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特許7598107マップ画像生成装置、制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】マップ画像生成装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/27 20200101AFI20241204BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20241204BHJP
【FI】
G06F30/27
G06F30/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023506874
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2022005624
(87)【国際公開番号】W WO2022196207
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2021044486
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「CFRP向けマテリアルインテグレーション(MI)システムの高速実装と評価」委託研究及び「CFRP向けマテリアルインテグレーション(MI)システムの研究開発」委託研究(研究推進法人:JST)、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鍬守 直樹
(72)【発明者】
【氏名】撫佐 昭裕
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 陽平
(72)【発明者】
【氏名】風間 悠加
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 広明
(72)【発明者】
【氏名】菊川 豪太
(72)【発明者】
【氏名】岡部 朋永
(72)【発明者】
【氏名】小松 一彦
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-293315(JP,A)
【文献】国際公開第2006/121057(WO,A1)
【文献】特開2014-026459(JP,A)
【文献】国際公開第2006/077981(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
G16C 20/00 - 60/00
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の工程で利用されうる複数パターンの材料それぞれについて、その材料の材料諸元を表す材料諸元情報と、その材料を用いて前記工程で生成されうる成果物の複数の物性それぞれについての物性量を示す物性情報とを取得する取得手段と、
前記物性情報を用いて、マップ空間上の位置と、前記成果物の複数種類の物性それぞれの物性量に関する値を示す物性ベクトルとが各ノードに割り当てられている自己組織化マップを生成する自己組織化マップ生成手段と、
前記マップ空間上に配置されている各前記ノードを表すマップ画像を生成するマップ画像生成手段と、を有し、
前記マップ画像生成手段は、
各前記材料諸元情報を用いて、各前記ノードに対し、材料諸元に関する値を示す諸元ベクトルを割り当て、
前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づき、前記マップ画像において、各前記ノードのクラスタリング及び彩色の一方又は双方を行う、マップ画像生成装置。
【請求項2】
前記マップ画像生成手段は、
複数の前記材料諸元情報それぞれについて、その材料諸元情報に対応する前記物性情報から得られる前記物性ベクトルと最も類似する前記物性ベクトルが割り当てられている前記ノードを特定し、
各前記特定されたノードの前記マップ空間における配置と、各前記特定されたノードに割り当てられた前記諸元ベクトルとに基づく補間処理を行うことで、各前記特定されたノード以外の前記ノードに割り当てる前記諸元ベクトルを算出する、請求項1に記載のマップ画像生成装置。
【請求項3】
前記マップ画像生成手段は、
各前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づいて、各前記ノードのクラスタリングを行い、
前記マップ画像に、各クラスタを互いに識別可能な表示を含める、請求項1又は2に記載のマップ画像生成装置。
【請求項4】
前記マップ画像において、各前記ノードの色は、その色を構成する1つ以上の基準色の成分の大きさによって決定され、
前記マップ画像生成手段は、前記ノードに割り当てる色における各前記基準色の成分の大きさを、そのノードに割り当てられている前記諸元ベクトルがその基準色に対応するパラメータについて示す値を用いて決定する、請求項1から3いずれか一項に記載のマップ画像生成装置。
【請求項5】
前記マップ画像生成手段は、
前記成果物の所望の物性を表すターゲット情報を取得し、
前記ターゲット情報から得られる物性ベクトルと最も類似する前記物性ベクトルが割り当てられている前記ノードを識別可能なターゲット表示を、前記マップ画像に含める、請求項1から4いずれか一項に記載のマップ画像生成装置。
【請求項6】
前記マップ画像生成手段は、前記ターゲット表示に対応する前記ノードに割り当てられている前記諸元ベクトルが表す材料諸元を、前記ターゲット表示に含める、請求項5に記載のマップ画像生成装置。
【請求項7】
コンピュータによって実行される制御方法であって、
対象の工程で利用されうる複数パターンの材料それぞれについて、その材料の材料諸元を表す材料諸元情報と、その材料を用いて前記工程で生成されうる成果物の複数の物性それぞれについての物性量を示す物性情報とを取得する取得ステップと、
前記物性情報を用いて、マップ空間上の位置と、前記成果物の複数種類の物性それぞれの物性量に関する値を示す物性ベクトルとが各ノードに割り当てられている自己組織化マップを生成する自己組織化マップ生成ステップと、
前記マップ空間上に配置されている各前記ノードを表すマップ画像を生成するマップ画像生成ステップと、を有し、
前記マップ画像生成ステップにおいて、
各前記材料諸元情報を用いて、各前記ノードに対し、材料諸元に関する値を示す諸元ベクトルを割り当て、
前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づき、前記マップ画像において、各前記ノードのクラスタリング及び彩色の一方又は双方を行う、制御方法。
【請求項8】
前記マップ画像生成ステップにおいて、
複数の前記材料諸元情報それぞれについて、その材料諸元情報に対応する前記物性情報から得られる前記物性ベクトルと最も類似する前記物性ベクトルが割り当てられている前記ノードを特定し、
各前記特定されたノードの前記マップ空間における配置と、各前記特定されたノードに割り当てられた前記諸元ベクトルとに基づく補間処理を行うことで、各前記特定されたノード以外の前記ノードに割り当てる前記諸元ベクトルを算出する、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
対象の工程で利用されうる複数パターンの材料それぞれについて、その材料の材料諸元を表す材料諸元情報と、その材料を用いて前記工程で生成されうる成果物の複数の物性それぞれについての物性量を示す物性情報とを取得する取得ステップと、
前記物性情報を用いて、マップ空間上の位置と、前記成果物の複数種類の物性それぞれの物性量に関する値を示す物性ベクトルとが各ノードに割り当てられている自己組織化マップを生成する自己組織化マップ生成ステップと、
前記マップ空間上に配置されている各前記ノードを表すマップ画像を生成するマップ画像生成ステップと、を実行させ、
前記マップ画像生成ステップにおいて、
各前記材料諸元情報を用いて、各前記ノードに対し、材料諸元に関する値を示す諸元ベクトルを割り当て、
前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づき、前記マップ画像において、各前記ノードのクラスタリング及び彩色の一方又は双方を行うプログラム
【請求項10】
前記マップ画像生成ステップにおいて、
複数の前記材料諸元情報それぞれについて、その材料諸元情報に対応する前記物性情報から得られる前記物性ベクトルと最も類似する前記物性ベクトルが割り当てられている前記ノードを特定し、
各前記特定されたノードの前記マップ空間における配置と、各前記特定されたノードに割り当てられた前記諸元ベクトルとに基づく補間処理を行うことで、各前記特定されたノード以外の前記ノードに割り当てる前記諸元ベクトルを算出する、請求項に記載のプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製品開発に関連する情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製品開発では、材料と成果物の関係を把握することが有用である。そこで、材料と成果物の関係の把握を支援するシステムが開発されている。例えば特許文献1は、自己組織化マップを利用して、タイヤの設計値と物性値との因果関係の把握を支援するシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-148988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、タイヤの複数の設計変数のうち、どの変数が重要な因子であるのかを特定するために、自己組織化マップが利用されている。そのため、それ以外の目的で自己組織化マップを利用することは想定されていない。本開示はこのような課題に鑑みたものであり、本開示の目的は、製品開発に有用な情報を提供する新たな技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のマップ画像生成装置は、対象の工程で利用されうる複数パターンの材料それぞれについて、その材料の材料諸元を表す材料諸元情報と、その材料を用いて前記工程で生成されうる成果物の複数の物性それぞれについての物性量を示す物性情報とを取得する取得部と、前記物性情報を用いて、マップ空間上の位置と、前記成果物の複数種類の物性それぞれの物性量に関する値を示す物性ベクトルとが各ノードに割り当てられている自己組織化マップを生成する自己組織化マップ生成部と、前記マップ空間上に配置されている各前記ノードを表すマップ画像を生成するマップ画像生成部と、を有する。
前記マップ画像生成部は、各前記材料諸元情報を用いて、各前記ノードに対し、材料諸元に関する値を示す諸元ベクトルを割り当て、各前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づき、前記マップ画像において、各前記ノードのクラスタリング及び彩色の一方又は双方を行う。
【0006】
本開示の制御方法は、コンピュータによって実行される。当該制御方法は、対象の工程で利用されうる複数パターンの材料それぞれについて、その材料の材料諸元を表す材料諸元情報と、その材料を用いて前記工程で生成されうる成果物の複数の物性それぞれについての物性量を示す物性情報とを取得する取得ステップと、前記物性情報を用いて、マップ空間上の位置と、前記成果物の複数種類の物性それぞれの物性量に関する値を示す物性ベクトルとが各ノードに割り当てられている自己組織化マップを生成する自己組織化マップ生成ステップと、前記マップ空間上に配置されている各前記ノードを表すマップ画像を生成するマップ画像生成ステップと、を有する。
前記マップ画像生成ステップにおいて、各前記材料諸元情報を用いて、各前記ノードに対し、材料諸元に関する値を示す諸元ベクトルを割り当て、各前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づき、前記マップ画像において、各前記ノードのクラスタリング及び彩色の一方又は双方を行う。
【0007】
本開示の非一時的なコンピュータ可読媒体は、本開示の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納している。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、製品開発に有用な情報を提供する新たな技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1のマップ画像生成装置の動作の概要を例示する図である。
図2】実施形態1のマップ画像生成装置の機能構成を例示するブロック図である。
図3】マップ画像生成装置を実現するコンピュータのハードウエア構成を例示するブロック図である。
図4】実施形態1のマップ画像生成装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
図5】材料諸元情報をテーブル形式で例示する図である。
図6】物性情報をテーブル形式で例示する図である。
図7】各ノードに諸元ベクトルが割り当てられている自己組織化マップの構成をテーブル形式で例示する図である。
図8】ノードがクラスタリングされているマップ画像を例示する図である。
図9】ノードに対して色を割り当てる処理の流れを例示するフローチャートである。
図10】諸元ベクトルに基づいて彩色されたマップ画像を例示する図である。
図11】ターゲット表示が含まれるマップ画像を例示する図である。
図12】ターゲット表示に材料諸元が示されているケースを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。また、特に説明しない限り、所定値や閾値などといった予め定められている情報は、その情報を利用する装置からアクセス可能な記憶装置などに予め格納されている。
【0011】
[実施形態1]
<概要>
図1は、実施形態1のマップ画像生成装置2000の動作の概要を例示する図である。ここで、図1は、マップ画像生成装置2000の概要の理解を容易にするための図であり、マップ画像生成装置2000の動作は、図1に示したものに限定されない。
【0012】
マップ画像生成装置2000は、製品開発の特定の工程(以下、対象工程)において生成されうる成果物70について、マップ画像40を生成する。マップ画像40は、成果物70の生成に用いられた材料の材料諸元の分布と成果物70の物性の分布との対応関係を表現した画像である。
【0013】
成果物70は、対象工程の生成プロセスで材料60を処理することによって生成されると予測されるもの、又は、実際に生成されたものである。材料60は、成果物70の生成に利用される材料である。対象工程では、様々なパターンの材料60を利用できる。成果物70の物性は、利用する材料60によって異なりうる。
【0014】
材料60の1つのパターンは、材料諸元によって特定される。言い換えれば、材料諸元が互いに異なる材料60は、互いに異なるパターンの材料60として扱われる。一方、材料諸元が互いに同じである材料60は、互いに同じパターンの材料60として扱われる。
【0015】
材料諸元は、例えば、材料の種類、材料を構成する物質の種類、各物質の配合比率、及び材料を作成するために行われる加工の種類などで表される。材料の種類としては、例えば、炭素繊維強化プラスチックやステンレス鋼などがある。例えば、材料60が炭素繊維強化プラスチックであるとする。この場合、材料60の材料諸元は、材料60を構成する1つ又は複数の炭素繊維それぞれの種類(ポリアクリルニトリル繊維やセルロース炭化繊維など)、材料60を構成する1つ又は複数の樹脂それぞれの種類(エポキシやポリエーテルテフタレートなど)、及びそれらの物質の配合比率を含む。また、材料諸元には、繊維方向性重合方式の種類、圧着方式の種類、及び樹脂組成などがさらに含まれてもよい。
【0016】
このようなマップ画像40を生成するために、マップ画像生成装置2000は、複数パターンの材料60それぞれについて(言い換えれば、複数パターンの材料諸元それぞれで特定される材料60について)、その材料60の材料諸元を表す材料諸元情報10と、その材料60を利用して対象工程で生成されうる成果物70の物性を示す物性情報20を取得する。物性情報20は、成果物70について、複数種類の物性それぞれの物性量を示す。物性の種類は、例えば、難燃性、耐熱性、弾性率、又は靱性などである。
【0017】
マップ画像生成装置2000は、物性情報20を用いて、成果物70の物性の分布を表す自己組織化マップ30を生成する。自己組織化マップ30は、m次元のマップ空間上に配置された複数のノードを有する。ここで、自己組織化マップ30からマップ画像40を生成できるようにするため、mは2又は3とする。例えばノードは、マス目のマスや格子上の格子などとして表現することができる。
【0018】
自己組織化マップ30の各ノードには、複数種類の物性それぞれの物性量の大きさを表す多次元データ(以下、物性ベクトル)が割り当てられる。例えば、難燃性、耐熱性、弾性率、及び靱性という4種類の物性を利用するとする。この場合、物性ベクトルは、これら4種類の物性それぞれの物性量の大きさを表す4次元データである。以下、物性ベクトルの次元数をnとおく。なお、n>mである。すなわち、自己組織化マップ30において、物性ベクトルの空間が高次元空間であり、マップ空間が低次元空間である。
【0019】
物性情報20は、n種類以上の種類の物性についての物性量を示す。マップ画像生成装置2000は、物性情報20によって示されているn種類の物性についての物性量を利用して自己組織化マップ30の学習を行うことにより、各ノードに割り当てる物性ベクトルを決定することで、自己組織化マップ30を生成する。
【0020】
さらに、マップ画像生成装置2000は、各材料諸元情報10を、自己組織化マップ30のいずれかのノードへ割り当てる。具体的には、マップ画像生成装置2000は、材料諸元情報10によって示される複数種類のパラメータ(以下、諸元パラメータ)それぞれの値を表す多次元データ(以下、諸元ベクトル)を、ノードに割り当てる。ここで、材料諸元情報10から得られる諸元ベクトルは、その材料諸元情報10に対応する物性情報20(その材料諸元情報10で特定される材料60を利用して生成される成果物70の物性を表す物性情報20)から得られるn次元データと最も類似する物性ベクトルを持つノードへ割り当てられる。これにより、マップ画像生成装置2000が取得した材料諸元情報10と物性情報20の各ペアが、自己組織化マップ30のいずれかのノードへ対応づけられることになる。すなわち、自己組織化マップ30において、材料諸元と成果物70の物性とが対応づけられることとなる。
【0021】
マップ画像生成装置2000は、自己組織化マップ30におけるノードと諸元ベクトルとの対応付けに基づいて、マップ画像40を生成する。マップ画像40は、m次元空間における各ノードの配置を表す。さらに、マップ画像40の各ノードは、1)ノードと諸元ベクトルとの対応付けに基づいてクラスタリングされているか、又は、2)マップ画像40の各ノードには、ノードと諸元ベクトルとの対応付けに基づいて彩色されている。
【0022】
<作用効果の一例>
製品開発では、所望の物性を持つ成果物を生成するために、そのような成果物を生成可能な材料の探索が行われることがある。このような探索を実現する方法の一つとして、材料諸元を様々に変えながら、成果物の生成のシミュレーションを行ったり、実験的に成果物の生成を行うという方法がある。さらには、このようなシミュレーションや成果物の実験的な生成を経て蓄積された材料諸元と成果物の物性との対応関係(本開示における材料諸元情報10と物性情報20の対応関係)を利用して、好ましい物性から材料諸元を予測するという逆解析を行うという手法も考えられる。
【0023】
この点、マップ画像生成装置2000は、複数の物性情報20それぞれから得られる物性ベクトルを利用して自己組織化マップ30を生成し、自己組織化マップ30の各ノードに対して材料諸元を表す諸元ベクトルを割り当てる。そして、マップ画像生成装置2000は、各ノードに対する材料諸元の割り当てに基づいて、ノードのクラスタリング及び彩色の一方又は双方が行われている。その結果、物性の分布を表す自己組織化マップの上で、材料諸元の分布を把握することができる。すなわち、マップ画像40を利用することで、物性の分布と材料諸元の分布の対応関係を把握することができる。よって、マップ画像40は、上述した逆解析に利用することができる。
【0024】
例えば、マップ画像40に示されているノードの中に、マップ画像生成装置2000のユーザが所望する物性に近い物性を表すノードが存在するとする。この場合、そのノードによって表されている材料諸元で特定される材料60や、その材料諸元に近い材料諸元で特定される材料60を利用することにより、所望の物性を有する成果物70を生成できる蓋然性が高いと言える。
【0025】
この点、マップ画像40では、物性ベクトルに基づいて生成された自己組織化マップ30について、諸元ベクトルに基づくクラスタリングや彩色がさらに行われている。そのため、互いに同じクラスタに分類されているノードや、互いに類似する色が割り当てられているノードでは、物性と材料諸元の双方が互いに類似していると言える。そこで例えば、マップ画像生成装置2000のユーザは、所望する物性に近い物性を表すノードを起点とし、その起点のノードによって表されている材料諸元の周辺(そのノードと同じクラスタに含まれる各ノードや、そのノードと類似する色を持つ各ノードによって表される材料諸元)で材料の探索を行う。これにより、所望の物性を有する成果物70を生成可能な材料の探索を効率的に(少ない時間やコストで)行うことができる。
【0026】
以下、本実施形態のマップ画像生成装置2000について、より詳細に説明する。
【0027】
<機能構成の例>
図2は、実施形態1のマップ画像生成装置2000の機能構成を例示するブロック図である。マップ画像生成装置2000は、取得部2020、自己組織化マップ生成部2040、及びマップ画像生成部2060を有する。取得部2020は、複数パターンの材料60それぞれについて、材料諸元情報10及び物性情報20を取得する。自己組織化マップ生成部2040は、物性情報20を利用して自己組織化マップ30を生成する。マップ画像生成部2060は、各材料諸元情報10から得られる諸元ベクトルを、自己組織化マップ30の各ノードに対して割り当てる。さらに、マップ画像生成部2060は、自己組織化マップ30のマップ空間におけるノードの配置を表すマップ画像40を生成する。マップ画像40において、ノードは、ノードに対して割り当てられている諸元ベクトルに基づいて、クラスタリング又は彩色されている。
【0028】
<ハードウエア構成の例>
マップ画像生成装置2000の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、マップ画像生成装置2000の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0029】
図3は、マップ画像生成装置2000を実現するコンピュータ500のハードウエア構成を例示するブロック図である。コンピュータ500は、任意のコンピュータである。例えばコンピュータ500は、サーバマシンや PC(Personal Computer)などといった、据え置き型のコンピュータである。その他にも例えば、コンピュータ500は、スマートフォンやタブレット端末などといった可搬型のコンピュータである。コンピュータ500は、マップ画像生成装置2000を実現するために設計された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。
【0030】
例えば、コンピュータ500に対して所定のアプリケーションをインストールすることにより、コンピュータ500で、マップ画像生成装置2000の各機能が実現される。上記アプリケーションは、マップ画像生成装置2000の各機能構成部を実現するためのプログラムで構成される。なお、上記プログラムの取得方法は任意である。例えば、当該プログラムが格納されている記憶媒体(DVD ディスクや USB メモリなど)から、当該プログラムを取得することができる。その他にも例えば、当該プログラムが格納されている記憶装置を管理しているサーバ装置から、当該プログラムをダウンロードすることにより、当該プログラムを取得することができる。
【0031】
コンピュータ500は、バス502、プロセッサ504、メモリ506、ストレージデバイス508、入出力インタフェース510、及びネットワークインタフェース512を有する。バス502は、プロセッサ504、メモリ506、ストレージデバイス508、入出力インタフェース510、及びネットワークインタフェース512が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ504などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0032】
プロセッサ504は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ506は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス508は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0033】
入出力インタフェース510は、コンピュータ500と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース510には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0034】
ネットワークインタフェース512は、コンピュータ500をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、LAN(Local Area Network)であってもよいし、WAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0035】
ストレージデバイス508は、マップ画像生成装置2000の各機能構成部を実現するプログラム(前述したアプリケーションを実現するプログラム)を記憶している。プロセッサ504は、このプログラムをメモリ506に読み出して実行することで、マップ画像生成装置2000の各機能構成部を実現する。
【0036】
マップ画像生成装置2000は、1つのコンピュータ500で実現されてもよいし、複数のコンピュータ500で実現されてもよい。後者の場合において、各コンピュータ500の構成は同一である必要はなく、それぞれ異なるものとすることができる。
【0037】
<処理の流れ>
図4は、実施形態1のマップ画像生成装置2000によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。取得部2020は、対象工程で利用されうる複数の材料60それぞれについて、材料諸元情報10及び物性情報20を取得する(S102)。自己組織化マップ生成部2040は、物性情報20を利用して、自己組織化マップ30を生成する(S104)。マップ画像生成部2060は、各材料諸元情報10から得られる諸元ベクトルを、自己組織化マップ30のいずれかのノードに対して割り当てる(S106)。マップ画像生成部2060は、ノードに対する諸元ベクトルの割り当てに基づいて、自己組織化マップ30からマップ画像40を生成する(S108)。
【0038】
<材料諸元情報10及び物性情報20の取得:S102>
取得部2020は、対象工程において利用されうる複数パターンの材料60それぞれについて、その材料60の材料諸元を表す材料諸元情報10と、その材料60を用いて生成されうる成果物70についての物性情報20を取得する(S102)。図5は、材料諸元情報10をテーブル形式で例示する図である。図5のテーブル100は、材料識別情報102及び材料諸元104という列を有する。材料識別情報102は、材料60に割り当てられた識別情報を示す。材料諸元104は、材料60の諸元を示す。
【0039】
図5において、材料諸元情報10は、テーブル100の1つのレコードで表されている。すなわち、材料諸元情報10は、材料60の識別情報と、その識別情報を持つ材料60の材料諸元とを対応づけている。
【0040】
図6は、物性情報20をテーブル形式で例示する図である。図6のテーブル200は、成果物識別情報202及び物性204という列を有する。成果物識別情報202は、成果物70の識別情報を示す。物性204は、成果物70の物性を示す。テーブル200において、成果物70の物性は、「物性の種類を表すラベル:その物性の物性量」という対応付けを物性ごとに示すことによって表されている。
【0041】
図6において、物性情報20は、テーブル200の1つのレコードで表されている。すなわち、物性情報20は、成果物70の識別情報と、その識別情報を持つ成果物70の物性とを対応づけている。
【0042】
取得部2020は、材料諸元情報10と物性情報20のペアを複数取得する。取得部2020が材料諸元情報10と物性情報20のペアを取得する方法は様々である。例えば材料諸元情報10と物性情報20のペアは予め、マップ画像生成装置2000からアクセス可能な任意の記憶装置に格納されている。取得部2020は、この記憶装置にアクセスすることにより、材料諸元情報10と物性情報20のペアを取得する。その他にも例えば、取得部2020は、材料諸元情報10と物性情報20のペアを入力するユーザ入力を受け付けることにより、材料諸元情報10と物性情報20のペアを取得してもよい。その他にも例えば、取得部2020は、他の装置から送信される材料諸元情報10と物性情報20のペアを受信することにより、材料諸元情報10と物性情報20のペアを取得してもよい。
【0043】
ここで、材料諸元情報10と物性情報20のペアを生成する方法は様々である。例えば、材料諸元情報10と物性情報20のペアは、成果物70の生成のシミュレーションを行うことで生成される。具体的には、特定の材料諸元を入力として与えてシミュレーションを実行することにより、成果物70について各物性の物性量の予測値を示す物性情報20が生成される。そして、生成された物性情報20と、入力として与えた材料諸元を示す材料諸元情報10とのペアが得られる。ここで、材料諸元を入力として取得し、その材料諸元で特定される材料について、その材料を用いて特定の工程で生成される成果物の物性の予測データを出力するシミュレーションを実現する技術には、既存の技術を利用することができる。
【0044】
その他にも例えば、材料諸元情報10と物性情報20のペアは、成果物70の生成を実際に行うことで生成されてもよい。具体的には、特定の材料諸元で表される材料60を対象工程で利用することで、成果物70が実験的に生成される。さらに、生成された成果物70について、各物性の物性量の測定を行うことにより、物性情報20が生成される。その結果、生成された物性情報20と、利用した材料60を表す材料諸元情報10のペアが得られる。
【0045】
なお、取得部2020によって取得される物性情報20の中には、データの表現方法が互いに異なるものが含まれうる。例えば、本質的に等しい物性に対し、互いに異なるラベルが利用されていることが考えられる。また、同一の物性の物性量が、互いに異なる単位で表されていることが考えられる。このような場合、取得部2020は、ラベルの統一や単位換算などを行うことで、データの表現方法を統一することが好適である。このように物性情報20同士でデータの表現方法が互いに異なる状況は、例えば、シミュレーションを利用して生成された物性情報20と、実際に成果物70を生成することで生成された物性情報20の双方を取得する場合に起こりうると考えられる。なお、このようなデータの表現方法の統一は、材料諸元情報10についても同様に行われることが好ましい。
【0046】
<自己組織化マップ30の生成:S104>
自己組織化マップ生成部2040は、物性情報20を利用して自己組織化マップ30を生成する(S104)。自己組織化マップ30は、m次元のマップ空間上に配置された複数のノードを有する(m=2又はm=3)。マップ空間の次元数として2次元と3次元のどちらを採用するかは、予め定められていてもよいし、ユーザによって指定されてもよい。自己組織化マップ30の各ノードには、n次元の物性ベクトルが割り当てられる。
【0047】
各ノードに対する物性ベクトルの割り当ては、自己組織化マップ30の学習によって行われる。自己組織化マップ30の学習は、学習に利用するn次元の訓練データを自己組織化マップ30に入力することで行うことができる。ここで、訓練データを用いて自己組織化マップの学習を行う具体的な方法には、既存の方法を利用することができる。
【0048】
例えば自己組織化マップ生成部2040は、自己組織化マップ30を任意の方法で初期化する。初期化の方法としては、例えば、各ノードの物性ベクトルをランダムな値に初期化するといった方法を採用できる。自己組織化マップ生成部2040は、取得した複数の各物性情報20それぞれから、n種類の物性それぞれの物性量を抽出することにより、複数のn次元の物性ベクトルを生成する。自己組織化マップ生成部2040は、これら複数の物性ベクトルそれぞれを訓練データとして扱って自己組織化マップ30の学習を行うことにより、自己組織化マップ30を生成する。その結果、自己組織化マップ30の各ノードの物性ベクトルは、n種類の物性の物性量それぞれに関する値を示すn次元データとなる。
【0049】
物性情報20から得られるn次元データは、物性情報20によって示されるn種類の物性それぞれの物性量をそのまま示してもよいし、各物性量を所定の方法(例えば、正規化や標準化など)で変換することで得られる値を示してもよい。
【0050】
ここで、物性情報20によって示される物性の数は、nより多くてもよい。この場合、物性情報20によって示されるデータの一部が、自己組織化マップ30の生成に利用される。ここで、物性情報20が示す物性のうち、どの種類の物性を利用して自己組織化マップ30を生成するのかについては、予め定められてもよいし、ユーザによって指定されてもよい。
【0051】
<諸元ベクトルの割り当て:S106>
マップ画像生成部2060は、自己組織化マップ30からマップ画像40を生成するために、材料諸元情報10を利用して、自己組織化マップ30の各ノードに諸元ベクトルを割り当てる(S106)。ここで、材料諸元情報10から得られる諸元ベクトルは、材料諸元情報10によって示される全てのパラメータについての値を示してもよいし、その中の一部のパラメータについての値を示してもよい。すなわち、諸元ベクトルの次元数をkとおくと、kの値は、材料諸元情報10が示すパラメータの数と同じであってもよいし、材料諸元情報10が示すパラメータの数より小さくてもよい。
【0052】
例えば材料諸元情報10が、連続値をとるパラメータ(例えば、物質の配合比率)と、連続値をとらないパラメータ(例えば、加工の種類など)の双方を示すとする。この場合、諸元ベクトルは、連続値をとるパラメータによって生成される。
【0053】
なお、材料諸元情報10が示すパラメータのうち、どのパラメータを利用して諸元ベクトルを生成するのかについては、予め定められてもよいし、ユーザによって指定されてもよい。また、諸元ベクトルは、材料諸元情報10によって示されているパラメータの値をそのまま示してもよいし、各パラメータの値を所定の方法で変換する(例えば、正規化や標準化を行う)ことで得られる値を示してもよい。
【0054】
各ノードに対する諸元ベクトルの割り当てを決定するため、例えばマップ画像生成部2060は、各材料諸元情報10をノードに割り当てる。ノードに対する材料諸元情報10の割り当てには、材料諸元情報10に対応する物性情報20が利用される。すなわち、マップ画像生成部2060は、材料諸元情報10に対応する物性情報20から得られる物性ベクトルについて、その物性ベクトルと最も類似する物性ベクトルを持つノードを特定する。マップ画像生成部2060は、その材料諸元情報10を特定したノードに割り当てる。マップ画像生成部2060は、材料諸元情報10が割り当てられたノードに対し、その材料諸元情報10から得られる諸元ベクトルを割り当てる。
【0055】
ここで、上記処理の結果、材料諸元情報10が割り当てられないノードも存在しうる。そこで例えば、マップ画像生成部2060は、材料諸元情報10が割り当てられていないノードに割り当てる諸元ベクトルを、推定によって求める。すなわち、マップ画像生成部2060は、材料諸元情報10が割り当てられた各ノードの諸元ベクトル、及びマップ空間上におけるそれらのノードの配置に基づいて、諸元ベクトルの分布を推定する。そして、マップ画像生成部2060は、材料諸元情報10が割り当てられなかったノードに対しても、推定された分布を利用して、諸元ベクトルを割り当てる。
【0056】
諸元ベクトルの分布を推定する方法は様々である。例えばマップ画像生成部2060は、線形補間やスプライン補間などといった任意の補間処理により、諸元ベクトルの分布を推定する。その他にも例えば、マップ画像生成部2060は、スパース推定により、諸元ベクトルの分布を推定してもよい。なお、諸元ベクトルの分布を推定する際、ベイズ推定をさらに適用することにより、推定精度の向上を図ってもよい。
【0057】
ここで、材料の探索(すなわち、シミュレーション等)をさらに行って、マップ画像生成装置2000が利用する材料諸元情報10と物性情報20のペアの数を増やすことにより、材料諸元情報10が割り当てられるノードの数を増やすことができる。その結果、材料諸元の分布において、実測で得られたデータ点を増やすことができるため、諸元ベクトルの分布をより高精度で推定できるようになる。この際、シミュレーション等の対象とする材料諸元は、ベイズ最適化を利用して選択することが好適である。具体的には、ある材料諸元を持つ材料60から生成される成果物70の物性について、ベイズ推定を用いた予測により、予測値とその確からしさ(予測誤差)を合わせて得ることができる。この予測値と誤差を用いて、次に実測すべきデータ点(すなわち、シミュレーション等の対象とすべき材料諸元)を特定することができる。この方法によれば、より優れた物性の成果物70を得ることができる材料を、より少ない試行回数で探索することができる。
【0058】
図7は、各ノードに諸元ベクトルが割り当てられている自己組織化マップ30の構成をテーブル形式で例示する図である。図7のテーブル300は、位置302、物性ベクトル304、材料識別情報306、及び諸元ベクトル308という4つの列を有する。テーブル300は、1つのノードにつき1つのレコードを有する。
【0059】
位置302は、m次元のマップ空間上におけるノードの座標を示す。図7の例ではm=2であり、ノードに対してx座標とy座標が割り当てられている。物性ベクトル304は、ノードに対して割り当てられているn次元の物性ベクトルを表す。図7の例ではn=4である。材料識別情報306は、材料諸元情報10が割り当てられたノードについて、そのノードに割り当てられた材料諸元情報10が示す材料60の識別情報を示す。材料諸元情報10が割り当てられていないノードのレコードでは、材料識別情報306は「-」を示している。諸元ベクトル308は、ノードに対して割り当てられているk次元の諸元ベクトルを表す。図7の例ではk=3である。
【0060】
<マップ画像40の生成:S108>
マップ画像生成部2060は、ノードに対して割り当てられた諸元ベクトルを利用して、マップ画像40を生成する(S108)。マップ画像40は、自己組織化マップ30のマップ空間における各ノードの配置を表す画像である。また、マップ画像40において、ノードには、諸元ベクトルに基づくクラスタリング及び彩色のいずれか一方又は双方が行われる。以下、諸元ベクトルに基づくクラスタリングと彩色についてそれぞれ説明する。
【0061】
<<諸元ベクトルに基づくクラスタリング>>
マップ画像生成部2060は、各ノードに割り当てられた諸元ベクトルに基づいて、ノードのクラスタリングを行う。ここで、複数のノードそれぞれに対応づけられたベクトルに基づいて、ノードのクラスタリングを行う技術には既存の技術を利用することができる。例えばマップ画像生成部2060は、k-means 法などといったクラスタリングアルゴリズムを利用して、ノードのクラスタリングを行う。なお、生成するクラスタの数は、固定で設定されていてもよいし、ユーザによって指定されてもよいし、クラスタリングアルゴリズムを実行した結果として算出されてもよい。
【0062】
諸元ベクトルに基づくクラスタリングが行われた場合、マップ画像生成部2060は、クラスタリングによって生成された複数のクラスタそれぞれを識別可能な表示を、マップ画像40に含める。例えば、マップ画像40に、各クラスタの境界線を示すようにする。
【0063】
図8は、ノードがクラスタリングされているマップ画像40を例示する図である。図8において、2次元のマス目における各マスでノードが表されている。また、図8のマップ画像40は、7つのクラスタを有する。クラスタは、ノードの境界線よりも太い境界線で区切られている。
【0064】
クラスタを識別可能とする表示は、境界線に限定されない。例えば、マップ画像生成部2060は、複数のクラスタそれぞれにユニークな色や模様を割り当て、各クラスタに含まれる各ノードに対し、そのクラスタに割り当てられた色や模様を付すという方法が考えられる。
【0065】
<<諸元ベクトルに基づく彩色>>
マップ画像生成部2060は、各ノードに対し、そのノードの諸元ベクトルに基づく彩色を行う。例えばマップ画像生成部2060は、ノードに割り当てる色を構成する1つ以上の各基準色(例えば3つの原色)の成分の大きさを、諸元ベクトルのいずれかの要素(すなわち、諸元パラメータ)の値に基づいて決定する。以下、ノードに割り当てる色を、割当色と呼ぶ。以下、ノードに対して色を割り当てる方法について、具体的に例示する。
【0066】
図9は、ノードに対して色を割り当てる処理の流れを例示するフローチャートである。S202からS212はループ処理L1を構成する。ループ処理L1は、自己組織化マップ30に含まれる各ノードに対して一度ずつ実行される。S202において、マップ画像生成部2060は、全てのノードを対象としてループ処理L1が実行されたか否かを判定する。全てのノードを対象としてループ処理L1が既に実行された場合、図9の処理は終了する。一方、まだループ処理L1の対象とされていないノードが存在する場合、マップ画像生成部2060は、その中から1つのノードを選択する。ここで選択されたノードを、ノードiと表記する。
【0067】
S204からS208はループ処理L2を構成する。ループ処理L2は、割当色の決定に利用される各種類の諸元パラメータについて一度ずつ実行される。S204において、マップ画像生成部2060は、割当色の決定に利用する全ての種類の諸元パラメータを対象としてループ処理L2が実行されたか否かを判定する。割当色の決定に利用する全ての種類の諸元パラメータを対象としてループ処理L2が既に実行された場合、図9の処理はS210に進む。一方、割当色の決定に利用する諸元パラメータの中に、まだループ処理L2の対象とされていない諸元パラメータが存在する場合、マップ画像生成部2060は、その中から1つの諸元パラメータを選択する。ここで選択された諸元パラメータを、第j諸元パラメータと表記する。
【0068】
S206において、マップ画像生成部2060は、ノードiの諸元ベクトルが第j諸元パラメータについて示す値に基づいて、ノードiの割当色における第j基準色の成分の大きさを決定する。例えば、ノードiの割当色における第j基準色の成分の大きさは、諸元ベクトルが第j諸元パラメータについて示す値の数値範囲と、各基準色の成分の大きさの数値範囲とに基づいて定まる変換式によって算出される。この変換式は、例えば以下の式(1)で表される。
【数1】
ここで、c[i,j]は、ノードiの割当色における第j基準色の成分の大きさを表す。x[i,j] は、ノードiの諸元ベクトルが第j諸元パラメータについて示す値である。f()は変換式を表す。W[j]は、諸元ベクトルが第j諸元パラメータについて示す値の数値範囲の大きさを表す。Cは、各基準色の成分の数値範囲の大きさを表す。
【0069】
ここで、式(1)で表される変換式では、諸元ベクトルが第j諸元パラメータについて示す値が大きいほど、第j基準色の成分が大きくなる。言い換えれば、第j基準色の成分の大きさは、諸元ベクトルが第j諸元パラメータについて示す値について単調増加である。しかしながら、第j基準色の成分の大きさは、必ずしも諸元ベクトルが第j諸元パラメータについて示す値について単調増加でなくてもよい。例えば、諸元ベクトルが第j諸元パラメータについて示す値が小さいほど、第j基準色の成分に大きな値を設定するようにする。
【0070】
S208は、ループ処理L2の終端である。そのため、図9の処理は、S204に進む。
【0071】
S210は、1つのノードiについてのループ処理L2の繰り返しが終了した後に実行される。そのため、S210を実行する前に、ノードiの割当色について、各基準色の成分の大きさが決定されている。そこでS210において、マップ画像生成部2060は、決定された各基準色の成分の大きさで特定される色を、ノードiに割り当てる。例えば、第1基準色から第3基準色としてそれぞれ、赤色、緑色、及び青色が用いられるとする。この場合、ノードiの割当色は、(R,G,B)=(f(x[i,1]), f(x[i,2]), f(x[i,3])) となる。
【0072】
S212は、ループ処理L1の終端である。そのため、図9の処理は、S202に進む。
【0073】
マップ画像生成部2060は、このようにして決定されたノードに対する色の割り当てに基づいて、マップ画像40を生成する。具体的には、マップ画像生成部2060は、マップ空間上に配置された各ノードを、そのノードの割当色で表現することにより、マップ画像40を生成する。
【0074】
例えば、ノードの配置をマス目を利用して表すとする。この場合、マップ画像40は、各マスが、そのマスに対応するノードの割当色で表されている(例えば塗りつぶされている)マス目を含む画像となる。図10は、諸元ベクトルに基づいて彩色されたマップ画像40を例示する図である。図10のマップ画像40において、各ノードに対応するマスの色は、そのノードの割当色に設定される。なお、図示の都合上、色の違いが斜線の密度の違いで表現されている。
【0075】
ノードの配置を表す方法は、マス目を利用する方法に限定されない。例えばノードの配置は、格子を利用して表現されてもよい。この場合、例えばマップ画像40は、各格子点の周囲所定範囲の領域(例えば、格子点を中心とする所定の半径の円)が、その格子点に対応するノードの割当色で表されている格子の画像となる。
【0076】
<所望の物性を把握可能な表示>
マップ画像生成装置2000は、成果物70についての所望の物性を表す情報であるターゲット情報を取得し、当該所望の物性に対応するノードを表す表示を、マップ画像40に含めるようにしてもよい。以下、この表示のことをターゲット表示と呼ぶ。所望の物性に対応するノードをマップ画像40上で表すことができれば、マップ画像生成装置2000のユーザにとって、所望の物性を持つ成果物70を生成可能な材料60の探索が容易になる。以下、具体的に説明する。
【0077】
まずマップ画像生成装置2000は、ターゲット情報を取得する。例えばターゲット情報は、マップ画像生成装置2000のユーザによって入力される。ここで、ターゲット情報の取得は、マップ画像40が生成される前に行われてもよいし、マップ画像40が生成された後に行われてもよい。後者の場合、例えばマップ画像生成装置2000は、ターゲット表示が含まれないマップ画像40を出力した後にターゲット情報を取得し、ターゲット表示が含まれるようにマップ画像40を更新する。
【0078】
マップ画像生成装置2000は、ターゲット情報から物性ベクトルを生成する。ターゲット情報から物性ベクトルを生成する方法は、物性情報20から物性ベクトルを生成する方法と同様である。
【0079】
マップ画像生成装置2000は、自己組織化マップ30のノードの中から、ターゲット情報から得られた物性ベクトルとの類似度が最も高い物性ベクトルを持つノードを特定する。そしてマップ画像生成装置2000は、このノードが所望の物性に対応するノードであることを表すターゲット表示を、マップ画像40に含める。
【0080】
図11は、ターゲット表示が含まれるマップ画像40を例示する図である。図11において、ターゲット表示は、符号42で表されている。
【0081】
ターゲット表示42が付されているノードは、自己組織化マップ30によって表されている物性の分布の中で、所望の物性に最も近い物性を表していると言える。そのため、このノードに割り当てられている諸元ベクトルは、自己組織化マップ30によって表されている材料諸元の分布の中で、所望の物性を持つ成果物70を生成できる蓋然性が最も高い材料諸元を表していると言える。このことから、マップ画像生成装置2000のユーザは、ターゲット表示42が含まれるマップ画像40を閲覧することにより、ターゲット表示42が付されているノードの諸元ベクトルから、所望の物性を持つ成果物70を生成できる蓋然性が高い材料諸元を把握することができる。
【0082】
例えばユーザは、ターゲット表示42が付されているノードの諸元ベクトルによって表される材料諸元を起点として、所望の物性を持つ成果物70を生成可能な材料60の探索を行う。すなわち、ユーザは、ターゲット表示42が付されているノードの諸元ベクトルによって表される材料諸元や、その材料諸元に近い1つ以上のパターンの材料諸元を用いて、シミュレーションの実行や、成果物70の実際の生成を行う。そして、ユーザは、シミュレーションや成果物70の生成の結果に基づいて、所望の物性を持つ成果物70を生成可能な材料諸元を特定する。この方法によれば、マップ画像40を利用することにより、探索の起点とすべき材料諸元を容易に特定できるため、マップ画像40を利用しない場合と比較し、探索に要する時間やコストを削減することができる。
【0083】
ここで、材料探索の範囲(ターゲット表示42が付されているノードの諸元ベクトルによって表される材料諸元に近い材料諸元)や材料探索の順序は、ノードのクラスタや彩色に基づいて特定することが好適である。例えばユーザは、ターゲット表示42が付されているノードを含むクラスタの中で、材料の探索を行う。図11の例では、ターゲット表示42が示されているノードは、右上端のクラスタに含まれている。そこでユーザは、このクラスタの中で材料の探索を行う。その他にも例えば、ユーザは、ターゲット表示42が付されているノードの色との類似度合いが高い色を持つノードから順に、材料の探索を行う。
【0084】
ターゲット表示42は、単にノードを特定するためのマークとするだけではなく、その他の情報が含まれるようにしてもよい。例えばターゲット表示42には、対応するノードによって表される材料諸元が含まれてもよい。図12は、ターゲット表示42に材料諸元が示されているケースを例示する図である。図12において、ターゲット表示42は、物性A、B、及びCの配合比率を表している。
【0085】
ここで、前述したように、諸元ベクトルが示す値は、材料諸元のパラメータの値を正規化等の手段で変換したものであることがある。このような場合、ターゲット表示42に含まれる値は、諸元ベクトルが示す値そのものではなく、その値を材料諸元のパラメータの値に変換したものであることが好ましい。
【0086】
<マップ画像40の出力>
マップ画像生成装置2000は、生成したマップ画像40を出力する。マップ画像40の出力態様は任意である。例えばマップ画像生成装置2000は、マップ画像生成装置2000からアクセス可能な任意の記憶装置にマップ画像40を格納する。その他にも例えば、マップ画像生成装置2000は、マップ画像生成装置2000から制御可能な任意のディスプレイ装置にマップ画像40を表示させる。その他にも例えば、マップ画像生成装置2000は、マップ画像生成装置2000と通信可能に接続されている任意の装置に対して、マップ画像40を送信する。
【0087】
マップ画像40がディスプレイ装置に表示される場合、その画面は、各ノードに関する情報をさらに表示する機能を有していることが好ましい。ノードに関する情報は、例えば、ノードに割り当てられた物性ベクトルや諸元ベクトルなどである。例えば、ユーザが特定のノードを選択(例えばマウスオーバーなど)したことに応じ、そのノードに関する情報が表示されるようにする。なお、ノードに対して割り当てられている物性ベクトルや諸元ベクトルの値が、正規化等によって変換されたものである場合、逆変換を施すことによって、物性量や材料諸元のパラメータ値に戻した上で画面に表示させることが好適である。
【0088】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0089】
なお、上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに提供することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスク ROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに提供されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0090】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
対象の工程で利用されうる複数パターンの材料それぞれについて、その材料の材料諸元を表す材料諸元情報と、その材料を用いて前記工程で生成されうる成果物の複数の物性それぞれについての物性量を示す物性情報とを取得する取得手段と、
前記物性情報を用いて、マップ空間上の位置と、前記成果物の複数種類の物性それぞれの物性量に関する値を示す物性ベクトルとが各ノードに割り当てられている自己組織化マップを生成する自己組織化マップ生成手段と、
前記マップ空間上に配置されている各前記ノードを表すマップ画像を生成するマップ画像生成手段と、を有し、
前記マップ画像生成手段は、
各前記材料諸元情報を用いて、各前記ノードに対し、材料諸元に関する値を示す諸元ベクトルを割り当て、
前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づき、前記マップ画像において、各前記ノードのクラスタリング及び彩色の一方又は双方を行う、マップ画像生成装置。
(付記2)
前記マップ画像生成手段は、
複数の前記材料諸元情報それぞれについて、その材料諸元情報に対応する前記物性情報から得られる前記物性ベクトルと最も類似する前記物性ベクトルが割り当てられている前記ノードを特定し、
各前記特定されたノードの前記マップ空間における配置と、各前記特定されたノードに割り当てられた前記諸元ベクトルとに基づく補間処理を行うことで、各前記特定されたノード以外の前記ノードに割り当てる前記諸元ベクトルを算出する、付記1に記載のマップ画像生成装置。
(付記3)
前記マップ画像生成手段は、
各前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づいて、各前記ノードのクラスタリングを行い、
前記マップ画像に、各クラスタを互いに識別可能な表示を含める、付記1又は2に記載のマップ画像生成装置。
(付記4)
前記マップ画像において、各前記ノードの色は、その色を構成する1つ以上の基準色の成分の大きさによって決定され、
前記マップ画像生成手段は、前記ノードに割り当てる色における各前記基準色の成分の大きさを、そのノードに割り当てられている前記諸元ベクトルがその基準色に対応するパラメータについて示す値を用いて決定する、付記1から3いずれか一項に記載のマップ画像生成装置。
(付記5)
前記マップ画像生成手段は、
前記成果物の所望の物性を表すターゲット情報を取得し、
前記ターゲット情報から得られる物性ベクトルと最も類似する前記物性ベクトルが割り当てられている前記ノードを識別可能なターゲット表示を、前記マップ画像に含める、付記1から4いずれか一項に記載のマップ画像生成装置。
(付記6)
前記マップ画像生成手段は、前記ターゲット表示に対応する前記ノードに割り当てられている前記諸元ベクトルが表す材料諸元を、前記ターゲット表示に含める、付記5に記載のマップ画像生成装置。
(付記7)
コンピュータによって実行される制御方法であって、
対象の工程で利用されうる複数パターンの材料それぞれについて、その材料の材料諸元を表す材料諸元情報と、その材料を用いて前記工程で生成されうる成果物の複数の物性それぞれについての物性量を示す物性情報とを取得する取得ステップと、
前記物性情報を用いて、マップ空間上の位置と、前記成果物の複数種類の物性それぞれの物性量に関する値を示す物性ベクトルとが各ノードに割り当てられている自己組織化マップを生成する自己組織化マップ生成ステップと、
前記マップ空間上に配置されている各前記ノードを表すマップ画像を生成するマップ画像生成ステップと、を有し、
前記マップ画像生成ステップにおいて、
各前記材料諸元情報を用いて、各前記ノードに対し、材料諸元に関する値を示す諸元ベクトルを割り当て、
前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づき、前記マップ画像において、各前記ノードのクラスタリング及び彩色の一方又は双方を行う、制御方法。
(付記8)
前記マップ画像生成ステップにおいて、
複数の前記材料諸元情報それぞれについて、その材料諸元情報に対応する前記物性情報から得られる前記物性ベクトルと最も類似する前記物性ベクトルが割り当てられている前記ノードを特定し、
各前記特定されたノードの前記マップ空間における配置と、各前記特定されたノードに割り当てられた前記諸元ベクトルとに基づく補間処理を行うことで、各前記特定されたノード以外の前記ノードに割り当てる前記諸元ベクトルを算出する、付記7に記載の制御方法。
(付記9)
前記マップ画像生成ステップにおいて、
各前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づいて、各前記ノードのクラスタリングを行い、
前記マップ画像に、各クラスタを互いに識別可能な表示を含める、付記7又は8に記載の制御方法。
(付記10)
前記マップ画像において、各前記ノードの色は、その色を構成する1つ以上の基準色の成分の大きさによって決定され、
前記マップ画像生成ステップにおいて、前記ノードに割り当てる色における各前記基準色の成分の大きさを、そのノードに割り当てられている前記諸元ベクトルがその基準色に対応するパラメータについて示す値を用いて決定する、付記7から9いずれか一項に記載の制御方法。
(付記11)
前記マップ画像生成ステップにおいて、
前記成果物の所望の物性を表すターゲット情報を取得し、
前記ターゲット情報から得られる物性ベクトルと最も類似する前記物性ベクトルが割り当てられている前記ノードを識別可能なターゲット表示を、前記マップ画像に含める、付記7から10いずれか一項に記載の制御方法。
(付記12)
前記マップ画像生成ステップにおいて、前記ターゲット表示に対応する前記ノードに割り当てられている前記諸元ベクトルが表す材料諸元を、前記ターゲット表示に含める、付記11に記載の制御方法。
(付記13)
コンピュータに、
対象の工程で利用されうる複数パターンの材料それぞれについて、その材料の材料諸元を表す材料諸元情報と、その材料を用いて前記工程で生成されうる成果物の複数の物性それぞれについての物性量を示す物性情報とを取得する取得ステップと、
前記物性情報を用いて、マップ空間上の位置と、前記成果物の複数種類の物性それぞれの物性量に関する値を示す物性ベクトルとが各ノードに割り当てられている自己組織化マップを生成する自己組織化マップ生成ステップと、
前記マップ空間上に配置されている各前記ノードを表すマップ画像を生成するマップ画像生成ステップと、を実行させ、
前記マップ画像生成ステップにおいて、
各前記材料諸元情報を用いて、各前記ノードに対し、材料諸元に関する値を示す諸元ベクトルを割り当て、
前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づき、前記マップ画像において、各前記ノードのクラスタリング及び彩色の一方又は双方を行う、非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記14)
前記マップ画像生成ステップにおいて、
複数の前記材料諸元情報それぞれについて、その材料諸元情報に対応する前記物性情報から得られる前記物性ベクトルと最も類似する前記物性ベクトルが割り当てられている前記ノードを特定し、
各前記特定されたノードの前記マップ空間における配置と、各前記特定されたノードに割り当てられた前記諸元ベクトルとに基づく補間処理を行うことで、各前記特定されたノード以外の前記ノードに割り当てる前記諸元ベクトルを算出する、付記13に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記15)
前記マップ画像生成ステップにおいて、
各前記ノードに対する前記諸元ベクトルの割り当てに基づいて、各前記ノードのクラスタリングを行い、
前記マップ画像に、各クラスタを互いに識別可能な表示を含める、付記13又は14に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記16)
前記マップ画像において、各前記ノードの色は、その色を構成する1つ以上の基準色の成分の大きさによって決定され、
前記マップ画像生成ステップにおいて、前記ノードに割り当てる色における各前記基準色の成分の大きさを、そのノードに割り当てられている前記諸元ベクトルがその基準色に対応するパラメータについて示す値を用いて決定する、付記13から15いずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記17)
前記マップ画像生成ステップにおいて、
前記成果物の所望の物性を表すターゲット情報を取得し、
前記ターゲット情報から得られる物性ベクトルと最も類似する前記物性ベクトルが割り当てられている前記ノードを識別可能なターゲット表示を、前記マップ画像に含める、付記13から16いずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記18)
前記マップ画像生成ステップにおいて、前記ターゲット表示に対応する前記ノードに割り当てられている前記諸元ベクトルが表す材料諸元を、前記ターゲット表示に含める、付記17に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0091】
この出願は、2021年3月18日に出願された日本出願特願2021-044486を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0092】
10 材料諸元情報
20 物性情報
30 自己組織化マップ
40 マップ画像
42 ターゲット表示
60 材料
70 成果物
100 テーブル
102 材料識別情報
104 材料諸元
200 テーブル
202 成果物識別情報
204 物性
300 テーブル
302 位置
304 物性ベクトル
306 材料識別情報
308 諸元ベクトル
500 コンピュータ
502 バス
504 プロセッサ
506 メモリ
508 ストレージデバイス
510 入出力インタフェース
512 ネットワークインタフェース
2000 マップ画像生成装置
2020 取得部
2040 自己組織化マップ生成部
2060 マップ画像生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12