(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】持参薬仕分装置及び持参薬仕分方法
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
(21)【出願番号】P 2022522196
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2021018222
(87)【国際公開番号】W WO2021230318
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2020085364
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020124572
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021080598
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】湯山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】家田 啓史
(72)【発明者】
【氏名】天野 弘和
(72)【発明者】
【氏名】▲すぎ▼本 知大
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-025870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1人の患者に対して処方された薬剤であって、その後医療機関に持参された複数種類の持参薬のうちの、所定の服用時期に服用するものとして処方された薬剤である少なくとも1つの第1持参薬が人により収容される区画と、前記所定の服用時期以外に服用するものとして処方された残余の第2持参薬が人により収容される区画とを、有する第1収容部と、
同一の種類とみなされる持参薬毎に、前記患者の前記第1持参薬及び前記第2持参薬を収容する第2収容部と、
前記第1収容部から取り出された前記第1持参薬又は前記第2持参薬を撮像する撮像部と、
前記第1持参薬を撮像した画像から抽出した前記第1持参薬の少なくとも1つの特徴を示す参照データ、又は、当該特徴に基づく情報を示す参照データを決定する決定部と、
前記第2持参薬を撮像した画像から抽出した前記第2持参薬の少なくとも1つの特徴を、前記参照データと照合する第1照合部と、
前記第1照合部の照合結果に基づき、前記第2持参薬を前記第2収容部に収容する仕分部と、を備え、
前記仕分部は、
前記第1収容部において前記第1持参薬が収容された区画から取り出された全ての前記第1持参薬について、同一の種類とみなされる前記第1持参薬毎に仕分けて、前記第2収容部に収容した後、
前記第1収容部において前記第2持参薬が収容された区画から取り出された前記第2持参薬について、前記第1照合部の照合結果に基づき、前記第2収容部において前記第1持参薬が収容された区画と同一の区画に、当該区画に収容された前記第1持参薬と同一の種類とみなされる第2持参薬を収容し、
前記第1収容部には、前記第1持参薬及び前記第2持参薬が人により患者単位で区分けして収容されており、
前記第1収容部における第1持参薬及び第2持参薬の収容位置と、前記第2収容部において第1持参薬及び第2持参薬が収容される収容領域とが患者単位で紐付けられた収容位置データが記憶部に記憶されており、
前記撮像部は、前記第1収容部から患者単位で取り出された前記第1持参薬又は前記第2持参薬を撮像し、
前記仕分部は、前記収容位置データに基づき、患者単位で、前記第1持参薬の仕分位置を決定し、前記第1照合部の照合結果に基づき、患者単位で、前記第2持参薬を前記第2収容部に収容する、持参薬仕分装置。
【請求項2】
前記第1持参薬の少なくとも1つの特徴を、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベースと照合することにより、前記第1持参薬の種類を絞込む第2照合部を備え、
前記決定部は、前記第2照合部の照合により取得した、前記薬剤データベースで前記第1持参薬の薬剤データとして管理されている複数の特徴を、前記参照データとして決定する、請求項1に記載の持参薬仕分装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記第1持参薬の少なくとも1つの特徴を前記参照データとして決定する、請求項1に記載の持参薬仕分装置。
【請求項4】
前記第1持参薬は、前記所定の服用時期である所定の服用日に前記患者が服用するものとして処方され、持参された薬剤であり、
前記第2持参薬は、前記所定の服用日以外の服用日に前記患者が服用するものとして処方され、持参された薬剤である、請求項1から3の何れか1項に記載の持参薬仕分装置。
【請求項5】
前記第1持参薬は、前記所定の服用時期である、所定の服用日における所定の時間に、前記患者が服用するものとして処方され、持参された薬剤であり、
前記第2持参薬は、前記所定の時間以外の時間に前記患者が服用するものとして処方され、持参された薬剤である、請求項1から3の何れか1項に記載の持参薬仕分装置。
【請求項6】
前記第2収容部の同一区画に収容された前記第1持参薬及び前記第2持参薬毎に、前記第1持参薬及び第2持参薬を分包する分包部を備える、請求項1から5の何れか1項に記載の持参薬仕分装置。
【請求項7】
前記仕分部は、患者単位で、前記第1持参薬及び前記第2持参薬を前記第2収容部に収容し、
前記分包部は、前記患者単位で、前記第1持参薬及び前記第2持参薬を分包する、請求項6に記載の持参薬仕分装置。
【請求項8】
1人の患者に対して処方された薬剤であって、その後医療機関に持参された複数種類の持参薬のうちの、所定の服用時期に服用するものとして処方された薬剤である少なくとも1つの第1持参薬が人により収容される区画と、前記所定の服用時期以外に服用するものとして処方された残余の第2持参薬が人により収容される区画とを、有する第1収容部と、
同一の種類とみなされる持参薬毎に、前記患者の前記第1持参薬及び前記第2持参薬を収容する第2収容部と、を備える持参薬仕分装置により実行される持参薬仕分方法であって、
前記第1収容部から取り出された前記第1持参薬を撮像する第1撮像工程と、
前記第1持参薬を撮像した画像から抽出した前記第1持参薬の少なくとも1つの特徴を示す参照データ、又は、当該特徴に基づく情報を示す参照データを決定する決定工程と、
前記参照データを決定後、前記第1持参薬を前記第2収容部に収容する第1収容工程と、
前記第1収容部から取り出された前記第2持参薬を撮像する第2撮像工程と、
前記第2収容部から取り出された前記第2持参薬を撮像した画像から抽出した前記第2持参薬の少なくとも1つの特徴を、前記参照データと照合する照合工程と、
前記照合工程の照合結果に基づき、前記第2持参薬を前記第2収容部に収容する第2収容工程と、を含み、
前記第2収容工程では、
前記第1収容部において前記第1持参薬が収容された区画から取り出された全ての前記第1持参薬について、同一の種類とみなされる前記第1持参薬毎に仕分けて、前記第2収容部に収容した後、
前記第1収容部において前記第2持参薬が収容された区画から取り出された前記第2持参薬について、前記照合工程での照合結果に基づき、前記第1持参薬が収容された区画と同一の区画に、当該区画に収容された前記第1持参薬と同一の種類とみなされる第2持参薬を収容し、
前記第1収容部には、前記第1持参薬及び前記第2持参薬が人により患者単位で区分けして収容されており、
前記第1収容部における第1持参薬及び第2持参薬の収容位置と、前記第2収容部において第1持参薬及び第2持参薬が収容される収容領域とが患者単位で紐付けられた収容位置データが記憶部に記憶されており、
前記第1撮像工程及び前記第2撮像工程では、前記第1収容部から患者単位で取り出された前記第1持参薬又は前記第2持参薬を撮像し、
前記第1収容工程では、前記収容位置データに基づき、患者単位で、前記第1持参薬の仕分位置を決定し、
前記第2収容工程では、前記照合工程における照合結果に基づき、患者単位で、前記第2持参薬を前記第2収容部に収容する、持参薬仕分方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を仕分ける持参薬仕分装置及び薬剤仕分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、薬剤の画像を撮影する薬剤撮影装置と、薬剤撮影装置により得られた薬剤の画像データに基づき薬剤の鑑別を行うコンピュータと、を備える薬剤鑑別システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の薬剤鑑別システムは、必ずしも、複数の患者の持参薬を種類毎に仕分ける運用に適しているわけではない。
【0005】
本発明の一態様は、自動的に、かつ効率良く持参薬を患者単位で仕分けることが可能な持参薬仕分装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る持参薬仕分装置は、1人の患者に対して処方された薬剤であって、その後医療機関に持参された複数種類の持参薬のうちの、所定の服用時期に服用するものとして処方された薬剤である少なくとも1つの第1持参薬と、残余の第2持参薬とを、それぞれ区分けして収容すると共に、前記第1持参薬及び前記第2持参薬を患者単位で区分けして収容する第1収容部と、前記患者単位で、かつ同一の種類とみなされる持参薬毎に、前記患者の前記第1持参薬及び前記第2持参薬を収容する第2収容部と、前記第1収容部から取り出された、同一患者の前記第1持参薬又は前記第2持参薬を撮像する撮像部と、前記第1持参薬を撮像した画像から抽出した前記第1持参薬の少なくとも1つの特徴を示す参照データ、又は、当該特徴に基づく情報を示す参照データを決定する決定部と、前記第2持参薬を撮像した画像から抽出した前記第2持参薬の少なくとも1つの特徴を、前記参照データと照合する第1照合部と、前記第1持参薬を前記第2収容部に収容すると共に、前記第1照合部の照合結果に基づき、前記第1持参薬が収容された区画と同一の区画に、前記第1持参薬と同一の種類とみなされる第2持参薬を収容する仕分部と、を備える。
【0007】
さらに、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る持参薬仕分方法は、1人の患者に対して処方された薬剤であって、その後医療機関に持参された複数種類の持参薬のうちの、所定の服用時期に服用するものとして処方された薬剤である少なくとも1つの第1持参薬と、残余の第2持参薬とを、それぞれ区分けして収容する第1収容部と、同一の種類とみなされる持参薬毎に、前記患者の前記第1持参薬及び前記第2持参薬を収容する第2収容部と、を備える持参薬仕分装置により実行される持参薬仕分方法であって、
前記第1収容部から取り出された前記第1持参薬を撮像する第1撮像工程と、前記第1持参薬を撮像した画像から抽出した前記第1持参薬の少なくとも1つの特徴を示す参照データ、又は、当該特徴に基づく情報を示す参照データを決定する決定工程と、前記参照データを決定後、前記第1持参薬を前記第2収容部に収容する第1収容工程と、前記第1収容部から取り出された前記第2持参薬を撮像する第2撮像工程と、前記第2収容部から取り出された前記第2持参薬を撮像した画像から抽出した前記第2持参薬の少なくとも1つの特徴を、前記参照データと照合する照合工程と、前記照合工程の照合結果に基づき、前記第1持参薬が収容された区画と同一の区画に、前記第1持参薬と同一の種類とみなされる第2持参薬を収容する第2収容工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、自動的に、かつ効率良く持参薬を患者単位で仕分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】薬剤仕分装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図5】分包機構による分包の一例及び変形例を示す図である。
【
図6】薬剤仕分装置による持参薬の仕分及び分包処理の流れの一例を示す図である。
【
図8】目視監査前分包モードにおける分包処理の一例を説明するための図である。
【
図9】目視監査後分包モードにおける分包処理の一例を説明するための図である。
【
図10】持参薬鑑別結果を表示する鑑別結果画像の一例を示す図である。
【
図11】実施形態2の薬剤払出システムの構成例を示す図である。
【
図12】実施形態2の薬剤仕分装置の制御部の一例を示す図である。
【
図13】実施形態2の薬剤仕分装置による仕分けの結果の一例と、薬剤仕分装置が仕分けた薬剤を分包した薬包の一例と、を示す図である。
【
図14】実施形態2の薬剤仕分装置による仕分けの結果の別例と、薬剤仕分装置が仕分けた薬剤を分包した薬包の別例と、を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態1]
〔薬剤仕分装置1の概要〕
まず、薬剤仕分装置1(持参薬仕分装置)の概要について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、薬剤仕分装置1の全体構成を示すブロック図である。
図2は、薬剤仕分装置1の構成例を示す図であり、2001は薬剤仕分装置1の斜視図であり、2002は、薬剤仕分領域2の基本構成を示す斜視図である。
図1及び
図2に示すように、薬剤仕分装置1は、薬剤仕分領域2、タッチパネル3、印刷出力部4、第1RFID(Radio Frequency Identifier)リーダ・ライタユニット5、分包機構6(分包部)、及び第2RFIDリーダ・ライタユニット18を備える。
【0011】
薬剤仕分装置1は、複数種類の薬剤のそれぞれについて撮像し、撮像の結果得られた画像に基づき、薬剤の種類を判別し、種類毎に薬剤を仕分ける。薬剤仕分領域2においてこの処理が行われる。薬剤仕分領域2(薬剤仕分装置1の内部構成)については後述する。なお、種類毎に仕分けられた薬剤は、ユーザによる目視鑑査が行われた後、分包されたり、薬剤棚又は分包機へと返却されたりする。
【0012】
本実施形態では、複数種類の薬剤は、容器等に収容されていない薬剤、又は包装等が施されていない薬剤であり、その一例として、錠剤又はカプセルであるものとして説明する。また、複数種類の薬剤が返品された薬剤であるものとして説明する。返品された薬剤は、複数の患者のそれぞれに処方される対象となる薬剤、又は当該患者のそれぞれに処方された調剤後の薬剤である。当該薬剤は、薬局又は病院における採用薬が当該薬局又は病院にて「返品薬」として返品される薬剤、又は、当該採用薬以外に、他の薬局又は病院で発行された薬剤も含み得る「持参薬」である。持参薬は、ある医療機関において患者に一旦処方された薬剤(採用薬)であって、その後、当該患者が入院等のために別の医療機関に持参した、当該患者が服用中の薬剤である。薬剤仕分装置1は、薬剤が返品された後、撮像から仕分までの処理を自動的に行うことが可能である。
【0013】
また、上記薬剤の種類の判別は、薬剤の種類を一意に判別することに限らず、薬剤の少なくとも1つの特徴(例:色、形状、大きさ)に基づき同一の種類とみなされる否かを判別することを指しても構わない。同一の種類とみなされる場合、少なくとも1つの特徴が同一又は類似する複数の種類が判別結果として得られても構わない。
【0014】
タッチパネル3は、操作部31にて各種ユーザ入力を受け付けるとともに、表示部32にて各種画像(例:薬剤仕分の推移を示す画像、目視鑑査用の画像)を表示する。印刷出力部4は、目視鑑査後のユーザ入力に従って、目視鑑査後の薬剤に関する薬剤データ(例:薬剤名及び患者名を示すデータ)を表すジャーナルを印字する。薬剤データには、薬剤固有の画像を示す画像データが含まれていてもよい。
【0015】
分包機構6は仕分けられた薬剤を分包する。薬剤仕分装置1が分包機構6を備えることにより、返品された薬剤の仕分から、目視鑑査を経た後の分包までの処理を、薬剤仕分装置1で一括して行うことが可能となる。特に、搬送・仕分ユニット12により分包機構6へ薬剤が投入される場合には、目視鑑査を除き、上記仕分から分包までの処理を自動で行うことができる。
【0016】
分包機構6としては、従来から用いられている錠剤分包機又は散薬分包機の分包部を採用することが可能である。この場合、例えば、同一薬種毎に仕分けられた仕分カップ141内の薬剤を、一包又は複数包に分包することができる。
【0017】
なお、本願明細書を通して、少なくとも薬剤仕分装置1の説明において用いられる「分包」には、「処方データに基づいて服用時間毎に分けて薬剤を包装する」という意味と、「処方データに関係なく、第2収容部14に仕分けられた薬剤を単に包装する」という意味と、が包含されることに留意されたい。
【0018】
第1RFIDリーダ・ライタユニット5は、
図2の2002に示すように、台座19の、薬剤の取出し側に設けられている。第1RFIDリーダ・ライタユニット5は、第2収容部14の各仕分カップ141の底部に設けられたRFIDタグ(不図示)に記憶された、各仕分カップ141に格納された薬剤に関するデータを読取る。当該データとしては、例えば、格納された薬剤の個数を示すデータ、薬剤を識別するための薬剤識別データ(例:GS1コード)、及び、仕分カップ141を識別するための仕分カップ識別情報(RFIDタグに付与された識別情報)が挙げられる。なお、仕分カップ141に格納された薬剤の薬剤データ(例:薬剤名)、及び撮像ユニット13が取得した画像等については、仕分カップ識別情報に紐付けて記憶部80に記憶される。
【0019】
また、上記データは、目視鑑査によって決定された薬剤データ(目視鑑査後の薬剤データ)を含んでもよい。また、上記RFIDタグに目視鑑査後の薬剤データを書込んでもよい。目視鑑査後の薬剤データは、対応する仕分カップ141に格納された薬剤を、(1)分包機構6、もしくは薬剤仕分装置1とは異なる分包機で分包する時、又は(2)薬剤棚へ返却する時に用いられる。なお、これらの薬剤データも、仕分カップ識別情報に紐付けて薬剤データベースに記憶されてよい。
【0020】
第2RFIDリーダ・ライタユニット18は、第1RFIDリーダ・ライタユニット5と同様、RFIDタグへの各種データの書込み、又はRFIDタグに記憶された各種データの読出しを行う。第2RFIDリーダ・ライタユニット18は、第2収容部14の下側に設けられている。具体的には、各仕分カップ141のRFIDタグに記憶された薬剤に関するデータの読取り又は書込み時に、各仕分カップ141の底部と対向するように設けられる。
【0021】
また、薬剤仕分装置1は、バーコードリーダ7を備えていても構わない。バーコードリーダ7は、例えば、分包機構6が仕分後の薬剤を分包した薬包(分包紙)に印刷した、当該薬剤の薬剤データを示すバーコードを読取る。これにより、制御部60aは、読取ったバーコードに基づく処理を行うことができる。なお、分包機構6は、薬包に分包した薬剤の薬剤データを示すバーコードを、当該薬包に印刷するバーコード印刷機構(不図示)を備えていても構わない。
【0022】
なお、バーコードリーダ7は、薬包等に印刷された薬剤データを示す情報を読取り可能な読取装置であればよい。また、薬剤仕分装置1がバーコードリーダ7を備える必要は必ずしもない。制御部60aが上記情報に基づく処理を行う場合、制御部60aは、バーコードリーダ7を備える外部装置との通信により上記情報を取得すればよい。
【0023】
また、
図2の2001に示すように、薬剤仕分装置1は、薬剤の取出し側を開閉可能とする開閉シャッター51と開閉扉52とを備えている。
【0024】
〔薬剤仕分領域2の基本構成〕
次に、
図1及び
図2の2002を用いて、薬剤仕分領域2の基本構成(薬剤仕分装置1の内部構成)について説明する。
【0025】
図1及び
図2の2002に示すように、薬剤仕分領域2は、ハードウェアとして主に、第1収容部11、搬送・仕分ユニット12(仕分部)、撮像ユニット13、第2収容部14、待機トレイ15、回収トレイ16、及び薬剤投入口17を備える。搬送・仕分ユニット12を除く各部材は台座19に設けられている。
【0026】
第1収容部11は、ユーザによって返品された複数種類の薬剤を混在した状態で収容する。本実施例では、第1収容部11は、複数の収容部に分割されている。この場合、例えば、1つの収容部に収容された薬剤の全てが搬送・仕分ユニット12によって搬送されると、当該収容部に隣接する収容部に収容された薬剤が搬送対象となる。また、第1収容部11がZ軸(円柱形状の中心)に対して回動可能に設けられてもよい。この場合、制御部60aは、例えば1つの収容部が空になったタイミングで、搬送・仕分ユニット12が薬剤を取得しやすいように第1収容部11を回動させてもよい。
【0027】
図3は、第1収容部11の構成例を示す図である。
図3の3001の例では、第1収容部11は、容積が略同一の4つの収容部111~114を有する。
図3の3002の例では、第1収容部11では、
図3の3001に示す4つの収容部のうちの2つの収容部111及び113は、更に3等分に分割され、それぞれ3つの小収容部111a~111c、3つの小収容部113a~113cを有する。
図3の3001に示す第1収容部11は、主として返品薬を仕分ける場合に使用され、
図3の3002に示す第1収容部11は、主として持参薬を仕分ける場合に使用される。これに限らず、例えば、
図3の3001に示す第1収容部11は、持参薬を仕分ける場合に使用されても構わない。持参薬を仕分ける場合の第1収容部11の使用方法については後述する。
【0028】
搬送・仕分ユニット12は、第1収容部11に収容された薬剤を、撮像ユニット13が薬剤を受け入れる受入領域まで搬送させる。搬送・仕分ユニット12は、第2カメラ121、吸着・シャッター機構122、及び搬送機構123を備える。
【0029】
第2カメラ121は、搬送対象とする薬剤を特定するために、第1収容部11を逐次撮像する。第2カメラ121は、搬送・仕分ユニット12の(具体的には、少なくとも吸着・シャッター機構122を含む筐体の)、台座19と対向する側の端部に設けられる。第2カメラ121は、後述の吸着機構の先端部に設けられてもよい。
【0030】
吸着・シャッター機構122は、搬送対象として特定された薬剤を吸着する吸着機構と、吸着機構が吸着した薬剤が落下することを防止するシャッター機構とを含む。吸着機構はZ軸方向に移動可能に設けられる。シャッター機構は上記端部の前方に、XY平面と略平行に移動可能に設けられる。
【0031】
吸着機構は、薬剤取得時に、上記端部から延伸して、その先端部において、特定された薬剤を吸着した後、上記端部の位置まで戻る。この状態において、シャッター機構は、上記端部と対向する位置に移動し、薬剤搬送中、シャッター機構の位置を維持する(閉状態)。吸着・シャッター機構122が、上記受入領域に配置された薬剤保持機構133の薬剤載置台133aと対向する位置まで移動すると、シャッター機構は、上記端部と対向しない位置に移動する(開状態)。そして、吸着機構は、上記端部から延伸させた後、吸着状態を解除することにより、薬剤載置台133aに薬剤を載置する。
【0032】
搬送機構123は、X軸及びY軸方向に吸着・シャッター機構122を移動させる。この搬送機構123により、第1収容部11上での搬送対象となる薬剤の探索時の吸着・シャッター機構122の動き、又は第1収容部11から薬剤載置台133aまでの薬剤搬送が可能となる。また、薬剤載置台133aから、第2収容部14、待機トレイ15又は回収トレイ16への薬剤搬送が可能となる。
【0033】
撮像ユニット13は、薬剤載置台133aに載置され、撮像対象となる薬剤を配置する配置領域(撮像領域)に配置された薬剤を撮像する。撮像ユニット13は、第1カメラ131(撮像部)、回転機構132、薬剤保持機構133、及び照明器134を備える。
【0034】
第1カメラ131は、制御部60aが薬剤の種類を判別するために、第1カメラ131と対向する配置領域に配置された薬剤を撮像する。照明器134は、薬剤の撮像時に、薬剤に照射される光を出射する。
【0035】
回転機構132は、撮像対象となる薬剤が配置される配置領域(当該位置に配置された薬剤載置台133a)の周囲を旋回するように第1カメラ131を回動させる。第1カメラ131は、回転機構132が回動させた複数の位置から、配置領域に配置された薬剤を撮像する。具体的には、第1カメラ131及び照明器134を含む撮像機構を、配置領域の周囲を旋回するように回動させる。そのため、配置領域に対する第1カメラ131及び照明器134の位置関係を維持したまま、第1カメラ131が複数の方向から薬剤を撮像できる。
【0036】
薬剤保持機構133は、薬剤を保持する機構である。薬剤保持機構133は、Z軸を回転軸として旋回しかつZ軸と略垂直に延伸する軸部と、軸部の各先端部に設けられた2つの薬剤載置台(シャーレ)133aと、を備える。軸部が旋回することにより、2つの薬剤載置台133aが上記受入領域(回収トレイ16側)と上記配置領域との間で移動できる。
【0037】
具体的には、一方の薬剤載置台133aに第1収容部11から搬送された薬剤が載置されると、薬剤保持機構133は、一方の薬剤載置台133aを上記受入領域から上記配置領域へと移動させる。このとき、他方の薬剤載置台133aは、上記配置領域から上記受入領域へと移動する。その後、第1カメラ131は、一方の薬剤載置台133aに載置された薬剤を撮像する。薬剤載置台133aは透明性を有するため、第1カメラ131は、薬剤載置台133aに載置された薬剤を、薬剤載置台133aを通して多方面から撮像できる。撮像が完了すると、一方の薬剤載置台133aは上記配置領域から上記受入領域へと移動し、他方の薬剤載置台133aは上記受入領域から上記配置領域へと移動する。他方の薬剤載置台133aに薬剤が載置されていなければ、上記撮像中に、他方の薬剤載置台133aに第1収容部11から搬送された薬剤を載置できる。これにより、第1カメラ131は、連続的に薬剤を撮像できる。
【0038】
第2収容部14は、同一の種類とみなされる薬剤毎に、薬剤を収容する。第2収容部14には、複数の薬剤を種類毎に収容できるように、複数の区画(薬剤の収容位置)が設けられている。具体的には、第2収容部14には、着脱可能に載置された複数の仕分カップ141が備えられている。制御部60aは、撮像ユニット13で撮像された薬剤の画像に基づき薬剤の種類を判別し、その判別結果に基づき当該薬剤を格納する仕分カップ141を決定する。当該薬剤は、その決定された仕分カップ141に搬送・仕分ユニット12により搬送され、格納される。
【0039】
待機トレイ15は、薬剤が仮置きされる仮収容部である。例えば、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、制御部60aにより、各仕分カップ141に格納された薬剤の種類以外の種類であると判別された薬剤が、待機トレイ15に仮置きされる。待機トレイ15に収容された薬剤は、仕分カップ141から薬剤が取り除かれた後、待機トレイ15から当該仕分カップ141に搬送されてもよい。
【0040】
回収トレイ16は、制御部60aにより種類が判別できなかった物(例:薬剤以外の異物)を格納する収容部である。薬剤以外の異物としては、例えば、PTP(Press Through Pack)シートの破片が挙げられる。また、制御部60aは、薬剤データベースに廃棄する薬剤として登録されている薬剤、又はユーザが廃棄することを所望する薬剤(例:製造日の古い薬剤)についても、回収トレイ16に格納する。
【0041】
薬剤投入口17は、第2収容部14に格納された薬剤を、搬送・仕分ユニット12により分包機構6へ搬送するためのものである。
【0042】
〔コンピュータの概要〕
また、
図1に示すように、薬剤仕分装置1の上記各部材(ハードウェア)を統括して制御するコンピュータ60を備える。コンピュータ60は、制御部60a及び記憶部80を備える。制御部60aには、搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、決定部64、照合部65、操作入力部66、表示制御部67、RFID制御部68、印刷出力制御部69、及び分包制御部71が含まれる。決定部64の処理については、後述の〔持参薬の仕分処理〕欄において説明する。
【0043】
搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12を制御して、第1収容部11に収容された薬剤を上記受入領域まで搬送させる。具体的には、搬送制御部61は、吸着・シャッター機構122を制御して、吸着・シャッター機構122による薬剤の吸着動作又はリリース動作を実行する。搬送制御部61は、搬送機構123を制御して、X軸及びY軸方向に吸着・シャッター機構122を移動させる。
【0044】
仕分制御部62は、薬剤の種類の判別結果(照合部65による照合結果)に基づき、搬送・仕分ユニット12を制御して、上記受入領域に配置された薬剤を、第2収容部14の所定の仕分カップ141、待機トレイ15、又は回収トレイ16まで搬送する。
【0045】
仕分制御部62は、薬剤の判別結果を受けると、当該薬剤を格納する仕分位置を決定し、当該判別結果と、決定した仕分位置とを紐付けて記憶部80に記憶する。具体的には、仕分制御部62は、上記判別結果と同一の判別結果が記憶部80に記憶されているか否かを判定する。
【0046】
仕分制御部62は、上記判別結果と同一の判別結果が記憶されている場合、記憶されている判別結果に紐付けられた仕分カップ141を、仕分位置として決定する。また、記憶されている判別結果(例:推定薬剤)に紐付けられた仕分位置が待機トレイ15である場合、待機トレイ15を仕分位置として決定する。一方、上記判別結果と同一の判別結果が記憶されていない場合、薬剤未格納の仕分カップ141(仕分位置として未決定の仕分カップ141)を、仕分位置として決定する。仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合には、待機トレイ15を仕分位置として決定する。なお、仕分制御部62は、推定薬剤については、待機トレイ15ではなく、第2収容部14の仕分カップ141の何れかを仕分位置として決定しても構わない。
【0047】
仕分制御部62は、仕分位置を決定すると、搬送制御部61と同様に搬送機構123を制御して、搬送・仕分ユニット12を上記受入領域の上方に移動させる。仕分制御部62は、搬送制御部61と同様、第2カメラ121及び吸着・シャッター機構122を制御して、上記受入領域に配置された薬剤を吸着する。その後、仕分制御部62は、搬送機構123を制御して、決定した仕分カップ141又は待機トレイ15へと薬剤を搬送させる。仕分制御部62は、薬剤を搬送後、吸着を解除することにより、当該仕分カップ141又は待機トレイ15に薬剤を格納する。また、仕分制御部62は、仕分カップ141に格納した薬剤の個数をカウントし、仕分位置に紐づけて記憶部80に記憶する。
【0048】
仕分制御部62が、上記受入領域に配置された薬剤載置台133aの薬剤(判別完了後の薬剤)を仕分位置に搬送した後、搬送制御部61は、第1収容部11に収容されている薬剤を、空になった上記薬剤載置台133aに搬送し、載置する。これにより、薬剤仕分装置1は、薬剤の種類の判別を連続的に行うことができる。
【0049】
また、仕分制御部62は、薬剤の種類を判別できなかった旨の判別結果を受けた場合には、判別後に上記受入領域に配置された物は異物であるため、当該異物を回収トレイ16へと搬送する。
【0050】
なお、仕分制御部62により仕分カップ141に格納された薬剤に関するデータは、第2RFIDリーダ・ライタユニット18によって、当該仕分カップ141に設けられたRFIDタグに記憶される。仕分制御部62は、RFID制御部68に、仕分カップ141に薬剤を格納するたびに、当該薬剤に関するデータを書込ませる。また、仕分制御部62は、当該データを記憶部80に記憶する。
【0051】
撮像制御部63は、搬送・仕分ユニット12が搬送対象とする薬剤を吸着するときに、第2カメラ121による薬剤の撮像を制御する。搬送制御部61及び仕分制御部62は、第2カメラ121により撮像された画像に含まれる薬剤のうちの1つを搬送対象の薬剤として特定する。
【0052】
また、撮像制御部63は、撮像ユニット13による上記配置領域における薬剤の撮像と、第1カメラ131及び照明器134の旋回移動と、薬剤保持機構133の移動とを制御する。撮像制御部63は、第1カメラ131が撮像した画像を記憶部80に記憶する。
【0053】
照合部65は、第1カメラ131により撮像された薬剤の画像に基づき、薬剤の種類を判別する判別部として機能する。具体的には、照合部65は、撮像された薬剤の画像を解析することにより、当該画像に含まれる薬剤の特徴を抽出する。薬剤の特徴としては、例えば、大きさ、形状、刻印、プリント、割線、代表色(刻印又はプリントが付された領域の色)が挙げられる。OCR(Optical Character Recognition)等を行った場合には、薬剤の特徴として、刻印又はプリントにより表された薬剤名(例:識別コード)又は製造元を示す識別情報(薬剤を識別する識別情報)、使用期限等のその他の情報が抽出される。照合部65は、抽出した各薬剤の特徴を示す情報を、薬剤の画像に紐づけて記憶部80に記憶する。なお、薬剤の特徴抽出は、公知の技術により行われてもよい。
【0054】
照合部65は、各薬剤の特徴を薬剤データベースと照合することにより薬剤の種類を判別する。例えば、照合部65は、代表色に基づいて、薬剤データベースの中から、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補を順位づけする。その後、照合部65は、上記順位に従って、他の特徴に基づく種類の判別を行う。
【0055】
また、照合部65は、抽出した薬剤の特徴に基づいて、パターンマッチング等を用いて、薬剤データベースの中から、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補を絞込んでも構わない。この場合、例えば、上述した大きさ、形状、刻印、プリント、割線、及び代表色の少なくとも1つを用いて薬剤データの候補を絞込む。その後、照合部65は、OCR等を行い、刻印又はプリントに表された識別情報等を読取り、パターンマッチング等を用いて上記候補の中から薬剤の種類をさらに絞込む。また、照合部65は、抽出した薬剤の特徴と、薬剤データベースに含まれる薬剤の特徴との一致度に基づき、上記候補の順位づけを行っても構わない。
【0056】
また、照合部65は、パターンマッチング等を用いて抽出した薬剤の特徴(対象特徴)が薬剤データベースに無い場合であっても、対象特徴の少なくとも一部に基づき薬剤(錠剤又はカプセル)であると推定される場合、薬剤の種類を推定薬剤として判別する。この場合、推定薬剤も、第2収容部14又は待機トレイ15への仕分対象とすることができる。
【0057】
また、照合部65は、対象特徴の少なくとも1つを、それまでに抽出した薬剤の特徴(照合用特徴)の少なくとも1つと照合し、その照合結果に基づいて、薬剤の種類を判別しても構わない。具体的には、照合部65は、仕分カップ141に仕分けられた薬剤の画像を基準画像とした場合、その後取得された画像に含まれる薬剤の特徴(対象特徴)については、基準画像に含まれる薬剤の特徴(照合用特徴)と対比する。これにより、基準画像を薬剤データベースの代わりに用いて上記の照合を行うことができるので、薬剤データベースに薬剤が事前登録されていなくても、仕分カップ141への薬剤仕分処理が可能となる。
【0058】
照合部65は、薬剤の種類の判別結果を仕分制御部62に出力する。例えば、薬剤の種類を1つに特定できた場合、又は所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する。この場合、照合部65は、当該薬剤に関する薬剤データを、当該薬剤の画像に紐づけて記憶部80に記憶する。
【0059】
照合部65は、薬剤の種類を推定薬剤として判別した場合には、薬剤の特徴(推定薬剤として推定された物の特徴)を判別結果として出力する。一方、照合部65は、薬剤データベースに廃棄する薬剤として登録された薬剤であると判別した場合、又は第1収容部11に収容された物が薬剤以外の異物であると判別した場合、仕分対象外の薬剤である旨を判別結果として出力する。
【0060】
操作入力部66及び表示制御部67は、それぞれタッチパネル3の操作部31及び表示部32を制御する。RFID制御部68は、第1RFIDリーダ・ライタユニット5及び第2RFIDリーダ・ライタユニット18を制御する。印刷出力制御部69は、操作入力部66が受け付けたユーザ入力に従って、印刷出力部4を制御する。
【0061】
分包制御部71は、搬送・仕分ユニット12を制御して、仕分カップ141に格納された薬剤を薬剤投入口17まで搬送する。また、分包制御部71は、分包機構6を制御して、各仕分カップ141に収容された薬剤を分包する。
【0062】
また、コンピュータ60は記憶部80を備える。記憶部80には、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベース(薬剤マスタ)が予め記憶されていると共に、第1カメラ131が撮像した薬剤の画像等が記憶される。撮像制御部63によって画像処理が施された画像が薬剤の画像として記憶されても構わない。
【0063】
なお、記憶部80に記憶された各種データは、記憶部80にて管理されていなくてもよく、例えば外部装置で管理されてもよい。この場合、制御部60aは、上記各種データを、必要に応じて、インターネット等の通信回線を通じて当該外部装置から取得してもよい。また、薬剤データベースは、新たな薬剤データが追加されることにより、更新されてもよい。
【0064】
〔持参薬の仕分・分包処理(薬種毎仕分モード設定)〕
本実施形態の薬剤仕分装置1では、返品薬を自動で仕分ける返品薬仕分モードと、持参薬を自動で仕分ける持参薬仕分モードと、を設定可能である。
【0065】
返品薬仕分モードでは、薬剤仕分装置1は、上述したように、第1収容部11に収容された複数種類の薬剤を1つずつ取り出し、取り出した薬剤の画像に基づき当該薬剤の種類を判別する。薬剤仕分装置1は、その判別結果に基づき、第2収容部14、待機トレイ15、及び回収トレイ16の何れかに薬剤を搬送する。従って、返品薬仕分モードでは、第1収容部11には、複数種類の薬剤が任意に収容されてよく、第1収容部11に複数の収容部が設けられている必要は必ずしもない。また、返品薬の場合、その仕分処理を待機する患者が存在するわけではないため、早急に患者に返却するという目的において仕分処理の効率を高めなくてもよい。
【0066】
一方、持参薬は、持参薬を持参した患者に対して医師が新たに処方を作成するために必要となる。医師は、例えば、持参薬の種類と手術内容とを勘案し、持参薬の中に服用を中止すべき薬剤が存在するかどうかを確認した上で、新たな処方を作成する。また、この処方の作成のために、持参薬については薬剤師による鑑別が行われる。そのため、薬剤仕分装置1が持参薬を患者単位で種類毎に仕分けることにより、薬剤師の鑑別及び医師の処方作成の業務を支援できる。但し、医師の処方作成は、持参薬を取得してから可能な限り早く行われることが好ましいことを考慮すれば、薬剤仕分装置1による持参薬の仕分処理は、返品薬の場合と比べ、効率良く行われることが好ましい。
【0067】
ここで、持参薬仕分モードが選択される場合、本実施形態の薬剤仕分装置1では、更に、薬種毎仕分モードと薬種鑑別モードとを選択可能である。薬種毎仕分モードは、同一の種類とみなした持参薬毎に持参薬を仕分けた後、種類毎に持参薬を分包するモードである。薬種鑑別モードは、持参薬を服用時間毎に再分包するモードである。ここではまず、薬種毎仕分モードにおける、薬剤仕分装置1による持参薬の収容方法、仕分処理、及び分包処理について説明する。
【0068】
≪持参薬の仕分処理≫
薬種毎仕分モードが選択される場合、第1収容部11は、持参薬を患者単位で区分けして収容するものとして機能する。また、第1収容部11は、ある医療機関において1人の患者に対して処方された薬剤であって、その後別の医療機関に持参された複数種類の持参薬のうちの少なくとも1つの第1持参薬と、残余の第2持参薬とを、それぞれ区分けして収容するものとして機能する。
【0069】
例えば、
図3の3002の例では、収容部111及び112が、ある1人の患者PAが持参した持参薬を収容する収容部として機能し、収容部113及び114が、患者PAとは別の患者PBの持参薬を収容する収容部として機能する。
【0070】
ここで、患者PA及びPBには複数日数服用分の薬剤が処方されており、1日毎に複数回の服用時間が設定されているものとする。各日の同一服用時間に服用される薬剤の種類は同一であるものとする。複数の服用日のうちの特定の1日を、「所定の服用日」と称する。所定の服用日は、例えば服用開始日であるが、それ以外の特定の1日であってもよい。
【0071】
小収容部111a~111cのそれぞれは、第1持参薬として、所定の服用日(所定の服用時期)における複数の服用時間のそれぞれにおいて患者PAが服用するものとして処方され、持参された持参薬を収容するものとして機能する。例えば、小収容部111aに、ある服用日の朝服用分の持参薬、小収容部111bに当該服用日の昼服用分の持参薬、小収容部111cに当該服用日の晩服用分の持参薬が収容される。収容部112は、第2持参薬として、上記所定の服用日以外の服用日において、上記複数の服用時間と同時間に患者PAが服用するものとして処方され、持参された残余の持参薬を収容するものとして機能する。収容部113(小収容部113a~113c)及び収容部114は、収容部111及び112と同様の機能を有し、患者PBの第1持参薬又は第2持参薬をそれぞれ収容するものとして機能する。
【0072】
収容部111に収容される第1持参薬の数は、収容部112に第2持参薬の数以下となる。そのため、第1持参薬の画像に基づき作成される後述の参照データの数を少なくすることができ、第1持参薬の数以上に存在する第2持参薬を、少ない参照データに基づき仕分けることができる。従って、薬剤仕分装置1は、持参薬の仕分処理を効率よく実行できる。
【0073】
なお、第1収容部11の収容部111が、第1持参薬として、所定の服用日に患者PAが服用するものとして処方され、持参された持参薬を収容するものとして機能しても構わない。この場合、収容部112が、第2持参薬として、所定の服用日以外の服用日に患者PAが服用するものとして処方され、持参された残余の持参薬を収容するものとして機能しても構わない。例えば朝及び晩に服用するように処方されている場合、例えば、小収容部111aに、ある服用日の朝服用分の持参薬、小収容部111bに当該服用日の晩服用分の持参薬が収容される。収容部112には、当該服用日以外の服用日の朝及び晩服用分の持参薬(残余の持参薬)が収容される。1日のうちの朝、昼及び晩の何れかに服用するように処方されている場合、小収容部111aに、ある服用日の朝、昼又は晩服用分の持参薬が収容され、収容部112には、当該服用日以外の服用日の朝、昼又は晩服用分の持参薬(残余の持参薬)が収容される。収容部113及び収容部114についても同様に、患者PBの第1持参薬又は第2持参薬をそれぞれ収容するものとして機能する。
【0074】
なお、
図3の3001に示す第1収容部11の収容部111が、第1持参薬として、所定の服用日における所定の時間(所定の服用時期)に患者PAが服用するものとして処方され、持参された持参薬を収容するものとして機能しても構わない。この場合、収容部112が、第2持参薬として、所定の時間以外の時間に患者PAが服用するものとして処方され、持参された残余の持参薬を収容するものとして機能しても構わない。例えば、収容部111には、ある服用日の朝服用分の持参薬が収容され、収容部112には、残余の持参薬が収容される。収容部113及び収容部114についても同様に、患者PBの第1持参薬又は第2持参薬をそれぞれ収容するものとして機能する。この場合も、収容部111に収容される第1持参薬の数を、収容部112に第2持参薬の数以下とすることができる。なお、この場合、患者PA及びPBには少なくとも1日服用分の薬剤が処方されていればよく、1日において複数回の服用時間が設定されていればよい。
【0075】
患者PA及びPBの持参薬の収容箇所は、任意に設定できる。例えば、収容部111及び114が患者PAの持参薬の収容箇所であり、収容部112及び113が患者PBの持参薬の収容箇所であっても構わない。また、小収容部は収容部112及び収容部114に設けられていても構わないし、各小収容部に、どの服用時間の持参薬が収容されても構わない。また、第1収容部11を更に区分けして、第1収容部11に3人以上の患者の第1持参薬及び第2持参薬を患者単位で収容できるようにしても構わない。但し、ある患者の第1持参薬及び第2持参薬が収容される収容部と、別の患者の第1持参薬及び第2持参薬が収容される収容部とを示す収容データは、予め記憶部80に記憶されている。なお、第1収容部11を1人の患者の第1持参薬及び第2持参薬を収容できるようにしても構わない。
【0076】
第2収容部14は、患者単位で、かつ同一の種類とみなされる持参薬毎に、第1持参薬及び第2持参薬を収容するものとして機能する。第2収容部14には、持参薬の収容領域が患者単位で設定されている。
図4は、第2収容部14の平面図である。
図4において一点鎖線で示すように、
図4の例では、4人の患者の持参薬をそれぞれ収容する収容領域として、収容領域AR1~AR4が設定されている。
【0077】
第1収容部11における持参薬の収容位置(持参薬の取出位置)と、第2収容部14における持参薬の収容位置(持参薬が収容される区画)とが患者単位で紐付けられて、収容位置データとして管理されている。収容位置データにおいて、例えば、収容部111及び収容部112と収容領域AR1とが紐付けられ、収容部113及び収容部114と収容領域AR2とが紐付けられて、記憶部80に記憶されている。上記収容領域の大きさ及び数は任意に設定できる。
【0078】
撮像ユニット13は、第1収容部11から患者単位で取り出した第1持参薬又は第2持参薬を撮像するものとして機能する。第1持参薬がそれぞれ複数存在する場合には、撮像ユニット13は、搬送・仕分ユニット12が順次取り出した第1持参薬を撮像する。第2持参薬についても同様である。
【0079】
決定部64は、例えば以下の2つの方法の何れかにより、参照データを決定する。決定部64は、決定した参照データを記憶部80に記憶する。
【0080】
(方法1)決定部64は、第1持参薬を撮像した画像から抽出した第1持参薬の少なくとも1つの特徴(例:上述した大きさ、形状、又は代表色)に基づく情報を示す参照データを決定する。決定部64は、例えば、照合部65による、第1持参薬の少なくとも1つの特徴と薬剤データベースとの照合により取得した、当該第1持参薬の薬剤データとして管理されている複数の特徴を、参照データとして決定する。この場合、照合部65は、上記第1持参薬の複数の特徴を、第2持参薬の少なくとも1つの特徴の対比対象とすることができる。
【0081】
(方法2)決定部64は、第1持参薬の少なくとも1つの特徴を、参照データとして決定する。決定部64は、例えば、第1持参薬の大きさ、形状及び代表色を、参照データとして決定する。
【0082】
制御部60aは、参照データを使用して、第1持参薬の特徴に基づき第2持参薬を仕分けることができればよい。そのため、第1持参薬の種類が精度良く判別又は絞込まれてなくても、同一の種類とみなされる第1持参薬及び第2持参薬が同一の仕分カップ141に収容されればよい。第1持参薬の特徴を薬剤データベースと照合することにより、第1持参薬の種類が精度良く判別又は絞込めるが、薬剤データベースで管理する薬剤データ数は膨大であるため、その分時間を要する。上記方法2により決定部64が第1持参薬の特徴を参照データとして決定することにより、決定部64の処理時間(参照データの作成時間)を短縮できる。
【0083】
照合部65は、第1収容部11に複数の第1持参薬が含まれる場合、個々の第1持参薬の参照データを照合して、当該参照データ同士が同一とみなせるか否かを判定する。照合部65は、照合対象となる2つの第1持参薬の少なくとも1つの特徴の一致度が所定値以上である場合に、上記参照データ同士が同一とみなしてよい。一致度が所定値以上であるか否かを判定する特徴の数、及び所定値は、実験等により設定されてよい。また、第2持参薬の少なくとも1つの特徴と参照データとの対比においても同様に処理されてよい。
【0084】
また、照合部65は、第2持参薬を撮像した画像から抽出した第2持参薬の少なくとも1つの特徴を、決定部64が決定した参照データと照合する第1照合部として機能する。照合部65は、少なくとも第2持参薬については、第2持参薬の特徴を薬剤データベースと照合しない。また、参照データは、第1持参薬の数しか記憶部80に記憶されていない。そのため、第2持参薬の特徴を、薬剤データベースで管理される全ての薬剤データと照合する場合に比べ、その照合時間を短縮できる。また、参照データに含まれる第1持参薬の特徴を絞ることにより(例:第1持参薬の大きさ、形状及び代表色)、上記照合時間を更に短縮できる。
【0085】
また、照合部65は、上記方法1により決定部64が参照データを決定する場合、第1持参薬の少なくとも1つの特徴を薬剤データベースと照合することにより、第1持参薬の種類を絞込む第2照合部として機能する。この場合、照合部65は、第1持参薬の種類を精度良く判別又は絞込むことができ、ひいては第2持参薬の種類を精度良く判別又は絞込むことができる。
【0086】
なお、照合部65は、上記第1照合部及び上記第2照合部の両方の機能を有するものとして説明するが、制御部60aは、上記第1照合部及び上記第2照合部を別機能として備えていても構わない。
【0087】
搬送・仕分ユニット12は、患者単位で第1持参薬及び第2持参薬を第2収容部14に収容する。
【0088】
仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、照合部65による参照データ同士の照合結果に基づき、第2収容部14の各仕分カップ141に格納する。これから仕分カップ141に格納する第1持参薬の参照データが、既に仕分カップ141に格納された第1持参薬の参照データと同一とみなされた場合、仕分制御部62は、これから格納する第1持参薬を、既に第1持参薬が格納された仕分カップ141に格納する。これから仕分カップ141に格納する第1持参薬の参照データが、既に仕分カップ141に格納された第1持参薬の参照データと同一とみなされなかった場合、仕分制御部62は、これから格納する第1持参薬を、未使用の仕分カップ141に格納する。仕分制御部62は、最初の仕分対象の第1持参薬についても、未使用の仕分カップ141に格納する。これにより、仕分制御部62は、第1収容部11に収容された全ての第1持参薬について、同一の種類とみなせる第1持参薬毎に仕分けて第2収容部14に収容できる。
【0089】
また、搬送・仕分ユニット12は、照合部65による、第2持参薬の少なくとも1つの特徴と参照データとの照合結果に基づき、第1持参薬が収容された区画と同一の区画に、第1持参薬と同一の種類とみなされる第2持参薬を収容する。仕分制御部62は、第2持参薬の少なくとも1つの特徴が、何れかの参照データと同一とみなされた場合、搬送・仕分ユニット12を制御して、当該参照データに対応する第1持参薬が格納された仕分カップ141に、第2持参薬を格納する。仕分制御部62は、第2持参薬の少なくとも1つの特徴が、何れの参照データとも同一とみなされなかった場合、搬送・仕分ユニット12を制御して、第2持参薬を未使用の仕分カップ141(第1持参薬が格納されていない仕分カップ141)に格納する。
【0090】
上述のように薬剤データベースの薬剤データの数よりも参照データの数は大幅に少ない。従って、薬剤仕分装置1は、第1収容部11において第1持参薬と第2持参薬とに分けて収容し、第1持参薬の参照データに基づき第2持参薬を仕分けることにより、持参薬の仕分処理を効率よく、かつ短時間に実行できる。
【0091】
ここで、返品薬仕分モードでは、返品された薬剤は、患者の別を問わず、第1収容部11の任意の位置に収容される。薬剤仕分装置1は、第1収容部11に収容された薬剤を1つずつ取り出し、撮像ユニット13による撮像結果に基づき判別した種類毎に、第2収容部14に収容する。一方、持参薬仕分モードの薬種毎仕分モードでは、薬剤仕分装置1は、上述の通り、第1収容部11に患者単位で収容された持参薬を1つずつ取り出し、第2収容部14において患者単位で、同一の種類とみなした持参薬毎に仕分ける。そのため、薬剤仕分装置1は、第2収容部14に収容された持参薬を、患者単位で分包できる。また、ユーザ(例えば薬剤師)は、薬剤仕分装置1によって仕分けられた持参薬を、患者単位で取り扱うことが可能となる。そのため、ユーザは、持参薬の鑑別業務を効率良く行うことができる。また、ユーザは、医師による新たな処方(事後持参薬指示)に従い、持参薬を再利用(再分包)したり、患者又はその介護者に返却したりする業務を、効率良く行うことが可能となる。
【0092】
なお、持参薬が半錠である場合には、制御部60aは、薬剤の種類判定を行わず、まとめて1つの仕分カップ141に格納する。
【0093】
≪目視鑑査≫
持参薬の仕分処理中、又は当該仕分処理の完了後、表示制御部67は、表示部32に各仕分カップ141に格納した持参薬の画像(第1カメラ131が撮像した画像)、及び、持参薬の種類を表示する。第1持参薬の特徴を薬剤データベースと照合している場合には、表示制御部67は、その照合結果(絞込み結果)として持参薬の種類を、表示部32に表示する。また、第1持参薬の特徴を薬剤データベースと照合していない場合には、照合部65は、仕分カップ141に格納された持参薬の何れかの特徴を、薬剤データベースと照合することにより、当該薬剤の種類を絞り込む(種類の判別を行う)。その後、表示制御部67は、絞り込まれた持参薬の種類を、表示部32に表示する。ユーザは、表示部32の表示を視認することにより、持参薬の種類を一意に特定し、その特定結果を、操作部31を介して入力する(目視鑑査)。操作入力部66は、入力された特定結果を仕分カップ識別情報に紐付けて、記憶部80に記憶する。
【0094】
≪持参薬の分包処理≫
分包機構6は、第2収容部14の同一区画に収容された(同一の仕分カップ141に格納された)第1持参薬及び第2持参薬毎に、第1持参薬及び第2持参薬を分包する。そのため、分包機構6は、目視鑑査により特定された種類毎に持参薬に分包できる。また、分包機構6は、患者単位で、上記同一区画に収容された第1持参薬及び第2持参薬毎に、第1持参薬及び第2持参薬を分包する。そのため、分包機構6は、患者単位で分包した持参薬を、ユーザに提供できる。また、持参薬が患者単位でまとめて分包されているため、ユーザは、患者又はその介護者に持参薬を返却しやすい。
【0095】
図5の5001及び5002は、分包機構6による分包の一例を示す図である。上記持参薬の仕分処理によって、患者PAの持参薬(薬剤名:DA1~DA4)が第2収容部14の収容領域AR1に、患者PBの持参薬(薬剤名:DB1~DB4)が第2収容部14の収容領域AR2に、それぞれ収容されているものとする。
図5の5001は、患者PAの持参薬が分包された状態を示す一例であり、
図5の5002は、患者PBの持参薬が分包された状態を示す一例である。
【0096】
分包制御部71は、搬送・仕分ユニット12を制御して、収容領域AR1において、薬剤名DA1の薬剤が格納された仕分カップ141から、薬剤を1つずつ取り出し、薬剤投入口17を介して、分包機構6へと搬送する。以降、薬剤DA1と称する。薬剤名DA2~DA4、薬剤名DB1~DB4の薬剤についても同様である。
【0097】
分包制御部71は、全ての薬剤DA1を仕分カップ141から取り出し、分包機構6まで搬送した後、分包機構6により薬剤DA1を1包に分包する。分包制御部71は、薬剤DA1の分包中又は分包完了後に、搬送・仕分ユニット12を制御して、全ての薬剤DA2を仕分カップ141から取り出し、分包機構6により薬剤DA2を1包に分包する。薬剤DA3及びDA4についても同様に分包していく。分包制御部71は、収容領域AR1(患者PA)の持参薬の分包が完了すると、収容領域AR2(患者PB)の持参薬についても同様に分包していく。
【0098】
分包制御部71は、
図5の5001及び5002に示すように、分包機構6を制御して、各包に、例えば、患者名、薬剤名(薬剤の種類)、薬剤数及び仕分日の情報を印字する。各包への上記情報の印字により、ユーザは、上述した業務を効率良く行うことが可能となる。
【0099】
なお、印刷出力制御部69は、上記情報をジャーナルに印字してもよい。この場合も、ユーザは、ジャーナルを視認することにより、上述した業務を効率良く行うことが可能となる。
【0100】
例えば、手術内容によっては、手術前に患者が服用できない、又は服用を控える必要がある持参薬(中止対象の持参薬)も存在し得る。上記の印字を行うことにより、ユーザは、患者が服用できない持参薬を含む包、又は患者が服用できる持参薬を含む包を、患者又はその介護者に容易に伝達できる。患者又はその介護者も、容易に服用可否を判断できる。そのため、服用できない持参薬を患者が誤って服用してしまう可能性を低減できる。また、ユーザは、服用不可の持参薬を含む包を切り離して、服用可能な持参薬のみを患者又はその介護者に手渡すことも可能となる。このように、患者単位で持参薬を種類毎に分包することにより、上述した持参薬返却等のユーザの外来業務を支援できる。この支援は、例えば手術前に入院する患者の支援ともなる。
【0101】
また、中止対象の持参薬について、ユーザは、当該持参薬が中止対象である旨を、操作部31を介して入力しても構わない。これにより、制御部60aは、中止対象の持参薬を特定できる。そのため、制御部60aは、分包紙又はジャーナルに、服用不可である旨の情報(例:「この薬剤は入院前に服用しない」又は「服用不要」の情報)を、上記情報に追加して印字できる。この場合、ユーザ、患者又はその介護者は、より容易に持参薬の服用可否を判断できる。
【0102】
<持参薬の分包処理の変形例>
図5の5003は、分包機構6による分包の変形例を示す図である。分包機構6は、返品薬仕分モードであっても持参薬仕分モードの薬種毎仕分モードであっても、分包紙の横圧着部分Cr1及び縦圧着部分Cr2を圧着することにより、各包Paに、第2収容部14に収容された薬剤を同一種類毎に分包する。分包機構6は、例えば、分包紙の搬送方向と略垂直方向に延伸し、かつ分包紙を挟み込むように設けられた一対のローラ機構(不図示)により、分包紙を搬送しながら横圧着部分Cr1を圧着すると共に、任意の間隔で縦圧着部分Cr2を圧着する。
【0103】
本変形例では、分包制御部71は、分包機構6を制御して、第2収容部14に収容された持参薬を、処方データに基づき服用時間毎に分包する。この場合、
図5の5003に示すように、分包制御部71は、各包Paに縦圧着部分Cr3(仕切り)を設けることにより、各包Paを第1分包領域Pa1と第2分包領域Pa2とに分割しても構わない。第1分包領域Pa1は、患者が服用可能な持参薬を収容する領域であり、第2分包領域Pa2は、患者が服用不可の持参薬(例:中止対象の持参薬)を収容する領域である。これにより、各包Paに服用時間毎に持参薬を分包する場合であっても、服用可否に応じて持参薬を別々に分包できる。
【0104】
また、分包制御部71は、第1分包領域Pa1に服用可、第2分包領域Pa2に服用不可、といった情報を分包紙に印字しても構わない。これにより、患者が服用不可の持参薬を誤って服用してしまう可能性を低減できる。
【0105】
なお、分包制御部71は、服用可能な持参薬とは別に、服用不可の持参薬をまとめて分包しても構わない。また、分包制御部71は、上記のように、服用時間毎に、服用可能な持参薬及び服用不可の持参薬を1つの包において区別して分包せずに、服用時間毎に、服用可能な持参薬と服用不可の持参薬とをそれぞれ別の包に分包しても構わない。このように分包する場合、患者が服用不可の持参薬を誤って服用してしまう可能性を更に低減することができる。
【0106】
≪持参薬の仕分・分包処理の流れ≫
図6は、薬剤仕分装置1による持参薬の仕分処理(持参薬仕分方法)及び分包処理の流れの一例を示す図である。
【0107】
搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12を制御して、収容部111に収容された患者PAの第1持参薬を1つずつ取り出し、撮像ユニット13へと搬送する(S1)。撮像制御部63は、撮像ユニット13を制御して、当該第1持参薬を撮像する(S2;第1撮像工程)。決定部64は、撮像結果に基づき第1持参薬の少なくとも1つの特徴を用いて、参照データを決定する(S3;決定工程)。
【0108】
照合部65は、既に決定した参照データが存在する場合には、当該参照データと、S3で決定した参照データとを照合する。仕分制御部62は、照合部65の照合結果及び上記収容位置データに基づき、収容領域AR1において第1持参薬の仕分位置(仕分カップ141)を決定する。既に決定した参照データが存在しない場合には、仕分制御部62は、上記収容位置データに基づき、収容領域AR1において未使用の仕分カップ141を、第1持参薬の収容位置として決定する。その後、仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、収容領域AR1において決定した収容位置に第1持参薬を収容する(S4;第1収容工程)。
【0109】
制御部60aは、収容部113に収容された患者PBの第1持参薬についてもS1~S4の処理を実行することにより、収容領域AR2において決定した収容位置に第1持参薬を収容する。
【0110】
全ての第1持参薬が第2収容部14に収容されると、搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12を制御して、収容部112に収容された患者PAの第2持参薬を1つずつ取り出し、撮像ユニット13へと搬送する(S5)。撮像制御部63は、撮像ユニット13を制御して、当該第2持参薬を撮像する(S6;第2撮像工程)。照合部65は、撮像結果と参照データを照合する(S7;照合工程)。仕分制御部62は、照合結果に基づき、収容領域AR1において第2持参薬の仕分位置を決定し、搬送・仕分ユニット12を制御して、当該仕分位置に第2持参薬を収容する(S8;第2収容工程)。
【0111】
制御部60aは、収容部114に収容された患者PBの第2持参薬についてもS5~S8の処理を実行することにより、収容領域AR2において決定した収容位置に第2持参薬を収容する。
【0112】
全ての第2持参薬が第2収容部14に収容されると、分包制御部71は、搬送・仕分ユニット12を制御して、収容領域AR1に収容された持参薬を分包機構6へと搬送する。なお、分包機構6への持参薬の搬送前に、持参薬を撮像した画像に基づくユーザによる目視鑑査が行われている。分包制御部71は、分包機構6を制御して、搬送されてきた持参薬を分包する。分包制御部71は、収容領域AR2に収容された持参薬についても同様に処理を行う。このように、分包制御部71は、第2収容部14に収容された持参薬を患者単位で分包する(S9)。
【0113】
なお、制御部60aは、収容部111及び収容部112に収容された患者PAの持参薬を、収容領域AR1に収容した後、収容部113及び収容部114に収容された患者PBの持参薬を、収容領域AR2に収容しても構わない。また、制御部60aは、患者PAの持参薬を収容領域AR1に収容した後、当該持参薬の分包処理を実行し、その後、患者PBの持参薬を収容領域AR2に収容しても構わない。
【0114】
〔補足事項〕
上記では、第1収容部11は、第1持参薬及び第2持参薬を患者単位で区分けして収容可能であり、撮像ユニット13は、第1収容部11から患者単位で取り出された第1持参薬又は第2持参薬を撮像するものとして説明した。また、搬送・仕分ユニット12は、患者単位で、第1持参薬及び第2持参薬を第2収容部14に収容するものとして説明した。
【0115】
しかし、第1収容部11に第1持参薬及び第2持参薬が患者単位で収容される必要はない。つまり、第1収容部11に、1人の患者が持参した第1持参薬及び第2持参薬のみが収容されても構わない。例えば、1日あたりの服用時間が6つに設定されている患者の場合、当該患者の第1持参薬として、所定の服用日の持参薬を、小収容部111a~111c、113a~113cのそれぞれに収容し、残余の持参薬を、収容部112及び114に収容しても構わない。そして、薬剤仕分装置1は、第1収容部11に収容された、1人の患者が持参した第1持参薬及び第2持参薬を、上述した処理を経て第2収容部14に収容しても構わない。この場合であっても、薬剤仕分装置1は、当該患者の持参薬の仕分処理を効率よく、かつ短時間に実行できる。また、薬剤仕分装置1は、当該患者の持参薬を種類毎に分包することにより、上述したユーザの各種業務を効率よく行うことを支援できる。
【0116】
さらに、薬剤仕分装置1は、持参薬鑑別報告書を作成するためのソフトウェア(持参薬鑑別ソフトウェア)がインストールされた外部装置と、通信可能に接続されても構わない。この場合、外部装置は、薬剤仕分装置1により仕分けられ、かつユーザの目視鑑査により種類が特定された持参薬の薬剤データを受信することにより、持参薬鑑別報告書を作成できる。
【0117】
さらに、制御部60aは、調剤時(一番最初に患者が薬剤をもらったとき)の分包紙に印字されたバーコードから、持参薬の期限及びロット情報を取得しても構わない。この場合、制御部60aは、持参薬を仕分けした後に、持参薬の期限及びロット情報を、分包紙又はジャーナルに再度印字できる。
【0118】
〔持参薬の仕分・分包処理(薬種鑑別モード設定)〕
薬種鑑別モードに設定される場合、制御部60aは、各患者が持参した持参薬を収容する複数の包のうちの1日服用分の各包(例:複数の包における先頭包)に収容された持参薬の種類を1包毎に判別するとともに、1包毎に再分包する。1日について、例えば朝、昼及び晩の3つの服用時間が設定されている場合、上記1日服用分の包は3つとなる。以降の説明では、1日について朝、昼及び晩の3つの服用時間が設定されているものとして説明するが、これに限らない。
【0119】
薬種鑑別モードに設定される場合、ユーザは、患者PPの1日服用分のうちの1包(ここでは、朝服用分の持参薬を収容した包)から持参薬を取り出し、空の仕分カップ141(第2収容部14における一区画)に格納する。その前提として、表示制御部67は、タッチパネル3に、1人目の患者の1日のうちの服用時間を選択するための選択画像を表示する。選択画像には、選択可能な服用時間として、例えば、起床時、朝、昼、晩(夕)、寝る前、又はその他の服用時間を表示する。ここでは、ユーザは、服用時間として「朝」を選択する。操作入力部66が、タッチパネル3を介して、選択された服用時間を示すユーザ入力を受け付けると、表示制御部67は、タッチパネル3に第1指示画像を表示する。第1指示画像は、持参薬を空の仕分カップ141に格納し、その後、仕分カップ141を第1RFIDリーダ・ライタユニット5に載置するようユーザに促すための画像である。
【0120】
仕分カップ141が第1RFIDリーダ・ライタユニット5に載置されると、制御部60aは、仕分カップ141のRFIDタグに、上記ユーザ入力に基づき、選択された服用時間(ここでは「朝」)を示す情報を書き込む。
【0121】
患者PPの残余の包(ここでは、昼及び晩服用分の持参薬を収容する包)についても、同様の処理が行われる。その結果、制御部60aは、患者PPの昼服用分の持参薬が格納された仕分カップ141のRFIDタグに、選択された服用時間「昼」を示す情報を書き込む。また、制御部60aは、晩服用分の持参薬が格納された仕分カップ141のRFIDタグに、選択された服用時間「晩」を示す情報を書き込む。
【0122】
本実施形態では、第2収容部14には、40個の仕分カップ141を載置可能である(
図4参照)。そのため、1日服用分の包が3つの場合(1日において3つの服用時間が設定されている場合)、13患者分の持参薬を、1日の服用時間毎に別々の仕分カップ141に格納できる。患者PPの次の患者PQについて上記処理が行われる場合、制御部60aは、仕分カップ141に格納される持参薬が2人目の患者用の持参薬であるものと特定する。その後の患者の持参薬については、制御部60aは、順に、3人目、4人目、…の患者の持参薬であるものと特定する。
【0123】
制御部60aは、各部材を制御して、仕分カップ141毎に、1つずつ持参薬を取り出し、当該持参薬を撮像し、その撮像結果と、例えば薬剤データベースとを用いて、薬剤の種類を判別、又は種類の絞り込みを行う。持参薬の撮像から種類の判別までの処理は上述したとおりである。制御部60aは、判別結果(絞り込み結果)及び撮像画像を仕分カップ識別情報に紐づけて、記憶部80に記憶する。
【0124】
分包制御部71は、仕分カップ141毎に持参薬を取り出し、当該持参薬を分包する。分包制御部71は、各包に、患者の順番(何人目の患者かを示す情報)、服用時間、バーコードを印字する。例えば、患者PPの朝服用分の持参薬の場合、「1人目の患者」及び「朝」の文字と、バーコードとが印字される。患者の順番に代えて、患者名が印字されても構わない。
【0125】
バーコードリーダ7によりバーコードが読み取られると、表示制御部67は、タッチパネル3に、ユーザが目視監査を行うための目視監査画像を表示する。バーコードには、判別結果及び撮像画像が紐づけられている。そのため、表示制御部67は、目視監査画像に、判別結果及び撮像画像を含めて表示できる。ユーザは、目視監査画像を視認することにより、バーコードを読み取った包に含まれる持参薬の種類を特定する。目視監査画像には、ユーザが選択可能なように持参薬の種類の候補が表示されてもよいし、当該種類(例:刻印)を入力可能な領域が表示されてもよい。薬剤が特定されると、印刷出力制御部69は、その特定結果(例:薬剤名)をジャーナルに印字する。バーコードの読取処理、目視監査、及びジャーナル印字処理は、1包毎に行われる。
【0126】
このように、薬剤鑑別モードでは、薬剤仕分装置1は、患者単位で、かつ、1日における服用時間毎に、持参薬を仕分カップ141に格納する。各仕分カップ141のRFIDにおいて、患者(又は患者の順番)を示す情報と、1日における服用時間を示す情報とを紐づけて管理される。そのため、薬剤仕分装置1は、患者単位で、かつ、1日における服用時間毎に、持参薬を再分包できる。
【0127】
〔変形例〕
図3の3001に示す第1収容部11を用いた場合、収容部111~114は、それぞれ異なる患者の持参薬を収容するものとして機能しても構わない。本変形例では、制御部60aは、決定部64を有していなくても構わない。本変形例では、照合部65は、第1収容部11から取り出された持参薬の少なくとも1つの特徴と薬剤データベースとを照合する。仕分制御部62は、照合部65の照合結果に基づき、同一の種類とみなされる持参薬毎に、第2収容部14に収容していく。例えば、仕分制御部62は、同一の種類と判別された薬剤については同一の仕分カップ141に格納し、推定薬剤については、種類毎に格納された仕分カップ141とは別の仕分カップ141に格納する。
【0128】
例えば、収容部111に収容された患者PAの持参薬は収容領域AR1に、収容部112に収容された患者PBの持参薬は収容領域AR2に、それぞれ収容される。また、収容部113に収容された患者PCの持参薬は収容領域AR3に、収容部114に収容された患者PDの持参薬は収容領域AR4に、それぞれ収容される。
【0129】
第1収容部11に収容された全ての持参薬が第2収容部14に収容された後、ユーザによる目視鑑査が行われる。これにより、第2収容部14に収容された全ての持参薬の種類が一意に特定される。その後、分包制御部71は、特定された種類毎に持参薬を、患者単位で分包する。
【0130】
〔第1収容部の別例〕
図7は、第1収容部11の別例を示す図である。
図3の3002に示す第1収容部11に代えて、
図7に示す第1収容部11が用いられても構わない。
図7の例では、第1収容部11は、容積が略同一の4つの収容部111~114を有する。4つの収容部111~114は、それぞれ更に4分割されている。収容部111は、3つの小収容部111d~111f及び1つの中収容部111gを有する。同様に、収容部112~114はそれぞれ、3つの小収容部112d~112f及び1つの中収容部112g、3つの小収容部113d~113f及び1つの中収容部113g、3つの小収容部114d~114f及び1つの中収容部114gを有する。
図7に示す第1収容部11は、主として持参薬を仕分ける場合に使用される。
【0131】
収容部111において、小収容部111d~111fのそれぞれは、
図3の3002に示す小収容部111a~111cと同様、ある患者の第1持参薬を収容するものとして機能する。中収容部111gは、
図3の3002に示す収容部112と同様、ある患者の第2持参薬を収容するものとして機能する。小収容部111d~111fに収容される第1持参薬の数は、中収容部113gに収容される第2持参薬の数以下となるため、小収容部111d~111fの容積は、中収容部113gの容積に比べ小さい。小収容部及び中収容部の数、及びその容積を鑑み、
図7の例では、収容部111の外側に、周方向に沿って小収容部111d~111fが配置されており、収容部111の残部領域(内側)に中収容部113gが配置されている。収容部112~114についても、収容部111と同様の機能及び構成を有する。
【0132】
収容部111~114にはそれぞれ、例えば、互いに異なる患者PA~PDの第1持参薬及び第2持参薬が収容されてよい。この場合、第1収容部11には、一度に最大4人分まで持参薬を収容できる。但しこの場合、所定の服用日における服用時間が3回以下(例:朝、昼、晩の少なくとも何れか)に設定された患者PA~PDの持参薬が、収容部111~114のそれぞれに収容されることとなる。ある患者の所定の服用日における服用時間が4回以上に設定されている場合には、当該患者の持参薬の収容箇所として、収容部111~114のうち、少なくとも2以上の収容部が用いられる。なお、第2持参薬については、少なくとも2以上の収容部の中収容部のうち、少なくとも1つの中収容部が用いられればよい。上記服用時間が4回以上に設定されている場合、第1収容部11には、一度に最大3人分まで持参薬を収容できる。
【0133】
例えば、ある患者の所定の服用日における服用時間が4回~6回に設定されている場合には、当該患者の持参薬の収容箇所として、2つの収容部(例:収容部111及び112)が用いられる。例えば、当該患者の所定の服用日における服用時間が6回に設定されている場合、第1持参薬の収容箇所として、小収容部111d~111f及び112d~112fが用いられる。一方、第2持参薬の収容箇所としては、中収容部111g及び/又は112gが用いられる。
【0134】
〔持参薬の分包処理の別例-目視監査の有無に応じた分包処理〕
上述した分包処理例においては、薬剤仕分装置1は、同一の種類とみなされる持参薬毎に第2収容部14に収容された持参薬について目視鑑査が行われた後、分包処理を実行している。これに限らず、薬剤仕分装置1において、持参薬仕分モードの薬種毎仕分モードが選択されている場合において、目視鑑査前分包モードと目視鑑査後分包モードとを選択可能であってよい。
【0135】
<目視鑑査前分包モード>
目視鑑査前分包モードの場合、制御部60aは、持参薬の仕分処理後に、目視鑑査を開始するユーザ入力を受け付ける処理、及び、第1カメラ131が撮像した画像を表示部32に表示する処理を実行しない。制御部60aは、第1持参薬及び第2持参薬が第2収容部14に仕分けられた後、上記処理を実行することなく、自動的に分包処理を実行する。
【0136】
目視鑑査前分包モードの場合、表示制御部67は、例えば分包処理後に、ユーザにより指定された仕分カップ141に格納されていた全薬剤の画像を、表示部32に表示させる。これにより、ユーザは、当該仕分カップ141に格納されていた薬剤の目視鑑査を行うことができる。
【0137】
図8は、目視監査前分包モードにおける分包処理の一例を説明するための図である。
図8の例では、ある患者PRの持参薬が5個の仕分カップ141a~141eに仕分けられている。
【0138】
仕分カップ141aには薬剤DA1、仕分カップ141bには薬剤DA2が格納されている。これらの仕分カップ141には、上記方法1に基づく照合により種類が特定された持参薬が格納されている。具体的には、これらの仕分カップ141には、薬剤データベースを用いた照合に基づき種類が特定された第1持参薬が格納された後、当該第1持参薬と同一の種類とみなされた第2持参薬が格納されている。
【0139】
一方、下記(1)~(3)の何れかに該当する持参薬については、仕分カップ141a及び141bとは異なる仕分カップ141に格納される(仮仕分けされる)。
図8の例では、当該持参薬が仕分カップ141c及び141dに格納されている。
【0140】
(1)上記方法1に基づく照合により種類が特定されなかった持参薬。具体的には、薬剤データベースを用いた照合に基づき種類が特定されなかった第1持参薬と、当該第1持参薬の特徴から当該第1持参薬と同一の種類とみなされた第2持参薬。
【0141】
(2)上記照合に基づき種類が特定された第1持参薬とは異なる種類とみなされた第2持参薬。
【0142】
(3)上記方法2に基づく照合を経て第2収容部14に収容される持参薬。具体的には、薬剤データベースを用いないために種類が特定されなかった第1持参薬と、当該第1持参薬の特徴から当該第1持参薬と同一の種類とみなされた第2持参薬。
【0143】
なお、第1持参薬とは異なる種類とみなされた第2持参薬が複数存在する場合、例えば、照合部65は、第1カメラ131が撮像した画像から抽出した第2持参薬の特徴同士を対比することにより、同一の仕分カップ141に格納するか否かを決定する。また、
図8では、分包処理後の目視鑑査によって、仕分カップ141cの薬剤が薬剤DA2であり、仕分カップ141dの薬剤が薬剤DA3であると特定される。更に、照合部65により、第1カメラ131が撮像した画像に基づき、持参薬が半錠又はその他の形状(変形形状)を有する持参薬であると特定された場合、当該持参薬は、上記持参薬が収容された仕分カップ141とは別の仕分カップ141に格納される。その他の形状を有する持参薬は、持参薬を平面視したときに円又は楕円以外の形状(半錠を除く)を有する持参薬を指し、例えば1/4錠である。
図8の例では、半錠と特定された持参薬が、仕分カップ141eに格納されている。
【0144】
目視鑑査前分包モードでは、第1収容部11に収容された持参薬の、第2収容部14への搬送が完了すると、自動的に、分包機構6での分包処理が開始する。
図8の例では、分包機構6は、持参薬を、仕分カップ141a~141e毎に薬包(包)MP1~MP5に分包し、各薬包MP1~MP5に患者名及び薬剤名を印字する。薬包MP3及びMP4のように、種類が特定されていない持参薬が収容された薬包については、薬剤名の代わりに、その旨を特定できるような印字がなされる。
図8の例では、薬包MP3及びMP4には、薬剤名として「仮仕分け」と印字されている。分包機構6は、その他、薬剤数及び仕分日等の情報を印字してもよい。
【0145】
分包機構6は、仕分カップ141に格納された持参薬が1薬包に収容できない場合(1薬包に収容可能な規定数を超える場合)、当該持参薬を複数包に分けて分包する。
図8の例では、例えば仕分カップ141aには28錠含まれているため、上記規定数が10錠である場合、分包機構6は、薬包MP1を3薬包分、連続して生成する。なお、各薬包に印字される薬剤数としては、各仕分カップ141に格納されていた全薬剤数であっても、各薬包に収容された薬剤数であってもよい。
【0146】
また、分包機構6は、薬包MP1~MP5のそれぞれに、バーコードBa1~Ba5を印刷してもよい。バーコードBa1~Ba5は、各薬包MP1~MP5に収容された薬剤を目視鑑査するための画像を読み出すための情報が含まれており、例えば、分包元の仕分カップ141を示す仕分カップ識別情報が含まれる。バーコードBa1~Ba5をバーコードリーダ7に読取らせることにより、表示制御部67は、仕分カップ識別情報に紐付けられて管理されている、仕分カップ141に格納されていた薬剤の画像を、表示部32に表示させることができる。これにより、ユーザは、分包処理後に目視鑑査を行うことができる。
【0147】
また、上述したように、印刷出力制御部69は、印刷出力部4を制御して、各仕分カップ141a~141eの仕分結果を、ジャーナルJo1~Jo5に印刷してもよい。印刷出力制御部69は、
図8に示すように、例えば、仕分カップ141への持参薬の仕分日、当該持参薬の薬剤名、当該持参薬に表示された刻印、仕分カップ141に格納された持参薬の薬価の合計、及び当該持参薬の薬剤数等の情報、並びにバーコードを印刷する。薬剤名としては、目視鑑査により一意に特定された薬剤名が印刷される。また、ジャーナルJo1~Jo5に印刷されるバーコードには、目視鑑査により一意に特定された持参薬の種類を示す情報(例:GS1コード)が含まれる。
【0148】
上述したように、分包機構6は、持参薬を患者単位でまとめて分包する。分包機構6は、種類が特定された持参薬と、仮仕分けされた持参薬及び/又は変形形状の持参薬と、を別々に分包する。この場合、例えば変形形状の持参薬が回収トレイ16に収容されないため、複数の変形形状の持参薬が回収トレイ16に収容された後にユーザが当該持参薬を患者毎に分類するという作業を行う可能性を低減できる。なお、
図8の例では、患者PRの持参薬が一連の薬包群として分包されている。
【0149】
さらに、分包機構6は、種類が特定された持参薬を優先して分包し、仮仕分けされた持参薬又は変形形状の持参薬についてはその後に分包することにより、患者単位で一連の薬包群を形成してもよい。
図8の例では、患者PRの持参薬について、種類が特定された薬剤DA1及びDA2が優先して分包され、仮仕分けされた持参薬及び半錠の持参薬がその後に分包されることにより、一連の薬包群が形成されている。
【0150】
なお、分包機構6は、種類が特定された持参薬を患者単位で分包した後に、仮仕分けされた持参薬及び/又は変形形状の持参薬を患者単位で分包しても構わない。この場合、種類が特定された持参薬を分包した一連の第1薬包群と、仮仕分けされた持参薬及び/又は変形形状の持参薬を分包した一連の第2薬包群とが、患者単位で形成されてもよい。すなわち、患者毎に、第1及び第2薬包群が形成されてもよい。
【0151】
なお、
図8の例では、仮仕分けされた持参薬が目視鑑査により薬剤DA2、DA3と特定されているが、当該持参薬は、種類の特定が不可能な薬剤(例:刻印無し)であってもよい。
【0152】
また、分包制御部71は、種類が特定された持参薬であっても再利用不可の薬剤については、仮仕分けされた持参薬と同様に、種類が特定された持参薬とは別に分包しても構わない。分包制御部71は、再利用不可の薬剤については、仮仕分けされた持参薬と同様に、種類が特定された持参薬を分包した後に分包しても構わない。なお、再利用不可の薬剤については、例えば薬剤データベースにおいて、当該薬剤に関する薬剤データに、再利用不可であることを示す情報が紐付けられている。そのため、分包制御部71は、薬剤データベースを参照することにより、再利用不可の薬剤を、種類が特定された持参薬とは別に(例:種類が特定された持参薬が分包された後に)分包できる。
【0153】
<目視鑑査後分包モード>
目視鑑査後分包モードの場合、制御部60aは、第1持参薬及び第2持参薬が第2収容部14に仕分けられた後に、自動的に分包処理を実行せず、ユーザに目視鑑査を行わせるために、目視鑑査を開始するユーザ入力の受付けを待機する。制御部60aは、各仕分カップ141に格納された持参薬の目視鑑査が完了し、分包処理開始のユーザ入力を受付けた後に、持参薬の分包処理を開始する。つまり、制御部60aは、分包処理が開始されるまでの処理を、
図6を用いて説明したように実行する。
【0154】
図9は、目視監査後分包モードにおける分包処理の一例を説明するための図である。
図9においても、
図8と同様に、ある患者PRの持参薬が5個の仕分カップ141a~141eに仕分けられている。
【0155】
目視鑑査後分包モードの場合、第1収容部11に収容された持参薬の、第2収容部14への仕分処理が完了した後、ユーザにより、各仕分カップ141に格納された持参薬に対する目視鑑査が行われる。その結果、各仕分カップ141に格納された持参薬の種類が一意に特定される。
図9の例では、仕分カップ141a及び141bに格納された持参薬の種類が、照合部65により薬剤DA1及びDA2と特定されている。一方、仕分カップ141a及び141bに格納された持参薬の種類は、目視鑑査によって薬剤DA2及びDA3と特定される。
【0156】
その後、分包処理が開始されると、分包制御部71は、異なる仕分カップ141に格納されている持参薬であるが、目視鑑査により種類が同一であると特定された持参薬については、同じ薬包に収容する。分包制御部71は、当該持参薬が格納された複数の仕分カップ141を特定した場合、搬送・仕分ユニット12を制御して、これらの仕分カップ141から順に持参薬を取り出し、薬剤投入口17へと搬送する。これにより、分包機構6は、当該持参薬を同じ薬包に収容できる。目視鑑査前分包モードと同様、当該持参薬を1薬包に収容できない場合には、分包機構6は、複数包に分けて分包してよい。
【0157】
図9の例においては、仕分カップ141bに格納された持参薬と、仕分カップ141cに格納された持参薬は、共に薬剤DA2である。そのため、分包機構6は、これらの持参薬をまとめて、1又は複数の薬包MP2に分包する。仕分カップ141dに格納された持参薬は、目視鑑査により薬剤DA3と特定されているが、仕分カップ141a及び141bに格納された持参薬の種類(薬剤DA1及びDA2)とは異なる。そのため、仕分カップ141dに格納された持参薬は、薬包MP1及びMP2とは異なる薬包MP4に収容される。
【0158】
このように、目視監査後分包モードの場合、同種の持参薬をまとめて分包できるので、分包紙を節約できる。
【0159】
また、目視鑑査後分包モードにおいても、目視鑑査前分包モードと同様、分包機構6は、種類が特定された持参薬を優先して分包し、種類が特定されなかった持参薬及び/又は変形形状の持参薬についてはその後に分包しても構わない。但し、種類が特定された持参薬には、仮仕分けされた持参薬のうち、目視鑑査により種類が特定された持参薬も含まれる。種類が特定されなかった持参薬は、仮仕分けされた持参薬のうち、目視鑑査によっても種類が特定された持参薬である。
図9の例では、患者PRの持参薬について、種類が特定された薬剤DA1、DA2及びDA3が優先して分包され、半錠の持参薬がその後に分包されることにより、一連の薬包群が形成されている。また、分包制御部71は、種類が特定された持参薬であっても再利用不可の薬剤については、種類が特定された持参薬とは別に(例:種類が特定された持参薬が分包された後に)分包しても構わない。
【0160】
また、分包機構6は、目視鑑査前分包モードと同様、薬包MP1,MP2,MP4,MP5のそれぞれに、バーコードBa1,Ba2,Ba4,Ba5を印刷してもよい。但し、目視鑑査後分包モードにおいては、分包処理前に、目視鑑査により持参薬の種類が特定されている。そのため、目視鑑査前分包モードと異なり、バーコードBa1,Ba2,Ba4,Ba5には、持参薬の種類を示す情報(例:GS1コード)が含まれる。
【0161】
なお、上記目視鑑査後分包モードでは、分包処理前に目視鑑査が行われる。そのため、上記目視鑑査後分包モードでは、分包機構6は、仕分カップ141に格納された持参薬毎の分包処理に代えて、処方データに基づき服用時期毎に持参薬を分包しても構わない。この場合、分包機構6は、患者が服用可能な持参薬と服用不可な持参薬とをまとめて1薬包に分包してもよいし、
図5の5003に示すように、第1分包領域Pa1に服用可能な持参薬を収容し、第2分包領域Pa2に服用不可な持参薬を収容してもよい。
【0162】
〔分包処理非対応の処理例〕
第1収容部11に収容された持参薬を第2収容部14に仕分けた後、第2収容部14に収容された持参薬を、分包機構6により分包する必要は必ずしもない。
【0163】
上述のように、持参薬の中に、中止対象の持参薬、及び継続的に服用してよい持参薬(通常服用の持参薬)が、混在して第1収容部11に収容される場合がある。この場合、分包制御部71は、通常服用の持参薬を分包機構6による分包対象とせず、そのまま仕分カップ141に格納したままとしても構わない。これにより、ユーザは、通常服用の持参薬が格納された仕分カップ141を薬剤仕分装置1から取り出し、当該持参薬を持参した患者に対して新たに処方する薬剤として活用する等、通常服用の持参薬を自由に取り扱うことが可能となる。どの持参薬が中止対象の持参薬であるか(通常服用の持参薬であるか)の情報は、ユーザ入力によって特定されてよい。
【0164】
一方、中止対象の持参薬については、分包制御部71は、廃棄又は患者への返却のために、分包機構6により分包しても構わない。
【0165】
また、持参薬に対する分包処理非対応の薬剤仕分装置1においては、分包機構6を備えていなくてもよい。この場合、例えば、仕分制御部62は、廃棄を目的として、全ての中止対象の持参薬を回収トレイ16に搬送しても構わない。あるいは、仕分制御部62は、廃棄又は患者への返却を目的として、通常服用の持参薬と同様、中止対象の持参薬を仕分カップ141に格納してもよい。
【0166】
〔持参薬鑑別結果の表示〕
図10は、持参薬鑑別結果を表示する鑑別結果画像の一例を示す図である。操作入力部66が、操作部31を介して、ある患者PRの全ての持参薬の目視監査が完了したことを示すユーザ入力を受付けると、表示制御部67は、表示部32に、
図10に示すような鑑別結果画像を表示してよい。
【0167】
図10の例では、鑑別結果画像には、患者名と、1日のうちの服用時間と、各服用時間で服用する薬剤の名称及び薬剤の画像と、が含まれ、これらの情報が一覧表示される。また、鑑別結果画像には、発行ボタンが含まれる。発行ボタンの押下を受け付けると、印刷出力制御部69は、印刷出力部4を制御して、鑑別結果(例:患者名、用法(各服用時間に服用する薬剤の名称とその数量))の一覧をジャーナルに印刷する。また、発行ボタンの押下により、薬剤仕分装置1を持参薬鑑別ソフトウェアと連動させることができる。例えば、制御部60aは、発行ボタンの押下を受け付けると、持参薬鑑別ソフトウェアがインストールされた外部装置に、目視鑑査により種類が特定された持参薬の薬剤データを送信することにより、持参薬鑑別報告書を作成させることができる。
【0168】
〔仕分対象の薬剤について〕
上述した持参薬仕分モードでは、仕分対象の薬剤が持参薬であった。しかし、薬剤仕分装置1は、第1収容部11に収容された外来処方薬に対して、持参薬仕分モードにおいて採用された仕分処理を行ってよいし、その処理後に分包処理を行ってもよい。外来処方薬は、外来患者に対して処方される薬剤(処方薬)を指す。
【0169】
外来処方薬においても、薬剤仕分装置1により種類毎に分包しておくことにより、ユーザは、中止対象の処方薬と通常服用の処方薬とに分けて、処方薬を患者又は介護者に渡すことができる。中止対象の処方薬は、例えば、手術内容により手術前に服用できない、又は服用を控える必要がある処方薬、又は、症状が和らいだ場合に服用を中止してよい処方薬を指す。通常服用の処方薬とは、継続的に服用してよい処方薬を指す。
【0170】
この場合、患者又は介護者は、種類毎に分包された処方薬についてユーザから服用に関する説明を受けながら、当該処方薬を受け取るため、各処方薬の服用に関する説明を、各処方薬に紐づけて理解しやすい。
【0171】
また、患者又は介護者は、種類毎に分包された処方薬を1つの薬袋で管理できるので、処方薬を自宅において管理しやすくなる。このような管理により、ユーザが遠隔で服薬指導を行ったり、患者又は介護者が電話で問合せを行ったりする場合において、ユーザも、患者又は介護者も、中止対象の処方薬を特定しやすくなる。更に、服用間違い又は服用漏れが発生する可能性を低減できる。また、症状が和らいでいるのに服用を継続するといった無用な服用が発生する可能性を低減できる。
【0172】
ここで、中止対象の処方薬と通常服用の処方薬とを別々の薬袋に収容して、患者又は介護者に渡すことも考えられる。しかしこの場合、服用中止前の時期、又は症状が和らぐまでの時期等、中止対象の処方薬及び通常服用の処方薬との両方を服用する時期においては、患者又は介護者は両方の薬袋を準備する必要がある。両方の薬袋から処方薬を取り出したり、当該薬袋に処方薬を戻したりする作業が発生するため、患者又は介護者による処方薬の管理が煩雑となる可能性がある。また、管理が煩雑になることにより、服用間違い又は服用漏れ等が発生する可能性がある。上記のように中止対象の処方薬及び通常服用の処方薬を1つの薬袋により管理できる場合、処方薬の管理が煩雑になる可能性、及び、管理の煩雑さに起因した服用間違い又は服用漏れ等が発生する可能性を低減できる。
【0173】
また、ユーザは、患者又は介護者に処方薬を渡すときに、マジック等を用いて、中止対象の処方薬を収容した薬包に、中止対象の処方薬を収容していることを示す文字、記号又は印等を付すことができる。この場合、患者又は介護者は、より容易に処方薬の服用可否を判断できる。
【0174】
更に、中止対象の持参薬と同様、中止対象の処方薬について、ユーザは、当該処方薬が中止対象である旨を、操作部31を介して入力しても構わない。この場合、制御部60aは、薬包(分包紙)又はジャーナルに、服用不可である旨の情報を印刷できるため、ユーザ、患者又は介護者は、より容易に処方薬の服用可否を判断できる。
【0175】
なお、上述した種類毎に分包した処方薬に関する効果は、種類毎に持参薬を分包することにより、中止対象の持参薬と通常服用の持参薬とを別々の薬包に収容する場合についても適用できる。中止対象の持参薬には、症状が和らいだ場合に服用を中止してよい持参薬が含まれてよい。
【0176】
〔薬剤データベースの使用可否〕
制御部60aは、分包機において所定期間分包していない薬剤については、当該薬剤に関する薬剤データが薬剤データベースに含まれている場合であっても、一時的に当該薬剤データを不使用としてよい。制御部60aは、分包機と通信可能に接続されており、分包された薬剤の種類と、当該薬剤を分包した日時とを示す情報を、分包機から受信できる。制御部60aは、例えば、前回分包されたときから30日間一度も分包されていないと判定した場合、当該薬剤が薬剤仕分装置1に返品されることがないため、薬剤データベースにおける当該薬剤に関する薬剤データを不使用とする。これにより、制御部60aは、返品される可能性が低い薬剤に関する薬剤データを、判別処理を行うときの照合対象から除外することができるため、処理効率を向上させることができる。
【0177】
一方、制御部60aは、薬剤データが不使用とされた薬剤が、分包機において分包された場合には、当該薬剤が薬剤仕分装置1に返品される可能性もあるため、当該薬剤データの使用を許可する。
【0178】
また、制御部60aは、薬剤仕分装置1において所定期間仕分していない薬剤について、当該薬剤に関する薬剤データが薬剤データベースに含まれている場合であっても、当該薬剤データを不使用としてよい。薬剤データベースには、薬局又は病院等の医療機関において使用される薬剤(採用薬)の薬剤データが含まれているが、実際には返品実績のない薬剤も存在する。そのため、当該薬剤に関する薬剤データについて、上記のように不使用とすることにより、制御部60aは、返品される可能性が低い薬剤に関する薬剤データを、判別処理を行うときの照合対象から除外することができるため、処理効率を向上させることができる。
【0179】
なお、操作入力部66が、操作部31を介して、不使用とされた薬剤データの使用を許可するためのユーザ入力を受付けた場合、制御部60aは、当該薬剤データの使用を許可するようにしてもよい。
【0180】
また、薬剤の種類によっては、分包頻度又は仕分頻度にかかわらず、判別処理において薬剤データを必ず使用できるようにしてもよい。例えば、当該薬剤に関する薬剤データには、判別処理において必ず使用する旨の情報(「絶対使用」を示す情報)が付されていてよい。制御部60aは、当該情報が付されている薬剤データについては、所定期間、分包実績又は仕分実績がない薬剤であっても、当該薬剤に関する薬剤データを不使用としない。
【0181】
採用薬の中には、例えば季節に応じて使用頻度が異なる薬剤が存在する。このような薬剤は、ある時期(例:夏場)には全く分包されないが、他の時期(例:冬場)には分包される頻度が高くなる。当該薬剤について、分包される頻度が高くなる時期に仕分実績がないことによって、当該薬剤データが不使用のままの状態となると、適切な判別処理を行うことができなくなってしまう。このような事態を回避すべく、当該薬剤に関する薬剤データについては、「絶対使用」を示す情報が付される。
【0182】
〔分包機における薬剤充填方法〕
仕分カップ141に格納された薬剤を、分包機に設けられた、当該薬剤が収容されたカセットに充填(返却)する場合、分包機は、仕分カップ141に格納された薬剤の、カセットへの充填可否を、以下のように決定してもよい。
【0183】
例えば、ユーザは、分包機から当該カセットを取り出し、カセットのRFIDタグに記憶された薬剤に関するデータを、分包機に設けられたRFIDリーダに読み出させる。当該薬剤に関するデータには、例えば、薬剤の種類を示す情報(例:GS1コード)が含まれる。また、ユーザは、当該仕分カップ141を分包機まで運び、分包機に設けられたRFIDリーダに、仕分カップ141のRFIDタグに記憶された薬剤に関するデータを読み出させる。上記2つの薬剤に関するデータの読み出し順は問わない。
【0184】
分包機は、上記2つの薬剤に関するデータを照合し、カセットに収容された薬剤と、仕分カップ141に格納された薬剤とが同種であると判別できた場合に、当該カセットへの、仕分カップ141に格納された薬剤の収容を許可する。
【0185】
〔ヒータローラの予熱制御〕
分包機構6は、上述した一対のローラ機構(不図示)を備えている。一対のローラ機構により分包紙を圧着することにより、例えば種類毎又は服用時間毎に、薬剤を1包ずつ分包できる。ローラ機構は、例えば、熱圧着により分包紙を圧着するヒータローラである。この場合、ヒータローラの圧着機能を発揮させるために、分包前にヒータローラを所定時間(例:約10分間)予熱する必要がある。
【0186】
第1収容部11に収容された薬剤について、薬剤の種類の判別結果に基づき第2収容部14に全ての薬剤を収容した後に、分包処理を開始する場合、分包制御部71は、例えば分包処理を開始するときに、ヒータローラの加熱を開始する。分包制御部71は、分包処理完了後に、ヒータローラの加熱を停止する。これにより、消費電力を低減できると共に、余分な熱量が装置外部に放出される可能性を低減できる。
【0187】
但し、分包処理中にのみヒータローラを加熱する制御の場合、ヒータローラの温度が圧着機能を発揮できる程度に上昇するまで、分包処理の開始を待機する必要がある。そのため、分包処理が開始されるまでの待機時間を抑制するために、制御部60aは、例えば以下の処理を実行してもよい。
【0188】
搬送・仕分ユニット12が第1収容部11から薬剤を取り出すときに、撮像制御部63は、第2カメラ121を制御して、第1収容部11の内部(例:1つの収容部の内部)を撮像する。撮像制御部63は、撮像した画像を解析して、第1収容部11の内部における薬剤の分布を認識し、当該分布が下記(1)~(4)のどの分類に該当するかを判定する。撮像制御部63は、制御部60aが第1収容部11に収容された全ての薬剤を仕分ける処理を開始すると、第1収容部11から薬剤を取り出すたびに上記の処理を実行する。
【0189】
(1)「薬剤無し」…第1収容部11の内部に薬剤が全く無い状態。
【0190】
(2)「薬剤有り(少量)」…第1収容部11の内部の中央付近に薬剤がない状態。
【0191】
(3)「薬剤有り(多量)」…上記中央付近に薬剤がある状態。
【0192】
(4)「薬剤有り(最終)」…薬剤が1つのみある状態(最後の1錠がある状態)。
【0193】
搬送制御部61は、第2カメラ121が撮像した画像に基づき、搬送対象とする薬剤を特定する。このとき、搬送制御部61は、上記中央付近の薬剤から搬送対象とする薬剤を特定していく。この場合、第1収容部11から薬剤を取り出していくにつれて、上記中央付近の薬剤がなくなっていき、第1収容部11の内壁側にのみ薬剤が存在する状態へと遷移する(上記(3)から(2)の状態へと遷移する)。
【0194】
分包制御部71は、撮像制御部63が上記(2)の状態であると判定した場合に、ヒータローラの加熱を開始する。
【0195】
発明者らは、実験等に基づき、撮像制御部63が上記(2)の状態であると判定した場合の、第1収容部11に収容された薬剤の残数が、約30個であることを特定した。第1収容部11から1つの薬剤が取り出され、当該薬剤の種類の判別結果に基づき、第2収容部14に当該薬剤が収容されるまでの時間は約30秒であるため、上記(2)の状態から、全ての薬剤が第2収容部14に収容されるまでの時間は約15分となる。一方、ヒータローラの温度が圧着機能を発揮できる程度に上昇するまでの時間は約10分である。そのため、発明者らは、上記(2)の状態においてヒータローラの加熱を開始することにより、分包処理の開始前に圧着機能を発揮できる程度にヒータローラの温度を上昇させることができることを見出した。
【0196】
従って、分包制御部71が、上記(2)の状態となった場合に、すなわち第1収容部11に収容された薬剤の個数が所定数以下となった場合に、ヒータローラの加熱を開始することにより、上記待機時間が発生する可能性を低減できる。そのため、薬剤の仕分開始から分包完了までの時間を短縮できる。なお、待機トレイ15に収容された全ての薬剤が第2収容部14に収容され、その後、分包される場合についても、上記と同様の処理が実行されてよい。
【0197】
〔印字された空包が不要な薬包である旨の表示処理〕
分包処理中にインク切れが発生すると、表示制御部67はインク切れの警告表示を行い、分包制御部71は分包処理を一旦停止する。分包制御部71は、薬包に薬剤を収容する前に、薬包に印字処理を行っている。そのため、分包制御部71は、分包処理を停止したときには、少なくとも1薬包に、分包予定だった薬剤に関する情報(例:薬剤名、錠数、バーコード)の印字を行っている。
【0198】
インク切れの状態が解消すると、表示制御部67は警告表示を停止し、分包制御部71は分包処理を再開する。このとき、分包制御部71は、分包処理を停止したときまでに印字していた薬包を、不要な薬包として排出し、分包予定だった薬剤に関する情報を、新たな薬包に再度印字する。
【0199】
このように、空包であっても印字された状態で排出されるため、空包を見たユーザは、分包機構6の故障により薬剤が薬包に収容されなかったものと判断する可能性がある。つまり、ユーザは、分包機構6の故障によるものではなくインク切れの発生により排出された空包であっても、分包機構6の故障により空包が発生したと判断する可能性がある。
【0200】
また、バーコードリーダ7によりバーコードが読み取られると、例えば、表示制御部67は、バーコードに紐付けられた薬剤データに対応する薬剤に関する画像(例:仕分けられた薬剤に対する目視鑑査を行うための鑑査画像)を表示部32に表示する。そのため、ユーザは、表示部32に表示された薬剤が薬包に収容されていないことにより、当該薬剤を紛失したとして不安になる可能性もある。
【0201】
そこで、空包に印字されたバーコードがバーコードリーダ7により読み取られたときに、表示制御部67は、当該空包が、薬剤仕分装置1の通常の使用状態により発生した薬包であって、不要な薬包であることを示すメッセージを表示してよい。
【0202】
分包制御部71は、複数の薬包のそれぞれに同種の薬剤を収容する場合、各薬包には同一のバーコードを印字する。しかし、分包制御部71は、分包処理を一旦停止した場合には、分包処理を再開したときに、ある薬剤を分包予定だった薬包に印字されているバーコード(バーコード番号)とは異なるバーコードを、当該薬剤を分包する新たな薬包に印字する。また、分包制御部71は、当該薬剤を分包予定だった薬包に印字されているバーコードについては無効にする。そのため、表示制御部67は、当該バーコードが読み取られたときに、無効であることを認識することにより、上記メッセージを表示できる。
【0203】
従って、ユーザは、空包のバーコードをバーコードリーダ7に読み取らせた場合に、上記メッセージを確認できるため、当該空包がそもそも不要な薬包であることを認識できる。そのため、ユーザは、印字された空包が排出されたとしても、分包機構6の故障によって空包が発生したわけではないと認識できる。従って、ユーザが空包の発生原因を確認する作業、又は、ユーザが薬剤を探す作業を行う可能性を低減できる。また、ユーザが、薬剤を紛失したという不安を抱える可能性を低減できる。
【0204】
[実施形態2]
〔薬剤払出システムの構成〕
図11は、薬剤払出システム100の構成例を示す図である。薬剤払出システム100は、例えば処方データに基づき、各種薬剤の払出しを行うシステムであって、薬局又は病院等の医療機関に設けられるシステムである。
図11に示すように、薬剤払出システム100は、例えば、薬剤棚110、薬剤払出装置120、払出管理装置130、及び薬剤仕分装置1Aを備える。払出管理装置130は、薬剤払出装置120及び薬剤仕分装置1Aと通信可能に接続される。
【0205】
薬剤棚110は、薬剤払出システム100が設けられる薬局又は病院等において使用され得る各種薬剤(すなわち、薬剤払出システム100での取扱対象となる各種薬剤)を保管可能な棚である。換言すれば、薬剤棚110は、薬剤仕分装置1Aの仕分対象となり得る各種薬剤を保管可能な棚である。
【0206】
薬剤払出装置120は、例えば処方データに基づき、薬剤を払出す装置である。薬剤払出装置120は、薬剤払出システム100において、1つのみ備えられていても、複数備えられていてもよい。薬剤払出装置120としては、例えば、錠剤を分包する錠剤分包機、散薬を分包する散薬分包機、及び、錠剤を収容するPTP(Press Through Package)シートを払出すPTP払出装置が挙げられる。本実施形態では、薬剤払出装置120が錠剤分包機(単に分包機とも称する)である場合を例に挙げて説明する。錠剤分包機の場合、薬剤払出装置120は、種類毎に薬剤を収容する複数のカセット(不図示)を備える。薬剤払出装置120は、複数のカセットのそれぞれに、薬剤仕分装置1Aの仕分対象となり得る薬剤を収容可能である。
【0207】
払出管理装置130は、医師により患者に処方された薬剤に関する情報(例:当該薬剤の種類(例:薬剤名)、服用量(当該薬剤の数)、及び服用方法)の入力を受付ける。払出管理装置130は、入力された情報を含む処方データを発行し、薬剤払出装置120に送信する。このように、払出管理装置130は、薬剤払出装置120からの払出しを管理する。薬剤払出システム100が複数の薬剤払出装置120を備える場合、払出管理装置130は、どの薬剤払出装置120から薬剤を払出すかを決定し、各薬剤払出装置120が払出すべき薬剤に関する情報を含む、薬剤払出装置120毎の処方データを、発行する。
【0208】
薬剤仕分装置1Aは、薬剤仕分装置1と同様、第1収容部11(
図1及び
図2参照)に収容された複数種類の薬剤のそれぞれを撮像した画像に基づき、当該複数の薬剤のそれぞれを種類毎に仕分ける装置である。薬剤仕分装置1Aは、例えば薬剤払出装置120によって払出された(分包された)薬剤を返品薬として受付け、種類毎に仕分してもよい。また、薬剤仕分装置1Aは、薬剤仕分装置1Aと同様、仕分けた薬剤を分包する分包機構6(
図1及び
図2参照)を備える。
【0209】
〔ロット番号及び有効期限の管理〕
≪払出管理装置による管理≫
また、払出管理装置130は、薬剤仕分装置1Aの仕分対象となり得る薬剤のロット番号及び有効期限を管理する。ロット番号は、薬剤の製造場所及び製造日を特定可能な番号である。払出管理装置130は、例えば払出管理装置130の記憶部(不図示)において、薬剤仕分装置1Aの仕分対象となり得る薬剤の種類を示す情報(薬剤識別情報)に対応付けて、ロット番号及び有効期限を示す情報を管理する。払出管理装置130は、薬剤払出装置120から受信することにより、これらの情報を管理してもよいし、払出管理装置130にユーザが入力することにより、これらの情報を管理してもよい。また、払出管理装置130は、薬剤払出装置120に収容された薬剤の種類を示す情報に対応付けて、ロット番号及び有効期限を示す情報を管理してもよい。
【0210】
また、払出管理装置130は、薬剤払出装置120に薬剤仕分装置1Aの仕分対象となり得る薬剤が充填されるときに、充填される薬剤のロット番号及び有効期限を更新する。これにより、払出管理装置130は、薬剤払出装置120に充填される薬剤の全てのロット番号及び有効期限を、薬剤払出装置120に薬剤が充填されるたびに、最新の状態とすることができる。
【0211】
なお、薬剤払出装置120に新たな薬剤が充填されることになった場合、払出管理装置130は、薬剤払出装置120からの受信又はユーザによる入力により、当該薬剤の種類を示す情報と、ロット番号及び有効期限を示す情報とを対応付けて登録する。また、払出管理装置130は、これらの情報を薬剤仕分装置1Aに送信する。この場合、薬剤仕分装置1Aがこれらの情報を記憶部80に登録する。これらの登録処理についても、ロット番号及び有効期限の更新と称してもよい。
【0212】
払出管理装置130は、ロット番号及び有効期限を示す情報を薬剤仕分装置1Aに送信する。本実施形態では、払出管理装置130は、所定期間毎に、ロット番号及び有効期限を示す情報を薬剤仕分装置1Aに送信する。上記所定期間は、ユーザが任意に設定でき、例えば薬剤払出システム100における薬剤の払出状況により適宜設定又は変更されてよい。本実施形態では、払出管理装置130は、ある決まった時刻(例:払出管理装置130が管理する情報の毎日定時の更新時、又は日付変更時)に、ロット番号及び有効期限を示す情報を薬剤仕分装置1Aに送信する。また本実施形態では、払出管理装置130は、管理している複数のロット番号及び有効期限のうち、更新があった薬剤のロット番号及び有効期限を示す情報を、薬剤払出装置120に対して発行した処方データと共に、薬剤仕分装置1Aに送信する。
【0213】
なお、払出管理装置130は、所定期間毎に(ある決まった時刻に)、ロット番号及び有効期限を示す情報を薬剤仕分装置1Aに送信する必要は必ずしもない。払出管理装置130は、例えば、ロット番号及び有効期限を更新したときに、ロット番号及び有効期限を示す情報を薬剤仕分装置1Aに送信してもよい。すなわち、払出管理装置130は、ロット番号及び有効期限を示す情報の薬剤仕分装置1Aへの送信を、定時に行ってもよいし、随時行ってもよい。また、払出管理装置130は、ロット番号及び有効期限を示す情報を送信するときに、薬剤払出装置120に対して発行した処方データもあわせて送信する必要は必ずしもない。
【0214】
払出管理装置130は、薬剤仕分装置1Aの仕分対象となり得る薬剤が薬剤払出装置120に充填されたとき、例えば、以下に示す何れかの方法で、充填される薬剤のロット番号及び有効期限を更新する。
【0215】
(方法α)薬剤師等の医療従事者が、薬剤棚110から薬剤を取出し、当該薬剤を薬剤払出装置120へ充填するとき、例えば、以下の作業及び処理が行われる。
【0216】
すなわち、薬剤師等の医療従事者は、薬剤払出装置120が備えるバーコードリーダ(不図示)を用いて、薬剤棚110から取出した薬剤に付与されているバーコードの情報(例:GS1コード)を読取らせる。また、医療従事者は、薬剤払出装置120から、当該薬剤を収容するカセットを取出す。そして、医療従事者は、当該カセットのRFIDタグ(不図示)に記憶された薬剤に関するデータ(例:当該カセットの収容対象である薬剤の種類を示す情報)を、薬剤払出装置120に設けられたRFIDリーダ(不図示)に読出させる。
【0217】
その後、薬剤払出装置120は、薬剤棚110から取出した薬剤に付与されているバーコードの情報と、薬剤払出装置120から取出したカセットに付与された薬剤に関するデータ(情報)とを照合する。薬剤払出装置120は、この照合により、薬剤棚110から取出した薬剤の種類と、当該カセットが収容対象とする薬剤の種類とが一致した場合、医療従事者に対して、薬剤棚110から取出した薬剤の、当該カセットへの収容を許可する。これにより、医療従事者は、薬剤棚110から取出した薬剤を、当該カセットに充填できる。
【0218】
また、薬剤払出装置120は、上記バーコードの情報から、充填される薬剤のロット番号及び有効期限を示す情報を取得する。薬剤払出装置120は、ロット番号及び有効期限を示す情報を、薬剤払出装置120が備えるタッチパネル(不図示)を介した入力により受付けてもよい。薬剤払出装置120は、取得したロット番号及び有効期限を示す情報を、払出管理装置130に送信する。払出管理装置130は、受信した情報が示すロット番号及び有効期限と、払出管理装置130が管理している、充填される薬剤に対応するロット番号及び有効期限と、が一致するか否かを判定する。払出管理装置130は、上記2つのロット番号及び有効期限が一致しないと判定した場合、充填される薬剤のロット番号及び有効期限として、受信した情報が示すロット番号及び有効期限に更新する。
【0219】
(方法β)薬剤師等の医療従事者が、薬剤棚110から薬剤を取出し、当該薬剤を薬剤払出装置120へ薬剤を充填するとき、例えば、以下の作業及び処理が行われる。
【0220】
すなわち、薬剤師等の医療従事者は、払出管理装置130が備える操作部(例:キーボード)を介して、薬剤払出装置120に充填する薬剤のロット番号及び有効期限を示す情報を入力する。払出管理装置130は、入力された情報が示すロット番号及び有効期限と、払出管理装置130が管理している、充填される薬剤に対応するロット番号及び有効期限と、が一致するか否かを判定する。払出管理装置130は、上記2つのロット番号及び有効期限が一致しないと判定した場合、充填される薬剤のロット番号及び有効期限として、入力された情報が示すロット番号及び有効期限に更新する。
【0221】
また、薬剤払出装置120は、上記方法αで示したように、上記照合により薬剤棚110から取出した薬剤の、当該カセットへの収容の許否を判定する。医療従事者は、当該薬剤の当該カセットへの収容が許可された場合、当該薬剤を当該カセットへ収容できる。この作業は、薬剤払出装置120へのロット番号及び有効期限を示す情報の入力後であっても、入力前であってもよい。
【0222】
≪薬剤払出装置による管理≫
図12は、本実施形態の薬剤仕分装置1Aの制御部60Aaの一例を示す図である。本実施形態では、
図12に示すように、薬剤仕分装置1Aは、制御部60Aaを備えるコンピュータ60Aを備える。この点において、薬剤仕分装置1Aは、実施形態1の薬剤仕分装置1とは異なる。制御部60Aaは、実施形態1の制御部60a(
図1参照)が備える機能に加え、ロット管理部72を備える。但し、本実施形態において、制御部60Aaは、決定部64を備えていなくてもよい。
【0223】
ロット管理部72は、薬剤のロット番号及び有効期限を、薬剤仕分装置1Aの仕分対象となり得る薬剤の種類と対応付けて管理する。ロット管理部72は、払出管理装置130から取得したロット番号及び有効期限を示す情報を、薬剤の種類を示す情報と対応付けて記憶する。例えば、ロット管理部72は、記憶部80に記憶された薬剤データベースにおいて管理される薬剤識別情報に、取得したロット番号及び有効期限を示す情報を対応付けてもよい。薬剤データベースでは、例えば、薬剤仕分装置1Aの仕分対象となり得る複数種類の薬剤に関する薬剤データとして、当該複数種類の薬剤のそれぞれの薬剤識別情報に対応付けて、予め撮像された薬剤の画像(マスタ画像)を管理している。
【0224】
また、ロット管理部72は、払出管理装置130からロット番号及び有効期限を受信することにより、記憶部80において管理しているロット番号及び有効期限を更新する。本実施形態では、ロット管理部72は、払出管理装置130からロット番号及び有効期限を示す情報を受信する所定期間毎に、ロット番号及び有効期限を更新する。
【0225】
上述のように、払出管理装置130は、薬剤払出装置120に薬剤が充填されるタイミングで、払出管理装置130が管理するロット番号及び有効期限を更新する。そのため、払出管理装置130により更新されたロット番号及び有効期限について、ロット管理部72は、払出管理装置130からの受信タイミングで、記憶部80において管理するロット番号及び有効期限を更新できる。
【0226】
なお、表示制御部67は、タッチパネル3(
図1及び
図2参照)に、ロット管理部72が管理するロット番号及び有効期限を表示してもよい。例えば、操作入力部66が、タッチパネル3を介して、薬剤データベースで管理する複数種類の薬剤のうちの何れかの薬剤のロット番号及び有効期限を表示させたい旨のユーザ入力を受付けたとする。この場合、表示制御部67は、ロット管理部72が管理する複数種類の薬剤のロット番号及び有効期限を示す情報の中から、ユーザ入力により指定された薬剤のロット番号及び有効期限を特定し、当該ロット番号及び有効期限を、タッチパネル3に表示する。これにより、ユーザは、所望する薬剤のロット番号及び有効期限を確認できる。
【0227】
また、ユーザは、タッチパネル3に表示されたロット番号及び有効期限を変更可能である。ロット管理部72は、ユーザ入力による受付けたロット番号及び有効期限に、ロット管理部72が管理するロット番号及び有効期限を変更する。すなわち、ロット管理部72は、払出管理装置130からロット番号及び有効期限を受信した場合でなくても、ユーザ入力によりロット番号及び有効期限を更新できる。
【0228】
また、ロット管理部72は、仕分制御部62の制御により搬送・仕分ユニット12が仕分けた薬剤の種類毎に、搬送・仕分ユニット12が仕分けた薬剤の個数と、ロット管理部72が管理するロット番号及び有効期限とを対応付ける。仕分制御部62は、実施形態1で説明したように、仕分カップ141(
図2参照)に格納した薬剤の個数をカウントし、仕分位置に対応付けて記憶部80に記憶している。また、仕分位置には、薬剤の種類の判別結果が対応付けられている。すなわち、仕分位置と、当該仕分位置の仕分カップ141に格納される薬剤の薬剤識別情報とが対応付けて、記憶部80に記憶されている。そのため、ロット管理部72は、仕分けられた薬剤について、薬剤識別情報と、ロット番号及び有効期限を示す情報と、仕分位置を示す情報と、当該仕分位置の仕分カップ141に格納される薬剤の個数を示す情報と、を対応付けて管理できる。
【0229】
〔薬剤仕分装置による分包〕
分包機構6は、分包機構6が搬送・仕分ユニット12により仕分けられた薬剤を分包するときに、ロット管理部72が管理する、分包機構6が分包する薬剤に対応するロット番号及び有効期限を、分包紙に印字する印字部としての機能も有する。分包機構6は、分包対象とする薬剤の仕分位置を示す情報に対応付けて管理されたロット番号及び有効期限を、分包対象とする薬剤を分包する分包紙に印字する。分包機構6は、薬剤を分包するたびに、当該薬剤のロット番号及び有効期限を、当該薬剤を分包する分包紙に印字する。分包機構6による分包紙への印字は、分包制御部71により制御される。
【0230】
このように、薬剤仕分装置1Aは、薬剤仕分装置1Aの仕分対象となり得る薬剤のロット番号及び有効期限を示す情報を管理することにより、仕分けた薬剤を分包した一包分の分包紙(薬包)毎に、当該薬剤のロット番号及び有効期限を印字できる。そのため、ユーザは、薬包に印字されたロット番号及び有効期限を視認することにより、薬包に収容された薬剤のロット番号及び有効期限を確認できる。例えば、薬剤の返却先(例:薬剤棚110又は薬剤払出装置120)において、ユーザは、薬剤のロット番号及び有効期限を確認できる。そして、薬剤の返却先において、薬剤のロット番号及び有効期限を管理させることもできる。
【0231】
従って、ユーザが、薬剤仕分装置1Aから取出した薬剤のロット番号及び有効期限を確認できるようになるため、薬剤仕分装置1Aにより仕分けられた薬剤のトレーサビリティが向上する可能性を高めることができる。
【0232】
なお、分包機構6により分包紙への印字が行われるが、これに限らず、分包機構6とは別に設けられた印字部により、分包紙への印字が行われてもよい。
【0233】
〔使用例〕
図13の符号13001は、薬剤仕分装置1Aによる仕分けの結果(集計結果)の一例を示す図であり、符号13002は、薬剤仕分装置1Aが仕分けた薬剤を分包した薬包MP11~MP15の一例を示す図である。
【0234】
例えば、2021年4月1日に、薬剤払出装置120に対して、ロット番号「1234」及び有効期限「2022年12月」の薬剤MA~MZが充填されたとする。この場合、例えば方法α又はβにより、払出管理装置130は、薬剤MA~MZのロット番号及び有効期限を示す情報を更新し、当該情報を薬剤仕分装置1Aに送信する。当該情報を受信した場合、ロット管理部72は、記憶部80に記憶している薬剤MA~MZのロット番号及び有効期限を示す情報を更新する。
【0235】
ロット管理部72による更新後で、かつ同日に、薬剤仕分装置1Aが、薬剤MA~MEの仕分けを行ったとする。ロット管理部72は、記憶部80において、薬剤MA~ME毎に、仕分カップ141に収容された薬剤の個数を示す情報と、ロット番号及び有効期限を示す情報とを管理している。そのため、
図13の符号13001に示すように、表示制御部67は、仕分結果として、薬剤MA~ME毎に、仕分カップ141に格納された薬剤の個数と、ロット番号「1234」及び有効期限「2022/12」とを、タッチパネル3に表示させることができる。
【0236】
また、分包制御部71は、分包機構6を制御して、仕分カップ141に収容された薬剤MA~MEをそれぞれ分包し、
図13の符号13002に示すように、薬包MP11~MP15を排出する。分包制御部71は、薬剤MA~MEを分包する前に、記憶部80を参照することにより、薬剤MA~MEのロット番号及び有効期限を示す情報を取得する。そのため、
図13の符号13002に示すように、分包制御部71は、分包機構6を制御して、薬包MP11~MP15のそれぞれに、薬剤MA~MEのロット番号「1234」及び有効期限「2022/12」を印字できる。
【0237】
図14の符号14001は、薬剤仕分装置1Aによる仕分けの結果(集計結果)の別例を示す図であり、符号14002は、薬剤仕分装置1Aが仕分けた薬剤を分包した薬包MP21~MP23の一例を示す図である。
【0238】
例えば、2021年4月2日に、薬剤払出装置120に対して、ロット番号「5678」及び有効期限「2023年4月」の薬剤MF~MJが充填されたとする。この薬剤MF~MJの充填は、例えば、2021年4月1日に薬剤払出装置120に対して充填されたロット番号「1234」及び有効期限「2022年12月」の薬剤MF~MJが全て、薬剤払出装置120から払出された場合に行われる。この充填が行われた場合、例えば方法α又はβにより、払出管理装置130は、薬剤MF~MJのロット番号及び有効期限を示す情報を更新し、当該情報を薬剤仕分装置1Aに送信する。当該情報を受信した場合、ロット管理部72は、記憶部80に記憶している薬剤MF~MJのロット番号及び有効期限を示す情報を更新する。
【0239】
すなわち、更新後において、払出管理装置130及び薬剤仕分装置1Aは、薬剤MA~ME及びMK~MZについてはロット番号「1234」及び有効期限「2022/12」で管理する。一方、払出管理装置130及び薬剤仕分装置1Aは、薬剤MF~MJについてはロット番号「5678」及び有効期限「2023/4」で管理する。
【0240】
ロット管理部72による更新後で、かつ同日に、薬剤仕分装置1Aが、薬剤MA、MC、MFの仕分けを行ったとする。この場合、
図14の符号14001に示すように、表示制御部67は、薬剤MA、MCの仕分結果として、仕分カップ141に格納された薬剤の個数と、ロット番号「1234」及び有効期限「2022/12」とを、タッチパネル3に表示させる。同様に、表示制御部67は、薬剤MFの仕分結果として、仕分カップ141に収容された薬剤の個数と、ロット番号「5678」及び有効期限「2023/4」とを、タッチパネル3に表示させる。
【0241】
また、分包制御部71は、分包機構6を制御して、仕分カップ141に格納された薬剤MA、MC、MFをそれぞれ分包し、
図14の符号14002に示すように、薬包MP21~MP23を排出する。また、
図14の符号14002に示すように、分包制御部71は、分包機構6を制御して、薬包MP21及びMP22の排出前に、薬包MP21及びMP22のそれぞれに薬剤MA及びMCのロット番号「1234」及び有効期限「2022/12」を印字する。また、分包制御部71は、分包機構6を制御して、薬包MP23の排出前に、薬包MP23に、薬剤MFのロット番号「5678」及び有効期限「2023/4」を印字する。
【0242】
このように、薬剤仕分装置1Aは、更新後のロット番号及び有効期限を示す情報を管理することにより、更新後のロット番号及び有効期限を分包紙に印字できる。
【0243】
〔ロット番号及び有効期限について〕
なお本実施形態では、薬剤払出システム100において、ロット番号及び有効期限を示す情報が送受信され、更新され、また分包紙に印字されるものとして説明した。しかし、ロット番号を示す情報及び有効期限を示す情報の何れかが送受信され、更新され、また分包紙に印字される形態であってもよい。この場合、薬剤払出装置120、払出管理装置130及び薬剤仕分装置1Aは、ロット番号を示す情報及び有効期限を示す情報の何れかを管理し、また分包紙に印字することになる。なお、薬剤払出装置120、払出管理装置130及び薬剤仕分装置1Aにおいて、ロット番号から有効期限を算出するか、又は有効期限からロット番号を算出することにより、ロット番号及び有効期限を示す情報を管理してもよい。
【0244】
〔ソフトウェアによる実現例〕
薬剤仕分装置1及び1Aの制御ブロック(特に制御部60a及び制御部60Aaの各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0245】
後者の場合、薬剤仕分装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0246】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0247】
1 薬剤仕分装置(持参薬仕分装置)
6 分包機構(分包部)
11 第1収容部
12 搬送・仕分ユニット(仕分部)
14 第2収容部
13 撮像ユニット(撮像部)
64 決定部
65 照合部(第1収容部、第2収容部)