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特許7597953薄いフィルム塗装及びコーナー上への適用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】薄いフィルム塗装及びコーナー上への適用方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/48 20060101AFI20241203BHJP
   B32B 3/02 20060101ALI20241203BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B29C65/48
B32B3/02
B32B27/00 E
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023571292
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022030604
(87)【国際公開番号】W WO2022246332
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-12-06
(31)【優先権主張番号】63/191,862
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523306623
【氏名又は名称】ピーピージー アドヴァンスト サーフェス テクノロジーズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット、シェーン、マイケル
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-235146(JP,A)
【文献】特開2014-141295(JP,A)
【文献】国際公開第2021/041272(WO,A1)
【文献】特開2020-111633(JP,A)
【文献】特表2004-512446(JP,A)
【文献】特開2001-220699(JP,A)
【文献】特開2009-148952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00-63/48
B29C 65/00-65/82
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装フィルムを基材上に適用する方法であって、
コーナーパッチを前記基材のコーナーの少なくとも一部分上に接着させることと、
前記コーナーが、塗装フィルムシートのコーナーリリーフパターン内にあり、前記コーナーリリーフパターンが、前記塗装フィルムシートの縁部に沿った凹部に対応するように、前記塗装フィルムシートを前記基材上に接着させることと、を含み、塗装フィルムシートが、部分的に前記コーナーパッチと重なり、前記コーナーパッチと接合し、それによって、連続塗装フィルムを前記基材の少なくとも前記コーナー上に提供する、方法。
【請求項2】
前記コーナーパッチが、前記塗装フィルムシートと同じ材料から作製される塗装フィルムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コーナーパッチが、第1の厚さを有し、前記塗装フィルムシートが、第2の厚さを有し、前記第1の厚さが、前記第2の厚さ未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の厚さと前記第2の厚さとの比が、1:4~3:4の範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の厚さが、100~500ミクロンの範囲であり、前記第2の厚さが、50~200ミクロンの範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記塗装フィルムシートを前記基材上に接着させることが、前記塗装フィルムシートと前記基材との間の捕捉された気泡を平滑にするために、平坦な縁部を有するツールを用いて前記塗装フィルムシートの表面に沿って圧力を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記塗装フィルムシートを、前記コーナーパッチと密接に接触させることによって、前記塗装フィルムシートが、前記コーナーパッチに接合している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記塗装フィルムシートを前記基材上に接着させることが、前記塗装フィルムシートを熱に曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記塗装フィルムシートを熱に曝露することが、前記塗装フィルムシートを前記コーナーパッチと接合させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コーナーパッチの色が、エンジニアリング車両外装塗装色一致基準内の前記塗装フィルムシートの色と一致する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記エンジニアリング車両外装塗装色一致基準が、3フィート以上での視覚的評価に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コーナーパッチが、前記塗装フィルムシートを接着させる前に、前記基材の前記コーナーに接着される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記塗装フィルムシートが、前記コーナーパッチを接着させる前に、前記基材の前記コーナーに接着される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記基材の前記コーナーの測定された寸法に基づいて、前記コーナーパッチを前記塗装フィルム内に形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
モーター車両の外装パネル上に接着された装飾的塗装フィルムであって、
前記モーター車両の外装パネルのコーナー上に接着されたコーナーパッチと、
前記コーナーに隣接する前記外装パネルの一部分上に接着した塗装フィルムシートであって、前記塗装フィルムシートが、前記塗装フィルムシートの縁部に沿った凹部に対応するコーナーリリーフパターンを有し、前記塗装フィルムシートが、前記コーナーの少なくとも一部分が、コーナーリリーフパターン内にあるように配置される、塗装フィルムシートと、を含み、前記塗装フィルムシートが、前記コーナーパッチと重なり、前記コーナーパッチと接合して、連続塗装フィルムを前記外装パネルの少なくとも前記コーナー上に提供する、装飾的塗装フィルム。
【請求項16】
前記外装パネルが、乗用車のボンネット、スポイラー、ドア、又はバンパーである、請求項15に記載の装飾的塗装フィルム。
【請求項17】
前記モーター車両が、乗用車、トラック、飛行機、又はボートである、請求項15に記載の装飾的塗装フィルム。
【請求項18】
コーナーパッチが、第1の厚さを有し、前記塗装フィルムシートが、第2の厚さを有し、前記第1の厚さが、前記第2の厚さ未満である、請求項15に記載の装飾的塗装フィルム。
【請求項19】
前記第1の厚さと前記第2の厚さとの比が、1:4~3:4の範囲である、請求項18に記載の装飾的塗装フィルム。
【請求項20】
前記第1の厚さが、100~500ミクロンの範囲であり、前記第2の厚さが、50~200ミクロンの範囲である、請求項18に記載の装飾的塗装フィルム。
【請求項21】
前記コーナーパッチの色が、エンジニアリング車両外装塗装色一致基準内の前記塗装フィルムシートの色と一致する、請求項15に記載の装飾的塗装フィルム。
【請求項22】
前記エンジニアリング車両外装塗装色一致基準が、3フィート以上での視覚的評価に基づく、請求項21に記載の装飾的塗装フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年5月21日に出願された米国仮特許出願第63/191,862号の利益を主張し、その全開示は参照により本明細書に援用される。
【0002】
参照による援用
この明細書において言及される全ての刊行物及び特許出願は、各個々の刊行物又は特許出願が参照により援用されることが具体的かつ個々に示された場合と同じ程度まで、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
近年、塗装フィルムは、多くの異なるタイプの用途、特に自動車、飛行機、及びボートなどのモーター付き車両において、従来の表面塗装方法の代替として人気を博している。この人気は、少なくとも部分的には、塗装フィルムが従来の塗装と比較してより耐久性があり、より持続性であることの結果である。
【0004】
1つの例示的な塗装フィルムは、車両の表面を変更するために使用される透明フィルムである、Aero Satinクリーン200フィルムである。これらのフィルム及び製造方法は、米国特許公開第2019/0161646号に記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0005】
一般に、塗装フィルムの適用は、基材を薄い材料シートで被覆すること、薄い材料シートを基材の表面に接着させることによって、保護コーティングを形成すること、を伴う。鋭角のコーナー及び縁部などの基材の特定の形状は、平滑でかつ調和した外観のコーティングを提供する方法で被覆することが困難であり得る。これは、部分的には、基材のコーナー及び縁部の3次元的な性質と比較して、塗装フィルムの平面形状に起因するものである。
【0006】
一例として、図10は、基材のコーナー部分上の塗装フィルムシート600を例解する。塗装フィルムシート600は、基材のコーナー先端604を収容するための単純なリリーフカット601を含む。これは、塗装フィルムを乗用車のボンネット部分又は同様の自動車のボディパネルのコーナー上に取り付ける場合、典型的に使用されるタイプのものである。示されるように、単純なリリーフカット601は、コーナーの一方の側から他方の側にまっすぐに横切るストレートカットである。露出した基材/下にあるボンネットの色が容易に見え、塗装フィルムの美的外観を損なうことに注意されたい。リリーフカット601がコーナー先端604に向かって可能な限り近くに位置付けられる場合でも、コーナー先端604の少なくとも一部は、示されるように、露出したままであり、コーナー先端604は、雨風から保護されていない。リリーフカット601が、コーナー先端604に向かって更に遠くなるように塗装フィルムシート600の位置を調整することによって、塗装フィルムシート600が束になるか、又はしわになり、コーナー先端604で装飾的に許容できないコーティングがもたらされ得る。別の選択肢は、塗装フィルムシート600が、コーナー先端604を被覆するために変形するように、塗装フィルムシート600を、コーナー先端604の頂点に向かって引っ張ることであり得る。しかしながら、これは、コーナー先端604の領域で塗装フィルムシート600を薄くし、コーナー先端604で塗装フィルムシート600の高い応力点及び潜在的な破損点を形成し得る。
【0007】
基材表面のコーナー及び他のトポロジー的形状における装飾的かつ機能的欠陥を最小化し得る塗装フィルム及び方法を有することが有益であろう。
【発明の概要】
【0008】
塗装フィルムを、基材、特に基材のコーナー又は他の高いアスペクト比の形状の上に適用する改善された方法が、本明細書に記載される。
【0009】
一般に、一実施形態では、塗装フィルムを基材上に適用する方法は、塗装フィルムシートの縁部に沿って、基材のコーナー又は他の表面形状を収容するリリーフパターンカットを形成することと、塗装フィルムと同じ材料から作製されたパッチを、基材のコーナー又は表面形状の上に適用することと、塗装フィルムがパッチと重なり、パッチと十分に密接に接触させて、パッチと接合させ、それによって連続塗装フィルムをコーナー又は他の表面形状の上に提供するように、塗装フィルムを基材上に適用することと、を含む。塗装フィルム及びパッチのうちの少なくとも1つは、2つのフィルム間の重なりが目視ではわかり得ないほど、名目上非常に薄い。
【0010】
本明細書で使用される場合、基材の「コーナー」とは、基材の2つ以上の表面が交差する基材の位置又は領域を指し得る。表面のうちの少なくとも2つが交差する角度は、コーナーの角度を画定し得る。本明細書に記載される塗装フィルム及び方法は、保護塗装コーティングを任意の角度を有するコーナー上に提供するために使用され得る。例えば、コーナーは、鋭角(90度未満)、直角(90度)、鈍角(90度超)、又は反射角(180度超)であり得る。
【0011】
本明細書に記載される塗装フィルム及び方法は、保護コーティングをコーナー以外の形状に提供するために使用され得る。例えば、基材は、平滑で、連続的で、見栄えの良いコーティングをもたらす方式で、塗装フィルムで被覆することが困難であろう突起又は凹部を含み得る。塗装フィルム適用技術を使用して、このようなコーティングが困難な突起又は凹部上に平滑で、連続的で、見栄えの良いコーティングを提供し得る。
【0012】
いくつかの態様によれば、塗装フィルムを基材上に適用する方法が記載され、本方法は、コーナーパッチを基材のコーナーの少なくとも一部分上に接着させることと、コーナーが、塗装フィルムシートのコーナーリリーフパターン内にあり、コーナーリリーフパターンが、塗装フィルムシートの縁部に沿った凹部に対応するように、塗装フィルムシートを基材上に接着させることと、を含み、塗装フィルムシートは、部分的にコーナーパッチと重なり、コーナーパッチと接合し、それによって連続塗装フィルムを基材の少なくともコーナー上に提供する。コーナーパッチは、塗装フィルムシートと同じ材料から作製される塗装フィルムであり得る。コーナーパッチは、第1の厚さを有し得、塗装フィルムは、第2の厚さを有し、第1の厚さは、第2の厚さ未満である。第1の厚さと第2の厚さとの比は、1:4~3:4の範囲であり得る。第1の厚さは、100~500ミクロンの範囲であり得、第2の厚さは、50~200ミクロンの範囲であり得る。塗装フィルムシートを基材上に接着させることは、塗装フィルムシートと基材との間の捕捉された気泡を平滑にするために、平坦な縁部を有するツールを用いて塗装フィルムシートの表面に沿って圧力を加えることを含み得る。塗装フィルムシートを、コーナーパッチと密接に接触させることによって、塗装フィルムシートは、コーナーパッチに接合し得る。塗装フィルムシートを基材上に接着させることは、塗装フィルムシートを熱に曝露することを含み得る。塗装フィルムシートを熱に曝露することは、塗装フィルムシートをコーナーパッチと接合させ得る。コーナーパッチの色は、エンジニアリング車両外装塗装色一致基準内の塗装フィルムシートの色と一致し得る。エンジニアリング車両外装塗装色一致基準は、3フィート以上での視覚的評価に基づき得る。コーナーパッチは、塗装フィルムシートを接着させる前に、基材のコーナー上に接着され得る。塗装フィルムシートは、コーナーパッチを接着させる前に、基材のコーナー上に接着され得る。本方法は、基材のコーナーの測定された寸法に基づいて、コーナーパッチを塗装フィルム内に形成することを更に含み得る。
【0013】
いくつかの態様によれば、モーター車両の外装パネル上に接着された装飾的塗装フィルムが記載され、装飾的塗装フィルムは、モーター車両の外装パネルのコーナー上に接着されたコーナーパッチと、コーナーに隣接する外装パネルの一部分上に接着された塗装フィルムシートであって、塗装フィルムシートが、塗装フィルムシートの縁部に沿った凹部に対応するコーナーリリーフパターンを有し、塗装フィルムシートが、コーナーの少なくとも一部分が、コーナーリリーフパターン内にあるように配置される、塗装フィルムシートと、を含み、塗装フィルムシートは、コーナーパッチと重なり、コーナーパッチと接合して、連続塗装フィルムを外装パネルの少なくともコーナー上に提供する。外装パネルは、乗用車のボンネット、スポイラー、ドア、又はバンパーであり得る。モーター車両は、乗用車、トラック、飛行機、又はボートであり得る。コーナーパッチは、第1の厚さを有し得、塗装フィルムシートは、第2の厚さを有し得、第1の厚さは、第2の厚さ未満であり得る。第1の厚さと第2の厚さとの比が、1:4~3:4の範囲である。第1の厚さは、100~500ミクロンの範囲であり得、第2の厚さは、50~200ミクロンの範囲であり得る。コーナーパッチの色は、エンジニアリング車両外装塗装色一致基準内の塗装フィルムシートの色と一致し得る。エンジニアリング車両外装塗装色一致基準は、3フィート以上での視覚的評価に基づき得る。
【0014】
これら及び他の態様及び利点が本明細書に記載される。
【0015】
本明細書に記載される実施形態の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載される。実施形態の特徴及び利点のより良好な理解は、例解的な実施形態及び添付の図面を規定する以下の「発明を実施するための形態」を参照することによって得られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】例示的な塗装フィルムの断面図を例解する。
図2A】コーナーリリーフパターンを有する例示的な塗装フィルムシートの一部分の平面図を例解する。塗装フィルムの様々な形状を示す。
図2B】コーナーリリーフパターンを有する例示的な塗装フィルムシートの一部分の平面図を例解する。コーナーリリーフパターンの拡大図を示す。
図2C図2A及び2Bの塗装フィルムで被覆された例示的な基材の一部分の断面図を例解する。塗装フィルムのフラップ部で被覆された基材の縁部を示す。
図2D図2A及び2Bの塗装フィルムで被覆された例示的な基材の一部分の断面図を例解する。塗装フィルムのコーナーリリーフパターンの突起部分で部分的に被覆された基材のコーナーを示す。
図3A】基材上の別の塗装フィルムシート及びコーナーパッチの様々な図を例解する。コーナーリリーフパターンが、基材のコーナーと位置合わせされるように、基材上に位置付けられた塗装フィルムシートを示す。
図3B】基材上の別の塗装フィルムシート及びコーナーパッチの様々な図を例解する。基材のコーナー上に接着されたコーナーパッチを示す。
図3C】基材上の別の塗装フィルムシート及びコーナーパッチの様々な図を例解する。基材上に接着され、コーナーパッチと接合された塗装フィルムシートを示す。
図4A】別の例示的な塗装フィルムシート及びコーナーパッチを例解する。コーナーに接着されたコーナーパッチを示す。
図4B】別の例示的な塗装フィルムシート及びコーナーパッチを例解する。基材に接着され、コーナーパッチと接合された塗装フィルムシートを示す。
図5】コーナーを有する基材上に塗装フィルムを適用する例示的な方法を示すフローチャートを例解する。
図6】例示的な塗装フィルムのコーナーパッチの平面図を例解する。
図7】基材のコーナー上で図2Bの例示的な塗装フィルムシートと併せて使用される場合の図6のコーナーパッチの上面図を例解する。
図8A】例示的な塗装フィルムのコーナーパッチの平面図を例解し、コーナーパッチの狭い領域を強調する。
図8B】基材のコーナー縁部の周囲に巻かれた図8Aのコーナーパッチの狭い領域の側面断面図を例解する。
図9A】例示的な塗装フィルムのコーナーパッチの平面図を例解し、コーナーパッチの広い領域を強調する。
図9B】基材のコーナー縁部の周囲に巻かれた図9Aのコーナーパッチの広い領域の側面断面図を例解する。
図10】乗用車のボンネット部分のコーナー上に塗装フィルムを取り付ける場合、典型的に使用されるタイプの単純なリリーフカットを有する例示的な塗装フィルムを例解する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
塗装フィルムを、基材、特に基材の鋭角のコーナー及び他の突起した表面形状の上に適用する改善された方法が、本明細書に記載される。本方法は、塗装フィルムを、自動車、飛行機、及びボートなどのモーター付き車両の装飾的表面に適用するのに十分に好適であり得る。開示された塗装フィルムの方法は、従来の技術を使用して形成された塗装フィルムと比較して、改善された装飾的品質及び保護品質を有する平滑でかつ連続的なコーティングを有利に提供し得る。
【0018】
本明細書に記載される塗装フィルムは、ポリマー材料から作製され得、薄いシートとして製造され得る。いくつかの場合では、塗装フィルムは、1つ以上の接着剤層を含み得る。図1は、表面102(例えば、モーター付き車両の表面)上の例示的な塗装フィルム101を例解する。塗装フィルム101は、ポリマーフィルム層108及び接着剤層106を含む。塗装フィルム101は、ポリマー積層体であり得る。一実施形態では、ポリマーフィルム層108は、ポリウレタン又はポリアクリレートであり得る。例えば、ポリマーフィルム層108は、ウレタン(カルバメートとしても既知である)結合、尿素結合、又はこれらの組み合わせ(すなわち、ポリ(ウレタン-尿素)の場合)を含有するポリマーであり得る。したがって、ポリマーフィルム層108は、少なくともウレタン結合、尿素結合、又はこれらの組み合わせを含有し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルム層108は、重合プロセス中にインサイチュで形成された少なくとも40%、少なくとも60%、若しくは少なくとも80%のウレタン及び/又は尿素繰り返し結合を有するポリマー骨格を有し得る。接着剤層106は、感圧接着剤を含み得る。いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレート及びメタクリレート)を含み得る。例えば、感圧接着剤は、従来のアルミニウム又はメラミン架橋剤で重合及び架橋される2-エチルヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、及びアクリル酸モノマーを含み得る。いくつかの実施形態では、接着剤層106は、合成ゴム及び天然ゴム、ポリブタジエン及びそのコポリマー、ポリイソプレン及びそのコポリマー、並びに/又はシリコーン(例えば、ポリジメチルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサン)を含み得る。いくつかの実施形態では、塗装フィルム101は、顔料によるベースコートを追加的に含み得る。例示的な塗装フィルムの追加の形状は、「Paint Film Appliques with Reduced Defects,Articles and Methods」と題された米国特許公開第2019/0161646号に記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0019】
本明細書に記載される塗装フィルムを適用する方法は、接着剤層がそれに接着するように、塗装フィルム(例えば、塗装フィルム101)を基材の表面に位置決めすることを含み得る。いくつかの場合では、流体層(例えば、水)が、製造中に塗装フィルムと基材との間に提供されて、塗装フィルムシートの基材上への接着の前に、位置決め及び空気除去に役立ち得る。他の場合では、塗装フィルムは、乾燥適用プロセスで適用され得る。
【0020】
本明細書に記載される方法は、改善された装飾的品質及び保護品質を有する塗装フィルムの取り付けを有利に可能にし得る。いくつかの態様によれば、本明細書に記載される方法は、コーナー先端を収容するように成形され、コーナーパッチと接合するように設計された塗装フィルム内にコーナーリリーフパターンを形成することを伴う。コーナーパッチは、塗装フィルムと同じ材料から作製されるフィルムの細片であり得る。塗装フィルム及びコーナーパッチは、互いに密接に接触させる場合、互いに接合するように構成された材料から作製され得る。一緒に接合されると、塗装フィルムとコーナーパッチは、基材のコーナーに保護的かつ審美的見栄えのコーティングを形成するために協働し得る。
【0021】
図2Aは、コーナーリリーフカットパターン202を有する例示的な塗装フィルムシート200の一部分の平面図を例解する。図2Bは、コーナーリリーフカットパターン202の拡大図を例解する。点線209は、基材のコーナー204を含む、基材の下側表面の縁部がどこにあるかを示す。塗装フィルムシート200は、基材のコーナー204の寸法に従って切断され得る。本明細書の塗装フィルムは、任意の角度、例えば、鋭角(90度未満)、直角(90度)、鈍角(90度超)、又は反射角(180度超)を有するコーナー204を被覆するように構成され得る。本明細書の塗装フィルムはまた、任意の厚さを有するコーナー204を被覆するように構成され得る。打ち抜き金属パネルの場合、パネルの厚さは、典型的には、板金の厚さ、及び縁部がどの程度しっかりと折り畳まれるかに依存する。これは、任意の厚さであり得るが、多くの場合、約0.5mm~約20mmである。
【0022】
示される例では、塗装フィルムシート200は、メインセクション210、第1のフラップセクション212、及び第2のフラップセクション214を含む。メインセクション210は、基材の第1の表面を被覆するように構成され得、第2のセクション212は、基材の第2の表面を被覆するように構成され得、第3のセクション214は、基材の第3の表面を被覆するように構成され得る。例えば、メインセクション210は、基材の上部表面を被覆するように構成され得、第1の212及び第2の214のフラップセクションは、コーナー204に隣接する基材の縁部表面の上に折り畳まれるように構成され得る。
【0023】
コーナーリリーフパターン202は、塗装フィルム202の縁部に沿って切断される凹部に対応し得る。コーナーリリーフパターン202は、基材のコーナー204の少なくとも一部を被覆するように構成されている形状を有し得る。この場合では、コーナーリリーフパターン202は、塗装フィルム200の第1のフラップ縁部218と第2のフラップ縁部220との間の突起部分216を含む。突起部分216は、第1の218及び第2の220のフラップ縁部に対して外向きに突起し得る。第1の218及び第2の220のフラップ縁部は、示されるように、隣接するパネル縁部209からセットバックして、突起部分216がパネルコーナー204の角度よりも大きい包含角度を有することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、セットバックは、突起部分216の長さ未満である(基材コーナー204及び突起部分216の縁部から)。突起部分216の形状及び突起部分216が突起する程度(例えば、高さ)は、コーナー先端の幾何学形状に依存し得る。例えば、突起部分216は、より浅いコーナーと比較してより鋭角のコーナーを被覆するように構成される場合、より狭くかつ/又はより遠くに突起し得る。
【0024】
いくつかの場合では、突起部分216は、図2A及び図2Bの例において示されるように、湾曲した外側縁部を有し得る。これは、本明細書に記載されるように、対応するコーナーパッチと接合された場合、塗装フィルムのより平滑で目立たない調和を可能にし得る。他の実施例では、突起部分216は、異なる形状の外側縁部を有し得る。例えば、突起部分216は、尖った外側縁部を含み得る。
【0025】
コーナーリリーフパターン202は、塗装フィルムシート200を基材のコーナー上に接着させる前に、塗装フィルムシート200内に形成され得る。いくつかの場合では、コーナーリリーフパターン202は、塗装フィルムシート200を切断することによって形成される。他の場合では、塗装フィルムシート200は、その中に形成されたコーナーリリーフパターン202を有して製造される。
【0026】
コーナーリリーフカットパターン202の寸法は、基材のコーナー幾何学形状に応じて変化し得る。例えば、フラップセクション212又は214の長さL(基材縁部209及びフラップセクション212又は214の縁部から)、並びに突起部分216の長さ(基材コーナー204及び突起部分216の縁部から)は、基材の厚さ及び基材縁部が曲率を有するかどうかに依存し得る。
【0027】
図2Cは、塗装フィルムシート200のフラップセクション212又は214で被覆された例示的な基材の縁部の拡大断面図を例解する。基材の厚さTは、変化し得る。しかしながら、典型的な自動車本体パネルの縁部は、約4mm~10mmの範囲の厚さを有する。この場合では、基材の縁部は、半球状断面を有する湾曲断面を有する。いくつかの例では、フラップセクション212又は214の長さLは、(1/2)(π)Tであり得る。図2Dは、塗装フィルムシート200の突起部分216で被覆された基材のコーナーの拡大断面図を例解する。突起部分216の長さLは、フラップセクション212又は214の長さL未満であり得る。いくつかの例では、突起部分216の長さLは、(1/8)(π)Tであり得る。
【0028】
図3A図3Cは、コーナーパッチを有する基材のコーナーに適用される、塗装フィルムシート200と同様のコーナーリリーフパターン302を有する例示的な塗装フィルムシート300を例解する。この例では、基材は、乗用車のボンネットである。図3Aは、コーナー先端304上に位置合わせされたコーナーリリーフパターン302を示す、基材のコーナー上に位置付けられた塗装フィルムシート300を示す。図3Aは、例解目的のために基材上の塗装フィルムシート300を示すことに留意されたい。実際には、塗装フィルムシート300は、コーナーパッチが基材に適用された後まで、基材上に適用されない場合がある。
【0029】
図3Aに示されるように、塗装フィルムシート300のメインセクション310は、基材のメイン表面350(例えば、外側表面)を被覆するように構成され得、第1のフラップセクション312は、基材の第1の縁部表面352の周囲を曲げて被覆するように構成され得、第2のフラップセクション314は、基材の第2の縁部表面354の周囲を曲げて被覆するように構成され得る。コーナーリリーフカットパターン302の突起部分316は、塗装フィルムシート300を変形させることなく、基材のメイン表面350を越えて、コーナー先端304の少なくとも一部分上に延在するように構成され得る。例えば、ユーザーは、コーナー先端304上で塗装フィルムシート300を実質的に変形させる必要がなく、それによって塗装フィルムシート300を薄くする機会を低減し得る。
【0030】
塗装フィルムシート300の厚さは、塗装フィルムシート300の特性(例えば、材料のタイプ、色、及び/若しくは不透明度)、並びに/又は基材の表面に応じて変化し得る。例えば、特に基材の下側表面の色が暗い場合、より明るい色の塗装フィルムシート300は、より暗い色の塗装フィルムシート300よりも厚くなければならない場合がある。いくつかの例では、塗装フィルムシート300は、以下の値:100マイクロメートル(ミクロン)、150ミクロン、200ミクロン、250ミクロン、300ミクロン、350ミクロン、400ミクロン、450ミクロン、及び500ミクロンのうちの任意の2つの間の範囲の厚さを有する。
【0031】
図3Bは、塗装フィルムシート300を用いずに、コーナーパッチ330が基材のコーナー先端304に適用された後の基材を示す。コーナーパッチ330は、塗装フィルムシート300と同様に、ポリマーフィルム及び接着剤の細片であり得る。いくつかの場合では、コーナーパッチ330は、同じ材料から作製され得、かつ/又は塗装フィルムシート300と同じ色を有し得る。コーナーパッチの厚さは、コーナーパッチ330の特性(例えば、材料のタイプ、色、及び/若しくは不透明度)、並びに/又は基材の特性に応じて変化し得る。いくつかの例では、コーナーパッチ330は、以下の値:50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、150ミクロン、及び200ミクロンのうちの任意の2つの間の範囲の厚さを有する。
【0032】
コーナーパッチ330は、様々な技術のいずれかを使用して、基材上に適用され得る。いくつかの場合では、コーナーパッチ330は、コーナー先端304上に単純に適用され、圧力が加えられて、コーナーパッチ330を接着させ、コーナー先端304の形状に適合させる。いくつかの場合では、流体層(例えば、水)が、塗装フィルムシート300と基材との間に提供されて、塗装フィルムシート300の基材への接着の前に、位置決め及び空気除去を補助するのに役立ち得る。他の事例では、塗装フィルムシート300は、乾燥適用プロセスで(すなわち、実質的に流体層なしで)適用され得る。
【0033】
図3Cは、塗装フィルムシート300が基材上に接着され、コーナーパッチ330と結合された後の基材を示す。接着プロセスの間、塗装フィルムシート300が基材及びコーナーパッチ330と接合することを可能にするために、熱が塗装フィルムシート300に加えられ得、それによって基材の少なくともコーナー先端304上にコンフォーマルコーティングを作製する。熱は、塗装フィルムシート300のポリマー材料を軟化させて、塗装フィルムシート300を延伸するのに必要な力を低減し得る。したがって、高温は、塗装フィルムシート300の向上した適合性を可能にし得、塗装フィルムシート300が基材及びコーナーパッチ330と密接に接触することを可能にし得る。加熱はまた、塗装フィルムシート300の接着剤によって、基材(及びコーナーパッチ330)の表面を「浸潤させる」ことを可能にして、塗装フィルムシート300の接合を改善し得る。この文脈では、「浸潤させること」とは、接触面積、及び接着剤と基材(とコーナーパッチ330)との間の引力を最大化するために、基材(及びコーナーパッチ330)を流動及び被覆する接着剤を指し得る。いくつかの場合では、空気を巻き込むことなく接着剤と基材とを密接に接触させることを可能にし得るため、流体(例えば、水)を使用して、接着剤が基材表面を「浸潤させる」のを補助し得る。巻き込まれた空気は、影響を受けた部分における接着を防止又は低減させ得、装飾的に魅力的でない気泡をもたらし得る。塗装フィルムシート300が積層される場合、流体のほとんど(全てではないにしても)は、接着剤と基材との間から排出され得る。極端に薄い流体層は、塗装フィルムシート300によって迅速に吸収され得、水蒸気として環境に送られ得る。接着剤は、基材と完全に接触し得るため、それは、完全に浸潤し得る。実質的にいずれの高温も、増加した適合性及び接着を可能にし得るが、いずれの個々の層及び/又は接着剤などの塗装フィルムシート300及び/又はコーナーパッチ330の材料の融点未満に留まることが好ましい。例えば、塗装フィルムシート300及び/又はコーナーパッチ330を、塗装フィルムシート300及び/又はコーナーパッチ330の材料のいずれかの融点の約70%以下に加熱することが好ましい場合がある。
【0034】
いくつかの場合では、塗装フィルムシート300は、コーナーパッチ330の前に適用され得ることに留意されたい。塗装フィルムシート300及び/又はコーナーパッチ330の加熱は、これら2つを一緒に同様に接合して、基材の少なくともコーナー先端304上にコンフォーマルコーティングを作製し得る。しかしながら、この構成は、塗装フィルムシート及びコーナーパッチの寸法に応じて、あまり望ましくない場合がある。例えば、コーナーパッチ330が塗装フィルムシート300の下に適用される場合、コーナーパッチ330の縁部を含むコーナーパッチ330の大部分は、塗装フィルムシート300によって被覆され、コーナーパッチ330をより目立たなくする。コーナーパッチ330が塗装フィルムシート300上に適用される場合、コーナーパッチ330の縁部を含むコーナーパッチ330の大部分が露出し、コーナーパッチ330をより目立たせることが可能である。
【0035】
示されるように、塗装フィルムシート300の材料は、コーナーパッチ330の材料と調和して、基材上に平滑でかつ連続的なコーティングを形成する。例えば、突起部分316を含むコーナーリリーフカットパターン302のカットアウトの形状は、特定の距離(例えば、少なくとも3フィート離れた)からはもはや視覚的に明らかではない場合がある。塗装フィルムシート300は、コーナー先端304の周囲の領域において実質的に薄くされなかったので、結果は、基材のコーナー304の周囲の堅牢な保護塗装フィルムである。いくつかの場合では、コーナーパッチ330と塗装フィルムシート300との色が実質的に同じであるため、コーナー先端304の周囲に視覚的に連続的に色が表示される。
【0036】
いくつかの場合では、塗装フィルムシート300の厚さに対するコーナーパッチ330の厚さは、コーナー先端304の周囲の塗装フィルムの外観及び/又は触覚品質において役割を果たし得る。例えば、いくつかの場合では、コーナーパッチ330は、塗装フィルムシート300の厚さと等しいか、又はそれ未満の厚さを有することが、2つがある程度重なるので有益であり得る。いくつかの場合では、コーナーパッチ330が塗装フィルムシート300よりも薄いことが好ましい場合がある。厚すぎるコーナーパッチ330を有することは、塗装フィルムシート300とコーナーパッチ330との間の重複を視覚的に明らかにするかつ/又は触覚的に厚くする可能性がある。しかしながら、薄すぎるコーナーパッチ330は、コーナーパッチ330の不透明性を低減するなど、コーナーパッチ330の視覚特性を変化させ得、コーナーパッチ330と塗装フィルムシート300との間に望ましくない視覚的差異を引き起こし得る。更に、非常に薄いコーナー330パッチは、ユーザーが接着プロセス中に取り扱うことが困難であり得る。いくつかの例では、コーナーパッチ330の厚さと塗装フィルムシート300の厚さとの比は、以下の値:1:4、1:3、1:2、2:3、3:4、及び1:1のうちの任意の2つの間の範囲である。
【0037】
得られた塗装フィルムは、1つ以上のエンジニアリング基準に従って装飾的特性を有し得る。このようなエンジニアリング基準の1つは、ジャガー・ランドローバー・リミテッド技術基準(STJLR.01.5026)である「外装塗装:装飾的外観(Exterior Paint:Cosmetic Appearance)」であり、それは、モーター車両の外装塗装の部分について、クラス「A」-高視認性部分、クラス「B」-低視認性部分、クラス「C」-非表示の基準を定めたものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される適用された塗装フィルムは、このような基準のクラス「A」の1つ以上の基準を満たす。例えば、視覚的クラス「A」カラーマッチ基準(「4」又は「5」評価カラーマッチとも称される)は、以下のとおりである。「5」評価-縁部から縁部に配置された場合、マスターと試料との間に識別可能な色の相違が存在しない)、又は「4」評価-縁部から縁部で見た場合、ごくわずかな相違が存在し、3mmの間隙で見た場合、識別可能な相違は存在しない。このような基準の下で、いくつかの実施形態では、適用された塗装フィルムシート300及びコーナーパッチ330は、色一致の視覚的クラス「A」基準を満たす。いくつかの場合では、色一致基準は、少なくとも3フィート離れて識別可能な相違が存在するかどうかに基づく。
【0038】
図4A及び図4Bは、別の例示的な塗装フィルムで被覆されたコーナーを有する別の基材410を例解する。図4Aに示されるように、基材410は、コーナー404を有する縁部を含む。コーナー404の少なくとも一部分を被覆するサイズ及び形状を有するコーナーパッチ430は、基材410上に接着される。この場合では、コーナーパッチ430は、長方形の形状を有する。図4Bは、基材410上に適用されている塗装フィルムシート400を示す。塗装フィルムシート400は、コーナーパッチ430と部分的に重なるようなサイズ及び形状のコーナーリリーフパターン402を有する。この場合では、コーナーリリーフパターン402は、長方形の形状のコーナーパッチ430に一致する長方形の形状を有する。基材410上に適用されると、熱が塗装フィルムシート400及びコーナーパッチ430に加えられて、2つを一緒に接合し得る。
【0039】
図5は、コーナーを有する基材上に塗装フィルムを適用する例示的な方法を例解するフローチャートである。500において、コーナーリリーフパターンは、基材のコーナーを収容するために、塗装フィルムシート内に形成される。いくつかの場合では、コーナーリリーフパターンは、塗装フィルムシートの縁部に沿った凹んだ部分に対応し得る。コーナーリリーフパターンは、フィルムに切断され得る。コーナーリリーフパターンは、塗装フィルムシートがコーナーの先端(例えば、頂端)などのコーナーの少なくとも一部分を被覆することを可能にし得る。いくつかの場合では、コーナーリリーフパターンは、ユーザーによって(例えば、塗装フィルム適用プロセスの一部として)塗装フィルムシートに切断され得る。
【0040】
他の場合では、塗装フィルムシートは、その中に既に形成されたコーナーリリーフパターンを含み得る。このような予備形成されたコーナーリリーフパターンは、製造プロセス中に作製され得る。そのような場合では、塗装フィルムは、基材(例えば、自動車パネル)の寸法に適合する形状に予備切断され得る。予備切断された塗装シートのコーナーでの寸法(例えば、角度)が既知であるため、コーナーリリーフパターンは、既知の寸法に基づいて塗装シートに切断され得る。コーナーパッチは、コーナーリリーフパターンが被覆されていない基材の一部分を被覆するのに十分な寸法を有すると同時に切断され得る。
【0041】
502では、コーナーの少なくとも一部分を被覆するように構成されたサイズ及び形状を有するコーナーパッチが形成される。コーナーパッチは、塗装フィルムから作製され得る。いくつかの場合では、コーナーパッチは、塗装フィルムシートと同じ材料から作製され得る。いくつかの場合では、コーナーパッチの厚さは、塗装フィルムシートの厚さ未満であり得る。
【0042】
504では、コーナーパッチは、基材のコーナーに接着される。これは、コーナーパッチ塗装フィルムをコーナー上に位置決めすることと、コーナーパッチ塗装フィルムが、装飾的に平滑で、下層の気泡がなくなるまで、コーナーパッチ塗装フィルムの上部表面上に均等な圧力を加えることと、を伴い得る。いくつかの場合では、熱がコーナーパッチに加えられ得る。
【0043】
506では、塗装フィルムシートは、基材に接着される。これは、塗装フィルムシートが、装飾的に平滑で、下層の気泡がなくなるまで、塗装フィルムシートの上部表面上に均等な圧力を加えることを伴い得る。塗装フィルムシートのコーナーリリーフパターンは、コーナー上のコーナーパッチと部分的に重なるように位置合わせされ得る。塗装フィルムシートは、コーナーパッチと密接に接触して配置されて、それらを一緒に接合させ得る。いくつかの場合では、熱が塗装フィルムシート及び/又はコーナーパッチに加えられて、塗装フィルムシートとコーナーパッチとが重なるところを一緒に接合するのを補助する。得られた塗装フィルムは、コーナー上で平滑でかつ連続的であり得る。いくつかの場合では、塗装フィルムシートとコーナーパッチとは、十分な色一致であるため、基材上に適用されると、塗装フィルムシートとコーナーパッチとの間に識別可能な色の相違が存在しない(例えば、3フィート以上離れて)。
【0044】
いくつかの場合では、塗装フィルムシートは、コーナーパッチ(502)を適用する前に、適用され得る(506)ことに留意されたい。塗装フィルムシート及び/又はコーナーパッチの加熱は、これら2つを一緒に接合するのを同様に補助して、基材の少なくともコーナー先端304上にコンフォーマルコーティングを作製し得る。
【0045】
図6は、例示的な塗装フィルムのコーナーパッチ620の平面図を例解する。示されるように、コーナーパッチ620は、概して、2つの広い領域624の間にまたがる狭い領域622で形成されたドッグボーンである。いくつかの実施形態では、コーナーパッチ622の全長は、約2πxLと約3πxLとの間であり、Lは、図2Bに示されるように、突起部分216の長さである。
【0046】
図7は、基材のコーナー上の塗装フィルムシート210と併せて使用される場合のコーナーパッチ622の上面図を例解する。いくつかの実施形態では、フィルムシート210は、コーナーパッチ622の各端部にパッチ622の約10%~約40%だけ重なる。
【0047】
図8Aは、コーナーパッチ620の平面図を例解し、コーナーパッチの狭い領域622を強調する。図8Bは、基材のコーナー縁部の周囲に巻かれた狭い領域622の側面断面図を例解する。
【0048】
図9Aは、コーナーパッチ620の平面図を例解し、コーナーパッチの広い領域624を強調する。図9Bは、基材のコーナー縁部の周囲に巻かれた広い領域624の側面断面図を例解する。
【0049】
本明細書において、ある形状又は要素が別の形状又は要素の「上」に存在すると称される場合、それは、他の形状若しくは要素の上に直接的に存在し得るか、又は介在する形状及び/又は要素が存在し得ることもある。対照的に、ある形状又は要素が別の形状又は要素の「上に直接的に」存在すると称される場合、介在する形状又は要素は存在しない。形状又は要素が別の形状又は要素に「接続される」、「取り付けられる」、又は「結合される」と称される場合、それが他の形状又は要素に直接接続される、取り付けられる、若しくは結合され得る、又は介在する形状又は要素が存在し得ることもまた理解されるであろう。対照的に、ある形状又は要素が別の形状又は要素の「直接的に接続される」、「直接的に取り付けられる」、又は「直接的に結合される」と称される場合、介在する形状又は要素は存在しない。一実施形態に関して記載又は示されているが、そのように記載又は示された形状及び要素は、他の実施形態に適用することが可能である。当業者はまた、「隣接する」別の形状に配置される構造又は形状への言及が、隣接する形状と重なるか、又は隣接する形状の下にある部分を有し得ることを理解するであろう。
【0050】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に示されない限り、複数形も同様に含むことが意図される。「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された形状、工程、操作、要素、及び/又は成分の存在を指定するが、1つ以上の他の形状、工程、操作、要素、成分、及び/又はこれらの群の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連して列挙された品目のうちの1つ以上の任意のかつ全ての組み合わせを含み、「/」として略記され得る。
【0051】
「下(under)」、「未満(below)」、「下側(lower)」、「上(over)」、「上側(upper)」などのような空間的に相対的な用語を、本明細書では、記載を容易にするために使用して、図に例解されるように、1つの要素又は形状と別の要素又は形状との関係を記載し得る。空間的に相対的な用語は、図に描かれた配向に加えて、使用又は操作中のデバイスの異なる配向を包含することが意図されることが理解されるであろう。例えば、図中のデバイスが反転する場合、他の要素又は形状の「下(under)」又は「下に(beneath)」と記載されている要素は、他の要素又は形状の「上(over)」を配向されていることになる。したがって、「下(under)」という例示的な用語は、「上(over)」及び「下(under)」の両方の配向を包含し得る。デバイスは、他の方法で配向し得(90度又は他の配向で回転し得)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。同様に、「上方(upwardly)」、「下方に(downwardly)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」などという用語は、具体的に特に指示がない限り、本明細書では説明の目的でのみ使用される。
【0052】
「第1(first)」及び「第2(second)」という用語は、様々な形状/要素(工程を含む)を記載するために本明細書で使用され得るが、文脈において特に指示がない限り、これらの形状/要素は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの形状/要素を、別の形状/要素から区別するために使用され得る。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下で考察される第1の形状/要素は、第2の形状/要素と称され得、同様に、以下で考察される第2の形状/要素は、第1の形状/要素と称され得る。
【0053】
この明細書及びそれに続く特許請求の範囲を通して、文脈において特に必要とされない限り、「含む(comprise)」という単語、並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、様々な成分を方法及び物品(例えば、デバイス及び方法を含む組成物及び装置)において共に用いられ得ることを意味する。例えば、「含む(comprising)」という用語は、任意の他の要素又は工程の除外ではなく、任意の記載された要素又は工程の包含を意味すると理解される。
【0054】
一般に、本明細書に記載される装置及び方法のうちのいずれかは、包括的であると理解されるべきであるが、代替的に、成分及び/又は工程の全て又はサブセットは、排他的であり得、様々な成分、工程、サブ成分、又はサブ工程から「からなる(consisting of)」、又は代替的に「から本質的になる(consisting essentially of)」として表現され得る。
【0055】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、実施例で使用される場合を含み、別途明示的に指定されない限り、全ての数は、用語が明示的に現れなくても、「約(about)」又は「およそ(approximately)」という単語によって前置きされるかのように読み取られ得る。大きさ及び/又は位置を記載する場合、「約(about)」又は「およそ(approximately)」という句を使用して、記載された値及び/又は位置が、値及び/又は位置の合理的な予想範囲内にあることを示し得る。例えば、数値は、記載された値(又は値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(又は値の範囲)の+/-1%、記載された値(又は値の範囲)の+/-2%、記載された値(又は値の範囲)の+/-5%、記載された値(又は値の範囲)の+/-10%などである値を有し得る。本明細書に示される任意の数値はまた、文脈において特に指示がない限り、約又はおよそその値を含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」もまた開示される。本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に包含される全てのサブ範囲を含むことが意図される。当業者によって適切に理解されるように、ある値がその値「以下」であることが開示される場合、「その値以上」及びその値の間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」並びに「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示される。また、本出願全体にわたって、データは、いくつかの異なる形式で提供され、このデータは、終点及び始点、並びにデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」及び特定のデータポイント「15」が開示される場合、10と15の間に加えて、10を超える、10以上、10未満、10以下、及び10に等しい、15を超える、15以上、15未満、15以下、及び15に等しい値が開示されるとみなされることが理解される。また、2つの特定の単位間の各単位も開示されることも理解されたい。例えば、10及び15が開示される場合、11、12、13、及び14も開示される。
【0056】
様々な例解的な実施形態が先に記載されているが、特許請求の範囲によって記載されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態にいくつかの変更のうちのいずれかが行われ得る。例えば、様々な記載された方法工程が実行される順序は、代替的な実施形態において多くの場合変更され得、他の代替的な実施形態では、1つ以上の方法工程が完全にスキップされ得る。様々なデバイス及びシステムの実施形態の任意選択的な特徴が、いくつかの実施形態において含まれ得、他の実施形態においては含まれない場合がある。したがって、前述の記載は、主に例示的な目的のために提供され、特許請求の範囲に記載されるように、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0057】
本明細書に含まれる実施例及び例解図は、例解として、かつ限定ではなく、主題が実施され得る具体的な実施形態を示す。上記のように、この開示の範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的な置換及び変更が行われ得るように、他の実施形態がそこから利用及び導出され得る。本発明の主題のこのような実施形態は、本明細書では、単に便宜上、「発明」という用語で個々に、又は集合的に参照され得、2つ以上の発明が実際に開示されている場合、この出願の範囲を任意の単一の発明又は発明概念に自発的に限定する意図はない。したがって、具体的な実施形態が本明細書で例解及び記載されてきたが、同じ目的を達成するために計算された任意の配置は、示されている具体的な実施形態に置換され得る。この開示は、様々な実施形態の任意のかつ全ての適応又は変形を包含することが意図される。上記の実施形態、及び本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態の組み合わせは、上記の記載を検討すると当業者には明らかになるであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10