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特許7598138見守り装置、見守り方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】見守り装置、見守り方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20241204BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021018480
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2022121232
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000155333
【氏名又は名称】株式会社木村技研
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 朝映
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-75220(JP,A)
【文献】特開2016-9319(JP,A)
【文献】特開2015-152986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/01
G08B 19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道設備の近傍を撮像し、被写体の輪郭を抽出した輪郭画像を出力する撮像装置から、輪郭画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した輪郭画像の特徴と、予め記憶装置に記憶されている複数の見守り対象者の輪郭の特徴とに基づいて、前記輪郭画像の被写体がいずれの見守り対象者であるか特定する判別部と、
前記水道設備の配管の周囲に設けられ配管内部の流動を検知するセンサから、流動の生じた日時を示す情報を取得し、当該日時の前後に前記判別部によって特定された前記見守り対象者の識別情報と前記流動の生じた日時とを対応付けた履歴情報を前記記憶装置に記憶させるデータ取得部と、
前記見守り対象者ごとの前記流動の生じた日時に基づいて、前記水道設備の使用に関する所定のパターンを検出する検出部と、
を備える見守り装置。
【請求項2】
前記水道設備、当該水道設備の近傍を撮像する前記撮像装置、及び前記水道設備の配管の周囲に設けられる前記センサの組合せが複数含まれ、
前記画像取得部、前記判別部、及び前記データ取得部は、所定の種別を用いて複数の前記水道設備を識別し、
前記検出部は、前記見守り対象者ごとに、使用した水道設備の前記種別をさらに用いて前記所定のパターンを検出する
請求項1に記載の見守り装置。
【請求項3】
前記データ取得部は、前記センサが検知した流動の継続時間に基づいて水道の使用量を推定し、
前記検出部は、前記水道設備における水道の使用量をさらに用いて前記所定のパターンを検出する
請求項1又は2に記載の見守り装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記見守り対象者が同一時間帯において使用する前記水道設備の種別が、前記履歴情報における過去の傾向とは異なる場合に、前記所定のパターンとして検出する
請求項1から3のいずれか一項に記載の見守り装置。
【請求項5】
前記水道設備は、トイレと、洗濯機、風呂場、又は台所とを含み、
前記検出部は、前記見守り対象者が前記履歴情報において過去にトイレを使用する傾向にあった時間帯に、洗濯機、風呂場、又は台所を使用する傾向を、前記所定のパターンとして検出する
請求項4に記載の見守り装置。
【請求項6】
前記検出部が、前記所定のパターンを検出した場合に、他の出力先装置に通知する通知部をさらに備える
請求項1から5のいずれか一項に記載の見守り装置。
【請求項7】
水道設備の近傍を撮像し、被写体の輪郭を抽出した輪郭画像を出力する撮像装置から、輪郭画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにおいて取得された輪郭画像の特徴と、予め記憶装置に記憶されている複数の見守り対象者の輪郭の特徴とに基づいて、前記輪郭画像の被写体がいずれの見守り対象者であるか特定する判別ステップと、
前記水道設備の配管の周囲に設けられ配管内部の流動を検知するセンサから、流動の生
じた日時を示す情報を取得し、当該日時の前後に前記判別ステップにおいて特定された前記見守り対象者の識別情報と前記流動の生じた日時とを対応付けた履歴情報を前記記憶装置に記憶させるデータ取得ステップと、
前記見守り対象者ごとの前記流動の生じた日時に基づいて、前記水道設備の使用に関する所定のパターンを検出する検出ステップと、
をコンピュータが実行する見守り方法。
【請求項8】
水道設備の近傍を撮像し、被写体の輪郭を抽出した輪郭画像を出力する撮像装置から、輪郭画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにおいて取得された輪郭画像の特徴と、予め記憶装置に記憶されている複数の見守り対象者の輪郭の特徴とに基づいて、前記輪郭画像の被写体がいずれの見守り対象者であるか特定する判別ステップと、
前記水道設備の配管の周囲に設けられ配管内部の流動を検知するセンサから、流動の生じた日時を示す情報を取得し、当該日時の前後に前記判別ステップにおいて特定された前記見守り対象者の識別情報と前記流動の生じた日時とを対応付けた履歴情報を前記記憶装置に記憶させるデータ取得ステップと、
前記見守り対象者ごとの前記流動の生じた日時に基づいて、前記水道設備の使用に関する所定のパターンを検出する検出ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見守り装置、見守り方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の配管の周囲に設けられ、当該配管内部の流動の状態をモニタリングするセンサと、センサがモニタリングした流動の状態を示す情報に基づく、流動の有無を示す情報を取得する看視装置とを含むシステムが提案されている(例えば特許文献1)。本システムは、流動が第1の所定期間以上検知されない場合、又は流動が第2の所定期間以上継続して検知される場合、看視装置が警告を示す情報を所定の出力先に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-9319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のシステムによれば、センサが設置された配管の状態を介して対象者の生活の状態を見守ることができる。しかしながら、居住者が複数存在する場合、個別に異常を検知することは難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、複数の対象者の生活を見守るためのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る見守り装置は、水道設備の近傍を撮像し、被写体の輪郭を抽出した輪郭画像を出力する撮像装置から、輪郭画像を取得する画像取得部と、画像取得部が取得した輪郭画像の特徴と、予め記憶装置に記憶されている複数の見守り対象者の輪郭の特徴とに基づいて、輪郭画像の被写体がいずれの見守り対象者であるか特定する判別部と、水道設備の配管の周囲に設けられ配管内部の流動を検知するセンサから、流動の生じた日時を示す情報を取得し、当該日時の前後に判別部によって特定された見守り対象者の識別情報と流動の生じた日時とを対応付けた履歴情報を記憶装置に記憶させるデータ取得部と、見守り対象者ごとの流動の生じた日時に基づいて、水道設備の使用に関する所定のパターンを検出する検出部とを備える。
【0007】
上述のような輪郭画像を用いて見守り対象者を特定することで、見守り対象者が複数存在する場合であっても、対象者ごとに異常を検出することができ、判断の精度が向上する。また、輪郭を抽出した画像を用いることで、カメラで撮像されることに対する見守り対象者の抵抗感を緩和することができる。
【0008】
また、水道設備、当該水道設備の近傍を撮像する撮像装置、及び水道設備の配管の周囲に設けられるセンサの組合せが複数含まれ、画像取得部、判別部、及びデータ取得部は、所定の種別を用いて複数の水道設備を識別し、検出部は、見守り対象者ごとに、使用した水道設備の種別をさらに用いて所定のパターンを検出するようにしてもよい。このようにすれば、使用した水道設備がいずれであるかをさらに加味して水道設備の使用に関する傾向を評価できるようになる。
【0009】
また、データ取得部は、センサが検知した流動の継続時間に基づいて水道の使用量を推
定し、検出部は、水道設備における水道の使用量をさらに用いて所定のパターンを検出するようにしてもよい。このようにすれば、水道設備の使用量をさらに加味して使用に関する傾向を評価できるようになる。
【0010】
また、検出部は、見守り対象者が同一時間帯において使用する水道設備の種別が、履歴情報における過去の傾向とは異なる場合に、所定のパターンとして検出するようにしてもよい。このようにすれば、使用する水道設備の種別と、使用する時間帯の傾向に基づいて水道設備の使用に関する傾向を評価できるようになる。
【0011】
水道設備は、トイレと、洗濯機、風呂場、又は台所とを含み、検出部は、見守り対象者が履歴情報において過去にトイレを使用する傾向にあった時間帯に、洗濯機、風呂場、又は台所を使用する傾向を、所定のパターンとして検出するようにしてもよい。このような傾向の変化は、夜尿症の兆候を検知でき、初期認知症の可能性に注意すべき旨を通知できる。
【0012】
また、検出部が、所定のパターンを検出した場合に、他の出力先装置に通知する通知部をさらに備えるようにしてもよい。このようにすれば、見守り対象者の生活パターンの変化を、所定の出力先に通知することができる。
【0013】
なお、上記した課題を解決するための手段に記載の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。上記課題を解決するための手段の内容は、装置のほか、当該処理をコンピュータが実行する方法や、当該処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することもできる。さらに、当該プログラムを保持する記録媒体を提供するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の対象者の生活を見守るためのシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施の形態に係るシステム全体の構成を表す模式図である。
図2図2は、水栓の配管に設置されたセンサの一例を示す側面図である。
図3図3は、下水側の配管に設置されたセンサの一例を示す模式的な図である。
図4図4は、図2に示したセンサの機能構成を説明するための模式的な断面図である。
図5図5は、見守りサーバの一例を示す機能ブロック図である。
図6図6は、住宅に設けられる通信装置の一例を示す機能ブロック図である。
図7図7は、システムが実行する見守り処理の一例を示す処理フロー図である。
図8図8は、記憶部に記憶される設備の使用状況を示す情報の一例である。
図9図9は、記憶部に記憶される設備の使用状況を示す情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0017】
<システム構成>
図1は、本実施の形態に係るシステム全体の構成を表す模式図である。システム1は、見守りサーバ2と、住居3に設けられる機器と、通知先装置4とを含み、これらの構成要素がネットワーク5を介して通信可能に接続されている。見守りサーバ2は、監視対象の人物の生活に例えば認知症等の傾向がないか判断する。すなわち、見守りサーバ2は、住居3に設けられた機器から情報を取得し、異常の兆候を検出する。また、見守りサーバ2
は、異常があると判断した場合、通知先装置4へメッセージを送信する。住居3は、水道設備を備える部屋31(図1では、トイレ31A、洗面所31B、及び浴室31C)の出入口等、水道設備の近傍を撮像するカメラ32(図1では、32A及び32B)と、水道設備(図1では、トイレ、洗濯機、洗面所、浴槽及びシャワー)の配管に設けられるセンサ33(図1では、33Aから33E)と、カメラ32が撮像した画像やセンサ33が測定した値を見守りサーバ2へ送信する通信装置34とを備える。また、通知先装置4は、見守りサーバ2が所定の状態を検出した場合の通知先であり、スマートフォンや携帯電話機等のコンピュータである。見守りサーバ2から通知先装置4へは、ネットワーク5を介して例えば電子メールや、所定のアプリケーションソフトウェアを介して受信できるメッセージを受信する。典型的には、一人以上の高齢者が居住する住宅3に本実施の形態に係る機器を設置し、遠隔地に住む親戚等が通知先装置4を使用するという態様が例示できる。なお、部屋31は、壁や扉で閉鎖されていない台所(図示せず)等の空間であってもよい。このような場合も、水道設備である台所(流し)の近傍を撮像するカメラ32と、台所の配管に設けられるセンサ33とを設け、カメラ32が撮像した画像やセンサ33が測定した値を、通信装置34を介して見守りサーバ2へ送信することができる。
【0018】
また、カメラ32は撮像素子を備え、継続的に画像を生成するとともに、画像から被写体の輪郭を抽出した輪郭画像を出力する。すなわち、カメラ32はいわゆるアウトラインセンサーであり、例えば一般的なエッジ検出手法により画素の輝度等の画素値の不連続な個所を接続して輪郭を抽出し、輪郭画像を生成する。このような輪郭画像を用いると、見守り対象者が画像に映り込んでいない平時の輪郭画像と、見守り対象者が動体として映り込んだ輪郭画像との差分として、見守り対象者の輪郭を抽出することができる。また、見守り対象者が複数存在する場合、見守り対象者の輪郭の形状的な特徴や、一連の輪郭画像に表れる動作の特徴を予め機械学習させておくことで、被写体の見守り対象者が誰であるか特定することができる。また、輪郭画像も、通信装置34を介して見守りサーバ2へ送信される。例えば住居3内にカメラ32を設けて撮影されることについて、見守り対象の住人は抵抗を感じることもあるところ、輪郭のみを抽出した画像を用いることによって抵抗感を緩和することができる。
【0019】
図2は、水栓の配管に設置されたセンサ33の一例を示す側面図である。図3は、下水側の配管に設置されたセンサ33の一例を示す模式的な斜視図である。センサ33は、住宅の排水管や給水管といった専用配管(単に「配管」とも呼ぶ)35の周囲に設置される。センサ33は、配管35の周囲に嵌める(外嵌する)ことができる形状であってもよいし、配管35に挟着することができる形状であってもよい。また、センサ33は、紐や針金、結束バンド等の固定手段によって配管35に固定するようにしてもよいし、配管35の材質によっては磁力によって固定するようにしてもよい。配管35の周囲とは、配管35の外周の少なくとも一部をいうものとする。
【0020】
また、図4は、図2に示したセンサ33の機能構成を説明するための模式的な断面図である。センサ33は、配管35の周囲に取り付けるための接続手段である環状部331と、配管35と接触し、配管35内の音及び振動を伝達する集音部332と、所定の共振周波数を選択的に増幅する共振部333と、振動センサ(例えば、集音マイク)等のセンサ、及び配管内の流体の移動(流動)の有無を判定する流動判定部を含むセンサユニット334と、通信IF(Interface)335とを有する。なお、共振部333は省略してもよ
い。
【0021】
例えば配管35に流体(液体)が流れるとき、流動音として、所定の周波数帯にホワイトノイズが発生する。ホワイトノイズの振動は、配管35と接触するセンサ33の集音部332及び共振部333を介して、センサユニット334に伝わる。共振部212は、集音部211とセンサユニット213との距離やセンサモジュール21の大きさ等によって
定まる固有振動数により、特定の周波数と共振する。
【0022】
また、本実施形態に係るセンサユニット334が備えるセンサは、例えば様々なマイクロフォン、その他の振動センサ等である。そして、センサは、配管内部の流動の状態をモニタリングし、検知した振動を電気信号に変換する。また、センサユニット334が備える流動判定部によって、所定の閾値以上の振幅であるか否か、所定の閾値以上の時間、振動が継続するか否か、又はこれらの条件の組み合わせ等によって流動の有無を判定するようにしてもよい。
【0023】
そして、通信IF335は、例えば、測定された振動数(周波数)を搬送波の振幅の大きさに変換して伝達する振幅変調(Amplitude Modulation:AM)方式や、測定された振動数を搬送波の周波数の変化として伝達する周波数変調(Frequency Modulation:FM)方式等により、無線通信を行い、配管内を流体が移動したことを示す情報を見守りサーバ2へ送信する。情報の送信は、上述した流動判定部が流動があったと判定した場合に行われるようにしてもよい。また、複数のセンサがマシンツーマシン(M2M)システムを構成し、複数のセンサを経由して情報を送信するようにしてもよい。なお、通信IF335は、無線LANやBluetooth(登録商標)等の無線通信規格により、配管内を流体が移動
したことを示す情報をデジタル信号で見守りサーバ2へ送信してもよい。
【0024】
本実施形態では、住居3内に設置される複数のセンサ33には、各々を一意に特定するための識別情報が付される。また、例えば、上述の共振部333により各センサ33の出力する振動数を異なる値としてもよい。このようにすれば、通信装置34は、受信した電波に含まれる振動数を示す情報によってセンサ33を識別することができる。すなわち、センサ33の識別子等をデジタル回路で判別する必要がなくなるため、コストを低減することができる。なお、通信装置34と通信IF335とがデジタル信号を送受信する場合は、共振部333を省略してもよい。
【0025】
以上のようなセンサ33が、トイレ31A、洗面所31B及び浴室31C等の水道設備に設けられ、通信装置34は配管内の流体の移動を検知した旨の情報を収集する。ここで、配管内の流動の発生を検知した旨の情報とは、換言すれば上記水道設備の使用状況を示す情報といえる。なお、センサ33は、計測値(例えば、振動数)を通信装置へ出力し、通信装置34又は見守りサーバ2に設けられた流動判定部が、各水道設備が使用されたか否か判断するようにしてもよい。そして、通信装置34は、住居3が備える水道設備の使用状況を示す情報を見守りサーバ3に送信する。このとき、センサ33又は通信装置34は、流動が生じた日時を示す情報を付すようにしてもよいし、見守りサーバ2が、情報を受信した日時を流動が生じた日時として記憶しておくようにしてもよい。なお、センサ33は、図示していない電源ケーブル、非接触電力伝送、電池等によって電力を供給されるものとする。
【0026】
<装置構成>
図5は、見守りサーバ2の一例を示す機能ブロック図である。見守りサーバ2は、ネットワーク5を介して通信装置34と接続されるコンピュータである。見守りサーバ2は、プロセッサ21と、主記憶装置22と、補助記憶装置23と、通信IF(Interface)2
4と、入出力IF(I/O)25と、通信バス26とを備えたコンピュータである。
【0027】
主記憶装置22は、プロセッサ21が読み出したプログラム及びデータのキャッシュや、プロセッサ21の作業領域として用いられる。主記憶装置22は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。
【0028】
補助記憶装置23は、プロセッサ21により実行されるプログラムや、本実施の形態に
係る処理を実行させるための設定情報、送受信されるデータなどを記憶する。補助記憶装置23は、具体的には、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等である。なお、主記憶装置22及び補助記憶装置23は、本発明に係る「記憶装置」に相当する。
【0029】
通信IF24は、他のコンピュータ装置との間でデータを送受信する。通信IF24は、具体的には、ネットワークカードや通信モジュール等である。入出力IF25は、入出力装置と接続され、コンピュータのユーザから入力を受け付けたり、ユーザへ情報を出力したりする。すなわち、入出力IF25を介して、モニタやキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入出力装置と接続される。
【0030】
プロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。プロセッサ21は、単一のプロセッサに限定されず、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のプロセッサ21がマルチコア構成を有していても良い。上記各部の少なくとも一部の処理は、プロセッサ21以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、上記各部の少なくとも一部の処理は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路であっても良い。また、上記各部の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、LSI,Application Specific Integrated Circuit(A
SIC),プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。上記各部は、プロセッサと集積回路と
の組み合わせであっても良い。組み合わせは、例えば、MCU(Micro Controller Unit
),SoC(System-on-a-chip),システムLSI,チップセットなどと呼ばれる。プロセッサ21は、本実施形態に係るプログラムに従って演算処理を実行することにより、画像取得部211、判別部212、データ取得部213、検出部214、通知部215として機能する。
【0031】
画像取得部211は、水道設備の近傍を撮像し、被写体の輪郭を抽出した輪郭画像を出力するカメラ(撮像装置)32から、ネットワーク5及び通信IF24を介して輪郭画像を取得する。判別部212は、輪郭画像の特徴と、予め記憶装置23に記憶されている複数の見守り対象者の輪郭の特徴とに基づいて、輪郭画像の被写体がいずれの見守り対象者であるか特定する。見守り対象者の輪郭の特徴は、例えば予め機械学習して判別できるようにしておく。データ取得部213は、水道設備の配管の周囲に設けられ配管内部の流動を検知するセンサ33から、ネットワーク5及び通信IF24を介して流動の生じた日時を示す情報を取得し、当該日時の前後に上記判別部212によって特定された見守り対象者の識別情報と流動の生じた日時とを対応付けた履歴情報を記憶装置23に記憶させる。検出部214は、記憶装置23に格納されている見守り対象者ごとの流動の生じた日時に基づいて、水道設備の使用に関する所定のパターンを異常として検出する。通知部215は、検出部214が所定のパターンを検出した場合に、通信IF24及びネットワーク5を介して、他の通知先装置(出力先装置)4に通知を行う。例えば、見守り対象者の親族が所持する装置に通知が送信される。
【0032】
図6は、住宅3に設けられる通信装置34の一例を示す機能ブロック図である。通信装置34は、ネットワーク5を介して見守りサーバ2と接続されるコンピュータである。通信装置34は、プロセッサ341と、主記憶装置342と、補助記憶装置343と、通信IF(Interface)344と、入出力IF(I/O)345、通信バス346を備えたコ
ンピュータである。
【0033】
主記憶装置342は、プロセッサ341が読み出したプログラムやデータのキャッシュ
や、プロセッサ341の作業領域として用いられる。主記憶装置342は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。
【0034】
補助記憶装置343は、プロセッサ341により実行されるプログラムや、本実施の形態に係る処理を実行させるためのプログラムや設定情報などを記憶する。補助記憶装置343は、具体的には、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等である。なお、主記憶装置342及び補助記憶装置343は、本発明に係る「記憶装置」に相当する。
【0035】
通信IF344は、他のコンピュータ装置との間でデータを送受信する。通信IF344は、具体的には、ネットワークカードや通信モジュール等である。入出力IF345は、入出力装置と接続され、コンピュータのユーザや他の装置から入力を受け付けたり、ユーザや他の装置へ情報を出力したりする。入出力装置345を介して、上述したカメラ32及びセンサ33と接続されている。すなわち、入出力装置345は、所定の規格で無線通信を行うモジュールであってもよい。また、入出力IF345を介して、モニタやキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入出力装置と接続される。
【0036】
プロセッサ341は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。プロセッサ341は、単一のプロセッサに限定されず、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のプロセッサ341がマルチコア構成を有していても良い。上記各部の少なくとも一部の処理は、プロセッサ341以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing
Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、上記各部の少なくとも一部の処理は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路であっても良い。また、上記各部の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、LSI,Application Specific Integrated Circuit(ASIC),プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例え
ば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。上記各部は、プロセッサと集積回路
との組み合わせであっても良い。組み合わせは、例えば、MCU(Micro Controller Unit),SoC(System-on-a-chip),システムLSI,チップセットなどと呼ばれる。プ
ロセッサ341は、本実施形態に係るプログラムに従って演算処理を実行することにより、画像取得部3411、データ取得部3412、及び送信部3413として機能する。
【0037】
画像取得部3411は、カメラ(撮像装置)32から画像を取得し、輪郭画像を生成する。例えば、画像からいわゆるエッジ検出を行い被写体の輪郭を抽出した輪郭画像を出力する。データ取得部3412は、センサ33から、配管内部に流動が生じた日時に関する情報を有線又は無線で取得する。送信部3413は、輪郭画像と配管内部に流動が生じた流動に関する情報とをそれぞれ通信IF344及びネットワーク5を介して見守りサーバ2へ送信する。このとき、見守り対象者が画像に映り込んでいない平時の輪郭画像と、見守り対象者が動体として映り込んだ輪郭画像との差分として、見守り対象者の輪郭を抽出し、抽出した輪郭画像を送信してもよい。
【0038】
<見守り処理>
次に、システムが実行する処理について説明する。図7は、システム1が実行する見守り処理の一例を示す処理フロー図である。なお、住宅3の水道設備の近傍に設けられたカメラ32は、任意のタイミングで継続的に画像を生成し、通信装置34に出力するものとする。そして、通信装置34の画像取得部3411は、画像からエッジ検出により被写体の輪郭を抽出した輪郭画像を出力する。また、送信部3413は、予め記憶装置23に記憶されている、見守り対象者が画像に映り込んでいない平時の輪郭画像と、新たに出力された輪郭画像との差分として、見守り対象者の輪郭を抽出できた場合(図7:S1:Ye
s)、対象者の輪郭画像を見守りサーバ2へ送信する(図7:S2)。本ステップでは、画像が撮像された日時を示す情報も輪郭画像とともに送信されるものとする。日時を示す情報は、例えばExifのようなメタデータとして画像に含まれるものであってもよい。一方、見守りサーバ2の画像取得部211は、輪郭画像を取得し、撮像日時を示す情報とともに記憶装置23に格納する(図7:S3)。
【0039】
また、住宅3の水道設備の配管の周囲に設けられたデータ取得部3412は、水道設備が使用されたか判断する(図7:S4)。本ステップでは、センサ33からデータ取得部3412へ配管内部の流動の状態を表す情報が出力され、所定の閾値以上の振幅であるか否か、所定の閾値以上の時間、振動が継続するか否か、又はこれらの条件の組み合わせ等によって流動の有無を判断する。そして、水道設備が使用されたと判断された場合(S4:Yes)、送信部3413は、流動の生じた日時を示す情報を見守りサーバ2へ送信する(図7:S5)。一方、見守りサーバ2のデータ取得部213は、水道設備の使用期間を表す情報を取得し、記憶装置23に格納する(図7:S6)。
【0040】
図8は、記憶部343に記憶される設備の使用状況を示す情報の一例を示す。図7のS6の処理により、図8に示すような情報が記憶装置に格納される。図8の表は、住宅ID、センサID、開始日時、終了日時の各列を含む。住宅IDの列には、見守り対象者の住居を一意に特定できる識別情報が登録される。また、センサIDの列には、水道設備の配管に設けられたセンサ33を一意に特定できる識別情報が登録される。センサIDに基づき、いずれの水道設備が使用されたか判断できるようになる。また、開始日時及び終了日時の列には、水道設備の使用を開始した日時及び設備の使用を終了した日時が登録される。日時を示す情報は、センサ33、通信装置34、見守りサーバ2等のいずれによって付加されるようにしてもよい。時刻に誤差があっても、見守り対象者の概ねの設備使用状況は把握できる。
【0041】
また、見守りサーバ2の判別部212は、図8の各レコードで示したような水道設備の使用の各々に対し、使用者を特定する(図7:S7)。本ステップでは、判別部212は、記憶装置に格納された輪郭画像から、当該水道設備の近傍を撮像するカメラ32によって、水道設備の使用期間又はその前後所定期間において、撮像された輪郭画像を抽出する。そして、抽出された輪郭画像に撮像された見守り対象者を特定する。輪郭画像に撮像された見守り対象者の特定は、例えば予め機械学習により人物の輪郭画像から見守り対象者を特定するための分類器を作成しておき、カメラ32を介して新たに取得した輪郭画像を分類器によって分類することにより行う。
【0042】
図9は、記憶部に記憶される設備の使用状況を示す情報の一例を示す。図7のS7の処理により、図9に示すような情報が記憶装置に格納される。図9の表は、図8の表とほぼ同じであるが、ユーザIDの列をさらに含む。ユーザIDの列には、S7において特定された見守り対象者を一意に特定するための識別情報が登録される。
【0043】
そして、見守りサーバ2の検出部214は、見守り対象者ごとの流動の生じた日時に基づいて、水道設備の使用に関する所定のパターンを検出したか判断する(図7:S8)。本ステップでは、例えば、同一の見守り対象者による水道の使用が所定期間(例えば、3日)以上、検知されない場合、対象者の生活に異常が発生した可能性があると判断する。また、いずれかのセンサ33において所定期間(例えば10時間)以上継続して設備の使用が終了されない場合、見守り対象者の生活に異常が発生した可能性、又は水道設備に故障が発生した可能性があると判断してもよい。
【0044】
また、S8においては、検出部214は、見守り対象者の生活パターンの変化に基づいて異常が発生したと判断するようにしてもよい。例えば、見守り対象者ごと、且つ水道設
備及び仕様時間帯ごとに平常時の使用実績の傾向を記憶装置23に記憶させておく。傾向は、例えば特徴ベクトルによる特徴量で表すことができる。このようにすれば、傾向の近さ(類似度)を特徴ベクトル同士の距離によって評価することができる。そして、傾向に所定の閾値以上の変化があった場合、異常が発生したと判断することができる。
【0045】
例えば、ある見守り対象者が過去の履歴情報においてトイレを使用する傾向にあった時間帯に、洗濯機、風呂場、又は台所を使用する傾向が表れた場合、特徴ベクトル同士の距離が大きくなり、検出部214は異常を検知する。このような傾向の変化は、夜尿症の兆候を検知でき、早い段階で認知症の可能性に注意すべき旨を通知できる。
【0046】
そして、異常が発生した可能性があると判断された場合(S8:Yes)、見守りサーバ2の通知部215は、ネットワーク5を介して出力先装置3に通知を送信する(S9)。なお、見守りサーバ2の記憶部23には、上述の住宅ID又は見守り対象者IDと対応付けて、通知先の情報を保持しているものとする。また、通知は、出力先装置3のユーザが利用するメールアドレスに電子メールを送信するようにしてもよいし、出力先装置3にインストールされたアプリケーションソフトウェアに所定の方式でプッシュ通知するようにしてもよい。
【0047】
一方、異常が発生した可能がないと判断された場合(S8:No)、又はS9の後、S3に戻り処理を繰り返す。
【0048】
<効果>
このようにすれば、住居における水道設備の使用状況を遠隔から監視することができ、見守り対象者の生活に異常がないか監視できる。本実施形態では、センサ33を水道設備の配管に設置するとともに、カメラ32を用いて水道設備を使用した見守り対象者を特定する。したがって、1つの住居に見守り対象者が複数存在する場合であっても、対象者ごとに異常を検出することができ、判断の精度が向上する。例えば、福祉施設のように複数の見守り対象者が生活する環境においても有用である。
【0049】
<水道使用量の推定>
図7のS6において、見守りサーバ2のデータ取得部213は、通信装置3から取得した流動の継続時間に基づいて水道の使用量を推定してもよい。すなわち、流動の継続時間の大きさに応じて水道の使用量が大きいと推定する。また、センサ33が取り付けられた水道設備ごとに予め定められた係数を乗じて使用量を補正してもよい。また、いわゆるスマートメーターから住戸の水道使用量をほぼリアルタイムに取得し、水道設備ごとに流動の発生した日時の情報に基づいて水道使用量を積算するとともに、同時期に複数の水道設備に流動が発生した場合は、水道設備ごとに予め定められた重みを用いてスマートメーターから得られた水道使用量を按分し、各水道設備の水道使用量を推定するようにしてもよい。また、図7のS8においては、検出部214は、各水道設備における水道使用量をさらに用いて異常を検出する。このように水道設備の使用量をさらに加味して使用に関する傾向を評価し、異常を検知できる。
【0050】
<閾値設定処理>
図2図4に示したセンサ33は、測定対象の配管内を流体が移動する際(設備が使用された際)の振動を学習できるようにしてもよい。例えばセンサ33の設置作業者が水道の蛇口を操作し、配管に少量の水を流した状態、又は配管に大量の水を流した状態とする。そして、設置作業者はセンサ33に対して所定の操作を行い、当該時点に測定された単位時間当たりの振動数に基づいて、測定対象の配管内を流体が移動する際の振動の下限値又は上限値を記憶部343に記憶させる。
【0051】
配管の大きさや内部を流れる液体の量等によって測定される振動数は変化するところ、本閾値設定処理によれば測定対象の配管に合わせた設定が容易に可能となる。なお、また、このような設定は、センサ33でなく通信装置34や、見守りサーバ2に保持させておき、測定された振動数を受信した通信装34や、見守りサーバ2が水道設備の使用がなされたか判断するようにしてもよい。なお、上述の閾値設定処理は、センサ33によって測定された値そのものを設定するのではなく、センサ33によって測定された値が範囲内に含まれるよう余裕をもって下限値又は上限値を設定するようにしてもよい。また、センサ33等には、汎用的に用いる既定の閾値を設定しておくようにしてもよい。
【0052】
<その他>
本発明は上述の処理を実行するコンピュータプログラムを含む。さらに、当該プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に属する。当該プログラムが記録された記録媒体については、コンピュータに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、上述した処理が可能となる。
【0053】
ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータから取り外し可能なものとしては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ、メモリカード等がある。また、コンピュータに固定された記録媒体としては、ハードディスクドライブやROM等がある。
【0054】
また、センサは、配管の周囲に取り付ける振動センサには限定されず、様々な既存の技術を採用することができる。例えば、配管にセンサを組み込んだり、使用量を計数するメータと連動するようにしてもよい。また、水流によって所定方向に回転するよう角度が付けられた羽根部材を有する回転翼車を配管やバルブ等に内蔵させ、回転翼車と一体に回転するホール素子によって磁力の変化を検出してパルスカウンタで計数することにより、流量を測定するような態様としてもよい。
【0055】
また、複数の振動センサにそれぞれ異なる共鳴板を組み込んだり、複数の振動センサをそれぞれ異なる共鳴箱に収容し、測定される振動数によってセンサを識別できるようにしてもよい。このようにすれば、センサモジュールから取得した測定値そのものに基づいて、いずれのセンサモジュールで測定された値であるか識別することができるようになる。
【符号の説明】
【0056】
2 見守りサーバ
211 画像取得部
212 判別部
213 データ取得部
214 検出部
215 通知部
3 通信装置
3411 画像取得部
3412 データ取得部
3413 送信部
32 カメラ
33 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9