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特許7597922物理層プロトコル・データ・ユニットの送信におけるピーク対平均電力比を低減する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】物理層プロトコル・データ・ユニットの送信におけるピーク対平均電力比を低減する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20241203BHJP
   H04W 80/02 20090101ALI20241203BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241203BHJP
【FI】
H04L27/26 200
H04W80/02
H04W84/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023521417
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2021141003
(87)【国際公開番号】W WO2022143433
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/141894
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/102908
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シロ,シモン
(72)【発明者】
【氏名】レッドリッチ,オデッド
(72)【発明者】
【氏名】ツォディク,ジェナダィ
(72)【発明者】
【氏名】ユイ,ジエン
(72)【発明者】
【氏名】ガン,ミーン
(72)【発明者】
【氏名】メルザー,エザー
(72)【発明者】
【氏名】エズリ,ドロン
(72)【発明者】
【氏名】レビンブック,ヨアブ
(72)【発明者】
【氏名】ホゥ,ムオンシー
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】Sameer Vermani (Qualcomm),Proposed Draft Text (PDT-PHY): An update to Preamble: U-SIG,IEEE 802.11-20/1875r1,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-1875-01-00be-pdt-phy-update-to-preamble-u-sig.docx>,2020年11月19日
【文献】Tianyu Wu (Apple),Minutes 802.11 be PHY ad hoc Telephone Conferences, Nov 2020 - Jan 2021,IEEE 802.11-20/1767r3,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-1767-03-00be-minutes-for-tgbe-phy-ad-hoc-cc-nov-2020-to-jan-2021.docx>,2020年11月20日,p.30
【文献】Sameer Vermani (Qualcomm),Proposed Draft Text (PDT-PHY): An update to Preamble: U-SIG,IEEE 802.11-20/1875r2,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-1875-02-00be-pdt-phy-update-to-preamble-u-sig.docx>,2020年11月20日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04W 80/02
H04W 84/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUを1つ以上の受信デバイスへ送信する通信デバイスであって、前記通信デバイスは:
第1のPPDUにおいてトリガー・フレームを受信するステップ;
前記第1のPPDUにおけるユニバーサル信号U-SIGフィールドの無視ビットのシーケンスを取得するステップであって、前記無視ビットのシーケンスは0に設定されたビットを少なくとも前記シーケンスのエッジにんでいる、ステップ;及び
前記無視ビットのシーケンスを、第2のPPDUのU-SIGフィールドにコピーするステップを行うように構成されたプロセッサ;及び
前記第2のPPDUを送信するように構成された送信機であって、前記第2のPPDUは前記無視ビットのシーケンスを含む、送信機;
を含む通信デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の通信デバイスであって、前記U-SIGフィールドは、少なくとも第1のU-SIGシンボルと第2のU-SIGシンボルを含む、通信デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の通信デバイスであって、前記プロセッサは、{11111111110,11111011110,01111111110}というセット内のシーケンスの1つを取得することによって、前記無視ビットのシーケンスを取得するように構成されている、通信デバイス。
【請求項4】
物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUを1つ以上の通信デバイスへ送信するアクセス・ポイントであって、前記アクセス・ポイントは:
トリガー・フレームのフィールドを、0に設定されたビットを少なくともエッジに含むシーケンスに設定するように構成されたプロセッサ;及び
前記PPDUを前記1つ以上の通信デバイスへ送信するように構成された送信機であって、前記PPDUは前記トリガー・フレームの前記フィールドを含み、前記トリガー・フレームの前記フィールドは、前記1つ以上の通信デバイスにより、ユニバーサル信号U-SIGシーケンスの無視ビットにコピーされるように設定されている、送信機;
を含むアクセス・ポイント。
【請求項5】
請求項4に記載のアクセス・ポイントにおいて、前記プロセッサは、前記フィールドを、{11111111110,11111011110,01111111110}というセット内のシーケンスの1つに設定することによって、前記トリガー・フレームの前記フィールドを設定するように構成されている、アクセス・ポイント。
【請求項6】
物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUを通信デバイスにおいて送信する方法であって、前記方法は:
第1のPPDUにおいてトリガー・フレームを受信するステップ;
前記第1のPPDUにおけるユニバーサル信号U-SIGフィールドの無視ビットのシーケンスを取得するステップであって、前記無視ビットのシーケンスは0に設定されたビットを少なくとも前記シーケンスのエッジにんでいる、ステップ;
前記無視ビットのシーケンスを、第2のPPDUのU-SIGフィールドにコピーするステップ;及び
前記第2のPPDUを送信するステップであって、前記第2のPPDUは前記無視ビットのシーケンスを含む、ステップ;
を含む方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記U-SIGフィールドは、少なくとも第1のU-SIGシンボルと第2のU-SIGシンボルを含む、方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の方法であって、前記無視ビットのシーケンスを取得するステップは、{11111111110,11111011110,01111111110}というセット内のシーケンスの1つを取得するステップを含む、方法。
【請求項9】
物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUをアクセス・ポイントにおいて送信する方法であって、前記方法は:
トリガー・フレームのフィールドを、0に設定されたビットを少なくともエッジに含むシーケンスに設定するステップ;及び
前記PPDUを1つ以上の通信デバイスへ送信するステップであって、前記PPDUは前記トリガー・フレームの前記フィールドを含み、前記トリガー・フレームの前記フィールドは、前記1つ以上の通信デバイスにより、ユニバーサル信号U-SIGシーケンスの無視ビットにコピーされるように設定されている、ステップ;
を含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記無視ビットのシーケンスを取得するステップは、{11111111110,11111011110,01111111110}というセット内のシーケンスの1つを取得するステップを含む、方法。
【請求項11】
プロセッサ実行可能な命令を記憶した機械読み取り可能な記憶媒体であって、前記命令は、デバイスのプロセッサにより実行されると、請求項6ないし10のうちの何れか1項に記載の方法を前記デバイスに実行させる、記憶媒体。
【請求項12】
コンピュータ読み取り可能な命令を含むコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ読み取り可能な命令は、請求項6ないし10のうちの何れか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システム、より具体的には、物理層プロトコル・データ・ユニット(PPDU)のユニバーサル信号(U-SIG)フィールドにおけるピーク対平均電力比(PAPR)を低減するためのシステム及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
U-SIGフィールドは、IEEE標準802.11 be(情報技術に関する規格--2021年5月付けのローカル及びメトロポリタン・エリア・ネットワークのシステム間における通信及び情報交換)において、標準化バージョン(802.11 be以降)、帯域幅、超高スループットEHT信号(EHT-SIG)シンボルの数などのさまざまな重要なパラメータに関する情報を、全ての受信機へ伝えるために使用されている。受信機は、アクセス・ポイント(AP)及び/又はステーション(STA)の両方を含む。U-SIGは、2つの直交周波数分割多重化(OFDM)シンボルで構成され、各OFDMシンボルは26個の情報ビットを含む。
【0003】
標準802.11 beはリリース1とリリース2の2つのリリースに分かれており、リリース2は研究中であり、U-SIGフィールド内の一部のビットは予約されている。これらの予約ビットを2つのタイプに分ける合意が存在する:
- 検証ビット - パケットの受信を継続するか又は受信を終了するかを決定するために受信機によって使用される。例えば、リリース1の受信機は、そのパケットがリリース2の受信機のために意図されており、従って受信を終了することができることを理解する可能性がある。
- 無視ビットのシーケンス - 「気にしない(don’t care)」ものとして定義され、典型的には受信機によって度外視される。
【0004】
検証ビットと無視ビットのシーケンスの両方が、リリース2の中で他の目的に使用される可能性がある。
トリガー・ベース(TB)PPDUにおいて、無視ビットのシーケンスは、トリガー・フレームからコピーされる。このトリガー・フレームはAPによって送信され、STAが送信を開始できること、及びそれらの送信に関連する情報(例えば、送信する場所、使用する変調方式など)をSTAに指示する。
【0005】
無視ビットのシーケンスは、TB PPDUのパフォーマンスの問題を引き起こす可能性がある。例えば、全ての無視ビットが1に設定されている場合、U-SIGフィールド全体の不必要に高いPAPRをもたらすことになり、これは、送信するSTAが、電力増幅器のバックオフを増やすことを要求し、このことは送信電力を低下させる。STAがバックオフを増加させない場合、高いPAPRは、送信される信号に歪を生じさせる可能性がある(時間ドメイン信号のクリッピングなどに起因する)。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、TB PPDUを送信するためのPAPR、特にU-SIGフィールドのPAPRを削減するための方法及び装置を提供し、それによってPPDUの送信パフォーマンスを向上させることである。
【0007】
前述の及びその他の目的は、独立クレームの特徴によって達成される。更なる実装形態は、従属クレーム、明細書及び図面から明らかになる。
【0008】
本開示の第1の態様によれば、物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUを、1つ以上の受信デバイスへ送信する通信デバイスが開示される。通信デバイスは、第1のPPDUにおいてトリガー・フレームを受信し、第1のPPDUにおけるユニバーサル信号U-SIGフィールドの無視ビットのシーケンスを取得するように構成されたプロセッサを含む。無視ビットのシーケンスは、0に設定された少なくとも1つのビットを含み、第2のPPDUのU-SIGフィールドにコピーされる。通信デバイスは、第2のPPDUを送信するように構成された送信機を更に含み、ここで、第2のPPDUは無視ビットのシーケンスを含む。0に設定された少なくとも1つのビットを含む無視ビットのシーケンスを使用することで、低減されたピーク対平均電力比(PAPR)を達成することを可能にし、それによってSTAが電力増幅器のバックオフを増加させることを控えるようにし、より高い効率で送信することを可能にする。あるいは、STAの送信、特にU-SIGフィールドの送信が、高いPAPR(例えば、クリッピングに起因するもの)によって引き起こされる歪を被る確率を低減する。
【0009】
第1の態様の更なる実装において、U-SIGフィールドは、少なくとも第1のU-SIGシンボルと第2のU-SIGシンボルを含む。
【0010】
第1の態様の更なる実装において、プロセッサは、{11111111110,11111011110,01111111110}というセット内のシーケンスの1つを取得することによって、無視ビットのシーケンスを取得するように構成されている。このセット内のシーケンスの内の何れかを無視ビットのシーケンスとして使用することで、よりいっそう低減されたピーク対平均電力比(PAPR)を達成することを可能にし、それによってSTAが電力増幅器のバックオフを増加させることを控えるようにし、より高い効率で送信することを可能にする。あるいは、STAの送信、特にU-SIGフィールドの送信が、高いPAPR(例えば、クリッピングに起因するもの)によって引き起こされる歪を被る確率を低減する。
【0011】
本開示の第2の態様によれば、物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUを1つ以上の通信デバイスへ送信するアクセス・ポイントが開示される。アクセス・ポイントは、トリガー・フレームのフィールドを、少なくとも1つの0を含むシーケンスに設定するように構成されたプロセッサを含む。アクセス・ポイントは、PPDUを1つ以上の通信デバイスへ送信するように構成された送信機を更に含み、PPDUはトリガー・フレームのフィールドを含み、トリガー・フレームのフィールドは、1つ以上の通信デバイスにより、ユニバーサル信号U-SIGシーケンスの無視ビットにコピーされるように設定されている。
【0012】
第2の態様の更なる実装において、トリガー・フレームのフィールドは、例えば、特別なユーザー情報フィールドであってもよい。
【0013】
第2の態様の更なる実装において、アクセス・ポイントのプロセッサは、フィールドを、{11111111110,11111011110,01111111110}というセット内のシーケンスの1つに設定することによって、トリガー・フレームのフィールドを設定するように構成されている。このセット内のシーケンスの内の何れかを無視ビットのシーケンスとして使用することで、よりいっそう低減されたピーク対平均電力比(PAPR)を達成することを可能にし、それによってSTAが電力増幅器のバックオフを増加させることを控えるようにし、より高い効率で送信することを可能にする。あるいは、STAの送信、特にU-SIGフィールドの送信が、高いPAPR(例えば、クリッピングに起因するもの)によって引き起こされる歪を被る確率を低減する。
【0014】
本開示の第3の態様によれば、物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUを通信デバイスにおいて送信する方法が開示される。方法は、第1のPPDUにおいてトリガー・フレームを受信するステップ;及び、第1のPPDUにおけるユニバーサル信号U-SIGフィールドの無視ビットのシーケンスを取得するステップであって、無視ビットのシーケンスは0に設定された少なくとも1つのビットを含む、ステップを含む。更に、方法は、無視ビットのシーケンスを、第2のPPDUのU-SIGフィールドにコピーするステップ;及び、無視ビットのシーケンスを含む第2のPPDUを送信するステップを含む。0に設定された少なくとも1つのビットを含む無視ビットのシーケンスを使用することで、低減されたピーク対平均電力比(PAPR)を達成することを可能にし、それによってSTAが電力増幅器のバックオフを増加させることを控えるようにし、より高い効率で送信することを可能にする。あるいは、STAの送信、特にU-SIGフィールドの送信が、高いPAPR(例えば、クリッピングに起因するもの)によって引き起こされる歪を被る確率を低減する。
【0015】
第3の態様の更なる実装において、U-SIGフィールドは、少なくとも第1のU-SIGシンボルと第2のU-SIGシンボルを含む。
【0016】
第3の態様の更なる実装において、無視ビットのシーケンスを取得するステップは、{11111111110,11111011110,01111111110}というセット内のシーケンスの1つを取得するステップを含む。このセット内のシーケンスの内の何れかを無視ビットのシーケンスとして使用することで、よりいっそう低減されたピーク対平均電力比(PAPR)を達成することを可能にし、それによってSTAが電力増幅器のバックオフを増加させることを控えるようにし、より高い効率で送信することを可能にする。あるいは、STAの送信、特にU-SIGフィールドの送信が、高いPAPR(例えば、クリッピングに起因するもの)によって引き起こされる歪を被る確率を低減する。
【0017】
本開示の第4の態様によれば、物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUをアクセス・ポイントにおいて送信する方法が開示される。方法は、トリガー・フレームのフィールドを、少なくとも1つの0を含むシーケンスに設定するステップ;及び、PPDUを1つ以上の通信デバイスへ送信するステップであって、PPDUはトリガー・フレームのフィールドを含み、トリガー・フレームのフィールドは、1つ以上の通信デバイスにより、ユニバーサル信号U-SIGシーケンスの無視ビットにコピーされるように設定されている、ステップを含む。0に設定された少なくとも1つのビットを含む無視ビットのシーケンスを使用することで、低減されたピーク対平均電力比(PAPR)を達成することを可能にし、それによってSTAが電力増幅器のバックオフを増加させることを控えるようにし、より高い効率で送信することを可能にする。あるいは、STAの送信、特にU-SIGフィールドの送信が、高いPAPR(例えば、クリッピングに起因するもの)によって引き起こされる歪を被る確率を低減する。
【0018】
第4の態様の更なる実装において、無視ビットのシーケンスを取得するステップは、{11111111110,11111011110,01111111110}というセット内のシーケンスの1つを取得するステップを含む。このセット内のシーケンスの内の何れかを無視ビットのシーケンスとして使用することで、よりいっそう低減されたピーク対平均電力比(PAPR)を達成することを可能にし、それによってSTAが電力増幅器のバックオフを増加させることを控えるようにし、より高い効率で送信することを可能にする。あるいは、STAの送信、特にU-SIGフィールドの送信が、高いPAPR(例えば、クリッピングに起因するもの)によって引き起こされる歪を被る確率を低減する。
【0019】
本開示の第5の態様によれば、プロセッサ実行可能命令を格納した機械読み取り可能な記憶媒体が開示される。デバイスのプロセッサによって実行されると、当該命令は、開示された何れかの方法に従う方法をデバイスに実施させる。
【0020】
本開示の第6の態様によれば、コンピュータ読み取り可能な命令を記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含むコンピュータ・プログラム製品が開示され、コンピュータ読み取り可能な命令は、開示された何れかの方法を実行するように、処理ハードウェアを含むデバイスによって実行可能である。
本開示の第7の態様によれば、PAPRを低減する任意の何れかの方法のコンピュータ記憶媒体又はコンピュータ・プログラム製品が開示される。
【0021】
本開示の他の装置、方法、特徴及び利点は、以下の図面及び詳細な説明を検討することにより、当業者にとって明らかであろう又は明らかになるであろう。全てのこのような追加の装置、方法、特徴及び利点は本説明に含まれており、本開示の範囲内にあり、且つ添付のクレームによって保護されることが意図されている。
【0022】
別段の定めがない限り、ここで使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、実施形態に対して当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。ここに説明されるものと同様な又は同等の方法及び材料は、実施形態の実施又は試験において使用されることが可能であるが、例示的な方法及び/又は材料が以下において説明されている。競合する場合、定義を含む特許明細書が統制することになるであろう。更に、材料、方法及び具体例は例示だけであるに過ぎず、必ずしも限定するようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本件では幾つかの実施形態が添付図面を参照しながら例としてのみ説明される。ここで、具体的に図面を詳細に参照すると、図示されている詳細は例示的なものであり、また実施形態の説明のためである、ということが強調される。この点に関し、図面とともに行われる説明は、実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
図1図1は、本開示の幾つかの実施形態に従ってPPDUのフィールドにおけるPAPRを低減するためのシステムを示す。
図2図2は、802.11beリリース1のTB PPDUに対するU-SIG設計を示す。
図3図3は、320MHzのBWを用いたU-SIG-1及びU-SIG-2シンボルのPAPRの相補累積分布関数(CCDF)を示す。
図4図4は、40MHzのBWを用いたU-SIG-1及びU-SIG-2シンボルのPAPRの相補累積分布関数(CCDF)を示す。
図5図5は、本開示の幾つかの実施形態による通信デバイスの可能な論理構造の概略図である。
図6図6は、無視ビット・シーケンス‘11111111110’を使用したPAPRのCCDFと、パンクチャリングを行わない320MHzのBWを仮定している無視ビット・シーケンス‘11111111111’を使用したものとの比較を示す。
図7図7は、無視ビット・シーケンス‘11111111110’を使用したPAPRのCCDFと、パンクチャリング・パターン1111111100001111を用いた320MHzのBWを仮定している無視ビット・シーケンス‘11111111111’を使用したものとの比較を示す。
図8図8は、U-SIG-1について、無視ビット・シーケンス‘11111011110’及び‘01111011110’を使用したPAPRのCCDFと、パンクチャリングを行わない320MHzを仮定している無視ビット・シーケンス‘11111111111’を使用したものとの比較を示す。
図9図9は、U-SIG-2について、無視ビット・シーケンス‘11111011110’及び‘01111011110’を使用したPAPRのCCDFと、パンクチャリングを行わない320MHzを仮定している無視ビット・シーケンス‘11111111111’を使用したものとの比較を示す。
図10図10は、本開示の状況に関するトリガー・フレーム内の特別ユーザー情報フィールドの構造を示す。
図11図11は、無視ビット・シーケンスを伝えるために本開示の状況で使用される「U-SIG無視及び検証」フィールドを示す。
図12図12は、通信デバイスにおいて物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUを送信する方法のワークフローである。
図13図13は、アクセス・ポイントにおいて物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUを送信する方法のワークフローである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、以下の説明及び/又は図面及び/又は具体例で述べられている構成要素及び/又は方法の構造及び配置の詳細に、本件では必ずしも限定されないということが理解されるべきである。ここで説明される実装は、他の実施形態の能力を有し、又は様々な方法で実現又は実行されることが可能である。
【0025】
図1は、本開示の幾つかの実施形態に従ってPPDUのフィールドにおけるPAPRを低減するためのシステムを示す。システム100は、アクセス・ポイント(AP)101と、例えばSTA 102,STA 103,STA 104のような1つ以上のステーション(STA)を図1にすように含んでいる。システム100は、本開示ではベーシック・サービス・セット(BSS)とも呼ばれる。システム100において、APとSTAはダウンリンクとアップリンクの両方で通信する。図1に示されるAPとSTAの間の矢印は、ダウンリンクだけを示しているが、送信の限定として理解されるべきではない。
【0026】
システム100はシステム内に唯1つのAPを示しているが、システムはシステム内に複数のAPを含む可能性があり、システム内のAPは協調送信を実行することが可能である。
【0027】
本開示のシステム100は:ワイヤレス・フィデリティ(WIFI)通信システム、狭帯域モノのインターネット(NB-IoT)システム、ロング・ターム・エボリューション(LTE)システム、第5世代移動通信システム(5G)又はそれ以降のもの、マシン・ツー・マシン(M2M)通信システムなどを含むが、これらに限定されない。LTEシステム及び5G又はそれい以降のものは、WIFIシステムを統合することが可能である。
【0028】
本開示では、通信デバイスはAP 101又はSTAであり、STAは、例えば、携帯電話、インテリジェント端末、タブレット・コンピュータ(tablet)、ノートブック・コンピュータ(laptop)、ビデオ・ゲーム・コンソール、マルチメディア・プレーヤー、WIFIをサポートする車両、デバイス・ツー・デバイス(D2D)機器、又は任意のスマート・デバイスであってもよい。AP及び/又はSTAは、固定式の又は移動可能なデバイスであってもよい
【0029】
WIFIシステムは、全ての電気電子技術者協会(IEEE)802.11シリーズ:802.11a/b/g,802.11n,802.11ac,802.11ax,802.11be又はそれ以降のものを含むがこれらに限定されない、をサポートすることが可能である。
【0030】
図2は、802.11beリリース1のTB PPDUのU-SIG設計を示す。TB PPDUのU-SIGの第1のシンボルに含まれるビットは、PHYバージョン(例えば、802.11be又は後のバージョンの規格)、BW(例えば、20 MHz,40 MHzなど)、DL又はUL送信であるか否か、可能性のある異なる隣接BSS値を区別するBSSカラー、TXOPの期間を含むTXOP及び/又は送信機がチャネル・リソースをどのように利用しているかに関する情報を伝送する。U-SIGの第2のシンボルに含まれるビットは、TB PPDUの場合、PPDUタイプ(例えば、MU,TB)、複数の送信機が同じリソース上でCRCと畳み込みコードに使用される6つの0テールビットを同時に送信することを可能にする空間再利用(例えば、空間再利用1及び空間再利用2)に関する情報を伝送する。
【0031】
図2の双方に示されているように、無視ビットのシーケンスは、第1及び第2のU-SIGシンボル内に配置されている;しかしながら、CRCは、第1のU-SIGシンボルと第2のU-SIGシンボルの両方を含む全ての先行するビットの関数として計算されるので、CRCビットの値(第2のU-SIGシンボルに配置されているもの)は、第1のU-SIGシンボルに配置されている無視ビットのシーケンスの関数でもある。
【0032】
802.11axでは、トリガー・フレームは、9つの予約ビットを含み、9つのビット全てが‘1’に設定される。9つの予約ビットは、TB PPDUのHE-SIG-Aフィールドの第2のシンボルにコピーされる。現在の802.11beの開発段階では、TB PPDUごとに、第1のU-SIGシンボルに無視ビットの6つのシーケンス、第2のU-SIGシンボルに無視ビットの5つのシーケンスが存在する。無視ビットの全てのシーケンスは、現在(802.11beの現在の開発段階では)、(802.11ax動作と同様に)トリガー・フレームからコピーされるように定義されている。11beにおいて、11axにおけるものと同じ設計を維持して、トリガー・フレームからコピーされた無視ビットのシーケンスは1に設定される可能性がある。
【0033】
本開示ではトリガー・フレームの構造は提示されていないが、トリガー・フレームとTB PPDUの無視ビットのシーケンスは、連続したバイナリ・ビット‘1’を含み、これは高いPAPRを招く可能性があり、その結果、TB PPDUに対するU-SIGフィールドのパフォーマンスは影響を受ける(例えば、より低いPAPRを用いると、電力増幅器のバックオフを低減することができ、それによって効率を高めることができる)。
【0034】
図3は、320MHzのBWに対する両方のU-SIGシンボルのPAPRの相補累積分布関数(CCDF)を示す(図3において、U-SIG-1はU-SIGフィールドの第1のシンボルを意味し、U-SIG-2はU-SIGフィールドの第2のシンボルを意味する)。U-SIGシンボルにおける無視ビットのシーケンスは、全て1であると仮定されている。図3は、両方のU-SIGシンボルのPAPRの相補累積分布関数(CCDF)を示し、(MCS0=BPSKレート1/2であると仮定している)データ部分のもの、及びレガシーSIG(L-SIG)フィールドのものと比較されている。図示されているように、U-SIG PAPRは、データのものよりも、大幅に高い。また、L-SIGフィールドのものより大きく、特にU-SIG-2シンボルのPAPRである。
【0035】
図4は、40MHzのBWに対する両方のU-SIGシンボルのPAPRのCCDFを示す。図5に関連して示される効果は、他のBW値及びパンクチャリング・パターンに対して一貫していることが示されている。図4は、40MHzのBWとの同様な比較を示す。そこで示されているように、両方のU-SIGシンボルのPAPRもまた、L-SIGフィールドとデータ・ペイロードのそれを上回っている。
【0036】
現在の標準は、20MHzの部分(例えば、L-SIG,U-SIGなど)ごとに複製されるpre-EHTフィールドは、PAPRを減らすために、20MHzごとの位相回転を受ける、ということを定めている。しかしながら、図3図4に示されるように、U-SIG PAPRはデータとL-SIGの両方よりも高く、これはパフォーマンスの観点から制限要因であることを意味する(これは、電力増幅器のバックオフを定める可能性がある)。
【0037】
従って、U-SIGフィールドのPAPRを低減することは重要である、ということがシミュレーション結果に基づいて図3及び図4から分かる。
【0038】
上記の問題を解決するために、本開示は、TB PPDUのPAPR、特にU-SIGフィールドのPAPRを低減する方法及び/又は装置を提供する。
【0039】
本開示で提示される実施形態は、システム、方法、及び/又はコンピュータ・プログラム製品である可能性がある。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに実施形態の態様を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を有するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(又は媒体)を含む可能性がある。
【0040】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持及び記憶することが可能な有形のデバイスであるとすることが可能である。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、又はこれらの任意の適切な組み合わせであるとすることが可能であるが、これらに限定されない。
【0041】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは:ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能なリード・オンリー・メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リード・オンリー・メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー・ディスク、及び上記の任意の適切な組み合わせを含む。
【0042】
ここで使用されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、電波その他の自由に伝播する電磁波、導波管その他の伝送媒体(例えば、光ファイバ・ケーブルを通る光パルス)を介して伝播する電磁波、又は、ワイヤを介して伝送される電気信号のような、一時的な信号そのものとして解釈されるものではない。
【0043】
ここで説明されるコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体から、それぞれの演算/処理デバイスへダウンロードされたり、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク及び/又は無線ネットワークのようなネットワークを介して、外部コンピュータ又は外部ストレージ・デバイスへダウンロードされたりすることが可能である。各々の演算/処理デバイスにおけるネットワーク・アダプタ・カード又はネットワーク・インターフェースは、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令をネットワークから受け取り、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令を、それぞれの演算/処理デバイス内のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納するために転送することが可能である。
【0044】
実施形態の動作を実行するためのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又は、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語や、“C”プログラミング言語又は同様なプログラミング言語のような従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソース・コード又はオブジェク・トコードの何れかであるとすることが可能である。
【0045】
コンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、ユーザーのコンピュータ上で完全に、ユーザーのコンピュータ上で部分的に、スタンド・アロン・ソフトウェア・パッケージとして、ユーザーのコンピュータ上で部分的に且つリモート・コンピュータ上で部分的に、又は、リモート・コンピュータ若しくはサーバー上で完全に実行することが可能である。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)又はワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザーのコンピュータに接続されてもよいし、又は、接続は外部コンピュータに対して(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用したインターネットを経由して)行われても良い。
【0046】
一部の実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、電子回路をパーソナライズして実施形態の態様を実行するために、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令の状態情報を利用することによって、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令を実行することができる。
【0047】
図5は、一部の実施形態による本開示における通信デバイスの可能な論理構造の概略図である。通信デバイスはプロセッサ402を含む。本開示の幾つかの実施形態では、プロセッサ402は、通信デバイスの1つ以上の動作を制御及び管理するように構成されることが可能であり、例えば、PAPRを低減するために無視ビットのシーケンスに関して動作するコードを実行するように、及び/又はAPにおいて送信及び/又は受信されるデータを処理するように構成されてもよい。オプションとして、通信デバイスはメモリ401と通信インターフェース403を更に含む可能性がある。プロセッサ402、通信インターフェース403、及びメモリ401は相互に接続されることが可能であり、或いはバス404を使用して相互に接続されてもよい。通信インターフェース403は、通信を実行する際に通信デバイスをサポートするように構成され、メモリ401は通信デバイスのプログラム・コード及びデータを格納するように構成される。プロセッサ402はメモリ401に記憶されたコードを呼び出して制御及び管理を実行する。メモリ401はプロセッサ402に結合されていてもいなくてもよい。
【0048】
プロセッサ402は、中央処理ユニット、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ又はその他のプログラマブル論理デバイス、トランジスタ論理デバイス、ハードウェア構成要素、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。プロセッサ402は、本開示で開示された内容を参照しながら説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路を実現又は実行することができる。あるいは、プロセッサ402は、演算機能を実装するプロセッサの組み合わせ、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサの組み合わせ、又はデジタル信号プロセッサとマイクロプロセッサの組み合わせであってもよい。バス404は、周辺素子相互接続(Peripheral Component Interconnect,PCI)バス、拡張業界標準アーキテクチャ(Extended Industry Standard Architecture,EISA)バスなどであってもよい。バスは、アドレス・バス、データ・バス、制御バスなどに分類される可能性がある。
【0049】
上記で提供される通信デバイスによれば、幾つかの実施形態において、U-SIGは少なくとも第1のU-SIGシンボルと第2のU-SIGシンボルを含む可能性がある。
【0050】
本開示における無視ビットのシーケンスは、例えば現在のIEEEプロトコルのような、先行技術における事前に定義されたビット・シーケンスであってもよい。幾つかの実施形態における無視ビットのシーケンスは、5又は6ビットであってもよく、全てのビットは、TB PPDUにおいてバイナリ‘1’として設定される。無視ビットのシーケンスは、TB PPDUにおける第1のU-SIGシンボルの無視ビットの6ビット・シーケンス、及び/又はTB PPDUにおける第2のU-SIGシンボルの無視ビットの5ビット・シーケンスを参照している可能性がある。無視ビットのシーケンスは、他の数のバイナリ・ビットを含む可能性があり、5ビット又は6ビットは本開示における限定ではないことに留意すべきである。
【0051】
図6は、U-SIG-1又はU-SIG-2の何れかのエッジにおける単一‘0’を除く全てのビットが‘1’に設定された無視ビット・シーケンスを仮定しているPAPRのCCDFを、パンクチャリングなしで320MHzを仮定して示している。特に、U-SIG-1におけるシーケンス‘111111’とU-SIG-2におけるのシーケンス‘11110’(トータルで‘11111111110’となる)が示されており、これは最も低いPAPRをもたらしている。図7は、全てが1のケースのPAPRのCCDFを、パンクチャリングなしで320MHzを仮定して、シーケンスの最後に単一の‘0’を有する‘11111111110’シーケンスのものと比較している。最初の6つの値は双方のシーケンスで同じであるので、‘11111111111’と‘11111111110’の両方に対するU-SIG-1のCCDF曲線は一致している。U-SIG-2については、単一の‘0’による改善を観察することができる。
【0052】
図7は、パンクチャリング・パターン1111111100001111を用いて320MHzを仮定して、全ての1のケースのPAPRのCCDFと、シーケンスの最後で単一の‘0’を有する無視ビットのシーケンスのそれとの間の比較を示す。ここでも、最初の6つの値は両方のシーケンスで同じであるので、U-SIG-1のCCDF曲線は位置している。U-SIG-2については、単一の‘0’による改善を観察することができる。
【0053】
図8は、U-SIG-1とU-SIG-2の双方のエッジで単一の‘0’を除いて、全てのビットが‘1’に設定されている例を示す。換言すれば、シーケンス全体で‘0’という2つの値を使用して、U-SIG-1において1つの‘0’、及びU-SIG-2において1つの‘0’がある。
【0054】
特に、以下のシーケンスが図8に示されている:
- U-SIG-1において‘111110’及びU-SIG-2において‘11110’(従って、トータルで‘11111011110’)
- U-SIG-1において‘011111’及びU-SIG-2において‘11110’(従って、トータルで‘01111111110’)
【0055】
図8は、U-SIG-1について、パンクチャリングなしで320MHzを仮定して、全て1のケースのPAPRのCCDFと上記で提案されたシーケンスのそれとのとの比較を示す。図8に示されるように、PAPRにおいて改善がある。
【0056】
図9は、U-SIG-2について、パンクチャリングなしで320MHzを仮定して、全て1のケースのPAPRのCCDFと、図8と同じシーケンスのそれとの比較を示す。図9に示されるように、PAPRにおいて改善がある。
【0057】
図10は、本開示の例示的なトリガー・フレームからの特別ユーザー情報フィールドを示す。本開示の例では、B25なしB36の間のフィールドは、無視ビット・シーケンスがアクセス・ポイントから送信されるフィールドであって、通信デバイスによって受信され且つ無視ビット列として使用されるフィールドとして使用することができ、その結果、低減されたPAPRが達成される。
【0058】
図11は、「U-SIG無視及び検証」サブフィールドの定義と、無視ビット・シーケンスのU-SIGフィールドへのコピーを示している。
【0059】
図12は、通信デバイスにおいて物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUを送信する方法のワークフローを示す。方法は、第1のPPDUにおいてトリガー・フレームを受信するステップS1を含む。更に、方法は、第1のPPDUにおいて、ユニバーサル信号U-SIGフィールドの無視ビットのシーケンスを取得するステップS2を含み、ここで、無視ビットのシーケンスは、0に設定された少なくとも1つのビットを含む。また、方法は、無視ビットのシーケンスを、第2のPPDUのU-SIGフィールドにコピーするステップS3と、第2のPPDUを送信するステップS4とを更に含み、ここで、第2のPPDUは無視ビットのシーケンスを含む。
【0060】
図13は、アクセス・ポイントにおいて、物理層プロトコル・データ・ユニットPPDUを送信する方法のワークフローを示す。方法は、トリガー・フレームのフィールドを、少なくとも1つの0を含むシーケンスに設定するステップS1を含む。方法は、PPDUを1つ以上の通信デバイスへ送信するステップS2を更に含み、ここで、PPDUはトリガー・フレームのフィールドを含み、ここで、トリガー・フレームのフィールドは、1つ以上の通信デバイスによって、ユニバーサル信号U-SIGシーケンスの無視ビットにコピーされるように設定される。
【0061】
様々な実施形態の説明は、説明の目的で提示されているが、開示される実施形態を網羅していたり限定したりするようには意図されていない。多くの修正及び変形は、説明された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。ここで使用される用語は、実施形態の原理、市場に見受けられる技術を越える実用的なアプリケーション又は技術的改善を最良に説明するため、又は、本件で開示される実施形態を当業者が理解できるようにするために選択されたものである。
【0062】
「を含む」、「を含んでいる」、「を包含する」、「を包含している」、「を有している」及びそれらの活用による用語は、「を含んでいるがそれらに限定されない」ことを意味する。
【0063】
ここで使用されるように、「ある」、「或る」及び「その」という単数形式は、文脈で明示的に別意を示していない限り、複数の参照を含む。例えば、「複合物」又は「少なくとも1つの複合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の複合物を含む可能性がある。
【0064】
「例示的」という言葉は、本件では「具体例、インスタンス、又は例示として機能する」ことを意味するように使用される。「例示的」して説明される如何なる実施形態も、必ずしも他の実施形態より好ましい又は有利であると解釈されるとは限らず、及び/又は、他の実施形態からの特徴の組み込みを排除しているとも限らない。
【0065】
「オプションとして」という言葉は、本件では「一部の実施形態で提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するように使用される。如何なる特定の実施形態も、そのような特徴が競合しない限り、複数の「オプション」の特徴を含む可能性がある。
【0066】
本願を通じて様々な実施形態が或る範囲形式で提示されている可能性がある。範囲形式での説明は、単に簡便性のためであるに過ぎず、実施形態の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではない、ということが理解されるべきである。
【0067】
明確化のために、別々の実施形態の文脈で説明される実施形態の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが認められる。逆に、簡潔性のために、単一の実施形態の文脈で説明される実施形態の様々な特徴は、別々に又は任意の適切なサブ・コンビネーションで、又は任意の他の説明された実施形態において適切に提供されることが可能である。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしでは動作しない限り、それらの実施形態の本質的な特徴とは考えられるべきではない。
【0068】
実施形態は、その具体的な実施形態に関連して説明されているが、多くの代替、変更及び変形が当業者にとって明らかであろう、ということは明白である。従って、添付のクレームの精神及び広義の範囲に該当する全てのそのような代替、変更及び変形を包含することが意図されている。
【0069】
本開示は、装置の観点からPAPRを低減するための解決策を説明しているが、本開示で対処される問題は、方法及び/又はシステムによっても実施できることを当業者が理解する明らかである。冗長性を回避するために、PAPRを低減する方法は詳述されない。
【0070】
本明細書において言及されている全ての出版物、特許及び特許出願は、参照により本件に組み込まれるように援用される場合、あたかも個々の出版物、特許又は特許出願が具体的に且つ個別的に記載されているかのように、参照によりその全体が明細書に組み込まれることになる、ということが出願人の意図である。更に、本出願における如何なる参照の引用や特定も、そのような参照が実施形態に対する先行技術として利用可能であることの自認として解釈されないものとする。セクション見出しが使用される限りにおいて、それらは必要な限定であるとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13