(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/06 20060101AFI20241203BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20241203BHJP
H01Q 1/12 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01Q13/08
H01Q1/12 E
(21)【出願番号】P 2023504220
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 KR2021009687
(87)【国際公開番号】W WO2022025581
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0093385
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0098001
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】キョ スン ジ
(72)【発明者】
【氏名】チ バク リュ
(72)【発明者】
【氏名】オ ソク チェ
(72)【発明者】
【氏名】ソン マン カン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ウン セオ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/168699(WO,A1)
【文献】特開2018-207403(JP,A)
【文献】特表2009-535942(JP,A)
【文献】特表2019-536362(JP,A)
【文献】特開2013-187740(JP,A)
【文献】特開2003-110333(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0148996(US,A1)
【文献】国際公開第2017/006959(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0442135(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0027330(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0124350(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0019769(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱カバーと、
前記放熱カバーの前面に配置されて外気に露出し、ビームフォーミングを実現する複数の放射素子と、
前記放熱カバーが設けられるアンテナハウジング本体と、を含み、
前記放射素子および前記放熱カバーの後方に配置された発熱素子で発生した熱は、外気に露出した前記放射素子および前記放熱カバーの前面の少なくともいずれか1つを介して前記アンテナハウジング本体の前方に放出され、
前記放熱カバーの前面には、複数の位置設定突起が前方へ突出して形成され、
前記複数の放射素子は、前記複数の位置設定突起にそれぞれ圧入結合される、アンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナハウジング本体は、背面に複数の放熱フィンが一体に形成され、
前記発熱素子は前記放熱カバーの背面に設けられ、
アンテナ装置は、前記アンテナハウジング本体と前記放熱カバーとの間の内部空間に積層配置されたメインボード、をさらに含み、
前記メインボードと前記放熱カバーとの間で発生した熱は、前記放熱カバーが配置された前方側および前記複数の放熱フィンが配置された後方側に分岐して放出される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナハウジング本体は、背面に複数の放熱フィンが一体に形成され、
前記アンテナハウジング本体の内部に配置された発熱素子で発生した熱の少なくとも一部は、前記アンテナハウジング本体の背面に形成された前記複数の放熱フィンを介在させて前記アンテナハウジング本体の後方に放出される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記複数の放射素子は、ダイポールタイプのダイポールアンテナおよびパッチタイプのパッチアンテナのいずれか1つを採用する、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記複数の放射素子は、導電性材質のパッチ板と、前記パッチ板に連結される導電性材質の一対のフィード端子とを含み、
前記パッチ板および前記一対のフィード端子は、所定の熱伝導性および所定の誘電率を有する誘電体モールド材によってインサート射出成形される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記誘電体モールド材は、前記アンテナハウジング本体および前記放熱カバーの間に生成された熱を熱伝導方式で前記アンテナハウジング本体の前方に伝達できるように所定の熱伝導性材質で採用される、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記所定の熱伝導性材質は、ウルテム素材を含む、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記複数の放射素子は、前記放熱カバーの前面に所定の接着材質を介在させて接着される、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記複数の放射素子は、前記放熱カバーの前面に所定の接着材質を介在させて接着される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記放熱カバーは、前後方に貫通したフィード端子貫通ホールが形成され、
前記複数の放射素子は、前記一対のフィード端子がそれぞれ前記フィード端子貫通ホールを貫通した後、前記放熱カバーの背面に密着配置されたアンテナサブボードに接続される、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記誘電体モールド材の背面は、熱伝導抵抗が最小化されるように前記放熱カバーの前面と密着して固定された、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
放熱カバーと、
前記放熱カバーの前面に配置されて外気に露出し、ビームフォーミングを実現する複数の放射素子と、
前記放熱カバーが設けられるアンテナハウジング本体と、を含み、
前記放射素子および前記放熱カバーの後方に配置された発熱素子で発生した熱は、外気に露出した前記放射素子および前記放熱カバーの前面の少なくともいずれか1つを介して前記アンテナハウジング本体の前方に放出され、
前記放熱カバーには、前記放熱カバーの前面のうち前記複数の放射素子が接する部位を除いた残りの部位の放熱表面積を増加させる微細放熱凹凸部が形成され、
前記放熱カバーの前面には、前記複数の放射素子それぞれが表面固定される複数の平坦取付部が形成され、
前記微細放熱凹凸部は、
前記複数の平坦取付部の間に形成された第1微細凹凸部と、
前記複数の平坦取付部の外側に形成された第2微細凹凸部と、を含む、アンテナ装置。
【請求項13】
前記第2微細凹凸部が形成された前記放熱カバーの背面部には、複数のPSU素子が前面に実装されたPSUボードが対応して配置される、請求項12に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
放熱カバーと、
前記放熱カバーの前面に配置されて外気に露出し、ビームフォーミングを実現する複数の放射素子と、
前記放熱カバーが設けられるアンテナハウジング本体と、を含み、
前記放射素子および前記放熱カバーの後方に配置された発熱素子で発生した熱は、外気に露出した前記放射素子および前記放熱カバーの前面の少なくともいずれか1つを介して前記アンテナハウジング本体の前方に放出され、
前記放熱カバーの背面には、複数のRFフィルタの前面が密着して配置さ
れ、
前記放熱カバーの背面部には、複数のPSU素子の前面が密着収容されるように前方に陥没して放熱カバー熱収容部がさらに形成され、
前記複数のPSU素子は、前面が前記放熱カバー熱収容部に表面熱接触するように収容される、アンテナ装置。
【請求項15】
前記放熱カバーは、アルミニウム(Al)材質またはマグネシウム(Mg)材質のいずれか1つの金属モールド材によってダイカスト工法で金型製造される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記放熱カバーは、前記アンテナハウジング本体と同一の材質で金型製造される、請求項
15に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置(ANTENNA APPARATUS)に関し、より詳しくは、レドームおよび放射素子が実装される基板などを除去し、放射素子を直接外気に露出させることにより、スリム化製作が可能であり、製品の製造費用を節減すると同時に、放熱性能を向上させたアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムに用いられる中継器をはじめとする基地局アンテナは、多様な形態と構造を有し、通常、長手方向に直立する少なくとも1つの反射板上に複数の放射素子が適切に配置される構造を有する。
【0003】
最近は、多重入出力(MIMO)ベースのアンテナに対する高性能の要求を満足すると同時に、小型化、軽量化および低費用構造を達成しようとする研究が活発に行われている。特に、線形偏波または円形偏波を実現するためのパッチタイプの放射素子が適用されたアンテナ装置の場合、通常、プラスチックやセラミック素材の誘電体基板からなる放射素子にめっきをし、PCB(印刷回路基板)などに半田付けにより結合する方式が広く用いられている。
【0004】
図1は、従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。従来技術によるアンテナ装置1は、
図1に示されるように、複数の放射素子35が所望の方向に出力されてビームフォーミングが容易となるように、ビーム出力方向であるアンテナハウジング本体10の前面側に露出するように配列され、外部環境からの保護のために、レドーム(radome)50がアンテナハウジング本体10の前端部に複数の放射素子35を挟んで装着される。
【0005】
より詳しくは、前面が開口した薄い直方体の函体形状に備えられ、後面には複数の放熱フィン11が一体に形成されたアンテナハウジング本体10と、アンテナハウジング本体10の内部のうち後面に積層配置されたメインボード20と、アンテナハウジング本体10の内部のうち前面に積層配置されたアンテナボード30とを含む。
【0006】
メインボード20には、キャリブレーション給電制御のための複数の給電関連部品素子が実装され、給電過程で発生する素子の熱は、アンテナハウジング本体10の後方の複数の放熱フィン11を介して後方放熱される。そして、メインボード20の下側またはアンテナハウジング本体10の下側には、PSU(Power Supply Unit)素子が実装されたPSUボード40が積層または同一の高さに配置され、PSU素子から発生した熱も、アンテナハウジング本体10の後方に一体に備えられた前記複数の放熱フィン11、またはアンテナハウジング本体10とは別個に形成されて、アンテナハウジング本体10の背面に付着したPSUハウジング15のPSU放熱フィン16を介して後方放熱される。
【0007】
メインボード20の前面には、キャビティフィルタタイプで備えられた複数のRFフィルタ25が配置され、アンテナボード30の後面が複数のRFフィルタ25の前面に積層されるように配置される。
【0008】
アンテナボード30の前面には、パッチタイプの放射素子またはダイポールタイプの放射素子35が実装され、アンテナハウジング本体10の前面には、内部の各部品を外部から保護しながら放射素子35からの放射が円滑に行われるようにするレドーム50が設けられる。
【0009】
しかし、従来技術によるアンテナ装置の一例1は、アンテナハウジング本体10の前方部がレドーム50によって遮蔽されてレドーム50が有する面積だけ放熱面積が制限的であるしかなく、放射素子35も、RF信号の送受信のみを行うように設計されて放射素子35から発生した熱が前方に放出できないことにより、アンテナハウジング本体10の内部で発生した熱を一律にアンテナハウジング本体10の後方に排出するしかなくて放熱効率が大きく低下する問題があり、このような問題を解決するための新たな放熱構造設計に対する要求が高まっている。
【0010】
また、従来技術によるアンテナ装置の一例1によれば、レドーム50の体積およびアンテナボード30の前面から放射素子35が離隔した配置構造の占める体積によって、ビル内(in-building)または5G陰影地域に要求されるスリムなサイズの基地局の実現が極めて難しい問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、レドームおよび放射素子が実装される基板(PCB)などの無駄な構成を削除して製品の製造費用を節減できるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0012】
これとともに、本発明は、アンテナハウジング本体の全方位にバランスよく放熱させることができるアンテナ装置を提供することを他の目的とする。
【0013】
また、本発明は、放射素子を金属材質の放熱カバーに密着して組立てることにより、放熱素子がRF信号の送受信機能のみならず、熱伝達機能を行うことができるアンテナ装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0014】
また、本発明は、製品の全製造過程で完全自動化生産ラインの構築を可能にして製造時間および人件費などを節減できるアンテナ装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0015】
本発明の技術的課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によるアンテナ装置の一実施例は、放熱カバーと、前記放熱カバーの前面に配置されて外気に露出し、ビームフォーミングを実現する複数の放射素子と、前記放熱カバーが設けられるアンテナハウジング本体とを含み、前記放射素子および前記放熱カバーの後方に配置された発熱素子で発生した熱は、外気に露出した前記放射素子および前記放熱カバーの前面の少なくともいずれか1つを介して前記アンテナハウジング本体の前方に放出する。
【0017】
また、本発明によるアンテナ装置の他の実施例は、放熱カバーと、前記放熱カバーの前面に配置されて外気に露出し、ビームフォーミングを実現する複数の放射素子と、前記放熱カバーが設けられ、背面に複数の放熱フィンが一体に形成されたアンテナハウジング本体と、前記アンテナハウジング本体と前記放熱カバーとの間の内部空間に積層配置されたメインボードとを含み、前記メインボードと前記放熱カバーとの間で発生した熱は、前記放熱カバーが配置された前方側および前記複数の放熱フィンが配置された後方側に分岐して放出する。
【0018】
また、本発明によるアンテナ装置のさらに他の実施例は、放熱カバーと、前記放熱カバーの前面に配置されて外気に露出し、ビームフォーミングを実現する複数の放射素子と、前記放熱カバーが設けられ、背面に複数の放熱フィンが一体に形成されたアンテナハウジング本体とを含み、前記放射素子および前記放熱カバーの後方に配置された発熱素子で発生した熱の少なくとも一部は、外気に露出した前記放射素子および前記放熱カバーの前面の少なくともいずれか1つを介して前記アンテナハウジング本体の前方に放出し、前記アンテナハウジング本体の内部に配置された発熱素子で発生した熱の少なくとも一部は、前記アンテナハウジング本体の背面に形成された前記複数の放熱フィンを介在させて前記アンテナハウジング本体の後方に放出する。
【0019】
ここで、前記複数の放射素子は、ダイポールタイプのダイポールアンテナおよびパッチタイプのパッチアンテナのいずれか1つで採用される。
【0020】
また、前記複数の放射素子は、導電性材質のパッチ板と、前記パッチ板に連結される導電性材質の一対のフィード端子とを含み、前記パッチ板および前記一対のフィード端子は、所定の熱伝導性および所定の誘電率を有する誘電体モールド材によってインサート射出成形される。
【0021】
また、誘電体モールド材は、前記アンテナハウジング本体および前記放熱カバーの間に生成された熱を熱伝導方式で前記アンテナハウジング本体の前方に伝達できるように所定の熱伝導性材質で採用される。
【0022】
また、前記所定の熱伝導性材質は、ウルテム素材を含むことができる。
【0023】
また、前記複数の放射素子は、前記放熱カバーの前面に所定の接着材質を介在させて接着される。
【0024】
また、前記放熱カバーの前面には、複数の位置設定突起が前方へ突出して形成され、前記複数の放射素子は、前記複数の位置設定突起にそれぞれ圧入結合される。
【0025】
また、前記複数の放射素子は、前記放熱カバーの前面に所定の接着材質を介在させて接着されかつ、前記放熱カバーの前面に前方へ突出形成された複数の位置設定突起にそれぞれ圧入結合される。
【0026】
また、前記放熱カバーは、前後方に貫通したフィード端子貫通ホールが形成され、前記複数の放射素子は、前記一対のフィード端子がそれぞれ前記フィード端子貫通ホールを貫通した後、前記放熱カバーの背面に密着配置されたアンテナサブボードに接続される。
【0027】
また、前記誘電体モールド材の背面は、熱伝導抵抗が最小化されるように前記放熱カバーの前面と密着して固定される。
【0028】
また、前記放熱カバーには、前記放熱カバーの前面のうち前記複数の放射素子が接する部位を除いた残りの部位の放熱表面積を増加させる微細放熱凹凸部が一体に形成される。
【0029】
また、前記微細放熱凹凸部は、前記放熱カバーの前面に所定の長さ突出する複数のリブ形状に備えられかつ、上下方向に長く形成される。
【0030】
また、前記放熱カバーの前面には、前記複数の放熱素子それぞれが表面固定される複数の平坦取付部が形成され、前記微細放熱凹凸部は、前記複数の平坦取付部の間に形成された第1微細凹凸部と、前記複数の平坦取付部の外側に形成された第2微細凹凸部とを含むことができる。
【0031】
また、前記第2微細凹凸部が形成された前記放熱カバーの背面部には、複数のPSU素子が前面に実装されたPSUボードが対応して配置される。
【0032】
また、前記放熱カバーの背面には、複数のRFフィルタの前面および複数のPSU素子の前面が密着して配置される。
【0033】
また、前記複数のRFフィルタは、キャビティフィルタおよびセラミック導波管フィルタのいずれか1つで採用される。
【0034】
また、前記放熱カバーの背面部には、前記複数のPSU素子の前面が密着収容されるように前方に陥没して放熱カバー熱収容部がさらに形成され、前記複数のPSU素子は、前面が前記放熱カバー熱収容部に表面熱接触するように収容される。
【0035】
また、前記放熱カバーは、アルミニウム(Al)材質またはマグネシウム(Mg)材質のいずれか1つの金属モールド材によってダイカスト工法で金型製造される。
【0036】
また、前記放熱カバーは、前記アンテナハウジング本体と同一の材質で金型製造される。
【発明の効果】
【0037】
本発明によるアンテナ装置の一実施例によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0038】
第一、従来のアンテナ装置の必須の構成であったレドームおよび反射板の役割を果たすアンテナボード(PCB)などの部品の削除が可能なため、製品の製造単価を大きく節減する効果を有する。
【0039】
第二、レドームの削除によって増加する放熱カバーの面積だけアンテナハウジング本体内部のシステム熱を前方に放熱させることが可能なため、放熱性能が大きく向上する効果を有する。
【0040】
第三、製品の全製造過程で完全自動化生産ラインの構築を可能にして製造時間および人件費などを節減できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例によるアンテナ装置の設置例を示す外観斜視図である。
【
図3A】本発明の一実施例によるアンテナ装置を示す正面部斜視図である。
【
図3B】本発明の一実施例によるアンテナ装置を示す背面部斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、アンテナハウジング本体の内部空間を示す分解斜視図である。
【
図4B】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、アンテナハウジング本体の内部空間を示す分解斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施例によるアンテナ装置の正面部分解斜視図であり、
【
図5B】本発明の一実施例によるアンテナ装置の背面部分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施例によるアンテナ装置の正面図である。
【
図7B】
図6のA-A線に沿った切開斜視図である。
【
図8B】
図6のB-B線に沿った切開斜視図である。
【
図9】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、放射素子の放熱カバー側の前面に対する結合部位を示す分解斜視図である。
【
図10】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、放射素子を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、放射素子を示す分解斜視図である。
【
図12A】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、放熱カバー側の分解斜視図である。
【
図12B】本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、アンテナハウジング本体側の分解斜視図である。
【
図13A】本発明の一実施例によるアンテナ装置の組立順序を示す分解斜視図である。
【
図13B】本発明の一実施例によるアンテナ装置の組立順序を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の一実施例によるアンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0044】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0045】
図2は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の設置例を示す外観斜視図であり、
図3Aおよび
図3Bは、本発明の一実施例によるアンテナ装置を示す正面および背面部斜視図であり、
図4Aおよび
図4Bは、本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、アンテナハウジング本体の内部空間を示す分解斜視図であり、
図5Aおよび
図5Bは、本発明の一実施例によるアンテナ装置の正面部および背面部分解斜視図である。
【0046】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図2に示すように、支柱ポールPに対して直交する水平方向に離隔して配置されたクランピング部Cの先端部に結合される。クランピング部Cは、支柱ポールPに対して左右方向ローテーティング回動および上下方向チルティング回動可能に備えられて、その先端部に結合された本発明の一実施例によるアンテナ装置100のビーム出力方向を調整することができる。
【0047】
しかし、クランピング部Cは、広い範囲での電波の送受信方向を調整するものに過ぎず、ビームフォーミング(Beamforming)を実現するための実質的な構成ではない。ビームフォーミングの実現のためには、
図2~
図4Bに示すように、配列アンテナ(Array antenna)として複数の放射素子130が必要である。複数の放射素子130は、狭い方向性ビーム(narrow directional beam)を生成して、指定された方向への電波集中を増加させることができる。
【0048】
最近、複数の放射素子130は、ダイポールタイプのダイポールアンテナ(Dipole antenna)またはパッチタイプのパッチアンテナ(Patch antenna)が最も高い頻度で活用されており、相互間の信号干渉が最小化されるように離隔して設計配置される。ここで、放射素子130は、上述したダイポールタイプのダイポールアンテナおよびパッチタイプのパッチアンテナのいずれか1つで採用されてもよいが、以下、本発明の一実施例では、パッチタイプのパッチアンテナを採用して説明する。
【0049】
従来は、一般的にこのような複数の放射素子130の配列設計が外部環境要因によって変更されないようにするために、複数の放射素子130を外部から保護するレドーム(radome)を必須の構成としていた。したがって、レドームが覆っている面積部分に限っては複数の放射素子130および複数の放射素子130が設けられるアンテナボード(PCB)が外気に露出しない関係から、アンテナ装置100の動作によって発生するシステム熱を外部に放熱するに際して前方の外気側への放熱が不可能という点など非常に限られていた。
【0050】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、複数の放射素子130および複数の放射素子130が設けられる構成(後述する放熱カバー120の前面)のすべてが外気に直接露出するように構成するようにレドームを削除すると同時に、複数の放射素子130も、信号の送受信機能のみならず、熱伝達媒介体としての役割を同時に果たすように設計される。
【0051】
より詳しくは、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図3A~
図4Bに示すように、放熱カバー120と、放熱カバー120の前面に配置されて外気に露出し、ビームフォーミングを実現する複数の放射素子130と、放熱カバー120が設けられるアンテナハウジング本体110とを含む。
【0052】
アンテナハウジング本体110は、
図4Aに示すように、熱伝導性に優れた金属材質で備えられかつ、略前後方向の、厚さの薄い直方体の函体形状に形成され、前面が開口して形成されて、内部に後述するメインボード140、複数のRFフィルタ160およびPSUボード170が設けられる内部空間113を形成することができる。
【0053】
アンテナハウジング本体110の背面には、複数の放熱フィン111が所定のパターン形状を有するようにアンテナハウジング本体110と一体に形成され、アンテナハウジング本体110の内部空間113のうち後方部側で生成された熱は、複数の放熱フィン111を介して速やかに後方に放熱される。
【0054】
複数の放熱フィン111は、左右幅の中間部分を基準として左側端および右側端へいくほど上向き傾斜して配置されて、アンテナハウジング本体110の後方に放熱される熱がそれぞれアンテナハウジング本体110の左側および右側方向に分散した上昇気流を形成するように設計可能である。
【0055】
複数の放熱フィン111の一部には、クランピング部の先端部に対する結合を媒介する、図示しないクランピングブラケット部が設けられるブラケット取付ボス119が一体に形成される。
【0056】
一方、アンテナハウジング本体110の前端縁部位には、放熱カバー120とのねじ結合のための複数のスクリュー締結ホールがそれぞれ形成された複数のスクリュー締結端115が周縁に沿って所定の間隔離隔して形成される。
【0057】
アンテナハウジング本体110の内部空間113には、メインボード140がアンテナハウジング本体110と平行に積層固定される。メインボード140の背面には、PSUボード170によって供給される電源を用いて給電信号をキャリブレーション制御するための給電ネットワークを構成する給電関連制御部品が実装され、メインボード140の前面には、給電ネットワークに連結された複数の帯域通過フィルタであるRFフィルタ160が実装配置される。
【0058】
給電関連制御部品は、大部分が発熱素子(例えば、TA、DA、RA、LNA、FPGAなど)であって、アンテナハウジング本体110の内部面に直接表面熱接触してアンテナハウジング本体110の後方に熱を放出できるようにメインボード140の背面に実装されることが好ましい。
【0059】
これとともに、メインボード140の背面には、
図5Aおよび
図5Bに示すように、給電関連制御部品を電気的に疎通させるための所定のパターンが印刷可能であり、各給電関連制御部品と所定のパターンの後方への突出高さは異なっていてもよい。ここで、アンテナハウジング本体110の内部面には、上述のように、それぞれ異なる高さに突出した給電関連制御部品および所定のパターンができるだけ広い面積で直接表面熱接触するように、各給電関連制御部品および所定のパターンの突出部位を収容する形状の熱収容パターン117が凹状に加工形成される。
【0060】
アンテナハウジング本体110の前面には、複数のRFフィルタ160がクラムシェルボード(Clamshell board)150を介在させて左右方向に並んで実装配列される。本発明の一実施例によるアンテナ装置100において、複数のRFフィルタ160は、上端部に左右方向に1列配置され、中間部分に左右方向に1列配置されたものを採用しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、その配列位置およびRFフィルタ160の個数は多様に設計変形できることは言うまでもない。
【0061】
複数のRFフィルタ160は、それぞれ内部に複数のキャビティ(cavity)が備えられ、各キャビティの共振器を用いた周波数調整により入力信号対比の出力信号の周波数帯域をフィルタリングするキャビティフィルタで採用されて配置される。しかし、必ずしも複数のRFフィルタ160がキャビティフィルタに限定されるものではなく、セラミック導波管フィルタ(Ceramic Waveguide Filter)を排除するわけではない。
【0062】
RFフィルタ160は、前後方向の厚さが小さい方が、製品全体のスリム化を実現する設計において有利である。このような設計の面から、RFフィルタ160は、前後方向の厚さの縮小設計が制限的なキャビティフィルタよりは、小型化設計が有利なセラミック導波管フィルタの採用が好まれる。
【0063】
このようなRFフィルタ160は、クラムシェルボード150に形成されかつ、それぞれ一対ずつ離隔して設けられた複数のフィーディング連結ホール155(後述する
図12B参照)それぞれに入力ポート(図示せず)および出力ポート(図示せず)との連結のために設けられた入出力端子部165が挿入される形態でクラムシェルボード150を貫通してメインボード140に実装固定される。
【0064】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図4Aおよび
図4Bに示すように、アンテナハウジング本体110の内部空間113に積層されたメインボード140の前面には、遮蔽板175を介在させて積層されたPSUボード(Power Supply Unit Board)170をさらに含むことができる。PSUボード170の前面部には、代表的な発熱素子の1つである複数のPSU素子が実装され、PSU素子は、放熱カバー120の背面に直接表面熱接触することができる。
【0065】
ここで、複数のPSU素子は、
図4Aに示すように、PSUボード170の前面を実装面として前端の高さがそれぞれ異なる厚さを有するように形成され、放熱カバー120の背面には、
図4Bに示すように、複数のPSU素子の前端が収容されてできるだけ広い面積で直接表面熱接触が行われるように放熱カバー熱収容部122がパターン形成される。
【0066】
図6は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の正面図であり、
図7Aおよび
図7Bは、
図6のA-A線に沿った断面図およびその切開斜視図であり、
図8Aおよび
図8Bは、
図6のB-B線に沿った断面図およびその切開斜視図である。
【0067】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、
図6~
図8Bに示すように、放熱カバー120がアンテナハウジング本体110の前端部に結合されて、アンテナハウジング本体110の内部空間113を外部と完全遮蔽することができる。
【0068】
放熱カバー120は、熱伝導性に優れた金属材質で備えられたものであって、好ましくは、アルミニウム(Al)材質またはマグネシウム(Mg)材質であってもよい。このような放熱カバー120は、本発明の一実施例によるアンテナ装置100の前面の外観を形成するものであって、アンテナハウジング本体110とともにアンテナハウジング本体110の内部空間113で生成されたシステム熱(各種電装部品の作動熱)が最終的に放出される外気に直接露出した構成で定義される。すなわち、従来は、複数の放射素子130を外部環境要因から保護するためのレドームが必須で備えられている関係から、外気に露出する構成はレドームになっていたが、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、アンテナハウジング本体110が後方側の外気に露出したものと同じく、前方側の外気に放熱カバー120が直接露出するように構成されて、システム熱の放出を媒介する役割を同時に果たすことができる。
【0069】
放熱カバー120は、熱伝達を媒介する機能を行うことから、熱伝達率に優れた金属材質として、アルミニウム(Al)材質またはマグネシウム(Mg)からなる金属モールド材を用いてダイカスト工法で金型製造される。好ましくは、放熱カバー120は、アンテナハウジング本体110と同一の材質で金型製造される。
【0070】
ここで、放熱カバー120の前面には、パッチタイプからなる複数の放射素子130それぞれが表面固定される複数の平坦取付部123が平らな形状に形成される。複数の平坦取付部123それぞれの中央には、位置設定突起129が放熱カバー120の前方に所定の長さ突出して形成され、複数の位置設定突起129それぞれには、複数の放射素子130それぞれが圧入されて結合される。これについては、後により詳しく説明する。
【0071】
一方、放熱カバー120の前面のうち複数の平坦取付部123が占有しない残りの部位には、複数の微細放熱凹凸部121がセレーション形状またはリブ形状で一体に形成される。ここで、複数の微細放熱凹凸部121は、上下方向に長く形成される。
【0072】
また、複数の微細放熱凹凸部121がリブ形状に備えられた場合には、放熱カバー120の前面に所定の長さ突出して形成される。この時、複数の微細放熱凹凸部121は、少なくとも放熱カバー120の縁端と同じ長さ、または放熱カバー120の縁端より少ない長さで突出形成されてもよい。
【0073】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100において、複数の微細放熱凹凸部121は、
図3Aに示すように、複数の放射素子130が配置された放熱カバー120部位(本実施例の場合、放熱カバー120のうち下端部位を除いた上部側)に形成された第1微細凹凸部121aと、複数の放射素子130とは関係のない部位であって、放熱カバー120のうち下端部位に形成された第2微細凹凸部121bとを含むことができる。
【0074】
より詳しくは、第1微細凹凸部121aは、複数の放射素子130それぞれが表面固定されるように放熱カバー120の前面に形成された複数の平坦取付部123の間に形成され、第2微細凹凸部121bは、複数の平坦取付部123の外側に形成される。
【0075】
また、第2微細凹凸部121bが形成された放熱カバー120の背面部には、後述のように、複数のPSU素子が前面に実装されたPSUボード170が対応して配置される。
【0076】
第1微細凹凸部121aは、放熱カバー120を介してシステム熱を外部に放出させるに際して、外気との熱交換面積を増加させる役割をする。ここで、第1微細凹凸部121aの前端は、複数の放射素子130の前面部よりも前方へ突出しない長さで突出するように設計されることが好ましい。第1微細凹凸部121aの前端が放熱カバー120の前面を基準としてより多く突出するほど、複数の放射素子130それぞれに対する信号干渉の恐れが大きくなることはもちろん、製品全体のスリム化設計を阻害しうる。
【0077】
ただし、第2微細凹凸部121bは、PSUボード170のPSU素子から発生した熱を担う部位の凹凸部であって、複数の放射素子130の信号干渉とは関係のない部位に形成されるので、その前端の高さは、複数の放射素子130の前面部よりも前方へ突出する長さに設計されても構わない。
【0078】
放熱カバー120の縁部位には、その縁端部に沿って所定の距離離隔して形成され、アンテナハウジング本体110に形成されたスクリュー締結端115と対応するようにスクリュー貫通ホールが形成された複数のスクリュー貫通端125が形成される。複数のスクリュー貫通端125には、締結ねじ105が貫通するスクリュー貫通ホール(図面符号不表記)がそれぞれ形成される。
【0079】
放熱カバー120は、複数の締結ねじ105が前方側からそれぞれスクリュー貫通端125のスクリュー貫通ホールを貫通した後、アンテナハウジング本体110のスクリュー締結端115に形成されたスクリュー締結ホール(図面符号不表記)に締結されることにより、アンテナハウジング本体110の前端部に強い結合力で固定できる。
【0080】
一方、放熱カバー120の前面に形成された複数の平坦取付部123には、複数の放射素子130それぞれが配列される。複数の平坦取付部123上には、放熱カバー120を前後方向に貫通するフィード端子貫通ホール127が形成される。
【0081】
放熱カバー120の背面には、複数の放射素子130のうち隣接する一部の放射素子130に給電フィーディングするフィーディングパターン185が形成された給電フィーディングパネル180が複数個配置される。給電フィーディングパネル180には、上述したフィーディングパターン185に後述する放射素子130のフィード端子132a、132bが挿入接続されるフィード接続ホール187がさらに形成される。
【0082】
メインボード140に実装された複数の給電制御関連部品を介してフィーディングされた給電信号は、メインボード140の前面に配置されたRFフィルタ160の入出力端子部165のうち入力端子を介してRFフィルタ160に入力された後、所望の帯域に周波数フィルタリングされた後、給電フィーディングパネル180のフィーディングパターン185の回路を介して、フィード接続ホール187を貫通した一対のフィード端子132a、132bの1つ132aを経由して放射素子130に入力された後、送信データが電磁波形態で出力可能である。逆に、放射素子130に電磁波形態の受信された受信データは、一対のフィード端子132a、132bの残りの1つ132bを介してフィード接続ホール187を経由した後、RFフィルタ160に入力された後、再度RFフィルタ160の入出力端子部165のうち出力端子を介してメインボード140側に伝達される。
【0083】
複数の放射素子130は、上述のように、パッチタイプの放射素子130およびダイポールタイプの放射素子130をすべて含む概念であるが、本発明の一実施例によるアンテナ装置100では、説明の便宜上、パッチタイプの放射素子130であることを前提に説明する。
【0084】
複数の放射素子130は、後述のように、それぞれ導電性材質のパッチ板131と、パッチ板131に連結される導電性材質の一対のフィード端子132a、132bとを含み、一対のフィード端子132a、132bが放熱カバー120の平坦取付部123にそれぞれ形成されたフィード端子貫通ホール127を貫通するように設けられる。
【0085】
ここで、複数の放射素子130は、放熱カバー120の前面に設けられかつ、外気に直接表面が露出するように設けられることにより、単純に信号の送受信機能を行う従来とは異なり、1つの熱伝達媒介体として機能して、アンテナハウジング本体110の内部空間113から発生した熱を外気に放出したり、複数の放射素子130自体で発生した熱を直接外気に放出する役割を果たすことができる。
【0086】
図9は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、放射素子の放熱カバー側の前面に対する結合部位を示す分解斜視図であり、
図10および
図11は、本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、放射素子を示す斜視図および分解斜視図である。
【0087】
本発明の一実施例によるアンテナ装置100において、放射素子130は、
図9~
図11に示すように、導電性材質のパッチ板131と、パッチ板131に連結される導電性材質の一対のフィード端子132a、132bとを含むことができる。
【0088】
パッチ板131および一対のフィード端子132a、132bは、一般的なパッチタイプの放射素子130と同一の機能を行うことから、その具体的な動作説明は省略する。ただし、本発明の一実施例によるアンテナ装置100において、放射素子130は、単純に信号の送受信機能を行うことから一歩進んで、アンテナハウジング本体110の内部空間113上に存在するシステム熱を外部に放出する時、熱伝達媒介体として機能するが、熱伝達の面からより詳しく説明する。
【0089】
一方、放射素子130は、パッチ板131および一対のフィード端子132a、132bが所定の熱伝導性および所定の誘電率を有する誘電体モールド材135によってインサート射出成形される。誘電体モールド材135は、ウルテム素材を含むことができる。ウルテム(ULTEM)素材は、ポリエーテルイミド(PolyEtherImide;PEI)樹脂を押出成形した素材で、優れた耐熱性と強度を付与するイミド結合と、良好な加工性を示すエーテル結合の樹脂であり、広範囲な周波数帯で一定の絶縁特性を有する。
【0090】
ここで、誘電体モールド材135は、モールディング後硬化して内部のパッチ板131および一対のフィード端子132a、132bを外部から保護するボディの役割を果たすと同時に、所定の誘電率を有する誘電体材質からなることから、給電信号の入出力経路を安定化させることはもちろん、所定の熱伝導性を有することにより、放熱カバー120を介して伝達されるアンテナハウジング本体110のシステム熱またはパッチ板131自らの動作熱を外部に放熱する時、これを媒介する熱伝達媒介体の機能を行うことができる。
【0091】
パッチ板131は、略四角形の薄い導電性板体形状に形成され、パッチ板131の背面には、一対のフィード端子132a、132bが予め設定されたフィーディングポイントに接続されるように平行に連結され、一対のフィード端子132a、132bの一部は、それぞれ放熱カバー120の前面側に直交するように折曲げられて延びることができる。
【0092】
ここで、誘電体モールド材135がインサート射出成形でモールディング形成される時、一対のフィード端子132a、132bの折曲げられた先端部の一部は、誘電体モールド材135の外部に露出するように備えられ、一対のフィード端子132a、132bそれぞれの露出した先端部が放熱カバー120の平坦取付部123に形成されたフィード端子貫通ホール127を介して放熱カバー120を貫通して放熱カバー120の背面側に突出できる。
【0093】
一方、パッチ板131の中心には、放熱カバー120の平坦取付部123の中心に形成された複数の位置設定突起129に圧入される突起圧入ホール133が形成される。同じく、誘電体モールド材135にも、複数の位置設定突起129が挿入されるための突起挿入ホール139がモールド材の硬化により形成される。パッチ板131が誘電体モールド材135の内部に外部へ露出しないようにインサート射出成形されることから、従来の放射素子を外部環境から保護するためのレドームの設置を省略可能という利点を奏することができる。
【0094】
このような構成からなる放射素子130は、放熱カバー120の位置設定突起129にそれぞれ圧入結合される方式で結合される。この場合、誘電体モールド材135の背面は、放熱カバー120の前面(すなわち、平坦取付部123の前面)に密着するように平らに形成されることが好ましい。これは、熱伝達媒介体としての機能を行う放射素子130の背面に相当する誘電体モールド材135の背面が、平坦取付部123にできるだけ広い面積部位で表面熱接触することにより、相互離隔による熱伝導抵抗を最小化するためである。
【0095】
また、放射素子130の結合方式は、上述した位置設定突起129に圧入結合される方式に限らず、所定の接着材質を介在させて放熱カバー120の平坦取付部123に固定されることも可能である。この場合、放射素子130のうち誘電体モールド材135の背面に前記接着材質の1つである強力ボンド材を塗布した後に結合させることも可能である。
【0096】
これとともに、放射素子130の結合方式は、上述した位置設定突起129に圧入結合される方式および所定の接着材質を介在させた結合方式を混用した方式の結合も可能である。すなわち、放射素子130の誘電体モールド材135に形成された突起挿入ホール139およびパッチ板131の突起圧入ホール133に位置設定突起129が挿入されて固定される時、誘電体モールド材135の背面に所定の接着材質を塗布した後、より強固な方式で結合させることも可能である。
【0097】
放射素子130それぞれが放熱カバー120の平坦取付部123に密着設置される時、一対のフィード端子132a、132bは、それぞれ放熱カバー120の平坦取付部123に形成されたフィード端子貫通ホール127を介して放熱カバー120を貫通して放熱カバー120の背面側に突出した後、給電フィーディングパネル180のフィード接続ホール187に接続される。
【0098】
図12Aおよび
図12Bは、本発明の一実施例によるアンテナ装置の構成のうち、放熱カバー側およびアンテナハウジング本体側の分解斜視図であり、
図13Aおよび
図13Bは、本発明の一実施例によるアンテナ装置の組立順序を示す分解斜視図である。
【0099】
以下、上記のように構成される本発明の一実施例によるアンテナ装置100の組立過程を、添付した図面を参照して詳しく説明する。
【0100】
まず、
図12Aに示すように、放熱カバー120を中心として前面には、複数の放射素子130をそれぞれ放熱カバー120の前面に形成された平坦取付部123に密着結合させる。この時、上述のように、放射素子130それぞれの一対のフィード端子132a、132bがフィード端子貫通ホール127を介して放熱カバー120の背面に突出し、放熱カバー120の背面に密着配置された給電フィーディングパネル180のフィード接続ホール187にそれぞれ接続される方式で給電連結される。
【0101】
そして、
図12Aに示すように、放熱カバー120の背面のうち下端部には、PSUボード170を密着結合させかつ、PSUボード170の前面に実装配置された複数のPSU素子の前面が放熱カバー120の背面に形成された放熱カバー熱収容部122内に収容されるように密着結合させる。
【0102】
このように、放熱カバー120を中心として前面には、複数の放射素子130を密着結合させるとともに、放熱カバー120を中心として背面には、複数の給電フィーディングパネル180とPSUボード170とを密着結合させると、放熱カバー120側の組立が完了する。
【0103】
次に、
図12Bに示すように、アンテナハウジング本体110の内部空間113にメインボード140の背面に実装された各給電関連制御部品および所定のパターンの突出部位がアンテナハウジング本体110の内部面に形成された熱収容パターン117に密着収容されるように積層結合させる。
【0104】
そして、クラムシェルボード150をメインボード140の前面に積層結合させた後、クラムシェルボード150に形成されたフィーディング連結ホールにRFフィルタ160の入出力端子部165が挿入されて、メインボード140の背面に実装された給電制御関連部品と通電するように複数のRFフィルタ160を積層結合させる。この時、メインボード140の前面の一部には、PSUボード170をメインボード140の前面から離隔させて放熱カバー120側に結合させるための遮蔽板175が積層配置される。
【0105】
このように、アンテナハウジング本体110の内部空間113にそれぞれメインボード140と、クラムシェルボード150および遮蔽板175を順次に積層配置した後、複数のRFフィルタ160を固定させると、アンテナハウジング本体110側の組立が完了する。
【0106】
その後、
図13Aに示すように、別のレドームを備えることなく、複数の放射素子130が結合された状態の放熱カバー120をアンテナハウジング本体110の前端部側に移動させ、
図13Bに示すように、複数の締結ねじ105を放熱カバー120の縁端部に形成されたスクリュー貫通端125のスクリュー貫通ホールを介して貫通させた後、アンテナハウジング本体110の縁端部に形成されたスクリュー締結端115のスクリュー締結ホールに締結させる動作により放熱カバー120をアンテナハウジング本体110の前端に強固に結合させると、その全体的な組立が完了するのである。
【0107】
以下、上記のように構成される本発明の一実施例によるアンテナ装置100の放熱過程を簡略に説明する。
【0108】
アンテナハウジング本体110の内部空間113で発生したシステム熱のうち、メインボード140の背面に実装された給電制御関連部品(すなわち、発熱素子)から発生した熱は、アンテナハウジング本体110の内部面に形成された熱収容パターン117との表面熱接触により直接アンテナハウジング本体110の背面方向に熱伝達された後、アンテナハウジング本体110の背面に一体に形成された複数の放熱フィン111を介して後方放熱される。
【0109】
そして、アンテナハウジング本体110の内部空間113で発生したシステム熱のうち、メインボード140の前面と放熱カバー120との間に存在する熱は、金属材質で備えられた放熱カバー120の少なくともいずれか1つを介して前方に熱伝達されて、外気に直接露出した微細放熱凹凸部121のうち第1微細凹凸部121aを介するか、放射素子130の誘電体モールド材135を熱伝達媒介体として前方に放出される。
【0110】
また、アンテナハウジング本体110の内部空間113で発生したシステム熱のうち、PSUボード170のPSU素子から発生した熱は、放熱カバー120の背面に形成された放熱カバー熱収容部122との表面熱接触により直接放熱カバー120の前面方向に熱伝達された後、外気に直接露出した微細放熱凹凸部121のうち第2微細凹凸部121bを介して前方に放出される。
【0111】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、メインボード140と放熱カバー120との間で発生した熱は、放熱カバー120が配置された前方側および複数の放熱フィン111が配置された後方側に分岐して放出することにより、従来の、後方側にのみ集中放熱させていた放熱構造を改善できるという利点を有する。より詳しくは、放射素子130および放熱カバー120の後方に配置された発熱素子(例えば、PSUボード170のPSU素子)で発生した熱の少なくとも一部は、外気に露出した放射素子130および放熱カバー120の前面の少なくともいずれか1つを介してアンテナハウジング本体110の前方に放出するとともに、アンテナハウジング本体110の内部に配置された発熱素子(例えば、給電制御関連部品)で発生した熱の少なくとも一部は、アンテナハウジング本体110の背面に形成された複数の放熱フィン111を介在させてアンテナハウジング本体110の後方に放出することができる。
【0112】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ装置100は、従来の放射素子130を外部環境から保護するために必須の構成として存在していたレドームを削除することはもちろん、放射素子130から照射された電磁波の反射板の役割を放熱カバー120が代わりに担うことが可能なため、部品の縮小による製品の製造費用を節減することができ、各部品の占める前後方向の体積を低減可能なため、製品のスリム化設計が容易という利点を有する。
【0113】
以上、本発明の一実施例によるアンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した一実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、レドームおよび放射素子が実装される基板(PCB)などの構成を削除して製品の製造費用を節減し、アンテナハウジング本体の全方位にバランスよく放熱させることができるアンテナ装置を提供する。
【符号の説明】
【0115】
P:支柱ポール C:クランピング部
100:アンテナ装置 110:アンテナハウジング本体
111:複数の放熱フィン 113:内部空間
115:スクリュー締結端 117:熱収容パターン
119:ブラケット取付ボス 120:放熱カバー
121:微細放熱凹凸部 121a:第1微細凹凸部
121b:第2微細凹凸部 123:平坦取付部
125:スクリュー貫通端 127:フィード端子貫通ホール
129:位置設定突起 130:放射素子
131:パッチ板 132a、132b:フィード端子
133:突起圧入ホール 135:誘電体モールド材
139:突起貫通ホール 139:突起挿入ホール
140:メインボード 150:クラムシェルボード
160:RFフィルタ 165:入出力端子部
170:PSUボード 175:遮蔽板
180:給電フィーディングパネル 187:フィード接続ホール