(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】採用支援システム、採用支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/186 20200101AFI20241203BHJP
G06Q 10/1053 20230101ALI20241203BHJP
【FI】
G06F40/186
G06Q10/1053
(21)【出願番号】P 2024016072
(22)【出願日】2024-02-06
【審査請求日】2024-02-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512313953
【氏名又は名称】株式会社ビズリーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】萩野 貴拓
【審査官】長 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特許第7349219(JP,B1)
【文献】特開2020-098596(JP,A)
【文献】国際公開第09/107148(WO,A1)
【文献】特許第7350206(JP,B1)
【文献】特開2002-123702(JP,A)
【文献】特開2024-000690(JP,A)
【文献】特開2022-009113(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113449509(CN,A)
【文献】特許第7403027(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-58
G06Q 10/00-30
G06Q 50/00-60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
採用支援システムであって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成され、
取得ステップでは、初期求人票を取得し、
求人票再生成ステップでは、前記初期求人票から抽出される複数の求人票構成要素を分類モデルに入力し、前記分類モデルに前記求人票構成要素ごとの分類情報を出力させ、前記分類情報に基づいて複数の前記求人票構成要素を前記初期求人票とは構成が異なる求人票フォーマットへ配置し、
ここで、前記求人票構成要素は、少なくとも1つの単語又は文を含み、
前記分類情報は、前記求人票フォーマットにおいて前記求人票構成要素が配置される項目を示す情報であり、
前記分類モデルは、前記求人票構成要素を入力とし前記分類情報を出力することが可能なように学習された学習モデルであり、
項目追加ステップでは、前記初期求人票の記載内容に基づいて、前記求人票フォーマットの所定の項目に追加するオプションを提示し、ここで、前記オプションは、予め設定されたキーワードリストから抽出された前記初期求人票の記載内容に関連するキーワードであるか、前記初期求人票の記載内容をオプション候補抽出モデルに入力し、前記オプション候補抽出モデルに出力させたものであり、
前記オプション候補抽出モデルは、前記初期求人票の記載内容のデータと、それに対応するオプションのデータとを教師データとして学習した学習モデルである、採用支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の採用支援システムにおいて、
前記求人票再生成ステップでは、前記求人票構成要素ごとに前記分類情報を生成する指示を前記分類モデルに入力する、採用支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の採用支援システムにおいて、
前記求人票再生成ステップでは、前記分類モデルに、前記求人票構成要素に個別に付された識別子と、前記識別子に関連付けられた前記分類情報とを出力させ、前記求人票フォーマットにおける前記分類情報が示す項目に、当該分類情報に関連付けられた前記識別子に対応する前記求人票構成要素を配置する、採用支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の採用支援システムにおいて、
前記求人票再生成ステップでは、前記初期求人票の記載内容を少なくとも1つの中間要素に分割する第1分割処理と、前記中間要素を複数の前記求人票構成要素に分割する第2分割処理とを実行し、
前記第1分割処理では、前記初期求人票に含まれる区切り記号に基づいて、前記記載内容を少なくとも1つの前記中間要素に分割し、
前記第2分割処理では、前記初期求人票に含まれる、前記第1分割処理で用いた前記区切り記号とは異なる区切り記号に基づいて、前記中間要素を複数の前記求人票構成要素に分割する、採用支援システム。
【請求項5】
請求項1に記載の採用支援システムにおいて、
前記求人票再生成ステップでは、前記初期求人票の記載内容を少なくとも1つの中間要素に分割する第1分割処理と、前記中間要素を複数の前記求人票構成要素に分割する第2分割処理とを実行し、
前記第1分割処理では、前記記載内容を第1分割モデルに入力し、前記第1分割モデルに少なくとも1つの前記中間要素を出力させ、ここで、前記第1分割モデルは、前記記載内容を入力とし、前記記載内容を予め定めた中間要素分類情報が定義するカテゴリに分割した、複数の前記中間要素を出力することが可能なように学習された学習モデルであり、
前記中間要素分類情報が定義するカテゴリは、前記求人票フォーマットにおける項目と同一のカテゴリ、当該項目を上位概念化したカテゴリ、又は当該項目を細分化したカテゴリであり、
前記第2分割処理では、前記中間要素を文章の主題ごとに複数の前記求人票構成要素に分割する、採用支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の採用支援システムにおいて、
前記第2分割処理では、前記中間要素を第2分割モデルに入力し、前記第2分割モデルに複数の前記求人票構成要素を出力させ、ここで、前記第2分割モデルは、前記中間要素のデータと、それに対応する、文章が主題の共通性でまとめられた求人票構成要素のデータとを教師データとして、前記中間要素を入力とし、前記中間要素に含まれる文章を主題の共通性でまとめた複数の前記求人票構成要素を出力することが可能なように学習された学習モデル、又は大規模言語モデルであり、
前記第2分割モデルが大規模言語モデルである場合、前記第2分割処理では、前記中間要素を入力とし、前記中間要素に含まれる文章を主題の共通性でまとめた複数の前記求人票構成要素を出力する指示を前記第2分割モデルに入力する、採用支援システム。
【請求項7】
請求項1に記載の採用支援システムにおいて、
前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、
求人票表示制御ステップでは、前記求人票構成要素が配置された前記求人票フォーマットを新求人票として表示させるとともに、前記新求人票における前記求人票構成要素と、前記初期求人票における当該求人票構成要素との対応関係を表示させる、採用支援システム。
【請求項8】
請求項1に記載の採用支援システムにおいて、
前記項目追加ステップでは、提示される前記オプションの抽出時に参照した前記初期求人票の記載内容を、当該オプションの根拠として表示させる、採用支援システム。
【請求項9】
請求項1に記載の採用支援システムにおいて、
前記取得ステップでは、前記初期求人票へアクセスするための求人票アクセス情報を含む、求人票参照ウェブサイトへアクセスするためのウェブサイトアクセス情報を取得し、前記ウェブサイトアクセス情報から取得可能な前記求人票アクセス情報を提示する、採用支援システム。
【請求項10】
請求項9に記載の採用支援システムにおいて、
前記求人票アクセス情報は、URLを含み、
前記取得ステップでは、前記URLの解析によって複数の前記求人票アクセス情報をグループ化したアクセス情報グループを作成するとともに、前記アクセス情報グループ単位での選択を受け付け、選択された前記アクセス情報グループに含まれる前記求人票アクセス情報から前記初期求人票を取得する、採用支援システム。
【請求項11】
請求項9に記載の採用支援システムにおいて、
前記取得ステップでは、複数の前記求人票アクセス情報からそれぞれ前記初期求人票を取得し、
前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、
一覧表示制御ステップでは、複数の前記初期求人票の情報を一覧表示させる、採用支援システム。
【請求項12】
請求項11に記載の採用支援システムにおいて、
前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、
求人票評価ステップでは、求人票の内容と当該求人票のスコアとの相関関係を含む参照情報に基づいて、複数の前記初期求人票の前記スコアを算出し、
前記一覧表示制御ステップでは、複数の前記初期求人票の情報を前記スコアとともに一覧表示させる、採用支援システム。
【請求項13】
採用支援方法であって、
請求項1から請求項1
2のいずれか1項に記載の採用支援システムが実行する各ステップを備える、採用支援方法。
【請求項14】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1から請求項1
2のいずれか1項に記載の採用支援システムの各ステップを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採用支援システム、採用支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、求人情報を求人者が登録し、登録された求人物件(求人票)を求職者が検索可能とする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような採用支援サービスでは、サービスによって求人票のフォーマット(例えば、必須項目、項目の記載順等)が異なる。そのため、求人者は採用支援サービスごとに求人票を入力する必要がある。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、フォーマットに合わせて求人票を容易に修正できる採用支援システム等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、採用支援システムが提供される。この採用支援システムは、プロセッサを備える。プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成される。取得ステップでは、初期求人票を取得する。求人票再生成ステップでは、初期求人票から抽出される複数の求人票構成要素を分類モデルに入力し、分類モデルに求人票構成要素ごとの分類情報を出力させ、分類情報に基づいて複数の求人票構成要素を初期求人票とは構成が異なる求人票フォーマットへ配置する。ここで、求人票構成要素は、少なくとも1つの単語又は文を含む。分類情報は、求人票フォーマットにおいて求人票構成要素が配置される項目を示す情報である。分類モデルは、求人票構成要素を入力とし分類情報を出力することが可能なように学習された学習モデルである。
【0007】
このような態様によれば、初期求人票の記載内容を、新たな求人票フォーマットに合わせて配置することができる。そのため、求人検索を提供するサービスにおけるフォーマットに合わせて、求人者が求人票を容易に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】サーバ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】求人者端末20及び求職者端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバ装置10(制御部11)、求人者端末20(制御部21)及び求職者端末30(制御部31)によって実現される機能を示すブロック図である。
【
図6】求人票参照ウェブサイトRSの一例を示す図である。
【
図7】求人者端末20に表示される、求人票又は求人票参照ウェブサイトへのアクセス情報を取得するための情報取得画面ADの一例を示す図である。
【
図8】情報取得画面ADのアクセス情報入力欄AFに入力された求人票参照ウェブサイトRSから求人票リンクJLが取得された状態の一例を示す図である。
【
図9】求人者端末20に表示される求人票一覧画面LDの一例を示す図である。
【
図10】新求人票作成画面CDの一例を示す図である。
【
図11】採用支援システム1によって実行される情報処理(初期求人票から新求人票への変換処理)の流れを示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ハードウェア構成
本節では、ハードウェア構成について説明する。
【0014】
<採用支援システム1>
図1は、採用支援システム1を表す構成図である。採用支援システム1は、通信回線2と、サーバ装置10と、複数の求人者端末20と、複数の求職者端末30とを備える。サーバ装置10と、求人者端末20と、求職者端末30とは、通信回線2を通じて通信可能に構成されている。サーバ装置10、求人者端末20及び求職者端末30の接続は有線でも無線でもよい。
【0015】
採用支援システム1は、複数の求人者(第1求人者U1及び第2求人者U2)と、複数の求職者(第1求職者U3及び第3求職者U4)が利用する求人・求職システムの一部を構成する。採用支援システム1は、求人票の管理を主に行う。一実施形態において、採用支援システム1とは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。以下、これらの構成要素について説明する。
【0016】
<サーバ装置10>
図2は、サーバ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、通信バス14とを備える。制御部11、記憶部12、及び通信部13は、サーバ装置10の内部において通信バス14を介して電気的に接続されている。
【0017】
<制御部11>
制御部11は、サーバ装置10に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部11は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ装置10に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能毎に複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0018】
<記憶部12>
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行されるサーバ装置10に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行されるサーバ装置10に係る種々のプログラム、変数等を記憶している。
【0019】
<通信部13>
通信部13は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置10は、通信部13及びネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0020】
サーバ装置10は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ装置10としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上述の機能や処理を提供してもよい。
【0021】
<求人者端末20>
図3は、求人者端末20及び求職者端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3Aに示されるように、求人者端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25と、通信バス26とを備える。制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、及び出力部25は、求人者端末20の内部において通信バス26を介して電気的に接続されている。制御部21、記憶部22及び通信部23の説明は、サーバ装置10における各部の説明と同様のため省略する。なお、求人者端末20は、求人者の代わりに求職者とのやり取りを行う人材仲介業者が操作する端末であってもよい。
【0022】
<入力部24>
入力部24は、ユーザによってなされた操作入力を受け付ける。操作入力は、命令信号として通信バス26を介して制御部21に転送される。制御部21は、必要に応じて、転送された命令信号に基づいて所定の制御や演算を実行しうる。入力部24は、求人者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部24は、出力部25と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。入力部24がタッチパネルとして実施される場合、ユーザは、入力部24に対してタップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。入力部24としては、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、トラックパッド、QWERTYキーボード等が採用可能である。
【0023】
<出力部25>
出力部25は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。出力部25は、求人者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。具体的には、出力部25は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はプラズマディスプレイ等の表示デバイスとして実施されうる。これらの表示デバイスは、求人者端末20の種類に応じて使い分けて実施されることが好ましい。
【0024】
<求職者端末30>
図3Bに示されるように、求職者端末30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35と、通信バス36とを備える。制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34、及び出力部35は、求職者端末30の内部において通信バス36を介して電気的に接続されている。制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34及び出力部35の説明は、求人者端末20における各部の説明と同様のため省略する。
【0025】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11(採用支援システム1が備えるプロセッサ)に含まれる各機能部として実行されうる。
【0026】
図4は、サーバ装置10(制御部11)、求人者端末20(制御部21)及び求職者端末30(制御部31)によって実現される機能を示すブロック図である。
【0027】
図4Aに示すように、サーバ装置10(制御部11)は、基本表示制御部111と、取得部112と、求人票評価部113と、一覧表示制御部114と、求人票再生成部115と、項目追加部116と、求人票表示制御部117と、人工知能部120とを備える。
図4Bに示すように、求人者端末20(制御部21)は、表示部211と、操作取得部212とを備える。
【0028】
<基本表示制御部111>
基本表示制御部111は、種々の情報を求人者端末20及び求職者端末30に表示させるように構成される。例えば、基本表示制御部111は、求職者が作成した履歴書及び職務経歴書、求人者が作成した求人票及びスカウト文書等を、求人者端末20の表示部211又は求職者端末30の表示部311に表示させる。
【0029】
求人者には、営利法人(例えば企業等)、非営利法人(例えば、協同組合、財団法人等)、公的法人(例えば地方公共団体等)等の組織が含まれる。求人者には、組織の代理人として、求職者と組織とを仲介する人材仲介業者も含まれる。人材仲介業者は、ヘッドハンター、エージェント等とも呼ばれる。
【0030】
<取得部112>
取得部112は、特定の求人票フォーマットに沿った新たな求人票(新求人票)に変換する対象である初期求人票をデータとして取得するように構成される。
【0031】
図5は、求人票JPの一例を示す図である。この求人票JPには、募集するポジション名、仕事内容・労働条件(年収、職種、業種、勤務地、勤務形態、職場環境等)、応募資格(スキル)、求める人物像、アピールポイント等の複数の項目IMごとに、求人情報が記載される。すなわち、求人票JPは、情報のカテゴリ毎に区分された複数の項目IMで構成される。項目IMは、さらに複数のサブ項目SIMで構成されてもよい。
図5の例では、「応募資格」の項目IMは、「必須要件」及び「歓迎要件」のサブ項目SIMを含む。また、求人票JPには、求人のタイトル、見出し、求人者の情報(会社規模(売上、従業員数等)、業種等)などの項目が内容として含まれてもよい。
【0032】
採用支援システム1が利用及び参照する求人票が登録される求人票データベースは、採用支援システム1が構成する求人・求職サービスが利用するデータベースに限定されず、外部のサービスにおける、求人票が登録されたデータベースであってもよく、採用支援システム1以外の求人・求職サービスのデータベースであってもよい。つまり、初期求人票は、採用支援システム1の外部のサービスからインポートされた求人票であってもよく、インターネット上で公開されている求人票であってもよい。
【0033】
求人票JPの求人票フォーマットは、求人票JPを公開している(求人票JPが登録されている)システム、サービス等の媒体によって異なる。また、同じ媒体によっても、求人票の登録時期、利用サービスの種別等によって求人票フォーマットが互いに異なる求人票JPが存在しうる。また、採用支援システム1が使用する求人票フォーマットは、基本的に、採用支援システム1の外部の媒体が使用する求人票フォーマットとは構成が異なる。ここで、求人票フォーマットは、求人票JPを構成する項目の数、種類、配置順、表示形式等を定義したものである。
【0034】
なお、
図5の求人票JPは、採用支援システム1で求人を行うことが可能な(つまり、採用支援システム1が構成するサービスでの求人票フォーマットに沿って作成された)求人票の一例である。そのため、採用支援システム1の外部から取得された初期求人票の構成は、
図5の求人票JPの構成とは必ずしも一致しない。
【0035】
取得部112は、例えば、取得可能な初期求人票の一覧を求人者端末20に表示させ、求人者端末20から初期求人票の選択の入力を受け付ける。また、取得部112は、ユーザによって指定された求人票データベースに登録されている全ての初期求人票、又はユーザによって指定された任意の求人票を初期求人票として、これらの初期求人票の情報を自動取得してもよい。
【0036】
さらに、取得部112は、求人票が公開されているウェブサイトから初期求人票を取得してもよい。また、取得部112は、初期求人票へアクセスするための求人票アクセス情報を含む、求人票参照ウェブサイトへアクセスするためのウェブサイトアクセス情報を取得し、当該ウェブサイトアクセス情報から取得可能な求人票アクセス情報を提示してもよい。これにより、ユーザによる1つのウェブサイトアクセス情報の入力に基づいて、複数の初期求人票を取得することができる。そのため、複数の初期求人票の新求人票への変換作業が容易となる。
【0037】
図6は、求人票参照ウェブサイトRSの一例を示す図である。求人票参照ウェブサイトRSには、URLを含む複数の求人票リンクJL(求人票アクセス情報)が掲載されている。求人票参照ウェブサイトRSでは、求人票リンクJLの選択によって、個々の求人票にアクセスできる。求人票参照ウェブサイトRSとしては、例えば、組織が利用する採用管理システム(ATS:Applicant Tracking System)が提供する、組織毎に用意された求人票一覧ページが挙げられる。求人票一覧ページは、求人一覧が各求人票の求人票リンクJLとともに掲載されたウェブサイトである。求人票一覧ページは、掲載された求人票と対応付けられた組織のみが閲覧できる(閲覧制限が付された)ウェブサイトであってもよい。
【0038】
図7は、求人者端末20に表示される、求人票又は求人票参照ウェブサイトへのアクセス情報を取得するための情報取得画面ADの一例を示す図である。情報取得画面ADは、URL入力欄UFと、アクセス情報入力欄AFとを含む。URL入力欄UFは、求人者端末20から個別の求人票が公開されているウェブサイト(求人詳細ページ)のURLの入力を受け付ける。取得部112は、URL入力欄UFに入力されたURLに公開されている求人票の情報を初期求人票として取得する。ここで、取得部112は、URL入力欄UFにおいて、複数の求人詳細ページのURLの入力を受け付けてもよい。
【0039】
アクセス情報入力欄AFは、求人者端末20から求人票参照ウェブサイトRSのURLの入力を受け付ける。求人票参照ウェブサイトRSのURLは、求人者端末20からユーザが直接入力してもよいし、ユーザが閲覧した(アクセスした)求人票参照ウェブサイトRSから取得部112が取得して表示させてもよい。取得部112は、アクセス情報入力欄AFに入力されたURLをウェブサイトアクセス情報として取得する。
【0040】
ウェブサイトアクセス情報の取得後、取得部112は、ウェブサイトアクセス情報を使って求人票参照ウェブサイトRSに含まれる複数の求人票リンクJLを取得する。求人票参照ウェブサイトRSには、求人票リンクJL以外のリンク(例えば、プライバシーポリシーの表示ページやヘルプページ等へのリンク)が含まれうる。そのため、取得部112は、例えば、URLのパターン認識によって、求人票参照ウェブサイトRSに含まれるリンクの中から、求人票リンクJLのみを抽出する。
【0041】
具体的には、取得部112は、例えば、求人票リンクJLのURLのパターンを登録したデータベース等を参照することで求人票リンクJLを抽出する。URLのパターンは、求人票参照ウェブサイトRS単位で(ATSごとに)登録されてもよい。求人票リンクJLを判定するURLのパターンとしては、例えば、「career」、「job」等の特定キーワードを含むパターン、求人票参照ウェブサイトRSのURLに続けて所定の桁数の文字列が付加されたパターン等が挙げられる。取得部112は、これらのパターンに該当するURLを求人票リンクJLのURLとして抽出する。
【0042】
また、アクセス情報入力欄AFに入力されたURLのページが見つからない場合、又はアクセス情報入力欄AFに入力されたURLのページが求人票参照ウェブサイトRSではない場合(つまり、アクセス情報入力欄AFに入力されたURLのページに求人票リンクJLが含まれない場合)、取得部112は、情報取得画面ADにおいてエラーを表示させる。
【0043】
また、取得部112は、情報取得画面ADにおいて1つの入力欄(例えばアクセス情報入力欄AFのみ)を表示させてもよい。取得部112は、入力欄に入力されたURLが、求人詳細ページのURL及び求人票参照ウェブサイトのURLのどちらであるかを判定し、前者の場合に初期求人票を取得し、後者の場合に求人票リンクJLを取得するように構成されてもよい。取得部112は、例えば、求人票参照ウェブサイトのURLのパターン(例えば、「list」等のキーワードを含むパターン)を登録したデータベースの参照によって、入力されたURLが求人票参照ウェブサイトのURLであるか否かを判定する。また、取得部112は、入力されたURLのページに求人詳細ページへのリンク(求人票リンク)が含まれる否かによって、入力されたURLが求人票参照ウェブサイトのURLであるか否かを判定してもよい。
【0044】
図8は、情報取得画面ADのアクセス情報入力欄AFに入力された求人票参照ウェブサイトRSから求人票リンクJLが取得された状態の一例を示す図である。
図8に示されるように、取得部112は、情報取得画面ADにおいて取得した求人票リンクJL(求人票のURL)をリスト表示させる。ユーザは、求人票を取得する(つまり、初期求人票とする)求人票リンクJLを、例えばチェックボックスのチェックによって選択する。
【0045】
また、
図8に示されるように、取得部112は、複数の求人票リンクJLをグループ化して表示させてもよい。すなわち、取得部112は、各求人票アクセス情報のURLの解析によって複数の求人票アクセス情報をグループ化したアクセス情報グループを作成してもよい。取得部112は、例えば、URLに含まれる文字(アルファベット、数字、記号等)のパターン認識によってアクセス情報グループを作成する。つまり、取得部112は、URLのパターンの類似度の高いもの同士をグループ化する。URLの類似度は、例えば、類似度の判定基準を定義したルールに沿って算出される。類似度の判定は、例えば、特徴ベクトルやレーベンシュタイン距離などの既知の手法によって算出されてもよい。また、類似の判定基準としては、例えば、2つのURLにおいて重複している文字数、2つのURLを部分的に(例えば、「/」、「.」等の区切り記号で区切られた文字列同士で)対比したときの文字の置換性等が使用される。また、取得部112が過去に取得した初期求人票の内容と、当該初期求人票のURLとの関係を記録した対応テーブルに基づいて、URL(求人票アクセス情報)をグループ化してもよい。この対応テーブルは、例えば、求人票を公開しているシステム、サービス等の媒体ごとに用意される。また、対応テーブルには、URLのパターンと、求人票における職種、業種、年収等の条件が紐付けられて記述される。取得部112は、この対応テーブルを参照することで、求人票リンクJLを、職種、業種、年収等の条件によって分類し、グループ化する。
【0046】
1以上の求人票リンクJLが選択された状態でインポート実行ボタンB1が入力操作される(押下される)と、取得部112は、選択された求人票リンクJLに対しウェブスクレイピング処理を実行して、それぞれのURLのウェブページから求人票のデータを取得する。つまり、取得部112は、選択された複数の求人票アクセス情報からそれぞれ初期求人票を取得する。
【0047】
また、ユーザは、例えば、URLグループごとに付されたチェックボックスのチェックによってURLグループを選択することで、当該URLグループに含まれる複数の求人票リンクJLを一括選択することができる。このように、取得部112は、情報取得画面ADにおいて、アクセス情報グループ単位での選択を受け付け、選択されたアクセス情報グループに含まれる求人票アクセス情報から初期求人票を取得してもよい。これにより、ユーザが、類似度又は関連性の高い複数の初期求人票をまとめて新求人票へ変換することができるため、求人票の変換作業の効率が高められる。
【0048】
取得部112は、ATS等の求人票を提供するシステムから初期求人票を直接取得してもよい。この場合、取得部112は、システム名(又はサービス名)の入力、又は選択肢からの選択を受け付ける。取得部112は、当該システムから要求されるログイン操作(ID、パスワード等の入力)をユーザからさらに受け付け、ユーザがログインしたシステムから、API連携、クローリング処理、スクレイピング処理等によって、複数の初期求人票を取得してもよい。また、取得部112は、初期求人票が保存されたストレージ(又はストレージ内のフォルダ)へのリンクの入力を受け付け、当該ストレージにおけるAPI連携、クローリング処理、スクレイピング処理等によって、複数の初期求人票を取得してもよい。つまり、初期求人票は、求人票参照ウェブサイトに限らず、求人票参照システム又は求人票参照ストレージから取得されてもよい。求人票参照ストレージには、求人票アクセス情報を含んだシステム(求人票参照システム)のストレージ、求人票が保存されたフォルダ(求人票参照フォルダ)を含むストレージ等が含まれる。
【0049】
取得部112は、初期求人票のデータの直接入力を受け付けてもよい。例えば、取得部112は、初期求人票の文書データ(例えばPDFデータ)のアップロード、初期求人票のデータを含むフォルダのアップロード、クラウドストレージに保存された初期求人票のデータへのリンク(URLなど)の入力等を受け付け、これらのデータから初期求人票を取得してもよい。
【0050】
取得部112は、ユーザ(求人者)の所属する組織の採用ウェブページから初期求人票のURL又はデータを取得してもよい。例えば、取得部112は、採用支援システム1へのユーザのログイン情報(求人者の登録情報)から、当該ユーザの所属する組織を特定し、当該組織の採用ウェブページのURLを取得し、採用ウェブページに含まれる求人票リンクを取得してもよい。これにより、ユーザが初期求人票又は求人票参照ウェブサイトのURLの入力を省略することができる。
【0051】
取得部112が取得した初期求人票は、例えば、記憶部12に記憶された初期求人票用のデータベースに登録される。なお、取得部112が取得する初期求人票には、求人票の本文(求人内容に関する情報)のみが含まれてもよいし、本文以外の付加情報が含まれてもよい。付加情報としては、例えば、初期求人票の構成、表示形式等を制御する制御情報(例えば、HTMLタグ等)が挙げられる。求人票リンクJLに対するウェブスクレイピング処理によって初期求人票を取得する場合、取得部112は、HTMLタグを含んだテキストデータとして、初期求人票を取得するとよい。
【0052】
<求人票評価部113>
求人票評価部113は、求人票の内容と当該求人票のスコアとの相関関係を含む参照情報に基づいて、複数の初期求人票のスコアを算出するように構成される。
【0053】
例えば、求人票評価部113は、取得部112が取得した初期求人票の内容と、参照情報とに基づいて、初期求人票に対するアクションの発生率又は発生数に関する期待値をスコアとして算出する。「初期求人票に対するアクション」には、初期求人票に基づく求人者のアクションである求人者アクションと、初期求人票に対する求職者のアクションである求職者アクションとが含まれる。
【0054】
求人者アクションには、初期求人票を起点とする直接的なアクション(例えば、初期求人票に基づくスカウト文書の送信等)と、別のアクションを起点に発生する間接的なアクション(例えば、スカウト文書を送信し、求職者から返信があった求人票に対する内定のオファー、スカウト文書を送信した求人票の成約等)とが含まれる。求職者アクションにも、初期求人票を起点とする直接的なアクション(例えば、求人票に対する応募等)と、別のアクションを起点に発生する間接的なアクション(例えば、求人者によって送信されたスカウト文書への返信、求人者からの内定のオファーに対する承諾、求職者からの応募があった求人票の成約等)とが含まれる。
【0055】
具体的には、求人票評価部113が期待値を算出する求人者アクションには、初期求人票に基づく求職者へのスカウト文書の送信、スカウト文書への求職者からの返信、及び求職者に対する求人成約の少なくとも1つが含まれるとよい。また、求人票評価部113が期待値を算出する求職者アクションには、求人票に対する求職者からの応募、及び応募を行った求職者に対する求人成約の少なくとも1つが含まれるとよい。さらに、求人票評価部113は、初期求人票に基づくアクションとして、書類審査の通過、採用面接(1次面接、2次面接等)の通過や、内定オファーに関する期待値を算出してもよい。
【0056】
参照情報は、求人票の内容と、求人票におけるアクションの発生有無又は発生数との相関関係を含む。参照情報は、例えば、記憶部12に記憶されている。参照情報は、初期求人票を入力として、初期求人票の期待値情報(アクションの予測発生率又は予測発生数)を出力可能なように構築された推定器である。
【0057】
参照情報は、初期求人票を入力とし期待値情報を出力することが可能なように学習された期待値算出モデルであるとよい。この場合、求人票評価部113は、初期求人票を人工知能部120の期待値算出モデルに入力し、期待値算出モデルに期待値情報を出力させる。
【0058】
期待値算出モデルは、初期求人票におけるアクションの発生有無又は発生数を予測する学習モデルである。期待値算出モデルは、学習用の参照求人票と、それに対応するアクションの発生率又は発生数のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。「参照求人票」とは、求人票データベースに登録されている又は登録され、過去に実際に求人を行った又は現在も求人を行っている求人票である。この場合、学習によって算出されたり、チューニングされたりした期待値算出モデルのパラメータが、求人票の内容と、求人票におけるアクションの発生有無又は発生数との相関関係に当たる。ここで、学習用の参照求人票には、業務内容等に関する文章(テキストデータ)と、職種、業種、勤務地、年収帯など、所定の分類や選択肢から選択されて入力される属性情報とが含まれてもよい。
【0059】
期待値算出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、求人票評価部113は、初期求人票を入力とし、初期求人票のアクションの発生率又は発生数を予測して出力する指示を含むプロンプトを期待値算出モデルに入力し、アクションの発生率又は発生数を期待値算出モデルに出力させる。また、求人票評価部113は、アクションの発生率又は発生数の予測・出力指示と初期求人票とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求人票のサンプルと、それに対応する1以上のアクションの発生率又は発生数のサンプルとを挿入したプロンプトを期待値算出モデルに入力してもよい。
【0060】
求人票評価部113は、例えば、初期求人票に含まれる文章のベクトル化により得られる第1ベクトルを含む特徴量を期待値算出モデルに入力し、期待値算出モデルに期待値情報を出力させる。また、求人票評価部113は、初期求人票に含まれる属性情報のベクトル化により得られる第2ベクトルを含む特徴量を期待値算出モデルに入力し、期待値算出モデルに期待値情報を出力させてもよい。さらに、求人票評価部113は、第1ベクトルと第2ベクトルとの双方を含む特徴量を期待値算出モデルに入力し、期待値算出モデルに期待値情報を出力させてもよい。期待値算出モデルは、初期求人票に含まれる文章のベクトル化により得られる第1ベクトル及び求人票に含まれる属性情報のベクトル化により得られる第2ベクトルの少なくとも一方(好ましくは両方)を含む特徴量を入力とし期待値情報を出力とするように学習される。
【0061】
求人票評価部113は、求人成約の確率である第1期待値情報、求職者からの返信の確率である第2期待値情報、及びスカウト文書の送信数の予測値である第3期待値情報の少なくとも2つを生成するとよい。さらに、求人票評価部113は、第1期待値情報、第2期待値情報及び第3期待値情報の少なくとも2つに基づいて初期求人票のスコアを算出するとよい。
【0062】
また例えば、求人票評価部113は、取得部112が取得した初期求人票に対し、評価要素とスコアとの関係が定義された参照情報を用いて、初期求人票に含まれる評価要素のスコアを出力してもよい。評価要素には、初期求人票に含まれる情報の量及び初期求人票に含まれる文章の表現の中から選択された1以上の要素が含まれてもよい。評価要素には、求人者が求める人材の職務内容を表す用語が初期求人票に含まれることに基づいて算定される要素が含まれてもよい。
【0063】
求人票評価部113は、初期求人票を構成する項目に含まれる情報の量に基づいて、初期求人票に含まれる情報の量に関するスコアを算定してもよい。例えば、各項目に含まれる文字数と予め設定された項目ごとの適正な文字数の範囲との比較結果に基づいて各項目に関するスコアが算定され、項目ごとのスコアに基づいて、初期求人票全体の情報量に関するスコアが算定されてもよい。また、求人票評価部113は、初期求人票を構成する項目と当該項目に含まれる文章との整合性に基づいて、初期求人票に含まれる文章の表現に関するスコアを算定してもよい。例えば、「仕事内容」の項目において、仕事内容以外の文章(例えば、応募資格に関する内容など)が含まれる場合に、表現に関するスコアが低く算定されてもよい。
【0064】
求人票評価部113は、初期求人票を構成する2以上の項目の各々に含まれる文章間の整合性に基づいて、初期求人票に含まれる文章の表現に関するスコアを算定してもよい。例えば、「仕事内容」の項目に含まれる文章と「アピールポイント」の項目に含まれる文章とが矛盾する場合に、表現に関するスコアが低く算定されてもよい。さらに、求人票評価部113は、求人者が求める人材の職務内容を表す用語が登録されたデータベースを参照して、求人者が求める人材の専門性に関するスコアを算定してもよい。このような文章の解析やスコアの算定は、人工知能部120の学習モデルを用いて、形態素解析を含む自然言語処理によって実行されてもよい。
【0065】
なお、求人票評価部113は、後述する求人票再生成部115によって作成された新求人票のスコアを算出するように構成されてもよい。
【0066】
<一覧表示制御部114>
一覧表示制御部114は、取得部112が取得した複数の初期求人票の情報を求人票評価部113が算出したスコアとともに、求人者端末20に一覧表示させるように構成される。これにより、インポートした初期求人票の状況(例えば新求人票への変換状態)の把握や管理が容易に行える。また、初期求人票のスコアが表示されることで、ユーザがスコアに応じて新求人票への変換の要否を検討することができる。
【0067】
図9は、求人者端末20に表示される求人票一覧画面LDの一例を示す図である。求人票一覧画面LDは、記憶部12に記憶された複数の求人票をリスト形式で表示する求人票リストLTと、追加インポートボタンB2と、新規作成ボタンB3とを含む。求人票一覧画面LDに表示される求人票には、採用支援システム1の外部から取得された(インポートされた)初期求人票と、採用支援システム1内で作成及び登録された通常求人票とが含まれる。求人票リストLTには、各求人票の求人タイトルJT、求人票作成者JN、求人票種類JK、求人票スコアJS、サービス登録状況JR、複製ボタンB4及び削除ボタンB5が表示される。
【0068】
求人タイトルJTは、求人票のタイトル又はポジション名である。求人票種類JKは、外部から取得された初期求人票であるか、内部で作成及び登録された通常求人票であるかを示すラベルであり、
図9の例では、初期求人票には「インポート」のラベルが表示され、通常求人票には、「AI作成」、「手動作成」等のラベルが表示されている。「AI作成」のラベルは、例えば人工知能部120の人工知能(学習モデル)によって作成された通常求人票に付され、「手動作成」のラベルは、ユーザが項目を手入力することで作成された通常求人票に付される。求人票スコアJSとして表示されている採用可能性は、求人票評価部113が算出した、求人票の成約の期待値(確率)を表すスコアである。一覧表示制御部114は、求人票スコアJSとして、求人票の成約の期待値以外のスコアを表示させてもよい。
【0069】
サービス登録状況JRは、求人票が採用支援システム1に登録済みであるか否かを示す情報である。「採用支援システム1に登録済み」とは、採用支援システム1が構成するサービスにおいて、当該求人票に基づいてスカウト文書を求職者に送信可能、及び/又は求職者が当該求人票を検索及び参照可能な状態を意味する。初期求人票の場合は、新求人票へ変換されている場合は「登録済み」の状態となり、新求人票へ変換されていない場合は「未登録」の状態としてもよい。
【0070】
追加インポートボタンB2が入力操作されると、新たに初期求人票を取得するための入力を受け付ける画面(例えば、
図7の情報取得画面AD)が求人者端末20に表示される。新規作成ボタンB3が入力操作されると、新たに求人票を作成するための入力を受け付ける画面が求人者端末20に表示される。複製ボタンB4が入力操作されると、対応する求人票を複製した求人票が作成される。削除ボタンB5が入力操作されると、対応する求人票が求人票一覧画面LD及び記憶部12のデータベースから削除される。
【0071】
ユーザは、求人票リストLTに表示された求人票を選択することで、当該求人票の登録(新求人票への変換)、修正等を実行することができる。
【0072】
一覧表示制御部114は、求人票一覧画面LDに表示される項目に基づき、新求人票へ変換する初期求人表を推薦してもよい。例えば、一覧表示制御部114は、求人票スコアJSが予め定めた所定の値より高く(つまり、求職者を採用できる可能性が高く)、かつ採用支援システム1に未登録の求人票をハイライト表示させてもよい。これにより、ユーザによる変換要否の判断を補助できる。
【0073】
<求人票再生成部115>
求人票再生成部115は、初期求人票から新求人票を再生成する(初期求人票を新求人票に変換する)ように構成される。具体的には、求人票再生成部115は、初期求人票から抽出される複数の求人票構成要素を分類モデルに入力し、分類モデルに求人票構成要素ごとの分類情報を出力させ、分類情報に基づいて複数の求人票構成要素を初期求人票とは構成が異なる求人票フォーマットへ配置する。
【0074】
求人票構成要素は、少なくとも1つの単語又は文を含む。求人票構成要素は、タグワード等のキーワードのみで構成されてもよいし、1又は複数の文で構成された文章であってもよいし、タグワード等のキーワードと文章とで構成されてもよい。また、求人票構成要素は、初期求人票の項目、段落等の構成とは無関係に抽出される。したがって、初期求人票の同じ項目又は段落に記載されていた複数の文が、それぞれ別の求人票構成要素として抽出されうる。なお、求人票構成要素は、初期求人票の記載内容(求人票の本文)に含まれる単語又は文をそのまま抽出したものである。すなわち、求人票構成要素は、初期求人票の記載内容に含まれる単語又は文を、置換、追加、削除等の編集をせずに抜き出したものである。
【0075】
分類情報は、求人票フォーマットにおいて求人票構成要素が配置される項目を示す情報である。
図5の求人票JPの例では、分類情報は、求人票構成要素が、「ポジション名」の項目IM、「仕事内容・労働条件」の項目IM、「応募資格」の項目IM(より具体的には「必須要件」のサブ項目SIM及び「歓迎要件」のサブ項目SIM)、「求める人材像」の項目IMのいずれに配置されるかを示す情報である。例えば、分類モデルによって分類情報として「仕事内容・労働条件」を示すコードが付された求人票構成要素は、「仕事内容・労働条件」の項目IMに記載される文章として配置される。分類モデルについては、後述する。
【0076】
初期求人票からの求人票構成要素の抽出において、求人票再生成部115は、初期求人票の記載内容(初期求人票の本文)を少なくとも1つの中間要素に分割する第1分割処理と、中間要素を複数の求人票構成要素に分割する第2分割処理とを実行するとよい。これにより、2段階の初期求人票の記載内容の分割によって求人票構成要素の抽出が行われるため、求人票構成要素への分類情報の付与(すなわち新求人票の項目に合わせた分類)の精度が向上する。
【0077】
求人票再生成部115は、第1分割処理では、初期求人票に含まれる区切り記号に基づいて、初期求人票の記載内容を少なくとも1つの中間要素に分割するとよい。区切り記号には、例えば、HTMLタグ等の制御記号、句点、ピリオド、コロン、セミコロン、スラッシュ、改行記号等の文又は段落の区切りを示す記号等が含まれる。これにより、第1分割処理における処理負荷を低減しつつ、第2分割に適した中間要素を抽出することができる。
【0078】
また、求人票再生成部115は、第1分割処理では、初期求人票の記載内容を第1分割モデルに入力し、第1分割モデルに少なくとも1つの中間要素を出力させてもよい。第1分割モデルは、初期求人票の記載内容を入力とし、予め定めた中間要素分類情報に基づいて、複数の中間要素を出力することが可能なように学習された学習モデルである。これにより、初期求人票の記載内容の中身に応じて中間要素を抽出できるため、求人票構成要素の抽出精度が高められる。
【0079】
中間要素分類情報は、初期求人票の記載内容を複数の中間要素に分割する場合のカテゴリを定義する情報であり、第1分割モデルは、記載内容を中間要素分類情報に含まれるカテゴリ単位に分割したものを中間要素として出力する。中間要素分類情報が定義するカテゴリは、新求人票の(つまり変換先の)求人票フォーマットにおける項目(サブ項目を含む)と同一のもの、当該項目を上位概念化したもの(複数の項目を括ったもの)、又は当該項目を細分化(分割)したものである。また、中間要素分類情報が定義するカテゴリには、新求人票には含まれないものが含まれてもよい。具体的には、中間要素分類情報は、記載内容を「タイトル」(求人票フォーマットにおける項目と同一のカテゴリの例)、「仕事内容」(求人票フォーマットにおける「仕事内容・労働条件」の項目を細分化したカテゴリの例)、「労働条件」(同上)、「応募資格」(求人票フォーマットにおける「必須要件」及び「歓迎要件」の項目を上位概念化したカテゴリの例)、「企業情報」(求人票フォーマットに含まれないカテゴリの例)等に分割及び分類する情報を含む。中間要素分類情報は、例えば、複数のカテゴリの名称が記述されたテーブルとして記憶部12に記憶されている。
【0080】
第1分割モデルは、初期求人票の記載内容のデータと、それに対応する、中間要素分類情報に基づいて分割された複数の中間要素のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。また、第1分割モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、求人票再生成部115は、初期求人票の記載内容を入力とし、当該記載内容と中間要素分類情報とに基づいて中間要素を生成する指示を含むプロンプトを第1分割モデルに入力し、中間要素を第1分割モデルに出力させる。また、求人票再生成部115は、中間要素の生成・出力指示と初期求人票の記載内容とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の初期求人票の記載内容のサンプルと、それに対応する1以上の中間要素のサンプルとを挿入したプロンプトを第1分割モデルに入力してもよい。
【0081】
第1分割モデルは、分割した中間要素それぞれに、中間要素分類情報に基づいたカテゴリ情報を付与してもよい。例えば、「仕事内容」のカテゴリとして分割した中間要素には、「仕事内容」のカテゴリ情報(カテゴリラベル)が付与されてもよい。
【0082】
求人票再生成部115は、初期求人票の記載内容のうち、一部を区切り記号に基づいて中間要素化するとともに、残りの部分を第1分割モデルによって中間要素化してもよい。例えば、求人票再生成部115は、HTMLの「タイトルタグ」(<title>及び</title>の組み合わせ)に基づいて、初期求人票のタイトルを抽出し(例えば、HTMLの「タイトルタグ」<title>の後に続く文字列をタイトルとして抽出し)、当該タイトルを除いた記載内容を第1分割モデルに入力してもよい。初期求人票のタイトルを含む中間要素の抽出は、「タイトルタグ」に基づく方法に限らず、HTMLの他のタグや要素に基づいて中間要素が抽出されてもよい。
【0083】
第1分割処理で区切り記号によって中間要素を分割した場合、求人票再生成部115は、第2分割処理では、初期求人票に含まれる、第1分割処理で用いた区切り記号とは異なる区切り記号に基づいて、中間要素を複数の求人票構成要素に分割するとよい。これにより、第2分割処理における処理負荷も低減しつつ、新求人票の作成に適した求人票構成要素を抽出することができる。
【0084】
第2分割処理で用いる区切り記号は、第1区切り記号で分割された中間要素に含まれている区切り記号である。第2分割処理で用いる区切り記号は、第1分割処理で用いた区切り記号よりも区切り単位の小さい区切り記号であるとよい。例えば、第1分割処理で用いた区切り記号がHTMLタグ等の制御記号である場合、第2分割処理では、例えば、句点、ピリオド、コロン、セミコロン、スラッシュ、改行記号等の文又は段落の区切りを示す記号で中間要素を分割するとよい。特に、第2分割処理では、段落の区切りを示す記号(例えば、空行を形成している連続した2つの改行記号等)で中間要素を分割するとよい。これにより、分類情報の付与に適した求人票構成要素への分割が確実に実行される。
【0085】
求人票再生成部115は、第2分割処理では、中間要素を第2分割モデルに入力し、第2分割モデルに複数の求人票構成要素を出力させてもよい。第2分割モデルは、中間要素を入力とし、中間要素に含まれる文章を主題の共通性でまとめた複数の求人票構成要素を出力することが可能なように学習された学習モデルである。これにより、文章の主題ごとに分割された(つまり文脈に沿って分割された)求人票構成要素が生成されるため、後述する分類モデルによる分類情報の付与精度が高められる。
【0086】
第2分割モデルは、中間要素のデータと、それに対応する、文章が主題の共通性でまとめられた求人票構成要素のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。また、第2分割モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、求人票再生成部115は、中間要素を入力とし、当該中間要素に基づいて求人票構成要素を生成する指示を含むプロンプトを第2分割モデルに入力し、求人票構成要素を第2分割モデルに出力させる。また、求人票再生成部115は、求人票構成要素の生成・出力指示と中間要素とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の中間要素のサンプルと、それに対応する1以上の求人票構成要素のサンプルとを挿入したプロンプトを第2分割モデルに入力してもよい。
【0087】
第2分割モデルは、第1分割モデルが中間要素に付与したカテゴリ情報を参照して、中間要素を分割してもよい。例えば、「仕事内容」のカテゴリ情報が付与された中間要素について、第2分割モデルは、「仕事内容」に関する主題を抽出することで、中間要素を求人票構成要素に分割してもよい。また、第2分割モデルは、分割した求人票構成要素それぞれに、主題情報を付与してもよい。例えば、「仕事内容」のカテゴリ情報を有する中間要素から分割した求人票構成要素には、「業務概要」、「仕事の魅力」等の主題情報(主題ラベル)が付与されてもよい。同様に、例えば、「応募資格」のカテゴリ情報を有する中間要素から分割した求人票構成要素には、「必須要件」、「歓迎要件」等の主題情報が付与されてもよい。
【0088】
なお、第2分割モデルは、中間要素のカテゴリに含まれない主題を抽出することで、中間要素を求人票構成要素に分割してもよい。例えば、「仕事内容」のカテゴリ情報を有する中間要素から、「必須要件」の主題を含む求人票構成要素が抽出されてもよい。
【0089】
求人票再生成部115は、第1分割処理において生成された複数の中間要素のうち、一部の中間要素を区切り記号に基づいて求人票構成要素化するとともに、残りの中間要素を第2分割モデルによって求人票構成要素化してもよい。また、求人票再生成部115は、一部の中間要素(例えば、「タイトル」として抽出された中間要素)を、第2分割処理することなく、そのまま求人票構成要素としてもよい。
【0090】
また、求人票再生成部115は、第1分割モデルと第2分割モデルとが統合された1つの構成要素抽出モデルを用いて、第1分割処理及び第2分割処理を実行してもよい。この場合、求人票再生成部115は、初期求人票の記載内容を構成要素抽出モデルに入力し、構成要素抽出モデルに複数の求人票構成要素を出力させる。例えば、求人票の本文が1つの項目のみで構成される(1つのHTMLタグのみで区分けされている場合)場合には、求人票再生成部115は、構成要素抽出モデルによって、2段階の分割を行わずに初期求人票の記載内容(本文)から求人票構成要素を抽出してもよい。
【0091】
構成要素抽出モデルは、初期求人票の記載内容を入力とし、記載内容に含まれる文章を主題の共通性でまとめた複数の求人票構成要素を出力することが可能なように学習された学習モデルである。構成要素抽出モデルは、初期求人票の記載内容のデータと、それに対応する、文章が主題の共通性でまとめられた求人票構成要素のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。また、構成要素抽出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、求人票再生成部115は、初期求人票の記載内容を入力とし、当該記載内容に基づいて求人票構成要素を生成する指示を含むプロンプトを構成要素抽出モデルに入力し、求人票構成要素を構成要素抽出モデルに出力させる。また、求人票再生成部115は、求人票構成要素の生成・出力指示と初期求人票の記載内容とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の初期求人票の記載内容のサンプルと、それに対応する1以上の求人票構成要素のサンプルとを挿入したプロンプトを構成要素抽出モデルに入力してもよい。
【0092】
求人票構成要素の抽出後、求人票再生成部115は、1つの初期求人票から抽出された複数の求人票構成要素をまとめて分類モデルに入力するか、又は、複数の求人票構成要素を1つずつ分類モデルに入力する。分類モデルは、例えば、分類情報が付された状態の求人票構成要素を出力する。
【0093】
分類モデルは、求人票構成要素を入力とし分類情報を出力することが可能なように学習された学習モデルである。分類モデルは、求人票構成要素のデータと、それに対応する分類情報のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。また、分類モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、求人票再生成部115は、求人票構成要素を入力とし、当該求人票構成要素に対応する分類情報を出力する指示を含むプロンプトを分類モデルに入力し、分類情報を分類モデルに出力させる。また、求人票再生成部115は、分類情報の出力指示と求人票構成要素とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の求人票構成要素のサンプルと、それに対応する1以上の分類情報のサンプルとを挿入したプロンプトを分類モデルに入力してもよい。
【0094】
分類モデルは、第2分割モデルが求人票構成要素に付与した主題情報を参照して、求人票構成要素に対する分類情報を生成してもよい。例えば、「業務概要」の主題情報が付与された求人票構成要素について、分類モデルがこの主題情報を参照することで、「仕事内容・労働条件」の分類情報が当該求人票構成要素に付されてもよい。
【0095】
複数の求人票構成要素をまとめて大規模言語モデルである分類モデルに入力する場合、求人票再生成部115は、求人票構成要素ごとに分類情報を生成する指示を分類モデルに入力するとよい。これにより、複数の求人票構成要素に付与される分類情報の精度を高められる。具体的には、求人票再生成部115は、複数の求人票構成要素を入力とし、当該複数の求人票構成要素それぞれに対応する分類情報を出力する指示を含むプロンプトを分類モデルに入力し、複数の求人票構成要素それぞれの分類情報を分類モデルに出力させる。
【0096】
求人票再生成部115は、分類モデルに、求人票構成要素に個別に付された識別子と、識別子に関連付けられた分類情報とを出力させてもよい。これにより、分類情報が付与された求人票構成要素(単語又は文)を分類モデルが出力する場合に比べて、分類モデルから出力される情報量が低減されるため、制御部11の処理負荷が小さくなる。また、分類モデルから出力可能な情報量の上限に制約がある場合に、当該制約を回避することができる。求人票構成要素に付される識別子(ID)は、個別に識別可能な(重複しない)符号(例えば「ID001」等)で構成される。分類情報は、個別の識別子に関連付けられてもよいし、複数の識別子に関連付けられて生成されてもよい。複数の識別子に関連付けられた分類情報には、例えば、「仕事の魅力」-「ID001・ID003」、「必須条件」-「ID005」等のように、求人票フォーマットの項目と、当該項目に対応する(配置される)識別子との対応関係が含まれる。
【0097】
分類モデルに識別子を出力させる場合、求人票再生成部115は、大規模言語モデルである分類モデルに、求人票構成要素を入力とし、当該求人票構成要素それぞれに対応する識別子及び分類情報を出力する指示を含むプロンプトを分類モデルに入力し、識別子及び分類情報を分類モデルに出力させる。
【0098】
求人票再生成部115は、複数の求人票構成要素にそれぞれ識別子を付与した後に、分類モデルに求人票構成要素及び識別子を入力し、分類モデルに当該識別子に関連付けられた分類情報を出力させてもよい。また、求人票再生成部115は、求人票構成要素及び識別子の対を1つずつ、分類モデルに入力し、識別子及び分類情報の対を1つずつ出力させてもよい。
【0099】
求人票再生成部115は、第1分割モデルと第2分割モデルと分類モデルとが統合された第1一括分類モデルを用いて、求人票構成要素の抽出と分類情報の出力とを実行してもよい。この場合、求人票再生成部115は、初期求人票の記載内容を第1一括分類モデルに入力し、第1一括分類モデルに複数の求人票構成要素と、求人票構成要素ごとの分類情報とを出力させる。
【0100】
第1一括分類モデルは、初期求人票の記載内容のデータと、それに対応する求人票構成要素及び分類情報のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。また、第1一括分類モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、求人票再生成部115は、初期求人票の記載内容を入力とし、当該初期求人票の記載内容に対応する求人票構成要素及び分類情報を出力する指示を含むプロンプトを第1一括分類モデルに入力し、求人票構成要素及び分類情報を第1一括分類モデルに出力させる。また、求人票再生成部115は、求人票構成要素及び分類情報の出力指示と初期求人票の記載内容とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の初期求人票の記載内容のサンプルと、それに対応する1以上の求人票構成要素及び分類情報それぞれのサンプルとを挿入したプロンプトを第1一括分類モデルに入力してもよい。
【0101】
また、求人票再生成部115は、第2分割モデルと分類モデルとが統合された第2一括分類モデルを用いて、求人票構成要素の抽出と分類情報の出力とを実行してもよい。この場合、求人票再生成部115は、中間要素を第2一括分類モデルに入力し、第2一括分類モデルに複数の求人票構成要素と、求人票構成要素ごとの分類情報とを出力させる。すなわち、第2一括分類モデルは、第1一括分類モデルの入力を中間要素に置き換えて学習された学習モデル、又は、中間要素を入力とし求人票構成要素及び分類情報を出力する指示を含むプロンプトが入力される大規模言語モデルである。
【0102】
求人票構成要素又は識別子に分類情報が付与された状態で、求人票再生成部115は、複数の求人票構成要素を、当該求人票構成要素に関連付けられた分類情報が示す求人票フォーマットの項目に配置する。これにより、新求人票が生成される。例えば、求人票フォーマットの「仕事内容・労働条件」の項目を示す分類情報が関連付けられた求人票構成要素は、当該項目の内容を構成する単語、文、又は文章として当該項目に配置される。
【0103】
また、分類モデルに求人票構成要素の識別子を出力させた場合(つまり、分類情報が求人票構成要素の識別子に関連付けられている場合)、求人票再生成部115は、求人票フォーマットにおける分類情報が示す項目に、当該分類情報に関連付けられた識別子に対応する求人票構成要素を配置する。これにより、分類モデルによって求人票構成要素の内容が変換されることを回避しつつ、求人票構成要素を求人票フォーマットに再配置することができる。
【0104】
求人票フォーマットの1つの項目には、複数の求人票構成要素が組み合わされて配置されてもよい。複数の求人票構成要素が1つの項目に配置される場合、当該項目における複数の求人票構成要素の配置順(例えば文章の順番)は、所定のルールに沿って決定される。所定のルールは、例えば、初期求人票に記載されていた順(記載されていた項目の場所に応じた順)、抽象的な内容から具体的な内容に移行する順等である。また、求人票再生成部115は、初期求人票における記載順に基づいて求人票構成要素に識別子を付与し(つまり、順序を示す数字を含む識別子を付与し)、1つの項目において識別子が示す順序(数字の若い順)で複数の求人票構成要素を配置してもよい。これにより、初期求人票に記載された順序を崩さずに、求人票構成要素を配置することができる。
【0105】
<項目追加部116>
項目追加部116は、初期求人票の記載内容に基づいて、求人票フォーマットの所定の項目に追加するオプションを提示する。オプションは、予め設定された選択肢の中から抽出される。これにより、初期求人票から抽出される求人票構成要素の内容を変更することなく、初期求人票には直接含まれていない情報、又は初期求人票から個別に抽出されなかった情報を、新求人票の所定の項目に個別に追加することができる。
【0106】
オプションは、所定の項目に配置されるキーワードである。項目追加部116は、複数のキーワードをオプション候補として提示する。オプションは、初期求人票に含まれるキーワードであってもよいし、初期求人票に含まれないキーワードであってもよい。オプションが初期求人票に含まれるキーワードである場合、当該オプションは、求人票構成要素の一部として求人票フォーマットの分類情報に示される項目内に配置されつつ、オプションとして指定された別の項目にもキーワード(例えばタグ)として配置される。
【0107】
項目追加部116は、複数の種類のオプションを提示してもよい。各オプションが示す情報としては、例えば、職種、勤務地、年収、勤務形態(例えば、リモートワークの可否)、職場環境(例えば、受動喫煙対策の有無)等が挙げられる。これらのオプションは、例えば、新求人票の「仕事内容・労働条件」の項目に追加される。
【0108】
項目追加部116が提示するオプション候補は、例えば、オプションの種類ごとに候補となるキーワードが記載されたオプション用のキーワードリストから抽出される。キーワードリストは、例えば記憶部12に記憶されている。項目追加部116は、キーワードリストに記載されているキーワードのうち、初期求人票の記載内容に関連するキーワードをオプション候補として抽出する。例えば、項目追加部116は、オプションの種類ごとに、キーワードリストに記載されているキーワードと、初期求人票の記載内容とを比較し、初期求人票の記載内容に含まれている単語と同一又は類似のキーワードをオプション候補として提示する。また、例えば年収のような数値のオプションについて、項目追加部116は、初期求人票に記載されている月給、賞与等の数値からオプションとして提示する年収の値を算出してもよい。
【0109】
項目追加部116は、オプション候補抽出モデルを用いて、オプション候補を提示してもよい。この場合、項目追加部116は、初期求人票の記載内容をオプション候補抽出モデルに入力し、オプション候補抽出モデルに少なくとも1つのオプション候補を出力させる。オプション候補抽出モデルは、初期求人票の記載内容のデータと、それに対応するオプション候補のデータとを教師データとして学習した学習モデルである。また、オプション候補抽出モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、項目追加部116は、初期求人票の記載内容を入力とし、キーワードテーブルを参照して(又はキーワードテーブルも入力とし)、当該初期求人票の記載内容に対応するオプション候補を出力する指示を含むプロンプトをオプション候補抽出モデルに入力し、オプション候補をオプション候補抽出モデルに出力させる。また、項目追加部116は、オプション候補の出力指示と初期求人票の記載内容とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の初期求人票の記載内容のサンプルと、それに対応する1以上のオプション候補のサンプルとを挿入したプロンプトをオプション候補抽出モデルに入力してもよい。
【0110】
オプション候補は、例えば、追加及び削除が可能なタグ状のオブジェクトとしての提示、プルダウンリスト等のリスト項目としての提示、チェックボックス等による選択切り替え項目としての提示等の形態によって、求人者端末20に提示される。項目追加部116は、1つ又は複数のオプションの選択を受け付け、選択されたオプションを、オプションの種類に応じて求人票フォーマットの所定の項目に追加する。なお、ユーザによっていずれのオプションも選択されなかった場合、項目追加部116は、オプションの追加は行わない。
【0111】
図10は、新求人票作成画面CDの一例を示す図である。新求人票作成画面CDは、第1オプション選択領域OS1と、第2オプション選択領域OS2と、第3オプション選択領域OS3と、第4オプション選択領域OS4と、新求人票表示領域DAとを含む。
【0112】
新求人票表示領域DAには、初期求人票情報IJと、求人票本文MBとが表示される。初期求人票情報IJは、例えば、初期求人票の求人票アクセス情報(初期求人票を取得したURL)が表示される。また、初期求人票情報IJは、初期求人票へアクセスするためのリンクであってもよい。求人票本文MBは、初期求人票から抽出された求人票構成要素が、分類情報に基づいて各項目に配置されたものである。
【0113】
図10の例では、第1オプション選択領域OS1には、職種のオプションが職種タグTG1として提示される。初期状態では、職種キーワードリスト(職種タグリスト)のうち、初期求人票の記載内容に応じたキーワードが職種タグTG1として表示される。職種タグTG1ごとに付された削除ボタンBDが入力操作されると、当該職種タグTG1は削除される。また、プルダウンボタンBPが入力操作されると、提示されなかった職種タグ(キーワードリストに含まれる職種キーワード)がリスト表示される。リスト表示された職種タグが選択操作されると、当該職種タグが第1オプション選択領域OS1に追加される。ユーザは、職種タグTG1の削除及び追加によって、新求人票に職種として追加されるキーワードを選択する。
【0114】
同様に、第2オプション選択領域OS2には、勤務地のオプションが勤務地タグTG2として提示される。初期状態では、勤務地キーワードリスト(勤務地タグリスト)のうち、初期求人票の記載内容に応じたキーワードが勤務地タグTG2として表示される。ユーザは、職種タグTG1と同様の手順による勤務地タグTG2の削除及び追加によって、新求人票に勤務地として追加されるキーワードを選択する。
【0115】
第3オプション選択領域OS3には、年収の下限値及び上限値が提示される。初期状態では、初期求人票の記載内容に応じた年収の下限値及び上限値がそれぞれ第1プルダウン枠PL1及び第2プルダウン枠PL2に表示される。年収の下限値及び上限値は、第1プルダウン枠PL1及び第2プルダウン枠PL2においてリスト表示される数値の選択操作によって更新される。また、項目追加部116は、第1プルダウン枠PL1及び第2プルダウン枠PL2に対して、ユーザからの数値の直接入力を受け付けてもよい。
【0116】
第4オプション選択領域OS4には、リモートワークの可否が提示される。初期状態では、初期求人票の記載内容に応じて、チェックボックスCBのオン(「リモートワーク可」のオプション)又はオフ(「リモートワーク不可」のオプション)が設定される。チェックボックスCBへの入力操作によって、リモートワークの可否が変更される。
【0117】
各オプション選択領域で設定されたオプションは、新求人票表示領域DAの求人票本文MBの所定の項目(
図10の例では「仕事内容・労働条件」の項目)に、キーワード、タグ、文章等の形態で挿入される。
【0118】
項目追加部116は、提示されるオプションの抽出時に参照した初期求人票の記載内容を、当該オプションの根拠として表示させてもよい。これにより、ユーザが初期求人票における元の記載を確認しながら、新求人票に追加するオプションの選択や、オプション追加の可否の検討をすることができる。オプションの根拠は、例えば、新求人票作成画面CDの各オプション選択領域のオプション候補が、カーソルの重ね合わせ、クリック、タップ等で選択された場合に表示される。項目追加部116は、例えば、初期求人票の記載内容のうちオプションの根拠となる部分(オプションが抽出された部分)をポップアップウインドウ等の画面で表示させる。項目追加部116は、オプションと関連する単語又は文に加えて、その前後の文章も含めて(例えば段落単位で)オプションの根拠として表示させてもよい。この場合、項目追加部116は、オプションと関連する単語又は文を強調表示させるとよい。
【0119】
項目追加部116は、例えば、大規模言語モデルであるオプション候補抽出モデルにオプションの根拠を出力させる。具体的には、項目追加部116は、オプション候補抽出モデルにオプション候補を出力させる際に、初期求人票の記載内容に対応するオプション候補を出力する指示に加えて、前期初期求人票の記載内容から抽出したオプションの根拠を出力する指示も含むプロンプトをオプション候補抽出モデルに入力し、オプション候補と、その根拠とをオプション候補抽出モデルに出力させる。
【0120】
<求人票表示制御部117>
求人票表示制御部117は、求人票構成要素が配置された求人票フォーマットを新求人票として表示させる。また、求人票表示制御部117は、新求人票における求人票構成要素と、初期求人票における当該求人票構成要素との対応関係を表示させるとよい。これにより、初期求人票と新求人票との対応関係、新求人票における記載漏れ等をユーザが確認しやすくなる。
【0121】
求人票表示制御部117は、例えば、新求人票の記載内容と、初期求人票の記載内容とをテキスト比較することで、新求人票の求人票構成要素と、初期求人票における当該求人票構成要素との対応関係を示す対応情報を生成する。対応情報は、対応関係を求人者端末20等に表示させる際に参照される。また、求人票表示制御部117は、分類モデルに新求人票の各項目の根拠(求人票構成要素の初期求人票における抽出箇所)を出力する指示を含むプロンプトを入力し、当該根拠を出力させることで、新求人票の求人票構成要素と、初期求人票における当該求人票構成要素との対応関係を生成してもよい。また、求人票表示制御部117は、構成要素抽出モデルに、抽出する複数の求人票構成要素それぞれの根拠(初期求人票における抽出箇所)を出力する指示を含むプロンプトを入力し、当該根拠を出力させることで、求人票構成要素と、初期求人票における当該求人票構成要素との対応関係を生成してもよい。
【0122】
求人票表示制御部117は、例えば、
図10に示す新求人票作成画面CDの新求人票表示領域DAにおいて、新求人票を表示させる。求人票表示制御部117は、新求人票作成画面CDにおいて、求人票本文MBに対する編集(キーワード、タグ、文章等の削除、追加、変更等)を受け付けてもよい。また、求人票表示制御部117は、新求人票作成画面CDにおいて、求人票作成完了の操作の入力を受け付けてもよい。これにより、新求人票が求人票データベースに記憶される。登録された新求人票は、採用支援システム1が構成する求人・求職システムにおいて、求職者による求人票検索の対象となる。また、求人者は、採用支援システム1が構成する求人・求職システムにおいて当該新求人票に基づいた、求職者に対するスカウト文書の作成及び送信が可能となる。
【0123】
求人票表示制御部117は、新求人票表示領域DAの求人票本文MBの任意の求人票構成要素(キーワード、文章等)の選択を受け付け、選択された求人票構成要素の、初期求人票における記載箇所(対応関係)をポップアップウインドウ等の画面で表示させる。求人票表示制御部117は、初期求人票における求人票構成要素とその前後の文章、又は当該求人票構成要素が含まれる段落(項目)を表示させるとともに、当該求人票構成要素を強調表示させるとよい。初期求人票との対応関係を表示させる求人票構成要素の選択は、例えば、ユーザによるカーソルの重ね合わせ、クリック、タップ、特定領域へのドラッグ等の操作入力によって行われる。
【0124】
求人票表示制御部117は、初期求人票全体と新求人票全体とを比較可能なように表示させてもよい。例えば、求人票表示制御部117は、初期求人票と新求人票とを左右に並べて表示させ、さらに対応する求人票構成要素を同色で着色する、同色の枠で囲む、線で連結する、共通のラベルを付す、等の形態で対応関係を表示させてもよい。
【0125】
<人工知能部120>
人工知能部120は、各機能部から入力を受け付け、指示された出力を返すように構成されている。なお、サーバ装置10が各機能部において使用する人工知能は、共通のものであってもよいし、機能部毎に個別に用意されたものであってもよい。
【0126】
人工知能部120は、GPT(Generative Pretrained Transformer、GPT-1、GPT-2、GPT-3を含む)、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)、BART(Bidirectional and Auto-regressive Transformer)等を含むトランスフォーマ(Transformer)や再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network(RNN))等の言語モデル等を備えるAI(Artificial Intelligence)であって、生成AIを含んでもよい。
【0127】
言語モデルは、機械学習アルゴリズムによる学習モデルの一例である。機械学習の具体的なアルゴリズムとしては、最近傍法、ナイーブベイズ法、決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークを利用した深層学習(ディープラーニング)等が挙げられる。人工知能部120は、上記のアルゴリズムを適宜適用することができる。
【0128】
人工知能部120は、教師あり学習、教師なし学習、又は自己教師あり学習等の学習方法によって構築された学習済みモデルを有してもよい。教師あり学習では、教師データ(学習データ)を用いて機械学習を行う。教師データは、学習用の入力データ及び出力データ(正解データ)のペアで構成される。また、言語モデルは、特定のタスクのために訓練されたものだけでなく、幅広いタスクに対して汎用的に用いることができる汎用モデルであってもよい。
【0129】
人工知能部120は、人工知能として、膨大なデータを学習した大規模言語モデル(Large Language Models(LLM))のような汎用的な自然言語処理の学習モデルであってもよい。このような汎用的な学習モデルは、One-shot LearningやFew-shot Learning等により、ファインチューニングなしで様々なタスクに対応可能な言語モデルを含む。また、汎用的な学習モデルは、Zero-shot Learningによっても、様々なタスクに対応可能に構成されてもよい。制御部11の各機能部において用いられる人工知能は、それぞれ別個の学習モデルであってもよいし、共通した汎用的な学習モデルであってもよい。
【0130】
人工知能部120に含まれる学習モデル(分類モデル等の、各機能部において使用される学習モデル)は、転移学習又はファインチューニングとして追加の学習を行うことが可能である。例えば、人工知能部120は、新たな初期求人票の取得及び新求人票の作成が発生する都度、これらを新たな教師データとして、追加の学習を行ってファインチューニングされてもよい。これにより、学習モデルから出力される分類情報の精度が向上する。
【0131】
人工知能部120に含まれる学習モデルは、元となる学習モデルを用いた知識蒸留(Knowledge Distillation)により得られた学習モデル(蒸留モデル)であってもよい。知識蒸留では、大規模言語モデルなどの、学習済みモデルを教師モデルとし、教師モデルの出力(Sоft Target)に対する生徒モデル(蒸留モデル)の出力の損失(Sоft Target Loss)が小さくなるように、生徒モデルのパラメータを調整することで、生徒モデルの学習が行われ、その生徒モデルが蒸留モデルとなる。また、教師データ(学習モデルの入力データと出力データとの組合わせ)の正解ラベル(Hard Target)に対する生徒モデルの出力の損失(Hard Target Loss)が小さくなるように生徒モデルの学習が行われてもよい。蒸留モデルは、元となる学習モデル(教師モデル)に比べて、当該学習モデルと近い性能をもちつつ、パラメータ数が小さく、処理負荷が小さくなる。そのため、蒸留モデルを用いることで、採用支援システム1のコストを低減できる。
【0132】
例えば、分類モデルは、大規模言語モデルにおける入力データと出力データとの組み合わせを教師データとして学習された蒸留モデルであってもよい。また、採用支援システム1の導入時には分類モデルとして大規模言語モデルを使用し、当該大規模言語モデルによる教師データが蓄積された時点で、当該教師データによる知識蒸留によって得られた蒸留モデルを分類モデルとして使用してもよい。
【0133】
<表示部>
求人者端末20の表示部211及び求職者端末30の表示部311は、それぞれ、サーバ装置10から送信されてきた画面データが示す画面を表示する。
【0134】
<操作取得部>
求人者端末20の操作取得部212は、求人者端末20を利用するユーザ(求人者)による操作を受け付ける。求職者端末30の操作受付部312は、求職者端末30を利用するユーザ(求職者)による操作を受け付ける。
【0135】
3.情報処理方法
本節では、サーバ装置10の情報処理方法について説明する。この情報処理方法は、サーバ装置10の各部が、各ステップとしてコンピュータにより実行される。
【0136】
具体的には、この情報処理方法は、取得ステップと、求人票再生成ステップと、項目追加ステップと、求人票表示制御ステップとを備える。取得ステップでは、初期求人票を取得する。求人票再生ステップでは、初期求人票から抽出される複数の求人票構成要素を分類モデルに入力し、分類モデルに求人票構成要素ごとの分類情報を出力させ、分類情報に基づいて複数の求人票構成要素を初期求人票とは構成が異なる求人票フォーマットへ配置する。項目追加ステップでは、初期求人票の記載内容に基づいて、求人票フォーマットの所定の項目に追加するオプションを提示する。求人票表示制御ステップでは、求人票構成要素が配置された求人票フォーマットを新求人票として表示させるとともに、新求人票における求人票構成要素と、初期求人票における当該求人票構成要素との対応関係を表示させる。
【0137】
図11は、採用支援システム1によって実行される情報処理(初期求人票から新求人票への変換処理)の流れを示すアクティビティ図である。以下では、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、情報処理を説明する。
【0138】
初期求人票から新求人票への変換処理は、求人者による、初期求人票の選択から開始される。求人者は、求人者端末20において、新求人票へ変換する初期求人票を選択する(アクティビティA101)。初期求人票の選択は、初期求人票の求人票アクセス情報(URL)の入力、ウェブスクレイピングによって取得された初期求人票の一覧からの選択等によって行われる。
【0139】
サーバ装置10は、外部の求人票データベース等から、求人者端末20において選択された初期求人票の情報を取得する(アクティビティA102)。続いて、サーバ装置10は、初期求人票の記載内容を分割した中間要素を抽出する(アクティビティA103)。さらに、サーバ装置10は、中間要素を分割した求人票構成要素を抽出する(アクティビティA104)。
【0140】
求人票構成要素の抽出後、サーバ装置10は、分類モデルを用いて求人票構成要素の分類情報を生成する(アクティビティA105)。続いて、サーバ装置10は、分類情報に基づいて、求人票構成要素を新求人票の求人票フォーマットに配置する(アクティビティA106)。さらに、サーバ装置10は、新求人票に追加するオプションの候補を抽出する(アクティビティA107)。なお、オプションの候補の抽出は、必ずしもアクティビティA106の求人票構成要素の配置後に実行される必要はなく、アクティビティA102の初期求人票の取得後であれば、任意のタイミングで実行可能である。
【0141】
求人票構成要素が配置されるとともにオプションの候補が抽出された後、サーバ装置10は、求人票構成要素が配置された新求人票と、オプションの候補とを求人者端末20に出力する(アクティビティA108)。これにより、新求人票及びオプションの候補が求人者端末20に表示(提示)される。求職者は、求人者端末20において、オプションの選択と、必要に応じた新求人票の内容の編集とを行う(アクティビティA110)。サーバ装置10は、求人者端末20からのオプション及び編集の入力を受け付け、これらを反映した新求人票を内部の求人票データベースに登録する(アクティビティA111)。
【0142】
4.作用
本実施形態の作用をまとめると、次の通りとなる。すなわち、初期求人票の記載内容を、新たな求人票フォーマットに合わせて配置することができる。そのため、求人検索を提供するサービスにおけるフォーマットに合わせて、求人者が求人票を容易に修正することができる。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0144】
5.その他
上記実施形態では、サーバ装置10が種々の記憶・制御を行ったが、サーバ装置10に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。特に、人工知能部120は、サーバ装置10の外部構成であってもよい。その場合、外部構成である人工知能部120は、サーバ装置10の各機能部から入力を受け付け、指示された出力をサーバ装置10に返すように構成される。
【0145】
制御部11は、必ずしも求人票評価部113を備えなくてもよい。つまり、サーバ装置10は、必ずしも初期求人票のスコアを算出しなくてもよい。また、制御部11は、必ずしも項目追加部116を備えなくてもよい。つまり、サーバ装置10は、必ずしも新求人票に追加するオプションを提示しなくてもよい。
【0146】
本実施形態の態様は、採用支援システム1に限定されず、情報処理方法であっても、プログラムであってもよい。採用支援方法は、採用支援システム1が実行する各ステップを備える。プログラムは、コンピュータに、採用支援システム1の各ステップを実行させる。
【0147】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0148】
(1)採用支援システムであって、プロセッサを備え、前記プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成され、取得ステップでは、初期求人票を取得し、求人票再生成ステップでは、前記初期求人票から抽出される複数の求人票構成要素を分類モデルに入力し、前記分類モデルに前記求人票構成要素ごとの分類情報を出力させ、前記分類情報に基づいて複数の前記求人票構成要素を前記初期求人票とは構成が異なる求人票フォーマットへ配置し、ここで、前記求人票構成要素は、少なくとも1つの単語又は文を含み、前記分類情報は、前記求人票フォーマットにおいて前記求人票構成要素が配置される項目を示す情報であり、前記分類モデルは、前記求人票構成要素を入力とし前記分類情報を出力することが可能なように学習された学習モデルである、採用支援システム。
【0149】
(2)上記(1)に記載の採用支援システムにおいて、前記求人票再生成ステップでは、前記求人票構成要素ごとに前記分類情報を生成する指示を前記分類モデルに入力する、採用支援システム。
【0150】
(3)上記(1)又は(2)に記載の採用支援システムにおいて、前記求人票再生成ステップでは、前記分類モデルに、前記求人票構成要素に個別に付された識別子と、前記識別子に関連付けられた前記分類情報とを出力させ、前記求人票フォーマットにおける前記分類情報が示す項目に、当該分類情報に関連付けられた前記識別子に対応する前記求人票構成要素を配置する、採用支援システム。
【0151】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記求人票再生成ステップでは、前記初期求人票の記載内容を少なくとも1つの中間要素に分割する第1分割処理と、前記中間要素を複数の前記求人票構成要素に分割する第2分割処理とを実行する、採用支援システム。
【0152】
(5)上記(4)に記載の採用支援システムにおいて、前記第1分割処理では、前記初期求人票に含まれる区切り記号に基づいて、前記記載内容を少なくとも1つの前記中間要素に分割する、採用支援システム。
【0153】
(6)上記(4)に記載の採用支援システムにおいて、前記第1分割処理では、前記記載内容を第1分割モデルに入力し、前記第1分割モデルに少なくとも1つの前記中間要素を出力させ、ここで、前記第1分割モデルは、前記記載内容を入力とし、予め定めた中間要素分類情報に基づいて、複数の前記中間要素を出力することが可能なように学習された学習モデルである、採用支援システム。
【0154】
(7)上記(5)に記載の採用支援システムにおいて、前記第2分割処理では、前記初期求人票に含まれる、前記第1分割処理で用いた前記区切り記号とは異なる区切り記号に基づいて、前記中間要素を複数の前記求人票構成要素に分割する、採用支援システム。
【0155】
(8)上記(4)から(6)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記第2分割処理では、前記中間要素を第2分割モデルに入力し、前記第2分割モデルに複数の前記求人票構成要素を出力させ、ここで、前記第2分割モデルは、前記中間要素を入力とし、前記中間要素に含まれる文章を主題の共通性でまとめた複数の前記求人票構成要素を出力することが可能なように学習された学習モデルである、採用支援システム。
【0156】
(9)上記(1)から(8)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、求人票表示制御ステップでは、前記求人票構成要素が配置された前記求人票フォーマットを新求人票として表示させるとともに、前記新求人票における前記求人票構成要素と、前記初期求人票における当該求人票構成要素との対応関係を表示させる、採用支援システム。
【0157】
(10)上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、項目追加ステップでは、前記初期求人票の記載内容に基づいて、前記求人票フォーマットの所定の項目に追加するオプションを提示し、ここで、前記オプションは、予め設定された選択肢の中から抽出される、採用支援システム。
【0158】
(11)上記(10)に記載の採用支援システムにおいて、前記項目追加ステップでは、提示される前記オプションの抽出時に参照した前記初期求人票の記載内容を、当該オプションの根拠として表示させる、採用支援システム。
【0159】
(12)上記(1)から(11)のいずれか1つに記載の採用支援システムにおいて、前記取得ステップでは、前記初期求人票へアクセスするための求人票アクセス情報を含む、求人票参照ウェブサイトへアクセスするためのウェブサイトアクセス情報を取得し、前記ウェブサイトアクセス情報から取得可能な前記求人票アクセス情報を提示する、採用支援システム。
【0160】
(13)上記(12)に記載の採用支援システムにおいて、前記求人票アクセス情報は、URLを含み、前記取得ステップでは、前記URLの解析によって複数の前記求人票アクセス情報をグループ化したアクセス情報グループを作成するとともに、前記アクセス情報グループ単位での選択を受け付け、選択された前記アクセス情報グループに含まれる前記求人票アクセス情報から前記初期求人票を取得する、採用支援システム。
【0161】
(14)上記(12)又は(13)に記載の採用支援システムにおいて、前記取得ステップでは、複数の前記求人票アクセス情報からそれぞれ前記初期求人票を取得し、前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、一覧表示制御ステップでは、複数の前記初期求人票の情報を一覧表示させる、採用支援システム。
【0162】
(15)上記(14)に記載の採用支援システムにおいて、前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、求人票評価ステップでは、求人票の内容と当該求人票のスコアとの相関関係を含む参照情報に基づいて、複数の前記初期求人票の前記スコアを算出し、前記一覧表示制御ステップでは、複数の前記初期求人票の情報を前記スコアとともに一覧表示させる、採用支援システム。
【0163】
(16)採用支援方法であって、上記(1)から(15)のいずれか1つに記載の採用支援システムが実行する各ステップを備える、採用支援方法。
【0164】
(17)プログラムであって、コンピュータに、上記(1)から(15)のいずれか1つに記載の採用支援システムの各ステップを実行させる、プログラム。
もちろん、この限りではない。
【0165】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0166】
1 :採用支援システム
2 :通信回線
10 :サーバ装置
11 :制御部
12 :記憶部
13 :通信部
14 :通信バス
20 :求人者端末
21 :制御部
22 :記憶部
23 :通信部
24 :入力部
25 :出力部
26 :通信バス
30 :求職者端末
31 :制御部
32 :記憶部
33 :通信部
34 :入力部
35 :出力部
36 :通信バス
111 :基本表示制御部
112 :取得部
113 :求人票評価部
114 :一覧表示制御部
115 :求人票再生成部
116 :項目追加部
117 :求人票表示制御部
120 :人工知能部
211 :表示部
212 :操作取得部
311 :表示部
312 :操作受付部
【要約】
【課題】フォーマットに合わせて求人票を容易に修正できる採用支援システム等を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、採用支援システムが提供される。この採用支援システムは、プロセッサを備える。プロセッサは、次の各ステップを実行するように構成される。取得ステップでは、初期求人票を取得する。求人票再生成ステップでは、初期求人票から抽出される複数の求人票構成要素を分類モデルに入力し、分類モデルに求人票構成要素ごとの分類情報を出力させ、分類情報に基づいて複数の求人票構成要素を初期求人票とは構成が異なる求人票フォーマットへ配置する。ここで、求人票構成要素は、少なくとも1つの単語又は文を含む。分類情報は、求人票フォーマットにおいて求人票構成要素が配置される項目を示す情報である。分類モデルは、求人票構成要素を入力とし分類情報を出力することが可能なように学習された学習モデルである。
【選択図】
図1