(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241203BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20241203BHJP
C25D 5/02 20060101ALI20241203BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K3/18 G
C25D5/02 E
C25D7/00 J
(21)【出願番号】P 2023193762
(22)【出願日】2023-11-14
(62)【分割の表示】P 2020003238の分割
【原出願日】2020-01-10
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】新田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】餅田 恭志
(72)【発明者】
【氏名】岡 良雄
(72)【発明者】
【氏名】酒井 将一郎
(72)【発明者】
【氏名】貝吹 忠拓
(72)【発明者】
【氏名】岡上 潤一
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-212349(JP,A)
【文献】特開平10-032201(JP,A)
【文献】特開平02-109390(JP,A)
【文献】特開2010-067317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 - 1/02
H05K 3/10 - 3/26
H05K 3/38
C25D 5/02
C25D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、
上記複数本の配線が、同一面内に、複数本の第1配線と、これら第1配線の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する複数本の第2配線とを有し、
上記第1配線の平均厚みに対する上記第2配線の平均厚みの比率が1.5以上50以下であり、
上記第1配線及び上記第2配線は、それぞれ導電性下地層と、上記導電性下地層に積層されるめっき層とを有しており、
上記第1配線を構成する上記導電性下地層の平均厚みは、上記第2配線を構成する上記導電性下地層の平均厚みと等しく、
上記第2配線を構成する上記めっき層の厚みは、上記第1配線を構成する上記めっき層の厚みよりも大きく、
上記第2配線を構成する上記導電性下地層の線幅は、上記第1配線を構成する上記導電性下地層の線幅よりも大きく、
上記複数の第2配線において隣接する一対の第2配線を構成する上記導電性下地層同士の間隔は、上記複数の第1配線において隣接する一対の第1配線を構成する上記導電性下地層同士の間隔よりも大きいフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
上記第1配線の平均線幅が3μm以上100μm以下かつ平均間隔が3μm以上100μm以下である請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
上記第2配線の平均線幅が5μm以上100μm以下かつ平均間隔が5μm以上100μm以下である請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
上記第1配線における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.3以上5以下であり、
上記第2配線における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.5以上10以下である請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、
第3レジストパターンを用い、ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層された第1導電性下地層層上に第3金属材料を電気めっきすることにより、複数本の第4めっき体を形成する第3めっき工程と、
上記第3めっき工程の後、上記第3レジストパターンを除去する第3除去工程と、
上記第3除去工程の後、第4レジストパターンを用い、上記第1導電性下地層上における上記第4めっき体の非積層領域に第4金属材料を電気めっきすることにより、上記第4めっき体よりも平均厚みが大きい複数本の第5めっき体を形成する第4めっき工程と、
上記第4めっき工程の後、上記第4レジストパターン、並びに上記第1導電性下地層における上記第4めっき体及び上記第5めっき体の非積層領域を除去する第4除去工程と
を備え、
上記第1配線が、上記第1導電性下地層の一部及び上記第4めっき体を有する第3積層体として形成され、
上記第2配線が、上記第1導電性下地層の他の一部及び上記第5めっき体を有する第4積層体として形成されるフレキシブルプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブルプリント配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板は、様々な電子機器の回路を構成するために広く利用されている。近年、電子機器の小型化に伴い、フレキシブルプリント配線板の小型化及びその配線密度の増大が著しい。
【0003】
このような小型のフレキシブルプリント配線板として、シート状の絶縁性基材と、この基材の表面にめっきによって積層される配線とを有するものが提案されている(特開2018-195681号公報参照)。このフレキシブルプリント配線板では、めっき膜厚、すなわち配線の厚みの均一化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、フレキシブルプリント配線板では、配線として信号線、電流線等が配設される場合がある。例えば電流線には、できるだけ多くの電流を流すことが望まれるため、フレキシブルプリント配線板が電流線と信号線とを有する場合、電流線は、信号線に比較して電気抵抗が小さいことが要望される。
【0006】
一方、上述したように小型化が要望されるフレキシブルプリント配線板では、省スペース化が要望される。
【0007】
このため、フレキシブルプリント配線板が複数の電流線を有する場合、配線全体として電流線の電気抵抗を小さくしつつ、この配線全体として線幅が小さいこと、すなわち省スペース化が要望される。
【0008】
そこで、配線全体の電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができるフレキシブルプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記複数本の配線が、同一面内に、1本又は複数本の第1配線と、これら第1配線の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する1本又は複数本の第2配線とを有し、上記第1配線の平均厚みに対する上記第2配線の平均厚みの比率が1.5以上50以下である。
【0010】
また、上記課題を解決するためになされた本開示の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、上記複数本の配線が、同一面内に、1本又は複数本の第1配線と、これら第1配線の平均厚みよりも大きい平均厚みをそれぞれ有する1本又は複数本の第2配線とを有し、上記第1配線の平均厚みに対する上記第2配線の平均厚みの比率が1.5以上50以下であり、第1レジストパターンを用い、少なくとも一方の面側に導電性下地層が積層されたベースフィルムの上記導電性下地層層上に第1金属材料を電気めっきすることにより、1本又は複数本の第1めっき体及び第2めっき体を形成する第1めっき工程と、上記第1めっき工程の後、上記第1レジストパターン及び上記導電性下地層における上記第1めっき体及び第2めっき体の非積層領域を除去する第1除去工程と、上記第1除去工程の後、第2レジストパターンを用い、上記第2めっき体に第2金属材料を電気めっきすることにより、1本又は複数本の第3めっき体を形成する第2めっき工程と、上記第2めっき工程の後、上記第2レジストパターンを除去する第2除去工程とを備え、上記第1配線が、上記導電性下地層の一部及び上記第1めっき体を有する第1積層体として形成され、上記第2配線が、上記導電性下地層の他の一部、上記第2めっき体及び上記第3めっき体を有する第2積層体として形成される。
【0011】
また、上記課題を解決するためになされた本開示の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、上記複数本の配線が、同一面内に、1本又は複数本の第1配線と、これら第1配線の平均厚みよりも大きい平均厚みをそれぞれ有する1本又は複数本の第2配線とを有し、上記第1配線の平均厚みに対する上記第2配線の平均厚みの比率が1.5以上50以下であり、第3レジストパターンを用い、少なくとも一方の面側に導電性下地層が積層されたベースフィルムの上記導電性下地層上に第3金属材料を電気めっきすることにより、1本又は複数本の第4めっき体を形成する第3めっき工程と、上記第3めっき工程の後、上記第3レジストパターンを除去する第3除去工程と、上記第3除去工程の後、第4レジストパターンを用い、上記導電性下地層上における上記第4めっき体の非積層領域に第4金属材料を電気めっきすることにより、上記第4めっき体よりも平均厚みが大きい1本又は複数本の第5めっき体を形成する第4めっき工程と、上記第4めっき工程の後、上記第4レジストパターン、並びに上記導電性下地層における上記第4めっき体及び上記第5めっき体の非積層領域を除去する第4除去工程とを備え、上記第1配線が、上記導電性下地層の一部及び上記第4めっき体を有する第3積層体として形成され、上記第2配線が、上記導電性下地層の他の一部及び上記第5めっき体を有する第4積層体として形成される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、配線全体の電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることもできる。本開示の別の態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、配線全体の電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができるフレキシブルプリント配線板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第一実施形態のフレキシブルプリント配線板を示す模式的断面図である。
【
図2】
図2は、
図1のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図4】
図4は、
図1のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図5】
図5は、
図1のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図6】
図6は、
図1のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図7】
図7は、第二実施形態のフレキシブルプリント配線板を示す模式的断面図である。
【
図8】
図8は、
図7のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図9】
図9は、
図7のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図10】
図10は、
図7のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図11】
図11は、
図7のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図12】
図12は、
図7のフレキシブルプリント配線板の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、上記複数本の配線が、同一面内に、1本又は複数本の第1配線と、これら第1配線の平均厚みよりも大きい平均厚みを有する1本又は複数本の第2配線とを有し、上記第1配線の平均厚みに対する上記第2配線の平均厚みの比率が1.5以上50以下である。
【0015】
当該フレキシブルプリント配線板は、第1配線の平均厚みに対する第2配線の平均厚みの比率が上記範囲内であることで、同じ線幅で比較して、第2配線の電気抵抗を第1配線の電気抵抗よりも小さくすることができる。加えて、同じ電気抵抗で比較して、第2配線の線幅を第1配線の線幅よりも小さくすることができる。よって、当該フレキシブルプリント配線板は、配線全体の電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができる。
【0016】
上記第1配線の平均線幅が3μm以上100μm以下、かつ平均間隔が3μm以上100μm以下であるとよい。
【0017】
このように、上記第1配線の平均線幅及び平均間隔が上記範囲内であることで、より当該フレキシブルプリント配線板の省スペース化を図ることができる。
【0018】
上記第2配線の平均線幅が5μm以上100μm以下、かつ平均間隔が5μm以上100μm以下であるとよい。
【0019】
このように、上記第2配線の平均線幅及び平均間隔が上記範囲内であることで、より当該フレキシブルプリント配線板の省スペース化を図ることができる。
【0020】
上記第1配線の厚み方向の最小断面積に対する上記第2配線の厚み方向の最小断面積の比率が0.5以上200以下であるとよい。
【0021】
このように、上記第1配線の厚み方向の最小断面積に対する上記第2配線の厚み方向の最小断面積の比率が上記範囲内であることで、第1配線の電気抵抗と第2配線の電気抵抗とが比較的近い値でありながら、より当該フレキシブルプリント配線板の省スペース化を図ることができる。
【0022】
上記第1配線における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.3以上5以下であり、上記第2配線における最小線幅に対する平均厚みの比率が0.5以上10以下であるとよい。
【0023】
このように、上記第1配線の最小線幅に対する平均厚みの比率が上記範囲内であり、上記第2配線の最小線幅に対する平均厚みの比率が上記範囲内であることで、より当該フレキシブルプリント配線板の省スペース化を図ることができる。
【0024】
また、本開示の異なる態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、上記複数本の配線が、同一面内に、1本又は複数本の第1配線と、これら第1配線の平均厚みよりも大きい平均厚みをそれぞれ有する1本又は複数本の第2配線とを有し、上記第1配線の平均厚みに対する上記第2配線の平均厚みの比率が1.5以上50以下であり、第1レジストパターンを用い、少なくとも一方の面側に導電性下地層が積層されたベースフィルムの上記導電性下地層上に第1金属材料を電気めっきすることにより、1本又は複数本の第1めっき体及び第2めっき体を形成する第1めっき工程と、上記第1めっき工程の後、上記第1レジストパターン及び上記導電性下地層における上記第1めっき体及び第2めっき体の非積層領域を除去する第1除去工程と、上記第1除去工程の後、第2レジストパターンを用い、上記第2めっき体に第2金属材料を電気めっきすることにより、1本又は複数本の第3めっき体を形成する第2めっき工程と、上記第2めっき工程の後、上記第2レジストパターンを除去する第2除去工程とを備え、上記第1配線が、上記導電性下地層の一部及び上記第1めっき体を有する第1積層体として形成され、上記第2配線が、上記導電性下地層の他の一部、上記第2めっき体及び上記第3めっき体を有する第2積層体として形成される。
【0025】
当該フレキシブルプリント配線板の製造方法によれば、上述した当該フレキシブルプリント配線板を製造することができる。すなわち、配線全体の電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることもできるフレキシブルプリント配線板を製造することができる。
【0026】
また、本開示の異なる態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの少なくとも一方の面側に積層される複数本の配線とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、上記複数本の配線が、同一面内に、1本又は複数本の第1配線と、これら第1配線の平均厚みよりも大きい平均厚みをそれぞれ有する1本又は複数本の第2配線とを有し、上記第1配線の平均厚みに対する上記第2配線の平均厚みの比率が1.5以上50以下であり、第3レジストパターンを用い、少なくとも一方の面側に導電性下地層が積層されたベースフィルムの上記導電性下地層上に第3金属材料を電気めっきすることにより、1本又は複数本の第4めっき体を形成する第3めっき工程と、上記第3めっき工程の後、上記第3レジストパターンを除去する第3除去工程と、上記第3除去工程の後、第4レジストパターンを用い、上記導電性下地層上における上記第4めっき体の非積層領域に第4金属材料を電気めっきすることにより、上記第4めっき体よりも平均厚みが大きい1本又は複数本の第5めっき体を形成する第4めっき工程と、上記第4めっき工程の後、上記第4レジストパターン、並びに上記導電性下地層における上記第4めっき体及び上記第5めっき体の非積層領域を除去する第4除去工程とを備え、上記第1配線が、上記導電性下地層の一部及び上記第4めっき体を有する第3積層体として形成され、上記第2配線が、上記導電性下地層の他の一部及び上記第5めっき体を有する第4積層体として形成される。
【0027】
当該フレキシブルプリント配線板の製造方法によれば、上述した当該フレキシブルプリント配線板を製造することができる。すなわち、配線全体の電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることもできるフレキシブルプリント配線板を製造することができる。
【0028】
ここで、「平均厚み」とは、1本の配線における任意の十点において測定した厚みの平均値を意味する。「厚み」とは、このベースフィルムに垂直な方向におけるベースフィルムと配線の上端縁との間の距離を意味する。「線幅」とは、1本の配線における長手方向と垂直な方向の寸法を意味する。「間隔」とは、対向する2本の配線の隣接面間の距離を意味し、「平均間隔」とは、上記隣接面間の距離を配線の長手方向に平均した値を意味する。「平均線幅」とは、配線の長手方向と垂直な断面における配線の最大幅をその配線の長手方向に平均した値を意味する。「最小断面積」とは、1本の配線におけるこの配線の長手方向に垂直な断面積の最小値を意味する。「最小線幅」とは、1本の配線内における線幅の最小値を意味する。ただし、各配線間を接続するためのビア(スルーホール、ブラインドビア、フィルドビア)を有するランド部分、実装部品との接続するランド部分、他のプリント基板やコネクターとの接続するためのランド部分等のランド部分については、上記にて規定する「厚み」「線幅」「間隔」「断面積」から除外するものとする。なお、「配線」は、「配線層」に相当する。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示に係るフレキシブルプリント配線板及びその製造方法の実施形態について図面を参照しつつ詳説する。なお、本実施形態において「表面側」とは、ベースフィルムの厚さ方向のうち、配線が積層される側を指すものであり、本実施形態の表裏がフレキシブルプリント配線板の使用状態における表裏を決定するものではない。
【0030】
[第一実施形態]
〔フレキシブルプリント配線板〕
図1に示すように、本実施形態のフレキシブルプリント配線板10は、絶縁性を有するベースフィルム3と、上記ベースフィルム3の一方の面側(表面側)に積層される複数本の配線11とを主に備える。当該フレキシブルプリント配線板10は、ベースフィルム3又は配線11の表面側にカバーフィルムをさらに備えてもよい。
【0031】
<ベースフィルム>
ベースフィルム3は、絶縁性を有する合成樹脂製の層である。ベースフィルム3は、可撓性も有する。このベースフィルム3は、配線11を形成するための基材でもある。ベースフィルム3の形成材料としては、絶縁性及び可撓性を有するものであれば特に限定されないが、シート状に形成された低誘電率の合成樹脂フィルムを採用し得る。この合成樹脂フィルムの主成分としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、フッ素樹脂等が挙げられる。「主成分」とは、最も含有量の多い成分であり、例えば形成材料中50質量%以上を占める成分を意味する。ベースフィルム3は、ポリイミド等の例示した樹脂以外の他の樹脂、帯電防止剤等を含有してもよい。
【0032】
ベースフィルム3の平均厚さの下限としては、特に限定されないが、3μmが好ましく、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。ベースフィルム3の平均厚さの上限としては、特に限定されないが、200μmが好ましく、150μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。ベースフィルム3の平均厚さが上記下限未満である場合、ベースフィルム3の絶縁強度及び機械的強度が不十分となるおそれがある。一方、ベースフィルム3の平均厚さが上記上限を超える場合、当該フレキシブルプリント配線板10が不要に厚くなるおそれがある。ここで、「平均厚み」とは、上述と同様、任意の十点において測定した厚みの平均値を意味する。
【0033】
<複数の配線>
複数の配線11は、ベースフィルム3の表面側に直接又は他の層を介して積層される。複数の配線11は、同一面内(ここでは上記表面側の同一面内)に、複数本の第1配線13と、これら第1配線の平均厚みH1よりも大きい平均厚みH2を有する複数本の第2配線15とを有する。上記第1配線13の平均厚みH1に対する上記第2配線15の平均厚みH2の比率は、1.5以上50以下である。
【0034】
(第1配線)
第1配線13は、ベースフィルム3の表面側に積層される第1導電性下地層13aと、第1導電性下地層13aのベースフィルム3と反対の側(表面側)に積層される第1めっき層13bとを有する。第1配線13としては、例えば信号を送るための信号線、電力供給用の電流を送るための電流線、磁界発生用の電流を送るための電流線等が挙げられる。
【0035】
第1導電性下地層13aの形成材料としては、例えば銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、これらの合金、ステンレス鋼等が挙げられる。これら形成材料については、ベースフィルム3に対する第1配線13の密着力の熱劣化を抑制する点で、第1導電性下地層13が、ベースフィルム3(例えばポリイミド)と接する側に、上記ニッケル、クロム、チタン及び銀よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する層(第1層)を含むことが好ましい。さらに、第1導電性下地層13aが、除去が容易で絶縁性を保つことが容易なニッケル及びクロムから選択される少なくとも1種を含有する層(第1層)を含むことがより好ましい。また、第1導電性下地層13aが、この第1層の上側(ベースフィルム3とは反対の側)に、銅を主成分とする層(第2層)を含むことがより好ましい。この銅を主成分とする層が配置されることにより、電気めっきにより第1配線13を形成する際に作業の短時間化が可能となる。
【0036】
例えば、上記第1層の平均厚みの下限としては、1nmが好ましく、2nmがより好ましい。上記第1層の平均厚みの上限としては、15nmが好ましく、8nmがより好ましい。上記平均厚みが上記下限に満たない場合、ベースフィルム3に対する第1配線13の密着力の熱劣化を抑制することが困難になるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超える場合、上記第1層が容易に除去され難くなり、第1配線13間の絶縁性を十分に保つことができないおそれがある。なお、この第1層は、スパッタ法、電気めっき法、無電解めっき法等によって形成され得る。
【0037】
例えば、上記第2層の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましい。上記第2層の平均厚みの上限としては、2μmが好ましく、1μmがより好ましい。上記平均厚みが上記下限に満たない場合、電気めっきによって配線11を形成する時間が過度に長くなるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超える場合、上記第2層が容易に除去され難くなり、第1配線13間の絶縁性を十分に保つことができないおそれがある。なお、この第2層は、スパッタ法、電気めっき法、無電解めっき法等によって形成されることが好ましく、これらを組み合わせて形成されてもよい。特に、第1導電性下地層13aの最上面側に無電解銅めっき層が配置されることが好ましく、これにより、それよりも内層がスパッタ法で形成された場合に、このスパッタ法によって生じ得る欠陥等をカバーすることができる。
【0038】
第1めっき層13bを形成するための第1金属材料としては、例えば銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、これらの合金等が挙げられる。これらの中で、導電性を良好なものとする観点及びコストを低減する観点から銅又は銅合金が好ましい。例えば第1めっき層13bは、ベースフィルム3に垂直な方向に視て、第1導電性下地層13aと同じ形状に形成される。
【0039】
第1めっき層13bは第1導電性下地層13aよりも遥かに厚いため、第1配線13の厚みは、主に第1めっき層13bの厚みによって決定され得る。
【0040】
第1配線13の平均厚みH1は、この第1配線13の平均厚みH1に対する第2配線15の平均厚みH2の比率が1.5以上50以下となるように適宜設定され得る。例えば第1配線13の平均厚みH1の下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。第1配線13の平均厚みH1の上限としては、30μmが好ましく、25μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。上記平均厚みH1が上記下限に満たない場合、第1配線13の機械的強度が不足するおそれがある。また第1配線13の電気抵抗が過度に大きくなり、所定の電流を流すことができないおそれがある。一方、上記平均厚みH1が上記上限を超える場合、第1配線13を形成するために線幅を大きくする必要が生じ、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。「平均厚み」は、当該配線板10の断面をミクロトーム等の断面加工装置で露出させ、各第1配線13において、任意の十点の断面観察による厚みを測定し、測定結果の平均値を算出することによって各第1配線13ごとに得られる。なお、以下において他の部材等の「平均厚み」も、これと同様に測定される値である。
【0041】
第1配線13の最小線幅(不図示)に対する平均厚みH1の比率(アスペクト比)の下限としては、0.3が好ましく、0.5が好ましく、0.7がより好ましい。上記比率の上限としては、5が好ましく、2がより好ましく、1.0がさらに好ましい。上記比率が上記下限に満たない場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。一方、上記比率が上記上限を超える場合にも、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。また、当該配線板10の可撓性が低下し、曲げ加工時に割れるなどの恐れがある。「最小線幅」は、当該配線板10の断面をミクロトーム等の断面加工装置で露出させ、各第1配線13における最も幅の小さい部分の長さを測定可能な顕微鏡等によって各第1配線13ごとに測定される値である。ただし、この「最小線幅」は、第1配線13の欠陥領域を除いた領域における最も幅の小さい部分の長さである。ここで、測定から除くべき欠陥領域は、上記のように顕微鏡観察を行ったとき、幅方向の少なくとも一方の端縁から内側に凹んだ(欠損した)ような領域である。この欠陥領域は、具体的には、幅方向の最深部が第1配線13の長手方向における(上記欠陥領域以外の)他の領域の平均線幅に対して1/4以上の長さ(幅を)を有するような領域である。上記平均線幅は、後述する「平均線幅」の測定方法と同様に測定される。なお、以下において他の部材等の「最小線幅」も、これと同様に測定される値である。
【0042】
第1配線13の最小線幅は、例えば上記アスペクト比を満たすように適宜設定され得る。例えば第1配線13の最小線幅の下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。第1配線13の最小線幅の上限としては、30μmが好ましく、25μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。上記最小線幅が上記下限に満たない場合、第1配線13の機械的強度が不足するおそれがある。一方、上記最小線幅が上記上限を超える場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。
【0043】
複数の第1配線13が互いに隣接して配置される場合、第1配線13の平均線幅L1の下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。第1配線13の平均線幅L1の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。第1配線13の平均線幅L1が上記下限に満たない場合、機械的強度が不足するおそれがある。一方、第1配線13の平均線幅L1が上記上限を超える場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。「平均線幅」は当該配線板10の断面をミクロトーム等の断面加工装置で露出させ、各第1配線13における最も幅の大きい部分の長さを測定可能な顕微鏡等によって測定し、それらの平均値として算出される値である。なお、以下において他の部材等の「平均線幅」も、これと同様に測定される値である。
【0044】
複数の第1配線13が互いに隣接して配置される場合、第1配線13の平均間隔S1の下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。第1配線13の平均間隔S1の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。第1配線13の平均間隔S1が上記下限に満たない場合、短絡が発生するおそれがある。一方、第1配線13の平均間隔S1が上記上限を超える場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。「平均間隔」は、当該配線板10の断面をミクロトーム等の断面加工装置で露出させ、各第1配線13間の隙間における最も間隔の小さい部分の長さを測定可能な顕微鏡等によって測定し、それらの平均値として算出される値である。なお、以下において他の部材等の「平均間隔」についても、これと同様に測定される。
【0045】
第1配線13の厚さ方向の最小断面積は、この第1配線13の厚さ方向の最小断面積に対する第2配線15の厚さ方向の最小断面積の比率(第2配線15の最小断面積/第1配線13の最小断面積)が所定の範囲であるように、適宜設定され得る。この比率の下限としては、例えば0.5が好ましく、0.7がより好ましい。上記比率の上限としては、200が好ましく、20がより好ましく、5がさらに好ましい。上記比率が上記下限に満たない場合、第1配線13の線幅が相対的に大きくなり過ぎて、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。一方、上記比率が上記上限を超える場合、第2配線15の線幅や間隔が相対的に大きくなり過ぎて、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。「最小断面積」は、上記平均厚みH1と上記最小線幅との積によって算出される。なお、以下において他の部材等の「最小断面積」も、これと同様に測定される値である。
【0046】
(第2配線)
第2配線15は、ベースフィルム3の表面側に積層される薄い第2導電性下地層15aと、第2導電性下地層15aのベースフィルム3と反対の側(表面側)に積層される第2めっき層15bと、第2導電性下地層15a及び第2めっき層15bを覆うようにベーススフィルム3に積層される第3めっき層15cとを有する。第2配線15としては、例えば接続デバイスの作動電源線や、グランド線等が挙げられる。
【0047】
第2導電性下地層15aの形成材料としては、上述した第1導電性下地層13aの形成材料と同種のものが挙げられる。第2導電性下地層15aの平均厚みは、上述した第1導電性下地層13aの平均厚みと同様の厚みに設定される。
【0048】
第2めっき層15bは、上述した第1配線13の第1めっき層13bを形成するための第1金属材料を用いて第1めっき層13bと共に形成される。すなわち、第2めっき層15bを形成するための金属材料は、上述した第1金属材料である。例えば第2めっき層13bは、ベースフィルム3に垂直な方向に視て、第2導電性下地層15aと同じ形状に形成される。
【0049】
第3めっき層15cを形成するための第2金属材料としては、例えば銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、これらの合金等が挙げられる。これらの中で、導電性を良好なものとする観点及びコストを低減する観点から銅又は銅合金が好ましい。第2金属材料としては、上述した第1金属材料と同種のものが好ましい。例えば第3めっき層15cは、ベースフィルム3に垂直な方向に視て、第2導電性下地層15a及び第2めっき層15bよりも大きな線幅を有する形状に形成される。
【0050】
第2めっき層15b及び第3めっき層15cは、第2導電性下地層15aよりも遥かに厚いため、第2配線15の厚みは、主に第2めっき層15b及び第3めっき層15cの厚みによって決定され得る。
【0051】
第2配線15の平均厚みH2は、上述した第1配線13の平均厚みH1に対する第2配線15の平均厚みH2の比率が1.5以上50以下となるように適宜設定され得る。例えば第2配線15の平均厚みH2の下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。第2配線15の平均厚みH2の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。上記平均厚みH2が上記下限に満たない場合、第2配線15の機械的強度が不足するおそれがある。また、第2配線15の電気抵抗が過度に大きくなり、所定の電流を流すことができないおそれがある。一方、上記平均厚みH2が上記上限を超える場合、第2配線15を形成するために線幅を大きくする必要が生じ、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。
【0052】
第2配線15の最小線幅(不図示)に対する平均厚みH2の比率(アスペクト比)の下限としては、0.5が好ましく、1がより好ましく、2がさらに好ましい。上記比率の上限としては、10が好ましく、7がより好ましく、5がさらに好ましい。上記比率が上記下限に満たない場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。一方、上記比率が上記上限を超える場合にも、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。
【0053】
第2配線15の最小線幅は、例えば上記アスペクト比を満たすように適宜設定され得る。例えば第2配線15の最小線幅の下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。第2配線15の最小線幅の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。上記最小線幅が上記下限に満たない場合、第2配線15の機械的強度が不足するおそれがある。一方、上記最小線幅が上記上限を超える場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。また、当該配線板10の可撓性が低下し、曲げ加工時に割れ等が生じるおそれがある。
【0054】
複数の第2配線15が互いに隣接して配置される場合、第2配線15の平均線幅L2の下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。第2配線15の平均線幅L2の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。第2配線15の平均線幅L2が上記下限に満たない場合、第2配線15の機械的強度が不足するおそれがある。一方、第2配線15の平均線幅L2が上記上限を超える場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。
図1に示す態様では、第2配線15の平均線幅L2が第1配線13の平均線幅L1よりも大きいように設定される。
【0055】
複数の第2配線15が互いに隣接して配置される場合、第2配線15の平均間隔S2の下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。第2配線15の平均間隔S2の上限としては、100μmが好ましく、75μmがより好ましく、50μmがさらに好ましい。第2配線15の平均間隔S2が上記下限に満たない場合、短絡が発生するおそれがある。一方、第2配線15の平均間隔S2が上記上限を超える場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。
図1に示す態様では、第2配線15の平均間隔S2が第1配線13の平均間隔S1と同じであるように設定される。
【0056】
第2配線15の厚み方向の最小断面積は、上述したように、第1配線13の厚み方向の最小断面積に対する第2配線15の最小断面積の比率が上記所定の範囲であるように、適宜設定され得る。
【0057】
(第1配線の平均厚みに対する第2配線の平均厚みの比率)
第1配線13の平均厚みH1に対する上記第2配線15の平均厚みH2の比率の下限としては、上述したように1.5であり、さらに2が好ましく、3がより好ましい。上記比率の上限としては、上述したように50であり、さらに20が好ましく、5がより好ましい。上記比率が上記下限に満たない場合、配線全体の電気抵抗を小さくすることができないおそれがある。加えて、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。一方、上記比率が上記上限を超える場合にも、十分な省スペースを図ることができないおそれがある。
【0058】
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板10は、第1配線13の平均厚みH1に対する第2配線15の平均厚みH2の比率が1.5以上50以下であることで、同じ線幅で比較して、第2配線15の電気抵抗を第1配線13の電気抵抗よりも小さくすることができる。加えて、同じ電気抵抗で比較して、第2配線15の線幅を第1配線13の線幅よりも小さくすることができる。よって、当該フレキシブルプリント配線板10は、配線全体の電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができる。
【0059】
[プリント配線板の製造方法]
次に、本実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法について、当該フレキシブルプリント配線板10を用いて説明する。
【0060】
当該フレキシブルプリント配線板10の製造方法は、第1レジストパターンR1を用い、一方の面側(表面側)に導電性下地層Mが積層されたベースフィルム3の上記導電性下地層M上に第1金属材料を電気めっきすることにより、複数本の第1めっき体X1及び第2めっき体X2を形成する第1めっき工程と、上記第1めっき工程の後、上記第1レジストパターンR1及び上記導電性下地層層Mにおける上記第1めっき体X1及び第2めっき体X2の非積層領域を除去する第1除去工程と、上記第1除去工程の後、第2レジストパターンR2を用い、上記第2めっき体X2に上記第2金属材料を電気めっきすることにより、第3めっき体X3を形成する第2めっき工程と、上記第2めっき工程の後、上記第2レジストパターンR2を除去する第2除去工程とを備える。第1配線11が、導電性下地層Mの一部(第1導電性下地層13a)及び第1めっき体X1を有する第1積層体として形成される。第2配線15が、導電性下地層Mの他の一部(第2導電性下地層15a)、第2めっき体X2及び第3めっき体X3を有する第2積層体として形成される。
【0061】
<導電性下地層>
導電性下地層Mは、ベースフィルム3の表面側に積層される。この導電性下地層Mは、予めベースフィルム3の表面側の全面に積層されたものを用いる。導電性下地層Mの一部が、最終的に第1配線13における第1導電性下地層13aとなり、導電性下地層Mの他の一部が、最終的に第2配線15における第2導電性下地層15aとなる。
【0062】
導電性下地層Mの形成材料としては、例えば銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、これらの合金、ステンレス鋼等が挙げられる。これら形成材料については、ベースフィルム3に対する第1配線13及び第2配線15の密着力の熱劣化を抑制する点で、導電性下地層Mが、ベースフィルム3(例えばポリイミド)と接する側に、上記ニッケル、クロム、チタン及び銀よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する層(第1層)を含むことが好ましい。さらに、導電性下地層Mが、除去が容易で絶縁性を保つことが容易なニッケル及びクロムから選択される少なくとも1種を含有する層(第1層)を含むことがより好ましい。また、導電性下地層Mが、この第1層の上側(ベースフィルム3とは反対の側)に、銅を主成分とする層(第2層)を含むことがより好ましい。この銅を主成分とする層が配置されることにより、電気めっきにより第1配線13及び第2配線15を形成する際に作業の短時間化が可能となる。
【0063】
例えば、上記第1層の平均厚みの下限としては、1nmが好ましく、2nmがより好ましい。上記第1層の平均厚みの上限としては、15nmが好ましく、8nmがより好ましい。上記平均厚みが上記下限に満たない場合、ベースフィルム3に対する第1配線13及び第2配線15の密着力の熱劣化を抑制することが困難になるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超える場合、上記第1層が容易に除去され難くなり、第1配線13及び第2配線15の各配線間の絶縁性を十分に保つことができないおそれがある。なお、この第1層は、スパッタ法、電気めっき法、無電解めっき法等によって形成され得る。
【0064】
例えば、上記第2層の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましい。上記第2層の平均厚みの上限としては、2μmが好ましく、1μmがより好ましい。上記平均厚みが上記下限に満たない場合、電気めっきによって配線11を形成する時間が過度に長くなるおそれがある。一方、上記平均厚みが上記上限を超える場合、上記第2層が容易に除去され難くなり、第1配線13及び第2配線15の各配線間の絶縁性を十分に保つことができないおそれがある。なお、この第2層は、スパッタ法、電気めっき法、無電解めっき法等によって形成されることが好ましく、これらを組み合わせて形成されてもよい。特に、導電性下地層Mの最上面側に無電解銅めっき層が配置されることが好ましく、これにより、それよりも内層がスパッタ法で形成された場合に、このスパッタ法によって生じ得る欠陥等をカバーすることができる。
【0065】
<第1めっき工程>
本工程は、導電性下地層層Mの表面に第1レジストパターンR1を形成する第1レジストパターン形成工程と、形成された第1レジストパターンR1を用いて導電性下地層M上に第1金属材料を電気めっきすることにより第1めっき体X1及び第2めっき体X2を形成する第1及び第2めっき体形成工程とを有する。
【0066】
(第1レジストパターン形成工程)
本工程では、
図2に示すように第1レジストパターンR1を導電性下地層Mの表面に形成する。具体的には導電性下地層Mの表面に感光性フィルム等のレジスト膜を積層し、積層されたレジスト膜を露光及び現像することにより、所定のパターンを有する第1レジストパターンR1を形成する。上記レジスト膜の積層方法としては、例えばレジスト組成物を導電性下地層Mの表面に塗工する方法、ドライフィルムフォトレジストを導電性下地層Mの表面に積層する方法等が挙げられる。レジスト膜の露光及び現像条件は、用いるレジスト組成物等に応じて適宜調節可能である。第1レジストパターンR1の開口部は、形成すべき第1めっき体X1及び第2めっき体X2、すなわち形成すべき第1配線13の第1めっき層13b及び第2配線15の第2めっき層15bに応じて適宜設定され得る。
【0067】
(第1及び第2めっき体形成工程)
本工程では、導電性下地層Mに通電しつつ上記第1金属材料を電気めっきすることにより、
図3に示すように導電性下地層Mにおける第1レジストパターンR1の非積層領域に複数本の第1めっき体X1及び第2めっき体X2を形成する。複数本の第1めっき体X1及び第2めっき体X2は、厚みが同じであること以外は、任意に設定される。第1めっき体X1及び第2めっき体の形状は、特に限定されず、例えば横断面形状が矩形状に設定されえる。
【0068】
<第1除去工程>
本工程は、導電性下地層層Mから第1レジストパターンR1を剥離する第1剥離工程と、導電性下地層層Mにおける第1めっき体X1及び第2めっき体X2の非積層領域(不要領域)をエッチングする第1エッチング工程とを有する。
【0069】
(第1剥離工程)
本工程では、導電性下地層層Mから第1レジストパターンR1を剥離する。この剥離液としては、公知のものを用いることができ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性水溶液、アルキルベンゼンスルホン酸等の有機酸系溶液、エタノールアミン等の有機アミン類と極性溶剤との混合液等が挙げられる。
【0070】
(第1エッチング工程)
本工程では、第1めっき体X1及び第2めっき体X2をマスクとして上記導電性下地層Mをエッチングする。このエッチングにより、
図4に示すようにベースフィルム3に第1導電性下地層13aを介して第1めっき体X1が積層された積層体、及びベースフィルム3に第2導電性下地層15aを介して第2めっき体X2が積層された積層体が得られる。上記エッチングには導電性下地層Mを形成する金属を浸食するエッチング液が使用される。当該製造方法においては、このように、いわゆるセミアディティブ法が好適に用いられる。
【0071】
<第2めっき工程>
第2めっき工程は、上述した第1除去工程の後、露出したベースフィルム3及び第1めっき体X1を覆うように第2レジストパターンR2を形成する工程と、形成された第2レジストパターンR2を用いて第2めっき体X2に上記第2金属材料を電気めっきすることにより第3めっき体X3を形成する第3めっき体形成工程とを有する。
【0072】
(第2レジストパターン形成工程)
本工程では、
図5に示すように、露出しているベースフィルム3、第1導電性下地層13a、第1めっき体X1、第2導電性下地層15a及び第2めっき体X2の全体を覆うように感光性フィルム等のレジスト膜を積層し、積層されたレジスト膜における第2めっき体X2と重なる領域を露光及び現像することにより、所定のパターンを有する第2レジストパターンR2を形成する。上記レジスト膜の積層方法及としては、例えばレジスト組成物を、上記全体を覆うように塗工する方法、ドライフィルムフォトレジストを上記全体に積層する方法等が挙げられる。レジスト膜の露光及び現像条件は、用いるレジスト組成物等に応じて適宜調節可能である。第2レジストパターンR2の開口部は、この開口部に第2めっき体X2が形成されるよう、かつ形成すべき第3めっき体X3、すなわち第2配線15の第3めっき層15cに応じて、適宜設定され得る。第2レジストパターンR2の高さは、第2配線15の第3めっき層15cの高さに応じて、適宜設定され得る。
【0073】
(第3めっき体形成工程)
本工程では、第1めっき体X1及び第2めっき体X2に通電しつつ上記第2金属材料を電気めっきすることにより、
図6に示すように、第2レジストパターンR2の非積層領域に、第2導電性下地層15a及び第2めっき体X2を覆うように第3めっき体X3を形成する。
【0074】
<第2除去工程>
本工程では、ベースフィルム3から第2レジストパターンR2を除去する。具体的には、ベースフィルム3から第2レジストパターンR2を剥離する。この剥離液としては、上述した第1剥離工程で用いたものと同様のものを用いることができる。この剥離により、
図6を参照して
図1に示すように、ベースフィルム3に第1導電性下地層13a及び第1めっき体X1(第1めっき層13bに相当する)が積層されて形成される第1積層体(第1配線13に相当する)と、ベースフィルム3に第2導電性下地層15a、第2めっき体X2(第2めっき層15bに相当する)及び第3めっき体X3(第3めっき層15cに相当する)が積層されて形成される第2積層体(第2配線15に相当する)とが得られる。
【0075】
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板10の製造方法によれば、上述した当該フレキシブルプリント配線板10を製造することができる。すなわち、配線全体の電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができるフレキシブルプリント配線板10を製造することができる。
【0076】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態のフレキシブルプリント配線板及びその製造方法について説明する。第一実施形態と共通する構成には共通する符号を付して説明を省略する。
【0077】
〔フレキシブルプリント配線板〕
図7に示すように、本実施形態のフレキシブルプリント配線板20は、絶縁性を有するベースフィルム3と、上記ベースフィルム3の一方の面側(表面側)に積層される複数本の配線21とを主に備える。当該フレキシブルプリント配線板20は、ベースフィルム3又は配線21の表面側にカバーフィルムをさらに備えてもよい。
【0078】
<複数の配線>
複数の配線21は、ベースフィルム3の表面側に直接又は他の層を介して積層される。複数の配線21は、同一面内(ここでは上記表面側の同一面内)に、1本又は複数本の第1配線23と、これら第1配線23の平均厚みH11よりも大きい平均厚みH21を有する1本又は複数本の第2配線25とを有する。上記第1配線23の平均厚みH11に対する上記第2配線25の平均厚みH21の比率は、1.5以上50以下である。
【0079】
(第1配線)
第1配線23としては、上述した第一実施形態の第1配線13と同様の構成を採用することができる。よって、第1配線23の詳細な説明を省略する。すなわち、第1配線23は、第1配線13の第1導電性下地層13a及び第1めっき層13bと同様の第3導電性下地層23a及び第4めっき層23bを有する。第3導電性下地層23aの形成材料としては、上述した第一実施形態の第1導電性下地層13aの形成材料と同様のものを用いることができる。第4めっき層23bを形成するための第3金属材料としては、上述した第1実施形態の第1めっき層13bを形成するための第1金属材料と同様のものを用いることができる。
【0080】
第1配線23の平均厚みH11、最小線幅(不図示)に対する平均厚みH11の比率、最小線幅、平均線幅L11、平均間隔S11、厚み方向の最小断面積等は、上述した第一実施形態の第1配線13と同様に設定することができる。
【0081】
(第2配線)
第2配線25は、ベースフィルム3の表面側に積層された薄い第4導電性下地層25aと、第4導電性下地層25aのベースフィルム3と反対の側(表面側)に積層される第5めっき層25bとを有する。第2配線25としては、例えば接続デバイスの作動電源線や、グランド線等が挙げられる。
【0082】
第4導電性下地層25aの線幅及び間隔は、第1配線23の第3導電性下地層23aよりも大きく形成されている。それ以外の第4導電性下地層25aの構成は、上述した第一実施形態の第2配線15の第2導電性下地層15aと同様の構成を採用することができる。よって、その他の第2導電性下地層線25aの詳細な説明を省略する。すなわち、第4導線性下地層25aは、後述する導電性下地層M(例えば
図8参照)における第3導電性下地層23aが形成される領域以外の一部によって形成される。第4導電性下地層25aの形成材料としては、第3導電性下地層23aの形成材料と同種のものが好ましい。
【0083】
第5めっき層25bを形成するための第4金属材料としては、上述した第一実施形態の第1めっき層13bを形成するための第1金属材料と同様のものが挙げられる。第4金属材料としては、第1配線23の第4めっき層23bを形成するための第3金属材料と同種のものが好ましい。例えば第5めっき層25bは、ベースフィルム3に垂直な方向に視て、第4導電性下地層25aと同じ形状に形成される。
【0084】
第5めっき層25bは、第4導電性下地層25aよりも遥かに厚いため、第2配線25の厚みは、主に第5めっき層25bの厚みによって決定され得る。
【0085】
第2配線25の平均厚みH21、最大線幅(不図示)に対する平均厚みH21の比率、最小線幅、平均線幅L21、平均間隔S21、厚み方向の最小断面積等は、上述した第一実施形態の第2配線15と同様に設定することができる。
【0086】
(第1配線の平均厚みに対する第2配線の平均厚み)
第1配線23の平均厚みH11に対する上記第2配線25の平均厚みH21の比率の下限としては、上述したように1.5であり、さらに2が好ましく、3がより好ましい。上記比率の上限としては、上述したように50であり、さらに20が好ましく、5がより好ましい。上記比率が上記下限に満たない場合、十分な省スペース化を図ることができないおそれがある。一方、上記比率が上記上限を超える場合にも、十分な省スペースを図ることができないおそれがある。また、当該配線板20の可撓性が低下し、曲げ加工時に割れ等が発生するおそれがある。
【0087】
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板20は、第1配線23の平均厚みH11に対する第2配線25の平均厚みH21の比率が1.5以上50以下であることで、同じ線幅で比較して、第2配線25の電気抵抗を第1配線23の電気抵抗よりも小さくすることができる。加えて、同じ電気抵抗で比較して、第2配線25の線幅を第1配線23の線幅よりも小さくすることができる。よって、当該フレキシブルプリント配線板20は、配線全体の電気抵抗が小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることができる。
【0088】
[プリント配線板の製造方法]
次に、本実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法について、当該フレキシブルプリント配線板20を用いて説明する。
【0089】
当該フレキシブルプリント配線板20の製造方法は、第3レジストパターンR3を用い、一方の面側(表面側)に導電性下地層Mが積層されたベースフィルム3の上記導電性下地層M上に第3金属材料を電気めっきすることにより、複数本の第4めっき体X4を形成する第3めっき工程と、上記第3めっき工程の後、上記第3レジストパターンR3を除去する第3除去工程と、上記第3除去工程の後、第4レジストパターンR4を用い、上記導電性下地層M上における上記第4めっき体X4の非積層領域に第4金属材料を電気めっきすることにより、上記第4めっき体X4よりも平均厚みが大きい複数本の第5めっき体X5を形成する第4めっき工程と、上記第4めっき工程の後、上記第4レジストパターンR4、並びに上記導電性下地層Mにおける上記第4めっき体X4及び第5めっき体5の非積層領域を除去する第4除去工程とを備える。第1配線21が、導電性下地層Mの一部である第3導電性下地体M3及び第4めっき体X4を有する第3積層体として形成される。第2配線25が、導電性下地層Mの他の一部である第4導電性下地体M4及び第5めっき体X5を有する第4積層体として形成される。
【0090】
<導電性下地層>
導電性下地層Mとしては、上記第一実施形態で用いたものと同じである。よって、導電性下地層Mの詳細な説明を省略する。
【0091】
<第3めっき工程>
本工程は、導電性下地層Mの表面に第3レジストパターンR3を形成する第3レジストパターン形成工程と、形成された第3レジストパターンR3を用いて導電性下地層M上に第3金属材料を電気めっきすることにより第4めっき体X4を形成する第4めっき体形成工程とを有する。
【0092】
(第3レジストパターン形成工程)
本工程では、
図8に示すように第3レジストパターンR3を導電性下地層Mの表面に形成する。具体的には、第一実施形態の第1レジストパターン形成工程と同様にして、所定のパターンを有する第3レジストパターンR3を形成する。第3レジストパターンR3の開口部は、形成すべき第4めっき体X4、すなわち形成すべき第1配線23の第4めっき層23bに応じて適宜設定され得る。第3レジストパターンR3の開口部は、導電性下地層上に第2配線25の形成スペースが残るように適宜設定され得る。
【0093】
(第4めっき体形成工程)
本工程では、導電性下地層Mに通電しつつ上記第3金属材料を電気めっきすることにより、
図9に示すように導電性下地層Mにおける第3レジストパターンR3の非積層領域に第4めっき体X4を形成する。
【0094】
<第3除去工程>
本工程では、導電性下地層Mから第3レジストパターンR3を除去する。具体的には、導電性下地層Mから第3レジストパターンR3を剥離する。この剥離液としては、第一実施形態の第1剥離工程で用いる剥離液と同様のものが挙げられる。この除去により、
図10に示すように導電性下地層M上に第4めっき体X4が積層された積層体が得られる。
【0095】
<第4めっき工程>
本工程は、上述した第3除去工程の後、露出した導電性下地層M及び第4めっき体X4を覆うように第4レジストパターンR4を形成する工程と、形成された第4レジストパターンR4を用いて第4金属材料を電気めっきすることにより第5めっき体X5を形成する第5めっき体形成工程とを有する。
【0096】
(第4レジストパターン形成工程)
本工程では、
図11に示すように第4レジストパターンR4を、露出している導電性下地層Mに形成する。具体的には露出している導電性下地層M及び第4めっき体X4の全体を覆うよう感光性フィルム等のレジスト膜を積層し、積層されたレジスト膜における第4めっき体X4の非積層領域を露光及び現像することにより、所定のパターンを有する第4レジストパターンR4を形成する。上記レジスト膜の積層方法及としては、上述した第一実施形態の第1レジストパターン形成方法と同様の方法を採用することができる。第4レジストパターンR4の開口部は、形成すべき第5めっき体X5、すなわち第2配線25の第5めっき層25bに応じて適宜設定され得る。第4レジストパターンR4の高さは、第3レジストパターンR3よりも大きな高さとなるよう、かつ第2配線25の第5めっき層25bの高さに応じて、適宜設定され得る。
【0097】
(第5めっき体形成工程)
本工程では、導電性下地層Mに通電しつつ上記第4金属材料を電気メッキすることにより、
図12に示すように導電性下地層Mにおける第4めっき体X4の非積層領域に、上記第4めっき体X4よりも平均厚みが大きい第5めっき体X5を形成する。
【0098】
<第4除去工程>
本工程は、導電性下地層Mから第4レジストパターンR4を剥離する第2剥離工程と、導電性下地層層Mにおける第4めっき体X4及び第5めっき体X5の非積層領域(不要領域)をエッチングする第2エッチング工程とを有する。
【0099】
(第2剥離工程)
本工程では、導電性下地層層Mから第4レジストパターンR4を剥離する。この剥離液としては、上述した第一実施形態の第1剥離工程で用いる剥離液と同様のものが挙げられる。
【0100】
(第2エッチング工程)
本工程では、第4めっき体X4及び第5めっき体X5をマスクとして上記導電性下地層Mをエッチングする。このエッチングにより、
図12を参照して
図7に示すように、ベースフィルム3に導電性下地層Mの一部である第3導電性下地体M3(第3導電性下地層23aに相当する)及び第4めっき体X4(第4めっき層23bに相当する)が積層された第3積層体(第1配線23に相当する)と、ベースフィルム3に導電性下地層Mの他の一部である第4導電性下地層M4(第4導電性下地層25aに相当する)及び第5めっき体X5(第5めっき層25b)が積層された第4積層体(第2配線25に相当する)が得られる。上記エッチングには導電性下地層Mを形成する金属を浸食するエッチング液が使用される。
【0101】
<利点>
当該フレキシブルプリント配線板20の製造方法によれば、上述した当該フレキシブルプリント配線板20を製造することができる。すなわち、配線全体の電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることもできるフレキシブルプリント配線板20を製造することができる。
【0102】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0103】
上記実施形態では、単一のベースフィルムと、このベースフィルムの一方の面に積層された複数の配線を有するフレキシブルプリント配線板について説明したが、当該フレキシブルプリント配線板は、単一のベースフィルムの両面に複数の配線が積層されたものであってもよい。また、当該フレキシブルプリント配線板は、複数のベースフィルムを有し、各ベースフィルムが一方の面又は両面に複数の配線を有する多層プリント配線板であってもよい。
【0104】
上記実施形態では、複数本の配線が複数本の第1配線及び第2配線を有する場合について説明したが、複数の配線が、1本の第1配線及び1本の第2配線を有するものであってもよく、1本の第1配線及び複数本の第2配線を有するものであってよく、複数本の第1配線及び1本の第2配線を有するものであってもよい。
【0105】
上記第一実施形態では、第1配線13の第1めっき層13bの厚みが第2配線の第2めっき層15bの厚みと同じである場合について説明したが、これらの厚みが異なってもよい。
【0106】
上記第一実施形態では、第2配線15の線幅が第1配線13よりも大きい場合について説明したが、第2配線15の線幅が第1配線13と同じであってもよく、第1配線13よりも小さくてもよい。
【0107】
上記第一実施形態では、第1配線13の第1導電性下地体13aと第1めっき層13bとが同じ形状に形成される場合について説明したが、これらの形状が異なってもよい。また、第2配線15の第2導電性下地体15aと第2めっき層15bとが同じ形状に形成される場合について説明したが、これらの形状が異なってもよい。
【0108】
上記第一実施形態の第2めっき工程では、第2レジストパターンR2が全ての第1めっき体X1に加えて全ての第2めっき体X2同士の間をマスクする場合について説明したが、その他、第2レジストパターンとして、全ての第1めっき体X1のみをマスクし、第2めっき体X2の間をマスクしないものを用いることもできる。
【0109】
上記第二実施形態では、第1配線23の第3導電性下地層23aと第4めっき層23bとが同じ形状に形成される場合について説明したが、これらの形状が異なってもよい。また、第2配線25の第4導電性下地層25aと第5めっき層25bとが同じ形状に形成される場合について説明したが、これらの形状が異なってもよい。
【0110】
上記第一及び第二実施形態では、第2配線の平均線幅が第1配線の平均線幅よりも大きい場合について説明したが、第2配線の平均線幅が第1配線の平均線幅と同じであってもよく、第1配線の平均線幅よりも小さくてもよい。
【0111】
上記第一及び第二実施形態では、第2配線の平均間隔が第1配線の平均間隔と同じ場合について説明したが、第2配線の平均間隔が第1配線の平均間隔と異なってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本開示の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板、及びその製造方法によって製造されるフレキシブルプリント配線板は、配線全体の電気抵抗を小さくすることができ、かつ省スペース化を図ることもできる。従って、小型の電子機器等に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0113】
10、20 フレキシブルプリント配線板
3 ベースフィルム
11、21 配線
13、23 第1配線
13a 第1導電性下地層
13b 第1めっき層
15、25 第2配線
15a 第2導電性下地層
15b 第2めっき層
15c 第3めっき層
23a 第3導電性下地層
23b 第4めっき層
25a 第4導電性下地層
25b 第5めっき層
H1、H11 第1配線の平均厚み
H2、H21 第2配線の平均厚み
L1、L11 第1配線の平均線幅
L2、L21 第2配線の平均線幅
S1、S11 第1配線の平均間隔
S2、S21 第2配線の平均間隔
M 導電性下地層
R1 第1レジストパターン
R2 第2レジストパターン
R3 第3レジストパターン
R4 第4レジストパターン
X1 第1めっき体
X2 第2めっき体
X3 第3めっき体
X4 第4めっき体
X5 第5めっき体