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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】生体細胞磁気検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/10 20060101AFI20241204BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
G01R33/10
G01R33/02 K
G01R33/02 R
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024171492
(22)【出願日】2024-09-30
【審査請求日】2024-10-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】713000630
【氏名又は名称】マグネデザイン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】本蔵 義信
(72)【発明者】
【氏名】本蔵 晋平
(72)【発明者】
【氏名】疋島 充
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-89894(JP,A)
【文献】特開2020-159871(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2024-0013129(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0034684(US,A1)
【文献】都筑 裕汰郎,小型高感度磁気センサnTメータの開発,第48回 日本磁気学会学術講演会(2024/9/24-27),24pB-4,日本,2024年09月10日,p.1-14,https://magnedesign.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/09/%EF%BC%91%EF%BC%89240924-MSJ-%E5%B0%8F%E5%9E%8B%E9%AB%98%E6%84%9F%E5%BA%A6%E7%A3%81%E6%B0%97%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5nT%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%AE%E9%96%8B%E7%99%BA.pdf
【文献】疋島 充 ほか,磁気センサ nT meter による微小磁性粒子の検知,第48回 日本磁気学会学術講演会(2024/9/24-27),24pB-5,日本,2024年09月10日,p.1-10,https://magnedesign.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/09/%EF%BC%92%EF%BC%89240924-MSJ-%E7%A3%81%E6%B0%97%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5nTmeter%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%BE%AE%E5%B0%8F%E7%A3%81%E6%80%A7%E7%B2%92%E5%AD%90%E3%81%AE%E6%A4%9C%E5%87%BA
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
G01N 27/72
G01N 33/483
G01V 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞体を入れる容器部と微小磁界測定装置とを備える生体細胞磁気検出装置において、
前記容器部は、前記細胞体を入れる非磁性の容器と、前記容器を固定する容器固定部とからなり、
前記容器は、円筒すり鉢状の形状にてすり鉢の先端部は直径5mm以下にて、前記先端部の底部の厚さは0.1mm以下よりなり、
前記微小磁界測定装置は、検出力1nT以下を有するnTセンサよりなり、そのnTセンサのセンサ素子の感磁体はCo系のアモルファス磁性ワイヤからなり、その大きさは直径15μm以下、長さ2mm以下で、しかも前記感磁体の先端は前記nTセンサの先端部に配置されており、
前記センサ素子よりなると前記nTセンサは、前記容器の下方に設置されたnTセンサ固定部に設置され、
前記nTセンサ固定部は、前記センサ素子と前記容器の先端部との位置を調整する位置調整部を備えてなり、
前記位置調整部は、前記センサ素子の長さ方向と前記容器の底面とが垂直に向き合うように直角度を調整する角度調整機構と、前記センサ素子の位置と前記容器の先端部の位置とをXY軸(センター)およびZ軸(距離)の移動装置を使って調整する位置調整機構からなり、
細胞体から発する磁気信号を検知することを特徴とする生体細胞磁気検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記nTセンサの前記センサ素子が複数個のグリッド素子からなることを特徴とする生体細胞磁気検出装置。















【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
身体の健康のために身体に電極を取り付けて測定する心電図や脳波計などとして診断することが広く行われている。さらに詳細に身体内部の情報を把握するために高感度磁気センサを使って測定し、心磁図や脳磁図を計測して診断することが試みられている。
【0002】
医学の基礎研究の現場では、細胞体に電極を差し込み、細胞が発する電位波形を測定して細胞体の活性度を研究している。細胞体の電位の変化によって電流が流れ磁界が発生している。非特許文献1から、その磁界変化と電位変化は対応している(図1)ことが知られており、非接触で測定が可能な、生体細胞磁気検出装置の開発が期待されている。
細胞は20μm程度の大きさで、細胞体は数ミリ程度の大きさである。細胞体から発するnTレベルの微小磁界を検出するためには、小型サイズで高感度の磁気センサ(以下、nTセンサという。)の開発が期待されている。ここで、細胞体全体が発する磁界およびその中で強く磁界を発している特定の細胞を同定して測定できることが好ましい。
【0003】
特許文献1および非特許文献1において、素子の長さ10mmの磁気センサ(この場合に用いた磁気センサはMIセンサである。)を使って、素子を長手方向に細胞体を入れた容器と平行に配置(図2)して、生体磁気を測定して、磁気信号と電気信号とは対応していることが報告している。細胞体全体として発する磁界信号は測定できるが、強く磁界を発している細胞やその位置は同定できない。また容器に入れられた細胞体とセンサの距離が0.6mmから1mmと大きく、細胞体が発する磁界を精度よく測定することは困難である。
【0004】
特許文献2において、素子の長さ2mm以下(この場合に用いた磁気センサはGSRセンサである。)とし、細胞体とセンサを平行に配置(図3)して、その距離を0.3mm以下に保つことで、測定感度を増加せしめている。そして素子をグリッド状に配置して細胞体全体が発する磁界を測定し、画像処理することで強く磁界を発している細胞を同定する発明である。しかし、素子を容器底部と平行に配置するために、20μm程度の特定細胞を同定することは困難である。素子の長さを短くするとnTセンサの感度が低下してしまうので、この配置では限界がある。
【0005】
しかしながら特許文献2において、素子と容器底部を垂直に配置した構造(図4)が開示されている。明細書にはその構造も可能とのコメントがあるが、それ以上の情報は記載されていない。明細書と記載された図から判断すると、容器底部の厚み160μm、センサ被覆部80μm、素子先端とセンサ先端との間隙60μより合計300μmと推認される。この距離は特許請求の範囲に記載の300μm以下に合致している。
磁性ワイヤの長さは1mmとすると、素子の測定位置は中央部と考えると、底部からさらに500μm離れているので、合計800μmとなり、精度よく磁界が測定できないことが想定される。
【0006】
特許文献3には、アモルファス磁性ワイヤをCo系合金に変更してセンサの感度を改善したものであるが、本発明において可能な限り性能の優れた小型高感度センサを採用することが好ましい。
【0007】
以上より現在の技術では、20μm程度の細胞と数mmの大きさの細胞体が発する磁界を検出することは困難である。本発明は、すでに開発されて市販されているnTセンサを前提に、nTセンサの配置および細胞体とセンサ素子との位置関係を工夫することで、この問題を解決したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-89894号公報
【文献】特許第7329783号
【文献】特許第7474968号
【非特許文献】
【0009】
【文献】中山 晋介、内山 剛 nature SCINTIFIC REP0RTS pp1~9 (06.March,2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、20μmサイズの細胞が発する磁界を検出するために、nTセンサ(以下、センサと略称する。)の感磁体である磁性ワイヤの直径が5μm、長さ1mmを考慮して、素子を容器底に垂直に充てることに思い至り、その可能性について検討した。この場合の予想される課題は、
第1の課題は、細胞体とセンサ先端の距離との関係である。細胞体が発する磁界は距離の二乗に比例して減衰する。細胞とセンサ素子との距離をどの程度にすべきかを調査することである。
【0011】
第2の課題は、センサは、センサ素子の長さの中央部の位置の磁界とセンサ出力電圧を対比して、磁界強度とセンサ出力電圧の検量線を作成して、センサの検出力としている。センサ素子を縦方向に配置すると、素子中央部と細胞体との距離が大きくなり、測定すべき磁界強度が低下して測定精度が悪くなることが予想される。
そこで、センサ素子の長さとセンサの検出力の関係を把握して、センサ長さを決定することである。
【0012】
第3の課題は、1個のセンサ素子で生体磁気を検出できることが確認できた場合、それをグリッド状に配置して、細胞体から発する磁界分布を求めて、強く磁界を発している細胞を特定できる装置を考案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、Co合金系のアモルファスワイヤを採用したGSRセンサタイプのnTセンサのセンサ素子の長さを1mmから10mmまで変化させたものを試作して、大きさが1mm~20mmの細胞体から発せられる磁界を測定した。
その結果は、図5に示すように、細胞からセンサ素子までの距離を離すと測定磁界の強さが大幅に低下することが分かる。高い精度を維持するためには、少なくとも両者の距離を100μm以下に保つ必要がある。
【0014】
以上の研究結果を踏まえて、本発明者らは、両者の距離を最短にするために、容器の底部の厚みを100μm以下の容器を考案した。
【0015】
また、センサ素子の先端まで感磁体である磁性ワイヤを長くし(図6)、かつセンサ素子をnTセンサの先端部に配置(図7)することにした。これにより磁性ワイヤの先端が容器底部と接触させることが可能となり、両者の距離は容器の底部の厚みだけとなる。
なお、Co系合金は対腐食性に優れているので、磁性ワイヤ先端をそのまま露出させることが可能である。
これにより第1の課題を解決した。
【0016】
第2の課題については、nTセンサの測定値は、センサ素子の中央部の磁界を測定して、その値をnTセンサの測定値としている。センサ素子の長さ1mmとすると、センサ素子の中央部は容器の底部から0.5mm離れていることになり、測定値が大幅に低下し、高い精度を得ることができないのではないかとの恐れがある。
【0017】
そこで、センサ素子の長さを1mm~10mmまで変えて、容器の底部にセンサ素子を接触させて測定したところ、その長さが2mm以下の場合、容器の底部の磁界と測定値はほとんど同じであることが分かった(図8中の(a)線)。比較のために、センサ素子の中央部の位置の磁界を測定していると想定した場合、図8中の(b)線が示す値となるはずであるが、実際の測定値はそれより大幅に大きい。
つまり、センサ素子を容器の底部に接触させて、2mm以下の長さのセンサ素子を採用すれば、垂直方向に容器の底部に接触させて磁界測定すると、接触点の磁界強度でもって測定できることを発見した。
これによりセンサ素子を容器の底部に垂直に当てて、垂直方向に測定することの優位性が確認できた。
【0018】
第3の課題について、センサ素子のコイル幅は40μm程度であるので、理論的にはセンサ素子の間隔を0.1mm以上に配置することは可能である。
素子グリッドについては、原理確認タイプは、1個のセンサ素子を容器の底部中央に垂直に接触するように配置するもの(図9)から、グリッドサイズを3.5mm×3.5mmとして、2×2個、3×3個、4×4個と増加させ、最大20×20個まで可能(図10)である。グリッド素子数が増えるほど、細胞体が発する磁界測定分布と強く磁界を発している特定細胞の同定が正確になる。
【0019】
本発明は、GSRセンサタイプのnTセンサのセンサ素子の磁性ワイヤの直径を15μm以下、長さを2mmとして、磁性ワイヤの端部をセンサの端部に配置して、容器の底部に対して、センサ素子を垂直に配置し、かつ容器の底部の厚みを0.1mm以下として、細胞体とセンサ素子の端部との距離を極力小さくすることによって、実現した装置(図11)である。さらに、センサ素子をグリッド状に配置して、細胞体全体から発する磁界を把握して、そこから強く磁界を発する細胞を細胞体全体から同定することが可能な装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、細胞体から発する生体磁界の測定が可能となり、電極を差し込んで細胞体の活性度を検査する現在の方法に比べて、本発明は非接触であるため大幅に検査を簡素化できる。さらに強く磁界を発している20μmサイズの細胞を同定することも可能である。細胞の活性度を研究している医療分野の基礎研究において特に有効な装置であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】電位変化と磁界変化が対応していることを示す図である。
図2】細胞体と長さ10mmのセンサ素子よりなる磁気センサとは並行配置を示す図である。
図3】磁気顕微鏡のセンサ素子は並行配置を示す図である。
図4】磁気顕微鏡のセンサ素子は垂直配置を示す図である。
図5】磁界の強さに及ぼす細胞とセンサ素子との距離の影響を示す図である。
図6】磁性ワイヤをセンサ素子の先端に配置している図である。
図7】センサ素子が容器の底部に接触して配置していることを示す図である。
図8】測定磁界に及ぼすセンサ素子の長さの影響を示す図である。
図9】容器の底部中央に接触して配置した1個のセンサ素子を示す図である。
図10】容器の底部中央に接触して配置したグリッド状の複数個のセンサ素子(グリッド素子)を示す図である。
図11】生体細胞磁気検出装置の概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の生体細胞磁気検出装置は、
細胞体を入れる容器部と微小磁界測定装置とを備え、
前記容器部は、前記細胞体を入れる非磁性の容器と、前記容器を固定する容器固定部とからなり、
前記容器は、円筒すり鉢状の形状にてすり鉢の先端部は直径5mm以下にて、前記先端部の底部の厚さは0.1mm以下よりなり、
前記微小磁界測定装置は、検出力1nT以下を有するnTセンサよりなり、そのnTセンサのセンサ素子の感磁体はCo系のアモルファス磁性ワイヤからなり、その大きさは直径15μm以下、長さ2mm以下で、しかも前記感磁体の先端は前記nTセンサの先端部に配置されており、
前記センサ素子よりなると前記nTセンサは、前記容器の下方に設置されたnTセンサ固定部に設置され、
前記nTセンサ固定部は、前記センサ素子と前記容器の先端部との位置を調整する位置調整部を備えてなり、
前記位置調整部は、前記センサ素子の長さ方向と前記容器の底面とが垂直に向き合うように直角度を調整する角度調整機構と、前記センサ素子の位置と前記容器の先端部の位置とをXY軸(センター)およびZ軸(距離)の移動装置を使って調整する位置調整機構からなり、
細胞体から発する磁気信号を検知することを特徴とする。
【0023】
また、前記nTセンサの前記センサ素子が複数個のグリッド素子からなることを特徴とする。
【0024】
また、各装置は、非磁性素材からなることを特徴とする。
【0025】
以下、生体細胞磁気検出装置について、主として図11を用いて詳細に説明する。
生体細胞磁気検出装置3は、細胞体を入れる容器部31と容器部31の下位に配置されている微小磁界測定装置32からなる。
【0026】
<容器部>
容器部41は、非磁性の容器411とその容器411を固定する容器固定部312とからなる。容器411には、生体細胞(以下、細胞という。)の集合体である細胞体4110とその培養液4111を入れる。容器固定部412は、微小磁界測定装置42による測定中は容器411が動かないように固定する。
【0027】
容器411の形状は、図9~11に例示するように、上部は広くかつ先端部は絞られて小さな底部からなる円筒すり鉢状である。細胞体4110と培養液4111を容器に入れ易くなるとともに測定のための細胞体4110を先端部の底部中央に集中させるためである。
従って、円筒すり鉢状の容器411の大きさは、上部は直径10mm~15mm程度にて、先端部は直径5mm以下が好ましい。先端部の底部の厚さは0.1mm以下である。このようにして数mm程度の細胞体3110が厚さ0.1mm以下の底部の上に存在することになる。
容器411の材質は、SUS304に代表される非磁性金属材料やプラスティック、硬質ビニールなどの有機材料がある。
【0028】
<微小磁界測定装置>
微小磁界測定装置42は、nTセンサ421とそのnTセンサ421を固定するnTセンサ固定部422とからなる。
nTセンサ421は、検出力1nT以下を有しており、nTセンサ421のセンサ素子4211の感磁体はCo系のアモルファス磁性ワイヤよりなる。その磁性ワイヤの直径は15μm以下であり、好ましくは2μm~10μmである。その長さは2mm以下である。好ましくは0.5mm~1.8mmである。コイルピッチは0.5μmから3μmである。コイル巻き数は80回~1000回である。センサ素子3211を1個用いる場合からグリッド素子化する場合に、グリッド素子の個数に対応して磁性ワイヤの直径と長さが決められるためである。
感磁体の先端は、センサ素子4211の先端であるnTセンサ421の先端部に配置されている。
【0029】
<nTセンサ固定部>
nTセンサ固定部422は、容器41の下方に設置され、センサ素子4211よりなるnTセンサ421を固定している。そして、センサ素子4211と容器411の先端部との位置を調整する位置調整部422を備えている。
【0030】
<位置調整部>
位置調整部422は、角度調整機構4221と位置調整機構4222とからなる。
角度調整機構4221は、センサ素子4211の長さ方向と容器41の底面とが垂直に向き合うように直角度を調整する機構である。直角にすることにより、細胞体4110から発せられる磁気信号を精度高く検出することができる。
位置調整機構4222は、センサ素子4211の位置と容器41の先端部の位置をXY軸により容器センターに移動し、およびZ軸(距離)の移動装置により素子先端を接触または微小量に調整する機構である。容器31の底部の上には細胞体4110があり、厚さ0.1mm以下の底部を隔ててセンサ素子4211が接触している。
【0031】
これにより、センサ素子4211の感磁体である15μm以下の磁性ワイヤの先端と大きさが数mmよりなる細胞体4110を構成する大きさが20μmの1個の細胞からの磁気信号を検出し、各細胞の磁気信号から細胞体4110の磁界測定分布を得ることができる。また、強く磁界を発する細胞を細胞体全体から特定することもできる。
さらに、グリッド状に配置されたセンサ素子4211を用いることにより、細胞体が発する磁界測定分布と強く磁界を発している特定細胞の同定が、速く容易にして正確なる。
【0032】
本発明の微小磁界検出装置の性能は、数mmの細胞体が発する微小磁界0.1nT~50nTを測定することができ、細胞体の活性度を非接触で計測することができる。
【0033】
上述のように、生体細胞磁気という微小磁界を計測することから、容器の非磁性はもちろんのこと、各装置や部材は非磁性素材からなることは言うまでもない。
【実施例
【0034】
本実施例の生体磁気検出装置および検出結果は、次のとおりである。
容器は、ビニール樹脂からからなる円筒すり鉢状にて、円筒部分の直径は12mm、全体の高さは18mm、すり鉢の先端部の直径は4mm、そして底部の厚さは0.05μmである。
容器固定部は、硬質プスティック材料からなる直径30mm、高さ15mmにて中央部には容器が固定するように円筒すり鉢状に穴が形成されている。この穴に容器は装入・固定される。
微小磁界測定装置のnTセンサは検出力0.2nTの検出力を有している。そのセンサ素子の感磁体として、Co系のアモルファス磁性ワイヤを用い、磁性ワイヤの直径は5μm、長さ1mmである。
nTセンサ固定部は、容器の下方に設置されており、nTセンサが固定されるとともに角度調整機構と位置調整機構からなる位置調整部が備えられている。
そして、容器固定部とnTセンサ固定部とは非磁性の治具により組み立てられている。
【0035】
この生体磁気検出装置の容器に15μm~20μmの細胞からなる大きさ2.0mmの細胞体を培養液と一緒にいれて測定した結果、細胞体から発する磁気信号を検出することができた。この磁気信号を処理して、細胞体が発する磁界測定分布と強く磁界を発している特定細胞を同定することができた。
【産業上の利用可能性】
【0036】
生きた細胞体の活性度をこれまでの方法、電極を差し込んで電位の変動を見る電気触診方から、非接触で測定できる細胞磁気検知法の優位性を考慮するならば、医療現場の基礎研究に広く使用されるようになることが期待される。
【符号の説明】
【0037】
1:センサ素子
12:感磁体(磁性ワイヤ)
2:センサ装置
20:細胞体
201:培養液
202:容器底部
21:センサ素子
22:nTセンサ
23:基板上の配線
3:1個のセンサ素子
31:容器
311:容器の底部
32:センサ素子
4:生体細胞磁気検出装置
41:容器部
411:容器
4110:細胞体
4111:培養液
412:容器固定部
42:微小磁界測定装置
421:nTセンサ
4211:センサ素子
422:位置調整部
4221:角度調整機構
4222:位置調整機構





























【要約】
【課題】生体細胞磁気検出装置
【解決手段】
本発明は、nTメータのセンサ素子の先端直径を細胞のサイズ20μm並みの15μm以下とし、しかも細胞体の数mmの大きさに合わせて直径5mmのグリッドセンサと構成したものである。これにより、細胞から発する微小磁界0.1nT~50nTを検知して、細胞体の活性度の研究に寄与する装置である。
【選択図】 図11






































図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11