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特許7598085コンデンサおよびその製造方法、コンデンサの実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】コンデンサおよびその製造方法、コンデンサの実装方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 2/02 20060101AFI20241204BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20241204BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20241204BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20241204BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20241204BHJP
   H01G 9/12 20060101ALI20241204BHJP
   H01G 9/08 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H01G2/02 101Z
H01G2/06 A
H01G2/10 M
H01G9/00 290J
H05K1/18 D
H01G9/12 Z
H01G9/08 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020019994
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2020202363
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2019106568
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 研太郎
【審査官】上谷 奈那
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-199772(JP,A)
【文献】特開2012-074561(JP,A)
【文献】特開2001-102237(JP,A)
【文献】特開2007-317688(JP,A)
【文献】特開平09-064526(JP,A)
【文献】特開平11-087895(JP,A)
【文献】特開2001-217148(JP,A)
【文献】特開2013-235968(JP,A)
【文献】特開昭59-149090(JP,A)
【文献】特開平06-061106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/02
H01G 2/06
H01G 2/10
H01G 9/00
H05K 1/18
H01G 9/12
H01G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子を収納した有底筒状の外装ケースの開放端を封口部材で封止されており、前記コンデンサ素子より導出されたリード端子が前記封口部材を貫通して成るコンデンサ本体を、前記リード端子が貫通する貫通孔を備えた底面部と前記コンデンサ本体の外周を取り巻くように形成された側壁とを有する台座に収納し、前記側壁の内側面からコンデンサ本体に向かって突出した凸部を備えたコンデンサであって、
前記外装ケースの側面を加締めて形成した加締部に前記凸部が配置され、前記加締部と前記凸部との間に隙間部を設け、
前記隙間部は、コンデンサ本体の軸方向における凸部の上下と加締部との間の少なくとも一方に設けられ、前記コンデンサ本体が、該隙間部を介してコンデンサの軸方向に可動可能に台座に収納されたことを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記コンデンサ本体を前記台座の底面部に接触したときに、コンデンサの軸方向における凸部の下に設けた隙間を有することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記コンデンサ本体を前記台座の底面部に接触させて台座に収納したときに、コンデンサの軸方向における凸部の上に隙間部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記コンデンサ本体を、前記台座の底面部に接触させて台座に収納したときに、半田リフローに伴う前記封口部材の変形によってコンデンサ本体が前記台座の底面部から離間するする長さaと、前記コンデンサ本体を台座の底面部に接触させて台座に収納したときに、コンデンサの軸方向における凸部の下に設けた隙間部の長さbとの大小関係がa≦bであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記凸部は、コンデンサの軸方向における上に設けたテーパ部と、コンデンサの軸方向における下に、収納した前記コンデンサ本体の抜けを抑制する係り止め部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記側壁の内側面に、前記コンデンサ本体の軸方向にわたって内側に突出するリブを備え、前記リブは前記凸部の前記コンデンサ本体の軸方向における上方に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記側壁に設けた凸部のコンデンサの軸方向の下に位置する台座の底面部に開口部を備えていることを特徴する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記コンデンサ本体のリード端子は、台座に備えた貫通孔を貫通し、直線的に導出されたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項9】
コンデンサ素子を収納した有底筒状の外装ケースの開放端を封口部材で封止されており、前記コンデンサ素子より導出されたリード端子が前記封口部材を貫通して成るコンデンサ本体を、前記リード端子が貫通する貫通孔を備えた底面部と前記コンデンサ本体の外周を取り巻くように形成された側壁とを有する台座に収納し、前記側壁の内側面からコンデンサ本体に向かって突出した凸部を備えたコンデンサの製造方法であって、
前記外装ケースの側面を加締めて形成した加締部に前記加締部と前記凸部との間に隙間部を設けて前記凸部を配置する工程を含み、
前記隙間部は、コンデンサ本体の軸方向における凸部の上下と加締部との間の少なくとも一方に設けられ、前記コンデンサ本体が、該隙間部を介してコンデンサの軸方向に可動可能に台座に収納されたことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載のコンデンサのリード端子を、
回路基板に備えた半田ペーストが充填されたスルーホールに挿入する工程と、前記リード端子と回路基板とを半田リフロー接続する工程と、
を含むことを特徴とするコンデンサの実装方法。
【請求項11】
前記スルーホールに前記コンデンサのリード端子を挿入する工程の後に、
挿入したリード端子を屈曲させて仮止めする工程を含むことを特徴とする請求項10に記載のコンデンサの実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板等の配線板に実装されるコンデンサに関し、たとえば、コンデンサの金属製外装ケースを封止する封口部材側に台座が配置されたチップ形電解コンデンおよびその製造方法、コンデンサの実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電力変換装置における制御回路を構成する蓄電デバイスを構成するコンデンサの一つとしてチップ型電解コンデンサがある。チップ型電解コンデンサは陽極リード線と陰極リード線とがそれぞれ接続された陽極箔と陰極箔とをその間にセパレータを介在させて巻回することにより構成されたコンデンサ素子を駆動用電解液と共に有底円筒状の金属からなる外装ケース内に収納し、この外装ケースの開放端部を封口部材により封止して外装ケースを加締めることによって構成されたものに、貫通孔を有する絶縁性の台座を装着し、この貫通孔にコンデンサ本体から導出された一対のリード端子を貫通し、かつ台座の下面に沿って折曲げることで、面実装に対応可能としたものがある。また、絶縁板の貫通孔から導出された一対のリード端子を折り曲げずに、回路基板に設けられたスルーホールに貫通し半田リフロー処理によって半田付けする方法もある。
【0003】
このような絶縁性の台座を備えたチップ型電解コンデンサに関する文献としては、次のような文献が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-102237
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チップ型電解コンデンサは前述したように内部に駆動用電解液を保持しており、半田リフロー処理による高温状態に曝されると駆動用電解液の溶媒が気化して電解コンデンサの内部圧力を上昇させてしまう。そして、内圧上昇に伴い、封口部材が絶縁板側に膨張することで、絶縁板とコンデンサとが離間してしまい半田付けが上手く成されずに回路基板へ接続されると、接続強度の低下を起こし、実使用時に基板から電解コンデンサが脱落するなどの課題がある。
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑み、半田リフロー処理における回路基板への実装不良の発生を大幅に低減することのできるコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンデンサは、コンデンサ素子を収納した有底筒状の外装ケースの開放端を封口部材で封止されており、前記コンデンサ素子より導出されたリード端子が前記封口部材を貫通して成るコンデンサ本体を、前記リード端子が貫通する貫通孔を備えた底面部と前記コンデンサ本体の外周を取り巻くように形成された側壁とを有する台座に収納し、前記側壁の内側面からコンデンサ本体に向かって突出した凸部を備えたコンデンサであって、前記外装ケースの側面を加締めて形成した加締部に前記凸部が配置され、前記加締部と前記凸部との間に隙間部を設けたことを特徴とする。
【0007】
本発明のコンデンサは、コンデンサ素子を収納した有底筒状の外装ケースの開放端を封口部材で封止されており、前記コンデンサ素子より導出されたリード端子が前記封口部材を貫通して成るコンデンサ本体を、前記リード端子が貫通する貫通孔を備えた底面部と前記コンデンサ本体の外周を取り巻くように形成された側壁とを有する台座に収納し、前記側壁の内側面からコンデンサ本体に向かって突出した凸部を備えたコンデンサの製造方法であって、前記外装ケースの側面を加締めて形成した加締部に前記加締部と前記凸部との間に隙間部を設けて前記凸部を配置する工程を特徴とする。
【0008】
本発明のコンデンサは、コンデンサのリード端子を、回路基板に備えた半田ペーストが充填されたスルーホールに挿入する工程と、前記リード端子と回路基板とを半田リフロー接続する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0010】
(1)コンデンサが半田リフロー処理による高温状態に曝されて封口部材が膨張してもコンデンサ本体が台座から離脱することを回避できる。
【0011】
(2) 半田リフロー処理におけるコンデンサの実装不良の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるコンデンサの一例を示した図である。
図2】本発明によるコンデンサの台座の一例を示した図である。
図3】本発明によるコンデンサの台座の一例を示した図である。
図4】本発明によるコンデンサの一例を示した図である。
図5】本発明によるコンデンサの半田リフロー処理前におけるコンデンサの断面を示した図である。
図6】本発明によるコンデンサの半田リフロー処理中におけるコンデンサの断面を示した図である。
図7】本発明によるコンデンサの半田リフロー処理後におけるコンデンサの断面を示した図である。
図8】本発明の他の実施例によるコンデンサの台座の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施例のコンデンサは、図1に示すような外観形状を有しており、内部にコンデンサ素子を収納するアルミ製外装ケ-スの開口側を封口する封口部材26を貫通して導出されたリード端子22を有するコンデンサ本体4と、リード端子22が導出されたコンデンサ本体4の封口部材26側に配置される台座6とから主に構成されている。
【0014】
本実施例に用いたコンデンサ本体4は、図1(a)、図1(b)に示すように、有底円筒状のアルミ製外装ケ-ス内部にコンデンサ素子を収納し、その開放端部に封口部材26を挿着した後、外装ケースにおける外周側面と開口端とを加締めることで加締部12が形成され、これによってコンデンサ本体4が密封される。この封口部材26を貫通するようにコンデンサ素子より導出されたリード端子22が設けられており、封口部材26の外側に導出されたリード端子22の端部が、台座6に形成された貫通孔(図示略)に貫通する。封口部材26は、柔軟性や弾力性を発揮する硬度で形成され、たとえばエチレンプロピレンゴムやブチルゴム、シリコンゴムなどが用いられる。
【0015】
コンデンサ素子には、アルミニウム等の弁金属からなる陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在させて、巻回して形成され、電解液が含浸されたものや、電解質としてポチエチレンジオキシチオフェン等の導電性高分子を用いたものや、導電性高分子を含浸したコンデンサ素子に電解液を含浸させるハイブリッドタイプとしてもよい。
【0016】
コンデンサ本体4の封口部材26側に配置される台座6は、図1(a)、図1(b)に示すように、所定厚みの電気絶縁性を有する樹脂製とされ、コンデンサ本体4の封口部材26側が当接する底面部20とコンデンサ本体4の外周側面を取り巻くようにして上方に延びる側壁8が形成されている。この台座6は上面視略方形で、かつその隣り合う1組の角に切欠き10が形成されている。このように、台座6の上面視形状を略方形に形成することは、得られるコンデンサの基板への実装面積を小さくできることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、上面視多角形状のものや上面視円形状としても良く、これら台座6の形状は適宜選択すれば良い。また、台座6の側壁8に切欠き10を形成すると、コンデンサを基板へ実装する際に、リード端子22の極性が目視にて容易に判別できることから好ましいが、これら切欠き10等を設けずとも良い。
【0017】
また本実施例では、台座6の側壁8を分断する分断部14が形成されており、側壁8の内面とコンデンサ本体4の外周側面との間隙に、分断部14から外気が効率良く流入するようになるため、側壁8による放熱効果の低下を極力抑えることができることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、特に形成されていなくても良い。
【0018】
図2図3に示すように、コンデンサのケース側面を取り巻くように形成された台座6の側壁8の内側面にはコンデンサ本体4側に突出し、外装ケースの加締部12内に配置される凸部16が設けられている。
【0019】
図1(b)に示すように、凸部16が設けられた台座6にコンデンサ本体4を収納すると、凸部16は外装ケースの側面を加締めて形成した加締部12内に配置され、加締部12と凸部16との間には隙間部34が設けられている。この隙間部34は、コンデンサ本体4の軸方向における凸部16の上下と加締部12との間の少なくとも一方に設けられ、図5(b)に示すように、この実施例のコンデンサ2では加締部12と凸部16との間に凸部1
6の上側に隙間部34aと凸部16の下側に隙間部34bが設けられており、コンデンサ本体4が、隙間部34を介してコンデンサ本体4の軸方向に可動可能に台座6に収納される。
【0020】
また、凸部16の端部21とコンデンサ本体4の直径方向における加締部12との間にも隙間部34cが備えると好ましい。凸部16の端部21と加締部12との間に隙間部3
4cを備え凸部16の端部21と加締部12とを非接触とすることでコンデンサ本体4の
軸方向への可動を円滑にすることができる。
【0021】
本実施例のコンデンサ2は、台座6の凸部16を基点にコンデンサ本体4の加締部12が上下方向に可動可能となるので、つまり隙間部34を介してコンデンサ本体4と台座6とが上下に可動できる状態で一体化されている。そのため詳細は後述するが、半田リフロー処理による封口部材26の変形に伴いコンデンサ本体4が台座6から押し上げられたとしても、その可動を隙間部34で許容することができる。つまり、凸部16と加締め部とが外れてしまうことを抑制できるので、リード端子22と回路基板28との接続の信頼性を向上することができる。
【0022】
また、図5a、図5bに示すように、コンデンサ本体4の封口部材26側を台座6の底面部20に接触させてこの台座6に収納したときに、コンデンサ2の軸方向における凸部16の上に隙間部34aを備えるように設計すると好ましい。この隙間部34aを備えるこ
とで、凸部16は、加締部12に非接触となり、コンデンサ本体4を密封するこの加締部12への過度のストレスが加わらなく、好ましい。加えて、この隙間部34aが個々のコンデンサの加締部12寸法の微差を許容し、コンデンサ本体4を台座6の底面部20まで確実に収納することが可能となる。
【0023】
また、凸部16は台座6の開口側から底に向かってテーパ状のテーパ部15に形成されている。これによりコンデンサ本体4の台座6への収納を補助することができる。さらに、凸部16には収納したコンデンサ本体4の抜けを抑制する係り止め部19が形成されている。これにより、半田フローによる封口部材26の変形に伴いコンデンサ本体4が台座6から離間しても係り止め部に加締部12が接触し抜け出す方向への可動を抑制することができる。
【0024】
凸部16は側壁8における内側面の少なくとも一箇所に形成されていれば良い。本実施例では、図3に示すように凸部16は、コンデンサ本体4の中心軸に対して上面から観察すると直行する位置に二つ形成されている。この様に凸部16を複数配置する場合、コンデンサ本体4の中心軸を介して対抗する位置に形成しないことが好ましい。コンデンサ本体4の中心軸を介して凸部16を対向させて配置した台座6の場合、コンデンサ収納部の直径に対して凸部16二つ分狭くなるため、そこにコンデンサ本体4を台座6へ収納しようとすると台座6に負荷がかかり割れや破損が生じる可能性がある。
【0025】
また、図3に示すように、側壁8に設けた凸部16のコンデンサの軸方向の下に位置する台座6の底面部20に開口部18を備えてもよい。コンデンサ本体4を台座6に挿入し凸部16にコンデンサ本体4が接触するとテーパ部15に沿って凸部16は径方向に弾性変形し台座6に応力がかかる。そこで、側壁8に設けた凸部16のコンデンサの軸方向の下に位置する台座6の底面部20に開口部18を形成することで、応力が開口部18の周縁部分に逃げるため応力を緩和することができ台座6の割れや破損を抑制することができる。
【0026】
また、図2に示すように、側壁8の内側面には上下方向にわたって内側に突出するリブ17が等間隔に4箇所設けられている。また、相対向するように位置する一対のリブ17における先端同士の離間幅は、コンデンサ本体4の直径よりも若干短寸となるように形成されている。
【0027】
またリブ17は凸部16のコンデンサ本体4の軸方向の上方に形成してもよい。これにより、コンデンサ本体4を台座6に収納する際に、リブ17がコンデンサ本体4をガイドする役割となり、安定して台座6に収納されると共に、前記コンデンサ本体4がリブ17のコンデンサ本体4の軸方向の下方に形成された凸部16に、リブ17から連続して案内されてコンデンサ本体4に備えた加締部12に隙間部34を備えて前記凸部16が配置される。
【0028】
このように本実施例では、リブ17が側壁8における内側面の上下方向にわたって形成されており、コンデンサ本体4の外周側面が側壁8の上下にわたって支持され、コンデンサ本体42の揺動をより効果的に抑止することができることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、側壁8における内側面の少なくとも一部に形成されていれば良い。
【0029】
また、リブ17の上面視形状は半円状に形成することが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも先端がコンデンサ本体4の外周側面に当接できるように形成されていればその形状は任意である。
【0030】
また、リブ17は側壁8の内側面に等間隔に4箇所設けられ、それぞれ対向する位置となるように形成されており、コンデンサ本体4が均一に挟持され、より一層安定的に支持されることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンデンサ本体4が側壁8に設けられたリブ17に挟持されるようになっていれば良く、その数、形成位置は適宜選択可能である。
【0031】
このように構成されたコンデンサ2にあっては、側壁8の内側面に設けられたリブ17の内方にコンデンサ本体4を装着することで、リブ17の先端がコンデンサ本体4の外周側面に押圧され、側壁8側に弾性変形し、その弾性反発力によりコンデンサ本体4の外周側面がリブ17の先端に強く挟持されるため、加振時においてもコンデンサ本体4の揺動を抑止でき、コンデンサ本体4の揺動によるリード端子22の破断を防止できる。 また
、リブ17が側壁8と一体に構成されているため、強度に優れるとともに、側壁8の製造コストも低減できる。
【0032】
さらに、コンデンサ本体4はリブ17に支持されており、コンデンサ本体4の外周側面と側壁8との間に間隙が形成されるようになるため、側壁8を設けることによるコンデンサ本体4の放熱性の低下を極力抑えることができる。
【0033】
また、図4に示したように、コンデンサ本体4から導出された一対のリード端子22を折り曲げずにスルーホール30へ挿入し半田リフロー処理によって接続してもよい。これにより、リード端子22を折れ曲げた場合に生じるリード端子22への応力の集中を回避することができ、さらにスルーホール30内でリード端子22が固定されるため、リード端子22をスルーホール30に挿入しない一般的な面実装品と比較してコンデンサと回路基板28とを強固に接続することができる。
【0034】
また本実施例では、台座6の下面に台座6と回路基板28との接続をより強固にする補助端子24を備えることが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、特に形成されていなくても良い。
【0035】
また図8に示すように補助端子を用いた他の実施形態によれば、コンデンサ本体から導出された一対のリード端子を結ぶ仮想線L1と、台座6の下面に配置された一対の補助端子を結ぶ仮想線L2と、の接点の角度が略直行する関係となるように補助端子を配置してもよい。この仮想線L1の方向は、一対のリード端子によって2点で基板に固定されるため高い耐振動性を確保することが可能となる。同様に、仮想線L2の方向は、一対の補助端子によって2点で基板に固定されるため高い耐振動性を確保することが可能となる。それぞれの仮想線を異なる方向(例えば直行方向)になるよう補助端子を配置することで複数の方向からの振動に高い耐振動性を確保することが可能となる。
【0036】
以上のように構成されたコンデンサ2は、回路基板28の所定位置へ半田付けにより接続される。回路基板28に備えたスルーホール30に半田ペーストを充填し、そのスルーホール30にコンデンサのリード端子22を挿入する。このとき、コンデンサ本体4の封口部材26側と台座6の底面部20とが接触するよう十分に押し込むと、コンデンサ本体4と台座6の底面部20とが接触することで高さ決めがされ、コンデンサ本体4の軸方向における凸部16の上方に隙間部34a、下方に隙間部34bが生じる。このとき、図5(a)、図5(b)に示したように凸部16は、台座6と加締部12との間に生じる加締部内領域の上方に配置され、加締部12内領域の下方には封口部材26の変形に伴うコンデンサ本体4の可動を許容する空間部として隙間部34bが設けられる。
【0037】
図5(a)、図5(b)に示した状態で半田リフロー処理をすると、コンデンサ2によって若干の個体差はあるが図6(a)、図6(b)に示したように、コンデンサ2の内圧上昇に伴い封口部材26が膨張しコンデンサ本体4が台座6の底面部20から離間する方向(図6矢印方向)押し上げられる。しかし、コンデンサ本体4の軸方向における凸部16の下方に配置された隙間部34bにより加締部12の上方へ可動されるとともにコンデンサ本体4の加締部12内に凸部16が制御されるため、台座6からコンデンサが外れてしまうことを抑制できる。このようにコンデンサ本体4が押し上げられると、図6(a)、図6(b)に示したように凸部16は加締部内領域内の下方に位置される。また、コンデンサが押し上げられた高さ分、凸部16の上方に隙間部34aが生じる。尚、コンデンサ2の個体差により
封口部材26の膨張によるコンデンサ本体4の押し上げられる高さは若干異なるが、図6(b)に示したように、コンデンサ本体4を台座6の底面部20に接触させて台座6に収納
したときに半田リフロー処理に伴う封口部材26の変形によってコンデンサ本体4が台座6の底面部20から離間するする長さをaとし、図5(b)に示すコンデンサ本体4を台座6の底面部20に接触させて台座6に収納したときに、コンデンサの軸方向における凸部16の下に設けた隙間部34bの長さbとしたときの大小関係がa≦bとなるように凸部16や加締め部の位置を設計すればよい。これにより、コンデンサ本体4の半田リフロー処理に伴う可動を加締部12で確実に許容することができる。
【0038】
また、図5(b)に示したコンデンサ本体4を台座6の底面部20に接触させて台座6に収納したときに、コンデンサ2の軸方向における凸部16の下に設けた隙間部34bの長
さbは、0.2mm~3.0mm程度が好ましく、0.5mm~2.0mm程度であればさらに好ましく、コン
デンサ本体4のサイズや加締部12の深さに合わせて適宜設計すればよい。
【0039】
半田リフロー処理の冷却工程でコンデンサ2が冷却されると、コンデンサ2によって若干の個体差はあるが図7に示したように膨張した封口部材26は収縮し、コンデンサ本体4は封口部材26が収縮した分の高さだけ自重で降下する。そして半田は凝固し、機械的および電気的に相互接続される。このとき、コンデンサ本体4と側壁8に備えたリブ17との密着の度合いよってはコンデンサ本体4が台座6の底面部20まで降下せずに僅かにクリアランスを備えた状態でリード端子22と回路基板28とが接続される場合もあるが、回路基板28への実装に影響はない。
【0040】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0041】
例えば、本実施例ではコンデンサ2を回路基板28へ実装する方法として、回路基板28に備えたスルーホール30にコンデンサ本体4のリード端子22を挿入した後、コンデンサ本体4の封口部材26側と台座6の底面部20とが接触するよう十分に押し込んだうえで半田リフロー処理する実装方法を説明したが、本発明はこれに限らず他の実装方法として回路基板28に備えたスルーホール30にコンデンサ本体4のリード端子22を挿入した後、コンデンサ本体4の封口部材26側と台座6の底面部20とを予め離間させて半田リフロー処理をしてもよい。具体的には台座6に備えた凸部16がコンデンサ本体4に備えた加締部12に配置される範囲内でコンデンサ本体を上方へ引き上げ、凸部16を加締部12内領域の下方に配置してもよい。
【0042】
このように、コンデンサ本体4の封口部材26側と台座6とを予め離間させて、封口部材26と台座6との間に空隙を設ける若しくは空隙を拡張することで、半田リフロー処理に伴う封口部材26の変形をこの空隙で吸収することができるため、封口部材26と台座6の底面部20とが接触した状態での半田リフロー処理と比較して、コンデンサ本体の上方への可動距離を皆無若しくは低減することができる。半田リフロー処理に伴うコンデンサ本体4の上方への可動距離は、短いほどリード端子22への負荷を低減できる。つまり、コンデンサ本体4の加締部12と台座6の凸部16との間に備えた隙間部34によって、コンデンサ本体4の上下方向への可動が可能となるため、コンデンサ2のサイズや封口部材26の材質、実装設備等に応じて、半田リフロー処理の際にコンデンサ本体4と台座6との離間する距離を適宜選択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明によれば、半田リフローにおける回路基板28への実装不良の発生を大幅に低減することができる。
【符号の説明】
【0044】
2 コンデンサ
4 コンデンサ本体
6 台座
8 側壁
10 切欠き
12 加締部
14 分断部
15 テーパ部
16 凸部
17 リブ
18 開口部
19 係り止め部
20 底面部
22 リード端子
24 補助端子
26 封口部材
28 回路基板
30 スルーホール
32 半田ペースト
34 隙間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8