(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
A47B 13/00 20060101AFI20241204BHJP
A47G 29/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A47B13/00 Z
A47G29/00 C
A47G29/00 M
(21)【出願番号】P 2020216378
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】390005452
【氏名又は名称】伊藤喜オールスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】横張 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昇
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-176462(JP,A)
【文献】特開2015-139634(JP,A)
【文献】特開2016-158817(JP,A)
【文献】実公昭36-014463(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0324309(US,A1)
【文献】独国実用新案第202018103347(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/00
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びる上板と、前記上板の下面に取り付けられた機能部材と、を備え、
前記上板は、前記上板の下面に前記機能部材が取り付く被取付部を有し、
前記機能部材は、前記被取付部に係合するベース部材と、前記ベース部材に対する水平方向の姿勢を変更可能に取り付けられる機能部本体と、を有
し、
前記機能部本体は、前記ベース部材が前記被取付部に係合した状態において前記ベース部材からの取り外しが規制される、什器。
【請求項2】
水平方向に延びる上板と、前記上板の下面に取り付けられた機能部材と、を備え、
前記上板は、前記上板の下面に前記機能部材が取り付く被取付部を有し、
前記機能部材は、前記被取付部に係合するベース部材と、前記ベース部材に対する水平方向の姿勢を変更可能に取り付けられる機能部本体と、を有
し、
前記被取付部には、前記上板の下面にスリット状の孔が形成され、
前記ベース部材は、前記孔に挿入されて係合する係合部を備え、
前記ベース部材は、前記係合部を備えるベース本体と、前記孔と前記係合部との係合が解除されないように前記ベース本体の変位を規制する規制部材と、を備える、什器。
【請求項3】
前記機能部本体は、前記ベース本体に取付けられる、
請求項2に記載の什器。
【請求項4】
前記規制部材は、前記孔に対して前記係合部と逆向きに挿入されて係合する第二係合部と、前記ベース本体に組み合わされた際に前記ベース本体の係止部に係止される被係止部と、を有する、
請求項2又は請求項3に記載の什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、什器に対して機能部材を取付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、テーブル天板の下面にフックを取付ける構成の什器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、フックの水平方向の姿勢を変更することができず、使い勝手が悪かった。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る什器は、水平方向に延びる上板と、前記上板の下面に取り付けられた機能部材と、を備え、前記上板は、前記上板の下面に前記機能部材が取り付く被取付部を有し、前記機能部材は、前記被取付部に係合するベース部材と、前記ベース部材に対する水平方向の姿勢を変更可能に取り付けられる機能部本体と、を有し、前記機能部本体は、前記ベース部材が前記被取付部に係合した状態において前記ベース部材からの取り外しが規制される。
【0006】
上記第1観点に係る什器によれば、上板に対する機能部本体の水平方向の姿勢を変更可能とすることにより、機能部材の使い勝手を向上させることができる。また、機能部材を上板に取付けた状態で機能部本体がベース部材から離脱することを防止できる。
【0007】
本発明の第2観点に係る什器は、水平方向に延びる上板と、前記上板の下面に取り付けられた機能部材と、を備え、前記上板は、前記上板の下面に前記機能部材が取り付く被取付部を有し、前記機能部材は、前記被取付部に係合するベース部材と、前記ベース部材に対する水平方向の姿勢を変更可能に取り付けられる機能部本体と、を有し、前記被取付部には、前記上板の下面にスリット状の孔が形成され、前記ベース部材は、前記孔に挿入されて係合する係合部を備え、前記ベース部材は、前記係合部を備えるベース本体と、前記孔と前記係合部との係合が解除されないように前記ベース本体の変位を規制する規制部材と、を備える。
【0008】
上記第2観点に係る什器によれば、上板に対する機能部本体の水平方向の姿勢を変更可能とすることにより、機能部材の使い勝手を向上させることができる。また、孔に係合部を挿入することにより、ベース部材を被取付部に対して安定的に取付けることができる。また、ベース本体と規制部材とをそれぞれ上板に取付けることによりベース部材の組付性を向上させることができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る什器は、第2観点に係る什器であって、前記機能部本体は、前記ベース本体に取付けられる。
【0010】
上記第3観点に係る什器によれば、機能部本体と係合部とを近接させて配置できるため、機能部本体を安定して支持することが可能となる。
【0011】
本発明の第4観点に係る什器は、第2観点又は第3観点に係る什器であって、前記規制部材は、前記孔に対して前記係合部と逆向きに挿入されて係合する第二係合部と、前記ベース本体に組み合わされた際に前記ベース本体の係止部に係止される被係止部と、を有する。
【0012】
上記第4観点に係る什器によれば、ベース本体と規制部材とを組み合わせた状態を安定的に維持できる。
【発明の効果】
【0013】
以上における本発明に係る什器によれば、上板に対する機能部本体の水平方向の姿勢を変更可能とすることにより、機能部材の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図6】(a)及び(b)はそれぞれ、機能部材の第一組付手順及び第二組付手順を示す下方斜視図。
【
図7】(a)及び(b)はそれぞれ、機能部材の第二組付手順及び組付状態を示す側面図。
【
図9】第一変形例に係る機能部材の組付状態を示す側面図。
【
図10】第二変形例に係る機能部材の組付状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[テーブル10]
まず、
図1及び
図2を用いて、本発明に係る什器の一実施形態であるテーブル10の構成について説明する。テーブル10は、主にスチール板等を折り曲げて構成した部材を組み合わせて構成される。本明細書においては什器の一例としてテーブル10を用いて説明するが、本発明はテーブル類に限らず、キャビネットやロッカー等、水平方向に延びるようにして配置された天板や棚板を備える什器に対して全般的に適用することが可能である。
【0016】
図1及び
図2に示す如く、本実施形態に係るテーブル10は、隣接して配置される二枚の矩形の天板11・11と、互いに平行に配置される二枚の矩形の側板12・12と、を備える。側板12・12は、二枚の天板11・11における対向する辺の下側を支持する。
図3に示す如く、天板11は中空の板状部材として構成される。テーブル10において、天板11は本発明に係る「水平方向に延びる上板」の一例として機能する。
【0017】
テーブル10は、二人の使用者が互いに向かい合った姿勢で、天板11をそれぞれ利用できるように構成される。このため、それぞれの天板11における二つの長辺のうち、隣接する天板11に近い側の長辺は、当該天板11の使用者から遠い箇所に位置するため、本明細書において「奥側の長辺」と記載する。同様に、それぞれの天板11における二つの長辺のうち、隣接する天板11から遠い側の長辺は、当該天板11の使用者に近い箇所に位置するため、本明細書において「手前側の長辺」と記載する。
【0018】
図2に示す如く、天板11の下面には、テーブル10に引出し等を設ける際に用いられる多数の天板スリット孔11sが長辺に沿って開口されている。具体的に、天板11の下面において天板スリット孔11sは、天板11の奥側の長辺と手前側の長辺とのそれぞれに沿って、天板11の長辺と直交する方向を長手方向として開口される。
【0019】
図2に示す如く、天板11・11の間(それぞれの天板11の奥側の長辺の間)における下部には、配線ケーブル等を収容可能なダクト13が設けられる。ダクト13は、それぞれの天板11の奥側の長辺から下方に垂下されるダクト側板13a・13aと、それぞれのダクト側板13a・13aの下端部を連結するダクト底板13bと、を備える。
図2に示す如く、ダクト底板13bの下面には、多数のダクトスリット孔13sが開口されている。テーブル10においては、ダクト底板13bを本発明に係る「水平方向に延びる上板」の一例として機能させることも可能である。
【0020】
[機能部材20]
図1及び
図2に示す如く、テーブル10は、天板11及びダクト底板13bの下面に取り付けられた機能部材20を備える。本実施形態において機能部材20は天板11とダクト底板13bとのうち何れにも同様に取り付け可能とされている。また、本実施形態において機能部材20は樹脂製素材で形成されている。
【0021】
上記の如く、天板11の下面には多数の天板スリット孔11sが開口されており、そのうち何れか一個又は複数個の天板スリット孔11sの周囲を、機能部材20が取り付く被取付部とすることができる。
図1及び
図2に示す如く、本実施形態に係るテーブル10においては、一方の天板11における手前側の長辺の長手方向中央部付近に開口された天板スリット孔11sに機能部材20を取付ける構成としている。
【0022】
なお、ダクト底板13bの下面に機能部材20を取付ける場合は、多数のダクトスリット孔13sのうち何れか一個又は複数個の周囲が、機能部材20が取り付く被取付部として機能する。以下では、
図3から
図8を用いて、天板11に取付けられた機能部材20について説明する。
【0023】
図3から
図8に示す如く、機能部材20は、天板11の天板スリット孔11sに係合するベース部材21と、ベース部材21に対する水平方向の姿勢を変更可能に取り付けられる機能部本体であるフック22と、を有する。
【0024】
図3から
図5に示す如く、ベース部材21は、ベース本体30と規制部材40とが組み合わされて構成される。ベース本体30は角板形状の本体部31でフック22を支持する部材である。本体部31の上面には、規制部材40と反対側に延出された係合部32が形成される。本体部31の一端側(
図5におけるフック22の側)は切り欠かれて被挿入部33が形成され、被挿入部33の内側には球面形状の凹部である支持部34が形成される。
【0025】
本体部31の他端側には溝状の被挿入溝35が形成される。被挿入溝35の後端部には対向して突出する規制突起36・36が形成される。本体部31の上面における他端側には、二本の突条部37・37が上方に突出して形成される。
図7及び
図8に示す如く、被挿入溝35の内面には本体部31の他端側に向かって突出する係止部38が形成される。
【0026】
規制部材40はベース本体30に組付けられて、ベース本体30の変位を規制する部材である。
図5に示す如く、規制部材40は規制本体部41、第二係合部42、弾性片43を備えて形成される。規制本体部41の一端側(
図5におけるベース本体30の側)には逆U字形状の弾性片43が形成される。弾性片43は規制本体部41に近接離間するように弾性変形可能に構成される。
【0027】
弾性片43におけるベース本体30の側の面には、規制部材40の一端側に向かって突出する被係止部44が形成される。
図7(b)及び
図8に示す如く、弾性片43の先端側下端部は、規制本体部41の下端面から少し延出されている。また、弾性片43の基端部には幅方向に拡幅して形成された被規制突部45が形成される。
【0028】
規制本体部41の上面には、ベース本体30の反対側である他端側に延出された第二係合部42が形成される。規制本体部41には、一端側に向かって曲面部46が形成されている。具体的には
図7に示す如く、規制本体部41には側面視において視認できるように、曲面部46がR形状に形成されている。
【0029】
図5に示す如く、フック22は、屈曲した鉤形状に形成されるフック部22aと、フック部22aの上端面から上方に突出して形成される円柱形状の連結部22bと、連結部22bの上端部に形成される半球形状の被支持部22cと、を備える。被支持部22cの外面形状は、ベース本体30に形成された支持部34の内面形状と略同一形状となる球面形状に形成されている。
【0030】
[機能部材20の組付手順]
次に、
図6から
図8を用いて、天板11への機能部材20の組付手順について説明する。機能部材20を天板11に組付ける際には、まず、
図6(a)に示す如く、ベース本体30に対してフック22を組付ける。具体的には
図6(a)中の一点鎖線矢印に示す如く、ベース本体30の被挿入部33にフック22の連結部22bを挿入し、支持部34に対して被支持部22cを上方から載置する。これにより、ベース本体30とフック22とが係合する。
【0031】
そして、
図6(a)中の一点鎖線矢印に示す如く、ベース本体30の係合部32を天板11の天板スリット孔11sに挿入した状態でスライドさせ、係合部32と天板スリット孔11sとを係合させる。これにより、
図6(b)及び
図7(a)に示す如くベース本体30とフック22とが一体的に天板11に組付られる。この状態では、フック22の上方への変位が天板11により規制される。また、フック22の被支持部22cの幅寸法は被挿入部33が形成される間隙の寸法よりも大きい。このため、フック22がベース本体30から抜け出ることがない。
【0032】
さらに、
図6(b)中の一点鎖線矢印に示す如く、規制部材40の第二係合部42を天板スリット孔11sに挿入し、規制本体部41を回転させながらベース本体30に向けて持ち上げる(
図7(a)を参照)。これにより、第二係合部42は天板スリット孔11sに対してベース本体30の係合部32と逆向きに挿入される。この際、曲面部46をR形状に形成することにより、規制本体部41とベース本体30とが干渉しないように規制本体部41を回転させることを可能としている。
【0033】
上記の如く規制本体部41を上方に回転させると、規制部材40の弾性片43がベース本体30の被挿入溝35に挿入される(
図4を参照)。そして、被係止部44が係止部38に当接することにより弾性片43が弾性変形し、被係止部44が係止部38の上側に乗り上げる。被係止部44が係止部38の上側に変位すると、弾性片43の弾性変形が解除され、
図8に示す如く被係止部44が係止部38により係止される。これにより、規制部材40がベース本体30に係止された状態で天板スリット孔11sに組付けられる。
【0034】
規制部材40が天板スリット孔11sに組付けられると、ベース本体30の変位が規制部材40により規制されるため、係合部32と天板スリット孔11sとの係合状態が維持される。即ち、機能部材20が天板スリット孔11sに係合した状態を安定的に維持することができる。
【0035】
規制部材40が天板スリット孔11sに組付けられた状態においては、
図4に示す如く被規制突部45が被挿入溝35の内側に挿入される。被挿入溝35の後端部には規制突起36・36が形成されており、被規制突部45は規制突起36・36により被挿入溝35から抜け出る方向の変位が規制される。これにより、規制部材40がベース本体30から離れる方向に変位して被係止部44と係止部38との係止が解除されることを防止している。
【0036】
機能部材20を天板11から取り外す際は、弾性片43の先端側下端部に対してベース本体30の反対側に力を加え、弾性片43を弾性変形させる。これにより、係止部38による被係止部44の係止状態が解除され、規制部材40をベース本体30から取り外し可能となる。規制部材40をベース本体30から取り外した後に、係合部32と天板スリット孔11sとの係合が解除される方向にベース本体30をスライドさせることにより、ベース本体30とフック22とが天板スリット孔11sから取り外される。
【0037】
本実施形態においては
図7(b)中の一点鎖線Lに示す如く、機能部材20を天板11に組付けた際には、弾性片43の先端側下端部はベース本体30の下端面と上下位置が一致するように構成されている。これにより、機能部材20の使用中に弾性片43の先端側下端部に他の物が引掛かってしまうことを抑制している。このように、本実施形態においては、使用者が意図せずに弾性片43を弾性変形させてしまうことにより規制部材40がベース本体30から離脱することを抑制している。
【0038】
[機能部材20の作用]
機能部材20を天板11に組付けた際には、フック22のフック部22aに鞄や小物、ケーブル等、テーブル10の周囲で用いるものを引掛けることが可能となる。フック22の被支持部22cの外面形状と、ベース本体30の支持部34の内面形状とは、略同一の球面形状となるように形成されている。このため、フック22はベース部材21に対する水平方向の姿勢を自在に変更可能に、ベース本体30に取付けられる。即ち、テーブル10の使用者は機能部材20の使用態様に応じてフック22を回転させて水平方向姿勢を変更することができる。これにより、テーブル10における機能部材20の使い勝手を向上させることが可能となる。
【0039】
また、本実施形態においては、フック22の水平方向の回転以外の動きを許容している。具体的には、例えば被支持部22cの外面形状と支持部34の内面形状とを円錐形状(すり鉢形状)に形成した場合、フック22に対して水平方向回転とは異なる方向(例えば水平方向に回転軸を持つ搖動方向)に力が加わった際に、フック22は力の加わる方向に円滑に変位することが難しい。本実施形態においては被支持部22cの外面形状と支持部34の内面形状とを略同一の球面形状とすることにより、被支持部22cの上面と天板11における被取付部の下面とのクリアランスの範囲で、フック22が水平方向に回転軸を持つ方向に揺動することを可能としている。さらに、フック22が少し搖動した状態で水平方向に回転することも可能となる。
【0040】
機能部材20において、本体部31の上面には、二本の突条部37・37が上方に突出して形成されている。フック22に鞄等を引掛けた際に、突条部37・37が天板11の下面に当接することにより、機能部材20が傾くことを防止するとともに、機能部材20と天板11との間でがたつきが生じることを抑制している。
【0041】
上記の如く、本実施形態に係るテーブル10は、機能部材20における係合部32が天板スリット孔11sに挿入されて係合する構成としている。これにより、天板スリット孔11sが開口された被取付部に対してベース部材21を安定的に取付けることを可能としている。
【0042】
また、機能部材20におけるベース部材21は、係合部32を備えるベース本体30と、天板スリット孔11sと係合部32との係合が解除されないようにベース本体30の変位を規制する規制部材40と、を備える。これにより、ベース本体30と規制部材40とをそれぞれ天板11に取付けることができるため、ベース部材21を容易に天板11に組付けることが可能となり、ベース部材21の組付性を向上させることができる。
【0043】
また、機能部材20において、機能部本体であるフック22は、係合部32を備えるベース本体30に取付けられる。これにより、フック部22aに引掛けられた鞄等の重量を支持する係合部32を、フック22に近接させて配置できる。即ち、係合部32に生じる曲げモーメントを小さくすることができるため、フック22を安定して支持することが可能となる。
【0044】
また、機能部材20において、規制部材40は、天板スリット孔11sに対して係合部32と逆向きに挿入されて係合する第二係合部42を備える。これにより、ベース部材21が天板スリット孔11sに対して変位しても係合部32と第二係合部42とが天板スリット孔11sに係合する状態を維持できるため、天板11で機能部材20を安定的に支持することが可能となる。
【0045】
また、機能部材20において、規制部材40は、ベース本体30に組み合わされた際にベース本体30の係止部38に係止される被係止部44を有する。これにより、ベース本体30と規制部材40とを組み合わせた状態を安定的に維持することができる。
【0046】
また、機能部材20を天板11に組付けた際には、フック22の上方への変位が天板11により規制されるため、ベース部材21からのフック22の取り外しが規制される。これにより、機能部材20を天板11に取付けた状態でフック22がベース部材21から離脱することを防止している。
【0047】
[変形例]
上記の実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0048】
本発明に係る機能部材は、テーブル類に限らず、キャビネット・ロッカーなど、天板や棚板を有する構成の什器に対して全般的に組付けることが可能である。また、天板や棚板とは違う側板や背板の如く、上下左右方向に延びる板材(厚さ方向が水平方向を向く板材)に対して機能部材を組付ける構成とすることも可能である。
【0049】
例えば、
図9に示す如く、機能部材20の第一変形例である機能部材20Aを、側板111に開口された被係止部である側板スリット孔111sに組付けることが可能である。本変形例に係る機能部材20Aは、側板スリット孔111sに係合するベース部材121と、ベース部材121に対する水平方向の姿勢を変更可能に取り付けられる機能部本体であるフック122と、を有する。
【0050】
図9に示す如く、ベース部材121は、ベース本体130と規制部材40とが組み合わされて構成される。本変形例において、規制部材40は機能部材20における規制部材40と同一の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0051】
ベース本体130は角柱形状の本体部131でフック122を支持する部材である。本体部131の背面(側板111の側の面)には、規制部材40と反対側に延出された係合部132が形成される。本体部131の一端側(
図9におけるフック122の側である下端側)は切り欠かれて被挿入部133が形成され、被挿入部133の内側には球面形状の凹部である支持部134が形成される。
【0052】
本体部131の他端側(上端側)には溝状の被挿入溝135が形成される。被挿入溝135の上端部には対向して突出する規制突起136・136が形成される。本体部131の背面における上端側には、二本の突条部137・137が上方に突出して形成される。
図9に示す如く、被挿入溝135の内面には本体部131の上端側に向かって突出する係止部138が形成される。
【0053】
図9に示す如く、フック122は、屈曲した鉤形状に形成されるフック部122aと、フック部122aの上端面から上方に突出して形成される円柱形状の連結部122bと、連結部122bの上端部に形成される半球形状の被支持部122cと、を備える。被支持部122cの外面形状は、ベース本体130に形成された支持部134の内面形状と略同一形状となる球面形状に形成されている。
【0054】
機能部材20Aを側板111に組付ける際には、機能部材20と同様に、ベース本体130に対してフック122を組付ける。具体的には、ベース本体130の被挿入部133に対して背面からフック122の連結部122bを挿入し、支持部134に対して被支持部122cを上方から載置する。これにより、ベース本体130とフック122とが係合する。
【0055】
そして、ベース本体130の係合部132を側板111の側板スリット孔111sに挿入した状態で下方にスライドさせ、係合部132と側板スリット孔111sとを係合させる。これにより、ベース本体130とフック122とが一体的に側板111に組付られる。この状態では、フック122の側板111の側への変位が側板111により規制される。このため、フック122がベース本体130から抜け出ることがない。
【0056】
さらに、規制部材40の第二係合部42を側板スリット孔111sに挿入し、規制本体部41を回転させながらベース本体130に向けて回転させる。これにより、第二係合部42は側板スリット孔111sに対してベース本体130の係合部132と逆向きに挿入される。
【0057】
上記の如く規制本体部41を回転させると、規制部材40の弾性片43がベース本体130の被挿入溝135に挿入される。そして、被係止部44が係止部138に当接することにより弾性片43が弾性変形し、被係止部44が係止部138を乗り越える。被係止部44が係止部138を乗り越えると、弾性片43の弾性変形が解除され、
図9に示す如く被係止部44が係止部138により係止される。これにより、規制部材40がベース本体130に係止された状態で側板スリット孔111sに組付けられる。
【0058】
規制部材40が側板スリット孔111sに組付けられると、ベース本体130の変位が規制部材40により規制されるため、係合部132と側板スリット孔111sとの係合状態が維持される。即ち、機能部材20Aが側板スリット孔111sに係合した状態を安定的に維持することができる。
【0059】
規制部材40が側板スリット孔111sに組付けられた状態においては、
図9に示す如く被規制突部45が被挿入溝135の内側に挿入される。被挿入溝135の上端部には規制突起136・136が形成されており、被規制突部45は規制突起136・136により被挿入溝135から抜け出る方向の変位が規制される。これにより、規制部材40がベース本体130から離れる方向に変位して被係止部44と係止部138との係止が解除されることを防止している。
【0060】
機能部材20Aを側板111から取り外す方法は、機能部材20を天板11から取り外す方法と略同一である。即ち、弾性片43の先端部に対してベース本体130の反対側に力を加え、弾性片43を弾性変形させる。これにより、係止部138による被係止部44の係止状態が解除され、規制部材40をベース本体130から取り外し可能となる。規制部材40をベース本体130から取り外した後に、係合部132と側板スリット孔111sとの係合が解除される方向にベース本体130をスライドさせることにより、ベース本体130とフック122とが側板スリット孔111sから取り外される。
【0061】
機能部材20Aを側板111に組付けた際には、フック122のフック部122aに鞄や小物、ケーブル等を引掛けることが可能となる。フック122の被支持部122cの外面形状と、ベース本体130の支持部134の内面形状とは、略同一の球面形状となるように形成されている。このため、フック122はベース部材121に対する水平方向の姿勢を自在に変更可能に、ベース本体130に取付けられる。即ち、使用者は機能部材20Aの使用態様に応じてフック122を回転させて水平方向姿勢を変更することができる。これにより、機能部材20Aの使い勝手を向上させることが可能となる。
【0062】
また、
図10に示す如く、機能部材20の第二変形例である機能部材20Bを、側板111に開口された被係止部である側板スリット孔111sに組付けることも可能である。本変形例に係る機能部材20Bは、フック部材230と規制部材40とが組み合わされて構成される。本変形例においても、規制部材40は機能部材20における規制部材40と同一の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0063】
フック部材230は、第一変形例におけるベース本体130と機能部本体であるフック122とを一体的に構成した部材である。フック部材230は、角柱形状のフック本体部231と、フック本体部231の背面(側板111の側の面)で規制部材40と反対側に延出された係合部132と、フック本体部231から側板111の反対側に延出されるフック部233と、を備える。
【0064】
フック本体部231の上端側には溝状の被挿入溝235が形成される。被挿入溝235の上端部には対向して突出する規制突起236・236が形成される。本体部231の背面における上端側には、二本の突条部237・237が上方に突出して形成される。
図10に示す如く、被挿入溝235の内面にはフック本体部231の上端側に向かって突出する係止部238が形成される。
【0065】
機能部材20Bを側板111に組付ける際には、フック部材230の係合部232を側板111の側板スリット孔111sに挿入した状態で下方にスライドさせ、係合部232と側板スリット孔111sとを係合させる。これにより、フック部材230が側板111に組付られる。
【0066】
さらに、規制部材40の第二係合部42を側板スリット孔111sに挿入し、規制本体部41を回転させながらフック部材230に向けて回転させる。これにより、第二係合部42は側板スリット孔111sに対してフック部材230の係合部232と逆向きに挿入される。
【0067】
上記の如く規制本体部41を回転させると、規制部材40の弾性片43がフック部材230の被挿入溝235に挿入される。そして、被係止部44が係止部238に当接することにより弾性片43が弾性変形し、被係止部44が係止部238を乗り越える。被係止部44が係止部238を乗り越えると、弾性片43の弾性変形が解除され、
図10に示す如く被係止部44が係止部238により係止される。これにより、規制部材40がフック部材230に係止された状態で側板スリット孔111sに組付けられる。
【0068】
規制部材40が側板スリット孔111sに組付けられると、フック部材230の変位が規制部材40により規制されるため、係合部232と側板スリット孔111sとの係合状態が維持される。即ち、機能部材20Bが側板スリット孔111sに係合した状態を安定的に維持することができる。
【0069】
規制部材40が側板スリット孔111sに組付けられた状態においては、
図10に示す如く被規制突部45が被挿入溝235の内側に挿入される。被挿入溝235の上端部には規制突起236・236が形成されており、被規制突部45は規制突起236・236により被挿入溝235から抜け出る方向の変位が規制される。これにより、規制部材40がフック部材230から離れる方向に変位して被係止部44と係止部238との係止が解除されることを防止している。
【0070】
機能部材20Bを側板111から取り外す方法は、機能部材20を天板11から取り外す方法と略同一である。即ち、弾性片43の先端部に対してフック部材230の反対側に力を加え、弾性片43を弾性変形させる。これにより、係止部238による被係止部44の係止状態が解除され、規制部材40をフック部材230から取り外し可能となる。規制部材40をフック部材230から取り外した後に、係合部232と側板スリット孔111sとの係合が解除される方向にフック部材230をスライドさせることにより、フック部材230が側板スリット孔111sから取り外される。
【0071】
[他の変形例]
本実施形態においては機能部材20をテーブル10の天板11に組付ける構成について説明したが、
図2に示す如く、テーブル10に設けられたダクト13に対して、天板11と同様に機能部材20を組付けることもできる。具体的には、多数のダクトスリット孔13sの一に対して、係合部32及び第二係合部42を係合させて機能部材20を取付けることも可能である。
【0072】
また、什器において機能部材20が係合する被係合部は、機能部材20の係合部32が係合することが可能な凹形状であれば良く、孔が開口されている必要はない。また、孔を形成する場合でも、その形状は本実施形態の如くスリット状である必要はなく、円形状や矩形状等、他の形状の孔に機能部材20を組付ける構成とすることも可能である。
【0073】
また、機能部材20が備える機能部本体は、本実施形態におけるフック22の他、収納ボックス、ハンガー等、他の機能を有する部材とすることも可能である。また、機能部材20を天板11の下面に組付ける場合であって、ヘルメットや防災グッズ等、使用頻度の低いものをフック22に引掛ける際は、天板11の奥側の長辺に沿って開口する天板スリット孔11sに機能部材20を組付け、フック22が天板11の手前側に延出されるようにフック22の水平方向姿勢を向けることが、使用者が天板下に潜り込みながら引掛ける際に引掛けやすく好適である。
【0074】
一方、鞄等、使用頻度の高いものをフック22に引掛ける際は、天板11の手間側の長辺に沿って開口する天板スリット孔11sに機能部材20を組付け、フック22が使用者の側に延出されるようにフック22の水平方向姿勢を向けることが好適である。フック22が使用者の右側に位置する場合と、左側に位置する場合では、使用しやすい(鞄等をフック22に対して着脱しやすい)姿勢が180度異なるため、フック22を使用者の位置に対して使いやすい水平方向姿勢に変更して使用することにより、機能部材20の使い勝手が良くなる。
【0075】
このように、機能部材20は、使用する用途に応じて、組付ける箇所を適宜選択することができる。また、それぞれの使用箇所で最も使い勝手が良くなるように、機能部本体(フック22)の水平方向姿勢を変更することができる。
【0076】
本実施形態において、ベース部材21はベース本体30と規制部材40とを組み合せて構成したが、ベース部材を一体的に構成することも可能である。即ち、ベース部材を被係合部に組付けた状態において、ベース部材の係合部と被係合部との係合状態が維持される構成であれば、ベース部材をベース本体と規制部材とに分割しない構成とすることができる。
【0077】
機能部材20において、機能部本体(本実施形態におけるフック22)を規制部材40に組付ける構成とすることも可能である。また、ベース本体30の変位を規制することができる構成であれば、規制部材40に第二係合部42を設けない構成とすることも可能である。また、機能部材20は、ベース部材21が天板スリット孔11sに係合した状態において、機能部本体をベース部材21からの取り外し可能とすることも可能である。
【0078】
機能部材20は、機能部本体のベース部材21に対する水平方向の姿勢を変更する際に、一定の角度毎に軽く止まる節度感を持たせることも可能である。例えば、被支持部22cの外面と支持部34の内面とに、所定角度(60度、90度、120度など)ごとに凹部と凸部とを形成し、当該角度において凸部が凹部に挿入される構成とすることも可能である。これにより、ベース部材21に対する機能部本体の水平方向姿勢を所定の位置に留めやすくすることが可能となる。
【0079】
機能部材20は、機能部本体の水平方向姿勢を変更可能とするとともに、水平方向と交差する方向への変位(スイング変位)を許容する構成とすることも可能である。例えば、被支持部22cの上面と天板11の下面との隙間を本実施形態よりも大きくした場合は、フック22を使用者から見て前後方向(天板スリット孔11sの長手方向)に搖動変位させることが可能となる。さらに、支持部34の下側の開口形状を大きくした場合は、フック22を全方位に搖動変位させることが可能となる。
【符号の説明】
【0080】
10 テーブル(什器) 11 天板(上板)
11s 天板スリット孔
12 側板 13 ダクト
13a ダクト側板 13b ダクト底板(上板)
13s ダクトスリット孔
20 機能部材
20A 機能部材(第一変形例)
20B 機能部材(第二変形例)
21 ベース部材 22 フック(機能部本体)
22a フック部 22b 連結部
22c 被支持部
30 ベース本体 31 本体部
32 係合部 33 被挿入部
34 支持部 35 被挿入溝
36 規制突起 37 突条部
38 係止部
40 規制部材 41 規制本体部
42 第二係合部 43 弾性片
44 被係止部 45 被規制突部
46 曲面部
121 ベース部材 122 フック(機能部本体)
122a フック部 122b 連結部
122c 被支持部
130 ベース本体 131 本体部
132 係合部 133 被挿入部
134 支持部 135 被挿入溝
136 規制突起 137 突条部
138 係止部
230 フック部材 231 フック本体部
232 係合部 233 フック部
235 被挿入溝 236 規制突起
237 突条部 238 係止部