(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】アンテナモジュール
(51)【国際特許分類】
H01Q 7/06 20060101AFI20241203BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20241203BHJP
H01Q 1/12 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01Q7/06
H01F17/04 F
H01F17/04 N
H01Q1/12 Z
(21)【出願番号】P 2023192242
(22)【出願日】2023-11-10
【審査請求日】2024-07-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【氏名又は名称】松本 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100191673
【氏名又は名称】渡邉 久典
(72)【発明者】
【氏名】石崎 利弥
(72)【発明者】
【氏名】星 則光
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】玉城 克彰
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-339757(JP,A)
【文献】特開2017-98936(JP,A)
【文献】特開2020-188453(JP,A)
【文献】特開2022-36513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0090975(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 7/06
H01F 17/04
H01Q 1/12
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、コイルと、フレキシブル印刷回路基板と、磁性シートとを備えるアンテナモジュールであって、
前記コイルは、主部と端部とを有しており、
前記端部は、前記フレキシブル印刷回路基板に接続されており、
前記フレキシブル印刷回路基板は、引き出し部を有しており、
前記支持部材は、収容溝を構成する外壁及び内壁と、少なくとも一つの第1つば部と、少なくとも一つの第2つば部とを有しており、
前記少なくとも一つの第1つば部は、上下方向と直交する第1方位に向かって前記外壁から突出しており、
前記少なくとも一つの第2つば部は、前記第1方位の反対方位である第2方位に向かって前記外壁から突出しており、
前記収容溝には、前記コイルの前記主部が少なくとも部分的に収容されており、
前記フレキシブル印刷回路基板の前記引き出し部は、部分的に、前記上下方向と直交しかつ前記第1方位及び前記第2方位の双方と直交する第3方位に向かって、前記支持部材の外側に引き出されており、
前記コイルの前記主部の一部は、上面視した場合に、前記第1つば部と前記第2つば部の下側に位置しており、
前記磁性シートは、前記コイルの前記主部を部分的に覆うように前記外壁の上部に取り付けられている
アンテナモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナモジュールであって、
前記支持部材は、前記第3方位に向かって前記外壁から突出した少なくとも一つの第3つば部を更に有しており、
前記コイルの前記主部の一部は、上面視した場合に、前記第3つば部の下側に位置している
アンテナモジュール。
【請求項3】
請求項1に記載のアンテナモジュールであって、
前記支持部材には、前記収容溝と連通した開口部が設けられており、
前記開口部は、前記外壁の下部に形成されており、
前記引き出し部は、前記コイルの下側を通り、前記開口部を通って前記支持部材の外側に引き出されている
アンテナモジュール。
【請求項4】
請求項1に記載のアンテナモジュールであって、
前記コイルは、部分的に前記引き出し部の上側に位置しており、
前記支持部材は、前記第3方位の反対方位である第4方位に向かって前記外壁から突出した二つの突起を更に有しており、
前記二つの突起は、前記引き出し部を挟んで位置しており、
前記コイルの前記主部の一部は、上面視した場合に、前記二つの突起の下側に位置しているアンテナモジュール。
【請求項5】
請求項1に記載のアンテナモジュールであって、
前記支持部材の前記内壁には、第1凹部と第2凹部とが設けられており、
前記第1凹部と前記第2凹部とは、前記第1つば部と前記第2つば部とに夫々対応しており、
前記第1凹部は、対応する前記第1つば部の前記第1方位側に位置しており、かつ前記第1方位に凹んでおり、
前記第2凹部は、対応する前記第2つば部の前記第2方位側に位置しており、かつ前記第2方位に凹んでいる
アンテナモジュール。
【請求項6】
請求項1に記載のアンテナモジュールであって、
前記支持部材は、前記収容溝が形成された上面と、前記上面の反対側の下面とを有しており、
前記下面には、互いに交差する複数のリブと、隣り合う前記リブ間に位置する窪みが形成されている
アンテナモジュール。
【請求項7】
請求項1に記載のアンテナモジュールであって、
前記支持部材は、前記収容溝が形成された上面と、前記上面の反対側の下面とを有しており、
前記下面には、前記コイルが前記収容溝に収容されていることを視認可能とする確認窓が形成されている
アンテナモジュール。
【請求項8】
請求項1に記載のアンテナモジュールであって、
前記フレキシブル印刷回路基板には、複数の貫通孔が形成されており、
前記支持部材には、前記貫通孔に対応した複数の保持部が形成されており、
前記保持部は、対応する前記貫通孔に挿入されている被挿入部と、前記被挿入部の上方に位置し、前記上下方向と直交する水平方向において前記貫通孔より大きいサイズを有している固定部とを有している
アンテナモジュール。
【請求項9】
請求項1に記載のアンテナモジュールであって、
前記第1つば部は、前記第1方位と前記上下方向で規定される面に沿った断面において、前記第1方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有しており、
前記第2つば部は、前記第2方位と前記上下方向で規定される面に沿った断面において、前記第2方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有している
アンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたアンテナモジュール(アンテナコイル)は、コイル(コイル本体)と、磁性シート(樹脂結合軟磁性体)と、支持部材(コイルケース)とを備えている。
【0003】
特許文献1のアンテナモジュールにおいて、支持部材は、フレーム形状を有しており、その外形に沿って溝状に形成された収容部を有している。そして、収容部には、磁性シートとコイルとが収容されている。磁性シートは、収容部の底側に位置し、コイルは、磁性シートの上側、即ち収容部の開口側に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のアンテナモジュールにおいて、磁性シートはコイルの下側に位置しているが、アンテナモジュールの使用状態を考慮すると、磁性シートをコイルの上側に設けたい場合もある。
また、特許文献1のアンテナモジュールは、コイルケースに設けられたコイル側端子を用いて外部と接続されるが、コイルと外部との接続を、フレキシブル印刷回路基板(FPC)を用いて行いたいとの要望もある。
加えて、FPCを用いる場合には、コイルを支持部材に取り付ける前に、コイルにFPCを接続しておきたいという要望がある。
【0006】
本発明は、上記要望を満たしつつ、所望のアンテナ特性を発揮し得るアンテナモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のアンテナモジュールとして、支持部材と、コイルと、フレキシブル印刷回路基板と、磁性シートとを備えるアンテナモジュールであって、
前記コイルは、主部と端部とを有しており、
前記端部は、前記フレキシブル印刷回路基板に接続されており、
前記フレキシブル印刷回路基板は、引き出し部を有しており、
前記支持部材は、収容溝を構成する外壁及び内壁と、少なくとも一つの第1つば部と、少なくとも一つの第2つば部とを有しており、
前記少なくとも一つの第1つば部は、上下方向と直交する第1方位に向かって前記外壁から突出しており、
前記少なくとも一つの第2つば部は、前記第1方位の反対方位である第2方位に向かって前記外壁から突出しており、
前記収容溝には、前記コイルの前記主部が少なくとも部分的に収容されており、
前記フレキシブル印刷回路基板の前記引き出し部は、部分的に、前記上下方向と直交しかつ前記第1方位及び前記第2方位の双方と直交する第3方位に向かって、前記支持部材の外側に引き出されており、
前記コイルの前記主部の一部は、上面視した場合に、前記第1つば部と前記第2つば部の下側に位置しており、
前記磁性シートは、前記コイルの前記主部を部分的に覆うように前記外壁の上部に取り付けられている
アンテナモジュールを提供する。
【0008】
また、本発明は、第2のアンテナモジュールとして、第1のアンテナモジュールであって、
前記支持部材は、前記第3方位に向かって前記外壁から突出した少なくとも一つの第3つば部を更に有しており、
前記コイルの前記主部の一部は、上面視した場合に、前記第3つば部の下側に位置している
アンテナモジュールを提供する。
【0009】
また、本発明は、第3のアンテナモジュールとして、第1アンテナモジュールであって、
前記支持部材には、前記収容溝と連通した開口部が設けられており、
前記開口部は、前記外壁の下部に形成されており、
前記引き出し部は、前記コイルの下側を通り、前記開口部を通って前記支持部材の外側に引き出されている
アンテナモジュールを提供する。
【0010】
また、本発明は、第4のアンテナモジュールとして、第1のアンテナモジュールであって、
前記コイルは、部分的に前記引き出し部の上側に位置しており、
前記支持部材は、前記第3方位の反対方位である第4方位に向かって前記外壁から突出した二つの突起を更に有しており、
前記二つの突起は、前記引き出し部を挟んで位置しており、
前記コイルの前記主部の一部は、上面視した場合に、前記二つの突起の下側に位置しているアンテナモジュールを提供する。
【0011】
また、本発明は、第5のアンテナモジュールとして、第1のアンテナモジュールであって、
前記支持部材の前記内壁には、第1凹部と第2凹部とが設けられており、
前記第1凹部と前記第2凹部とは、前記第1つば部と前記第2つば部とに夫々対応しており、
前記第1凹部は、対応する前記第1つば部の前記第1方位側に位置しており、かつ前記第1方位に凹んでおり、
前記第2凹部は、対応する前記第2つば部の前記第2方位側に位置しており、かつ前記第2方位に凹んでいる
アンテナモジュールを提供する。
【0012】
また、本発明は、第6のアンテナモジュールとして、第1のアンテナモジュールであって、
前記支持部材は、前記収容溝が形成された上面と、前記上面の反対側の下面とを有しており、
前記下面上には、互いに交差する複数のリブと、互いに隣り合う前記リブ間に位置する窪みが形成されている
アンテナモジュールを提供する。
【0013】
また、本発明は、第7のアンテナモジュールとして、第1のアンテナモジュールであって、
前記支持部材は、前記収容溝が形成された上面と、前記上面の反対側の下面とを有しており、
前記下面上には、前記コイルが前記収容溝に収容されていることを視認可能とする確認窓が形成されている
アンテナモジュールを提供する。
【0014】
また、本発明は、第8のアンテナモジュールとして、第1のアンテナモジュールであって、
前記フレキシブル印刷回路基板には、複数の貫通孔が形成されており、
前記支持部材には、前記貫通孔に対応した複数の保持部が形成されており、
前記保持部は、対応する前記貫通孔に挿入されている被挿入部と、前記被挿入部の上方に位置し、前記上下方向と直交する水平方向において前記貫通孔より大きいサイズを有している固定部とを有している
アンテナモジュールを提供する。
【0015】
さらに、本発明は、第9のアンテナモジュールとして、第1のアンテナモジュールであって、
前記第1つば部は、前記第1方位と前記上下方向で規定される面に沿った断面において、前記第1方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有しており、
前記第2つば部は、前記第2方位と前記上下方向で規定される面に沿った断面において、前記第2方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有している
アンテナモジュールを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、コイルに接続されるフレキシブル印刷回路基板(FPC)を備え、コイルの主部が磁性シートに覆われており、所望のアンテナ特性を有するアンテナモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態によるアンテナモジュールを示す斜視図である。コイルの端部は、FPCの接続パッドに接続されていない。
【
図2】
図1のアンテナモジュールを示す平面図である。
【
図3】
図1のアンテナモジュールを示す底面図である。
【
図4】
図2のアンテナモジュールを示すA-A線断面図である。
【
図5】
図2のアンテナモジュールを示すB-B線断面図である。
【
図6】
図2のアンテナモジュールを示すC-C線断面図である。
【
図7】
図1のアンテナモジュールを示す正面図である。
【
図8】
図7のアンテナモジュールを示すD-D線断面図である。
【
図9】
図1のアンテナモジュールから磁性シートを取り除いた状態を示す平面図である。
【
図10】
図1のアンテナモジュールであって、支持部材の保持部が熱カシメされる前の状態にあるアンテナモジュールを示す斜視図である。
【
図11】
図10のアンテナモジュールを示す断面図である。切断位置は、
図5における切断位置に対応している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、本発明の一実施の形態によるアンテナモジュール10は、支持部材20と、コイル40と、フレキシブル印刷回路基板(以下、FPCという)50と、磁性シート60とを備えている。
【0019】
図2、
図3及び
図7から理解されるように、支持部材20は、略板状で、上下方向と直交する上面201と、その上面201の反対側の下面203とを有している。支持部材20は、例えば絶縁樹脂からなる。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。+Z方向が上方であり、-Z方向が下方である。なお、本明細書における上下方向は、説明の便宜のために定めたものであり、必ずしも鉛直方向と一致するものではない。
【0020】
図2及び
図3に示されるように、本実施の形態において、支持部材20は、上面視で略矩形の形状を有している。ただし、本発明はこれに限られない。支持部材20の形状は、特に限定されず、上面視で円形やレーストラック形など他の形状であってもよい。
【0021】
図9を参照すると、支持部材20の上面201には、収容溝22が形成されている。詳しくは、支持部材20は、収容溝22を構成する外壁24と内壁26とを有している。本実施の形態において、収容溝22は、支持部材20の外形に沿って形成されており、矩形のリング形状を有している。収容溝22の幅のサイズは、コイル40の被覆導線の直径のサイズよりも大きい。例えば、被覆導線の直径が0.18mmのとき、収容溝22の幅は0.2~1.275mmとすることができる。
【0022】
図9に示されるように、本実施の形態において、支持部材20の外壁24は、第1水平方向に延びる第1外壁部241及び第2外壁部243と、第1水平方向と直交する第2水平方向に延びる第3外壁部245及び第4外壁部247を有している。第3外壁部245は、第1外壁部241及び第2外壁部243の一方の端部同士を接続している。また、第4外壁部247は、第1外壁部241及び第2外壁部243の他方の端部同士を接続している。本実施の形態において、第1水平方向はX方向であり、第2水平方向はY方向である。
【0023】
図9に示されるように、内壁26は、第1水平方向に延びる第1内壁部261及び第2内壁部263と、第2水平方向に延びる第3内壁部265及び一対の第4内壁部267とを有している。第1内壁部261は、第1外壁部241と対向し、第1外壁部241と共に収容溝22を部分的に規定している。第2内壁部263は、第2外壁部243と対向し、第2外壁部243と共に収容溝22を部分的に規定している。第3内壁部265は、第3外壁部245と対向し、第3外壁部245と共に収容溝22を部分的に規定している。第4内壁部267は、第4外壁部247と対向し、第4外壁部247と共に収容溝22を部分的に規定している。
【0024】
図9から理解されるように、コイル40は、被覆導線を巻き回して形成された主部42と、主部42から延びる一対の端部44とを有している。コイル40の主部42は、少なくとも部分的に支持部材20の収容溝22に収容されている。コイル40の端部44は、主部42の内周側へ引き出され、FPC50に接続される。本実施の形態において、主部42は、平面視で角丸四角の形状を有しており、第1辺部421、第2辺部423、第3辺部425及び第4辺部427を有している。ただし、本発明はこれに限られない。主部42の形状は、平面視で円形、レーストラック形など他の形状であってもよい。
【0025】
図9に示されるように、支持部材20は、複数のつば部28を有している。詳しくは、支持部材20は、少なくとも一つの第1つば部281と、少なくとも一つの第2つば部283と、少なくとも一つの第3つば部285を有している。これらつば部28は、収容溝22の上方に突出し、収容溝22からコイル40の主部42が出ていくのを困難にする。つば部28の突出量は、収容溝22の幅にもよるが、被覆導線の直径が0.18mmのとき、例えば、0.2~0.8mmである。
【0026】
図9に示されるように、少なくとも一つの第1つば部281は、外壁24から内壁26に向かって突出している。詳しくは、少なくとも一つの第1つば部281は、上下方向と直交する第1方位に向かって外壁24から突出している。本実施の形態において、第1つば部281は、第1外壁部241から第1方位に向かって突出している。本実施の形態において、第1方位は-Y方向である。また、本実施の形態において、第1つば部281の数は一つである。ただし、本発明は、これに限られない。第1つば部281は、二つ以上であってもよい。
【0027】
図9に示されるように、少なくとも一つの第2つば部283も、外壁24から内壁26に向かって突出している。詳しくは、少なくとも一つの第2つば部283は、第1方位の反対方位である第2方位に向かって外壁24から突出している。本実施の形態において、第2つば部283は、第2外壁部243から第2方位に向かって突出している。本実施の形態において、第2方位は+Y方向である。また、本実施の形態において、第2つば部283の数は一つである。ただし、本発明は、これに限られない。
第2つば部283の数は、二つ以上であってもよい。また、第2つば部283の数は第1つば部281の数と異なっていてもよい。
【0028】
図9に示されるように、少なくとも一つの第3つば部285も、外壁24から内壁26に向かって突出している。詳しくは、少なくとも一つの第3つば部285は、上下方向と直交しかつ第1方位及び第2方位の双方と直交する第3方位に向かって外壁24から突出している。本実施の形態において、第3つば部285は、
第3外壁部245から第3方位に向かって突出している。本実施の形態において、第3方位は-X方向である。また、本実施の形態において、第3つば部285の数は一つである。ただし、本発明は、これに限られない。第3つば部285の数は、二つ以上であってもよい。その一方で、第3つば部285は、本発明において必須ではないので無くてもよい。
【0029】
図4を参照すると、第1つば部281の下面は、第1方位(-Y方向)と上下方向で規定される面に沿った断面において、第1方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有している。これにより、収容溝22に収容されたコイル40の主部42が収容溝22から出る方向に移動したとき、コイル40の主部42は第1つば部281から
第2方位へ向かう力を受け、収容溝22から出ることが難しくなる。同様に、第2つば部283の下面は、第2方位と上下方向で規定される面に沿った断面において、第2方位(+Y方向)に向かうに連れて下方に向かう形状を有している。これにより、収容溝22に収容されたコイル40の主部42が収容溝22から出る方向に移動したとき、コイル40の主部42は第2つば部283から
第1方位へ向かう力を受け、収容溝22から出ることが難しくなる。ただし、本発明は、これに限られない。第1つば部281は、その全体が、第1方位と上下方向で規定される面に沿った断面において、第1方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有していてもよい。また、第2つば部283は、その全体が、第2方位と上下方向で規定される面に沿った断面において、第2方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有していてもよい。
【0030】
図8を参照すると、第3つば部285の下面は、第3方位(-X方向)と上下方向で規定される面に沿った断面において、第3方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有している。第3つば部285もまた、コイル40の主部42が収容溝22から出ることを難しくする。ただし、本発明は、これに限られない。第3つば部285も第1つば部281及び第2つば部283と同様に、その全体が、第3方位と上下方向で規定される面に沿った断面において、第3方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有していてもよい。
【0031】
図6及び
図8を参照すると、支持部材20には、収容溝22と連通した開口部249が設けられている。開口部249は、外壁24の下部に形成されている。本実施の形態において、開口部249は、第4外壁部247の下部に形成されている。加えて、本実施の形態において、開口部249は、下面203にも拡がっている。
【0032】
図9に示されるように、支持部材20は、さらに二つの突起30を有している。突起30は、外壁24から内壁26に向かって突出している。詳しくは、突起30は、第3方位の反対方位である第4方位に向かって外壁24から突出している。本実施の形態において、突起30は、外壁24の第4外壁部247から第4方位に向かって突出している。本実施の形態において、第4方位は+X方向である。また、本実施の形態において、二つの突起30は、第2水平方向において開口部249(
図6及び
図8参照)を挟んで位置している。換言すると、二つの突起30は、第2水平方向において、開口部249を通して引き出されるFPC50の引き出し部54を挟んで位置している。突起30の突出量は、収容溝22の幅にもよるが、被覆導線の直径が0.18mmのとき、例えば、0.2~0.8mmである。ただし、本発明において、突起30は必須ではない。
【0033】
図8に示されるように、突起30の下面は、第4方位(+X方向)と上下方向で規定される面に沿った断面において、第4方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有している。突起30もまた、コイル40の主部42が収容溝22から出ることを難しくする。突起30もまた、その全体が、第4方位と上下方向で規定される面に沿った断面において、第4方位に向かうに連れて下方に向かう形状を有していてもよい。
【0034】
図9に示されるように、支持部材20の内壁26には、第1凹部271、第2凹部273及び第3凹部275が設けられている。第1凹部271、第2凹部273及び第3凹部275は、第1つば部281、第2凹部273及び第3つば部285に夫々対応している。詳しくは、第1凹部271は、対応する第1つば部281の第1方位(-Y方向)側に位置し、かつ第1方位に凹んでいる。また、第2凹部273は、対応する第2つば部283の第2方位(+Y方向)側に位置し、かつ第2方位に凹んでいる。第3凹部275は、対応する第3つば部285の第3方位(-X方向)側に位置し、かつ第3方位に凹んでいる。第1凹部271、第2凹部273及び第3凹部275は、コイル40の主部42を収容溝22内に収容するのを容易にする。ただし、第3凹部275は、本発明において必須ではない。
【0035】
図3を参照すると、本実施の形態において、支持部材20の下面203には、互いに交差する複数のリブ32と、隣り合うリブ32間に位置する窪み34が形成されている。リブ32には、第1水平方向に沿って延びるものと、第2水平方向に延びるものとが含まれる。窪み34は、底面視において矩形の形状を有し、上方へ凹んでいる。窪み34の存在は、支持部材20の形成に必要な樹脂の量を削減し、コスト削減を実現する。
【0036】
図3に示されるように、本実施の形態において、支持部材20の下面203には、第1確認窓361、第2確認窓363及び第3確認窓365が形成されている。第1確認窓361、第2確認窓363及び第3確認窓365は、第1つば部281、第2つば部283及び第3つば部285に夫々対応している。第1確認窓361、第2確認窓363及び第3確認窓365は、コイル40を視認するのに利用される。換言すると、収容溝22に収容されたコイル40の主部42は、第1確認窓361、第2確認窓363及び第3確認窓365の夫々を通して視認可能である。
【0037】
図9に示されるように、本実施の形態において、FPC50は、平面視で略T字形の形状を有している。詳しくは、FPC50は、第2水平方向に延びる接続部52と、第1水平方向に延びる引き出し部54とを有している。ただし、本発明はこれに限られない。FPC50は、引き出し部54を有していればよく、その形状は特に限定されない。
【0038】
図9に示されるように、FPC50の上面には、一対の導体パターン501が形成されている。導体パターン501は、接続部52から引き出し部54へと延びている。コイル40の端部44は、導体パターン501に含まれる接続パッドに接続される。
【0039】
図2、
図5及び
図8から理解されるように、FPC50の接続部52は、支持部材20に固定されている。本実施の形態において、FPC50の接続部52は、熱カシメによって支持部材20に固定されている。FPC50の引き出し部54は、支持部材20に形成された開口部249を通して、少なくとも部分的に支持部材20の外に引き出されている。本実施の形態において、FPC50の引き出し部54は、第3方位へ向かって引き出されている。
【0040】
図1、
図2及び
図7に示されるように、磁性シート60は、上面視で矩形の薄いシートである。磁性シート60は、少なくとも金属磁性紛と、それを結合する結合剤(樹脂)とからなる。磁性シート60は、コイル40の主部42を部分的に覆うように外壁24の上部に取り付けられている。
【0041】
以下、主に
図9を参照してアンテナモジュール10の製造手順について説明する。
【0042】
まず、支持部材20、コイル40、FPC50及び磁性シート60を用意する。
【0043】
次に、コイル40の端部44をFPC50の接続パッドに半田付けする。
【0044】
次に、FPC50を支持部材20に取り付ける。このとき、FPC50の引き出し部54は、支持部材20の開口部249(
図8参照)を通して、第3方位(-X方向)に向かって支持部材20の外側に部分的に引き出される。同時に、コイル40の主部42の第4辺部427は、収容溝22に収容される。FPC50の引き出し部54が第3方位に向かって引っ張られることにより、コイル40の主部42の第4辺部427は、外壁24の第4外壁部247に近寄り、少なくとも部分的に突起30の下側に位置する。なお、第4内壁部267には突起30が設けられていないので、コイル40の主部42の第4辺部427を収容溝22に収容する際に、コイル40が突起30に押し付けられてその被膜が傷つくことはない。
【0045】
図10及び
図11から理解されるように、FPC50には、複数の貫通孔56が形成されている。その一方で、支持部材20には、貫通孔56に夫々対応する複数の保持部38が形成されている。保持部38の夫々の形状は、当初円柱状である。FPC50を支持部材20に取り付ける際、支持部材20の保持部38は、夫々対応するFPC50の貫通孔56に挿入される。その後、支持部材20の保持部38は、熱カシメにより変形させられる。
図5に示されるように、変形後の保持部38は、対応する貫通孔56に挿入されている被挿入部381と、被挿入部381の上方に位置し、水平方向において貫通孔56より大きいサイズを有している固定部383とを有する。そして、固定部383の存在により、FPC50は、支持部材20に固定される。
【0046】
次に、コイル40の主部42の第1辺部421及び第2辺部423を、第2水平方向(X方向)において内側に撓ませ、第1凹部271及び第2凹部273を利用して支持部材20の収容溝22内に収容させる。コイル40の主部42の第1辺部421及び第2辺部423は、外力が取り除かれると、復元力によって元の形状に戻ろうとし、第1外壁部241及び第2外壁部243に夫々近寄り、第1つば部281及び第2つば部283の下へ夫々移動する。このとき、コイル40の主部42の第3辺部425は、第1水平方向において、第3つば部285よりも内側に位置している。
【0047】
次に、治具を用いるなどして、コイル40を全体的に第4方位(+X方向)に向かって移動させる。このコイル40の移動は、コイル40の主部42の第3辺部425が少なくとも部分的に第3つば部285の下に位置し、かつ第4辺部427が収容溝22に収容されかつ少なくとも部分的に突起30の下に位置するように行う。また、コイル40の主部42の第3辺部425が第3内壁部265に接しないように行う。この工程を可能にするため、本実施の形態において、突起30と第3つば部285の間の第1水平方向の距離は、コイル40の主部42の第1水平方向の長さ(外径)よりも短い。また、第1水平方向における収容溝22の内壁26間の距離は、コイル40の主部42の第1水平方向の内法(内径)よりも短い。
【0048】
最後に、磁性シート60(
図1参照)を支持部材20の上面201に取り付ける。詳しくは、コイル40の主部42を部分的に覆うように、磁性シート60を外壁24の上部に接着等により取り付ける。
【0049】
図2、
図6及び
図8から理解されるように、完成したアンテナモジュール10において、FPC50の引き出し部54は、コイル40の下側を通り、開口部249を通って支持部材20の外側に引き出されている。この構成により、コイル40が部分的にFPC50の引き出し部54の上側に位置しているにもかかわらず、コイル40の主部42は引き出し部54から直接力を受けることがない。これは、外壁24の第4外壁部247が引き出し部54の変形及び移動を制限するからである。したがって、例えばアンテナモジュール10を基板(図示せず)に搭載する際に、引き出し部54が外力により変形又は移動しても、コイル40の主部42が収容溝22内で移動したり、収容溝22から外れたりすることはない。また、コイル40の主部42の移動が制限されるので、コイル40の主部42と磁性シート60との間の位置関係は維持される。
【0050】
図9から理解されるように、コイル40の主部42の一部は、上面視した場合に、第1つば部281及び第2つば部283、の夫々の下側に位置している。この構成により、コイル40の主部42が収容溝22内で移動したり、収容溝22から外れたりすることが防止又は抑制される。その結果、
図4から理解されるように、アンテナモジュール10がどのような姿勢で基板(図示せず)に搭載されたとしても、コイル40の主部42と磁性シート60との距離は一定に保たれる。例えば、アンテナモジュール10を上下逆にして基板に搭載しても、コイル40の主部42と磁性シート60との距離は一定に保たれる。こうして、所望のアンテナ特性を有するアンテナモジュールが得られる。
【0051】
図9から理解されるように、本実施の形態において、コイル40の主部42の一部は、上面視した場合に、第3つば部285及び突起30の夫々の下側に位置している。第3つば部285及び突起30も第1つば部281及び第2つば部283と同様に、コイル40の主部42の移動を防止又は抑制し、コイル40の主部42と磁性シート60との間の位置関係を維持する。こうして、所望のアンテナ特性をより確実に有するアンテナモジュールが得られる。
【0052】
以上、本発明について、いくつかの実施の形態を掲げて説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能である。例えば、上記実施の形態において、磁性シート60は、支持部材20の上面201の略半分を覆っているが、本発明はこれに限られない。磁性シート60は、支持部材20の上面201の全部を覆ってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 アンテナモジュール
20 支持部材
201 上面
203 下面
22 収容溝
24 外壁
241 第1外壁部
243 第2外壁部
245 第3外壁部
247 第4外壁部
249 開口部
26 内壁
261 第1内壁部
263 第2内壁部
265 第3内壁部
267 第4内壁部
271 第1凹部
273 第2凹部
275 第3凹部
28 つば部
281 第1つば部
283 第2つば部
285 第3つば部
30 突起
32 リブ
34 窪み
361 第1確認窓
363 第2確認窓
365 第3確認窓
38 保持部
381 被挿入部
383 固定部
40 コイル
42 主部
421 第1辺部
423 第2辺部
425 第3辺部
427 第4辺部
44 端部
50 フレキシブル印刷回路基板(FPC)
501 導体パターン
52 接続部
54 引き出し部
56 貫通孔
60 磁性シート
【要約】 (修正有)
【課題】所望の構成と所望のアンテナ特性とを有するアンテナモジュールを提供すること。
【解決手段】アンテナモジュール10において、支持部材20は、収容溝22を構成する外壁24と内壁26とを有している。コイル40の主部42は、支持部材20の収容溝22に少なくとも部分的に収容されている。コイル40の端部44は、FPC50に接続されている。FPC50の引き出し部54は、支持部材20の外側に引き出されている。支持部材20は、第1方位に向かって外壁24から突出する第1つば部281と、第2方位に向かって外壁24から突出する第2つば部283とを有する。コイル40の主部42の一部は、上面視で第1つば部281と第2つば部283の下側に位置する。磁性シート60は、コイル40の主部42を部分的に覆うように外壁24の上部に取り付けられている。
【選択図】
図1