(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】基板熱処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20241203BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01L21/30 567
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2023134010
(22)【出願日】2023-08-21
【審査請求日】2024-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】中根 慎悟
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-002274(JP,A)
【文献】特開2006-210808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を熱処理する熱処理プレートと、
前記熱処理プレートの上方で基板を昇降させる基板昇降機構と、
前記熱処理プレートおよび前記基板昇降機構を支持する本体フレームと、
前記熱処理プレートおよび前記基板昇降機構を、前記本体フレーム内側の処理位置から、メンテナンス位置まで一体的に引き出し可能とする引出機構と、
を備え、
前記基板昇降機構は、
前記熱処理プレートの貫通孔に挿入された複数のリフトピンと、
前記熱処理プレートよりも下側に配置され、前記複数のリフトピンを支持する枠部材と、
上面視において、前記枠部材の外側に位置するモータと、
前記モータの動力を伝達して前記枠部材を昇降させる動力伝達機構と、
を有する、基板熱処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板熱処理装置であって、
前記動力伝達機構の少なくとも一部は、上面視において、前記枠部材の外側に位置する、基板熱処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板熱処理装置であって、
前記動力伝達機構は、前記枠部材の側面に接触しつつ、前記枠部材を昇降させる、基板熱処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板熱処理装置であって、
前記動力伝達機構は、
上面視において前記枠部材の外側に位置し、前記モータの回転運動を伝達するシャフトと、
前記シャフトに連結されたピニオンギヤと、
上面視において前記枠部材の外側に位置し、前記枠部材に連結されており、かつ、前記ピニオンギヤとかみ合うラックと、
をさらに有する、基板熱処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板熱処理装置であって、
前記基板昇降機構は、前記動力伝達機構と前記枠部材との間を連結する弾性変形可能な弾性連結部材をさらに有する、基板熱処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板熱処理装置であって、
前記弾性連結部材は、
水平方向に延びる第1連結部と、
前記第1部材に連結されており、鉛直方向に延びる第2連結部と、
前記第2連結部に連結されており、前記枠部材を保持する枠保持部と、
を有する、基板熱処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の基板熱処理装置であって、
前記基板昇降機構は、前記枠部材の移動方向を一方向に制限する複数のリニアガイドをさらに有する、基板熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、基板熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、表示装置用ガラス基板などの各種基板の処理工程においては、基板に塗布液を塗布した後、基板熱処理装置によって基板を加熱することにより、塗布液に含まれる成分を揮発させる処理が行われる場合がある。
【0003】
また、基板熱処理装置において熱処理を行う場合、基板の搬送時に、搬送アームとの間で基板の受け渡しを行うために、基板を支持するための複数のリフトピンが使用される場合がある。例えば、特許文献1には、ホットプレートを貫通する複数のリフトピンを支持枠で支持しつつ、当該支持枠を昇降機構によって複数のリフトピンを昇降させることが記載されている。また、昇降機構は、モータ、ギアおよびラックなどで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、昇降機構が枠部材の直下に配置されていたため、昇降機構のメンテナンスを行う際には、作業者が枠部材の下方に潜り込んで作業を行う必要があった。このような場合、動きが制限されることによって、作業が遅くなったり、正確性が失われたりするなど、メンテナンスの作業効率が低下する可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、基板熱処理装置において、基板を昇降させる基板昇降機構のメンテナンスを容易にすることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1態様は、基板を熱処理する熱処理プレートと、前記熱処理プレートの上方で基板を昇降させる基板昇降機構と、前記熱処理プレートおよび前記基板昇降機構を支持する本体フレームと、前記熱処理プレートおよび前記基板昇降機構を、前記本体フレーム内側の処理位置から、メンテナンス位置まで一体的に引き出し可能とする引出機構と、を備え、前記基板昇降機構は、前記熱処理プレートの貫通孔に挿入された複数のリフトピンと、前記熱処理プレートよりも下側に配置され、前記複数のリフトピンを支持する枠部材と、上面視において、前記枠部材の外側に位置するモータと、前記モータの動力を伝達して前記枠部材を昇降させる動力伝達機構と、を有する。
【0008】
第2態様は、第1態様の基板熱処理装置であって、前記動力伝達機構の少なくとも一部は、上面視において、前記枠部材の外側に位置する。
【0009】
第3態様は、第2態様の基板熱処理装置であって、前記動力伝達機構は、前記枠部材の側面に接触しつつ、前記枠部材を昇降させる、基板熱処理装置。
【0010】
第4態様は、第3態様の基板熱処理装置であって、前記動力伝達機構は、上面視において前記枠部材の外側に位置し、前記モータの回転運動を伝達するシャフトと、前記シャフトに連結されたピニオンギヤと、上面視において前記枠部材の外側に位置し、前記枠部材に連結されており、かつ、前記ピニオンギヤとかみ合うラックと、をさらに有する。
【0011】
第5態様は、第4態様の基板熱処理装置であって、前記基板昇降機構は、前記動力伝達機構と前記枠部材との間を連結する弾性変形可能な弾性連結部材をさらに有する。
【0012】
第6態様は、第5態様の基板熱処理装置であって、前記弾性連結部材は、水平方向に延びる第1連結部と、前記第1部材に連結されており、鉛直方向に延びる第2連結部と、前記第2連結部に連結されており、前記枠部材を保持する枠保持部と、を有する。
【0013】
第7態様は、第5態様の基板熱処理装置であって、前記基板昇降機構は、前記枠部材の移動方向を一方向に制限する複数のリニアガイドをさらに有する。
【発明の効果】
【0014】
第1態様から第7態様の基板熱処理装置によれば、モータが枠部材の外側に配置されているため、基板昇降機構のメンテナンス作業を容易にすることができる。また、メンテナンス位置に引き出すことによって基板昇降機構のメンテナンスをさらに容易にすることができる。
【0015】
第2態様の基板熱処理装置によれば、基板昇降機構のメンテナンス作業をさらに容易にすることができる。
【0016】
第3態様の基板熱処理装置によれば、基板昇降機構における枠部材に接触する部分が、枠部材の外側に配置されるため、その接触部分のメンテナンス作業を容易にすることができる。
【0017】
第4態様の基板熱処理装置によれば、動力伝達機構が枠部材の外側に配置されるため、動力伝達機構のメンテナンス作業をさらに容易にすることができる。
【0018】
第5態様の基板熱処理装置によれば、枠部材が熱膨張等によって変形しても、弾性連結部材がその変形を吸収することにより、動力伝達機構に掛かる負荷を低減できる。したがって、複数のリフトピンをスムーズに昇降させることができる。
【0019】
第6態様の基板熱処理装置によれば、枠部材の水平方向への変形を弾性連結部材により吸収できる。
【0020】
第7態様の基板熱処理装置によれば、枠部材が熱膨張等によって変形しても、弾性部材がその変形を吸収することにより、複数のリニアガイドに掛かる負荷を低減できる。したがって、複数のリニアガイドの平行性を確保できるため、複数のリフトピンをスムーズに昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る基板熱処理装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示される基板熱処理装置の熱処理ユニット13を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示される熱処理ユニットを下方から視た斜視図である。
【
図4】
図2に示される熱処理ユニットの構成を示す概略断面図である。
【
図5】
図4に示される熱処理ユニットの基板昇降機構を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示される連動部の構成を示す斜視図である。
【
図7】
図5に示される動力変換部を示す正面図である。
【
図8】処理位置の熱処理ユニットを示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0023】
また、図面においては、各要素の位置関係の理解を容易にするため、XYZ直交座標軸を示す矢印が付されている場合がある。このXYZ座標系において、Z軸は鉛直軸に対応しており、Z軸と直角に交わるXY平面は水平面に対応している。また、(-Z)方向は、鉛直下向きに対応している。以下の説明では、鉛直上向きを単に「上向き」または「上方」と称し、鉛直下向きを単に「下向き」または「下方」と称する場合がある。
【0024】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係る基板熱処理装置1の斜視図である。基板熱処理装置1は、表面にフォトレジストなどの塗布液が塗布された基板9を熱処理ユニット13が有する処理チャンバ17(
図2参照)の内部に収容した状態で、基板9を加熱することにより、塗布液中の溶媒成分を揮発させる。基板熱処理装置1は、例えば、基板9の表面にフォトレジスト膜を形成することを目的として用いられる。基板9は、例えば、電子機器向けの各種被処理基板であり、具体的には、半導体ウエハ、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイ用のガラス基板、磁気ディスクまたは光ディスク用のガラスまたはセラミック基板、有機EL用ガラス基板、太陽電池用のガラスまたはシリコン基板、フレキシブル基板、プリント基板などである。
【0025】
基板熱処理装置1は、本体フレーム11と、複数(本実施形態では5個)の熱処理ユニット13と、制御部8とを備える。
図1に示されるように、複数の熱処理ユニット13は、Z方向に沿って、多段に積層されている。本体フレーム11は、熱処理ユニット13を支持している。熱処理ユニット13は、基板9を加熱処理する装置である。
【0026】
制御部8は、例えば、コンピュータであって、CPUなどのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続され、プログラムを記憶するメモリとを有する。プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、基板熱処理装置1における各部の動作が制御される。これにより、基板熱処理装置1において熱処理などの各種処理が実行される
【0027】
図2は、
図1に示される基板熱処理装置1の熱処理ユニット13を示す斜視図である。
図3は、
図2に示される熱処理ユニット13を下方から視た斜視図である。
図4は、
図2に示される熱処理ユニット13の構成を示す概略断面図である。
【0028】
図2および
図3に示されるように、基板熱処理装置1は、各熱処理ユニット13に対して、一対のスライド部材15を備えている。熱処理ユニット13は、Y方向において、一対のスライド部材15の間に配置されている。一対のスライド部材15は、熱処理ユニット13をX方向に沿って移動させる機構である。より具体的には、一対のスライド部材15は、熱処理ユニット13が加熱処理を行う処理位置P1と、熱処理ユニット13をメンテナンスするときのメンテナンス位置P2との間で、移動させる。処理位置P1は、上面視において、本体フレーム11の内側であり、メンテナンス位置P2は、上面視において、本体フレーム11の外側(+X側)である。
【0029】
<スライド部材15>
次に、スライド部材15の構成について説明する。なお、以下の説明では、一対のスライド部材15のうち、+Y側に位置するスライド部材15について説明するが、-Y側のスライド部材15も、同じ構成を有する。ただし、一対のスライド部材15は、間を通るZ軸と平行な対称軸について対称に配置されている。
【0030】
スライド部材15は、ガイドプレート151と、第1プレート153と、第2プレート155とを有する。第1プレート153は、Y方向において、ガイドプレート151と第2プレート155の間に位置する。
【0031】
<ガイドプレート151>
ガイドプレート151は、本体フレーム11に固定されている。ガイドプレート151は、X方向に延びる板状の部材である。ガイドプレート151は、X方向に関して、処理チャンバ17と略同じ寸法を有する。ガイドプレート151における第1プレート153と対向する面(-Y側の側面)には、X方向に延びるガイドレールが設けられている。
【0032】
<第1プレート153>
第1プレート153は、X方向に延びる板状の部材である。X方向に関して、第1プレート153の寸法は、第2プレート155とほぼ同じである。第1プレート153は、ガイドプレート151に対して、X方向にスライド移動可能に設けられている。詳細には、第1プレート153におけるガイドプレート151と対向する面(+Y側の面)には、ガイドブロックが設けられている。当該ガイドブロックは、ガイドプレート151に設けられたガイドレールに沿って移動可能である。また、第1プレート153における第2プレート155と対向する面(-Y側の面)には、X方向に延びるガイドレールが設けられている。
【0033】
第2プレート155は、X方向に延びる板状の部材である。X方向に関して、第2プレート155の寸法は、ガイドプレート151および第1プレート153とほぼ同じ寸法である。第2プレート155は、第1プレート153に対して、X方向にスライド移動可能に設けられている。詳細には、第2プレート155における第1プレート153と対向する面(+Y側の面)には、ガイドブロックが設けられている。当該ガイドブロックは、第1プレート153に設けられたガイドレールに沿って移動可能である。
【0034】
ガイドプレート151には、第1プレート153のX方向の移動を制限する第1ストッパー(不図示)が設けられている。第1ストッパーは、ガイドプレート151に設けられた突部である。第1プレート153がガイドプレート151に対して+X側に移動することで既定の位置に到達すると、突部が第1プレート153の一部と衝突する。これにより、+X側への第1プレート153の移動が制限される。
【0035】
第1プレート153には、第2プレート155のX方向の移動を制限する第2ストッパー(不図示)が設けられている。第2ストッパーは、例えば、第2プレート155側に突出する突部である。第2プレート155が第1プレート153に対して+X側に移動することで既定の位置に到達すると、突部が第2プレート155と接触する。これにより、+X側への第2プレート155の移動が制限される。
【0036】
図4に示されるように、熱処理ユニット13は、処理チャンバ17と、ホットプレート20と、基板昇降機構30とを備える。
【0037】
処理チャンバ17は、略直方体状を有する。処理チャンバ17は、筐体部40と、蓋部50とを有する。筐体部40は、上部に開口41を有する。筐体部40は、内側にホットプレート20を収容している。
【0038】
蓋部50は、筐体部40の上部の開口41を閉塞することが可能な略板状の部材である。蓋部50は、筐体部40の上部に対して、着脱自在である。蓋部50は、シール部43を介して、筐体部40の上部に装着される。シール部43は、筐体部40と蓋部50との間の隙間を密封する部材である。
【0039】
蓋部50が筐体部40から取り外された場合、筐体部40の開口41を介して、筐体部40の内面が外部に露出した状態となる。この状態において、筐体部40の開口41から筐体部40内の部品交換または清掃などのメンテナンス作業が行われる。
【0040】
ホットプレート20は、処理チャンバ17の内側に収容されている。ホットプレート20は、平坦な上面20aを有する。ホットプレート20には、例えば電熱線などのヒータが内蔵されている。ヒータが駆動されることにより、ホットプレート20の上面20aが所定の温度まで昇温する。これにより、上面20aの上方かつ近傍に配置された基板9が加熱される。ヒータは、制御部8によって制御される。
【0041】
基板昇降機構30は、ホットプレート20の上方において、基板9を上下に昇降させる。基板昇降機構30は、複数のリフトピン31と、リフトピン昇降部33とを有する。基板昇降機構30は、支持フレーム18(
図3参照)に支持されている。支持フレーム18は、処理チャンバ17に連結された部材である。すなわち、基板昇降機構30は、支持フレーム18を介して、処理チャンバ17と連結されている。なお、「連結されている」とは、部材同士が接触し合うことで直接連結されている場合のほか、部材同士が他の部材を介して間接的に連結されている場合も含む。
【0042】
複数のリフトピン31は、Z方向に延びており、水平方向に分散して配置されている。複数のリフトピン31は、処理チャンバ17における筐体部40の底壁、および、ホットプレート20に設けられた幾つかの貫通孔に挿入されており、筐体部40の底壁およびホットプレート20を貫通している。複数のリフトピン31は、ホットプレート20の上面20aより上側に突き出た状態で、リフトピン昇降部33に保持される。
【0043】
リフトピン昇降部33は、複数のリフトピン31を一体的に上下に昇降させる。リフトピン昇降部33は、処理チャンバ17の外側かつ下側に配置されている。リフトピン昇降部33は、例えば、後述するモータ37を含むラックアンドピニオン機構によって構成されている。
【0044】
基板9は、複数のリフトピン31の各上端部に支持される。リフトピン昇降部33は、複数のリフトピン31を、基板9がホットプレート20の上面20aに接近する近接位置と、近接位置よりも上側の上側位置との間で移動させる。リフトピン昇降部33の動作は、制御部8により制御される。
【0045】
図5は、
図4に示される熱処理ユニット13の基板昇降機構30を示す斜視図である。
図4に示されるように、基板昇降機構30は、枠部材35と、モータ37と、動力伝達機構38とをさらに備える。
【0046】
枠部材35は、複数のリフトピン31を支持する部材である。上面視において、枠部材35は、略矩形状を有する。枠部材35は、例えば、複数のパイプを連結することによって形成されている。上面視において、枠部材35は、ホットプレート20と重なっている。ただし、上面視において、枠部材35の一部は、ホットプレート20からはみ出していてもよい。
【0047】
枠部材35は、動力伝達機構38に連結されている。本例では、枠部材35の外側の側面が、動力伝達機構38の動力変換部65に連結されている。
【0048】
モータ37は、電気エネルギーを回転力に変換することで、枠部材35を昇降させるための動力を供給する。モータ37は、上面視において、枠部材35の外側に位置する。本例では、モータ37は、枠部材35における+Y側且つ-X側の角部の近傍に位置する。モータ37は、動力伝達機構38に連結されている。
【0049】
動力伝達機構38は、モータ37の回転駆動力を伝達して枠部材35を昇降させる機構である。動力伝達機構38は、複数(本例では、3本)のシャフト61と、複数(本例では、2個)の連動部63と、複数(本例では、4個)の動力変換部65とを有する。
【0050】
複数のシャフト61は、連動部63を介してモータ37に連結されており、モータ37の駆動に連動して回転する。複数のシャフト61は、上面視において、枠部材35の外側に配置されている。本例では、枠部材35の4辺のうち、X方向に延びる1辺と、Y方向に延びる2辺との計3辺のそれぞれに平行するように配置されている。
【0051】
図6は、
図5に示される連動部63の構成を示す斜視図である。連動部63は、2本のシャフト61の間に配置されている。連動部63は、一方のシャフト61の回転を、他方のシャフト61に伝達する機構である。連動部63は、例えば、2本のシャフト61の各端部に取り付けられた2個の連動冶具631を有する。連動冶具631は、シャフト61とともに回転する。各連動冶具631は、先端に円錐面を有する。2個の連動冶具631の円錐面は、互いに接している。このため、一方の連動冶具631が回転すると、摩擦力により他方の連動冶具631が回転する。これにより、2本のシャフト61が連動して回転することとなる。なお、連動冶具631は、円錐面に歯が形成された歯車(かさ歯車、マイタ歯車など)であってもよい。連動部63は、互いに交差するシャフト61を連動して回転させることができるものであれば、どのような構成であってもよい。
【0052】
図5に戻って、動力変換部65は、シャフト61の回転運動を、Z方向の直線運動に変換する機構である。
図5の例では、X方向に対向する2本のシャフト61のそれぞれに、2個の動力変換部65が連結されている。また、枠部材35における、+X側端部および-X側端部のY方向に延びる2辺のそれぞれに、2個の動力変換部65がそれぞれ連結されている。
【0053】
図7は、
図5に示される動力変換部65を示す側面図である。
図7に示されるように、動力変換部65は、ピニオンギヤ651と、ラック653とを有する。ピニオンギヤ651は、シャフト61に固定されており、シャフト61とともに回転する。ラック653は、後述する弾性連結部材39を介して、枠部材35に固定されている。ラック653は、Z方向に等間隔で並べられた、ピニオンギヤ651とかみ合う複数の歯を有している。ピニオンギヤ651が回転することにより、ラック653が昇降し、これに伴って、枠部材35が昇降する。
【0054】
動力変換部65は、シャフト支持部材655を有する。シャフト支持部材655は、例えば板状を有しており、ベアリングを介してシャフト61を回転可能に支持している。シャフト支持部材655は、支持フレーム18に連結されている。また、動力変換部65は、リニアガイド657を有する。リニアガイド657は、ラック653がZ方向に沿って直線移動するようにラック653および枠部材35の移動方向を一方向(ここでは、Z方向)に制限する機構である。リニアガイド657は、ガイドレール657aとガイドブロック657bとを含む。ガイドレール657aは、Z方向に沿って延びており、両端がシャフト支持部材655に固定されている。ガイドブロック657bは、ガイドレール657aに沿ってスライド移動する部材であり、ラック653が固定されたベース板659に固定されている。
【0055】
図7に示されるように、基板昇降機構30は、弾性連結部材39を有する。弾性連結部材39は、動力伝達機構38と枠部材35との間を連結している。弾性連結部材39は、弾性変形可能である。弾性連結部材39は、例えば、金属材料によって形成される。
図7に示されるように、Y方向に沿って視た側面視において、弾性連結部材39は、略S字状を有する。
【0056】
より詳細には、弾性連結部材39は、第1連結部391と、第2連結部392と、枠保持部393とを有する。第1連結部391は、水平方向に延びる板状を有する。第1連結部391は、ラック653が固定されたベース板659に連結されている。第1連結部391は、Z方向に撓み変形可能である。第2連結部392は、Z方向に延びる板状を有する。第2連結部392は、X方向に撓み変形可能である。枠保持部393は、第2連結部392に連結されており、枠部材35を保持している。枠保持部393の形状は、例えば、断面視において、X方向に開口した略U字状を有する。枠部材35は、例えば、ボルトなどを介して枠保持部393の内部に固定されている。
【0057】
枠部材35が熱膨張等により変形しても、弾性連結部材39によりその変形を吸収できるため、動力伝達機構38に過度の負荷が掛かることを低減できる。特に、基板昇降機構30は、枠部材35のZ方向の直線移動の精度が、複数(本例では、4個)のリニアガイド657によって確保されている。このため、仮に、枠部材35の変形によって、複数のリニアガイド657に過度の負荷が掛かると、複数のガイドレール657aの平行性を維持できなくなり、枠部材35の移動精度が低下する可能性がある。したがって、弾性連結部材39を設けた場合、枠部材35が熱膨張等により変形しても、リニアガイド657に掛かる負荷が低減されることによって、枠部材35の移動精度を確保できる。したがって、複数のリフトピン31をスムーズに昇降させることができる。
【0058】
また、動力伝達機構38に振動が生じた場合であっても、当該振動が弾性連結部材39に吸収されることにより、枠部材35に振動が伝達することを低減できる。これにより、枠部材35をスムーズに昇降させることができる。
【0059】
図8は、処理位置P1の熱処理ユニット13を示す下面図である。
図8に示されるように、モータ37は、枠部材35よりも-X側に位置する。本例では、熱処理ユニット13が処理位置P1にある場合、モータ37は本体フレーム11における-X側端部の近傍に配置される。このため、処理チャンバ17が処理位置P1にある状態(すなわち、本体フレーム11から引き出されていない状態)であっても、本体フレーム11の-X側外部から容易にアクセスすることができる。なお、本体フレーム11の-X側端部にカバーが取り付けられている場合には、当該カバーを取り外し可能とすることによって、作業者がモータ37にアクセスすることができる。
【0060】
また、
図8に示されるように、熱処理ユニット13は、電装部131を有する。電装部131は、電子機器や、電源装置、電子機器、および電源線や信号線などの配線などを有する。電装部131は、処理チャンバ17よりも-X側に位置する。モータ37は、電装部131に対して+Y側に隣接して配置されている。このような配置によれば、本体フレーム11の-X側外部から、電装部131とモータ37アクセスできるため、メンテナンスを容易にできる。
【0061】
以上のように、基板熱処理装置1は、熱処理プレートとしてのホットプレート20と、基板昇降機構30と、本体フレーム11と、引出機構としての一対のスライド部材15とを備える。ホットプレート20は、基板9を熱処理する。基板昇降機構30は、ホットプレート20の上方で基板9を昇降させる。本体フレーム11は、ホットプレート20および基板昇降機構30を支持する。一対のスライド部材15は、ホットプレート20および基板昇降機構30を、本体フレーム11内側の処理位置P1から、メンテナンス位置P2まで一体的に引き出し可能とする。基板昇降機構30は、複数のリフトピン31と、枠部材35と、モータ37と、動力伝達機構38とを有する。複数のリフトピン31は、ホットプレート20の貫通孔に挿入されている。枠部材35は、ホットプレート20よりも下側に配置され、複数のリフトピン31を支持する。モータ37は、上面視において、枠部材35の外側に位置する。動力伝達機構38は、モータ37の動力を伝達して枠部材35を昇降させる。このような構成によれば、基板昇降機構30のモータ37が枠部材35の外側に配置されているため、基板昇降機構30のメンテナンス作業を容易にすることができる。また、基板昇降機構30を本体フレーム11内側の処理位置P1から、メンテナンス位置P2に引き出せるようにすることで、基板昇降機構30のメンテナンスをさらに容易にすることができる。
【0062】
また、動力伝達機構38の少なくとも一部は、上面視において、枠部材35の外側に位置する。このような構成によれば、基板昇降機構30のメンテナンス作業をさらに容易にすることができる。
【0063】
また、動力伝達機構38は、枠部材35の側面に接触しつつ、枠部材35を昇降させる。このような構成によれば、基板昇降機構30における枠部材35に接触する部分が、枠部材35の外側に配置されるため、その接触部分のメンテナンス作業を容易にすることができる。
【0064】
また、動力伝達機構38は、シャフト61と、ピニオンギヤ651と、ラック653と、をさらに有する。シャフト61は、上面視において枠部材35の外側に位置し、モータ37の回転運動を伝達する。ピニオンギヤ651は、シャフト61に連結されている。ラック653は、枠部材35の外側に位置し、前記枠部材に連結されており、かつ、ピニオンギヤ651とかみ合う。このような構成によれば、動力伝達機構38が枠部材35の外側に配置されるため、動力伝達機構38のメンテナンス作業をさらに容易にすることができる。
【0065】
また、基板昇降機構30は、動力伝達機構38と枠部材35との間を連結する弾性変形可能な弾性連結部材39を有する。このような構成によれば、枠部材35が熱膨張等により変形しても、弾性連結部材39によりその変形を吸収できるため、過度の負荷が動力伝達機構38に掛かることを低減できる。また、動力伝達機構38に振動が生じた場合であっても、当該振動が弾性連結部材39で吸収されることにより、枠部材35に振動が伝達することを低減できる。これにより、枠部材35をスムーズに昇降させることができる。
【0066】
また、弾性連結部材39は、第1連結部391と、第2連結部392と、枠保持部393とを有する。第1連結部391は、水平方向に延びる。第2連結部392は、第1連結部391に連結されており、Z方向に延びる。枠保持部393は、第2連結部392に連結されており、枠部材35を保持する。このような構成によれば、枠部材35の水平方向への変形を弾性連結部材39により吸収できる。これにより、水平方向の過度の負荷が動力伝達機構38に掛かることを低減できる。
【0067】
また、基板昇降機構30は、枠部材35の移動方向をZ方向に規制する複数のリニアガイド657をさらに有する。このような構成によれば、枠部材35が熱膨張等によって変形しても、弾性連結部材39がその変形を吸収することにより、複数のリニアガイド657に掛かる負荷を低減できる。したがって、複数のリニアガイド657の平行性を確保できるため、複数のリフトピン31をスムーズに昇降させることができる。
【0068】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0069】
例えば、基板熱処理装置1は、ホットプレート20によって基板9を加熱処理するように構成されている。しかしながら、基板熱処理装置1は、基板9を冷却処理するように構成されていてもよい。この場合、基板熱処理装置1は、ホットプレート20の代わりに、ヒータを持たない熱処理プレート(クールプレート)、若しくは冷却水流路やペルチェ素子等の冷却機構を有する熱処理プレート(クールプレート)を備えていてもよい。また、処理チャンバ17は、なくてもよい。
【0070】
弾性連結部材39は、板バネ状に形成されているが、弾性連結部材39の形状は、このような形状に限定されるものではない。例えば、弾性連結部材39は、コイル状のバネを有していてもよい。
【0071】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 基板熱処理装置
9 基板
11 本体フレーム
15 スライド部材(引出機構)
17 処理チャンバ
20 ホットプレート(熱処理プレート)
30 基板昇降機構
31 リフトピン
35 枠部材
37 モータ
38 動力伝達機構
39 弾性連結部材
61 シャフト
391 第1連結部
392 第2連結部
393 枠保持部
651 ピニオンギヤ
653 ラック
657 リニアガイド
【要約】 (修正有)
【課題】基板熱処理装置において、リフトピンを昇降させる駆動機構等のメンテナンスを容易にすることができる技術を提供する。
【解決手段】基板熱処理装置は、基板9を熱処理するホットプレート20と、ホットプレート20の上方で基板9を昇降させる基板昇降機構30と、ホットプレート20および基板昇降機構30を支持する本体フレームと、ホットプレート20および基板昇降機構30を本体フレーム内側の処理位置から、メンテナンス位置まで一体的に引き出し可能とする一対のスライド部材とを備える。基板昇降機構30は、ホットプレート20の貫通孔に挿入された複数のリフトピン31と、ホットプレート20よりも下側に配置され、複数のリフトピン31を支持する枠部材と、上面視において、枠部材の外側に位置するモータ37と、モータ37の動力を伝達して枠部材を昇降させる動力伝達機構とを有する。
【選択図】
図4