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特許7597981アダプティブクロックのデューティサイクルコントローラ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】アダプティブクロックのデューティサイクルコントローラ
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20241203BHJP
   G06F 1/10 20060101ALI20241203BHJP
   H03L 7/08 20060101ALI20241203BHJP
   H03K 5/26 20060101ALI20241203BHJP
   H03K 5/131 20140101ALI20241203BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H04L25/02 302C
G06F1/10 510
H03L7/08 220
H03K5/26 P
H03K5/131
H04L7/00 080
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024517529
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(86)【国際出願番号】 US2022043218
(87)【国際公開番号】W WO2023048977
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】17/485,355
(32)【優先日】2021-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】キース・アラン・ボウマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・インリン
(72)【発明者】
【氏名】ディプティ・ランジャン・パル
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10958256(US,B1)
【文献】米国特許第10911165(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/00-25/66
G06F 1/10
H03L 7/08
H03K 5/26
H03K 5/131
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイミング測定回路であって、
イネーブル入力、クロック入力、および出力を有するローンチ回路であって、前記イネーブル入力においてイネーブル信号を受信し、前記ローンチ回路の前記クロック入力においてクロック信号を受信し、かつ前記イネーブル信号の受信に応答して、前記クロック信号の第1のエッジで前記ローンチ回路の前記出力においてタイミング信号のエッジをローンチするように構成される、ローンチ回路と、
信号入力、制御入力および出力を有する遅延回路であって、前記遅延回路の前記信号入力が前記ローンチ回路の前記出力に結合され、前記遅延回路が調整可能な時間遅延を有し、前記遅延回路が、
前記遅延回路の前記制御入力において遅延制御信号を受信し、
前記受信した遅延制御信号に基づいて、前記遅延回路の前記時間遅延を設定する
ように構成される、遅延回路と、
クロック入力および出力を有するキャプチャ回路であって、前記キャプチャ回路の前記クロック入力において前記クロック信号を受信し、かつ前記クロック信号の第2のエッジで前記キャプチャ回路の前記出力においてキャプチャ信号のエッジを出力するように構成される、キャプチャ回路と、
信号入力、キャプチャ入力、および出力を有する時間デジタル変換器(TDC)であって、前記TDCの前記信号入力が、前記ローンチ回路の前記出力に結合され、前記TDCの前記キャプチャ入力が、前記キャプチャ回路の前記出力に結合され、前記遅延回路の前記出力が前記TDCの前記信号入力に結合される、時間デジタル変換器(TDC)と を備える、タイミング測定回路。
【請求項2】
前記TDCが、
前記TDCの前記信号入力において前記タイミング信号の前記エッジを受信し、
前記TDCの前記キャプチャ入力において前記キャプチャ信号の前記エッジを受信し、
前記タイミング信号の前記エッジが受信される時間と、前記キャプチャ信号の前記エッジが受信される時間との間の時間遅延を測定し、
前記TDCの前記出力において、前記測定された時間遅延を示す信号を出力する
ように構成される、請求項1に記載のタイミング測定回路。
【請求項3】
前記TDCが、
信号入力、クロック入力、および出力を有するフリップフロップであって、前記フリップフロップの前記信号入力が前記TDCの前記信号入力に結合され、前記フリップフロップの前記クロック入力が前記TDCの前記キャプチャ入力に結合され、前記フリップフロップの前記出力が前記TDCの前記出力に結合される、フリップフロップ
を備える、請求項に記載のタイミング測定回路。
【請求項4】
前記TDCが、
前記TDCの前記信号入力に結合される遅延線であって、直列に結合される遅延バッファを含む、遅延線と、
フリップフロップであって、前記フリップフロップの各々が、それぞれの信号入力と、それぞれのクロック入力と、それぞれの出力とを有し、前記フリップフロップの各々の前記信号入力が、前記遅延バッファのうちのそれぞれ1つの出力に結合され、前記フリップフロップの各々の前記クロック入力が、前記TDCの前記キャプチャ入力に結合される、フリップフロップと
を備える、請求項1に記載のタイミング測定回路。
【請求項5】
前記ローンチ回路が、エッジ選択信号を受信するように構成される制御入力を有し、前記ローンチ回路が、
前記エッジ選択信号が第1の論理値を有する場合、前記クロック信号の前記第1のエッジのために前記クロック信号の立ち上がりエッジを選択し、
前記エッジ選択信号が第2の論理値を有する場合、前記クロック信号の前記第1のエッジのために前記クロック信号の立ち下がりエッジを選択する
ように構成される、請求項1に記載のタイミング測定回路。
【請求項6】
前記ローンチ回路が、
第1の入力、第2の入力、選択入力、および出力を有するマルチプレクサであって、前記第1の入力が前記ローンチ回路の前記クロック入力に結合され、前記選択入力が前記ローンチ回路の前記制御入力に結合される、マルチプレクサと、
前記ローンチ回路の前記クロック入力と前記マルチプレクサの前記第2の入力との間に結合されるインバータと、
信号入力、クロック入力、および出力を有するローンチフリップフロップであって、前記ローンチフリップフロップの前記信号入力が前記ローンチ回路の前記イネーブル入力に結合され、前記ローンチフリップフロップの前記クロック入力が前記マルチプレクサの前記出力に結合され、前記ローンチフリップフロップの前記出力が前記ローンチ回路の前記出力に結合される、ローンチフリップフロップと
を備える、請求項に記載のタイミング測定回路。
【請求項7】
前記ローンチ回路が、
信号入力、クロック入力、および出力を有する第1のフリップフロップであって、前記第1のフリップフロップの前記信号入力が前記ローンチ回路の前記イネーブル入力に結合され、前記第1のフリップフロップの前記クロック入力が前記ローンチ回路の前記クロック入力に結合される、第1のフリップフロップと、
信号入力、クロック入力、および出力を有する第2のフリップフロップであって、前記第2のフリップフロップの前記信号入力が前記第1のフリップフロップの前記出力に結合され、前記第2のフリップフロップの前記クロック入力が前記マルチプレクサの前記出力に結合され、前記第2のフリップフロップの前記出力が前記ローンチフリップフロップの前記信号入力に結合される、第2のフリップフロップと
をさらに備える、請求項に記載のタイミング測定回路。
【請求項8】
前記キャプチャ回路が、エッジ選択信号を受信するように構成される制御入力を有し、前記キャプチャ回路が、
前記エッジ選択信号が第1の論理値を有する場合、前記クロック信号の前記第2のエッジのために前記クロック信号の立ち上がりエッジを選択し、
前記エッジ選択信号が第2の論理値を有する場合、前記クロック信号の前記第2のエッジのために前記クロック信号の立ち下がりエッジを選択する
ように構成される、請求項1に記載のタイミング測定回路。
【請求項9】
前記キャプチャ回路が、
第1の入力、第2の入力、選択入力、および出力を有するマルチプレクサであって、前記第1の入力が前記キャプチャ回路の前記クロック入力に結合され、前記選択入力が前記キャプチャ回路の前記制御入力に結合される、マルチプレクサと、
前記キャプチャ回路の前記クロック入力と前記マルチプレクサの前記第2の入力との間に結合されるインバータと、
前記マルチプレクサの前記出力と前記キャプチャ回路の前記出力との間に結合されるクロックゲーティング回路と
を備える、請求項に記載のタイミング測定回路。
【請求項10】
前記クロック信号の前記第1のエッジが立ち上がりエッジであり、前記クロック信号の前記第2のエッジが立ち下がりエッジである、請求項1に記載のタイミング測定回路。
【請求項11】
前記クロック信号の前記第1のエッジが立ち下がりエッジであり、前記クロック信号の前記第2のエッジが立ち上がりエッジである、請求項1に記載のタイミング測定回路。
【請求項12】
クロック信号を測定する方法であって、
前記クロック信号の第1のエッジでタイミング信号のエッジをローンチするステップと、
前記クロック信号の第2のエッジでキャプチャ信号のエッジを出力するステップと、
時間デジタル変換器(TDC)において前記タイミング信号の前記エッジおよび前記キャプチャ信号の前記エッジを受信するステップと、
前記TDCを使用して時間遅延を測定するステップであって、前記時間遅延が、前記タイミング信号の前記エッジが前記TDCにおいて受信される時間と、前記キャプチャ信号の前記エッジが前記TDCにおいて受信される時間との間であり、前記時間遅延が、制御信号を使用して調整可能である、ステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記クロック信号の前記第1のエッジが立ち上がりエッジであり、前記クロック信号の前記第2のエッジが立ち下がりエッジであり、前記方法が、
前記測定された時間遅延に基づいて前記クロック信号の高位相を決定するステップ
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記タイミング信号の前記エッジが前記TDCにおいて受信される前に、遅延回路を通して前記タイミング信号の前記エッジを伝搬させるステップ
をさらに含み、
前記クロック信号の前記高位相を決定するステップが、前記遅延回路の時間遅延にも基づいて前記クロック信号の前記高位相を決定するステップを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記クロック信号の前記第1のエッジが立ち下がりであり、前記クロック信号の前記第2のエッジが立ち上がりエッジであり、前記方法が、
前記測定された時間遅延に基づいて前記クロック信号の低位相を決定するステップ
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記タイミング信号の前記エッジが前記TDCにおいて受信される前に、遅延回路を通して前記タイミング信号の前記エッジを伝搬させるステップ
をさらに含み、
前記クロック信号の前記低位相を決定するステップが、前記遅延回路の時間遅延にも基づいて前記クロック信号の前記低位相を決定するステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月25日に米国特許庁に出願された非仮特許出願第17/485,355号の優先権および利益を主張し、その全体が以下に完全に記載されるかのように、かつ全ての適用可能な目的のために、その内容全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
分野
本開示の態様は、一般にクロック分配に関し、より詳細には、クロック分配ネットワークにおけるデューティサイクル歪みに関する。
【0003】
背景
システムは、システム内の1つ以上の回路(例えば、フリップフロップ)の動作のタイミングをとるためのクロック信号を生成するように構成されるクロック生成器(例えば、位相ロックループ)を含み得る。システムはまた、クロック信号をクロック生成器から1つ以上の回路に分配するためのクロック分配ネットワーク(クロックツリーとも呼ばれる)を含み得る。クロック分配が直面する課題は、クロック分配ネットワークの1つ以上の信号経路における非対称エイジングが、クロック信号におけるデューティサイクル歪みを引き起こす可能性があり、このことが1つ以上の回路におけるタイミング問題(例えば、タイミング違反)につながる可能性があることである。
【発明の概要】
【0004】
以下では、1つ以上の実装形態の簡略化された概要が、そのような実装形態の基本的理解をもたらすために提示される。この「発明の概要」は、想到される全ての実装形態の広範囲にわたる概観ではなく、全ての実装形態の主要な要素または重要な要素を特定することも、いずれかまたは全ての実装形態の範囲を明示することも意図するものではない。その唯一の目的は、後に提示される「発明を実施するための形態」に対する導入部として、1つ以上の実装形態のいくつかの構想を簡略化された形式で提示することである。
【0005】
第1の態様は、タイミング測定回路に関する。タイミング測定回路は、イネーブル入力、クロック入力、および出力を有するローンチ回路を含み、ローンチ回路は、イネーブル入力においてイネーブル信号を受信し、ローンチ回路のクロック入力においてクロック信号を受信し、イネーブル信号の受信に応答して、クロック信号の第1のエッジでローンチ回路の出力においてタイミング信号のエッジをローンチするように構成される。タイミング測定回路はまた、クロック入力および出力を有するキャプチャ回路を含み、キャプチャ回路は、キャプチャ回路のクロック入力においてクロック信号を受信し、クロック信号の第2のエッジでキャプチャ回路の出力においてキャプチャ信号のエッジを出力するように構成される。タイミング測定回路はまた、信号入力、キャプチャ入力、および出力を有する時間デジタル変換器(time-to-digital converter、TDC)を含み、TDCの信号入力は、ローンチ回路の出力に結合され、TDCのキャプチャ入力は、キャプチャ回路の出力に結合される。
【0006】
第2の態様は、クロック信号を測定する方法に関する。方法は、クロック信号の第1のエッジでタイミング信号のエッジをローンチすることと、クロック信号の第2のエッジでキャプチャ信号のエッジを出力することと、時間デジタル変換器(TDC)においてタイミング信号のエッジおよびキャプチャ信号のエッジを受信することと、タイミング信号のエッジがTDCにおいて受信される時間と、キャプチャ信号のエッジがTDCにおいて受信される時間との間である、時間遅延をTDCを使用して測定することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示のいくつかの態様による、クロック分配ネットワークを含むシステムの一例を示す。
図2A】本開示のいくつかの態様による、遅延バッファを含む信号経路の一例を示す。
図2B】本開示のいくつかの態様による、信号経路の入力がアイドルモードにおいてローに保持される一例を示す。
図2C】本開示のいくつかの態様による、非対称エイジングに起因する信号経路におけるデューティサイクル歪みの一例を示す。
図3】本開示のいくつかの態様による、アダプティブクロックのデューティサイクルコントローラの一例を示す。
図4】本開示のいくつかの態様による、リング発振器を含むタイミング測定回路の一例を示す。
図5】本開示のいくつかの態様による、時間デジタル変換器を含むタイミング測定回路の一例を示す。
図6】本開示のいくつかの態様による、クロック信号の一例を示すタイミング図である。
図7】本開示のいくつかの態様による、ローンチ回路およびキャプチャ回路の例示的な実装形態を示す図である。
図8A】本開示のいくつかの態様による、高位相測定の一例を示すタイミング図である。
図8B】本開示のいくつかの態様による、低位相測定の一例を示すタイミング図である。
図8C】本開示のいくつかの態様による、クロック周期測定の一例を示すタイミング図である。
図8D】本開示のいくつかの態様による、クロック周期測定の別の一例を示すタイミング図である。
図9】本開示のいくつかの態様による、時間デジタル変換器の例示的な実装形態を示す。
図10】本開示のいくつかの態様による、時間デジタル変換器の別の例示的な実装形態を示す。
図11】本開示のいくつかの態様による、遅延回路の例示的な実装形態を示す。
図12】本開示のいくつかの態様による、デューティサイクル調整器の例示的な実装形態を示す。
図13】本開示のいくつかの態様による、高位相エクステンダの例示的な実装形態を示す。
図14A】本開示のいくつかの態様による、高位相拡張の一例を示すタイミング図である。
図14B】本開示のいくつかの態様による、グリッチをもたらす高位相拡張の一例を示すタイミング図である。
図15A】本開示のいくつかの態様による、高位相エクステンダの別の例示的な実装形態を示す。
図15B】本開示のいくつかの態様による、高位相エクステンダで生成されたクロック信号の複数の遅延バージョンの一例を示すタイミング図である。
図16】本開示のいくつかの態様による、高位相エクステンダのさらに別の例示的な実装形態を示す。
図17】いくつかの態様による、デューティサイクル調整器の別の例示的な実装形態を示す。
図18】本開示のいくつかの態様による、低位相エクステンダの例示的な実装形態を示す。
図19】本開示のいくつかの態様による、クロック信号を測定する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付図面に関連して、以下に記載される「発明を実施するための形態」は、様々な構成の説明として意図されるものであり、本明細書で説明される構想を実践することができる、唯一の構成を表すことを意図するものではない。「発明を実施するための形態」は、様々な構想の完全な理解をもたらすことを目的とする、具体的な詳細を含む。しかしながら、当業者には、これらの具体的な詳細を伴わずとも、これらの構想を実践することができる点が明らかとなるであろう。場合によっては、そのような構想を不明瞭にすることを回避するために、周知の構造および構成要素は、ブロック図の形式で示される。
【0009】
図1は、いくつかの態様による、クロック生成器115と、クロック分配ネットワーク120と、複数の回路150-1~150-3とを含むシステム110の一例を示す。クロック生成器115は、回路150-1~150-3の動作のタイミングをとるためのクロック信号を生成するように構成される。クロック生成器115は、位相ロックループ(phase-locked loop、PLL) または別のタイプのクロック生成器115を用いて実装され得る。クロック分配ネットワーク120(クロックツリーとも呼ばれる)は、クロック信号をクロック生成器115から回路150-1~150-3に分配するように構成される。本明細書で使用される場合、「クロック信号」は、ハイとローとの間で振動する周期信号であり得る。クロック信号は、例えば、同期デジタル回路または他のタイプの回路の動作のタイミングをとるために使用され得る。クロック信号はデューティサイクルを有し、デューティサイクルは、クロック信号がハイ(すなわち、1)となるクロック周期(すなわち、クロックサイクル)のパーセンテージまたは割合として表され得る。クロック信号は、電力を節約するためにゲートされ得る(例えば、回路150-1~150-3がアクティブでないとき)。クロックゲーティングは、1つ以上の回路がアクティブでないときに動的電力消費を低減するための既知の技法である。
【0010】
図1に示す例では、回路150-1~150-3の各々は、クロック信号によってクロックされるそれぞれのフリップフロップ155-1~155-3を含むことができる。回路150-1~150-3は、フリップフロップに限定されず、フリップフロップ155-1~155-3に加えて、またはその代わりに他のデバイスを含み得ることを理解されたい。
【0011】
この例では、クロック生成器115は、クロック分配ネットワーク120の入力122に結合され、回路150-1~150-3の各々は、クロック分配ネットワーク120のそれぞれの出力124-1~124-3に結合される。クロック分配ネットワーク120は、入力122(ルートノードとも呼ばれる)を介してクロック生成器115からクロック信号を受信し、出力124-1~124-3(リーフノードとも呼ばれる)を介して回路150-1~150-3にクロック信号を分配する。
【0012】
図1に示す例では、クロック分配ネットワーク120は、信号経路125と、遅延バッファ132、134、および136とを含む。信号経路125は、直列に結合される遅延バッファ130-1~130-nを含む。クロック分配ネットワーク120は、図1には示されていない追加的な遅延バッファおよび/または他の構成要素を含み得ることを理解されたい。例えば、クロック分配ネットワーク120は、供給電圧ドループの影響を緩和するためにアダプティブなクロック分配(図示せず)を含み得る。クロック分配ネットワーク120はまた、回路150-1~150-3がアイドルであるときに動的電力消費を低減するために、回路150-1~150-3がアイドルであるときにクロック信号をゲートする1つ以上のクロックゲーティング回路(クロックゲーティングセルとも呼ばれる)を含み得る。本明細書で使用される場合、「信号経路」は、信号(例えば、クロック信号)が伝搬する経路であり、1つ以上の遅延バッファおよび/または1つ以上の他の構成要素(例えば、スプリッタ、増幅器、スイッチ、電圧レベルシフタ、クロックゲーティング回路など)を含み得る。
【0013】
クロック分配ネットワーク120に関する課題は、クロック分配ネットワーク120における非対称エイジングが、回路150-1~150-3に結合されるリーフノード(すなわち、出力124-1~124-3)においてクロック信号におけるデューティサイクル歪みを引き起こし得ることである。デューティサイクル歪みは、補正されない場合、回路150-1~150-3におけるタイミング問題(例えば、タイミング違反)につながり得る。
【0014】
次に、クロック分配ネットワーク120の信号経路125における非対称エイジングに起因するデューティサイクル歪みの一例を、図2A図2Cを参照しながら説明する。図2Aは、直列に結合される遅延バッファ130-1~130-8を含む信号経路125の一例を示す。信号経路125は、図2Aに示される遅延バッファ130-1~130-8の数に限定されず、信号経路125は、異なる数の遅延バッファを含み得ることを理解されたい。
【0015】
図2Aに示す例では、遅延バッファ130-1~130-8の各々は、第1のそれぞれのトランジスタ225-1~225-8(例えば、n型電界効果トランジスタ(n-type field effect transistor、NFET))および第2のそれぞれのトランジスタ230-1~230-8(例えば、p型電界効果トランジスタ(p-type field effect transistor、PFET))を含むそれぞれの相補型インバータを用いて実装される。しかしながら、別のタイプの回路または論理ゲートを用いて遅延バッファ130-1~130-8の各々を実装することができることを理解されたい。遅延バッファは、非反転遅延バッファを実装するために直列に結合される2つのインバータを含み得ることも理解されたい。この場合、図2Aの遅延バッファ130-1および130-2は、第1の非反転遅延バッファと考えることができ、図2Aの遅延バッファ130-3および130-4は、第2の非反転遅延バッファと考えることができ、以下同様である。
【0016】
いくつかの態様では、クロックゲーティング回路(図示せず)が、クロック生成器115と信号経路125の入力との間に結合され得る。この例では、クロックゲーティング回路は、アクティブモードではクロック信号を通過させ、アイドルモードにおける電力を節約するためにアイドルモードではクロック信号をゲートする(すなわち、クロック信号をブロックする)ように構成することができる。
【0017】
図2Bは、クロック信号がアイドルモードでゲートされ、信号経路125の入力がアイドルモードでロー(すなわち、論理0)に保持される一例を示す。図2Bはまた、アイドルモードにおける遅延バッファ130-1~130-8の各々の出力における論理状態を示す。図2Bに示すように、この例では遅延バッファ130-1~130-8がインバータを用いて実装されるので、遅延バッファ130-1~130-8の出力における論理状態は、1と0との間で交番する。
【0018】
この例では、トランジスタ230-1、225-2、230-3、225-4、230-5、225-6、230-7、および225-8は、アイドルモードではオンにされ、一方でトランジスタ225-1、230-2、225-3、230-4、225-5、230-6、225-7、および230-8は、アイドルモードではオフにされる。図2Bでは、オンにされるトランジスタを太線で示している。アイドルモードでオンにされるトランジスタ230-1、225-2、230-3、225-4、230-5、225-6、230-7、および225-8は、アイドルモードでは負荷がかかり、供給電圧Vddにほぼ等しいDC電圧が、トランジスタ230-1、225-2、230-3、225-4、230-5、225-6、230-7、および225-8の各々のゲート-ソース間に印加される。アイドルモードにおける電圧負荷は、トランジスタ230-1、225-2、230-3、225-4、230-5、225-6、230-7、および225-8に、アイドルモードでオフにされるトランジスタ225-1、230-2、225-3、230-4、225-5、230-6、225-7、および230-8より大きいエイジングを生じさせ、これにより、信号経路125におけるトランジスタの非対称エイジングをもたらす。
【0019】
この例では、非対称エイジングは、トランジスタ230-1、225-2、230-3、225-4、230-5、225-6、230-7、および225-8のしきい値電圧を増加させ、これは、トランジスタ230-1、225-2、230-3、225-4、230-5、225-6、230-7、および225-8を、トランジスタ225-1、230-2、225-3、230-4、225-5、230-6、225-7、および230-8に対して遅くする。トランジスタ230-1、225-2、230-3、225-4、230-5、225-6、230-7、および225-8が遅くなることで、信号経路125の出力における立ち下がりエッジ遅延を、信号経路125の出力における立ち上がりエッジ遅延に対して増加させる。これは、クロック信号の立ち下がりエッジ(すなわち、立ち下がり遷移)が、アイドルモードにおいて負荷がかけられるトランジスタ230-1、225-2、230-3、225-4、230-5、225-6、230-7および225-8を順次オンにすることによって信号経路125の出力に伝搬する一方で、クロック信号の立ち上がりエッジ(すなわち、立ち上がり遷移)が、アイドルモードにおいて負荷がかけられないトランジスタ225-1、230-2、225-3、230-4、225-5、230-6、225-7および230-8を順次オンにすることによって信号経路125の出力に伝搬するためである。立ち上がりエッジ遅延に対する立ち下がりエッジ遅延の増加は、信号経路125におけるデューティサイクル歪みを引き起こす。
【0020】
デューティサイクル歪みの一例が、図2Cに示すタイミング図に示される。図2Cに示される例では、クロック信号250は、信号経路125がアイドルモードにない(すなわち、信号経路125がアクティブである)場合の信号経路125への入力である。この例では、信号経路125の入力におけるクロック信号250は、50%のデューティサイクルを有する。図2Cはまた、クロック信号が信号経路125を通って伝搬した後の、信号経路125の出力におけるクロック信号260を示す。信号経路125は、クロック信号260の立ち上がりエッジを遅延Tだけ遅延させ、クロック信号260の立ち下がりエッジを遅延Tだけ遅延させる。図2Cに示すように、立ち下がりエッジの遅延Tは、上述した信号経路125内のトランジスタの非対称エイジングに起因して、立ち上がりエッジの遅延Tよりも長い。立ち下がりエッジのより長い遅延は、信号経路125の出力におけるクロック信号260のデューティサイクルを増加させる(すなわち、50%より大きいデューティサイクルをもたらす)。したがって、この例では、非対称エイジングに起因するデューティサイクル歪みは、クロック信号のデューティサイクルを増加させる。
【0021】
非対称エイジングは、信号経路125の入力がアイドルモードにおいてハイに保持される場合にも発生する。この場合、非対称エイジングは、信号経路125の立ち上がりエッジ遅延を信号経路125の立ち下がりエッジ遅延に対して増加させ、クロック信号のデューティサイクルを減少させるデューティサイクル歪みをもたらす。したがって、信号経路125におけるトランジスタの非対称エイジングは、経時的にデューティサイクル歪みを引き起こす。デューティサイクル歪みは、例えば、信号経路125の入力がアイドルモードにおいてローまたはハイに保持されるかどうか、信号経路125内の遅延バッファの数、および/または他の要因に応じて、クロック信号のデューティサイクルを増加または減少させることがある。
【0022】
図3は、いくつかの態様による、デューティサイクル歪みを補償するように構成されるアダプティブなデューティサイクルコントローラ305の一例を示す。アダプティブなデューティサイクルコントローラ305は、タイミング測定回路310、デューティサイクル調整器320、およびデューティサイクル制御回路330を含む。
【0023】
タイミング測定回路310は、入力312および出力314を有する。図3の例では、タイミング測定回路310の入力312は、クロック分配ネットワーク120のリーフノード(すなわち、出力124-3)に結合される。しかしながら、タイミング測定回路310の入力312は、以下でさらに説明するように、他の例では別のノードに結合され得ることを理解されたい。タイミング測定回路310は、入力312においてクロック信号を受信し、クロック信号の1つ以上のタイミングパラメータを測定し、1つ以上の測定されたタイミングパラメータに基づいて測定信号を出力するように構成される。1つ以上のタイミングパラメータは、タイミング測定回路310の入力312において受信されるクロック信号のデューティサイクルに関連する情報を提供する。例えば、1つ以上のタイミングパラメータは、クロック信号の高位相の測定値を含むことがあり、高位相は、1クロック周期(すなわち、クロック信号の1周期)中にクロック信号がハイ(すなわち、1)となる持続時間である。この例では、所与のクロック周期について、より大きい高位相は、より大きいデューティサイクルを示し、より小さい高位相は、より小さいデューティサイクルを示す。1つ以上のタイミングパラメータはまた、クロック信号の低位相の測定値を含むことがあり、低位相は、1クロック周期中にクロック信号がロー(すなわち、0)となる持続時間である。この例では、所与のクロック周期について、より大きい低位相は、より小さいデューティサイクルを示し、より小さい低位相は、より大きいデューティサイクルを示す。
【0024】
図3の例では、タイミング測定回路310は、リーフノード(すなわち、出力124-3)に結合される。したがって、この例では、タイミング測定回路310は、クロック信号がクロック分配ネットワーク120においてデューティサイクル歪みを受けた後にクロック信号を受信する。その結果、タイミング測定回路310からの測定信号は、クロック分配ネットワーク120内のエイジング効果によるリーフノードにおけるクロック信号のデューティサイクル歪みに関する情報を提供する。タイミング測定回路310は、デューティサイクルモニタ、デューティサイクル測定回路、デューティサイクル検出器、または別の用語で呼ばれることもある。
【0025】
デューティサイクル調整器320は、信号入力322、制御入力326、および出力324を有する。信号入力322はクロック生成器115に結合され、出力324はクロック分配ネットワーク120に結合される。図3の例では、デューティサイクル調整器320の出力324は、クロック分配ネットワーク120のルートノード(すなわち、入力122)に結合される。デューティサイクル調整器320は、信号入力322においてクロック信号を受信し、クロック信号のデューティサイクルを調整し(すなわち、クロック信号のデューティサイクル調整を実行し)、デューティサイクル調整後のクロック信号を出力324において出力するように構成される。デューティサイクル調整器320は、入力322において受信されたクロック信号のデューティサイクルを調整して、出力324においてデューティサイクル調整済みクロック信号を生成するので、出力324におけるクロック信号は、デューティサイクル調整済みクロック信号と呼ばれることもある。デューティサイクル調整器320は、以下でさらに説明するように、制御入力326において受信された制御信号に基づいてクロック信号のデューティサイクルを調整するように構成される。デューティサイクル調整器320の出力324は、この例ではクロック分配ネットワーク120のルートノード(すなわち、入力122)に結合されるので、デューティサイクル調整器320は、クロック信号のデューティサイクル調整をルートノードにおいて提供する。しかしながら、本開示はこの例に限定されるものではないことが認識されるべきである。
【0026】
デューティサイクル制御回路330は、入力332および出力334を有する。入力332は、タイミング測定回路310の出力314に結合され、出力334は、デューティサイクル調整器320の制御入力326に結合される。デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路310から測定信号を受信し、測定信号に基づいて制御入力326を介してデューティサイクル調整器320によるクロック信号のデューティサイクル調整を設定するように構成される。
【0027】
一例では、デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路310からの測定信号に基づいてデューティサイクル調整を決定し、決定されたデューティサイクル調整に基づいてデューティサイクル調整器320のデューティサイクル調整を設定することによって、クロック分配ネットワーク120内のデューティサイクル歪みを補償する。例えば、タイミング測定回路310からの測定信号は、リーフノードにおいて測定されたクロック信号の高位相を示し得る。この例では、デューティサイクル制御回路330は、測定された高位相を目標デューティサイクルに対応する目標高位相と比較して、デューティサイクル調整器320のためのデューティサイクル調整を決定することができる。目標デューティサイクルが50%のデューティサイクルである例では、目標高位相は、クロック周期の半分にほぼ等しい。測定された高位相が目標高位相よりも大きい場合(リーフノードにおけるクロック信号のデューティサイクルが目標デューティサイクルよりも大きいときに生じる)、デューティサイクル制御回路330は、リーフノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを減少させる、デューティサイクル調整器320のためのデューティサイクル調整を決定し得る。この場合、デューティサイクルの減少は、リーフノードにおけるクロック信号のデューティサイクルと目標デューティサイクルとの間の差を減少させる。一方で、測定された高位相が目標高位相よりも小さい場合(リーフノードにおけるクロック信号のデューティサイクルが目標デューティサイクルよりも小さいときに生じる)、デューティサイクル制御回路330は、リーフノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを増加させる、デューティサイクル調整器320のためのデューティサイクル調整を決定し得る。デューティサイクル調整器320のためのデューティサイクル調整を決定するための他の例は、以下でさらに説明される。
【0028】
したがって、この例では、アダプティブなデューティサイクルコントローラ305は、タイミング測定回路310を使用してリーフノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを監視し、クロック分配ネットワーク120におけるデューティサイクル歪みを補償するために、タイミング測定回路310からの測定信号に基づいてルートノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを調整する。いくつかの態様では、アダプティブなデューティサイクルコントローラ305は、システム110がブートされるたびにデューティサイクル調整を実行し得る。
【0029】
図3の例では、アダプティブなデューティサイクルコントローラ305は、タイミング測定回路310を使用して、1つのリーフノード(すなわち、出力124-3)におけるクロック信号のデューティサイクルを監視する。この例では、タイミング測定回路310に結合されるリーフノードにおけるデューティサイクル歪みと、他のリーフノード(すなわち、出力124-1および124-2)の各々におけるデューティサイクル歪みとの間に高い相関があり得る。しかしながら、アダプティブなデューティサイクルコントローラ305は、この例に限定されるものではないことを理解されたい。別の例では、アダプティブなデューティサイクルコントローラ305は、複数のタイミング測定回路を含んでもよく、タイミング測定回路の各々は、それぞれのリーフノードにおいてクロック信号のデューティサイクルを監視するためにそれぞれのリーフノードに結合される。
【0030】
タイミング測定回路310は、リーフノードに結合されることに限定されないことを理解されたい。例えば、いくつかの適用例では、タイミング測定回路310は、クロック分配ネットワーク120の前に位置するノードまたはクロック分配ネットワーク120内に位置するノードに結合され得る。これは、例えば、上述されたクロック分配ネットワーク120におけるエイジング効果に加えて、クロック信号のデューティサイクル歪みを引き起こす別の効果に対するデューティサイクル補償を提供するために行われ得る。一例では、クロック生成器115は、デューティサイクル歪みをクロック信号に導入してもよい。この例では、クロック生成器115におけるデューティサイクル歪みの補償を実現するために、タイミング測定回路310は、クロック分配ネットワーク120の前にデューティサイクル調整器320の出力324に結合され得る。別の例では、タイミング測定回路310は、クロック分配ネットワーク120内のデューティサイクル補償を実現するために、クロック分配ネットワーク120内のノードに結合され得る。したがって、タイミング測定回路310は、デューティサイクル歪みを引き起こすシステム内の様々な影響に対するデューティサイクル補償を実現するために、システム(例えば、システム110)内のいくつかのノードのうちのいずれか1つに結合され得ることを理解されたい。
【0031】
タイミング測定回路310を実装する際の課題は、高分解能タイミング測定を達成することである。高分解能は、(例えば、クロック分配ネットワーク120および/またはクロック生成器115における)デューティサイクル歪みのより正確な補償を可能にする。高分解能タイミング測定を達成することは、以下でさらに説明するように、より速い処理速度を達成するためにクロック信号の周波数が増加するにつれて、さらに困難になる。
【0032】
図4は、タイミング測定回路410の現在の実装形態の一例を示す。タイミング測定回路410は、フリップフロップ420と、リング発振器430と、カウンタ440とを含む。フリップフロップ420は、クロック信号を受信するように構成される信号入力(「D」とラベル付けされる)、クロック入力(「CK」とラベル付けされる)、および出力(「Q」とラベル付けされる)を有する。リング発振器430は、イネーブル入力432および出力434を有する。カウンタ440は、目標入力446、カウント入力442、イネーブル入力444、および出力448を有する。
【0033】
この例では、タイミング測定回路410は、クロック信号の高位相(すなわち、1クロック周期中にクロック信号がハイとなる持続時間)を測定する。これを行うために、リング発振器430は、リング発振器430のイネーブル入力432にイネーブル信号を入力することによって有効にされる。これにより、リング発振器430は、リング発振器430の周波数で発振するリング発振器(ring oscillator、RO)信号を生成する。リング発振器430は、フリップフロップ420のクロック入力およびカウンタ440のカウント入力442に結合されるリング発振器430の出力434においてRO信号を出力する。
【0034】
この例では、フリップフロップ420は、RO信号によってクロックされる。フリップフロップ420は、RO信号の立ち上がりエッジでクロック信号の論理状態をラッチし、クロック信号のラッチされた論理状態をカウンタ440のイネーブル入力444に出力するように構成される。この例では、フリップフロップ420は、クロック信号がハイであるときに1をラッチし、したがって、クロック信号の高位相にほぼ等しい持続時間の間、カウンタ440のイネーブル入力444に1を出力する。
【0035】
この例では、カウンタ440は、カウント入力442におけるRO信号のいくつかの発振をカウントし、フリップフロップ420は、カウンタ440のイネーブル入力444に1を出力する。フリップフロップ420は、クロック信号の高位相にほぼ等しい持続時間の間、カウンタ440のイネーブル入力444に1を出力するので、カウンタ440は、クロック信号の高位相におけるRO信号の発振の数をカウントする。その結果、カウンタ440のカウント値は、クロック信号の高位相(すなわち、1クロック周期中にクロック信号がハイとなる持続時間)の測定値を与える。
【0036】
カウンタ440は、目標入力446において目標カウント値を受信し、目標カウント値は、目標デューティサイクル(例えば、50%のデューティサイクル)に対応する目標高位相のためのカウント値を示す。次いで、カウンタ440は、RO信号からのカウント値を目標カウント値と比較して、クロック信号のデューティサイクルが目標デューティサイクルより上であるか下であるかを判断し、デューティサイクル歪みを補償するためにクロック信号のデューティサイクルを増加させるか減少させるかを示す比較に基づいて、出力448において信号を出力する。
【0037】
図4に示されるROベースのタイミング測定回路410の課題は、高分解能を達成するために、リング発振器430の周波数がクロック信号の周波数よりもはるかに高い必要があることである。クロック信号の周波数が増加するにつれて、高分解能は、ROベースのタイミング測定回路410を用いて達成することがますます困難になる。例えば、500psの対応クロック周期を有する2GHzのクロック周波数に対して、100psの対応クロック周期を有する10GHzのリング発振器周波数は、1クロック周期の20%の分解能しか実現せず、これは非常に低い。
【0038】
上記に対処するために、本開示の態様は、以下でさらに説明するように、調整可能な遅延回路および/または時間デジタル変換器(TDC)を使用して、高分解能でクロック信号の1つ以上のタイミングパラメータを測定することができるタイミング測定回路を提供する。
【0039】
図5は、いくつかの態様による例示的なタイミング測定回路510を示す。タイミング測定回路510は、図3のタイミング測定回路310を実装するために使用され得る(すなわち、タイミング測定回路310は、タイミング測定回路510の一例であり得る)。
【0040】
タイミング測定回路510は、入力512および出力514を有する。タイミング測定回路510は、入力512を介してクロック信号(「clk」とラベル付けされる)を受信するように構成される。一例では、入力512は、クロック分配ネットワーク(例えば、クロック分配ネットワーク120)のリーフノードに結合され得る。しかしながら、本開示はこの例に限定されるものではなく、入力512は別のノード(例えば、クロック分配ネットワーク120の前のノード、クロック分配ネットワーク120内のノードなど)に結合され得ることを理解されたい。タイミング測定回路510は、以下でさらに説明されるように、出力514において測定信号を出力するように構成される。タイミング測定回路510が図3のタイミング測定回路310を実装するために使用される例では、入力512は図3の入力312に対応し、出力514は図3の出力314に対応する。タイミング測定回路510の入力512がデューティサイクル調整器320の出力324に結合される例では、タイミング測定回路510の入力512におけるクロック信号は、デューティサイクル調整器320がデューティサイクル調整器320の入力322において受信されるクロック信号のデューティサイクルを調整するので、デューティサイクル調整済みクロック信号と呼ばれることもある。タイミング測定回路510の入力512は、信号経路125を介してデューティサイクル調整器320の出力324に結合され得る。
【0041】
この例では、タイミング測定回路510は、測定制御回路520と、ローンチ回路530と、遅延回路550と、時間デジタル変換器(TDC)560と、キャプチャ回路540とを含む。以下でさらに説明するように、測定制御回路520は、タイミング測定回路510の動作を制御する。
【0042】
ローンチ回路530は、イネーブル入力532、クロック入力534、制御入力536、および出力538を有する。イネーブル入力532は、測定制御回路520の第1の出力523に結合され、クロック入力534は、クロック信号を受信するためにタイミング測定回路510の入力512に結合され、制御入力536は、測定制御回路520の第2の出力524に結合される。ローンチ回路530は、イネーブル入力532を介して測定制御回路520からイネーブル信号を受信して、測定を開始するように構成される。イネーブル信号に応答して、ローンチ回路530は、クロック信号のエッジで出力538においてタイミング信号のエッジをローンチする(すなわち、出力する)。タイミング信号のエッジをローンチするために使用されるクロック信号のエッジは、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジであり得る。いくつかの態様では、ローンチ回路530は、制御入力536を介して測定制御回路520から受信される第1のエッジ選択信号に基づいて、タイミング信号のエッジをローンチするために使用されるクロック信号のエッジを選択する。例えば、ローンチ回路530は、第1のエッジ選択信号が第1の論理値を有する場合、クロック信号の立ち上がりエッジでタイミング信号のエッジをローンチし、第1のエッジ選択信号が第2の論理値を有する場合、クロック信号の立ち下がりエッジでタイミング信号のエッジをローンチしてもよい。第1の論理値は、1であってもよく、第2の論理値は、0であってもよく、またはその逆でもよい。タイミング信号のエッジは、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジとすることができる。
【0043】
遅延回路550は、信号入力552、制御入力554、および出力556を有する。信号入力552は、ローンチ回路530の出力538に結合される。制御入力554は、測定制御回路520の第3の出力525に結合される。遅延回路550は、信号入力552を介してローンチ回路530からタイミング信号のエッジを受信し、タイミング信号のエッジをある時間遅延だけ遅延させ、タイミング信号の遅延されたエッジを出力556において出力するように構成される。いくつかの態様では、遅延回路550の時間遅延は調整可能(すなわち、プログラム可能)である。これらの態様では、遅延回路550は、制御入力554を介して測定制御回路520から受信された遅延制御信号に基づいて遅延回路550の時間遅延を設定するように構成される。
【0044】
キャプチャ回路540は、クロック入力542、制御入力544、および出力546を有する。クロック入力542は、クロック信号を受信するためにタイミング測定回路510の入力512に結合され、制御入力544は、測定制御回路520の第4の出力526に結合される。キャプチャ回路540は、キャプチャ信号を生成し、出力546においてキャプチャ信号を出力するように構成される。いくつかの態様では、キャプチャ回路540は、制御入力544を介して測定制御回路520から受信される第2のエッジ選択信号に基づいて、クロック信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジでキャプチャ信号のエッジを出力するように構成される。例えば、キャプチャ回路540は、第2のエッジ選択信号が第1の論理値を有する場合、クロック信号の立ち上がりエッジでキャプチャ信号のエッジを出力し、第2のエッジ選択信号が第2の論理値を有する場合、クロック信号の立ち下がりエッジでキャプチャ信号のエッジを出力してもよい。第1の論理値は、1であってもよく、第2の論理値は、0であってもよく、またはその逆でもよい。キャプチャ信号のエッジは、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジとすることができる。いくつかの態様では、キャプチャ信号は、以下でさらに説明するように、キャプチャクロック信号であり得る。
【0045】
TDC560は、信号入力562、キャプチャ入力564、および出力566を有する。TDC560の信号入力562は、遅延回路550の出力556に結合され、遅延回路550からタイミング信号の遅延されたエッジを受信する。キャプチャ入力564は、キャプチャ回路540の出力546に結合され、キャプチャ回路540からのキャプチャ信号のエッジを受信する。TDC560の出力566は、測定制御回路520の時間測定入力522に結合される。TDC560は、TDC560が信号入力562においてタイミング信号のエッジを受信する時間と、TDC560がキャプチャ入力564においてキャプチャ信号のエッジを受信する時間との間の時間遅延(すなわち、経過時間)を測定し、測定された時間遅延を示すデジタル時間測定信号を出力566において出力するように構成される。この例では、時間遅延測定は、タイミング信号のエッジで開始し、キャプチャ信号のエッジで停止することができる。
【0046】
いくつかの態様では、測定制御回路520は、第1のエッジ選択信号を使用してタイミング信号のエッジをローンチするために使用されるクロック信号のエッジを選択し、第2のエッジ選択信号を使用してキャプチャ信号のエッジを出力するために使用されるクロック信号のエッジを選択することによって、クロック信号の様々なタイミングパラメータを測定することができる。この例は、クロック信号の例示的なタイミング図を示す図6に示される。クロック信号は、図6に示されるデューティサイクルとは異なるデューティサイクルを有し得ることを理解されたい。
【0047】
例えば、測定制御回路520は、タイミング信号のエッジをローンチするクロック信号の立ち上がりエッジ610を選択し、キャプチャ信号のエッジを出力するクロック信号の立ち下がりエッジ620を選択することによって、クロック信号の高位相を測定してもよい。上述したように、高位相は、1クロック周期中にクロック信号がハイ(すなわち、1)となる持続時間である。この例では、図6に示すように、高位相は、クロック信号の立ち上がりエッジ610で開始し、クロック信号の立ち下がりエッジ620で終了する。この例では、高位相は、遅延回路550の時間遅延とTDC560によって測定された時間遅延との合計にほぼ等しい。これは、高位相が、タイミング信号のエッジがクロック信号の立ち上がりエッジ610でローンチされる時間から、キャプチャ信号のエッジがクロック信号の立ち下がりエッジ620で出力される時間までの時間遅延にほぼ等しく、これは遅延回路550の時間遅延とTDC560によって測定される時間遅延との合計に等しいからである。遅延回路550の時間遅延が既知であると仮定すると、測定制御回路520は、TDC560からのデジタル時間測定信号によって示される測定された時間遅延と、遅延回路550の既知の時間遅延とを使用して、高位相を決定することができる。
【0048】
別の例では、測定制御回路520は、タイミング信号のエッジをローンチするクロック信号の立ち下がりエッジ620を選択し、キャプチャ信号のエッジを出力するクロック信号の立ち上がりエッジ630を選択することによって、クロック信号の低位相を測定してもよい。低位相は、1クロック周期中にクロック信号がローとなる持続時間である。この例では、図6に示すように、低位相は、クロック信号の立ち下がりエッジ620で開始し、クロック信号の立ち上がりエッジ630で終了する。この例では、低位相は、遅延回路550の時間遅延とTDC560によって測定された時間遅延との合計に等しい。これは、低位相が、タイミング信号のエッジがクロック信号の立ち下がりエッジ620でローンチされる時間から、キャプチャ信号のエッジがクロック信号の立ち上がりエッジ630で出力される時間までの時間遅延にほぼ等しく、これは遅延回路550の時間遅延とTDC560によって測定される時間遅延との合計に等しいからである。遅延回路550の時間遅延が既知であると仮定すると、測定制御回路520は、TDC560からのデジタル時間測定信号によって示される測定された時間遅延と、遅延回路550の既知の時間遅延とを使用して、低位相を決定することができる。
【0049】
別の例では、測定制御回路520は、タイミング信号のエッジをローンチするクロック信号の第1の立ち上がりエッジ610を選択し、キャプチャ信号のエッジを出力するクロック信号の第2の立ち上がりエッジ630を選択することによって、クロック信号の周期を測定してもよい。この例では、クロック信号の周期は、遅延回路550の時間遅延とTDC560によって測定された時間遅延との合計にほぼ等しい。これは、クロック周期が、タイミング信号のエッジがクロック信号の第1の立ち上がりエッジ610でローンチされる時間から、キャプチャ信号のエッジがクロック信号の第2の立ち上がりエッジ630で出力される時間までの時間遅延にほぼ等しく、これは遅延回路550の時間遅延とTDC560によって測定される時間遅延との合計にほぼ等しいからである。遅延回路550の時間遅延が既知であると仮定すると、測定制御回路520は、TDC560からのデジタル時間測定信号によって示される測定された時間遅延と、遅延回路550の既知の時間遅延とを使用して、クロック信号の周期を決定することができる。
【0050】
測定制御回路520はまた、タイミング信号のエッジをローンチするクロック信号の第1の立ち下がりエッジ620を選択し、キャプチャ信号のエッジを出力するクロック信号の第2の立ち下がりエッジ640を選択することによって、クロック信号の周期を測定してもよい。この例では、クロック信号の周期は、遅延回路550の時間遅延とTDC560によって測定された時間遅延との合計にほぼ等しい。したがって、この例では、タイミング測定回路510は、クロック周期を測定するための2つの手法(すなわち、クロック信号の2つの連続する立ち上がりエッジ間の周期を測定するか、クロック信号の2つの連続する立ち下がりエッジ間の周期を測定する)をサポートする。いずれかの手法がクロック周期を測定するために使用され得るか、または両方の手法がクロック周期を測定するために使用され得る。
【0051】
したがって、測定制御回路520は、クロック信号の高位相、クロック信号の低位相、およびクロック信号の周期を含む、クロック信号の1つ以上のタイミングパラメータのうちのいずれか1つを測定することができる。測定制御回路520は、ローンチクロックエッジ(すなわち、タイミング信号のエッジをローンチするために使用されるクロック信号のエッジ)を選択し、それに応じてキャプチャクロックエッジ(すなわち、キャプチャ信号のエッジを出力するために使用されるクロック信号のエッジ)を選択することによって、測定されるタイミングパラメータを選択する。例えば、高位相を測定するために、測定制御回路520は、ローンチクロックエッジ用にクロック信号の立ち上がりエッジを選択し、キャプチャクロックエッジ用にクロック信号の立ち下がりエッジを選択する。いくつかの態様では、ローンチクロックエッジはクロック信号の第1のエッジと呼ばれることもあり、キャプチャクロックエッジはクロック信号の第2のエッジと呼ばれることもある。
【0052】
いくつかの態様では、測定制御回路520は、クロック信号の1つ以上の測定されたタイミングパラメータに基づいて測定信号を生成し、タイミング測定回路510の出力514に結合される第5の出力527において測定信号を出力するように構成される。一例では、測定信号は、クロック信号の測定された高位相、クロック信号の測定された低位相、およびクロック信号の測定された周期のうちの1つ以上を示し得る。
【0053】
別の例では、測定制御回路520は、クロック信号の測定された高位相、クロック信号の測定された低位相、およびクロック信号の測定された周期のうちの2つ以上に基づいてクロック信号のデューティサイクルを決定することができる。例えば、測定制御回路520は、クロック信号の測定された高位相とクロック信号の測定された周期との比率に基づいて、クロック信号のデューティサイクルを決定し得る。この例では、比率0.5は50%のデューティサイクルに相当する。次いで、測定制御回路520は、決定されたデューティサイクルを示す測定信号を出力し得る。
【0054】
別の例では、測定制御回路520は、クロック信号の測定された高位相、クロック信号の測定された低位相、およびクロック信号の測定された周期のうちの1つ以上に基づいてクロック信号のデューティサイクル調整を決定することができる。例えば、クロック信号は、50%の目標デューティサイクルを有し得る。この例では、測定制御回路520は、デューティサイクル調整を決定するために、クロック信号の測定された高位相をクロック信号の測定された低位相と比較することができる。例えば、測定された高位相が測定された低位相よりも大きい場合(クロック信号のデューティサイクルが50%の目標デューティサイクルよりも大きいときに生じる)、測定制御回路520は、クロック信号のデューティサイクルを50%の目標デューティサイクルに近付けるために、クロック信号のデューティサイクルを減少させるデューティサイクル調整を決定することができる。一方で、測定された高位相が測定された低位相よりも小さい場合(クロック信号のデューティサイクルが目標デューティサイクルよりも小さいときに生じる)、測定制御回路520は、クロック信号のデューティサイクルを50%の目標デューティサイクルに近付けるために、クロック信号のデューティサイクルを増加させるデューティサイクル調整を決定することができる。次いで、測定制御回路520は、決定されたデューティサイクル調整を示す測定信号を出力し得る。本開示はこの例に限定されないこと、および測定制御回路520は、クロック信号の測定されたタイミングパラメータのうちの1つ以上に基づいて異なる方法でデューティサイクル調整を決定し得ることを理解されたい。
【0055】
いくつかの実装形態では、測定信号は、2つ以上の信号を含み得ることを理解されたい。例えば、測定信号は、デューティサイクル調整の符号を示す(すなわち、クロック信号のデューティサイクルを増加させるべきか減少させるべきかを示す)第1の信号と、デューティサイクルが調整されるべき量を示す第2の信号とを含み得る。この例では、第1の信号および第2の信号は、1つのライン上に直列に出力されてもよいし、2つの並列ライン上に出力されてもよい。
【0056】
デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路510から測定信号を受信し、測定信号に基づいてデューティサイクル調整器320のためのデューティサイクル調整を決定し、決定されたデューティサイクル調整に基づいてデューティサイクル調整器320のデューティサイクル調整を設定する(すなわち、決定されたデューティサイクル調整に基づいてデューティサイクル調整器320のデューティサイクル調整を制御する制御信号を生成し、制御信号をデューティサイクル調整器320の制御入力326に入力する)ことができる。以下でさらに説明するように、デューティサイクル調整器320は、クロック信号の高位相を増加させるか、またはクロック信号の低位相を減少させることによって、クロック信号のデューティサイクルを増加させることができ、デューティサイクル調整器320は、クロック信号の高位相を減少させるか、またはクロック信号の低位相を増加させることによって、クロック信号のデューティサイクルを減少させることができる。
【0057】
測定信号がクロック信号の測定された高位相を示す例では、デューティサイクル制御回路330は、測定された高位相を目標デューティサイクル(例えば、50%のデューティサイクル)に対応する目標高位相と比較し得る。測定された高位相が目標高位相よりも大きい場合(クロック信号のデューティサイクルが目標デューティサイクルよりも大きいときに生じる)、デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路510の入力512に結合されるノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを減少させる、デューティサイクル調整器320のためのデューティサイクル調整を決定し得る。一方で、測定された高位相が目標高位相よりも小さい場合(クロック信号のデューティサイクルが目標デューティサイクルよりも小さいときに生じる)、デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路510の入力512に結合されるノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを増加させる、デューティサイクル調整器320のためのデューティサイクル調整を決定し得る。
【0058】
測定信号がクロック信号の測定された低位相を示す例では、デューティサイクル制御回路330は、測定された低位相を目標デューティサイクル(例えば、50%のデューティサイクル)に対応する目標低位相と比較し得る。測定された低位相が目標低位相よりも大きい場合(クロック信号のデューティサイクルが目標デューティサイクルよりも小さいときに生じる)、デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路510の入力512に結合されるノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを増加させる、デューティサイクル調整器320のためのデューティサイクル調整を決定し得る。一方で、測定された低位相が目標低位相よりも小さい場合(クロック信号のデューティサイクルが目標デューティサイクルよりも大きいときに生じる)、デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路510の入力512に結合されるノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを減少させる、デューティサイクル調整器320のためのデューティサイクル調整を決定し得る。
【0059】
測定信号が、クロック信号の測定されたタイミングパラメータのうちの1つ以上に基づくデューティサイクル調整を示す例では、デューティサイクル制御回路330は、示されたデューティサイクル調整に基づいてデューティサイクル調整器320のデューティサイクル調整を設定する。
【0060】
測定信号がクロック信号の測定された高位相およびクロック信号の測定された低位相の両方を示し、かつ目標デューティサイクルが50%である例では、デューティサイクル制御回路330は、クロック信号の測定された高位相を測定された低位相と比較して、デューティサイクル調整を決定することができる。例えば、測定された高位相が測定された低位相よりも大きい場合(クロック信号のデューティサイクルが50%の目標デューティサイクルよりも大きいときに生じる)、デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路510の入力512に結合されるノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを減少させるデューティサイクル調整を決定し得る。一方で、測定された高位相が測定された低位相よりも小さい場合(クロック信号のデューティサイクルが目標デューティサイクルよりも小さいときに生じる)、デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路510の入力512に結合されるノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを増加させるデューティサイクル調整を決定し得る。
【0061】
測定信号がクロック信号のデューティサイクルを示す例では、デューティサイクル制御回路330は、示されたデューティサイクルを目標デューティサイクルと比較して、デューティサイクル調整を決定することができる。例えば、示されたデューティサイクルが目標デューティサイクルよりも大きい場合、デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路510の入力512に結合されるノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを減少させるデューティサイクル調整を決定し得る。示されたデューティサイクルが目標デューティサイクルよりも小さい場合、デューティサイクル制御回路330は、タイミング測定回路510の入力512に結合されるノードにおけるクロック信号のデューティサイクルを増加させるデューティサイクル調整を決定し得る。
【0062】
図7は、いくつかの態様による、ローンチ回路530およびキャプチャ回路540の例示的な実装形態を示す。
【0063】
この例では、ローンチ回路530は、インバータ710、マルチプレクサ720、第1のフリップフロップ730、第2のフリップフロップ740、およびローンチフリップフロップ750を含む。マルチプレクサ720は、第1の入力722、第2の入力724、選択入力726、および出力728を有する。第1の入力722は、ローンチ回路530のクロック入力534に結合され、選択入力726は、ローンチ回路530の制御入力536に結合される。インバータ710は、ローンチ回路530のクロック入力534とマルチプレクサ720の第2の入力724との間に結合される。したがって、マルチプレクサ720の第1の入力722はクロック信号を受信し、マルチプレクサ720の第2の入力724は反転クロック信号を受信する。マルチプレクサ720は、選択入力726における制御信号に基づいて、第1の入力722におけるクロック信号または第2の入力724における反転クロック信号を選択し、クロック信号および反転クロック信号のうちの選択された1つを出力728において出力するように構成される。出力728におけるクロック信号および反転クロック信号のうちの選択された1つは、以下の説明においてローンチクロック信号と呼ばれる(「clk_1」とラベル付けされる)。以下でさらに説明するように、マルチプレクサ720は、測定制御回路520が、タイミング信号のエッジをローンチする、立ち上がりクロックエッジまたは立ち下がりクロックエッジを選択することを可能にする。
【0064】
第1のフリップフロップ730は、ローンチ回路530のイネーブル入力532に結合される信号入力732と、ローンチ回路530のクロック入力534に結合されるクロック入力734と、出力736とを有する。第2のフリップフロップ740は、第1のフリップフロップ730の出力736に結合される信号入力742と、マルチプレクサ720の出力728に結合されるクロック入力744と、出力746とを有する。ローンチフリップフロップ750は、第2のフリップフロップ740の出力746に結合される信号入力752と、マルチプレクサ720の出力728に結合されるクロック入力754と、ローンチ回路530の出力538に結合される出力756とを有する。
【0065】
この例では、ローンチ回路530は、タイミング信号を提供するために測定制御回路520からのイネーブル信号を使用し、マルチプレクサ720がクロック信号または反転クロック信号を選択するかどうかに応じて、クロック信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのいずれかにおいてタイミング信号のエッジをローンチする。一例では、測定制御回路520からのイネーブル信号は、デューティサイクル測定を開始するためにハイに設定される。この例では、イネーブル信号の立ち上がりエッジは、第1のフリップフロップ730および第2のフリップフロップ740を介してローンチフリップフロップ750の信号入力752に伝搬し、第1のフリップフロップ730はクロック信号によってクロックされ、第2のフリップフロップ740はローンチクロック信号(すなわち、クロック信号および反転クロック信号のうちの選択された1つ)によってクロックされる。
【0066】
ローンチフリップフロップ750は、ローンチクロック信号(「clk_1」とラベル付けされる)の立ち上がりエッジでイネーブル信号の立ち上がりエッジをローンチするように構成される。この例では、イネーブル信号の立ち上がりエッジは、タイミング信号(「din」とラベル付けされる)の立ち上がりエッジを提供する。クロック信号がマルチプレクサ720によって選択される場合、ローンチフリップフロップ750は、クロック信号の立ち上がりエッジでタイミング信号のエッジ(すなわち、この例ではイネーブル信号の立ち上がりエッジ)をローンチする。反転されたクロック信号がマルチプレクサ720によって選択される場合、ローンチフリップフロップ750は、クロック信号の立ち下がりエッジでタイミング信号のエッジ(すなわち、この例ではイネーブル信号の立ち上がりエッジ)をローンチする。
【0067】
したがって、この例では、ローンチ回路530は、測定制御回路520からのイネーブル信号の受信に応答してタイミング信号のエッジをローンチし、マルチプレクサ720がクロック信号または反転クロック信号を選択するかどうかに応じて、クロック信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのいずれかにおいてタイミング信号のエッジをローンチする。
【0068】
図7の例では、イネーブル信号は、第1のフリップフロップ730および第2のフリップフロップ740を通って伝搬して、ローンチフリップフロップ750の信号入力752に到達する。この例では、第1のフリップフロップ730および第2のフリップフロップ740を使用してイネーブル信号の立ち上がりエッジのタイミングを調整し、イネーブル信号の立ち上がりエッジがローンチフリップフロップ750においてタイミング(例えば、セットアップ時間および/またはホールド時間)が合うように確実にする支援をすることができる。本開示はこの例に限定されず、いくつかの実装形態(例えば、イネーブル信号のタイミングが問題とならない実装形態)では、第1のフリップフロップ730および第2のフリップフロップ740の一方または両方が省略され得ることを理解されたい。
【0069】
図7の例では、キャプチャ回路540は、第1のインバータ755と、マルチプレクサ760と、フリップフロップ770と、第2のインバータ780と、クロックゲーティング回路790(クロックゲーティングセルとも呼ばれる)とを含む。マルチプレクサ760は、第1の入力762、第2の入力764、選択入力766、および出力768を有する。第1の入力762は、キャプチャ回路540のクロック入力542に結合され、選択入力766は、キャプチャ回路540の制御入力544に結合される。第1のインバータ755は、キャプチャ回路540のクロック入力542とマルチプレクサ760の第2の入力764との間に結合される。したがって、マルチプレクサ760の第1の入力762はクロック信号を受信し、マルチプレクサ760の第2の入力764は反転クロック信号を受信する。マルチプレクサ760は、選択入力766における第2のエッジ選択信号に基づいて、第1の入力762におけるクロック信号または第2の入力764における反転クロック信号を選択し、クロック信号および反転クロック信号のうちの選択された1つを出力768において出力するように構成される。出力768におけるクロック信号および反転クロック信号のうちの選択された1つは、以下の説明においてキャプチャクロック信号と呼ばれる。以下でさらに説明するように、マルチプレクサ760は、測定制御回路520が、キャプチャクロック信号のエッジを出力するために、立ち上がりエッジまたは立ち下がりクロックエッジを選択することを可能にする。
【0070】
フリップフロップ770は、ローンチ回路530の出力538に結合される信号入力772と、マルチプレクサ760の出力768に結合されるクロック入力774と、出力776とを有する。第2のインバータ780の入力は、フリップフロップ770の出力776に結合される。
【0071】
クロックゲーティング回路790は、第2のインバータ780の出力に結合されるイネーブル入力792と、マルチプレクサ760の出力768に結合される信号入力794と、TDC560のキャプチャ入力564に結合される出力796とを有する。クロックゲーティング回路790は、イネーブル入力792における論理値に基づいて、マルチプレクサ760からのキャプチャクロック信号(すなわち、クロック信号および反転クロック信号のうちの選択された1つ)を通過させるか、またはゲートするように構成される。例えば、クロックゲーティング回路790は、イネーブル入力792がハイであるときにキャプチャクロック信号を通過させ、イネーブル入力792がローであるときにキャプチャ信号をゲート(すなわち、ブロック)することができるか、または代替実装形態ではその逆であり得る。クロックゲーティング回路790の後のキャプチャクロック信号は、図7において「clk_c」とラベル付けされる。
【0072】
この例では、キャプチャ回路540は、出力546において出力されたキャプチャクロック信号を使用して、上述のキャプチャ信号を与える。キャプチャクロック信号のエッジを出力するために使用されるクロック信号のエッジは、マルチプレクサ760がクロック信号を選択するか、それとも反転クロック信号を選択するかに依存する。例えば、キャプチャクロック信号のエッジは、マルチプレクサ760がクロック信号を選択する場合はクロック信号の立ち上がりエッジで出力されてもよく、キャプチャクロック信号のエッジは、マルチプレクサ760が反転クロック信号を選択する場合はクロック信号の立ち下がりエッジで出力され得る。
【0073】
フリップフロップ770および第2のインバータ780は、キャプチャクロック信号のエッジの後にキャプチャクロック信号をゲートするために使用される。これは、キャプチャクロック信号のエッジの後で、TDC560がTDC560の出力566における時間遅延測定値を保持するように行われる。
【0074】
図7に示される例示的なローンチ回路530およびキャプチャ回路540は、クロック信号の高位相、クロック信号の低位相、およびクロック信号の周期のうちのいずれか1つを測定するために使用され得る。この点に関し、図8Aは、いくつかの態様による、クロック信号の高位相測定の一例を示すタイミング図である。図8Aは、クロック信号(「clk」とラベル付けされる)、ローンチクロック信号(「clk_l」とラベル付けされる)、タイミング信号(「din」とラベル付けされる)、クロックゲーティング回路790のイネーブル入力792における信号(「clk_c_en」とラベル付けされる)、クロックゲーティング回路790の出力におけるキャプチャクロック信号(「clk_c」とラベル付けされる)、およびTDC560の出力(「tdc_q」とラベル付けされる)の一例を示す。
【0075】
図8Aの例では、ローンチ回路530内のマルチプレクサ720はクロック信号を選択し、キャプチャ回路540内のマルチプレクサ760は反転クロック信号を選択する。したがって、この例では、ローンチクロック信号はクロック信号によって与えられ、キャプチャクロック信号は反転クロック信号によって与えられる。この例では、ローンチフリップフロップ750は、クロック信号の立ち上がりエッジ810に対応するローンチクロック信号(「clk_1」とラベル付けされる)の立ち上がりエッジ812で、タイミング信号(「din」とラベル付けされる)の立ち上がりエッジ814をローンチする。この例では、ローンチフリップフロップ750は、立ち上がりエッジトリガ型フリップフロップ(ポジティブエッジトリガ型フリップフロップとも呼ばれる)である。タイミング信号の立ち上がりエッジ814は、遅延回路550を通ってTDC560に伝搬する。
【0076】
キャプチャ回路540は、クロック信号の立ち下がりエッジ818でキャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ816を出力する。キャプチャ回路540は、この例ではキャプチャクロック信号(「clk_c」とラベル付けされる)を生成することに留意されたい。キャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ816は、TDC560に、TDC560におけるタイミング信号の時間遅延測定値をキャプチャさせ、対応するデジタル時間測定信号(「tdc_q」とラベル付けされる)を測定制御回路520に出力させる。この例では、TDC560は、立ち上がりエッジトリガされる(すなわち、キャプチャクロック信号の立ち上がりエッジで時間遅延測定値をキャプチャする)。
【0077】
キャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ816の後、クロックゲーティング回路790のイネーブル入力792における信号(「clk_c_en」とラベル付けされる)はローになる。これは、クロックゲーティング回路790にキャプチャクロック信号をゲートさせ、TDC560に時間遅延測定値を保持させる。TDC560は、測定制御回路520が(例えば、ローンチ回路530のイネーブル入力532に0を出力することによって)ローンチ回路530およびキャプチャ回路540をリセットするまで、時間遅延測定を保持することができる。
【0078】
図8Bは、いくつかの態様による、クロック信号の低位相測定の一例を示すタイミング図である。図8Bの例では、ローンチ回路530内のマルチプレクサ720は反転クロック信号を選択し、キャプチャ回路540内のマルチプレクサ760はクロック信号を選択する。したがって、この例では、ローンチクロック信号は反転クロック信号によって与えられ、キャプチャクロック信号はクロック信号によって与えられる。この例では、ローンチフリップフロップ750は、クロック信号の立ち下がりエッジ820に対応するローンチクロック信号(「clk_1」とラベル付けされる)の立ち上がりエッジ822で、タイミング信号(「din」とラベル付けされる)の立ち上がりエッジ824をローンチする。タイミング信号の立ち上がりエッジ824は、遅延回路550を通ってTDC560に伝搬する。
【0079】
キャプチャ回路540は、クロック信号の立ち上がりエッジ828でキャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ826を出力する。キャプチャ回路540は、この例ではキャプチャクロック信号(「clk_c」とラベル付けされる)を生成することに留意されたい。キャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ826は、TDC560に、TDC560におけるタイミング信号の時間遅延測定値をキャプチャさせ、対応するデジタル時間測定信号(「tdc_q」とラベル付けされる)を測定制御回路520に出力させる。
【0080】
キャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ826の後、クロックゲーティング回路790のイネーブル入力792における信号(「clk_c_en」とラベル付けされる)はローになる。これは、クロックゲーティング回路790にキャプチャクロック信号をゲートさせ、TDC560に時間遅延測定値を保持させる。TDC560は、測定制御回路520が(例えば、ローンチ回路530のイネーブル入力532に0を出力することによって)ローンチ回路530およびキャプチャ回路540をリセットするまで、時間遅延測定を保持することができる。
【0081】
図8Cは、いくつかの態様による、クロック周期測定の一例を示すタイミング図である。図8Cの例では、ローンチ回路530内のマルチプレクサ720はクロック信号を選択し、キャプチャ回路540内のマルチプレクサ760はクロック信号を選択する。したがって、この例では、ローンチクロック信号はクロック信号によって与えられ、キャプチャクロック信号はクロック信号によって与えられる。この例では、ローンチフリップフロップ750は、クロック信号の立ち上がりエッジ830に対応するローンチクロック信号(「clk_1」とラベル付けされる)の立ち上がりエッジ832で、タイミング信号(「din」とラベル付けされる)の立ち上がりエッジ834をローンチする。タイミング信号の立ち上がりエッジ834は、遅延回路550を通ってTDC560に伝搬する。
【0082】
キャプチャ回路540は、クロック信号の立ち上がりエッジ838でキャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ836を出力する。キャプチャ回路540は、この例ではキャプチャクロック信号(「clk_c」とラベル付けされる)を生成することに留意されたい。キャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ836は、TDC560に、TDC560におけるタイミング信号の時間遅延測定値をキャプチャさせ、対応するデジタル時間測定信号(「tdc_q」とラベル付けされる)を測定制御回路520に出力させる。
【0083】
キャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ836の後、クロックゲーティング回路790のイネーブル入力792における信号(「clk_c_en」とラベル付けされる)はローになる。これは、クロックゲーティング回路790にキャプチャクロック信号をゲートさせ、TDC560に時間遅延測定値を保持させる。TDC560は、測定制御回路520が(例えば、ローンチ回路530のイネーブル入力532に0を出力することによって)ローンチ回路530およびキャプチャ回路540をリセットするまで、時間遅延測定を保持することができる。
【0084】
図8Dは、いくつかの態様による、クロック周期測定の別の一例を示すタイミング図である。図8Dの例では、ローンチ回路530内のマルチプレクサ720は反転クロック信号を選択し、キャプチャ回路540内のマルチプレクサ760は反転クロック信号を選択する。したがって、この例では、ローンチクロック信号は反転クロック信号によって与えられ、キャプチャクロック信号は反転クロック信号によって与えられる。この例では、ローンチフリップフロップ750は、クロック信号の立ち下がりエッジ840に対応するローンチクロック信号(「clk_1」とラベル付けされる)の立ち上がりエッジ842で、タイミング信号(「din」とラベル付けされる)の立ち上がりエッジ844をローンチする。タイミング信号の立ち上がりエッジ844は、遅延回路550を通ってTDC560に伝搬する。
【0085】
キャプチャ回路540は、クロック信号の立ち下がりエッジ848でキャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ846を出力する。キャプチャ回路540は、この例ではキャプチャクロック信号(「clk_c」とラベル付けされる)を生成することに留意されたい。キャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ846は、TDC560に、TDC560におけるタイミング信号の時間遅延測定値をキャプチャさせ、対応するデジタル時間測定信号(「tdc_q」とラベル付けされる)を測定制御回路520に出力させる。
【0086】
キャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ846の後、クロックゲーティング回路790のイネーブル入力792における信号(「clk_c_en」とラベル付けされる)はローになる。これは、クロックゲーティング回路790にキャプチャクロック信号をゲートさせ、TDC560に時間遅延測定値を保持させる。TDC560は、測定制御回路520が(例えば、ローンチ回路530のイネーブル入力532に0を出力することによって)ローンチ回路530およびキャプチャ回路540をリセットするまで、時間遅延測定を保持することができる。
【0087】
図9は、いくつかの態様による、TDC560の例示的な実装形態を示す。この例では、TDC560は、信号入力562においてタイミング信号を受信し、タイミング信号のエッジがTDC560の信号入力562において受信される時間と、キャプチャクロック信号のエッジがTDC560のキャプチャ入力564において受信される時間との間の時間遅延を測定するように構成される。この例では、デジタル時間測定信号(「tdc_q」とラベル付けされる)は、測定された時間遅延を示す複数のビット(「tdc_q[0]」~「tdc_q[k]」とラベル付けされる)を含む。
【0088】
図9の例では、TDC560は、遅延線915と、遅延線915に結合される複数のフリップフロップ930-1~930-nとを含む。フリップフロップ930-1~930-nは、キャプチャ入力564で受信されたキャプチャクロック信号によってクロックされる。遅延線915は、TDC560の信号入力562に結合される入力918と、複数のノード922-1~922-nとを有し、各ノードは、遅延線915に沿った異なる遅延に対応する。図9の例では、遅延線915は、遅延バッファ920-1~920-nの各々の出力がノード922-1~922-nのそれぞれ1つに対応する、直列に結合される複数の遅延バッファ920-1~920-nを含む。動作中、TDC560によって受信されるタイミング信号は、遅延線915を通って伝搬する。各遅延バッファ920-1~920-nの出力は、それぞれのノード922-1~922-nにおけるタイミング信号の異なる遅延バージョンを提供する。
【0089】
フリップフロップ930-1~930-nの各々は、信号入力932-1~932-nと、出力934-1~934-nと、クロック入力936-1~936-nとを有する。各フリップフロップ930-1~930-nのクロック入力936-1~936-nは、キャプチャ入力564に結合され、キャプチャクロック信号を受信するように構成される。各フリップフロップ930-1~930-nは、キャプチャクロック信号のエッジでそれぞれの信号入力932-1~932-nにおけるビット値をラッチし、それぞれの出力934-1~934-nにおいてラッチされたビット値を出力するように構成される。キャプチャクロック信号のエッジは、フリップフロップ930-1~930-nが立ち上がりエッジトリガ型フリップフロップを用いて実装される例では、立ち上がりエッジであり得る。図8A図8Dに示す例では、キャプチャクロック信号のエッジは、立ち上がりエッジであることに留意されたい。しかしながら、本開示はこの例に限定されるものではないことが認識されるべきである。
【0090】
各フリップフロップ930-1~930-nの信号入力932-1~932-nは、遅延線915上のノード922-1~922-nのそれぞれ1つに結合される。したがって、各フリップフロップ930-1~930-nの信号入力932-1~932-nは、タイミング信号の異なる遅延バージョンを受信する。図9の例では、各フリップフロップ930-1~930-nの信号入力932-1~932-nは、遅延バッファ920-1~920-nのそれぞれの1つの出力に結合される。各フリップフロップ930-1~930-nの出力934-1~934-nは、デジタル時間測定信号(「tdc_q」とラベル付けされる)のビット(「tdc_q[0]」~「tdc_q[k]」とラベル付けされる)のうちのそれぞれ1つを与える。この例では、各フリップフロップ930-1~930-nは、キャプチャクロック信号のエッジ(例えば、キャプチャクロック信号の立ち上がりエッジ)でそれぞれのノード922-1~922-nのビット値をラッチし、ラッチされたビット値をデジタル時間測定信号(「tdc_q」とラベル付けされる)のそれぞれのビットのビット値として出力する。
【0091】
この例では、タイミング信号の時間遅延は、1であるデジタル時間測定信号のビット(「tdc_q[0]」~「tdc_q[k]」とラベル付けされる)の数によって示される。1であるビットの数が多いほど、時間遅延は長くなる。これは、タイミング信号が遅延線915をより遠くまで伝搬すると1であるビットの数がより多くなるためであり、これは時間遅延がより長いときに生じる。
【0092】
この例では、TDC560は、1つの遅延バッファの遅延に等しい時間増分でタイミング信号の時間遅延を測定し、これは、ROベースのタイミング測定回路410によって実現される分解能よりもはるかに高い分解能を実現する。これは、リング発振器430がループ状に結合される複数の遅延バッファを含み、RO信号の各発振を生成するために、RO信号が複数の遅延バッファを2回伝搬する必要があるためである。結果として、ROベースのタイミング測定回路410における時間増分は、リング発振器430における複数の遅延バッファの遅延の合計の2倍に等しい。したがって、ROベースのタイミング測定回路410が時間遅延を測定する時間増分は、TDC560よりもはるかに大きく、その結果、ROベースのタイミング測定回路410の分解能ははるかに低くなる。
【0093】
タイミング測定回路510は、図5および図7に示す例に限定されないことを理解されたい。例えば、いくつかの実装形態では、遅延回路550は固定時間遅延を有し得るか、または遅延回路550は省略されてもよい(例えば、TDC560があるクロック周期にまたがって時間測定範囲を有する場合)。遅延回路550が省略される実装形態では、TDC560の信号入力562は、ローンチ回路530の出力538に直接結合され得る。
【0094】
図10は、いくつかの態様による、TDC560の別の例示的な実装形態を示す。この例では、TDC560は、信号入力1012、クロック入力1014、および出力1016を有するフリップフロップ1010を含む。信号入力1012は、TDC560の信号入力562に結合され、クロック入力1014は、TDC560のキャプチャ入力564に結合され、出力1016は、TDC560の出力566に結合される。
【0095】
この例では、フリップフロップ1010は、TDC560のキャプチャ入力564で受信されたキャプチャクロック信号によってクロックされる。フリップフロップ1010は、キャプチャクロック信号のエッジ(例えば、立ち上がりエッジ)で信号入力1012における論理値をラッチし、ラッチされた論理値を測定制御回路520に出力するように構成される。したがって、この例では、ラッチされた論理値は、TDC560によって出力されるデジタル時間測定信号を与える。
【0096】
この例では、フリップフロップ1010によって出力されるラッチされた論理値は、キャプチャクロック信号のエッジがクロック入力1014において受信される時間までに、タイミング信号のエッジがTDC560に到達するかどうかを示す。例えば、タイミング信号のエッジが(図8A図8Dの例に示されるように)立ち上がりエッジである場合、ラッチされた論理値は、タイミング信号のエッジがキャプチャクロック信号のエッジの前に到着する場合に1であり、タイミング信号のエッジがキャプチャクロック信号のエッジの後に到着する場合に0である。タイミング信号のエッジが遅延回路550の時間遅延の後にTDC560に到着するので、フリップフロップ1010によって出力されるラッチされた値は、遅延回路550の時間遅延がローンチクロックエッジとキャプチャクロックエッジとの間の時間遅延よりも小さいか、それとも大きいかを示す。この情報は、以下でさらに説明されるように、遅延回路550の時間遅延を異なる遅延設定に順次調整し、各遅延設定についてラッチされた論理値を観察することによって、クロック信号の高位相、低位相、または周期を測定するために使用され得る。
【0097】
この例においてクロック信号の高位相を測定するために、測定制御回路520は、第1のエッジ選択信号を使用してローンチクロックエッジのための立ち上がりエッジを選択し、第2のエッジ選択信号を使用してキャプチャクロックエッジのための立ち下がりエッジを選択し得る。次いで、測定制御回路520は、遅延制御信号を使用して、遅延回路550の時間遅延を異なる遅延設定に順次調整することができる。各遅延設定に対して、測定制御回路520は測定を開始し、遅延回路550の時間遅延がクロック信号の高位相よりも小さいか、それとも大きいかを示すラッチされた論理値をTDC560から受信する。例えば、タイミング信号のエッジが立ち上がりエッジである例では、ラッチされた値は、遅延回路550の時間遅延が高位相より大きい場合には0であり、遅延回路550の時間遅延が高位相より小さい場合には1である。この例では、測定制御回路520は、ラッチされた値が1である最も高い遅延設定と、ラッチされた値が0である最も低い遅延設定とを決定することによって、高位相を決定し得る。この場合、クロック信号の高位相は、ラッチされた値が1である最も高い遅延設定に対応する時間遅延と、ラッチされた値が0である最も低い遅延設定に対応する時間遅延との間であり得る。次いで、測定制御回路520は、高位相が2つの時間遅延のうちの1つに等しいと推定することができる。あるいは、測定制御回路520は、高位相が2つの時間遅延の間の時間遅延に等しいと推定することができる。したがって、この例では、測定制御回路520は、遅延回路550の時間遅延を異なる遅延設定に順次調整し、各遅延設定についてラッチされた論理値を観察して、高位相にほぼ等しい時間遅延を決定することによって、高位相を測定する。
【0098】
この例では、低位相およびクロック周期はそれぞれ、上記で説明した高位相と同様の方法で測定され得る。低位相測定では、測定制御回路520は、第1のエッジ選択信号を使用してローンチクロックエッジのための立ち下がりエッジを選択し、第2のエッジ選択信号を使用してキャプチャクロックエッジのための立ち上がりエッジを選択し得る。クロック周期測定では、測定制御回路520は、ローンチクロックエッジのための立ち上がりエッジおよびキャプチャクロックエッジのための立ち上がりエッジを選択してもよく、またはローンチクロックエッジのための立ち下がりエッジおよびキャプチャクロックエッジの立ち下がりエッジを選択してもよい。
【0099】
図11は、本開示のいくつかの態様による、遅延回路550の例示的な実装形態を示す。この例では、遅延回路550は、遅延線(例えば、遅延チェーン)を形成するために直列に結合される複数の遅延デバイス1110-1~1110-Nを含む。遅延デバイス1110-1~1110-Nの各々は、それぞれの入力(「in」とラベル付けされる)およびそれぞれの出力(「out」とラベル付けされる)を有する。遅延デバイス1110-1~1110-Nの各々は、ほぼ同じ遅延τを有し得る。遅延デバイス1110-1の入力は、遅延回路550の信号入力552に結合される。遅延デバイス1110-1~1110-(N-1)の各々の出力は、遅延線における次の遅延デバイス1110-2~1110-Nの入力に結合される。遅延デバイス1110-1~1110-Nの各々は、遅延段、遅延要素、遅延ユニット、遅延バッファ、または別の用語で呼ばれることもある。
【0100】
遅延回路550はまた、複数の入力1132-1~1132-N、出力1134、および選択入力1136を有するマルチプレクサ1130を含む。マルチプレクサ1130の入力1132-1~1132-Nの各々は、遅延線内の遅延デバイス1110-1~1110-Nのそれぞれの1つの出力に結合される。その結果、入力1132-1~1132-Nの各々は、異なる時間遅延に対応する遅延線上の異なる点に結合される。マルチプレクサ1130の出力1134は、遅延回路550の出力556に結合され、マルチプレクサ1130の選択入力1136は、遅延回路550の制御入力554に結合される。
【0101】
マルチプレクサ1130は、測定制御回路520から選択入力1136において遅延制御信号を受信し、受信した遅延制御信号に基づいてマルチプレクサ1130の入力1132-1~1132-Nのうちの1つを選択するように構成され、入力1132-1~1132-Nのうちの選択された1つは、マルチプレクサ1130の出力1134に結合される。入力1132-1~1132-Nの各々は、異なる時間遅延に対応する遅延線上の異なる点に結合されるので、遅延制御信号は、入力1132-1~1132-Nのうちのどれがマルチプレクサ1130によって選択されるかを制御することによって、遅延回路550の時間遅延を制御する。
【0102】
遅延回路550は、図11に示す例示的な実装形態に限定されないことを理解されたい。一般に、遅延回路550は、複数の遅延デバイスと、遅延制御信号に基づいて遅延回路550の信号入力552と出力556との間の遅延経路の内外に遅延デバイスを選択的に切り替えるための回路とを含み得る。回路は、スイッチ、1つ以上のマルチプレクサ、論理ゲート、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0103】
図12は、いくつかの態様による、デューティサイクル調整器1220の別の例示的な実装形態を示す。デューティサイクル調整器1220は、図3のデューティサイクル調整器320を実装するために使用され得る(すなわち、デューティサイクル調整器320は、デューティサイクル調整器320の一例であり得る)。デューティサイクル調整器1220は、信号入力1222、第1の制御入力1226、第2の制御入力1228、および出力1224を有する。デューティサイクル調整器1220が図3のデューティサイクル調整器320を実装する例では、信号入力1222は信号入力322に対応し、出力1224は出力324に対応し、第1の制御入力1226および第2の制御入力1228は制御入力326に対応する(すなわち、制御入力326は、この例では2つの入力を含む)。
【0104】
この例では、デューティサイクル調整器1220は、第1のインバータ1235、第1のマルチプレクサ1240、高位相エクステンダ1250、第2のインバータ1265、および第2のマルチプレクサ1270を含む。第1のマルチプレクサ1240は、第1の入力1242、第2の入力1244、選択入力1246、および出力1248を有する。第1のマルチプレクサ1240の第1の入力1242は、デューティサイクル調整器1220の信号入力1222に結合され、第1のマルチプレクサ1240の選択入力1246は、第1の制御入力1226に結合される。第1のインバータ1235は、デューティサイクル調整器1220の信号入力1222と第1のマルチプレクサ1240の第2の入力1244との間に結合される。本明細書で使用される場合、「インバータ」は、NANDゲート、相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide semiconductor、CMOS)インバータ、または反転機能を実行することができる任意の論理ゲート若しくは論理ゲートの組合せを使用するなど、反転機能を実行することができる任意の回路実装形態を包含する。
【0105】
高位相エクステンダ1250は、信号入力1252、制御入力1254、および出力1256を有する。高位相エクステンダ1250の信号入力1252は、第1のマルチプレクサ1240の出力1248に結合され、高位相エクステンダ1250の制御入力1254は、デューティサイクル調整器1220の第2の制御入力1228に結合される。以下でさらに説明するように、高位相エクステンダ1250は、制御入力1254において受信された位相制御信号に基づいて調整可能な量だけクロック信号の高位相を拡張するように構成される。
【0106】
第2のマルチプレクサ1270は、第1の入力1272、第2の入力1274、選択入力1276、および出力1278を有する。第2のマルチプレクサ1270の第1の入力1272は、高位相エクステンダ1250の出力1256に結合され、第2のマルチプレクサ1270の選択入力1276は、第1の制御入力1226に結合される。第2のインバータ1265は、高位相エクステンダ1250の出力1256と第2のマルチプレクサ1270の第2の入力1274との間に結合される。第2のマルチプレクサ1270の出力1278は、出力1224に結合される。
【0107】
デューティサイクル調整器1220は、(例えば、クロック生成器115から)信号入力1222においてクロック信号を受信し、クロック信号のデューティサイクルを調整し、デューティサイクル調整後のクロック信号を出力1224において出力するように構成される。デューティサイクル調整器1220は、クロック信号のデューティサイクルを増加または減少させることができる。したがって、デューティサイクル調整器1220は、いずれかの方向におけるデューティサイクル調整をサポートする。
【0108】
デューティサイクル調整器1220に入力されるクロック信号入力のデューティサイクルを増加させるために、デューティサイクル制御回路330(図3に示される)は、第1のマルチプレクサ1240および第2のマルチプレクサ1270の各々に、第1の制御入力1226を介してそれぞれの第1の入力1242および1272を選択させる。この場合、第1のマルチプレクサ1240は、クロック信号を高位相エクステンダ1250の信号入力1252に渡す。次に、高位相エクステンダ1250は、第2の制御入力1228を介してデューティサイクル制御回路330から受信した位相制御信号に基づいて調整可能な量だけクロック信号の高位相を拡張する。クロック信号の高位相を拡張することによって、高位相エクステンダ1250は、クロック信号のデューティサイクルを増加させる。高位相エクステンダ1250による高位相拡張の量が大きいほど、クロック信号のデューティサイクルの増加は大きい。この例では、第2のマルチプレクサ1270は、高位相拡張後のクロック信号をデューティサイクル調整器1220の出力1224に渡す。
【0109】
デューティサイクル調整器1220に入力されるクロック信号入力のデューティサイクルを減少させるために、デューティサイクル制御回路330(図3に示される)は、第1のマルチプレクサ1240および第2のマルチプレクサ1270の各々に、第1の制御入力1226を介してそれぞれの第2の入力1244および1274を選択させる。この場合、第1のインバータ1235はクロック信号を反転させ、第1のマルチプレクサ1240は、反転クロック信号を高位相エクステンダ1250の信号入力1252に渡す。次に、高位相エクステンダ1250は、第2の制御入力1228を介してデューティサイクル制御回路330から受信した位相制御信号に基づいて調整可能な量だけ反転クロック信号の高位相を拡張する。この場合、反転クロック信号の高位相を延長することは、クロック信号の低位相を拡張することと等価であり、これは、クロック信号のデューティサイクルを減少させる。高位相エクステンダ1250が反転クロック信号の高位相を拡張する量が大きいほど、クロック信号のデューティサイクルの減少は大きい。この例では、第2のインバータ1265は、クロック信号を取得するために、高位相拡張後に反転クロック信号を反転させ、第2のマルチプレクサ1270は、第2のインバータ1265からのクロック信号をデューティサイクル調整器1220の出力1224に渡す。
【0110】
したがって、デューティサイクル調整器1220は、クロック信号のデューティサイクルを増加または減少させることができる。クロック信号のデューティサイクルを増加させるために、高位相エクステンダ1250は、クロック信号の高位相を拡張する。クロック信号のデューティサイクルを減少させるために、第1のインバータ1235は、クロック信号を反転させ、高位相エクステンダ1250は、反転クロック信号の高位相を拡張し(これはクロック信号の低位相を拡張することと等価である)、第2のインバータ1265は、反転クロック信号をクロック信号に戻すように反転させる。高位相拡張のみが使用される用途では、マルチプレクサ1240および1270、並びにインバータ1235および1265は省略されてもよい。
【0111】
図13は、いくつかの態様による、高位相エクステンダ1250の例示的な実装形態を示す。この例では、高位相エクステンダ1250は、ORゲート1330と、遅延回路1320とを含む。ORゲート1330は、等価な論理関数を生成するために、2つ以上のゲートの組合せで実装され得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実装形態では、ORゲート1330は、NORゲートおよびインバータを含み得る。
【0112】
ORゲート1330は、第1の入力1332、第2の入力1334、および出力1336を有する。第1の入力1332は、高位相エクステンダ1250の信号入力1252に結合され、出力1336は、高位相エクステンダ1250の出力1256に結合される。遅延回路1320は、信号入力1322、制御入力1324、および出力1326を有する。遅延回路1320の信号入力1322は、高位相エクステンダ1250の信号入力1252に結合され、遅延回路1320の制御入力1324は、高位相エクステンダ1250の制御入力1254に結合され、遅延回路1320の出力1326は、ORゲート1330の第2の入力1334に結合される。
【0113】
遅延回路1320は、制御入力1254を介して受信された遅延制御信号に基づいて調整可能な時間遅延だけクロック信号を遅延させるように構成される。結果として生じる遅延クロック信号は、ORゲート1330の第2の入力1334に入力される。ORゲート1330は、出力1336においてクロック信号を生成するために、第1の入力1332におけるクロック信号および第2の入力1334における遅延クロック信号に対してOR関数を実行する。出力1336におけるクロック信号は、信号入力1252におけるクロック信号と比較して拡張された高位相を有し、高位相拡張は、遅延回路1320の時間遅延によって制御される。遅延回路1320の時間遅延が大きいほど、出力1336におけるクロック信号の高位相拡張が大きくなる。したがって、この例では、デューティサイクル制御回路330(図3に示す)は、遅延回路1320の時間遅延を制御することによって、高位相エクステンダ1250の出力1256におけるクロック信号の高位相拡張を制御する。この例では、上述の位相制御信号は、遅延回路1320の制御入力1324に入力される遅延制御信号入力に対応する。
【0114】
この例では、遅延回路1320の時間遅延は、信号入力1252におけるクロック信号の高位相によって制限され得る(すなわち、遅延回路1320の時間遅延≦入力高位相)。これは、入力高位相を超えて時間遅延を増加させることが、クロックグリッチをもたらし得るからである。この点に関して、図14Aは、時間遅延が信号入力1252におけるクロック信号の高位相よりも小さい場合の、信号入力1252におけるクロック信号(「hpe_in」とラベル付けされる)および出力1256におけるクロック信号(「hpe_out」とラベル付けされる)の一例を示し、図14Bは、時間遅延が信号入力1252におけるクロック信号の高位相よりも大きい場合の、信号入力1252におけるクロック信号(「hpe_in」とラベル付けされる)および出力1256におけるクロック信号(「hpe_out」とラベル付けされる)の一例を示す。図14Bに示されるように、遅延回路1320の時間遅延を信号入力1252におけるクロック信号の高位相よりも大きくすることは、クロックグリッチ1410をもたらし得る。したがって、高位相エクステンダ1250の例示的な実装形態は、入力高位相の2倍に等しい最大出力高位相のために、出力クロック信号の高位相を入力クロック信号の高位相以下の量だけ拡張すること(すなわち、遅延回路1320の時間遅延≦入力高位相)に限定されることがあり、したがって、より大きい高位相拡張を必要とする適切な使用事例ではないことがある。
【0115】
これに対処するために、図15Aは、いくつかの態様による、より大きい高位相拡張範囲を与える遅延回路1320の例示的な実装形態を示す。この例では、遅延回路1320は、遅延線を形成するために直列に結合される複数の遅延デバイス1510-1~1510-mを含む。遅延デバイス1510-1~1510-mは、遅延セグメント、または別の用語で呼ばれることもある。遅延デバイス1510-1~1510-mの各々は、それぞれの第1の信号入力1512-1~1512-m、それぞれの第2の信号入力1514-1~1514-m、それぞれの制御入力1516-1~1516-m、およびそれぞれの遅延出力1518-1~1518-mを有する。遅延デバイス1510-1の第1の信号入力1512-1は、高位相エクステンダ1250の信号入力1252に結合される。図15Aの例では、遅延デバイス1510-1の第2の信号入力1514-1は接地に結合される。遅延デバイス1510-1~1510-(m-1)の各々の遅延出力1518-1~1518-(m-1)は、遅延線における次の遅延デバイス1510-2~1510-mの第2の信号入力1514-2~1514-mに結合され、遅延デバイス1510-mの遅延出力1518-mは、図15Aに示されるように、ORゲート1330の第2の入力1334に結合される。遅延デバイス1510-2~1510-mの各々の第1の信号入力1512-2~1512-mは、高位相エクステンダ1250の信号入力1252に結合される。
【0116】
遅延デバイス1510-1~1510-mの各々は、それぞれの制御入力1516-1~1516-mを介してそれぞれの制御信号(例えば、制御ビット)を受信するように構成される。この例では、高位相エクステンダ1250の制御入力1254は、複数の制御入力1254-1~1254-mを含み、複数の制御入力1254-1~1254-mの各々は、遅延デバイス1510-1~1510-mのうちのそれぞれ1つの制御入力1516-1~1516-mに結合される。
【0117】
この例では、遅延デバイス1510-1~1510-mの各々は、それぞれの制御信号に基づいてそれぞれの遅延出力1518-1~1518-mを有効にする、または無効にするように構成される。例えば、遅延デバイス1510-1~1510-mの各々は、それぞれの制御信号が第1の論理値を有するとき、それぞれの遅延出力1518-1~1518-mを有効にし、それぞれの制御信号が第2の論理値を有するとき、それぞれの遅延出力1518-1~1518-mを無効にするように構成され得る。第1の論理値は、1であってもよく、第2の論理値は、0であってもよく、またはその逆でもよい。
【0118】
遅延デバイス1510-1~1510-mの各々は、それぞれの遅延出力1518-1~1518-mが有効にされると、それぞれの第1の信号入力1512-1~1512-mにおける高位相(すなわち、論理1)をそれぞれの遅延出力1518-1~1518-mに渡し、それぞれの第2の信号入力1514-1~1514-mにおける高位相(すなわち、論理1)をそれぞれの遅延出力1518-1~1518-mに渡すように構成される。図15Aの例では、遅延デバイス1510-1の第2の信号入力1514-1は接地に結合される。遅延デバイス1510-1~1510-mの各々は、それぞれの遅延出力1518-1~1518-mが無効にされると、それぞれの第1の信号入力1512-1~1512-mにおける信号(すなわち、クロック信号)をブロックし、それぞれの第2の信号入力1514-2~1514-mにおける信号(すなわち、クロック信号)をブロックする(すなわち、ゲートする)ように構成される。この例では、遅延デバイス1510-1~1510-mの各々は、それぞれの遅延出力1518-1~1518-mが無効にされると、それぞれの遅延出力1518-1~1518-mにおいて静的論理値を出力し得る。静的論理値は0でもよいし、1であってもよい。
【0119】
この例では、デューティサイクル制御回路330(図3に示される)は、制御入力1254-1~1254-mを介して遅延出力1518-1~1518-mが有効にされた遅延デバイス1510-1~1510-mの数を制御することによって、高位相エクステンダ1250の高位相拡張を制御する。遅延出力1518-1~1518-mが有効にされた遅延デバイス1510-1~1510-mの数が多いほど、出力1256におけるクロック信号の高位相拡張が大きくなる。この例では、デューティサイクル制御回路330は、遅延デバイス1510-mの遅延出力1518-mから開始して、図15Aの右から左に、遅延デバイス1510-1~1510-m(遅延セグメントとも呼ばれる)の遅延出力1518-1~1518-mを有効にする。したがって、遅延デバイス1510-1~1510-mのうちの1つの遅延出力を有効にするには、デューティサイクル制御回路330は、遅延デバイス1510-mの遅延出力1518-mを有効にする。遅延デバイス1510-1~1510-mのうちの2つの遅延出力を有効にするには、デューティサイクル制御回路330は、遅延デバイス1510-mおよび1510-(m-1)の遅延出力1518-mおよび1518-(m-1)を有効にする。遅延デバイス1510-1~1510-mのうちの3つの遅延出力を有効にするには、デューティサイクル制御回路330は、遅延デバイス1510-m、1510-(m-1)、および1510-(m-2)の遅延出力1518-m、1518-(m-1)、および1518-(m-2)を有効にし、以下同様である。遅延デバイス1510-(m-1)および1510-(m-2)は、説明を容易にするために、図15Aでは明示的に示されていないことに留意されたい。
【0120】
この例では、遅延デバイス1510-1~1510-mは、高位相エクステンダ1250の高位相拡張範囲を大きくする。これは、遅延出力が有効にされた遅延デバイスが、異なる時間遅延だけ遅延されたクロック信号の複数の遅延バージョンを生成するからである。クロック信号の複数の遅延バージョンの高位相は、遅延回路1320の出力1326において結合され、ORゲート1330においてクロック信号とOR演算される。これにより、高位相エクステンダ1250は、以下でさらに説明するように、出力クロック信号に対して大きな高位相拡張範囲を達成することができる。
【0121】
クロック信号の複数の遅延バージョンの例は、遅延デバイス1510-m、1510-(m-1)、および1510-(m-2)のうちの3つの遅延出力1518-m、1518-(m-1)、および1518-(m-2)が有効にされる例について図15Bに示される。図15Bは、高位相エクステンダ1250の信号入力1252におけるクロック信号(「hpe_in」とラベル付けされる)および高位相エクステンダ1250の出力1256におけるクロック信号(「hpe_out」とラベル付けされる)を示す。図15Bはまた、この例では、クロック信号の第1の遅延バージョン(「clk1」とラベル付けされる)、クロック信号の第2の遅延バージョン(「clk2」とラベル付けされる)、およびクロック信号の第3の遅延バージョン(「clk3」とラベル付けされる)を概念的に示す。クロック信号clk1、clk2、およびclk3の遅延バージョンは、説明を容易にするために、図15Bでは遅延回路1320の出力1326において別々に示される。実際には、クロック信号clk1、clk2、およびclk3の遅延バージョンの高位相は、遅延回路1320の出力1326において結合され(すなわち、マージされ)、図15Bに示される遅延出力信号(「D_out」とラベル付けされる)を形成する。
【0122】
この例では、クロック信号の第1の遅延バージョンclk1は、遅延デバイス1510-mの第1の信号入力1512-mに入るクロック信号から生成され、出力1326に到達するように遅延デバイス1510-mの時間遅延だけ遅延される。クロック信号の第2の遅延バージョンclk2は、遅延デバイス1510-(m-1)の第1の信号入力1512-(m-1)に入るクロック信号から生成され、出力1326に到達するように遅延デバイス1510-(m-1)および1510-mの時間遅延だけ遅延される。クロック信号の第3の遅延バージョンclk3は、遅延デバイス1510-(m-2)の第1の信号入力1512-(m-2)に入るクロック信号から生成され、出力1326に到達するように遅延デバイス1510-(m-2)、1510-(m-1)および1510-mの時間遅延だけ遅延される。クロック信号の複数の遅延バージョンclk1、clk2、およびclk3の高位相は、時間的に重複することに留意されたい。
【0123】
この例では、遅延回路1320の出力1326における遅延出力信号D_outは、ORゲート1330によって信号入力1252におけるクロック信号(「hpe_in」とラベル付けされる)とOR演算されて、大きな高位相拡張を有する出力1256におけるクロック信号(「hpe_out」とラベル付けされる)を生成する。この例では、クロックグリッチは、クロック信号の遅延バージョンが時間的に重複するように遅延デバイス1510-1~1510-mの各々の個々の時間遅延を入力クロック信号の高位相より小さくすることによって防止される。しかしながら、遅延回路1320は複数の遅延デバイス1510-1~1510-mを含むので、高位相エクステンダ1250は、グリッチを伴うことなく入力クロック信号の高位相よりも大きい高位相拡張を達成することができる。
【0124】
図16は、いくつかの態様による、遅延デバイス1510-1~1510-mの各々の例示的な実装形態を示す。この例では、遅延デバイス1510-1~1510-mの各々は、それぞれのORゲート1610-1~1610-mと、それぞれのANDゲート1620-1~1620-mと、それぞれの遅延バッファ1630-1~1630-mおよび1640-1~1640-mとを含む。遅延デバイス1510-1~1510-mの各々において、それぞれのORゲート1610-1~1610-mは、それぞれの第1の信号入力1512-1~1512-mに結合される第1の入力と、それぞれの第2の信号入力1514-1~1514-mに結合される第2の入力とを有する。遅延デバイス1510-1~1510-mの各々において、それぞれのANDゲート1620-1~1620-mは、それぞれのORゲート1610-1~1610-mの出力に結合される第1の入力と、それぞれの制御入力1516-1~1516-mに結合される第2の入力とを有する。遅延デバイス1510-1~1510-mの各々において、それぞれの遅延バッファ1630-1~1630-mおよび1640-1~1640-mは、それぞれのANDゲート1620-1~1620-mの出力とそれぞれの遅延出力1518-1~1518-mとの間に直列に結合される。
【0125】
この例では、遅延デバイス1510-1~1510-mの各々において、それぞれのORゲート1610-1~1610-mは、それぞれの第1の信号入力1512-1~1512-mにおける高位相およびそれぞれの第2の信号入力1514-1~1514-mにおける高位相を、それぞれのORゲート1610-1~1610-mの出力に渡す。遅延デバイス1510-1~1510-mの各々において、それぞれのANDゲート1620-1~1620-mは、それぞれの制御信号が1であるときにそれぞれの遅延出力を有効にし(すなわち、ANDゲートが高位相をそれぞれの遅延出力に渡す)、それぞれの制御信号が0であるときにそれぞれの遅延出力を無効にする(すなわち、ANDゲートが高位相をブロックし、0を出力する)。
【0126】
遅延デバイス1510-1~1510-mの各々は、例えば、遅延デバイス1510-1~1510-mの各々についての所望の遅延に応じて、図16の例に示される遅延バッファの数とは異なる数の遅延バッファを含み得ることを理解されたい。いくつかの実装形態では、遅延バッファ1630-1~1630-mおよび1640-1~1640-mは、例えば、ORゲート1610-1~1610-mの遅延およびANDゲート1620-1~1620-mの遅延がすでに遅延デバイス1510-1~1510-mの各々について所望の遅延を与えているとき、全て省略されてもよい。
【0127】
図15Aおよび図16に示される高位相エクステンダ1250の例示的な実装形態では、クロックグリッチを回避するために、個々の遅延デバイス(すなわち、1510-m、1510-(m-1)、・・・、1510-1)の時間遅延のみが入力クロック信号の高位相以下である必要があり、出力クロックの高位相は、有効にされた遅延デバイスからの時間遅延の累積によって拡張することができる。図15Aおよび図16の高位相エクステンダ1250の例示的な実装形態は、入力クロック信号の高位相よりも大きい出力クロック信号の高位相の拡張を可能にし、したがって、クロックグリッチを回避しつつ、より大きい範囲の高位相拡張を可能にする。
【0128】
デューティサイクル調整器1220は、高位相エクステンダ1250に限定されないことを理解されたい。これに関し、図17は、デューティサイクル調整器1220が、高位相エクステンダ1250の代わりに低位相エクステンダ1750を含む例を示している。この例では、低位相エクステンダは、第1のマルチプレクサ1240の出力1248に結合される信号入力1752と、第2の制御入力1228に結合される制御入力1754と、第2のマルチプレクサ1270の出力1756第1の入力1272とを有する。この例では、低位相エクステンダ1750は、制御入力1754を介して受信された位相制御信号に基づいて調整可能な量だけクロック信号の低位相を拡張するように構成される。
【0129】
デューティサイクル調整器1220に入力されるクロック信号入力のデューティサイクルを減少させるために、デューティサイクル制御回路330(図3に示される)は、第1のマルチプレクサ1240および第2のマルチプレクサ1270の各々に、第1の制御入力1226を介してそれぞれの第1の入力1242および1272を選択させる。この場合、第1のマルチプレクサ1240は、クロック信号を低位相エクステンダ1750の信号入力1752に渡す。次に、低位相エクステンダ1750は、第2の制御入力1228を介してデューティサイクル制御回路330から受信した位相制御信号に基づいて調整可能な量だけクロック信号の低位相を拡張する。クロック信号の低位相を拡張することによって、低位相エクステンダ1750は、クロック信号のデューティサイクルを減少させる。
【0130】
デューティサイクル調整器1220に入力されるクロック信号入力のデューティサイクルを増加させるために、デューティサイクル制御回路330(図3に示される)は、第1のマルチプレクサ1240および第2のマルチプレクサ1270の各々に、第1の制御入力1226を介してそれぞれの第2の入力1244および1274を選択させる。この場合、第1のインバータ1235はクロック信号を反転させ、第1のマルチプレクサ1240は、反転クロック信号を低位相エクステンダ1750に渡す。次に、低位相エクステンダ1750は、第2の制御入力1228を介してデューティサイクル制御回路330から受信した位相制御信号に基づいて調整可能な量だけ反転クロック信号の低位相を拡張する。この場合、反転クロック信号の低位相を延長することは、クロック信号の高位相を拡張することと等価であり、これは、クロック信号のデューティサイクルを増加させる。この例では、第2のインバータ1265は、クロック信号を取得するために、低位相拡張後に反転クロック信号を反転させ、第2のマルチプレクサ1270は、第2のインバータ1265からのクロック信号をデューティサイクル調整器1220の出力1224に渡す。
【0131】
一般に、デューティサイクル調整器1220は、第1のマルチプレクサ1240の出力1248と第2のマルチプレクサ1270の第1の入力1272との間に高位相エクステンダ(例えば、高位相エクステンダ1250)または低位相エクステンダ(例えば、低位相エクステンダ1750)を含み、第2の制御入力1228を介して受信された位相制御信号に基づいて、調整可能な量だけ高位相エクステンダがクロック信号の高位相を拡張するか、または低位相エクステンダがクロック信号の低位相を拡張する。
【0132】
図18は、いくつかの態様による、低位相エクステンダ1750の例示的な実装形態を示す。この例では、低位相エクステンダ1750は、ANDゲート1830と、遅延回路1820とを含む。ANDゲート1830は、第1の入力1832、第2の入力1834、および出力1836を有する。ANDゲート1830の第1の入力1832は、低位相エクステンダ1750の信号入力1752に結合され、遅延回路1820は、低位相エクステンダ1750の信号入力1752とANDゲート1830の第2の入力1834との間に結合され、ANDゲート1830の出力1836は、低位相エクステンダ1750の出力1756に結合される。ANDゲートは、NANDゲートとインバータとの組合せ、またはAND演算を実行することができる論理ゲートの任意の他の組合せで実装され得ることを理解されたい。
【0133】
この例では、遅延回路1820は、遅延線を形成するように直列に結合される複数の遅延デバイス1810-1~1810-mを含む。遅延デバイス1810-1~1810-mの各々は、それぞれの第1の信号入力1812-1~1812-m、それぞれの第2の信号入力1814-1~1814-m、それぞれの制御入力1816-1~1816-m、およびそれぞれの遅延出力1818-1~1818-mを有する。遅延デバイス1810-1の第1の信号入力1812-1は、低位相エクステンダ1750の信号入力1752に結合され、遅延デバイス1810-1の第2の信号入力1814-1は、ある(すなわち1つの)電源レールに結合される。遅延デバイス1810-1~1810-(m-1)の各々の遅延出力1818-1~1818-(m-1)は、遅延線における次の遅延デバイス1810-2~1810-mの第2の信号入力1814-2~1814-mに結合され、遅延デバイス1810-mの遅延出力1818-mは、遅延回路1820の出力1826に結合され、この出力1826はANDゲート1830の第2の入力1834に結合される。遅延デバイス1810-2~1810-mの各々の第1の信号入力1812-2~1812-mは、低位相エクステンダ1750の信号入力1752に結合される。
【0134】
遅延デバイス1810-1~1810-mの各々は、それぞれの制御入力1816-1~1816-mを介してそれぞれの制御信号(例えば、制御ビット)を受信するように構成される。この例では、低位相エクステンダ1750の制御入力1754は、複数の制御入力1754-1~1754-mを含み、複数の制御入力1754-1~1754-mの各々は、遅延デバイス1810-1~1810-mのうちのそれぞれ1つの制御入力1816-1~1816-mに結合される。
【0135】
この例では、遅延デバイス1810-1~1810-mの各々は、それぞれの制御信号に基づいてそれぞれの遅延出力1818-1~1818-mを有効にする、または無効にするように構成される。例えば、遅延デバイス1810-1~1810-mの各々は、それぞれの制御信号が第1の論理値を有するとき、それぞれの遅延出力1818-1~1818-mを有効にし、それぞれの制御信号が第2の論理値を有するとき、それぞれの遅延出力1818-1~1818-mを無効にするように構成され得る。第1の論理値は、0であってもよく、第2の論理値は、1であってもよく、またはその逆でもよい。
【0136】
遅延デバイス1810-1~1810-mの各々は、それぞれの遅延出力1818-1~1818-mが有効にされると、それぞれの第1の信号入力1812-1~1812-mにおける低位相(すなわち、論理0)をそれぞれの遅延出力1818-1~1818-mに渡し、それぞれの第2の信号入力1814-1~1814-mにおける低位相(すなわち、論理0)をそれぞれの遅延出力1818-1~1818-mに渡すように構成される。図18の例では、遅延デバイス1810-1の第2の信号入力1814-1は電源レールに結合される。遅延デバイス1810-1~1810-mの各々は、それぞれの遅延出力1818-1~1818-mが無効にされると、それぞれの第1の信号入力1812-1~1812-mにおける信号(すなわち、クロック信号)をブロックし、それぞれの第2の信号入力1814-2~1814-mにおける信号(すなわち、クロック信号)をブロックする(すなわち、ゲートする)ように構成される。この例では、遅延デバイス1810-1~1810-mの各々は、それぞれの遅延出力1818-1~1818-mが無効にされると、それぞれの遅延出力1818-1~1818-mにおいて静的論理値を出力し得る。静的論理値は1でもよいし、0であってもよい。
【0137】
この例では、デューティサイクル制御回路330(図3に示される)は、制御入力1754-1~1754-mを介して遅延出力1818-1~1818-mが有効にされた遅延デバイス1810-1~1810-mの数を制御することによって、低位相エクステンダ1750の低位相拡張を制御する。遅延出力1818-1~1818-mが有効にされた遅延デバイス1810-1~1810-mの数が多いほど、出力1756におけるクロック信号の低位相拡張が大きくなる。この例では、デューティサイクル制御回路330は、遅延デバイス1810-mの遅延出力1818-mから開始して、図18の右から左に、遅延デバイス1810-1~1810-m(遅延セグメントとも呼ばれる)の遅延出力1818-1~1818-mを有効にする。遅延出力1818-1~1818-mが有効にされた遅延デバイス1810-1~1810-mは、複数のバージョンのクロック信号の低位相が遅延回路1820の出力1826に結合される複数のバージョンのクロック信号を生成しており、低位相が拡張された遅延出力信号を与える。遅延出力1818-1~1818-mが有効にされた遅延デバイス1810-1~1810-mの数が多いほど、低位相拡張が大きくなる。遅延出力信号は、ANDゲート1830によって信号入力1752におけるクロック信号とAND演算されて、出力1756においてクロック信号を与える。
【0138】
図18は、いくつかの態様による、遅延デバイス1810-1~1810-mの各々の例示的な実装形態を示す。この例では、遅延デバイス1810-1~1810-mの各々は、それぞれのANDゲート1840-1~1840-mと、それぞれのORゲート1850-1~1850-mと、それぞれの遅延バッファ1860-1~1860-mおよび1870-1~1870-mとを含む。遅延デバイス1810-1~1810-mの各々において、それぞれのANDゲート1840-1~1840-mは、それぞれの第1の信号入力1812-1~1812-mに結合される第1の入力と、それぞれの第2の信号入力1814-1~1814-mに結合される第2の入力とを有する。遅延デバイス1810-1~1810-mの各々において、それぞれのORゲート1850-1~1850-mは、それぞれのANDゲート1840-1~1840-mの出力に結合される第1の入力と、それぞれの制御入力1816-1~1816-mに結合される第2の入力とを有する。遅延デバイス1810-1~1810-mの各々において、それぞれの遅延バッファ1860-1~1860-mおよび1870-1~1870-mは、それぞれのORゲート1850-1~1850-mの出力とそれぞれの遅延出力1818-1~1818-mとの間に直列に結合される。
【0139】
この例では、遅延デバイス1810-1~1810-mの各々において、それぞれのANDゲート1840-1~1840-mは、それぞれの第1の信号入力1812-1~1812-mにおける低位相およびそれぞれの第2の信号入力1814-1~1814-mにおける低位相を、それぞれのANDゲート1840-1~1840-mの出力に渡す。遅延デバイス1810-1~1810-mの各々において、それぞれのORゲート1850-1~1850-mは、それぞれの制御信号が0であるときにそれぞれの遅延出力を有効にし(すなわち、ORゲートが低位相をそれぞれの遅延出力に渡す)、それぞれの制御信号が1であるときにそれぞれの遅延出力を無効にする(すなわち、ORゲートが低位相をブロックし、1を出力する)。
【0140】
遅延デバイス1810-1~1810-mの各々は、例えば、遅延デバイス1810-1~1810-mの各々に対する所望の遅延に応じて、図18の例に示される遅延バッファの数とは異なる数の遅延バッファを含み得ることを理解されたい。
【0141】
図19は、クロック信号を測定する方法1900を示す。方法1900は、いくつかの態様によれば、タイミング測定回路510によって実行され得る。
【0142】
ブロック1910において、タイミング信号のエッジは、クロック信号の第1のエッジでローンチされる。例えば、タイミング信号のエッジは、ローンチ回路530によってローンチされ得る。クロック信号の第1のエッジは、クロック信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジとすることができる。
【0143】
ブロック1920において、キャプチャ信号のエッジは、クロック信号の第2のエッジで出力される。例えば、キャプチャ信号のエッジは、キャプチャ回路540によって出力され得る。クロック信号の第2のエッジは、クロック信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジとすることができる。
【0144】
ブロック1930において、タイミング信号のエッジおよびキャプチャ信号のエッジは、時間デジタル変換器(TDC)において受信される。TDCは、TDC560に相当し得る。
【0145】
ブロック1940において、タイミング信号のエッジがTDCにおいて受信される時間と、キャプチャ信号のエッジがTDCにおいて受信される時間との間である、時間遅延がTDCを使用して測定される。
【0146】
以下の番号付きの条項において、実装例について説明する。
1.
イネーブル入力、クロック入力、および出力を有するローンチ回路であって、イネーブル入力においてイネーブル信号を受信し、ローンチ回路のクロック入力においてクロック信号を受信し、イネーブル信号の受信に応答して、クロック信号の第1のエッジでローンチ回路の出力においてタイミング信号のエッジをローンチするように構成される、ローンチ回路と、
クロック入力および出力を有するキャプチャ回路であって、キャプチャ回路のクロック入力においてクロック信号を受信し、クロック信号の第2のエッジでキャプチャ回路の出力においてキャプチャ信号のエッジを出力するように構成される、キャプチャ回路と、
信号入力、キャプチャ入力、および出力を有する時間デジタル変換器(TDC)であって、TDCの信号入力が、ローンチ回路の出力に結合され、TDCのキャプチャ入力が、キャプチャ回路の出力に結合される、時間デジタル変換器(TDC)と、
を備える、タイミング測定回路。
【0147】
2.TDCが、
TDCの信号入力においてタイミング信号のエッジを受信し、
TDCのキャプチャ入力においてキャプチャ信号のエッジを受信し、
タイミング信号のエッジが受信される時間と、キャプチャ信号のエッジが受信される時間との間の時間遅延を測定し、
TDCの出力において、測定された時間遅延を示す信号を出力する
ように構成される、条項1に記載のタイミング測定回路。
【0148】
3.信号入力および出力を有する遅延回路であって、遅延回路の信号入力がローンチ回路の出力に結合され、遅延回路の出力がTDCの信号入力に結合される、遅延回路をさらに備える、条項1または2に記載のタイミング測定回路。
【0149】
4.遅延回路が、調整可能な時間遅延を有し、遅延回路が、
遅延回路の制御入力において遅延制御信号を受信し、
受信した遅延制御信号に基づいて、遅延回路の時間遅延を設定する、
ように構成される、条項3に記載のタイミング測定回路。
【0150】
5.TDCが、
信号入力、クロック入力、および出力を有するフリップフロップであって、フリップフロップの信号入力がTDCの信号入力に結合され、フリップフロップのクロック入力がTDCのキャプチャ入力に結合され、フリップフロップの出力がTDCの出力に結合される、フリップフロップ
を備える、条項4に記載のタイミング測定回路。
【0151】
6.TDCが、
TDCの信号入力に結合される遅延線であって、直列に結合される遅延バッファを含む、遅延線と、
フリップフロップであって、フリップフロップの各々が、それぞれの信号入力と、それぞれのクロック入力と、それぞれの出力と、を有し、フリップフロップの各々の信号入力が、遅延バッファのうちのそれぞれ1つの出力に結合され、フリップフロップの各々のクロック入力が、TDCのキャプチャ入力に結合される、フリップフロップと、
を備える、条項1~4のいずれか一項に記載のタイミング測定回路。
【0152】
7.ローンチ回路が、エッジ選択信号を受信するように構成される制御入力を有し、ローンチ回路が、
エッジ選択信号が第1の論理値を有する場合、クロック信号の第1のエッジのためにクロック信号の立ち上がりエッジを選択し、
エッジ選択信号が第2の論理値を有する場合、クロック信号の第1のエッジのためにクロック信号の立ち下がりエッジを選択する、
ように構成される、条項1~6のいずれか一項に記載のタイミング測定回路。
【0153】
8.ローンチ回路が、
第1の入力、第2の入力、選択入力、および出力を有するマルチプレクサであって、第1の入力がローンチ回路のクロック入力に結合さており、選択入力がローンチ回路の制御入力に結合される、マルチプレクサと、
ローンチ回路のクロック入力とマルチプレクサの第2の入力との間に結合される、インバータと、
信号入力、クロック入力、および出力を有するローンチフリップフロップであって、ローンチフリップフロップの信号入力がローンチ回路のイネーブル入力に結合され、ローンチフリップフロップのクロック入力がマルチプレクサの出力に結合され、ローンチフリップフロップの出力がローンチ回路の出力に結合される、ローンチフリップフロップと、
を備える、条項7に記載のタイミング測定回路。
【0154】
9.ローンチ回路が、
信号入力、クロック入力、および出力を有する第1のフリップフロップであって、第1のフリップフロップの信号入力がローンチ回路のイネーブル入力に結合され、第1のフリップフロップのクロック入力がローンチ回路のクロック入力に結合される、第1のフリップフロップと、
信号入力、クロック入力、および出力を有する第2のフリップフロップであって、第2のフリップフロップの信号入力が第1のフリップフロップの出力に結合され、第2のフリップフロップのクロック入力がマルチプレクサの出力に結合され、第2のフリップフロップの出力がローンチフリップフロップの信号入力に結合される、第2のフリップフロップと、
をさらに備える、条項8に記載のタイミング測定回路。
【0155】
10.キャプチャ回路が、エッジ選択信号を受信するように構成される制御入力を有し、キャプチャ回路が、
エッジ選択信号が第1の論理値を有する場合、クロック信号の第2のエッジのためにクロック信号の立ち上がりエッジを選択し、
エッジ選択信号が第2の論理値を有する場合、クロック信号の第2のエッジのためにクロック信号の立ち下がりエッジを選択する、
ように構成される、条項1~9のいずれか一項に記載のタイミング測定回路。
【0156】
11.キャプチャ回路が、
第1の入力、第2の入力、選択入力、および出力を有するマルチプレクサであって、第1の入力がキャプチャ回路のクロック入力に結合され、選択入力がキャプチャ回路の制御入力に結合される、マルチプレクサと、
キャプチャ回路のクロック入力とマルチプレクサの第2の入力との間に結合される、インバータと、
マルチプレクサの出力とキャプチャ回路の出力との間に結合されるクロックゲーティング回路と、
を備える、条項10に記載のタイミング測定回路。
【0157】
12.クロック信号の第1のエッジが立ち上がりエッジであり、クロック信号の第2のエッジが立ち下がりエッジである、条項1~11のいずれか一項に記載のタイミング測定回路。
【0158】
13.クロック信号の第1のエッジが立ち下がりエッジであり、クロック信号の第2のエッジが立ち上がりエッジである、条項1~11のいずれか一項に記載のタイミング測定回路。
【0159】
14.クロック信号を測定する方法であって、
クロック信号の第1のエッジでタイミング信号のエッジをローンチすることと、
クロック信号の第2のエッジでキャプチャ信号のエッジを出力することと、
時間デジタル変換器(TDC)においてタイミング信号のエッジおよびキャプチャ信号のエッジを受信することと、
タイミング信号のエッジがTDCにおいて受信される時間と、キャプチャ信号のエッジがTDCにおいて受信される時間との間である、時間遅延をTDCを使用して測定することと、
を含む、方法。
【0160】
15.クロック信号の第1のエッジが立ち上がりエッジであり、クロック信号の第2のエッジが立ち下がりエッジであり、方法が、
測定された時間遅延に基づいてクロック信号の高位相を決定すること
をさらに含む、条項14に記載の方法。
【0161】
16.
タイミングのエッジがTDCにおいて受信される前に、遅延回路を通してタイミング信号のエッジを伝搬させること
をさらに含む、条項15に記載の方法であって、
クロック信号の高位相を決定することが、遅延回路の時間遅延にも基づいてクロック信号の高位相を決定することを含む、条項15に記載の方法。
【0162】
17.クロック信号の第1のエッジが立ち下がりであり、クロック信号の第2のエッジが立ち上がりエッジであり、方法が、
測定された時間遅延に基づいてクロック信号の低位相を決定すること
をさらに含む、条項14に記載の方法。
【0163】
18.
タイミングのエッジがTDCにおいて受信される前に、遅延回路を通してタイミング信号のエッジを伝搬させること
をさらに含む、条項17に記載の方法であって、
クロック信号の低位相を決定することが、遅延回路の時間遅延にも基づいてクロック信号の低位相を決定することを含む、
条項17に記載の方法。
【0164】
本開示は、本開示の諸態様を説明するために上記で使用される、例示的な用語法に限定されるものではない点を理解されたい。例えば、クロック生成器は、クロックソース、クロックシンセサイザ、または別の用語で呼ばれることもある。別の例では、遅延バッファは、遅延要素、遅延ユニット、または別の用語で呼ばれることもある。別の例では、タイミング測定回路は、デューティサイクル測定回路、デューティサイクル検出器、または別の用語で呼ばれることもある。フリップフロップの信号入力は、データ入力(例えば、D入力)または別の用語で呼ばれることもある。クロック信号のために使用される信号経路は、クロック経路とも呼ばれることもある。また、信号のエッジをローンチすることは、信号のエッジを出力することと呼ばれることもある。
【0165】
デューティサイクル制御回路330および測定制御回路520はそれぞれ、本明細書で説明される機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ハードウェア構成要素(例えば、論理ゲート)、ステートマシン、またはそれらの任意の組合せを用いて実装することができる。本明細書で説明される機能は、それらの機能を実行するためのコードを含むソフトウェアをプロセッサが実行することによって、実行することができる。このソフトウェアは、RAM、ROM、EEPROM、光ディスク、および/または磁気ディスクなどの、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶させることができる。
【0166】
本開示の範囲内で、「例示的」という語は、「実施例、実例、または例示としての役割を果たすこと」を意味するために使用される。「例示的」として本明細書で説明される、いずれの実装形態または態様も、必ずしも本開示の他の態様よりも好ましいかまたは有利であるとして解釈されるべきではない。同様に、「態様」という用語は、本開示の全ての態様が、説明した特徴、利点、または動作モードを含むことを必要とするとは限らない。「結合される」という用語は、本明細書では、2つの構造体間の、直接的または間接的な電気的結合を指すために使用される。
【0167】
本開示の上記の説明は、本開示をあらゆる当業者が作製または使用することを可能にするために提供される。本開示に対する様々な修正が、当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の変形例に適用することができる。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される実施例に限定されることを意図するものではなく、本明細書で開示される原理および新規の特徴と一致する、最も広い範囲が与えられるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
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図18
図19