(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】物品処理装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20241204BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B07C5/36
B65G47/90 A
(21)【出願番号】P 2021012150
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】嘉屋 考時
(72)【発明者】
【氏名】奥畑 峻
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-200879(JP,A)
【文献】特開2020-192644(JP,A)
【文献】特開平05-051087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/36
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の収容部を複数有するキャリアを移動させる搬送手段と、上記キャリアに収容された複数の物品の検査を行う検査手段と、上記検査手段によって不良と判定された不良品を除去するリジェクト手段とを設けた物品処理装置において、
上記リジェクト手段に、上記不良品を載置するリジェクトエリアと、検査手段によって正常と判定された良品を載置するストックエリアとを設け、
また、上記リジェクト手段の下流側に、キャリアから複数の物品を取り出して当該物品を第2搬送手段へ移載する移載手段を設けるとともに、
上記搬送手段における上記リジェクト手段と移載手段との間に分岐通路を設け、
上記検査手段が、キャリアに収容された物品のうち少なくともいずれかひとつの物品を不良品と判定した場合、
上記リジェクト手段は、当該キャリアから不良品を取り出して上記リジェクトエリアへと移載するとともに、当該キャリアから良品を取り出して上記ストックエリアへと移載することにより、当該キャリアを全ての収容部から上記不良品および良品が取り出された空キャリアと
し、上記空キャリアを上記分岐通路に移動させて、当該空キャリアが上記移載手段に移動しないようにすることを特徴とする物品処理装置。
【請求項2】
物品の収容部を複数有するキャリアを移動させる搬送手段と、上記キャリアに収容された複数の物品の検査を行う検査手段と、上記検査手段によって不良と判定された不良品を除去するリジェクト手段とを設けた物品処理装置において、
上記リジェクト手段に、上記不良品を載置するリジェクトエリアと、検査手段によって正常と判定された良品を載置するストックエリアとを設け、
上記検査手段が、キャリアに収容された物品のうち少なくともいずれかひとつの物品を不良品と判定した場合、
上記リジェクト手段は、当該キャリアから不良品を取り出して上記リジェクトエリアへと移載するとともに、
上記ストックエリアに良品が載置されていない場合は、当該キャリアから良品を取り出して上記ストックエリアへと移載することにより、当該キャリアを全ての収容部から上記不良品および良品が取り出された空キャリアとし、
上記ストックエリアに良品が載置されている場合は、上記ストックエリアから上記良品を取り出し当該キャリアにおける上記不良品が収容されていた収容部に移載することにより、当該キャリアを全ての収容部に良品が収容された実キャリアとすることを特徴とする物品処理装置。
【請求項3】
上記リジェクト手段の下流側に、キャリアから複数の物品を取り出して当該物品を第2搬送手段へ移載する移載手段を設けるとともに、
上記搬送手段における上記リジェクト手段と移載手段との間に分岐通路を設け、
上記空キャリアを上記分岐通路に移動させて、当該空キャリアが上記移載手段に移動しないようにすることを特徴とする
請求項2に記載の物品処理装置。
【請求項4】
上記搬送手段の上記キャリアは、無端状に設けられたレールに沿ってリニア駆動により循環移動するように設けられ、
上記キャリアは、搬送方向に直交する方向に上記収容部を複数設けられたことを特徴とする請求項1ないし
請求項3のいずれかに記載の物品処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品処理装置に関し、詳しくは複数の物品を収容可能なキャリアを移動させる搬送手段と、検査結果に基づいて不良品を除去するリジェクト手段とを備えた物品処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送手段によって搬送される物品の検査を行う検査手段と、上記検査手段によって不良と判定された不良品を除去するリジェクト手段とを設けた物品処理装置が知られている。
このような物品処理装置として、搬送手段が複数の物品をキャリアに収容した状態で搬送し、検査手段は当該キャリアに収容された複数の物品の良否判定を行うものが知られている(特許文献1)。
この特許文献1では、キャリアに収容された物品が不良品であると検出されると、上記リジェクト手段が当該不良品を収容したキャリアを別のコンベヤに移載して、上記不良品をキャリアごと除去するようになっている。
このように、特許文献1ではキャリアごと不良品を除去することにより、下流へは良品が収容されたキャリアのみを搬送するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように不良品をキャリアごと除去してしまうと、当該キャリアに不良品とは別に良品が収容されていた場合、収容されていた良品も除去されてしまうことから、当該良品が無駄となってしまい、生産効率が低下してしまうという問題があった。
また、不良品のみを除去した場合、下流へは良品の数が不足した不完全なキャリアが搬送されることになるため、下流に配置されている処理装置が正常に処理できないといった問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は複数の物品が収容されているキャリアに良品と不良品とが混在していた場合に、不良品とともに良品を除去しないようにすることで生産性の低下を抑え、さらには良品の数が不足した不完全なキャリアの発生を防ぐことが可能な物品処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる物品処理装置は、物品の収容部を複数有するキャリアを移動させる搬送手段と、上記キャリアに収容された複数の物品の検査を行う検査手段と、上記検査手段によって不良と判定された不良品を除去するリジェクト手段とを設けた物品処理装置において、
上記リジェクト手段に、上記不良品を載置するリジェクトエリアと、検査手段によって正常と判定された良品を載置するストックエリアとを設け、
また、上記リジェクト手段の下流側に、キャリアから複数の物品を取り出して当該物品を第2搬送手段へ移載する移載手段を設けるとともに、
上記搬送手段における上記リジェクト手段と移載手段との間に分岐通路を設け、
上記検査手段が、キャリアに収容された物品のうち少なくともいずれかひとつの物品を不良品と判定した場合、
上記リジェクト手段は、当該キャリアから不良品を取り出して上記リジェクトエリアへと移載するとともに、当該キャリアから良品を取り出して上記ストックエリアへと移載することにより、当該キャリアを全ての収容部から上記不良品および良品が取り出された空キャリアとし、上記空キャリアを上記分岐通路に移動させて、当該空キャリアが上記移載手段に移動しないようにすることを特徴としている。
また請求項2の発明にかかる物品処理装置は、物品の収容部を複数有するキャリアを移動させる搬送手段と、上記キャリアに収容された複数の物品の検査を行う検査手段と、上記検査手段によって不良と判定された不良品を除去するリジェクト手段とを設けた物品処理装置において、
上記リジェクト手段に、上記不良品を載置するリジェクトエリアと、検査手段によって正常と判定された良品を載置するストックエリアとを設け、
上記検査手段が、キャリアに収容された物品のうち少なくともいずれかひとつの物品を不良品と判定した場合、
上記リジェクト手段は、当該キャリアから不良品を取り出して上記リジェクトエリアへと移載するとともに、
上記ストックエリアに良品が載置されていない場合は、当該キャリアから良品を取り出して上記ストックエリアへと移載することにより、当該キャリアを全ての収容部から上記不良品および良品が取り出された空キャリアとし、
上記ストックエリアに良品が載置されている場合は、上記ストックエリアから上記良品を取り出して、当該キャリアにおける上記不良品が収容されていた収容部に移載することにより、当該キャリアを全ての収容部に良品が収容された実キャリアとすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1の発明によれば、キャリアに収容された物品のうち少なくともいずれかひとつの物品が不良品である場合、上記リジェクト手段は、当該キャリアの全ての収容部から不良品および良品を取り出して空キャリアとし、上記空キャリアを上記分岐通路に移動させて、当該空キャリアが上記移載手段に移動しないようになっている。
このため、下流には良品の数が不足している不完全なキャリアは移動しないこととなり、下流に配置されている処理装置は正常な処理を行うことが可能となる。
一方、キャリアから取り出した良品はストックエリアに移載するため、当該ストックエリアの良品をその後使用することができ、良品を無駄にすることはない。
また上記請求項2の発明によれば、リジェクト手段はキャリアから不良品を取り出して上記リジェクトエリアへと移載し、ストックエリアに良品が載置されている場合は、当該良品を上記不良品が収容されていた収容部に移載して実キャリアとするようになっている。
つまり、キャリアから不良品が取り出されて空の収容部が発生したとしても、ストックエリアからの良品を空の収容部に移載するため、キャリアの全ての収容部に良品を収容した実キャリアの状態で下流へと移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】搬送手段およびリジェクト手段についての側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について説明すると、
図1は本発明にかかる物品処理装置としての容器処理装置1を示し、物品としての容器2に液体の充填やキャッピングを行うとともに、当該容器2を所定本数ずつ把持してケース3に収容する装置となっている。
容器処理装置1は、複数の容器2を収容可能なキャリア4を移動させる搬送手段5と、当該搬送手段5に沿って設けられた、容器2をキャリア4に供給する容器供給手段6と、容器2に液体を充填するフィラ7と、容器2にキャップを装着するキャッパ8と、容器2の検査を行う検査手段9と、検査結果に基づいて不良と判断された容器2をキャリア4から抜き取るリジェクト手段10と、複数個に集積されたキャリア4から複数の容器2を取り出してケース3に収容する移載手段としてのケーサ11とによって構成され、これらは図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
上記容器2は樹脂製で断面楕円形を有しており、上記フィラ7では例えばシャンプーなどの液体が充填され、上記キャッパ8では容器2の上部にキャップが装着されるようになっている。
そして上記ケーサ11では8本の容器2を把持してこれを一つのケース3に収容するようになっている。
【0009】
上記搬送手段5は、無端状に設けられたレール12と、当該レール12に対して走行可能に設けられた複数の上記キャリア4とから構成され、上記キャリア4はリニア駆動により上記レール12に沿って循環移動するようになっている。
図2に示すように、各キャリア4には容器2を収容可能な2つの収容部4aが形成され、これら収容部4aはキャリア4の移動方向に対して直交する方向に設けられている。
また各キャリア4には、その下部に磁石からなる可動子4bと、当該可動子4bの両端に設けられたローラ4cとが設けられ、これに対し上記レール12にはコイルからなる固定子12aと、固定子12aの両側に設けられて上記キャリア4のローラ4cと接触するローラ支持部12bとが設けられている。
リニア駆動の原理は従来公知であるため詳細な説明は省略するが、上記制御手段が上記レール12に設けられた各固定子12aへの電流を制御することにより、上記キャリア4に設けられた可動子4bとの間で電磁誘導を生じさせ、キャリア4を移動させるものとなっている。
そして制御手段は、レール12上の全てのキャリア4の位置を認識するとともに、各キャリア4を上記フィラ7やキャッパ8等に移動させるようになっており、これにより
図1に示すようにキャリア4とキャリア4とを密接させた状態で停止させたり、個別に停止させることが可能となっている。
【0010】
上記容器供給手段6は、空の容器2を供給する供給コンベヤ6aと、供給コンベヤ6aの上方に設けられたカメラ6bと、供給コンベヤ6a上の容器2を保持してこれを上記搬送手段5のキャリア4に移載する供給ロボット6cとを備えている。
上記供給コンベヤ6aは上記容器2を横転した状態で搬送し、このとき各容器2の向きはランダムな方向を向いた状態となっている。
上記カメラ6bは上記供給コンベヤ6a上を搬送される全ての容器2を撮影し、上記制御手段に設けられた画像認識手段によって各容器2の方向を認識するようになっている。
上記供給ロボット6cについては従来公知であるため、詳細な説明を省略するが、例えばアームの先端に吸着ヘッドを備えたロボットによって構成され、上記カメラ6bによる画像認識の結果に基づいて、横転した状態の容器2の側面を吸着保持すると、これを水平面内で回転させて所要の向きに向ける。
さらに、上記供給ロボット6cは横転状態の容器2を起立状態にすることが可能となっており、吸着した水平状態の容器2を起立状態にしてからキャリア4に形成されている凹部形状の収容部4aに収容するようになっている。
【0011】
上記フィラ7およびキャッパ8については、従来公知であるため詳細な説明については省略するが、本実施例のフィラ7は2列に整列した8つの充填ノズルを備え、またキャッパ8も2列に整列した8つのキャッピングヘッドを備えている。
一方上記搬送手段5は4つのキャリア4を密接させた状態で上記フィラ7およびキャッパ8に停止させるようになっており、このとき制御手段は各キャリア4の位置を制御することで、各キャリア4に収容された容器2をそれぞれ2列に整列した充填ノズルやキャッピングヘッドの下方に位置させるようになっている。
このようにしてキャリア4がフィラ7およびキャッパ8に停止すると、それぞれ上記充填ノズルおよびキャッピングヘッドによって液体の充填およびキャップの装着が行われる。
【0012】
上記検査手段9はカメラやセンサを備えており、上記キャリア4に収容されている容器2に充填された液体の充填量や、キャップの装着状態についての良否判定を行うものとなっている。
このとき搬送手段5はキャリア4を一つずつ検査手段9に隣接した所定の位置に停止させるようになっており、検査手段9は当該キャリア4に収容された2つの容器2についての良否判定を行うとともに、制御手段は各キャリア4毎に収容された容器2の良否判定の結果を記憶するようになっている。
【0013】
図2に示すように、上記リジェクト手段10は搬送手段5に隣接して設けたリジェクトロボット13を備え、アーム13aの先端に上記容器2を把持するためのグリッパ13bを備えたものを使用することができる。
また
図1に示すように、上記リジェクトロボット13に隣接した位置には、上記検査手段9によって不良と判定された不良品を載置するためのリジェクトエリアRと、正常と判定された良品を載置するためのストックエリアSとが設けられている。
上記リジェクト手段10の詳細な動作は後述するが、上記搬送手段5は上記検査手段9による検査が終了したキャリア4を一つずつ上記リジェクトロボット13に隣接した位置に停止させる。
制御手段は当該キャリア4に収容されている容器2の判定結果を記憶しており、当該判定結果に基づいて上記リジェクトロボット13を制御し、キャリア4から不良品を取り出して上記リジェクトエリアRに移載したり、キャリア4から良品を取り出して上記ストックエリアSに移載したり、上記ストックエリアSに載置されている良品を上記キャリア4における空の収容部4aに収容する動作を行うようになっている。
【0014】
上記ケーサ11は、空のケース3を供給するケース供給コンベヤ14と、容器2を収容したケース3を排出するケース排出コンベヤ15(第2搬送手段)と、上記ケース供給コンベヤ14からケース排出コンベヤ15にケース3を移動させるプッシャ16と、キャリア4から容器2を取り出して空のケース3に収容するケーシングロボット17とを備えている。
上記ケース供給コンベヤ14およびケース排出コンベヤ15は上記搬送手段5と平行に設けられており、搬送手段5はケース供給コンベヤ14の下流端の位置に合わせて4つのキャリア4を密接した状態で停止させるようになっている。
上記プッシャ16は、上記ケース供給コンベヤ14の下流端に停止した空のケース3を上記ケース排出コンベヤ15へと押圧するようになっており、ケース供給コンベヤ14とケース排出コンベヤ15との間には移動中のケース3を下方から支持するためのプレート18が設けられている。
【0015】
上記ケーシングロボット17は従来公知であるため詳細な説明は省略するが、容器2を保持可能な8つのグリッパと、上記グリッパを移動させる移動手段と、上記グリッパの間隔を変更する間隔変更手段とを備えている。
上記搬送手段5が4つのキャリア4をケーサ11に停止させると、上記ケーシングロボット17は8つのグリッパを4つのキャリア4の上方に位置させており、このとき上記間隔変更手段がグリッパの間隔をキャリア4に収容されている8つの容器2の間隔に揃えるようになっている。
またケーシングロボット17は上記グリッパを移動手段によって昇降させ、キャリア4に収容された容器2を取り出すと、上記間隔変更手段によってグリッパの間隔を変更し、保持した容器2の間隔を上記ケース3に収容可能な間隔に狭めるようになっている。
その後、グリッパは移動手段によって上記ケース排出コンベヤ15の上流端に位置している空のケース3の上方に移動し、その後下降することで8つの容器2が空のケース3に収容されるようになっている。
【0016】
以下、上記構成を有する容器処理装置1の動作について説明する。
最初に上記容器供給手段6では、供給コンベヤ6aが横転した状態の容器2を搬送し、供給ロボット6cは上記供給コンベヤ6a上の横転状態の容器2を把持するとともに向きを変更し、さらに横転状態から起立状態にする。
一方、上記搬送手段5は上記容器供給手段6に隣接した位置に空のキャリア4を停止させており、上記供給ロボット6cは2つの容器2を上記空のキャリア4に形成された2つの収容部4aにそれぞれ収容する。
【0017】
続いて、搬送手段5は空の容器2を収容したキャリア4を上記フィラ7へと移動させ、その際4個のキャリア4を密接させた状態で上記フィラ7へと移動させる。
上記フィラ7に4個のキャリア4が停止すると、当該4つのキャリア4に収容された8つの容器2の上方に上記充填ノズルが位置しており、充填ノズルによって各容器2への液体の充填が行われる。
続いて搬送手段5は4つのキャリア4をそのままキャッパ8へと移動させ、キャッパでは8つのキャッピングヘッドによって4つのキャリア4に収容された8つの容器2にキャップを装着する。
このようにして容器2への液体の充填およびキャップの装着が終了すると、搬送手段5はキャリア4を一つずつ上記検査手段9へと移動させ、検査手段9において上記容器2への液体の充填量やキャップの装着状態について良否を判定する。
【0018】
このようにして容器2についての検査が終了すると、搬送手段5は当該容器2を収容したキャリア4を上記リジェクト手段10へと移動させるが、このとき上記キャリア4には、不良品が収容されていない場合と、不良品が収容されている場合とがある。
まず、キャリア4に不良品が収容されていない場合、キャリア4は良品である容器2が2本収容された実キャリアであるため、搬送手段5は当該キャリア4についてはリジェクト手段10に停止させず、そのままケーサ11に移動させることができる。
【0019】
これに対し、キャリア4に少なくとも1本の不良品が収容されている場合、リジェクト手段10は以下の第1~第4の処理のいずれかの処理を行うことで、不良品を除去するようになっている。
第1の処理は、キャリア4に不良品が1本だけ収容され、かつ上記ストックエリアSに良品が載置されていない場合に行われる。
搬送手段5が不良品を1本収容したキャリア4をリジェクト手段10に停止させると、リジェクトロボット13は当該キャリア4から不良品を取り出して上記リジェクトエリアRに移載し、さらに当該キャリア4に収容されている良品も取り出して上記ストックエリアSに移載する。
これにより、当該キャリア4は2つの収容部4aから容器2が除去された空キャリア4となり、一方上記ストックエリアSには良品としての容器2が載置されることとなる。
【0020】
第2の処理は、キャリア4に不良品が2本収容されており、かつ上記ストックエリアSに良品が載置されていない場合に行われる。
搬送手段5が不良品を2本収容したキャリア4をリジェクト手段10に停止させると、リジェクトロボット13は当該キャリア4から2本の不良品を取り出して上記リジェクトエリアRに移載する。
これにより、当該キャリア4は2つの収容部4aから容器2が除去された空キャリア4となるが、第1の処理と異なり、上記ストックエリアSには良品としての容器2は載置されないこととなる。
【0021】
第3の処理は、キャリア4に不良品が1本収容されており、かつ上記ストックエリアSにキャリア4から取り出される不良品の本数以上、すなわち1本以上の良品が載置されている場合に行われる。
搬送手段5が不良品を1本収容したキャリア4をリジェクト手段10に停止させると、リジェクトロボット13は当該キャリア4から不良品を取り出して上記リジェクトエリアRに移載するとともに、ストックエリアSに載置されている良品を取り出して、不良品が取り出されて空となった収容部4aに移載する。
これにより、当該キャリア4では不良品が取り出されて空となった収容部4aに、リジェクト手段10によって新たな良品が収容されることから、当該キャリア4は2つの収容部4aのそれぞれに良品が収容された実キャリア4となる。
【0022】
第4の処理は、キャリア4に不良品が2本収容されており、かつ上記ストックエリアSにキャリア4から取り出される不良品の本数以上、すなわち2本以上の良品が載置されている場合に行われる。
搬送手段5が不良品を2本収容したキャリア4をリジェクト手段10に停止させると、リジェクトロボット13は当該キャリアから2本の不良品を取り出して上記リジェクトエリアRに移載するとともに、ストックエリアSに載置されている2本の良品を取り出して、不良品が取り出されて空となった2つの収容部4aにそれぞれ移載する。
これにより、当該キャリア4には取り出した2本の不良品に代えて、リジェクト手段10によって2本の新たな良品が収容されることから、当該キャリア4は2つの収容部4aのそれぞれに良品が収容された実キャリア4となる。
【0023】
リジェクト手段10による処理が終了すると、搬送手段5は4個のキャリア4を密接させた状態でケーサ11へと移動させる。
まず、上記4個のキャリア4が全て2本の容器が収容されている実キャリア4である場合のケーサ11の動作から説明する。これは4個のキャリア4の全てに対し、検査手段9がキャリア4に収容されている容器を2本とも良品と判定した場合か、もしくは上記リジェクト手段10において上述した第3または第4の処理を行った場合となる。
このようにして4つのキャリア4がケーサ11に移動すると、4つのキャリア4に収容された8つの容器2の上方に8つのグリッパが位置しており、これら8つのグリッパは8つの容器2を保持して上記ケース排出コンベヤ15に位置している空のケース3に収容する。
これにより、空のケース3には欠品を生じさせることなく容器2が収容されたこととなり、その後当該ケース3は上記ケース排出コンベヤ15によって排出されるとともに、上記プッシャ16が新たな空のケース3をケース供給コンベヤ14からケース排出コンベヤ15へと移動させるようになっている。
【0024】
次に、上記4個のキャリア4のうち、少なくともいずれか一つのキャリア4が空キャリア4である場合のケーサ11の動作について説明する。つまり上記いずれか一つのキャリア4に対し、上記リジェクト手段10が上述した第1または第2の処理を行った場合となる。
図3を用いて説明すると、搬送手段5は通常の処理と同様、空キャリア4を含む4個のキャリア4を密接させた状態で上記ケーサ11に移動させる(
図3(a))。ここでは下流側から2番目のキャリア4が空キャリア4となっている。
ケーサ11に4つのキャリア4が停止すると、ケーサ11の8つのグリッパがそれぞれキャリア4に収容されている容器2を保持する動作を行う。しかしながら、下流側から1番目、3番目、4番目は実キャリア4であるため容器2を保持することができるが、下流側から2番目のキャリア4は空であることから、下流側から2番目に位置する2つのグリッパは容器2を保持することができない。
【0025】
続いて、ケーサ11は容器2を保持していないグリッパを含め、すべてのグリッパをいったん上昇させ、搬送手段5は容器2の抜き取られた4つのキャリア4を下流側に移動させる(
図3(b))。
すると搬送手段5は、ケーサ11の上流側に位置している実キャリア4の中から、ケーサ11に最も近い実キャリア4を一つだけ移動させて、当該実キャリア4を下流側から2番目に位置しているグリッパの位置に停止させる(
図3(c))。
上記ケーサ11は容器2を保持しているグリッパを含め、すべてのグリッパを下降させ、容器2を保持していない下流側から2番目に位置しているグリッパによって、上記実キャリア4に収容された2本の容器2を保持させる。
これにより8つの全てのグリッパが容器2を保持したこととなり、上記ケース排出コンベヤ15に位置している空のケース3に、欠品を生じさせることなく8つの容器2を収容することができる(
図3(d))。
【0026】
このように、本実施例の容器処理装置1によれば、検査手段9において不良品と判定された容器2を収容したキャリア4については、上記リジェクト手段10が上記第1~第4のいずれかの処理を行うことにより、容器2の収容されていない空キャリア4か、もしくは良品のみを収容した実キャリア4にしてからケーサ11へと移動させるようになっている。
これにより、一本だけ良品の容器2を収容した不完全なキャリア4がケーサ11に移動されることがなくなり、ケーサ11において容器2をケース3に収容する際、欠品を生じさせることなく容器2をケース3に収容することができる。
特に、キャリア4に収容された容器2のいずれかが不良品であった場合、上記リジェクト手段10によって上記第1の処理を行うことで、良品についてはキャリア4から取り出してストックエリアSに載置されるようになっている。
このように当該ストックエリアSに載置した良品は、その後リジェクト手段10による第3の処理において、不良品の代わりにキャリア4に収容されるようになっており、良品を無駄なく利用することができる。
【0027】
またリジェクト手段10において空キャリア4が発生する場合、すなわち第1または第2の処理を行った場合であっても、本実施例の搬送手段5はリニア駆動によってキャリア4を個別に移動させることで、
図3において示したように、空キャリア4の位置に良品を収容した新たな実キャリア4を移動させることができるため、欠品を生じさせることなく容器2をケース3に収容することができる。
【0028】
図4は第2実施例にかかる容器処理装置1の構成図を示しており、以下に説明する搬送手段5の構成を除き、容器供給手段6、フィラ7、キャッパ8、リジェクト手段10、ケーサ11の構成は第1実施例のものと同じ構成となっている。
本実施例の搬送手段5は、上記レール12における上記リジェクト手段10とケーサ11との間に分岐通路21を設けたものとなっており、当該分岐通路21の下流側の端部は、循環経路を形成しているレール12における上記ケーサ11の下流側となる位置で合流するように設けられている。
また上記レール12と上記分岐通路21との分岐位置には、制御手段によって制御される図示しない切替手段が設けられており、制御手段は任意のキャリア4を上記切替手段によって分岐通路21に移動させることが可能となっている。
ここで上記分岐通路21においても、上記キャリア4はリニア駆動によって駆動されるようになっている。
【0029】
上記構成を有する第2実施例においても、上記第1実施例と同様、上記リジェクト手段10において上記第1~第4の処理を行うが、第1または第2の処理により容器2の収容されていない空キャリア4が発生した場合に、以下の動作を行う点で異なっている。
上記リジェクト手段10において空キャリア4が発生すると、搬送手段5は当該空キャリア4を移動させるが、上記切替手段により当該空キャリア4を分岐通路21に移動させるようになっている。
この空キャリア4は上記分岐通路21を移動した後、再び上記ケーサ11の下流側となる位置で上記レール12に復帰するため、当該キャリア4は上記ケーサ11を通過せずにレール12に復帰するものとなっている。
その結果、上記ケーサ11には空キャリア4が移動することがなく、実キャリア4のみが移動されることになり、
図3に示すような処理を行うことなく、4つのキャリア4から8個の容器2を取り出し、欠品を生じさせることなくケース3に収容することが可能となる。
【0030】
このように、第2実施例も第1実施例と同様、検査手段9において不良品と判定された容器2を収容したキャリア4については、上記リジェクト手段10において上記第1~第4の処理を行うことにより、容器2の収容されていない空キャリア4か、もしくは良品だけを収容した実キャリア4を発生させるようになっている。
一方、第2実施例によれば空キャリア4がケーサ11に移動されることがないため、ケーサ11における複雑な動作を要することなく、欠品を生じさせずに容器2をケース3に収容することができる。
【0031】
なお上記実施例では、リジェクト手段10においてストックエリアSに良品が載置されていない場合には、上述した第1、第2の処理を行うことにより、良品をキャリア4から取り除く処理を行っているが、例えば作業者が予めストックエリアSに複数本の良品を載置しておくことで、第3、第4の処理により良品だけが収容された実キャリア4を発生させることができる。
これにより、第1実施例においてはケーサ11における
図3に示すような処理が不要となり、また第2実施例においては上記分岐通路21が不要となる。
また、生産開始時においては、例えキャリア4に良品のみが収容されていたとしても良品が所定本数(例えば5本)以上ストックエリアに貯留されるまで、キャリア4から全ての容器2を抜き出すことにより空キャリア4のみを下流へと移動させるように制御しても良い。
【0032】
さらに、上記実施例では一つのキャリア4に2つの容器2を収容するようにしているが、例えば3つや4つなど、それ以上の個数の容器2を収容するようにしてもよい。
この場合であっても、キャリア4に一つでも不良品があれば、上記リジェクト手段10における上記第1の処理として、当該キャリア4に収容されている全ての不良品を上記リジェクトエリアRに移載するとともに、その他の全ての良品を上記ストックエリアSに移載すればよい。
また第3の処理として、当該キャリア4に複数の空の収容部4aが生じた場合には、当該空の収容部4aの全てにストックエリアSに載置された良品を収容すればよい。
このようにすることで、リジェクト手段10からは空キャリア4か、もしくは良品のみを収容したキャリア4が得られることとなり、ケーサ11において欠品を生じさせることなく容器2をケース3に収容数することができる。
また、上記実施例ではキャリア4を個別に移動させるためにリニア駆動を用いているが、搬送手段5として必ずしもリニア駆動を採用する必要はない。
【符号の説明】
【0033】
1 容器処理装置(物品処理装置) 2 容器(物品)
3 ケース 4 キャリア
4a 収容部 5 搬送手段
6 容器供給手段 9 検査手段
10 リジェクト手段 11 ケーサ(移載手段)
21 分岐通路 R リジェクトエリア
S ストックエリア