IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

<>
  • 特許-保管設備 図1
  • 特許-保管設備 図2
  • 特許-保管設備 図3
  • 特許-保管設備 図4
  • 特許-保管設備 図5
  • 特許-保管設備 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】保管設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20241204BHJP
   B65G 1/06 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B65G1/00 511J
B65G1/06 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022054059
(22)【出願日】2022-03-29
(65)【公開番号】P2023146716
(43)【公開日】2023-10-12
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】古屋 春仁
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-152556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 1/04
B65G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に複数段の保管層が設けられ、複数段の前記保管層のそれぞれに、水平面に沿う特定の方向である第1方向に物品を並べて保管可能な保管部が、上下方向視で前記第1方向に交差する方向である第2方向に複数列設けられた保管設備であって、
前記第1方向に沿って走行して前記保管部において前記物品を搬送する第1台車と、
前記第1台車を搭載可能であって、前記保管部の外部において前記第2方向に沿って走行する第2台車と、
前記第1台車及び前記第2台車の走行を制御する制御装置と、を備え、
複数段の前記保管層のそれぞれに、複数列の前記保管部のそれぞれに対応して設けられて前記第1台車が走行する第1レールと、前記第2台車が走行する第2レールと、が設けられ、
前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、第1制御と第2制御とを実行し、
異常が発生した前記保管部を異常発生保管部とし、前記異常発生保管部が存在する前記保管層を異常発生保管層とし、前記異常発生保管層に対して上側に隣接する前記保管層を上側隣接保管層とし、前記上側隣接保管層における前記異常発生保管部の真上に位置する前記保管部を真上保管部として、
前記第1制御は、前記異常発生保管層において前記第1台車及び前記第2台車の双方の走行を停止させる制御であり、
前記第2制御は、前記真上保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御であり、
前記制御装置は、前記上側隣接保管層における前記第2台車の走行と、前記上側隣接保管層における前記第2制御の対象とならない前記保管部への前記第1台車の進入と、を許容しつつ、前記第2制御を実行する、保管設備。
【請求項2】
前記第2制御では、前記上側隣接保管層における前記真上保管部に対して前記第2方向の両側に隣接する前記保管部への前記第1台車の進入も禁止する、請求項1に記載の保管設備。
【請求項3】
上下方向に複数段の保管層が設けられ、複数段の前記保管層のそれぞれに、水平面に沿う特定の方向である第1方向に物品を並べて保管可能な保管部が、上下方向視で前記第1方向に交差する方向である第2方向に複数列設けられた保管設備であって、
前記第1方向に沿って走行して前記保管部において前記物品を搬送する第1台車と、
前記第1台車を搭載可能であって、前記保管部の外部において前記第2方向に沿って走行する第2台車と、
前記第1台車及び前記第2台車の走行を制御する制御装置と、を備え、
複数段の前記保管層のそれぞれに、複数列の前記保管部のそれぞれに対応して設けられて前記第1台車が走行する第1レールと、前記第2台車が走行する第2レールと、が設けられ、
前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、第1制御と第2制御とを実行し、
異常が発生した前記保管部を異常発生保管部とし、前記異常発生保管部が存在する前記保管層を異常発生保管層とし、前記異常発生保管層に対して上側に隣接する前記保管層を上側隣接保管層とし、前記上側隣接保管層における前記異常発生保管部の真上に位置する前記保管部を真上保管部として、
前記第1制御は、前記異常発生保管層において前記第1台車及び前記第2台車の双方の走行を停止させる制御であり、
前記第2制御は、前記真上保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御であり、
前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、更に第3制御も実行し、
前記異常発生保管層に対して下側に隣接する前記保管層を下側隣接保管層とし、前記下側隣接保管層における前記異常発生保管部の真下に位置する前記保管部を真下保管部として、
前記第3制御は、前記真下保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御であり、
前記制御装置は、前記下側隣接保管層における前記第2台車の走行と、前記下側隣接保管層における前記第3制御の対象とならない前記保管部への前記第1台車の進入と、を許容しつつ、前記第3制御を実行する、保管設備。
【請求項4】
前記第3制御では、前記下側隣接保管層における前記真下保管部に対して前記第2方向の両側に隣接する前記保管部への前記第1台車の進入も禁止する、請求項に記載の保管設備。
【請求項5】
上下方向に複数段の保管層が設けられ、複数段の前記保管層のそれぞれに、水平面に沿う特定の方向である第1方向に物品を並べて保管可能な保管部が、上下方向視で前記第1方向に交差する方向である第2方向に複数列設けられた保管設備であって、
前記第1方向に沿って走行して前記保管部において前記物品を搬送する第1台車と、
前記第1台車を搭載可能であって、前記保管部の外部において前記第2方向に沿って走行する第2台車と、
前記第1台車及び前記第2台車の走行を制御する制御装置と、を備え、
複数段の前記保管層のそれぞれに、複数列の前記保管部のそれぞれに対応して設けられて前記第1台車が走行する第1レールと、前記第2台車が走行する第2レールと、が設けられ、
前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、第1制御と第2制御とを実行し、
異常が発生した前記保管部を異常発生保管部とし、前記異常発生保管部が存在する前記保管層を異常発生保管層とし、前記異常発生保管層に対して上側に隣接する前記保管層を上側隣接保管層とし、前記上側隣接保管層における前記異常発生保管部の真上に位置する前記保管部を真上保管部として、
前記第1制御は、前記異常発生保管層において前記第1台車及び前記第2台車の双方の走行を停止させる制御であり、
前記第2制御は、前記真上保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御であり、
前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に前記第1制御を開始し、その後、前記異常発生保管層への進入のための作業者の動作が検知された場合に前記第2制御を開始する、保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に複数段の保管層が設けられた保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような保管設備の一例が、特開2020-152556号公報(特許文献1)に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。特許文献1の自動倉庫システム(1)は、荷(2)を保管可能な複数段の保管ステージ(24)を備えている。複数段の保管ステージ(24)のそれぞれには、X軸方向(水平方向)に荷(2)を並べて保管可能な保管行(26)が、Y軸方向(X軸方向に直交する水平方向)に複数並べて設けられている。そして、保管行(26)の中をX軸方向に走行する第1台車(6)と、第1台車(6)を搭載可能であってY軸方向に走行する第2台車(8)とを含む搬送機構によって、各保管ステージ(24)において荷(2)が搬送される。
【0003】
特許文献1の自動倉庫システム(1)は、いずれかの保管ステージ(24)で異常が発生したときに、異常が発生した保管ステージ(24)の運転と、指定された保管ステージ(24)の運転とを停止させるように構成されている。特許文献1の段落0042に記載されているように、運転が停止される保管ステージ(24)では、第1台車(6)及び第2台車(4)の双方の走行が停止される。そのため、異常が発生した保管ステージ(24)と指定された保管ステージ(24)との双方で、保管ステージ(24)全体での荷(2)の搬送が停止される。特許文献1によれば、このような制御を行うことで、復旧作業を行っているときでも自動倉庫システム(1)の稼働効率の低下を抑制することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-152556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の保管設備は上記のように構成されているため、いずれかの保管部(特許文献1では、保管行)で異常が発生した場合には、異常が発生した保管部が存在する保管層(特許文献1では、保管ステージ)である異常発生保管層と、異常発生保管層とは異なる指定された保管層との双方で、保管層全体での物品の搬送が停止される。よって、保管設備全体での物品の搬送を停止させる場合と比べると、保管設備の稼働効率の低下を抑制することはできるものの、異常発生保管層とは異なる保管層においても保管層全体での物品の搬送が一律に停止されるため、物品の搬送の停止が必要以上に広範囲で行われて稼働効率低下の抑制効果が限定的になるおそれがある。
【0006】
そこで、いずれかの保管部で異常が発生した場合の保管設備の稼働効率の低下を、より効果的に抑制することができる技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様として、本開示に係る保管設備は、上下方向に複数段の保管層が設けられ、複数段の前記保管層のそれぞれに、水平面に沿う特定の方向である第1方向に物品を並べて保管可能な保管部が、上下方向視で前記第1方向に交差する方向である第2方向に複数列設けられた保管設備であって、前記第1方向に沿って走行して前記保管部において前記物品を搬送する第1台車と、前記第1台車を搭載可能であって、前記保管部の外部において前記第2方向に沿って走行する第2台車と、前記第1台車及び前記第2台車の走行を制御する制御装置と、を備え、複数段の前記保管層のそれぞれに、複数列の前記保管部のそれぞれに対応して設けられて前記第1台車が走行する第1レールと、前記第2台車が走行する第2レールと、が設けられ、前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、第1制御と第2制御とを実行し、異常が発生した前記保管部を異常発生保管部とし、前記異常発生保管部が存在する前記保管層を異常発生保管層とし、前記異常発生保管層に対して上側に隣接する前記保管層を上側隣接保管層とし、前記上側隣接保管層における前記異常発生保管部の真上に位置する前記保管部を真上保管部として、前記第1制御は、前記異常発生保管層において前記第1台車及び前記第2台車の双方の走行を停止させる制御であり、前記第2制御は、前記真上保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御であり、前記制御装置は、前記上側隣接保管層における前記第2台車の走行と、前記上側隣接保管層における前記第2制御の対象とならない前記保管部への前記第1台車の進入と、を許容しつつ、前記第2制御を実行する
【0008】
本構成によれば、いずれかの保管部で異常が発生した場合には第1制御が実行され、異常が発生した保管部(異常発生保管部)が存在する保管層(異常発生保管層)において第1台車及び第2台車の双方の走行が停止される。よって、異常発生保管層を異常発生保管部に向かって移動して異常発生保管部において異常対応作業を行う作業者の安全性を、適切に確保することができる。そして、本構成によれば、いずれかの保管部で異常が発生した場合には第1制御に加えて第2制御が実行され、異常発生保管層に対して上側に隣接する保管層(上側隣接保管層)における異常発生保管部の真上に位置する保管部(真上保管部)への第1台車の進入が禁止される。このように上側隣接保管層において異常発生保管部と比較的近い位置に配置される真上保管部への第1台車の進入を禁止することで、異常発生保管部において異常対応作業を行う作業者と上側隣接保管層に存在する第1台車との接触を回避して、作業者の安全性を適切に確保することができる。一方で、上側隣接保管層における異常発生保管部と比較的離れた領域では保管部への第1台車の進入が禁止されないようにすることで、上側隣接保管層において物品の搬送が停止される領域を上側隣接保管層の一部に限定して、第2制御を実行することによる保管設備の稼働効率の低下を抑制することができる。
【0009】
以上のように、本構成によれば、いずれかの保管部で異常が発生した場合の保管設備の稼働効率の低下を、より効果的に抑制することが可能となっている。また、本構成によれば、第2制御の実行中であっても、上側隣接保管層における第2制御の対象とならない保管部に対する物品の搬出入を、第1台車と第2台車とを用いて行うことができる。よって、保管設備の稼働効率の低下を抑制しつつ第2制御を実行することができる。
【0010】
別の態様として、本開示に係る保管設備は、上下方向に複数段の保管層が設けられ、複数段の前記保管層のそれぞれに、水平面に沿う特定の方向である第1方向に物品を並べて保管可能な保管部が、上下方向視で前記第1方向に交差する方向である第2方向に複数列設けられた保管設備であって、前記第1方向に沿って走行して前記保管部において前記物品を搬送する第1台車と、前記第1台車を搭載可能であって、前記保管部の外部において前記第2方向に沿って走行する第2台車と、前記第1台車及び前記第2台車の走行を制御する制御装置と、を備え、複数段の前記保管層のそれぞれに、複数列の前記保管部のそれぞれに対応して設けられて前記第1台車が走行する第1レールと、前記第2台車が走行する第2レールと、が設けられ、前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、第1制御と第2制御とを実行し、異常が発生した前記保管部を異常発生保管部とし、前記異常発生保管部が存在する前記保管層を異常発生保管層とし、前記異常発生保管層に対して上側に隣接する前記保管層を上側隣接保管層とし、前記上側隣接保管層における前記異常発生保管部の真上に位置する前記保管部を真上保管部として、前記第1制御は、前記異常発生保管層において前記第1台車及び前記第2台車の双方の走行を停止させる制御であり、前記第2制御は、前記真上保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御であり、前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、更に第3制御も実行し、前記異常発生保管層に対して下側に隣接する前記保管層を下側隣接保管層とし、前記下側隣接保管層における前記異常発生保管部の真下に位置する前記保管部を真下保管部として、前記第3制御は、前記真下保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御であり、前記制御装置は、前記下側隣接保管層における前記第2台車の走行と、前記下側隣接保管層における前記第3制御の対象とならない前記保管部への前記第1台車の進入と、を許容しつつ、前記第3制御を実行する。
【0011】
更に別の態様として、本開示に係る保管設備は、上下方向に複数段の保管層が設けられ、複数段の前記保管層のそれぞれに、水平面に沿う特定の方向である第1方向に物品を並べて保管可能な保管部が、上下方向視で前記第1方向に交差する方向である第2方向に複数列設けられた保管設備であって、前記第1方向に沿って走行して前記保管部において前記物品を搬送する第1台車と、前記第1台車を搭載可能であって、前記保管部の外部において前記第2方向に沿って走行する第2台車と、前記第1台車及び前記第2台車の走行を制御する制御装置と、を備え、複数段の前記保管層のそれぞれに、複数列の前記保管部のそれぞれに対応して設けられて前記第1台車が走行する第1レールと、前記第2台車が走行する第2レールと、が設けられ、前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、第1制御と第2制御とを実行し、異常が発生した前記保管部を異常発生保管部とし、前記異常発生保管部が存在する前記保管層を異常発生保管層とし、前記異常発生保管層に対して上側に隣接する前記保管層を上側隣接保管層とし、前記上側隣接保管層における前記異常発生保管部の真上に位置する前記保管部を真上保管部として、前記第1制御は、前記異常発生保管層において前記第1台車及び前記第2台車の双方の走行を停止させる制御であり、前記第2制御は、前記真上保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御であり、前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に前記第1制御を開始し、その後、前記異常発生保管層への進入のための作業者の動作が検知された場合に前記第2制御を開始する。
【0012】
保管設備の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】保管設備の平面図
図2】保管設備の一部の縦断正面図
図3】保管設備の一部の斜視図
図4】第1制御、第2制御、及び第3制御の説明図
図5】制御ブロック図
図6】制御フロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
保管設備の実施形態について、図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、保管設備100には、上下方向Z(鉛直方向)に複数段の保管層90が設けられている。図2には、上下方向Zに3段の保管層90が設けられた保管設備100を例示している。図2では、3つの段Lを、上下方向Zの下側Z2から順に、第1段L1、第2段L2、第3段L3としている。
【0015】
図1及び図2に示すように、水平面に沿う特定の方向を第1方向Xとし、上下方向Zに沿う方向視である上下方向Z視(平面視)で第1方向Xに交差する方向を第2方向Yとする。ここでは、第2方向Yは、上下方向Z視で第1方向Xに直交する水平方向である。すなわち、第1方向X及び第2方向Yは、互いに直交する2つの水平方向である。
【0016】
第1方向Xの一方側を第1方向第1側X1とし、第1方向Xの他方側を第1方向第2側X2とする。また、第2方向Yの一方側を第2方向第1側Y1とし、第2方向Yの他方側を第2方向第2側Y2とする。ここでは、第1方向Xにおける後述する第2台車12の走行経路に近づく側を第1方向第1側X1とし、その反対側を、第1方向第2側X2としている。よって、第2台車12の走行経路に対して第1方向Xの両側の領域の間で、第1方向第1側X1の向きは互いに反対向きとなっている。また、ここでは、第2方向Yにおける後述する入庫部92及び出庫部93に近づく側を第2方向第1側Y1とし、その反対側を、第2方向第2側Y2としている。
【0017】
図1に示すように、複数段の保管層90のそれぞれには、第1方向Xに物品Wを並べて保管可能な保管部91が設けられている。1つの保管部91において第1方向Xに並べて保管可能な物品Wの数は、物品Wの第1方向Xの寸法に応じて変化し得る。図1に示す例では、1つの保管部91に、最大で8個の物品Wを第1方向Xに並べて保管することが可能となっている。
【0018】
図1に示すように、複数段の保管層90のそれぞれには、保管部91が第2方向Yに複数列設けられている。図1に示す例では、保管部91は、第2方向Yに9列設けられている。また、図1に示す例では、後述する第2台車12の走行経路に対して第1方向Xの両側に、保管部91が第2方向Yに複数列(ここでは、9列)設けられている。
【0019】
図1図3、及び図5に示すように、保管設備100は、第1台車11と、第2台車12と、第1台車11及び第2台車12の走行を制御する制御装置40と、を備えている。制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の当該演算処理装置が参照可能な記憶装置と、を備えている。制御装置40の各機能は、制御装置40が備えるハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により実現される。制御装置40は、1つのハードウェアではなく、互いに有線又は無線で通信可能な複数のハードウェア(複数の分離したハードウェア)の集合によって構成されてもよい。
【0020】
第1台車11は、第1方向Xに沿って走行して保管部91において物品Wを搬送する。第1台車11は、例えば、複数段の保管層90のそれぞれに1台以上(例えば、1台)配置される。第2台車12は、第1台車11を搭載可能であって、保管部91の外部において第2方向Yに沿って走行する。第2台車12は、例えば、複数段の保管層90のそれぞれに1台ずつ配置される。このように、保管設備100は、子台車としての第1台車11と親台車としての第2台車12とを備えた物品搬送車10(親子台車)を備えている。
【0021】
図1及び図2に示すように、複数段の保管層90のそれぞれに、複数列の保管部91のそれぞれに対応して設けられて第1台車11が走行する第1レール20と、第2台車12が走行する第2レール30と、が設けられている。第1レール20は、第1方向Xに沿って延在し、第2レール30は、第2方向Yに沿って延在している。第1レール20(ここでは、第2方向Yに並ぶ一対の第1レール20)によって、第1台車11の走行経路が形成され、第2レール30(ここでは、第1方向Xに並ぶ一対の第2レール30)によって、第2台車12の走行経路が形成されている。図1に示す例では、第1レール20は、第2レール30(ここでは、一対の第2レール30)に対して第1方向Xの両側に設けられている。すなわち、第1台車11の走行経路は、第2台車12の走行経路に対して第1方向Xの両側に形成されている。
【0022】
保管設備100は、上下方向Zに沿って延在する支柱1を備えている。図2に示す例では、支柱1は、床部から上下方向Zの上側Z1に向かって延びるように、床部に立設されている。第1レール20及び第2レール30は支柱1に支持されている。具体的には、第1レール20は、第1方向Xに並ぶように配置された複数の支柱1に連結されることで、これら複数の支柱1に支持されている。また、第2レール30は、第2方向Yに並ぶように配置された複数の支柱1に連結されることで、これら複数の支柱1に支持されている。
【0023】
図2に示すように、第1台車11は、第1レール20の走行面(ここでは、上側Z1を向く面)である第1走行面21(図3参照)を転動する第1走行輪11aを備えている。第1走行輪11aが電動モータ等の駆動装置(図示せず)により回転駆動されることで、第1台車11が第1レール20に沿って走行する。図3に示すように、第2台車12は、第2レール30の走行面(ここでは、上側Z1を向く面)である第2走行面31を転動する第2走行輪12aを備えている。第2走行輪12aが電動モータ等の駆動装置(図示せず)により回転駆動されることで、第2台車12が第2レール30に沿って走行する。
【0024】
第1台車11は、第2台車12に搭載された状態で、第2方向Yに移動可能であると共に、第2台車12から分離した状態で、第1方向Xに移動可能である。図1に示すように、第2台車12が、第1台車11の走行経路を形成する第1レール20(ここでは、一対の第1レール20)に対応する第2方向Yの位置にある状態で、第1台車11は、第2台車12上と第1レール20上との間を移動する。
【0025】
保管部91に保管する物品Wは、保管設備100の外部から入庫部92に搬入され、保管部91から取り出された物品Wは、出庫部93から保管設備100の外部に搬出される。図1に示す例では、入庫部92及び出庫部93は、第2台車12の走行経路における第2方向第1側Y1の端部に設けられている。物品搬送車10は、保管部91に保管する物品Wを、入庫部92から保管部91に搬送し、保管部91から取り出す物品Wを、保管部91から出庫部93に搬送する。図2では、荷Wbが載せられた状態のパレットWaが物品Wである場合を例示している。
【0026】
本実施形態では、保管部91は、第1レール20を用いて形成されている。具体的には、図3に示すように、第1レール20は、上述した第1走行面21に加えて、第1走行面21よりも上側Z1に配置された載置面22(ここでは、上側Z1を向く面)を備えている。載置面22は、第1方向Xに連続して延びるように形成されている。複数の物品Wを第1方向Xに並べて載置面22に載置することで、複数の物品Wが第1方向Xに並べて保管部91に保管される。
【0027】
図1に示すように、物品Wは、一対の第1レール20(具体的には、第1台車11の走行経路を形成する一対の第1レール20、以下同様)に第2方向Yの両側を支持された状態で、保管部91に保管される。具体的には、物品Wは、一対の第1レール20の一方の載置面22と他方の載置面22とに第2方向Yの両側が載置された状態で、保管部91に保管される。一対の第1レール20の間の第2方向Yの中心に向かう側を、第2方向Yの内側とし、その反対側を、第2方向Yの外側として、図3に示すように、載置面22は、当該載置面22と同じ第1レール20に形成された第1走行面21に対して、第2方向Yの外側に配置されている。よって、1つの保管部91を形成する一対の載置面22の第2方向Yの間に、当該保管部91における第1台車11の走行経路を形成する一対の第1走行面21が配置されている。
【0028】
図2及び図3に示すように、第1台車11は、物品Wを下側Z2から支持する支持面11bを備えている。支持面11bは、昇降可能に構成されており、第1台車11は、電動モータ等の駆動装置(図示せず)の駆動力により支持面11bを昇降させる。図3に示すように、第2台車12は、物品Wを下側Z2から支持すると共に物品Wを第1方向Xに搬送する搬送コンベヤ12bを備えている。第2台車12は、電動モータ等の駆動装置(図示せず)の駆動力により搬送コンベヤ12bを駆動する。
【0029】
保管部91に物品Wを保管する場合、制御装置40は、例えば、第1台車11及び第2台車12を以下のように動作させる。第1台車11を搭載した状態の第2台車12が、入庫部92にて、搬送コンベヤ12bを作動させて入庫部92から搬送コンベヤ12b上に物品Wを受け取る。第2台車12は、入庫部92から物品Wを受け取った後、物品Wの保管対象の保管部91に対応する位置まで第2方向Yに沿って走行して停止する。そして、支持面11bを上昇させて支持面11bにて物品Wを支持した状態の第1台車11が、第2台車12から分離して、物品Wを保管する保管位置まで第1方向Xに沿って走行して停止する。その後、第1台車11が、支持面11bを下降させて、支持面11bに支持されていた物品Wを載置面22に載せる。これにより、保管部91における上記保管位置に物品Wが保管される。
【0030】
保管部91から物品Wを取り出す場合、制御装置40は、例えば、第1台車11及び第2台車12を以下のように動作させる。第1台車11を搭載した状態の第2台車12が、取り出し対象の物品Wが保管された保管部91に対応する位置まで第2方向Yに沿って走行して停止する。そして、支持面11bを下降させた状態の第1台車11が、第2台車12から分離して、取り出し対象の物品Wが保管されている保管位置まで第1方向Xに沿って走行して停止する。第1台車11は、保管位置において支持面11bを上昇させて、載置面22に載置されている物品Wを支持面11bにて支持した後、第2台車12に搭載される位置まで第1方向Xに沿って走行して停止する。これにより、保管部91における上記保管位置に保管されていた物品Wが、保管部91から取り出される。第1台車11が第2台車12上で支持面11bを下降させることで、保管部91から取り出した物品Wは搬送コンベヤ12bに支持される。第2台車12は、出庫部93に対応する位置まで第2方向Yに沿って走行して停止した後、搬送コンベヤ12bを作動させて搬送コンベヤ12bから出庫部93に物品Wを渡す。
【0031】
図2に示すように、複数段の保管層90のそれぞれに、作業者が第2方向Yに沿って移動可能な作業者用通路82(歩廊)が形成されている。作業者用通路82は、上下方向Z視で第2台車12の走行経路と重複する位置に形成されている。本実施形態では、作業者用通路82の上下方向Zの大きさが、作業者(例えば、平均身長の作業者)が歩行可能な大きさとなるように、各段の作業者用通路82が形成されている。
【0032】
図2に示す例では、最下段の作業者用通路82は、床面によって形成され、それ以外の段Lの作業者用通路82は、通路形成部材80によって形成されている。通路形成部材80は、最下段を除く各段の第2レール30(ここでは、一対の第2レール30)に対応する高さに設けられている。通路形成部材80は、作業者が搭乗可能な板状(貫通孔が形成された板状を含む)に形成されており、通路形成部材80に対して上側Z1の空間が、作業者用通路82となっている。作業者は、足場81(図1参照)から通路形成部材80に乗り移ることで、当該通路形成部材80によって形成された作業者用通路82に進入する。
【0033】
いずれかの保管部91で異常が発生した場合に、作業者は、異常が発生した保管部91である異常発生保管部91A(図4参照)において異常対応作業を行うために、異常発生保管部91Aと同じ段Lに形成された作業者用通路82を通って、異常発生保管部91Aに移動することができる。保管部91において発生し得る異常として、保管部91における第1台車11の故障や、保管部91における不適切な状態(例えば、姿勢)での物品Wの保管を例示することができる。異常対応作業は、例えば、故障した第1台車11に対する作業や、不適切な状態で保管されている物品Wに対する作業等の、異常を解消するための作業とされる。本実施形態では、保管部91には、通路形成部材80のような作業者が搭乗可能な板状部材は設けられていない。作業者は、例えば、第1レール20(ここでは、一対の第1レール20)を走行する作業用台車に搭乗して、保管部91を第1方向Xに沿って移動する。
【0034】
次に、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に制御装置40が実行する制御について説明する。なお、以下に説明する制御装置40の種々の技術的特徴は、第1台車11及び第2台車12の制御方法(例えば、図6に示す各工程を含む方法)や、第1台車11及び第2台車12を制御するためのプログラムにも適用可能であり、そのようや方法やプログラム、更には、そのようなプログラムが記録された記録媒体(光ディスクやフラッシュメモリ等の、コンピュータが読み取り可能な記録媒体)も、本明細書に開示されている。第1台車11及び第2台車12を制御するためのプログラムは、例えば、当該プログラムを記録した記録媒体により提供され、或いは、通信ネットワークを介して提供され、提供されたプログラムは、制御装置40(コンピュータ)が参照可能な記憶装置に記憶される。
【0035】
制御装置40は、例えば、保管部91に設けられたセンサ(画像センサ等)の検出情報に基づき、或いは、第1台車11又は第2台車12から送信される信号に基づき、いずれかの保管部91で異常が発生したか否かを判定する。例えば、保管部91に存在する第1台車11が、当該第1台車11に設けられた機器(例えば、電動モータ等の駆動装置)の故障を検知した場合に、当該保管部91で異常が発生したことを示す信号を、第1台車11が制御装置40に送信する。また、例えば、ある保管部91に対する物品Wの搬出入作業が予定サイクル内で終了しないことが検知された場合に、当該保管部91で異常が発生したことを示す信号を、第1台車11又は第2台車12が制御装置40に送信する。図5に示すように、本実施形態では、制御装置40と第1台車11とが、第2台車12を介して通信(ここでは、無線通信)を行うように構成されている。このような構成とは異なり、制御装置40と第1台車11とが直接(すなわち、第2台車12を介さずに)通信を行う構成とすることもできる。
【0036】
制御装置40は、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に、第1制御と第2制御とを実行する。ここで、図4に示すように、異常が発生した保管部91を異常発生保管部91Aとし、異常発生保管部91Aが存在する保管層90を異常発生保管層90Aとし、異常発生保管層90Aに対して上側Z1に隣接する保管層90を上側隣接保管層90Bとし、上側隣接保管層90Bにおける異常発生保管部91Aの真上に位置する保管部91を真上保管部91Bとする。また、異常発生保管層90Aに対して下側Z2に隣接する保管層90を下側隣接保管層90Cとし、下側隣接保管層90Cにおける異常発生保管部91Aの真下に位置する保管部91を真下保管部91Cとする。なお、図4では、物品Wを省略する等、保管層90を簡略化して示している。また、図4では、第1台車11や第2台車12の許容される動作を「○」で示すと共に、第1台車11や第2台車12の禁止される動作を「×」で示している。
【0037】
第1制御は、異常発生保管層90Aにおいて第1台車11及び第2台車12の双方の走行を停止させる制御であり、第2制御は、真上保管部91Bへの第1台車11の進入を禁止する制御である。保管部91(ここでは、真上保管部91B)への第1台車11の進入の禁止に伴い、当該保管部91における第1台車11の走行は基本的に禁止される。いずれかの保管部91で異常が発生した場合に、制御装置40がこのような第1制御及び第2制御を実行するため、異常発生保管層90Aでは、保管層90の全域で物品Wの搬送が停止され、上側隣接保管層90Bでは、真上保管部91Bに対する物品Wの搬出入が停止される(図4参照)。
【0038】
制御装置40は、上側隣接保管層90Bにおける第2台車12の走行と、上側隣接保管層90Bにおける第2制御の対象とならない保管部91への第1台車11の進入と、を許容しつつ、第2制御を実行する。制御装置40は、第2制御の対象とならない保管部91における第1台車11の走行を許容することで、当該保管部91への第1台車11の進入を許容する。よって、いずれかの保管部91で異常が発生した場合であっても、上側隣接保管層90Bにおいて、第2制御の対象とならない保管部91に対する物品Wの搬出入を、第1台車11と第2台車12とを用いて行うことができる。本実施形態では、作業者用通路82と、当該作業者用通路82に対して上側Z1に形成される第2台車12の走行経路との間には、上述した通路形成部材80が配置されている(図2参照)。そのため、上側隣接保管層90Bにおける第2台車12の走行を許容しても、異常発生保管層90Aに形成された作業者用通路82を移動する作業者の安全性を適切に確保しやすい。
【0039】
第2制御では、上側隣接保管層90Bに設けられた複数の保管部91のうちの少なくとも真上保管部91Bへの第1台車11の進入を禁止する。第2制御において、上側隣接保管層90Bに設けられた複数の保管部91のうちの真上保管部91Bのみへの第1台車11の進入を禁止する場合には、第2制御の対象となる保管部91は、真上保管部91Bのみとなる。一方、第2制御において、上側隣接保管層90Bに設けられた複数の保管部91のうちの真上保管部91B以外の保管部91への第1台車11の進入も禁止する場合には、第2制御の対象となる保管部91は、真上保管部91Bを含む複数の保管部91となる。例えば、制御装置40が、第2制御では、上側隣接保管層90Bにおける真上保管部91Bに対して第2方向Yの両側に隣接する保管部91への第1台車11の進入も禁止する構成とすることができる。この場合、第2制御の対象となる保管部91は、真上保管部91Bと真上保管部91Bに対して第2方向Yの両側に隣接する保管部91との合計で3つの保管部91となる。
【0040】
なお、いずれかの保管部91で異常が発生した時点で、第2制御の対象となる保管部91に第1台車11が存在する場合には、制御装置40が、当該第1台車11を第2制御の対象となる保管部91から退出させてから、第2制御を開始する構成とすることもできる。この構成は、例えば、複数段の保管層90のそれぞれに第1台車11が1台ずつ配置される場合に好適である。
【0041】
本実施形態では、制御装置40は、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に、更に第3制御も実行する。第3制御は、真下保管部91Cへの第1台車11の進入を禁止する制御である。いずれかの保管部91で異常が発生した場合に、制御装置40がこのような第3制御を実行するため、下側隣接保管層90Cでは、真下保管部91Cに対する物品Wの搬出入が停止される(図4参照)。
【0042】
制御装置40は、下側隣接保管層90Cにおける第2台車12の走行と、下側隣接保管層90Cにおける第3制御の対象とならない保管部91への第1台車11の進入と、を許容しつつ、第3制御を実行する。制御装置40は、第3制御の対象とならない保管部91における第1台車11の走行を許容することで、当該保管部91への第1台車11の進入を許容する。よって、いずれかの保管部91で異常が発生した場合であっても、下側隣接保管層90Cにおいて、第3制御の対象とならない保管部91に対する物品Wの搬出入を、第1台車11と第2台車12とを用いて行うことができる。
【0043】
第3制御では、下側隣接保管層90Cに設けられた複数の保管部91のうちの少なくとも真下保管部91Cへの第1台車11の進入を禁止する。第3制御において、下側隣接保管層90Cに設けられた複数の保管部91のうちの真下保管部91Cのみへの第1台車11の進入を禁止する場合には、第3制御の対象となる保管部91は、真下保管部91Cのみとなる。一方、第3制御において、下側隣接保管層90Cに設けられた複数の保管部91のうちの真下保管部91C以外の保管部91への第1台車11の進入も禁止する場合には、第3制御の対象となる保管部91は、真下保管部91Cを含む複数の保管部91となる。例えば、制御装置40が、第3制御では、下側隣接保管層90Cにおける真下保管部91Cに対して第2方向Yの両側に隣接する保管部91への第1台車11の進入も禁止する構成とすることができる。この場合、第3制御の対象となる保管部91は、真下保管部91Cと真下保管部91Cに対して第2方向Yの両側に隣接する保管部91との合計で3つの保管部91となる。
【0044】
なお、いずれかの保管部91で異常が発生した時点で、第3制御の対象となる保管部91に第1台車11が存在する場合には、制御装置40が、当該第1台車11を第3制御の対象となる保管部91から退出させてから、第3制御を開始する構成とすることもできる。この構成は、例えば、複数段の保管層90のそれぞれに第1台車11が1台ずつ配置される場合に好適である。
【0045】
本実施形態では、制御装置40は、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に第1制御を開始し、その後、異常発生保管層90Aへの進入のための作業者の動作が検知された場合に第2制御(本実施形態では、第2制御及び第3制御)を開始する。具体的には、図6に示すように、制御装置40は、いずれかの保管部91で異常が発生すると(ステップ#01:Yes)、第1制御を開始する(ステップ#02)。その後、制御装置40は、異常発生保管層90Aへの進入のための作業者の動作が検知されると(ステップ#03:Yes)、第2制御(本実施形態では、第2制御及び第3制御)を開始する(ステップ#04)。
【0046】
本実施形態では、図5に示すように、保管層90への進入(例えば、図1に示す足場81からの進入)のための作業者の動作を検出する検出装置41が、複数段の保管層90のそれぞれに設けられている。制御装置40は、異常発生保管層90Aに設けられた検出装置41の検出情報に基づき、異常発生保管層90Aへの進入のための作業者の動作が行われたか否かを判定する。保管層90への進入のための作業者の動作は、作業者の保管層90への移動動作と、当該移動動作の前に行われる作業者の事前動作との、双方を含む概念である。事前動作は、例えば、保管層90への進入口に設けられた扉を開くための作業者の動作(扉の開き動作や、扉を開くためのスイッチを操作する動作等)とされる。
【0047】
以上のように、本実施形態では、制御装置40は、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に、第1制御、第2制御、及び第3制御を実行するが、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に、制御装置40がこれら以外の制御(例えば、以下に述べる第4制御及び第5制御の少なくとも一方)を実行する構成とすることもできる。第4制御は、上側隣接保管層90Bに対して上側Z1に隣接する保管層90における、真上保管部91Bの真上に位置する保管部91への、第1台車11の進入を禁止する制御である。また、第5制御は、下側隣接保管層90Cに対して下側Z2に隣接する保管層90における、真下保管部91Cの真下に位置する保管部91への、第1台車11の進入を禁止する制御である。
【0048】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、制御装置40が、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に第1制御を開始し、その後、異常発生保管層90Aへの進入のための作業者の動作が検知された場合に第2制御(上記の実施形態では、第2制御及び第3制御)を開始する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、制御装置40が、第1制御を開始してから設定時間の経過後に第2制御(或いは、第2制御及び第3制御、以下同様)を開始する構成とすることや、制御装置40が、第1制御と同時に第2制御を開始する構成とすることもできる。また、制御装置40が、いずれかの保管部91で異常が発生した後、異常発生保管層90Aへの進入のための作業者の動作が検知された場合に、第1制御を開始し、それと当時或いはそれから設定時間の経過後に、第2制御を開始する構成とすることもできる。
【0049】
(2)上記の実施形態では、制御装置40が、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に、第1制御及び第2制御に加えて、更に第3制御も実行する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、制御装置40が、いずれかの保管部91で異常が発生した場合に、第3制御を実行しない構成(例えば、第1制御及び第2制御のみを実行する構成)とすることもできる。
【0050】
(3)上記の実施形態では、保管部91において物品Wを載置する載置面22が、第1レール20に形成される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、載置面22が、支柱1に支持される他の部材(例えば、載置面22を形成するための専用の部材)に形成される構成とすることもできる。
【0051】
(4)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0052】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した保管設備の概要について説明する。
【0053】
上下方向に複数段の保管層が設けられ、複数段の前記保管層のそれぞれに、水平面に沿う特定の方向である第1方向に物品を並べて保管可能な保管部が、上下方向視で前記第1方向に交差する方向である第2方向に複数列設けられた保管設備であって、前記第1方向に沿って走行して前記保管部において前記物品を搬送する第1台車と、前記第1台車を搭載可能であって、前記保管部の外部において前記第2方向に沿って走行する第2台車と、前記第1台車及び前記第2台車の走行を制御する制御装置と、を備え、複数段の前記保管層のそれぞれに、複数列の前記保管部のそれぞれに対応して設けられて前記第1台車が走行する第1レールと、前記第2台車が走行する第2レールと、が設けられ、前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、第1制御と第2制御とを実行し、異常が発生した前記保管部を異常発生保管部とし、前記異常発生保管部が存在する前記保管層を異常発生保管層とし、前記異常発生保管層に対して上側に隣接する前記保管層を上側隣接保管層とし、前記上側隣接保管層における前記異常発生保管部の真上に位置する前記保管部を真上保管部として、前記第1制御は、前記異常発生保管層において前記第1台車及び前記第2台車の双方の走行を停止させる制御であり、前記第2制御は、前記真上保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御である。
【0054】
本構成によれば、いずれかの保管部で異常が発生した場合には第1制御が実行され、異常が発生した保管部(異常発生保管部)が存在する保管層(異常発生保管層)において第1台車及び第2台車の双方の走行が停止される。よって、異常発生保管層を異常発生保管部に向かって移動して異常発生保管部において異常対応作業を行う作業者の安全性を、適切に確保することができる。そして、本構成によれば、いずれかの保管部で異常が発生した場合には第1制御に加えて第2制御が実行され、異常発生保管層に対して上側に隣接する保管層(上側隣接保管層)における異常発生保管部の真上に位置する保管部(真上保管部)への第1台車の進入が禁止される。このように上側隣接保管層において異常発生保管部と比較的近い位置に配置される真上保管部への第1台車の進入を禁止することで、異常発生保管部において異常対応作業を行う作業者と上側隣接保管層に存在する第1台車との接触を回避して、作業者の安全性を適切に確保することができる。一方で、上側隣接保管層における異常発生保管部と比較的離れた領域では保管部への第1台車の進入が禁止されないようにすることで、上側隣接保管層において物品の搬送が停止される領域を上側隣接保管層の一部に限定して、第2制御を実行することによる保管設備の稼働効率の低下を抑制することができる。
【0055】
以上のように、本構成によれば、いずれかの保管部で異常が発生した場合の保管設備の稼働効率の低下を、より効果的に抑制することが可能となっている。
【0056】
ここで、前記第2制御では、前記上側隣接保管層における前記真上保管部に対して前記第2方向の両側に隣接する前記保管部への前記第1台車の進入も禁止すると好適である。
【0057】
本構成によれば、上側隣接保管層における真上保管部に対して第2方向の両側に隣接する保管部が、異常発生保管部と比較的近い位置に配置される場合であっても、異常発生保管部において異常対応作業を行う作業者と上側隣接保管層に存在する第1台車との接触を回避して、作業者の安全性を適切に確保することができる。
【0058】
また、前記制御装置は、前記上側隣接保管層における前記第2台車の走行と、前記上側隣接保管層における前記第2制御の対象とならない前記保管部への前記第1台車の進入と、を許容しつつ、前記第2制御を実行すると好適である。
【0059】
本構成によれば、第2制御の実行中であっても、上側隣接保管層における第2制御の対象とならない保管部に対する物品の搬出入を、第1台車と第2台車とを用いて行うことができる。よって、保管設備の稼働効率の低下を抑制しつつ第2制御を実行することができる。
【0060】
また、前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、更に第3制御も実行し、前記異常発生保管層に対して下側に隣接する前記保管層を下側隣接保管層とし、前記下側隣接保管層における前記異常発生保管部の真下に位置する前記保管部を真下保管部として、前記第3制御は、前記真下保管部への前記第1台車の進入を禁止する制御であると好適である。
【0061】
本構成によれば、いずれかの保管部で異常が発生した場合には第1制御及び第2制御に加えて第3制御が実行され、異常発生保管層に対して下側に隣接する保管層(下側隣接保管層)における異常発生保管部の真下に位置する保管部(真下保管部)への第1台車の進入が禁止される。このように下側隣接保管層において異常発生保管部と比較的近い位置に配置される真下保管部への第1台車の進入を禁止することで、仮に作業者による異常対応作業時に異常発生保管部から何らかの物体(例えば、工具等)が下側隣接保管層に落下した場合でも、当該物体と下側隣接保管層に存在する第1台車とを接触させずに当該物体を回収可能となる等、下側隣接保管層で異常が発生することを回避しやすくなる。一方で、下側隣接保管層における異常発生保管部と比較的離れた領域では保管部への第1台車の進入が禁止されないようにすることで、下側隣接保管層において物品の搬送が停止される領域を下側隣接保管層の一部に限定して、第3制御を実行することによる保管設備の稼働効率の低下を抑制することができる。
【0062】
上記のように、前記制御装置が、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に、更に前記第3制御も実行する構成において、前記第3制御では、前記下側隣接保管層における前記真下保管部に対して前記第2方向の両側に隣接する前記保管部への前記第1台車の進入も禁止すると好適である。
【0063】
本構成によれば、下側隣接保管層における真下保管部に対して第2方向の両側に隣接する保管部が、異常発生保管部と比較的近い位置に配置される場合であっても、下側隣接保管層で異常が発生することを回避しやすくなる。
【0064】
上記の各構成の保管設備において、前記制御装置は、いずれかの前記保管部で異常が発生した場合に前記第1制御を開始し、その後、前記異常発生保管層への進入のための作業者の動作が検知された場合に前記第2制御を開始すると好適である。
【0065】
本構成によれば、いずれかの保管部で異常が発生した場合であっても、第2制御の開始を、異常発生保管層への進入のための作業者の動作が検知されるまで遅らせることができる。よって、作業者の上記動作が検知されるまでの間は、真上保管部に対する物品の搬出入を含む通常時の物品の搬送を、上側隣接保管層において継続して行うことができる。そして、作業者の上記動作が検知された場合に第2制御を開始することで、その後は真上保管部への第1台車の進入を禁止して、異常発生保管部において異常対応作業を行う作業者の安全性を適切に確保することができる。
【0066】
本開示に係る保管設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0067】
11:第1台車
12:第2台車
20:第1レール
30:第2レール
40:制御装置
90:保管層
90A:異常発生保管層
90B:上側隣接保管層
90C:下側隣接保管層
91:保管部
91A:異常発生保管部
91B:真上保管部
91C:真下保管部
100:保管設備
W:物品
X:第1方向
Y:第2方向
Z:上下方向
Z1:上側
Z2:下側
図1
図2
図3
図4
図5
図6