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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】浮遊入力検出
(51)【国際特許分類】
   H03K 5/19 20060101AFI20241204BHJP
   H03F 3/34 20060101ALN20241204BHJP
【FI】
H03K5/19 L
H03F3/34
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020552245
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019024500
(87)【国際公開番号】W WO2019191377
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】201841011581
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】16/124,261
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ディリープ クマール アール
(72)【発明者】
【氏名】スリハリ ヴァルマ ダトラ
(72)【発明者】
【氏名】ディパンカール マンダル
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05418453(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0158324(US,A1)
【文献】特開2013-153246(JP,A)
【文献】特開2017-076960(JP,A)
【文献】特開2004-336510(JP,A)
【文献】特開2011-205320(JP,A)
【文献】特開2014-020827(JP,A)
【文献】特開昭63-234756(JP,A)
【文献】国際公開第2013/129646(WO,A1)
【文献】米国特許第09846569(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 5/19
H03M 1/00-1/88
H03F 1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ取得システムであって、
信号入力端子、
アナログ-デジタルコンバータ(ADC)、
前記ADC及び前記信号入力端子に結合されるアナログフロントエンド(AFE)回路、並びに、
前記AFE回路に結合される浮遊入力検出回路要素、
を含み、
前記AFE回路が、
プログラマブル利得増幅器、及び、
前記プログラマブル利得増幅器に結合される共通モード増幅器を含み、
前記共通モード増幅器が、前記プログラマブル利得増幅器の非反転入力に結合される第1の入力、前記プログラマブル利得増幅器の反転入力に結合される第2の入力、共通モード入力電圧を受け取るための第3の入力、並びに、前記プログラマブル利得増幅器の前記非反転入力及び前記反転入力に結合される出力を含み、
前記共通モード増幅器の出力が、浮遊入力の検出のために前記浮遊入力検出回路要素に提供され、前記共通モード入力電圧は、前記共通モード増幅器の利得を評価するために前記浮遊入力検出回路要素によって変更可能である、データ取得システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ取得システムであって、前記浮遊入力検出回路要素が粗検出回路要素を含み、前記粗検出回路要素が、
前記共通モード増幅器の前記出力において提供される信号を第1の閾値電圧と比較するように構成される第1のコンパレータ、及び、
前記共通モード増幅器の前記出力において提供される前記信号を第2の閾値電圧と比較するように構成される第2のコンパレータ、
を含み、
前記浮遊入力検出回路要素が、
前記共通モード増幅器の前記出力において提供される前記信号の振幅が前記第1の閾値電圧より大きいことを前記第1のコンパレータの出力が示すこと、又は、
前記共通モード増幅器の前記出力において提供される前記信号の振幅が前記第2の閾値電圧より小さいことを前記第2のコンパレータの出力が示すこと、
に基づいて、前記信号入力端子が浮遊していないことを見いだすように構成される、
データ取得システム。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ取得システムであって、前記浮遊入力検出回路要素が、前記第1のコンパレータ及び前記第2のコンパレータに結合されるデジタル-アナログコンバータを含み、前記デジタル-アナログコンバータが、前記第1の閾値電圧及び前記第2の閾値電圧を生成するように構成される、データ取得システム。
【請求項4】
請求項3に記載のデータ取得システムであって、前記デジタル-アナログコンバータが、前記共通モード増幅器に結合されており、前記共通モード入力電圧を生成するように構成される、データ取得システム。
【請求項5】
請求項2に記載のデータ取得システムであって、
前記浮遊入力検出回路要素が、前記信号入力端子が浮遊しているかどうかを判定するように構成される微細検出回路要素を含み、
前記粗検出回路要素が、前記共通モード増幅器の前記出力において提供される前記信号の前記振幅が、前記第1の閾値電圧より小さく、前記第2の閾値電圧より大きいことを判定することに応答して、前記浮遊入力検出回路要素が前記微細検出回路要素を起動するように構成される、
データ取得システム。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ取得システムであって、前記共通モード入力電圧における変化を関数とした、前記共通モード増幅器の前記出力において提供される前記信号の前記振幅における変化に基づいて、前記微細検出回路要素が、前記信号入力端子が浮遊しているかどうかを判定するように構成される、データ取得システム。
【請求項7】
請求項5に記載のデータ取得システムであって、前記微細検出回路要素が、
複数の基準電圧の一つを選択的に提供するように構成される基準電圧スイッチング回路要素、
容量性デジタル-アナログコンバータ(CDAC)であって、
前記共通モード増幅器の前記出力に結合される底部プレートを含む第1のコンデンサ、及び
前記基準電圧スイッチング回路要素に結合される底部プレートと、前記第1のコンデンサの頂部プレートに結合される頂部プレートとを含む第2のコンデンサ、
を含む、前記CDAC、
前記第1のコンデンサの前記頂部プレート及び前記第2のコンデンサの前記頂部プレート上の電圧を接地と比較するように構成される微細コンパレータ、並びに、
前記第1のコンデンサの前記頂部プレート及び前記第2のコンデンサの前記頂部プレートを選択的に接地させるように構成されるスイッチ、
を含む、
データ取得システム。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ取得システムであって、さらに制御回路要素を含み、前記制御回路要素が、
前記共通モード入力電圧を変更して前記共通モード増幅器の前記出力を変更することによって、及び、前記共通モード入力電圧が増加しているかどうかに基づいて前記基準電圧の一つを選択して前記CDACに提供することによって、前記共通モード増幅器を含む共通モード増幅器段の利得を評価し、並びに、
前記共通モード増幅器段の前記利得に基づいて、前記信号入力端子が浮遊しているかどうかを判定する、
ように構成される、
データ取得システム。
【請求項9】
請求項8に記載のデータ取得システムであって、前記制御回路要素が、前記共通モード入力電圧を疑似ランダム的に変更するように構成される、データ取得システム。
【請求項10】
信号入力端子の浮遊を検出するための方法であって、
共通モード入力電圧を、前記信号入力端子に結合される第1の増幅器に提供すること、
第1の増幅器によって生成される出力信号を、前記信号入力端子に結合される第2の増幅器の非反転入力、前記第2の増幅器の反転入力、粗検出回路要素および微細検出回路要素に提供すること、
前記粗検出回路要素によって、前記出力信号を第1の閾値電圧と比較すること、並びに、
前記出力信号が前記第1の閾値電圧より大きいことを前記比較が示すことに応答して、前記信号入力端子を浮遊していないと判定すること、
前記粗検出回路要素によって、前記出力信号を第2の閾値電圧と比較すること、
前記出力信号が前記第2の閾値電圧より小さいことを前記比較が示すことに応答して、前記信号入力端子を浮遊していないと判定すること、
前記微細検出回路要素によって、前記出力信号が前記第1の閾値電圧より大きくないか又は前記第2の閾値電圧より小さくないとき、前記共通モード入力電圧を変更して前記第1の増幅器の利得を評価すること、
前記微細検出回路要素によって、前記第1の増幅器の利得に基づき前記信号入力端子が浮遊しているか否かを判定すること、を含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記信号入力端子を浮遊していないと判定しないことに応答して、前記微細検出回路要素によって、容量性デジタル-アナログコンバータの第1のコンデンサ上で前記出力信号のサンプルを取得すること、及び、前記微細検出回路要素によって、前記容量性デジタル-アナログコンバータの第2のコンデンサ上で第1の基準電圧のサンプルを取得すること、並びに前記第1のコンデンサおよび前記第2のコンデンサによってサンプルされた電圧に基づき前記信号入力端子が浮遊しているか否かを判定することを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、さらに、
前記第1のコンデンサの底部プレート上の前記出力信号を変更するために、前記第1の増幅器に提供される前記共通モード入力電圧を変更すること、及び、
第2の基準電圧を前記第2のコンデンサに印加すること、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、さらに、前記第1のコンデンサの頂部プレート及び前記第2のコンデンサの頂部プレート上の電圧を接地電圧と比較することを含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、さらに、
前記第1のコンデンサの前記頂部プレート及び前記第2のコンデンサの前記頂部プレート上の前記電圧が前記接地電圧より高いことに応答して、前記信号入力端子を浮遊していないと判定すること、並びに、
前記第1のコンデンサの前記頂部プレート及び前記第2のコンデンサの前記頂部プレート上の前記電圧が前記接地電圧より高くないことに応答して、浮遊表示を設定すること、
を含む、方法。
【請求項15】
浮遊入力を検出するための回路であって、
信号入力端子、
基準端子、
前記基準端子に結合される反転入力と、前記信号入力端子に結合される非反転入力とを含む第1の増幅器、
第1の入力と、第2の入力と、第3の入力と、出力とを含む第2の増幅器であって、前記第1の増幅器の非反転出力及び反転出力が、前記第1の入力又は前記第2の入力に結合されており、前記第3の入力が共通モード入力端子に結合され、前記出力が、前記第1の増幅器の前記反転入力及び前記第1の増幅器の前記非反転入力に結合される、前記第2の増幅器、並びに、
浮遊入力検出回路要素、
を含み、
前記浮遊入力検出回路要素が、
前記第2の増幅器の前記共通モード入力端子に結合される第1の出力を含むデジタル-アナログコンバータ、
前記第2の増幅器の前記出力に結合される第1の入力と、前記デジタル-アナログコンバータの第2の出力に結合される第2の入力とを含む第1のコンパレータ、
前記第2の増幅器の前記出力に結合される第1の入力と、前記デジタル-アナログコンバータの第3の出力に結合される第2の入力とを含む第2のコンパレータ、及び、
前記第1のコンパレータの出力に結合される第1の入力と、前記第2のコンパレータの出力に結合される第2の入力と、前記デジタル-アナログコンバータの入力に結合される第1の出力と、前記信号入力端子が浮遊しているかどうかを示すための第2の出力とを含み、当該第1の出力を介して前記デジタル-アナログコンバータの第1の出力に結合された前記共通モード入力端子の電圧を制御する、制御回路要素、
を含む、
回路。
【請求項16】
請求項15に記載の回路であって、前記浮遊入力検出回路要素がさらに容量性デジタル-アナログコンバータを含み、前記容量性デジタル-アナログコンバータが、
前記第2の増幅器の前記出力に結合される底部プレートを含む第1のコンデンサ、及び、
前記第1のコンデンサの頂部プレートに結合される頂部プレートを含む第2のコンデンサを含み、
前記浮遊入力検出回路要素が前記第1のコンデンサおよび前記第2のコンデンサによってサンプルされた電圧に基づき前記信号入力端子が浮遊しているか否かを判定する、回路。
【請求項17】
請求項16に記載の回路であって、さらに、
前記第2のコンデンサの底部プレートに結合される第1の端子と、第1の基準電圧源に結合される第2の端子とを含む第1のスイッチ、及び、
前記第2のコンデンサの前記底部プレートに結合される第1の端子と、第2の基準電圧源に結合される第2の端子とを含む第2のスイッチ、
を含む、回路。
【請求項18】
請求項16に記載の回路であって、さらに、
前記第1のコンデンサの前記頂部プレート及び前記第2のコンデンサの前記頂部プレートに結合される第1の端子と、接地に結合される第2の端子とを含むスイッチ、
を含む、回路。
【請求項19】
請求項16に記載の回路であって、さらに微細コンパレータを含み、前記微細コンパレータが、
前記第1のコンデンサの前記頂部プレート及び前記第2のコンデンサの前記頂部プレートに結合される第1の入力、
接地に結合される第2の入力、並びに、
前記制御回路要素の第3の入力に結合される出力、
を含む、回路。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電子デバイスにおいて、浮遊入力端子とは、信号が印加されない入力端子であり、例えば、ソース又はシンク(例えば、電圧源、電流源、抵抗器等)が接続されない入力端子である。浮遊入力端子は、その入力端子から、駆動回路要素における故障状態又は駆動回路要素の意図的でない切断を示し得る。また、浮遊入力端子は、電子デバイスにおいて望ましくない影響をもたらし得る。例えば、浮遊入力端子は、電子デバイスの入力回路要素における過度の電流フローの原因となり得る。
【発明の概要】
【0002】
浮遊入力端子を検出するための方法及び回路要素、並びにそのような回路要素を用いるデータ取得システムが本願において説明される。一例において、データ取得システムが、信号入力端子、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)、アナログフロントエンド(AFE)回路、及び浮遊入力検出回路要素を含む。AFE回路は、ADC及び信号入力端子に結合される。AFE回路は、プログラマブル利得増幅器及び共通モード増幅器を含む。共通モード増幅器は、プログラマブル利得増幅器に結合される。共通モード増幅器は、第1の入力、第2の入力、第3の入力、及び出力を含む。第1の入力は、プログラマブル利得増幅器の非反転入力に結合される。第2の入力は、プログラマブル利得増幅器の反転入力に結合される。第3の入力は、共通モード入力電圧を受け取るためのものである。出力は、プログラマブル利得増幅器の非反転入力及び反転入力に結合される。浮遊入力検出回路要素はAFE回路に結合される。
【0003】
別の例において、浮遊信号入力端子を検出するための方法が、共通モード入力電圧を、信号入力端子に結合される第1の増幅器に提供すること、並びに、第1の増幅器によって生成される出力信号を、入力端子に結合される第2の増幅器の非反転入力と、第2の増幅器の反転入力と、粗検出回路要素と、微細浮遊検出回路要素とに提供することを含む。また、この方法は、粗検出回路要素によって、出力信号を第1の閾値電圧と比較すること、及び、この比較が出力信号が第1の閾値電圧より大きいことを示すことに応答して、信号入力端子を浮遊していないと判定することを含む。
【0004】
更なる例において、浮遊入力を検出するための回路が、信号入力端子、基準端子、第1の増幅器、第2の増幅器、及び浮遊検出回路要素を含む。第1の増幅器は、基準端子に結合される反転入力、及び信号入力端子に結合される非反転入力を含む。第2の増幅器は、第1の入力、第2の入力、及び出力を含む。第1の増幅器の非反転出力及び反転出力が、第1の入力又は第2の入力に結合される。第2の増幅器の出力は、第1の増幅器の反転入力、及び第1の増幅器の非反転入力に結合される。浮遊検出回路要素は、デジタル-アナログコンバータ、第1のコンパレータ、第2のコンパレータ、及び制御回路要素を含む。デジタル-アナログコンバータは、第1の増幅器又は第2の増幅器の一方に結合される第1の出力を含む。第1のコンパレータは、第1の入力及び第2の入力を含む。第1の入力は、第2の増幅器の出力に結合される。第2の入力は、デジタル-アナログコンバータの第2の出力に結合される。第2のコンパレータは、第1の入力及び第2の入力を含む。第1の入力は、第2の増幅器の出力に結合される。第2の入力は、デジタル-アナログコンバータの第3の出力に結合される。制御回路要素は、第1の入力、第2の入力、第1の出力、及び第2の出力を含む。第1の入力は、第1のコンパレータの出力に結合される。第2の入力は、第2のコンパレータの出力に結合される。第1の出力は、デジタル-アナログコンバータの入力に結合される。第2の出力は、入力端子が浮遊しているかどうかを示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本記載に従った、浮遊入力検出を含むデータ取得システムの一例のブロック図を示す。
【0006】
図2】本記載に従った、浮遊入力の検出において用いるために適したアナログフロントエンド(AFE)回路の一例の概略図を示す。
【0007】
図3図2のAFE回路の一部に対応する共通モード等価回路の一例を示す。
【0008】
図4】本記載に従った、浮遊入力検出回路要素の一例のためのブロック図を示す。
【0009】
図5】本記載に従った粗浮遊検出の一例の図を示す。
【0010】
図6】本記載に従った微細浮遊検出の一例の図を示す。
【0011】
図7】本記載に従った浮遊入力検出のための方法のフローチャートを示す。
【0012】
図8】本記載に従った、浮遊入力の検出において用いるために適したAFE回路の第2の例の概略図を示す。
【0013】
図9】本記載に従った、浮遊入力の検出において用いるために適したAFE回路の第3の例の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本記載において、「結合する」という用語は、間接的或いは直接的な接続を意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、そうした接続は、直接的接続を介するもの、又は、他のデバイス及び接続を介した間接的接続を介するものであり得る。また、本記載において、「~に基づく」という記載は、「~の少なくとも一部に基づく」を意味する。それゆえ、XがYに基づく場合、Xは、Y及び任意の数のその他の要因の関数であり得る。
【0015】
浮遊入力は、望ましくない影響をもたらすことがあり、及び/又は、入力を駆動する回路要素の動作不良を示すことがあるので、浮遊入力端子の検出が望ましい。浮遊入力検出の種々の技法が実装されてきている。いくつかの実装は、入力端子にタップする検出回路要素を付加する。これが、入力端子インピーダンスに影響を及ぼす恐れがあり、入力信号が高電圧である場合、高電圧処理構成要素を用いることを必要とし得る。他の実装は、入力端子における信号の挙動を、その信号のデジタルサンプルを介して、長い時間期間にわたって監視し、これが検出を遅くする。いくつかのシステムは、或る時間の間、浮遊検出のために通常回路動作を停止させる専用の検出サイクルを実装する。
【0016】
本願において説明される浮遊入力検出回路及び方法は、端子インピーダンスに影響を及ぼすことなく、専用の検出サイクルを必要とすることなく、及び、高電圧処理構成要素を用いることなく、浮遊入力端子を敏速に検出する。浮遊入力検出回路要素の実装が、入力端子に結合されるアナログフロントエンド(AFE)における共通モード増幅器段の利得を監視する。共通モード増幅器段の利得は、入力端子が浮遊しているか否かの関数である。実装は、共通モード入力電圧を変えることによって、共通モード増幅器段利得を試験する。共通モード入力電圧はAFEにおいて拒否され、それゆえ、入力が浮遊しているかどうかを判定するために共通モード入力電圧を変えることは、AFEの性能にほとんど又は全く影響がない。
【0017】
図1は、本記載に従った、浮遊入力検出を含むデータ取得システム100の一例のブロック図を示す。データ取得システム100は、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)102、電圧基準回路104、一つ又は複数のAFE回路106、及び浮遊入力検出回路要素108を含む。データ取得システム100のいくつかの実装が、アナログマルチプレクサ110及びデジタルインターフェース回路要素112を含む。ADC102は、逐次比較レジスタ(SAR)ADC、又はアナログ信号をデジタル化するために適したその他のタイプのADCである。デジタルインターフェース回路要素112は、ADC102によって生成されるデジタル信号値を、データ取得システム100の外部の回路要素に伝送することを提供する。例えば、いくつかの実装において、デジタルインターフェース回路要素112は、シリアル周辺インターフェース又はインターインテグレーテッド(inter-integrated)回路インターフェースを実装する。電圧基準回路104は、アナログ信号をデジタル化するためにADC102が用いる基準電圧を生成する。アナログマルチプレクサ110は、アナログ信号を、AFE回路106の一つからADC102に選択的に経由させる。例えば、いくつかの実装において、外部回路要素からデジタルインターフェース回路要素112を介して受け取られる選択値が、AFE回路106からADC102へのアナログ信号の配路を制御する。
【0018】
AFE回路106は、ADC102によるデジタル化のため、受け取った入力信号を条件付ける。各AFE回路106は、信号入力端子114及び基準入力端子116に結合される。いくつかの実装において、基準入力端子116は、接地電圧をデータ取得システム100に接続する。信号入力端子114は、デジタル化されるべき入力信号をデータ取得システム100に接続する。AFE回路106は、デジタル化のため、信号入力端子114において受け取った入力信号を処理するための回路要素を含む。例えば、AFE回路106は、利得を入力信号に印加するための増幅器を含む。また、AFE回路106は、信号入力端子114が浮遊しているかどうかの検出に用いられる回路要素を含む。浮遊入力検出回路要素108は、AFE回路106に結合され、信号入力端子114が浮遊しているかどうかを判定するために、AFE回路106の回路要素を用いる。
【0019】
図2は、AFE回路200の概略図を示す。AFE回路200は、AFE回路106の一実装である。AFE回路200は、共通モードループにおいて接続されるプログラマブル利得増幅器202及び共通モード増幅器204を含む。プログラマブル利得増幅器202は差動増幅器であり、非反転出力218、非反転入力222、反転出力216、反転入力220、及び共通モード入力214を有する。共通モード入力214は、プログラマブル利得増幅器202の反転出力216及び非反転出力218において生成される出力信号に印加するための共通モード出力電圧を受け取るためのものである。共通モード増幅器204は、非反転入力228、反転入力224、反転入力226、及び出力230を含む。プログラマブル利得増幅器202の反転出力216は、第1の可変抵抗器206を介して、プログラマブル利得増幅器202の非反転入力222及び共通モード増幅器204の反転入力224に結合される。プログラマブル利得増幅器202の非反転出力218は、第2の可変抵抗器206を介して、プログラマブル利得増幅器202の反転入力220及び共通モード増幅器204の反転入力226に結合される。可変抵抗器206の抵抗は、プログラマブル利得増幅器202の利得を制御するために可変である。
【0020】
AFE回路200は、信号入力端子234及び基準入力端子232を含む。信号入力端子234は信号入力端子114の一例であり、基準入力端子232は基準入力端子116の一例である。信号入力端子234は、第1の入力抵抗器210を介して、共通モード増幅器204の反転入力224及びプログラマブル利得増幅器202の非反転入力222に結合される。基準入力端子232は、第2の入力抵抗器210を介して、共通モード増幅器204の反転入力226及びプログラマブル利得増幅器202の反転入力220に結合される。AFE回路200のいくつかの実装において、抵抗器210は約1メグオームの抵抗を有する。AFE回路200の他の実装において、抵抗器210は異なる抵抗値を有する。
【0021】
AFE回路200の共通モード入力電圧端子212は、共通モード増幅器204の非反転入力228に接続される。共通モード入力電圧端子212は、入力共通モード電圧を受けるためのものである。共通モード増幅器204は、入力共通モード電圧と、反転入力224及び反転入力226において受け取った信号の平均との差を増幅する。反転入力224及び反転入力226において受け取った信号の平均は、共通モードフィードバックループによって入力共通モード電圧に等しく設定される。共通モード増幅器204の出力230は、抵抗器208によってプログラマブル利得増幅器202の非反転入力222、及び、抵抗器208によってプログラマブル利得増幅器202の反転入力220に結合される。共通モード増幅器204の出力230は、信号入力端子234が浮遊しているかどうかの検出において用いるための浮遊入力検出回路要素108にも提供される。出力230上の、共通モード増幅器204によって提供される信号は、共通モードであり、プログラマブル利得増幅器202によって拒否される。
【0022】
図3は、AFE回路200の一部(共通モード増幅器段)と等価の例示の回路を示す。等価回路300は、増幅器304、一対の抵抗器310、抵抗器306、抵抗器308、信号入力端子334、基準入力端子332、入力共通モード端子312、及び出力共通モード端子314を含む。入力共通モード端子312は、増幅器304の非反転入力328に接続される。抵抗器308は、増幅器304の出力信号入力端子334を、増幅器304の反転入力324に結合する。抵抗器308は、抵抗器208の抵抗の2分の1の抵抗を有する。抵抗器306は、出力共通モード端子314を増幅器304の反転入力324に結合する。抵抗器306は、可変抵抗器206の抵抗の2分の1の抵抗を有する。抵抗器310の第1のインスタンスが、信号入力端子334を増幅器304の反転入力324に結合する。抵抗器310の第2のインスタンスが、基準入力端子332を増幅器304の反転入力端子324に結合する。抵抗器310は抵抗器210と同じ抵抗を有する。増幅器304の出力330における信号は、増幅器204の出力230における信号と同じである。
【0023】
等価回路300の利得は、信号入力端子234の状態と共に変化する。等価回路300の分析に基づくと、信号入力端子234が駆動される場合、等価回路300の利得は、
であり、ここで、
は、信号入力端子234が駆動されるときの等価回路300の利得であり、
は、増幅器204の出力であり、
INCMは、入力共通モード端子212において受け取られた入力共通モード電圧であり、
CMは、抵抗器208の抵抗であり、
FBは、抵抗器206のコンダクタンスであり、
INは、抵抗器210のコンダクタンスである。
【0024】
信号入力端子234が浮遊している場合、等価回路300の利得は、
であり、ここで、Gは、信号入力端子234が浮遊しているときの等価回路300の利得である。
【0025】
データ取得システム100の実装が、信号入力端子114が浮遊しているかどうかを判定するために、等価回路300の利得(すなわち、VINCMからVへの利得)を評価する。データ取得システム100は、入力共通モード電圧VINCM(ΔVINCM)における変化に応答して生成される出力電圧V(ΔV)における変化を閾値電圧と比較することによって、電圧ドメインにおける等価回路300の利得を評価する。閾値電圧(ΔVTH)は、VINCMにおける変化及び利得閾値の積(VINCM×G)であり、ここで、Gは、
である。ΔVとΔVTHとの比較は本願において微細浮遊検出と呼ばれ、これはさらに後述される。
【0026】
図4は、本記載に従った浮遊入力検出回路要素400の一例のブロック図を示す。浮遊入力検出回路要素400は、浮遊入力検出回路要素108の一実装である。浮遊入力検出回路要素400は、粗検出回路要素428及び微細検出回路要素430を含む。粗検出回路要素428は、デジタル-アナログコンバータ(DAC)402、粗コンパレータ回路要素404、及び制御回路要素418を含む。微細検出回路要素430は、DAC402、容量性デジタル-アナログコンバータ(CDAC)406、微細コンパレータ408、基準電圧スイッチング回路要素444、頂部プレートスイッチ434、及び制御回路要素418を含む。基準電圧スイッチング回路要素444は、基準スイッチ414及び基準スイッチ416を含む。基準スイッチ414は、コンデンサ438の底部プレート438Bに結合される第1の端子414Aと、第1の基準電圧源446に結合される第2の端子414Bとを含む。基準スイッチ416は、コンデンサ438の底部プレート438Bに結合される第1の端子416Aと、第2の基準電圧源448に結合される第2の端子416Bとを含む。頂部プレートスイッチ434は、コンデンサ436の頂部プレート436T及びコンデンサ438の頂部プレート438Tに結合される第1の端子434Aと、接地に結合される第2の端子434Bとを含む。微細コンパレータ408は、コンデンサ436の頂部プレート436T及びコンデンサ438の頂部プレート438Tに結合される第1の入力408Aと、接地に結合される第2の入力408Bと、制御回路要素418の入力418Eに結合される出力408Cとを含む。制御回路要素418は、DAC402、粗コンパレータ回路要素404、基準スイッチ414、基準スイッチ416、頂部プレートスイッチ434、及び微細コンパレータ408に結合され、これらの動作を制御する。制御回路要素418は、DAC402の入力402Dに結合される出力418Cと、信号入力端子114が浮遊しているかどうかを示す出力418Dとを含む。
【0027】
浮遊入力検出回路要素400の種々の実装において、DAC402は、抵抗性DAC、容量性DAC、電流DAC、又はその他のタイプのDACである。DAC402の出力は、AFE回路200及び粗コンパレータ回路要素404に接続される。DAC402は、AFE回路200に提供される共通モード入力電圧420を生成する。DAC402の出力402Aが、プログラマブル利得増幅器202又は共通モード増幅器204の一方に結合される。DAC402によって生成される、共通モード入力電圧420の電圧は、制御回路要素418によって制御される。制御回路要素418は、AFE回路200の利得を評価するために共通モード入力電圧420の電圧を変更する。
【0028】
浮遊入力検出回路要素400は、信号入力端子114の状態を識別するために、粗判定及び微細判定を適用する。粗判定は、粗検出回路要素428によって提供される。粗検出回路要素428において、制御回路要素418は、出力信号426を2つの閾値と比較することによって、信号入力端子114が駆動されているかどうかを判定する。DAC402は、粗コンパレータ回路要素404に結合され、閾値電圧422及び閾値電圧424を粗コンパレータ回路要素404に提供する。粗コンパレータ回路要素404は、コンパレータ410及びコンパレータ412を含む。コンパレータ410は、共通モード増幅器204によって生成される出力信号426を、DAC402によって提供される高閾値電圧422と比較し、コンパレータ412は、出力信号426を、DAC402によって提供される低閾値電圧424と比較する。コンパレータ410は、共通モード増幅器204の出力230に結合される端子410Aと、DAC402の出力402Bに結合される端子410Bとを含む。コンパレータ410の出力410Cは、制御回路要素418の入力418Aに結合される。コンパレータ412は、共通モード増幅器204の出力230に結合される端子412Aと、DAC402の出力402Cに結合される端子412Bとを含む。コンパレータ412の出力412Cが、制御回路要素418の入力418Bに結合される。
【0029】
信号入力端子234が比較的大きな信号(例えば、+/-10ボルトの信号変動)により駆動される場合、出力信号426もまた、(例えば、電力供給レールから電力供給レールまでの)大きな変動を有する。信号入力端子234が浮遊している場合、電流は抵抗器210を流れず、出力信号426は所定の電圧になる。同様に、信号入力端子234が、共通モード入力電圧端子212上の入力共通モード電圧と同じ電圧により駆動される場合、出力信号426は、信号入力端子が浮遊しているときに生成される、同じ所定の電圧になる。閾値電圧422はこの所定の電圧より高く、閾値電圧424はこの所定の電圧より低い。出力信号426が閾値電圧422より大きいか又は閾値電圧424より小さい場合、粗コンパレータ回路要素404の出力は、信号入力端子234が浮遊しているのではなく駆動されていることを示す。出力信号426が、閾値電圧422より大きくないか、又は閾値電圧424より小さくない場合、粗コンパレータ回路要素404の出力は、信号入力端子234が浮遊している可能性があることを示す。
【0030】
図5は、本記載に従った、粗浮遊検出の一例の図を示す。図5において、閾値電圧422及び閾値電圧424は、おおよそ所定の電圧502に設定される。出力信号426が閾値電圧422より大きいか又は閾値電圧424より小さい場合、出力信号426は、信号入力端子234が浮遊していないことを示す第1の振幅領域504に入る。しかし、出力信号426が閾値電圧422より大きくないか又は閾値電圧424より小さくない場合、出力信号426は、信号入力端子234が浮遊している可能性があることを示す第2の振幅領域506に入る。このように、信号入力端子234における信号が、閾値電圧422より大きいか又は閾値電圧424より小さい場合、粗判定だけでも、信号入力端子234が浮遊していないかどうかを判定するために充分である。しかし、信号入力端子234における信号が閾値電圧422より大きくないか又は閾値電圧424より小さくない場合、粗判定は、信号入力端子234が浮遊しているかどうかを判定できない。浮遊入力検出回路要素400の実装は、まず、信号入力端子234が浮遊していないかどうかを判定するために、粗判定を適用し、粗判定が不確定の場合、微細判定を適用する。2つの状態検出プロセス(粗判定と、粗判定が不確定の場合、その後に続く微細判定)を用いることによって、種々の入力信号を有する浮遊する入力の高速及び低電力検出が可能となる。
【0031】
信号入力端子114が浮遊していないかどうかに関して粗検出が不確定である場合、浮遊入力検出回路要素400は、信号入力端子が駆動されているかどうかを判定するために、微細検出回路要素430を適用する。微細検出回路要素430において、制御回路要素418は、AFE回路200又は等価回路300の共通モード増幅器段の利得(すなわち、VINCMからVまでの利得)を評価することによって、信号入力端子114が駆動されているかどうかを判定する。微細検出は、信号入力端子234が浮遊しているか又は駆動されているかを判定するために、出力信号426の複数のサンプルを比較する。出力信号426の各サンプルは、共通モード入力電圧端子212において印加される異なる入力共通モード電圧420によって取得される。例えば、出力信号426のサンプルを取得する前に、制御回路要素418は制御信号432を生成する。この制御信号432によって、DAC402は、共通モード入力電圧端子212において印加される共通モード入力電圧420を変更する。共通モード入力電圧420を変更することは、AFE回路200の差動出力に影響を及ぼさない。なぜなら、共通モード入力電圧420が共通モードとして拒否されるからである。共通モード入力電圧420を設定することと関連して、制御回路要素418は、基準スイッチ414及び基準スイッチ416の一方を閉じ、基準電圧をCDAC406に提供する。CDAC406は、コンデンサ436及びコンデンサ438を含む。コンデンサ436は、共通モード増幅器204の出力230に結合される底部プレート436Bと、コンパレータ408に結合される頂部プレート436Tとを有する。コンデンサ438は、基準電圧スイッチング回路要素444に結合される底部プレート438Bと、コンパレータ408、及びコンデンサ436の頂部プレート436Tに結合される頂部プレート438Tとを有する。制御回路要素418は、頂部プレートスイッチ434を閉じて(すなわち、第1のコンデンサ436の頂部プレート436T及び第2のコンデンサ438の頂部プレート438Tを接地に接続して)、CDAC406のコンデンサ436を出力信号426の電圧まで充電し、CDAC406のコンデンサ438を、基準スイッチ414又は基準スイッチ416を介して提供される基準電圧440まで充電する。その後、頂部プレートスイッチ434が開かれ、共通モード入力電圧420が変更され、基準スイッチ414と基準スイッチ416のどちらを閉じるかを変更することによって、基準電圧440が変更される。CDAC406の出力(すなわち、頂部プレート電圧442)は、
α(ΔVXmeas-ΔVTH
であり、ここで、
αは、減衰係数であり、
ΔVXmeasは、共通モード入力電圧420の2つの値との、出力信号426の電圧の差であり、
ΔVTHは、CDAC406において生成される2つの基準電圧の差である。
【0032】
図6は、本記載に従った微細浮遊検出の一例を示す。構成600において、共通モード入力電圧420は設定されており、基準スイッチ414、基準スイッチ416、及び頂部プレートスイッチ434は、出力信号426及び基準電圧440のサンプルを取得するために設定される。構成600において基準スイッチ414及び基準スイッチ416のどちらを閉じるかという選択は、構成620において、共通モード入力電圧420において生成されるべき変化の方向に基づく。共通モード入力電圧420の電圧が、構成620において増加されるべき場合、構成600において、基準スイッチ414が閉じられ、基準スイッチ416が開かれる。同様に、共通モード入力電圧420の電圧が、構成620において減少されるべき場合、構成600において、基準スイッチ416が閉じられ、基準スイッチ414が開かれる。
【0033】
サンプル取得時間の満了の後、構成610において、コンデンサ436の頂部プレート436T及びコンデンサ438の頂部プレート438Tを接地から切断するために、頂部プレートスイッチ434が開かれる。
【0034】
構成620において、共通モード入力電圧420が変更される(例えば、増加される)。すなわち、制御回路要素418は制御信号432をDAC402に提供し、DAC402は、共通モード入力電圧420を変更し、出力信号426を変更する。頂部プレート電圧442は、
であり、ここで、
INは、コンデンサ436の静電容量であり、
THは、コンデンサ438の静電容量である。
は、減衰係数αである。
X1は、構成600及び構成610における出力信号426の電圧であり、
X2は、構成620及び構成630における出力信号426の電圧である。
【0035】
構成630において、制御回路要素418が、コンデンサ438に提供される基準電圧440を変更するために、基準スイッチ414を開き、基準スイッチ416を閉じる。頂部プレート電圧442は、
であり、ここで、
REFPは、構成600、構成610、及び構成620における基準電圧440の電圧であり、
REFMは、構成630における基準電圧440の電圧であり、
は、ΔVTHである。
ΔVTHは、
として、ΔVINCM、G、及びGに関連する。
【0036】
微細コンパレータ408は、頂部プレート電圧442を接地と比較して、(AFE回路200又は等価回路300における)利得VINCMからVへの利得が、所定の利得値(例えば、信号入力端子234が浮遊している場合の、VINCMからVへの利得に対応する利得値)を超えるかどうかを判定する。浮遊入力検出回路要素400のいくつかの実装において、制御回路要素418は、共通モード入力電圧420を疑似ランダムに変更し、及び/又は、出力信号426の2つの異なる値の比較を複数回繰り返し行って、共通モード入力電圧420における変化が、信号入力端子234に存在する如何なる信号電圧にも追従しないことを保証する。このように、制御回路要素418は、信号入力端子234を浮遊しているとする誤検出を避ける。
【0037】
図7は、本記載に従った浮遊入力検出のための方法700のフローチャートを示す。便宜上、順に示すが、図示される行為の少なくともいくつかが、異なる順で行われ得、及び/又は、並行して行われ得る。また、いくつかの実装が、図示される行為のいくつかのみを行い得る。方法700の動作は、データ取得システム100の実装によって行われ得る。
【0038】
ブロック702において、浮遊入力検出回路要素108は、基本又はリセット状態に設定される。信号入力端子234に対応する浮遊表示(例えば、浮遊フラグビット)がリセットされる。共通モード入力電圧420が共通モード増幅器204に提供される。スイッチ414、416、及び434が、構成600に従って設定される。共通モード増幅器204によって生成される出力信号426が、粗検出回路要素428、微細検出回路要素430、プログラマブル利得増幅器202の非反転入力222、及びプログラマブル利得増幅器202の反転入力220に提供される。
【0039】
ブロック704において、浮遊入力検出回路要素108は、信号入力端子234が駆動されているかどうかを判定するために、粗検出を行う。粗検出は、共通モード増幅器204によって生成される出力信号426を、閾値電圧422及び閾値電圧424と比較することを含む。
【0040】
ブロック706において、信号入力端子234が駆動されている(すなわち、浮遊していない)ことを粗検出が示す場合、制御回路要素418は、ブロック702に戻ることによって浮遊入力検出を継続する。共通モード増幅器204の出力が閾値電圧422より大きいか又は閾値電圧424より小さい場合、信号入力端子234は駆動されていると判定される。
【0041】
ブロック706において、信号入力端子234の状態があいまいである(すなわち、信号入力端子234が駆動又は浮遊している可能性がある)ことを粗検出が示す場合、浮遊入力検出回路要素108は、信号入力端子234が浮遊していることを共通モード増幅器段(例えば、等価回路300)が示すかどうかを判定するために、ブロック708において微細検出を行う。微細検出は、出力信号426のサンプル及びCDAC406上の基準電圧440のサンプルを繰り返し取得することを含む。共通モード入力電圧420及び基準電圧440は、微細検出の各繰り返しのために変更される。CDAC406の頂部プレート電圧442は接地と比較される。
【0042】
ブロック710において、信号入力端子234が駆動されている(すなわち、頂部プレート電圧442が接地より高い)ことを微細検出が示す場合、制御回路要素418は、ブロック702に戻ることによって浮遊入力検出を継続する。
【0043】
ブロック710において、信号入力端子234が浮遊している(すなわち、頂部プレート電圧442が接地より高くない)ことを微細検出が示す場合、ブロック712において、浮遊入力検出回路要素108は、ブロック708の微細検出が所定の回数実行されたかどうかを判定する。ブロック708の微細検出が所定の回数実行されており、各回が、信号入力端子234が浮遊していることを示す場合、ブロック714において、信号入力端子234に対する浮遊表示が設定される。ブロック708の微細検出が所定の回数実行されていない場合、微細検出はブロック708において継続する。複数の連続した微細検出が、信号入力端子234が浮遊していると示すことを要求することによって、浮遊状態の誤検出が低減される。
【0044】
図8は、本記載に従った、浮遊入力の検出において用いるために適したAFE回路800の第2の例の概略図を示す。AFE回路800は、AFE回路106の一実装である。AFE回路800は、共通モードループにおいて接続されるプログラマブル利得増幅器802及び共通モード増幅器804を含む。AFE回路800は、プログラマブル利得増幅器802の出力における共通モード電圧を感知し、こうした共通モード電圧を、共通モードループを介して補正する。AFE回路200と同様、VINCMからVまでの伝達関数差が、信号入力端子234が浮遊しているかどうかを判定するために、浮遊入力検出回路要素400によって用いられる。
【0045】
プログラマブル利得増幅器802は差動増幅器であり、非反転出力818、非反転入力822、反転出力816、反転入力820、及び共通モード入力814を有する。共通モード入力814は、共通モード入力電圧を受け取るためのものであり、共通モード入力214に結合される。共通モード増幅器804は、非反転入力828、反転入力824、及び出力830を含む。プログラマブル利得増幅器802の反転出力816は、第1の可変抵抗器806を介してプログラマブル利得増幅器802の非反転入力822に、及び、第1の抵抗器826を介して共通モード増幅器804の非反転入力828に結合される。プログラマブル利得増幅器802の非反転出力818は、第2の可変抵抗器806を介してプログラマブル利得増幅器802の反転入力820に、及び、第2の抵抗器826を介して共通モード増幅器804の非反転入力828に結合される。可変抵抗器806の抵抗は、プログラマブル利得増幅器802の利得を制御するために可変である。
【0046】
AFE回路800は、信号入力端子234及び基準入力端子232を含む。信号入力端子234は信号入力端子114の一例であり、基準入力端子232は基準入力端子116の一例である。信号入力端子234は、第1の入力抵抗器810を介してプログラマブル利得増幅器802の非反転入力822に結合される。基準入力端子232は、第2の入力抵抗器810を介してプログラマブル利得増幅器802の反転入力820に結合される。
【0047】
抵抗器826は、共通モード増幅器804の非反転入力828と、プログラマブル利得増幅器802の反転出力816及び非反転出力818から受け取った平均信号とに結合される。
【0048】
共通モード増幅器804は、反転入力824において受け取った出力共通モード電圧と、プログラマブル利得増幅器802から受け取った信号の平均との差を増幅する。共通モード増幅器804の出力830は、抵抗器808によってプログラマブル利得増幅器802の非反転入力822に、及び、抵抗器808によってプログラマブル利得増幅器802の反転入力820に結合される。また、共通モード増幅器804の出力830は、信号入力端子234が浮遊しているかどうかを検出する際に用いるための浮遊入力検出回路要素108に提供される。出力830上の、共通モード増幅器804によって提供される信号は、共通モードであり、プログラマブル利得増幅器802によって拒否される。
【0049】
図9は、本記載に従った、浮遊入力を検出する際に用いるために適したAFE回路900の第3の例の概略図を示す。AFE回路900は、AFE回路106の一実装である。AFE回路900は、共通モードループにおいて接続されるプログラマブル利得増幅器902及び共通モード増幅器904を含む。AFE回路900は、入力端子232及び234における共通モード電圧を感知し、こうした共通モード電圧を、フィードフォワード経路を介して補正する。AFE回路200と同様、VINCMからVの伝達関数差が、信号入力端子234が浮遊しているかどうかを判定するために、浮遊入力検出回路要素400によって用いられる。
【0050】
プログラマブル利得増幅器902は差動増幅器であり、非反転出力918、非反転入力922、反転出力916、反転入力920、及び共通モード入力914を有する。共通モード入力914は、共通モード出力電圧を受け取るためのものであり、プログラマブル利得増幅器902の反転出力916及び非反転出力918において生成される出力信号に印加する。共通モード増幅器904は、反転入力928、非反転入力924、及び出力930を含む。プログラマブル利得増幅器902の反転出力916は、第1の可変抵抗器906を介してプログラマブル利得増幅器902の非反転入力922に、及び、抵抗器926を介して共通モード増幅器904の反転入力928に結合される。プログラマブル利得増幅器902の非反転出力918は、第2の可変抵抗器906を介してプログラマブル利得増幅器902の反転入力920に、及び、第2の抵抗器926を介して共通モード増幅器904の反転入力928に結合される。可変抵抗器906の抵抗は、プログラマブル利得増幅器902の利得を制御するために可変である。
【0051】
AFE回路900は、信号入力端子234及び基準入力端子232を含む。信号入力端子234は信号入力端子114の一例であり、基準入力端子232は基準入力端子116の一例である。信号入力端子234は、第1の入力抵抗器910を介してプログラマブル利得増幅器902の非反転入力922に結合される。基準入力端子232は、第2の入力抵抗器910を介してプログラマブル利得増幅器902の反転入力920に結合される。
【0052】
抵抗器926は、共通モード増幅器904の反転入力928と、信号入力端子234及び基準入力端子232における平均信号とに結合される。
【0053】
共通モード増幅器904は、非反転入力924において受け取った出力共通モード電圧と、プログラマブル利得増幅器902から受け取った信号の平均との差を増幅する。共通モード増幅器904の出力930は、抵抗器912によって共通モード増幅器904の反転入力928に、抵抗器908によってプログラマブル利得増幅器902の非反転入力922に、及び、抵抗器908によってプログラマブル利得増幅器902の反転入力920に結合される。また、共通モード増幅器904の出力930は、信号入力端子234が浮遊しているかどうかの検出において用いるための浮遊入力検出回路要素108に提供される。出力930上の、共通モード増幅器904によって提供される信号は、共通モードであり、プログラマブル利得増幅器902によって拒否される。
【0054】
特許請求の範囲内で、説明された実施形態における改変が可能であり、その他の実施形態が可能である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9