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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】筆記具用リフィールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B43K 7/02 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
B43K7/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023065810
(22)【出願日】2023-04-13
(62)【分割の表示】P 2022016373の分割
【原出願日】2016-10-06
(65)【公開番号】P2023085556
(43)【公開日】2023-06-20
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2015201375
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 敬幸
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 誠一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直裕
(72)【発明者】
【氏名】新藤 孝範
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第688892(GB,A)
【文献】特開2011-212941(JP,A)
【文献】特開平7-299987(JP,A)
【文献】特開2004-322485(JP,A)
【文献】特開2005-313404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00- 1/12
B43K 5/00- 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂素材により直状にして円筒状に形成されたインク収容管と、前記インク収容管の端部に取り付けられた筆記チップとを備えた筆記具用リフィールの製造方法であって、
前記インク収容管の端部には、内周面に向かって肉厚状に形成され、その中央部に軸方向に貫通する開口孔が施された圧入部が形成されると共に、前記圧入部の一端部には前記筆記チップもしくは筆記チップを支持する継手部材が圧入されて取り付けられ、
前記圧入部は、インク収容管の端部を溶着チップによる加熱溶融により形成され、前記溶着チップの中央部には、気体導入孔が形成されていることを特徴とする筆記具用リフィールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばボールペン等に用いられる筆記具用リフィールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボールペン等に用いられる筆記具用リフィールは、一般にインク収容管の一端部(前端部)に筆記部としてのボールペンチップが、圧入されて取り付けられている。
そして、インク収容管は、成形の容易性とインク量の視認性を確保するために、従来よりポリプロピレン等の樹脂素材が用いられている。
【0003】
図14は、従来のボールペンリフィールの一例を断面図で示したものであり、この図14に示す例は、インク収容管1の前端部に、継手部材3を介してボールペンチップ2を取り付けた構成を示している。そして、インク収容管1の外周面は面一の円筒状に形成されており、継手部材3を嵌合させるインク収容管1の前端部の内径と、インク収容部を構成するインク収容管1の軸方向中央部の内径とは、ほぼ同一寸法となるストレート状に構成されている。
このような内周面がストレート状のインク収容管を用いたボールペンリフィールについては、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
また、同じくインク収容管の外周面は面一の円筒状に形成されると共に、ボールペンチップを嵌合させるインク収容管の前端部の内径は、インク収容部を構成する軸方向中央部の内径に比較して、より内径を大きくくり抜いた構成のボールペンリフィールも提案されており、これは例えば特許文献2に開示されている。
【0005】
ところで、前記したボールペンリフィールにおいては、特にボールペンチップを嵌合させるインク収容管の前端部は、その強度を確保するために一定の肉厚を備える必要がある。したがって、前記した特許文献1および2に開示された構成のボールペンリフィールによると、一定の肉厚を備えることから、インクの貯留量を十分に確保することができないという実用上の問題点を抱えることになる。
【0006】
そこで、インクの貯留量を十分に確保することができるように配慮した筆記具用リフィールとして、例えば特許文献3に示されたボールペンリフィールを挙げることができる。
しかしながら、特許文献3に示されたボールペンリフィールによると、軸に直交する断面が扇形を構成するインク収容管を用いるために、それぞれのモデルに応じて、軸筒に対応したサイズのインク収容管を個別に用意しなければならず、これは汎用性の点で課題がある。
【0007】
また、軸に直交する断面が扇形を構成するインク収容管は、可撓性を持たせることが難しく、複数のリフィールを軸筒内に収容する複式筆記具にこれを用いた場合、ボールペンチップを軸筒の先端開口部から交互に出没させる操作が困難になる等、円滑な動作が期待し得ないという技術的な問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-59682号公報
【文献】特開2006-175745号公報
【文献】特開平11-321178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、従来の筆記具用リフィールにおける前記した問題点に着目してなされたものであり、インク収容管の外径寸法を拡張することなく、必要十分なインクの貯留量を確保できると共に、筆記チップ(ボールペンチップ)が取り付けられるインク収容管の端部の機械的な強度を十分に確保することができる筆記具用リフィールの製造方法を提供しようとするものである。
【0010】
加えて、複数の筆記具用リフィールを軸筒内に収容する複式筆記具に利用した場合においても、その可撓性を生かして、軸筒の先端開口部から各筆記チップが交互に円滑に出没可能に動作し得る用リフィールおよび筆記具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係る筆記具用リフィールの製造方法は、樹脂素材により直状にして円筒状に形成されたインク収容管と、前記インク収容管の端部に取り付けられた筆記チップとを備えた筆記具用リフィールの製造方法であって、前記インク収容管の端部には、内周面に向かって肉厚状に形成され、その中央部に軸方向に貫通する開口孔が施された圧入部が形成されると共に、前記圧入部の一端部には前記筆記チップもしくは筆記チップを支持する継手部材が圧入されて取り付けられ、前記圧入部は、インク収容管の端部を溶着チップによる加熱溶融により形成され、前記溶着チップの中央部には、気体導入孔が形成される。
この場合、前記インク収容管の圧入部の肉厚が0.5mm以上で、管厚は0.25mm~0.45mmとすることが望ましい。
【0012】
そして、好ましくは圧入部がインク収容管の両端に略同寸法で形成される
【発明の効果】
【0013】
前記した筆記具用リフィールの製造方法によると、円筒状に形成されたインク収容管の端部には、内周面に向かって肉厚状に形成され、その中央部に軸方向に貫通する開口孔が施された圧入部が形成される。したがって、この開口孔による圧入部を利用して筆記チップ(ボールペンチップ)を取り付けることができる。
この場合、前記圧入部は内周面に向かって肉厚状に形成されているので、筆記チップの取り付け部分の機械的な強度を十分に確保することができると共に、圧入部を除いたインク収容管の管厚を相対的に薄くすることが可能となる。これによりインクの貯留量を十分に確保し得る筆記具用リフィールを提供することができる。
【0014】
また、前記した構成の筆記具用リフィールによると、インク収容管の外径寸法や全長を拡張することなく、前記した作用効果を得ることができるので、筆記具用リフィールを軸筒内に収容しても軸径が太くならず、特に軸筒の先端開口部から各筆記チップを交互に出没可能に動作させる複式筆記具に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明に係る筆記具に用いられるリフィールの第1の形態を示した外観図である。
図2図1に示す筆記具用リフィールの中央断面図である。
図3図1に示すリフィールに用いられるインク収容管の単体構成を拡大して示した中央断面図である。
図4】インク収容管の端部に肉厚状の圧入部を形成する第1の手段を示した模式図である。
図5】同じく第2の手段を示した模式図である。
図6】同じく第3の手段を示した模式図である。
図7】同じく第4の手段を示した模式図である。
図8】この発明に係る筆記具に用いられるリフィールの第2の形態を示した外観図である。
図9図8に示す筆記具用リフィールの中央断面図である。
図10図8に示すリフィールに用いられるインク収容管の単体構成を拡大して示した中央断面図である。
図11】筆記具用リフィールを複式筆記具に用いた状態を示す外観図である。
図12図11に示す複式筆記具の中央断面図である。
図13】複式筆記具に備えられるスライダーと筆記具用リフィールの組み合わせ構成を拡大して示した外観図である。
図14】従来の筆記具用リフィールの一例を示した中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係る筆記具用リフィールおよび筆記具について、ボールペンリフィールと、複数本の前記ボールペンリフィールを軸筒内に収容した複式筆記具を例にした図に示す実施の形態に基づいて説明する。
まず図1図3はボールペンリフィールの第1の形態を示したものであり、例えばポリプロピレン等の樹脂素材により形成されたインク収容管1の一端部(前端部)には、予めボールペンチップ2が装着された継手部材3が圧入により取り付けられている。
前記インク収容管1は軸方向に沿って面一の円筒状に形成されており、図3に両端部を拡大して示したように、このインク収容管1の両端部には内周面に向かって肉厚状になされた第1と第2の圧入部1aが形成されている。
【0017】
この第1と第2の圧入部1aは、肉厚状になされた中央部に軸方向に沿って貫通して施された開口孔により構成されており、肉厚状の第1の圧入部1aを利用して継手部材3が圧入され、この継手部材3を介してボールペンチップ2が、インク収容管1の前端部に取り付けられている。
また、インク収容管1の前端部に継手部材3等の中継部材を介することなく、ボールペンチップ2がインク収容管1に直接圧入されて取り付けることにしてもよい。
なお、図1図3に示す例においては、インク収容管1の両端部に形成された肉厚状の圧入部1aは、それぞれインク収容管1と一体に形成されている。
【0018】
この例に示すボールペンリフィールによると、インク収容管1の端部に形成された前記圧入部1aは、内周面に向かって肉厚状に形成されているので、ボールペンチップ2の取り付け部分の機械的な強度を十分に確保することができる。圧入部1aの肉厚は、0.5mm以上が好ましい。
したがって、図14に示した従来例に比較して、圧入部1aを除いたインク収容管1は、その管厚を相対的に薄くすることが可能となる。管厚は、圧入部1aの肉厚より薄く0.5mm未満とすることができる。特に圧入部1a等の成形性を考慮し、0.25mm~0.45mmが好ましい。これによりインク収容管1の外径寸法を拡張することなく、インクの貯留量を十分に確保し得るボールペンリフィールを提供することができる。
また、圧入部1aの軸方向の長さAは、適切な圧入力の確保とインク量の確保から1.5mm~5mmが好ましく、その際のボールペンチップ2又は継手部材3との取り付け部分の強度は9.8N以上が好ましい。取り付け部分の強度は、市販のプッシュプルゲージ500N(イマダ社製フォースゲージ)を用い、圧入部1aに取り付けられるボールペンチップ2又は継手部材3がインク収容管1からの引き抜くのに必要な力を測定する。
なお、インク収容管1の外径寸法は、2.8mm~3.5mmが好ましく、従来の筆記具との違いを感じることなく使用することができる。
【0019】
図4は、インク収容管1の端部に前記した圧入部1aを形成する第1の手段を示している。この図4に示す圧入部1aの形成例はインパルスウェルダー(IPW)と呼ばれ、インク収容管1の端部を加熱溶融する溶着チップ11が用いられる。
すなわち、この溶着チップ11には、インク収容管1の端部が挿入できる環状の凹部11aが形成されており、溶着チップ11には、図示せぬ発熱体が装着されて例えばジュール熱により加熱されるように構成されている。また溶着チップ11の中央部には、気体導入孔11bが形成されており、この気体導入孔11bを利用して、冷却用の気体(空気)が導入可能に構成されている。
【0020】
図4(A)は、溶着チップ11の環状の凹部11aに、インク収容管1の端部を挿入した状態を示している。この状態で、溶着チップ11は加熱され、これに伴い樹脂素材により形成されたインク収容管1の端部は軟化溶融される。インク収容管1の端部の軟化溶融により、図4(B)に示すように溶着チップ11の環状の凹部11aに沿って、インク収容管1の端部には、内周面に向かって肉厚状の圧入部1aが形成される。
【0021】
この状態で前記溶着チップ11の加熱を停止させて、前記貫通孔11b内に冷却用の空気(Air)を矢印で示す方向に送り込むことで、インク収容管1の端部は冷却され、その端部に肉厚状の圧入部1aが形成されて、溶着チップ11から離型される。
なお、必要に応じて前記インク収容管1の他端部にも同様の処理を施すことで、両端部にそれぞれ肉厚状の圧入部1aを一体に形成したインク収容管1を得ることができる。
【0022】
図5は、インク収容管1の端部に、前記した圧入部1aを形成する第2の手段を示している。この図5に示す例はインク収容管1の両端部に、別部材で形成された圧入部1aをそれぞれ取り付けるものであり、これには接着剤を利用して取り付ける手段を採用することができる。
また、インク収容管1の両端部に圧入部1aを、それぞれ熱溶着により取り付けることで、インク収容管1に肉厚状の圧入部1aを実質的に一体に形成することができる。
【0023】
図6は、インク収容管1の端部に圧入部1aを形成する第3の手段を示している。この図6に示す例は、上下の割り型13,14と、第1と第2のコアピン15,16を利用した金型成形の例を示している。すなわち、上下の割り型13,14と、第1のコアピン15により、インク収容管1が形成され、上下の割り型13,14と、第2のコアピン16により、肉厚状の圧入部1aが形成される。この場合、インク収容管1に対して前記圧入部1aは同時に一体に成形することができる。
なお、この図6に示す例においては、前記圧入部1aはインク収容管1の一端部側のみに形成されることになる。
【0024】
図7は、インク収容管1の端部に圧入部1aを形成する第4の手段を示している。この図7に示す例は、いわゆる三次元プリンターを利用するものであり、往復移動するプリンターヘッド18から吐出される材料(フィラメント)が、層状に積層されることで、インク収容管1と圧入部1aとを同時に一体に成形することができる。
【0025】
図8図10は筆記具用リフィール(ボールペンリフィール)の第2の形態を示したものである。なお、図8図10に示すボールペンリフィールは、インク収容管1の前端部に中継部材を介することなく、ボールペンチップ2が直接圧入されて取り付けられている。この第2の形態におけるインク収容管1も軸方向に沿って面一の円筒状に形成されていており、図10に示すようにインク収容管1の両端部には、内周面に向かって肉厚状になされ、軸方向に貫通する開口孔による第1と第2の圧入部1aがそれぞれ形成されている。
【0026】
加えて、この第2の形態においては、ボールペンチップ2が取り付けられるインク収容管1の前端部における圧入部1aには、さらにインク収容管1の中央部側に、圧入部1aを構成する開口孔よりも小径の軸孔1cが施された当接部1bが形成されている。
この当接部1bは、圧入部1aに図9に示すようなボールペンチップ2を圧入した時、ボールペンチップ2の外周面にインク収容管1の端部と当接する段部を形成する必要がなく管状からなるボールペンチップ2を圧入することが可能となり、ボールペンチップ2の後端部が当接することで、ストッパーとしての位置決めの機能を果たすものとなる。
【0027】
なお、図8図10に示すボールペンリフィールに用いられるインク収容管1についても、すでに説明した図4図7に示す手段を適宜採用することで、インク収容管1の端部に圧入部1aおよび当接部1bを形成させることができる。
【0028】
図11図13は、筆記具用リフィール(ボールペンリフィール)を複式多色ボールペンに用いた例を示している。
この複式多色ボールペンは、前軸21および後軸22により外郭が構成されており、前記前軸21は、その先端部が円錐形状に縮径して、先端口23が開口されている。そして、前記先端口23よりボールペンリフィールの筆記チップ(ボールペンチップ)2が択一的に繰り出されるように構成されている。
【0029】
前記後軸22の後端部には、それぞれ軸方向に沿って複数本(この例においては4本)のガイドスリット24が形成されている。各ガイドスリット24には、スライダー25に形成された操作部25aが、前記後軸の外側に突出して、それぞれ軸方向に摺動可能に配置されている。そして、ガイドスリット24が形成された後軸22内には、内筒部材27が収容されており、この内筒部材27には前記スライダー25を前進状態に係止する係止面27a等が形成されている。
また、前記内筒部材27の後端部は若干細径に形成されて、前記後軸22の後端部より突出しており、この内筒部材27の突出部分を覆うようにして、クリップ28を一体に形成したキャップ部材29が嵌合されて取り付けられている。
【0030】
図13に示すようにスライダー25の前端部が、インク収容管1の後端部に形成された肉厚状の第2の圧入部1a(図2図3参照)に装着されて取り付けられており、それぞれのインク収容管1とスライダー25を取り巻くようにしてリターンスプリング(図示せず。)が配置されている。これにより、各インク収容管1とスライダー25は、複式多色ボールペンの軸方向の後方に向かって付勢された状態で配置されている。
【0031】
この状態で、いずれかのスライダー25を、前記操作部25aを利用して前進移動させると、このスライダー25の前記操作部25aは、前記内筒部材27に形成された溝部に沿って前進移動して軸芯方向に落ち込む。これにより、スライダー25の後端係止部25bが、前記内筒部材27に形成された係止面27aに係止される。この時、前記スライダー25に取り付けられたリフィールは、それ自身の可撓性により適度に湾曲し、その先端部のボールペンチップ2が、先端口23から突出した状態で保持される。
【0032】
またこの状態で、他の第2のスライダー25を前進移動させると、この第2のスライダー25に形成された係止解除カム25cが、すでに前進状態で係止されている第1のスライダー25の被押圧突起25bに当接し、第1のスライダー25の後端係止部25bを外側に押し出す。これにより、第1のスライダー25の係止状態が解除される。
この結果、第1のスライダー25は前記したリターンスプリングの作用により後退し、第2のスライダー25の後端係止部25bが、内筒部材27に形成された係止面27aに係止され、先端口23から繰り出されるボールペンチップ2の交換がなされる。
【0033】
この発明に係る筆記具用リフィールの製造方法によると、すでに説明したとおり、インク収容管1は端部の圧入部1aを除いて管厚を相対的に薄くすることができるので、インク収容管の外径寸法を拡張することなく、インクの貯留量を十分に確保し得る筆記具用リフィールを提供することができる。
そして、インク収容管の管厚を相対的に薄く構成することで、筆記具用リフィールの全体に可撓性を持たせることができるので、これを前記した複式筆記具に用いた場合、その可撓性を生かして、各筆記チップの円滑な出没動作を保証することができる。
【0034】
なお以上の説明においては、実施の形態としてボールペンリフィールを挙げているが、この発明はボールペンチップ以外の他の筆記チップを備えた筆記具にも利用することができ、前記と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 インク収容管
1a 圧入部(開口孔)
1b 当接部
1c 軸孔
2 筆記チップ(ボールペンチップ)
3 継手部材
11 溶着チップ
11a 環状凹部
11b 気体導入孔
13 上割り型
14 下割り型
15 第1コアピン
16 第2コアピン
18 プリンターヘッド
21 前軸
22 後軸
24 ガイドスリット
25 スライダー
25a 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14