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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】電気機器及び電気安全システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/12 20060101AFI20241203BHJP
   G08B 17/10 20060101ALI20241203BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20241203BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20241203BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G08B17/12 A
G08B17/10 F
G08B17/00 M
G08B17/00 C
G08B25/08 A
H04Q9/00 311K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023087291
(22)【出願日】2023-05-26
(62)【分割の表示】P 2021525385の分割
【原出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2023113743
(43)【公開日】2023-08-16
【審査請求日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】1811648.3
(32)【優先日】2018-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521023735
【氏名又は名称】コネクテッド イノベーションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】パーフィット,アンソニー ディー
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-312945(JP,A)
【文献】特開2009-112155(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0371513(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第117373196(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-17/12
G08B 23/00-31/00
H03J 9/00- 9/06
H04Q 9/00- 9/16
H01R 13/56-13/72
H02H 5/00- 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられており、前記電気機器の機能を提供するように構成された内部電気構成部品と、
前記ハウジング内の前記内部電気構成部品の温度を非接触で測定可能に構成された温度センサと、
煙及び/又はガスのセンサ、一酸化炭素センサ、電流センサ、水分及び/又は水のセンサのうちの一つ以上である追加センサと、
前記温度センサと通信可能でありかつ前記追加センサと電気的に接続されたプロセッサと、
危険因子を示すデータを保持するメモリと、
一以上のリモート装置との通信を可能にするように構成された無線通信リンクと、
を備え
記プロセッサは、前記内部電気構成部品の検出された温度が特定の挙動を呈するときに電気的危険因子の存在を判定するように構成されており、
前記プロセッサは、前記メモリに保持される前記データと、前記温度センサ及び前記追加センサのいずれかの各センサで検知されたパラメータの組合せの挙動とを比較して危険因子の存在を特定するように構成されており、
前記プロセッサが電気的危険因子の存在を判定したときに、前記無線通信リンクを使用してリモート装置に信号が送信される、
電気機器。
【請求項2】
電子レンジ、ガス又は電気オーブン、ボイラ、コンシューマユニット、ディッシュウォッシャ、冷蔵庫及び/又は冷凍庫、洗濯機、衣類乾燥機、又は充電器である、
請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記内部電気構成部品は、モータ、コンプレッサ、ヒータ、動力源、ヒューズ、電気回路、又は加熱する可能性のある他の構成部品のうちの一つ以上を含む、
請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記メモリは、特定の危険因子に関連する表面温度挙動に関する挙動データを保持し、
前記プロセッサは、前記温度センサから表面温度データを受け取り、受け取った表面温度データを前記メモリに保持された前記挙動データと比較して危険因子の存在を判定するように構成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項5】
記プロセッサは、前記温度センサ及び前記追加センサのいずれかの各センサによって検知された対応するパラメータが所定の閾値を超えるかどうかを判定するように構成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項6】
電流センサを更に備え、
前記プロセッサは、前記電流センサの出力と前記温度センサの出力との組み合わせを用いて電気的な不良の存在を判定するように構成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記電流センサの出力と前記温度センサの出力との組み合わせを用いて電気的な不良の存在を特定する機械学習アルゴリズムを利用するように構成されている、
請求項6に記載された電気機器。
【請求項8】
前記プロセッサは、複数のセンサからのデータを入力として受けるように機能し、一連のシミュレートした危険因子で訓練された後、前記センサからの入力の組み合わせから危険因子を特定する、ニューラルネットワークに基づく機械学習アルゴリズムを利用するように構成されている、
請求項5から7のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気機器と、
一以上のリモート装置と、
を備え、
前記電気機器は、通信リンクを含み、前記プロセッサが前記内部電気構成部品の温度が所定の閾値を超えたと判定した場合に、該通信リンクを使用して前記リモート装置に信号を送信するように構成されている、
電気安全システム。
【請求項10】
前記通信リンクは無線通信リンクを含み、
前記無線通信リンクは、狭帯域無線周波数ネットワーク、Wi-Fi及びBluetoothのうちの1つ以上によって実現されている、
請求項9に記載の電気安全システム。
【請求項11】
1つ以上の前記電気機器を備え、
前記電気機器と前記リモート装置は、前記電気機器と前記リモート装置が通信可能なメッシュネットワークを形成している、
請求項10に記載の電気安全システム。
【請求項12】
前記電気機器及び前記リモート装置は、Wi-Fiネットワークと狭帯域無線周波数ネットワークの両方で通信するように構成されている、
請求項10又は11に記載の電気安全システム。
【請求項13】
前記一以上のリモート装置は、前記電気機器からの信号を受信した後、音声又は視覚の警報を提供するように構成されたスマートユーザ装置、及び通信リンクを含む隔離ユニットの一つ以上を含んでおり、
前記隔離ユニットは、前記電気機器からの信号を受信すると、前記隔離ユニットを介して水、ガス又は電気の流れを制限するように構成されている、
請求項11又は12に記載の電気安全システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な危険因子の存在を検出するための電気安全装置、及び電気的な危険因子を検出し対処するための電気安全装置を複数互いに連結したシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、故障した家電製品による火災リスクがますます問題になってきている。住宅火災のうち40%は、電気機器と電源によって発生していると報告されている。これらの火災の多くは、環境条件中の小さな電気サージや電位変化によって発生し、初期段階において検出し対処していれば軽減することができたものである。従って、常に電気的な接続を要する家電機器がますます多くなる現代においては、こうした機器を使用する家庭におけるユーザや居住者の安全を確保する対策が必要になる。
【0003】
1つの取り組みとして、火災(例えば煙りやCO、CO2、危険なガス)の存在を示すパラメータを検出するセンサを家庭に設置することが挙げられる。こうしたセンサは、火災のリスクを検知し、警報音を発することで付近の居住者に警告することができる。しかし多くの場合、こうした通知がなされるまでに火災は既に始まっていて、完全に損害を防ぐには遅すぎ、建物の居住者に対する危険を取り除くことはできない。更に、こうした取り組みでは、必ずしも付近の居住者の注意を引き寄せられるとは限らず、こうしたシステムでは住宅火災の発生が劇的に減少しないことが示されている。また、多くの場合、居住者が住宅に不在だと、その住宅で何が起こっているのかを居住者が知る方法は無く、数週間後になってはじめて、検出したパラメータや火災による潜在的に壊滅的な影響を居住者が実際に知る場合もある。
【0004】
よって、より初期の段階で潜在的な火災リスクを検出し、検出後に火災リスクの影響を防止する又は軽減することができるシステムが必要である。
本発明は、少なくとも上記問題点のいくつかに対処することを試みる。
【発明の概要】
【0005】
本発明における電気安全装置は、電気機器の電源プラグを受けて、該電気機器に電流源を接続するように設けられたソケットと、前記ソケットで受けた際に電源プラグの表面温度を検出するように設けられた温度センサと、前記温度センサと通信して、検知された表面温度が所定の閾値を超えた時を判定するよう構成されたプロセッサとを備える。
【0006】
機器の電源プラグの表面温度を検出し、表面温度が所定の閾値を超えた時を特定することで、本発明に係る電気安全装置は、従来の電気的危険因子の検出方法に比べて、より早い段階で起こりうる危険因子を特定することができる。
【0007】
当該温度センサは、電気機器の表面温度を検出するように構成されているが、同様に炎の存在又は周辺温度の上昇も検出することができる。当該温度センサは、好ましくは、電源プラグハウジング及びケーブルのうち少なくとも1つ、好ましくは両方の表面温度を検出するように設けられる。
【0008】
当該プロセッサは、前記表面温度が潜在的な電気的危険因子を示す挙動を呈する時を判定するように構成されていてもよい。例えば、電源プラグのハウジング及び/又はケーブルの表面の温度勾配が特定レベルを超えた時や、当該プラグの表面温度分布が特定の挙動を呈する又は当該表面温度の変化率が特定の挙動を呈する時を判定するように構成されていてもよい。当該プロセッサは、機械学習アルゴリズムを使用してもよく、また特定の危険因子を示すこうした挙動を特定するように訓練されていてもよい。当該電気安全装置は、更に、特定の危険因子に関連する表面温度の挙動のデータを保持するよう構成されたメモリを含み、当該プロセッサは、前記温度センサから表面温度データを受信し、これを前記メモリ内に保存したデータと比較して危険因子の存在を判定してもよい。当該プロセッサは、前記温度センサと更に1つ以上のセンサとの出力に基づいて危険因子の存在を判定するように構成されていてもよく、例えば、機械学習アルゴリズムは、センサの組み合わせの出力に基づいて危険因子の存在を判定してもよい。
【0009】
好ましくは、前記温度センサは、赤外線熱イメージセンサのような赤外線センサである。特に、好ましくは、当該温度センサは、サーモパイル型検出器画素の配列で構成された赤外線カメラである。このようにして、確実に危険因子を特定するように、極めて正確に表面温度の測定値を判定することができる。熱イメージを使用することで、熱温度(thermal temperature)の分布及び変化を測定することができ、より多くの情報を収集してより早い段階で電気的な危険因子をより確実に特定することができる。
【0010】
好ましくは、前記温度センサは、例えば30度から90度、好ましくは約60度の広い視野を持つレンズを備える。
【0011】
好ましくは、前記温度センサは、ソケット内で電源プラグを受けた時、電源プラグの表面温度に対して非接触の測定を提供するように構成されている。これにより、より正確な温度特定手段を提供し、電源プラグに接触するようにセンサを正確に位置決めする必要があると装置の稼働中にセンサが僅かにずれると測定が不能になるが、そのような必要性をなくすことができる。
【0012】
好ましくは、前記電気安全装置は、ハウジングを含み、前記ソケットはそのハウジングの表面に設けられ、前記温度センサは、そのソケットの位置におけるハウジングの外部の領域の温度を検出するように配置される。当該電気安全装置の外部にあるプラグの部分(即ち、ピン(prongs)の部分では無くプラグハウジング)を測定することで、電気安全装置自体の電気構成部品の熱が測定に影響を及ぼすことがないため、火災が最も始まりやすい及び/又は広がりやすい場所であるプラグ本体のかなりの部分のイメージングを行うことができる。
【0013】
好ましくは、前記ソケットは複数の凹部を備え、前記温度センサは、ハウジング内のソケット凹部間に配置されるとともにソケット内で電源プラグを受けた時に電源プラグの下部表面の温度を検出するようにハウジングから外側に向けられている。または、前記温度センサは、当該ソケットに隣接したハウジングの表面に設けられ、当該温度センサは、当該ハウジングの外表面に沿って方向付けられ、当該ソケット内で受けた時に電源プラグ及び接続ケーブルの側面の温度を検出する。両方の構成により、プラグハウジングのかなりの部分に対してイメージングを行うことができ、表面温度測定に対して正確に判定することができる。後者によれば、プラグからの距離を大きく取って当該温度センサを配置することができるので、プラグのより広い部分の測定が可能になる。前者によれば、当該温度センサを保護するように当該温度センサを電気安全装置のハウジング内に完全に収容することができる。
【0014】
1つの例において、前記電気安全装置は、電源ソケットに受け入れられるように設けられたプラグ部であって、そのプラグ部が電源ソケットに受け入れられる時に当該電気安全装置のソケット内で電気機器の電源プラグを受けることができるように当該ソケットに対して位置決めされたプラグ部を更に備えた、プラグインアダプタユニットである。これによって、単にアダプタユニットのプラグ部を電源ソケット内に差し込み、監視対象の機器のプラグをアダプタユニットのソケット内に差し込むだけで、建物内における既存の電源ソケットとともに当該電気安全装置を使用することができる。
【0015】
別の例において、前記電気安全装置は、電源ソケットフェースプレートである。好ましくは、電源ソケットフェースプレートは、壁などの表面に取り付けられて電源配線と連結するように構成されている。特に、前記電気安全装置は、例えば、電気アクセスポイントにおいて装置を壁にネジ止めすることで、従来の電源ソケットユニットの代わりに建物内に設置されてもよい電源ソケットフェイシアである。これによって、当該電気安全装置は、建物全体に渡って設置することができ、すべての電気機器を監視することができる。
【0016】
好ましくは、前記電気安全装置は、前記プラグの表面温度が前記所定の閾値を超えたと前記プロセッサが判定した時に、当該電気安全装置に接続される電気機器への電源電流供給を切るように構成されたリレースイッチを更に備える。このようにして、電気機器のプラグの温度が危険と思われるレベルに達したら、当該電気安全装置は、機器への電流供給を遮断することができ、危険因子に対処することができる。
【0017】
前記電気安全装置は、各々が自前の電流センサ及びリレースイッチを有してもよい、1つ又は2つ以上のソケットを有していてもよい。
【0018】
好ましくは、前記電気安全装置は、リモート装置と通信するように構成された1つ以上の無線通信リンクを備える。これによって、当該電気安全装置は、建物全体に渡る電気安全システム(即ち、電気安全装置ネットワーク)内で採用され、リスクを特定し、ユーザに警報を出し、そのリスクに対処することができる。好ましくは、前記電気安全装置は、Wi-Fiネットワーク及び狭帯域の無線周波数ネットワークの両方によって他の電気安全装置及び/又はリモート装置と通信するように構成されている。これにより、当該ネットワークの1つが不良となった場合にも不測の事態に対処することができる。
【0019】
好ましくは、前記電気安全装置は、1つ以上の更なる局所センサを備え、これら1つ以上の局所センサは、煙及び/又はガスのセンサ、一酸化炭素センサ、水分及び/又は水のセンサ、電流センサの1つ以上を備える。これにより、当該装置は、より広範囲の危険因子の存在を検知し、危険因子をより確実に特定することができる。好適な例において、前記電気安全装置は、煙及び/又ガスのセンサと、一酸化炭素センサと、電流センサとをそれぞれ備え、前記プロセッサは、各センサによって検知された対応するパラメータが、所定の閾値を超えたかどうかを判定するように構成されている。こうしたセンサの組み合わせによって、電気機器に関する実質上すべての住宅の危険因子を確実に特定することができる。好ましくは、前記プロセッサは、センサの組み合わせの出力に基づいて危険因子の存在を特定するように構成されている。特に、前記プロセッサは、複数のセンサの出力を利用してリスクをより確実に特定する組み合わせの手法を採用している。例えば、前記プロセッサは、複数のセンサの出力を利用してリスクを特定する機械学習アルゴリズムを採用している。このようにして、単一のセンサの出力に基づいた場合に比べてより確実に危険因子を特定することができる。例えば、電流センサと温度センサの出力の組み合わせを使用することで電気的な不良の存在をより確実に特定することができる。
【0020】
前記電気安全装置は、検知された各パラメータが対応する閾値又は危険因子の存在を示す挙動を有するように構成されている。当該装置は、検知されたパラメータと対応するデータとを前記プロセッサが比較して潜在的なリスクの存在を特定できるように、こうした閾値及び挙動の変化パターンを含むデータを保存するメモリを備えてもよい。同様に、前記プロセッサは、検知されたパラメータの組み合わせによる挙動と前記メモリ内に保存された応答データとを比較することができ、単一のセンサの出力に基づいた場合に比べて、より確実に危険因子の存在を特定できる。
【0021】
当該装置は、水センサを更に含んでもよく、当該電気安全装置は、前記ソケットと、前記温度センサと、前記プロセッサとを収容する主筐体を備え、当該水センサは、電気安全装置の主筐体の下方の表面上に位置決めされて設けられており、当該水センサは、ケーブル又は無線接続によって主筐体と接続可能である。これにより、電気的な不良とともに特に危険となりうる漏水もまた特定することができる。当該プロセッサは、水センサと1つ以上の他のセンサとの応答を分析して危険因子の存在をより確実に特定するように構成されていてもよい。
【0022】
好ましくは、前記電気安全装置は、ユーザに警報を出す手段を更に備えている。当該装置は、検知されたパラメータが閾値を超えたと前記プロセッサが判定した時にユーザに通知する警報発音器又は視覚による警報器を含んでいてもよい。好ましくは、当該装置はまた、スマートフォンなどのユーザ装置に警報を送信して、特定された危険因子の場所と種類をユーザに通知するように構成されている。当該装置はまた、危険因子に関する情報及び建物を出るための経路などの方向に関する情報をユーザに通知するように音声アシスタント(例えば、AppleTM Siri、GoogleTM Assistant、MicrosoftTM Cortana、AmazonTM Alexa)に対して通知するように構成されていてもよい。
【0023】
前記電気安全装置は、1つ以上の電気安全装置及び1つ以上のリモート装置を有する電気安全システム内に設けられたときに更なる利点を提供する。このように、当該装置は、通信をすることでユーザにリスクを通知して自動的に又はユーザに促されて行動を起こし、危険因子に対処することができる。
【0024】
本発明の別の観点では、上記請求項のいずれかに記載の電気安全装置と1つ以上のリモート装置とを備えた電気安全システムを提供し、当該電気安全装置が通信リンクを備え、当該電気安全装置が電源プラグの表面温度が所定の閾値を超えたと前記プロセッサが判定した時にその通信リンクを使用して信号をリモート装置に送信するように構成される。
【0025】
このようにして、前記リモート装置は、ユーザに対して警報を出すか行動を起こして潜在的な危険因子に対処することができる。リモート装置は、上述したような電気安全装置ではない、ネットワークに接続された他の装置を含み、当該他の装置は、例えば、スマートフォン、スマートテレビ、音声アシスタント装置や、遠隔制御バルブ、ルーターやハブ、携帯電話用ドッキングステーション、火災アラーム、煙アラーム、スプリンクラーシステムのような他のスマートユーザ装置等である。
【0026】
好ましくは、前記通信リンクは、無線通信リンクを備え、当該無線通信リンクは、好ましくは狭帯域の無線周波数ネットワーク、Wi-Fi、Bluetoothのうちの1つ以上によって提供される。前記電気システムは、1つ以上の電気安全装置及び1つ以上のリモート装置を備えていてもよく、当該電気安全装置及びリモート装置は、これらの電気安全装置及びリモート装置が通信可能であるメッシュネットワークを形成する。このようにして、各装置は、連携した行動や警報を提供することができるように他の装置と通信することができる。好ましくは、当該電気安全装置及びリモート装置は、Wi-Fiネットワーク及び狭帯域の無線周波数ネットワークの両方によって通信してネットワークの1つが動作を停止した場合にも不測の事態に対処するように構成されている。当該狭帯域の無線周波数ネットワークは、具体的には868MHz帯域であってもよい。
【0027】
好ましくは、少なくとも1つのリモート装置は、スマートユーザ装置であってもよく、このスマートユーザ装置は、当該電気安全装置から信号を受信した後に音声又は視覚の警報を提供するよう構成されている。例えば、スマートフォンが前記電気安全システムと動作するように構成されたソフトウェアを実行してもよい。このソフトウェアは、ユーザに警報を提示し、特定されたリスクの場所を特定し、特定されたリスクの内容を提供し、ユーザが、ガス、水、電気の本管(mains)又は局所供給を遮断する、スプリンクラーシステムを作動する、消防隊を呼ぶ、機器をオフにするなど、リスクへの対処方法を選択できるようにしてもよい。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つのリモート装置は、音声アシスタント装置(例えば、AppleTM Siri、GoogleTM Assistant、MicrosoftTM Cortana、AmazonTM Alexa)を備えて、この音声アシスタント装置は、前記電気安全装置から信号を受信するとユーザに通知するように構成されている。当該音声アシスタント装置は、危険因子の種類及び場所に関する情報の提供、対応方法の選択肢(例えば、緊急サービスを呼び出す、隔離装置を作動する)の提供、危険因子を避けるために建物から安全に出る方法に関する情報の提供のうちの1つ以上を提供するように構成されていてもよい。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つのリモート装置は、通信リンクを備えた隔離ユニットであり、この隔離ユニットは、当該電気安全装置から信号を受けると隔離ユニットを介して水やガス、電気の流れを制限するように構成されている。このようにして、隔離ユニットは、機器が不具合を示す挙動を見せたという通信を当該電気安全装置から受信することができ、当該隔離装置は、その特定の機器や建物の一部、建物全体に対して、サービスの提供を制限又は停止するように行動を起こすことができる。
【0030】
前記隔離ユニットは、いくつかの異なる形態であってもよい。1つの例として、少なくとも1つの隔離ユニットは、ローカル水道の電気機器との接続点に設置されるように設けられるローカル水道隔離ユニットである。このローカル水道隔離ユニットは、前記電気安全装置との接続のためのケーブル又は無線接続とモータ付きバルブとを備える。このローカル水道隔離ユニットは、前記電気安全装置から信号を受信するとモータ付きバルブを閉じて前記電気機器への水道供給を制限するように構成されている。このようにして、特定の機器や機器群、建物の領域への水道供給を制限し、浸水の防止や水による電気的な不良の拡大を防止することができる。
【0031】
好ましくは、少なくとも1つの隔離ユニットは、本管水道供給部やヘッダー水タンク、本管ガス供給部に設置されるように設けられた少なくとも1つのモータ付きバルブを備えた本管供給隔離ユニットを備えており、この本管供給隔離ユニットは、前記電気安全装置から信号を受信すると当該モータ付きバルブを閉じて本管供給を制限するように構成されている。好ましくは、少なくとも1つの隔離ユニットは、電源遮断スイッチを備えた電源隔離ユニットを備えており、この電源隔離ユニットは、前記電気安全装置から信号を受信すると電源遮断スイッチを作動させて電源を遮断するように構成されている。こうした本管隔離ユニットを使用すれば、ガスや電気、水道の建物全体又は特定の領域への更なる供給を停止して、危険因子の拡大を防ぐことができる。
【0032】
前記電源隔離ユニットは、電源コンシューマユニットに接続されており、その電源コンシューマユニット上のメインスイッチを作動して主電源供給を遮断するように構成される。または、当該電源隔離ユニットは、コンシューマユニット内又はヒューズボックス内において統合されていてもよい。
【0033】
前記隔離ユニットは、局所の危険因子を特定する1つ以上の局所センサを備えるようにしてもよい。好ましくは、当該隔離ユニットは、プロセッサと、温度センサ、煙及び/又ガスのセンサ、一酸化炭素センサ、水分及び/又は水のセンサ、電流センサのうちの1つ以上とを備えており、当該隔離ユニットは、局所センサに検知されたパラメータが所定の閾値を超えたと当該プロセッサが判定したときに、水道、ガス又は電気の流れを制限するように構成されている。
【0034】
本発明の別の例においては、統合された電気安全装置を有する電気機器が提供され、電気機器の内部構成部品の温度を監視して潜在的な危険因子を特定する。
【0035】
特に、ハウジングと、このハウジング内において電気機器の機能を提供するように構成されている電気構成部品と、その電気構成部品の表面温度を検出するように配置された温度センサと、その温度センサと通信するプロセッサであって、検知された表面温度が所定の閾値を超えた時を判定するように構成されているプロセッサとを備える電気機器が提供される。
【0036】
好ましくは、前記温度センサは、赤外線熱イメージセンサのような赤外線センサである。特に、好ましくは、当該温度センサは、サーモパイル型検出器画素の配列で構成された赤外線カメラである。このようにして、確実に危険因子を特定するように、非接触測定を使用して、内部電気構成部品の表面温度の極めて正確な測定値を判定することができる。熱イメージを使用することで、熱温度(thermal temperature)の分布及び変化を測定することができ、これにより、より多くの情報を収集してより早い段階で電気的な危険因子をより確実に特定することができる。好ましくは、当該温度センサは、例えば40度から80度、好ましくは約60度の広い視野を持つレンズを備えている。
【0037】
好ましくは、前記温度センサは、電気適合性(electrical compliance)の使用中に内部電気構成部品の表面温度に対して非接触な測定を提供するように構成されている。これにより、より正確な温度特定手段を提供し、電気構成部品に接触するようにセンサを正確に位置決めする必要がある場合、装置の稼働中にセンサが僅かにずれると測定が不能になるが、そのような必要性をなくすことができる。熱イメージにより、非接触の方法で情報を収集することができ、電気構成部品の表面温度が特定の挙動を示すことにより、機器内の火災のリスクを特定することができる。
【0038】
好ましくは、前記電気機器は、電子レンジ、ガス又は電気オーブン、ボイラ、コンシューマユニット、ディッシュウォッシャ、冷蔵庫及び/又は冷凍庫、洗濯機、衣類乾燥機のうちの1つである。
【0039】
好ましくは、前記内部電気構成部品は、モータやコンプレッサ、ヒータ、動力源、ヒューズ、電気回路、又は加熱する可能性のある他の構成のうちの1つ以上である。
【0040】
好ましくは、前記温度センサは、内部電気構成部品と接すること無く対向するように前記電気機器のハウジング内に設けられている。好ましくは、前記温度センサは、前記内部電気構成部品の表面のかなりの部分を撮像するような熱カメラである。
【0041】
前記電気機器の前記プロセッサは、前記表面温度が潜在的な電気的危険因子を示す挙動を呈する時を判定するように構成されていてもよい。例えば、温度勾配が或るレベルを超えた時、前記プラグの表面温度分布が特定の挙動を呈する時又は前記表面温度の変化率が特定の挙動を呈する時を判定するように構成されていてもよい。当該プロセッサは、機械学習アルゴリズムを採用してもよく、特定の危険因子を示す挙動などを特定するように訓練されていてもよい。当該電気安全装置は、更に、特定の危険因子に関連する表面温度の挙動のデータを保持するように構成されたメモリを含み、当該プロセッサは、前記温度センサから表面温度データを受信して、これと当該メモリ内に保存されたデータとを比較して危険因子の存在を判定するように構成されている。
【0042】
好ましくは、前記電気機器は、上記したような電気安全装置及び/又はリモート装置と通信するように構成された1つ以上の無線通信リンク更に備えている。これにより、当該電気機器は、建物全体に渡って(上述のような)電気安全システム内で使用することができ、リスクを特定し、ユーザに対して警報を出し、リスクに対処することができる。好ましくは、当該電気機器は、Wi-Fiネットワーク及び狭帯域の無線周波数ネットワークの両方によって他の電気安全装置及び/又はリモート装置と通信するように構成されている。これにより、当該ネットワークの1つが不良となった場合にもコンティンジェンシを提供することができる。
【0043】
好ましくは、前記電気機器は、1つ以上の局所センサを備え、これらの1つ以上の局所センサは、煙及び/又ガスのセンサ、一酸化炭素センサ、水分及び/又は水のセンサ、電流センサのうちの1つ以上を備えており、前記隔離ユニットは、局所センサによって検知されたパラメータが所定の閾値を超えたと前記プロセッサが判定した時に水又はガス、電気の流れを制限するように構成されている。
【0044】
前記電気安全装置に関するすべての上記機能は、内部温度センサを有する電気機器内でも実現可能である。前記電気機器はまた、上記電気安全システムの一部を形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して例示のみを目的として説明する。
図1図1は、電源ソケットフェースプレートの形態における本発明に係る電気安全装置を模式的に示す。
図2A図2Aは、電源ソケットフェースプレートの形態における本発明に係る電気安全装置を模式的に示す。
図2B図2Bは、電源ソケットフェースプレートの形態における本発明に係る電気安全装置を模式的に示す。
図3図3は、プラグインアダプタユニットの形態を採る本発明に係る電気安全装置を模式的に示す。
図4図4は、プラグインアダプタユニットの形態を採る本発明に係る電気安全装置を模式的に示す。
図5A図5Aは、本発明に係る電気安全システムのリモート装置であって本管供給隔離ユニットであるリモート装置を模式的に示す。
図5B図5Bは、モータ付きバルブを示す。
図6図6は、本発明に係る電気安全システムのリモート装置であって電源供給隔離ユニットであるリモート装置を模式的に示す。
図7図7は、本発明に係る例示的な電気安全システムを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明に係る電気安全装置100を示す。電気安全装置100は、電気機器の電源プラグを受けるように設けられたソケット120と、電気安全装置100のソケット120内に電源プラグを受けた時にその電源プラグの表面温度を検出するように設けられた温度センサ110とを備える。電気安全装置100は更に、温度センサ110と通信するプロセッサであって、ソケット120内で受けた電源プラグの検知表面温度が所定の閾値を超えた時を判定するように構成されているプロセッサを含んでいる。ソケット120内で受けた電源プラグの表面温度を検出するように温度センサ110が設けられているので、電気安全装置100は、火災に繋がるような危険な状態を早い段階で検出することができる。特に、住宅火災の主要因は、電気機器内の電気的不良による過熱である。電気的不良は電源プラグ接続部の表面温度の上昇によって判定可能であり、このようなパラメータを監視することにより電気的不良が拡大する前に電気的不良を検出することができる。
【0047】
電気安全装置100は更に、電源プラグの検知表面温度が所定の閾値を超えたとプロセッサが判定した時に様々なレスポンスを提供するような幅広い機能を備えていてもよい。特に、電気安全装置は更に、ソケット120内で受けたプラグが所定の閾値を超えた時に警報を出して火災リスクを示すような内部警報発音器を備えている。装置100は、電気安全装置100を介して機器に流れる電流を停止するためのリレースイッチを備えていてもよい。装置100は更に、スマートフォンのようなユーザ装置に警報を送信して、水道やガスの供給を遮断するなどのリスクを軽減するような様々なアクションを取るために、無線通信機能を備えている。電気安全装置100のこうした拡張機能は、以下に詳細を述べる。
【0048】
[温度センサ]
上記したように、温度センサ110は、電源プラグの表面温度を検知するために、電源プラグをソケット120内で受けた際にその電源プラグに対応する領域内の温度を検出するように構成されている。温度センサ110は、赤外線センサ、特に赤外線検出器画素の配列で構成された赤外線カメラによって提供されている。赤外線アレイセンサは、放出された赤外線放射を測定して絶対温度を検出する8×8グリッドのサーモパイル要素を備えていてもよい。この赤外線アレイセンサは、実際の温度と温度勾配を測定して熱イメージを提供することができ、表面温度の高精度な測定及び温度変化の特定を可能にしている。好ましくは、赤外線アレイセンサは、温度センサ110が短距離に位置する際に電源プラグの広い面積を撮像することができるよう広い視野角を有するレンズも備えている。前記レンズは、約60度の視野角を有する一体型のシリコンレンズを備えてもよい。好ましくは、温度センサ110は、-20℃から100℃の範囲の温度変化を検出するように構成され、電気的不良の場合の温度上昇開始に伴って電源プラグの表面温度を追跡することができる。温度センサ110は、例えば、一般的に移動検知及び存在検知、人数計測、光制御に使用されているパナソニックGrid-EYE(登録商標)センサであってもよい。
【0049】
温度センサ110は、ソケット20に接続する時に電気機器の電源プラグに対して非接触の温度測定を提供するように設けられている。非接触熱イメージを使用することで、電源プラグ全体を撮像することができ、接触式測定においては必然的であった一点における検出では無く、プラグに渡って温度変化を検出することができる。また、接触式測定においては、電源プラグをソケット120で受けた時にその電源プラグと接触し続けるように接触式温度センサが設けられている。接触式温度センサが所定位置から外れて電源プラグと接触しなくなってしまうと、正確な温度測定を提供することができず、電気機器内の危険な不良を検出できなくなってしまうリスクがある。赤外線アレイセンサはまた、センサから受信した熱イメージに対するより複雑な処理の可能性を提供する。例えば、より高度な機械学習に基づくアルゴリズムを利用して機器内のリスクの高い不良を示す温度変化パターンを検出することができる。
【0050】
温度センサは、電源プラグの表面温度の読み取りを実現するための多くの異なる方法で位置決めされてもよい。図1において、温度センサ110は、装置100のハウジング130内においてソケット120を形成する凹部121間に位置決めされている。特に、ハウジング130の表面におけるソケット120の中央位置には開口部111があり、この開口部111は、電源プラグのピンを受ける凹部間に設けられている。温度センサ110は、装置100のハウジング130の外のハウジング表面内に配置されている。このようにして、温度センサ110は、プラグをソケット120内に受けた時にそのプラグの基部表面を撮像する。開口部111は、温度センサ110のIR感度アレイよりも大きくてもよく、温度センサは、ソケット部120内で受けたプラグの下部表面に対して広い視野を提供するように開口部を介してハウジング表面内の奥まった所に設けられていてもよい。このようにして、温度センサは、装置100で受けたプラグの下部表面の領域に対して表面温度の非接触測定を提供することができる。温度センサ110は、同様にして、電気安全装置100内で受けた電源プラグに対して非接触の表面温度測定を提供するように多くの別の場所に配置してもよい。
【0051】
図2及び図3は、代替え的な可能性を示し、温度センサ110は、電源プラグの表面温度を測定するようにハウジング130の表面131に沿って方向付けられ、ハウジング130の表面上に配置されている。特に、温度センサ110は、電気安全装置100のハウジング130内に成形されていてもよい。この例において、ハウジング130は、ソケット部120に向けてハウジング130の表面に沿って方向付けられるようにして赤外線センサを収容する表面131における統合凸部112を備えている。図2Bは、図2Aの電気装置100の側面図を示す。突出したハウジング部112は、ハウジング130の表面131において視認可能である。温度センサ110は、ハウジング130の表面とおおよそ平行に配列されるようにこの突出したハウジング部112内において保持される。センサ110は、ソケット部120の周りにおける任意の点において、例えば、図2Aに示すように側方から又は図3に示すように下方から又は上方からソケット120に向けて配置されてもよい。このようにハウジングの表面に沿って方向付けるようにセンサを配置することで、センサは、ソケット内でプラグを受けた時にそのプラグの周りにおける広い視野を撮像するようにプラグから距離を取って配置することができる。温度センサ110のレンズが約60°の視野を持つことから、電源プラグのかなりの部分を、温度が上昇した際に上昇温度勾配を検出するように撮像することができる。これにより、電気的不良に関連する温度上昇をより正確に検出することができる。
【0052】
温度センサ110は、主に表面温度を検出するように構成され、これによりスパークや炎に繋がる大幅な温度上昇となる前に潜在的な不良を初期に検出することができるが、この温度センサは同様に、IR放射の大幅な放出によって、スパークや炎がプラグで増加した際にこうしたスパークや炎の存在を明らかに検出することができる。それゆえ、温度センサ110によって、装置内における潜在的に危険な不良に関連する温度上昇を初期に検出することができ、装置は、以下に述べるように、こうした不良のリスクを最小限にするように様々な警報や行動を提供することができる。
【0053】
[電源ソケットフェースプレート装置]
図2Aは、本発明に係る電気安全装置の更なる様々な機能を示す。図1及び図2Aに示す電気安全装置100は、電源ソケットフェースプレート100であり、壁や他の表面上の電気接続点において例えばネジ101を用いて取り付けられるように構成されている。図1a及び図2Aの電源ソケットフェースプレート安全装置100は、従来の電源ソケットフェースプレート又はフェイシアのように、ハウジング130によって画定された実質的に平坦な筐体を備える。電気安全電源ソケットフェースプレート100は、従来の電源ソケットフェースプレートの代わりに建物の電気的アクセスポイントにおいて配置されるように構成されており、火災や電気的不良のリスクに対して安全性を高めるように提供されている。図1及び図2Aの例において、電源ソケットフェースプレート100は、2つのソケット120を備えるが、こうした電気安全装置はまた、1つのソケット120又はより多くの数のソケット120を有していてもよい。同様に、図1及び図2Aの装置100は、壁や他の表面に取り付けられるようなフェースプレートの形態となっているが、電源ソケットにケーブルを介して取り付けられるように構成された移動式延長ソケットとして設けられていてもよい。
【0054】
従来の電源ソケットフェースプレートのように、電源ソケットフェースプレート装置100は、対応するソケット120への電流供給をオンに切り替えるスイッチ102を備えている。使用に際して、電源ソケットフェースプレート装置100は、従来の電源ソケットフェースプレートに代わって、壁の所定の位置にねじ101を使ってねじ止めすることで取り付けられている。電気機器は、装置100のソケット120に接続され、スイッチ102をオンの位置に切り替えることで電流が供給される。ソケット120に差し込まれた機器プラグの表面温度は、ハウジング130の表面に沿ってソケット120に向けられた熱赤外線センサ110によって監視される。特定の温度又は温度変化がプロセッサ(図示せず)によって特定されると、装置100は、潜在的なリスクの存在を判定し、数多くの行動を取ることができる。電気安全装置100は、まず、周辺領域の居住者へ警報を出すために、危険因子を検出したら音を発するよう構成された内部警報発音器140を備える。また、電気安全装置は、1つ以上のリモート装置と通信するように構成された無線通信リンクを備え、特に、潜在的な電気的不良の存在についてユーザに警報を出すとともに検出した危険因子の種類及び建物内におけるその場所に関する情報を更に提供するために、装置100は、スマートフォンなどのユーザ装置と通信リンクを介して通信するように構成されている。
【0055】
装置100は、装置100をリセットするため又は音を発した際にアラーム140の音を止めるためのリセットスイッチ141を含む。電気安全装置100は更に、一連のステータスLEDを備え、装置100が正常に機能していることをユーザに示す。特に、図2Aの装置は、対応するLEDを備え、ネットワーク接続及び装置への電源供給、アラームの出力に関するステータスを示す。一連のLED142は、ハウジング130の表面に設けられ、ユーザに対して視覚的な警報を出す。電気安全装置はまた、スマートTVやスマートウォッチ、そのほかの装置などの他のユーザ装置と無線通信リンクを介して通信するように構成されていてもよく、潜在的な危険因子の存在を示し、検出された危険因子に関する詳細を提供する。
【0056】
[追加のセンサ]
温度センサ110の他に、電気安全装置100は、数多くの追加のセンサを備えて危険因子の存在を検出する。特に、電気安全装置は、電気安全装置100と接続する任意の電気装置からの煙を又は付近の装置100からの煙及びガスを検出するように構成された煙及びガスセンサ113を備える。電気安全装置100はまた、電気安全装置100の周辺における例えばガス火やボイラからの一酸化炭素を検出するように構成されている一酸化炭素センサ114を備える。装置100は更に、電気安全装置100に接続された電気機器に供給される電流を監視するための電流センサ115を備える。電流センサは、装置内に配置され、プラグのピンと装置100の筐体内の対応する接点との間の電流を測定する。
【0057】
各センサは、検知されたいずれかのパラメータが潜在的な危険因子を示すかどうかをプロセッサが計算することができるように、装置内におけるプロセッサと電気的に接続されている。プロセッサは、検知されたパラメータの値が所定の閾値を超えた時を特定することで、潜在的な危険因子の存在を判定するように構成されている。しかしながら、より複雑な処理を使用して、例えば、検知されたパラメータの変化率を特定する、又は検知されたパラメータ変化が危険因子のリスクの増加に関連する特定の挙動やパターンを示す場合を特定することにより、危険因子の存在を特定してもよい。プロセッサはまた、より確実にリスクを特定するために、センサ出力の組み合わせに基づいて危険因子の存在を判定するように構成することもできる。例えば、プロセッサは、増加したリスクを判定するために複数のセンサの出力を取り込んだ機械学習に基づくアルゴリズムなどのより複雑なアルゴリズムを使用することができる。例えば、電流センサ及び温度センサの測定値がそれぞれの閾値より低い状況では、組み合わせたセンサ測定値の挙動は、発達中の危険因子を示す場合もあり、これにより、1つのみのセンサの場合に比べてより早い段階で検出することができる。同様に、1つ以上のパラメータに関する機会の異常な比率は、危険因子の存在を示す場合がある。装置100は、こうしたセンサパラメータデータを保持する内部メモリを備えていてもよく、プロセッサは、危険因子の存在を特定するために、このメモリに保持された危険因子を示すデータと受信データとを比較するように構成されている。プロセッサは、潜在的な危険因子に関する増加したリスクに関連するパラメータの変化を特定するように訓練可能な機械学習アルゴリズムのような、より複雑なアルゴリズムを使用してもよい。例えば、この機械学習アルゴリズムは、センサからのデータを入力として受信するように機能するニューラルネットワーク(又はサポートベクターマシン)を含んでもよく、一連のシミュレートした危険因子に関して訓練した後、操作者によって設定又は事前に決定されたものでは無い重み付け及び閾値を使用することでセンサからの入力の組み合わせから実世界の危険因子を特定することができるようにしてもよい。別の例では、線形回帰モデルを使用して、時間経過によるパラメータの変化を特定し、リスクのレベルを予測又は見積もってもよい。
【0058】
電気安全装置100はまた、図2Aに示すように、装置100の付近において水の存在を検出するように設けられた水センサ116を備えることができる。特に、水センサ116は、装置100下方における表面上に集まった水を検出するように、電気安全装置100下方の地面に横たわるように設けられた水センサ本体117を備えてもよい。水センサ本体117は、図2Aに示すように水センサ接続118によって装置と接続している。この接続118は、水センサを内部プロセッサに接続するために装置側の対応するソケット内に差し込むプラグを備えていてもよく、プロセッサは、水センサから信号を受信して水の存在を特定し、アラームで又はユーザ装置への無線通信リンクでユーザに警報を出すことができる。水の存在は、機器に電気的不良がある際に特に危険であり、追加の水センサ116は、こうした危険因子を特定するために、家電製品や本管水道からの漏れの存在を検出することができる。
【0059】
スマートフォンなどのリモート装置にアラームを出す又は警報を出すことに加えて、電気安全装置100はまた、自動的に又はユーザに促されて行動を起こし、検出された危険因子に応答することができる。このようにして、電気安全装置100は、危険因子を検出し、ユーザに警報を出し、適切な行動を取って危険因子に対処することができる電気安全システムの一部を形成する。
【0060】
電気安全システムは更に、隔離ユニット150の形態において図2Aに例示する1つ以上のリモート装置を備えている。このシステムは、様々な種類の隔離ユニットを備え、各隔離ユニットは、電気装置100への通信リンクと、危険因子の潜在的な影響を軽減するために、電気安全装置100から信号を受信すると水やガス、電気の流れを制限する又は遮断する手段を作動させる何らかの形態とをそれぞれ備える。図2Aに図示する隔離装置150は、図5Bに示すようなモータ付きバルブを備えるローカル水道隔離ユニット151である。隔離ユニット150のモータ付きバルブ151は、本管供給から水を電気機器に輸送する冷水供給提供ライン161に配置されている。ローカル水道隔離ユニットは、電気安全装置100への通信リンク152を備え、図2Aの例において、電気安全装置100のハウジング内のポートに接続するケーブル接続152の形態を採り、バルブを作動させるためにプロセッサからの信号をモータ付きバルブ151に送信することができる。このようにして、センサ110、113、114、115、116のうちの1つを使用して危険因子が電気安全ユニット100によって検出されると、信号がローカル水道隔離ユニットへ送信され、バルブ151を作動させて、例えば洗濯機やディッシュウォッシャなどの電気機器への水道供給を遮断するようにしてもよい。
【0061】
電気機器のプラグは、リモートバルブ151が接続される電気安全装置100に差し込まれていてもよい。このようにして、機器自体の電気的不良を、例えば電流センサ115又は温度センサ110を介して特定することができ、装置への水道供給を遮断して故障した機器からの漏れを防止することができる。同様に、電気安全装置100に接続された水センサ116が、装置100下方の地面上の水たまりを介して漏れの存在を検出すると、装置110のプロセッサは、水道供給を遮断するために、ローカル水道隔離ユニット150への通信リンク152を介して信号を送信することができる。水道供給を遮断することによって、漏れた水を介して特定の機器から危険な電流が伝わる電気的不良の危険性を更に軽減することができる。ケーブル接続152を使用する代わりに、ローカル水道隔離ユニット150は、電気安全システム内で電気安全装置100及び他のリモート装置と通信するために、1つ以上の無線通信のモードを備えていてもよい。
【0062】
電気安全装置100はまた、装置100内においてリレースイッチを備え、このリレースイッチは、プロセッサが1つ以上のセンサからの信号を介して危険因子の存在を判定した際に電気安全装置100に接続される電気機器への電流供給を切断するように構成されている。このようにして、機器内において不具合が検出されると、電気安全装置100を介した電源供給からの電気供給を即座に停止することができ、危険因子が更に拡大することを防ぐことができる。
【0063】
[プラグインアダプタ安全装置]
図3及び図4は、本発明による代替的な電気安全装置200を示す。図3及び図4に示す電気安全装置200は、プラグインアダプタユニット200であり、電源ソケットに差し込むとともに電気機器のプラグを受けるよう構成され、電源ソケットからの電流供給がアダプタユニット200を介して機器へ送られる。このように、図1及び図2Aに示すような電気安全装置フェースプレート100を導入するのでは無く、プラグインアダプタ安全ユニット200を単に既存の電源端子に差し込み、電気機器をアダプタユニット200に直接差し込んでもよく、上記したような強化された安全機能を得ることができる。
【0064】
図3及び図4に示す電気安全装置200は、図1及び図2Aに示すフェースプレート安全装置100に関する上記すべての機能を備える。特に、電気安全装置200は、装置200のハウジング230内に成形された赤外線アレイセンサ210を備え、このセンサは、ソケット220に対応する外表面上の領域においてハウジング230の外表面に渡って方向付けられ、これにより、アダプタユニット200に差し込まれた電気機器のプラグの表面温度を検出する。電気安全アダプタユニット200はまた、ソケット220に対応する凹部内の内蔵電流センサ215と、煙及びガスセンサ213と、一酸化炭素センサ214と、アダプタ200下方の地面上における水の存在を検出するために装置200に差し込むことのできる別体水センサ116と、洗濯機やディッシュウォッシャへの水流を止めるためにモータ付きバルブを閉じるように構成されたリモートローカル水道隔離ユニット150と、内部警報発音器240と、ステータスLED242と、オン/リセット/サイレンススイッチ241と、内部プロセッサとを備え、内部プロセッサは、各センサから信号を受信し、各信号を解析して潜在的な危険因子の存在を示すかどうか判定し、内部警報発音器240を介してユーザへ警報を出す、又はスマートフォンなどのリモートユーザ装置へ警報を送信するように構成されている。
【0065】
本発明における各電気安全装置100、200が備えてもよい更なる機能として、内部バッテリバックアップがあり、電源が故障する又はセキュリティシステムによってオフになった場合、電気安全装置100、200は、一定の時間の間動作を続ける。従って、図3及び図4の装置200と図1及び図2Aの装置との間の唯一の違いは、装置200は、図4に示すようにプラグ部223を有するアダプタユニットの形態をとり、これにより装置を電源ポイントに差し込むことができる。
【0066】
[リモート本管供給隔離]
本発明の電気安全システムの一部を形成する更なるリモート装置として、図5Aに示す本管供給隔離ユニット250がある。本管供給隔離ユニット250は、少なくとも本管供給部-例えば、本管水道供給部やヘッダー水タンク部、本管ガス供給部-に導入されるように設けられた少なくとも1つのモータ付きバルブ251を備える。この本管供給隔離ユニット250は更に、本管供給部の近くに配備された制御ユニット260を備える。本管供給隔離制御ユニット260は、通信リンクを備え、本管供給を遮断するためにモータ付きバルブ251へ信号を送信する。図5Aの例において、モータ付きバルブ151は、建物への本管水道供給を遮断するように本管水道供給ライン162に設けられている。本管供給隔離制御ユニット260は、図1から図4に示されるような電気安全装置から信号を受信し、それに応じてモータ付き本管遮断バルブ251を制御するように構成された通信リンク252を備え、電気安全装置ネットワーク内の電気安全装置100、200のうちの1つによって危険因子が検出された場合に本管供給を遮断する。
【0067】
本管供給隔離制御ユニット280はまた、局所の危険因子の存在を検出しそれに応じて本管供給を遮断するために、電気安全装置100、200と同様の機能を有する数多くの局所センサを備えていてもよい。特に、本管供給制御ユニット260は、局所付近におけるスパークや炎、温度上昇の存在を検出するよう構成された、例えば電気安全装置100、200に関して上記したような温度センサ261と、煙及びガスセンサ263と、一酸化炭素センサ264と、制御ユニット260下方の地面上に集まる水の存在を検出する任意の水センサ226とを備えていてもよい。それゆえ、本管供給隔離ユニット250は、局所における危険因子の存在を検出し、それに応じて本管供給を遮断するとともに、ネットワーク内の他の装置に対して警報を出すために必要な機能を有する。本管供給制御ユニット260はまた、危険因子の存在に関してユーザに警報を出す内部警報発音器265を備え、スマートフォンやスマートTVなどのユーザ装置に対して信号を送信し、検出した危険因子についての位置の説明とともにユーザに警報を出すことができる。当該装置はまた、上記した装置同様に、内部バッテリバックアップ268を有していてもよい。当該装置は、接続点269を介して本管電源供給に直接接続していてもよい。
【0068】
従って、上述した本管供給隔離ユニット250は、局所の危険因子を検出するために様々なセンサを有する制御ユニット260に関して追加の機能を提供する。しかしながら、本管供給隔離ユニットは、モータ付きバルブ251、及び図5Bに示すように、電気安全装置100、200によって送信された信号を受信するように構成された無線受信機252の形態において、複雑では無く、よりシンプルに設けられていてもよい。この場合、モータ付きバルブ251は、例えば本管水道供給やヘッダー水タンク、本管ガス供給などの本管供給ラインに設けられ、このモータ付きバルブ251は、電気安全システム内において電気安全装置によって送信された信号を受信して、本管供給を遮断するためにバルブを作動させる手段を単に有する無線受信機部品252を備える。
【0069】
本発明の電気安全システムはまた、図6に示すように電源隔離ユニット350を備えていてもよい。電源隔離ユニット250は、図5Aに関して上述した制御ユニット260と全く同じ機能を有する電源隔離制御ユニット360を備えている。特に、電気安全システムネットワーク内の電気安全装置100、200及びリモート装置からの送信信号を受信することができ、1つ以上の局所センサを使用して数多くの局所の危険因子を検出することができる。電源隔離ユニット250は、コンシューマエレクトリカルユニット(又はヒューズボックス)内におけるメインスイッチ351への有線又は無線通信リンク352を備えている点で、本管供給隔離ユニット250とは異なる。このようにして、本管供給隔離制御ユニット360が危険因子の検出を示す電気安全装置からの信号を受信する又は制御ユニット360内の1つ以上の局所センサによって局所の危険因子を検出することができた際に、内部プロセッサは、通信リンク352を介してコンシューマユニット353のメインスイッチ351へ信号を送信し、電源供給を遮断する。このようにして、建物への電気供給を更に切断することで、潜在的な危険因子の拡大防止が可能である。代替的な例においては、制御ユニット360の全機能は、コンシューマユニット又はヒューズボックスに直接統合されていてもよい。また、上述の隔離ユニットのように、より簡易的な形態としてもよく、コンシューマユニット353内に内蔵された無線受信機と、リモート装置又は電気安全装置100、200からの信号を無線受信機が受信するとコンシューマユニット353内のメインスイッチ351を切り替えるアクチュエータとを単に備えていてもよい。
【0070】
[電気安全システム]
図7は、本発明に係る例示的な電気安全システムネットワーク400を示す。電気安全システム400は、複数の上述した電気安全装置100、200及び複数のリモート装置250、251、350、402を備えてもよい。リモート装置及び電気安全装置のすべては、例えば、狭帯域の無線周波数、Wi-Fi、及びBluetoothなどの無線接続を介して通信可能とされてもよい。好ましくは、各装置は、全ての装置がフェイルセーフとして2つの異なる種類のネットワーク上で動作可能となるように、2つの通信チャンネルにより通信するように構成される。この例においては、装置はWi-Fi404及び例えば868MHzの無線メッシュネットワーク403を介して通信することができる。ネットワーク内の各装置の接続は、ホームルータ405に接続される中央スマートハブ401によって管理されてもよく、様々なリモート装置及び電気安全装置の間の接続を管理することができる。スマートハブ401はまた、これまでに述べた装置に関連するセンサ、接続、及び警報に関する上記機能を有していてもよい。2つの通信ネットワークを設けることで、1つのネットワークが不良となっても、装置は通信可能で有り、警報を出したり特定の応答を行ったりして、本管供給を遮断し、特定の危険因子のリスクを軽減することができる。
【0071】
上述したように、1つの特定のリモート装置は、図7に示すようなスマートフォン402であってもよい。このスマートフォン(又は他のスマートユーザ装置)は、ユーザがシステムを管理し警報を受信できるようなアプリを実行してもよい。特に、危険因子が検出されると、信号がユーザのスマートフォンに送信されてもよく、アプリは、例えば、火災が検出されたことや火災の場所など危険因子に関する情報を表示することができ、例えば電気供給の遮断や緊急サービスへの電話によるリスクへの対処のための選択肢をユーザに提供することができる。アプリはまた、電気安全装置100、200へ差し込まれた電気機器の電流使用を監視するように構成されていてもよい。特に、電気安全装置は、電気安全装置100、200に差し込まれた特定の装置が使用する電流量を監視するのに利用可能な電流センサを備えている。このようにして、ユーザは、電流使用を監視し、異常な電流使用の特性を示す故障の可能性を有するユニットを特定することができる。
【0072】
電流センサは各ソケットに供給される電流を測定するので、電気安全システムはまた、各電気安全装置の差し込み口について電流消費を監視することができる。このデータは、スマートフォンのアプリに提供され、メモリ内に保存することができ、ユーザは、自分の電気使用を最適化することができる。これにより、電力消費のより正確な測定が実現でき、ある期間において正常な量よりも多くの電気を使用する高電流のものを特定し、スマートフォンに警報を送信する。更に、安全システムとして使用することができ、例えば、1日のうちある時間においてアクティビティが検出されない場合、電気安全装置は、スマートフォンに対して警報を出す。これにより、例えば、特に、よりリスクのある病人や老人などの1人暮らしの人々について、懸念を示すような活動不足を特定するのに使用することができる。
【0073】
このアプリはまた、いずれかの電気安全装置のリレースイッチを、特定のソケットにおける電流供給のオン又はオフを切り替えるのをリモートで制御可能とする。例えば、アプリは、オン又はオンに切り替える、ディレイタイマー、建物に不在の場合のランダムモードのような機能を可能にする。
【0074】
電気安全システム400はまた、ユーザの装置402を介してユーザへ入力を求めることなく、自動的に適切な動作を行うように構成されていてもよい。こうした自動的な動作は、特定された危険因子に基づいて実行されるようにプログラムされていてもよい。例えば、図7のシステムにおいて、電気安全アダプタユニット200に接続される水センサ116によって水が検出されたら、電気安全アダプタユニットは、リモートバルブ151を作動させるように接続しているローカル水道隔離ユニット150へ信号を送信することができ、接続する機器へのローカル水道供給を閉じ、更なる漏れを防止することができる。同様に、電気安全装置100、200内の電流センサが電源サージを検出したら又は赤外線温度センサが電源サージに関連する温度上昇を検出したら、電源隔離ユニット350は、電源供給を遮断するべく、コンシューマユニット353のメインスイッチ351へ信号を配信するように動作することができる。
【0075】
電気安全システムは、自動的に又は例えばスマートフォンアプリなどの制御インターフェイスからユーザが促した際に以下の動作を行うことができる。
【0076】
センサの出力が対応する閾値を超えたことをプロセッサが特定した際に電気安全装置が潜在的な危険因子の存在を特定すると、電気安全装置は、以下の1つ以上の動作を行うことができる。
・ローカルアラームを発する。
・プラグインアダプタ、シングルソケット、又はツインソケットの各差し込みを局所的に電気オフへと切り替える。
・無線MESHネットワークを介してハブに信号を送信し、AWS(Amazon Web Services)を介してシステムとペアリングされたすべてのスマートフォンに対して警報を送信する。ハブはまた、産業上の標準的プロトコル即ちIFTTT(If This Then That)例えば(他のサードパーティープロトコルが利用可能)などを介して、サードパーティー装置に対して通知することができる。
・MESHネットワーク上の他の装置に警報を発し、発音器を起動し、構成可能な出力を遮断する。
・音声アシスタント装置に警報を発し、危険因子に関する情報、応答の選択肢、及び例えばどのように安全にその場所を出ることができるかなどのユーザへのガイダンスを提供する。
・信号を送信し、本管冷水フィード及びヘッダタンクのリモート水道隔離バルブ、並びにリモートガス隔離バルブを作動させて自動的に遮断する。
・電源隔離ユニットへ信号を送信し、リモートで電源コンシューマユニットをオフにする。
【0077】
本発明に係る電気安全装置によれば、初期の段階で危険因子を特定する初期検出を提供することができる。特に、電気安全装置100、200に挿入されているときの電気機器のプラグの表面温度を検出するように方向付けられた温度センサを設けることで、電気的安全性の不具合を、火災などの重篤な危険因子へと発展する前に検出することができる。追加のセンサによって提供され、電気安全装置とリモート装置との間の接続において提供される追加の機能によって、初期の段階において危険因子を検出することができ、ユーザへ警報を発することができ、その危険因子に対して対処する適切な動作を行うことが可能になる。よって、本発明は、潜在的な危険因子を特定する速度に関して既存の装置よりも進歩しており、追加の機能により、危険因子を自動的に対処することができ、ユーザに対して効率的に警報を発することができる。
【0078】
[統合された温度センサを有する電気機器]
別の可能性として、統合された電気安全装置を有する電気機器が提供される。特に、電気機器は、ハウジングと、このハウジング内においてその電気機器の機能を提供するように構成されている電気構成部品と、この電気構成部品の表面温度を検出するように設けられた温度センサと、この温度センサと通信するプロセッサとを備え、このプロセッサは、検知された表面温度が所定の閾値を超えた時を判定するように構成されている。
【0079】
特に、当該電気機器は、電子レンジ、ガス又は電気オーブン、ボイラ、コンシューマユニット、ディッシュウォッシャ、冷蔵庫及び/又は冷凍庫、洗濯機、衣類乾燥機、或いは充電器(charger)であってもよい。
【0080】
温度センサは、上述したとおり赤外線アレイセンサであり、装置の内部電気構成部品の表面温度を非接触で測定するように電気機器内に配置されている。温度センサは、モータ、ヒータ、電源、ヒューズ、接続電気回路のうちの1つ以上などの、加熱に対して最も影響を受けやすい内部電気構成部品に向かって方向付けられて設けられている。温度センサは、監視対象となる電気構成部品の十分な部分をカバーするような視野を有するレンズを使用している。電気機器内に統合された内部電気安全装置は、機器のプラグではなく特定の内部電気構成部品に向けられている以外は、上述した電気安全装置と全く同様に動作するので、上述の説明が、統合された温度センサを有する電気機器にも同様に当てはまる。
【0081】
当該電気機器はまた、上述した電気安全システム内に統合されて上述の処理や効果を達成することができる無線通信リンクを備えている。
【0082】
[本発明の側面を画定する付記]
本発明に係るシステムは、ネットワークを介して接続される危険因子検出装置及び軽減装置を備える。このシステムの装置は無線ネットワーク機能を備え、互いに及びスマートフォンなどの外部の携帯通信装置と通信することができる。装置間の通信は、ローカルネットワークを使用して直接実施しても、又はリモートサーバーを介して実施してもよい。
【0083】
電気安全プラグアダプタは、外部機器のプラグを受けるよう設けられたソケットと、電源壁ソケットのような外部電源のソケットへ挿入されるように設けられたプラグ部とを備える。このプラグアダプタは概ね、電気機器(外部機器)と家庭用電源(電源壁ソケット)との間の選択的電気接続を提供するように設けられている。
【0084】
アダプタ装置は、潜在的な危険因子を判定して外部機器を電力供給から切断することができる、少なくとも1つの危険因子センサを備える。このようにして、アダプタ装置は、危険因子を局部的に検出し、外部機器に対して危険因子が悪化するのを防止することができる。例えば、冷蔵庫で火災が発生したら、冷蔵庫への電力供給をオフにすることができ、冷蔵庫の火災状況が悪化するのを防止することができる。加えて、センサが危険因子の原因となる可能性の高い場所により近いので、従来の検出システムに比べて、より早く危険因子を検出する。
【0085】
ソケット及びプラグ部は、アダプタの内部回路を介して接続されている。内部回路は、プラグ部とソケットとの間の電流を選択的に制御するよう設けられたリレーを備えていてもよい。外部機器への電力供給を選択的にオフにするための代替手段もまた検討してもよい。内部回路はまた、MESH無線ネットワーク、Wi-Fi、及びBluetoothチップセットなどの無線通信用構成部品を備えていてもよい。
【0086】
アダプタは更に、CO、CO2、煙、ガス、温度、炎、水検出センサなどの危険因子検出センサの統合セットを備えている。各センサは、内部回路を介してシステムのネットワークにされる。
【0087】
煙センサは、煙の周辺レベルを検知するように設けられ、光検出法(例えば、光電検出)又は物理的検出法(例えば、電離(ionization))のどうちらか又は両方を利用するように設けられた検知構成部品を備えていてもよい。検知された周囲の煙レベルが閾値を超えると、煙センサは、内部回路と通信をして火災のリスクを示す。
【0088】
ガスセンサは、可燃性、引火性、有毒ガスのような危険なガスの周囲レベルを検知するように設けられている。このガスセンサは、電気化学、ペリスター(pellistor)、光イオン化、赤外線ポイント(infrared point)、半導体検出法のいずれか又は組み合わせを利用するよう設けられた検知構成部品を備えていてもよい。検知された周囲の危険ガスレベルが閾値を超えた時、ガス検出器は、内部回路と通信し、ガス漏れ又は火災のリスクを示す。
【0089】
一酸化炭素センサは、一酸化炭素(CO)の周囲レベルを検知するように設けられている。COセンサは、生体模倣(biomimetic)、電気化学、光化学(opto-chemical)、及び半導体(semi-conductor)検知法のいずれか又は組み合わせを利用するよう設けられた検知構成部品を備えていてもよい。検知された周囲のCOレベルが閾値を超えた時、CO検出器は内部回路と通信を行い、CO漏れ又は火災のリスクを示す。
【0090】
温度センサは、熱エネルギの周囲レベルを検知するように設けられており、機械式や半導体熱検知法のいずれか又は両方を利用するよう設けられた検知構成部品を備えていてもよい。温度センサは、任意の電気機器若しくは短絡及び潜在的な火災に繋がる故障した機器の表面温度又は裸火を検出することができる。検知された周囲の熱エネルギーレベルが閾値を超えたときに、熱検出器は、内部回路と通信して火災の危険性を示す。
【0091】
追加の温度センサは、装置内の接続を監視して異常な電流の流れや局所的な危険因子生成条件を特定してもよい。更なるIR温度センサは、局部領域の熱イメージを生成し、拡大する前に危険因子を特定するようにしてもよい。
【0092】
オンボードセンサの1つが潜在的な危険因子及び/又は火災を示すパラメータを検出した場合、アダプタは、プラグ部とソケットとの間の電気的接続を遮断するように自動的にリレーを作動させる。これにより、アダプタによって潜在的な危険因子が感知されると、潜在的に危険な機器への電力供給が即座に遮断される。
【0093】
アダプタは更に、メッシュ無線ネットワーク、Wi-Fi、又はBluetoothチップセットを介してシステムネットワークに接続されてもよい。アダプタは、Wi-Fiによってインターネット又はローカルネットワークに接続されてもよく、各装置は、それぞれ互いに又は中央サーバと通信してもよい。また、メッシュネットワークモジュールが設けられていてもよく、これにより、アダプタは、後述する隔離ユニットのような建物における装置、又は建物における全ての装置と通信する建物に配置されたセンターハブと通信することができる。
【0094】
スマートフォンのような無線通信装置がネットワークに接続されている場合、プラグは、その無線通信装置と通信して警報を送信してもよい。一般に、こうした警報は、視覚的メッセージ及び/又は可聴音を含んでもよい。
【0095】
アダプタは更に、アダプタの状態を示すための1つ以上のLEDを備えていてもよい。例えば、1つのLEDはアラーム状態を示し、別のLEDは通常状態を示し、さらに別のLEDは通信が発生していることを示していてもよい。
【0096】
アダプタは、壁の供給点から様々な家電製品へ電力を供給するよう設けられ得る。例えば、アダプタは、電源、コーヒーメーカ、電子レンジ、電気ポット、延長ソケット、トースタ、ヘアーストレート器、洗濯機、ディッシュウォッシャ、壁掛け式ボイラ、電気オーブン、衣類乾燥機、冷蔵庫/冷凍庫、コンシューマユニットと接続するよう設けられてもよい。
【0097】
または、上述した内部回路、無線通信モジュール、及び危険因子検出センサは、統合壁ソケットに内蔵されていてもよい。使用中に、火災、水、CO、又はCO2の危険レベルが局所的に又はネットワーク内の他の任意のリモート装置において検出された場合、統合壁ソケットは、自動的に遮断し、接続している機器への電気供給を隔離する。ネットワーク内の他の装置と同様に、無線通信モジュールによって、統合壁ソケットは、ネットワーク内の他の装置とメッシュネットワーク上においてWi-Fi及び868MHzの狭帯域の無線周波数を介して無線で通信することができる。
【0098】
別の例において、上述した内部回路、無線通信モジュール、及び危険因子検出センサは、ドッキングユニット内に装備されていてもよい。ドッキングユニットは更に、スマートフォンなどの外部の携帯通信装置との接続を可能にする接続部を備えていてもよい。使用中に、火災、水、CO、又はCO2の危険レベルが局所的に又はネットワーク内の他の任意のリモート装置において検出された場合、ドッキングユニットは、内蔵スピーカから警報音を発する。危険因子が検出された時に外部の携帯通信装置がドッキングユニットに接続されている場合、ドッキングユニットはまた、その携帯通信装置に対して信号を送信して外部装置から警報音を発することができる。ネットワーク内の他の装置と同様に、無線通信モジュールによって、ドッキングユニットは、ネットワーク内の他の装置とメッシュネットワーク上においてWi-Fi及び868MHzの狭帯域の無線周波数を介して無線で通信することができる。
【0099】
接続機器又は外部装置への局部電力供給を切断することに加えて、内部回路はまた、リモート装置又は隔離ユニットに対して切断メッセージを提供するように構成してもよい。隔離ユニットは、危険因子を悪化させる可能性のある危険因子生成条件や他の側面を切断するように構成されていてもよい。
【0100】
例えば、キッチンの床上に配置されてアダプタに接続された水センサは、水の存在を検知して、更なる水漏れのダメージを防ぐために建物への本管水道供給を遮断するバルブをリモートで作動させてもよい。更に、煙又は火災センサを使用して火災の危険因子を検出することで、火災の影響を悪化させる可能性のあるガス供給を遮断してもよい。
【0101】
隔離ユニットは、無線通信モジュールと1つ以上の隔離バルブを備えていてもよい。隔離ユニットは、水配管などの流体処理システムに装着されるように設けられ、この流体処理システムによって流体の流れを制御する。例えば、隔離ユニットは、ディッシュウォッシャや洗濯機などの機器に対して水を供給する水配管に設置されてもよい。他の例において、隔離ユニットは、本管水供給を提供する水配管、ヘッダー水タンク出口、ガス供給などの供給配管上に設置されてもよい。隔離ユニットはまた、電気供給システムの一部であってもよく、RCD又は残留電流装置を使用するなどして建物への電気供給をリモートで切断するようにしてもよい。
【0102】
隔離ユニットの無線通信モジュールは、デュアル通信モジュールであってもよい。特に、それは、狭帯域のメッシュ無線ネットワーク及びCPUであってもよい。
【0103】
隔離ユニットは、隔離ユニットの状態を示す1つ以上のLEDを更に備えていてもよい。例えば、1つのLEDはアラーム状態を示し、別のLEDは通常状態を示し、更に別のLEDは通信が発生していることを示していてもよい。
【0104】
使用中において、隔離ユニットは、プラグアダプタなどの検出装置からの潜在的な危険因子が検出されたことを示す無線通信信号に応答してもよい。隔離ユニットがこのような信号を受信すると、隔離ユニットは、隔離バルブを閉じる又は開くように動作してもよい。隔離ユニットはまた、ネットワークを介して通信メッセージを検出装置へ又はスマートフォンなどの携帯通信装置へ送信してもよい。
【0105】
いくつかの例において、隔離ユニット自体は更に、危険パラメータのレベルを検出するように設けられた、上述の危険因子検出センサのうちの1つ又はその組み合わせを備えていてもよい。この場合、漏れや他のリスクを検出したら、隔離ユニットは、その局所的な検出に対応して隔離バルブを作動させてもよい。隔離ユニットは、無線通信モジュールを使用してネットワーク又はシステム内の他の装置と更に通信して、更なるバルブを作動させる又はスマートフォンなどの無線通信装置に対してメッセージを送信してもよい。
【0106】
典型的に、隔離ユニットの隔離バルブは、漏れが局所的に又はネットワーク又はシステム内の他のリモート装置で検出される場合に本管水道供給を隔離するように設けられたモータ付きバルブである。
【0107】
ローカルアダプタ及びリモート隔離ユニットを備えるシステムの装置はそれぞれ、上述の機能を実行する1つ以上のCPU又はマイクロプロセッサを備えていてもよい。命令をコンピュータ読取可能媒体に格納し、プロセッサによって実行されたときにプロセッサに対してその命令を実行させてもよい。装置は、無線又はWi-Fiモジュールをリセットするように機能するウォッチドッグCPUを備えていてもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7