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特許7597913成分別分離抽出が容易なデカンティングキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】成分別分離抽出が容易なデカンティングキット
(51)【国際特許分類】
   B04B 5/02 20060101AFI20241203BHJP
   B04B 11/04 20060101ALI20241203BHJP
   B04B 15/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B04B5/02 Z
B04B11/04
B04B15/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023509729
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 KR2021000951
(87)【国際公開番号】W WO2022158618
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】522108149
【氏名又は名称】ミラセル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MIRACELL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】3F,413,Eonju-ro Gangnam-gu Seoul 06222,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シン ヒョンスン
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1874548(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0008584(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1897979(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1864187(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
B01L 3/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離機を利用した遠心分離時、内部に盛られた試料が密度差によって成分別に濃縮分離されるように形成される遠心分離容器と、
前記遠心分離容器上部側に連携装着され、一定傾きで傾いた状態で前記遠心分離容器から分離された成分がデカンティングされるデカンティング容器と、
前記遠心分離容器内部に具備されて前記遠心分離容器の長さ方向に沿って移動し、遠心分離される試料の成分別密度差によって遠心分離された成分の境界に位置するプロッタと、
前記遠心分離容器内部に安着されて前記遠心分離容器の長さ方向に沿って移動するプロッタの移動距離を制限するためのインサートカバーと、
を含み、
前記遠心分離容器は、遠心分離対象になる試料が一定量貯蔵されて遠心分離時に試料が成分別に濃縮分離されるように内側に遠心分離チャンバが形成される遠心分離容器本体と、前記遠心分離容器本体の開口上端を密閉するが、前記遠心分離容器への試料注入のための注入ポートと試料注入時空気が排出される通気ポート及び遠心分離された成分が排出される排出部が具備される遠心分離容器覆いと、前記遠心分離容器本体と前記遠心分離容器覆い間に介在されて内部を密閉するための第1パッキングリングとを含み、
前記遠心分離容器本体は、本体の上端から外側に形成されて遠心分離容器覆いがホック結合されるフランジと、前記フランジの内側に形成されて前記遠心分離容器覆いと本体のシーリングのための第1パッキングリングが安着されるリング段顎と、前記リング段顎の内側に形成されて前記遠心分離容器覆い内側と同一内周面を形成するための結合溝で形成され、
前記遠心分離容器覆いは、前記フランジの外周面にホック結合される覆い側面が具備される遠心分離容器覆い本体と、前記覆い側面の内側に形成されて前記フランジと前記第1パッキングリングが安着されるリング安着溝と、前記結合溝に挿入されて前記遠心分離容器本体内周面のような内周面を形成するための結合段顎と、前記遠心分離された試料が前記遠心分離容器本体の内周面と一定区間同じ案内面を形成しながらデカンティング容器側にデカンティングされるように上部側に突き出形成される排出部とを含み、
前記デカンティング容器は、前記遠心分離容器から排出された成分が分離移動貯蔵されるように内側にデカンティングチャンバが形成されるデカンティング容器本体と、前記デカンティング容器本体の開口上端を密閉するが、前記デカンティング容器本体からの成分抽出が可能になるように排出ポートと通気ポートが形成されたデカンティング容器覆いで構成され、
前記デカンティング容器本体の一側には、前記遠心分離容器本体の排出部から排出される密度が低い成分が流れるように前記排出部のような案内面を有する流入部が形成され、
前記排出部は、前記覆い本体で一定距離上部に延長されて形成される一定形状の上部フランジと、前記上部フランジから上部側に延長されて内側に段顎が形成される覆い結合段顎と、覆い結合段顎の内部に形成される一定形状の排出口で構成され、
前記流入部は、前記排出部の覆い結合段顎に安着されて前記排出口のような案内面を有する流入口と、前記覆い結合段顎の外側と第2パッキングリングをくるんで前記上部フランジにホック結合される一定形状の結合ホックとを含み、
前記覆い結合段顎の外側と前記結合ホックとの間に介されて前記排出部と前記流入部をシーリングする第2パッキングリングを含むことを特徴とする成分別分離抽出が容易なデカンティングキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分別分離抽出が容易なデカンティングキットに関するものであり、より詳細には、遠心分離機を利用した血液の成分分離において、密度差によって濃縮分離された特定成分の選択的抽出が容易になるようにした成分別分離抽出が容易なデカンティングキットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
浮遊物(floating material)がある懸濁液(suspension)をそっとしておくと、密度が高い物質は重力の影響で徐徐に底に沈んで密度が低い物質は徐徐に上層部に移動するようになるが、このような過程を沈澱(sediment)という。
【0003】
このように、密度差がある物質がまじれば沈澱現象が発生するようになって、時間が経てば混合物を密度差によって分離し出すことができる。すなわち、混合物どうしの密度差は混合物を分離してくれる力である重力が強まるほど大きくなるので、人為的に重力を高めれば沈澱現象を加速することができる。
【0004】
したがって、重力の代わりに遠心力を利用すれば、易しく沈澱現象を加速させることができるが、このような過程を遠心分離(centrifugation)と言う。これに関連した遠心分離機(centrifugalseparator)は上述した遠心分離の原理を利用して成分や比重(密度差)が他の物質を分離、精製、濃縮することに使用される機器として、使用目的によって医療用、廃水処理用、ウラン濃縮用、生産用、実験用で分離することができる。
【0005】
このうちで、医療用遠心分離機は血液、尿、唾液などの分析のための構成成分分離の目的もあるが、血小板強化血漿抽出などの目的としても使用する。ここで、前記血小板強化血漿(platelet-rich plasma:PRP)は骨髄や血液のような複合流体(以下、“試料”と称する)の遠心分離で得ることができるし、一般骨髄や血液より血小板が豊かな高濃縮(highly enrichment)血漿成分を意味するが、多くの成長因子を含んでいて傷治癒と損傷部位を再生再建する作用をする。仮に、靭帯・軟骨などの損傷部位に注射して損傷された部分を再建させる目的で使用され、自分の骨髄または血液を使用することであるので、副作用がなくて治療効果も早い。
【0006】
一方、前で説明した遠心分離機は、遠心分離の対象になる試料の量、回転速度、ローター(rotor)の類型などによってさまざまな形態で区分され、前記ローター回転運動の遠心力で試料の構成成分を分離回収するための遠心分離容器を含む。
【0007】
このような技術的思想を基盤で、大韓民国公開特許公報第10-2007-0026316号を通じて、流体性生物学的物質を遠心分離及び処理するための使い捨て容器が開示されたことがあるが、容器内に遠心分離された成分のうちで特定成分のみを選択的に抽出することにおいて、覆いからつながって容器内の底まで至るように単純具備された第3キャノーラ(ホース)に注射針をさして成分を吸入抽出する過程に基づいて遠心分離された成分が前記容器内部の一空間(chamber)に多層を成す関係上、前記注射器を利用した吸入抽出(吸入)途中の容器内の試料含量変化(試料淡水位低下)によって遠心分離されていた成分が再び混合される現象が誘発され、その状態で抽出されるしかないため特定成分だけ完壁に抽出するのに限界が後を追った。
【0008】
また、前記覆いと容器間の結合時接着剤を使用して来たため、遠心分離容器の組み立て及び製作が容易でない問題点があって、併せて、試料注入ポートと抽出ポートが単純にゴム素材で形成されているだけであるので、注射針を正確な位置に浸透させた状態で試料を注入または分離した成分を区分抽出することが容易でない問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前記のような諸般問題点を解決するためのものであり、試料を遠心分離機の作動によるローター回転による遠心力と成分別比重の差を利用して分離することにおいて、成分別密度差を利用した構成成分の分離が正確になるようにするとともに分離された成分のうちで特定成分の抽出が完璧でありながらも容易で迅速になされるようにする成分別分離抽出が容易なデカンティングキットを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、試料の成分別濃縮分離のための遠心分離容器と濃縮分離された成分のうちで密度が低い特定成分が分離貯蔵される成分回収容器を相互分解組み立てが可能な構造で成して、試料の成分別濃縮分離及び選択的抽出回収と併せて、保管が容易になることによる試料の遠心分離はもちろん特定成分抽出の作業効率が大きく向上されるようにする成分別分離抽出が容易なデカンティングキットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した目的を達成するために本発明は、遠心分離機を利用した遠心分離時、内部に盛られた試料が密度差によって成分別に濃縮分離されるように形成される遠心分離容器と、前記遠心分離容器上部側に連携装着され、一定傾きで傾いた状態で前記遠心分離容器から分離された成分がデカンティングされるデカンティング容器と、前記遠心分離容器内部に具備されて前記遠心分離容器の長さ方向に沿って移動し、遠心分離される試料の成分別密度差によって遠心分離された成分の境界に位置するプロッタと、前記遠心分離容器内部に安着されて前記遠心分離容器の長さ方向に沿って移動するプロッタの移動距離を制限するためのインサートカバーと、を含むことを特徴とする成分別分離抽出が容易なデカンティングキットを提供する。
【0012】
本発明で遠心分離容器は、遠心分離対象になる試料が一定量貯蔵されて遠心分離時試料が成分別に濃縮分離されるように内側に遠心分離チャンバが形成される遠心分離容器本体と、前記遠心分離容器本体の開口上端を密閉するが、前記遠心分離容器への試料注入のための注入ポートと試料注入時空気が排出される通気ポート及び遠心分離された成分が排出される排出部が具備される遠心分離容器覆いと、前記遠心分離容器本体と前記遠心分離容器覆いの間に介されて内部を密閉するための第1パッキングリングでなされて、前記遠心分離容器本体は、本体の上端から外側に形成されて遠心分離容器覆いがホック結合されるフランジと、前記フランジの内側に形成されて前記遠心分離容器覆いと本体のシーリングのための第1パッキングリングが安着されるリング段顎と、前記リング段顎の内側に形成されて前記遠心分離容器覆い内側と同一内周面を形成するための結合溝で形成され、前記遠心分離容器覆いは、前記フランジの外周面にホック結合される覆い側面が具備される遠心分離容器覆い本体と、前記覆い側面の内側に形成されて前記フランジと前記第1パッキングリングが安着されるリング安着溝と、前記結合溝に挿入されて前記遠心分離容器本体内周面のような内周面を形成するための結合段顎と、前記遠心分離された試料が前記遠心分離容器本体の内周面と一定区間同じ安内面を形成しながらデカンティング容器側にデカンティングされることができるように上部側に突き出形成される排出部でなされることを特徴とする。
【0013】
本発明でデカンティング容器は、遠心分離容器から排出された成分が分離移動貯蔵されるように内側にデカンティングチャンバが形成されるデカンティング容器本体と、前記デカンティング容器本体の開口上端を密閉するが、前記デカンティング容器本体からの成分抽出が可能になるように排出ポートと通気ポートが形成されたデカンティング容器覆いで構成されるが、前記デカンティング容器本体の一側には、前記遠心分離容器本体の排出部から排出される密度が低い成分が流れるように前記排出部のような安内面を有する流入部が形成され、前記排出部は、前記覆い本体で一定距離上部に延長されて形成される一定形状の上部フランジと、前記上部フランジから上部側に延長されて内側に段顎が形成される覆い結合段顎と、覆い結合段顎の内部に形成される一定形状の排出口で構成され、前記流入部は、前記排出部の覆い結合段顎に安着されて前記排出口のような安内面を有する流入口と、前記覆い結合段顎の外側と第2パッキングリングをくるんで前記上部フランジにホック結合される一定形状の結合ホックでなされて、前記覆い結合段顎の外側と前記結合ホックの間に介されて前記排出部と前記流入部をシーリングする第2パッキングリングでなされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットは、遠心分離容器によって試料の構成成分を成分別に濃縮分離して成分回収容器を利用した特定成分の分離貯蔵ができることによって、試料の成分分離過程及び特定成分の選択的抽出過程がより容易になる効果を有する。
【0015】
また、本発明は遠心分離容器内から上下に移動するプロッタの移動距離を制限することで、不必要な成分が抽出成分に含まれないようにできるため特定成分だけの抽出が完璧になされる効果を有する。
【0016】
また、本発明は自家骨髄治療術及び自己血治療術などに使用される血液または骨髄から所望の成分のみを分離することができるし、分離された成分(血小板強化血漿など)を利用した治療効果を高めるなどの医学的成果をおさめることができることは勿論であり、これと関した医療産業分野の発展に大きく寄与することができるとても有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットの斜視図である。
図2】本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットの遠心分離容器の分解斜視図である。
図3】本発明による遠心分離容器覆いの底面斜視図である。
図4】本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットのデカンティング容器の分解斜視図である。
図5】本発明によるデカンティング容器の底面側から見た斜視図である。
図6】本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットの切断面図である。
図7】本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットの作動図である。
図8-9】本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットの遠心分離機ローターの作動を例示した例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施のための最善の形態は、遠心分離機を利用した遠心分離時、内部に盛られた試料が密度差によって成分別に濃縮分離されるように形成される遠心分離容器と、前記遠心分離容器上部側に連携装着され、一定傾きで傾いた状態で前記遠心分離容器から分離された成分がデカンティングされるデカンティング容器と、前記遠心分離容器内部に具備されて前記遠心分離容器の長さ方向に沿って移動し、遠心分離される試料の成分別密度差によって遠心分離された成分の境界に位置するプロッタと、前記遠心分離容器内部に安着されて前記遠心分離容器の長さ方向に沿って移動するプロッタの移動距離を制限するためのインサートカバーと、を含んでなされる。
【0019】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者が本発明を容易に実施することができる程度に本発明の望ましい実施例を添付された図面を参照して詳細に説明する。まず、図面の構成要素に参照符号を付け加えることにおいて、等しい構成要素に対してはたとえ他の図面上に表示されても可能な限り同一な符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明することにおいて、関連される公知構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を濁すことがあると判断される場合、その詳細な説明は略する。
【0020】
図1は、本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットの斜視図であり、図2は本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットの遠心分離容器の分解斜視図であり、図3は本発明による遠心分離容器覆いの底面斜視図であり、図4は本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットのデカンティング容器の分解斜視図であり、図5は本発明によるデカンティング容器の底面側から見た斜視図であり、図6は本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットの切断面図であり、図7は本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットの作動図であり、図8及び図9は本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキットの遠心分離機ローターの作動を例示した例示図である。
【0021】
図1に示されたように、本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキット1は、遠心分離機を利用した遠心分離時内部に盛られた試料が密度差によって成分別に濃縮分離される遠心分離容器10と、遠心分離容器10一側上部に連携装着されて遠心分離時の遠心力によって水平に近く傾いた状態になった遠心分離容器10から流出される成分が分離貯蔵されるデカンティング容器20を含んで構成される。
【0022】
図8を参照して遠心分離機3を説明する。遠心分離機3は、血液から血球と血漿を分離するか、または骨髄から幹細胞を分離するとともに複合流体(以下、“試料”と称する)から特定成分のみを分離及び回収する目的で使用する機器であり、図8及び図9に示されたように、装置駆動時水平回転するローター2が内部に設置され、デカンティングキット1が収容装着された状態でローター2の回転時ともに回転する複数のバケット(bucket、2-1)が具備されている。
【0023】
また、バケット(2-1)まわり部一側には、図9に示されたように、デカンティングキット1内部をのぞき見るか、または裏側の荷重を減らすためのホール(2-2)が形成される。
【0024】
デカンティングキット1は、試料の成分別濃縮分離のための貯蔵媒体になるものであり、遠心分離の対象になる試料を一定量盛っておくことができるし、遠心分離時その試料が成分別に濃縮分離される遠心分離チャンバ14が設けられた遠心分離容器本体11と、遠心分離容器本体11の開口上端を密閉するが、遠心分離チャンバ14への試料注入が可能な遠心分離容器覆い12と、遠心分離容器本体11内部に具備されて遠心分離される試料の成分別密度差に基づいて各成分の境界に位置するように遠心分離容器本体11の長さ方向に沿って移動するプロッタ13と、プロッタ13の上下移動を制限するために遠心分離容器本体11の内側遠心分離チャンバ14内に安着されるインサートカバー15で構成される。
【0025】
図2に示されたように、遠心分離容器10は、遠心分離容器本体11と、遠心分離容器本体11の上端から外側に形成されて遠心分離容器覆い12がホック結合されるフランジ114と、フランジ114の内側に形成されて遠心分離容器覆い12と遠心分離容器本体11のシーリングのための第1パッキングリング30aが安着されるリング段顎1113と、リング段顎113の内側に形成されて遠心分離容器覆い12内側と同一内周面を形成するための結合溝112で構成され、遠心分離容器本体11の上端111がリング段顎113とともに結合溝112を構成する。また、フランジ114のある一側には遠心分離容器覆い12の結合位置を固定するための締結固定溝116が形成される。締結固定溝116は遠心分離容器覆い12に形成された締結固定突起121-2が挿入されながら覆い12の装着位置を固定することができる。
【0026】
図2及び図3に示されたように遠心分離容器覆い12は、フランジ114の外周面にホック結合される覆い側面121-1が具備された遠心分離容器覆い本体121と、覆い側面121-1の内側に形成されてフランジ114と第1パッキングリング30aが安着されるリング安着溝129と、結合溝112に挿入されて遠心分離容器本体の内周面のような内周面を形成するための結合段顎127と、遠心分離容器本体11の内周面と一定区間同じ内面を形成して遠心分離された成分がデカンティング容器20側でデカンティングされることができるように上部側に突き出形成される排出部125でなされる。排出部125は、遠心分離容器本体11の内周面と一定区間同じ内面を形成する案内板125-1と、案内板125-1によって形成される一定形状の排出口125-2と、遠心分離容器覆い本体121で一定距離上部に延長されて形成される上部フランジ125-3と、上部フランジ125-3で上部に一定距離延長されて内側に段顎を形成する覆い結合段顎125-4で構成される。案内板125-1は遠心分離容器本体11の内周面と一定区間同じ内面で形成し、遠心分離された特定試料が易しくデカンティング容器20に移動するように流路を形成する。遠心分離容器覆い12には注入ポート126と通気ポート122が設けられ、注入ポート126を通じて試料が遠心分離容器のチャンバ14内に注入され、注入ポート126を通じて試料が注入される場合通気ポート122を通じて空気が外部に排出されるようにする。
【0027】
図4図5は、デカンティング容器20を示している。デカンティング容器20は遠心分離容器10から排出された成分が分離移動貯蔵されるように内側にデカンティングチャンバ23が形成されるデカンティング容器本体21と、デカンティング容器本体21の開口上端を密閉するが、デカンティング容器本体21からの成分抽出が可能になるように排出ポート221と通気ポート222が形成されたデカンティング容器覆い22で構成される。デカンティング容器本体21にはデカンティングチャンバ213と流入部211が設けられる。流入部211は、上部フランジ125-3にホック結合される外側案内板211-1と、案内板125-1と等しく形成される内側案内板211-2と、外側案内板211-1と内側案内板211-2によって形成される流入結合溝211-4と、内側案内板211-2によって形成される流入口211-3でなされる。内側案内板211-2は覆い結合段顎125-4に安着され、覆い結合段顎125-4の外側面と外側案内板211-1の間には第2パッキングリング30bが介される。流入口211-3を経ってデカンティングチャンバ213に入って行く部分は、鈍顎214が形成されて遠心分離された成分がやんわりとデカンティングチャンバ213に移動するようにする。デカンティングチャンバ213は両側で一定角度で下向き形成される傾斜面218と、傾斜面218を通過した遠心分離された成分が貯蔵される貯蔵溝219によってチャンバが形成される。デカンティング容器21の上端には一定長さ上部に延長される延長端216と、延長端の外側面に形成されるデカンティングフランジ217が具備される。
【0028】
デカンティング容器覆い22は、デカンティング容器覆い本体221と、デカンティング容器覆い本体221から下部に延長されてフレームを形成する外側面部223と、デカンティング容器覆い本体221に形成される抽出ポート222と通気ポート224でなされる。デカンティング容器覆い本体の外側面部223はデカンティングフランジ217にホック結合されるが、デカンティングフランジ217に結合される外側面部223と延長端216との間には密閉のための第3パッキングリング30cが介される。
【0029】
プロッタ(floater)13は、遠心分離容器本体11内部で成分別に濃縮分離された試料各成分の境界を通じて沈澱成分と浮遊成分がお互いに混合されないようにするためのものであり、図6に示されたように、プロッタ13はバスケット(basket)またはプレート(plate)形態などで構成されることができる。遠心分離容器本体11プロッタの底板との十分な隙間が形成されるようにして遠心分離時遠心分離チャンバ14下側に密度が高い成分の沈澱が容易であるようにするために複数の足場132がプロッタ底板底面に突き出形成され、プロッタの底板中央には遠心分離時密度の高い成分が通過して底板の底面に沈澱されることができるように通孔131が貫通形成される。
【0030】
また、通孔131底板上面中央部には、通孔131を通じた成分の沈澱は容易な反面、沈澱成分の逆流は遮断する鈍顎部133が突き出形成されていて、通孔131の上端部には密度が高い成分の排出を円滑にする拡管部がさらに形成されることができる。
【0031】
前記のような構成でなされる本発明による成分別分離抽出が容易なデカンティングキット1の作用を具体的に説明すれば次のようである。
【0032】
先ず、注射器を利用して患者から採取した血液または骨髄のような試料の成分別分離のために前記注射器に盛られた試料を遠心分離容器10に移して盛る。
【0033】
もっと詳しくは、前記遠心分離容器10の覆い12に形成された注入ポート部126を通じて遠心分離容器本体11内の遠心分離チャンバ14に注入する。
【0034】
試料が遠心分離容器本体11に注入される場合、遠心分離チャンバ14にとどまっていた空気は遠心分離容器覆い12に形成された通気ポート122を通じて外部に排出されることによって遠心分離容器本体11の内部圧力が一定に維持される。
【0035】
次に、図8乃至図9に示されたように、本発明のデカンティングキット1を遠心分離機3のローター2にヒンジ結合されたそれぞれのバケット2-1に収容装着後遠心分離機3を駆動させ、ローター2が水平回転されるようにすることを通じて遠心分離容器本体11の遠心分離チャンバ14に盛られた試料の構成成分が遠心力によって密度が低いものから高い順に分離される。
【0036】
例えば、血液の場合遠心分離容器本体11の遠心分離チャンバ14内でプロッタ13を基準でプロッタ13の下部には密度が高い成分である血球が濃縮分離され、プロッタ13の上部には密度が低い血漿が濃縮分離される。プロッタ13は密度が異なる成分によって浮力を受けて長さ方向に沿って移動するようになる。
【0037】
このような過程で試料が成分別に分離される途中、各成分の密度差によってプロッタ13は遠心分離容器本体11の長さ方向に沿って移動(浮揚)して密度が高い成分と低い成分の境界に位置するようになる。但し、プロッタ13はインサートカバー15によって長さ方向に沿って移動することが制限を受けるようになって、インサートカバー15の存在でプロッタ13は一定の量の成分のみを分離し出すことができるようになって、分離の効率を増加させることができる。
【0038】
前述したところのような遠心分離機3の作動によってローター2が回転しながら遠心分離容器11の試料が遠心分離され、遠心分離機の作動が止まれば別途の角度維持手段(図示せず)によって遠心分離容器11がバケット2-1と併せて、一定角度に傾いた状態になるように作動し、それによって遠心分離チャンバ14のプロッタ13上部側にある成分がデカンティング容器20に流れ込むようになる。プロッタ13上部の成分がすべてデカンティング容器20に流れ込むようになれば、角度維持手段はバケット2-1を元の状態に復帰させるようになって、デカンティングが仕上げされる。
【0039】
次に、デカンティングキット1のデカンティング容器20から分離された成分を抽出するようになるが、分離された成分を抽出するためには抽出ポート222を通じて注射器で抽出する。
【0040】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであり、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者なら本発明の本質的な特性から脱しない範囲内で、図8に示されたように、多様な修正と変更及び置き換えが可能であろう。よって、本発明に開示された実施例及び添付された図面は本発明の技術思想を限定するためではなく説明するためのものであり、このような実施例及び添付された図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は下の特許請求範囲によって解釈されなければならないし、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれることで解釈されなければならないであろう。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、成分別分離抽出が容易なデカンティングキットに関するものであり、遠心分離機を利用した血液の成分分離において、密度差によって成分別、特に、幹細胞の選択的抽出が容易になるようにした成分別分離抽出が容易なデカンティングキットに関するものであり、産業上利用可能性が大きい発明である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9