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特許7598133溶融結晶化を用いた高純度グラブリジンの製造方法
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  • 特許-溶融結晶化を用いた高純度グラブリジンの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】溶融結晶化を用いた高純度グラブリジンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/04 20060101AFI20241204BHJP
   A61K 31/35 20060101ALI20241204BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241204BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20241204BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241204BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241204BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
C07D493/04
A61K31/35
A61P17/00
A61P3/06
A61P15/00
A61P35/00
A61P9/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024089451
(22)【出願日】2024-05-31
【審査請求日】2024-06-03
(31)【優先権主張番号】202311064877.2
(32)【優先日】2023-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524074563
【氏名又は名称】広州梵之容化粧品有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangzhou Fanzhirong Cosmetics Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】1101-04, Huangpu Institute of Advanced Materials, Changchun Institute of Applied Chemistry, Chinese Academy of Sciences , Building 22, No. 388 Lianyun Road, Huangpu District, Guangzhou, Guangdong, China
(73)【特許権者】
【識別番号】524208881
【氏名又は名称】広州青嚢生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangzhou Qingnang Biotechnology Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】1101-03, Huangpu Institute of Advanced Materials, Changchun Institute of Applied Chemistry, Chinese Academy of Sciences, Building 22, No.388 Lianyun Road, Huangpu District, Guangzhou City, Guangdong Province, 510000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】李 安章
(72)【発明者】
【氏名】王 安寧
(72)【発明者】
【氏名】程 路詩
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112778323(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110922413(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109081843(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104861015(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104725394(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101735233(CN,A)
【文献】特開2006-213722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 493/04
A61K 31/35
A61P 17/00
A61P 3/06
A61P 15/00
A61P 35/00
A61P 9/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融結晶化を用いた高純度グラブリジンの製造方法であって、
グラブリジンの含有量が40質量%以上のグラブリジン粗品を溶媒で溶解し、その後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着し、次にエタノールで洗浄し、再結晶化してグラブリジン粗製材料を得る、精製のステップ1)と、
上記で製造されたグラブリジン粗製材料を溶融結晶化装置に加えて、液体状態になるまで溶融温度で溶融する、加熱溶融のステップ2)と、
降温速度を10℃/h~30℃/h、降温最終温度を155℃~160℃にして、ステップ2)のグラブリジン粗製材料を降温し、保温時間0.5~4hで保温し、グラブリジンを結晶化し、結晶化していない残液を収集して次のバッチの原料に再利用する、降温結晶化のステップ3)と、
未結晶化母液を排出した後、結晶を発汗し、昇温速度を1~15℃/hにして、発汗最終温度を160℃~168℃に昇温し、保温時間0.5~2hで保温し、発汗液を排出して、次のバッチの原料として再利用する、発汗のステップ4)と、
発汗液を排出した後、加熱して温度を175℃以上に上昇し、すべての材料を溶融し、溶融液を収集して、次の段階の結晶化の供給材料とする、材料溶融のステップ5)と、
ステップ3)~5)の操作を繰り返して多段結晶化を行い、溶融液を収集して、冷却し結晶化し、超高純度グラブリジンとして純度が99.9%を超えるグラブリジンを得るステップ6)と、を含む、ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
ステップ6)における多段は、2段以上の多段結晶化を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ3)では、前記降温速度は15℃/h~20℃/hである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ3)では、前記降温最終温度は156℃~159℃である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ3)では、前記保温時間は1~3hである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ4)では、前記昇温速度は5℃/h~10℃/hである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ4)では、前記発汗最終温度は162℃~166℃である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップ4)では、前記保温時間は1~1.5hである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
溶融結晶化を用いた高純度グラブリジンの製造方法であって、
グラブリジンの含有量が40質量%以上のグラブリジン粗品を溶媒で溶解し、その後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着し、次にエタノールで洗浄し、再結晶化してグラブリジン粗製材料を得るステップと、
上記で製造されたグラブリジン粗製材料を溶融結晶化装置に投入し、材料がすべて液体状態に溶融するまで昇温し、10℃/h~30℃/hの降温速度で降温し、降温最終温度を155℃~160℃にし、0.5h~4h保温するステップと、
母液を排出し、次に、1℃/h~15℃/hの昇温速度で材料を160℃~168℃に昇温し、0.5h~2h保温することで、発汗を行うステップと、
発汗液を排出し、175℃以上に昇温し、加熱溶融して材料を排出し、溶融液を収集して2段結晶化を行い、最後に溶融液を収集して、冷却し結晶化し、超高純度グラブリジンを得るステップと、を含む、ことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学精製の技術分野に関し、具体的には、溶融結晶化を用いた高純度グラブリジンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カンゾウは、主に中国の西部地域に分布しており、中国で古くから使用されてきた伝統的な漢方薬材料であり、伝統的な中国医学では、カンゾウには、脾臓を強壮にし、気を補充し、熱を取り除き、解毒し、痰を取り除いて咳を和らげ、急症を緩和し痛みを止め、さまざまな薬を調整する効果があると信じられている。西洋諸国では、カンゾウは、主に矯味剤、タバコ添加物や去痰薬として使用されている。「中華人民共和国薬局方」によって認められているカンゾウ生薬の原植物は3種類あり、すなわち、ウラルカンゾウ、グリチルリーザ・インフラータ、及びスペインカンゾウの乾燥根及び根茎であり、このうち、スペインカンゾウは、耐塩性限界が10%未満で、耐干ばつ性が悪いため、分布が散在し、収量も最も低く、新疆のみで生産されている。
【0003】
グラブリジン(Glabridin)は、スペインカンゾウに含まれる特有のイソフラボン成分で、複数の美白効果を兼ね備え、安全性が高く、現在では、「美白の黄金」として化粧品業界で広く使用されている。近年の研究の継続により、グラブリジンには抗酸化作用やメラニン抑制作用に加えて、抗血中脂質作用、抗乳がん作用、抗アテローム性動脈硬化作用などもあることがわかってきた。グラブリジンの化学構造式は次のとおりである。
【化1】
【0004】
グラブリジンは、現在、化学合成又は生合成できず、スペインカンゾウの根からのみ抽出できる。スペインカンゾウに含まれるグラブリジンの含有量は1000分の2程度しかないため、高純度グラブリジンを抽出するには手順が非常に煩雑で高価である。市販されているグラブリジンの主な規格は、グラブリジンの含有量が40%と90%であるが、粗抽出により40%の純度を達成させやすいが、40%規格のグラブリジン製品は、黄色であるので、化粧品に配合するとメイクの色に影響を与えるため、ハイエンドの顧客には、必然的に無色で高純度のグラブリジンが求められる。90%規格のグラブリジンは、白色であるが、90%以上の純度を達成するには複数回の再結晶が必要となり、再結晶回数が多いほど純度は高くなり、98%以上に達する場合もあるが、生産コストがその分高くなる。
【0005】
高純度グラブリジンは不足しており、純度95%(高速液体クロマトグラフィーHPLCにより測定)のグラブリジンは1kgあたり40万元という高値で市販されている。しかし、現在の中国国内の生産プロセスではこの純度の製品を達成することが難しく、生産の時にはクロロホルムやメタノールなどの有毒な有機溶媒が使用されることが多い。溶融結晶化技術は、溶媒を使用しない、エネルギー消費量が少ない、装置が小型である、高純度製品が得られるなどの利点があり、有機化合物の分離精製分野で広く用いられている。その原理は、被分離物質の各成分の凝固点の差を利用して、熱の供給及び排出を制御し、溶融液から被分離成分を結晶化させ、洗浄や発汗などの操作を経て目的成分を分離して精製する結晶化技術である。統計によると、現在、何十万トンもの有機化合物が溶融結晶化によって分離、精製されている。例えば、99.99質量%のパラジクロロベンゼンの生産規模は17,000トン/年、99.95%のパラキシレンの生産規模は70,000トン/年、ビスフェノールAの生産規模は15,000トン/年に達する。
【0006】
したがって、溶融結晶化法を用いた簡便かつ低コストで比較的安全なグラブリジンの精製方法を確立することは、非常に重要な社会的意義と経済的価値を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
製造された製品の純度が低い、大量の溶媒が消費される、エネルギー消費量が大きいという上記グラブリジンの精製プロセスの技術的課題に対して、本発明は、溶融結晶化技術によってグラブリジンを精製し、また、プロセスのニーズに応じて、2段以上の結晶化を利用することができる、溶融結晶化を用いたグラブリジンの精製方法を提供し、本発明の技術的解決手段で得られたグラブリジン生成物は、純度99.9%以上である。該方法は、操作されやすく、溶媒を必要とせず、製品の純度が高く、環境にやさしく、エネルギー消費量が低いという特徴があり、高純度グラブリジンに対する高い市場需要に適しており、強力な市場競争上の優位性を持っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、以下の技術的解決手段を採用する。
【0009】
溶融結晶化を用いた高純度グリチルリチンの製造方法であって、
グリチルリチンの含有量が40質量%以上のグリチルリチン粗品を溶媒で溶解し、その後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着し、次にエタノールで洗浄し、再結晶化してグリチルリチン粗製材料を得る、精製のステップ1)と、
上記で製造されたグリチルリチン粗製材料を溶融結晶化装置に加えて、液体状態になるまで溶融温度で溶融する、加熱溶融のステップ2)と、
降温速度を10℃/h~30℃/h、降温最終温度を155℃~160℃にして、ステップ2)のグリチルリチン粗製材料を降温し、0.5~4h保温し、グリチルリチンを結晶化し、結晶化していない残液を収集して次のバッチの原料に再利用する、降温結晶化のステップ3)と、
未結晶化母液を排出した後、結晶を発汗し、昇温速度を1~15℃/hにして、160℃~168℃に昇温し、0.5~2h保温し、発汗液を排出して、次のバッチの原料として再利用する、発汗のステップ4)と、
発汗液を排出した後、加熱して温度を175℃以上に上昇し、すべての材料を溶融し、溶融液を収集して、次の段階の結晶化の供給材料とする、材料溶融のステップ5)と、
ステップ3)~5)の操作を繰り返して多段結晶化を行い、溶融液を収集して、冷却し結晶化し、超高純度グリチルリチンとして純度が99.9%を超えるグリチルリチンを得るステップ6)と、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、ステップ1)では、前記溶媒は、ブタンジオール、プロピレングリコールから選択される1種である。
【0011】
いくつかの実施形態において、ステップ1)では、前記再結晶化溶媒は、エタノール、メタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタンジオール、プロピレングリコールから選択される1種である。
【0012】
いくつかの実施形態において、ステップ1)では、前記再結晶化溶媒はプロパノールである。
【0013】
いくつかの実施形態において、ステップ3)では、前記降温速度は15℃/h~20℃/hである。
【0014】
いくつかの実施形態において、ステップ3)では、前記降温最終温度は156℃~159℃である。
【0015】
いくつかの実施形態において、ステップ3)では、前記保温時間は1~3hである。
【0016】
いくつかの実施形態において、ステップ4)では、前記昇温速度は5℃/h~10℃/hである。
【0017】
いくつかの実施形態において、ステップ4)では、前記発汗温最終温度は162℃~166℃である。
【0018】
いくつかの実施形態において、ステップ4)では、前記保温時間は1~1.5hである。
【0019】
いくつかの実施形態において、溶融結晶化を用いたグラブリジンの精製方法であって、グラブリジンの含有量が40%を超えるグラブリジン粗品を溶融結晶化装置に投入し、材料がすべて液体状態に溶融するまで昇温し、10℃/h~30℃/hの降温速度で降温し、降温最終温度を155℃~160℃にし、0.5h~4h保温するステップと、母液を排出し、次に、1℃/h~15℃/hの昇温速度で材料を160℃~168℃に昇温し、0.5h~2h保温することで、発汗を行うステップと、発汗液を排出し、175℃以上に昇温し、加熱溶融して材料を排出し、溶融液を収集して2段結晶化を行い、最後に溶融液を収集して、冷却し結晶化し、超高純度グラブリジンを得るステップと、を含む、ことを特徴とする。
【0020】
いくつかの実施形態において、ステップ1)では、前記グラブリジン粗品は、市販品、又は抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶化、分取液相、マクロ多孔質吸着樹脂を用いた分離方法により得られたグリチルリチン粗品である。
【0021】
プロセスのニーズに応じて、2段以上の結晶化が使用されてもよい。2段結晶化が使用される場合、1段母液は2段結晶化装置に入り、1段発汗液は原料として1段結晶化装置に戻り、1段結晶化装置から1段製品が得られ、2段発汗液は1段母液と混合して再度2段結晶化装置に送られ、2段製品は原料、1段発汗液と混合して再度1段結晶化装置に送られる。
【0022】
本発明の方法によるグラブリジンの分離精製は、(グラブリジンの含有量は40%以上、好ましくは80%以上)のグラブリジン粗品に適用することができ、本発明のプロセスにおける原料が分離プロセスに入ると、母液が再結晶化されて得られた2段母液を除いて、他のステップで得られた材料は、すべて1段原料や2段原料として利用可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の利点及び有益な効果は以下の通りである。
1.本発明では、溶融結晶化を用いた精製により、99.9%以上の超高純度製品を得ることができる。この方法は、操作されやすく、大量の溶媒を必要とせず、製品の純度が高く、環境にやさしく、エネルギー消費量が低いという特徴があり、環境にやさしい分離精製プロセスであり、高純度グラブリジンに対する高い市場需要に適しており、強力な市場競争上の優位性を持っている。
2.本発明のグラブリジンは、2段母液を除いて、すべてリサイクル可能であるので、原料利用率が高い。
【0024】
なお、本発明の説明において、「第1」及び「第2」という用語は、説明の目的にのみ使用されるものであり、相対的重要性を指示若しくは暗示するもの、又は示された技術的特徴の数を暗示するものとは理解されない。したがって、「第1」、「第2」に限定される特徴は、明示的又は暗黙的に1つ又は複数の当該特徴を含むことができる。本発明の説明において、「複数」とは、別段の明示的かつ具体的な限定がない限り、2以上を意味する。
【0025】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」などを参照した説明は、当該実施例又は例を参照して説明される特定の特徴、構造、材料、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の概略的な表現は、同じ実施例又は例を対象としていなければならないものではない。さらに、説明された特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において、適切な方法で組み合わされてもよい。さらに、当業者は、互いに矛盾することなく、本明細書に記載された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合したり組み合わせたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例1で製造された高純度グラブリジンのクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
当業者に本発明の技術的解決手段をより良く理解させるために、本発明をさらに詳細に説明するために、いくつかの非限定的な実施例が以下でさらに開示される。
【0028】
本発明に使用される試薬は、市場から入手することができるか、又は本発明に記載された方法によって調製することができる。
【0029】
本発明において、minは分を表し、hは時間を表し、gはグラムを表し、mLはミリリットルを表し、mgはミリグラムを表す。
【0030】
本発明においては、グラブリジンの含有量は「QBT4951-2016化粧品原料のスペインカンゾウの根抽出物」の高速液体クロマトグラフィー法を用いて検出される。
なお、本発明において、室温とは10℃~40℃を指す。
【0031】
本発明において、1パスの回収率とは、1段溶融結晶化で得られる高純度製品の品質/投入した粗品の質量×100%を指す。
【0032】
実施例1
500ml溶融結晶化装置に、グラブリジンの含有量が40.5%のグラブリジン粗品50gを投入し、プロピレングリコールで溶解し、その後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着し、次に90%のエタノールで洗浄し、洗浄液を収集して、減圧濃縮して溶媒の一部を除去し、さらに、プロパノール50mLを用いて室温で再結晶化し、濾過して結晶を収集し、乾燥し、グラブリジン粗製材料を得、材料がすべて液体状態に溶融するまでグラブリジン粗製材料を160℃に昇温し、20℃/hの降温速度で降温し、降温最終温度を158℃にして、2h保温した。母液を排出し、次に、10℃/hの昇温速度で材料を165℃に昇温し、1h保温することで、発汗を行った。発汗液を排出し、175℃以上に昇温し、加熱溶融して材料を排出し、溶融液を収集して2段結晶化を行い、最後に溶融液を収集して、冷却し結晶化し、超高純度グラブリジンを得た。製品の純度は99.94%、1パスの収率は74.5%であった。
【0033】
実施例2
500ml溶融結晶化装置に、グラブリジンの含有量が40.5%のグラブリジン粗品20gを投入し、プロピレングリコールで溶解し、その後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着し、次に95%のエタノールで洗浄し、洗浄液を収集して、減圧濃縮して溶媒の一部を除去し、さらに、プロパノール20mLを用いて室温で再結晶化し、濾過して結晶を収集し、乾燥し、グラブリジン粗製材料を得、材料がすべて液体状態に溶融するまでグラブリジン粗製材料を160℃に昇温し、10℃/hの降温速度で降温し、降温最終温度を158℃にして、2h保温した。母液を排出し、次に、5℃/hの昇温速度で材料を165℃に昇温し、1h保温することで、発汗を行った。発汗液を排出し、175℃以上に昇温し、加熱溶融して材料を排出し、溶融液を収集して2段結晶化を行い、最後に溶融液を収集して、冷却し結晶化し、超高純度グラブリジンを得た。製品の純度は99.96%、1パスの収率は52.0%であった。
【0034】
実施例3
500ml溶融結晶化装置に、グラブリジンの含有量が40.5%のグラブリジン粗品10gを投入し、ブタンジオールで溶解し、その後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着し、次に95%のエタノールで洗浄し、洗浄液を収集して、減圧濃縮して溶媒の一部を除去し、さらに、プロパノール15mLを用いて室温で再結晶化し、濾過して結晶を収集し、乾燥し、グラブリジン粗製材料を得、材料がすべて液体状態に溶融するまでグラブリジン粗製材料を165℃に昇温し、30℃/hの降温速度で降温し、降温最終温度を158℃にして、2h保温した。母液を排出し、次に、2℃/hの昇温速度で材料を165℃に昇温し、1h保温することで、発汗を行った。発汗液を排出し、175℃以上に昇温し、加熱溶融して材料を排出し、溶融液を収集して2段結晶化を行い、最後に溶融液を収集して、冷却し結晶化し、超高純度グラブリジンを得た。製品の純度は99.96%、1パスの収率は52.0%であった。
【0035】
反応条件の検討
実施例4
実施例1の方法に従って、グラブリジンの含有量が40.5%のグラブリジン粗品50gを、プロピレングリコールで溶解し、その後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着し、次に95%のエタノールで洗浄し、洗浄液を収集して、減圧濃縮して溶媒の一部を除去し、さらに、プロパノール50mLを用いて室温で再結晶化し、濾過して結晶を収集し、乾燥し、グラブリジン粗製材料を得、グラブリジン粗製材料を溶融して結晶化し、プロセスの条件が製品の純度、1パスの収率に与える影響を調べた結果を以下の表に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
比較実施例1
500ml溶融結晶化装置に、グラブリジンの含有量が40.5%のグラブリジン粗品50gを投入し、プロピレングリコールで溶解し、その後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着し、次に95%のエタノールで洗浄し、洗浄液を収集して、減圧濃縮して溶媒の一部を除去し、さらに、プロパノール50mLを用いて室温で再結晶化し、濾過して結晶を収集し、乾燥し、グラブリジン粗製材料を得、材料がすべて液体状態に溶融するまでグラブリジン粗製材料を160℃に昇温し、20℃/hの降温速度で降温し、降温最終温度を158℃にして、2h保温した。母液を排出し、次に、10℃/hの昇温速度で材料を165℃に昇温し、1h保温することで、発汗を行った。発汗液を排出し、175℃以上に昇温し、加熱溶融して材料を排出し、冷却して結晶化し、超高純度グラブリジンを得た。製品の純度は99.1%、1パスの収率は71.2%であった。
【0038】
比較実施例2
500ml溶融結晶化装置に、グラブリジンの含有量が40.5%のグラブリジン粗品50gを投入し、プロピレングリコールで溶解し、その後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着し、次に95%のエタノールで洗浄し、洗浄液を収集して、減圧濃縮して溶媒の一部を除去し、さらに、プロパノール50mLを用いて室温で再結晶化し、濾過して結晶を収集し、乾燥し、グラブリジン粗製材料を得、材料がすべて液体状態に溶融するまでグラブリジン粗製材料を175℃に昇温し、20℃/hの降温速度で降温し、降温最終温度を155℃にして、2h保温した。母液を排出し、次に、10℃/hの昇温速度で材料を170℃に昇温し、1h保温することで、発汗を行った。発汗液を排出し、175℃以上に昇温し、加熱溶融して材料を排出し、冷却して結晶化し、超高純度グラブリジンを得た。製品の純度は95.3%、1パスの収率は61.2%であった。
【0039】
比較実施例3
500ml溶融結晶化装置に、グラブリジンの含有量が40.5%のグラブリジン粗品50gを投入し、プロピレングリコールで溶解し、その後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着し、次に95%のエタノールで洗浄し、洗浄液を収集して、減圧濃縮して溶媒の一部を除去し、さらに、プロパノール50mLを用いて室温で再結晶化し、濾過して結晶を収集し、乾燥し、グラブリジン粗製材料を得、材料がすべて液体状態に溶融するまでグラブリジン粗製材料を160℃に昇温し、8℃/hの降温速度で降温し、降温最終温度を158℃にして、2h保温した。母液を排出し、次に、20℃/hの昇温速度で材料を165℃に昇温し、1h保温することで、発汗を行った。発汗液を排出し、175℃以上に昇温し、加熱溶融して材料を排出し、冷却して結晶化し、超高純度グラブリジンを得た。製品の純度は89.4%、1パスの収率は51.1%であった。
【0040】
本発明の方法は、より良い実施例によって説明されてきたが、当業者であれば、本発明の内容、精神、及び範囲内で、本明細書に記載された方法及び使用を変化させたり、適切に変更したり、組み合わせたりして、本発明の技術を実施し、適用することができることが明らかである。当業者は、本願の内容を参考にして、プロセスパラメータを適切に改善して実現することができる。特に、類似したすべての置換及び変化は、当業者にとって自明であり、それらはすべて本発明に含まれるものとみなされる。
【要約】      (修正有)
【課題】操作しやすく、溶媒を必要とせず、製品の純度が高く、環境にやさしく、エネルギー消費量が低いグラブリジンの製造方法の提供。
【解決手段】グラブリジン粗品を溶媒に溶解した後、マクロ多孔質吸着樹脂AB-8で吸着、エタノールで洗浄、再結晶化して粗製材料を得る工程と、粗製材料を溶融結晶化装置に加え、液体状態になるまで加温溶融する工程と、降温速度10~30℃/h、最終温度155~160℃で先の粗製材料を降温し、保温してグラブリジンを結晶化し、母液を次のバッチの原料にする工程と、母液を排出した後、結晶を発汗、昇温速度1~15℃/hで、160~168℃に昇温し、保温して発汗液を排出し次のバッチの原料とする工程と、発汗液を排出後、175℃以上で溶融し、溶融液を次の段階の供給材料とする工程と、上記工程を繰り返して多段結晶化を行い、溶融液を収集、冷却、結晶化し、超高純度グラブリジンを得る工程と、を含む方法。
【選択図】なし
図1