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特許7597870水熱交換器の劣化診断装置、水熱交換器の劣化診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】水熱交換器の劣化診断装置、水熱交換器の劣化診断方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 27/00 20060101AFI20241203BHJP
   F25B 49/00 20060101ALI20241203BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F28F27/00 511G
F25B49/00 A
F28D9/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023124381
(22)【出願日】2023-07-31
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】田辺 厚
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/250789(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第116431987(CN,A)
【文献】特開2014-114993(JP,A)
【文献】特開2005-345046(JP,A)
【文献】特開2020-176729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/00 - 99/00
F25B 49/00
F28D 1/00 - 21/00
G05B 23/00 - 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流れる水配管と冷媒が流れる冷媒配管との間に伝熱部を備え、前記水配管内を流れる水と前記冷媒配管内を流れる冷媒との間で前記伝熱部を介して熱交換を行う水熱交換器と、
前記水配管のうち前記水熱交換器よりも上流側における水の圧力と、前記水配管のうち前記水熱交換器よりも下流側における水の圧力との圧力差より推定した流量を差圧流量として特定する差圧流量特定部と、
前記水熱交換器の能力に基づいて前記水配管内を流れる水の流量を推定し、その推定した流量を能力流量として特定する能力流量特定部と、
前記水配管内を流れる水の温度と前記冷媒配管内を流れる冷媒の温度との温度差を実温度差として特定する実温度差特定部と、
前記水配管内を流れる水の温度と前記冷媒配管内を流れる冷媒の温度との温度差を前記水熱交換器の能力に基づいて推定し、その推定した温度差を推定温度差として特定する推定温度差特定部と、
前記差圧流量特定部により特定される前記差圧流量、前記能力流量特定部により特定される前記能力流量、前記実温度差特定部により特定される前記実温度差、前記推定温度差特定部により特定される前記推定温度差に基づいて、前記水熱交換器の劣化パターンを判定する劣化パターン判定部と、
を備え、
前記劣化パターン判定部は、
前記差圧流量特定部により特定される前記差圧流量が前記能力流量特定部により特定される前記能力流量よりも大きい場合には、前記水熱交換器の劣化パターンが、前記水配管内が閉塞している流路閉塞パターンであると判定し、
前記実温度差特定部により特定される前記実温度差が前記推定温度差特定部により特定される前記推定温度差よりも大きい場合には、前記水熱交換器の劣化パターンが、前記伝熱部の伝熱性が阻害されている伝熱性阻害パターンであると判定する水熱交換器の劣化診断装置。
【請求項2】
水が流れる水配管と冷媒が流れる冷媒配管との間に伝熱部を備え、前記水配管内を流れる水と前記冷媒配管内を流れる冷媒との間で前記伝熱部を介して熱交換を行う水熱交換器と、
前記水配管のうち前記水熱交換器よりも上流側における水の圧力と、前記水配管のうち前記水熱交換器よりも下流側における水の圧力との圧力差より推定した流量を差圧流量として特定する差圧流量特定部と、
前記水配管内を実際に流れる水の流量を実流量として特定する実流量特定部と、
前記水配管内を流れる水の温度と前記冷媒配管内を流れる冷媒の温度との温度差を実温度差として特定する実温度差特定部と、
前記水配管内を流れる水の温度と前記冷媒配管内を流れる冷媒の温度との温度差を前記水熱交換器の能力に基づいて推定し、その推定した温度差を推定温度差として特定する推定温度差特定部と、
前記差圧流量特定部により特定される前記差圧流量、前記実流量特定部により特定される前記実流量、前記実温度差特定部により特定される前記実温度差、前記推定温度差特定部により特定される前記推定温度差に基づいて、前記水熱交換器の劣化パターンを判定する劣化パターン判定部と、
を備え、
前記劣化パターン判定部は、
前記差圧流量特定部により特定される前記差圧流量が前記実流量特定部により特定される前記実流量よりも大きい場合には、前記水熱交換器の劣化パターンが、前記水配管内が閉塞している流路閉塞パターンであると判定し、
前記実温度差特定部により特定される前記実温度差が前記推定温度差特定部により特定される前記推定温度差よりも大きい場合には、前記水熱交換器の劣化パターンが、前記伝熱部の伝熱性が阻害されている伝熱性阻害パターンであると判定する水熱交換器の劣化診断装置。
【請求項3】
水が流れる水配管と冷媒が流れる冷媒配管との間に伝熱部を備え、前記水配管内を流れる水と前記冷媒配管内を流れる冷媒との間で前記伝熱部を介して熱交換を行う水熱交換器の劣化を診断する方法であって、
前記水配管のうち前記水熱交換器よりも上流側における水の圧力と、前記水配管のうち前記水熱交換器よりも下流側における水の圧力との圧力差より推定した流量を差圧流量として特定する差圧流量特定処理と、
前記水熱交換器の能力に基づいて前記水配管内を流れる水の流量を推定し、その推定した流量を能力流量として特定する能力流量特定処理と、
前記水配管内を流れる水の温度と前記冷媒配管内を流れる冷媒の温度との温度差を実温度差として特定する実温度差特定処理と、
前記水配管内を流れる水の温度と前記冷媒配管内を流れる冷媒の温度との温度差を前記水熱交換器の能力に基づいて推定し、その推定した温度差を推定温度差として特定する推定温度差特定処理と、
前記差圧流量特定処理により特定される前記差圧流量、前記能力流量特定処理により特定される前記能力流量、前記実温度差特定処理により特定される前記実温度差、前記推定温度差特定処理により特定される前記推定温度差に基づいて、前記水熱交換器の劣化パターンを判定する劣化パターン判定処理と、
を含み、
前記劣化パターン判定処理では、
前記差圧流量特定処理により特定される前記差圧流量が前記能力流量特定処理により特定される前記能力流量よりも大きい場合には、前記水熱交換器の劣化パターンが、前記水配管内が閉塞している流路閉塞パターンであると判定し、
前記実温度差特定処理により特定される前記実温度差が前記推定温度差特定処理により特定される前記推定温度差よりも大きい場合には、前記水熱交換器の劣化パターンが、前記伝熱部の伝熱性が阻害されている伝熱性阻害パターンであると判定する水熱交換器の劣化診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水熱交換器の劣化診断装置及び水熱交換器の劣化診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、発電プラントの復水や給水系統等に設置される給水加熱器等の熱交換器において、熱交換器の入口と出口における給水圧力の差圧及び熱交換器の熱交換性能の両者を監視することにより、スケールの付着の有無のみならず、スケールの付着箇所が熱交換用チューブの内面か外面か、又は、熱交換用チューブ以外の給水流路部かの判定も行えるようにした熱交換器の異常監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2675684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、スケールが付着していることや、そのスケールが付着している箇所を特定することは可能であるものの、熱交換器がどのように劣化しているのか、つまり、熱交換器の劣化のパターンまでは判定することができない。特に、水と冷媒との間で熱交換を行う水熱交換器においては、劣化のパターンとしては、流路が閉塞することにより劣化しているパターンや、スケールにより伝熱性が阻害されているパターン等が考えられ、どのようなパターンで劣化しているのかを判定することができれば、より適切な対処を行うことができる。
【0005】
そこで、本実施形態は、水配管内を流れる水と冷媒配管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う水熱交換器について、どのようなパターンで劣化しているのかを判定できるようにした劣化診断装置及び劣化診断方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る水熱交換器の劣化診断装置は、水が流れる水配管と冷媒が流れる冷媒配管との間に伝熱部を備え、前記水配管内を流れる水と前記冷媒配管内を流れる冷媒との間で前記伝熱部を介して熱交換を行う水熱交換器と、前記水配管のうち前記水熱交換器よりも上流側における水の圧力と、前記水配管のうち前記水熱交換器よりも下流側における水の圧力との圧力差から推定した流量を差圧流量として特定する差圧流量特定部と、前記水熱交換器の能力に基づいて前記水配管内を流れる水の流量を推定し、その推定した流量を能力流量として特定する能力流量特定部と、前記水配管内を流れる水の温度と前記冷媒配管内を流れる冷媒の温度との温度差を実温度差として特定する実温度差特定部と、前記水配管内を流れる水の温度と前記冷媒配管内を流れる冷媒の温度との温度差を前記水熱交換器の能力に基づいて推定し、その推定した温度差を推定温度差として特定する推定温度差特定部と、前記差圧流量特定部により特定される前記差圧流量、前記能力流量特定部により特定される前記能力流量、前記実温度差特定部により特定される前記実温度差、前記推定温度差特定部により特定される前記推定温度差に基づいて、前記水熱交換器の劣化パターンを判定する劣化パターン判定部と、を備え、前記劣化パターン判定部は、前記差圧流量特定部により特定される前記差圧流量が前記能力流量特定部により特定される前記能力流量よりも大きい場合には、前記水熱交換器の劣化パターンが、前記水配管内が閉塞している流路閉塞パターンであると判定し、前記実温度差特定部により特定される前記実温度差が前記推定温度差特定部により特定される前記推定温度差よりも大きい場合には、前記水熱交換器の劣化パターンが、前記伝熱部の伝熱性が阻害されている伝熱性阻害パターンであると判定する。
【0007】
本実施形態に係る水熱交換器の劣化診断方法は、水が流れる水配管と冷媒が流れる冷媒配管との間に伝熱部を備え、前記水配管内を流れる水と前記冷媒配管内を流れる冷媒との間で前記伝熱部を介して熱交換を行う水熱交換器の劣化を診断する方法であって、前記水配管のうち前記水熱交換器よりも上流側における水の圧力と、前記水配管のうち前記水熱交換器よりも下流側における水の圧力との圧力差から推定した流量を差圧流量として特定する差圧流量特定処理と、前記水熱交換器の能力に基づいて前記水配管内を流れる水の流量を推定し、その推定した流量を能力流量として特定する能力流量特定処理と、前記水配管内を流れる水の温度と前記冷媒配管内を流れる冷媒の温度との温度差を実温度差として特定する実温度差特定処理と、前記水配管内を流れる水の温度と前記冷媒配管内を流れる冷媒の温度との温度差を前記水熱交換器の能力に基づいて推定し、その推定した温度差を推定温度差として特定する推定温度差特定処理と、前記差圧流量特定処理により特定される前記差圧流量、前記能力流量特定処理により特定される前記能力流量、前記実温度差特定処理により特定される前記実温度差、前記推定温度差特定処理により特定される前記推定温度差に基づいて、前記水熱交換器の劣化パターンを判定する劣化パターン判定処理と、を含み、前記劣化パターン判定処理では、前記差圧流量特定処理により特定される前記差圧流量が前記能力流量特定処理により特定される前記能力流量よりも大きい場合には、前記水熱交換器の劣化パターンが、前記水配管内が閉塞している流路閉塞パターンであると判定し、前記実温度差特定処理により特定される前記実温度差が前記推定温度差特定処理により特定される前記推定温度差よりも大きい場合には、前記水熱交換器の劣化パターンが、前記伝熱部の伝熱性が阻害されている伝熱性阻害パターンであると判定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るチラーシステムの構成例を概略的に示す図
図2】第1実施形態に係る制御装置の構成例を概略的に示すブロック図
図3】第2実施形態に係る制御装置の構成例を概略的に示すブロック図
図4】第2実施形態に係るチラーシステムの構成例を概略的に示す図
図5】第3実施形態に係るチラーシステムの構成例を概略的に示す図
図6】第4実施形態に係るチラーシステムの構成例を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、水熱交換器の劣化診断装置及び劣化診断方法に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1に例示するチラーシステム100は、冷凍サイクルユニット200と利用側ユニット300を備えている。チラーシステム100は、冷凍サイクルユニット200を流れる冷媒と利用側ユニット300を流れる水との間で熱交換を行うことにより、チラーシステム100の温度制御対象である物や空間を冷却したり加熱したりすることが可能である。
【0011】
冷凍サイクルユニット200は、圧縮機201、空気熱交換器202、ファン203、膨張弁204、水熱交換器205、アキュムレータ206、四方弁207、冷媒配管208を備えている。圧縮機201、空気熱交換器202、膨張弁204、水熱交換器205、アキュムレータ206、四方弁207は、冷媒配管208により順次接続されている。
【0012】
圧縮機201は、冷媒を圧縮可能に構成されている。圧縮機201は、例えば公知のインバーター制御によって運転周波数を変更可能である。圧縮機201は、運転周波数を変更不能である構成つまり運転周波数が固定の構成であってもよい。
【0013】
空気熱交換器202は、例えばフィンアンドチューブ式の熱交換器である。即ち、空気熱交換器202は、複数枚の平板状のフィンに冷媒配管208が挿通された構成の熱交換器である。空気熱交換器202の近傍には、ファン203が配置されている。空気熱交換器202は、ファン203から送られる空気と空気熱交換器202内を通る冷媒との間で熱交換を行う。
【0014】
膨張弁204は、弁開度を調節可能に構成されている。膨張弁204は、例えば、貫通孔を有する弁本体と、貫通孔に対して進退可能なニードルと、ニードルを進退させる動力源と、を備えている。貫通孔をニードルで塞いだ場合、膨張弁204は、冷凍サイクルユニット200における冷媒の流通を遮断する。このとき、膨張弁204は閉じた状態であり、膨張弁204の開度は最も小さい。ニードルが貫通孔から最も離れた場合、冷凍サイクルユニット200における冷媒の流通量は最大化する。このとき、膨張弁204の開度は最も大きい。
【0015】
水熱交換器205は、加熱又は冷却の対象である水配管301内を流れる水と冷媒配管208を流れる冷媒との間で熱交換を行う。ポンプ302は、水配管301内の水を水熱交換器205に向けて圧送する。
【0016】
水熱交換器205は、いわゆるプレート式の水熱交換器である。水熱交換器205は、積層された複数の熱交換プレートを、その積層方向から一対のカバープレートにより挟み込んだ構成となっている。少なくとも一方のカバープレートは、水や冷媒の出入口として機能する複数の継手を備えている。水熱交換器205は、水が流れる水配管301と冷媒が流れる冷媒配管208とが接続され、水流路と冷媒流路とが交互にプレートで仕切られることで水と冷媒が熱交換する伝熱部205aを備えている。
【0017】
アキュムレータ206は、例えば鉄鋼等の金属製のケースを有している。アキュムレータ206内の下部には液相の冷媒が収容される。アキュムレータ206内の上部には気相の冷媒が収容される。アキュムレータ206は、気相の冷媒を圧縮機201に供給する。
【0018】
四方弁207は、冷媒配管208において冷媒が流れる向きを切り替えることにより、冷凍サイクルユニット200を加熱運転状態と冷却運転状態とに切り替える。加熱運転状態と冷却運転状態とでは、冷媒配管208において冷媒が流れる向きが逆方向に切り替えられる。
【0019】
冷凍サイクルユニット200が加熱運転状態に切り替えられた場合、水熱交換器205により水配管301内を流れる水が加熱される。加熱運転状態では、冷媒は、圧縮機201、水熱交換器205、膨張弁204、空気熱交換器202、アキュムレータ206の順に流れる。
【0020】
より詳細に説明すると、圧縮機201で高温化された冷媒は、水熱交換器205において凝縮し水配管301内の水と熱交換する。これにより、水配管301内を流れる水が加熱される。このとき、水熱交換器205は、冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。水熱交換器205において水と熱交換した冷媒は、膨張弁204において減圧され、さらに、空気熱交換器202においてファン203から送風される空気と熱交換する。このとき、空気熱交換器202は、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。空気熱交換器202において空気と熱交換した冷媒は、アキュムレータ206を介して圧縮機201に戻され、再び高温化されて水熱交換器205に送られる。このような冷媒の循環が行われることにより、水熱交換器205は、水配管301内を流れる水を加熱する。
【0021】
一方、冷凍サイクルユニット200が冷却運転状態に切り替えれられた場合、水熱交換器205により水配管301内を流れる水が冷却される。冷却運転状態では、冷媒は、圧縮機201、空気熱交換器202、膨張弁204、水熱交換器205、アキュムレータ206の順に流れる。
【0022】
より詳細に説明すると、圧縮機201で高温化された冷媒は、空気熱交換器202において凝縮しファン203から送風される空気と熱交換する。このとき、空気熱交換器202は、冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。空気熱交換器202において空気と熱交換した冷媒は、膨張弁204において減圧され、さらに、水熱交換器205において水配管301内の水と熱交換する。これにより、水配管301内を流れる水が冷却される。このとき、水熱交換器205は、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。水熱交換器205において空気と熱交換した冷媒は、アキュムレータ206を介して圧縮機201に戻され、再び高温化されて空気熱交換器202に送られる。このような冷媒の循環が行われることにより、水熱交換器205は、水配管301内を流れる水を冷却する。
【0023】
チラーシステム100は、冷媒配管208のうち圧縮機201よりもアキュムレータ206側の部分にアキュムレータ側冷媒圧力計221とアキュムレータ側冷媒温度計231を備えている。また、チラーシステム100は、冷媒配管208のうち圧縮機201よりもアキュムレータ206とは反対側の部分に反アキュムレータ側冷媒圧力計222と反アキュムレータ側冷媒温度計232を備えている。
【0024】
チラーシステム100は、水配管301のうち水熱交換器205よりも上流側の部分に上流側水圧計321と上流側水温計331を備えている。また、チラーシステム100は、水配管301のうち水熱交換器205よりも下流側の部分に下流側水圧計322と下流側水温計332を備えている。
【0025】
次に、チラーシステム100を制御する制御装置400について詳細に説明する。制御装置400は、例えばコンピュータを主体として構成されており、制御プログラムや各種の設定データ等に基づいてチラーシステム100の動作全般を制御可能である。また、制御装置400は、水熱交換器205の劣化診断装置の一例としても機能するものであり、水熱交換器205の劣化を診断可能に構成されている。
【0026】
制御装置400には、上述した圧縮機201、ファン203、膨張弁204、四方弁207、ポンプ302等といった各種の駆動系の構成要素が接続されている。また、制御装置50には、上述したアキュムレータ側冷媒圧力計221、アキュムレータ側冷媒温度計231、反アキュムレータ側冷媒圧力計222、反アキュムレータ側冷媒温度計232、上流側水圧計321、上流側水温計331、下流側水圧計322、下流側水温計332等といった各種のセンサ系の構成要素が接続されている。
【0027】
図2に例示するように、制御装置400は、劣化診断プログラムを実行することにより、差圧流量特定処理部401、能力流量特定処理部402、実温度差特定処理部403、推定温度差特定処理部404、劣化パターン判定処理部405、報知処理部406をソフトウェアにより仮想的に実現している。なお、差圧流量特定処理部401、能力流量特定処理部402、実温度差特定処理部403、推定温度差特定処理部404、劣化パターン判定処理部405、報知処理部406は、ハードウェアにより実現されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現されていてもよい。
【0028】
差圧流量特定処理部401は、差圧流量特定部の一例であり、差圧流量特定処理を実行可能である。差圧流量特定処理は、水配管301のうち水熱交換器205よりも上流側の部分における上流側水圧計321により検知される水の圧力と、水配管301のうち水熱交換器205よりも下流側の部分における下流側水圧計322により検知される水の圧力との圧力差から推定する流量を差圧流量として特定する処理である。即ち、水熱交換器205よりも上流側における水の圧力と下流側における水の圧力との圧力差が大きいほど水の流量は大きいと推定することができ、逆に、圧力差が小さいほど水の流量は小さいと推定することができる。
【0029】
能力流量特定処理部402は、能力流量特定部の一例であり、能力流量特定処理を実行可能である。能力流量特定処理は、水熱交換器205の能力に基づいて水配管301内を流れる水の流量を推定し、その推定した流量を能力流量として特定する処理である。
【0030】
水熱交換器205の能力は、冷媒配管208内を流れる冷媒のエンタルピー変化や冷媒配管208内における冷媒の循環量等に基づいて推定することができる。冷媒配管208内を流れる冷媒のエンタルピー変化は、アキュムレータ側冷媒圧力計221や反アキュムレータ側冷媒圧力計222により検知される冷媒配管208内を流れる冷媒の圧力や、アキュムレータ側冷媒温度計231や反アキュムレータ側冷媒温度計232により検知される冷媒配管208内を流れる冷媒の温度等に基づいて算出することができる。冷媒配管208内における冷媒の循環量は、圧縮機201の駆動周波数や冷媒配管208内に充填されている冷媒の密度等に基づいて算出することができる。冷媒配管208内に充填されている冷媒の密度は、もっぱら冷媒の種類ごとに異なるが、充填されている冷媒の量や周囲温度等の影響を受けて変動し得る。
【0031】
水熱交換器205の能力は、さらに、上流側水温計331や下流側水温計332により検知される水配管301内を流れる水の温度の変化も反映させることにより、より精度良く推定することができる。
【0032】
実温度差特定処理部403は、実温度差特定部の一例であり、実温度差特定処理を実行可能である。実温度差特定処理は、水熱交換器205内において水配管301内を流れる水の温度と冷媒配管208内を流れる冷媒の温度との温度差を実温度差として特定する処理である。即ち、実温度差は、水熱交換器205内を流れる水と冷媒の温度差と定義することができる。水熱交換器205内において水配管301内を流れる水の温度は、上流側水温計331や下流側水温計332により検知することができる。冷媒配管208内を流れる冷媒の温度は、アキュムレータ側冷媒温度計231や反アキュムレータ側冷媒温度計232により検知することができる。
【0033】
推定温度差特定処理部404は、推定温度差特定部の一例であり、推定温度差特定処理を実行可能である。推定温度差特定処理は、水熱交換器205内において水配管301内を流れる水の温度と冷媒配管208内を流れる冷媒の温度との温度差を水熱交換器205の能力に基づいて推定し、その推定した温度差を推定温度差として特定する処理である。
【0034】
水熱交換器205の能力は、上述した通り、冷媒配管208内を流れる冷媒のエンタルピー変化や冷媒配管208内における冷媒の循環量等に基づいて推定することができ、さらには、水配管301内を流れる水の温度の変化も反映させることにより、より精度良く推定することができる。
【0035】
劣化パターン判定処理部405は、劣化パターン判定部の一例であり、劣化パターン判定処理を実行可能である。劣化パターン判定処理は、差圧流量特定処理部401により特定される差圧流量、能力流量特定処理部402により特定される能力流量、実温度差特定処理部403により特定される実温度差、推定温度差特定処理部404により特定される推定温度差に基づいて、水熱交換器205の劣化パターンを判定する処理である。
【0036】
より詳細に説明すると、劣化パターン判定処理部405は、差圧流量特定処理部401により特定される差圧流量が能力流量特定処理部402により特定される能力流量よりも所定の基準量以上大きい場合には、水熱交換器205の劣化パターンが「流路閉塞パターン」であると判定する。流路閉塞パターンは、水配管301内にスケールが付着して当該水配管301内が閉塞しているという劣化パターンである。「流路閉塞パターン」の発生有無を判定するための所定の基準量は、適宜変更して設定することができる。
【0037】
また、劣化パターン判定処理部405は、実温度差特定処理部403により特定される実温度差が推定温度差特定処理部404により特定される推定温度差よりも所定の基準量以上大きい場合には、水熱交換器205の劣化パターンが「伝熱性阻害パターン」であると判定する。伝熱性阻害パターンは、伝熱部205aにスケールが付着して当該伝熱部205aの伝熱性が阻害されている劣化パターンである。「伝熱性阻害パターン」の発生有無を判定するための所定の基準量は、適宜変更して設定することができる。
【0038】
水熱交換器205においては、「流路閉塞パターン」の劣化のみが発生している場合、「伝熱性阻害パターン」の劣化のみが発生している場合、「流路閉塞パターン」及び「伝熱性阻害パターン」の双方の劣化が同時に発生している場合が有り得る。
【0039】
報知処理部406は、報知部の一例であり、報知処理を実行可能である。報知処理は、劣化パターン判定処理部405による劣化パターンの判定結果を報知する処理である。報知処理は、例えば、制御装置400が備える図示しない表示出力器を介して視覚的情報として報知してもよいし、制御装置400が備える図示しない音声出力器を介して聴覚的情報として報知してもよいし、視覚的情報と聴覚的情報の双方により報知してもよい。表示出力器は、例えばディスプレイ等である。音声出力器は、例えばスピーカ等である。
【0040】
報知処理部406は、劣化パターン判定処理部405による劣化パターンの判定結果が「流路閉塞パターン」である場合には、水熱交換器205に「流路閉塞パターン」の劣化が発生していることを報知する。また、報知処理部406は、劣化パターン判定処理部405による劣化パターンの判定結果が「伝熱性阻害パターン」である場合には、水熱交換器205に「伝熱性阻害パターン」の劣化が発生していることを報知する。
【0041】
また、報知処理部406は、劣化パターン判定処理部405による劣化パターンの判定結果が「流路閉塞パターン」でもあり「伝熱性阻害パターン」でもある場合には、水熱交換器205に「流路閉塞パターン」の劣化及び「伝熱性阻害パターン」の劣化が発生していることを報知するようにしてもよいし、何れか一方の劣化パターンのみを報知するようにしてもよい。何れか一方の劣化パターンのみを報知する場合、例えば、より劣化の度合いが大きい劣化パターンを選択して報知するようにしてもよいし、使用者によって予め指定されている劣化パターンを報知するようにしてもよい。
【0042】
以上に例示したチラーシステム100の制御装置400によれば、差圧流量特定処理部401により特定される差圧流量と能力流量特定処理部402により特定される能力流量との大小関係、及び、実温度差特定処理部403により特定される実温度差と推定温度差特定処理部404により特定される推定温度差との大小関係に基づいて、水熱交換器205の劣化パターンが「流路閉塞パターン」であるのか「伝熱性阻害パターン」であるのかを判定することができる。また、水熱交換器205においては、「流路閉塞パターン」及び「伝熱性阻害パターン」の双方の劣化が同時に発生している場合も有り、そのような場合には、「流路閉塞パターン」及び「伝熱性阻害パターン」の双方の劣化パターンが同時に発生していることを判定することができる。これにより、水配管301内を流れる水と冷媒配管208内を流れる冷媒との間で熱交換を行う水熱交換器205について、どのようなパターンで劣化しているのかを判定することができ、発生している劣化パターンに応じて、より適切な対処を行うことができる。
【0043】
「流路閉塞パターン」及び「伝熱性阻害パターン」という2種類の劣化パターンについて、何れのパターンにおいても、最終的には水配管301内の流路が閉塞に至る。しかしながら、初期段階、つまり、流路が閉塞し始めた段階では、それぞれの劣化パターンについて次のような相違が認められる。即ち、「流路閉塞パターン」では、水配管301内を流れる水の圧力損失の増大が顕著であり、一方、「伝熱性阻害パターン」では、伝熱部205aの伝熱性能の悪化が顕著である。
【0044】
そのため、差圧流量特定処理部401により特定される差圧流量と能力流量特定処理部402により特定される能力流量との大小関係を比較すれば、「流路閉塞パターン」が発生しているか否かを判断することができる。即ち、水配管301内にスケールが詰まると、当該水配管301内を流れる水の圧力損失が増大する。そして、水配管301内を流れる水の圧力損失が増大すると、差圧流量特定処理部401により特定される差圧流量は、圧力損失増大の影響を受けて大きくなりやすいが、能力流量特定処理部402により特定される能力流量は、水熱交換器205の能力に基づくものであるから圧力損失増大の影響を受けにくく、従って、変化しにくい。そのため、差圧流量特定処理部401により特定される差圧流量が能力流量特定処理部402により特定される能力流量よりも十分に大きい場合には、水熱交換器205の劣化パターンが「流路閉塞パターン」であると判定することができる。
【0045】
また、実温度差特定処理部403により特定される実温度差と推定温度差特定処理部404により特定される推定温度差との大小関係を比較すれば、「伝熱性阻害パターン」が発生しているか否かを判断することができる。即ち、伝熱部205aにスケールが付着すると、当該伝熱部205aの伝熱性能が悪化する。そして、伝熱部205aの伝熱性能が悪化すると、実温度差特定処理部403により特定される実温度差は、伝熱性能悪化の影響を受けて大きくなりやすいが、推定温度差特定処理部404により特定される推定温度差は、水熱交換器205の能力に基づくものであるから伝熱性能悪化の影響を受けにくく、従って、変化しにくい。そのため、実温度差特定処理部403により特定される実温度差が推定温度差特定処理部404により特定される推定温度差よりも十分に大きい場合には、水熱交換器205の劣化パターンが「伝熱性阻害パターン」であると判定することができる。
【0046】
以上の通り、本願は、流路閉塞の初期段階に認められる劣化パターンごとの顕著な相違に着目して、水熱交換器205が、どのようなパターンで劣化しているのかを判定できるようにした実施形態を開示するものである。
【0047】
(第2実施形態)
図3に例示する制御装置400は、能力流量特定処理部402に代えて、実流量特定処理部407を備えた構成である。制御装置400は、劣化診断プログラムを実行することにより、実流量特定処理部407をソフトウェアにより仮想的に実現している。なお、実流量特定処理部407は、ハードウェアにより実現されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現されていてもよい。
【0048】
実流量特定処理部407は、実流量特定部の一例であり、実流量特定処理を実行可能である。実流量特定処理は、水配管301内を実際に流れる水の流量を実流量として特定する処理である。水配管301内を実際に流れる水の流量は、図4に例示する流量計341により検知することができる。この場合、流量計341は、水配管301のうち水熱交換器205よりも上流側の部分に備えられているが、水配管301内を実際に流れる水の流量を検知可能な部位であれば、例えば、水配管301のうち水熱交換器205よりも下流側の部分に備えられていてもよいし、水配管301のうち水熱交換器205内の部分に備えられていてもよい。
【0049】
劣化パターン判定処理部405は、差圧流量特定処理部401により特定される差圧流量が実流量特定処理部407により特定される実流量よりも所定の基準量以上大きい場合には、水熱交換器205の劣化パターンが「流路閉塞パターン」であると判定する。
【0050】
第2実施形態によっても、水配管301内を流れる水と冷媒配管208内を流れる冷媒との間で熱交換を行う水熱交換器205について、どのようなパターンで劣化しているのかを判定することができる。
【0051】
また、差圧流量特定処理部401により特定される差圧流量を、推定値ではなく実測値と比較することができ、「流路閉塞パターン」が発生しているか否かを一層精度良く判定することができる。
【0052】
なお、第2実施形態においては、制御装置400は、能力流量特定処理部402とともに実流量特定処理部407を備え、能力流量特定処理部402により特定される能力流量、及び、実流量特定処理部407により特定される実流量のうち何れかの流量値を適宜選択して差圧流量特定処理部401により特定される差圧流量と比較するようにしてもよい。あるいは、能力流量特定処理部402により特定される能力流量と実流量特定処理部407により特定される実流量について例えば平均値、中央値、最大値、最小値等を特定し、その特定した値を差圧流量特定処理部401により特定される差圧流量と比較するようにしてもよい。
【0053】
(第3実施形態)
図5に例示するチラーシステム100は、1つの利用側ユニット300に対し複数、この場合、2つの冷凍サイクルユニット200を備える構成であり、換言すれば、1つの水配管301に対し複数、この場合、2つの冷媒配管208が対応付けられている構成である。
【0054】
この構成例においては、劣化パターン判定処理部405は、一方の冷媒配管208と水配管301との関係において推定された水熱交換器205の能力を用いて劣化パターンを判定することが可能であり、また、他方の冷媒配管208と水配管301との関係において推定された水熱交換器205の能力を用いて劣化パターンを判定することも可能である。
【0055】
そして、報知処理部406は、一方の冷媒配管208と水配管301との関係において推定された水熱交換器205の能力を用いて劣化パターンが判定された場合には、その一方の冷媒配管208との関係で劣化が発生していることを報知することができる。また、報知処理部406は、他方の冷媒配管208と水配管301との関係において推定された水熱交換器205の能力を用いて劣化パターンが判定された場合には、その他方の冷媒配管208との関係で劣化が発生していることを報知することができる。即ち、この構成例によれば、複数の冷媒配管208のうちどの冷媒配管208との関係で水熱交換器205に劣化が発生しているのかを特定することができ、ひいては、複数の冷凍サイクルユニット200のうちどの冷凍サイクルユニット200との関係で水熱交換器205に劣化が発生しているのかを特定することができる。
【0056】
また、報知処理部406は、複数の冷媒配管208のうち何れか1つの冷媒配管208と水配管301との関係において推定された水熱交換器205の能力を用いて劣化パターンが判定された場合であっても、その他の冷媒配管208を含む複数の冷媒配管208全体との関係で水熱交換器205に劣化が発生していることを報知するようにしてもよい。
【0057】
(第4実施形態)
図6に例示するチラーシステム100は、1つの水配管301上に複数、この場合、2つの水熱交換器205が直列に接続された構成である。水配管301のうち複数の水熱交換器205の間の部分には、中間水圧計323と中間水温計333が設けられている。即ち、第4実施形態の構成例は、上述した第1実施形態に例示した構成が複数、この場合、2つ直列に接続された構成となっている。この構成例によれば、劣化パターン判定処理部405は、複数の水熱交換器205ごとに、それぞれ劣化パターンを判定することができる。
【0058】
そして、報知処理部406は、一方の水熱交換器205について劣化パターンが判定された場合には、その一方の水熱交換器205に劣化が発生していることを報知することができる。また、報知処理部406は、他方の水熱交換器205について劣化パターンが判定された場合には、その他方の水熱交換器205に劣化が発生していることを報知することができる。即ち、この構成例によれば、どの水熱交換器205が劣化しているのかを特定することができる。
【0059】
また、報知処理部406は、複数の水熱交換器205のうち何れか1つの水熱交換器205に劣化パターンが判定された場合であっても、その他の水熱交換器205を含む複数の水熱交換器205群全体に劣化が発生していることを報知するようにしてもよい。
【0060】
(その他の実施形態)
なお、本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や拡張等を行うことができる。例えば、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つ以上の実施形態を適宜組み合わせた実施形態としてもよい。また、差圧流量、能力流量、実温度差、推定温度差は、上述した特定手法に限られず、各種の周知の手法を用いて特定することができる。
【0061】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、あくまでも例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
図面中、205は水熱交換器、205aは伝熱部、208は冷媒配管、301は水配管、400は制御装置(水熱交換器の劣化診断装置)、401は差圧流量特定処理部(差圧流量特定部)、402は能力流量特定処理部(能力流量特定部)、403は実温度差特定処理部(実温度差特定部)、404は推定温度差特定処理部(推定温度差特定部)、405は劣化パターン判定処理部(劣化パターン判定部)、407は実流量特定処理部(実流量特定部)を示す。
【要約】
【課題】水配管内を流れる水と冷媒配管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う水熱交換器について、どのようなパターンで劣化しているのかを判定できるようにした劣化診断装置及び劣化診断方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る水熱交換器の劣化診断装置によれば、劣化パターン判定部は、差圧流量特定部により特定される差圧流量が能力流量特定部により特定される能力流量よりも大きい場合には、水熱交換器の劣化パターンが、水配管内が閉塞している流路閉塞パターンであると判定し、実温度差特定部により特定される実温度差が推定温度差特定部により特定される推定温度差よりも大きい場合には、水熱交換器の劣化パターンが、伝熱部の伝熱性が阻害されている伝熱性阻害パターンであると判定する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6