(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241204BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2024091577
(22)【出願日】2024-06-05
【審査請求日】2024-06-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日 令和6年1月9日 ウェブサイトのアドレス https://zouseikun.fantasista-tokyo.jp/ https://zouseikun.fantasista-tokyo.jp/#about https://zouseikun.fantasista-tokyo.jp/#video https://zouseikun.fantasista-tokyo.jp/#step https://zouseikun.fantasista-tokyo.jp/#merit
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523368850
【氏名又は名称】株式会社fantasista
(73)【特許権者】
【識別番号】524214516
【氏名又は名称】株式会社ターミナルホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185317
【氏名又は名称】石井 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 顕次
(72)【発明者】
【氏名】新山 勝己
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-101974(JP,A)
【文献】特開2020-003484(JP,A)
【文献】特開2017-045163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
開発対象となる土地の平面図、高低差情報、1区画当たり最小面積、
排水管情報、及び道路情報を入力情報として取得し、
前記入力情報のうち少なくとも前記1区画当たり最小面積に基づいて、複数の区画割りパターンを作成し、
前記平面図及び前記高低差情報から造成前3次元情報を作成し、または、
前記平面図及び前記高低差情報の代わりに、前記造成前3次元情報を入力情報として取得し、
前記排水管情報に基づいた勾配から造成後3次元情報を作成し、
前記区画割りパターンの
前記造成前3次元情報と前記造成後3次元情報とから造成工事費用を算出する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
複数の前記区画割りパターンのうち、
区画割り数または区画の形状に基づいて絞り込んだ区画割りパターンを優先的に表示する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記造成前3次元情報と前記造成後3次元情報とから切土または盛土の土量を算出し、前記土量に基づいて造成工事費用を算出する、
請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
コンピュータが、
開発対象となる土地の平面図、高低差情報、1区画当たり最小面積、
排水管情報、及び道路情報を入力情報として取得する処理と、
前記入力情報のうち少なくとも前記1区画当たり最小面積に基づいて、複数の区画割りパターンを作成する処理と、
前記平面図及び前記高低差情報から造成前3次元情報を作成し、または、
前記平面図及び前記高低差情報の代わりに、前記造成前3次元情報を入力情報として取得する処理と、
前記排水管情報に基づいた勾配から造成後3次元情報を作成する処理と、
前記区画割りパターンの
前記造成前3次元情報と前記造成後3次元情報とから造成工事費用を算出する処理と、
を実行する情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
開発対象となる土地の平面図、高低差情報、1区画当たり最小面積、
排水管情報、及び道路情報を入力情報として取得する機能と、
前記入力情報のうち少なくとも前記1区画当たり最小面積に基づいて、複数の区画割りパターンを作成する機能と、
前記平面図及び前記高低差情報から造成前3次元情報を作成し、または、
前記平面図及び前記高低差情報の代わりに、前記造成前3次元情報を入力情報として取得する機能と、
前記排水管情報に基づいた勾配から造成後3次元情報を作成する機能と、
前記区画割りパターンの
前記造成前3次元情報と前記造成後3次元情報とから造成工事費用を算出する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
開発予定の土地の開発を支援するために、造成工事の見積もりを算定する土地開発支援サービスを提供するシステムがある。例えば、特許文献1の土地利用支援システムは、建築物の設置を予定する設置予定地の位置情報、標高情報に基づき、設置予定地の起伏状態を推定した後、切盛り量を推定する。このシステムは、所与の土地の最高地点と最低地点との中間を基準線として、基準線に対して凸部の体積を切盛り量として近似し、造成工事費用を算出している。ただし、本土地利用支援システムは、太陽光パネルの設置予定地を前提としているため、一定の広さの土地を「区画割り」(区割り)し、それぞれの区画に住宅を建築する土地利用を想定したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、地主や不動産仲介業者から土地の宅地開発の相談を受けた戸建デベロッパーは、設計事務所や施工会社に区画割りの検討や造成工事の見積もりを依頼していた。依頼を受けた設計事務所では、対象となる土地の区画割りを、人が熟練技で実施していたため、区画割りの決定に時間がかかっていた。しかも、人手による区画割りは、処理数や品質にばらつきが生じるおそれがあった。つまり、従来の技術では、多数の区画割り案と造成工事費用とを勘案した、土地利用を短時間に検討することは容易でなかった。
【0005】
本開示の目的は、土地の造成を検討しているユーザに対し、開発対象となる土地について、自動的に区画割りを実施し、区画割りパターンの造成工事費用を迅速に提示する仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態として、プロセッサを備え、前記プロセッサは、開発対象となる土地の平面図、高低差情報、1区画当たり最小面積、排水管情報、及び道路情報を入力情報として取得し、前記入力情報のうち少なくとも前記1区画当たり最小面積に基づいて、複数の区画割りパターンを作成し、前記平面図及び前記高低差情報から造成前3次元情報を作成し、または、前記平面図及び前記高低差情報の代わりに、前記造成前3次元情報を入力情報として取得し、前記排水管情報に基づいた勾配から造成後3次元情報を作成し、前記区画割りパターンの前記造成前3次元情報と前記造成後3次元情報とから造成工事費用を算出する、情報処理システムが提供される。
【0007】
本開示の他の一形態として、コンピュータが、開発対象となる土地の平面図、高低差情報、1区画当たり最小面積、排水管情報、及び道路情報を入力情報として取得する処理と、前記入力情報のうち少なくとも前記1区画当たり最小面積に基づいて、複数の区画割りパターンを作成する処理と、前記平面図及び前記高低差情報から造成前3次元情報を作成し、または、前記平面図及び前記高低差情報の代わりに、前記造成前3次元情報を入力情報として取得する処理と、前記排水管情報に基づいた勾配から造成後3次元情報を作成する処理と、前記区画割りパターンの前記造成前3次元情報と前記造成後3次元情報とから造成工事費用を算出する処理と、を実行する情報処理方法が提供される。
【0008】
本開示の他の一形態として、コンピュータに、開発対象となる土地の平面図、高低差情報、1区画当たり最小面積、排水管情報、及び道路情報を入力情報として取得する機能と、前記入力情報のうち少なくとも前記1区画当たり最小面積に基づいて、複数の区画割りパターンを作成する機能と、前記平面図及び前記高低差情報から造成前3次元情報を作成し、または、前記平面図及び前記高低差情報の代わりに、前記造成前3次元情報を入力情報として取得する機能と、前記排水管情報に基づいた勾配から造成後3次元情報を作成する機能と、前記区画割りパターンの前記造成前3次元情報と前記造成後3次元情報とから造成工事費用を算出する機能と、を実現させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一形態によれば、土地の造成を検討しているユーザに対し、対象となる土地について、自動的に区画割りを実施し、区画割りパターンに対して造成工事費用を迅速に提示する仕組みを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1で想定する情報処理システムの構成例を説明する図である。
【
図2】運用サーバのハードウェア構成の一例を説明する図である。
【
図3】ユーザ端末のハードウェア構成の一例を説明する図である。
【
図4】入力情報の受付処理を説明するフローチャート例である。
【
図5】ユーザ端末に表示される登録情報の入力画面の一例を説明する図である。
【
図6】ユーザ端末に表示される平面図の入力画面の一例を説明する図である。
【
図7】ユーザ端末に表示される、対象地域及び縮尺の入力画面の一例を説明する図である。
【
図8】ユーザ端末に表示される、土地面積及び1区画当たり最小面積を入力する画面の一例を説明する図である。
【
図9】ユーザ端末に表示される、敷地前面道路幅員、敷地内道路有り、及び敷地内道路幅員の入力画面の一例を説明する図である。
【
図10】ユーザ端末に表示される、排水管位置、給水管位置、及び高低差情報の入力画面の一例を説明する図である。
【
図11】造成工事費用の算定処理を説明するフローチャート例である。
【
図12】ユーザ端末に表示される、推奨される複数の区画割りパターンの表示画面の一例を説明する図である。
【
図13】ユーザ端末に表示される、選択された区画割りパターンの表示画面の一例を説明する図である。
【
図14】ユーザ端末に表示される、選択された区画割りパターンの見積もり算定結果の一例を説明する図である。
【
図15】ユーザ端末に表示される、作成された見積書の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
本実施の形態では、開発予定地域の区画割りの設計及び造成工事費用の算出をするシステムの一例について説明する。
【0012】
<システム構成>
図1は、実施の形態1で想定する情報処理システム1の構成例を説明する図である。
図1に示す情報処理システム1は、運用サーバ10と、ユーザが操作するユーザ端末20と、これらの端末を接続するネットワークNとで構成されている。
なお、ユーザは、戸建デベロッパー、不動産仲介業者、地主、設計事務所、施工会社その他の開発予定地域の開発に関与する人が想定される。
【0013】
実施の形態1における運用サーバ10は、ユーザに対し、開発対象地域の区画割りパターンの設計及び造成工事費用の算出をした結果を、ユーザ端末20を介してユーザに提示することを実現するサーバである。
【0014】
本情報処理システム1を利用するユーザは、ユーザ端末20から開発対象地域の公図等の平面図等の情報を入力することにより、ユーザ端末20に、区画割りパターンと造成工事費用の見積もりを表示させることができる。
本情報処理システム1の利用により、開発プラン策定、概算工事費算出を短時間で実行するので、ユーザは、事業成否判断や土地購入などを迅速に行うことができる。ユーザが戸建デベロッパーである場合、本情報処理システム1が提供する、区画割りパターンと造成工事費用の見積もりとを取得することにより、設計コンサルタントに開発プランを依頼する手間を省くことができる。ユーザが、土建会社である場合、本情報処理システム1が提供する、区画割りパターンと造成工事費用の見積もりとを取得することにより、工事の下請け会社に造成工事の見積もり作成を依頼する手間を省くことができる。
【0015】
図1には、運用サーバ10を1台のみ描画しているが、複数台の運用サーバ10がネットワークN上に存在してもよい。また、1台の運用サーバ10が提供するサービスを、複数台の運用サーバの連携動作により実現してもよい。つまり、運用サーバ10の各機能を、適宜複数のサーバに分散する、分散処理システムとしてもよい。
さらに、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、サーバの各機能を実現してもよい。運用サーバ10を、例えば、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバから構成されるサーバシステムとしてもよい。
ユーザ端末20は、ユーザが操作する端末をいう。
図1には、複数台のユーザ端末20を描画している。
【0016】
ユーザ端末20は、例えばデスクトップ型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、タブレット型のコンピュータ、スマートフォンを使用する。もっとも、ユーザ端末20として、スマートグラスやヘッドセット等のウェアラブルコンピュータを使用してもよい。
ユーザ端末20は、ネットワークNに接続された情報端末の一例である。
【0017】
ネットワークNは、例えばLAN(=Local area network)、インターネット、移動通信システム(4G、5G)である。
図1においては、運用サーバ10、ユーザ端末20が1つのネットワークNに接続される場合を例示しているが、互いに接続された複数のネットワークN経由で接続されてもよい。
【0018】
<サーバのハードウェア構成>
図2は、運用サーバ10のハードウェア構成の一例を説明する図である。
図2に示す運用サーバ10は、プロセッサ11と、BIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)12と、プロセッサ11のワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)13と、補助記憶装置14と、通信インタフェース15と、を有している。各デバイスは、バスその他の信号線16を通じて接続されている。
【0019】
プロセッサ11は、プログラムの実行を通じて各種の機能を実現するデバイスである。プロセッサ11は、1以上のハードウェアによって構成され、ハードウェアとしては、CPU、GPU等が挙げられる。プロセッサ11は、物理的に離れた位置に配置されている複数のハードウェアで構成されていてもよい。
プロセッサ11、ROM12、RAM13は、コンピュータとして機能する。
補助記憶装置14は、例えばハードディスク装置や半導体ストレージで構成される。補助記憶装置14には、土地開発支援サービスを実現するプログラム(実行モジュールを含む)の他、ユーザの登録情報、プロジェクトの登録情報に関するデータやユーザにより入力された入力情報のデータが記憶される。
【0020】
本実施の形態では、土地開発支援サービスを構成するアプリケーション、OS(=Operating System)を総称してプログラムという。
通信インタフェース15は、ネットワークNを通じて他のサーバや端末と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース15は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、移動通信システムその他の通信規格に対応する。
【0021】
<サーバが管理するデータ>
運用サーバ10の補助記憶装置14には、ユーザの識別情報等のユーザ登録情報と、プロジェクト名、開発対象となる土地の住所、番地からなるプロジェクト登録情報とが記憶される。
さらに、運用サーバ10の補助記憶装置14には、ユーザによる入力情報が上記のユーザ登録情報及びプロジェクト登録情報に関連付けられて記憶される。ユーザにより入力される入力情報とは、開発予定の土地の平面図、高低差情報、土地面積、1区画当たり最小面積、道路情報、排水管情報、給水管情報等がある。
【0022】
入力情報である土地の平面図は、公図や測量図であってもよい。公図は、登記所が保管している「旧土地台帳附属地図」であり、土地の形状、地番、道路、水路などを図で表している図面である。
【0023】
高低差情報とは、開発対象地域の土地の高低差を表す情報である。高低差情報は、基準点に対する高低差であればよい。絶対標高のデータも高低差に関する情報を含んでいると考えられるので、絶対標高のデータも高低差情報に含めるものとする。
【0024】
前述の土地の平面図と高低差情報とを組み合わせれば、土地の3次元情報が作成できる。3次元情報は、平面図及び高低差情報の入力が完了した際に、作成されてもよい。あるいは、区画割りパターンの作成時に、最初の処理として3次元情報が作成されてもよい。平面図及び高低差情報から3次元情報を作成する場合、点群から3次元形状を近似する手法として、公知の計算方法を用いれば良い。なお、開発前の土地の3次元情報と開発後(区画割りパターン生成後)の土地の3次元情報との差分から、切土や盛土の量を計算することができる。
「3次元情報」とは、平面を構成する2方向と高さ方向の3次元の情報であり、必ずしも緯度経度や標高のデータを有する必要はなく、ある基準からの相対的な距離に基づく情報であってもよい。
【0025】
さらに、土地の平面図及び高低差情報を入力情報とする代わりに、開発対象地域の3次元情報を入力情報としてもよい。この場合、土地の平面図及び高低差情報から3次元情報を生成する必要はなく、直接、3次元情報を区画割りパターンの設計に利用することができる。
【0026】
土地面積とは、開発対象地域の土地の面積であり、例えば、m2の単位の数値データである。
本実施の形態において、区画割り(「区割り」ともいう)とは、任意の土地を区切ること、または区切られたひとつの区画のことをいう。例えば、ある一定の広さの土地があるとき、この土地を「区画割り」し、それぞれの区画の土地を個別に販売する、あるいは区画に住宅を建築した上で建売りとして販売する場合がある。
「区画割りパターン」とは、1又は複数の区画から構成される、開発対象地域の土地の分割パターンである。
「区画割り数」(又は区割り数)とは、1つの区割りパターンを構成する区割りの数である。通常、敷地内道路は、区割り数としてはカウントしない。
「区画の形状」とは、区画割りパターンを構成する単位となる区画の形状である。一般に、正方形に近い形状の区画の形状は評価され、旗竿地のような区画の形状は敬遠される傾向がある。旗竿地とは、形が旗に似ていて道路との隣接部が間口になっており、なおかつ奥に広い敷地がある土地である。旗竿地は、日当たりが良くないことが多く、相場より価値が低い不動産だと評価される傾向がある。
「1区画当たり最小面積」とは、区画割りパターンを構成する単位となる区画の最小面積である。通常、この最小面積が小さい程、区画割り数は多く設定することができる。
【0027】
敷地前面道路幅員は、開発対象地域の土地に隣接している主要道路の幅である。敷地内道路を想定する場合には、敷地内道路の幅員データもユーザにより入力される入力情報として補助記憶装置14に記憶される。
【0028】
排水管情報は、開発対象地域の土地に隣接している排水管または排水溝の位置情報である。本実施の形態において、排水管は、排水溝も含むものとして説明する。排水管情報としては、排水溝や排水管の位置、長さ、幅を含む情報である。したがって、排水管情報は、排水管の位置を示す点、あるいは線、ポリゴンなどのデータであっても良い。
【0029】
<情報端末(ユーザ端末20)のハードウェア構成>
図3は、ユーザ端末20のハードウェア構成の一例を説明する図である。以下では、情報端末の代表例として、ユーザ端末20について説明する。
図3に示すユーザ端末20は、プロセッサ21と、BIOS等が記憶されたROM22と、プロセッサ21のワークエリアとして用いられるRAM23と、補助記憶装置24と、通信インタフェース25と、ディスプレイ26と、入力受付装置27とを有している。各デバイスは、バスその他の信号線28を通じて接続されている。
【0030】
通信インタフェース25は、ネットワークNを通じて他のサーバや端末と通信するためのインタフェースや周辺機器と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース25は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB(=Universal Serial Bus)、移動通信システムその他の通信規格に対応する。
【0031】
ディスプレイ26は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(=Electro Luminescence)ディスプレイである。
入力受付装置27は、例えばマウス、キーボードである。なお、ユーザ端末20が、ノート型のコンピュータ、タブレット型のコンピュータ、スマートフォンの場合には、入力受付装置27として、ディスプレイ26に表示された画像の視認を妨げない透過性を有する静電容量式のタッチセンサを使用する。この種のタッチセンサとディスプレイとを組み合わせたデバイスはタッチパネルと呼ばれる。
【0032】
<ユーザによる入力の受付処理>
ここでは、ユーザの入力により始まる情報の受付処理動作を説明する。
図4は、土地開発支援サービスシステムがユーザから入力される情報を受け付ける処理を示すフロー図である。なお、図中に示す記号のSは、ステップを表す。
まず、ユーザ端末20は、ユーザにより入力されるユーザ名、ユーザ識別情報(ユーザID、ログインパスワード等)等のユーザ登録情報の入力を受け付ける(S10)。ユーザ登録情報のデータは、通信インタフェース25及び15を介して、運用サーバ10の補助記憶装置14に記憶される。以後のウェブサイトへのログインには、例えばユーザIDとログインパスワードとが使用される。ユーザは、ユーザ端末20から、土地開発支援サービスを提供するウェブサイトにアクセスし、ユーザIDとパスワードとを入力することにより、ログインをする。
【0033】
次に、ユーザ端末20は、ユーザにより入力されるプロジェクト名、住所、地番等のプロジェクト登録情報を受け付ける(S20)。プロジェクト登録情報のデータは、通信インタフェース25及び15を介して、運用サーバ10へ送信され、補助記憶装置14に記憶される。
【0034】
次に、ユーザ端末20は、ユーザによりアップロードされる公図または測量図のデータを受け付ける(S30)。公図または測量図のデータは、通信インタフェース25及び15を介して、運用サーバ10へ送信され、補助記憶装置14に記憶される。
【0035】
次に、ユーザ端末20は、ユーザにより入力される対象地番及び地図の縮尺のデータ入力を受け付ける(S40)。これらの入力情報は、通信インタフェース25及び15を介して、運用サーバ10へ送信され、補助記憶装置14に記憶される。
【0036】
次に、ユーザ端末20は、ユーザにより入力される土地面積及び1区画当たり最小面積のデータを受け付ける(S50)。これらの入力情報は、通信インタフェース25及び15を介して、運用サーバ10へ送信され、補助記憶装置14に記憶される。
【0037】
そして、ユーザ端末20は、ユーザにより入力される敷地前面道路幅員、敷地内道路の情報の入力を受け付ける(S60)。これらの入力情報は、通信インタフェース25及び15を介して、運用サーバ10へ送信され、補助記憶装置14に記憶される。
【0038】
さらに、ユーザ端末20は、ユーザにより入力される排水管及び給水管の位置情報を受け付ける(S70)。これらの入力情報は、通信インタフェース25及び15を介して、運用サーバ10へ送信され、補助記憶装置14に記憶される。
上記の一連の情報を全て受け付けた後に、入力される情報の受付処理は終了する。
【0039】
図5は、ユーザ端末20(
図1参照)に表示されるプロジェクト登録情報の入力画面の一例を説明する図である。ユーザは、
図5に示すような、ユーザ端末20に表示されたプロジェクト登録情報の入力画面上において、プロジェクト名、住所、代表地番を入力する。入力後、「次へ」のアイコンをタッチすることで、ユーザ登録情報のデータは、運用サーバ10へ送信される。
【0040】
図6は、ユーザ端末20(
図1参照)に表示される公図のアップロード画面の一例を説明する図である。ユーザは、
図6に示すような、ユーザ端末20に表示された公図のアップロード画面上において、公図のファイルを選択することにより公図をアップロードする。公図が複数にまたがる場合は、複数の公図ファイルをアップロードすることができる。また、公図でなく、正確な測量図をアップロードすることもできる。さらに、図示されていないが、2次元の平面図の情報だけでなく、3次元の土地の形状データをアップロードすることも可能である。アップロードされた公図は、公図表示画面100に示されているように、地番と区画境界線が表示される。ユーザは、表示倍率変更バー200を調整することにより、公図の表示を拡大縮小させることができる。さらに、ユーザは、「次へ」のアイコンをタッチすることで、公図のデータは、運用サーバ10へ送信される。アップロードされた公図などの情報は、
図6のように開発対象地域の図面がユーザ端末20に表示される。
【0041】
図7は、ユーザ端末20(
図1参照)に表示される、対象地番及び縮尺の入力画面の一例を説明する図である。ユーザは、
図7に示すような、ユーザ端末20に表示された対象地番及び敷地図の縮尺の入力画面上において、対象地番及び縮尺を入力する。対象地番を入力すると、公図中の対象地番に相当する区域の境界が強調された表示がなされる。
図7の例では、ユーザにより対象地番として1491-2と1491-1とが入力されたため、対象地番の区域の強調線300及び400が表示されている。対象地番及び縮尺の入力後、「次へ」のアイコンをタッチすることで、入力情報のデータは、運用サーバ10へ送信される。
【0042】
図8は、ユーザ端末20(
図1参照)に表示される、土地面積及び1区画当たり最小面積を入力する画面の一例を説明する図である。ユーザは、
図8に示すような、ユーザ端末20に表示された、土地面積及び1区画当たり最小面積の入力画面上において、土地面積及び1区画当たり最小面積の数値を入力する。土地面積及び1区画当たり最小面積の入力後、「次へ」のアイコンをタッチすることで、入力情報のデータは、運用サーバ10へ送信される。
【0043】
図9は、ユーザ端末20(
図1参照)に表示される、敷地前面道路及び敷地内道路の入力画面の一例を説明する図である。ユーザは、
図9に示すような、ユーザ端末20に表示された、敷地前面道路の位置、幅員、敷地内道路の幅員等の入力画面上において、敷地前面道路の幅員、位置、及び敷地内道路の幅員、位置を入力する。ユーザは、敷地前面道路の位置として、開発対象地域の敷地と敷地前面道路とが隣接する線を公図が表示された画面上で特定することができる。例えば、
図9の例では、開発対象の敷地の敷地前面道路に接する隣接線500がユーザにより指定された様子を表している。敷地前面道路幅員については、入力欄に道路幅員の数値を入力する。敷地内道路を想定する場合には、ユーザは、敷地内道路ありのチェックボックスをチェックした後、敷地内道路の幅員の入力欄に数値を入力する。ただし、敷地内道路を想定しない場合は、ユーザは、敷地内道路ありのチェックボックスにチェックをせず、敷地内道路幅員の情報を入力しなくてもよい。敷地前面道路幅員及び敷地内道路幅員の入力後、「次へ」のアイコンをタッチすることで、入力情報のデータは、運用サーバ10へ送信される。
【0044】
図10は、ユーザ端末20(
図1参照)に表示される、排水管、給水管、土地高低差の入力画面の一例を説明する図である。ユーザは、
図10に示すような、ユーザ端末20に表示された、排水管及び給水管の位置の情報の入力画面上において、排水管及び給水管の位置を入力する。具体的には、排水管位置600のチェックボタンをアクティブにした後、表示された公図上で排水管の位置にマークを配置することにより特定できる。
図10に図示されているように、排水管または排水溝は、長方形のマークで表現されており、ユーザは、ドラグ・アンド・ドロップ等の操作により排水管または排水溝の位置を指定することができる。
給水管については、ユーザは、給水管位置700のチェックボタンをアクティブにした後、表示された公図上で給水管の位置を特定することができる。給水管は、丸のマークで表現されており、ユーザは、ドラッグ・アンド・ドロップ等の操作により給水管の位置を指定することができる。
【0045】
さらに高低差の情報についても、ユーザは、丸のマークで表現されたポイント、すなわち公図上の複数地点710、720、・・・770、780を特定することができる。そして、ユーザは、それぞれの地点の基準位置からの相対的な高低差のデータを高低差情報入力ボックス712、722、・・・772、782内に入力することができる。
図10に示されているように、黒丸で表された地点710、730、750、770のような開発対象の土地に相当するポリゴンのノードに相当する地点は少なくとも入力されることが望ましい。高低差の入力情報は、入力数が多い程、作成されるの3次元情報の精度が高くなる。このため、さらに、開発対象の土地の外側であり、ポリゴンのノード付近に相当する地点、すなわち、地点720、760、780等についても入力されることが望ましい。
【0046】
<造成工事費用の算出処理>
ここでは、造成工事費用の見積もり算出処理動作を説明する。
図4で説明したユーザにより一連の情報の入力が完了した後、運用サーバ10のプロセッサ21は、区画割りパターンの設計と造成工事費の見積もり算出の処理を行う。
図11は、区画割りパターンの設計と造成工事費の見積もり算出の処理を説明するフローチャート例である。なお、図中に示す記号のSは、ステップを表す。
【0047】
まず、運用サーバ10のプロセッサ21は、排水管情報、土地面積、1区画当たり最小面積や形状に基づいて、複数の区画割りパターンを作成する(S100)。例えば、プロセッサ21は、ユーザが敷地内道路を指定している場合、敷地前面道路に接合するように、ユーザにより指定された幅員の敷地内道路を設定する。敷地内道路は必ず設定しなければならないというわけではない。ユーザにより敷地内道路が設定されていない場合は、特に敷地内道路を設ける必要はない。そして、プロセッサ21は、1区画当たり最小面積の区画を平行な境界線で作成していき、最後に残った1区画当たり最小面積以下の敷地は他の区画と統合することによりパターンを形成してもよい。プロセッサ21は、複数のパターン(例えば数千パターン)を作成する。区画割りパターンは、全ての区画の境界線を平行に設定できる区画割りパターンもあれば、一部の区画を旗竿地にせざるを得ないパターンなどさまざまなパターンが作成される。
【0048】
次に、プロセッサ21は、作成された複数の区画割りパターンについて、それぞれスコアを算定し、算定したスコアに基づいて、パターンの絞り込みを行う(S110)。スコアは、区画割り数が多い程高く、旗竿地が少ない程、高くなるような指標を用いることができる。また、スコアは、正方形に近い区画を有するパターンを高い評価とするものであってもよい。例えば、プロセッサ21は、スコア上位5つの区画割りパターンに絞り込むことができる。
【0049】
プロセッサ21は、ユーザ端末20のディスプレイ26に、絞り込みをした区画割りパターンを表示する指示をする(S120)。
【0050】
次に、プロセッサ21は、ユーザにより入力された公図及び高低差情報から、開発対象となる土地の造成前の3次元情報を作成する(S130)。ユーザにより3次元の地図情報が入力された場合には、3次元情報を作成する必要はなく、入力された3次元情報の地図情報を利用すればよい。
【0051】
次に、ユーザは、ディスプレイ26に提示された絞り込み後の区画割りパターンから、特定の区画割りパターンを選択する。その後、プロセッサ21は、ユーザが選択した区画割りパターンについて、排水管のいずれかの部分に水が流下するように、排水管位置に基づいて複数の勾配を設定した区画割りパターンのぞれぞれについて、造成後の3次元情報を作成する(S140)。例えば、勾配は、0%、1%、3%、5%、9%、12%等の複数の勾配を仮定して設定する。勾配は、0%~12%の範囲内で設定することが好ましい。
【0052】
次に、プロセッサ21は、区画割り後(造成後)の3次元情報と区画割り前(造成前)の3次元情報に基づいて、造成コストを算出する(S150)。具体的には、プロセッサ21は、まず造成前と造成後の3次元情報の差分から、擁壁量、切土及び盛土の土量を計算する。そして、プロセッサ21は、擁壁量、切土及び盛土の土量から、造成工事の費用を算定する。ここでは、プロセッサ21は、ユーザが選択した区画割りパターンについて、複数の勾配に対して、造成コストを算出する。
【0053】
プロセッサ21は、複数の勾配について算出された造成コストのうち、最も造成コストの少ない勾配に基づいた造成後の3次元情報をディスプレイ26に表示させる(S160)。ユーザは提示された3次元情報について、修正したいと感じた場合には、3次元情報を修正することができる。プロセッサ21は、ユーザにより3次元情報が修正されたか否かを判定する(S170)。もし、ユーザが3次元情報を修正した場合には、修正後の3次元情報と造成前の3次元情報に基づいて、再度、造成コストを算出する(S180)。
【0054】
プロセッサ21は、算出された造成コストに基づいて、見積書を作成し、ユーザに表示する制御をする(S190)。もし、ユーザによる3次元情報の修正が無い場合は、S180のステップは実行せずに、S190のステップの処理が実行される。
【0055】
図12は、ユーザ端末20に表示される、推奨される複数の区画割りパターンの表示画面の一例を説明する図である。運用サーバ10は、上述の区画割りパターンの生成と見積もり算定の処理を行い、区画割り数が多く、見積もり額が少ない推奨区画割りパターンを選出する。
図12の例では、ユーザ端末20に表示されたスコアの高い上位5つの推奨区画割りパターン910、920、930、940、950が表示されている。
【0056】
図13は、ユーザ端末20に表示される、選択された区画割りパターンの表示画面の一例を説明する図である。ユーザは、これらの推奨区画割りパターンについて、個別に詳細確を認したい場合は、区画割りパターンの図面を画面上で選択操作することにより、詳細情報を表示させることができる。これにより、ユーザは、選択された区画割りパターンの図面の詳細を拡大して確認することができる。例えば、区画割りされた区画ごとの面積や高さなどの情報も確認することができる。
【0057】
さらに、造成工事費用の内訳も確認することができる。
図14は、ユーザ端末20に表示される、選択された区画割りパターンの見積もり算定結果の一例を説明する図である。例えば、3次元情報を有する区画割りパターンからは、切土や盛土、擁壁などが推定できるので、擁壁の工事費用なども自動的に算出することができる。ユーザは、どのような種類の造成工事費用が見積もられているのかを確認することができる。
【0058】
図15は、ユーザ端末20に表示される、作成された見積書の一例を説明する図である。最終的には、見積書として画面に表示させ、印刷することも可能である。従来は、区画割りの設計を設計事務所に依頼し、設計された区画割りパターンについて施工会社に造成工事費用の見積書の作成を依頼するなどの手間がかかっていた。本情報処理システム1によれば、簡単な操作により、見積書を作成することができる。このため、宅地開発の検討を効率的に行うことが可能になる。
【0059】
なお、請求項に記載の「プロセッサ」は、運用サーバ10のプロセッサ11とユーザ端末20のプロセッサ21とを含めた概念として解釈される。また、請求項に記載の「プログラム」は、複数のプログラムモジュール又は複数コードセグメント等の組み合わせで構成されてもよい。また、プログラムは、物理的に離れた位置に配置された記録媒体に分散して記録されていてもよい。請求項に記載の「処理」は、任意のコンピュータでプロセッサやプログラムを用いて実行される。コンピュータは、汎用的なものでも、専用的なものでも、システム的なものでもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…情報処理システム、10…運用サーバ、11、21…プロセッサ、12、22…ROM、13、23…RAM、14、24…補助記憶装置、15、25…通信インタフェース、16、28…信号線、20…ユーザ端末、26…ディスプレイ、27…入力受付装置
【要約】
【課題】土地の造成を検討しているユーザに対し、開発対象となる土地について、自動的に区画割りを実施し、区画割りパターンの造成工事費用を迅速に提示する仕組みを提供する。
【解決手段】開発対象となる土地の平面図、高低差情報、1区画当たり最小面積、及び道路情報、排水管情報を入力情報として取得し、入力情報のうち少なくとも1区画当たり最小面積に基づいて、複数の区画割りパターンを作成し、ユーザが選択した区画割りパターンについて、造成工事費用を算出し、造成費用の見積もり書を提示する、情報処理システム。
【選択図】
図1