IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・リージエンツ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・コロラド、ア・ボデイー・コーポレイトの特許一覧

特許7598137放射線または放射線療法によって引き起こされた放射線誘発性バイスタンダ効果を防止および治療するための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】放射線または放射線療法によって引き起こされた放射線誘発性バイスタンダ効果を防止および治療するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20241204BHJP
   A61K 31/336 20060101ALI20241204BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20241204BHJP
   A61K 31/4025 20060101ALI20241204BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20241204BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20241204BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20241204BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20241204BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241204BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241204BHJP
   A61K 51/02 20060101ALI20241204BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241204BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241204BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241204BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20241204BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20241204BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241204BHJP
   C07K 16/40 20060101ALN20241204BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20241204BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/336
A61K31/352
A61K31/4025
A61K31/7048
A61K31/7088
A61K31/7105
A61K31/711
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K48/00
A61K51/02 100
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C12N15/09 Z
C12Q1/6827 Z
G01N33/53 M ZNA
C07K16/40
C12N15/113 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020502226
(86)(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 US2018042569
(87)【国際公開番号】W WO2019018451
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-07-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】62/533,272
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508128082
【氏名又は名称】ザ・リージエンツ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・コロラド、ア・ボデイー・コーポレイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュエ,ディン
(72)【発明者】
【氏名】ポン,ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,マン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,リンジュン
(72)【発明者】
【氏名】リャン,シャン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ハンツァン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジャウ-ソン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジェン-ティン
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】伊藤 幸司
【審判官】岡山 太一郎
(56)【参考文献】
【文献】Free Radical Research、2014年、Vol.48、No.10、pp.1247-1255
【文献】ONCOLOGY LETTERS、2013年、Vol.6、pp.453-459
【文献】近畿大医誌、2012年、Vol.37、No.3-4、pp.193-202
【文献】RADIOISOTOPES、2005年、Vol.54、pp.23-25((25)-(27))
【文献】茶研報、2012年、Vol.113、pp.1-9
【文献】NATURE、2017年7月19日、Vol.547、pp.458-462、doi:10.1038/nature23284
【文献】RADIOTHERAPY AND ONCOLOGY、2011年11月25日、VOL:104、PAGES:395-400
【文献】Studies in Natural Products Chemistry、2016年、Vol.50、pp.179-213
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線への曝露によって引き起こされた対象の非照射細胞における放射線誘発性バイスタンダ効果(RIBE)を治療するための治療薬であって、治療的に有効な量の剤を含み、前記治療的に有効な量の剤は、カテプシンB(CTSB)またはその相同体であるCPR-4のプロテアーゼ活性を阻害し、前記非照射細胞においてRIBEを抑制する、治療薬。
【請求項2】
薬学的に許容可能な担体をさらに含み、前記薬学的に許容可能な担体が、水性および/または非水性の薬学的に許容可能な担体である、請求項1に記載の治療薬。
【請求項3】
前記剤が、放射線療法の投与前に、前記放射線療法の投与と共に、または前記放射線療法の投与後に投与される、請求項2に記載の治療薬。
【請求項4】
前記剤が、抗癌剤治療と組み合わせて投与される、請求項2に記載の治療薬。
【請求項5】
前記抗癌剤治療が、外科手術および化学療法からなる群から選択される、請求項に記載の治療薬。
【請求項6】
前記剤が、前記対象における細胞死もしくは細胞増殖を変更するか、DNA損傷を低減するか、またはDNA修復を増加させる、請求項1に記載の治療薬。
【請求項7】
前記剤が、前記対象におけるRIBEを低減および/または防止する、請求項1に記載の治療薬。
【請求項8】
前記治療的に有効な量の剤が、前記対象において以下の効果の少なくとも1つを引き起こす、請求項1に記載の治療薬:
前記対象における癌対象の放射線療法および/または化学療法の有効性を増加させる;
前記対象における放射線療法および/または化学療法に対する癌細胞の抵抗力を低減する;並びに
放射線療法に対する前記対象の耐性を増加させる。
【請求項9】
放射線への曝露によって引き起こされた対象の非照射細胞における放射線誘発性バイスタンダ効果(RIBE)を改善するための治療薬であって、タンパク質カテプシンB(CTSB)もしくはその相同体であるCPR-4の活性または発現を阻害する治療的に有効な量のCTSB阻害剤を含む、治療薬。
【請求項10】
前記治療薬が、カテプシンB(CTSB)合成阻害剤、核酸分子、抗体またはその生物学的に活性な断片、およびアプタマーからなる群から選択される、請求項9に記載の治療薬。
【請求項11】
前記治療薬が、E64、CA074、CA074Me、および/またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の治療薬。
【請求項12】
前記治療薬及び1以上の薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を含む、請求項11に記載の治療薬。
【請求項13】
抗癌剤治療と共に投与される、請求項9に記載の治療薬。
【請求項14】
前記抗癌剤治療が、外科手術および化学療法からなる群から選択される、請求項13に記載の治療薬。
【請求項15】
前記放射線療法前におよび/または前記放射線療法と共におよび/または前記放射線療法後に投与される、請求項9に記載の治療薬。
【請求項16】
前記対象における細胞死もしくは細胞増殖を変更するか、DNA損傷を低減するか、またはDNA修復を増加させる、請求項9に記載の治療薬。
【請求項17】
対象におけるRIBEを治療および/または防止する、請求項9に記載の治療薬。
【請求項18】
前記治療的に有効な量の前記治療薬が、前記対象において以下の効果の少なくとも1つを引き起こす、請求項9に記載の治療薬:
対象における癌対象の放射線療法の有効性を増加させる;
対象における癌対象の化学療法の有効性を増加させる;
対象における放射線療法および/または化学療法に対する癌細胞の抵抗力を低減する;並びに
放射線療法に対する前記対象の耐性を増加させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際PCT出願は、2017年7月17日に出願された、米国仮特許第62/533,272号の利益および優先権を主張する。上で参照された出願の明細書および図の全体が、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の利益
本発明は、国立保健研究所(NIH)によって授与された許可番号R35 GM118188の下で政府の支援により作製された。米国政府は、本発明に特定の権利を有する。
【0003】
本発明的技術は、概して、放射線および放射線療法への曝露によって引き起こされた副作用を防止および緩和するための組成物および方法に関する。具体的には、本発明は、ヒトおよび動物の両方において放射線誘発性バイスタンダ効果(RIBE)に関わる新規の分子成分および経路の同定、単離、および特徴付けを包含する。本発明的技術は、放射線または放射線療法によって引き起こされたRIBEを治療するための新規の治療組成物および治療、ならびに診断方法論の開発および適用のための方法およびシステムをさらに含む。
【背景技術】
【0004】
放射線誘発性バイスタンダ効果(RIBE)とは、被照射細胞または組織によって放出された因子が動物の他の部分に対して効果を及ぼし、他の効果の中でも特に、ゲノム不安定性、ストレス反応、および変更されたアポトーシスまたは細胞増殖を引き起こす、固有のプロセスを指す。RIBEはまた、非照射細胞および組織に影響を与え、それらの損傷を引き起こし、結果としてあらゆる種類の有害な副作用(例えば、脱毛、疲労、皮膚障害、および低血球数)をもたらすからだけでなく、それがパラ分泌シグナル伝達を通して被照射細胞に影響を与え、放射線療法に対する癌細胞の抵抗力を引き起こし得るため、癌治療における放射線療法の効能および成功を判定する際の主要な因子である。これまでのところ、放射線および放射線療法によって引き起こされた副作用を低減または防止するための有効な方法はない。
【0005】
放射線防護において重要な意味を有するにもかかわらず、放射線安全および放射線療法、RIBE因子の分子同一性、およびそれらの作用機序は依然として不明である。RIBE因子の同定およびそれらがどのように作用しているかについての理解が、癌放射線療法および放射線防護における根本的な問題である。したがって、当該技術分野において、RIBEに関わる分子成分およびシグナル伝達経路の同定および特徴付け、ならびに放射線および放射線療法への曝露によって引き起こされるRIBEを防止および/または緩和するための新規の組成物および治療についての実質的な必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アポトーシス阻害および細胞増殖の増加、致死性、ストレス反応、ならびにゲノムのDNA損傷を含む、複数の典型的なRIBE効果を誘導する主要なRIBE因子として、カテプシンB相同体であるCPR-4を同定し、特徴とする。一実施形態では、本発明者らは、放射線が、p53/CEP-1依存性機序を通したcpr-4転写、ならびにCPR-4タンパク質生成および分泌を増加させることを実証している。次に、分泌されたCPR-4は、老化、ストレス反応、新陳代謝からアポトーシスまで、複数の保存されたシグナル伝達経路にとって重要な意味を持つDAF-2インスリン/IGFレセプタの活性を調節することを通して直接または間接的のいずれかで、複数のRIBE反応を誘導する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
別の実施形態では、本発明者らは、ヒトカテプシンB(CTSB)の発現が照射に反応して上方調節され、それが、ヒト細胞中のUV誘発性バイスタンダ効果にも関わることを実証している。好ましい実施形態では、本発明的技術は、放射線の曝露または放射線療法によって引き起こされる、ヒトにおけるRIBEを防止および/または緩和するための組成物、システム、方法、および治療的処置、ならびに診断方法論に関する。さらなる実施形態はまた、概して、他の動物系におけるカテプシンB、ならびにそれらのすべての相同体および変異体を対象とし得る。
【0008】
別の実施形態では、本発明者らは、C.elegansのDAF-2タンパク質の相同体である、ヒトインスリン/IGFレセプタ(INSR)の発現が、ヒトおよび他の細胞におけるカテプシンB(CTSB)誘発性RIBEに関わっており、RIBEのシグナル伝達経路が、C.elegansとヒトとの間に保存されることを実証している。好ましい実施形態では、本発明的技術は、INSRの発現または活性の変化を通して、放射線の曝露または放射線療法によって引き起こされたヒトにおけるRIBEを防止および/または緩和するための組成物、システム、方法、および治療的処置、ならびに診断方法論を含む。さらなる実施形態はまた、概して、他の動物系、ならびにそれらのすべての相同体および変異体におけるINSRの発現および/または活性を変更することを対象にし得る。
【0009】
以下に記載のように、本発明は、放射線の曝露の効果、具体的にはRIBEと関連する疾患および状態の治療または防止のための、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼペプチドもしくはその断片のうちの1つ以上の発現または活性を変更するための組成物および方法を特徴とする。
【0010】
一態様では、本発明は、細胞に対するRIBEを含む放射線の曝露の効果を改善する方法であって、未治療の対照細胞に対して、被照射細胞を、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤と接触させ、それによって細胞に対する放射線の曝露の効果またはRIBEを改善することを含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、細胞に対するRIBEを含む放射線の曝露の効果を改善する方法であって、未治療の対照細胞に対して、被照射細胞を、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤と接触させ、それによって細胞に対する放射線の曝露の効果またはRIBEを改善することを含む、方法を提供する。
【0011】
また別の態様では、本発明は、対象(例えば、哺乳動物の細胞、組織、または器官における)に対する放射線の曝露の効果を改善する方法であって、未治療の対照細胞に対して、対象に、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤を投与し、それによって細胞に対する放射線の曝露の効果、具体的にはRIBEを改善することを含む、方法を提供する。
【0012】
また別の態様では、本発明は、対象(例えば、哺乳動物の対象の細胞、組織、または器官における)に対する放射線の曝露の効果を改善する方法であって、未治療の対照対象に対して、対象に、対象におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼを含む、1つ以上のシグナル経路の発現または活性を選択的に変更する薬剤を投与し、それによって対象に対する放射線の曝露の効果、具体的にはRIBEを改善することを含む、方法を提供する。
【0013】
また別の態様では、本発明は、対象(例えば、哺乳動物の細胞、組織、または器官における)に対する放射線の曝露の効果を改善する方法であって、未治療の対照細胞に対して、対象に、対象におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤を投与し、それによって対象に対する放射線の曝露の効果、具体的にはRIBEを改善することを含む、方法を提供する。
【0014】
本発明の別の態様は、CPR-4、CTSB、CEP-1、DAF-2、p53、インスリン/IGFレセプタ、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼ遺伝子またはそれらの相同体/オルソログのうちの1つ以上の発現を破壊、変更、および/または阻害するための組成物および方法を提供する。本発明の別の態様は、放射線の曝露の効果、具体的にはRIBEと関連する疾患および状態の治療または防止のための、CPR-4、CTSB、CEP-1、DAF-2、p53、インスリン/IGFレセプタ、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼ遺伝子またはそれらの相同体/オルソログのうちの1つ以上の発現を破壊、変更、および/または阻害のための組成物および方法を提供する。様々な実施形態では、1つ以上の標的遺伝子は、CRISPR/Cas-9、転写アクチベータ様エフェクタヌクレアーゼ(TALAN)または亜鉛(Zn2+)フィンガヌクレアーゼシステムを通して変更され得る。
【0015】
また別の実施形態では、本発明的技術は、診断目的、ならびに治療、薬物スクリーニングおよび患者/腫瘍の放射線療法の効能/感受性の目的、ならびに本明細書に記載の他の目的のために使用され得る1つ以上のマーカを含み得る。特定の実施形態では、これらのマーカは、患者、細胞、組織、腫瘍などにおける放射線感受性または放射線抵抗力を予測するためのマーカを含み得る。マーカは、CPR-4、CTSB、CEP-1、DAF-2、p53、インスリン/IGFレセプタ、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼを含み得るがこれらに限定されない。
【0016】
本発明の別の態様は、放射線の曝露によって誘発されたRIBEを緩和し、かつ/またはこれに干渉する特異的CTSB阻害剤の使用を含み得る。好ましい一実施形態では、このような阻害剤には、1)CA074[N-(l-3-トランス-プロピルカルバモイルオキシラン-2-カルボニル)-l-イソロイシル-l-プロリン]、CTSBの選択的阻害剤、2)CA074メチルエステル(CA074Me)、細胞内カテプシンB用膜透過性プロ阻害剤、および3)カテプシンBを含む、広範囲のシステインペプチダーゼを不可逆的に阻害し得るエポキシドであるE64が含まれ得る。一実施形態では、有効な量の前述のCTSB阻害剤または誘導体のうちの1つ以上を、放射線療法前、中、または後に患者に投与し得る。本発明のさらなる態様は、RIBEの新規阻害剤のための治療薬物スクリーニングのための方法およびシステムを含み得る。類似体、および本発明に含まれる他の化合物は、E-64、E-64a、E-64b、E-64c、E-64d、CA-074、CA-074 Me、CA-030、CA-028、Z-Phe-Phe-FMK、H-Arg-Lys-Leu-Trp-NH2、N-(1-ナフタレニルスルホニル)-Ile-Trp-アルデヒド、Z-Phe-Tyr(tBu)-ジアゾメチルケトン、Z-Phe-Tyr-アルデヒド、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。
【0017】
一態様では、本発明は、放射線の曝露、具体的にはRIBEの治療のための医薬組成物(複数可)であって、参照細胞に対して、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼレセプタのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する有効な量の1つ以上の薬剤を含有する、医薬組成物を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、放射線の曝露、具体的にはRIBEの治療ための医薬組成物(複数可)であって、参照細胞に対して、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼペプチドまたはその断片のうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する有効な量の1つ以上の薬剤を含有する、医薬組成物を提供する。
【0019】
また別の態様では、本発明は、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼレセプタ、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼペプチドまたはその断片の発現または活性を選択的に変更する有効な量の薬剤を含有する、放射線の曝露、具体的にはRIBEを治療するためのキット、ならびに放射線の曝露、および具体的にはRIBEを治療するためのキットを使用するための指示を提供する。
【0020】
本明細書に描写されている態様のうちのいずれかの様々な実施形態では、薬剤は、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼレセプタ核酸分子、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼ核酸分子の少なくとも一部分に対して相補的な阻害性核酸分子である。
【0021】
本明細書に描写されている態様のうちのいずれかの様々な実施形態では、薬剤は、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼレセプタ、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼペプチドに選択的に結合する抗体またはその断片である。様々な実施形態では、抗体は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体であり得る。
【0022】
本明細書に描写されている態様のうちのいずれかの様々な実施形態では、薬剤は、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼレセプタ、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼペプチドに選択的に結合する小分子である。様々な実施形態では、小分子は、合成であり得る。
【0023】
本発明はまた、放射線の曝露の治療のための組成物および方法を提供する。以下に記載のように、本発明は、放射線の曝露の効果、具体的にはRIBEに関連する疾患および状態の治療または防止のための、カテプシンB(CTSB)ペプチドまたはその断片の活性を阻害する、治療的に有効な量の化合物ケルセチンまたはその類似体を投与するための組成物および方法を特徴とする。
【0024】
一態様では、本発明は、細胞に対するRIBEを含む放射線の曝露の効果を改善する方法であって、未治療の対照細胞に対して、被照射細胞を、細胞におけるカテプシンB(CTSB)ペプチドまたはその断片の活性を阻害する、治療的に有効な量の化合物ケルセチンまたはその類似体と接触させ、それによって細胞に対する放射線の曝露の効果またはRIBEを改善することを含む、方法を提供する。
【0025】
別の態様では、本発明は、細胞に対するRIBEを含む放射線の曝露の効果を改善する方法であって、未治療の対照細胞に対して、照射されていない細胞を、細胞におけるカテプシンB(CTSB)ペプチドまたはその断片の活性を阻害する、治療的に有効な量の化合物ケルセチンまたはその類似体と接触させ、それによって細胞に対する放射線の曝露の効果またはRIBEを改善することを含む、方法を提供する。
【0026】
また別の態様では、本発明は、対象(例えば、哺乳動物の対象の細胞、組織、または器官における)に対する放射線の曝露の効果を改善する方法であって、未治療の対照細胞に対して、対象に、対象におけるカテプシンB(CTSB)ペプチドまたはその断片の活性を阻害する、治療的に有効な量の化合物ケルセチンまたはその類似体を投与し、それによって対象に対する放射線の曝露の効果、具体的にはRIBEを改善することを含む、方法を提供する。
【0027】
また別の態様では、本発明は、対象(例えば、哺乳動物の対象の細胞、組織、または器官における)に対する放射線の曝露の効果を改善する方法であって、対象に、治療的または診断的理由のためかを問わず、ある用量の放射線の投与前に、対象におけるカテプシンB(CTSB)ペプチドまたはその断片の活性を阻害する、治療的に有効な量の化合物ケルセチンまたはその類似体を投与し、それによって対象に対する放射線の曝露の効果、具体的にはRIBEを改善することを含む、方法を提供する。
【0028】
また別の態様では、本発明は、対象(例えば、哺乳動物の対象の細胞、組織、または器官における)に対する放射線の曝露の効果を改善する方法であって、対象に、ある用量の放射線の投与後に、またはRIBEの症状が現れ始めたときに、対象におけるカテプシンB(CTSB)ペプチドまたはその断片の活性を阻害する、治療的に有効な量の化合物ケルセチンまたはその類似体を投与し、それによって対象に対する放射線の曝露の効果、具体的にはRIBEを改善することを含む、方法を提供する。
【0029】
一態様では、本発明は、放射線の曝露、具体的にはRIBEの治療のための医薬組成物(複数可)であって、参照細胞に対して、細胞におけるカテプシンB(CTSB)ペプチドのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に低減する有効な量の1つ以上の薬剤を含有する、医薬組成物を提供する。好ましい実施形態では、医薬組成物(複数可)は、治療的に有効な量の化合物ケルセチンもしくはその類似体および/または薬学的に許容可能な塩を含み得る。
【0030】
また別の態様では、本発明は、放射線の曝露、具体的にはRIBEを治療するためのキットであって、参照細胞に対して、細胞におけるカテプシンB(CTSB)ペプチドのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に低減する有効な量の薬剤を含有する、キットを提供する。好ましい実施形態では、医薬組成物(複数可)は、治療的に有効な量の化合物ケルセチンもしくはその類似体および/または薬学的に許容可能な塩を含み得る。
【0031】
本発明的技術のさらなる実施形態は、以下を含み得るがこれらに限定されない。
1.放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法であって、患者に、タンパク質CPR-4の活性または発現を阻害する治療的に有効な量の薬剤を投与することを含む、方法。
【0032】
2.当該薬剤が、CPR-4合成阻害剤、化学薬品、核酸分子、抗体またはその生物学的に活性な断片、およびアプタマーからなる群から選択される、条項1に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0033】
3.当該核酸分子が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAi構成物、DNA酵素、およびCPR-4の発現または活性を特異的に阻害するリボザイムからなる群から選択される、条項2に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0034】
4.当該抗体またはその生物学的に活性な断片が、CPR-4に特異的に結合する抗体またはその生物学的に活性な断片を含む、条項2に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0035】
5.当該アプタマーが、CPR-4に特異的に結合するアプタマーを含む、条項2に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0036】
6.当該薬剤が、医薬組成物において前記対象に投与される、条項1~5に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0037】
7.当該放射線治療が、抗癌剤治療と組み合わされる、条項1に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0038】
8.抗癌剤治療が、外科手術および化学療法からなる群から選択される、条項7に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0039】
9.薬剤が、放射線療法の投与前に投与される、条項1に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0040】
10.薬剤が、放射線療法の投与と共に投与される、条項1に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0041】
11.放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法であって、患者に、細胞からのタンパク質CPR-4の分泌を阻害する治療的に有効な量の薬剤を投与することを含む、方法。
【0042】
12.当該薬剤が、CPR-4合成阻害剤、核酸分子、抗体またはその生物学的に活性な断片、およびアプタマーからなる群から選択される、条項11に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0043】
13.当該核酸分子が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAi構成物、DNA酵素、およびCPR-4の発現または活性を特異的に阻害するリボザイムからなる群から選択される、条項12に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0044】
14.当該抗体またはその生物学的に活性な断片が、CPR-4に特異的に結合し、当該細胞からの分泌を防止する抗体またはその生物学的に活性な断片を含む、条項12に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0045】
15.当該アプタマーが、CPR-4に特異的に結合し、当該細胞からの分泌を防止するアプタマーを含む、条項12に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0046】
16.当該薬剤が、医薬組成物において対象に投与される、条項11~15に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0047】
17.放射線治療が、抗癌剤治療と組み合わされる、条項11に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0048】
18.抗癌剤治療が、外科手術および化学療法からなる群から選択される、条項17に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0049】
19.薬剤が、放射線療法の投与前に投与される、条項11に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0050】
20.薬剤が、放射線療法の投与と共に投与される、条項11に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0051】
21.放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法であって、患者に、タンパク質カテプシンB(CTSB)の活性または発現を阻害する治療的に有効な量の薬剤を投与することを含む、方法。
【0052】
22.当該薬剤が、カテプシンB(CTSB)合成阻害剤、核酸分子、抗体またはその生物学的に活性な断片、およびアプタマーからなる群から選択される、条項21に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0053】
23.当該核酸分子が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAi構成物、DNA酵素、およびカテプシンB(CTSB)の発現または活性を特異的に阻害するリボザイムからなる群から選択される、条項22に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0054】
24.当該抗体またはその生物学的に活性な断片が、カテプシンB(CTSB)に特異的に結合する抗体またはその生物学的に活性な断片を含む、条項22に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0055】
25.当該アプタマーが、カテプシンB(CTSB)に特異的に結合するアプタマーを含む、条項22に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0056】
26.当該薬剤が、医薬組成物において対象に投与される、条項21~25に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0057】
27.放射線治療が、抗癌剤治療と組み合わされる、条項21に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0058】
28.抗癌剤治療が、外科手術および化学療法からなる群から選択される、条項27に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0059】
29.薬剤が、放射線療法の投与前に投与される、条項21に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0060】
30.薬剤が、放射線療法の投与と共に投与される、条項21に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0061】
31.放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法であって、患者に、タンパク質CEP-1の活性または発現を阻害する治療的に有効な量の薬剤を投与することを含む、方法。
【0062】
32.当該薬剤が、CEP-1合成阻害剤、化学薬品、核酸分子、抗体またはその生物学的に活性な断片、およびアプタマーからなる群から選択される、条項31に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0063】
33.当該核酸分子が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAi構成物、DNA酵素、およびCEP-1の発現または活性を特異的に阻害するリボザイムからなる群から選択される、条項32に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0064】
34.当該抗体またはその生物学的に活性な断片が、CEP-1に特異的に結合する抗体またはその生物学的に活性な断片を含む、条項32に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0065】
35.当該アプタマーが、CEP-1に特異的に結合するアプタマーを含む、条項32に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0066】
36.当該薬剤が、医薬組成物において対象に投与される、条項31~35に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0067】
37.放射線治療が、抗癌剤治療と組み合わされる、条項31に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0068】
38.抗癌剤治療が、外科手術および化学療法からなる群から選択される、条項37に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0069】
39.薬剤が、放射線療法の投与前に投与される、条項31に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0070】
40.薬剤が、放射線療法の投与と共に投与される、条項31に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0071】
41.放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法であって、患者に、タンパク質DAF-2の活性または発現を阻害する治療的に有効な量の薬剤を投与することを含む、方法。
【0072】
42.当該薬剤が、DAF-2合成阻害剤、核酸分子、抗体またはその生物学的に活性な断片、およびアプタマーからなる群から選択される、条項41に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0073】
43.当該核酸分子が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAi構成物、DNA酵素、およびDAF-2の発現または活性を特異的に阻害するリボザイムからなる群から選択される、条項42に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0074】
44.当該抗体またはその生物学的に活性な断片が、DAF-2に特異的に結合する抗体またはその生物学的に活性な断片を含む、条項42に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0075】
45.当該アプタマーが、DAF-2に特異的に結合するアプタマーを含む、条項42に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0076】
46.当該薬剤が、医薬組成物において対象に投与される、条項41~45に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0077】
47.放射線治療が、抗癌剤治療と組み合わされる、条項41に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0078】
48.抗癌剤治療が、外科手術および化学療法からなる群から選択される、条項47に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0079】
49.薬剤が、放射線療法の投与前に投与される、条項41に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0080】
50.薬剤が、放射線療法の投与と共に投与される、条項41に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0081】
51.放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法であって、患者に、タンパク質PDK-1の活性または発現を阻害する治療的に有効な量の薬剤を投与することを含む、方法。
【0082】
52.当該薬剤が、PDK-1合成阻害剤、核酸分子、抗体またはその生物学的に活性な断片、およびアプタマーからなる群から選択される、条項51に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0083】
53.当該核酸分子が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAi構成物、DNA酵素、およびPDK-1の発現または活性を特異的に阻害するリボザイムからなる群から選択される、条項52に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0084】
54.当該抗体またはその生物学的に活性な断片が、PDK-1に特異的に結合する抗体またはその生物学的に活性な断片を含む、条項52に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0085】
55.当該アプタマーが、PDK-1に特異的に結合するアプタマーを含む、条項52に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0086】
56.当該薬剤が、医薬組成物において対象に投与される、条項51~55に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0087】
57.放射線治療が、抗癌剤治療と組み合わされる、条項51に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0088】
58.抗癌剤治療が、外科手術および化学療法からなる群から選択される、条項57に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0089】
59.薬剤が、放射線療法の投与前に投与される、条項51に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0090】
60.薬剤が、放射線療法の投与と共に投与される、条項51に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0091】
61.放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法であって、少なくとも1つの細胞を、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼレセプタのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤と接触させ、それによって細胞に対する放射線の曝露の効果を改善する工程を含む、方法。
【0092】
62.放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法であって、細胞を、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼペプチドのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤と接触させ、それによって細胞に対する放射線の曝露の効果を改善する工程を含む、方法。
【0093】
63.放射線の曝露の効果が、直接的または間接的である、条項61に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0094】
64.細胞が、放射線に曝露されない、条項63に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0095】
65.細胞を、放射線に曝露された細胞または細胞の生成物と接触させる、条項63に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0096】
66.細胞が、放射線に曝露された細胞の近傍にあるか、またはその遠隔にあり、かつ細胞と直接接触していない、条項63に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0097】
67.細胞および放射線に曝露された細胞が、対象において存在している、条項61に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0098】
68.ヒトにおけるRIBEを改善する工程をさらに含む、条項61に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0099】
69.薬剤が、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼ核酸分子の少なくとも一部分に対して相補的な阻害性核酸分子である、条項61に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0100】
70.阻害性核酸分子が、アンチセンス分子、siRNA、shRNA、他のRNAi構成物、リボザイム、またはDNA生成物からなる群から選択される、条項69に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0101】
71.薬剤が、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタ、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼペプチドに選択的に結合する抗体またはその断片である、条項61に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0102】
72.抗体が、モノクローナルまたはポリクローナル抗体である、条項71に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0103】
73.当該方法が、RIBEを低減する、条項61に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0104】
74.当該方法が、癌対象における放射線療法の有効性を増加させる、条項61に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0105】
75.当該方法が、化学療法に対する癌細胞の抵抗力を低減する、条項61に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0106】
76.少なくとも1つの細胞を、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼペプチドのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤と接触させ、それによって細胞に対する放射線の曝露の効果を改善する工程を含む、放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0107】
77.細胞を、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤と接触させ、それによって細胞に対する放射線の曝露の効果を改善する、放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0108】
78.放射線の曝露の効果が、直接的または間接的である、条項76に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0109】
79.細胞が、放射線に曝露されない、条項78に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0110】
80.細胞を、放射線に曝露された細胞または細胞の生成物と接触させる、条項78に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0111】
81.細胞が、放射線に曝露された細胞の近傍にあるか、またはその遠隔にあり、かつ細胞と直接接触していない、条項78に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0112】
82.細胞および放射線に曝露された細胞が対象において存在している、条項76に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0113】
83.放射線の曝露の効果が、RIBEを含む、条項76に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0114】
84.薬剤が、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼ核酸分子の少なくとも一部分に対して相補的な阻害性核酸分子である、条項76に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0115】
85.阻害性核酸分子が、アンチセンス分子、RNAi、siRNA、shRNA、リボザイム、他のRNAi構成物、またはDNA生成物からなる群から選択される、条項84に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0116】
86.薬剤が、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタ、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼペプチドに選択的に結合する抗体またはその断片である、条項76に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0117】
87.抗体が、モノクローナルまたはポリクローナル抗体である、条項86に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0118】
88.当該方法が、RIBEを低減する、条項76に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0119】
89.当該方法が、癌対象における放射線療法の有効性を増加させる、条項76に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0120】
90.当該方法が、癌対象における化学療法の有効性を増加させる、条項76に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0121】
91.当該方法が、化学療法に対する癌細胞の抵抗力を低減する、条項76に記載の放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0122】
92.対象における放射線の曝露の効果を改善する方法であって、対象に、対象におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼペプチドのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤を投与し、それによって対象における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善することを含む、方法。
【0123】
93.対象における放射線の曝露の効果を改善する方法であって、対象に、対象におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼレセプタのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤を投与し、それによって対象における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善することを含む、方法。
【0124】
94.対象における放射線の曝露の効果を改善する方法であって、対象に、対象におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼオリゴヌクレオチドのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤を投与し、それによって対象における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善することを含む、方法。
【0125】
95.対象における放射線の曝露の効果を改善する方法であって、対象に、対象におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼリボヌクレオチドのうちの1つ以上の発現または活性を選択的に変更する薬剤を投与し、それによって対象における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善することを含む、方法。
【0126】
96.放射線の曝露が、直接的または間接的である、条項92に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0127】
97.細胞が、放射線に曝露されない、条項96に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0128】
98.細胞を、放射線に曝露された細胞と接触させる、条項96に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0129】
99.細胞が、放射線に曝露された細胞の近傍にあるか、またはその遠隔にあり、かつ細胞と直接接触していない、条項96に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0130】
100.細胞および放射線に曝露された細胞が、対象において存在している、条項98に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善するための方法。
【0131】
101.放射線の曝露の効果が、RIBEを含む、条項92に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0132】
102.薬剤が、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタ核酸分子、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼ核酸分子の少なくとも一部分に対して相補的な阻害性核酸分子である、条項92に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0133】
103.阻害性核酸分子が、アンチセンス分子、RNAi、siRNA、shRNA、リボザイム、他のRNAi構成物、またはDNA生成物からなる群から選択される、条項102に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0134】
104.薬剤が、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタ、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼペプチドに選択的に結合する抗体またはその断片である、条項92に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0135】
105.抗体が、モノクローナルまたはポリクローナル抗体である、条項104に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0136】
106.当該方法が、RIBEを低減する、条項92に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0137】
107.当該方法が、癌対象における放射線療法の有効性を増加させる、条項92に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0138】
108.当該方法が、癌対象における化学療法の有効性を増加させる、条項92に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0139】
109.当該方法が、化学療法に対する癌細胞の抵抗力を低減する、条項92に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0140】
110.放射線の曝露の治療のための医薬組成物であって、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼペプチドの発現または活性を選択的に変更させ、それによって対象における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善する、治療的に有効な量の1つ以上の薬剤を含む、医薬組成物。
【0141】
111.放射線の曝露の治療のための医薬組成物であって、細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタの発現または活性を選択的に変更させ、それによって対象における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善する、治療的に有効な量の1つ以上の薬剤を含む、医薬組成物。
【0142】
112.少なくとも1つの薬剤が、CPR-4、CTSB、CEP-1、p53、DAF-2、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタ核酸分子、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼ核酸分子の少なくとも一部分に対して相補的な阻害性核酸分子siRNAである、条項110の医薬組成物。
【0143】
113.阻害性核酸分子が、アンチセンス分子、siRNA、shRNA、リボザイム、他のRNAi構成物、またはDNA生成物からなる群から選択される、条項112の医薬組成物。
【0144】
114.少なくとも1つの薬剤が、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタ、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼペプチドに選択的に結合する抗体またはその断片である、条項111の医薬組成物。
【0145】
115.抗体が、モノクローナルまたはポリクローナルである、条項114の医薬組成物。
【0146】
116.薬剤が、対象における細胞死を変更するか、DNA損傷を低減するか、またはDNA修復を増加させる、条項110の医薬組成物。
【0147】
117.当該方法が、患者におけるRIBEを低減する、条項110の医薬組成物。
【0148】
118.組成物が、患者における癌対象における放射線療法の有効性を増加させる、条項110の医薬組成物。
【0149】
119.組成物が、患者における癌対象における化学療法の有効性を増加させる、条項110の医薬組成物。
【0150】
120.組成物が、化学療法患者における化学療法に対する癌細胞の抵抗力を低減する、条項110の医薬組成物。
【0151】
121.細胞におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタ、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼペプチドの発現または活性を選択的に変更する有効な量の薬剤、および放射線の曝露を治療するためのキットを使用するための指示を含む、放射線の曝露を治療するためのキット。
【0152】
122.薬剤が、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタ核酸分子、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼ核酸分子の少なくとも一部分に対して相補的な阻害性核酸分子である、条項121のキット。
【0153】
123.阻害性核酸分子が、アンチセンス分子、siRNA、shRNA、リボザイム、他のRNAi構成物、またはDNA生成物からなる群から選択される、条項122のキット。
【0154】
124.薬剤が、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼレセプタ、またはCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼペプチドに選択的に結合する抗体またはその断片である、条項121のキット。
【0155】
125.抗体が、モノクローナルまたはポリクローナルである、条項124のキット。
【0156】
126.当該方法が、患者におけるRIBEを低減する、条項121のキット。
【0157】
127.キットが、患者における放射線療法の有効性を増加させる、条項121のキット。
【0158】
128.キットが、患者における化学療法の有効性を増加させる、条項121のキット。
【0159】
129.キットが、患者における化学療法に対する癌細胞の抵抗力を低減する、条項121のキット。
【0160】
130.対象における放射線の曝露の効果を改善する方法であって、以下:CPR-4、カテプシンB、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ、PDK-1および/またはPDK1キナーゼのうちの1つ以上の発現を選択的に変更することを含む、方法。
【0161】
131.当該方法が、CRISPR/Cas-9システム、TALENシステム、または亜鉛フィンガヌクレアーゼシステムからなる群から選択されるシステムを通して、患者におけるCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼの発現を選択的に変更することを含む、条項130に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0162】
132.前記対象が、ヒトである、条項130に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0163】
133.CRISPR/Cas-9を通してCPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼの発現を選択的に変更する当該方法が、対象を、
-CRISPR関連エンドヌクレアーゼをコードする少なくとも1つのCRISPR関連エンドヌクレアーゼおよび単離核酸、ならびに
-ガイドRNAが、細胞における標的核酸配列に対して相補的である、ガイドRNAをコードするガイドRNAおよび単離核酸のうちの少なくとも一方に、曝露する工程を含む、条項131に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0164】
134.当該CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、Cas-9エンドヌクレアーゼである、条項133に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0165】
135.当該標的核酸配列が、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)PDK-1、またはPDK1キナーゼにおける標的核酸配列を含む、条項134に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0166】
136.CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼにおける当該標的核酸配列が、生物学的活性と関連する標的配列を含む、条項135に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0167】
137.当該生物学的活性が、生物学的活性を誘発するRIBEを含む、条項136に記載の対象における放射線の曝露の効果を改善する方法。
【0168】
138.放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法であって、患者に、タンパク質を誘発するRIBEの活性または発現を変更する治療的に有効な量の薬剤を投与することを含む、方法。
【0169】
139.当該薬剤が、カテプシンB(CTSB)の選択的阻害剤である、条項138に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0170】
140.カテプシンB(CTSB)の当該選択的阻害剤が、CA074[N-(l-3-トランス-プロピルカルバモイルオキシラン-2-カルボニル)-l-イソロイシル-l-プロリン]である、条項139に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0171】
141.当該薬剤が、細胞内カテプシンB(CTSB)のための膜透過性プロ阻害剤である、条項138に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0172】
142.当該細胞内カテプシンB(CTSB)のための膜透過性プロ阻害剤が、CA074メチルエステルである、条項141に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0173】
143.当該薬剤が、システインペプチダーゼを阻害するエポキシドである、条項138に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0174】
144.システインペプチダーゼを阻害する当該エポキシドが、E64である、条項143に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0175】
145.当該患者が、ヒトである、条項138~144に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0176】
146.当該方法が、以下:当該患者における放射線療法の有効性の増加、当該患者における化学療法の有効性の増加、当該患者における放射線療法に対する癌細胞の抵抗力の低減、患者における化学療法に対する癌細胞の抵抗力の低減、放射線療法に対する患者の耐性の増加のうちの1つ以上を示す、条項138~145に記載の放射線への曝露によって引き起こされた患者における放射線誘発性バイスタンダ効果を改善するための方法。
【0177】
147.RIBEの治療のための医薬組成物であって、カテプシンB(CTSB)の発現または活性を選択的に変更する有効量の1つ以上の薬剤を含む、医薬組成物。
【0178】
148.当該1つ以上の薬剤が、カテプシンB(CTSB)の発現または活性を選択的に阻害および/または低減する、条項147に記載のRIBEの治療のための医薬組成物。
【0179】
149.当該薬剤が、E64、CA074、CA074メチルエステル、およびそれらの誘導体からなる群から選択される、条項148に記載のRIBEの治療のための医薬組成物。
【0180】
150.癌患者が放射線治療の投与に反応すると予測されるかどうかを判定するための方法であって、
患者からの細胞試料において、
i.カテプシンB(CTSB)遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
ii.CPR-4遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
iii.CEP-1遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
iv.p53遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
v.DAF-2遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
vi.ヒトインスリン/IGFレセプタ(INSR)遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
vii.ヒトPDK1キナーゼ遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
viii.i~viiのマーカ遺伝子の少なくとも一部分に対して完全に相補的なポリヌクレオチド、
ix.i~viiのマーカ遺伝子によってコードされたポリペプチド、および
x.ixのポリペプチドの断片、からなる群から選択される、マーカ遺伝子または複数のマーカ遺伝子の遺伝子発現のレベルを検出することを含み、
マーカの発現レベルが、患者が放射線治療の投与に反応するかどうかを示す、方法。
【0181】
151.マーカまたは複数のマーカの存在が、放射線療法前、放射線療法中、および/または放射線療法後に、ポリペプチドの存在を検出することによって判定される、条項150の方法。
【0182】
152.当該患者が、ヒトである、条項150の方法。
【0183】
153.当該細胞試料が、非癌性細胞、癌細胞、前癌性細胞、組織、および器官からなる群から選択される、条項150の方法。
【0184】
154.癌患者が放射線治療の投与に反応すると予測されるかどうかを判定するための方法であって、
患者からの細胞試料において、
i.カテプシンB(CTSB)遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
ii.CPR-4遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
iii.CEP-1遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
iv.p53遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
v.DAF-2遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
vi.ヒトインスリン/IGFレセプタ(INSR)遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
vii.ヒトPDK1キナーゼ遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
viii.i~viiのマーカ遺伝子の少なくとも一部分に対して完全に相補的なポリヌクレオチド、
ix.i~viiのマーカ遺伝子によってコードされたポリペプチド、および
x.ixのポリペプチドの断片、からなる群から選択される、マーカ遺伝子または複数のマーカ遺伝子の遺伝子発現のレベルを検出することを含み、
マーカの発現レベルが、患者がRIBEを発症しやすいかどうかを示す、方法。
【0185】
155.マーカまたは複数のマーカの存在が、放射線療法前、放射線療法中、および/または放射線療法後に、ポリペプチドの存在を検出することによって判定される、条項153の方法。
【0186】
156.当該患者が、ヒトである、条項154の方法。
【0187】
157.当該細胞試料が、非癌性細胞、癌細胞、前癌性細胞、組織、および器官からなる群から選択される、条項154の方法。
【0188】
158.癌対象に投与される放射線治療の効能または有効性を評価する方法であって、
前記方法が、時間tに対象から得られた第1の試料中で測定されたマーカの発現レベルであって、前記マーカが、
i.カテプシンB(CTSB)遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
ii.CPR-4遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
iii.CEP-1遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
iv.p53遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
v.DAF-2遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
vi.ヒトインスリン/IGFレセプタ(INSR)遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
vii.ヒトPDK1キナーゼ遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
viii.i~viiのマーカ遺伝子の少なくとも一部分に対して完全に相補的なポリヌクレオチド、
ix.i~viiのマーカ遺伝子によってコードされたポリペプチド、および
x.ixのポリペプチドの断片、からなる群から選択される、発現レベルと、
時間tに対象から得られた第2の試料中のマーカのレベルと、を比較することを含み、
第1の試料に対する第2の試料中のマーカのレベルの変化が、放射線治療が対象における癌を治療するために有効であるという指標である、方法。
【0189】
159.時間tが、治療が対象に投与される前であり、時間tが、治療が対象に投与された後である、条項158の方法。
【0190】
160.当該患者が、ヒトである、条項158の方法。
【0191】
161.当該細胞試料が、非癌性細胞、癌細胞、前癌性細胞、組織、および器官からなる群から選択される、条項158の方法。
【0192】
162.癌対象に投与される放射線治療の効能または有効性を評価する方法であって、
当該方法が、時間tに対象から得られた第1の試料中で測定されたマーカの発現レベルであって、マーカが、
xi.カテプシンB(CTSB)遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
xii.CPR-4遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
xiii.CEP-1遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
xiv.p53遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
xv.DAF-2遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
xvi.ヒトインスリン/IGFレセプタ(INSR)遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
xvii.ヒトPDK1キナーゼ遺伝子、またはその相同体もしくは変異体と少なくとも85%の配列同一性を有するマーカ遺伝子、
xviii.i~viiのマーカ遺伝子の少なくとも一部分に対して完全に相補的なポリヌクレオチド、
xix.i~viiのマーカ遺伝子によってコードされたポリペプチド、および
xx.ixのポリペプチドの断片、からなる群から選択される、発現レベルと、
時間tに対象から得られた第2の試料中のマーカのレベルと、を比較することを含み、
第1の試料に対する第2の試料中のマーカのレベルの変化が、患者がRIBEを発症しやすいかどうかについての指標である、方法。
【0193】
163.時間tが、治療が対象に投与される前であり、時間tが、治療が対象に投与された後である、条項162の方法。
【0194】
164.各々がより高い用量の放射線を含む、連続する放射線療法治療を比較することをさらに含む、条項163の方法。
【0195】
165.最適レベルの放射線を患者に投与することをさらに含み、最適レベルが、治療的に有効な用量であり、当該患者におけるRIBE効果を誘導しないか、または制限されたRIBE効果を誘導する、レベルである、条項164の方法。
【0196】
166.当該患者が、ヒトである、条項165の方法。
【0197】
167.当該細胞試料が、非癌性細胞、癌細胞、前癌性細胞、組織、および器官からなる群から選択される、条項162の方法。
【0198】
168.RIBEの新規治療阻害剤のためのスクリーニングの方法であって、
RIBE誘発性遺伝子導入線形動物を作出することと、
当該遺伝子導入線形動物を、1つ以上の潜在的な治療標的化合物を含有する成長培地上に置くことと、
当該遺伝子導入線形動物の後代における胚致死性および/または幼虫停止を減少させる標的化合物を選択することによってRIBEを阻害する標的化合物を選択することと、を含む、方法。
【0199】
169.当該RIBE誘発性遺伝子導入線形動物を作出する工程が、Pmyo-2::CPR-4::mCherryの遺伝子導入線形動物もしくはその同等物、またはC.elegansのプロモータの制御下で、CPR-4、CPR-4::mCherryを発現する遺伝子導入線形動物もしくはその同等物を作出する工程を含む、条項168の方法。
【0200】
170.当該選択される潜在的な治療標的化合物が、局所照射試験を通してRIBEを阻害することがさらに確認される、条項168の方法。
【0201】
171.RIBEの新規治療阻害剤のためのスクリーニングの方法であって、
RIBE誘発性遺伝子導入線形動物を作出することと、
1つ以上の潜在的な治療標的化合物を当該遺伝子導入線形動物に導入することと、
当該遺伝子導入線形動物および/またはその後代に対する局所照射試験を実施することと、を含む、方法。
【0202】
172.当該RIBE誘発性遺伝子導入線形動物を作出する工程が、Pmyo-2::CPR-4::mCherryの遺伝子導入線形動物またはその同等物を作出する工程を含む、条項171の方法。
【0203】
173.当該遺伝子導入線形動物および/またはその後代を、
1つ以上の潜在的な治療標的化合物を含有する成長培地上に置く工程と、
当該遺伝子導入線形動物の後代における胚致死性および/または幼虫停止を減少させる標的化合物を選択することによってRIBEを阻害する標的化合物を選択する工程と、をさらに含む、条項171の方法。
【0204】
174.当該CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(複数可)PDK-1またはPDK1キナーゼペプチドが、相同体および/またはオルソログおよび/または変異体および/または断片を含む、本明細書に提示されるいずれかの条項に記載される新規組成物、方法、および/またはシステム。
【0205】
175.RIBEの新規治療モジュレータのためのスクリーニングの方法であって、
動物モデルにおけるRIBE誘発性遺伝子導入動物を作出することと、
当該遺伝子導入動物を、1つ以上の潜在的な治療標的化合物を含有する成長培地上に置くことと、
胚致死性、幼虫停止、ゲノムのDNA損傷、または当該遺伝子導入動物の後代における他のスコア化可能な表現型を含む、いくつかの表現型に影響を与える標的化合物を選択することによってRIBEに影響を与える標的化合物を選択することと、を含む、方法。
【0206】
176.当該動物モデルが、C.elegans、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、または他の動物モデルからなる群から選択される、条項175に記載のRIBEの新規治療モジュレータのためのスクリーニングの方法。
【0207】
本発明の他の特徴および利点は、図、詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0208】
本特許出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面(複数可)を含む本特許出願公報のコピーは、必要な場合に、必要な料金を支払って特許庁により提供されるであろう。さらに、本開示の上記および他の態様、特徴、および利点は、添付の図と併せて得られる以下の詳細な説明からより良好に理解され、それらのうちのすべては、例示のみの方法によって与えられ、本開示される実施形態を限定するものではない。
【0209】
図1】RIBE因子の同定。(1a)。C.elegansにおけるRIBEアッセイの概略的提示。(1b~c)。ここで、ced-1(e1735)L4幼虫を、トリプシンプロテアーゼ(50ng/μL)(c)で処理された、示された用量(b)またはUV-CM(100J/m)で照射されたN2動物由来のUV-CM中で培養した。48時間後に生殖細胞の死骸をスコア化した。データは、平均値±s.e.m.である。スコア化された生殖腺腕の数を、バーの内側に示す。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、「ns」、有意でない、両側、不対のt検定。(1d~e)。質量分析による分析。濃縮された>10kDのUV-CMおよびUV-Ctrl画分を、SDSポリアクリルアミドゲル(PAGE)および染色した銀(d)上で分解した。UV-CM(数でマークされた)に固有のバンドにおけるタンパク質の同一性を示す(e)。(1f)。CPR-4::フラグを、Pcpr-4::cpr-4::フラグ動物からUV-CMに分泌した。UV-CMおよびUV-Ctrl(1μg/μL)を、SDSPAGE上で分解し、免疫ブロット法(IB)によって検出した。
図2】RIBE因子としてのCPR-4の同定。(2a、2d~e)。示された菌株(a、e)からの条件培地(0.1μg/μL)または2.8μMの組み換えtCPR-4タンパク質(d)を使用して、図1bのced-1(e1735)動物を処理した。(2b~c、2f)。示された菌株(b、f)からの条件培地(0.1μg/μL)または2.8μMのtCPR-4タンパク質(c)のプロテアーゼ活性。tCPR-4の免疫ブロット法の画像は、以下のcである。(2g)。CPR-4::フラグを、Pcpr-4::cpr-4::フラグ動物からのIR-CMに分泌した。SDSPAGE上で分解されたIR-CMおよびIR-Ctrl(1μg/μL)を、免疫ブロット法によって検出した。(2h)。示された菌株における相対的なcpr-4 mRNAのレベル(折り畳み構造の変化)を、疑似被照射試料(対照)のものと比較して、定量的なRT-PCRによって判定した。データは、平均値±s.e.m.(a~f、h)である。スコア化された生殖腺腕の数を、バー(a、d、e)の内側に示し、他のアッセイ(b、c、f、h)について各群において、n=6である。***P<0.001、「ns」、有意でない、両側、不対のt検定(a、d、e、h)。
図3】CPR-4およびDAF-2は、局所UV照射(LUI)モデルにおいてRIBEを媒介する。(3a)。RIBEをアッセイするための動物内モデルの概略的提示。動物の咽頭領域に照射し、示されるように3つの曝露されていない領域におけるRIBEを分析した。(3b~c)。LUIを有するか、または有しない、Phsp-4::gfp動物の代表的な画像(少なくとも20個)。右上まで動物の尾。スケールバー、50μm。(3d)。異なる発生段階でのLUIに対するPhsp-4::gfp反応のアッセイ。(3e~g)。LUIの24時間後のPhsp-4::gfp反応(e)、F1胚致死性(f)、および後部生殖腺における生殖細胞の死骸(g)について、示された菌株を分析した。eにおけるいくつかの実験およびfにおけるすべての実験を、25℃で行った。データは、平均値±s.e.m.である。動物(d、e)、胚(f)を有するプレート、またはスコア化された生殖腺腕(g)の数を、バーの内側に示す。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、「ns」、有意でない、両側、不対のt検定(d~g)。
図4】CPR-4は、RIBEをもたらすためにDAF-2を通して作用する。(4a~b)。示された菌株のL4幼虫を、2.8μMのtCPR-4またはバッファ制御で48時間処理した。データは、平均値±s.e.m.である。スコア化された生殖腺腕の数を、バーの内側に示す。**P<0.01、***P<0.001、「ns」、有意でない、両側、不対のt検定。
図5】UVまたはイオン化照射(IR)および精製されたtCPR-4タンパク質から作出された条件培地は、胚致死性をもたらす。(5a)。疑似照射の対照と比較した、100J/mUV照射または500GyのIR後の野生型(N2)またはcep-1(gk138)動物の胚致死性割合。(5b)。N2動物を使用して、UV-CM、UV対照、IR-CM、およびIR対照を作出し、これらを使用して、胚致死性アッセイにおける曝露されていないN2動物を処理した。(5c)。2.8μMの組み換えtCPR-4タンパク質(野生型または変異体)、0.27μMの組み換えヒトカテプシンB(rhCTSB)、またはバッファ制御を使用して、胚致死性アッセイにおけるN2動物を処理した。スコア化された胚の総数:aの左バーから右バーまで、1781、805、1249、2645、596、および1862個の胚、bの左から右まで、2721、2484、880、および743、ならびにcの左から右まで、979、875、929、939、907、および777。6つの独立したアッセイ(a、bのUV-CtrlおよびUV-CM)および3つの独立したアッセイ(b、cのIR-CtrlおよびIR-CM)を各状態について行った。データは、平均値±s.e.m.である。**P<0.01、***P<0.001、「ns」は、有意でない、両側、不対のt検定である。
図6】RIBE因子の性質および供給源の特徴付け。(6a~b)。リボヌクレアーゼ(1μg/μL)またはデオキシリボヌクレアーゼ(0.01単位/μL)を含む100J/mで照射されたN2動物から回収されたUV-CMおよびUV-Ctrlの治療は、ced-1(e1735)動物に対するアポトーシス阻害効果を変更しなかった。ced-1(e1735)L4幼虫の48時間の治療後に、生殖細胞の死骸をスコア化した。(6c、6e~g)。ここで、ced-1(e1735)L4幼虫を、ced-3(n2433)動物(c)、25℃(e)で成長したglp-1(e2141ts)動物、ホルムアルデヒドで処理されたHB101細菌(f)、およびPcpr-4::cpr-4::フラグを供給されたN2動物、それぞれ、抗フラグを喪失したか、または喪失していないcpr-4(tm3718)動物から調製されたUV-CMおよびUV対照(0.1μg/μL)で処理した。データは、平均値±s.e.m.である。スコア化された生殖腺腕の数を、(a~c、e~g)の内側に示す。**P<0.01、***P<0.001、「ns」、有意でない、両側、不対のt検定。(6d)。25℃で成長したN2およびglp-1(e2141)成体動物の代表的な微分干渉(DIC)画像(少なくとも10)。複数の卵母細胞および受精卵を有するN2動物の生殖腺を、破線で示す。glp-1(e2141)動物は、視認可能な生殖系列を有しなかった。スケールバーは、100μmを示す。(6h)。抗フラグ喪失処理によるか、またはこれによらないPcpr-4::cpr-4::フラグ、cpr-4(tm3718)動物から調製されたUV-CMおよびUV-Ctrlにおける分泌されたCPR-4::フラグの免疫ブロット分析。
図7】RIBE因子としてのCPR-4の同定。(7a)。N2動物に由来するUV-CMおよびUV-Ctrlの完全な培地、>10kDの画分、および<10kDの画分を使用して、図1bのように、生殖細胞の死骸アッセイにおけるced-1(e1735)動物を処理した。データは、平均値±s.e.m.である。スコア化された生殖腺腕の数を、バーの内側に示す。(7b)。RNAiのスクリーニングを通したRIBE因子としてのCPR-4の同定。RNAiで処理された動物から調製されたUV-CtrlおよびUV-CMを使用して、ced-1(e1735)動物を処理した。UV-Ctrl治療下での平均的な生殖細胞の死骸の数をUV-CM治療下でのそれから減算することによって、生殖細胞の死骸の減少数(y軸)を計算した。候補遺伝子の中でも特に、eft-3、ubq-2、およびact-1のRNAiは、強力な胚致死性をもたらし、本発明者らは、それらのUV-CMを得ることができなかった。his-1、his-4、およびhis-71のRNAiは、部分的な胚致死性をもたらした。各RNAi実験において、20個の生殖腺腕をスコア化した。(7c)。UV-CMへのCPR-4::フラグの分泌は、同じPcpr-4::cpr-4::フラグ導入遺伝子を保有する被照射N2動物由来のそれと比較して、Pcpr-4::cpr-4::フラグの単一コピー統合を保有する被照射cep-1(gk138)動物において、大きく減少した。示された菌株由来の濃縮されたUV-CMまたはUV対照(1μg/μL)を、フラグエピトープに対する抗体を使用した免疫ブロット分析に供した。(7d)。0.27μMの組み換えヒトカテプシンB(rhCTSB)または2.8μMの組み換えtCPR-4タンパク質のプロテアーゼ活性を、図2bのように測定した。データは、平均値±s.e.m.である(各アッセイにおいて、n=6)。(7e)。0.27μMのrhCTSBまたはバッファ制御を使用して、ced-1(e1735)動物を処理した。rhCTSB緩衝液中に培養された動物は、tCPR-4緩衝液中におけるよりも成長が遅く、生殖細胞の死骸がより少なかった。データは、平均値±s.e.m.である(各アッセイにおいて、n=21)。48時間の治療後に、生殖細胞の死骸をスコア化した(a、b、e)。***P<0.001、「ns」、有意でない、両側、不対のt検定(a、e)。
図8】UV-CMにおけるCPR-4の同一性を確認するために使用されたLTQ-Orbitrapからの代表的なMS/MSスペクトル。(8a)。SDSPAGEゲル(図1d)におけるタンパク質バンド6のトリプシンペプチドを、LTQ-Orbitrapを使用して、LC-MS/MSによって分析した。MS/MS分析によって同定され、CPR-4のアミノ酸配列に合致したペプチドのアミノ線配列に、赤色で下線を引いている。(8b)。aで同定された2つのペプチドのMS/MSスペクトルを示す。Scaffold3検索エンジンを使用して、観察された断片化イオンの特異的アミノ酸残基への割り当てを行い、検索結果をMS/MSスペクトルの下に示す。より低いケース「c」は、トリプシンペプチド中のカルバミドメチル修飾システイン残基を示す。
図9】ヒトおよびマウスのカテプシンBおよびCPR-4のcpr-4欠失変異および配列アラインメント。(9a)。cpr-4遺伝子構造およびtm3718欠失の概略図。エキソンを青色のボックスとして図示し、イントロンおよび非翻訳領域を線として図示する。赤色のボックスは、406bp tm3718欠失によって削除されたcpr-4の領域を示す。緑色のボックスは、12bp挿入を示す。(9b)。ヒトカテプシンB、マウスカテプシンB、およびCPR-4の配列アラインメント。3つすべてのタンパク質において同一である残基に、ピンク色で陰影を付ける。2つの触媒残基に緑色で陰影を付け、これらは、それぞれ、求核試薬として機能するシステイン残基、および基質のペプチド結合の加水分解を促進するための一般塩基として作用する活性部位ヒスチジン残基である。
図10】RIBEを媒介する際の追加の遺伝子の役割の分析。(10a)。局所UV照射アッセイ。図3に記載の頭部領域の局所照射の24時間後のバイスタンダPhsp-4::gfp反応について、示された遺伝子型の動物を分析した。データは、平均値±s.e.m.である。スコア化された動物の数を、バーの内側に示す。(10b)。tCPR-4治療後の生殖細胞の死骸アッセイ。2.8μMの組み換えtCPR-4タンパク質またはバッファ制御を使用して、図4aに記載の示された遺伝子型のL4幼虫を処理した。データは、平均値±s.e.m.である。スコア化された生殖腺腕の数を、バーの内側に示す。(10c)。Pcpr-4::cpr-4::フラグ、daf-2(e1730)、cpr-4(tm3718)動物からのUV-CMおよびUV-Ctrlにおける分泌されたCPR-4::フラグの免疫ブロット分析を、図1fのように行った。(10d)。生殖細胞の死骸アッセイ。ced-1(e1735)L4幼虫を、cから調製されたUV-CMおよびUV対照(0.1μg/μL)で処理した。データは、平均値±s.e.m.である。スコア化された生殖腺腕の数を、バーの内側に示す。(10e)。生殖細胞の増殖アッセイ。N2およびcep-1(gk138)L4幼虫を、2.8μMの組み換えtCPR-4またはバッファ制御を含有するS培地中で48時間処理した。生殖系列の有糸分裂ゾーンにおける核および中期の核の数をスコア化した。データは、平均値±s.e.m.である。a、b、d、eでは、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、「ns」、有意でない、両側、不対のt検定。
図11】C.elegansにおけるcpr-4の発現パターン。(11a~g、および7i)。示された発生段階でPcpr-4::nls::gfpの単一コピー統合を保有するN2動物(a~g)またはcep-1(gk138)動物(i)の代表的なGFPおよびDIC画像(各々少なくとも15個)。矢印は、GFPを示さないか、または非常に不鮮明なGFPを示す胚およびL1幼虫を指し示す(a、b)。スケールバー、100μm。(11h)。同じPcpr-4::nls::gfp導入遺伝子を保有するL4幼虫の代表的なDIC、GFP、およびDIC/GFPの併合画像(少なくとも15)(左欄)、および腸細胞におけるGFP発現を示す対応する10倍の拡大画像(右欄)。GFPは、大部分が核内に見られた(矢印で示す)。スケールバー、それぞれ、100μm(左)および10μm(右)。(11j)。異なる発生段階のPcpr-4::nls::gfpおよびcep-1(gk138)、Pcpr-4::nls::gfp動物におけるGFP蛍光の強度を、ImageJのソフトウエアを使用して定量化した。データは、平均値±s.e.m.である。それぞれ、左バーから右バーへ、n=28、28、24、31、30、33、52、52、19、28、52、52、24、および25匹のスコア化された動物。同じ発生段階にある2つの異なる菌株間の差の有意性を、両側、不対のt検定によって判定した。**P<0.01、***P<0.001、「ns」、有意でない。(11k)。被照射UVによって照射されたか、またはImageJを使用した疑似照射された同じ単一コピーのPcpr-4::nls::gfp導入遺伝子を保有するN2およびcep-1(gk138)動物におけるGFP強度の定量化。データは、平均値±s.e.m.である。それぞれ、左バーから右バーへ、n=38、37、32、および30匹のスコア化された動物。異なる状態間の差の有意性を、両側、不対のt検定によって判定した。***P<0.001、「ns」、有意でない。
図12】CPR-4の咽頭の発現が、胚致死性、幼虫停止、および生殖細胞死の減少をもたらしている。(12a~b)。CPR-4::mCherry(a)およびtCPR-4::mCherry(b)の咽頭の発現を有する成体動物の代表的なDICおよびmCherry画像(少なくとも10個)。白色の破線は、咽頭の縁を強調している。矢尻は、CPR-4::mCherry(a)を取り上げた、体腔細胞を含む細胞を示し、これらは、咽頭内で生成され、咽頭から分泌され、おそらく流体で満たされた体腔である擬体腔を通して動物の他の部位に運搬されたのであろう。弱い蛍光(カラーの矢尻で示されている)を有する2対の後部細胞の拡大画像を、対応するカラーを有する破線のボックス内に示す。スケールバー、100μm。(12c)。Pmyo-2::CPR-4::mCherry(野生型または変異体)またはPmyo-2::tCPR-4::mCherry導入遺伝子を保有する胚または幼虫における胚致死性および幼虫停止のパーセンテージをスコア化した。各構成物について、3つの独立した遺伝子導入株をスコア化した。スコア化された新たに孵化した遺伝子導入L1の幼虫の数、およびスコア化された遺伝子導入胚の数を、丸括弧で示す。cpr-4 RNAiで処理したときのPmyo-2::CPR-4::mCherry遺伝子導入動物において見られる幼虫停止の増加をブロック分けし(表6)、これは、cpr-4の発現を低減することが幼虫停止を防止することを示している。すべての動物が、ced-1(e1735)およびcpr-4(tm3718)変異を保有する(a~c)。(12d)。遺伝子導入動物における生殖細胞の死骸の定量化。示された導入遺伝子を保有するL4 ced-1(e1735)、cpr-4(tm3718)動物を、検査前の24時間の間、一定のNGMプレート上で成長させた。データは、平均値±s.e.m.である。スコア化された生殖腺腕の数を、バーの内側に示す。遺伝子導入動物と非遺伝子導入動物との間の差の有意性を、一元配置分散分析(ANOVA)によって判定した。***P<0.001、「ns」、有意でない。
図13】カテプシンB(CTSB)は、ヒト細胞におけるUV誘発性バイスタンダ効果に関わる。(13a)。カテプシンB(CTSB)の発現は、UV照射に反応して調節されない、293T細胞に、示された用量でUVを照射した。次に、24時間後に細胞を回収し、それぞれ、抗CTSBおよび抗GAPDH(負荷制御)抗体を使用した、免疫ブロット分析に供した。(13b)。被照射293T細胞から回収されたUV条件培地(UV-CM)は、カテプシンB(CTSB)発現が減少した293T細胞からのものよりも強力な生存促進活性を示す。制御ショートヘアピン型RNA(shRNA)またはカテプシンB(CTSB)shRNAを発現する293T細胞から回収されたUV-Cmを使用して、曝露されていないHuh7細胞を培養した。SRBアッセイを使用して、Huh7の生存のパーセンテージを測定した。免疫ブロット法によるカテプシンB(CTSB)ノックダウンの効率を右に示した。
図14】カテプシンB(CTSB)は、ヒト細胞におけるUV誘発性バイスタンダ効果に関わる。(14a)。カテプシンB(CTSB)shRNAを発現する被照射Huh7細胞から回収されたUV条件培地(UV-CM)におけるカテプシンB(CTSB)の有意な減少。示されたshRNAを発現するHuh7細胞に、UV(400J/m)を照射した。次に、48時間後にUV-CMを回収し、抗CTSB抗体を使用した免疫ブロット分析に供した。(14b)。被照射Huh7細胞から回収されたUV-CMは、同様に、細胞の生存を促進する。制御shRNAまたはCTSB shRNAを発現するHuh7細胞から回収されたUV-CMを使用して、曝露されていないHuh7細胞を培養した。SRBアッセイ(方法)を使用して、Huh7細胞の生存のパーセンテージを測定した。免疫ブロット法によるCTSB shRNAノックダウンの効率を、右に示した。
図15】ヒトインスリンレセプタは、ヒト細胞におけるCTSB誘発性RIBEを媒介するために重要である。shCtrlおよびshCTSBを発現するHuh7細胞に、UV(400J/m2)を照射した。次に、48時間後にUV-CMを回収し、これを使用して、shCtrlまたはshINSRを発現する曝露されていないHuh7細胞を処理した。SRBアッセイを使用して、Huh7細胞の生存のパーセンテージを測定した。Huh7細胞を、48時間、PLKO.1-Ctrl(shCtrl)およびPLKO.1-CTSB(shCTSB)プラズミドでトランスフェクトした。細胞を洗浄し、新たな培地に置き、UV放射線(400J/m2)に曝露した。さらに48時間、被照射細胞を培養した。UV条件培地の上清を回収し、これを使用して、48時間、shCtrlまたはshINSRを発現する曝露されていないHuh7細胞を培養した。スルホローダミンB(SRB)アッセイを行って、Huh7細胞の生存のパーセンテージを測定した。
図16】異なるヒト細胞株は、UV照射に対して異なる基礎カテプシンB(CTSB)発現レベルおよび異なる感受性を示す。(a~d)。細胞に、示された用量でUVを照射し、48時間後に回収し、それぞれ、抗CTSBおよび抗GAPDH(負荷制御)抗体を使用して、免疫ブロット分析に供した。細胞を6cmのプレートに植え付け、完全な培地で一晩インキュベートした。付着性細胞をPBSで一度洗浄し、1.5mlのPBSを補充し(細胞の乾燥を防ぐために)、UV架橋剤を使用して、示されたUV用量で照射した。照射後、PBSを廃棄し、新たな完全な培地をプレートに加えた。48時間後、付着性細胞および浮遊細胞を含むすべての細胞を回収し、溶解し、免疫ブロット分析に供した。
図17】局所UV照射動物モデルにおけるヒトカテプシンBブロックRIBEのいくつかの阻害剤。統合されたPhsp-4::gfp導入遺伝子を保有するzcIs4L1の幼虫を、48時間、それぞれ、DMSO(Mock)、1mMのCA074、CA074Me、またはE64で処理した。上記の図3に記載のように、被照射動物の後部の曝露されていない領域における局所UV照射(LUI)に対するPhsp-4::gfpバイスタンダ反応のアッセイを行った。データは、平均値±s.e.m.である。*P<0.05.両側、不対のt検定。
図18】局所UV照射(LUI)によって誘発された染色体DNA損傷の阻害。DNA損傷の指標であるHUS-1::NeoGreen焦点を含む有糸分裂領域における生殖細胞のパーセンテージとして、染色体のDNA損傷を定量化する。各実験において、少なくとも15匹の動物をスコア化した。幼虫段階2(L2)の動物を、薬物で処理した。データは、平均値±s.e.m.であり、n.s.、有意でない、**P<0.01、***P<0.001、両側、不対のt検定。
図19】局所UV照射によって誘発された胚致死性の阻害。各実験において、1500個を超える胚をスコア化した。L2動物を、薬物で処理した。データは、平均値±s.e.m.であり、n.s.は、有意でないことを示し、***P<0.001、両側、不対のt検定。
図20】特異的抗体を使用した局所UV照射によって誘発された胚致死性の阻害。各実験において、700個を超える胚をスコア化した。L2動物を、CPR-4::フラグタンパク質に対して標的化された抗フラグ抗体で処理した。データは、平均値±s.e.m.であり、n.s.、有意でない、**P<0.01、両側、不対のt検定。
図21】局所UV照射によって誘発されたストレス反応(Phsp-4::gfp)の阻害。ストレス反応レポータであるPhsp-4::gfpの統合された導入遺伝子からGFPの蛍光強度を測定することによって、被照射動物の後部領域におけるストレス反応を定量化した。各実験において、少なくとも15匹の動物をスコア化した。L2動物を、薬物で処理した。データは、平均値±s.e.m.であり、n.s.、有意でない、*P<0.05、両側、不対のt検定。
図22】スクリーニングされた化合物の化学構造。
図23】ケルセチンおよび複数のケルセチン類似体の化学構造。
【発明を実施するための形態】
【0210】
好ましい一実施形態では、本発明者らは、アポトーシス阻害および細胞増殖の増加、致死性、ならびにストレス反応を含む複数の典型的なRIBE効果を誘発する第1のRIBE因子として、ヒトカテプシンB相同体である新規および高度に保存されたシステインプロテアーゼCPR-4を同定した。例えば、哺乳動物において、カテプシンBがリソソームから分泌されて、アポトーシスの調節を含む細胞外活性を与え、腫瘍性および炎症性疾患状態において役割を果たすことが観察されている。最近の研究ではまた、細胞外カテプシンBが化学療法中に薬物誘発性アポトーシスに対する乳癌の抵抗力を高めることを示している。したがって、以下に考察される他のものの中でも特に、CPR-4およびヒトカテプシンB(CTSB)は共に、放射線治療の効果を改善するための放射線治療および潜在的な治療標的前の、またはその後の結果の新規バイオマーカである。
【0211】
本発明者らは、さらに、誘発された放射線が、p53/CEP-1依存性機序を通してcpr-4転写、ならびにCPR-4タンパク質生成および分泌を増加させることを実証している。次に、分泌されたCPR-4は、老化、ストレス反応、新陳代謝からアポトーシスまで、複数の保存されたシグナル伝達経路にとって重要な意味を持つDAF-2インスリン/IGFレセプタの活性を調節することを通して直接または間接的のいずれかで、複数のRIBE反応を誘導する。より具体的には、本発明者らは、CPR-4が、紫外線(UV)またはイオン化ガンマ線(IR)を照射された動物または細胞から分泌され、照射されていない動物における細胞死の阻害および胚致死性の増加をもたらす条件培地における主要な因子であることを示している。
【0212】
本発明者らは、CPR-4が、被照射組織に対して遠位の曝露されていない部位にこれらの効果およびストレス反応を引き起こす、新規の機構を記載している。より具体的には、本発明者らは、放射線に反応して、p53腫瘍抑制因子の遺伝子相同体であるcep-1によって調節されるCPR-4の経路活性を記載している。本発明者らは、さらに、インスリン様成長因子レセプタであるDAF-2およびその下流のPDKキナーゼを通して作用し、RIBEを与えるCPR-4の活性を記載している。本発明者らはまた、ヒト細胞におけるRIBE反応にも関わるヒトカテプシンB(CTSB)システインプロテアーゼを記載している。具体的には、カテプシンB(CTSB)の発現が、照射に反応して上方調節され、ヒト細胞におけるUV誘発性バイスタンダ効果にも関わることを実証している。
【0213】
ヒトおよび動物系の両方におけるRIBEの新規伝達物質としてのカテプシンB、CPR-4、p53、cep-1、DAF-2、他のインスリン様成長因子レセプタ、PDK-1キナーゼ、他のPDKキナーゼ、および関連するシグナル変換経路の同定は、標的細胞の殺傷の効能を高め、放射線および放射線療法によって引き起こされる副作用を低減または防止することができる治療方法の開発のための新規標的および/まはマーカを提供し得る。
【0214】
このように、本発明的技術は、さらに、ヒトおよび他の動物におけるRIBEの増加をもたらす標的分子および分子径を阻害する新規組成物および治療方法の作出に関する。具体的には、本発明的技術は、RIBEの伝達物質:カテプシンB(CTSB)、CPR-4、p53、CEP-1、DAF-2、他のインスリン様成長因子レセプタ、PDK-1キナーゼ、他のPDKキナーゼ、およびこのような先代および後代のRIBE伝達物質(以後、概して、標的、標的ペプチド、標的ポリヌクレオチド、標的オリゴヌクレオチド、標的ポリペプチド、標的分子(複数可)、マーカ、バイオマーカ、標的マーカと称される)を含む、それらの関連するシグナル変換経路のうちの1つ以上の同定および阻害を含む。さらなる実施形態は、さらに、上で同定されたRIBE伝達物質の1つ以上の相同体または変位体の同定および阻害を含み得る。好ましい一実施形態では、本発明は、ケルセチン、イソケルセチン、および/または他のケルセチン類似体または誘導体によるカテプシンB(CTSB)、および/またはその相同体CPR-4の同定および阻害である。
【0215】
これらの臨床および医薬用途、具体的には、RIBEを治療および/または防止するための治療薬としてのケルセチン、イソケルセチンおよび/または他のケルセチン類似体または誘導体の使用は、標的細胞の殺傷の効能を高めることができ、放射線および放射線療法によって引き起こされた有害な副作用を低減または防止し得る。本発明の特定の他の実施形態は、標的細胞の殺傷の効能を高め、放射線および放射線療法によって引き起こされ、放射線防護のために使用される副作用を低減または防止することができる新規薬物のための迅速かつ有効なスクリーニングに対する診断用途を含み得る。このような用途は、RIBEの危険があり得る癌に対する放射線治療を受けた人にとって特に有益であり得る。加えて、このような治療方法を使用して、計画された放射線療法のイベントの前に放射線に曝露された患者において予防的に、または放射線の曝露の危険が高い可能性がある事例において、RIBEを直接治療することができる。
【0216】
好ましい一実施形態では、本発明は、さらに、ケルセチンおよび/またはケルセチン類似体/誘導体の活性成分を含むRIBEの治療および/または防止のための治療薬、より具体的には、以下に示す、以下の一般式(I)によって表されるケルセチンおよび/またはケルセチン類似体の活性成分、および/または薬学的に許容可能な塩または担体を含む、RIBEのための治療薬に関し、式中、
-R1は、ゲンチオトリオース、グルコピラノース、O-アラビノフラノース、O-ジグルコピラノース、O-ガラクトピラノース、O-ガラクトシド-ガレート、O-ゲンチオビオース、O-グルコピラノース、O-グルクロニド、O-ネオヘスペリドース、O-ラムノピラノース、O-ルチノース、O-ソホロース、O-キシロピラノース、OCH3、OH、ラムノゲンチオビオース、ラムノグルコース、または硫酸塩であり、
-R2は、OHまたはO-グルコピラノースであり、
-R3は、OCH3、OH、O-グルコピラリオース、O-グルクロノピラノース、またはグルコピラノースであり、
-R4は、OCH3またはOHであり、
-R5は、OCH3、OH、O-グルコピラノース、またはO-グルコースである。
【化1】
【0217】
一般式(I)によって表される本発明に含まれるケルセチン類似体/誘導体の中でも特に、よく知られている化合物は、(i)R2~R5がOHであり、R1が変化する式Iの誘導体群であって、R1がOHであるケルセチン、R1がO--L-アラビノフラノースであるアビキュラロシド、R1がO-アラビノピラノースであるキアザベリン、R1がO-β-D-ガラクトピラノースであるヒペロシド、R1がO-β-D-ガラクトピラノースであるイソヒペロシド、R1がO-グルコピラノースであるイソクエルシトリン、RxがO-[β-D-グルコピラノシル-(1-4)-α-L-ラムノピラノース]であるムルチノサイドA、Rxが(6-O-アセチル)-β-D-グルコピラノシル-(1-4)-α-L-ラムノピラノースであるムルチノサイドAアセテート、R1がO--L-ラムノピラノースであるクエルシトリン、R1がO-β-D-ルチノースであるルチン、R1がO-(2”-O-β-D-グルコピラノシル)-α-L-ラムノピラノースであるケルセチン-3-O-(2”-O-β-D-グルコピラノシル)-α-L-ラムノピラノシド、R1がO-(6”-O-ガロイル)-グルコピラノースであるケルセチン-3-O-(6”-O-ガロイル)-グルコピラノシド、R1がO-(6’“-O-p-クマロイル-β-D-グルコピラノシル-(1-2)-α-L-ラムノピラノースであるケルセチン-3-O-(6’“-O-p-クマロイル-β-D-グルコピラノシル-(1-2)-α-L-ラムノピラノシド)、RxがO-D-グルコピラノシル-(1-6)-β-D-グルコピラノシル-(1-4)-α-L-ラムノピラノースであるケルセチン-3-O-D-グルコピラノシル-(1-6)-β-D-グルコピラノシル-(1-4)-α-L-ラムノピラノシド、RxがO-[2”-O-6’“-O-p-(7”“-O-β-D-グルコピラノシル)クマロイル-β-D-グルコピラノシル]-α-L-ラムノピラノースであるケルセチン-3-O-[2”-O-6’“-O-p-(7““-O-β-D-グルコピラノシル)クマロイル-β-D-グルコピラノシル]-α-L-ラムノピラノシド、R1がO-[6’“-p-クマロイル-β-D-グルコピラノシル-β-(1-4)-ラムノピラノース]であるケルセチン-3-O-[6’“-p-クマロイル-β-D-グルコピラノシル-β-(1-4)-ラムノピラノシド]、RxがO-[α-L-ラムノピラノシル(1-2)-α-L-ラムノピラノシル-(1-6)-β-D-グルコピラノース]であるケルセチン-3-O-[α-L-ラムノピラノシル(1-2)-α-L-ラムノピラノシル-(1-6)-β-D-グルコピラノシド]、R1がO-[α-ラムノピラノシル(1-4)α-L-ラムノピラノシル(1-6)β-D-ガラクトピラノース]であるケルセチン-3-O-[α-ラムノピラノシル(1-4)-L-ラムノピラノシル(1-6)β-D-ガラクトピラノシド]、R1がO-[α-ラムノピラノシル-(1-2)]-[β-グルコピラノシル-(1-6)]-β-D-ガラクトピラノースであるケルセチン-3-O-[α-ラムノピラノシル-(1-2)]-[β-グルコピラノシル-(1-6)]-β-D-ガラクトピラノシド、RxがO-[α-ラムノピラノシル-(1-4)-α-ラムノピラノシル-(1-6)-β-ガラクトピラノース]であるケルセチン-3-O-[α-ラムノピラノシル-(1-4)-α-ラムノピラノシル-(1-6)-β-ガラクトピラノシド]、R1がO-α-L-ラムノピラノシル-(1-2)-β-D-ガラクトピラノースであるケルセチン-3-O-α-L-ラムノピラノシル-(1-2)-β-D-ガラクトピラノシド、R__がO-β-D-ジグルコピラノースであるケルセチン-3-O-β-D-ジグルコピラノシド、R1がO-β-D-ガラクトシド-2”-ガレートであるケルセチン-3-O-β-D-ガラクトシド-2”-ガレート、R1がO-β-D-グルコピラノシド-(1-6)-β-D-ガラクトピラノースであるケルセチン-3-O-β-D-グルコピラノシド-(1-6)-β-D-ガラクトピラノシド、RxがO-β-D-グルコピラノシル-(1-3)-α-L-ラムノピラノシル-(1-6)-β-D-ガラクトピラノースであるケルセチン-3-O-β-D-グルコピラノシル-(1-3)-α-L-ラムノピラノシル-(1-6)-β-D-ガラクトピラノシド、R1がO-β-D-グルクロニドであるケルセチン-3-O-β-D-グルクロニド、R1がO-β-D-キシロピラノースであるケルセチン-3-O-β-D-キシロピラノシド、R1がO-ジグルコピラノースであるケルセチン-3-O-ジグルコスピラノシド、R1がO-ゲンチオビオースであるケルセチン-3-O-ゲンチオビオシド、R1がO-グルコピラノシルガラクトピラノースであるケルセチン-3-O-グルコピラノシルガラクトピラノシド、R1がO-ネオヘスペリドースであるケルセチン-3-O-ネオヘスペリドシド、RxがO-ソホロースであるケルセチン-3-O-ソホロシド、R1がゲンチオトリオースであるケルセチン-3-ゲンチオトリオシド、RxがOCH3であるケルセチン-3-メチルエーテル、R1がラムノゲンチオビオースであるケルセチン-3-ラムノゲンチオビオシド、Rxがラムノグルコースであるケルセチン-3-ラムノグルコシド、およびRxが硫酸塩であるケルセチン-3-硫酸塩を含む、誘導体群、(ii)Rが-OHであり、R2~R5のうちの3つの官能基が-OHであり、残り1つの官能基が変化する式Iの誘導体群であって、R4がOCH3であるイソラムネチン、R3がO-β-D-グルコピラノースであるクエルシメリトリン、R3がOCH3であるラムネチン、R2がO-β-D-グルコピラノースであるケルセチン-5-O-β-D-グルコピラノシド、R3がO-β-D-グルクロノピラノースであるケルセチン-7-O-β-D-グルクロノピラノシド、およびR5がO-グルコースであるスピレアオシドを含む、誘導体群、(iii)Rx~R5のうちの3つの官能基がOHであり、残り2つの官能基が変化する式Iの誘導体群であって、R3およびR4がOCH3ケルセチン-3’であるラムナジン、R4およびR5がOCH3ケルセチン-3である4’-ジ-メチルエーテル、RxおよびR4がOCH3である3’-ジメチルエーテル、RxおよびR3がOCH3であるケルセチン-3、7-ジメチルエーテル、RxがO-[2”-O-(6’“-O-p-クマロイル)-β-D-グルコピラノシル]-α-L-ラムノピラノースであり、R3がO-β-D-グルコピラノースであるケルセチン-3-O-[2”-O-(6’“-O-p-クマロイル)-β-D-グルコピラノシル]-α-L-ラムノピラノシル-7-O-β-D-グルコピラノシド、RxがO-[2”-O-6’“-O-p-(7”“-O-β-D-グルコピラノシル)クマロイル-β-D-グルコピラノシル]-α-L-ラムノピラノースであり、R3がO-β-D-グルコピラノースであるケルセチン-3-O-[2”-O-6’“-O-p-(7”“-O-β-D-グルコピラノシル)クマロイル-β-D-グルコピラノシル]-α-L-ラムノピラノシド-7-O-β-D-グルコピラノシド、RxがO-ルチノースであり、R3がO-β-D-グルコピラノースであるケルセチン-3-O-ルチノシド-7-O-β-D-グルコピラノシド、RがO-α-L-アラビノピラノシルであり、R3が”O-β-D-グルコピラノースであるケルセチン-3-O-α-L-アラビノピラノシル-7-O-β-D-グルコピラノシド、R1がO-ソホロースであり、R3がO-β-D-グルコピラノースであるケルセチン-7-O-β-D-グルコピラノシド-3-O-ソホロシド、RがO-ガラクトピラノースであり、R3がO-グルコピラノースであるケルセチン-3-O-ガラクトピラノシル-7-O-ジグルコピラノシド、RxがO-グルコピラノースであり、R3がO-グルコピラノースであるケルセチン-3-O-グルコピラノシル-7-ジグルコピラノシド、Rxがグルコピラノースであり、R3がグルコピラノースであるケルセチン-3、7-ジグルコピラノシド、Rがゲンチオビオースであり、R3がグルコピラノースであるケルセチン-3-ゲンチオビオシル-7-グルコピラノシド、およびRおよびR5がO-β-D-グルコピラノースであるケルセチン-3、4’-ジ-O-β-D-グルコピラノシド、ならびに(iv)3つを超える官能基が変化する式Iの誘導体群であって、Rx、R3、およびR5がOCH3であり、R2およびR4がOHであるケルセチン-3、4’,7-トリメチルエーテル、およびRx、R3、R4、およびR5がOCH3であり、R2がOHであるケルセチン-3、3’、4’、7-テトラメチルエーテルを含む、誘導体群として分類される。
【0218】
好ましい一実施形態では、本発明は、さらに、ケルセチンの活性成分を含むRIBEのための治療薬、より具体的には、ヒトカテプシンB(CTSB)の活性を有効に阻害する以下の式(II)によって表されるケルセチンの活性成分を含むRIBEのための治療薬に関する。
【化2】
【0219】
別の好ましい実施形態では、本発明は、さらに、イソケルセチンの活性成分を含むRIBEのための治療薬、より具体的には、ヒトカテプシンB(CTSB)の活性を有効に阻害する以下の式(III)によって表されるイソケルセチン化合物の活性成分を含む、RIBEのための治療薬に関する。
【化3】
【0220】
上記の一般式(I)のRx~R5における同じOH基を有するケルセチンは、自然界における4000種を超える植物に見られるフェノール化合物であり、フィトエストロゲンのうちの1つとして知られている。それは、共鳴構造および302.33g/モルの分子量を有するCX5HXOO7の分子式を有し、1936年の化学構造の同定によりビタミンPとしても知られている。ケルセチンは、砂糖がβ結合を介して結合されるグリコシドであるルチンであり、クローバーの花、一般的なブタクサの花粉、ならびに様々な植物のさやおよび茎などの植物中に、ならびにタマネギ、ケール、ブロッコリー、レタス、トマト、およびリンゴにおいて広く分布している。ケルセチンは、毛細血管の壁一体性および毛細血管の抵抗力の維持において重要な役割を果たす(Gabor et al.,Plant Flavonoids in Biology and Medicine II:Biochemical,Cellular,and Medical Properties,280:1-15,1988;Havsteen et al.,Biochemical Pharmacology,32:1141-1148,1983(そのすべては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)のみならず、抗酸化活性、ビタミンPの活性、紫外線吸収活性、抗高血圧活性、抗不整脈活性、抗炎症活性、抗アレルギー活性、抗コレステロール活性、肝毒性に対する抑制活性、および不妊に対する治療効果を有するものと評価されており、したがって、ケルセチンを、食品、医療および医薬製品、ならびに化粧品において広く使用することが期待され得る。しかしながら、RIBEの防止および治療のためのケルセチンの使用についての報告は存在していない。ケルセチン誘導体の活性成分を含む本発明のRIBEのための治療薬を、本明細書に例示する。
【0221】
カテプシンBの活性を阻害することができ、かつ/またはヒトにおけるRIBEを阻害もしくは調整することができる追加の化合物は、図22または23において同定されるものを含み得る。例えば、別の好ましい実施形態では、本発明は、さらに、E64の活性成分を含むRIBEのための治療薬、より具体的には、ヒトカテプシンB(CTSB)の活性を有効に阻害し得る以下の式(IV)によって表されるE64化合物の活性成分を含むRIBEのための治療薬に関する。
【化4】
【0222】
別の好ましい実施形態では、本発明は、さらに、CA074の活性成分を含むRIBEのための治療薬、より具体的には、ヒトカテプシンB(CTSB)の活性を有効に阻害し得る以下の式(V)によって表されるCA074化合物の活性成分を含むRIBEのための治療薬に関する。
【化5】
【0223】
別の好ましい実施形態では、本発明は、さらに、CA074の活性成分を含むRIBEのための治療薬、より具体的には、ヒトカテプシンB(CTSB)の活性を有効に阻害し得る以下の式(VI)によって表されるCA074化合物の活性成分を含むRIBEのための治療薬に関する。
【化6】
【0224】
上述のように、RIBEの防止および治療のための本明細書で同定された化合物または化合物の類似体のうちのいずれかの使用についての報告は存在していない。ケルセチン誘導体の活性成分を含む本発明のRIBEのための治療薬を、本明細書に例示する。類似体および/または誘導体(これらの用語は一般に相互変換可能である)も、特に本発明的技術に含まれる。
【0225】
ヒトカテプシンB(CTSB)の活性に対するケルセチンおよびその類似体/誘導体の効果を評価するために、本発明者らは、ケルセチンおよびイソケルセチンの類似体の効果を比較し、ケルセチンおよびイソケルセチンの両方がCTSBの活性を阻害し、結果として、放射線の曝露に反応したRIBEの伝播を阻害および/または妨害することを発見した。
【0226】
好ましい実施形態では、RIBEの治療、防止、または改善のための治療方法および/または組成物の一部として本明細書に記載の1つ以上のケルセチン、イソケルセチン、および/または他のケルセチン類似体/誘導体を、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、線維素グリコール酸カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤、コーンスターチ、ラクトース、大豆油、結晶セルロース、マンニトールなどの賦形剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤、スクロース、果糖、ソルビトール、アスパルテームなどの甘味料、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、α-またはβ-シクロデキストリン、ビタミンC、クエン酸、白ろうなどの安定剤、パラオキシメタル安息香酸塩、パラオキシプロピル安息香酸塩、安息香酸ナトリウムなどの防腐剤、およびエチルバニリン、マスキング風味、フラボノメントール、ハーブ風味などの芳香族化合物を含む、薬学的に許容可能な賦形剤と混合して、錠剤、カプセル、軟カプセル、液体、軟膏、ピル、粉末、懸濁液、乳濁液、シロップ、座薬、または注射などの経口または非経口投与のための医薬製剤を調製し得る。本発明の医薬製剤の非経口投与のために、皮下、静脈内、筋肉内、または腹腔内注射を用いることができる。非経口投与のために、ケルセチン誘導体を、水中で安定剤または緩衝液と混合して、アンプルまたはバイアルの単一用量の製剤として生成され得る溶液または懸濁液を調製し得る。
【0227】
一実施形態では、RIBEの治療のための治療薬として、治療的に有効な量のケルセチン、イソケルセチン、またはそれらの類似体は、2~20mg/kg、好ましくは8~12mg/kgであり得、これを、患者の年齢、性別、重症度、投与方法、または防止の目的に応じて、1日1回超、患者に投与し得る。しかしながら、代替的な実施形態は、0.01~1000mg/kg、1mg/kg未満、または100mg/kg超を含み得る。ケルセチンという用語は、本明細書で言及される場合、また具体的にはRIBEまたはRIBE関連の症状/効果などの治療のための治療薬/化合物として考察された場合、ケルセチン、イソケルセチン、ケルセチンの類似体/誘導体、またはケルセチン、イソケルセチン、および/もしくはケルセチンの類似体/誘導体の混合物もしくは組み合わせ、または本明細書で同定された他の化合物を意味し得ることが留意されるべきである。
【0228】
本発明の組成物に含まれるRIBEの治療のための治療薬として、治療的に有効な量のケルセチン、イソケルセチン、またはそれらの類似体を、1人1日当たり、0.1~20g、好ましくは0.3~10gの酵素で処理されたルチン摂取量をガイドとして使用して決定することができる。体重kg当たり、例えば、0.002~400mg/kg、より好ましくは0.006~200mg/kgの摂取量を与えるために、前述の量を決定することもできる。代替的に、組成物の総重量に基づいて、0.001~95重量%、好ましくは0.01~80重量%の範囲にあるように、前述の量を決定することができる。
【0229】
本明細書で使用される専門用語は、実施形態を記載するためのものであり、限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「1つ」、「および」、および「その」は、内容および文脈が別段明確に示していない限り、複数の参照を含む。したがって、例えば、「標的分子」の参照は、2つ以上のそのような標的分子の組み合わせを含み得る。別段定義されない限り、すべての科学的および技術的用語は、それらが関連する技術分野において一般に使用されるものと同じ意味を有するものとして理解されるべきである。
【0230】
本明細書で使用される場合、生物学的マーカ(「バイオマーカ」または「マーカ」)は、通常の生物学的プロセス、病原性プロセス、またはNIH Biomarker Definitions Working Group(1998)と一致する治療的介入に対する薬理学的反応の指標として客観的に測定および評価される特性である。マーカはまた、特定の生物学的プロセスを示す特性のパターンまたは集合を含み得る。バイオマーカ測定は、特定の生体イベントまたはプロセスを示すように増加または減少することができる。加えて、バイオマーカ測定が、典型的に、特定の生物学的プロセスがないときに変化する場合、定数測定は、そのプロセスの発生を示し得る。
【0231】
本発明の標的分子またはマーカは、診断および予測の目的のために、ならびに治療、薬物スクリーニング、および患者の層別化の目的のために(例えば、評価のために患者を「サブセット」にグループ分けする)、ならびに本明細書に記載の他の目的のために使用することができる。
【0232】
本発明は、報告されたマーカと癌細胞の放射線感受性または放射線抵抗力との間の相関関係に依存するすべての組成物および方法を含む。このような方法は、癌患者または腫瘍が、放射線治療の投与に反応することが予測されるかどうかを判定するための方法、ならびに放射線治療の効能を評価するための方法を含む。追加の方法は、癌患者または腫瘍が、患者におけるRIBE媒介効果、ならびにおそらく照射の場所、量、および種類に相関するRIBE媒介効果のレベルまたは重症度を示すことによって、放射線治療の投与に反応することが予測されるかどうかを判定することを含み得る。このような診断情報を使用して、放射線治療の投与に反応することが予測される通常の曝露されていない細胞に対するRIBEを低減または改善しながら、例えば、癌細胞をより有効に治療または殺傷することができる。この診断活動は、生体内または生体外で行われ得る。
【0233】
対象に、CTSBなどのバイオマーカの活性または発現を変更する治療的に有効な量の薬剤を投与することによって、放射線治療の効能を改善するための方法をさらに含む。この文脈において、「有効」という用語は、RIBEの兆候もしくは症状を低減または緩和すること、RIBEの臨床経過を改善すること、癌細胞の殺傷を高めること、またはRIBEの任意の他の客観的もしくは主観的標識を低減することを含むように広く理解されるべきである。異なる薬物、用量および送達経路を、異なる薬物投与状態を使用する方法を行うことによって評価することができる。マーカを、医薬組成物として、またはキットにおいて使用することもできる。マーカを使用して、それらの発現を調整する候補化合物をスクリーニングすることもできる。
【0234】
一実施形態では、本発明は、照射に反応する1つ以上のマーカの発現を利用する、RIBEのための新規診断アッセイのための方法およびシステムを含み得る。この好ましい実施形態では、患者からの細胞および/または組織を、例えば、生検を通して抽出することができる。これらの細胞/組織は、本質的に癌性または非癌性であり得、患者の複数の異なる場所から採取され得る。これらの細胞を、可変レベルの放射線に曝露することができる。照射に反応するCTSBなどの1つ以上のマーカの発現レベルを、測定および定量化することができる。この測定は、RIBEを発症しやすい細胞および/または患者、RIBE媒介マーカ/標的が曝露され、曝露され始めるポイントでの閾値、およびそれらが曝露されるレベルを実証し得る。図16に実証されるように、この例において、治療における照射に反応するCTSBの発現のレベルは、放射線の曝露のレベル、ならびに細胞型に基づいて異なる発現を示した。この実施形態では、診断アッセイを、放射線療法前、中、および後に患者の細胞または組織に対して行って、放射線療法治療を最適化して、最大の癌細胞の殺傷を達成し、RIBEなどの副作用を最小化することができる。例えば、RIBEマーカ/伝達物質について高閾値を示す患者または癌細胞は、放射線療法に対するより高くより長い曝露に耐性がある可能性があり、その逆も含む。このように、放射線療法の手順をカスタマイズして、RIBEおよび/または他の副作用に対する患者の持続可能性に合わせることができる。
【0235】
本発明的技術の特定の実施形態では、CPR-4またはCTSBなどの標的または標識タンパク質は、「完全なタンパク質」または1つ以上のタンパク質断片を包含し得る。本発明の方法を使用して、列挙された分子の断片、ならびに列挙された分子全体を含有する分子、または少なくともそれらの重要な部分(例えば、測定された固有のエピトープ)、およびタンパク質の修飾形態を評価することができる。したがって、そのような断片、より大きい分子および修飾形態が、本発明の範囲内に含まれる。例えば、標的分子CTSB、CPR-4、p53、CEP-1、DAF-2、他のインスリン様成長因子レセプタ、PDK-1キナーゼ、他のPDKキナーゼ、およびそれらの関連するシグナル変換経路は、標的タンパク質、タンパク質断片、エピトープ、触媒部位、シグナル伝達部位、局在化部位などを含み得る。
【0236】
本発明は、CPR-4およびCTSBならびに癌細胞の放射線感受性(または放射線抵抗力)など、報告された標的分子間の相関関係に依存するすべての組成物および方法を含む。本発明は、CPR-4およびCTSBならびに癌細胞の放射線感受性(または放射線抵抗力)など、報告された標的分子間の相関関係、ならびにRIBEの治療のための治療薬としての、ケルセチンまたはその類似体の投与に依存するすべての組成物および方法を含む。このような方法は、癌患者が、放射線治療の投与に反応することが予測されるかどうかを判定するための方法、および放射線治療の効能を評価するための方法を含む。さらなる実施形態は、癌患者が、ケルセチン、および/またはケルセチン類似体の投与に反応することが予測されるかどうかを判定するための方法、ならびにRIBEのための治療としての、ケルセチンおよび/またはケルセチン類似体の投与の効能を評価するための方法を含む。一実施形態では、CTSBの発現は、放射線療法を受ける前の患者、または重度のRIBEを有し、おそらく化学療法に対する抵抗力を生じる患者における臨床結果の予測子であり得るように測定され、かつ/または特徴付けられ得る。対象に、CTSBなどの1つ以上の標的分子の活性または発現を阻害する治療的に有効な量のケルセチン、イソケルセチンおよび/またはケルセチン類似体を投与することによって、放射線治療の効能を改善するための方法をさらに含む。
【0237】
対象に、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1、および/またはPDK1キナーゼなどの1つ以上の標的分子の活性または発現を変更する治療的に有効な量の薬剤を投与することによって、放射線治療の効能を改善するための方法をさらに含む。この文脈において、用語。この文脈において、「有効」または「治療的に有効」という用語は、RIBEの兆候もしくは症状を低減または緩和すること、RIBEの臨床経過を改善すること、またはRIBEの任意の他の客観的もしくは主観的標識を低減することを含むように広く理解されるべきである。また、癌の兆候もしくは症状を低減または緩和すること、疾患の臨床経過を改善すること、または低減疾患の任意の他の客観的もしくは主観的標識を低減すること、化学療法に対する癌細胞の抵抗力を減少させること、化学療法もしくは放射線療法治療のための通常の非標的細胞の耐性を増加させること、または化学療法および/もしくは放射線療法の有効性を増加させることを含む。異なる薬物、用量および送達経路を、異なる薬物投与状態を使用する方法を行うことによって評価することができる。分子標的はまた、医薬組成物として、またはキットにおいて使用することもできる。標的はまた、それらの発現を調製する候補化合物をスクリーニングするために使用することもできる。
【0238】
本発明のさらなる実施形態は、対象に、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ(INSR)、PDK-1および/またはPDK1キナーゼなどの1つ以上の標的分子の活性または発現を変更する治療的に有効な量の薬剤を投与することによって、化学療法の効能を改善するための方法を含む。この文脈において、「有効」という用語は、化学治療薬に対する患者の抵抗力を低減すること、癌の兆候もしくは症状を低減または緩和すること、患者の臨床経過を改善すること、または疾患の任意の他の客観的もしくは主観的標識を低減することを含むように広く理解されるべきである。異なる薬物、用量および送達経路を、異なる薬物投与状態を使用する方法を行うことによって評価することができる。分子標的はまた、医薬組成物として、またはキットにおいて使用することもできる。標的はまた、それらの発現を調製する候補化合物をスクリーニングするために使用することもできる。
【0239】
本出願で使用される場合、1つ以上の標的の発現もしくは活性を変更する、または変更すること、という用語は、CTSBまたはCPR-4などの標的の発現または生物学的活性を低減することを含み得る。さらなる実施形態では、1つ以上の標的の発現もしくは活性を変更する、または変更すること、という用語は、CTSBまたはCPR-4、またはシグナル経路における他の成分などの標的の発現もしくは生物学的活性の増加を含み得る。これらの実施形態では、活性または生物学的活性は、例えば、標的タンパク質またはmRNAの酵素活性を変更することを含み得る。さらなる実施形態は、標的タンパク質の活性が低減または増加されるような標的タンパク質の形状または構造を変更することを含み得る。またさらなる実施形態では、1つ以上の標的を変更する、または変更すること、という用語は、シグナル経路に関わる上流または下流の標的または他のレセプタまたは分子の減少または増加を含み得る。この実施形態では、標的の発現または活性を変更すると、1つ以上の対応するシグナル経路およびそれらの構成成分を増幅および/または抑制し得る。さらなる実施形態では、1つ以上の標的の発現もしくは活性を変更する、または変更すること、という用語は、他の分子またはレセプタとの結合親和性を増加または減少させること、ならびに分泌される標的の能力または細胞、組織、器官、または生物内のその移動の変化を含み得る。このような分泌の変更はまた、分泌依存分子および/またはシグナル経路および/または細胞/膜トランスポーターの選択的または一般的なブロッキングを通して達成され得る。
【0240】
本明細書に記載の標的分子は、皮膚検査、ダーモスコピー、リンパ節検査、胸部x線、胸部、頭部、腹部、または骨盤のCTスキャン、磁気共鳴撮像(MRI)、および/または血清乳酸脱水素酵素血液検査などの癌の他の兆候、症状、および臨床試験と組み合わせて測定および/または使用されることが予測される。本明細書に特に列挙されていないものを含む、当該技術分野で知られている任意の他の標的と共に、本発明の標的分子の測定および/または使用は、本発明の範囲内に該当する。
【0241】
本明細書で使用される場合、「CTSB遺伝子発現」のレベルまたは「CTSBタンパク質の発現レベル」などの「遺伝子発現」または「タンパク質の発現」という句は、試料中、細胞中、患者内に存在し、試料中に分泌され、細胞から分泌された遺伝子転写物またはタンパク質の量に関連する任意の情報、ならびに遺伝子またはタンパク質が生成さるか、または蓄積しているか、または分解される速度についての情報(例えば、レポータ遺伝子データ、核流出実験からのデータ、パルスチェイスデータなど)を含む。特定の種類のデータは、遺伝子およびタンパク質の両方発現に関するものと見られるであろう。例えば、細胞中のタンパク質のレベルは、タンパク質のレベルならびに転写のレベルを反映しており、このようなデータは、「遺伝子またはタンパク質の発現情報」という句によって含まれることが意図される。このような情報は、細胞当たりの量、無名の測定単位における対照遺伝子またはタンパク質に対する量などの形態で与えられる場合があり、「情報」という用語は、任意の特定の表現手段に限定されるべきではなく、関連する情報を提供する任意の表現を意味することが意図される。「発現レベル」という用語は、データが、遺伝子転写物の蓄積またはタンパク質の蓄積またはタンパク質の合成速度などを対象としているかに関わらず、遺伝子またはタンパク質の発現データに反映されているか、またはここから導き出せる分量を指す。
【0242】
本明細書で使用される場合、化合物は、本質的に関連する少なくとも1つの成分から分離された場合に「単離した」と称される。例えば、代謝産物は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および他の代謝産物を含む、汚染物質から分離された場合に単離したと考えられ得る。単離した分子は、合成によって調製されるか、またはそれらの自然環境から精製されるかのいずれかであり得る。当該技術分野で知られている標準的な定量化の方法論を用いて、本発明の分子を得、これらを単離することができる。
【0243】
本発明の標的分子またはタンパク質の相同体および対立遺伝子は、従来の技術によって同定され得る。本明細書で使用される場合、ポリペプチドに対する相同体は、同定されたポリペプチドと高程度の構造的類似性を有するヒトまたは他の動物由来のポリペプチドである。本明細書で同定されたポリペプチド標的のヒトおよび他の生物の相同体の同定は、当該技術分野の同定によく見られるものであろう。
【0244】
本明細書で同定された標的分子遺伝子によってコードされるポリペプチドは、単一のポリペプチドまたは複合ポリペプチドを反映し得る。したがって、別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載のタンパク質標的分子の断片、前駆体、後代、または修飾形態であるポリペプチドを提供する。別の実施形態では、本発明は、前述の断片、前駆体、後代、または修飾ポリペプチドを含むタンパク質標的分子を含む。本明細書で使用される場合、ポリペプチドの「断片」は、ポリペプチドの配列の少なくとも5つの連続したアミノ酸残基、少なくとも10個の連続したアミノ酸残基、少なくとも20個の連続したアミノ酸残基、または少なくとも30個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む、単一のアミノ酸または複数のアミノ酸残基を指す。本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの「断片」は、ポリヌクレオチドの配列の少なくとも15個の連続した核酸残基、少なくとも30個の連続した核酸残基、少なくとも60個の連続した核酸残基、または少なくとも90%を有する核酸配列を含む、単一の核酸または核酸残基のポリマーを指す。いくつかの実施形態では、断片は、抗原性断片であり、断片のサイズは、抗体によって認識されるエピトープが直鎖状エピトープまたは構造エピトープであるかなどの因子によるであろう。したがって、いくつかの抗原性断片は、より長いセグメントからなり、他の抗原性断片は、より短いセグメント(例えば、ポリペプチドの最大全長の各整数を含む、5、6、7、8、9、10、11、または12個以上のアミノ酸長)からなるであろう。当業者は、タンパク質の抗原性断片を選択するための方法に精通している。
【0245】
いくつかの実施形態では、CPR-4、カテプシンB、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ、PDK-1およびPDK1キナーゼなどの標的分子は、1つ以上の生物学的経路のメンバーである。本明細書で使用される場合、「前駆体」または「後代」という用語は、生物学的経路において標的ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの前または後に生じる分子を指す。したがって、いったんポリペプチド標的またはポリヌクレオチド標的が1つ以上の生物学的経路のメンバーとして同定されると、本発明は、生物学的経路の追加の前駆体または後代のメンバーを含み得る。このような生物学的経路およびそれらのメンバーの同定は、当該技術分野の範囲内にある。
【0246】
追加的に、本発明は、本発明の標的ポリペプチド分子と実質的に同様の配列を有するポリペプチドを含む。本明細書で使用される場合、2つのポリペプチドは、それらのアミノ酸間に、少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、および好ましくは100%の配列同一性がある場合、またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが厳格なハイブリダイゼーション状態下で互いに安定した二本鎖を形成することができる場合に、「実質的な配列同一性」を有する。例えば、保存的アミノ酸置換がポリペプチド中で行われ、前述の標的ポリペプチドの機能的の同等の変異体を提供し得、すなわち、変異体は、ポリペプチドの機能的能力を保持し得るか、または保持しない場合がある。本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸置換が行われるタンパク質の相対的な電荷またはサイズ特性を変更しないアミノ酸置換を指す。変異体は、そのような方法をまとめた参考文献において見られるような、当業者に知られているポリペプチド配列を変更するための方法に従って調製され得る。
【0247】
本明細書で使用される場合、「遺伝子」または「ポリヌクレオチド」という用語は、任意の長さの核酸残基の単一ヌクレオチドまたはポリマーを指す。ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらの類似体を含有し得、二本鎖または一本鎖であり得る。ポリヌクレオチドは、修飾核酸(例えば、メチル化)、核酸類似体、または非天然に生じる核酸を含むことができ、非核酸残基によって中断され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、任意の配列の遺伝子、遺伝子断片、cDNA、単離DNA、mRNA、tRNA、rRNA、単離RNA、組み換えポリヌクレオチド、プライマ、プローブ、プラズミド、およびベクタを含む。天然であるか、または介入によるかに関わらず、修飾された核酸ポリマーが、定義内に含まれる。
【0248】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の標的ポリヌクレオチド分子と実質的な配列同一性を有するポリヌクレオチドを提供する。2つのポリヌクレオチドは、それらのアミノ酸配列間に少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、少なくとも約95%の配列同一性、もしくは少なくとも99%の配列同一性がある場合、またはポリヌクレオチドが厳格なハイブリダイゼーション状態下で互いに安定した二本鎖を形成することができる場合に、「実質的な配列同一性」を有する。このような状態は、当該技術分野でよく知られている。ポリペプチドに関して上に記載のように、本発明は、対立遺伝子変異体であるポリヌクレオチド、SNPの結果、または遺伝暗号の退縮に固有の天然の材料に存在するものに対する代替的なコドンにおける結果を含む。
【0249】
本発明のいくつかの実施形態では、本方法は、患者からの試料において、1つ以上の標的分子の遺伝子発現のレベルを検出することであって、標的の発現レベルが、患者が放射線治療の投与に反応し、かつ/またはRIBEプロセスに対していくぶん抵抗力があるかどうかを示す、検出することを含む。別の実施形態では、本方法は、患者からの試料において、CTSB活性などのタンパク質のレベルを検出することであって、標的の活性レベルが、患者が放射線治療の投与に反応し、かつ/またはRIBEプロセスに対していくぶん抵抗力があるかどうかを示す、検出することを含む。別の実施形態では、本方法は、患者からの試料において、CTSB遺伝子などの遺伝子配列を検出することであって、標的遺伝子の配列が、患者が放射線治療の投与に反応し、かつ/またはRIBEプロセスに対していくぶん抵抗力があるかどうかを示す、検出することを含む。
【0250】
例えば、一実施形態では、CTSBタンパク質は、配列番号1を含み得る。
【化7】
【0251】
配列番号1はまた、このタンパク質の配列およびその少なくとも80%の相同性を有するものを作出し得る核酸配列を含む、配列番号1のすべての相同体を含む。
【0252】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、任意の体液または組織(例えば、血清、血漿、血液、脳脊髄液、尿、唾液、癌組織、健常な組織)由来の試料を含む。本明細書で使用される場合、「患者」、「対象」という用語は、「癌を有する対象または患者」および「癌患者または対象」「感放射線患者」「放射線治療を必要とする患者」を含み、「放射線に曝露された人」および「放射線に曝露され得る人」は、癌を罹患していると診断されたか、放射線療法を受けたか、現在放射線療法を受けているか、将来放射線療法を受け得るか、またはあるレベルの放射線に曝露されたか、または将来曝露され得る対象を指すことを意図している。「対象」は、対象となる任意の生物、一般に、マウス、線形動物、および好ましくはヒト対象などの哺乳動物の対象である。
【0253】
本発明の標的分子および治療組成物は、放射線の曝露および/または放射線療法から生じるRIBEプロセスを予測するために有用である。本発明の標的分子および治療組成物はまた、放射線療法が癌または他の疾患状態に対する有効な治療であり得るかどうかを判定するために有用である。本発明の標的分子および治療組成物は、限定されないが、膀胱癌、肺癌、頭頸部癌、神経膠腫、膠肉腫、悪性星状細胞腫、髄芽腫、肺癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、脊索腫、咽頭癌、カポジ肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、結腸直腸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、乳癌、膵癌、前立腺癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、精巣腫瘍、ウィルムス腫瘍、ユーイング腫瘍、膀胱癌、血管肉腫、皮肉腫、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺肉腫、嚢胞腺肉腫、気管支原性肺癌、髄様癌、肥満細胞腫、中皮腫、滑膜腫、黒色腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、乏突起神経膠腫、聴神経腫瘍、血管芽細胞腫、髄膜腫、松果体腫、上衣細胞腫、頭蓋咽頭腫、上皮癌、胚性癌腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、線維肉腫、粘液腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、および白血病を含む、複数の癌の種類において放射線の結果を予測するために有用である。
【0254】
本発明はまた、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドであるかどうかに関わらず、CTSBなどの標的分子に特異的に結合する試薬、化合物、薬剤、または分子を包含する。本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」という用語は、結合対(例えば、抗体および抗原またはアプタマーおよびその標的)間の相互作用を指す。いくつかの実施形態では、相互作用は、最大10~6モル/リットル、最大10~7モル/リットル、または最大10~8モル/リットルの親和定数を有する。他の実施形態では、「特異的に結合する」という句は、あるタンパク質から別のタンパク質(例えば、抗体、その断片、または抗原に対する結合相手)への特異的結合を指し、任意の標準的なアッセイ(例えば、免疫アッセイ)によって測定される結合のレベルは、アッセイのための背景対照よりも統計的に有意に高い。例えば、免疫アッセイを行う場合、対照は、典型的に、抗体または抗原結合断片のみ(すなわち、抗原が存在しない場合)を含有する反応ウエル/チューブを含み、抗原が存在しない場合のその抗体または抗原結合断片によるある量の反応性(例えば、ウエルに対する非特異的結合)が背景にあると考えられる。結合は、酵素免疫アッセイ(例えば、ELISA)、免疫ブロットアッセイなど)を含む、当該技術分野における様々な標準的な方法を使用して測定され得る。
【0255】
本発明の標的のうちの1つ以上に結合し得る分子は、抗体、アプタマー、および抗体誘導体または断片を含む。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原に存在するエピトープに結合することができる免疫グロブリン分子を指す。本用語は、モノクローナルおよびポリクローナル抗体などの無傷の免疫グロブリン分子のみならず、二重特異的抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、抗特発性(抗ID)抗体、単鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、融合タンパク質、および必要とされる特異性の抗原認識部位を含む前述の任意の改変も包含することを意図している。
【0256】
本明細書で使用される場合、アプタマーは、標的の結合、標的の触媒的な変化、標的または標的の機能的活性を改変/または変更する方法での標的との反応、自殺阻害剤におけるような標的への共有結合、標的と別の分子との間の反応の促進を含むがこれらに限定されない、標的に対する望ましい作用を有する非天然に生じる核酸分子またはペプチドである。一実施形態では、抗体、抗体誘導体もしくは断片、またはアプタマーは、1つ以上の標的分子の断片、修飾、前駆体または後代である成分に特異的に結合する。
【0257】
本発明の別の態様は、標的分子、標的に対して特異的な結合分子(例えば、抗体またはアプタマー)、標的の阻害剤、またはケルセチン、イソケルセチン、もしくはそれらの類似体の投与を通して、CTSBなどの標的分子のレベルもしくは活性を増加または減少させ得る他の分子を含む組成物を提供する。このような組成物は、治療として使用するために製剤化された医薬組成物であり得る。代替的に、本発明は、前述の成分を含む標的分子の断片、修飾、前駆体、または後代である成分を含む組成物を提供する。別の実施形態では、本発明は、前述の抗体またはアプタマーを含む標的ポリペプチドまたは分子に特異的に結合する抗体またはアプタマーを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、標的分子のレベルは、合致した抗体対および化学蛍光検出を使用したサンドイッチELISAなどの標準的な免疫アッセイを使用して判定され得る。
【0258】
本発明の代替的な実施形態では、本方法は、患者、好ましくは癌患者に投与される放射線治療の効能または有効性を評価するために提供される。本方法は、特定の時間(to)に対象由来の血清または組織などの第1の試料を採取し、生物学的試料における標的分子または前駆体もしくは後代のうちの少なくとも1つのレベルを測定し、測定されたレベルを、後の時間(t1)に対象から得られた試料に対して測定されたレベルと比較することによって行われる。測定されたレベル間の差に応じて、標的レベルが、間隔(trto)にわたって増加、減少、または一定を維持したかどうかを見ることができる。その後の試料の採取および測定は、時間t2~tnの範囲にわたって所望の回数行うことができる。標的分子が一貫したレベルまたは活性のレベルを維持しているか、またはRIBEを示すと示されている判定前の閾値内にのみ上昇している場合、放射線治療は、RIBEまたは有意なRIBEプロセスをもたらしておらず、放射線の曝露の量および/または持続時間は、増加または改変され得ることを示すであろう。一方、CTSB、RIBEを示すと示されている上記の判定前閾値であるCTSBなどの標的分子レベルの増加は、RIBEまたは有意なRIBEプロセスをもたらしているか、またはもたらすと予測され、放射線曝露の量および/または持続時間は減少または改変され得ることを示すであろう。
【0259】
別の態様では、本発明は、放射線治療または放射線の曝露後に、放射線治療に対する癌患者の反応を改善するか、RIBEを防止するか、またはRIBEを緩和するための方法を提供する。本方法は、CTSBおよびその任意の相同体または変異体の活性を阻害する、ケルセチン、イソケルセチンまたはそれらの類似体、および/またはE64、CA074、またはCA074Meおよびその類似体などの治療的に有効な量の少なくとも1つの薬剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、放射線治療の投与前に、すなわち、放射線治療の投与または開始前に、予防的に投与され得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、放射線療法の投与と同時に、または同じ時間に、または検出可能なRIBEの発病時の放射線治療の後に投与され得る。
【0260】
本明細書で使用される場合、「薬剤」という用語は、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ、PDK-1、およびPDK1キナーゼおよび任意の相同体または変異体タンパク質および任意の相同体または変異体タンパク質などの標的分子の発現または活性を阻害し得る、単純または複雑な有機分子、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質、または核酸分子などの化学的または生物学的分子を意味する。このような分子は、当該技術分野で知られている方法を使用して、商業的に購入され得るか、または合成され得る。薬剤として使用される好適な有機分子は、標的分子の活性を阻害することができる、合成または天然に生じる薬剤を含み得る。「薬剤」という用語はまた、化合物(複数可)ケルセチン、イソケルセチン、またはそれらの類似体/誘導体を意味し得る。
【0261】
いくつかの実施形態では、薬剤は、ポリペプチドまたはタンパク質であり得る。一態様では、タンパク質は、標的タンパク質またはポリペプチドの生物学的活性を減少させるのに有効な、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ、PDK-1、およびPDK1キナーゼ、ならびに任意の相同体または変異体タンパク質などの標的タンパク質またはポリペプチドと特に反応する抗体である。例えば、標的タンパク質またはポリペプチドに由来する免疫原を使用することによって、例えば、cDNA配列に基づいて、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体を、標準的なプロトコルによって作成することができる。
【0262】
マウス、ハムスター、またはウサギなどの哺乳動物は、免疫原の形態の標的(例えば、CPR-4、カテプシンB(CTSB)、CEP-1、p53、DAF-2、インスリン/IGFレセプタ、PDK-1、およびPDK1キナーゼ、ならびに任意の相同体または変異体タンパク質タンパク質またはポリペプチドまたは抗原反応を引き出すことができる抗原性断片、または融合タンパク質)により免疫付与することができる。タンパク質またはペプチドに対して免疫原性を付与するための技術は、担体または当該技術分野でよく知られている他の技術との接合を含む。CPR-4などの標的タンパク質またはポリペプチドの免疫原性部分は、アジュバントが存在している場合に投与することができる。免疫付与の進捗は、血漿または血清における抗体力価の検出によって監視され得る。標準的なELISAまたは他の免疫アッセイを、抗原として免疫原と共に使用して、抗体のレベルを評価することができる。
【0263】
好ましい実施形態では、対象抗体は、カテプシンB(CTSB)などの哺乳動物の標的タンパク質またはポリペプチドの抗原性決定基に対して免疫特異的である。一例では、CPR-4またはCTSBタンパク質もしくはポリペプチドの抗原性調製による動物の免疫付与の後に、抗CPR-4または抗CTSB抗血清を得ることができ、必要に応じて、ポリクローナル抗CPR-4または抗CTSB抗体を血清から単離することができる。モノクローナル抗体を生成するために、抗体生成細胞(リンパ球)は、免疫付与動物から採取することができ、骨髄腫細胞などの免疫付与細胞による標準的な体細胞融合手順によって融合されて、ハイブリドーマ細胞を生じ得る。また、このような技術は、当該技術分野でよく知られている。ハイブリドーマ細胞は、このようなハイブリドーマ細胞を含む培地から単離された哺乳動物のCPR-4またはCTSBタンパク質もしくはポリペプチドおよびモノクローナル抗体と特に反応する抗体の生成のために免疫化学的にスクリーニングされ得る。
【0264】
特定の好ましい実施形態では、本発明の抗体は、モノクローナル抗体であり、特定の実施形態では、本発明は、新規抗体を作出するための方法を利用可能にする。例えば、CPR-4またはCTSBタンパク質もしくはポリペプチドに特異的に結合するモノクロ―ナル抗体を作出するための方法は、マウスに、検出可能な免疫反応を刺激するのに有効なCPR-4またはCTSBタンパク質もしくはポリペプチドを含むある量の免疫原性組成物を投与することと、マウスから抗体生成細胞(例えば、脾臓由来の細胞)を採取し、抗体生成細胞を骨髄腫細胞と融合させて、抗体生成ハイブリドーマを得ることと、抗体生成ハイブリドーマを試験して、CPR-4またはCTSBタンパク質もしくはポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマを同定することと、を含み得る。いったん採取されると、ハイブリドーマは、ハイブリドーマに由来する細胞が、CPR-4またはCTSBタンパク質もしくはポリペプチドに特異的に結合するこのクローナル抗体を生成する培養条件において、細胞培養物に増殖され得る。モノクローナル抗体は、細胞培養物から精製され得る。抗体:抗原の相互作用の特異性に影響を与える1つの特性は、抗原に対する抗体の親和性である。所望の特異性は異なる親和性の範囲に到達し得るが、一般に好ましい抗体は、約10~6、10~7、10~8、10~9以下の親和性(解離定数)を有するであろう。
【0265】
いくつかの実施形態では、薬剤は、核酸分子であり得る。特定の態様では、核酸分子は、RNAi、リボザイム、アンチセンス、DNA酵素、または標的発現または活性を操作する(典型的には、減少させる)ための他の核酸関連の組成物であり得る。これは、CPR-4、CTSB、または任意の他の標的分子などの標的の変更された発現を単独でまたは組み合わせて含み得る。(好ましい実施形態は、CPR-4またはCTSBを例示的なモデルとして使用し得るが、これは、標的本発明を含む多くの標的分子に対する限定ではないことが留意されるべきである。)本発明のいくつかの実施形態は、RNA干渉(RNAi)の手段によって、CPR-4および/またはCTSB遺伝子などの標的遺伝子のノックダウンに影響を与えるための材料および方法を使用する。RNAiは、真核細胞において生じ得る配列特異的な転写後の遺伝子抑制のプロセスである。概して、このプロセスは、その配列と相同である二本鎖RNA(dsRNA)によって誘発された特定の配列のmRNAの分解を伴う。任意の選択される遺伝子は、その遺伝子に対するmRNAのすべてまたは実質的な部分に対応するdsRNAを導入することによって抑制され得る。長いdsRNAが発現されたとき、リボヌクレアーゼIIIによって、21~22長の塩基対のより短いdsRNAオリゴヌクレオチドに最初に処理されるようである。
【0266】
したがって、RNAiは、比較的短い相同なdsRNAの導入または発現によって影響を受け得る。RNAiに影響を与えるために使用される二本鎖オリゴヌクレオチドは、好ましくは、30長未満の塩基対であり、より好ましくは、リボ核酸の約25、24、23、22、21、20、19、18または17長の塩基対を含む。任意選択的に、本発明のdsRNAオリゴヌクレオチドは、3’張り出し端を含み得る。例示的な2-ヌクレオチド3’張り出しは、任意の種類のリボヌクレオチド残基から構成され得、さらに、RNAの合成費用を低くし、細胞培地中、かつトランスフェクト細胞内のsiRNAのヌクレアーゼの抵抗力を高め得る、2’-デオキシチミジン残基から構成され得る(Elbashi et al.(2001)Nature 411:494-8を参照されたい)。
【0267】
50、75、100、またはさらには500塩基対以上のより長いdsRNAはまた、本発明の特定の実施形態で利用され得る。RNAiに影響を与えるためのdsRNAの例示的な濃度は、約0.05nM、0.1nM、0.5nM、1.0nM、1.5nM、25nM、または100nMであるが、治療される細胞の性質、患者、患者による放射線の曝露のレベル、遺伝子標的、および当業者が容易に認識可能な他の因子に応じて、他の濃度を利用することができる。例示的なdsRNAは、化学的に合成され得るか、または適切な発現ベクタを使用して生体外または生体内で生成され得る。例示的な合成RNAは、当該技術分野で知られている方法(例えば、Expedite RNA phophoramidites and thymidine phosphoramidite(Proligo,Germany)を使用して化学的に合成された21個のヌクレオチドRNAを含む。
【0268】
合成オリゴヌクレオチドは、好ましくは、当該技術分野で知られている方法(例えば、Elbashir et al.(2001)Genes Dev.15:188-200を参照されたい)を使用して、脱保護およびゲル精製される。より長いRNAは、当該技術分野で知られているT7RNAポリメラーゼプロモータなどのプロモータから転写され得る。生体外プロモータの顆粒の両方の可能な配向に置かれた単一のRNA標的は、所望の標的配列のdsRNAオリゴヌクレオチドを生成するための標的の両方の鎖を転写するであろう。上記のRNA種のうちのいずれも、例えば、厳格なかつ/または生理的な条件下で、CPR-4 mRNA、または特定の実施形態では、CTSB mRNAおよびその相補体にハイブリダイズする核酸などの標的遺伝子に表される核酸配列の一部分を含むように設計されるであろう。
【0269】
オリゴヌクレオチドの設計に利用される特異的配列は、標的の発現された遺伝子メッセージ内に含まれるヌクレオチドの任意の連続した配列であり得る。当該技術分野で知られているプログラムおよびアルゴリズムを使用して、適切な標的配列を選択することができる。加えて、特定された一本鎖核酸配列の二次的な構造を予測するように設計されたプログラムを利用し、折り畳まれたmRNAの露出された一本鎖領域に生じる可能性が高いこれらの配列の選択を可能にする、最適な配列を選択することができる。適切なオリゴヌクレオチドを設計するための方法および組成物は、例えば、米国特許第6,251,588号に見られ得、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0270】
メッセンジャーRNA(mRNA)は、一般に、リボヌクレオチドの配列内でタンパク質の合成を方向付けるための情報を含む直鎖状分子と考えられているが、研究は、大部分のmRNAに存在する二次的および三次的構造の数を明らかにした。RNAにおける二次的な構造要素は、同じRNA分子の異なる領域間のWatson-Crick型相互作用によって形成される。重要な二次的な構造要素は、分子内二本鎖領域、ヘアピンループ、二本鎖RNAにおける湾曲、および内部ループを含む。三次的構造要素は、二次的な構造要素が互いに、または一本鎖領域と接触するときに形成され、より複雑な三次元構造を生成する。何人かの研究者らは、多数のRNA二本鎖構造の結合エネルギーを測定し、RNAの二次的な構造を予測するのに使用され得る一連の法則を導き出した(Jaeger et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:7706(1989)、およびTurner et al.(1988)Annu.Rev.Biophys.Biophys.Chern.17:167を参照されたい)。これらの法則は、RNAの構造要素の同定において、また、サイレンシングRNAi、リボザイム、またはアンチセンス技術のための標的に対するmRNAの好ましいセグメントを表し得る一本鎖RNA領域を同定するのに特に有用である。したがって、mRNA標的の好ましいセグメントは、RNAi媒介dsRNAオリゴヌクレオチドの設計のために、ならびに本発明の標的に関連する適切なリボザイムおよびハンマーヘッドリボザイム組成物の設計のために同定され得る。
【0271】
dsRNAオリゴヌクレオチドは、付着性細胞株について、製造業者によって記載されるような当該技術分野において知られている、リポソームなどの担体組成物を使用した異種標的遺伝子によるトランスフェクトによって細胞に導入され得る。Oligofectamineを使用して、内因性遺伝子を標的とするためのdsRNAオリゴヌクレオチドのトランスフェクションを実施し得る。hGFPコードpAD3の共トランスフェクションの後に、哺乳動物の細胞株のための蛍光顕微鏡検査を使用して、トランスフェクション効率を確認し得る(Kehlenback et al.(1998)J Cell BioI 141:863-74)。dsRNAの導入後に、いくつかのアッセイのうちのいずれかによって、RNAiの有効性を評価し得る。これらは、新たなタンパク質合成が抑制された後、内因性プールの代謝回転に十分な時間後にCPR-4またはCTSB遺伝子生成物を認識する抗体、リバース転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応、およびノーザンブロット分析を使用して、CPR-4またはCTSBなどの既存の標的mRNAのレベルを判定する、ウェスタンブロット分析を含む。RNAi技術のさらなる組成物、方法、および用途は、米国特許出願第6,278,039号、同第5,723,750号、および同第5,244,805号(参照により本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0272】
また、例えば、CPR-4またはCTSB mRNA転写物を触媒的に切断するように設計されたリボザイム分子を使用して、対象のmRNAの翻訳および/または複数の動物系におけるCPR-4またはCTSBの発現を防止することができる(1990年10月4日に公開された、例えば、PCT国際公開第W090111364号;Sarver et al.(1990)Science 247:1222-1225、および米国特許第5,093,246号を参照されたい)。リボザイムは、RNAの特異的切断に触媒作用を及ぼすことができる酵素RNA分子である。(検討のために、Rossi(1994)Current Biology 4:469-471を参照されたい)。リボザイム作用の機構は、相補的な標的RNAに対するリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーション、その後のヌクレオチド鎖切断イベントを伴う。リボザイム分子の組成物は、好ましくは、CPR-4またはCTSB mRNAに対して相補的な1つ以上の配列、およびmRNA切断または機能的に同等な配列の原因となるよく知られている触媒配列を含む(例えば、米国特許第5,093,246号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0273】
部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザイムに加えて、ハンマーヘッドリボザイムは、標的mRNAを破壊するためにも使用され得る。ハンマーヘッドリボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成する隣接領域によって定められた場所で、mRNAを切断する。好ましくは、標的mRNAは、以下の配列の2つの塩基:5’-mUG-3’を有する。ハンマーヘッドリボザイムの構成および生成は、当該技術分野でよく知られており、Haseloff and Gerlach((1988)Nature 334:585-591により完全に記載されており、また、PCT出願第W089/05852号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。ハンマーヘッドリボザイム配列は、転移RNm(tRNA)などの安定なRNAに埋め込んで、生体内の切断効率を増加させることができる(Perriman et al.(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.mUSA,92:6175-79;de Feyter,and Gaudron,Methods in Molecular Biology,Vol.74,Chapter 43,“Expressing Ribozymes in Plants”,Edited by Turner,P.C,Humana Press Inc.,Totowa,N.J.)。具体的には、tRNA融合リボザイムのRNAポリメラーゼHI媒介発現が、当該技術分野でよく知られている(Kawasaki et al.(1998)Nature 393:284-9;Kuwabara et al.(1998)Nature Biotechnol.16:961-5;and Kuwabara et al.(1998)Mol.Cell 2:617 27;Koseki et al.(1999)J Virol 73:1868-77;Kuwabara et al.(1999)Proc Natl Acad Sci USA 96:m1886-91;Tanabe et al.(2000)Nature 406:473-4を参照されたい)。典型的には、所与の標的cDNA配列内に、いくつかの潜在的なハンマーヘッドリボザイム切断部位がある。好ましくは、リボザイムは、切断認識部位が標的mRNA--の5’端の近位に位置して、効率を増加させ、非機能的mRNA転写物の細胞内蓄積を最小限に抑えるように操作される。さらに、例えば、長い形態および短い形態の標的のC末端アミノ酸ドメインの異なる部分をコードする標的配列内に位置する任意の切断認識部位の使用は、一形態または他の形態の標的の選択的な標的化を可能にし、したがって、標的遺伝子生成物に対して選択的な効果を有する。遺伝子標的化リボザイムは、CPR-4またはCTSB mRNAの少なくとも5長のうちのそれぞれ、好ましくはそれぞれ6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20長の連続したヌクレオチドである、2つの領域に対して相補的なハイブリダイズ領域を必然的に含有する。加えて、リボザイムは、標的センスmRNAを触媒的に切断する、高度に特異的なエンドリボヌクレアーゼ活性を保有する。
【0274】
本発明は、CPR-4またはCTSB遺伝子をコードするセンスmRNAにハイブリダイズし、それによってセンスmRNAにハイブリダイズし、それを切断し、そのため機能性ポリペプチド生成物を合成するように翻訳されることがもはやできない、リボザイムにも及ぶ。リボザイムは、修飾オリゴヌクレオチド(例えば、安定性の改善、標的化などのために)から構成され得、生体内で標的遺伝子を発現する細胞に送達されるべきである。送達の好ましい方法は、トランスフェクト細胞が、十分な量のリボザイムを生成して、内因性標的メッセージを破壊し、翻訳を阻害するように、強力な構成のpol IIIまたはpol IIプロモータの制御下で、リボザイムを「コードする」DNA構成物を使用することを伴う。
【0275】
リボザイムは、アンチセンス分子と違って、触媒作用があるため、より低い細胞内濃度が、効率のために必要とされる。本発明のさらなる態様は、例えば、対象CPR-4またはCTSB核酸の転写および/または翻訳を阻害することによって、発現を阻害するための単離された「アンチセンス」核酸の使用に関する。アンチセンス核酸は、従来の塩基対の相補性によって、または、例えば、DNA二本鎖への結合の場合、二重螺旋の主要な溝における特異的相互作用を通して、潜在的な薬物標的に結合し得る。概して、これらの方法は、当該技術分野で一般に用いられる技術範囲を指し、オリゴヌクレオチド配列に対する特異的結合に依存する任意の方法を含む。
【0276】
本発明のアンチセンス構成物は、例えば、細胞中で転写されたとき、CPR-4またはCTSBポリペプチドをコードする細胞性mRNAの少なくとも固有の部分に対して相補的なRNAを生成する、発現プラズミドとして送達され得る。代替的に、アンチセンス構成物は、生体外で作出され、細胞に導入されたとき、CPR-4またはCTSB核酸のmRNAおよび/またはゲノムの配列によりハイブリダイズによって発現の阻害をもたらす、オリゴヌクレオチドプローブである。このようなオリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは、内因性ヌクレアーゼ、例えば、エキソヌクレアーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼに対して抵抗力があり、したがって、生体内で安定している、修飾ヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドとして使用するための例示的な核酸分子は、DNAのホスホロアミド酸、ホスホロチオエート、およびメチルホスホン酸類似体である(米国特許第5,176,996号、同第5,264,564号、および同第5,256,775号を参照されたい)。追加的に、アンチセンス治療において有効なオリゴマーを構築する一般的なアプローチは、例えば、Van der Krol et al.(1988)BioTechniques 6:958-976、およびStein et al.(1988)Cancer Res 48:2659-2668によって検討されている。
【0277】
アンチセンスアプローチは、CPR-4またはCTSBポリペプチドをコードするmRNAに対して相補的なオリゴヌクレオチド(DNAまたはRNAのいずれか)の設計を伴う。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNA転写物に結合し、翻訳を防止し得る。絶対相補性は、好ましいが、必要とされない。二本鎖アンチセンス核酸の場合、二本鎖DNAの一本鎖をそのように試験し得るか、または三重鎖形態をアッセイし得る。ハイブリダイズする能力は、相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存するであろう。一般に、ハイブリダイズ核酸が長いほど、より多くのRNAとの塩基ミスマッチを含み得、さらに、安定した二本鎖(または場合によっては、三重鎖)を形成し得る。当業者は、ハイブリダイズされた複合体の融解点を判定するための標準的な手順の使用によって、許容範囲のミスマッチを確認し得る。mRNAの5’末端に対して相補的なオリゴヌクレオチド、例えば、AUG開始コドンを含む、AUG開始コドンまでの5’]非翻訳配列が、翻訳の阻害に最も効率的に機能するはずである。しかしながら、mRNAの3’非翻訳配列に対して相補的な配列は、同様に、mRNAの本博の阻害に有効であると示されている。
【0278】
したがって、遺伝子の非コード化領域である、5’または3’のいずれかの非翻訳に対して相補的なオリゴヌクレオチドを、そのmRNAの翻訳を阻害するために、アンチセンスアプローチにおいて使用することができるであろう。mRNAの5’非翻訳領域に対して相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開始コドンの相補体を含むはずである。mRNAコード化領域に対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、翻訳のより効率的でない阻害剤であるが、本発明に従って使用することもできるであろう。mRNAの5’,3’またはコード化領域にハイブリダイズするように設計されるかどうかに関わらず、アンチセンス核酸は、少なくとも6長のヌクレオチド、好ましくは、約100未満、より好ましくは、約50、25、17、または10長未満のヌクレオチドであるはずである。
【0279】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAまたはキメラ混合物または誘導体またはそれらの修飾形態であり得る。オリゴヌクレオチドを、塩基部分、砂糖部分、またはリン酸骨格で修飾して、例えば、分子、ハイブリダイゼーションなどの安定性を改善することができる。オリゴヌクレオチドは、ペプチド(例えば、宿主細胞レセプタを標的化するための)、または細胞膜にわたる運搬を促進する化合物(例えば、Letsinger et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:6553-6556;Lemaitre et al.,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.84:648-652、1988年12月15日に公開された、PCT公開第W088/09810号を参照されたい)または血液脳関門(例えば、1988年4月25日に公開された、PCT公開第W089110134号を参照されたい)、ハイブリダイゼーショントリガ切断薬剤(例えば、Krol et al.,1988,BioTechniques 6:958-976を参照されたい)または挿入剤(例えば、Zon,1988,Pharm.Res.5:539-549を参照されたい)などの他の追加の群を含み得る。このため、オリゴヌクレオチドは、別の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーショントリガ架橋剤、運搬薬剤、ハイブリダイゼーショントリガ切断剤などに接合され得る。
【0280】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシトリエチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、III メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルキューオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキオシン、偽ウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリンを含むがこれらに限定されない群から選択される少なくとも1つの修飾塩基部分を含み得る。
【0281】
アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソースを含むが限定されない群から選択される少なくとも1つの修飾砂糖部分を含み得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、中性ペプチド様骨格も含有し得る。このような分子は、ペプチド核酸(PNA)オリゴマーと称され、例えば、Perry-O‘Keefe et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:14670 and in Eglom et al.(1993)Nature 365:566に記載されている。PNAオリゴマーの1つの利点は、DNAの中性骨格のために、培地のイオン強度から本質的に独立して相補的なDNAに結合するそれらの能力である。また別の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ジチオリン酸、ホスホルアミドチオエート、ホスホロアミド酸、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホルムアセタール、またはそれらの類似体からなる群から選択され少なくとも1つの修飾リン酸骨格を含む。
【0282】
本発明のさらなる態様は、CPR-4遺伝子またはCTSB遺伝子の発現を阻害するためのDNA酵素の使用に関する。DNA酵素は、アンチセンスおよびリボザイム技術の両方の機構的特徴のうちのいくつかを組み込む。DNA酵素は、アンチセンスオリゴヌクレオチドと非常に類似するように、特定の標的核酸配列を認識するが、リボザイムと非常に類似するように、触媒であり、標的核酸を特に切断するように設計される。現在、2つの塩基型のDNA酵素があり、これらのうちの両方が、SantoroおよびJoyceによって同定された(例えば、米国特許第6,110,462号を参照されたい)。10-23DNA酵素は、2つのアームを接続するループ構造を含む。2つのアームは、特定の標的核酸配列を認識することによって特異性を提供し、ループ構造は、生理的状態下で触媒機能を提供する。簡単に言うと、標的核酸を特に認識および切断する理想的なDNA酵素を設計するために、当業者は、第1に、固有の標的配列を同定しなければならない。これは、アンチセンスオリゴヌクレオチドについて概説されるように、同じアプローチを使用して行うことができる。好ましくは、固有のまたは実質的な配列は、およそ18~22個のヌクレオチドのG/Cリッチである。高いG/C含量は、DNA酵素と標的配列との間のより強力な相互作用を確保する助けとなる。DNA酵素を合成する場合、メッセージに対して酵素を標的化する特異的アンチセンス認識配列は、DNA酵素の2つのアームを含むように分割され、DNA酵素ループは、2つの特異的アーム間に置かれる。DNA酵素を作成および投与する方法は、例えば、米国特許第6,110,462号に見られ得る。同様に、生体外または生体内でのDNAリボザイムの送達方法は、上に詳細に示すように、RNAリボザイムの送達方法を含む。追加的に、当業者であれば、アンチセンスオリゴヌクレオチドと同様に、DNA酵素を任意選択的に修飾して、安定性および分解に対する抵抗力を改善することができることを認識しているであろう。
【0283】
本発明のアンチセンスRNAおよびDNA、リボザイム、RNAi構成物は、例えば、固相ホスホルアミダイト化学合成など、当該技術分野でよく知られているオリゴデオキシリボヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオチドを化学的に合成するための技術を含む、DNAおよびRNA分子の合成のための当該技術分野で知られている任意の方法によって調製することができる。代替的に、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列の生体外および生体内転写によって作出することができる。このようなDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモータなどの好適なRNAポリメラーゼプロモータを組み込む広く様々なベクタに組み込まれ得る。代替的に、アンチセンスRNAを構成的にまたは誘導的に合成するアンチセンスcDNA構成物は、使用されるプロモータに応じて、細胞株に安定的に導入され得る。さらに、様々なよく知られている核酸分子に対する修飾は、細胞内安定性および半減期を増加させる手段として導入され得る。可能性のある修飾は、オリゴデオキシリボヌクレオチド骨格内のホスホジエステラーゼ結合ではなく、ホスホロチオエートまたは2’O-メチルの分子または使用の5’および/または3’末端に対するリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドの隣接配列の追加を含むがこれに限定されない。
【0284】
いくつかの実施形態では、薬剤は、アプタマーである。アプタマーは、特異的標的分子に結合する核酸またはペプチド分子である。アプタマーは、それに結合することによって標的分子の活性を阻害し得る。
【0285】
本発明のさらなる態様は、1つ以上の標的遺伝子を阻害、変更、破壊発現および/または置換するための組成物および方法を編集するDNAの使用に関する。様々な実施形態では、1つ以上の標的遺伝子は、CRISPR/Cas-9、TALANまたは亜鉛(Zn2+)フィンガヌクレアーゼシステムを通して変更され得る。
【0286】
いくつかの実施形態では、遺伝子発現を変更するための薬剤は、cpr-4、ctsb、またはそれらの任意の相同体/オルソログなどの1つ以上の標的遺伝子を標的化するように配列された適切なRNA分子と共に、CRISPR-Cas9またはその機能的同等物である。例えば、本発明の一実施形態は、1つ以上の標的遺伝子の発現または活性を破壊、置換、または変更するために、CRISPR/Cas9システムによって利用される1つ以上のガイドRNA(gRNA)の導入を含み得る。
【0287】
この文脈において、遺伝子編集CRISPR/cas-9技術は、ゲノム内の特定の場所で二本鎖切断を導入するために、細菌により送達されるタンパク質(Cas9)および合成ガイドRNAを使用するRNAガイド遺伝子編集プラットフォームである。編集は、その合致するゲノムの配列とのハイブリダイゼーションを通して切り目を方向付ける、特に設計されたガイドRNA(gRNA)と共に、Cas9タンパク質により細胞または対象をトランスフェクトすることによって達成される。この技術を使用することによって、1つ以上の標的遺伝子における特定の遺伝子変化を導入することが可能である。いくつかの実施形態では、このCRISPR/cas-9を利用して、1つ以上の既存の野生型遺伝子を修飾形態と置換することができ、さらなる実施形態は、cpr-4、またはctsbなどの標的遺伝子の発現を変更、低減、増加、または不活性化する遺伝要素の追加を含み得る。
【0288】
いくつかの実施形態では、遺伝子の発現を変更するための薬剤は、亜鉛フィンガ、または亜鉛フィンガヌクレアーゼもしくは他の同等物である、本明細書で使用される「亜鉛フィンガヌクレアーゼ」または「亜鉛フィンガヌクレアーゼ」という用語は、亜鉛フィンガアレイを含む結合ドメインに接合された核酸切断ドメインを含むヌクレアーゼを指す。いくつかの実施形態では、切断ドメインは、II型制限エンドヌクレアーゼFokIの切断ドメインである。亜鉛フィンガヌクレアーゼは、切断のために所与の核酸分子における事実上いかなる所望の配列を標的化するように設計することができ、複雑なゲノムの文脈において固有の部位に結合するように亜鉛フィンガ結合ドメインを設計する可能性は、例えば、治療効果のある標的化ゲノム変化を達成するために、生細胞における単一ゲノム部位の標的化切断を可能にする。所望のゲノム遺伝子座に対する二本鎖切断の標的化を使用して、非相同なDNA修復経路のエラーが生じやすい性質のために、遺伝子のコード化配列にフレームシフト変異を導入することができる。
【0289】
亜鉛フィンガヌクレアーゼは、当業者によく知られている方法によって対象となる部位を標的化するように作出することができる。例えば、所望の特異性を有する亜鉛フィンガ結合ドメインは、既知の特異性の個々の亜鉛フィンガモチーフを組み合わせることによって設計され得る。DNAに結合された亜鉛フィンガタンパク質Zif268の構造は、この分野における作業の大部分に情報を与え、64個の可能な塩基対三重項の各々に対して亜鉛フィンガを得、次に、任意の所望の配列特異性を有するタンパク質を設計するためにこれらの分子亜鉛フィンガを混合および合致させるという概念が記載されている(pavletich NP,Pabo Colo.(May 1991).“Zinc finger-DNA recognition:crystal structure of a Zif268-DNA complex at 2.1 A”.Science 252(5007):809-17(その内容全体が本明細書に組み込まれる))。
【0290】
いくつかの実施形態では、3塩基対DNA配列をそれぞれ認識する別個の亜鉛フィンガを組み合わせて、9塩基対~18塩基対の範囲の長さの標的部位を認識する、3、4、5、または6フィンガアレイを作出する。いくつかの実施形態では、より長いアレイが企図される。他の実施形態では、6~8つのヌクレオチドを認識する2-フィンガモジュールを組み合わせて、4、6、または8亜鉛フィンガアレイを作出する。いくつかの実施形態では、細菌またはファージディスプレイを用いて、所望の核酸配列、例えば、長さ3~30bpの所望のヌクレアーゼ標的部位を認識する亜鉛フィンガドメインを発生させる。
【0291】
いくつかの実施形態では、亜鉛フィンガヌクレアーゼは、リンカ、例えば、ポリペプチドリンカを介して互いに融合、または別様に接合された亜鉛フィンガ結合ドメインおよび切断ドメインを含む。リンカの長さは、亜鉛フィンガドメインによって結合された核酸配列からの切り目の距離を決定する。より短いリンカを使用する場合、切断ドメインは、結合された核酸配列により近い核酸を切断し、より長いリンカは、切り目と結合された核酸配列との間により大きい距離をもたらすであろう。いくつかの実施形態では、亜鉛フィンガヌクレアーゼの切断ドメインは、結合された核酸を切断するために二量化しなければならない。いくつかのこのような実施形態では、二量体は、2つの単量体の異種二量体であり、その各々は、異なる亜鉛フィンガ結合ドメインを含む。例えば、いくつかの実施形態では、二量体は、FokI切断ドメインに接合された亜鉛フィンガドメインAを含む1つの単量体、およびFokI切断ドメインに接合された亜鉛フィンガドメインBを含む1つの単量体を含み得る。この非制限的な例では、亜鉛フィンガドメインAは、標的部位の片側で核酸配列に結合し、亜鉛フィンガドメインBは、標的部位の他方の側で核酸配列に結合し、二量化したFokIドメインは、亜鉛フィンガドメイン結合部位間で核酸を切断する。
【0292】
本明細書で使用される「亜鉛フィンガ」という用語は、折り畳み構造を安定化する1つ以上の亜鉛イオンの折り畳み構造および配位によって特徴付けられている小さい核酸結合タンパク質の構造モチーフを指す。亜鉛フィンガは、広く様々な異なるタンパク質構造を包含する(例えば、Klug A,Rhodes D(1987).“Zinc fingers:a novel protein fold for nucleic acid recognition”.Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.52:473-82(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。亜鉛フィンガは、特定の配列のヌクレオチドに結合するように設計することができ、一連の亜鉛フィンガの融合を含む亜鉛フィンガアレイは、事実上いずれの所望の標的配列にも結合するように設計され得る。このような亜鉛フィンガアレイは、例えば、核酸切断ドメインに接合された場合、タンパク質の、例えば、ヌクレアーゼの結合ドメインを形成し得る。Cys2His2、Gag knuckle、Treble clef、亜鉛リボン、Zn2/Cys6、およびTAZ2ドメイン様モチーフを含むがこれらに限定されない、異なる種類の亜鉛フィンガモチーフが、当業者に知られている。(例えば、Krishna S S,Majumdar I,Grishin N V(January 2003).“Structural classification of zinc fingers:survey and summary”.Nucleic Acids Res.31(2):532-50を参照されたい)。典型的に、単一の亜鉛フィンガモチーフは、核酸分子の3または4つのヌクレオチドに結合する。したがって、2亜鉛フィンガモチーフを含む亜鉛フィンガドメインは、6~8つのヌクレオチドに結合し得、3亜鉛フィンガモチーフを含む亜鉛フィンガドメインは、9~12個のヌクレオチドに結合し得、4亜鉛フィンガモチーフを含む亜鉛フィンガドメインは、12~16個のヌクレオチドに結合し得るなどである。任意の好適なタンパク質操作技術を用いて、亜鉛フィンガのDNA結合特異性を変更し、かつ/または3~30長のヌクレオチドから事実上いずれの所望の標的配列にも結合するように新規亜鉛フィンガ融合を設計することができる(例えば、Pabo C O,Peisach E,Grant RA(2001).“Design and selection of novel cys2H is2 Zinc finger proteins”.Annual Review of Biochemistry 70:313-340、Jamieson A C,Miller J C,Pabo C O(2003).“Drug discovery with engineered zinc-finger proteins”.Nature Reviews Drug Discovery 2(5):361-368、およびLiu Q,Segal D J,Ghiara J B,Barbas C F(May 1997).“Design of polydactyl zinc-finger proteins for unique addressing within complex genomes”.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94(11)(それらの各々内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0293】
操作された亜鉛フィンガアレイと核酸を切断するタンパク質ドメインとの間の融合を使用して、「亜鉛フィンガヌクレアーゼ」を作出することができる。亜鉛フィンガヌクレアーゼは、典型的に、核酸分子内で特定の標的部位に結合する亜鉛フィンガドメイン、および結合ドメインによって結合された標的部位内の、またはその近位の核酸分子を切断する核酸切断ドメインを含む。典型的な操作された亜鉛フィンガヌクレアーゼは、3~6つの個々の亜鉛フィンガモチーフを有する結合ドメイン、および9塩基対~18塩基対の範囲の長さの結合標的部位を含む。より長い標的部位は、所与のゲノムにおいて固有の標的部位を結合および切断することが所望される状況において特に魅力的である。
【0294】
いくつかの実施形態では、標的遺伝子を変更するための薬剤は、TALENシステムまたはその同等物である。本明細書で使用されるTALENまたは「転写アクチベータ様要素ヌクレアーゼ」または「TALEヌクレアーゼ」という用語は、DNA切断ドメイン、例えば、FokIドメインに対する転写アクチベータ様エフェクタDNA結合ドメインを含む人工ヌクレアーゼを指す。操作されたTALE構成物を作出するためのいくつかのモジュール式アセンブリが報告されている(Zhang,Feng;et.al.(February 2011).“Efficient construction of sequence-specific TAL effectors for modulating mammalian transcription”.Nature Biotechnology 29(2):149-53、Geibler,R.;Scholze,H.;Hahn,S.;Streubel,J.;Bonas,U.;Behrens,S.E.;Boch,J.(2011),Shiu,Shin-Han.ed.“Transcriptional Activators of Human Genes with Programmable DNA-Specificity”.PLoS ONE 6(5):e19509、Cermak,T.;Doyle,E.L.;Christian,M.;Wang,L.;Zhang,Y.;Schmidt,C.;Baller,J.A.;Somia,N.V.et al.(2011).“Efficient design and assembly of custom TALEN and other TAL effector-based constructs for DNA targeting”.Nucleic Acids Research、Morbitzer,R.;Elsaesser,J.;Hausner,J.;Lahaye,T.(2011).“Assembly of custom TALE-type DNA binding domains by modular cloning”.Nucleic Acids Research、Li,T.;Huang,S.;Zhao,X.;Wright,D.A.;Carpenter,S.;Spalding,M.H.;Weeks,D.P.;Yang,B.(2011).“Modularly assembled designer TAL effector nucleases for targeted gene knockout and gene replacement in eukaryotes”.Nucleic Acids Research.、Weber,E.;Gruetzner,R.;Werner,S.;Engler,C.;Marillonnet,S.(2011).Bendahmane,Mohammed.ed.“Assembly of Designer TAL Effectors by Golden Gate Cloning”.PLoS ONE 6(5):e19722(それらの各々が参照により本明細書に組み込まれる))。
【0295】
当業者であれば、高度な特異性を有する事実上いずれのゲノムの配列をも標的化するようにTALEヌクレアーゼを操作することができ、例えば、細胞のゲノム内のその標的配列を結合および切断するためのTALENに好適な環境下で、本明細書に開示される方法または戦略を介してそれぞれのTALENを送達することによって、細胞のゲノムを操作するために、このように操作されたヌクレアーゼを本発明の技術の実施形態において使用することができることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、送達されたTALENは、RIBEなどの疾患または障害または生物学的プロセスと関連する遺伝子もしくは対立遺伝子、または1つ以上の標的遺伝子を標的化する。いくつかの実施形態では、TALENの対象への送達は、患者におけるRIBEを低減、改善、または除去するなど、対象に治療的利益を与える。
【0296】
いくつかの実施形態では、細胞、組織、器官、または生物の標的遺伝子は、本明細書に開示される戦略または方法、例えば、CRISPR/cas-9、TALEN、または亜鉛フィンガヌクレアーゼ、または複数のこのようなヌクレアーゼもしくはそれらの組み合わせを介して、細胞に送達されたヌクレアーゼによって変更される。いくつかの実施形態では、一本鎖または二本鎖の切断は、ヌクレアーゼによってゲノム内の特定の部位に導入され、標的ゲノムの配列の破壊をもたらす。
【0297】
いくつかの実施形態では、標的ゲノムの配列は、標的遺伝子のコード化領域内の核酸配列である。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼによって導入された鎖の切断は、コードされた遺伝子生成物の発現を損なう標的遺伝子内の変異をもたらす。いくつかの実施形態では、核酸は、ヌクレアーゼと共に細胞に共送達される。いくつかの実施形態では、核酸は、ヌクレアーゼ標的部位に隣接する配列と統一または相同な配列を含む。いくつかのこのような実施形態では、ヌクレアーゼによって影響を受けた鎖の切断は、細胞性DNA修復機構によって修復され、切断部位で細胞性DNAに共送達された核酸のすべてまたは一部を導入し、共送達された核酸またはその一部の標的化挿入をもたらす。いくつかの実施形態では、挿入は、所望されない対立遺伝子の破壊または修復をもたらす。いくつかの実施形態では、核酸は、過給タンパク質との会合によって共送達される。いくつかの実施形態では、過給タンパク質はまた、機能的エフェクタタンパク質、例えば、ヌクレアーゼに会合される。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼの標的細胞への送達は、遺伝子の機能の臨床的または治療的に有益な変化をもたらす。
【0298】
いくつかの実施形態では、対象からの細胞を採取し、ヌクレアーゼまたは他のエフェクタタンパク質は、生体外で本明細書に提供されるシステムまたは方法によって細胞に送達される。いくつかの実施形態では、処理された細胞は、所望のヌクレアーゼ媒介ゲノム編集イベントにより影響を受けたこれらの細胞について選択される。いくつかの実施形態では、所望のゲノム変異または変化を保有する処理された細胞は、それらが採取された対象に戻される。
【0299】
本発明の薬剤の「治療的に有効な量」という用語は、癌または他の疾患状態を有する放射線治療に対する患者の反応の改善、放射線治療または放射線の曝露後のRIBEの低減、放射線または化学療法に対する癌の抵抗力の減少、放射線および化学療法の効能の改善、より高い用量の放射線治療に耐性があるための能力の増加に有効な量を意味する。このような量は、組成物が投与される対象の体重のキログラム当たり約0.001~約500mgまたはさらには1000mg以上の化合物を含み得る。治療的に有効な量は、当業者にとって満足な任意の投薬計画に従って投与され得る。
【0300】
例えば、ヒトに対して有効な用量は、75kgのヒトについて、1日当たり約3750mgに翻訳する、約50mg/kgの体重の用量を含む。有効な量のケルセチンは、約100mg/日(0.1g/日)~約50000mg/日(50g/日)、好ましくは約1000mg/日~30000mg/日、より好ましくは約1000mg/日~約15000mg/日、さらにより好ましくは1000mg/日~約5000mg/日を含む。例示的な実施形態では、ケルセチンは、100mg~2000mg/日の用量でヒト対象に提供される。用量は、体重、健康状態、年齢、および個人に対する所望の効果に関連する。したがって、用量は、投与スケジュール、体重、年齢などに従って変化し得る。本明細書に記載の用量は、低体重の成人、例えば、100ポンドの成人に対しても安全である。本明細書に記載の最高用量でいかなる毒性効果も知られている。しかしながら、本明細書に記載の用量は、好ましくは、より小さい体重を有する対象についてはより低い容量で、より大きい体重を有する対象についてのより高い用量で投与される。
【0301】
いくつかの実施形態では、薬剤は、対象に、ケルセチン、イソケルセチン、またはそれらの類似体/誘導体、および/または好ましい実施形態では、E64、CA074、またはCA074Me、およびそれらの類似体などの医薬組成物において投与される。したがって、動物、具体的にはヒトに生物学的に活性な薬剤を送達するための当該技術分野で一般に許容される、本発明の薬剤および薬学的に許容可能な担体を含有する医薬組成物も、本明細書に提供する。「薬学的に許容可能な」という句は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または妥当な利益/リスク比と同等の他の問題もしくは合併症を有せずに、人間および動物の組織と接触して使用するのに好適な、健全な医学的判断の範囲内にある、これらの化合物、材料、組成物、および/または用量形態を指すように本明細書で用いられる。
【0302】
好ましい実施形態では、ケルセチン、イソケルセチン、またはそれらの類似体/誘導体を含み得る薬剤は、薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグの形態で投与され得る。「薬学的に許容可能な塩」という用語は、薬剤または親化合物が酸またはその塩基性塩を作成することによって改変される、本開示の薬剤または化合物の誘導体を指す。薬学的に許容可能な塩の例は、アミンなどの塩基性残基のミネラルもしくは有機酸塩、またはカルボン酸などの酸性残基のアルカリもしくは有機塩を含むがこれらに限定されない。薬学的に許容可能な塩は、従来の非毒性塩または非毒性の無機もしくは有機酸から形成された親化合物の第4級アンモニウム塩を含む。このような従来の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸ア、リン酸、硝酸などの無機酸由来のもの、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、pamolc酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製された塩が含まれる。薬学的に許容可能な塩は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または妥当な利益/リスク比と同等の他の問題または合併症を有せずに、人間および動物の組織と接触して使用するのに好適なこれらの形態の薬剤である。
【0303】
薬学的に許容可能な塩の形態は、従来の化学的方法によって塩基または酸性部分を含有する薬剤から合成され得る。一般に、このような塩は、水または有機溶媒、または2つの混合物中に化学量論的量の適切な塩基または酸を有するこれらの薬剤の遊離塩または塩基形態を反応させることによって調製され、一般に、非水性培地様エーテル、エチルアセテート、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルが好ましい。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985の1418頁に見られる。
【0304】
「プロドラッグ」は、このようなプロドラッグが哺乳動物の対象に投与された場合に、本発明の活性親薬物を生体内に放出する任意の共有結合担体を含むことが意図される。プロドラッグが多数の望ましい量の医薬品を向上させることが知られている(すなわち、溶解度、生物学的利用能、半減期、製造など)ため、本発明の薬剤は、プロドラッグ形態で送達され得る。したがって、本発明は、本請求される化合物のプロドラッグ、それらを送達する方法、およびそれらを含有する組成物を範囲とすることが意図される。
【0305】
本発明のプロドラッグは、ルーチン操作または生体内のいずれかで、活性薬剤に改変が切断される方法で薬物に存在する官能基を改変することによって調製される。プロドラッグは、アシル、ヒドロキシ、アミノ、またはスルフヒドリル基が、本発明のプロドラッグが哺乳動物の対象に投与されたときに切断されて、それぞれ、遊離アセチル、ヒドロキシル、遊離アミノ、または遊離スルフヒドリル基を形成する任意の基に結合される、本発明の薬剤を含む。プロドラッグの例は、本発明の薬剤におけるアルコールおよびアミン官能基のアセテート、ギ酸、および安息香酸誘導体を含むがこれらに限定されない。当業者であれば、キラル中心を有する薬剤のうちのいくつかが、光学的に活性なおよびラセミ形態で存在し得、またそのような形態で単離され得ることを理解するであろう。
【0306】
好ましい一実施形態では、本発明は、例えば、治療を必要とする患者に投与された後に、体内にケルセチンを放出するように生物学的に分解または破壊され得るプロドラッグとして作用することが可能なケルセチン類似体の医薬製剤を含み得る。したがって、本発明はまた、例えば、親の方法で(静脈内、筋肉内、および皮下を含む)または経口で、医学的または獣医学的治療の工程での任意の好適な方法で投与するために作成または製剤化されたプロドラッグを提供する、ケルセチン類似体または誘導体を含むか、または含有する医薬組成物を含む。おそらく互換性のある薬学的に許容可能な添加剤、担体、希釈剤、または賦形剤を提供する少なくとも1つの他の成分と共に、便宜的に単位用量形態で、治療的に有効な非毒性量のプロドラッグ化合物、または同等の治療的に有効な非毒性量の活性薬物化合物を含有または組み込む組成物は、一般に本明細書に記載の薬学の技術分野においてよく知られている方法のうちのいずれかによって調製され得る。
【0307】
本発明の「薬剤」という用語は、本明細書に記載の治療的に有用な特性を有する、任意のラセミ、光学的に活性な、位置異性または立体異性形態、それらのまたは混合物を包含することが理解されるべきである。光学的に活性な形態を調製する(例えば、ラセミ形態の分析によって、再結晶技術によって、光学的に活性な開始材料からの合成によって、キラル合成によって、またはキラル固定相を使用したクロマトグラフ分離によって)方法は、当該技術分野においてよく知られている。
【0308】
本発明の範囲は、存在し得る様々な異性体のみならず、形成され得る異性体の様々な混合物を包含することも理解されるべきである。例えば、本発明の化合物が1つ以上のキラル中心を含有する場合、化合物は、エナンチオ選択的に合成され得るか、または鏡像異性体および/もしくはジアステレオマの混合物が調製および分離され得る。本発明の化合物、それらの開始材料、および/または中間体の分析は、例えば、the four-volume compendium Optical Resolution Procedures for Chemical Compounds:Optical Resolution Information Center,Manhattan College,Riverdale,N.Y.,and in Enantiomers,Racemates and Resolutions,Jean Jacques,Andre Collet and Samuel H.Wilen;John Wiley&Sons,Inc.,New York,1981(その全体がこの参照により組み込まれる)に記載の既知の手順によって実施され得る。
【0309】
薬剤の分析は、一般に、分別再結晶、蒸留、またはクロマトグラフィによって分離可能な形態をもたらす、鏡像異性体的に純粋な部分の、化学的または酵素的のいずれかでの付着によるジアステレオマの物理的特性の差に基づいている。これらの薬剤の塩およびプロドラッグを含む、本発明の薬剤は、商業的に購入され得るか、または有機合成の当業者によく知られている方法でも調製され得る。分子の様々な部分に存在する機能性は、提案された試薬および反応と互換性がなければならないことが、有機合成の当業者によって理解されている。反応状態と互換性のある置換基に対するこのような制限は、当業者には容易に明らかであり、その場合、代替的な方法を使用しなければならない。
【0310】
薬学的に許容可能な担体は、決定し、合わせるのに十分に当業者の権限内であるいくつかの因子に従って製剤化される。これらには、限定されないが、薬剤の種類および性質、薬剤含有組成物が投与される対象、組成物の投与の意図される経路、および標的化される治療指標が含まれる。薬学的に許容可能な担体は、水性および非水性の両方の液体培地、ならびに様々な固形および半固形用量形態を含む。このような担体は、ケルセチンなどの活性薬剤、および/またはE64、CA074、またはCA074Meおよびそれらの類似体に加えて、いくつかの異なる成分および添加剤を含み得、そのような追加の成分は、当業者によく知られている様々な理由、例えば、活性薬剤の安定化のために製剤に含まれる。好適な薬学的に許容可能な担体、およびそれらの選択に関わる因子の記載は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985などの様々な容易に入手可能な供給源に見られる。投与は、例えば、様々な非経口手段によって行われ得る。非経口投与に好適な医薬組成物は、水性ブドウ糖および生理食塩水などの様々な水性媒体を含み、グリコール溶液は、有用な担体でもあり、好ましくは、活性薬剤の水溶性塩、好適な安定化化合物、必要に応じて、バッファ化合物を含有する。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸などの抗酸化化合物は、単独または組み合わせのいずれかで、好適な安定化化合物であり、クエン酸およびその塩、ならびにEDTAも使用される。加えて、非経口溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベンまたはプロピルパラベン、およびクロロブタノールなどの防腐剤を含有し得る。
【0311】
代替的に、組成物は、カプセル、錠剤、および粉末などの固形用量形態において、またはエリキシル剤、シロップ、および/または懸濁液などの液体形態において、経口投与され得る。ゼラチンカプセルを使用して、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはセルロース誘導体を含むが限定されない、活性成分および好適な担体を含有し得る。同様の希釈剤を使用して、圧縮錠剤を作成し得る。錠剤およびカプセルの両方が、ある期間にわたって薬品を連続的に放出するために提供する徐放性製品として製造され得る。圧縮錠剤は、任意の不快な味を覆い隠すために糖衣または被膜され得るか、あるいは活性成分を空気から保護するか、または胃腸管における錠剤の選択的な崩壊を可能にするために使用され得る。
【0312】
本発明の好ましい製剤は、本質的に本発明の治療的に有効な量の薬剤、および薬学的に許容可能な担体からなる、非経口または経口投与に好適な単相性医薬組成物である。本発明の別の好ましい製剤は、本発明の薬剤の治療的に有効な量のプロドラッグ、および薬学的に許容可能な担体からなる単相性医薬組成物である。本発明の医薬組成物において用いられ得る好適な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆材料の使用によって、分散体の場合は必要とされる粒子経の維持によって、かつ界面活性剤の使用によって維持され得る。これらの組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含有し得る。また、組成物中に、砂糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが望ましい場合がある。加えて、注射可能な剤形の持続的吸収は、ステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を含むことによってもたらされ得る。
【0313】
場合によっては、ケルセチンなどの薬剤の効果を長引かせるために、皮下または筋肉内注射からの薬剤の吸収の速度を落とすことが望ましい。これは、難水溶性の結晶または無定形材料の液体懸濁液の使用によって達成することができる。その場合、薬剤の吸収速度は、その溶解速度に依存し、溶解速度は、次に、結晶径および結晶形態に依存し得る。代替的に、非経口投与された薬剤の吸収の遅延は、油ビヒクルにおいて薬剤を溶解または懸濁することによって達成される。
【0314】
注射可能なデポー形態は、ポリ乳酸-ポリグリコール酸などの生分解性ポリマーにおいて薬剤の酵素マイクロカプセルマトリクスを形成することによって作成される。薬剤とポリマーとの割合、および用いられる特定のポリマーの性質に依存して、薬剤の割合を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルソエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポー注射可能な製剤はまた、体組織と互換性のあるリポソームまたは微乳濁液において薬剤を封入することによって調製される。注射可能な材料は、細菌保持フィルタを通した濾過によって殺菌され得る。
【0315】
錠剤などの固形組成物を調製するために、主要な活性成分を、薬学的賦形剤を混合して、ケルセチン、イソケルセチンまたは類似体、ならびに/またはE64、CA074、またはCA074Me、およびそれらの類似体などの薬剤の均一混合物を含有する固形予備製剤組成物を形成する。これらの予備製剤組成物を均一と称する場合、組成物が、錠剤、ピル、およびカプセルなどの等しく有効な単位用量形態に細分され得るように、活性成分は、組成物全体を通して等しく分散されることを意味する。次に、この固形予備製剤を、例えば、本発明の治療化合物0.1~約500mg以上を含有する上に記載の種類の単位用量形態に細分する。経口投与に好適な製剤は、カプセル、カシェ、ピル、錠剤、粉末、顆粒の形態で、または水性もしくは非水性液体、または水中油型もしくは油中水型液体乳濁液における溶液または懸濁液として、あるいはエリキシル剤もしくはシロップとして、またはトローチ(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性塩基を使用して)などとして存在し得、それぞれが、活性成分として本発明の所定の量の薬剤を含有する。本発明の薬剤または薬剤はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与され得る。
【0316】
経口投与のための固形用量形態の薬剤(カプセル、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末、顆粒など)において、活性成分は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または以下:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤、(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシアなどの結合剤、(3)グリセロールなどの湿潤剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ、またはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(5)パラフィンなどの溶液緩染剤、(6)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(7)例えば、ヘキサデシルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、(8)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの潤滑剤、ならびに(10)着色料、のうちのいずれかなど、1つ以上の薬学的に許容可能な担体と混合される。カプセル、錠剤、およびピルの場合、医薬組成物は、緩衝剤も含み得る。同様の種類の固形組成物を、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用した、軟充填および高充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として用いることができる。
【0317】
錠剤は、任意選択的に、1つ以上の付属の成分と共に圧縮または成形によって作成され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を使用して調製され得る。成形された錠剤は、不活性液体希釈剤で加湿された粉末状化合物を好適な機械で成形することによって作成され得る。錠剤、ならびに糖衣錠、カプセル、ピル、および顆粒などの他の固形用量形態の医薬組成物は、任意選択的に、腸溶性コーティングおよび医薬製剤化技術においてよく知られている他のコーティングなど、コーティングおよびシェルでスコア化または調製され得る。それらはまた、所望の放出プロファイル、他のポリマーマトリクス、リポソーム、および/または微粒子を提供するために、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な比率で使用して、活性成分の緩やかで制御された放出を提供するように製剤化され得る。それらは、例えば、細菌保持フィルタを通した濾過によって殺菌され得る。これらの組成物はまた、任意選択的に、不透明剤を含有してもよく、活性成分のみを、または優先的に胃腸管の特定の部分に、任意選択的に遅延方法で放出する組成物からなり得る。使用され得る埋め込み用組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。活性成分はまた、マイクロカプセル封入形態であり得る。錠剤またはピルは、長期の作用の利益をもたらす用量形態を提供するようにコーティングまたは別様に構成され得る。例えば、錠剤またはピルは、内部用量および外部用量成分を含み得、後者は前者の上で包装体の形態である。2つの成分は、胃における崩壊に抵抗するように機能する腸溶性層によって分離され得、内部成分が無傷で十二指腸へと通過するか、または放出を遅延させることを可能にし得る。このような腸溶性層またはコーティングのために様々な材料を使用することができ、そのような材料には、いくつかのポリマー酸、ならびにセラックニス、ヘキサデシルアルコール、およびセルロースアセテートなどの材料とポリマー酸の混合物が含まれる。
【0318】
薬剤の経口投与のための液体用量形態には、薬学的に許容可能な乳濁液、微乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が含まれる。活性成分に加えて、液体用量形態は、例えば、水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジル安息香酸、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(具体的には、綿の種子、ピーナッツ、コム(com)、胚、オリーブ、ビーバー香およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤など、当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含有し得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味剤、着色剤、芳香剤、ならびに防腐剤などのアジュバントを含み得る。懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガント、ならびにそれらの混合物として懸濁剤と含有し得る。
【0319】
局所または経皮的投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、点滴薬、および吸入剤が含まれる。活性成分は、薬学的に許容可能な担体と共に、かつ必要とされ得る任意の緩衝液または推進薬と共に、殺菌条件下で混合され得る。軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、活性成分に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含有し得る。粉末およびスプレーは、活性成分に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有し得る。スプレーは、追加的に、フロンなどの通常の推進薬、ならびにブタンおよびプロパンなどの揮発性の非置換炭化水素を含有し得る。経皮的パッチは、本発明の化合物の体への制御された送達を提供するという追加の利点を有する。このような用量形態は、1つ以上の薬剤を、エラストママトリックス材料などの適切な培地に溶解、分散、または別様に組み込むことによって作成され得る。
【0320】
吸収促進剤を使用して、皮膚にわたる化合物の流束を増加させることができる。そのような流束の速度は、速度制御膜を提供するか、またはポリマーマトリクスもしくはゲルにおいて化合物を分散させるかのいずれかによって制御することができる。医薬製剤は、さらに、吸入もしくは送気による投与のために、または経鼻もしくは眼球内投与のために好適なものを含む。吸入による上(経鼻)または下気道経路への投与のために、薬剤は、注入器、噴霧器もしくは加圧パック、またはエアゾールスプレーを送達するための他の便利な手段から便宜的に送達され得る。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスなどの好適な推進役を含み得る。加圧エアゾールの場合、用量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。
【0321】
代替的に、吸入または送気による投与のために、組成物は、乾燥粉末、例えば、薬剤およびラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末塩基のうちの1つ以上の粉末混合物の形態を取り得る。粉末組成物は、例えば、カプセルもしくはカートリッジ、または、例えば、吸入器、注入器、または計量吸入器の助けを借りて粉末を投与し得るゼラチンまたはブリスタパックにおいて単位用量形態で提示され得る。鼻腔内投与のために、本発明の化合物は、プラスチック瓶噴霧器または計量吸入器の手段などによって、鼻点滴薬または液体スプレーの手段によって投与され得る。
【0322】
眼点滴薬または鼻点滴薬などの点滴薬は、1つ以上の分散剤、可溶化剤、または懸濁剤を含む、水性または非水性塩基と共に製剤化され得る。液体スプレーは、便宜的に、加圧パックから送達される。点滴薬は、単純な点眼器キャプ付き瓶の手段によって、または特に成形されたクロージャの手段により液体内容物を液滴で送達するように適合されたプラスチック瓶の手段によって、送達され得る。任意の製剤は、単位用量または複数用量の密封容器、例えば、アンプルおよびバイアルで提示され得、使用の直前に、殺菌液体担体、例えば、注射のための水の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存され得る。即時注射溶液および懸濁液は、上に記載の種類の殺菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。
【0323】
本発明によって提供される用量製剤は、単独または他の治療的に活性成分、および薬学的に許容可能な不活性賦形剤と組み合わせのいずれかで、本発明の治療化合物を含有し得る。用量製剤は、抗酸化物質、キレート薬剤、希釈剤、結合剤、潤滑剤/流動促進剤、崩壊剤、着色料、および放出改変ポリマーのうちの1つ以上を含有し得る。好適な抗酸化物質は、当該技術分野で知られている1つ以上の薬学的に許容可能な抗酸化物質の中から選択され得る。薬学的に許容可能な抗酸化物質の例には、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、亜硫酸ナトリウム、クエン酸、リンゴ酸、およびアスコルビン酸を含む。抗酸化物質は、用量製剤の約0.001重量%~約5重量%の濃度で本発明の用量製剤中に存在し得る。
【0324】
好適なキレート薬剤は、当該技術分野で知られている1つ以上のキレート薬剤の中から選択され得る。好適なキレート薬剤の例には、エデト酸ナトリウム(EDTA)、エデト酸、クエン酸、およびそれらの組み合わせが含まれる。キレート薬剤は、用量製剤の約0.001重量%~約5重量%の濃度で存在し得る。典型的には、約20重量%~約80重量%の範囲内の量の、ラクトース、砂糖、トウモロコシデンプン、改質トウモロコシデンプン、マンニトール、ソルビトール、および/または材木セルロースおよび微結晶セルロースなどのセルロース誘導体などの好適な希釈剤。
【0325】
好適な結合剤の例には、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ユードラジット、エチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、プルラン、カルボマー、アルファ化デンプン、寒天、トラガント、アルギン酸ナトリウム、微結晶セルロースなどが含まれる。好適な崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどが含まれる。濃度は、用量形態の0.1重量%~15重量%で変化し得る。
【0326】
潤滑剤/流動促進剤の例には、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、水酸化ひまし油、脂肪酸のスクロールエステル、微結晶ワックス、ミツロウ、ハクロウなどが含まれる。濃度は、用量形態の0.1重量%~15重量%で変化し得る。放出改変ポリマーを使用して、本発明の治療化合物を含有する延長放出製剤を形成することができる。放出改変ポリマーは、水溶性ポリマーまたは水不溶性ポリマーのいずれかであり得る。水溶性ポリマーの例には、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ビニルアセテートコポリマー、ポリエチレンオキシド、多糖類(アルギン酸、キサンタンガムなど)、メチルセルロース、およびそれらの混合物が含まれる。水不溶性ポリマーの例には、メタクリル酸、アクリル酸コポリマーなどのアクリル酸、エチルセルロースまたはセルロースアセテートなどのセルロース誘導体、ポリエチレン、および高分子量ポリビニルアルコールが含まれる。
【0327】
任意選択的に、本発明の治療方法、ならびにケルセチンおよび/またはE64、CA074、またはCA074Me、およびそれらの類似体などの組成物を、他の抗癌剤治療およびRIBE治療と組み合わせ得る。抗癌剤治療の例は、外科手術および化学療法、ならびに他の新規治療などの従来の癌治療を含む。このような他の抗癌剤治療は、放射線治療と共に追加的または相乗的に作用することが期待されるであろう。これは、癌のより良好な制御をもたらし、ならびに高用量の必要性を低減し、かつ/またはRIBEを低減することによってより高い容量の治療放射線を可能にし得る。例えば、広い範囲の従来の化合物が、抗癌活性を有すると示されている。これらの化合物は、固形腫瘍を縮小させるか、腫瘍転移およびさらなる成長を防止するか、または白血病または骨髄腫におけるいくつかの悪性細胞を減少させるための化学療法における医薬品として使用されている。
【0328】
化学療法が様々な種類の悪性腫瘍の治療に有効であるが、多数の抗癌化合物が、望ましくない副作用を誘発する。2つ以上の異なる治療が組み合されたとき、治療が相乗的に働き、治療の各々の用量の低減を可能にし、それによってより高い用量で各化合物によって生じる有害な副作用を低減し得ることが示されている。他の例では、治療の難しい悪性腫瘍は、2つ以上の異なる治療の組み合わせ治療に反応し得る。本発明の別の実施形態は、放射線治療に対する癌患者の反応を改善し、かつ/またはRIBE効果を減少させるための薬品の調製において、ケルセチン、イソケルセチン、またはそれらの類似体など、記載されている組成物のうちのいずれかの使用に関する。
【0329】
「含む」という用語は、「含むが限定されない」という句を意味するように本明細書で使用され、これと互換的に使用される。「または」という用語は、文脈が別段明確に示していない限り、「および/または」という用語を意味するように本明細書で使用され、これと互換的に使用される。
【0330】
これより一般に記載される本発明は、単に本発明の実施形態の特定の態様の例示の目的のために含まれる、以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されるであろう。実施例は、当業者であれば、他の技術および方法が特許請求の範囲を満たし得、請求される発明の範囲から逸脱することなく用いられ得ることを上記の教示および以下の実施例から認識するため、本発明を限定することを意図していない。
【0331】
本発明は、本発明の範囲を限定するものと捉えられるべきではない以下の実施例にさらに例示される。
【実施例
【0332】
実施例1:この実施例は、照射に反応して1つ以上のRIBE因子の生成物および排出物を例示する。
本発明者らは、C.elegansにおけるUV誘発性損傷がよく特徴付けられているため、C.elegansが、UV放射線を使用してRIBEを研究するための動物モデルとして機能することができるかどうかを試験した。液体S培地中に培養された野生型(N2)動物に、100J/mUVを照射するか、または疑似照射した。このUV用量は、DNA損傷修復に関わるC.elegansのp53相同体CEP-1において欠陥があるcep-1(gk138)動物において悪化させる有意な胚致死性(図5a)を誘発した。被照射および疑似被照射動物を培養するのに使用される培地は、それぞれ、「UV条件培地」(UV-CM)および「UV対照」(UV-Ctrl)と呼ばれ、曝露されていない動物(図1a)を処理するために使用された。UV-CMで処理されたN2動物は、UV-Ctrl(免疫グロブリン5b)で処理されたものと比較して、胚致死性の増加を示し、これは、UV-CMが、曝露されていない動物における損傷を誘発する可能性がある物質を含有することを示している。UV-CMはまた、100J/mで最大死阻害活性に到達する、UV用量(図1b)に依存する方法で、アポトーシスの検出を感作する多数の非飲み込みアポトーシス細胞を有する、ced-1(e1735)動物における生殖細胞死を低減した。これらの結果は、曝露されていない細胞のアポトーシスの低減または生存の増加が、RIBEの終点のうちの1つであるという公開された報告と一致している
【0333】
実施例2:この実施例は、被照射細胞によるが、他の因子にはよらずに作出されたタンパク質としてのRIBE因子の同定を例示している。
本発明者らは、DNA、RNA、またはタンパク質を破壊する酵素によりUV-CMを処理することによって、RIBE因子の性質を証明した。UV-CMにおけるアポトーシス阻害活性は、デオキシリボヌクレアーゼまたはリボヌクレアーゼの処理に対して抵抗力がある(図6a、b)が、トリプシンプロテアーゼによって消し去られており(図1c)、これは、RIBE因子がタンパク質であることを示唆している。細胞死の欠陥があるced-3(n2433)動物から回収されたUV-CM、生殖系列が欠乏しているglp-1(e2141)動物、または死細菌が供給されたN2動物は、死阻害活性を保持し(図6c~f)、これは、RIBE因子が、放射線によって誘発された細胞死の細菌または副産物によって作出された可能性の低い因子であり、生殖系列なしに作成され得ることを示している。
【0334】
本発明者らは、10kDの分子量カットオフフィルタユニットを使用して、UV-CMを、2つの画分、1つは10kDよりも大きい可能性が高いタンパク質を含有する画分、1つは10kDよりも小さいタンパク質を有する画分に分離した。RIBE活性は、>10kDの画分に現れ(図7a)、これは、SDSポリアクリルアミドゲル上で分解された(図1d)。UV-CMに固有のタンパク質バンドを、19個のタンパク質が同定された(図1e、図8、および表5)質量分析によって分析した。
【0335】
実施例3:この実施例は、RIBE因子としてのCPR-4の同定を例示している。
本発明者らは、19個の遺伝子のうちの1つがRIBEの原因であるかどうかを検査するためにRNA干渉(RNAi)を使用した。cpr-4 RNAiで処理された動物からのUV-CMは、有意に低減されたRIBE活性を示し、他の遺伝子のRNAiで処理された動物からのUV-CMは、RIBE活性を保持した(図7b)。cpr-4は、細胞外プロテアーゼとして作用するように分泌される、哺乳動物のカテプシンBリソソームプロテアーゼの相同体をコードする。cpr-4における欠失変異(tm3718)は、CPR-4タンパク質の3分の1を除去し(図9a)、RIBE活性を消し去り、カルボキシル末端フラグタグ(Pcpr-4::cpr-4::フラグ)を有するcpr-4ゲノムの断片を保有する単一コピー統合された導入遺伝子は、RIBEをcpr-4(tm3718)動物に回復させる(図2a)ため、UV-CMにおけるこのRIBE活性のためにcpr-4が必要とされる。
【0336】
実施例4:この実施例は、CPR-4の分ピル、およびcep-1依存性機序を通してCPR-4媒介RIBEが誘発されることを例示している。
本発明者らは、UV照射時にCPR-4が培地に分泌されるかどうかを検査した。UV-CMにおいては、CPR-4::フラグが検出されたが、Pcpr-4::cpr-4::フラグ動物からのUV-Ctrlには検出されなかった(図1f)。Pcpr-4::cpr-4::フラグ、cpr-4(tm3718)動物のUV-CMからのCPR-4::フラグの免疫喪失が、そのRIBE活性を無効にし(図6g、h)、これは、分泌されたCPR-4がUV-CMにおけるRIBE因子であることを確認している。cep-1(gk138)動物からのUV-CMは、RIBE活性を喪失し(図2a)、cep-1(gk138)、Pcpr-4::cpr-4::フラグ動物からのUV-CMは、CPR-4::フラグの有意に低減された分泌を示す(図7c)ため、CPR-4媒介RIBEは、哺乳動物においていくつかの報告されたp53依存性RIBEのように、cep-1依存性機序を通して誘発される。
【0337】
実施例5:この実施例は、動物の1つ位置での局所UV照射(LUI)が放射線に曝露されていない動物の他の領域におけるバイスタンダ効果を誘発し、この効果がCPR-4およびCEP-1の両方に依存することを例示している。
上述のように、RIBEは、動物内のバイスタンダ効果を指すことが多い。本発明者らは、動物の頭部の局所UV照射(LUI)が、放射線に曝露されていない動物の他の領域におけるバイスタンダ効果を誘発し得るかどうかを試験した(図3a)。本発明者らは、放射線にも反応するPhsp-4::gfp(zcIs4)であるストレス反応レポータを使用して、後部領域における強力なGFP発現を誘発する、放射の24時間後のLUIで処理されたzcIs4動物の複数の曝露されていない領域におけるGFP発現の増加を観察した(図3b、c)。このバイスタンダ反応は、L4幼虫において最強である(図3d)が、cpr-4(tm3718)およびcep-1(gk138)変異体においては喪失されており(図3e、図10a)、これは、動物内RIBEのためにcpr-4およびcep-1の両方が必要とされることを示している。LUIはまた、曝露されていない後代における胚致死性の増加(図3a、f)、およびcpr-4依存的に非照射後部生殖腺における生殖細胞死の低減(図3a、g)をもたらし、これは、LUI誘発性動物内RIBEが、UV-CMによって誘発された動物間RIBEと同様であり、CPR-4が真のRIBE因子であることを示している。
【0338】
実施例6:この実施例は、媒介RIBE活性を媒介する際のCPR-4およびその関与におけるカテプシンB様プロテアーゼ活性の同定を例示している。
本発明者らは、CPR-4およびカテプシンBが高度に保存されており、一般塩基16として作用する活性部位システインおよびヒスチジン残基を含む、同一の触媒残基(図9b)を有することを観察した。本発明者らは、z-Arg-Arg-AMCである、カテプシンB特異的蛍光発生的基質を使用して、N2動物から、UV-CMにおけるカテプシンB様プロテアーゼ活性を検出したが、UV-Ctrlには検出されなかった(図2b)。この活性は、cpr-4(tm3718)動物からのUV-CMには存在せず、cep-1(gk138)動物からのUV-CMにおいては有意に低減されたが、Pcpr-4::cpr-4::フラグ、cpr-4(tm3718)動物においては回復され、CPR-4が、cep-1依存性機序を通してUV-CMにおいてこのカテプシンB様活性を与えることを確認した。
【0339】
本発明者らは、さらに、組み換えCPR-4がRIBE活性を繰り返すかどうかを見るために試験した。そのシグナルペプチド(残基1~15)を欠く切頂CPR-4である、tCPR-4は、組み換えヒトカテプシンB(rhCTSB)(図7d)のプロテアーゼ活性と同様のプロテアーゼ活性を示した。保存された触媒残基を変更する変異である、C109AおよびH281Aは、tCPR-4のプロテアーゼ活性を無効にした(図2c)が、非触媒残基を変更する変異(N301A)は、tCPR-4プロテアーゼ活性に影響を与えなかった。N2動物からのUV-CMと同様に、tCPR-4、tCPR-4(N301A)、およびrhCTSBは、生殖細胞の死骸を低減し(図2d、図7e)、胚致死性を増加した(図5c)が、tCPR-4(H281A)およびtCPR-4(C109A)は、そのようにはならず、これは、CPR-4プロテアーゼ活性が、そのRIBE活性に対して重要な意味を持つことを示している。
【0340】
実施例7:この実施例は、CPR-4が、異なる放射線供給源によって誘発された共通のRIBE因子であることを例示している。
本発明者らは、異なる放射線供給源、イオン化放射線(IR-CM)、およびその疑似被照射対照(IR-Ctrl)によって照射された動物からの条件培地を試験した。N2またはPcpr-4::cpr-4::フラグ、cpr-4(tm3718)動物からのIR-CMは、ced-1(e1735)動物における生殖細胞の死骸を低減したが、cpr-4(tm3718)またはcep-1(gk138)動物からのIR-CMは、そのような活性を有しなかった(図2e)。同様に、N2動物からのIR-CMは、胚致死性の増加(図4b)をもたらし、cpr-4(tm3718)またはcep-1(gk138)動物からのIR-CMにおいて喪失されたが、Pcpr-4::cpr-4::フラグ、cpr-4(tm3718)動物において回復された、カテプシンB様活性を含有したが、IR-Ctrlはそうではなかった(図2f)。さらに、分泌されたCPR-4::フラグは、Pcpr-4::cpr-4::フラグ動物からのIR-CMにおいては検出されたが、IR-Ctrlでは検出されなかった(図2g)。したがって、CPR-4は、異なる放射線供給源によって誘発された共通のRIBE因子である。
【0341】
本発明者らは、定量的なRT-PCR分析を使用して、N2動物におけるcpr-4遺伝子の転写が、疑似被照射対照と比較して、UVまたはIR照射後、およそ1.6倍上昇することを発見した(図2h)。対照的に、cep-1(gk138)動物におけるcpr-4転写は、いずれの放射線によっても変更されなかった。これらの結果は、イオン化および非イオン化放射線が、CEP-1依存性機序を通してcpr-4転写を増加させ、より多くのCPR-4タンパク質の合成およびCPR-4の分泌の増強をもたらすことを示している。
【0342】
実施例8:この実施例は、CPR-4が、cep-1依存性機序を通して発現されることを例示している。
本発明者らは、緑色蛍光タンパク質(GFP)とのcpr-4転写融合を保有する単一のコピー挿入導入遺伝子および核局在化シグナル(Pcpr-4::nls::gfp)を使用して、cpr-4が発現される時間および場所を検査した。N2動物において、NLS::GFP発現は、胚には検出されず、早期段階の幼虫(L1~L3)の腸には観察されず、L4幼虫段階でピークに達し、動物が成体期に入ると減少した(図7a~h、j)。同様の時空間のNLS::GFP発現パターンが、cep-1(gk138)、Pcpr-4::nls::gfp動物において観察された(図11i、j)。UVを照射した場合、Pcpr-4::nls::gfpを保有するN2動物(cep-1(gk138)動物ではない)は、NLS::GFP発現(図11k)の上昇を示さず、放射線が、cep-1依存性機序を通してcpr-4転写の増加を誘発したことを確認した。
【0343】
実施例9:この実施例は、生体内で分泌されたCPR-4の長期にわたるシグナル伝達効果を例示している。
本発明者らは、生体内で分泌されたCPR-4の効果を調査するために、myo-2遺伝子プロモータの制御下で、特にC.elegansの咽頭においてCPR-4::mCherryを発現する遺伝子導入Pmyo-2::CPR-4::mCherry動物を作出した(図12a)。分泌されたタンパク質について予測されるように、CPR-4::mCherryは、咽頭において作成され、咽頭から分泌され、食細胞体腔細胞を含む、体全体の細胞によって採取された(矢尻、図12a)。CPR-4シグナルペプチドの除去は、遺伝子導入動物における咽頭からのtCPR-4::mCherry分泌をブロックした(図12b)。UV-CMと同様に、IR-CMまたはLUI処理、CPR-4::mCherryの咽頭の発現は、胚致死性を増加させ、生殖細胞死を減少し、加えて、実質的な幼虫停止を引き起こし(図12c、d)、これらは、tCPR-4::mCherryまたは触媒的な不活性CPR-4::mCherryタンパク質を発現する動物には見られないか、または有意に軽減された。CPR-4の異所性発現からのこれらの結果は、RIBE因子としてのCPR-4の長期にわたるシグナル伝達を支持するためのさらなる証拠を提供している。
【0344】
実施例10:この実施例は、非被照射細胞または動物におけるCPR-4によって媒介された様々なRIBE効果を例示している。
本発明者らは、CPR-4によって媒介された様々なRIBE効果を考慮して、複数の細胞プロセスに影響を与える遺伝子の検査を通して、CPR-4がいかにして曝露されていない細胞または動物に影響を与えるかを調査した。daf-2活性の低減が寿命およびストレスへの抵抗力を増加させ、遺伝毒性および低酸素ストレスによって誘発された、胚、筋肉、および神経細胞死を減少させるため、ヒトインスリン/IGFレセプタのC.elegansオルソログをコードし、複数のシグナル伝達経路を調節する、daf-2遺伝子を検査した。同様に、温度感受性変異(e1370)による減少daf-2機能の低減が、生理的生殖細胞死を減少させた(図4a)。興味深いことに、精製されたtCPR-4は、ced-1(e1735)、daf-2(e1370)変異体における生殖細胞死をさらに低減し(図4a)、これは、tCPR-4およびdaf-2が、生殖細胞死に影響を与えるように同じ経路において作用することを示唆している。さらに、tCPR-4は、DAF-2の鍵となる下流シグナル伝達成分であるPDK-1キナーゼに欠陥がある、ced-1(e1735)、pdk-1(sa680)動物において生殖細胞死を低減しなかったが、DAF-2の顆粒で作用する主要な転写因子のうちの1つであるDAF-16を欠く、daf-16(mu86)ced-1(e1735)動物においてはそうすることができなかった(図10b).本発明者らは、LUIアッセイを使用して、daf-2およびpdk-1の不活性化(daf-16は不活性化しない)が、後部の曝露されていない領域におけるPhsp-4::gfpからのGFP発現の増加を防止し(図3eおよび図10a)、daf-2の喪失が、曝露されていない組織における胚致死性の増加および生殖細胞死の低減をブロックする、同様の結果を観察した(図3f、g)。daf-2の喪失が、UV-CMへのCPR-4の分泌またはUV-CMのアポトーシス阻害活性に影響を与えないと思われた(図10c、d)ため、これらの結果は、分泌されたCPR-4が、曝露されていない細胞においてRIBEを生じさせるために、DAF-2インスリン/IGFレセプタおよびPDK-1キナーゼを通して作用するが、DAF-16転写因子はそうではないモデルを支持している。
【0345】
実施例11:この実施例は、CPR-4(tCPR-4)が、DAF-2およびCEP-1を通して生殖細胞の増殖を促進することを例示している。
本発明者らは、daf-2がまた、生殖細胞の増殖に影響を与えるため、tCPR-4処理が、生殖系列の有糸分裂領域におけるいくつかの核をスコア化することによって、生殖細胞の増殖を変更するかどうかを検査した。N2動物のtCPR-4処理は、有糸分裂ゾーンにおいて、より多くの生殖細胞核およびより多くの中期核をもたらし(図4b)、これは、刺激効果を示唆している。daf-2活性の低減またはcep-1の喪失は、tCPR-4によって誘発された生殖細胞の増殖の増加をブロックし(図4bおよび図10e)、これは、tCPR-4が、DAF-2およびCEP-1を通して生殖細胞の増殖を促進することを示している。
【0346】
実施例12:この実施例は、ヒトカテプシンB(CTSB)が、ヒト細胞におけるRIBE効果に関わることを例示している。
本発明者らは、ヒトカテプシンB(CTSB)システインプロテアーゼがまた、放射線誘発性バイスタンダ効果に関わるかどうかを調査するため、C.elegansにおいて観察されるように、UV照射に反応してCTSBの発現が上方調節されるかどうかを最初に検査した。図13Aに示すように、CTSBの発現は、用量依存的にUV照射に反応して上方調節され、400J/m2で最大反応に到達する。次に、本発明者らは、CTSBショートヘアピン型RNA(shCTSB)ノックダウン293T細胞を作出し、これらの細胞および制御shRNA(shCtrl)293T細胞に、400J/m2でUVを照射した。次に、UV条件培地(UV-CM)を、被照射細胞から回収し(方法を参照されたい)、これを使用して曝露されていないHuh7細胞を培養した。本発明者らは、shCtrl 293T細胞からのUV-CMが、shCTSB 293T細胞から回収されたUV-CMよりも細胞の生存の促進において有意により強な活性を示すことを発見し、これは、CTSB発現の喪失が、細胞の生存の促進において放射線誘発性バイスタンダ効果を低減することを示している。本発明者らは、shCtrl Huh7細胞およびshCTSB Huh7細胞から回収されたUV-CMと同様の結果を観察した(図2)。これらの結果は共に、カテプシンBシステインプロテアーゼがまた、ヒト細胞におけるUV誘発性バイスタンダ効果に関わることを示している。
【0347】
この実施形態では、293T細胞を、48時間、それぞれ、PLKO.1-Ctrl(shCtrl)およびPLKO.1-CTSB(shCTSB)プラズミドでトランスフェクトした。細胞を洗浄し、新たな培地に置き、UV放射線(400J/m)に曝露した。さらに48時間、被照射細胞を培養した。UV条件培地である上清を回収し、これを使用して、48時間、曝露されていないHuh7細胞を培養した。スルホローダミンB(SRB)アッセイを行って、Huh7細胞の生存のパーセンテージを測定した。加えて、Huh7細胞を、48時間、PLKO.1-Ctrl(shCtrl)およびPLKO.1-CTSB(shCTSB)プラズミドでトランスフェクトした。細胞を洗浄し、新たな培地に置き、UV放射線(400J/m)に曝露した。さらに48時間、被照射細胞を培養した。UV条件培地である上清を回収し、これを使用して、48時間、曝露されていないHuh7細胞を培養した。スルホローダミンB(SRB)アッセイを行って、Huh7細胞の生存のパーセンテージを測定した。
【0348】
実施例13:この実施例は、生体外でカテプシンBプロテアーゼ活性を阻害する化合物に対するスクリーニングを実証している。
本発明者らは、重要な意味を持つ放射線誘発性バイスタンダ効果(RIBE)の伝達物質である、システインプロテアーゼカテプシンB(CTSB)の活性を阻害し得る化合物を同定するために、システインプロテアーゼの阻害剤として知られているか、または潜在的な抗癌活性を有する、活性小分子の回収をスクリーニングした(下の表1を参照されたい)。これらには、3つのシステインプロテアーゼ阻害剤、E64[N-[N-(L-3-トランス-carboxirane-2-カルボニル)-L-ロイシル]-アグマチン]、CTSB(1)の選択的阻害剤である、CA074[N-(l-3-トランス-プロピルカルバモイルオキシラン-2-カルボニル)-l-イソロイシル-l-プロリン]、および細胞内CTSBに対する膜透過性阻害剤である、CA074メチルエステル(CA074Me)が含まれる。本発明者らはまた、短鎖ポリペプチド、NH-Arg-Leu-Ala-COOH(RLA)、このポリペプチドのセレニウムキレート、NH-Arg-Leu-Ala-COOH-Se、ならびに癌細胞の増殖を阻害し、哺乳動物の細胞に対して低毒性を示すと報告されている、いくつかの抗癌化合物およびビタミンを試験した。
【0349】
本発明者らは、18個の生体活性小分子の回収から、CTSB阻害活性を示す11個の化合物を同定した。(一般に図22~23を参照されたい)3つのシステインプロテアーゼ阻害剤、CA074Me、CA074、およびE64は、CTSBプロテアーゼに対する最良の阻害効果を実証した(下の表2を参照されたい)。短鎖ポリペプチド(RLA)およびそのセレニウムキレートは、CTSBプロテアーゼ活性の86%超を阻害する。いくつかのフラボノイド、アピゲニン[5,7-ジヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-4H-1-ベンゾピラン-4-オン]、ケルセチン[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,5,7-トリヒドロキシ-4H-クロメン-4-オン]、イソクエルシトリン[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[(2S,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシクロメン-4-オン]、およびバイカレイン(5,6,7-トリヒドロキシ-2-フェニル-クロメン-4-オン)もまた、65~85%の阻害を達成し得る。タンニン酸、ポリフェノール(であるが、フラボノイドではない)は、69.29%の阻害を示している。表2にも示すように、興味深いことに、ビタミンB9としても知られている葉酸は、CTSBアクチベータであることが分かり、CTSBプロテアーゼの活性を、4倍超、増強させることができる。
【0350】
表3に示すように、本発明者らは、これらの化合物のうちのいくつかの最大半量の阻害濃度(IC50)を判定した。E64、CA074、およびCA074Meは、20nM以下の最良IC50値を実証した。フラボノイド、ケルセチン、およびバイカレインは、それぞれ、1.87μMおよび0.87μMでIC50を有する。短鎖ポリペプチドRLAは、他の化合物よりも有意に高いIC50を有する。一方、葉酸の最大半量の有効濃度(EC50)は、1.26μMである。
【0351】
上述のように、C.elegansのCTSB相同体であるCPR-4は、ヒトCTSBと同様のプロテアーゼ活性および特性を示している。本発明者らは、生体外でCPR-4プロテアーゼ活性を阻害する際のこれらの化合物のうちのいくつかの活性をアッセイした。表4に示すように、システインプロテアーゼ阻害剤E64は、CPR-4プロテアーゼに対する最高の阻害活性(89.59%)を有し、短鎖ポリペプチドRLAは、CPR-4プロテアーゼ活性の85.03%を阻害する。フラボノイドケルセチンは、80.67%の阻害を示し、フラボノイドバイカレインは、41.54%の阻害を示している。
【0352】
実施例14:この実施例は、カテプシンB阻害剤が、放射線誘発性バイスタンダ効果(RIBE)をブロックすることを実証している。
本発明者らは、上に記載の局所UV照射(LUI)動物内RIBEモデルを使用して、同定されたCTSB阻害剤が、LUIによって誘発されたRIBEまたは副作用をブロックし得るかどうかを検査した。C.elegansにおいて見られるいくつかの顕著なRIBE効果は、後部生殖腺の曝露されていない生殖細胞における染色体DNAの損傷、曝露されていない胚の致死性の増加、および特に頭部領域にLUIを受ける動物の曝露されていない後部領域におけるストレス反応の上昇である。LUI処理への供与の前に、幼虫段階2(L2)動物を、最初に、48時間、それぞれ、DMSO(Mock)、10μMのCA074、CA074Me、もしくはE64、または250μMのケルセチン、イソクエルシトリン、(図19)、もしくは葉酸(図20)で処理した。
【0353】
hus-1::NeoGreenノックインを含有する動物において、LUI動物の後部生殖腺の曝露されていない生殖細胞における染色体DNA損傷のアッセイを実施した。DNA損傷誘発性細胞周期の停止およびアポトーシスに対して、C.elegans遺伝子hus-1が必要とされる。DNA損傷の後、HUS-1は、染色体の切断に対して特に局所化し、クロマチン上に明確な焦点を形成することが示されている。したがって、本発明者らは、照射によって誘発された染色体DNA損傷の指標として機能する、LUI動物におけるいくつかのHUS-1::NeoGreen焦点について、曝露されていない有糸分裂生殖細胞を分析した。図21に示すように、葉酸(CTSBアクチベータ)を除く、同定された化合物による処理、または欠失(tm3718)を通したcpr-4遺伝子の遺伝子不活性化は、正のHUS-1焦点を有するいくつかの生殖細胞を強力に阻害し、これは、同定された化合物またはcpr-4遺伝子の不活性化が、LUIによって誘発された染色体DNA損傷の副作用をブロックすることを示している。
【0354】
先に記載されているように、LUI動物における曝露されていない胚の致死性の増加のアッセイを行った。図19に示すように、LUI処理後の野生型(WT)動物は、それらの曝露されていない後代における胚致死性の増加を示した。しかしながら、同定された化合物で前処理された動物において(CTSBアクチベータである葉酸を除いて)、またはcpr-4遺伝子に欠陥のある動物において、LUIは、胚致死性の増加を誘発しなかった。これらの結果は、同定されたCTSB阻害剤化合物またはcpr-4遺伝子の遺伝子不活性化が、局所照射によって誘発されたC.elegansにおける胚致死性の増加の副作用を防止し得ることを示している。興味深いことに、そのカルボキシル末端に短いペプチドタグ(フラグタグ)を有する修飾CPR-4タンパク質を発現する単一コピーcpr-4導入遺伝子を保有するcpr-4(tm3718)動物が、LUI処理の前に抗フラグ抗体で前処理された場合、偽処理ではなく、抗体が、図20に示すような局所照射によって誘発された胚致死性の増加の副作用を有効にブロックしており、これは、C.elegansのRIBEモデルが、放射線療法によって誘発された副作用を緩和することができる抗体薬物に対するスクリーニングに使用され得ることを示している。
【0355】
照射を含む、いくつかのストレス状態に反応し得る、hsp-4遺伝子(Phsp-4::gfp)のプロモータの制御下で、GFPレポータを発現する統合された導入遺伝子を保有する動物において、LUI動物の曝露されていない後部領域におけるストレス反応の上昇のアッセイを行った。図21に示すように、葉酸を除く、同定された化合物による処理、またはcpr-4遺伝子の欠失が、LUI動物の後部の曝露されていない領域における、GFP蛍光強度の増加によって示された、ストレス反応の増加の副作用を強力に阻害した。これらの結果は共に、同定されたCTSB阻害剤が、例示的な真核性生物における照射によって誘発された様々な副作用をブロックし得ることを示している。これらの研究はまた、C.elegansのRIBEモデルにおける同定された化合物の生体外での薬物スクリーニングおよび試験の組み合わせが、放射線療法によって誘発された副作用、または他のヒト疾患を緩和もしくは治療するために使用され得る、有効な小分子化合物または抗体薬物を同定するための強力なアプローチであることを示している。
【0356】
実施例15:この実施例は、ヒトインスリンレセプタが、CTSB誘発性RIBEを媒介するために重要であることを明らかにしている。
ヒト細胞中のRIBEにおける、C.elegansDAF-2タンパク質の相同体である、ヒトインスリン/IGFレセプタ(INSR)の関与を調査した。本発明者らは、2つの異なるINSRショートヘアピン型RNAレンチウイルスクローン(shINSR♯1および♯2)を使用して、ヒトHuh7細胞におけるINSR発現を減少させ、次に、shCtrlまたはshCTSBのいずれかを発現した(図14を参照されたい)疑似被照射Huh7細胞(UV-Ctrl)またはUV照射(UV-CM)Huh7細胞から回収された条件培地により、これらのINSRノックダウン細胞を処理した。INSRノックダウン(shINSR♯1および♯2)は、shCtrlまたはshCTSB Huh7細胞のいずれかから回収されたUV-Ctrlによる影響を受けなかった、Huh7細胞の生存を減少させると思われた。先の観察(図13および14)と一致して、shCtrl Huh7細胞からのUV-CMは、shCTSB Huh7細胞から回収されたUV-CMよりも、曝露されていないshCtrl Huh7細胞において細胞の生存を促進する際に有意に強力な活性を示し(図15)、CTSBが細胞の生存を促進することを確認した。しかしながら、shINSRノックダウンは、shCTSB Huh7細胞からのUV-CMと比較して、shCtrl Huh7細胞からのUV-CMによって誘発された細胞の生存の増強をブロックした(図15)。これらの結果は、インスリン/IGFレセプタがまた、ヒト細胞においてCTSB誘発性RIBEを媒介するために重要であり、RIBEシグナル伝達経路が、C.elegansとヒトとの間に保存されることを示唆している。
【0357】
実施例16:この実施例は、異なるヒト細胞株が、UV照射とは異なる基礎CTSB発現レベルおよび異なる感受性を示すことを明らかにしている。
4つの異なるヒト不死化または癌細胞株(それぞれ、293T、Hela、HepG2、およびHCT116)におけるCTSBの発現レベル、およびUV照射に対するそれらの反応を検査した。UV照射の前に、293T(胚腎臓起源)およびHela(頸部腫瘍起源)細胞は、CTSBをほとんど発現せず、HepG2(肝臓癌起源)細胞は、低いCTSB発現を示し、HCT116(結腸癌起源)細胞は、高いCTSB発現を示している(図15)。異なる用量のUVを照射した後、HelaおよびHepG2細胞は、およそ100J/m2で飽和状態に到達する、CTSB発現の強力な上方調節を示し、HCT116細胞は、CTSB発現において明らかな変化を示さなかった(図16)。293T細胞はまた、UV照射に反応してCTSB発現の上方調節を示したが、CTSB発現レベルは、むしろ低かった(図16)。
【0358】
実施例17:この実施例は、ブロックRIBEをブロックするカテプシンB阻害剤を同定している。
本発明者らは、局所UV照射(LUI)動物内RIBEモデル(上記の図3を参照されたい)を使用して、カテプシンB(CTSB)の阻害剤がLUIによって誘発されたRIBEに干渉し得るかどうかを検査した。本発明者らは、最初に、CTSBの選択的阻害剤である、CA074[N-(l-3-トランス-プロピルカルバモイルオキシラン-2-カルボニル)-l-イソロイシル-l-プロリン]、および細胞内カテプシンBに対する膜透過性プロ阻害剤である、CA074メチルエステル(CA074Me)を試験した。図17に示すように、CA074またはCA74Meのいずれかによる処理は、頭部領域でLUIにより処理された動物の後部の曝露されていない領域において、バイスタンダPhsp-4::gfp反応を無効にした。本発明者らは、カテプシンBを含む、幅広い範囲のシステインペプチダーゼを不可逆的に阻害し得る、エポキシドであるE64と同様の結果を観察した。これらの結果は、ヒトCTSB阻害剤が、C.elegansにおいてRIBEをブロックすることができ、特定の実施形態では、ヒトにおけるRIBEを阻害し得ることを示している。
【0359】
実施例18:この実施例は、RIBEの新規阻害剤のための治療薬物スクリーニングについての動物モデルとして、C.elegansを同定している。
C.elegansにおけるCPR-4::mCherryの異所性咽頭の発現が、有意な胚致死性および幼虫停止を引き起こし(図9を参照されたい)、ヒトCTSB阻害剤が、C.elegansにおいてRIBEをブロックする(図17)ため、本発明者らは、RIBEの新規阻害剤またはモジュレータに対するスクリーニングに対してこの特徴を利用することができる。一実施形態では、成体のPmyo-2::CPR-4::mCherry遺伝子導入動物を、先に上に記載の(44、45)化合物または薬物を含有する線形動物の成長培地(NGM)プレート上に置く可能性がある。Pmyo-2::CPR-4::mCherry遺伝子導入動物の後代において胚致死性および幼虫停止の両方を有意に阻害し得る化合物を、選択し、3重に再試験し得る。上に記載のLUIアッセイを使用して、候補化合物のRIBE阻害効果を確認し得る。
【0360】
実施例19:この実施例は、本発明の実施形態に関連する様々な方法および装置を明らかにしている。
菌株および培養条件。本発明者らは、別段明記されない限り、標準的な手順[31]を使用して、20℃でC.elegansの菌株を培養した。本発明者らは、野生型菌株としてN2 Bristol菌株を使用した。遺伝子分析において、以下の染色を使用した。LGI、cep-1(gk138)、daf-16(mu86)、ced-1(e1735)、LGII、Pcpr-4::cpr-4::フラグの単一のコピー挿入、Pcpr-4::nls::gfpの単一のコピー挿入、LGIII、daf-2(e1370)、glp-1(e2141)、LGV、cpr-4(tm3718)、zcIs4(Phsp-4::gfp)、LGX、pdk-1(sa680)。各単一のコピー挿入導入遺伝子を、使用される前、N2動物で少なくとも4回戻し交配した。
【0361】
照射。線形動物の成長培地(NGM)プレート上で、または液体培地を有するプラスチックチューブ中に成長した生体動物に、UV-架橋剤またはCo60放射線供給源を使用して、室温で照射した。UV照射の容量は、100J/mであった。Co60照射の用量は、33.3Gy/分の用量速度で500Gyであった。照射の直後に、プレートを、20℃のインキュベータに戻した。条件培地を作出するために、照射後に、プラスチックチューブを20℃のシェーカに置いた。疑似被照射対照を、すべての照射実験に使用した。
【0362】
被照射動物からの条件培地の作出。3つのNGMプレート(直径6cm)から、餓死に近いC.elegans動物を洗浄し、食物供給源として豊富なEscherichia coli菌株HB101を使用して、250mLのS培地中で6日間培養した(100mMのNaCl、5.8mMのKHPO、44mMのKHPO、0.013mMのコレステロール、1mMのクエン酸一水和物、9mMのクエン酸三カリウム一水和物、0.05mMの二ナトリウムEDTA、0.025mMのFeSO、0.01mMのMnCl、0.01mMのZnSO、0.001mMのCuSo、1.5mMのCaCl、3mMのMgSO、0.13mMのアンピシリン、0.007mMの硫酸ストレプトマイシン、0.16mMのネオマイシン硫酸塩、および0.02mMのニスタチン)。大部分が成体である動物を、4℃で10分間、沈殿によって得、S培地で3回洗浄した。本発明者らは、動物の密度を、S培地中におよそ2動物/μLに調節し、それらを水晶プレート(蓋を有する)に移し、所望の用量を有するUVを使用してそれらを照射するか、または疑似照射した。IR照射について、同じ密度の動物を、15mLのCorning遠心チューブに移し、500Gy IRを使用して照射するか、または疑似照射した。被照射または疑似被照射動物を、新たなS培地で洗浄し、HB101細菌を補充した6mLのS培地中の15mLのCorning遠心チューブに移し、一定の200rpmの振とうで24時間、20℃のシェーカ中に成長させた。その後、本発明者らは、10分間、3000rpmで遠心分離によって動物および細菌を除去し、0.22μmのフィルタユニットで培地を濾過し、条件培地を得た。次に、条件培地を、10kDの限外濾過チューブ(Amicon Ultra-15、ミリポア)を通過させることによって濃縮し、S培地を使用して、0.1μg/μLの総タンパク質濃度に調節した。Pcpr-4::cpr-4::フラグからUV-CMおよびUV-Ctrlを作出するために、daf-2(e1730)、cpr-4(tm3718)動物、動物を含有する餓死プレートを、300個の新規のNGMプレートに切り分け、これを、2日間、20℃で置き、その後、もう1日25℃に移行させた。UV-被照射または疑似被照射動物を、24時間25℃のシェーカで成長させて、UV-CMおよびUV-Ctrlを得た。
【0363】
C.elegansにおける局所照射。C.elegansのL4幼虫を、10nMのアジ化ナトリウムを有するアガロースパッド(2%)上に埋め込み、40x/0.9のNA Plan Apo Lambdaの対物レンズを有する倒立Ti-E顕微鏡上でNikon A1レーザー走査型共焦点を使用して、頭部領域で照射した。取り付け時に、UVの波長に非常に近い、405nmのレーザー出力を、ファイバで23.32mWで測定した。2.2マイクロ秒/画素に対して0.58ミクロン×0.58ミクロンの画素サイズを有する512×512で、60%の405nmのレーザー出力を使用して、照射を行った。本発明者らは、Thor labs power meter(PM100D)および光センサ(S140C)を使用して、およそ0.25~0.30mWになるように、試料平面で出力を測定した。これは、試料では、およそ0.75~0.89mW/ミクロンに対応する。疑似照射の対照について、アガロースパッド上の動物からわずかに離れた領域に照射した。照射後、直後に、動物を、アガロースパッドから回収し、一定のNGMプレートに移し、動物内バイスタンダ効果についてアッセイする前に、24時間20℃で、または20時間25℃で(胚致死性アッセイ)回復させた。3つのアッセイを実施して、曝露されていない領域の動物内バイスタンダ効果を監視した。それらは、後部生殖腺における生殖細胞死骸アッセイ、被照射動物のF1の後代の胚致死性アッセイ、および後部領域のPhsp-4::gfpストレス反応アッセイである。Phsp-4::gfpストレス反応アッセイについて、LUIの後、25℃で、daf-2(e1370ts)菌株および対応する対照菌株を使用した実験を行った。胚致死性アッセイについて、25℃での20時間の回復後、被照射または疑似被照射動物を、NGMプレート上に置き、25℃で4時間、産卵させ、次に、新たなNGMプレートに移した。さらに2回移した後、動物を処分した。孵化しなかったいくつかの卵(死んだ卵としてスコア化)および幼虫に成長したいくつかの卵をスコア化し、これらを使用して、胚致死性の割合を判定した。
【0364】
食物供給源としてホルムアルデヒドで処理された細菌。HB101細菌を、3.7%のホルムアルデヒドで10分間処理し、S培地で3回洗浄し、遠心分離によって回収した。細菌を、抗生物質を含まず、細菌コロニーが観察されないプレート上に広げることによって、細胞死を評価した。細菌ペレットを、S培地に加えて、蠕虫を成長させた。
【0365】
RNA干渉(RNAi)実験。細菌供給プロトコルを使用して、RNAi実験を行った。HT115細菌を、pPD129.36-cpr-4で形質変換するか、またはそれぞれ、cpr-4 RNAiおよび対照RNAi実験において、pPD129.36プラズミドを使用した。他のRNAi実験において使用された細菌クローンは、ThermoFisherから購入したRNAiライブラリからのものである。液体培地中でRNAi実験を行うために、RNAi細菌を有する3つのNGMプレートを使用して、プレートがほとんど餓死するまで、30匹の幼虫段階の4(L4)N2動物を供給した。次に、本発明者らは、プレートの外で動物を洗浄し、0.5mMのイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)およびRNAi細菌を含有する250mLのS培地を有するガラスのフラスコにそれらを移し、もう1回作出するためにそれらを成長させた。条件培地を得るための手順は、上に記載のものと同様である。
【0366】
C.elegans動物を96ウエルプレート中に成長させる。HB101細菌を、96ウエルプレート中に、2.8μMの組み換えtCPR-4タンパク質(野生型または変異体)または0.27μMの組み換えヒトカテプシンBを含有する、100μLの条件培地(0.1μg/μL)または100μLのS培地と混合した。およそ60匹のL4幼虫を、プレートの各ウエルに移した。液体培地中で48時間培養した後、生殖細胞の死骸および有糸分裂核の数について、これらの動物をスコア化した。
【0367】
条件培地の酵素処理。異なる酵素で条件培地を処理することによって、RIBE因子の性質を分析した。1μLのデオキシリボヌクレアーゼ(1単位/μL、QIAGEN)、1μLのリボヌクレアーゼ(100μg/μL、QIAGEN)、または1μLのトリプシン(5μg/μL、Sigma)を、30℃で1時間、100μLの条件培地と混合した。次に、処理済みまたは未処理の条件培地を使用して、96ウエルプレート中に20℃で48時間、ced-1(e1735)動物を培養した。
【0368】
生殖細胞の死骸の定量化。上に記載の96ウエルプレートの液体培地中に、L4動物を培養した。48時間後、それらをNGMプレートに移し、20℃で1時間、回復させた。次に、20mMのNaNによって、動物を麻酔し、2%の寒天パッドに埋め込み、Nomarski光学下でスコア化した。咽頭にCPR-4を発現する遺伝子導入動物について、生殖細胞の死骸についてスコア化する前に、20℃で24時間、NGMプレート上でL4動物を成長させた。無傷の生殖腺の後部アームのみをスコア化した。すべての生殖細胞の死骸の定量化実験において、盲検試験を実施した。
【0369】
有糸分裂核の定量化。L4動物を、48時間、液体培地における2.8μMの精製されたtCPR-4タンパク質で処理し、NGMプレートに移し、20℃で1時間、回復させた。次に、それらを解剖し、先に記載されるプロトコル後に、それらの生殖腺を露出させた[24]。解剖した生殖腺を固定し、DAPIで染色した。DAPIフィルタを有するZeiss Nomarski顕微鏡を使用して、各生殖腺の有糸分裂ゾーンにおける、いくつかの生殖核およびいくつかの中期核をスコア化した。
【0370】
GFPレポータを通したcpr-4の発現レベルの定量化。Pcpr-4::nls::gfp導入遺伝子の単一コピー挿入を使用して、照射の前後にcpr-4の発現レベルを判定した。中間段階のL4 Pcpr-4::nls::gfpおよびcep-1(gk138)、Pcpr-4::nls::gfpの幼虫に、100J/mUVを照射し、撮像前に20℃で2時間、回復させた。Nomarski光学下で画像を補足することによって、動物のGFP発現パターンを記録した。すべての画像の曝露時間を、100msに固定した。Image Jのソフトウエア(NIH)を使用して、各動物におけるGFP蛍光の強度を定量化した。照射なしの異なる発生段階のcpr-4の発現レベル(胚、L1、L2、L3、L4幼虫、L4後の24時間および48時間の成体)を、同じ方法を使用して判定した。
【0371】
胚致死性および幼虫停止アッセイ。直接照射によって引き起こされた胚致死性アッセイについて、100J/mUVまたは500Gyのガンマ線を照射した後、受胎した成体を、NGMプレート上に置き、25℃で4時間、産卵させ、次に、プレートから除去した。液体培地における胚致死性アッセイについて、L4幼虫を、20℃で48時間、精製したタンパク質を含有する条件培地またはS培地中で培養し、液体培地から新たなNGMプレートに移し、成体動物を除去する前に、25℃で4時間、産卵させた。咽頭にCPR-4を発現する遺伝子導入動物における胚致死性アッセイについて、L4の24時間後の遺伝子導入受胎成体を、NGMプレート上に置き、25℃で4時間、産卵させ、次に、プレートから除去した。すべての場合において、NGMプレート上で25℃で24時間後に、孵化しなかったいくつかの卵(死んだ卵としてスコア化)および幼虫に成長したいくつかの卵をスコア化し、これらを使用して、胚致死性の割合を判定した。
【0372】
幼虫停止アッセイについて、受胎した遺伝子導入成体を、NGMプレート、対照RNAiプレート、またはcpr-4 RNAiプレート上に置き、25℃で4時間、産卵させた。プレートを20℃のインキュベータに戻す前に、孵化したいくつかの遺伝子導入の幼虫を、蛍光立体鏡下でスコア化した。3日後、成体段階に入らなかったいくつかの遺伝子導入動物をスコア化し、これらを使用して、幼虫停止の割合を判定した。
【0373】
分子生物学。C.elegans cDNAライブラリからポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、完全な長さのcpr-4 cDNAを増幅させた。SignalP 3.0サーバを使用して、CPR-4のシグナルペプチドを予測する。pGEX4T-2-tCPR-4プラズミドを構成するために、残基16-336をコードするcpr-4 cDNAの断片を、完全な長さのcpr-4 cDNAクローンからPCR増幅し、そのNdeIおよびXhoI部位を通して、GSTコード化配列直後に挿入されたPreScissionプロテアーゼ切断部位LEVLFQGPを有する、修飾pGEX4T-2ベクタにサブクローン化した。pGEX4T-2-tCPR-4(C109A)、pGEX4T-2-tCPR-4(H281A)、およびpGEX4T-2-tCPR-4(N301A)ベクタを作成するために、2工程PCRを使用して、そのNdeIおよびXhoI部位を通して同じ修飾pGEX4T-2ベクタにサブクローン化された、示された変異を保有するtCPR-4 cDNA断片を作出した。Pmyo-2::CPR-4::mCherry、Pmyo-2::tCPR-4::mCherry、Pmyo-2::CPR-4(C109A)::mCherry、Pmyo-2::CPR-4(H281A)::mCherry、およびPmyo-2::CPR-4(N301A)::mCherry発現ベクタを構成するために、2工程PCR方法を使用して、完全な長さのCPR-4(C109A)、CPR-4(H281A)、およびCPR-4(N301A)をコードするcDNA断片を、最初に、作出した。CPR-4::mCherry、tCPR-4::mCherry、CPR-4(C109A)::mCherry、CPR-4(H281A)::mCherry、およびCPR-4(N301A)::mCherryをコードするDNA断片を、同様に、PCR増幅し、そのNheI部位を通して修飾pCFJ90ベクタ(Addgene)にサブクローン化した。
【0374】
単一のコピー統合導入遺伝子を作出するためのプラズミドpCFJ151-Pcpr-4::cpr-4::フラグを作成するために、cpr-4プロモータ配列の4018bp、cpr-4ゲノムのコード化配列の1196bp、およびcpr-4 3’非翻訳領域(UTR)の2267bpを含有する、cpr-4ゲノムの断片(Pcpr-4::cpr-4::utr)を、PmlIおよびBssHIIによる消化を通してフォスミドWRM0619bH11から切除し、次に、そのBssHII部位および鈍化AvrII部位を通して修飾pCFJ151プラズミドにサブクローン化した。次に、このPcpr-4::cpr-4::utrゲノムの断片を、AflIIおよびNheI消化を通してプラズミドから切除し、そのAflIIおよびNheI部位を通してプラズミドpSL1190にサブクローン化した。QuickChange方法を通してcpr-4コード化領域の直後に、フラグタグ(DYKDDDDK)を挿入した。修飾Pcpr-4::cpr-4::flag::utrゲノムの断片を、そのAflIIおよびNheI部位を通してpCFJ151にサブクローン化し、プラズミドpCFJ151-Pcpr-4::cpr-4::フラグを得た。
【0375】
単一のコピー挿入のためのプラズミドpSL1190-Pcpr-4::nls::gfp、cpr-4プロモータを含有する4114bp断片、およびcpr-4コード化領域の第1の58bpを構成するために、NLS::GFPコード化配列およびunc-54 3’UTRを含有する1767bp断片、LGII MosI部位(ttTi5605)の1337bpの上流の相同な組み合わせ断片、およびLGII MosI部位の1418bpの下流の相同な組み合わせ断片を、Gibson連結方法を使用して、そのPstIおよびBamHI部位を通してpSL1190プラズミド骨格に連結させた。
【0376】
cpr-4 RNAiのためのプラズミドを構成するために、完全な長さのcpr-4 cDNA断片を、PCR増幅し、そのNhe IおよびXho I部位を通してpPD129.36ベクタにサブクローン化した。作出されたすべてのクローンを、DNA配列決定によって確認した。
【0377】
遺伝子導入動物。標準的なプロトコルを使用して、遺伝子導入動物を作出した。Pmyo-2::CPR-4::mCherry、Pmyo-2::tCPR-4::mCherry、Pmyo-2::CPR-4(C109A)::mCherry、Pmyo-2::CPR-4(H281A)::mCherry、またはPmyo-2::CPR-4(N301A)::mCherryを、同時注射マーカとしてpTG96プラズミド(20ng/μLで)と共に、20ng/μL(生殖細胞の死骸の定量化のために)または2ng/μL(胚致死性および幼虫停止アッセイのために)で、ced-1(e1735)、cpr-4(tm3718)動物に注射した。pTG96プラズミドは、多数の細胞および大部分の発生段階で発現されるsur-5::gfp翻訳融合を含有している[37]。先に記載されている方法を使用して、単一のコピー挿入Pcpr-4::cpr-4::フラグ導入遺伝子およびPcpr-4::nls::gfp導入遺伝子を作出した。
【0378】
分泌されたCPR-4::フラグの免疫ブロット検出。10kDの分子量カットオフ(MWCO)遠心フィルタカラム(1μg/μLの最終タンパク質濃度)を使用して、被照射N2、Pcpr-4::cpr-4::フラグ、Pcpr-4::cpr-4::フラグ、cpr-4(tm3178)、cep-1(gk138)、Pcpr-4::cpr-4::フラグ、またはPcpr-4::cpr-4::フラグ、daf-2(e1370)、cpr-4(tm3178)動物に由来する条件培地を濃縮した。12%のSDSポリアクリルアミドゲル(SDS-PAGE)上で濃縮状態の培地を分解させ、PVDF膜に移した。フラグタグに対するモノクローナル抗体(Sigma、カタログ番号F3165、1:2000の希釈)および西洋ワサビペルオキシダーゼと接合されたヤギ抗マウス二次的抗体(HRP、Bio-Rad、カタログ番号1705047、1:5000希釈)を使用して、分泌されたCPR-4::フラグを検出した。
【0379】
CPR-4::フラグの喪失。Pcpr-4::cpr-4::フラグ、cpr-4(tm3718)動物に由来するUV-CMまたはUV-Ctrlを、回転シェーカ上で4℃で一晩、20μLの総容積の抗フラグM2の親和性ゲル(Sigma、カタログ番号A2220)でインキュベートした。抗フラグビードを、2分間、1,0000rpmで遠心分離によってスピンダウンし、上清を回収し、抗フラグが枯渇した条件培地として使用した。
【0380】
タンパク質発現および精製。N末端GSTタグおよびC末端His-タグを有するEscherichia coli菌株BL21(DE3)において、tCPR-4または変異体tCPR-4タンパク質(C109A、H281A、またはN301A)を発現した。Glutathione Sepharoseカラム(GE Healthcare、カタログ番号17-0756-01)を使用して、細菌の可溶性画分を精製し、室温で2時間、PreScissionプロテアーゼによって切断して、GSTタグを除去した。次に、Ni2+Sepharoseカラム(GE Healthcare、カタログ番号17-5268-01)を使用して、タンパク質をアフィニティ精製し、250mMのイミダゾールを有するカラムから溶出した。5kDのMWCOの遠心フィルタユニットを使用して、精製されたタンパク質を、200ng/μLの最終濃度に濃縮し、磁気攪拌により、4℃で4~6時間、25mMのTris-HCl(pH8.0)、100mMのNaCl、1mMのDTT、および10%(v/v)のグリセロールを含有する透析緩衝液を使用して、2回透析した。透析後、不溶性凝集体を、高速遠心分離によって除去した。次に、タンパク質を、透析緩衝液で100ng/μLの最終濃度に希釈し、アリコートで-80℃で保存した。正常化対照として既知の濃度を有するtCPR-4-Hisを使用して、抗His免疫ブロット法によって精製されたタンパク質の濃度を判定した。
【0381】
質量分析による分析。銀で染色したゲルから切除された対象となるタンパク質バンドを、1%のフェリシアン化カリウムおよび1.6%のチオ硫酸ナトリウムによって染色し、25mMのNHHCO中で10mMのDTTおよび55mMのヨードアセトアミドによる還元およびアルキル化に供し、次に、37℃で16時間、トリプシン(25mMのNHHCO中に20μg/mL)でゲル内消化した。直鎖状イオントラップ質量分析計(LTQ-Orbitrap、Thermo Fisher)を使用して、液体クロマトグラフィタンデム質量分析(LC-MS/MS)により、反応生成物を分析した。トラップカラム(Zorbax 300SB-C18、0.3×5mm、Agilent Technologies)にわたって試料を搭載し、75分間で、2~95%のHPLC緩衝液(0.1%のギ酸を含有する99.9%のアセトニトリル)の勾配を有する分析カラム(ハウス内にパックされた、毛細血管のRP18カラム、Synergy hydro-RP、2.5μm、0.075×100mm)上で、ペプチドを分離した。MS分析のために、本発明者らは、6つの最も豊富な前駆イオンについて、1つのMSスキャンと6つのMS/MSスキャンとの間で交互に行われるデータ依存手順を使用した。消化酵素トリプシンを想定した、sprot_20140416データベース(カエノラブディティス・エレガンスについて選択される、3466エントリ)の検索において、結果として生じたスペクトルを使用した。2~3の電荷状態を有する2つの欠落した切断部位を可能にする、MASCOT検索エンジン(http://www.matrixscience.com;v.2.2.2 Matrix Science)を使用した。固定改変(システインのカルバミドメチル化)および可変改変(タンパク質N末端でのアセチル化、メチオニンの酸化、およびpyro-GluへのGln変更)の両方について、親イオン質量許容差を、10ppmに設定し、断片イオン質量許容差を、0.5Daに設定した。Mascot Daemonによって生成されたDATファイルを、Scaffold3検索エンジンを使用した検索に供した(v.3.06.01、http://www.proteomesoftware.com)。ペプチドプロフェットアルゴリズム確率が>95%である少なくとも2つのペプチドを含有する、タンパク質の確率が>95%である場合、端確執の同定を許容する。
【0382】
生体外でのプロテアーゼ活性の測定。いくつかの改変と共に、先に記載されている方法に従って、CPR-4酵素アッセイを行った。25mMのTris-HCl(pH8.0)、100mMのNaCl、10%(v/v)グリセロール、0.8mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)、および8mMのEDTAを含有する、2×反応バッファ中に、カテプシンB特異的蛍光発生的基質、Z-Arg-Arg-7-アミノ-4-塩酸メチルクマリン(z-Arg-Arg-AMC、Peptanova、カタログ番号88937-61-5)を溶解した。アッセイについて、発光を測定する前に、25℃で10分間、10μLのタンパク質(100ng/μL)または10μLの条件培地(100ng/μL)を、10μLの20μMのz-Arg-Arg-AMCでインキュベートした。酵素活性を、380nmの励起波長および460nmの発光波長で二重発光蛍光光度計EnVision(Perkin-Elmer)において25℃の中間流速として判定し、キロ相対的蛍光ユニット(kRFU)における相対的な強度として発現させた。組み換えヒトカテプシンB(rhCTSB、Sino Biological Inc.、カタログ番号10483-H08H-10)を、製造業者によって推奨される緩衝液[25mMのTris-HCl(pH8.0)、100mMのNaCl、10%(v/v)のグリセロール、5mMのDTT、および0.1%のTriton-X]中に溶解した。同じ手順を使用して、CPR-4タンパク質またはrhCTSBタンパク質に固有のバッファ制御、または疑似被照射条件培地も測定した。背景対照として各実験において、S培地を使用した。
【0383】
cpr-4転写レベルの定量的なRT-PCR分析。N2およびcep-1(gk138)L4幼虫を、新たなNGMプレートに移し、20℃で24時間培養した。それらを、100J/mUVもしくは500Gyガンマ線の照射または疑似照射に供した2時間後に、RNAisoキット(TaKaRa、カタログ番号9108)を使用して、総RNA抽出のために溶解した。ImProm-II(商標)逆転写システム(Promega、カタログ番号A3800)を使用した逆転写(RT)において、単離した総RNAをテンプレートとして使用し、製造業者の指示に従って第1の鎖のcDNAを得た。
【0384】
ROXを有するiTaq(商標)SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-Rad、カタログ番号1725151)を使用した、Bio-Rad CFX96 Touch real-time PCR検出システムを使用して、定量的なPCR分析を実施した。各PCR反応は、25μLの最終容積中に、12.5μLのBio-Rad supermix溶液、50nMのフォワードおよびリバースプライマ、および5μLのcDNA(150ng/μL)を含有した。96ウエルの実時間PCR検出システムに置かれた実時間PCRチューブ(Bio-Rad、カタログ番号TLS0851)において、増幅を行った。循環状態は、以下のとおりであった:変性のために、95℃で3分間、その後、95℃で20秒、60℃で30秒、および72℃で20秒を50周期。最終周期後に、融解曲線分析を行い、各反応におけるプライマの特異性を検査した。PCR反応を、3重に行い、3回の独立した実験を行った。成体におけるその非常に安定した発現レベルのために、内部参照として、pmp-3の転写を使用した。Livak法によってデータを分析した。cpr-4を検出するためのプライマは、
5’-TCGGAAAGAAGGTCTCCCAGAT-3’(フォワードプライマ)、および
5’-GGTAGAAGTCCTCGTAGACAGTGAAT-3’(リバースプライマ)である。
pmp-3を検出するためのプライマは、
5’-GTTCCCGTGTTCATCACTCAT-3’(フォワードプライマ)、および
5’ACACCGTCGAGAAGCTGTAGA-3’(リバースプライマ)である。
【0385】
スクリーニングされた化合物と連結されたC.elegansにおける局所照射。C.elegansのL4幼虫を、10nMのアジ化ナトリウムを有するアガロースパッド(2%)上に埋め込み、40×/0.9のNA Plan Apo Lambda対物レンズを有する倒立Ti-E顕微鏡上で、Nikon A1レーザー走査型共焦点を使用して、頭部領域に照射した。取り付け時に、UVの波長に非常に近い405nmのレーザー出力を、ファイバで23.32mWで測定した。2.2μs 画素-1に対して、0.58μm×0.58μmの画素サイズを有する512×512の60%405nmのレーザー出力を使用して、照射を行った。本発明者らは、Thor labs power meter(PM100D)および光センサ(S140C)を使用して、およそ0.25~0.30mWになるように、試料平面で出力を測定した。これは、試料のおよそ0.75~0.89mW μm-2に対応している。疑似照射の対照について、アガロースパッド上の動物からわずかに離れた領域に照射した。照射後、直後に、動物を、アガロースパッドから回収し、一定のNGMプレートに移し、動物内バイスタンダ効果についてアッセイする前に、24時間20℃で、または20時間25℃で(胚致死性アッセイ)回復させた。3つのアッセイを実施して、曝露されていない領域の動物内バイスタンダ効果を監視した。それらは、生殖腺におけるhus-1::NeoGreen染色体DNA損傷アッセイ、被照射動物のF1の後代の胚致死性アッセイ、および後部領域におけるPhsp-4::gfpストレス反応アッセイである。
【0386】
生体外のCTSBまたはCPR-4プロテアーゼ活性の測定。カテプシンB特異的蛍光発生的基質、Z-Arg-Arg-7-アミノ-4-塩酸メチルクマリン(z-Arg-Arg-AMC、Peptanova、88937-61-5)を、25mMのTris-HCl(pH8.0)、100mMのNaCl、10%(v/v)グリセロール、0.8mMの酢酸ナトリウム(pH6.0)、および8mMのEDTAを含有する2×反応バッファ中に溶解した。アッセイについて、5μLのタンパク質(100ng μl-1)および5μLの化合物を、発光を測定する前に、37℃で60分間、10μLの20μMのz-Arg-Arg-AMCでインキュベートした。380nmの励起波長および460nmの発光波長の蛍光光度計Molecular Devices Spectra MAX M5において、37℃の中間流速として酵素活性を判定した。脱イオン蒸留水を、各実験において背景対照として使用した。阻害率=(化合物を含む対照OD-OD)/対照OD×100%。少なくとも6つの異なる阻害剤濃度による阻害率の測定値によって、IC50の値を判定した。GraphPad Prism 7.0(GraphPad Software,San Diego,CA)を用いる非直鎖状回帰によって、すべての動態パラメータを判定した。
【0387】
胚致死性アッセイ胚致死性アッセイのために、LUI処理後に25℃での20時間の回復後、被照射または疑似被照射動物を、NGMプレート上に置き、25℃で4時間、卵を孵化させ、次に、新たなNGMプレートに移した。さらに2回移した後、動物を処分した。孵化しなかったいくつかの卵(死んだ卵としてスコア化)および幼虫に成長したいくつかの卵をスコア化し、これらを使用して、胚致死性の割合を判定した。抗体治療による胚致死性アッセイについて、L4幼虫を、NGMプレート上に置いて、LUI処理後6時間、回復させ、20℃で12時間、100倍に希釈した抗フラグM2抗体(Sigma)を含有するM9緩衝液中で培養し、液体培地から新たなNGMプレートに移し、25℃で4時間、産卵させた。さらに2回移した後、動物を処分し、胚致死性の割合を、上記のようにスコア化した。
【0388】
HUS-1::NeoGreen染色体DNA損傷アッセイhus-1::ネオグリーンノックインを保有する野生型動物を使用して、C.elegansの有糸分裂生殖細胞における染色体DNA損傷を評価した。LUI処理の後、被照射動物を、0.2mMのLevamisole(Sigma)における顕微鏡のスライド上に乗せ、Nomarski顕微鏡(Zeiss,Germany)を使用して、単一のSスタックにおけるHUS-1::NeoGreen焦点をスコア化した。次に、HUS-1::NeoGreen焦点を有する有糸分裂生殖細胞のパーセンテージを判定した。
【0389】
当業者であれば、上に記載の実施形態に基づいて本発明のさらなる特徴および利点を理解するか、または単なるルーチン的な実験を使用して解明するであろう。したがって、本発明は、具体的に示され、記載されるものによって限定されない。すべての公報および参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0390】
参考文献
以下の参考文献の各々が参照により組み込まれる。
[1]Mothersill,C. & Seymour,C.Radiation-induced bystander effects:past history and future directions.Radiat.Res.155,759-767(2001).
[2]Prise,K.M. & O’Sullivan,J.M.Radiation-induced bystander signalling in cancer therapy.Nat.Rev.Cancer 9,351-360(2009).
[3]Rzeszowska-Wolny,J.,Przybyszewski,W.M. & Widel,M.Ionizing radiation-induced bystander effects,potential targets for modulation of radiotherapy.Eur.J.Pharmacol.625,156-164(2009).
[4]Stergiou,L.,Doukoumetzidis,K.,Sendoel,A. & Hengartner,M.O.The nucleotide excision repair pathway is required for UV-C-induced apoptosis in Caenorhabditis elegans.Cell Death Differ.14,1129-1138(2007).
[5]Derry,W.B.,Putzke,A.P. & Rothman,J.H.Caenorhabditis elegans p53:Role in apoptosis,meiosis,and stress resistance.Science 294,591-595(2001).
[6]Schumacher,B.,Hofmann,K.,Boulton,S. & Gartner,A.The C.elegans homolog of the p53 tumor suppressor is required for DNA damage-induced apoptosis.Curr.Biol.11,1722-1727(2001).
[7]Klokov,D.et al.Low dose IR-induced IGF-1-sCLU expression:a p53-repressed expression cascade that interferes with TGFbeta1 signaling to confer a pro-survival bystander effect.Oncogene 32,479-490(2013).
[8]Koturbash,I.et al.In vivo bystander effect:Cranial X-irradiation leads to elevated DNA damage,altered cellular proliferation and apoptosis,and increased p53 levels in shielded spleen.Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.70,554-562(2008).
[9]Sun,Y.et al.,Treatment-induced damage to the tumor microenvironment promotes prostate cancer therapy resistance through WNT16B.Nat.Med.18,1359-1368(2012).
[10]Buck,M.R.,Karustis,D.G.,Day,N.A.,Honn,K.V. & Sloane,B.F.Degradation of Extracellular-Matrix Proteins by Human Cathepsin-B from Normal and Tumor-Tissues.Biochem.J.282,273-278(1992).
[11]Poole,A.R.,Tiltman,K.J.,Recklies,A.D. & Stoker,T.A.Differences in secretion of the proteinase cathepsin B at the edges of human breast carcinomas and fibroadenomas.Nature 273,545-547(1978).
[12]Larminie,C.G. & Johnstone,I.L.Isolation and characterization of four developmentally regulated cathepsin B-like cysteine protease genes from the nematode Caenorhabditis elegans.DNA Cell Biol.15,75-82(1996).
[13]Lorimore,S.A.,Rastogi,S.,Mukherjee,D.,Coates,P.J. & Wright,E.G.The influence of p53 functions on radiation-induced inflammatory bystander-type signaling in murine bone marrow.Radiat.Res.179,406-415(2013).
[14]Calfon,M.et al.IRE1 couples endoplasmic reticulum load to secretory capacity by processing the XBP-1 mRNA.Nature 415,92-96(2002).
[15]Bertucci,A.,Pocock,R.D.,Randers-Pehrson,G. & Brenner,D.J.Microbeam irradiation of the C.elegans nematode.J Radiat.Res.50 Suppl A,A49-54(2009).
[16]Mort,J.S. & Buttle,D.J.Cathepsin B.Int.J.Biochem.Cell Biol.29,715-720(1997).
[17]Shore,D.E. & Ruvkun,G.A cytoprotective perspective on longevity regulation.Trends Cell Biol.23,409-420(2013).
[18]Kenyon,C.J.The genetics of ageing.Nature 464,504-512(2010).
[19]Perrin,A.J.et al.Noncanonical control of C.elegans germline apoptosis by the insulin/IGF-1 and Ras/MAPK signaling pathways.Cell Death Differ.20,97-107(2013).
[20]Scott,B.A.,Avidan,M.S. & Crowder,C.M.Regulation of hypoxic death in C.elegans by the insulin/IGF receptor homolog DAF-2.Science 296,2388-2391(2002).
[21]Paradis,S.,Ailion,M.,Toker,A.,Thomas,J.H. & Ruvkun,G.A PDK1 homolog is necessary and sufficient to transduce AGE-1 PI3 kinase signals that regulate diapause in Caenorhabditis elegans.Genes Dev.13,1438-1452(1999).
[22]Lin,K.,Dorman,J.B.,Rodan,A. & Kenyon,C.daf-16:An HNF-3/forkhead family member that can function to double the life-span of Caenorhabditis elegans.Science 278,1319-1322(1997).
[23]Ogg,S.et al.The Fork head transcription factor DAF-16 transduces insulin-like metabolic and longevity signals in C.elegans.Nature 389,994-999(1997).
[24]Michaelson,D.,Korta,D.Z.,Capua,Y. & Hubbard,E.J.Insulin signaling promotes germline proliferation in C.elegans.Development 137,671-680(2010).
[25]Pinkston,J.M.,Garigan,D.,Hansen,M. & Kenyon,C.Mutations that increase the life span of C.elegans inhibit tumor growth.Science 313,971-975(2006).
[26]Nikjoo,H. & Khvostunov,I.K.A theoretical approach to the role and critical issues associated with bystander effect in risk estimation.Hum.Exp.Toxicol.23,81-86(2004).
[27]Mothersill,C. & Seymour,C.Radiation-induced bystander and other non-targeted effects:novel intervention points in cancer therapy? Curr.Cancer Drug Targets 6,447-454(2006).
[28]Recklies,A.D.,Tiltman,K.J.,Stoker,T.A. & Poole,A.R.Secretion of proteinases from malignant and nonmalignant human breast tissue.Cancer Res.40,550-556(1980).
[29]Barrett,A.J. & Kirschke,H.Cathepsin B,Cathepsin H,and cathepsin L.Methods Enzymol.80 Pt C,535-561(1981).
[30]Shree,T.et al.Macrophages and cathepsin proteases blunt chemotherapeutic response in breast cancer.Genes Dev.25,2465-2479(2011).
[31]Brenner,S.The genetics of Caenorhabditis elegans.Genetics 77,71-94(1974).
[32]Frokjaer-Jensen,C.et al.,Single-copy insertion of transgenes in Caenorhabditis elegans.Nat.Genet.40,1375-1383(2008).
[33]Timmons,L.,Court,D.L. & Fire,A.Ingestion of bacterially expressed dsRNAs can produce specific and potent genetic interference in Caenorhabditis elegans.Gene 263,103-112(2001).
[34]Pepper,A.S.R.,Killian,D.J. & Hubbard,E.J.A.Genetic analysis of Caenorhabditis elegans glp-1 mutants suggests receptor interaction or competition.Genetics 163,115-132(2003).
[35]Bendtsen,J.D.,Nielsen,H.,von Heijne,G.,& Brunak,S.,Improved prediction of signal peptides:SignalP 3.0.J.Mol.Biol.340,783-795(2004).
[36]Mello,C.C.,Kramer,J.M.,Stinchcomb,D.,& Ambros,V.,Efficient Gene-Transfer in C-Elegans - Extrachromosomal Maintenance and Integration of Transforming Sequences.EMBOJ.10,3959-3970(1991).
[37]Gu,T.,Orita,S. & Han,M.Caenorhabditis elegans SUR-5,a novel but conserved protein,negatively regulates LET-60 Ras activity during vulval induction.Mol.Cell Biol.18,4556-4564(1998).
[38]Paquet,C.,Sane,A.T.,Beauchemin,M. & Bertrand,R.Caspase-and mitochondrial dysfunction-dependent mechanisms of lysosomal leakage and cathepsin B activation in DNA damage-induced apoptosis.Leukemia 19,784-791(2005).
[39]Hoogewijs,D.,Houthoofd,K.,Matthijssens,F.,Vandesompele,J. & Vanfleteren,J.R.Selection and validation of a set of reliable reference genes for quantitative sod gene expression analysis in C.elegans.BMC Mol.Biol.9,9(2008).
[40]Timmons,L.,Court,D.L. & Fire,A.Ingestion of bacterially expressed dsRNAs can produce specific and potent genetic interference in Caenorhabditis elegans.Gene 263,103-112(2001).
[41]Sumiya,S.,Yoneda,T.,Kitamura,K.,Murata,M.,Yokoo,C.,Tamai,M.,Yamamoto,A.,Inoue,M. & Ishida,T.Molecular design of potent inhibitor specific for cathepsin B based on the tertiary structure prediction.Chem.Pharm.Bull.40,299-303(1992).
[42]Buttle,D.,Murata,M.,Knight,C. & Barrett,A.CA074 methyl ester:A proinhibitor for intracellular cathepsin B.Arch.Biochem.Biophys.299,377-380(1992).
[43]Gour-Salin,B.et al.E64[trans-epoxysuccinyl-l-leucylamido-(4-guanidino)butane]analogues as inhibitors of cysteine proteinases:investigation of S2 subsite interactions.Biochem.J.299,389-392(1994).
[44]Kokel,D.,Li,Y.H.,Qin,J.,and Xue,D.The non-genotoxic carcinogens naphthalene and para-dichlorobenzene suppress apoptosis in C.elegans.Nature Chemical Biology 2,338-345(2006).
[45]Kokel,D.and Xue,D.(2006).A class of benzenoid chemicals suppresses apoptosis in C.elegans.ChemBioChem 7,2010-2015(2006).
[46]Hofmann E R,Milstein S,Boulton S J,et al.Caenorhabditis elegans HUS-1 is a DNA damage checkpoint protein required for genome stability and induction of EGL-1.Curr.Biol.12,1908-1918(2002).
[47]Peng Y,Zhang M,Zheng L,et al.Cysteine protease cathepsin B mediates radiation induced bystander effects.Nature.547,458-462(2017).
【0391】

【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【配列表】
0007598137000001.app