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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】無人搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023198356
(22)【出願日】2023-11-22
【審査請求日】2024-01-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 使用による公開 公開日:令和5年2月1日 公開場所:ヤマハ発動機株式会社 組立工場 5号館および7号館
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】山本 舜
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-43879(JP,A)
【文献】特開2021-42020(JP,A)
【文献】特開平2-307105(JP,A)
【文献】特開2020-152566(JP,A)
【文献】特開2019-69737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備と無人搬送車とを備え、前記無人搬送車の側面が前記設備の正面と向かい合うように前記設備の手前に停止した前記無人搬送車と前記設備との間で物品の受け渡しを行う無人搬送システムであって、
前記設備は、
前記設備の前後方向および左右方向に移動可能に構成され、前記設備と前記無人搬送車との間で物品を移動させる移載装置と、
前記移載装置を前記設備の前後方向に移動させる第1アクチュエータと、
前記移載装置を前記設備の左右方向に移動させる第2アクチュエータと、
前記移載装置に設けられ、前記設備の前後方向の前方を向いた第1接触面を有する第1接触部材と、
前記移載装置に設けられ、前記設備の左右方向の左方または右方を向いた第2接触面を有する第2接触部材と、
前記第1アクチュエータを駆動して前記移載装置を前記設備の前後方向の前方に移動させ、前記第1接触面が前記無人搬送車に接触すると前記第1アクチュエータを停止させる第1制御部と、前記第2アクチュエータを駆動して前記移載装置を前記設備の左右方向に移動させ、前記第2接触面が前記無人搬送車に接触すると前記第2アクチュエータを停止させる第2制御部と、を有する制御装置と、
を備えている、無人搬送システム。
【請求項2】
前記設備は、前記移載装置に対する前記無人搬送車の車両左右方向の傾斜角度を検出する傾斜角度検出装置を備え、
前記制御装置は、前記傾斜角度検出装置により検出される前記傾斜角度が予め定められた閾値以上の場合に、前記移載装置による前記物品の移載を禁止する移載禁止部を有している、請求項1に記載の無人搬送システム。
【請求項3】
前記傾斜角度検出装置は、前記無人搬送車との距離を測定する第1レーザ変位計と、前記第1レーザ変位計よりも前記設備の左右方向の右方に配置され、前記無人搬送車との距離を測定する第2レーザ変位計と、前記第1レーザ変位計および前記第2レーザ変位計により測定された距離に基づいて前記無人搬送車の車両左右方向の傾斜角度を演算する演算装置と、を有している、請求項2に記載の無人搬送システム。
【請求項4】
前記第1接触部材は、前記移載装置から前記設備の前後方向の前方に延びる棒状部材からなっている、請求項1に記載の無人搬送システム。
【請求項5】
前記第2接触部材は、前記移載装置から前記設備の前後方向の前方に延び、前記設備の前後方向および上下方向に延びる板状部材からなっている、請求項1に記載の無人搬送システム。
【請求項6】
前記無人搬送車は、
駆動輪と前記駆動輪を駆動する走行用駆動源とを有する牽引車と、
従動輪と前記物品が載置される載置部とを有する台車と、
前記牽引車と前記台車とを連結する連結装置と、を備え、
前記台車は、前記第1接触面と接触する第1被接触面と、前記第2接触面と接触する第2被接触面と、を有している、請求項1に記載の無人搬送システム。
【請求項7】
前記無人搬送車は、
駆動輪と前記駆動輪を駆動する走行用駆動源とを有する牽引車と、
従動輪と前記物品が載置される載置部とを有する台車と、
前記牽引車と前記台車とを連結する連結装置と、を備え、
前記台車は、前記第1接触面と接触する第1被接触面と、前記第2接触面と接触する第2被接触面と、を有し、
前記傾斜角度検出装置は、前記移載装置に対する前記台車の車両左右方向の傾斜角度を検出するように構成されている、請求項2に記載の無人搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備と、設備と物品の受け渡しを行う無人搬送車とを備えた無人搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場等において、一の設備から他の一の設備に物品を搬送する無人搬送車が用いられている。例えば特許文献1に、そのような設備および無人搬送車が記載されている。無人搬送車は設備に向かって走行し、設備の手前に停止した後、設備と物品の受け渡しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-147303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような無人搬送システムにおいて、無人搬送車が設備の手前で自動的に停止した後、無人搬送車の位置が設備に対してずれていると、無人搬送車と設備との間で物品の受け渡しを良好に行うことができない。
【0005】
本発明の目的は、無人搬送車と設備との間で物品の受け渡しを良好に行うことができる無人搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される無人搬送システムは、設備と無人搬送車とを備え、前記無人搬送車の側面が前記設備の正面と向かい合うように前記設備の手前に停止した前記無人搬送車と前記設備との間で物品の受け渡しを行う無人搬送システムである。前記設備は、前記設備の前後方向および左右方向に移動可能に構成され、前記設備と前記無人搬送車との間で物品を移動させる移載装置と、前記移載装置を前記設備の前後方向に移動させる第1アクチュエータと、前記移載装置を前記設備の左右方向に移動させる第2アクチュエータと、前記移載装置に設けられ、前記設備の前後方向の前方を向いた第1接触面を有する第1接触部材と、前記移載装置に設けられ、前記設備の左右方向の左方または右方を向いた第2接触面を有する第2接触部材と、制御装置と、を備えている。前記制御装置は、前記第1アクチュエータを駆動して前記移載装置を前記設備の前後方向の前方に移動させ、前記第1接触面が前記無人搬送車に接触すると前記第1アクチュエータを停止させる第1制御部と、前記第2アクチュエータを駆動して前記移載装置を前記設備の左右方向に移動させ、前記第2接触面が前記無人搬送車に接触すると前記第2アクチュエータを停止させる第2制御部とを有する。
【0007】
上記無人搬送システムによれば、第1アクチュエータが移載装置を設備の前後方向に移動させた後、第1接触部材の第1接触面が無人搬送車に接触することにより、移載装置の設備の前後方向の移動が停止する。これにより、設備の前後方向に関して、移載装置は無人搬送車に対して予め定められた所定の位置に位置付けられる。また、第2アクチュエータが移載装置を設備の左右方向に移動させた後、第2接触部材の第2接触面が無人搬送車に接触することにより、移載装置の設備の左右方向の移動が停止する。これにより、設備の左右方向に関して、移載装置は無人搬送車に対して予め定められた所定の位置に位置付けられる。このようにして、移載装置に対する無人搬送車の車両左右方向および車両前後方向の位置ずれが防止される。よって、無人搬送車と設備との間で物品を良好に受け渡しすることができる。また、上記無人搬送システムによれば、位置決めのための機構(第1アクチュエータ、第2アクチュエータ、第1接触部材、および第2接触部材)は設備に備えられているので、無人搬送車の構成を簡単化することができる。無人搬送車を軽量化またはコストダウンすることができる。
【0008】
前記設備は、前記移載装置に対する前記無人搬送車の車両左右方向の傾斜角度を検出する傾斜角度検出装置を備えていてもよい。前記制御装置は、前記傾斜角度検出装置により検出される前記傾斜角度が予め定められた閾値以上の場合に、前記移載装置による前記物品の移載を禁止する移載禁止部を有していてもよい。
【0009】
このことにより、移載装置に対する無人搬送車の車両左右方向の位置ずれがないこと、移載装置に対する無人搬送車の車両前後方向の位置ずれがないこと、および、移載装置に対して無人搬送車が傾いていないことを確認したうえで、無人搬送車と設備との物品の受け渡しを実行することができる。そのため、無人搬送車と設備との間で物品の受け渡しを良好に行うことができる。
【0010】
前記傾斜角度検出装置は、前記無人搬送車との距離を測定する第1レーザ変位計と、前記第1レーザ変位計よりも前記設備の左右方向の右方に配置され、前記無人搬送車との距離を測定する第2レーザ変位計と、前記第1レーザ変位計および前記第2レーザ変位計により測定された距離に基づいて前記無人搬送車の車両左右方向の傾斜角度を演算する演算装置と、を有していてもよい。
【0011】
このことにより、移載装置に対して無人搬送車が傾いているか否かを精度良く検出することができる。
【0012】
前記第1接触部材は、前記移載装置から前記設備の前後方向の前方に延びる棒状部材からなっていてもよい。
【0013】
このことにより、第1接触部材を簡易かつ安価に構成することができる。
【0014】
前記第2接触部材は、前記移載装置から前記設備の前後方向の前方に延び、前記設備の前後方向および上下方向に延びる板状部材からなっていてもよい。
【0015】
このことにより、第2接触部材を簡易かつ安価に構成することができる。
【0016】
前記無人搬送車は、駆動輪と前記駆動輪を駆動する走行用駆動源とを有する牽引車と、従動輪と前記物品が載置される載置部とを有する台車と、前記牽引車と前記台車とを連結する連結装置と、を備えていてもよい。前記台車は、前記第1接触面と接触する第1被接触面と、前記第2接触面と接触する第2被接触面と、を有していてもよい。
【0017】
このことにより、載置部と、第1接触面と接触する第1被接触面と、第2接触面と接触する第2被接触面とを有する車両(すなわち台車)は、位置決めのための機構が不要であると共に、走行用の駆動源が不要である。設備の移載装置に対して位置決めされる車両を軽量化またはコストダウンすることができる。
【0018】
前記無人搬送車は、駆動輪と前記駆動輪を駆動する走行用駆動源とを有する牽引車と、従動輪と前記物品が載置される載置部とを有する台車と、前記牽引車と前記台車とを連結する連結装置と、を備えていてもよい。前記台車は、前記第1接触面と接触する第1被接触面と、前記第2接触面と接触する第2被接触面と、を有していてもよい。前記傾斜角度検出装置は、前記移載装置に対する前記台車の車両左右方向の傾斜角度を検出するように構成されていてもよい。
【0019】
このことにより、載置部と、第1接触面と接触する第1被接触面と、第2接触面と接触する第2被接触面とを有する車両(すなわち台車)は、位置決めのための機構が不要であると共に、走行用の駆動源が不要である。設備の移載装置に対して位置決めされる車両を軽量化またはコストダウンすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、無人搬送車と設備との間で物品の受け渡しを良好に行うことができる無人搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る無人搬送システムの一部の平面図である。
図2】無人搬送車の左側面図である。
図3】台車の斜視図である。
図4】台車の鉛直断面図である。
図5】設備の平面図である。
図6】制御装置の機能ブロック図である。
図7】移載装置の位置決め方法のフローチャートである。
図8】無人搬送車が設備の手前に停止したときの無人搬送車および設備の平面図である。
図9】無人搬送車が傾いて停止しているときの無人搬送車および設備の平面図である。
図10】第1接触部材が台車に接触したときの無人搬送車および設備の平面図である。
図11】第2接触部材が台車に接触したときの無人搬送車および設備の平面図である。
図12】無人搬送車が設備の手前の位置に停止したときの台車の一部および設備を模式的に表す図である。
図13】幌が開いたときの台車の一部および設備を模式的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る無人搬送システム2は、工場において用いられ、複数の加工設備(以下、設備という)100と複数の無人搬送車1とを備え、無人搬送車1が一の設備100から他の一の設備100に自動的に走行し、無人搬送車1と設備100との間で物品が自動的に受け渡されるシステムである。図1は、無人搬送システム2の一部を表す平面図である。図1には、1台の無人搬送車1と1台の設備100とが図示されている。無人搬送車1は、設備100に向かって走行した後、設備100の手前に停止する。無人搬送車1は、設備100の手前において、無人搬送車1の側面が設備100の正面に対向するように停止する。
【0023】
図中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、無人搬送車1の車両前後方向の前方、車両前後方向の後方、車両左右方向の左方、車両左右方向の右方、車両上下方向の上方、車両上下方向の下方をそれぞれ表す。図中の符号X1、X2、Y1、Y2は、設備100の前後方向の前方、設備100の前後方向の後方、設備100の左右方向の左方、設備100の左右方向の右方をそれぞれ表す。図1に示すように無人搬送車1が設備100に対して傾いていない場合、設備100の前後方向の前方、後方は、それぞれ車両左右方向の右方、左方に一致し、設備100の左右方向の右方、左方は、それぞれ車両前後方向の前方、後方に一致する。設備100の上下方向の上方、下方は、それぞれ車両上下方向の上方、下方に一致する。
【0024】
以下の説明では、まず無人搬送車1の構成について説明し、その後、設備100の構成について説明する。
【0025】
図2は、無人搬送車(以下、搬送車という)1の左側面図である。搬送車1は、牽引車10と、牽引車10に牽引される台車20とを備えている。牽引車10と台車20とは、連結装置50により連結されている。本実施形態では、搬送車1は工場において、一の設備100から他の一の設備100へ製品の部品等を搬送する用途に用いられる。
【0026】
牽引車10は自律走行が可能に構成されている。すなわち、牽引車10は、自動的に走行し、自動的に左折および右折するように構成されている。牽引車10は、車体11と、左右の前輪12と、左右の後輪13と、走行用駆動源としての電動モータ14とを備えている。前輪12および/または後輪13は、電動モータ14によって駆動される駆動輪である。また、牽引車10は、運転を制御する制御装置15を備えている。なお、牽引車10は、人が乗車できないように構成されていてもよいが、本実施形態では人の乗車が可能に構成されている。本実施形態では、牽引車10は、乗員が座るシート16と、ステアリングハンドル17とを備えている。牽引車10は、制御装置15による自動運転と、シート16に座る乗員がステアリングハンドル17等を操作する手動運転との切換が可能に構成されている。自動運転が行われるとき、牽引車10は無人の自動運転車として機能する。
【0027】
図3は台車20の斜視図である。なお、符号18は牽引車10の後部を表している。図3では、牽引車10の後部18を抽出して図示している。図4は、台車20の鉛直断面図であり、図2のIV-IV線断面図である。図3に示すように、台車20は、車体21と、左右の前輪22と、左右の後輪23とを備えている。前輪22および後輪23は従動輪である。前輪22および後輪23には、駆動力は付与されない。
【0028】
台車20は、左右にそれぞれ3本の支柱26を備えている。3本の支柱26は前後方向に並んでいる。各支柱26は上下方向に延びている。台車20は、支柱26に支持された天井板27を備えている。台車20は、左右にそれぞれ2つの幌28を備えている。2つの幌28は前後方向に並んでいる。前側の幌28は、前側の支柱26と中央の支柱26との間に配置されている。後側の幌28は、中央の支柱26と後側の支柱26との間に配置されている。また、台車20は、左右の前側の支柱26に架け渡された前側カバー(図示せず)と、左右の後側の支柱26に架け渡された後側カバー25とを備えている。
【0029】
図4に示すように、台車20は、車体21に設けられた載置部24を備えている。載置部24は、搬送対象の物品が載置される部分である。載置部24は、天井板27、前側カバー、後側カバー25、左側の幌28、および右側の幌28によって覆われている。搬送車1の走行時に、載置部24に載置された物品は、天井板27、前側カバー、後側カバー25、および左右の幌28によって覆われる。そのため、搬送中の物品が雨や埃に晒されることが防止される。台車20は、可動式の幌28を備えている。
【0030】
図3に示すように、支柱26には、幌28をスライド可能に支持するスライドレール32が取り付けられている。詳しくは、前側の支柱26の後部には、前側の幌28の前縁部をスライド可能に支持するスライドレール32が取り付けられている。中央の支柱26の前部には、前側の幌28の後縁部をスライド可能に支持するスライドレール32が取り付けられている。中央の支柱26の後部には、後側の幌28の前縁部をスライド可能に支持するスライドレール32が取り付けられている。後側の支柱26の前部には、後側の幌28の後縁部をスライド可能に支持するスライドレール32が取り付けられている。
【0031】
本実施形態では、幌28は湾曲可能な可撓性を有するシート状部材により形成されている。ここでは、幌28は合成樹脂製のシートにより形成されている。ただし、幌28の材料は特に限定されない。幌28は、湾曲可能な他の材料によって形成されていてもよい。
【0032】
図4に示すように、左右の幌28の上部には、それぞれスライダ30が固定されている。スライダ30は、左右方向に延びるガイドレール33に摺動可能に係合している。スライダ30は、ガイドレール33に沿って左右方向に移動するように構成されている。左のスライダ30が右方にスライドすると、左の幌28の上部は右方に移動し、左の幌28の下部は上方に移動する。これにより、左の幌28が開かれる。右のスライダ30が左方にスライドすると、右の幌28の上部は左方に移動し、右の幌28の下部は上方に移動する。これにより、右の幌28が開かれる。スライダ30は、設備100に備えられた押込棒102(図1参照)が押し当てられる当接面34を有している。当接面34は車幅方向の外方を向いている。なお、車幅方向の外方とは、車両中心線から遠ざかる方向を言う。車幅方向の内方とは、車両中心線に近づく方向を言う。
【0033】
図1に示すように、幌28の下部には錘35が固定されている。錘35の自重により、幌28には下向きの力が加えられる。幌28は、錘35から下向きの力を受けることにより、開位置から閉位置にスライドするように構成されている。
【0034】
幌28の上方には、天井板27に接続された側板36が配置されている。側板36には、蝶番38によりシャッター37が取り付けられている。シャッター37は、車幅方向の内方に押されることにより、車幅方向の内方に向かって回転する。図4に示すように、シャッター37は、スライダ30の当接面34に対向する位置に配置されている。シャッター37と当接面34とは、左右方向に延びる同一直線上に位置している。
【0035】
本実施形態では、台車20にはモータ等の駆動装置が備えられていない。後述するように、幌28は、設備100に設けられた開閉アクチュエータ104の駆動力によって、閉位置から開位置に駆動される。また、幌28は、錘35の自重によって開位置から閉位置に移動する。台車20には、幌28を駆動する駆動装置は設けられていない。また、前述したように、前輪22および後輪23は従動輪である。台車20には、前輪22および後輪23を駆動する駆動装置は設けられていない。
【0036】
以上が搬送車1の構成である。次に、設備100の構成について説明する。
【0037】
設備100は、台車20と物品の受け渡しを行うように構成されている。図5に示すように、設備100は搬送車1との間で物品を移動させる移載装置60を備えている。移載装置60は、台車20の載置部24から物品を受け取り、また、載置部24に物品を受け渡すように構成されている。移載装置60の具体的構成は何ら限定されない。移載装置60として周知の移載装置を用いることができる。ここでは、移載装置60は、物品を支持する支持台61と、支持台61がスライド可能に係合したレール62と、支持台61を設備100の前後方向に駆動する駆動装置(図示せず)とを備えている。
【0038】
移載装置60は、設備100の前後方向および左右方向に移動可能に構成されている。なお、以下の設備100に関する説明では、設備100の前後方向、左右方向のことを、それぞれ単に前後方向、左右方向と言う場合がある。また、設備100の前後方向、左右方向のことを、それぞれ設備前後方向、設備左右方向と言う場合がある。移載装置60を前後方向および左右方向に移動可能とする構成は何ら限定されない。本実施形態では、移載装置60は複数の車輪63によって支持されている(図12参照)。移載装置60が前後方向の力を受けると車輪63が回転し、移載装置60は前後方向に移動する。移載装置60が左右方向の力を受けると車輪63が回転し、移載装置60は左右方向に移動する。図示は省略するが、設備100は、移載装置60がスライド可能に係合した前後方向に延びるレールを備えていてもよい。設備100は、移載装置60がスライド可能に係合した左右方向に延びるレールを備えていてもよい。例えば、設備100は、移載装置60を支持する第1の支持台と、第1の支持台がスライド可能に係合する第1のレールと、第1のレールを支持する第2の支持台と、第2の支持台がスライド可能に係合する第2のレールとを備え、第1のレールおよび第2のレールのいずれか一方が前後方向に延び、他方が左右方向に延びていてもよい。
【0039】
設備100は、移載装置60を前後方向に移動させる第1アクチュエータ71と、移載装置60を左右方向に移動させる第2アクチュエータ72とを備えている。第1アクチュエータ71は、移載装置60に前向きおよび後向きの力を付与するものであればよい。第2アクチュエータ72は、移載装置60に左向きおよび右向きの力を付与するものであればよい。第1アクチュエータ71および第2アクチュエータ72の種類は特に限定されない。例えば、第1アクチュエータ71および/または第2アクチュエータ72は、電動モータ、エアシリンダ、または油圧シリンダなどであってもよい。例えば、第1アクチュエータ71および第2アクチュエータ72が電動モータからなり、それら電動モータと移載装置60とが、伝動ベルト、チェーン、ギヤ、ラックアンドピニオンなどの動力伝達部材によって動力伝達可能に連結されていてもよい。
【0040】
移載装置60には、設備前後方向の前方を向いた第1接触面65aを有する第1接触部材65が設けられている。第1接触部材65は、移載装置60から設備前後方向の前方に延びる棒状部材によって形成されている。また、移載装置60には、設備左右方向の右方を向いた第2接触面66aを有する第2接触部材66が設けられている。第2接触部材66は、移載装置60から設備前後方向の前方に延びており、設備前後方向および設備上下方向に延びる板状部材によって形成されている。
【0041】
設備100は制御装置80を備えている。制御装置80はマイクロコンピュータからなっている。制御装置80は、第1アクチュエータ71および第2アクチュエータ72を制御する。制御装置80は、第1アクチュエータ71および第2アクチュエータ72を制御することにより、移載装置60の前後方向の位置および左右方向の位置を調整可能である。
【0042】
移載装置60には、第1レーザ変位計67Aおよび第2レーザ変位計67Bが設けられている。第2レーザ変位計67Bは、第1レーザ変位計67Aよりも設備100の左右方向の右方に配置されている。第1レーザ変位計67Aおよび第2レーザ変位計67Bは、移載装置60の前方の物体との距離を測定するように構成されている。搬送車1が設備100の手前に停止すると、移載装置60の前方に台車20が配置される(図1参照)。第1レーザ変位計67Aおよび第2レーザ変位計67Bは、台車20との距離を測定する。第1レーザ変位計67Aおよび第2レーザ変位計67Bは、制御装置80に通信可能に接続されている。制御装置80は、第1レーザ変位計67Aにより測定された距離と第2レーザ変位計67Bにより測定された距離とに基づいて、台車20の車両左右方向の傾斜角度を演算するように構成されている。制御装置80は、「演算装置」の一例である。本実施形態では、第1レーザ変位計67A、第2レーザ変位計67B、および制御装置80は、移載装置60に対する台車20の車両左右方向の傾斜角度を検出する「傾斜角度検出装置」を構成している。
【0043】
設備100は、台車20の幌28を開閉する機器として、押込棒102と、押込棒102を設備100の前後方向に移動させる開閉アクチュエータ104とを備えている。開閉アクチュエータ104は押込棒102を駆動する駆動力を発生させる装置であれば足り、開閉アクチュエータ104の種類は特に限定されない。開閉アクチュエータ104として、例えば、電動モータ、エアシリンダ、油圧シリンダなどを用いることができる。開閉アクチュエータ104の駆動力を押込棒102に伝える動力伝達機構も特に限定されない。開閉アクチュエータ104は、例えばギヤ、チェーン、または伝動ベルトなどの動力伝達部材を介して押込棒102と連結されていてもよい。例えば、押込棒102の側面にラックが設けられ、そのラックと噛み合うピニオンが開閉アクチュエータ104に連結されていてもよい。開閉アクチュエータ104に連結されたプーリと他のプーリとにベルトが巻き掛けられ、そのベルトに押込棒102の一部が固定されていてもよい。開閉アクチュエータ104は制御装置80と通信可能に接続されている。制御装置80は、開閉アクチュエータ104を駆動することにより幌28を開閉させる。
【0044】
制御装置80のCPU(図示せず)は、コンピュータプログラムを実行することにより、以下の各部として機能する。図6は制御装置80の機能ブロック図である。制御装置80は、第1制御部81、第2制御部82、傾斜角度演算部83、傾斜角度判定部84、移載禁止部85、および幌開閉部86を有している。第1制御部81は、第1アクチュエータ71を駆動することにより第1接触部材65を前方に移動させ、第1接触面65aが台車20に接触すると第1アクチュエータ71を停止させる。第2制御部82は、第2アクチュエータ72を駆動することにより第2接触部材66を右方に移動させ、第2接触面66aが台車20に接触すると第2アクチュエータ72を停止させる。傾斜角度演算部83は、第1レーザ変位計67Aにより測定された距離と第2レーザ変位計67Bにより測定された距離とに基づいて、移載装置60に対する台車20の車両左右方向の傾斜角度を演算する。傾斜角度判定部84は、上記傾斜角度が予め定められた閾値以上か否かを判定する。移載禁止部85は、上記傾斜角度が閾値以上の場合に、移載装置60による物品の移動を禁止する。幌開閉部86は、移載装置60による物品の移動に先立って、開閉アクチュエータ104を駆動することにより幌28を開く。
【0045】
次に、図7のフローチャートを参照しながら、無人搬送システム2の動作の一例について説明する。前述したように、搬送車1は、一の設備100から物品を受け取り、他の一の設備100に向かって自動走行する。搬送車1の走行中、載置部24は幌28等によって覆われる。そのため、例えば搬送車1が室外を走行した場合、載置部24に載置された物品が雨や風に晒されることは防止される。
【0046】
図8に示すように、搬送車1は設備100の手前の位置に到達すると、自動的に停止する(ステップS1)。搬送車1は、台車20の側面が移載装置60の正面に向かい合う位置に停止する。次に、ステップS2に進み、搬送車1の傾斜角度が検出される。図9に示すように、本実施形態では、搬送車1の傾斜角度とは、移載装置60に対する台車20の左右方向の傾斜角度θのことである。傾斜角度θは、平面視において、車両前後方向の前方に延びる直線と設備100の右方に延びる直線とのなす角の角度に等しい。第1レーザ変位計67Aは、第1レーザ変位計67Aと台車20の側面との距離L1を測定する。第2レーザ変位計67Bは、第2レーザ変位計67Bと台車20の側面との距離L2を測定する。制御装置80の傾斜角度演算部83は、距離L1と、距離L2と、第1レーザ変位計67Aと第2レーザ変位計67Bとの距離H1とに基づいて、傾斜角度θを算出する。なお、tanθ=(L2-L1)/H1である。
【0047】
続いて、制御装置80の傾斜角度判定部84は、傾斜角度θが予め定められた閾値以上か否かを判定する(ステップS3)。なお、傾斜角度θは正または負の値を採り得るが、ステップS3における傾斜角度θは、傾斜角度θの絶対値を意味するものとする。
【0048】
ステップS3における判定結果がYESの場合、台車20は移載装置60に対して実質的に傾いていると見なされる。台車20が実質的に傾いている場合、移載装置60と台車20との間で物品を良好に移動させることができない。制御装置80の移載禁止部85は、移載装置60と台車20との間の物品の移動を禁止する(ステップS4)。なお、台車20が実質的に傾いていることを知らせるために、制御装置80は工場の作業者または管理者等に対し、画面にメッセージを表示したり、スピーカから音声を出力すること等により、通知を行ってもよい(ステップS5)。台車20が実質的に傾いている場合、移載装置60と台車20との間で物品を良好に移動させることができないため、処理を終了する。
【0049】
ステップS3における判定結果がNOの場合、台車20は移載装置60に対して実質的に傾いていないため、ステップS6~S11により、台車20に対する移載装置60の位置決めが行われる。ステップS6では、制御装置80の第1制御部81が第1アクチュエータ71を駆動し、移載装置60を設備前後方向の前方に移動させる。図10に示すように、移載装置60が設備前後方向の前方に移動すると、やがて第1接触部材65の第1接触面65aが台車20の側面29S(図3参照)に接触する。なお、側面29Sは「第1被接触面」の一例である。第1制御部81は、第1接触面65aが台車20の側面29Sに接触したか否かを判定し(ステップS7)、接触した場合は第1アクチュエータ71を停止し、移載装置60の設備前後方向の前方への移動を停止させる(ステップS8)。なお、第1接触面65aが台車20の側面29Sに接触したか否かを判定する方法は特に限定されず、周知の技術を利用することができる。例えば、第1アクチュエータ71の負荷を検出し、負荷が所定値以上になると第1接触面65aが接触したと判定してもよい。また、第1接触面65aに接触を検知するセンサを設け、そのセンサの検知結果に基づいて判定してもよい。ステップS6~S8により、台車20に対する移載装置60の設備前後方向の位置が、予め定められた正規の位置に設定される。
【0050】
続いて、ステップS9において、制御装置80の第2制御部82が第2アクチュエータ72を駆動し、移載装置60を設備左右方向の右方に移動させる。図11に示すように、移載装置60が設備左右方向の右方に移動すると、やがて第2接触部材66の第2接触面66aが台車20の後面29B(図3参照)に接触する。なお、後面29Bは「第2被接触面」の一例である。第2制御部82は、第2接触面66aが台車20の後面29Bに接触したか否かを判定し(ステップS10)、接触した場合は第2アクチュエータ72を停止し、移載装置60の設備左右方向の右方への移動を停止させる(ステップS11)。なお、第2接触面66aが台車20の後面29Bに接触したか否かを判定する方法も特に限定されず、前述の例を含め、周知の技術を利用することができる。ステップS9~S11により、台車20に対する移載装置60の設備左右方向の位置が、予め定められた正規の位置に設定される。
【0051】
以上のようにして、台車20に対する移載装置60の位置決めが行われる。これにより、台車20に対する移載装置60の設備前後方向および設備左右方向の位置ずれが防止される。言い換えると、移載装置60に対する台車20の車両前後方向および車両左右方向の位置ずれが防止される。
【0052】
図12に示すように、移載装置60の位置決めが行われた後、制御装置80の幌開閉部86が開閉アクチュエータ104を駆動することにより、押込棒102が設備前後方向の前方に移動する。押込棒102は台車20のシャッター37を車両左右方向の右方に押し込む。その結果、シャッター37が開き、押込棒102はスライダ30に向かって移動する。図13に示すように、開閉アクチュエータ104が押込棒102を更に移動させると、やがて押込棒102はスライダ30の当接面34に当接し、スライダ30を車両左右方向の右方に押し込む(矢印A1参照)。その結果、幌28の上部はスライドレール32に沿って車両左右方向の右方に移動し、幌28の下部はスライドレール32に沿って車両上下方向の上方に移動する(矢印A2参照)。これにより、台車20の載置部24の側方が開放される。
【0053】
載置部24の側方が開放されると、移載装置60がパレット39を設備100に引き込む。なお、図12および図13では、移載装置60の構成の図示は省略している。パレット39に載せられた物品40は、台車20から設備100に搬入される(矢印A3参照)。設備100に搬入された物品40は、設備100によって加工される。
【0054】
加工後の物品40は、移載装置60により設備100から台車20の載置部24に積み込まれる。物品40が台車20に積み込まれた後、開閉アクチュエータ104は押込棒102を設備前後方向の後方に移動させる。前述したように、幌28には錘35が固定されている。そのため、押込棒102が設備前後方向の後方に移動すると、幌28は錘35の自重により、開位置から閉位置に移動する。これにより、載置部24の側方が幌28によって閉じられる。
【0055】
その後、搬送車1は他の設備100に向かって走行する。以上が無人搬送システム2の動作の一例である。次に、本実施形態によってもたらされる様々な効果について説明する。
【0056】
本実施形態によれば、搬送車1が設備100の手前に停止した後、第1アクチュエータ71が移載装置60を設備前後方向の前方に移動させた後、第1接触部材65の第1接触面65aが台車20の側面29Sに接触することにより、移載装置60の設備前後方向の移動が停止する。これにより、設備前後方向に関して、移載装置60は台車20に対して予め定められた正規位置に位置付けられる。また、第2アクチュエータ72が移載装置60を設備左右方向の右方に移動させた後、第2接触部材66の第2接触面66aが台車20の後面29Bに接触することにより、移載装置60の設備左右方向の移動が停止する。これにより、設備左右方向に関して、移載装置60は台車20に対して予め定められた正規位置に位置付けられる。このようにして、移載装置60と台車20とについて、設備前後方向および設備左右方向の位置ずれが防止される。言い換えると、移載装置60と台車20とについて、車両左右方向および車両前後方向の位置ずれが防止される。よって、搬送車1と設備100との間で物品を良好に受け渡しすることができる。また、本実施形態によれば、位置決めのための機構(すなわち、第1アクチュエータ71、第2アクチュエータ72、第1接触部材65、および第2接触部材66)は設備100に備えられているので、そのような機構を搬送車1に設ける必要がない。搬送車1の構成を簡単化することができるので、搬送車1を軽量化またはコストダウンすることができる。
【0057】
本実施形態によれば、搬送車1が設備100の手前に停止した後、台車20の車両左右方向の傾斜角度θ(図9参照)を検出し、傾斜角度θが閾値以上の場合に、移載装置60による物品の移載を禁止する。すなわち、移載装置60に対する台車20の傾きが大きい場合、物品の移載を禁止する。本実施形態によれば、移載装置60に対する台車20の車両左右方向の位置ずれがないこと、移載装置60に対する台車20の車両前後方向の位置ずれがないこと、および、移載装置60に対して台車20が傾いていないことを確認したうえで、搬送車1と設備100との間での物品の受け渡しを実行することができる。そのため、搬送車1と設備100との間で物品の受け渡しを良好に行うことができる。
【0058】
本実施形態では、傾斜角度検出装置は、第1レーザ変位計67Aと、第2レーザ変位計67Bと、第1レーザ変位計67Aおよび第2レーザ変位計67Bの検出結果に基づいて台車20の傾斜角度を演算する制御装置80(演算装置)とを備えている。台車20の検出角度を精度良く検出することができる。
【0059】
第1接触部材65の形状は特に限定されないが、本実施形態に係る第1接触部材65は、移載装置60から設備前後方向の前方に延びる棒状部材からなっている。第1接触部材65を簡易かつ安価に構成することができる。
【0060】
第2接触部材66の形状は特に限定されないが、本実施形態に係る第2接触部材66は、移載装置60から設備前後方向の前方に延び、設備前後方向および設備上下方向に延びる板状部材からなっている。第2接触部材66を簡易かつ安価に構成することができる。
【0061】
本実施形態に係る搬送車1は、牽引車10と、載置部24を有する台車20と、牽引車10と台車20とを連結する連結装置50とを備えている(図2参照)。搬送車1は、牽引車10および台車20という2つの車両を備えている。台車20は、第1接触部材65の第1接触面65aが接触する側面29Sと、第2接触部材66の第2接触面66aが接触する後面29Bとを有している(図3参照)。台車20は、移載装置60に対して位置決めされる車両である。本実施形態によれば、台車20の前輪22および後輪23は従動輪であり、台車20には走行用駆動源は設けられていない。また、台車20には、移載装置60に対する位置決めのための機構が不要である。よって、本実施形態によれば、移載装置60に対して位置決めされる車両を軽量化またはコストダウンすることができる。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、前記実施形態は一例に過ぎない。他にも様々な実施形態が可能である。
【0063】
前記実施形態では、第2接触部材66は、設備100の手前に停止した台車20の後方に配置され、第2接触部材66の第2接触面66aは設備左右方向の右方を向いている(図8参照)。第2接触面66aと接触する第2被接触面は、台車20の後面29Bである。しかし、第2接触部材66は設備100の手前に停止した台車20の前方に配置され、第2接触面66aは設備左右方向の左方を向き、第2接触面66aと接触する第2被接触面は台車20の前面であってもよい。
【0064】
前記実施形態では、第2被接触面29Bは台車20の後端部に形成されているが、第2被接触面29Bの車両前後方向の位置は特に限定されない。
【0065】
移載装置60に対する搬送車1の車両左右方向の傾斜角度を検出する傾斜角度検出装置の種類は特に限定されない。傾斜角度検出装置は、レーザ変位計以外のセンサを備えていてもよい。
【0066】
第1接触部材65は棒状部材に限定されない。第1接触部材65は、例えば、半球状の突起であってもよい。第2接触部材66は板状に限定されない。第2接触部材66は、例えば棒状部材であってもよい。
【0067】
前記実施形態では、第1アクチュエータ71と第2アクチュエータ72とは別体であるが、単一のアクチュエータが動力の伝達方向の切換が可能な動力伝達機構を介して移載装置60に接続されていてもよい。この場合、上記の単一のアクチュエータが第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを兼用することとなる。第1アクチュエータと第2アクチュエータとは同一のアクチュエータであってもよい。
【0068】
搬送車1は、連結された2つの車両、すなわち牽引車10と台車20とを備えていなくてもよい。搬送車1は、走行用駆動源および載置部を有する単一の車両であってもよい。搬送車1の走行用駆動源は電動モータ14に限られない。走行用駆動源は内燃機関であってもよい。
【0069】
前記実施形態では、台車20に可動式の幌28が設けられているが、幌28は必ずしも必要ではない。台車20の前側カバー、後側カバー25、および天井板27も必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0070】
1 無人搬送車
2 無人搬送システム
10 牽引車
14 電動モータ(走行用駆動源)
20 台車
24 載置部
29B 台車の後面(第2被接触面)
29S 台車の側面(第1被接触面)
50 連結装置
60 移載装置
65 第1接触部材
65a 第1接触面
66 第2接触部材
66a 第2接触面
67A 第1レーザ変位計
67B 第2レーザ変位計
71 第1アクチュエータ
72 第2アクチュエータ
80 制御装置
81 第1制御部
82 第2制御部
85 移載禁止部
100 設備
【要約】
【課題】無人搬送車と設備との間で物品の受け渡しを良好に行うことができる無人搬送システムを提供すること。
【解決手段】設備100は、設備100と無人搬送車1との間で物品を移動させる移載装置60と、移載装置60を前後方向に移動させる第1アクチュエータ71と、移載装置60を左右方向に移動させる第2アクチュエータ72と、移載装置60に設けられた第1接触部材65および第2接触部材66と、制御装置80とを備える。制御装置80は、第1アクチュエータ71を駆動して移載装置60を前方に移動させ、第1接触部材65が無人搬送車1に接触すると第1アクチュエータ71を停止させる第1制御部と、第2アクチュエータ72を駆動して移載装置60を左右方向に移動させ、第2接触部材66が無人搬送車1に接触すると第2アクチュエータ72を停止させる第2制御部と、を有する。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13