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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20241204BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B65G1/00 511A
B65G1/00 511J
B65G1/04 525
B65G1/04 543
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022040530
(22)【出願日】2022-03-15
(65)【公開番号】P2023135367
(43)【公開日】2023-09-28
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】古屋 春仁
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-298313(JP,A)
【文献】特開2009-005116(JP,A)
【文献】特開平10-310205(JP,A)
【文献】特開2001-261111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を収容する収容棚と、前記物品を搬送するスタッカクレーンと、前記収容棚及び前記スタッカクレーンを囲むように設けられた包囲壁と、前記包囲壁に設けられた出入口と、前記出入口に設けられた開閉扉と、を備えた自動倉庫であって、
前記スタッカクレーンは、
前記収容棚に沿って設定された走行経路に沿って走行する走行台車と、
前記走行台車に固定され、上下方向に沿うように設けられたマストと、
前記物品を移載する移載装置を支持していると共に前記マストに沿って昇降する搬送用昇降体と、
作業者が搭乗する搭乗部を備えていると共に前記マストに沿って昇降する点検用昇降体と、を備え、
前記包囲壁に囲まれた内側を倉庫内部とし、前記包囲壁の外側を倉庫外部として、
前記倉庫内部における前記出入口を囲む領域である出入口内側領域に設置され、前記作業者が前記倉庫内部に閉じ込められた場合に操作する第1操作部と、
前記倉庫外部における前記出入口を囲む領域である出入口外側領域に設置され、前記第1操作部が操作された場合に、前記倉庫外部に向けて注意喚起の報知を行う報知部と、
前記点検用昇降体に設置され、前記作業者が前記点検用昇降体から脱出できない場合に操作する第2操作部と、を備え、
前記第1操作部は、前記作業者により操作された場合に、前記報知部へ第1信号を送信するように構成され、
前記報知部は、前記第1操作部からの前記第1信号を受信した場合に、前記報知を行うように構成され、
前記第2操作部は、前記作業者により操作された場合に、前記第1操作部へ第2信号を送信するように構成され、
前記第1操作部は、前記第2操作部からの前記第2信号を受信した場合に、前記第1信号を前記報知部へ送信するように構成されている、自動倉庫。
【請求項2】
前記倉庫外部に設置され、前記報知部による前記報知を停止するために操作される第3操作部を更に備え、
前記第2操作部及び前記第3操作部は、それぞれ、操作した前記作業者の識別情報を取得する識別情報取得部を備え、
前記第3操作部を操作した前記作業者の前記識別情報が、前記第2操作部を操作した前記作業者の前記識別情報と一致することを条件として、前記報知部による前記報知が停止される、請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記第1操作部は、前記第1信号を、前記報知部に加えて、前記倉庫外部に設置された管理者用の管理端末へも送信するように構成されている、請求項1又は2に記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記包囲壁は、電波を遮蔽する構造を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動倉庫。
【請求項5】
前記第2操作部は、前記第2信号を、前記第1操作部に加えて、前記倉庫外部に設置された管理者用の管理端末へも送信するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品を収容する収容棚と、前記物品を搬送するスタッカクレーンと、前記収容棚及び前記スタッカクレーンを囲むように設けられた包囲壁と、前記包囲壁に設けられた出入口と、前記出入口に設けられた開閉扉と、を備えた自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
このような自動倉庫の一例が、特開平06-271015号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明の欄において括弧内に示される符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された自動倉庫には、上下方向及び左右方向に並ぶ複数の収容部(2)を備えた収容棚(1)と、収容棚(1)の前方において左右方向に沿って設定された経路(5)上を移動するスタッカクレーン(10)と、が設けられている。スタッカクレーン(10)は、経路(5)を走行する走行台車(10)と、走行台車(10)から立設された一対のマスト(12)と、一対のマスト(12)に沿って昇降する搬送用昇降体(16)と、搬送用昇降体(16)に支持されると共に収容部(2)との間で物品(3)を移載可能な移載装置(17)と、を備えている。このような構成により、スタッカクレーン(10)は、収容棚(1)に備えられた複数の収容部(2)それぞれとの間で物品(3)を移載可能となっている。
【0004】
一対のマスト(12)のうち一方には、定期的な点検などに用いられる点検用昇降体(30)が当該マスト(12)に沿って昇降自在に支持されている。点検用昇降体(30)は、箱状に形成されており、作業者は、出入り用の扉(33)から点検用昇降体(30)の内部に搭乗できるようになっている。例えば、作業者は、スタッカクレーン(10)や収容棚(1)における高所で点検を行う場合に、点検用昇降体(30)に搭乗して、点検対象箇所に向かうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平06-271015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、自動倉庫の内部では、点検用昇降体(30)を用いて点検作業が行われることがある。しかしながら、万が一、点検用昇降体(30)が高所で停止してしまったり、扉(33)に不具合が生じるなどした場合には、作業者が点検用昇降体(30)から脱出できない状態となる可能性がある。
【0007】
そこで、このような場合に備えて、点検用昇降体から倉庫外部へ救援要請を適切に行うことができる自動倉庫の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複数の物品を収容する収容棚と、前記物品を搬送するスタッカクレーンと、前記収容棚及び前記スタッカクレーンを囲むように設けられた包囲壁と、前記包囲壁に設けられた出入口と、前記出入口に設けられた開閉扉と、を備えた自動倉庫であって、
前記スタッカクレーンは、
前記収容棚に沿って設定された走行経路に沿って走行する走行台車と、
前記走行台車に固定され、上下方向に沿うように設けられたマストと、
前記物品を移載する移載装置を支持していると共に前記マストに沿って昇降する搬送用昇降体と、
作業者が搭乗する搭乗部を備えていると共に前記マストに沿って昇降する点検用昇降体と、を備え、
前記包囲壁に囲まれた内側を倉庫内部とし、前記包囲壁の外側を倉庫外部として、
前記倉庫内部における前記出入口を囲む領域である出入口内側領域に設置され、前記作業者が前記倉庫内部に閉じ込められた場合に操作する第1操作部と、
前記倉庫外部における前記出入口を囲む領域である出入口外側領域に設置され、前記第1操作部が操作された場合に、前記倉庫外部に向けて注意喚起の報知を行う報知部と、
前記点検用昇降体に設置され、前記作業者が前記点検用昇降体から脱出できない場合に操作する第2操作部と、を備え、
前記第1操作部は、前記作業者により操作された場合に、前記報知部へ第1信号を送信するように構成され、
前記報知部は、前記第1操作部からの前記第1信号を受信した場合に、前記報知を行うように構成され、
前記第2操作部は、前記作業者により操作された場合に、前記第1操作部へ第2信号を送信するように構成され、
前記第1操作部は、前記第2操作部からの前記第2信号を受信した場合に、前記第1信号を前記報知部へ送信するように構成されている。
【0009】
本構成によれば、作業者は、点検用昇降体から脱出できない場合であっても、第2操作部を操作することにより、第1操作部を介して、倉庫外部に設置された報知部を報知させることができる。特に、自動倉庫が冷蔵庫などである場合には、包囲壁が電波を遮蔽するように構成されていることがあり、電波を用いて倉庫内部から倉庫外部へ救援要請を行うことが困難な場合がある。しかし、本構成によれば、倉庫内部に設置された第1操作部と倉庫外部に設置された報知部との既存の通信接続を用いるため、第2操作部からの第2信号を受信した第1操作部は、報知部による報知を行わせるために、報知部に対して適切に第1信号を送信することができる。このように、本構成によれば、点検用昇降体から倉庫外部へ救援要請を適切に行うことが可能となる。なお、作業者は、点検用昇降体に搭乗していない状態で倉庫内部に閉じ込められた場合には、第1操作部を直接操作することで、報知部による報知を行わせることができる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】自動倉庫の一部を示す平面図
図2】スタッカクレーンの側面図
図3】自動倉庫のシステム構成図
図4】報知部が報知を行うまでの流れを示すフローチャート
図5】報知部が報知を停止するまでの流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
自動倉庫は、自動で物品の搬送及び保管等を行う倉庫である。自動倉庫で取り扱われる物品は、商品を収納する容器(コンテナや段ボール箱など)、商品を載置するパレット、或いは、商品そのものであって良い。商品としては、食料品、日用品、或いは、工業製品などが挙げられる。以下、図面を参照して、自動倉庫の実施形態について例示的に説明する。
【0013】
図1に示すように、自動倉庫100は、複数の物品G(図2参照)を収容する収容棚2と、物品Gを搬送するスタッカクレーン1と、収容棚2及びスタッカクレーン1を囲むように設けられた包囲壁4と、包囲壁4に設けられた出入口40と、出入口40に設けられた開閉扉41と、を備えている。
【0014】
収容棚2は、物品Gを収容する収容部20を複数備えている。複数の収容部20は、上下方向及び水平面に沿う特定方向のそれぞれに沿って並ぶように配置されている。特定方向とは、平面視において収容棚2の前面に沿った方向である。
【0015】
本実施形態では、一対の収容棚2が、1つのスタッカクレーン1を挟むように配置されている。スタッカクレーン1は、両側に配置された一対の収容棚2のそれぞれに対して物品Gを移載可能に構成されている。一対の収容棚2と1つのスタッカクレーン1とにより、1つのユニットが構成される。自動倉庫100は、このようなユニットを複数備えている。
【0016】
図1及び図2に示すように、スタッカクレーン1は、収容棚2に沿って設定された走行経路3に沿って走行する走行台車10と、走行台車10に固定され、上下方向に沿うように設けられたマスト11と、物品Gを移載する移載装置12を支持していると共にマスト11に沿って昇降する搬送用昇降体13と、を備えている。
【0017】
図2に示す例では、走行経路3は、床面に沿って配置された下側レール3aと、下側レール3aから上方に離間した位置において下側レール3aと平行状に配置された上側レール3bと、を備えている。
【0018】
本実施形態では、走行台車10は、下側レール3aに案内されるように構成されている。走行台車10は、複数の車輪10aと、複数の車輪10aのうち少なくとも1つを駆動する走行駆動部10Mと、を備えている。走行駆動部10Mは、例えば、電導モータを用いて構成されている。走行駆動部10Mが複数の車輪10aのうち少なくとも1つを駆動することで、走行台車10が走行経路3に沿って走行する。
【0019】
本実施形態では、スタッカクレーン1は、一対のマスト11と、上側レール3bに案内される上側フレーム15と、を備えている。一対のマスト11のそれぞれは、走行台車10と上側フレーム15との間に配置される。換言すれば、一対のマスト11のそれぞれの下端部は走行台車10に連結され、一対のマスト11のそれぞれの上端部は上側フレーム15に連結されている。
【0020】
本実施形態では、搬送用昇降体13は、一対のマスト11のそれぞれに対して昇降自在に支持されている。スタッカクレーン1は、搬送用昇降体13を駆動する搬送用昇降体駆動部13Mを備えている。搬送用昇降体駆動部13Mは、例えば、電導モータを用いて構成されている。搬送用昇降体駆動部13Mが搬送用昇降体13を駆動することで、搬送用昇降体13が一対のマスト11に沿って昇降する。
【0021】
移載装置12は、搬送用昇降体13に支持されている。本実施形態では、移載装置12は、スタッカクレーン1と収容棚2とが並ぶ方向(移載方向)に沿って出退する移載部12aと、移載部12aを駆動する移載駆動部12Mと、を備えている。移載部12aは、例えば、フォーク機構を用いて構成されている。但し、移載部12aは、コンベヤ機構やチャック機構等を備えた周知の移載手段を用いて構成されていても良い。移載駆動部12Mは、例えば、電導モータを用いて構成されている。移載駆動部12Mが移載部12aを駆動することで、移載部12aが移載方向に沿って出退する。
【0022】
スタッカクレーン1は、作業者Wが搭乗する搭乗部14bを備えていると共にマスト11に沿って昇降する点検用昇降体14を備えている。本例では、点検用昇降体14は、一対のマスト11のうち一方に支持されている。また、スタッカクレーン1は、点検用昇降体14を駆動する点検用昇降体駆動部14Mを備えている。点検用昇降体駆動部14Mは、例えば、電導モータを用いて構成されている。点検用昇降体駆動部14Mが点検用昇降体14を駆動することで、点検用昇降体14がマスト11に沿って昇降する。
【0023】
点検用昇降体14は、スタッカクレーン1や収容棚2の点検のために用いられる。点検用昇降体14は、箱状に形成されており、その内部に作業者Wが立ち入ることが可能に構成されている。作業者Wは、例えば、スタッカクレーン1や収容棚2における高所で点検を行う場合に、点検用昇降体14に搭乗して、点検対象箇所に向かうことができる。図示の例では、点検用昇降体14は、作業者Wが内部から外部を視認可能な窓14aを備えている。
【0024】
図1に示すように、包囲壁4には、包囲壁4に囲まれた内側と包囲壁4の外側とを作業者Wが行き来するための出入口40が設けられている。そして、出入口40には、開閉扉41が設けられている。開閉扉41は、基本的には閉じた状態とされ、包囲壁4の内側と外側とを作業者Wが行き来するために開けられる。
【0025】
本実施形態では、自動倉庫100は、包囲壁4に囲まれた内側において食品等を低温で保管する冷蔵庫あるいは冷凍庫である。そのため、包囲壁4は、電波を遮蔽する構造を備えている。これにより、包囲壁4に囲まれた内側から包囲壁4の外側には、電波が伝達されないようになっている。以下、包囲壁4に囲まれた内側を倉庫内部ISとし、包囲壁4の外側を倉庫外部OSとする。
【0026】
自動倉庫100は、倉庫内部ISにおける出入口40を囲む領域である出入口内側領域Roiに設置され、作業者Wが倉庫内部ISに閉じ込められた場合に操作する第1操作部P1と、倉庫外部OSにおける出入口40を囲む領域である出入口外側領域Rosに設置され、第1操作部P1が操作された場合に、倉庫外部OSに向けて注意喚起の報知を行う報知部5と、を備えている。
【0027】
本実施形態では、第1操作部P1と報知部5とは、有線通信を行うように構成されている。第1操作部P1と報知部5とは、配線Lにより繋がっている。配線Lを介して、第1操作部P1と報知部5との間で信号が送受信される。
【0028】
図3に示すように、第1操作部P1は、作業者Wにより操作された場合に、報知部5へ第1信号S1を送信するように構成されている。そして、報知部5は、第1操作部P1からの第1信号S1を受信した場合に、報知を行うように構成されている。
【0029】
このような構成により、例えば作業者Wが倉庫内部ISから脱出できない事態が生じた場合に、作業者Wは、第1操作部P1を操作することで、報知部5に報知を行わせることができる。これにより作業者Wは、倉庫内部ISから倉庫外部OSに救援要請を行うことができる。
【0030】
本実施形態では、報知部5は、シグナルタワーを備えている。報知部5は、シグナルタワーを点灯又は点滅させることで、倉庫内部ISで救援要請があった旨を倉庫外部OSに向けて報知するように構成されている。
【0031】
ここで、作業者Wが点検用昇降体14に搭乗しているにもかかわらず、万が一、点検用昇降体14が高所で停止するなどして、作業者Wが点検用昇降体14から脱出できない事態が生じた場合には、作業者Wは第1操作部P1から離れた位置にいるため、出入口40の付近に設置された第1操作部P1を操作して倉庫外部OSに救援要請を行うことはできない。
【0032】
そこで、図2に示すように、自動倉庫100は、点検用昇降体14に設置され、作業者Wが点検用昇降体14から脱出できない場合に操作する第2操作部P2を備えている。本開示に係る自動倉庫100では、第2操作部P2によっても報知部5に報知させることが可能となっている。以下、詳細に説明する。
【0033】
図3は、自動倉庫100のシステム構成図である。
【0034】
図3に示すように、倉庫内部ISには、第1操作部P1及び第2操作部P2が設置されている。第1操作部P1は出入口内側領域Roiに設置されており(図1参照)、第2操作部P2は点検用昇降体14に設置されている(図2参照)。
【0035】
倉庫外部OSには、報知部5が設置されている。詳細には、報知部5は出入口外側領域Rosに設置されている(図2参照)。本実施形態では、倉庫外部OSには、作業者Wが操作する第3操作部P3が設置されている。詳細は後述するが、第3操作部P3は、報知部5による報知を停止するために操作される。すなわち本実施形態では、自動倉庫100は、倉庫外部OSに設置され、報知部5による報知を停止するために操作される第3操作部P3を更に備えている。第1操作部P1、第2操作部P2、及び第3操作部P3は、ボタン、レバー、或いはタッチパネル等を用いて構成されている。
【0036】
本実施形態では、倉庫外部OSには、自動倉庫100を管理するための管理端末60が設置されている。図示の例では、倉庫外部OSには、管理室6が設けられている。管理端末60は、管理室6の内部に設置されている。すなわち本実施形態では、自動倉庫100は、管理室6と、管理室6に設置された管理端末60と、を更に備えている。
【0037】
以下、報知部5による報知を行わせる場合、及び、報知部5による報知を停止させる場合について説明する。
【0038】
図3(a)は、報知部5による報知を行わせる場合を示している。図3(a)に示すように、第2操作部P2は、作業者Wにより操作された場合に、第1操作部P1へ第2信号S2を送信するように構成されている。本実施形態では、第1操作部P1と第2操作部P2とは、倉庫内部ISにおいて無線通信を行うように構成されている。第1操作部P1は、第2操作部P2からの第2信号S2を受信した場合に、第1信号S1を報知部5へ送信するように構成されている。上述のように、第1操作部P1と報知部5とは、倉庫内部ISと倉庫外部OSとの間で、配線Lによって有線通信を行う。
【0039】
本実施形態では、第2操作部P2は、当該第2操作部P2を操作した作業者Wの識別情報IDを取得する識別情報取得部A2を備えている。例えば、識別情報取得部A2は、タグリーダを用いて構成されている。作業者Wは、自らの識別情報IDが保有されたタグを持参している場合には、当該タグを識別情報取得部A2に読み取らせることにより、識別情報取得部A2に自らの識別情報IDを取得させる。
【0040】
本実施形態では、第2操作部P2は、第1操作部P1に対して、第2信号S2と共に、識別情報取得部A2により取得した作業者Wの識別情報IDを送信するように構成されている。そして、第1操作部P1は、報知部5に対して、第1信号S1と共に、第2操作部P2から受信した作業者Wの識別情報IDを送信するように構成されている。報知部5は、第1操作部P1から受信した作業者Wの識別情報IDを記憶する。報知部5は、当該識別情報IDを、倉庫内部ISにおいて第2操作部P2を操作した作業者Wの識別情報IDとして記憶する。
【0041】
報知部5は、第1操作部P1から第1信号S1を受信した場合に、倉庫内部ISから救援要請があった旨を報知する。上述のように、本実施形態では、報知部5は、シグナルタワーを点灯又は点滅させることで、倉庫内部ISで救援要請があった旨を倉庫外部OSに向けて報知する。
【0042】
本実施形態では、報知部5は、報知を行うと共に、倉庫内部ISで救援要請があった旨の情報を管理端末60に送信する。これにより、管理端末60を操作する者、或いは、管理室6にいる者に対しても注意喚起を行うことができる。
【0043】
このように、本実施形態では、包囲壁4が電波を遮蔽する構造を備えているが、倉庫内部ISに設置された第1操作部P1と倉庫外部OSに設置された報知部5とは、配線Lで繋がれており、有線通信を行う。このため、作業者Wは、点検用昇降体14から脱出できない場合であっても、倉庫内部IS(点検用昇降体14の内部)で第2操作部P2を操作することにより、倉庫内部ISに設置された第1操作部P1を介して、倉庫外部OSに設置された報知部5を報知させることができる。このように、作業者Wは、点検用昇降体14から倉庫外部OSへ救援要請を適切に行うことができる。
【0044】
図3(b)は、報知部5による報知を停止させる場合を示している。図3(b)に示すように、本実施形態では、第3操作部P3は、当該第3操作部P3を操作した作業者Wの識別情報IDを取得する識別情報取得部A3を備えている。例えば、識別情報取得部A3は、タグリーダを用いて構成されている。作業者Wは、救援を受けて倉庫内部ISから倉庫外部OSへ脱出した場合には、当該タグを識別情報取得部A3に読み取らせることにより、識別情報取得部A3に自らの識別情報IDを取得させる。
【0045】
本実施形態では、第3操作部P3は、報知部5に対して、第3信号S3を送信する。さらに本例では、第3操作部P3は、報知部5に対して、識別情報取得部A3により取得した作業者Wの識別情報IDも送信するように構成されている。
【0046】
本実施形態では、第3操作部P3を操作した作業者Wの識別情報IDが、第2操作部P2を操作した作業者Wの識別情報IDと一致することを条件として、報知部5による報知が停止される。ここでは、報知部5(具体的には報知部5に備えられた制御ユニット)が、2つの識別情報IDが一致しているか否かを判定し、2つの識別情報IDが一致している場合に報知を停止する。本例では、報知部5は、シグナルタワーを消灯する。
【0047】
上述のように、報知部5は、第1操作部P1から受信した作業者Wの識別情報IDを、倉庫内部ISにおいて第2操作部P2を操作した作業者Wの識別情報IDとして記憶している(図3(a)参照)。報知部5は、この記憶している識別情報IDと、第3操作部P3から受信した識別情報IDとを比較して、両者が一致しているか否かを判定する。報知部5は、2つの識別情報IDが一致している場合には、報知を行い、記憶していた識別情報IDを削除し、或いは別の記憶部へ格納する。これにより、その後に救援要請があった場合に、当該救援要請を行っている者への対応を適切に行うことができる。すなわち、以前記憶していた識別情報IDを基に誤って報知が停止させられることを回避できる。上記の識別情報IDの削除や別の記憶部への格納は、作業者Wが行うようにしても良い。
【0048】
なお、点検用昇降体14に搭乗していない作業者Wが、倉庫内部ISにおいて直接第1操作部P1を操作することにより、救援要請を行う場合がある。本実施形態では、第1操作部P1は、当該第1操作部P1を操作した作業者Wの識別情報IDを取得する識別情報取得部A1を備えている。例えば、識別情報取得部A1は、タグリーダを用いて構成されている。作業者Wは、救援を受けて倉庫内部ISから倉庫外部OSへ脱出した場合には、当該タグを識別情報取得部A1に読み取らせることにより、識別情報取得部A1に自らの識別情報IDを取得させる。
【0049】
第1操作部P1を直接操作して救援要請を行った作業者Wは、救援を受けて倉庫内部ISから倉庫外部OSへ脱出した場合には、当該タグを識別情報取得部A3に読み取らせることにより、識別情報取得部A3に自らの識別情報IDを取得させる。そして、第3操作部P3を操作した作業者Wの識別情報IDが、第1操作部P1を操作した作業者Wの識別情報IDと一致することを条件として、報知部5による報知が停止される。
【0050】
次に、報知部5が報知を行うまでの流れについて、図4のフローチャートを参照して説明する。図4に示すように、作業者Wが第2操作部P2を操作することで(ステップ#11)、第2操作部P2から第1操作部P1へ、第2信号S2と、第2操作部P2を操作した作業者Wの識別情報IDと、が送信される(ステップ#12)。そして、第1操作部P1から報知部5へ、第1信号S1と、第2操作部P2を操作した作業者Wの識別情報IDと、が送信される(ステップ#13)。報知部5は、第1操作部P1から第1信号S1を受信することで、報知を行う(ステップ#14)。なお、報知部5は、第2操作部P2を操作した作業者Wの識別情報IDを記憶する。
【0051】
次に、報知部5が報知を停止するまでの流れについて、図5のフローチャートを参照して説明する。図5に示すように、作業者Wが第3操作部P3を操作することで(ステップ#21)、第3操作部P3から報知部5へ、第3信号S3と、第3操作部P3を操作した作業者Wの識別情報IDと、が送信される(ステップ#22)。報知部5は、第3操作部P3を操作した作業者Wの識別情報IDと、第2操作部P2を操作した作業者Wの識別情報IDとが、一致するか否かを判定する(ステップ#23)。報知部5は、2つの識別情報IDが一致していると判定した場合には(ステップ#23:Yes)、報知を停止する(#24)。一方、報知部5は、2つの識別情報IDが一致していないと判定した場合には(ステップ#23:No)、管理端末60へエラーを通知する(ステップ#25)。
【0052】
以上説明した自動倉庫100によれば、倉庫内部ISの点検用昇降体14から倉庫外部OSへ救援要請を適切に行うことができる。
【0053】
〔その他の実施形態〕
次に、自動倉庫のその他の実施形態について説明する。
【0054】
(1)上記の実施形態では、包囲壁4が、電波を遮蔽する構造を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、包囲壁4は、倉庫内部ISと倉庫外部OSとの間で電波を伝達する構造(言い換えれば、電波を通す構造)を備えていても良い。
【0055】
(2)上記の実施形態では、第1操作部P1は、作業者Wにより操作された場合に、報知部5へ第1信号S1を送信するように構成されている例について説明した。ここで、第1操作部P1は、第1信号S1を、報知部5に加えて、倉庫外部OSに設置された管理者用の管理端末60へも送信するように構成されていても良い。第1操作部P1から管理端末60への第1信号S1の送信は、無線通信または有線通信によって行うことができる。なお、第1操作部P1から管理端末60への第1信号S1の送信が無線通信により行われる場合には、包囲壁4は、倉庫内部ISと倉庫外部OSとの間で電波を伝達する構造を備えていると良い。
【0056】
(3)上記の実施形態では、第2操作部P2は、作業者Wにより操作された場合に、第1操作部P1へ第2信号S2を送信するように構成されている例について説明した。ここで、第2操作部P2は、第2信号S2を、第1操作部P1に加えて、管理端末60へも送信するように構成されていても良い。第2操作部P2から管理端末60への第2信号S2の送信は、無線通信によって行うことができる。この場合には、包囲壁4は、倉庫内部ISと倉庫外部OSとの間で電波を伝達する構造を備えていると良い。
【0057】
(4)上記の実施形態では、第1操作部P1と報知部5とが、有線通信を行う例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1操作部P1と報知部5とは、無線通信を行うように構成されていても良い。この場合には、包囲壁4は、倉庫内部ISと倉庫外部OSとの間で電波を伝達する構造を備えていると良い。
【0058】
(5)上記の実施形態では、第1操作部P1と第2操作部P2とが、倉庫内部ISにおいて無線通信を行うように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1操作部P1と第2操作部P2とは、有線通信を行うように構成されていても良い。
【0059】
(6)上記の実施形態では、自動倉庫100が、報知部5による報知を停止するために操作される第3操作部P3を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、自動倉庫100は、そのような第3操作部P3を備えていなくても良い。この場合、報知部5は、包囲壁4の開閉扉41が開放されたことを条件として報知を停止しても良い。その他にも、報知部5は、管理端末60に報知停止の操作がされたことや、報知開始から規定時間経過したことなどを条件として、報知を停止しても良い。
【0060】
(7)上記の実施形態では、報知部5が、シグナルタワーを備え、シグナルタワーを点灯又は点滅させることで、倉庫内部ISで救援要請があった旨を倉庫外部OSに向けて報知する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、報知部5は、表示画面を備え、表示画面上に注意喚起の表示を行っても良い。または、報知部5は、スピーカを備え、音声や警告音などにより注意喚起を行っても良い。或いは、報知部5は、シグナルタワー、表示画面、スピーカなどの複数種類の手段を用いて注意喚起を行っても良い。
【0061】
(8)上記の実施形態では、識別情報取得部(A1,A2,A3)が、タグリーダを用いて構成され、作業者Wが識別情報IDが保有されたタグを識別情報取得部(A1,A2,A3)に読み取らせることにより、識別情報取得部(A1,A2,A3)に自らの識別情報IDを取得させる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、識別情報取得部(A1,A2,A3)は、作業者Wに対して、作業者W毎に付与或いは設定されたパスワードの入力を求めるように構成されていても良い。この場合、パスワードが「作業者の識別情報」に相当する。
【0062】
(9)上記の実施形態では、電波を遮蔽する包囲壁4を備えた自動倉庫100として、倉庫内部ISで食品等を低温で保管する冷蔵庫あるいは冷凍庫を例示した。しかし、このような自動倉庫100としては、金属壁(包囲壁4)に囲まれた倉庫内部ISで貴金属や紙幣などの貴重品を保管する金庫であっても良い。
【0063】
(10)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0064】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した自動倉庫について説明する。
【0065】
複数の物品を収容する収容棚と、前記物品を搬送するスタッカクレーンと、前記収容棚及び前記スタッカクレーンを囲むように設けられた包囲壁と、前記包囲壁に設けられた出入口と、前記出入口に設けられた開閉扉と、を備えた自動倉庫であって、
前記スタッカクレーンは、
前記収容棚に沿って設定された走行経路に沿って走行する走行台車と、
前記走行台車に固定され、上下方向に沿うように設けられたマストと、
前記物品を移載する移載装置を支持していると共に前記マストに沿って昇降する搬送用昇降体と、
作業者が搭乗する搭乗部を備えていると共に前記マストに沿って昇降する点検用昇降体と、を備え、
前記包囲壁に囲まれた内側を倉庫内部とし、前記包囲壁の外側を倉庫外部として、
前記倉庫内部における前記出入口を囲む領域である出入口内側領域に設置され、前記作業者が前記倉庫内部に閉じ込められた場合に操作する第1操作部と、
前記倉庫外部における前記出入口を囲む領域である出入口外側領域に設置され、前記第1操作部が操作された場合に、前記倉庫外部に向けて注意喚起の報知を行う報知部と、
前記点検用昇降体に設置され、前記作業者が前記点検用昇降体から脱出できない場合に操作する第2操作部と、を備え、
前記第1操作部は、前記作業者により操作された場合に、前記報知部へ第1信号を送信するように構成され、
前記報知部は、前記第1操作部からの前記第1信号を受信した場合に、前記報知を行うように構成され、
前記第2操作部は、前記作業者により操作された場合に、前記第1操作部へ第2信号を送信するように構成され、
前記第1操作部は、前記第2操作部からの前記第2信号を受信した場合に、前記第1信号を前記報知部へ送信するように構成されている。
【0066】
本構成によれば、作業者は、点検用昇降体から脱出できない場合であっても、第2操作部を操作することにより、第1操作部を介して、倉庫外部に設置された報知部を報知させることができる。特に、自動倉庫が冷蔵庫などである場合には、包囲壁が電波を遮蔽するように構成されていることがあり、電波を用いて倉庫内部から倉庫外部へ救援要請を行うことが困難な場合がある。しかし、本構成によれば、倉庫内部に設置された第1操作部と倉庫外部に設置された報知部との既存の通信接続を用いるため、第2操作部からの第2信号を受信した第1操作部は、報知部による報知を行わせるために、報知部に対して適切に第1信号を送信することができる。このように、本構成によれば、点検用昇降体から倉庫外部へ救援要請を適切に行うことが可能となる。なお、作業者は、点検用昇降体に搭乗していない状態で倉庫内部に閉じ込められた場合には、第1操作部を直接操作することで、報知部による報知を行わせることができる。
【0067】
前記倉庫外部に設置され、前記報知部による前記報知を停止するために操作される第3操作部を更に備え、
前記第2操作部及び前記第3操作部は、それぞれ、操作した前記作業者の識別情報を取得する識別情報取得部を備え、
前記第3操作部を操作した前記作業者の前記識別情報が、前記第2操作部を操作した前記作業者の前記識別情報と一致することを条件として、前記報知部による前記報知が停止される、と好適である。
【0068】
本構成によれば、倉庫内部で第2操作部を操作した作業者によらなければ、第3操作部を操作して報知を停止することはできない。そのため、倉庫内部に閉じ込められていない別の作業者が誤って報知を解除することを回避できる。
【0069】
前記第1操作部は、前記第1信号を、前記報知部に加えて、前記倉庫外部に設置された管理者用の管理端末へも送信するように構成されている、と好適である。
【0070】
本構成によれば、倉庫内部からの救援要請を、より多くの者に知らせることが可能となる。
【0071】
前記包囲壁は、電波を遮蔽する構造を備えている、と好適である。
【0072】
自動倉庫が、例えば、冷蔵庫や冷凍庫、或いは金庫などである場合には、包囲壁が電波を遮蔽する構造を備えていることが多い。しかし、本構成によれば、包囲壁が電波を遮蔽する構造を備えていたとしても、第1操作部、第2操作部、及び報知部を用いて、倉庫外部へ適切に救援要請を行うことができる。
【0073】
前記第2操作部は、前記第2信号を、前記第1操作部に加えて、前記倉庫外部に設置された管理者用の管理端末へも送信するように構成されている、と好適である。
【0074】
本構成によれば、点検用昇降体からの救援要請を、より多くの者に知らせることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示に係る技術は、複数の物品を収容する収容棚と、前記物品を搬送するスタッカクレーンと、前記収容棚及び前記スタッカクレーンを囲むように設けられた包囲壁と、前記包囲壁に設けられた出入口と、前記出入口に設けられた開閉扉と、を備えた自動倉庫に利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
100 :自動倉庫
1 :スタッカクレーン
10 :走行台車
11 :マスト
12 :移載装置
13 :搬送用昇降体
14 :点検用昇降体
14b :搭乗部
2 :収容棚
3 :走行経路
4 :包囲壁
40 :出入口
41 :開閉扉
5 :報知部
60 :管理端末
A1、A2 :識別情報取得部
IS :倉庫内部
OS :倉庫外部
P1 :第1操作部
P2 :第2操作部
P3 :第3操作部
Roi :出入口内側領域
Ros :出入口外側領域
S1 :第1信号
S2 :第2信号
G :物品
W :作業者
図1
図2
図3
図4
図5