(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】エンジンの補機取付構造
(51)【国際特許分類】
F02M 35/104 20060101AFI20241204BHJP
F02M 35/16 20060101ALI20241204BHJP
F02M 35/10 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
F02M35/104 H
F02M35/16 F
F02M35/104 B
F02M35/10 301P
(21)【出願番号】P 2023553841
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 JP2021038041
(87)【国際公開番号】W WO2023062773
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 肇
(72)【発明者】
【氏名】村岡 朋之
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋之
(72)【発明者】
【氏名】新海 慎司
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-169234(JP,U)
【文献】特開平10-252588(JP,A)
【文献】特開2013-155666(JP,A)
【文献】特開2000-161157(JP,A)
【文献】特開2012-021479(JP,A)
【文献】特開2005-220792(JP,A)
【文献】特開平11-050923(JP,A)
【文献】特開平3-057871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/104
F02M 35/16
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたエンジンの一側面側に、スロットルバルブと、前記エンジンへ燃料を導入する燃料導入部と、前記スロットルバルブに接続された吸気配管と、前記吸気配管に接続されたサージタンクと、を備えたエンジンの補機取付構造であって、
前記燃料導入部の上下方向の一方で前記エンジンから前記燃料導入部よりも前記一側面側の外方に突出して前記吸気配管を支持するブラケットを備え、
前記スロットルバルブは、前記ブラケット及び前記燃料導入部に対して前記上下方向の一方にオフセットするとともに前記一側面側に突出して配置され、
前記サージタンクは、前記ブラケット及び前記燃料導入部に対して前記上下方向の他方にオフセットするとともに前記一側面側の外方に突出して配置されていることを特徴とするエンジンの補機取付構造。
【請求項3】
前記エンジンは、前記車両のエンジンルームに配置されるとともに、前記一側面が車両前方側を向き、
前記スロットルバルブは、前記車両の前部に設けられたアッパーバーと少なくとも一部の上下位置が同一であり、かつ前記アッパーバーよりも車両後方に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの補機取付構造。
【請求項6】
前記エンジンの前記一側面側に、前記サージタンクと前記エンジンの上部に設けられた吸気ポートとを接続するブランチ管が備えられ、
前記ブランチ管は、前記サージタンクの下部から前記サージタンクよりも前記一側面側の位置を前記吸気ポートに向かって上方に延びていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジンの補機取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のエンジにおけるスロットルバルブの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
多気筒のエンジンの多くは、エンジンの一側面に吸気マニホールド及びスロットルバルブが配置されている。例えば、特許文献1では、直列4気筒のエンジンにおいて、エンジンの上部の一側面側に吸気マニホールドが設けられるとともに、吸気マニホールドのブランチ管(分岐管)のうち、中間に位置する2番気筒と3番気筒との間に、エンジンの一側面側(吸気側)の上部に隣接してスロットルバルブを配置している。更に、スロットルバルブは、エンジンにブラケットを介して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、エンジンの上部には、吸気ポートあるいは燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射バルブが備えられている。燃料噴射バルブへ燃料を供給する燃料配管は、例えばエンジンの吸気側の側面の上部に隣接して気筒の列方向に延びるように配置されているものが多い。
【0005】
したがって、燃料配管は、エンジンの上部における吸気側の側面とスロットルバルブとの間を延びるように配置されている場合が多い。
【0006】
ここで、このように吸気側の側面とスロットルバルブとの間に燃料配管が位置するエンジンを、吸気側の側面を車両前方に向けて横置きに車両の前部に配置した場合に、車両前突時に、車両前部の構造物がエンジンに向かって移動してきてスロットルバルブを車両後方に押した際に、スロットルバルブとエンジンとの間で燃料配管を挟んでしまう虞がある。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両衝突時にエンジンに支持されたスロットルバルブがエンジンに向かって移動した際に、近傍に配置されたエンジンの燃料系の保護を図ることができるエンジンの補機取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るエンジンの補機取付構造は、車両に搭載されたエンジンの一側面側に、スロットルバルブと、前記エンジンへ燃料を導入する燃料導入部と、前記スロットルバルブに接続された吸気配管と、前記吸気配管に接続されたサージタンクと、を備えたエンジンの補機取付構造であって、前記燃料導入部の上下方向の一方で前記エンジンから前記燃料導入部よりも前記一側面側の外方に突出して前記吸気配管を支持するブラケットを備え、前記スロットルバルブは、前記ブラケット及び前記燃料導入部に対して前記上下方向の一方にオフセットするとともに前記一側面側に突出して配置され、前記サージタンクは、前記ブラケット及び前記燃料導入部に対して前記上下方向の他方にオフセットするとともに前記一側面側の外方に突出して配置されていることを特徴とする。
【0009】
これにより、例えば車両衝突時に、車両の構造物等が一側面側からエンジンに向かって近づいてきた場合に、ブラケットによって燃料導入部を保護することができる。
【0010】
更に、スロットルバルブと燃料導入部とがブラケットを挟んで上下方向にオフセットして配置されているので、車両の構造物等がスロットルバルブに接触してスロットルバルブがエンジンに向かって押された場合に、スロットルバルブと燃料導入部との接触を回避することができる。また、スロットルバルブとブラケットとが上下方向にオフセットして配置されているので、スロットルバルブがエンジンに向かって押された場合に、ブラケットに作用する荷重を抑制して、ブラケットの潰れを抑制することができる。また、車両衝突時に構造物が一側面側からエンジンに向かって近づいてきた場合に、サージタンクによって衝撃を吸収し、エンジン本体及び燃料導入部の保護を図ることができる。
【0011】
好ましくは、ブラケットは、吸気配管よりも強度が高いとよい。
【0012】
これにより、例えば車両衝突時に、車両の構造物等が一側面側からエンジンに向かって近づいてきた場合に、ブラケットによって燃料導入部をより確実に保護することができる。
【0013】
好ましくは、前記エンジンは、前記車両のエンジンルームに配置されるとともに、前記一側面が車両前方側を向き、前記スロットルバルブは、前記車両の前部に設けられたアッパーバーと少なくとも一部の上下位置が同一であり、かつ前記アッパーバーよりも車両後方に配置されているとよい。
【0014】
これにより、車両前突時に、車両の前部に設けられた強度部材がスロットルバルブをエンジンに向かって押した場合に、スロットルバルブと燃料導入部との接触を回避することができる。
【0015】
好ましくは、前記吸気配管は、前記スロットルバルブの下面に接続して下方に延びるとともに、前記スロットルバルブとの接続位置あるいはその近傍に脆弱部を有するとよい。
【0016】
これにより、車両衝突時に車両の構造物等が一側面側からエンジンに向かって近づいて、スロットルバルブをエンジンに向かって押した場合に、吸気配管の脆弱部が破断して、燃料導入部を回避するようにスロットルバルブのみ移動させ、燃料導入部の保護を更に図ることができる。
【0019】
好ましくは、前記エンジンの前記一側面側に、前記サージタンクと前記エンジンの上部に設けられた吸気ポートとを接続するブランチ管が備えられ、前記ブランチ管は、前記サージタンクの下部から前記サージタンクよりも前記一側面側の位置を前記吸気ポートに向かって上方に延びているとよい。
【0020】
これにより、車両衝突時に構造物が一側面側からエンジンに向かって近づいてきた場合に、ブランチ管によって衝撃を吸収し、エンジン本体及び燃料導入部の保護を更に図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るエンジンの補機取付構造によれば、車両衝突時に車両の構造物等が一側面側からエンジンに向かって近づいてきた場合に、特に構造物等がスロットルバルブをエンジンに向かって押した場合に、スロットルバルブと燃料導入部との接触を回避するとともに、ブラケットに作用する荷重を抑えて、エンジンの燃料系の保護を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両の前部の概略構成図である。
【
図2】エンジンの前面に配置された吸気系の補機の構造図である。
【
図5】吸気系補機を含むエンジンの前部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン3の吸気系構造を採用した車両1の前部の概略構造図である。
図2は、エンジン3の吸気系の補機の構造図である。
図3及び
図4は、エンジン3の吸気系補機の縦断面図である。
図5は、吸気系補機を含むエンジン3の前部の上面図である。なお、
図2は、エンジン3の前面図である。
図3は、
図2中に示したA-A部の断面図である。
図4は、
図3中に示したB-B部の断面図である。
【0024】
図1に示すように、本発明を採用した車両1は、前部のエンジンルーム2にエンジン3を含むパワーユニット4を搭載している。車両1は、EVモード、シリーズモード、パラレルモードが可能なプラグインハイブリッド車である。
【0025】
パワーユニット4は、エンジン3と図示しない走行駆動用モータ及び発電用モータジェネレータを備えている。走行駆動用モータ及び発電用モータジェネレータは、エンジン3の車幅方向左方に配置されている。発電用モータジェネレータは、エンジン3のスタータモータとしても使用される。
【0026】
エンジン3は、4気筒であり、車両1に横置きに搭載されている。エンジン3の前面3a(一側面)側に吸気マニホールド5が備えられ、吸気通路6が配置されている。一方、エンジン3の後面側に排気マニホールド7が備えられ、排気通路8が配置されている。
【0027】
吸気通路6には、スロットルバルブ10が備えられている。また、吸気通路6のスロットルバルブ10と吸気マニホールド5との間には、サージタンク11が備えられている。
【0028】
スロットルバルブ10は、エンジン3の前面3a側の上部に位置し、スロットルバルブ10はエンジン3の車幅方向中央に位置する2番気筒に連結するブランチ管12と3番気筒に連結するブランチ管12との間に配置されている。また、スロットルバルブ10は、車両前部に設けられたアッパーバー15(強度部材)の車両後方に位置している。アッパーバー15は、車両1のエンジンルーム2の前部で車幅方向に延びるように配置され、上下高さが数cmの強度部材であり、エンジンルーム2の前部に配置されたラジエータ16の上方に位置している。
【0029】
サージタンク11は、エンジン3の前面3aに沿って備えられ、スロットルバルブ10の下方に配置されている。サージタンク11から各気筒に向けて吸気マニホールド5のブランチ管12が夫々接続されている。ブランチ管12はサージタンク11の下面から車両前側に屈曲しサージタンク11の前面側に隣接して上方に延び、エンジン3の前面3aの上部に設けられた各気筒の吸気ポート13に接続されている。
【0030】
一方、排気通路8には、排気マニホールド7の下流側にフロント触媒20が備えられている。また、排気通路8のフロント触媒20より下流側にリヤ触媒21が備えられている。フロント触媒20及びリヤ触媒21は、例えば三元触媒のような排気浄化触媒である。フロント触媒20は比較的小型であり、エンジン3の後面に隣接して配置されている。フロント触媒20は、エンジン始動直後のような冷態運転時において排気の浄化性能を向上させるために、エンジン3からすぐに排気が流入するようにエンジン3の近くに配置されている。リヤ触媒21は比較的大型であり、例えば車両1のフロア下に配置されている。
【0031】
更に、エンジン3には、EGR装置30(排気還流装置)が備えられている。EGR装置30は、排気の一部を吸気通路6に還流することで、吸気の酸素濃度を低下させてエンジン3の燃焼室内の温度上昇を抑える。これにより、エンジン3の排気中におけるNOxを低減させる。
【0032】
EGR装置30は、吸気通路6と排気通路8とを接続するEGR通路31(排気還流通路)と、EGR通路31に介装されEGR通路31の開度を調節するEGRバルブ34と、EGR通路31に備えられたEGRクーラー32を有している。
【0033】
図2~5に示すように、エンジン3の吸気通路6の一部として、スロットルバルブ10とサージタンク11との間に、アダプタ40(吸気配管)及びEGRリング41が備えられている。アダプタ40及びEGRリング41は、例えば樹脂やアルミニウムで形成された略同一径の円管形状であって、アダプタ40の下端とEGRリング41の上端とが接続して、エンジン3の前面3aに沿って上下方向に延び、アダプタ40の上端がスロットルバルブ10に接続し、EGRリング41の下端がサージタンク11の上壁11aに設けられたタンク流入口42に接続されている。
【0034】
サージタンク11の下壁11bの車両後方部側の位置には、エンジン3の気筒数に対応して4個のタンク排出口43(流入口)が左右方向に並んで配置されている。
【0035】
サージタンク11の各タンク排出口43からは、対応する左右位置の気筒の吸気ポート13に向かって、吸気マニホールド5のブランチ管12がサージタンク11の下側及び前側に隣接して延びている。
【0036】
EGRリング41の外壁面には、周方向に互いに離間して複数のリング穴50(導入口)が設けられている。EGRバルブ34を通過したEGRガスは、リング穴50を通過してEGRリング41内の吸気通路に導入されるように形成されている。
【0037】
エンジン3の上部には、各気筒の上部に設けられた燃料噴射バルブ60に燃料を供給するデリバリーパイプ61(燃料導入部)が備えられている。デリバリーパイプ61は、エンジン3の幅方向に延びるように配置され、エンジン3の上部の前面3aとアダプタ40との車両前後方向位置に配置されている。デリバリーパイプ61の一端部には、燃料パイプ62が接続されており、燃料パイプ62を介して図示しない燃料ポンプによって燃料タンクから燃料が供給される。デリバリーパイプ61は、エンジン3にボルト63によって固定されている。
【0038】
また、エンジン3の上部には、デリバリーパイプ61を覆うデリバリーパイププロテクタ65(ブラケット)が備えられている。デリバリーパイププロテクタ65は、車幅方向寸法がデリバリーパイプ61よりもやや大きく形成されている。デリバリーパイププロテクタ65の後端部は、例えば4箇所でボルト66によってエンジン3の前面3aに固定されている。また、デリバリーパイププロテクタ65の後端部には、下方に延びるリブ部65aが備えられている。リブ部65aの下端は、例えばエンジン3の筐体に設けられた穴に挿入されて支持されている。
【0039】
デリバリーパイププロテクタ65は、車幅方向両端部の2箇所でボルト67によって、エンジン3に設けられたブラケット69に夫々固定されている。
【0040】
更に、デリバリーパイププロテクタ65は、車幅方向中央部の前部において、アダプタ40に備えられたブラケットにボルト68によって固定されている。
【0041】
デリバリーパイププロテクタ65は、デリバリーパイプ61の上方でエンジン3からデリバリーパイプ61よりも前方に突出してアダプタ40と接続し、当該アダプタ40との接続位置付近において、リブ部65aとともに、
図3に示すように縦断面が5mm~1cm程度の比較的厚い逆L字状に形成されている。したがって、デリバリーパイププロテクタ65の下側に、デリバリーパイプ61が配置されている。また、デリバリーパイププロテクタ65は、例えば鋼材によって形成され、アダプタ40よりも強度が高い。
【0042】
本実施形態では、デリバリーパイププロテクタ65の上面の上下位置は、スロットルバルブ10の下端と略同一あるいは下端よりも低く設定されている。
【0043】
また、スロットルバルブ10の下端、即ちスロットルバルブ10とアダプタ40の接続位置は、アッパーバー15より下方に位置している。
【0044】
更に、アダプタ40の上部には、スロットルバルブ10との接続位置の近傍に、肉厚が薄くなった小径部40a(脆弱部)が設けられている。
【0045】
また、
図2に示すように、エンジン3の前面の右上部と左下部にストッパ70、71が備えられている。ストッパ70、71は、エンジン3の強度部材に備えられており、ストッパ70、71自体の強度も比較的高い構造物である。ストッパ70、71は、エンジン3の前面側、即ち車両前方側に突出しており、その前面が吸気マニホールド5の前端よりも車両前方に位置している。ストッパ70、71は、車両前突時にエンジン3に向かって後方に移動するラジエータ16等の部品がエンジン3及びその前面の各種補機に直接接触しないように設けられている。
【0046】
以上のように、本実施形態では、車両1に横置きに搭載されたエンジン3の前面3aの上部に、吸気系の機器であるスロットルバルブ10及び吸気マニホールド5が備えられている。また、スロットルバルブ10と吸気マニホールド5との間には、サージタンク11が備えられている。サージタンク11から各気筒へ吸気マニホールド5のブランチ管12が接続されており、サージタンク11内において吸気が分流して各ブランチ管12を介して各気筒へ供給される。
【0047】
サージタンク11とスロットルバルブ10とは、上下方向に延びるアダプタ40及びEGRリング41を介して接続されている。
【0048】
また、エンジン3の前面3aの上部には、各気筒の燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリーパイプ61が備えられている。デリバリーパイプ61は、スロットルバルブ10及びアダプタ40とエンジン3の前面3aとの間に配置されている。
【0049】
そして、本実施形態では、デリバリーパイプ61の上方を覆うデリバリーパイププロテクタ65が備えられている。デリバリーパイププロテクタ65は、前端部がデリバリーパイプ61よりも車両前方に突出するとともに、前端部においてアダプタ40を支持している。また、デリバリーパイププロテクタ65はアダプタ40よりも強度が高いので、車両前突時に、アダプタ40の前方に位置するラジエータ16等がエンジン3に向かって後方に近づいてアダプタ40を後方に押したとしても、デリバリーパイププロテクタ65によって燃料導入部を保護することができる。
【0050】
また、アダプタ40の上方にスロットルバルブ10が位置しており、スロットルバルブ10とデリバリーパイプ61とが上下方向にオフセットして配置されているので、車両前突時にアッパーバー15がスロットルバルブ10を後方に押した場合に、スロットルバルブ10とデリバリーパイプ61との接触を回避することができる。これにより、デリバリーパイププロテクタ65によるデリバリーパイプ61の保護機能を向上させることができる。
【0051】
また、スロットルバルブ10とアダプタ40との接続部が、デリバリーパイププロテクタ65と略同一あるいは高い位置に位置しているので、車両前突時にアッパーバー15がスロットルバルブ10を後方に押した場合に、この接続部が破断することで、スロットルバルブ10がデリバリーパイププロテクタ65を避けるように上方に移動し、デリバリーパイププロテクタ65が後方に押される力を低減させることができる。したがって、デリバリーパイプ61をより保護することが可能となる。
【0052】
更に、アダプタ40の上端部付近には、径方向の断面積を小さくした小径部40aが備えられているので、スロットルバルブ10が強い力で後方に押された場合に、この小径部40aにおいてアダプタ40が破断し易くなり、スロットルバルブ10によってデリバリーパイププロテクタ65が後方に押される力を更に低減させることができる。
【0053】
また、エンジンの前面には、アダプタ40及びEGRリング41の下方に、中空状のサージタンク11が備えられており、サージタンク11の前面はデリバリーパイプ61より前方に位置している。したがって、車両前突時にラジエータ16等の構造物がエンジン3に向かって後方に近づいてきた場合に、サージタンク11によって衝撃を吸収し、エンジン3本体及びデリバリーパイプ61の保護を図ることができる。
【0054】
また、サージタンクと11とエンジン3の吸気ポート13とを接続する吸気マニホールド5のブランチ管12は、サージタンクと11の下面から車両前方に延び、サージタンクの前面側を上方に延びて、エンジンの上部に設けられた吸気ポートとに接続するように構成されている。したがって、サージタンク11の車両前方に中空状のブランチ管12が備えられているので、車両前突時にラジエータ16等の構造物が前方からエンジン3に向かって近づいてきた場合に、ブランチ管12によって衝撃を吸収し、エンジン3本体及びデリバリーパイプ61の保護を更に図ることができる。
【0055】
また、エンジン3の前面には、強度の高いストッパ70、71が設けられているので、車両前突時にラジエータ等の構造物がエンジン3に向かって後方に移動してきても、エンジン3及びその前面に位置するデリバリーパイプ61等の各種補機を保護することができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定するものではない。例えば、上記実施形態では、スロットルバルブ10とアダプタ40との接続部が破断し易く、またアダプタ40の上部に破断し易い小径部40aが備えられているが、いずれか一方を採用してもよい。
【0057】
また、アダプタ40等の吸気系部品やデリバリーパイププロテクタ65等の各種部品の詳細な形状については、適宜変更してもよい。スロットルバルブ10が後方に押された場合に、スロットルバルブ10がデリバリーパイププロテクタ65を避けて移動し易いようにした構造であればよい。
【0058】
また、本実施形態では、プラグインハイブリッド車に搭載したエンジン3に本発明を適用しているが、ハイブリッド車やガソリン車に搭載されたエンジン、あるいは車両搭載以外のエンジンにも適用することができる。本発明は、EGR装置を備えたエンジンに本発明を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
3 エンジン
6 吸気通路
10 スロットルバルブ
11 サージタンク
12 ブランチ管
61 デリバリーパイプ(燃料導入部)
65 デリバリーパイププロテクタ(ブラケット)
40 アダプタ(吸気配管)
40a 小径部(脆弱部)