IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-搬送システム 図1
  • 特許-搬送システム 図2
  • 特許-搬送システム 図3
  • 特許-搬送システム 図4
  • 特許-搬送システム 図5
  • 特許-搬送システム 図6
  • 特許-搬送システム 図7
  • 特許-搬送システム 図8
  • 特許-搬送システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/693 20240101AFI20241204BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241204BHJP
   G05D 1/225 20240101ALI20241204BHJP
【FI】
G05D1/693
G05D1/43
G05D1/225
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023549406
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 JP2022030531
(87)【国際公開番号】W WO2023047829
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2021153755
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】北村 亘
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-268895(JP,A)
【文献】特開2010-67028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のタイヤを備えており、前記タイヤを経路に接触させて走行することで物品を搬送する複数の搬送車と、
前記搬送車の走行を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、連続停止時間が閾値を超えた前記搬送車に対して待機位置を設定し、別の前記搬送車が前記待機位置に位置しないように少なくとも当該待機位置をブロックし、前記搬送車を前記待機位置まで走行させることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記制御装置は、前記搬送車が前記待機位置に到達した後に再び連続停止時間をカウントし、連続停止時間が閾値を超えた場合は、現在の前記待機位置とは別の前記待機位置まで前記搬送車を走行させることを特徴とする搬送システム。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記制御装置は、予め登録された前記待機位置の複数の候補から1つの前記待機位置を選択し、選択した前記待機位置を、連続停止時間が閾値を超えた前記搬送車に対して設定することを特徴とする搬送システム。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送システムであって、
前記待機位置の候補の少なくとも1つは、複数の前記搬送車で共通であることを特徴とする搬送システム。
【請求項5】
請求項3に記載の搬送システムであって、
前記待機位置の候補には優先度が設定されており、
前記制御装置が前記待機位置を選択する基準として、前記優先度が含まれることを特徴とする搬送システム。
【請求項6】
請求項3に記載の搬送システムであって、
前記制御装置は、前記搬送車が停止している位置から複数の前記待機位置のそれぞれに到達するまでの移動コストを算出し、
前記制御装置が前記待機位置を選択する基準として、前記待機位置に到達するまでの移動コストが含まれることを特徴とする搬送システム。
【請求項7】
請求項3に記載の搬送システムであって、
前記制御装置は、前記搬送車が停止している位置から前記待機位置に到達するまでに他の前記搬送車を移動させる回数を算出し、
前記制御装置は、連続停止時間が閾値を超えた前記搬送車を前記待機位置の候補に到達させるために他の前記搬送車を移動させる回数に基づいて、前記待機位置を選択することを特徴とする搬送システム。
【請求項8】
請求項3に記載の搬送システムであって、
前記搬送車は充電式のバッテリーを有しており、
前記待機位置の候補には、前記搬送車の前記バッテリーを充電可能な充電装置が設けられた充電位置が含まれることを特徴とする搬送システム。
【請求項9】
請求項3に記載の搬送システムであって、
前記待機位置の候補には、複数の前記搬送車の走行履歴に基づいて決定した位置が含まれることを特徴とする搬送システム。
【請求項10】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記制御装置は、前記搬送車の連続停止時間が閾値を超えた場合、第1待機位置と、当該第1待機位置とは異なる位置である第2待機位置と、をブロックして、前記搬送車を前記第1待機位置又は前記第2待機位置まで走行させ、
前記制御装置は、前記搬送車の連続停止時間が閾値を超える度に、前記第1待機位置と前記第2待機位置の間で前記搬送車の位置を切り替えることを特徴とする搬送システム。
【請求項11】
請求項10に記載の搬送システムであって、
前記第1待機位置と前記第2待機位置が前記経路の同一直線上に位置していることを特徴とする搬送システム。
【請求項12】
請求項11に記載の搬送システムであって、
第1方向に沿って前記経路が配置されるとともに、当該第1方向に直交する第2方向に沿って前記経路が配置され、
前記制御装置は、連続停止時間が閾値を超えた場合、前記搬送車の現在位置を前記第1待機位置とし、前記第1待機位置に対して前記第1方向又は前記第2方向で隣接する位置が利用可能であれば、当該隣接する位置を第2待機位置として設定することを特徴とする搬送システム。
【請求項13】
請求項10に記載の搬送システムであって、
前記経路には、前記搬送車を待機させるための待機領域が含まれており、
前記第1待機位置と前記第2待機位置の少なくとも一方が前記待機領域に含まれることを特徴とする搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、搬送車により物品を搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、搬送車の樹脂製のタイヤの変形を防止するタイヤ変形防止装置を開示する。搬送車は、駆動装置に指令を出力する車載コントローラを備える。車載コントローラは、タイマーを有しており、予め設定された所定時間が経過した場合、駆動装置に指令を出力する。駆動装置は、指令を受けた場合、タイヤを前進方向又は後進方向に1/4回転させる。これにより、タイヤの特定の箇所にのみ荷重が働くことを防止できるので、タイヤの変形を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-268895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、搬送車が1台の状況は開示されているが、搬送車が複数台の状況は開示されていない。搬送車が複数台ある場合は、搬送車が1台の場合とは異なる制御が必要となる。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、複数台の搬送車が物品を搬送する搬送システムにおいて、搬送車のタイヤの変形を抑制するための構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成の搬送システムが提供される。即ち、搬送システムは、複数の搬送車と、制御装置と、を備える。前記搬送車は、樹脂製のタイヤを備えており、前記タイヤを経路に接触させて走行することで物品を搬送する。前記制御装置は、前記搬送車の走行を制御する。前記制御装置は、連続停止時間が閾値を超えた前記搬送車に対して待機位置を設定し、別の前記搬送車が前記待機位置に位置しないように少なくとも当該待機位置をブロックし、前記搬送車を前記待機位置まで走行させる。
【0008】
これにより、搬送車が長時間連続して停止しないため、搬送車のタイヤの変形を抑制できる。また、待機位置をブロックすることにより、設定した待機位置までスムーズに搬送車を移動させることができる。
【0009】
前記の搬送システムにおいては、前記制御装置は、前記搬送車が前記待機位置に到達した後に再び連続停止時間をカウントし、連続停止時間が閾値を超えた場合は、現在の前記待機位置とは別の前記待機位置まで前記搬送車を走行させることが好ましい。
【0010】
これにより、搬送車が待機位置に到達した後においても、搬送車が長時間停止することを抑制できる。
【0011】
前記の搬送システムにおいては、前記制御装置は、予め登録された前記待機位置の複数の候補から1つの前記待機位置を選択し、選択した前記待機位置を、連続停止時間が閾値を超えた前記搬送車に対して設定することが好ましい。
【0012】
これにより、待機位置の候補を予め登録しておくことにより、待機位置を設定する処理を容易に行うことができる。
【0013】
前記の搬送システムにおいては、前記待機位置の候補の少なくとも1つは、複数の前記搬送車で共通であることが好ましい。
【0014】
これにより、待機位置の候補の管理が容易になる。また、搬送車の位置に関係なく適切な位置を待機位置の候補にすることができる。
【0015】
前記の搬送システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記待機位置の候補には優先度が設定されている。前記制御装置が前記待機位置を選択する基準として、前記優先度が含まれる。
【0016】
これにより、簡単な処理で待機位置を選択できる。
【0017】
前記の搬送システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御装置は、前記搬送車が停止している位置から複数の前記待機位置のそれぞれに到達するまでの移動コストを算出し、前記制御装置が前記待機位置を選択する基準として、前記待機位置に到達するまでの移動コストが含まれる。
【0018】
これにより、搬送車が消費するエネルギー又は移動に要する時間を考慮して待機位置を選択できる。
【0019】
前記の搬送システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御装置は、前記搬送車が停止している位置から前記待機位置に到達するまでに他の前記搬送車を移動させる回数を算出する。前記制御装置は、連続停止時間が閾値を超えた前記搬送車を前記待機位置の候補に到達させるために他の前記搬送車を移動させる回数に基づいて、前記待機位置を選択する。
【0020】
これにより、他の搬送車が消費するエネルギー又は移動に要する時間を考慮して待機位置を選択できる。
【0021】
前記の搬送システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記搬送車は充電式のバッテリーを有している。前記待機位置の候補には、前記搬送車の前記バッテリーを充電可能な充電装置が設けられた充電位置が含まれる。
【0022】
これにより、充電位置が待機位置として選択される場合に、待機時間を利用してバッテリーを充電できる。
【0023】
前記の搬送システムにおいては、前記待機位置の候補には、複数の前記搬送車の走行履歴に基づいて決定した位置が含まれることが好ましい。
【0024】
これにより、現在又は過去の搬送システムの状況に応じた待機位置を設定できる。
【0025】
前記の搬送システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御装置は、前記搬送車の連続停止時間が閾値を超えた場合、第1待機位置と、当該第1待機位置とは異なる位置である第2待機位置と、をブロックして、前記搬送車を前記第1待機位置又は前記第2待機位置まで走行させる。前記制御装置は、前記搬送車の連続停止時間が閾値を超える度に、前記第1待機位置と前記第2待機位置の間で前記搬送車の位置を切り替える。
【0026】
これにより、第1待機位置と第2待機位置を設定した後は待機位置を探索する必要がないため、制御装置の演算負荷を低減できる。
【0027】
前記の搬送システムにおいては、前記第1待機位置と前記第2待機位置が前記経路の同一直線上に位置していることが好ましい。
【0028】
これにより、搬送車を直線走行させるだけで、第1待機位置と第2待機位置の間で搬送車の位置を切り替えることができる。
【0029】
前記の搬送システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、第1方向に沿って前記経路が配置されるとともに、当該第1方向に直交する第2方向に沿って前記経路が配置される。前記制御装置は、連続停止時間が閾値を超えた場合、前記搬送車の現在位置を前記第1待機位置とし、前記第1待機位置に対して前記第1方向又は前記第2方向で隣接する位置が利用可能であれば、当該隣接する位置を第2待機位置として設定する。
【0030】
これにより、第1待機位置と第2待機位置を隣接させることができるので、連続停止時間が閾値を超えた場合の搬送車の移動量を短くすることができる。
【0031】
前記の搬送システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記経路には、前記搬送車を待機させるための待機領域が含まれている。前記第1待機位置と前記第2待機位置の少なくとも一方が前記待機領域に含まれる。
【0032】
これにより、搬送車が待機領域で待機している間において、他の搬送車による物品の搬送の邪魔となることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1実施形態の搬送システムの概略的な構成を示す図。
図2】第1実施形態の搬送システムのブロック図。
図3】タイヤの変形を抑制するために待機位置を選択して搬送車を移動させる処理を示すフローチャート。
図4】予め登録された待機位置の候補を示す表。
図5】第2実施形態の搬送システムの概略的な構成を示す図。
図6】第2実施形態の搬送システムのブロック図。
図7】タイヤの変形を抑制するために2つの待機位置の間で搬送車を移動させる処理を示すフローチャート。
図8】搬送車Aを前後方向に隣接する待機位置で移動させる状況を示す図。
図9】搬送車A,Bを待機領域で待機させる状況を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0035】
図1に示す搬送システム1は、複数の処理設備2を有する半導体製造工場又は倉庫等の施設に設けられる。半導体製造工場に設けられる処理設備2は、例えば半導体デバイスを製造するための処理を行う設備、又は、半導体ウエハを保管する処理を行う設備である。また、倉庫に設けられる処理設備2は、物品を保管する処理を行う設備である。
【0036】
図2に示すように、搬送システム1は、複数の搬送車10と、管理制御装置(制御装置)20と、を備える。
【0037】
本実施形態の搬送車10は、AGV(Automated Guided Vehicle)であり、経路30に沿って無人で走行可能である。搬送車10は、物品を載置又は保持する機構を有している。搬送車10は、外部の搬送装置から物品を受け取り、経路30に沿って走行して処理設備2に物品を受け渡す。図2に示すように、搬送車10は、通信装置11と、駆動制御装置12と、モータ13と、バッテリー14と、タイヤ15と、を備える。
【0038】
通信装置11は、外部と無線通信を行うための無線通信モジュールである。通信装置11は、管理制御装置20と通信を行うことができる。駆動制御装置12は、CPU等の演算装置と、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等の記憶装置と、を有するコンピュータである。駆動制御装置12は、記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、搬送車10に関する様々な制御を実行可能である。駆動制御装置12は、例えば管理制御装置20から受信した指令に基づいてモータ13を動作させる。モータ13は、バッテリー14に蓄えられた電力を用いて、搬送車10を走行させるための駆動力を発生する。モータ13が発生させた駆動力は、伝達機構を介してタイヤ15に伝達される。これにより、搬送車10が走行する。タイヤ15は樹脂製であり、例えばウレタン製である。
【0039】
経路30は、例えば床面に貼り付けられた磁気テープ等の誘導用テープ又はバーコードの識別タグ等である。搬送車10は、誘導用テープ又は識別タグ等を検知することにより、経路30に沿って走行する。これに代えて、経路30は、搬送車10のタイヤ15をガイドするガイド部材であってもよい。
【0040】
管理制御装置20は、CPU等の演算装置と、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等の記憶装置と、無線通信モジュールと、を有するコンピュータである。管理制御装置20は、複数の搬送車10を制御する。具体的には、管理制御装置20は、搬送車10と直接又は間接的に通信を行うことにより、搬送車10の位置及び搬送車10の作業状況を取得する。管理制御装置20は、物品の搬送が必要となった場合に、搬送車10を割り当てて該当の位置まで搬送車10を走行させて、物品を搬送させる。
【0041】
上述したようにタイヤ15は樹脂製であるため、荷重を受けることにより変形し易い。例えば、搬送車10が停止している場合、搬送車10の重さがタイヤ15の同一箇所(路面等と接触する箇所)に掛かる。従って、搬送車10が長時間停止し続けた場合、タイヤ15の一部のみが大きく変形する可能性がある。その結果、タイヤ15を1回転させた際の移動距離が通常時とは異なるため、搬送車10の位置制御を適切に行うことができない。そのため、タイヤ15の変形が元に戻るまで搬送車10を待機させる必要がある。その結果、搬送車10の稼動率が低下する。
【0042】
この事態を回避するために、管理制御装置20は、タイヤ15の変形を抑制するための処理を行う。以下、図3及び図4を参照して、この処理について説明する。
【0043】
初めに、管理制御装置20は、停止中の搬送車10が存在するか否かを判定する(S101)。上述したように管理制御装置20は複数の搬送車10を一括して管理しているため、その管理に基づいて、停止中の搬送車10が存在するか否かを判定できる。管理制御装置20は、搬送車10の走行に関する記録に基づいて、この判定を行ってもよい。あるいは、管理制御装置20は、作業が割り当てられていない搬送車10を停止中と推定してもよい。
【0044】
次に、管理制御装置20は、停止中の搬送車10について、連続停止時間をカウントする(S102)。連続停止時間とは、搬送車10が連続して停止している時間である。管理制御装置20は、搬送車10が停止しているか否かを判定可能であるため、搬送車10の連続停止時間についても同様の手段を用いて判定可能である。また、搬送車10が走行した場合、管理制御装置20は、連続停止時間のカウントをリセットする。
【0045】
次に、管理制御装置20は、連続停止時間が閾値を超えたか否かを判定する(S103)。連続停止時間が長くなるにつれて、タイヤ15の変形量が大きくなる。閾値は、タイヤ15の変形量が許容範囲を超える時間に基づいて定められる。許容範囲とは、搬送車10の走行を適切に行うことができる程度のタイヤ15の変形量である。閾値を定める方法は様々であるが、例えば実験を行って閾値を定めたり、経験的に得られた情報に基づいて閾値を定めたり、シミュレーションを行って閾値を定めたりすることができる。
【0046】
管理制御装置20は、連続停止時間が閾値を超えたと判定した場合、該当の搬送車10の次の待機位置を候補から選択する(S104)。待機位置とは、作業の割当てがあるまで搬送車10を停止させる位置である。待機位置を変更することにより、タイヤ15と路面等との接触箇所が変化するため、タイヤ15の同一箇所の変形を抑制できる。
【0047】
図4には、待機位置の候補を示す表が示されている。具体的には、待機位置のメイン候補と、待機位置のサブ候補と、が示されている。管理制御装置20は、初めにメイン候補の中から待機位置を選択する。メイン候補の全ての待機位置に他の搬送車10が待機している場合、管理制御装置20は、サブ候補の中から待機位置を選択する。待機位置のメイン候補及びサブ候補は、予め登録されて管理制御装置20等に記憶されている。予めとは、搬送システム1を用いた作業を開始する前、又は、待機位置を選択する処理(S104)を開始する前である。待機位置のメイン候補及びサブ候補は、複数の搬送車10で共通である。複数の搬送車10で共通の待機位置の候補に代えて又は加えて、それぞれの搬送車10に個別の待機位置が登録されていてもよい。
【0048】
ここで、経路30には、搬送車10を待機させるための停車位置が設けられていることがある。停車位置は、他の搬送車10が物品を搬送する際に邪魔にならない位置であり、かつ、処理設備2等にも近い位置である。本実施形態では、停車位置が待機位置のメイン候補として登録されている。具体的には停車位置のID、位置、及び優先度が管理制御装置20の記憶装置に登録されている。
【0049】
本実施形態では、待機位置のメイン候補の優先度は3段階であるが、2段階であってもよいし、4段階以上であってもよい。何れの場合でも、優先度が同一のメイン候補が存在することがある。管理制御装置20は、最も優先度が高く、かつ、他の搬送車10が位置していないメイン候補が複数ある場合、以下の第1判定基準及び第2判定基準の少なくとも一方を用いて、メイン候補を選択する。
【0050】
第1判定基準は移動コストに関する判定基準である。移動コストは、経路探索を行う際に一般的に用いられるパラメータである。移動距離が長くなるにつれて移動コストが大きくなる。また、通過することが好ましくない経路が存在する場合は、この経路を通過する移動コストは、他の経路を通過する移動コストより大きくなる。また、旋回を行う回数に応じて移動コストを大きくしてもよい。第1判定基準を用いる場合、管理制御装置20は、搬送車10が停止している位置からメイン候補の待機位置に到達するまでの移動コストが最も小さいメイン候補を選択する。
【0051】
第2判定基準は、他の搬送車10への影響に関する判定基準である。例えば該当の搬送車10を現在位置から待機位置まで走行させる経路上に他の搬送車10が位置している場合、他の搬送車10を経路上から退避させる必要がある。他の搬送車10を退避させることにより稼動率が低下するため、他の搬送車を退避させる回数は可能な限り少ない方が好ましい。第2判定基準を用いる場合、管理制御装置20は、搬送車10が停止している位置からメイン候補に到達するまでに他の搬送車10を退避させる回数を算出し、この回数が最も少ないメイン候補を選択する。
【0052】
第1判定基準と第2判定基準は、何れを優先してもよい。例えば、第1判定基準を優先する場合、初めに第1判定基準で優先度が同じメイン候補を比較して、移動コストが最も少ないメイン候補を特定する。移動コストが最も少ないメイン候補が1つである場合は、そのメイン候補を待機位置として選択する。移動コストが最も少ないメイン候補が複数ある場合、これらのメイン候補に対して第2判定基準を用いて、他の搬送車10を退避させる回数が最も少ないメイン候補を待機位置として選択する。
【0053】
なお、メイン候補に対する優先度の登録を省略してもよい。この場合、第1判定基準と第2判定基準を用いて、メイン候補の一覧から1つの待機位置を選択する。
【0054】
上述したように、全てのメイン候補の待機位置に他の搬送車10が待機している場合、管理制御装置20は、サブ候補の中から待機位置を選択する。図4に示すように、サブ候補は、例えば充電位置、搬送発生位置、通過低頻度位置がある。
【0055】
充電位置は、搬送車10のバッテリー14を充電するための充電ステーションである。搬送車10を充電位置で待機させることにより、バッテリー14を充電しながら待機できる。搬送発生位置は、物品を搬送する作業が発生する可能性が高い位置である。搬送発生位置は、例えば、稼動率が高い処理設備2の近くである。搬送車10を搬送発生位置で待機させることにより、物品の搬送が発生してから搬送車10が到達するまでの時間を短くできるとともに、別の位置で待機させる場合と比較して搬送車10の移動距離を短くできる。通過低頻度位置は、搬送車10が通過する頻度が低い位置である。搬送車10を通過低頻度位置で待機させることにより、他の搬送車10の走行を邪魔する確率が低くなる。
【0056】
搬送発生位置及び通過低頻度位置は、全ての搬送車10に対する過去の走行履歴に基づいて算出可能である。管理制御装置20は、例えば搬送システム1の運用前に搬送発生位置及び通過低頻度位置を算出する。なお、管理制御装置20は、適宜のタイミングで新たな走行履歴を考慮した搬送発生位置及び通過低頻度位置を算出して更新してもよい。
【0057】
以上により、管理制御装置20は、次の待機位置を選択する。次に、管理制御装置20は、選択した待機位置をブロックする(S105)。ブロックとは、他の搬送車10が走行及び停止できないように設定を行うことである。選択した待機位置をブロックすることにより、選択した待機位置に他の搬送車10が位置することがなくなる。
【0058】
次に、管理制御装置20は、搬送車10を待機位置まで走行させる(S106)。管理制御装置20は、搬送車10が他の搬送車10と衝突しないように、搬送車10が走行する経路30を順次ブロックする。なお、管理制御装置20は、搬送車10を現在位置から待機位置まで走行させる際に、現在位置から待機位置までの全体の経路をブロックしてもよい。
【0059】
以上の処理を行うことにより、連続停止時間が閾値を超えた搬送車10を別の待機位置に移動させることができる。これにより、タイヤ15と路面等との接触箇所が変わるので、タイヤ15の変形を抑制できる。更に、次の待機位置のブロックを行うことにより、次の待機位置に別の搬送車10が位置することもない。その後、再び管理制御装置20は、再びステップS101の処理を行う。つまり、待機位置に移動した搬送車10の連続停止時間が閾値を再び超えた場合、管理制御装置20は、この搬送車10を次の待機位置へ走行させる。
【0060】
次に、第2実施形態の搬送システム1について説明する。以後の説明においては、第1実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0061】
第2実施形態の搬送システム1は、図5に示すように、格子状の経路30を有している。格子状とは、第1方向(図5の上下方向)と、第1方向に直交する第2方向(図5の左右方向)と、に沿って経路30が配置されていることである。第2実施形態では、第1方向と第2方向の経路30が交差する矩形の領域を1単位として、搬送車10の位置を管理する。図5に示す例では、搬送車Aに隣接する矩形の領域に搬送車Bが位置している。また、経路30が格子状であるため、第2実施形態の搬送車10は、旋回機能を有している。具体的には、搬送車10は、位置を変えずに向きのみを変化させる旋回機能を有している。
【0062】
第2実施形態の搬送車10は、天井搬送車である。天井搬送車は、天井に吊るされたレール(経路30)に沿って無人で走行する車両である。図6に示すように、第2実施形態の搬送車10は、第1実施形態と同様、通信装置11と、駆動制御装置12と、モータ13と、タイヤ15と、を備える。天井搬送車にはレールを介して電力が供給されるため、バッテリー14は設けられていない。また、天井搬送車は、物品を吊下げて搬送する搬送部16を備える。
【0063】
以下、第2実施形態において、タイヤ15の変形を抑制するために管理制御装置20が行う処理について説明する。
【0064】
ステップS201、S202、S203の処理は、第1実施形態のステップS101、S102、S103と同じであるため、説明を省略する。管理制御装置20は、連続停止時間が閾値を超えた場合、搬送車10の前後方向に空位置があるか否かを判定する(S204)。前後方向の空位置とは、搬送車10を前方又は後方に走行させるだけで到達可能な領域のうち、他の搬送車10が位置していない領域を意味する。
【0065】
例えば図8に示す例において、搬送車Aの連続停止時間が閾値を超えた場合を考える。なお、図8において凸になっている方が搬送車Aの前方である。図8の状況1に示すように、搬送車Aの前方には搬送車Bが位置しているため、搬送車Aは前方に移動できない。搬送車Aの後方には他の搬送車は位置していないため、搬送車Aは後方に移動できる。つまり、図8に示す例では、前後方向の空位置が存在することになる。
【0066】
管理制御装置20は、前後方向の空位置が存在しない場合、左右方向の空位置が存在するか否かを判定する(S205)。左右方向の空位置に移動するためには、搬送車10を旋回させる必要がある。そのため、左右方向の空位置に移動するために必要な時間及び電力は、前後方向の空位置移動するために必要な時間及び電力よりも大きい。従って、本実施形態では管理制御装置20は初めに前後方向の空位置を探索し、前後方向の空位置が存在しない場合に左右方向の空位置を探索する。なお、前後方向と左右方向の空位置を同時に探索してもよい。
【0067】
前後方向又は左右方向の空位置が存在する場合、管理制御装置20は、現在の位置を第1待機位置と設定し、特定した空位置(前後方向の空位置又は左右方向の空位置)を第2待機位置と設定する(S206)。
【0068】
次に、管理制御装置20は、図8の状況2に示すように、第1待機位置と第2待機位置をブロックする(S207)。次に、管理制御装置20は、図8の状況3に示すように、搬送車10を第1待機位置から第2待機位置へ走行させる(S208)。これにより、タイヤ15と路面等との接触箇所が変わるので、タイヤ15の変形を抑制できる。また、管理制御装置20は、搬送車10が第2待機位置まで走行した後においても、第1待機位置及び第2待機位置のブロックを維持する。そして、管理制御装置20は、連続停止時間が閾値を経過する毎に第1待機位置と第2待機位置の間で搬送車10の位置を切り替える(S209)。
【0069】
これにより、2回目以降は、待機位置を探索する処理が不要になる。従って、簡単な処理でタイヤ15の変形を抑制できる。
【0070】
また、前後方向及び左右方向に空位置が無かった場合は、第1実施形態と同様の処理を行う。具体的には、管理制御装置20は、次の待機位置を候補から選択し(S210)、選択した待機位置をブロックし(S211)、選択した待機位置まで搬送車10を走行させる(S212)。
【0071】
第2実施形態では、連続停止時間が閾値を超えた時点での搬送車10の位置が第1待機位置となる。これに代えて、別の位置を第1待機位置としてもよい。例えば、前後方向又は左右方向にある第2待機位置が、連続停止時間が閾値を超えた時点での搬送車10の位置から遠い場合、第2待機位置の近傍(第2待機位置に対して前後方向又は左右方向にある空位置)を第1待機位置としてもよい。
【0072】
次に、図9を参照して、第2実施形態の変形例について説明する。
【0073】
変形例の経路30には、待機領域31が含まれる。待機領域31は、搬送車10を待機させるための領域であり、物品を搬送する搬送車10が走行しない領域である。待機領域31は、他の搬送車10の走行の邪魔にならないように、例えば第1方向又は第2方向の端に設けられた領域である。待機領域31は、予め登録された待機位置の候補として扱われる。即ち、第2実施形態において、前後方向及び左右方向に空位置が無かった場合、管理制御装置20は、ステップS210において、待機領域31に空位置があるか否かを判定する。そして、待機領域31に空位置があった場合、その空位置を次の待機位置に設定して、搬送車10を走行させる。
【0074】
なお、管理制御装置20は、初めに前後方向及び左右方向の空位置を探索する処理に代えて、初めに待機領域31の空位置を探索してもよい。また、管理制御装置20は、待機領域31に空位置が2つ以上ある場合は第1待機位置と第2待機位置が待機領域31に含まれるようにし、待機領域31の空位置が1つだけである場合は第1待機位置又は第2待機位置の一方が待機領域31に含まれるようにしてもよい。
【0075】
経路30に待機領域31が含まれる変形例は、第1実施形態に適用することもできる。例えば、通常の走行に用いる経路30に別の待機経路(バイパス経路)を設け、それを待機領域31として用いることができる。
【0076】
以上に説明したように、上記実施形態の搬送システム1は、複数の搬送車10と、管理制御装置20と、を備える。搬送車10は、樹脂製のタイヤ15を備えており、タイヤ15を経路30に接触させて走行することで物品を搬送する。管理制御装置20は、搬送車10の走行を制御する。管理制御装置20は、連続停止時間が閾値を超えた搬送車10に対して待機位置を設定し、別の搬送車10が待機位置に位置しないように少なくとも待機位置をブロックし、搬送車10を待機位置まで走行させる。
【0077】
これにより、搬送車10が長時間連続して停止しないため、搬送車10のタイヤ15の変形を抑制できる。また、他の待機位置をブロックすることにより、設定した待機位置までスムーズに搬送車10を移動させることができる。
【0078】
上記実施形態の搬送システム1において、管理制御装置20は、搬送車10が待機位置に到達した後に再び連続停止時間をカウントし、連続停止時間が閾値を超えた場合は、現在の待機位置とは別の待機位置まで搬送車10を走行させる。
【0079】
これにより、搬送車10が待機位置に到達した後においても、搬送車10が長時間停止することを抑制できる。
【0080】
上記実施形態の搬送システム1において、管理制御装置20は、予め登録された待機位置の複数の候補から1つの待機位置を選択し、選択した待機位置を、連続停止時間が閾値を超えた搬送車10に対して設定する。
【0081】
これにより、待機位置の候補を予め登録しておくことにより、待機位置を設定する処理を容易に行うことができる。
【0082】
上記実施形態の搬送システム1において、待機位置の候補の少なくとも1つは、複数の搬送車10で共通である。
【0083】
これにより、待機位置の候補の管理が容易になる。また、搬送車10の位置に関係なく適切な位置を待機位置の候補にすることができる。
【0084】
上記実施形態の搬送システム1において、待機位置の候補には優先度が設定されている。管理制御装置20が待機位置を選択する基準として、優先度が含まれる。
【0085】
これにより、簡単な処理で待機位置を選択できる。
【0086】
上記実施形態の搬送システム1において、管理制御装置20は、搬送車10が停止している位置から複数の待機位置のそれぞれに到達するまでの移動コストを算出し、管理制御装置20が待機位置を選択する基準として、待機位置に到達するまでの移動コストが含まれる。
【0087】
これにより、搬送車10が消費するエネルギー又は移動に要する時間を考慮して待機位置を選択できる。
【0088】
上記実施形態の搬送システム1において、管理制御装置20は、搬送車10が停止している位置から待機位置に到達するまでに他の搬送車10を移動させる回数を算出する。管理制御装置20は、連続停止時間が閾値を超えた搬送車10を待機位置の候補に到達させるために他の搬送車10を移動させる回数に基づいて、待機位置を選択する。
【0089】
これにより、他の搬送車10が消費するエネルギーを考慮して待機位置を選択できる。
【0090】
上記実施形態の搬送システム1において、搬送車10は充電式のバッテリー14を有している。待機位置の候補には、搬送車10のバッテリー14を充電可能な充電装置が設けられた充電位置が含まれる。
【0091】
これにより、充電位置が待機位置として選択される場合に、待機時間を利用してバッテリー14を充電できる。
【0092】
上記実施形態の搬送システム1において、待機位置の候補には、複数の搬送車10の走行履歴に基づいて決定した位置が含まれる。
【0093】
これにより、現在又は過去の搬送システム1の状況に応じた待機位置を設定できる。
【0094】
上記実施形態の搬送システム1において、管理制御装置20は、搬送車10の連続停止時間が閾値を超えた場合、第1待機位置と、第1待機位置とは異なる位置である第2待機位置と、をブロックして、搬送車10を第1待機位置又は第2待機位置まで走行させる。管理制御装置20は、搬送車10の連続停止時間が閾値を超える度に、第1待機位置と第2待機位置の間で搬送車10の搬送車10を切り替える。
【0095】
これにより、第1待機位置と第2待機位置を設定した後は待機位置を探索する必要がないため、管理制御装置20の演算負荷を低減できる。
【0096】
上記実施形態の搬送システム1において、第1待機位置と第2待機位置が経路30の同一直線上に位置している。
【0097】
これにより、搬送車を直線走行させるだけで、第1待機位置と第2待機位置の間で搬送車の位置を切り替えることができる。
【0098】
上記実施形態の搬送システム1において、第1方向に沿って経路30が配置されるとともに、第1方向に直交する第2方向に沿って経路30が配置される。管理制御装置20は、連続停止時間が閾値を超えた場合、搬送車10の現在位置を第1待機位置とし、第1待機位置に対して第1方向又は第2方向で隣接する位置が利用可能であれば、当該隣接する位置を第2待機位置として設定する。
【0099】
これにより、第1待機位置と第2待機位置を隣接させることができるので、連続停止時間が閾値を超えた場合の搬送車10の移動量を短くすることができる。
【0100】
上記実施形態の搬送システム1において、経路30には、搬送車10を待機させるための待機領域31が含まれている。第1待機位置と第2待機位置の少なくとも一方が待機領域31に含まれる。
【0101】
これにより、搬送車10が待機領域31で待機している間において、他の搬送車10による物品の搬送の邪魔となることを防止できる。
【0102】
本実施形態には以下の特徴1から特徴13が含まれる。
[特徴1]
樹脂製のタイヤを備えており、前記タイヤを経路に接触させて走行することで物品を搬送する複数の搬送車と、
前記搬送車の走行を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、連続停止時間が閾値を超えた前記搬送車に対して待機位置を設定し、別の前記搬送車が前記待機位置に位置しないように少なくとも当該待機位置をブロックし、前記搬送車を前記待機位置まで走行させることを特徴とする搬送システム。
[特徴2]
特徴1に記載の搬送システムであって、
前記制御装置は、前記搬送車が前記待機位置に到達した後に再び連続停止時間をカウントし、連続停止時間が閾値を超えた場合は、現在の前記待機位置とは別の前記待機位置まで前記搬送車を走行させることを特徴とする搬送システム。
[特徴3]
特徴1又は2に記載の搬送システムであって、
前記制御装置は、予め登録された前記待機位置の複数の候補から1つの前記待機位置を選択し、選択した前記待機位置を、連続停止時間が閾値を超えた前記搬送車に対して設定することを特徴とする搬送システム。
[特徴4]
特徴3に記載の搬送システムであって、
前記待機位置の候補の少なくとも1つは、複数の前記搬送車で共通であることを特徴とする搬送システム。
[特徴5]
特徴3又は4に記載の搬送システムであって、
前記待機位置の候補には優先度が設定されており、
前記制御装置が前記待機位置を選択する基準として、前記優先度が含まれることを特徴とする搬送システム。
[特徴6]
特徴3から5までの何れか一項に記載の搬送システムであって、
前記制御装置は、前記搬送車が停止している位置から複数の前記待機位置のそれぞれに到達するまでの移動コストを算出し、
前記制御装置が前記待機位置を選択する基準として、前記待機位置に到達するまでの移動コストが含まれることを特徴とする搬送システム。
[特徴7]
特徴3から6までの何れか一項に記載の搬送システムであって、
前記制御装置は、前記搬送車が停止している位置から前記待機位置に到達するまでに他の前記搬送車を移動させる回数を算出し、
前記制御装置は、連続停止時間が閾値を超えた前記搬送車を前記待機位置の候補に到達させるために他の前記搬送車を移動させる回数に基づいて、前記待機位置を選択することを特徴とする搬送システム。
[特徴8]
特徴3から7までの何れか一項に記載の搬送システムであって、
前記搬送車は充電式のバッテリーを有しており、
前記待機位置の候補には、前記搬送車の前記バッテリーを充電可能な充電装置が設けられた充電位置が含まれることを特徴とする搬送システム。
[特徴9]
特徴3から8までの何れか一項に記載の搬送システムであって、
前記待機位置の候補には、複数の前記搬送車の走行履歴に基づいて決定した位置が含まれることを特徴とする搬送システム。
[特徴10]
特徴1又は2に記載の搬送システムであって、
前記制御装置は、前記搬送車の連続停止時間が閾値を超えた場合、第1待機位置と、当該第1待機位置とは異なる位置である第2待機位置と、をブロックして、前記搬送車を前記第1待機位置又は前記第2待機位置まで走行させ、
前記制御装置は、前記搬送車の連続停止時間が閾値を超える度に、前記第1待機位置と前記第2待機位置の間で前記搬送車の位置を切り替えることを特徴とする搬送システム。
[特徴11]
特徴10に記載の搬送システムであって、
前記第1待機位置と前記第2待機位置が前記経路の同一直線上に位置していることを特徴とする搬送システム。
[特徴12]
特徴11に記載の搬送システムであって、
第1方向に沿って前記経路が配置されるとともに、当該第1方向に直交する第2方向に沿って前記経路が配置され、
前記制御装置は、連続停止時間が閾値を超えた場合、前記搬送車の現在位置を前記第1待機位置とし、前記第1待機位置に対して前記第1方向又は前記第2方向で隣接する位置が利用可能であれば、当該隣接する位置を第2待機位置として設定することを特徴とする搬送システム。
[特徴13]
特徴10又は11に記載の搬送システムであって、
前記経路には、前記搬送車を待機させるための待機領域が含まれており、
前記第1待機位置と前記第2待機位置の少なくとも一方が前記待機領域に含まれることを特徴とする搬送システム。
【0103】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0104】
第1実施形態の特徴と第2実施形態の特徴を組み合わせてもよい。例えば、第1待機位置と第2待機位置を交互に移動するという第2実施形態の特徴を、第1実施形態のAGVに適用できる。あるいは、第1実施形態の待機位置の特定方法を第2実施形態の天井搬送車に適用できる。
【0105】
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。例えば、図3のフローチャートにおいて、事前に登録された候補から次の待機位置を選択する処理(S104)に代えて、現在の搬送状況に応じた適切な待機位置を算出する処理を行ってもよい。
【0106】
上記実施形態では、搬送車10の例としてAGVと天井搬送車を挙げて説明したが、別の車両(例えば懸垂式クレーン)にも本発明を適用できる。また、第2実施形態の天井搬送車は旋回機能を有するが、旋回機能を有さない天井搬送車にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0107】
1 搬送システム
10 搬送車
11 通信装置
12 駆動制御装置
13 モータ
14 バッテリー
15 タイヤ
20 管理制御装置(制御装置)
30 経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9