ」の形状に形成されるが、これに限定されない。メータ受け板92B_2には、締結部96と、複数の固定部98とが設けられる。
【0037】
締結部96は、メータ56とメータステイ92とカバー部材94とが、第1締結部材100によって締結される部分である。第1締結部材100として、ボルト、ビス、ネジタップ等が挙げられる。締結部96には、ボス56Sを位置決めするための位置決め孔が形成されている。締結部96は、メータステイ92の上端部に形成されている。締結部96は、車幅方向(左右方向)における中央に位置している。締結部96は、各固定部98よりも上方に位置している。
【0038】
複数の固定部98は、メータ56とメータステイ92とが、第2締結部材102によって締結される部分である。第2締結部材102として、ボルト、ビス、ネジタップ等が挙げられる。固定部98には、ボス56Sを位置決めするための位置決め孔が形成されている。固定部98は、メータステイ92の下端部に形成されている。複数の固定部98のうちの第1固定部98Aは、締結部96に対して車幅方向一方側に位置する。複数の固定部98のうちの第2固定部98Bは、締結部96に対して車幅方向他方側に位置する。
【0039】
カバー部材94は、支持部材90を覆う部材である。支持部材90は、上述したように、メータ支持部92Bと、部材連結部92Aとを備える。カバー部材94は、メータ支持部92Bの全体を覆う。カバー部材94は、部材連結部92Aの一部を覆う。カバー部材94は、メータ56の背面部56Rに取り付けられる。
【0040】
カバー部材94は、自動二輪車10の下方に向かって左右に広がっている。換言すると、カバー部材94は、自動二輪車10の上方に向かって先細りに形成される。カバー部材94の下側中央部は、自動二輪車10の前方に突出している。
【0041】
カバー部材94には、締結孔FHと、複数の貫通孔THとが形成されている。締結孔FHは、支持部材90の締結部96に対応して形成される。複数の貫通孔THは、締結孔FHよりも大きい。複数の貫通孔THは、複数の固定部98にそれぞれ対応して形成される。
【0042】
図4は、カバー部材94の内面の正面図である。カバー部材94は、係止部104を有する。係止部104は、支持部材90を係止する部分である。係止部104は、カバー部材94と一体に形成される。係止部104は、カバー部材94の内面から突出する。係止部104は、1つでもよいし、2つ以上であってもよい。
【0043】
本実施形態では、係止部104として、第1係止部104Aと第2係止部104Bとが設けられる。第1係止部104Aは、カバー部材94の落下を抑止する部分であり、カバー部材94の左右に位置している。第2係止部104Bは、メータ56に対するカバー部材94の位置を位置決めする部分であり、第1係止部104Aより上側のカバー部材94の左右に位置している。
【0044】
次に、自動二輪車10にメータ56を取り付ける取付方法の一例を、
図5~
図9を用いて説明する。
【0045】
まず、メータステイ92が、第1取付孔MH1(
図3)および第2取付孔MH2(
図3)を介して、ボルト等によりトップブリッジ48に取り付けられる。次に、
図5に示すように、メータ56が支持部材90(
図2参照)のメータステイ92に取り付けられる。この場合、メータ56の背面部56Rは、メータ受け板92B_2に当接される。背面部56Rに設けられた複数のボス56Sの各々には、メータステイ92の位置決め孔に嵌合可能な嵌合部(図示せず)が形成される。背面部56Rの上端中央部に配置されるボス56Sは、メータステイ92の締結部96の位置決め孔に嵌合する。背面部56Rの右下端部および左下端部の各々に配置されるボス56Sは、メータステイ92の固定部98の位置決め孔に嵌合する。メータ56とメータステイ92とは、複数の固定部98の各々において第2締結部材102によって締結される。
【0046】
次に、ヘッドライト54がメータステイ92に取り付けられる(
図5参照)。この場合、ヘッドライト54は、メータステイ92の左右のリブ92A_2の第3取付孔MH3(
図2)において、ボルトおよびナットによって締結される。これにより、メータステイ92には、メータステイ92から吊り下げられるようにヘッドライト54が取り付けられる。
【0047】
次に、
図6に示すように、カバー部材94がメータ56の背面部56Rに取り付けられる。この場合、メータ56とメータステイ92とカバー部材94とは、メータステイ92の締結部96において第1締結部材100によって締結される。この状態では、
図7に示すように、カバー部材94に設けられる左右一対の係止部104(第1係止部104A)の各々は、支持部材90のメータ受け板92B_2を押さえて、カバー部材94の落下を抑止する。第1係止部104Aは、複数の固定部98の各々に対して車幅方向外側に位置している。したがって、メータ56に対するカバー部材94の固定が1箇所であっても、カバー部材94を強固に固定することができる。
【0048】
第1締結部材100によって、メータ56とメータステイ92とカバー部材94とが締結されると、カバー部材94に形成される複数の貫通孔THの各々は、第2締結部材102の頭部を露出させる(
図6参照)。第2締結部材102の頭部が露出されるため、第2締結部材102の締結状態を確認することができる。すなわち、締結不良の有無が把握され得る。また、違和感なく配置された3つの締結部材100、102が視認されるため、意匠性が損なわれない。
【0049】
次に、
図8に示すように、左右一対のブラケット52が、ヘッドライトカバー54Cを介して、メータステイ92にそれぞれ取り付けられる。
【0050】
次に、上述した支持構造の特徴的な構成と、その構成によって得られる効果とを説明する。
【0051】
本実施形態では、メータ56と支持部材90とカバー部材94とは、支持部材90の締結部96において第1締結部材100によって締結される(
図6参照)。一方、メータ56と支持部材90とは、支持部材90の複数の固定部98の各々において第2締結部材102によって締結される(
図5参照)。第2締結部材102によってメータ56を支持部材90に取り付けた後、第1締結部材100によってカバー部材94をメータ56および支持部材90に共締めすることができる。
【0052】
また、メータ56に対するカバー部材94の締結固定が1箇所であるため、複数箇所である場合に比べて、メータ56へのカバー部材94の取り付けが容易になる。すなわち、自動二輪車10に取り付けられる支持部材90の配置位置が操舵軸に近くても、メータ56の配置位置を変更することなく、一般工具を用いてカバー部材94を取り付け易い。或いは、支持部材90の配置位置が操舵軸に近くても、メータ56の配置位置を変更することなく、一般工具を用いてカバー部材94を取り付け可能な位置に、締結部96を設定することができる。なお、支持部材90は、トップブリッジ48に固定されるため、操舵軸の近くに配置され得る。
【0053】
このように本実施形態によれば、メータ56の取り付け易さを向上することができる。さらに、メータ56を操舵軸の近くに配置可能になることによって、操舵軸周りの慣性モーメントを小さく抑えることができる。その結果、操舵系の軽快性が向上し、商品魅力の向上につながる。これに加えて、メータ56の張り出しが抑えられ、完成車のコンパクトな外観の演出に寄与する。
【0054】
また、本実施形態では、締結部96は、固定部98よりも上方に位置する。これにより、一般工具が通る軌跡LS(
図9参照)がヘッドライト54の上方に位置する。すなわち、締結部96が固定部98よりも上方に位置することによって、メータ56とヘッドライト54とが近接されていても、一般工具を用いる広いスペースを確保し易い。そのため、メータ56を支持部材90に取り付けた後に、支持部材90を自動二輪車10に取り付けてから、カバー部材94をメータ56および支持部材90に共締めすることが可能となる。
【0055】
また、本実施形態では、締結部96は、車幅方向における中央に位置し、複数の固定部98は、締結部96に対して車幅方向の両側に位置する。これにより、締結部96に配置される第1締結部材100と、固定部98に配置される第2締結部材102とがバランスよく視認可能となり、意匠性が損なわれない。
【0056】
また、本実施形態では、第2締結部材102は、カバー部材94を締結することなく、カバー部材94に形成された貫通孔THを介して視認される。これにより、第2締結部材102の締結状態を運転者に確認させることができる。すなわち、締結不良の有無が把握され得る。また、違和感なく配置された3つの締結部材100、102が視認されるため、意匠性が損なわれない。
【0057】
また、本実施形態では、カバー部材94は、支持部材90を係止する左右一対の係止部104(第1係止部104A)を備えている。複数の係止部104は、複数の固定部98の各々に対して車幅方向外側に位置している。これにより、第1締結部材100に対して車幅方向の両側に位置する複数の係止部104と、第1締結部材100とによって支持部材90にカバー部材94を固定することができる。そのため、メータ56に対するカバー部材94の締結固定が1箇所であるにもかかわらず、カバー部材94を強固に固定することができる。また、複数の係止部104は、カバー部材94の内面から突出し、支持部材90を押さえ付ける。そのため、カバー部材94が外部から視認不能になり、意匠性が向上する。また、本実施形態によれば、複数の係止部104がボルト等で構成される場合に比べて、カバー部材94の空力性能を向上させることができる。さらに、第1締結部材100によるカバー部材94の中央の締結以外は、カバー部材94と一体に成形される係止部104により、カバー部材94が保持される。このような構造によれば、カバー部材94を取り付ける専用のボルト等を用いるよりも、コストとウェイトとの増加を抑えることができる。これに加えて、組立も簡便となり、生産性の向上に寄与する。
【0058】
また、本実施形態では、カバー部材94は、自動二輪車10の下方に向かって左右に広がっている。したがって、自動二輪車10の前方からの走行風が、自動二輪車10の車幅方向に抜け易くなる。そのため、自動二輪車10の空力性能を向上し得る。また、自動二輪車10を走行させた際の走行風が、カバー部材94を介してメータ56に当たり難くなる。
【0059】
また、本実施形態では、カバー部材94の下側中央部は、自動二輪車10の前方に突出する。したがって、メータ56に接続されるハーネス、カプラ等の結合機器を、カバー部材94とメータ56との間に効率よく格納することができる。
【0060】
また、本実施形態では、支持部材90には、支持部材90から吊り下げられるようにヘッドライト54が取り付けられる。したがって、メータ56とヘッドライト54とを近接して配置することができる。メータ56とヘッドライト54とを別々の部材で取り付ける場合に比べて部品点数を抑えることができる。
【0061】
上記の実施形態は、下記のように変形されてもよい。
【0062】
カバー部材94には、複数の貫通孔THが形成されていなくてもよい(
図10参照)。この場合、第1締結部材100によって、メータ56とメータステイ92とカバー部材94とが締結されると、メータ56とメータステイ92とを締結している第2締結部材102の頭部は露出しない(
図11参照)。このようにしても実施形態と同様に、メータ56の取り付け易さを向上することができる。
【0063】
ヘッドライト54は、支持部材90とは別の部材によってフォークパイプ46に取り付けられてもよい。この場合、支持部材90には、ヘッドライト54が取り付けられない。なお、別の部材として、例えば、ヘッドライトブラケット等が挙げられる。
【0064】
支持部材90は、トップブリッジ48の周辺の箇所に固定されてもよい。固定箇所として、例えば、ヘッドパイプ14等が挙げられる。
【0065】
上記実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0066】
(付記1)
本発明は、鞍乗型車両(10)の状態情報を示すメータ(56)を支持する支持部材(90)と、前記支持部材を覆うカバー部材(94)と、を備える鞍乗型車両であって、前記支持部材には、締結部(96)と、複数の固定部(98)とが備えられており、前記カバー部材には、前記締結部に対応する締結孔(FH)と、複数の前記固定部にそれぞれ対応するとともに前記締結孔よりも大きな複数の貫通孔(TH)とが備えられており、前記メータと前記支持部材と前記カバー部材とは、前記締結部において第1締結部材(100)によって締結されており、前記メータと前記支持部材とは、前記固定部において第2締結部材(102)によって締結されており、前記第2締結部材は、前記カバー部材を締結することなく、前記貫通孔を介して視認される。
【0067】
これにより、メータの取り付け易さを向上することができる。すなわち、第2締結部材によってメータを支持部材に取り付けた後、第1締結部材によってカバー部材をメータおよび支持部材に共締めすることができる。そのため、鞍乗型車両に取り付けられる支持部材の配置位置が操舵軸に近くても、メータの配置位置を変更することなく、一般工具を用いてメータを取り付け易い。また、メータに対するカバー部材の締結固定が1箇所であるため、複数箇所である場合に比べて、メータへのカバー部材の取り付けが容易になる。また、第2締結部材は、貫通孔を介して視認される。これにより、第2締結部材の締結状態を運転者に確認させることができる。すなわち、締結不良の有無が把握され得る。また、違和感なく配置された3つの締結部材が視認されるため、意匠性が損なわれない。
【0068】
(付記2)
本発明は、上記付記1に記載の鞍乗型車両において、前記締結部は、前記固定部よりも上方に位置してもよい。
【0069】
これにより、メータとヘッドライトとが近接されても、一般工具を用いる広いスペースを確保し易い。
【0070】
(付記3)
本発明は、上記付記1に記載の鞍乗型車両において、前記締結部は、車幅方向における中央に位置し、複数の前記固定部のうちの第1固定部(98A)は、前記締結部に対して車幅方向一方側に位置し、複数の前記固定部のうちの第2固定部(98B)は、前記締結部に対して車幅方向他方側に位置してもよい。
【0071】
これにより、締結部に配置される第1締結部材と、固定部に配置される第2締結部材とがバランスよく視認可能となり、意匠性が損なわれない。
【0072】
(付記4)
本発明は、上記付記1に記載の鞍乗型車両において、前記カバー部材は、前記鞍乗型車両の下方に向かって左右に広がってもよい。
【0073】
これにより、走行風が鞍乗型車両の車幅方向に抜け易くなる。そのため、鞍乗型車両の空力性能の向上が期待できる。また、鞍乗型車両の前方からの走行風が、カバー部材を介してメータに当たり難くなる。
【0074】
(付記5)
本発明は、上記付記1に記載の鞍乗型車両において、前記カバー部材の下側中央部は、前記鞍乗型車両の前方に突出してもよい。
【0075】
これにより、メータに接続されるハーネス、カプラ等の結合機器を、カバー部材とメータとの間に効率よく格納することができる。
【0076】
(付記6)
本発明は、上記付記1に記載の鞍乗型車両において、前記カバー部材は、前記支持部材を係止する複数の係止部(104)を備え、複数の前記係止部は、複数の前記固定部の各々に対して車幅方向外側に位置してもよい。
【0077】
これにより、第1締結部材に対して車幅方向の両側に位置する複数の係止部と、第1締結部材とによって支持部材にカバー部材を固定することができる。そのため、メータに対するカバー部材の固定が1箇所であっても、カバー部材を強固に留めることができる。また、複数の係止部がボルト等に代替される場合に比べて、カバー部材の空力性能を向上させることができる。
【0078】
(付記7)
本発明は、上記付記1に記載の鞍乗型車両において、前記支持部材が装着される車体に備えられたシート(42)と、前記カバー部材との間に前記メータが位置してもよい。
【0079】
(付記8)
本発明は、鞍乗型車両の状態情報を示すメータを支持する支持部材と、前記支持部材を覆うカバー部材と、を備える鞍乗型車両であって、前記支持部材には、締結部と、複数の固定部とが備えられており、前記カバー部材には、前記締結部に対応する締結孔が備えられており、前記メータと前記支持部材と前記カバー部材とは、前記締結部において第1締結部材によって締結されており、前記メータと前記支持部材とは、前記固定部において第2締結部材によって締結されており、前記カバー部材は、前記支持部材を係止する複数の係止部を備え、複数の前記係止部は、複数の前記固定部の各々に対して車幅方向外側に位置してもよい。
【0080】
これにより、メータの取り付け易さを向上することができる。すなわち、第2締結部材によってメータを支持部材に取り付けた後、第1締結部材によってカバー部材をメータおよび支持部材に共締めすることができる。そのため、鞍乗型車両に取り付けられる支持部材の配置位置が操舵軸に近くても、メータの配置位置を変更することなく、一般工具を用いてメータを取り付け易い。また、メータに対するカバー部材の締結固定が1箇所であるため、複数箇所である場合に比べて、メータへのカバー部材の取り付けが容易になる。また、カバー部材は、複数の固定部の各々に対して車幅方向外側に位置する係止部を備えている。これにより、メータに対するカバー部材の固定が1箇所であっても、カバー部材を強固に留めることができる。また、複数の係止部がボルト等に代替される場合に比べて、カバー部材の空力性能を向上させることができる。
【0081】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0082】
10…自動二輪車(鞍乗型車両) 52…ブラケット
56…メータ 90…支持部材
92…メータステイ 94…カバー部材
96…締結部 98…固定部
100…第1締結部材 102…第2締結部材
104…係止部