(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】コンベヤ昇降装置
(51)【国際特許分類】
B65G 21/14 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
B65G21/14 C
(21)【出願番号】P 2022002900
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小名山 学
(72)【発明者】
【氏名】上野 耕児
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特許第6885752(JP,B2)
【文献】実開平02-091778(JP,U)
【文献】特開2018-030703(JP,A)
【文献】特開2020-079132(JP,A)
【文献】実開平02-103077(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/00-21/22
B66C 1/00- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上昇位置と下降位置との間でコンベヤを昇降させるコンベヤ昇降機構と、前記上昇位置にある前記コンベヤを保持する保持機構と、を備えたコンベヤ昇降装置であって、
前記保持機構は、天井に取り付けられた天井側機構部と、前記コンベヤに取り付けられたコンベヤ側機構部と、を備え、
前記保持機構は、
前記コンベヤ側機構部が予め定められたロック移行領域よりも下側から前記ロック移行領域内まで上昇することで、ロック移行状態となり、
前記ロック移行状態から前記コンベヤ側機構部が下降することで、前記天井側機構部と前記コンベヤ側機構部とが互いに係合されたロック状態となって前記コンベヤを保持し、
前記コンベヤ側機構部が前記ロック移行領域よりも上側にあるロック解除領域内まで上昇することで、前記天井側機構部と前記コンベヤ側機構部との係合が解除されたロック解除状態となって前記コンベヤの下降を許容するように構成され、
前記保持機構は、前記ロック状態、前記ロック移行状態、及び、前記ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知する検知部と、前記検知部により検知された状態を示す状態情報を出力する状態出力部と、を更に備える、コンベヤ昇降装置。
【請求項2】
前記コンベヤ昇降機構は、作業者が操作する操作部からの信号に従って前記コンベヤを昇降させ、
前記状態出力部は、前記保持機構が前記ロック状態、前記ロック移行状態、及び、前記ロック解除状態のいずれの状態であるかを示す前記状態情報を、前記作業者が視認できるように表示する、請求項1に記載のコンベヤ昇降装置。
【請求項3】
前記天井側機構部は、下側に向かって開放された通路部を有する支持部材と、前記支持部材に支持されて、前記通路部に配置される部分を有する第1フックと、前記支持部材に支持されて、前記通路部に配置される部分を有する第2フックと、を備え、
前記コンベヤ側機構部は、前記コンベヤの昇降に伴って前記通路部内を昇降する被係合部を備え、
前記第1フック及び前記第2フックは、前記通路部内における前記被係合部の上昇を妨げないように構成され、
前記第1フックは、前記ロック移行領域内から下降しようとする前記被係合部に対して下側から当接して前記被係合部の下降を妨げる規制姿勢と、前記被係合部の下降を妨げない非規制姿勢と、に姿勢変更するように構成され、
前記第2フックは、前記被係合部が前記ロック解除領域まで上昇する動きに応じて、前記規制姿勢の前記第1フックを前記非規制姿勢に姿勢変更させるように構成され、
前記検知部は、前記被係合部の上下方向の位置を検知する位置検知ユニットと、前記被係合部の移動方向を検知する昇降検知ユニットと、を備え、
前記検知部は、前記位置検知ユニットにより検知される前記被係合部の上下方向の位置と、前記昇降検知ユニットにより検知される前記被係合部の移動方向とに基づいて、前記保持機構が前記ロック状態、前記ロック移行状態、及び、前記ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知する、請求項1又は2に記載のコンベヤ昇降装置。
【請求項4】
前記位置検知ユニットは、前記被係合部が前記通路部に進入したこと、前記被係合部が前記ロック移行領域内に存在すること、及び、前記被係合部が前記ロック解除領域内に存在すること、を検知するように構成され、
前記検知部は、
前記被係合部が前記通路部に進入したことを検知した後、前記被係合部が上昇中に前記ロック移行領域に進入したことを検知した場合に、前記保持機構が前記ロック移行状態であると検知し、
前記ロック移行状態であることを検知した後、前記被係合部が下降中に前記ロック移行領域から退出したことを検知した場合に、前記保持機構が前記ロック状態であると検知し、
前記被係合部が上昇中に前記ロック解除領域に進入したことを検知した場合に、前記保持機構が前記ロック解除状態であると検知する、請求項3に記載のコンベヤ昇降装置。
【請求項5】
前記天井側機構部は、下側に向かって開放された通路部を有する支持部材と、前記支持部材に支持されて、前記通路部に配置される部分を有する第1フックと、前記支持部材に支持されて、前記通路部に配置される部分を有する第2フックと、を備え、
前記コンベヤ側機構部は、前記コンベヤの昇降に伴って前記通路部内を昇降する被係合部を備え、
前記第1フック及び前記第2フックは、前記通路部内における前記被係合部の上昇を妨げないように構成され、
前記第1フックは、前記ロック移行領域内から下降しようとする前記被係合部に対して下側から当接して前記被係合部の下降を妨げる規制姿勢と、前記被係合部の下降を妨げない非規制姿勢と、に姿勢変更するように構成され、
前記第2フックは、前記被係合部が前記ロック解除領域まで上昇する動きに応じて、前記規制姿勢の前記第1フックを前記非規制姿勢に姿勢変更させるように構成され、
前記検知部は、前記第1フックの姿勢及び前記第2フックの姿勢を検知するフック姿勢検知ユニットを備え、
前記検知部は、前記フック姿勢検知ユニットにより検知される前記第1フックの姿勢及び前記第2フックの姿勢に基づいて、前記保持機構が前記ロック状態、前記ロック移行状態、及び、前記ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知する、請求項1又は2に記載のコンベヤ昇降装置。
【請求項6】
前記コンベヤ側機構部は、前記被係合部を一対備え、
一対の前記被係合部は、前記コンベヤの幅方向に離間して配置され、
前記天井側機構部は、一対の前記被係合部のそれぞれに対応して、前記支持部材、前記第1フック、及び前記第2フックを含んで構成される係合ユニットを、前記幅方向に離間した位置のそれぞれに備え、
前記幅方向の一方側を幅方向第1側として、
一方の前記係合ユニットにおいて前記第2フックに対して前記幅方向第1側に前記第1フックが配置され、他方の前記係合ユニットにおいても前記第2フックに対して前記幅方向第1側に前記第1フックが配置されている、請求項3から5のいずれか一項に記載のコンベヤ昇降装置。
【請求項7】
前記第1フック及び前記第2フックは、前記支持部材に対して揺動自在に支持され、
前記第1フックは、前記規制姿勢から前記非規制姿勢に姿勢変更する際に、前記被係合部の上昇に応じて揺動する前記第2フックによって押圧される被押圧部を備え、
前記第1フックの重心位置が、前記第1フックの揺動中心よりも前記被押圧部側となっている、請求項3から6のいずれか一項に記載のコンベヤ昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上昇位置と下降位置との間でコンベヤを昇降させるコンベヤ昇降機構と、前記上昇位置にある前記コンベヤを保持する保持機構と、を備えたコンベヤ昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなコンベヤ昇降装置の一例が、特許第6885752号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示される符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された装置は、一端部が揺動自在に支持されたコンベヤ(11)を吊上げ機構部(20)を介して吊上げる吊上げ装置と、天井に設けられた天井吊下げ金具(24)と、を備えている。そして、吊上げ装置によって、コンベヤ(11)と共に吊上げ機構部(20)を上昇させることにより、当該吊上げ機構部(20)を天井吊下げ金具(24)に固定するように構成されている。これにより、特許文献1に開示された装置は、コンベヤ(11)を上昇位置で保持することができる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された装置では、吊上げ機構部(20)におけるフック部(30)の昇降動作によって、吊上げ機構部(20)が天井吊下げ金具(24)に固定されたロック状態と当該固定が解除されたロック解除状態との状態移行が行われる。すなわち、特許文献1の
図3及び
図4に示すように、フック部(30)が昇降することにより、フック部(30)やリリース板(33)などの吊上げ機構部(20)を構成する各要素が、天井吊下げ金具(24)の棒状金具(31)に対して相互に動作して、ロック状態とロック解除状態との状態移行が実現される。上記の各要素の相互動作が適正に行われるか否かは、状態移行の際におけるフック部(30)の上昇距離及び下降距離に依存する。そのため、フック部(30)の昇降動作には高い精度が要求される。フック部(30)の昇降動作を高精度に行うためには、吊上げ機構部(20)及び天井吊下げ金具(24)の状態(ロック状態やロック解除状態など)を適切に把握可能であることが望ましい。しかしながら特許文献1には、この点について開示が無い。
【0006】
上記実状に鑑みて、コンベヤを保持する保持機構の状態を適切に把握可能な技術の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上昇位置と下降位置との間でコンベヤを昇降させるコンベヤ昇降機構と、前記上昇位置にある前記コンベヤを保持する保持機構と、を備えたコンベヤ昇降装置であって、
前記保持機構は、天井に取り付けられた天井側機構部と、前記コンベヤに取り付けられたコンベヤ側機構部と、を備え、
前記保持機構は、
前記コンベヤ側機構部が予め定められたロック移行領域よりも下側から前記ロック移行領域内まで上昇することで、ロック移行状態となり、
前記ロック移行状態から前記コンベヤ側機構部が下降することで、前記天井側機構部と前記コンベヤ側機構部とが互いに係合されたロック状態となって前記コンベヤを保持し、
前記コンベヤ側機構部が前記ロック移行領域よりも上側にあるロック解除領域内まで上昇することで、前記天井側機構部と前記コンベヤ側機構部との係合が解除されたロック解除状態となって前記コンベヤの下降を許容するように構成され、
前記保持機構は、前記ロック状態、前記ロック移行状態、及び、前記ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知する検知部と、前記検知部により検知された状態を示す状態情報を出力する状態出力部と、を更に備える。
【0008】
本構成によれば、保持機構がロック状態、ロック移行状態、及び、ロック解除状態のいずれの状態であるかを、検知部により適切に検知することができ、当該検知した状態を出力することができる。これにより、保持機構の状態を適切に把握可能となる。従って、例えばコンベヤ昇降機構を作業者が操作する場合には、状態出力部により作業者に保持機構の状態を適切に知らせることができる。そのため、保持機構をロック状態とさせたりロック解除状態とさせたりするためのコンベヤの昇降操作を、作業者に適切に行わせることができる。また、例えばコンベヤ昇降機構が制御装置により制御される場合には、状態出力部により制御装置に保持機構の状態を適切に出力することができる。そのため、保持機構をロック状態とさせたりロック解除状態とさせたりするためのコンベヤの昇降動作を、制御装置に適切に行わせることができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】被係合部の動作に応じた第1フック及び第2フックの動作を示す説明図
【
図6】被係合部の動作に応じた第1フック及び第2フックの動作を示す説明図
【
図7】被係合部の動作に応じた第1フック及び第2フックの動作を示す説明図
【
図8】被係合部の動作に応じた第1フック及び第2フックの動作を示す説明図
【
図9】被係合部の動作に応じた第1フック及び第2フックの動作を示す説明図
【
図10】保持機構の状態移行が行われる場合の処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
コンベヤ昇降装置は、コンベヤを昇降させると共に保持するための装置である。以下、本実施形態に係るコンベヤ昇降装置について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、コンベヤ昇降装置100の側面図であり、コンベヤ昇降装置100と共に、昇降対象となるコンベヤ9を示している。
図2は、コンベヤ昇降装置100の正面図であり、コンベヤ昇降装置100によってコンベヤ9を保持している状態を示している。なお、
図2における左右方向は、コンベヤ9の幅方向W(以下、単に「幅方向W」と称する。)である。幅方向Wは、コンベヤ9の長手方向に対して上下方向視で直交する方向である。以下では、幅方向Wの一方側を「幅方向第1側W1」とし、他方側を「幅方向第2側W2」として説明する場合がある。
【0013】
図1及び
図2に示すように、コンベヤ昇降装置100は、上昇位置Puと下降位置Pdとの間でコンベヤ9を昇降させるコンベヤ昇降機構1と、上昇位置Puにあるコンベヤ9を保持する保持機構2と、を備えている。保持機構2は、天井に取り付けられた天井側機構部21と、コンベヤ9に取り付けられたコンベヤ側機構部22と、を備えている。
【0014】
コンベヤ昇降機構1は、コンベヤ9よりも上方に設けられ、コンベヤ9を吊下げ支持した状態で昇降させるように構成されている。本実施形態では、コンベヤ昇降機構1は、コンベヤ側機構部22を昇降させることにより、当該コンベヤ側機構部22を介してコンベヤ9を昇降させるように構成されている。コンベヤ昇降機構1は、例えば、天井クレーンにより構成されている。
【0015】
図1に示す例では、コンベヤ9は、揺動するように構成されている。コンベヤ9は、使用時には下方に向けて傾斜した傾斜姿勢となり、不使用時には水平に沿った収納姿勢となる。コンベヤ9の基端部は、床面から上方に離間した位置において回転自在に支持されている。コンベヤ9の先端部は、コンベヤ9の傾斜姿勢において床面に接地し、コンベヤ9の収納姿勢において床面から上方に離間した位置に配置される。
【0016】
本実施形態では、コンベヤ側機構部22は、コンベヤ9の長手方向の中央部よりも先端部側において、コンベヤ9に連結されている。コンベヤ昇降機構1は、コンベヤ側機構部22を昇降させることにより、コンベヤ9を揺動させるように構成されている。
【0017】
天井側機構部21は、コンベヤ側機構部22に対応した位置に配置されている。詳細には、天井側機構部21は、コンベヤ9が上昇位置Puに配置された状態で、コンベヤ側機構部22と重なる位置に配置されている。保持機構2は、天井側機構部21とコンベヤ側機構部22とが係合することで、コンベヤ9を上昇位置Puにおいて保持するように構成されている。
【0018】
図3に示すように、保持機構2は、コンベヤ側機構部22が予め定められたロック移行領域Rtよりも下側からロック移行領域Rt内まで上昇することで、ロック移行状態となるように構成されている。「ロック移行状態」とは、天井側機構部21とコンベヤ側機構部22とを係合させる(ロックさせる)ことが可能な状態をいう。詳細は後述するが、本実施形態では、コンベヤ側機構部22の被係合部224がロック移行領域Rtよりも下側からロック移行領域Rt内まで上昇することで、保持機構2がロック移行状態となる。
【0019】
保持機構2は、ロック移行状態からコンベヤ側機構部22が下降することで、天井側機構部21とコンベヤ側機構部22とが互いに係合されたロック状態となってコンベヤ9を保持するように構成されている。「ロック状態」とは、天井側機構部21とコンベヤ側機構部22とが係合した状態をいい、または、保持機構2がコンベヤ9を保持した状態をいう。本実施形態では、保持機構2のロック移行状態からコンベヤ側機構部22の被係合部224が下降することで、保持機構2がロック状態となる。
【0020】
保持機構2は、コンベヤ側機構部22がロック移行領域Rtよりも上側にあるロック解除領域Rr内まで上昇することで、天井側機構部21とコンベヤ側機構部22との係合が解除されたロック解除状態となってコンベヤ9の下降を許容するように構成されている。「ロック解除状態」とは、天井側機構部21とコンベヤ側機構部22との係合が解除された状態をいい、または、コンベヤ側機構部22を天井側機構部21から下方に退避させることが可能な状態をいう。本実施形態では、コンベヤ側機構部22の被係合部224がロック移行領域Rtよりも上側にあるロック解除領域Rr内まで上昇することで、保持機構2がロック解除状態となる。
【0021】
保持機構2は、ロック状態、ロック移行状態、及び、ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知する検知部23を備えている。すなわち、検知部23は、保持機構2がロック状態であること、保持機構2がロック移行状態であること、及び、保持機構2がロック解除状態であることを検知するように構成されている。
【0022】
図2に示すように、保持機構2は、検知部23により検知された状態を示す状態情報を出力する状態出力部24を備えている。「状態情報」は、保持機構2がロック状態、ロック移行状態、及びロック解除状態のいずれの状態であるかを示す情報である。
【0023】
本実施形態では、コンベヤ昇降機構1は、作業者が操作する操作部8(
図4参照)からの信号に従ってコンベヤ9を昇降させる。そして、状態出力部24は、検知部23により検知された保持機構2の状態を作業者に報知するように構成されている。
【0024】
状態出力部24は、視覚的手段または聴覚的手段により、保持機構2の状態を作業者に報知する。視覚的手段には、光や画像などを用いた手段が含まれる。聴覚的手段には、音声アナウンスや警報音などを用いた手段が含まれる。本実施形態では、状態出力部24は、保持機構2がロック状態、ロック移行状態、及び、ロック解除状態のいずれの状態であるかを示す状態情報を、作業者が視認できるように表示する。本例では、状態出力部24は、シグナルタワーを用いて構成されており、点滅状態、点灯状態、及び消灯状態に状態変更することで、保持機構2の状態を報知するように構成されている。すなわち、状態出力部24は、光を用いた視覚的手段によって、保持機構2の状態を作業者に報知する。本例では、状態出力部24は、保持機構2がロック移行状態で点滅状態となり、保持機構2がロック状態で点灯状態となり、保持機構2がロック解除状態で消灯状態となる。
【0025】
本実施形態では、状態出力部24は、コンベヤ側機構部22に設けられている。これにより、作業者は、昇降するコンベヤ側機構部22及びコンベヤ9を視認しながら、状態出力部24の出力状態を視認し易くなっている。但し、状態出力部24は、作業者が視認し易い場所に設けられていれば良く、例えば、床面などに設けられていても良い。
【0026】
本実施形態では、コンベヤ側機構部22は、コンベヤ9を下方から支持するコンベヤ支持部220と、コンベヤ支持部220における幅方向Wの両端部のそれぞれから上方に立設された縦枠部221と、一対の縦枠部221それぞれの上端部に連結された横枠部222と、連結部223を介して横枠部222に連結された被係合部224と、を備えている。
【0027】
被係合部224は、コンベヤ9の上昇に伴って天井側機構部21の支持部材210に対して幅方向W視で重複して、天井側機構部21に係合される部分である。本実施形態では、被係合部224は、コンベヤ9の昇降に伴って、支持部材210に形成された通路部210a内を昇降するように構成されている。すなわち本実施形態では、コンベヤ側機構部22は、コンベヤ9の昇降に伴って、支持部材210の通路部210a内を昇降する被係合部224を備えている。本例では、被係合部224は、棒状部材を用いて構成されている。そして、被係合部224は、コンベヤ9の長手方向と平行状(平行或いは微小に傾斜した状態を含む。)に配置されている。すなわち、被係合部224は、
図2において紙面を直交する方向に沿って配置されている。
【0028】
本実施形態では、コンベヤ側機構部22は、被係合部224を一対備えている。一対の被係合部224は、コンベヤ9の幅方向Wに離間して配置されている。本例では、横枠部222における幅方向Wの両端部のそれぞれから上方に向けて、連結部223が立設されている。そして、一対の連結部223のそれぞれに、被係合部224が支持されている。
【0029】
本実施形態では、天井側機構部21は、下側に向かって開放された通路部210aを有する支持部材210と、支持部材210に支持されて、通路部210aに配置される部分を有する第1フック211と、支持部材210に支持されて、通路部210aに配置される部分を有する第2フック212と、を備えている。
【0030】
第1フック211及び第2フック212は、通路部210a内を昇降する被係合部224に押圧されて動作するように構成されている。詳細は後述するが、第1フック211は、被係合部224の昇降によって直接的に、又は被係合部224に押される第2フック212によって間接的に動作し、被係合部224の下降を妨げる規制姿勢と被係合部224の下降を妨げない非規制姿勢とに姿勢変更するように構成されている。
【0031】
本実施形態では、幅方向Wに対して上下方向視で直交する方向を「直交方向L」として、通路部210aは、支持部材210における本体部210Bの下端部及び直交方向Lの両端部が開放したスリット状に形成されている。本例では、上述の被係合部224は、通路部210aに対して直交方向Lの両側にはみ出した状態で、通路部210a内を昇降するように構成されている。換言すれば、被係合部224の一部(直交方向Lの中央部)が、通路部210a内を昇降するように構成されている。
【0032】
本実施形態では、天井側機構部21は、一対の被係合部224のそれぞれに対応して、支持部材210、第1フック211、及び第2フック212を含んで構成される係合ユニットUを、幅方向Wに離間した位置のそれぞれに備えている。一対の係合ユニットUのそれぞれは、互いに幅方向Wに離間した位置において、天井から吊下げ支持されている。一対の係合ユニットUのそれぞれは、天井に対して、直接的に又は他の部材を介して間接的に、吊下げ支持されている。
【0033】
本実施形態では、一方の係合ユニットUにおいて第2フック212に対して幅方向第1側W1に第1フック211が配置され、他方の係合ユニットUにおいても第2フック212に対して幅方向第1側W1に第1フック211が配置されている。すなわち、一対の係合ユニットUのそれぞれにおいて、第2フック212に対して幅方向第1側W1に第1フック211が配置され、第1フック211に対して幅方向第2側W2に第2フック212が配置されている。換言すれば、一対の係合ユニットUのそれぞれは、互いに同じ方向を向くように配置されている。このような構成により、一対の被係合部224が、一対の係合ユニットUに対して幅方向Wにずれた状態で上昇してきた場合であっても、それぞれの係合ユニットUにおける第1フック211及び第2フック212と被係合部224との幅方向Wの位置関係は、一対の係合ユニットU同士で互いに同等なものとなる。従って、一対の被係合部224のうち一方が係合ユニットUに対して適切に係合し他方が係合しないという事態を回避し易い。
【0034】
本実施形態では、一対の係合ユニットUのそれぞれを構成する各要素の配置関係は、一対の係合ユニットUのそれぞれにおいて同等となっている。更には、本実施形態において、一対の係合ユニットUの構成は同様となっている。そのため以下では、一対の係合ユニットUのうち一方の係合ユニットUに着目して、係合ユニットUの詳細な構成について説明する。
【0035】
図3に示すように、係合ユニットUは、支持部材210と第1フック211と第2フック212とを備えている。
【0036】
支持部材210は、コンベヤ側機構部22の被係合部224が昇降可能な通路部210aを備えている。通路部210aは、支持部材210の本体部210Bから下側に向けて開放すると共に当該開放した部分から上下方向に延在するように形成されている。本例では、通路部210aは、本体部210Bから直交方向Lの両側に向けても開放するように形成されている。すなわち本例では、通路部210aは、本体部210Bの下端部及び直交方向Lの両端部が開放したスリット状に形成されている。なお、詳細な図示は省略するが、本体部210Bは、直交方向Lに離間して配置された一対の板状部材を用いて構成されている。第1フック211及び第2フック212の主要部分は、本体部210Bを構成する一対の板状部材に対して直交方向Lの間に配置されている。
【0037】
コンベヤ側機構部22の被係合部224は、下方から通路部210a内に進入するように構成されている。本実施形態では、支持部材210は、被係合部224を通路部210aへ案内する案内部210bを備えている。案内部210bは、本体部210Bの下端部において通路部210aに連続するように設けられており、本体部210Bの下端部から通路部210aに向けて狭まるテーパ状に形成されている。これにより、下方から接近する被係合部224を、適切に通路部210aに案内することができる。案内部210bは、被係合部224が接触する可能性のある部分であるため、被係合部224の接触によっても損傷し難い樹脂部材を用いて構成されていると好適である。
【0038】
後述するように、本実施形態では、第1フック211及び第2フック212は、支持部材210に対して揺動自在に支持されている。本実施形態では、支持部材210は、第1フック211の一方向の揺動を規制する第1ストッパ210cと、他方向の揺動を規制する第2ストッパ210dと、を備えている。本例では、第1ストッパ210cは、非規制姿勢の第1フック211を受け止めるように構成されている。第2ストッパ210dは、規制姿勢の第1フック211を受け止めるように構成されている。第1ストッパ210cは、第1フック211の揺動中心(以下、「第1揺動中心A1」と称する。)に対して幅方向第1側W1に配置されている。第2ストッパ210dは、第1揺動中心A1に対して幅方向第2側W2に配置されている。図示の例では、第1ストッパ210cは第2ストッパ210dよりも上方に配置され、第2ストッパ210dは第1ストッパ210cよりも下方に配置されている。
【0039】
本実施形態では、第1フック211及び第2フック212は、支持部材210に対して揺動自在に支持されている。第1フック211は、第1揺動軸211xによって支持部材210に支持されており、第1揺動軸211xまわりに揺動するように構成されている。すなわち、第1揺動軸211xが配置された位置が、第1フック211の揺動中心(第1揺動中心A1)となる。第2フック212は、第2揺動軸212xを備えており、第2揺動軸212xまわりに揺動するように構成されている。すなわち、第2揺動軸212xが配置された位置が、第2フック212の揺動中心(以下、「第2揺動中心A2」と称する。)となる。
【0040】
本実施形態では、第1フック211及び第2フック212は、通路部210a内における被係合部224の上昇を妨げないように構成されている。第1フック211及び第2フック212のそれぞれにおける通路部210a内に配置された部分が、上昇する被係合部224に押圧されることにより、第1フック211及び第2フック212は押圧方向に揺動する。
【0041】
本実施形態では、第1揺動軸211xと第2揺動軸212xとは、同じ方向に沿っている。本例では、第1揺動軸211xと第2揺動軸212xとは、直交方向Lに沿っている。第1揺動軸211x(第1揺動中心A1)は、第2揺動軸212x(第2揺動中心A2)よりも下方に配置されている。従って、第1揺動軸211xまわりに揺動する第1フック211は、第2揺動軸212xまわりに揺動する第2フック212よりも下方において揺動するように構成されている。
【0042】
第1フック211は、通路部210aに配置される部分を有し、昇降する被係合部224によって当該部分が押圧されるように構成されている。また、第1フック211は、揺動する第2フック212によっても押圧されるように構成されている。第1フック211は、被係合部224又は第2フック212に押圧されることによって揺動する。
【0043】
本実施形態では、第1フック211は、第1揺動軸211xに直交する仮想面内において、第1揺動中心A1からそれぞれ異なる方向に延在する一対の延在部(211a、211b)を備えている。一対の延在部(211a、211b)のうち一方の延在部211aは、他方の延在部211bよりも短く形成されている。本実施形態では、一対の延在部(211a、211b)のうち短い方を第1短手部211aとし、一対の延在部(211a、211b)のうち長い方を第1長手部211bとする。すなわち本実施形態では、第1フック211は、第1揺動軸211xに直交する仮想面内において第1揺動中心A1からそれぞれ異なる方向に延在する、第1短手部211aと第1長手部211bとを備えている。図示の例では、第1短手部211aの延在方向と第1長手部211bの延在方向とは、略直角に交わっている。そのため、第1フック211は、直交方向L視で略L字状に形成されている。
【0044】
本実施形態では、第1フック211は、上昇する被係合部224又は揺動する第2フック212によって押圧される被押圧部211cを備えている。そして、第1フック211の重心位置が、第1フック211の揺動中心(第1揺動中心A1)よりも被押圧部211c側となっている。本例では、被押圧部211cは、第1長手部211bに連結されている。従って本例では、第1フック211は、第1長手部211b側が下方に揺動し易い構成となっている。本例では、被押圧部211cは、第1フック211の延在部(211a、211b)とは直交方向Lの異なる位置に配置されている。
【0045】
本実施形態では、被押圧部211cは、回転体や球体などを用いて構成されている。これにより、被係合部224又は第2フック212により押圧された際の摩擦を低減することができる。図示の例では、被押圧部211cは、直交方向Lに沿う軸心まわりに回転自在なローラ(回転体の一例)を用いて構成されている。
【0046】
第2フック212は、通路部210aに配置される部分を有し、昇降する被係合部224によって当該部分が押圧されるように構成されている。第2フック212は、被係合部224に押圧されることによって揺動する。また、第2フック212は、被係合部224に押圧されて揺動することにより、第1フック211を押圧するように構成されている。本例では、第2フック212は、直交方向Lにおいて、第1フック211の被押圧部211cと重複する部分を有する。これにより、第2フック212は、揺動することで第1フック211の被押圧部211cを押圧可能となっており、被押圧部211cを押圧することで第1フック211を押圧するように構成されている。なお、第2フック212は、第1フック211における第1短手部211a及び第1長手部211bとは、直交方向Lにおいて異なる位置に配置されている。そのため、第2フック212と、第1フック211における第1短手部211a及び第1長手部211bとは、第2フック212の揺動又は第1フック211の揺動によっても、互いに干渉しないように構成されている。
【0047】
本実施形態では、第2フック212は、第2揺動軸212xに直交する仮想面内において、第2揺動中心A2からそれぞれ異なる方向に延在する一対の延在部(212a、212b)を備えている。一対の延在部(212a、212b)のうち一方の延在部212aは、他方の延在部212bよりも短く形成されている。本実施形態では、一対の延在部(212a、212b)のうち短い方を第2短手部212aとし、一対の延在部(212a、212b)のうち長い方を第2長手部212bとする。すなわち本実施形態では、第2フック212は、第2揺動軸212xに直交する仮想面内において第2揺動中心A2からそれぞれ異なる方向に延在する、第2短手部212aと第2長手部212bとを備えている。図示の例では、第2短手部212aの延在方向と第2長手部212bの延在方向とは、略直角に交わっている。そのため、第2フック212は、直交方向L視で略L字状に形成されている。
【0048】
図4に示すように、本実施形態では、検知部23は、被係合部224の上下方向の位置を検知する位置検知ユニット231と、被係合部224の移動方向を検知する昇降検知ユニット232と、を備えている。
【0049】
本実施形態では、位置検知ユニット231は、被係合部224に取り付けられたセンサSeと、センサSeによる検出結果に基づいて被係合部224の上下方向の位置を判定する位置判定部231aと、を備えている。
【0050】
図3に示すように、本実施形態では、センサSeは、連結部223を介して被係合部224に取り付けられており、被係合部224に対して上下方向の同じ位置に配置されている。センサSeは、支持部材210に設けられた被検出部Dを検出するように構成されている。本例では、センサSeは光センサを用いて構成されている。被検出部Dは、センサSeにより投光された検出光を反射する反射板を用いて構成されている。センサSeは、被検出部Dにより反射された検出光を受光することで、被検出部Dを検出する。
【0051】
被検出部Dは、進入領域Reに対して上下方向の同じ位置に配置された第1被検出部D1と、ロック移行領域Rtに対して上下方向の同じ位置に配置された第2被検出部D2と、ロック解除領域Rrに対して上下方向の同じ位置に配置された第3被検出部D3と、を含む。
【0052】
進入領域Reは、通路部210aの入り口付近に設定された上下方向の領域である。ロック移行領域Rtは、保持機構2がロック移行状態になる場合に被係合部224が位置する上下方向の領域である。本例では、ロック移行領域Rtは、上昇する被係合部224が第1フック211を追い越した時点における当該被係合部224が位置する上下方向の領域である。ロック解除領域Rrは、保持機構2がロック解除状態になる場合に被係合部224が位置する上下方向の領域である。本例では、ロック解除領域Rrは、上昇する被係合部224に押圧されて揺動する第2フック212が第1フック211を動作させることにより当該第1フック211が非規制姿勢となった時点における、当該被係合部224が位置する上下方向の領域である。
【0053】
本実施形態では、光センサとしてのセンサSeは、直交方向Lに沿って検出光を投光するように構成されている。本例では、センサSeは、第1センサSe1と第2センサSe2とを含む。第1センサSe1は、被係合部224に対して幅方向第1側W1に配置されている。第2センサSe2は、被係合部224に対して幅方向第2側W2に配置されている。2つのセンサ(Se1、Se2)による被検出部Dの検出状態の組み合わせのパターン(オンとオフとの組み合わせのパターン)は、4つある。そして、本例では、後述するように、被係合部224が進入領域Re内に存在する場合と、被係合部224がロック移行領域Rt内に存在する場合と、被係合部224がロック解除領域Rr内に存在する場合と、被係合部224がこれら3つの領域(Re、Rt、Rr)のいずれとも異なる領域内に存在する場合とで、上記の組み合わせのパターンを異ならせている。これにより、被係合部224が進入領域Re内に存在することと、被係合部224がロック移行領域Rt内に存在することと、被係合部224がロック解除領域Rr内に存在することとを、位置検知ユニット231によって区別して検知することが可能となっている。
【0054】
本実施形態では、反射板としての被検出部Dは、反射面を直交方向Lに向けるようにして、支持部材210の本体部210Bに取り付けられている。本例では、進入領域Reと同じ高さに配置された第1被検出部D1は、通路部210aに対して幅方向Wの両側のそれぞれに配置された一対の反射板を含んでいる。ロック移行領域Rtと同じ高さに配置された第2被検出部D2は、通路部210aに対して幅方向第1側W1に配置された反射板を含んでいる。ロック解除領域Rrと同じ高さに配置された第3被検出部D3は、通路部210aに対して幅方向第2側W2に配置された反射板を含んでいる。なお、被検出部Dは、進入領域Re、ロック移行領域Rt、及びロック解除領域Rrのそれぞれと同じ高さに配置されていれば良く、反射面の向きは何れの方向を向いていても良い。被検出部Dを検出するためのセンサSeは、反射面の向きに合わせて設置される。
【0055】
以上により、位置検知ユニット231は、被係合部224が通路部210aに進入したこと、被係合部224がロック移行領域Rt内に存在すること、及び、被係合部224がロック解除領域Rr内に存在すること、を検知するように構成されている。
【0056】
図4に示すように、本実施形態では、昇降検知ユニット232は、被係合部224の昇降の有無を判定する昇降判定部232aを備えている。本例では、昇降判定部232aは、作業者によって操作部8に入力された信号を受信することにより、被係合部224の昇降の有無を判定するように構成されている。詳細には、昇降判定部232aは、コンベヤ昇降機構1によってコンベヤ9を上昇させるために操作部8に入力された上昇信号を受信することにより、コンベヤ9に連結された被係合部224が上昇していると判定する。また、昇降判定部232aは、コンベヤ昇降機構1によってコンベヤ9を下降させるために操作部8に入力された下降信号を受信することにより、コンベヤ9に連結された被係合部224が下降していると判定する。例えば、操作部8に設けられた昇降レバーや昇降ボタンが操作されることにより、上昇信号又は下降信号が発信される。昇降判定部232aは、これら上昇信号又は下降信号を受信することにより、コンベヤ9の昇降の有無を判定する。以上により、昇降検知ユニット232は、被係合部224の移動方向、すなわち、被係合部224が上昇しているか下降しているかを検知する。
【0057】
このようにして、検知部23は、位置検知ユニット231により検知される被係合部224の上下方向の位置と、昇降検知ユニット232により検知される被係合部224の移動方向(昇降状態)とに基づいて、保持機構2がロック状態、ロック移行状態、及び、ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知する。そして、状態出力部24は、検知部23により検知された保持機構2の状態(ロック状態、ロック移行状態、又はロック解除状態)を示す状態情報を出力する。上述のように本実施形態では、シグナルタワーを用いて構成された状態出力部24は、保持機構2がロック移行状態である場合に点滅状態となり、保持機構2がロック状態である場合に点灯状態となり、保持機構2がロック解除状態である場合に消灯状態となることで、検知部23により検知された保持機構2の状態を作業者に報知する。
【0058】
次に、
図5~
図10を参照して、コンベヤ昇降装置100の動作及びコンベヤ昇降装置100が行う処理手順について説明する。
【0059】
図5~
図9は、被係合部224の動作に応じた第1フック211及び第2フック212の動作を示している。詳細には、
図5~
図9は、被係合部224が通路部210aに進入してから退出するまでの第1フック211及び第2フック212の一連の動作を、時系列に沿って示している。
【0060】
図5(時刻T1)に示すように、上昇する被係合部224が第1被検出部D1と同じ高さに配置された場合には、第1センサSe1及び第2センサSe2の双方が、第1被検出部D1を検出する(第1センサSe1:ON、第2センサSe2:ON)。そして、昇降検知ユニット232が、操作部8からの上昇信号を受信して被係合部224の上昇を検知する(被係合部224:上昇)。これらの条件、すなわち、第1センサSe1及び第2センサSe2の双方が被検出部Dを検出し(第1センサSe1:ON、第2センサSe2:ON)、昇降検知ユニット232が被係合部224の上昇を検知したこと(被係合部224:上昇)の条件を満たすことにより、検知部23は、被係合部224が通路部210aに進入したことを検知する(
図10におけるステップ#1、ステップ#2)。
【0061】
図5(時刻T2)に示すように、通路部210aに進入した被係合部224は、上昇を続け、第1フック211を上方に押圧しながら当該第1フック211を揺動させる。
【0062】
図6(T3)に示すように、更に上昇する被係合部224が第2被検出部D2と同じ高さに配置された場合には、第1センサSe1が第2被検出部D2を検出する(第1センサSe1:ON、第2センサSe2:OFF)。そして、昇降検知ユニット232が、操作部8からの上昇信号を受信して被係合部224の上昇を検知する(被係合部224:上昇)。これらの条件、すなわち、第1センサSe1が被検出部Dを検出し(第1センサSe1:ON)、第2センサSe2が被検出部Dを検出せず(第2センサSe2:OFF)、昇降検知ユニット232が被係合部224の上昇を検知したこと(被係合部224:上昇)の条件を満たすことにより、検知部23は、被係合部224がロック移行領域Rtに進入したことを検知し、保持機構2がロック移行状態となったことを検知する(
図10におけるステップ#3、ステップ#4)。すなわち、検知部23は、被係合部224が通路部210aに進入したことを検知した後、被係合部224が上昇中にロック移行領域Rtに進入したことを検知した場合に、保持機構2がロック移行状態であると検知する。
【0063】
保持機構2がロック移行状態になると、被係合部224が第1フック211よりも上方に配置される。被係合部224による押圧が解除された第1フック211は、自重により、上昇する被係合部224によって押圧されていた方向とは反対側に揺動する。これにより、第1フック211は、上下方向視で被係合部224と重複した状態で被係合部224よりも下方に配置される。具体的には、第1フック211における第1長手部211bが、上下方向視で被係合部224と重複した状態で被係合部224よりも下方に配置される。そして、状態出力部24は、検知部23によって保持機構2がロック移行状態になったことが検知された場合に、保持機構2がロック移行状態であることを示す状態情報を出力する(
図10におけるステップ#5)。本実施形態では、状態出力部24は点滅状態となる。
【0064】
図6(T4)に示すように、被係合部224は、保持機構2がロック移行状態となった後に下降を開始する。検知部23は、ロック移行状態であることを検知した後、被係合部224が下降中にロック移行領域Rtから退出したことを検知した場合に、保持機構2がロック状態であると検知する。保持機構2のロック状態では、第1フック211は、ロック移行領域Rt内から下降しようとする被係合部224に対して下側から当接して被係合部224の下降を妨げる規制姿勢となる。本実施形態では、検知部23は、第1センサSe1及び第2センサSe2の双方が被検出部Dを検出していない状態で(第1センサSe1:OFF、第2センサSe2:OFF)、被係合部224が規定時間下降したことを昇降検知ユニット232が検知したこと(被係合部224:規定時間下降)を条件として、保持機構2がロック状態であると検知する(
図10におけるステップ#6、ステップ#7)。
【0065】
そして、状態出力部24は、検知部23によって保持機構2がロック状態になったことが検知された場合に、保持機構2がロック状態であることを示す状態情報を出力する(
図10におけるステップ#8)。本実施形態では、状態出力部24は点灯状態となる。
【0066】
図7(T5)に示すように、被係合部224は、保持機構2がロック状態となった後に、上昇を開始する。上昇する被係合部224は、第2フック212を上方に押圧しながら当該第2フック212を揺動させる。具体的には、被係合部224は、第2フック212における第2短手部212aを押圧しながら第2フック212を揺動させる。被係合部224によって押圧されて揺動する第2フック212は、第1フック211を押圧しながら当該第1フック211を揺動させる。具体的には、第2フック212の第2長手部212bが、第1フック211の被押圧部211cを押圧しながら第1フック211を揺動させる。すなわち本実施形態では、第1フック211の被押圧部211cは、第1フック211が規制姿勢から非規制姿勢に姿勢変更する際に、被係合部224の上昇に応じて揺動する第2フック212によって押圧されるように構成されている。
【0067】
図7(T6)に示すように、更に上昇する被係合部224が第3被検出部D3と同じ高さに配置された場合には、第2センサSe2が第3被検出部D3を検出する(第1センサSe1:OFF、第2センサSe2:ON)。そして、昇降検知ユニット232が、操作部8からの上昇信号を受信して被係合部224の上昇を検知する(被係合部224:上昇)。これらの条件、すなわち、第1センサSe1が被検出部Dを検出せず(第1センサSe1:OFF)、第2センサSe2が被検出部Dを検出し(第2センサSe2:ON)、昇降検知ユニット232が被係合部224の上昇を検知したこと(被係合部224:上昇)の条件を満たすことにより、検知部23は、被係合部224がロック解除領域Rrに進入したことを検知し、保持機構2がロック解除状態となったことを検知する(
図10におけるステップ#9、ステップ#10)。すなわち、検知部23は、被係合部224が上昇中にロック解除領域Rrに進入したことを検知した場合に、保持機構2がロック解除状態であると検知する。
【0068】
ここで、上述のように、第1フック211の重心位置は、第1フック211の揺動中心(第1揺動中心A1)よりも被押圧部211c側となっている。これにより、被押圧部211cが第2フック212によって押圧された際に、第1フック211の第1揺動中心A1に対する重量バランスを利用して第1フック211を被押圧部211c側に揺動させ易くなっている。本例では、保持機構2がロック解除状態になると、第2フック212に押圧されて揺動していた第1フック211の重心が、第1揺動中心A1よりも幅方向第1側W1に配置される。そして、第1フック211は、自重により、第2フック212に押圧されていた方向と同じ側に揺動する。これにより、第1フック211の第1長手部211bは、上下方向視で被係合部224と重複しない位置に配置される。このとき、第1フック211は、被係合部224の下降を妨げない非規制姿勢となる。すなわち、第2フック212は、被係合部224がロック解除領域Rrまで上昇する動きに応じて、規制姿勢の第1フック211を非規制姿勢に姿勢変更させるように構成されている。このように、本実施形態では、第1フック211は、ロック移行領域Rt内から下降しようとする被係合部224に対して下側から当接して被係合部224の下降を妨げる規制姿勢(
図6(T4)参照)と、被係合部224の下降を妨げない非規制姿勢と(
図7(T6)参照)と、に姿勢変更するように構成されている。なお、本例では、非規制姿勢となった第1フック211は、第1ストッパ210cによって受け止められる。
【0069】
そして、状態出力部24は、検知部23によって保持機構2がロック解除状態になったことが検知された場合に、保持機構2がロック解除状態であることを示す状態情報を出力する(
図10におけるステップ#11)。本実施形態では、状態出力部24は消灯状態となる。
【0070】
図8(T7)に示すように、被係合部224は、保持機構2がロック解除状態となった後に、下降を開始する。第2フック212は、下降する被係合部224に支持されながら、自重により揺動する。具体的には、第2フック212における第2短手部212aが下降する被係合部224に支持されながら、第2フック212が自重により下方に揺動する。
【0071】
その後、
図8(T8)に示すように、被係合部224は、下降を続け、第1フック211を下方に押圧しながら当該第1フック211を揺動させる。具体的には、被係合部224は、第1フック211における第1短手部211aを押圧しながら第1フック211を揺動させる。
【0072】
その後、
図9(T9)に示すように、第1フック211は、第2ストッパ210dに受け止められて揺動を停止する。更に下降する被係合部224が第1被検出部D1と同じ高さに配置された場合には、第1センサSe1及び第2センサSe2の双方が、第1被検出部D1を検出する(第1センサSe1:ON、第2センサSe2:ON)。そして、昇降検知ユニット232が、操作部8からの下降信号を受信して被係合部224の下降を検知する(被係合部224:下降)。これらの条件、すなわち、第1センサSe1及び第2センサSe2の双方が被検出部Dを検出し(第1センサSe1:ON、第2センサSe2:ON)、昇降検知ユニット232が被係合部224の下降を検知したこと(被係合部224:上昇)の条件を満たすことにより、検知部23は、被係合部224が通路部210aから退出したことを検知する(
図10におけるステップ#12、ステップ#13)。
【0073】
以上説明したコンベヤ昇降装置100によれば、検知部23によって被係合部224の状態を検知して、この検知結果に基づいて、コンベヤ9を保持する保持機構2の状態を適切に把握することができる。
【0074】
〔その他の実施形態〕
次に、コンベヤ昇降装置のその他の実施形態について説明する。
【0075】
(1)上記の実施形態では、検知部23が、被係合部224の上下方向の位置を検知する位置検知ユニット231と、被係合部224の移動方向を検知する昇降検知ユニット232と、を備えている例について説明した。そして、検知部23が、位置検知ユニット231及び昇降検知ユニット232による検知結果に基づいて、保持機構2がロック状態、ロック移行状態、及び、ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、検知部23は、上記の位置検知ユニット231及び昇降検知ユニット232に代えて、或いは、これらに加えて、第1フック211の姿勢及び第2フック212の姿勢を検知するフック姿勢検知ユニットを備えていても良い。この場合、検知部23は、フック姿勢検知ユニットにより検知される第1フック211の姿勢及び第2フック212の姿勢に基づいて、保持機構2がロック状態、ロック移行状態、及び、ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知するように構成される。詳細な図示は省略するが、フック姿勢検知ユニットは、例えば、第1フック211及び第2フック212それぞれについての揺動量や揺動角度などを検出するセンサや、第1フック211及び第2フック212のそれぞれが特定量揺動した場合に接触するスイッチなどを備えていると良い。
【0076】
(2)上記の実施形態では、検知部23が、第1センサSe1及び第2センサSe2の双方が被検出部Dを検出していない状態で(第1センサSe1:OFF、第2センサSe2:OFF)、被係合部224が規定時間下降したことを昇降検知ユニット232が検知したこと(被係合部224:規定時間下降)を条件として、保持機構2がロック状態であると検知する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、検知部23は、第1センサSe1及び第2センサSe2の双方が被検出部Dを検出していない状態で(第1センサSe1:OFF、第2センサSe2:OFF)、下降していた被係合部224の停止(被係合部224がこれ以上下降しない状態)を昇降検知ユニット232が検知したことを条件として、保持機構2がロック状態であることを検知しても良い。
【0077】
(3)上記の実施形態では、天井側機構部21が、一対の被係合部224のそれぞれに対応して、支持部材210、第1フック211、及び第2フック212を含んで構成される係合ユニットUを、幅方向Wに離間した位置のそれぞれに備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、一対の係合ユニットUは、コンベヤ側機構部22に備えられていても良い。この場合、一対の被係合部224は、天井側機構部21に備えられていると良い。
【0078】
(4)上記の実施形態では、状態出力部24が、シグナルタワーを用いて構成されており、点滅状態、点灯状態、及び消灯状態に状態変更することで、保持機構2の状態を報知するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、状態出力部24は、作業者が操作する操作部8の表示画面に保持機構2の状態を表示することにより、保持機構2の状態を報知するようにしても良い。
【0079】
(5)上記の実施形態では、コンベヤ昇降機構1は、作業者が操作する操作部8からの信号に従ってコンベヤ9を昇降させる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、コンベヤ昇降装置100は、制御装置を備え、当該制御装置によってコンベヤ昇降機構1を自動制御することにより、コンベヤ9を昇降させるように構成されていても良い。この場合、状態出力部24は、信号出力部として構成され、検知部23により検知された保持機構2の状態を示す信号を制御装置に出力するように構成されていると良い。
【0080】
(6)上記の実施形態では、第1フック211の被押圧部211cが、第1フック211が規制姿勢から非規制姿勢に姿勢変更する際に、被係合部224の上昇に応じて揺動する第2フック212によって押圧されるように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、被押圧部211cは、第2フック212によって押圧されるように構成されていなくても良い。この場合、被押圧部211cは、第1フック211が規制姿勢から非規制姿勢に姿勢変更する際に、上昇する被係合部224によって押圧されるように構成されていると良い。
【0081】
(7)上記の実施形態では、コンベヤ側機構部22が被係合部224を一対備え、天井側機構部21が係合ユニットUを一対備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、コンベヤ側機構部22は、1つの被係合部224、或いは3つ以上の被係合部224を備えていても良い。天井側機構部21は、1つの係合ユニットU、或いは3つ以上の係合ユニットUを備えていても良い。
【0082】
(8)上記の実施形態では、コンベヤ9が揺動するように構成されており、コンベヤ昇降機構1は、コンベヤ側機構部22を昇降させることにより、コンベヤ9を揺動させる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、コンベヤ昇降機構1は、コンベヤ9を揺動させることなく昇降させるように構成されていても良い。例えば、コンベヤ昇降機構1は、水平姿勢のコンベヤ9を水平姿勢のまま昇降させるように構成されていても良い。
【0083】
(9)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0084】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明したコンベヤ昇降装置について説明する。
【0085】
上昇位置と下降位置との間でコンベヤを昇降させるコンベヤ昇降機構と、前記上昇位置にある前記コンベヤを保持する保持機構と、を備えたコンベヤ昇降装置であって、
前記保持機構は、天井に取り付けられた天井側機構部と、前記コンベヤに取り付けられたコンベヤ側機構部と、を備え、
前記保持機構は、
前記コンベヤ側機構部が予め定められたロック移行領域よりも下側から前記ロック移行領域内まで上昇することで、ロック移行状態となり、
前記ロック移行状態から前記コンベヤ側機構部が下降することで、前記天井側機構部と前記コンベヤ側機構部とが互いに係合されたロック状態となって前記コンベヤを保持し、
前記コンベヤ側機構部が前記ロック移行領域よりも上側にあるロック解除領域内まで上昇することで、前記天井側機構部と前記コンベヤ側機構部との係合が解除されたロック解除状態となって前記コンベヤの下降を許容するように構成され、
前記保持機構は、前記ロック状態、前記ロック移行状態、及び、前記ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知する検知部と、前記検知部により検知された状態を示す状態情報を出力する状態出力部と、を更に備える。
【0086】
本構成によれば、保持機構がロック状態、ロック移行状態、及び、ロック解除状態のいずれの状態であるかを、検知部により適切に検知することができ、当該検知した状態を出力することができる。これにより、保持機構の状態を適切に把握可能となる。従って、例えばコンベヤ昇降機構を作業者が操作する場合には、状態出力部により作業者に保持機構の状態を適切に知らせることができる。そのため、保持機構をロック状態とさせたりロック解除状態とさせたりするためのコンベヤの昇降操作を、作業者に適切に行わせることができる。また、例えばコンベヤ昇降機構が制御装置により制御される場合には、状態出力部により制御装置に保持機構の状態を適切に出力することができる。そのため、保持機構をロック状態とさせたりロック解除状態とさせたりするためのコンベヤの昇降動作を、制御装置に適切に行わせることができる。
【0087】
前記コンベヤ昇降機構は、作業者が操作する操作部からの信号に従って前記コンベヤを昇降させ、
前記状態出力部は、前記保持機構が前記ロック状態、前記ロック移行状態、及び、前記ロック解除状態のいずれの状態であるかを示す前記状態情報を、前記作業者が視認できるように表示する、と好適である。
【0088】
本構成によれば、状態出力部により作業者に保持機構の状態を適切に知らせることができる。そのため、保持機構をロック状態とさせたりロック解除状態とさせたりするためのコンベヤの昇降操作を、作業者に適切に行わせることができる。
【0089】
前記天井側機構部は、下側に向かって開放された通路部を有する支持部材と、前記支持部材に支持されて、前記通路部に配置される部分を有する第1フックと、前記支持部材に支持されて、前記通路部に配置される部分を有する第2フックと、を備え、
前記コンベヤ側機構部は、前記コンベヤの昇降に伴って前記通路部内を昇降する被係合部を備え、
前記第1フック及び前記第2フックは、前記通路部内における前記被係合部の上昇を妨げないように構成され、
前記第1フックは、前記ロック移行領域内から下降しようとする前記被係合部に対して下側から当接して前記被係合部の下降を妨げる規制姿勢と、前記被係合部の下降を妨げない非規制姿勢と、に姿勢変更するように構成され、
前記第2フックは、前記被係合部が前記ロック解除領域まで上昇する動きに応じて、前記規制姿勢の前記第1フックを前記非規制姿勢に姿勢変更させるように構成され、
前記検知部は、前記被係合部の上下方向の位置を検知する位置検知ユニットと、前記被係合部の移動方向を検知する昇降検知ユニットと、を備え、
前記検知部は、前記位置検知ユニットにより検知される前記被係合部の上下方向の位置と、前記昇降検知ユニットにより検知される前記被係合部の移動方向とに基づいて、前記保持機構が前記ロック状態、前記ロック移行状態、及び、前記ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知する、と好適である。
【0090】
本構成によれば、被係合部を昇降させることで、第1フックと第2フックとを相互動作させることができ、保持機構のロック状態、ロック移行状態、及びロック解除状態を適切に実現することができる。また、被係合部の上下方向の位置と移動方向とに基づいて、保持機構がロック状態、ロック移行状態、及びロック解除状態のいずれの状態であるかを、検知部によって適切に検知することができる。
【0091】
前記位置検知ユニットは、前記被係合部が前記通路部に進入したこと、前記被係合部が前記ロック移行領域内に存在すること、及び、前記被係合部が前記ロック解除領域内に存在すること、を検知するように構成され、
前記検知部は、
前記被係合部が前記通路部に進入したことを検知した後、前記被係合部が上昇中に前記ロック移行領域に進入したことを検知した場合に、前記保持機構が前記ロック移行状態であると検知し、
前記ロック移行状態であることを検知した後、前記被係合部が下降中に前記ロック移行領域から退出したことを検知した場合に、前記保持機構が前記ロック状態であると検知し、
前記被係合部が上昇中に前記ロック解除領域に進入したことを検知した場合に、前記保持機構が前記ロック解除状態であると検知する、と好適である。
【0092】
本構成によれば、位置検知ユニットを、被係合部が通路部に進入したこと、ロック移行領域内にあること、及び、ロック解除領域内にあること、を検知するだけの簡略な構成とすることができる。また、このような簡略な構成で、保持機構がロック状態、ロック移行状態、及び、ロック解除状態のいずれの状態であるかを、検知部によって適切に検知することができる。
【0093】
前記天井側機構部は、下側に向かって開放された通路部を有する支持部材と、前記支持部材に支持されて、前記通路部に配置される部分を有する第1フックと、前記支持部材に支持されて、前記通路部に配置される部分を有する第2フックと、を備え、
前記コンベヤ側機構部は、前記コンベヤの昇降に伴って前記通路部内を昇降する被係合部を備え、
前記第1フック及び前記第2フックは、前記通路部内における前記被係合部の上昇を妨げないように構成され、
前記第1フックは、前記ロック移行領域内から下降しようとする前記被係合部に対して下側から当接して前記被係合部の下降を妨げる規制姿勢と、前記被係合部の下降を妨げない非規制姿勢と、に姿勢変更するように構成され、
前記第2フックは、前記被係合部が前記ロック解除領域まで上昇する動きに応じて、前記規制姿勢の前記第1フックを前記非規制姿勢に姿勢変更させるように構成され、
前記検知部は、前記第1フックの姿勢及び前記第2フックの姿勢を検知するフック姿勢検知ユニットを備え、
前記検知部は、前記フック姿勢検知ユニットにより検知される前記第1フックの姿勢及び前記第2フックの姿勢に基づいて、前記保持機構が前記ロック状態、前記ロック移行状態、及び、前記ロック解除状態のいずれの状態であるかを検知する、と好適である。
【0094】
本構成によれば、被係合部を昇降させることで、第1フックと第2フックとを相互動作させることができ、保持機構のロック状態、ロック移行状態、及びロック解除状態を適切に実現することができる。また、第1フックの姿勢及び第2フックの姿勢に基づいて、保持機構がロック状態、ロック移行状態、及びロック解除状態のいずれの状態であるかを、検知部によって適切に検知することができる。
【0095】
前記コンベヤ側機構部は、前記被係合部を一対備え、
一対の前記被係合部は、前記コンベヤの幅方向に離間して配置され、
前記天井側機構部は、一対の前記被係合部のそれぞれに対応して、前記支持部材、前記第1フック、及び前記第2フックを含んで構成される係合ユニットを、前記幅方向に離間した位置のそれぞれに備え、
前記幅方向の一方側を幅方向第1側として、
一方の前記係合ユニットにおいて前記第2フックに対して前記幅方向第1側に前記第1フックが配置され、他方の前記係合ユニットにおいても前記第2フックに対して前記幅方向第1側に前記第1フックが配置されている、と好適である。
【0096】
本構成によれば、一対の被係合部と一対の係合ユニットとにより、コンベヤを安定して保持することができる。また、本構成によれば、一対の係合ユニットのそれぞれにおいて、第1フックに対して第2フックが幅方向の同じ側に配置されている。そのため、一対の被係合部が、一対の係合ユニットに対して幅方向にずれた状態で上昇してきた場合であっても、それぞれの係合ユニットにおける第1フック及び第2フックと被係合部との幅方向の位置関係は、一対の係合ユニット同士で互いに同等なものとなる。従って、一対の被係合部のうち一方が係合ユニットに対して適切に係合し他方が係合しないという事態を回避し易い。
【0097】
前記第1フック及び前記第2フックは、前記支持部材に対して揺動自在に支持され、
前記第1フックは、前記規制姿勢から前記非規制姿勢に姿勢変更する際に、前記被係合部の上昇に応じて揺動する前記第2フックによって押圧される被押圧部を備え、
前記第1フックの重心位置が、前記第1フックの揺動中心よりも前記被押圧部側となっている、と好適である。
【0098】
本構成によれば、第1フックにおける揺動中心よりも被押圧部側に、第1フックの重心位置があるため、被押圧部が第2フックによって押圧された際に、第1フックの揺動中心に対する重量バランスを利用して第1フックを被押圧部側に揺動させ易い。そして、この第1フックの被押圧部側への揺動を利用して、第1フックを非規制姿勢とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本開示に係る技術は、上昇位置と下降位置との間でコンベヤを昇降させるコンベヤ昇降機構と、前記上昇位置にある前記コンベヤを保持する保持機構と、を備えたコンベヤ昇降装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
100 :コンベヤ昇降装置
1 :コンベヤ昇降機構
2 :保持機構
U :係合ユニット
21 :天井側機構部
210 :支持部材
210a :通路部
211 :第1フック
211c :被押圧部
212 :第2フック
22 :コンベヤ側機構部
224 :被係合部
23 :検知部
231 :位置検知ユニット
232 :昇降検知ユニット
24 :状態出力部
8 :操作部
9 :コンベヤ
A1 :第1フックの揺動中心
Pd :下降位置
Pu :上昇位置
Rr :ロック解除領域
Rt :ロック移行領域
W :幅方向
W1 :幅方向第1側