IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-予約管理システム 図1
  • 特許-予約管理システム 図2
  • 特許-予約管理システム 図3
  • 特許-予約管理システム 図4
  • 特許-予約管理システム 図5
  • 特許-予約管理システム 図6
  • 特許-予約管理システム 図7
  • 特許-予約管理システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】予約管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20241204BHJP
【FI】
G06Q50/40
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020190655
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022079835
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】志賀 竜也
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-138198(JP,A)
【文献】特開2001-229495(JP,A)
【文献】特開2018-088197(JP,A)
【文献】特開2016-128969(JP,A)
【文献】特開2019-016290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送迎車両が運航可能な運行管理エリアにおける前記送迎車両の予約を管理する予約管理システムであって、
複数の前記運行管理エリアを予め設定した運行管理エリア設定部と、
夫々の前記運行管理エリアごとに別々の予約管理画面を設定すると共に、予約者の情報に基づいて何れかの前記予約管理画面に切り替える画面設定部と、
前記画面設定部により切り替えられた前記予約管理画面において、同一の前記運行管理エリアで異なる予約をした複数の前記予約者が相乗り可能に前記送迎車両の予約手続を実行する予約管理部と、を備える予約管理システム。
【請求項2】
前記画面設定部は、前記予約者の登録情報に基づいて、前記予約管理画面を切り替える請求項1に記載の予約管理システム。
【請求項3】
前記予約管理画面は、複数の前記運行管理エリアを一覧表示可能な表示形態を含んでおり、
前記画面設定部は、前記表示形態のうち、前記予約者が所属する前記運行管理エリアが選択されたとき、前記予約管理画面を切り替える請求項1又は2に記載の予約管理システム。
【請求項4】
前記予約管理画面は、複数の前記運行管理エリアを一覧表示可能な表示形態を含んでおり、
前記画面設定部は、前記表示形態のうち、何れか1つの前記運行管理エリアが選択されたとき、前記予約管理画面を切り替える請求項1又は2に記載の予約管理システム。
【請求項5】
前記表示形態は、プルダウンメニューである請求項3又は4に記載の予約管理システム。
【請求項6】
前記予約管理部は、出発地から目的地までの入力内容に基づいて、前記出発地から前記目的地までの運行候補を自動的に抽出し、前記予約管理画面に前記運行候補を表示させる請求項1から5の何れか一項に記載の予約管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定された複数の運行管理エリアにおける送迎車両の予約を管理する予約管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送迎車両としてのタクシーの配車予約を管理する予約管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の予約管理システムは、オペレータが複数のタクシー会社の配車予約を手配するシステムであり、予約者が指定したタクシー会社の配車依頼をオペレータが電話で受け付け、該当するタクシー会社のタクシー車の予約手続を実行するものである。
【0003】
特許文献1に記載の予約管理システム(文献ではタクシー配車装置)は、センター側表示部を備え、このセンター側表示部は、複数のタクシー会社に所属するタクシー車を地図上に重ねて表示するセンター側地図表示欄と、配車の候補となるタクシー車の一覧を表示する配車表示欄とを含んでいる。このセンター側地図表示欄は、タクシー会社毎に紐づけられた予約者の電話番号に基づいて、予約者から電話があった段階で該当するタクシー会社の情報のみに切り替え可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-88197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の予約管理システムでは、予約者から電話があった段階で該当するタクシー会社に切り替えて地図上で表示しているものの、この地図は同一の自治体内のものであり、複数の自治体の夫々で運行する複数の運行事業者の予約管理を1人のオペレータで実施する事は想定されていない。このため、異なる自治体毎の地図上にタクシー車を表示する場合、異なる予約管理画面を用意する必要があり、複数の予約管理画面を見比べながら予約手続を実行する等、オペレータの手間が煩わせるものであった。
【0006】
ところで、近年、タクシーのように予約者及びその同伴者のみが乗車する個別運行形態に加えて、送迎車両に複数の予約者が相乗り可能な相乗り運行形態も試みられている。この相乗り運行形態に用いられる予約管理システムは、複数の予約者から予約を受け付け、最適な経路、乗り降り順を決定するものである。これにより、運行事業者にとっては効率的な運行を実現でき、予約者にとっては安価に送迎車両を利用できるといったメリットがある。
【0007】
このような相乗り運行形態は、複数の自治体で導入が進んでおり、1人のオペレータで複数の自治体の予約管理を効率的に行いたいという要望がある。そこで、複数の運行管理エリアに導入される相乗り運行形態において、利便性の高い予約管理システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る予約管理システムの特徴構成は、送迎車両が運航可能な運行管理エリアにおける前記送迎車両の予約を管理する予約管理システムであって、複数の前記運行管理エリアを予め設定した運行管理エリア設定部と、夫々の前記運行管理エリアごとに別々の予約管理画面を設定すると共に、予約者の情報に基づいて何れかの前記予約管理画面に切り替える画面設定部と、前記画面設定部により切り替えられた前記予約管理画面において、同一の前記運行管理エリアで異なる予約をした複数の前記予約者が相乗り可能に前記送迎車両の予約手続を実行する予約管理部と、を備える点にある。
【0009】
本構成では、画面設定部が、送迎車両が運航可能な複数の運行管理エリアの夫々で別々の予約管理画面を設定しているので、予約手続が複雑な相乗り運行形態であっても、運行管理エリアごとの予約手続を円滑に実行することができる。
【0010】
さらに、本構成の画面設定部は、予約者の情報に基づいて何れかの予約管理画面切り替えるので、予約者が所属する運行管理エリアの予約管理画面をオペレータに提示することができる。その結果、オペレータは、複数の予約管理画面を見比べて、該当する運行管理エリアを探し出す必要がなく、1人のオペレータであっても、複数の運行管理エリアの予約手続を容易に実行することができる。このように、複数の運行管理エリアに導入される相乗り運行形態において、利便性の高い予約管理システムを提供できた。
【0011】
他の特徴構成として、前記画面設定部は、前記予約者の登録情報に基づいて、前記予約管理画面を切り替える点にある。
【0012】
本構成のように、画面設定部が、予約者の登録情報に基づいて予約管理画面を切り替えれば、例えば会員登録している予約者から電話を受けた段階で、電話番号から予約者が所属する運行管理エリアの予約管理画面を自動的にオペレータに提示することができる。その結果、オペレータが手動で誤った運行管理エリアの予約管理画面を表示させて予約手続を進めることがなく、効率的に予約手続を実行することができる。
【0013】
他の特徴構成として、前記予約管理画面は、複数の前記運行管理エリアを一覧表示可能な表示形態を含んでおり、前記画面設定部は、前記表示形態のうち、前記予約者が所属する前記運行管理エリアが選択されたとき、前記予約管理画面を切り替える点にある。
【0014】
本構成のように、運行管理エリアを一覧表示した表示形態のうち予約者が所属する運行管理エリアが選択されたときに予約管理画面を切り替えれば、例えば、会員登録していない予約者が利用したい運行管理エリアをオペレータが聞き出すだけで、意図する予約管理画面を表示させることができる。このように、会員登録の有無に関わらず、意図する運行管理エリアで予約手続が実行可能となるため、利便性が高い。
【0015】
他の特徴構成として、前記予約管理画面は、複数の前記運行管理エリアを一覧表示可能な表示形態を含んでおり、前記画面設定部は、前記表示形態のうち、何れか1つの前記運行管理エリアが選択されたとき、前記予約管理画面を切り替える点にある。
【0016】
本構成のように、運行管理エリアを一覧表示した表示形態のうち何れか1つの運行管理エリアが選択されたときに予約管理画面を切り替えれば、例えば、オペレータが任意に選択した運行管理エリアの予約管理画面を表示させることができる。
【0017】
他の特徴構成として、前記表示形態は、プルダウンメニューである点にある。
【0018】
本構成のようにプルダウンメニューで運行管理エリアを一覧表示すれば、使い勝手が良い。
【0019】
他の特徴構成として、前記予約管理部は、出発地から目的地までの入力内容に基づいて、前記出発地から前記目的地までの運行候補を自動的に抽出し、前記予約管理画面に前記運行候補を表示させる点にある。
【0020】
本構成のように、表示された予約管理画面に出発地と目的地を入力するだけで、運行候補が自動的に抽出されれば、オペレータによる予約手続が極めて簡便なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】相乗り運行形態の概念図である。
図2】予約管理システムのブロック図である。
図3】運行管理エリアの概念図である。
図4】予約管理画面の一例である。
図5】予約手続を示す第一実施例である。
図6】予約手続を示す第二実施例である。
図7】予約手続を示す第三実施例である。
図8】予約管理システムの制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る予約管理システムの実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、複数の予約者が相乗り可能な相乗り運行形態に用いられる予約管理システムXを一例として説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0023】
図1には、相乗り運行形態の概念図が示されている。相乗り運行形態に用いられる送迎車両Yは、複数の予約者P(P1,P2,P3)が同乗可能な自動車で構成されている。本実施形態における相乗り運行形態(所謂ライドシェア)は、自宅の近隣に位置する公共施設(市役所や駅等)、商業施設(スーパーや飲食店等)又は医療福祉施設(病院や老人ホーム等)といった施設を利用したい予約者Pが、安価に短距離移動できる運行形態である。
【0024】
送迎車両Yは、旅客自動車運送事業を営む運行事業者に雇用された第二種運転免許を所有する運転手により運転される。送迎車両Yには、運転手が操作可能な運転手端末Yaが搭載されており、この運転手端末Yaと、運行事業者のオペレータが操作可能な運行事業者端末Sと、がインターネット回線を用いて無線通信可能に構成されている。運転手端末Yaは、タブレット端末やスマートフォン等で構成されており、運行事業者端末Sは、パーソナルコンピューター等で構成されている。
【0025】
予約管理システムXは、複数の予約者Pの予約内容(希望目的地や希望到着時刻等)に基づいて、複数の予約者Pが同乗する送迎車両Yの運行ルートや送迎時刻等を設定する。予約管理システムXは、予約管理事業者のオペレータが操作可能なパーソナルコンピューター等で構成されており、予約者Pからの電話等を受けたオペレータが予約者Pの予約内容を入力可能に構成されている。また、予約管理システムXは、予約者Pが所有するタブレット端末やスマートフォン等で構成される予約者端末Uとインターネット回線を用いて無線通信可能に構成されており、予約者Pが予約者端末Uに入力した予約内容又は予約確定内容を、予約者端末Uとの間で送受信することができる。
【0026】
予約管理システムXは、運行事業者端末Sとインターネット回線を用いて有線又は無線通信可能に構成されており、設定した送迎車両Yの運行ルートや送迎時刻等を運行事業者端末Sに送信し、運行事業者端末S又は運行事業者のオペレータは、運転手端末Ya又は運転手に対して運行指示を実行する。
【0027】
図1の例では、到着時刻:10時50分、目的地:市役所100として予約者P1が予約管理事業者のオペレータに電話し、到着時刻:10時30分、目的地:〇〇内科200として予約者P2が予約管理事業者のオペレータに電話し、到着時刻:10時45分、目的地:〇〇スーパー300として予約者P3が予約者端末Uに入力する。そして、予約管理事業者のオペレータが予約者P1及び予約者P2の予約内容を予約管理システムXに入力する。予約者P3の予約内容はインターネット回線を通じて自動的に予約管理システムXに入力される。次いで、予約管理システムXは、予約者P1,P2,P3の現在地と、市役所100,〇〇内科200及び〇〇スーパー300の立地と、夫々の目的地への到着時刻とに基づいて、送迎車両Yの運行ルートと予約者P1,P2,P3の送迎時刻とを設定する。この設定された運行ルートや送迎時刻等は、予約管理システムXから運行事業者端末Sに送信され、運行事業者端末S又は運行事業者のオペレータが確認,承認をした上で、運転手端末Ya又は運転手に対して運行指示を実行する。
【0028】
図2には、予約管理システムXのブロック図が示されている。予約管理システムXは、表示部10と入力部11と記憶部12と通信部13とエリア設定部2と画面設定部3と予約管理部4とを備えている。予約管理システムXの各機能部は各種処理を実行するCPUやメモリを中核としたソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの協働により構成されている。
【0029】
表示部10は、コンピュータのディスプレイで構成されており、予約管理事業者のオペレータが操作可能な予約管理画面7を表示する。詳細は後述するが、図4図7に表示部10の予約管理画面7の例が示されており、予約者Pから電話を受けた予約管理事業者のオペレータが出発地及び目的地等を入力すると、後述する予約管理部4にて予約者Pの要望に沿った予約手続を実行することができる。なお、予約者Pが所有する予約者端末Uにおいても、出発地及び目的地等を入力可能な予約画面(不図示)を予約者P自らが操作可能に構成されている。
【0030】
入力部11は、マウスやキーボード等で構成されており、表示部10に表示された予約管理画面7に対する予約管理事業者のオペレータの操作を受け付ける。例えば、マウス操作によりポインタを予約管理画面7の所定位置に移動させ、マウスをその位置でクリックすることで所定の操作が実行される。
【0031】
記憶部12は、ROMやHDDといったハードウェアで構成されており、予約者Pの登録情報、予約者Pの予約内容、後述するエリア情報及び停留所情報、各種プログラム等が記憶されている。通信部13は、予約者端末Uや運行事業者端末Sとの間で有線又は無線で構成されるネットワークを介して送受信するためのインターフェースである。
【0032】
エリア設定部2は、運行管理エリア設定部21と停留所設定部22とを有している。
【0033】
運行管理エリア設定部21は、予め登録された複数の運行管理エリアA,B,C,Dの何れかで運行する送迎車両Yを設定する(図3も参照)。「運行管理エリアA,B,C,D」とは、地理的に区画された所定の面積を持つエリア(例えば、地方自治体の行政区域)であって、設定された送迎車両Yが運行することができるエリアのことである。「送迎車両Yが複数の運行管理エリアA,B,Cの何れかで運行する」とは、運行管理エリアAで運行する送迎車両Y1と、運行管理エリアBで運行する送迎車両Y2と、運行管理エリアCで運行する送迎車両Y3と、運行管理エリアDで運行する送迎車両Y4と、が夫々異なる送迎車両Yであることを意味する。なお、運行管理エリア設定部21は、1つの運行管理エリアA,B,C,Dで運行する複数台の送迎車両Yを設定しても良い。
【0034】
停留所設定部22は、夫々の運行管理エリアA,B,C,D内で予約者Pが目的地として利用することが可能な複数の目的地用停留所Tti(iは停留所番号)を設定する。図3では、運行管理エリアCにおいて目的地用停留所Ttiが設定されている例が示されている。本実施形態では、目的地用停留所Ttiとして、予約者Pが日常、良く利用する公共施設(市役所や駅等)、商業施設(スーパーや飲食店等)又は医療福祉施設(病院や老人ホーム等)などが設定されている。例えば、図1に示す市役所100の近くに目的地停留所Tt1が設定され、〇〇内科200の近くに目的地停留所Tt2が設定され、〇〇スーパー300近くに目的地停留所Tt3が設定されている(図3も参照)。なお、停留所設定部22は、夫々の運行管理エリアA,B,C,D内で予約者Pが出発地として利用することが可能な出発地用停留所を設定しても良い。
【0035】
画面設定部3は、予約管理事業者のオペレータが操作可能な予約管理システムXの予約管理画面7を設定する(図4も参照)。本実施形態では、画面設定部3は、夫々の運行管理エリアA,B,C,Dで別々の予約管理画面7を設定する。図4図7の予約管理画面7の例では、運行管理エリアA,B,C,Dの何れかの予約管理画面7が示されている。
【0036】
本実施形態における画面設定部3は、予約者Pの情報に基づいて、予約管理画面7を切り替える。ここで、予約者Pの情報とは、予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dや、予約者Pが会員登録した際の利用者番号、氏名、住所、電話番号等で構成される予約者Pの属性である。この画面設定部3は、一覧表示設定部31と会員情報抽出部32と切替部33とを有している。
【0037】
一覧表示設定部31は、複数の運行管理エリアA,B,C,Dを一覧表示可能なプルダウンメニュー71(表示形態の一例)を予約管理画面7の上部に設定する。図6の予約管理画面7に示すように、予約管理事業者のオペレータがプルダウンメニュー71をクリックすると、複数の運行管理エリアA,B,C,Dが一覧表示される。予約管理事業者のオペレータは、この一覧表示された複数の運行管理エリアA,B,C,Dの何れかにマウスを移動させて選択(クリック)することができる。
【0038】
会員情報抽出部32は、予約者Pが会員登録した際の利用者番号、氏名、住所、電話番号等で構成される予約者Pの属性に基づいて、予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dを抽出する。図5の予約管理画面7に示す例において、会員情報抽出部32(図3参照)は、予約管理システムXと電気的に接続されたIP(Internet Protocol)電話にて予約者Pから電話を受けたとき、予約者Pの電話番号及び電話番号と紐づけられた住所に基づいて、予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dを自動的に抽出している。図7の予約管理画面7に示す例において、会員情報抽出部32は、予約者Pの利用者番号、氏名及び電話番号を入力可能な検索部72が予約管理画面7の上部に設けられており、この検索部72に入力された予約者Pの電話番号等に基づいて、予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dを抽出している。
【0039】
切替部33は、プルダウンメニュー71にて選択された何れかの運行管理エリアA,B,C,D、又は、会員情報抽出部32にて抽出された予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dに関連する予約管理画面7に切り替える。このように、切替部33は、予約者Pの情報に基づいて予約管理画面7を切り替えるので、予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dの予約管理画面7をオペレータに提示することができる。その結果、オペレータは、複数の予約管理画面7を見比べて、該当する運行管理エリアA,B,C,Dを探し出す必要がなく、1人のオペレータであっても、複数の運行管理エリアA,B,C,Dの予約手続を容易に実行することができる。
【0040】
予約管理部4は、運行管理エリアA,B,C,Dの何れかの予約管理画面7において、同一の運行管理エリアA,B,C,Dで異なる予約をした複数の予約者P1,P2,P3が相乗り可能に送迎車両Yの予約手続を実行する。図2に示すように、予約管理部4は、予約確認部41とルート演算部42と表示制御部43とを有している。
【0041】
予約確認部41は、予約管理システムXの通信部13を介して、運行事業者端末Sとの間で予約内容を確認する。予約管理システムXのオペレータが予約者Pからの予約受付を行い、予約内容を確定し、予約管理システムXの通信部13を介して、運行事業者端末Sに承諾依頼をプッシュ通知する。プッシュ通知とは、運行事業者端末Sにおいて、アプリケーションが起動されていなくても通知を表示することである。そして、運行事業者端末Sの操作者は、承諾依頼通知を受け取り、予約内容を確認する。
【0042】
ルート演算部42は、予約者Pが指定した出発地、目的地、到着時刻、号車指定等(入力内容の一例)の予約内容に基づき、送迎車両Yの運行ルートを演算する。このルート演算部42は、予約者Pが指定した出発地、目的地、到着時刻に基づいて、移動時間が短い順に運行ルートを演算しても良いし、直線距離が短い順に運行ルートを演算しても良い。また、図5に示すように、予約者Pが指定した出発地及び目的地のみに基づいて、移動時間が短い順に運行ルートを演算しても良いし、直線距離が短い順に運行ルートを演算しても良い。
【0043】
さらに、ルート演算部42は、予約内容に基づいて、複数の予約者Pが同乗する送迎車両Yの運行ルートや送迎時刻等を演算する。例えば、出発地となる運行管理エリアC内の自宅から目的地用停留所Ttiまで運行する送迎車両Y1に複数の予約者Pが同乗可能であれば、複数の出発地から目的地用停留所Ttiまで送迎する順番を加味した運行ルートを演算する。なお、このルート演算部42は、機械学習により、出発地から目的地までの運行予定を自動的に抽出することが好ましい。この機械学習は、過去のデータに基づく教師あり学習であっても良いし、人工知能を用いたディープラーニングであっても良い。
【0044】
表示制御部43は、出発地から目的地までの予約手続を、予約管理システムXの表示部10や予約者Pの予約者端末Uに表示させる。図4に示すように、表示制御部43は、出発地から目的地までの予約結果を予約管理画面7に表示させる。同図に示す予約管理画面7の一例では、選択された送迎車両Yごとに、予約番号、予約者Pの氏名、定員に対する乗車人数を、出発地から目的地まで時系列で表示している。また、図5に示すように、表示制御部43は、出発地から目的地までの運行候補を予約管理画面7に表示させる。同図の右下図に示す予約管理画面7の一例では、定員に対する乗車人数、送迎号車、出発地の出発時刻及び目的地の到着時刻、移動にかかる所要時間、予約ボタンを一覧表示している。
【0045】
図8には、予約管理システムXの制御フローが示されている。
【0046】
まず、送迎車両Yを希望する予約者Pが予約管理事業者のオペレータに電話し、予約管理システムXと電気的に接続されたIP電話にて、予約管理事業者のオペレータが電話を受ける(♯81)。そして、会員情報抽出部32は、予約者Pの電話番号が会員登録済の電話番号であれば(♯82Yes)、電話番号と紐づけられた予約者Pの住所に基づいて予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dを自動的に抽出する(♯83、図5の左上図~右上図参照)。そして、切替部33は、会員情報抽出部32にて抽出された予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dに関連する予約管理画面7に切り替える(♯87、図5の左下図参照)。次いで、予約管理事業者のオペレータが、切替部33により切り替えられた予約管理画面7に予約内容(出発地及び目的地等)を入力する。ルート演算部42は、予約者Pが指定した出発地、目的地の予約内容に基づき、送迎車両Yの運行ルートを演算し、表示制御部43が運行候補を予約管理画面7に表示させる(図5の右下図参照)。予約管理事業者のオペレータは、この運行候補を予約者Pに伝達し、予約者Pの希望にあった運行ルートがあれば、予約ボタンを押下し、予約手続を実行する(♯88)。このように、画面設定部3の切替部33が、予約者Pの登録情報に基づいて予約管理画面7を切り替えれば、会員登録している予約者Pから電話を受けた段階で、電話番号から予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dの予約管理画面7をオペレータに提示することができる。その結果、オペレータが誤った運行管理エリアA,B,C,Dで予約手続を進めることがなく、効率的に予約手続を実行することができる。
【0047】
一方、♯81の判定の結果、予約者Pの電話番号が会員登録済の電話番号でなければ(♯81Nо)、会員情報抽出部32は、予約管理事業者のオペレータにより、検索部72に予約者Pの属性(氏名、住所等)が入力されたか否かを判定する(♯84)。検索部72に予約者Pの属性(氏名、住所等)が入力された場合(♯84Yes)、会員情報抽出部32は、予約者Pが会員登録情報に基づいて、予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dを抽出する(♯85、図7の上図参照)。そして、切替部33は、会員情報抽出部32にて抽出された予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dに関連する予約管理画面7に切り替える(♯87、図7の左下図参照)。次いで、切替部33により切り替えられた予約管理画面7に予約内容(出発地及び目的地等)を入力し、表示制御部43が運行候補を予約管理画面7に表示させ、上述した予約手続を実行する(♯88、図7の右下図参照)。このように、画面設定部3の切替部33が、検索部72に入力された予約者Pの属性(氏名、住所等)に基づいて予約管理画面7を切り替えれば、会員登録している予約者Pが、登録された電話番号以外の電話番号であっても、予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dの予約管理画面7をオペレータに提示することができる。その結果、オペレータが誤った運行管理エリアA,B,C,Dで予約手続を進めることがなく、効率的に予約手続を実行することができる。
【0048】
♯84の判定の結果、検索部72に予約者Pの属性(氏名、住所等)が入力されていない場合(♯84Nо)、予約管理事業者のオペレータがプルダウンメニュー71をクリックし、予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dを選択する(♯86、図6の上図参照)。そして、切替部33は、プルダウンメニュー71にて選択された何れかの運行管理エリアA,B,C,Dに関連する予約管理画面7に切り替える(♯87、図6の左下図参照)。次いで、切替部33により切り替えられた予約管理画面7に予約内容(出発地及び目的地等)を入力し、表示制御部43が運行候補を予約管理画面7に表示させ、上述した予約手続を実行する(♯88、図6の右下図参照)。このように、画面設定部3の切替部33が、運行管理エリアA,B,C,Dを一覧表示したプルダウンメニュー71のうち予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dが選択されたときに予約管理画面7を切り替えれば、会員登録していない予約者Pが利用したい運行管理エリアA,B,C,Dをオペレータが聞き出すだけで、意図する予約管理画面7を表示させることができる。このように、会員登録の有無に関わらず、意図する運行管理エリアA,B,C,Dで予約手続が実行可能となるため、利便性が高い。
【0049】
[その他の実施形態]
(1)送迎車両Yが運行する複数の運行管理エリアA,B,C,Dは、4つに限定されず、2つ以上であれば幾つであっても良い。
(2)運行管理エリアA,B,C,Dは、送迎車両Yが営業許可を得ているエリアであっても良い。また、送迎車両Yが運行可能な運行管理エリアA,B,C,Dを限定しなくても良く、送迎車両Yが何れの運行管理エリアA,B,C,Dでも運行可能に構成しても良い。つまり、予約者Pが乗車する運行管理エリアAから運行管理エリアCまでの送迎車両Yが同一車両となる場合があり得る。
(3)上述した実施形態におけるプルダウンメニュー71は、複数の運行管理エリアA,B,C,Dを一覧表示する一例であって、他の画面等で一覧表示しても良く、表示形態は特に限定されない。
(4)上述した実施形態における切替部33は、予約者Pが所属する何れかの運行管理エリアA,B,C,Dに関連する予約管理画面7に切り替えたが、オペレータが任意に選択した何れか1つの運行管理エリアA,B,C,Dに関連する予約管理画面7に切り替えても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、設定された複数の運行管理エリアにおける送迎車両の予約を管理する予約管理システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
3 :画面設定部
4 :予約管理部
7 :予約管理画面
71 :プルダウンメニュー(表示形態)
A,B,C,D:運行管理エリア
P :予約者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8