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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ローラーガイド
(51)【国際特許分類】
   B21B 39/14 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
B21B39/14 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021059033
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022155682
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000182476
【氏名又は名称】寿産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086254
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 進
(72)【発明者】
【氏名】山岡 克之
(72)【発明者】
【氏名】門傳 貴裕
【審査官】隅川 佳星
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-33714(JP,A)
【文献】特開平6-190425(JP,A)
【文献】特開平9-141318(JP,A)
【文献】特開2001-71016(JP,A)
【文献】特開2004-181491(JP,A)
【文献】特開2009-172639(JP,A)
【文献】特開2014-193470(JP,A)
【文献】特開2014-195819(JP,A)
【文献】米国特許第4211095(US,A)
【文献】米国特許第4212181(US,A)
【文献】米国特許第4680953(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 39/14 - 39/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドボックスと、このガイドボックスに設けてある芯間調整機構とを具備しており、
上記ガイドボックスは後側の入口から進入する圧延材を前側に配置されている圧延ロールに誘導するものであって、一対のローラホルダを互いに対向して設けてあり、
対のローラホルダはそれぞれ支点軸を回転中心として上記ガイドボックスに支持され、回転に伴って先端側間及び後端側間は互いに接近離反可能であり、
対のローラホルダには各先端部に主ガイドローラがローラ支持軸にこれを回転中心としてそれぞれ軸支され、対の主ガイドローラの後方に各主ガイドローラに隣接している対の副ガイドローラがローラ偏芯支持軸にこれを回転中心として軸支されており、
対の主ガイドローラ及び対の副ガイドローラは対のローラホルダ間を通過する圧延材を圧延ロール側に誘導するための手段を構成しており、
上記芯間調整機構は、調整操作軸、主移動調整体、従動調整体、調整作動体、伝達体、偏芯車及び連動介在体を備えており、
上記調整操作軸は上記ガイドボックスに軸心を中心として回転可能に取り付けられており、
上記主移動調整体及び従動調整体はいずれも上記ガイドボックスにこのガイドボックスの前後方向に移動可能に設けてあり、上記主移動調整体はこの主移動調整体に上記調整操作軸がねじ込まれかつこの調整操作軸の回し操作に基づいて移動可能であり、上記従動調整体は上記主移動調整体に連結されていると共にこの主移動調整体の移動方向と同じ方向に移動可能であり、
上記調整作動体は対のローラホルダの後端部側に対向する上記主移動調整体の各側面にそれぞれ取り付けられ、対のローラホルダの後端部に対応している上記調整作動体にスライド部を設けてあり、対のローラホルダの後端部に面しているスライド部の外面が曲面を形成しているスライド面となっており、
上記スライド部のスライド面は圧延材の進入方向に向かって曲線を形成する曲面形状を構成しており、
上記伝達体は対のローラホルダの後端部にそれぞれ取り付けられており、各伝達体に形成してあるアール面が対向する上記スライド部のスライド面にスライド可能に当接されており、
上記偏芯車は偏芯位置で対の副ガイドローラのローラ偏芯支持軸にそれぞれ回転可能に軸支されており、
上記連動介在体は対のローラホルダに対応してそれぞれ配置されており、上記従動調整体の移動を上記偏芯車に伝えるものであると共に、上記従動調整体の移動方向に応じて上記両偏芯車の回転方向を互いに対向する側に、又は対向側とは反対する側に回転可能にするものであり、
上記調整操作軸の回転により、対の主ガイドローラ及び対の副ガイドローラにおける各芯間寸法と同じ寸法を保持しつつ調整することができ、
上記調整操作軸の回転操作による主移動調整体の移動に伴って、一方ではこの主移動調整体の移動方向と同じ方向に作動する上記調整作動体、伝達体及び上記ローラホルダを通じて対の主ガイドローラの芯間が調整され、他方では上記主移動調整体の移動方向と同じ方向に従動する従動調整体によりこの従動調整体に連動する連動介在体を通じて上記偏芯車の偏芯回転に伴う対の副ガイドローラの芯間が調整される
ことを特徴とするローラーガイド。
【請求項2】
各連動介在体はラックピニオンからなり、一方で従動調整体に設けてある歯部に歯合されており、他方で偏芯車である偏芯歯車に歯合されていることを特徴とする請求項1記載のローラーガイド。
【請求項3】
各連動介在体は各偏芯車上にこれらの偏芯車の偏芯位置から起立されている偏芯ピンであり、従動調整体であって上記偏芯車と対向する位置に調整スリットをそれぞれ開けてあり、各偏芯ピンは調整スリット内を挿通しかつ上記従動調整体と相対的移動関係にあることを特徴とする請求項1記載のローラーガイド。
【請求項4】
従動調整体は本体が調整歯部保有体であり、この調整歯部保有体の先端部側であってかつ上記各副ガイドローラに対応する両側に歯部であるラックが設けてあって、両ラックがラックピニオンに歯合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のローラーガイド。
【請求項5】
従動調整体は本体が板状の移動調整プレートであり、調整スリットは上記移動調整プレートの先端部であって上記各副ガイドローラに対応する側にそれぞれ開けてあり、両調整スリットが互いに閉じる方向又は開く方向に配置されている細孔であってかつ、各細孔における対向する内面が調整操作軸の回転量と主副双方のガイドローラの芯間寸法とが比例関係になるような曲面を形成していることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のローラーガイド。
【請求項6】
主移動調整体には対のローラホルダの後端部に対向する側に調整作動体であるコッターをそれぞれ設けてあり、各コッターのスライド部のスライド面に各伝達体が当接しており、各伝達体が上記スライド面をスライドする動作を通じて対のローラホルダの芯間の広狭が可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のローラーガイド。
【請求項7】
ガイドボックスの上部に主移動調整体が移動する方向にガイド長溝を開けてあり、主移動調整体の底部に上記ガイド長溝内を移動可能であるガイド凸部を設けてあることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のローラーガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧延ロールの前後に設置されるローラーガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のローラーガイドとして、本出願人が提案した例えば特開2001-71016号公報に係る入口ローラガイドは、ガイドボックスに支点軸を中心とする一対のローラホルダを取り付け、各ローラホルダの先端部に第一ローラ支持軸を回転中心とする主ガイドローラを、後端部に上記支点軸に対して偏芯して設けてある第ニローラ支持軸を回転中心とする副ガイドローラを設け、主副双方のガイドローラの芯間を芯間調整機構によって調整可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-71016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例として示す上記のローラガイドでは、主ガイドローラと、副ガイドローラとの芯間調整を2個所別々に行い、主ガイドローラの調整は偏芯軸によりローラホルダを回転させることにより行い、また副ガイドローラの調整は偏芯軸のみで行うので、主ガイドローラの面間寸法と副ガイドローラの面間寸法との間に調整の誤差が生じる課題があった。主副双方のガイドローラの芯間調整を同時に行うようにすれば上記課題を抑制することができ、調整に要する手間の時間を節約することができる。
本発明の目的は、主副の双方のガイドローラの面間寸法の誤差の発生を抑制し、調整操作を迅速にしかも精度良くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴は、ガイドボックスと、このガイドボックスに設けてある芯間調整機構とを具備していることにある。
上記ガイドボックスは後側の入口から進入する圧延材を前側に配置されている圧延ロールに誘導するものであって、一対のローラホルダを互いに対向して設けてある。対のローラホルダはそれぞれ支点軸を回転中心として上記ガイドボックスに支持され、回転に伴って先端側間及び後端側間は互いに接近離反可能である。対のローラホルダには各先端部に主ガイドローラがローラ支持軸にこれを回転中心としてそれぞれ軸支され、対の主ガイドローラの後方に各主ガイドローラに隣接している対の副ガイドローラがローラ偏芯支持軸にこれを回転中心として軸支されている。対の主ガイドローラ及び対の副ガイドローラは対のローラホルダ間を通過する圧延材を圧延ロール側に誘導するための手段を構成している。
上記芯間調整機構は、調整操作軸、主移動調整体、従動調整体、調整作動体、伝達体、偏芯車及び連動介在体を備えている。上記調整操作軸は上記ガイドボックスに軸心を中心として回転可能に取り付けられている。上記主移動調整体及び従動調整体はいずれも上記ガイドボックスにこのガイドボックスの前後方向に移動可能に設けてある。上記主移動調整体はこの主移動調整体に上記調整操作軸がねじ込まれかつこの調整操作軸の回し操作に基づいて移動可能である。上記従動調整体は上記主移動調整体に連結されていると共にこの主移動調整体の移動方向と同じ方向に移動可能である。上記調整作動体は対のローラホルダの後端部側に対向する上記主移動調整体の各側面にそれぞれ取り付けられ、対のローラホルダの後端部に対応している上記調整作動体にスライド部を設けてあり、対のローラホルダの後端部に面しているスライド部の外面が曲面を形成しているスライド面となっている。上記スライド部のスライド面は圧延材の進入方向に向かって曲線を形成する曲面形状を構成している。上記伝達体は対のローラホルダの後端部にそれぞれ取り付けられており、各伝達体に形成してあるアール面が対向する上記スライド部のスライド面にスライド可能に当接されている。上記偏芯車は偏芯位置で対の副ガイドローラのローラ偏芯支持軸にそれぞれ回転可能に軸支されており、上記連動介在体は対のローラホルダに対応してそれぞれ配置されており、上記従動調整体の移動を上記偏芯車に伝えるものであると共に、上記従動調整体の移動方向に応じて上記両偏芯車の回転方向を互いに対向する側に、又は互いに対向側とは反対する側に回転可能にするものである。
上記調整操作軸の回転により、対の主ガイドローラ及び対の副ガイドローラにおける各芯間寸法と同じ寸法を保持しつつ調整することができる。
上記調整操作軸の回転操作による主移動調整体の移動に伴って、一方ではこの主移動調整体の移動方向と同じ方向に作動する上記調整作動体、伝達体及び上記ローラホルダを通じて対の主ガイドローラの芯間が調整され、他方では上記主移動調整体の移動方向と同じ方向に従動する従動調整体によりこの従動調整体に連動する連動介在体を通じて上記偏芯車の偏芯回転に伴う対の副ガイドローラの芯間が調整される。
本発明の第2の特徴は第1の特徴を前提としており、連動介在体はラックピニオンからなり、一方で従動調整体に設けてある歯部に歯合されており、他方で偏芯車である偏芯歯車に歯合されていることにある。
本発明の第3の特徴は第1の特徴を前提としており、各連動介在体は各偏芯車上にこれらの偏芯車の偏芯位置から起立されている偏芯ピンであり、従動調整体であって上記偏芯車と対向する位置に調整スリットをそれぞれ開けてあり、各偏芯ピンは調整スリット内を挿通しかつ上記従動調整体と相対的移動関係にあることにある。
本発明の第4の特徴は第1又は第2の特徴を前提としており、従動調整体は本体が調整歯部保有体であり、この調整歯部保有体の先端部側であってかつ上記各副ガイドローラに対応する両側に歯部であるラックが設けてあって、両ラックがラックピニオンに歯合されていることにある。
本発明の第5の特徴は第1又は第3の特徴を前提としており、従動調整体は本体が板状の移動調整プレートであり、調整スリットは上記移動調整プレートの先端部であって上記各副ガイドローラに対応する側にそれぞれ開けてあり、両調整スリットが互いに閉じる方向又は開く方向に配置されている細孔であってかつ、各細孔における対向する内面が調整操作軸の回転量と主副双方のガイドローラの各芯間寸法とが比例関係になるような曲面を形成していることにある。
本発明の第6の特徴は第1乃至第5のいずれかの特徴を前提としており、主移動調整体には対のローラホルダの後端部に対向する側に調整作動体であるコッターをそれぞれ設けてあり、各コッターのスライド部のスライド面に各伝達体が当接しており、各伝達体が上記スライド面をスライドする動作を通じて対のローラホルダの芯間の広狭が可能であることにある。
本発明の第7の特徴は第1乃至第6のいずれかの特徴を前提としており、ガイドボックスの上部に主移動調整体が移動する方向にガイド長溝を開けてあり、主移動調整体の底部に上記ガイド長溝内を移動可能であるガイド凸部を設けてあることにある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、主副双方のガイドローラの芯間調整について、主副双方のガイドローラに対して兼用する芯間調整機構によって芯間調整を同時にすることができ、調整操作軸の回転に対応して対の主ガイドローラ及び対の副ガイドローラにおける各芯間が同じ寸法を保持しつつ調整可能であるので、上記主副双方のガイドローラにおける互いの芯間寸法の誤差の発生を抑制することができ、しかも調整操作を迅速に精度良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るローラーガイドの第1の実施例を示す正面図である。
図2】上記第1の実施例を示す一部切欠平面図であって、芯間調整機構の一部を断面にしている図である。
図3】上記第1の実施例を示す図1の右側面図である。
図4】上記第1の実施例に示すローラーガイドの斜視図である。
図5図2のV-V線断面図である。
図6図1のVI-VI線断面図である。
図7図2のVII-VII線断面図である。
図8図1のVIII-VIII線断面図である。
図9図1のIX-IX線断面図である。
図10】上記第1の実施例における芯間調整機構の主要部を概略して示す拡大斜視図である。
図11】上記第1の実施例におけるガイドボックスの上部の受け部及びカバー部を示す図であって、(ア)は受け部にカバー部を設置した状態を示す正面図、(イ)は受け部の平面図及び(ウ)はカバー部の底面図である。
図12】上記第1の実施例における芯間調整機構による主ガイドローラ及び副ガイドローラの芯間調整を示す説明図であって、(ア)は調整前の段階を示す図、(イ)は主ガイドローラ及び副ガイドローラの芯間の拡大調整段階を示す図、(ウ)は主ガイドローラ及び副ガイドローラの芯間の狭小調整段階を示す図である。
図13】本発明に係るローラーガイドの他の実施例を示す斜視図である。
図14】上記他の実施例のローラーガイドにおける正面図である。
図15】上記他の実施例における平面図である。
図16】上記他の実施例における側面図である。
図17図14のXVII-XVII線断面図である。
図18図15のXVIII-XVIII線断面図である。
図19】上記他の実施例のローラーガイドにおける連動手段を構成する調整スリット、偏芯車及び偏芯ピンの相互の連動関係を示す一部切欠拡大平面図である。
図20】上記他の実施例を構成する主要部を縮小し分解して示す斜視図である。
図21】上記他の実施例における芯間調整機構による主ガイドローラ及び副ガイドローラの芯間調整を示す説明図であって、(ア)は調整前の段階を示す図、(イ)は主ガイドローラ及び副ガイドローラの芯間の拡大調整段階を示す図、(ウ)は主ガイドローラ及び副ガイドローラの芯間の狭小調整段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るローラーガイドの第1の実施例について図1図12を参照して説明する。
図1及び図2に示すローラーガイドG1は、ガイドボックス1と、このガイドボックスに設けてあって主副双方のガイドローラ3,4の両芯間寸法の調整を兼用する芯間調整機構2とを具備している。
図1図4に示すローラーガイドG1において、ガイドボックス1はその前端部側(図1左端部側)を圧延機の圧延ロールRに向けて、この圧延機の入口側に設けられている。ガイドボックス1は後端側(図1右端側)にエントリーガイド5を挿入状態に取り付けてあって、このエントリーガイドの入口から進入する圧延材を主副双方のガイドローラ3,4を通じて前端部側の圧延ロールRに向けて誘導することができる。
【0009】
図1図4において、ガイドボックス1の両側(図2上下)には一対のローラホルダ6を互いに対向して設けている。
図1及び図2に示す対のローラホルダ6はそれぞれ支点軸7を回転中心としてガイドボックス1に支持されており、回転に伴って先端側間(前端側間)及び後端側間は互いに接近及び離反が可能となっている。また、図2に示すように、対のローラホルダ6の先端部間には引張ばね8を渡してある。引張ばね8は、対向するローラホルダ6の後端部6a間(図6右端部間)が常に狭くなるようにローラホルダにばね力を付与している。
図1図2図6及び図7において、対のローラホルダ6には、その先端部に対の主ガイドローラ3がそれぞれローラ支持軸9にこれらの軸を回転中心として軸支されている。また、図5図8に示す対のローラホルダ6には対の主ガイドローラ3の後方に、これらの主ガイドローラに隣接している対の副ガイドローラ4がそれぞれローラ偏芯支持軸10にこれらの軸を回転中心として軸支されている。対の主ガイドローラ3及び対の副ガイドローラ4は、対のローラホルダ6間を通過する圧延材を円滑に圧延ロールR側に誘導する手段を構成している。
図1図2及び図7において、対のローラホルダ6を回転可能に支持する支点軸7は、副ガイドローラ4を挟んで図7上下に配置された筒状の偏芯ピース7aと偏芯軸部7bとからなる。偏芯ピース7aはローラ偏芯支持軸10の下部に挿入されており、偏芯ピースの中心位置はローラ偏芯支持軸の軸心に対して偏芯位置にある。また、偏芯軸部7bはローラ偏芯支持軸10の上部と一体化されており、偏芯軸部の軸心の位置もローラ偏芯支持軸の軸心に対して偏芯位置にある。したがって、副ガイドローラ4はローラ偏芯支持軸10を中心として回転可能であるが、支点軸7に支持されている対のローラホルダ6の回転に対して偏芯回転可能である。
【0010】
芯間調整機構2について説明する。
図2図5及び図7図10において、芯間調整機構2は調整操作軸11、主移動調整体12、従動調整体13、調整作動体14、伝達体15、偏芯車16及び連動介在体17を備えている。芯間調整機構2の主要部は、ガイドボックス1の上部1a上に設置され、カバー部18(図5)により覆われている。
調整操作軸11は図1及び図2に示すように圧延材の進入方向(通過方向)に沿って長く形成されている。図1図5及び図11において、調整操作軸11は、ガイドボックス1の上部1a上のカバー部18の後端側(図5右端側)の取付け孔18aに挿入されている。調整操作軸11の後端部がカバー部18の後端から取付け孔18aを経て外に突出され、また先端部側がカバー部内に突出されている。そして、調整操作軸11は軸心を中心として回転可能である。図2に示すように調整操作軸11の先端部は主移動調整体12である調整ブラケットのねじ孔12aにねじ込まれており、この調整操作軸と調整ブラケットとは相対的移動関係にある。調整操作軸11をその軸心を中心として回転操作することによって、調整ブラケット12は調整操作軸の軸方向に沿って相対的に移動する。
【0011】
図2図5及び図9に示す調整ブラケット12は、カバー部18内に前後方向(図5左右方向)に移動可能に配置されている。調整ブラケット12の両側部すなわち調整ブラケットの移動方向と交差する方向側の両側部は、カバー部18の両側に開けてある開口18b{図11(ア),(ウ)}内を移動可能に位置している。調整ブラケット12は、相対的な移動関係にある調整操作軸11をその軸心を中心とする時計方向又は反時計方向への回転操作により、調整操作軸の軸方向に沿って前後に移動可能である。
また、調整ブラケット12の両側面(図9上下両面)すなわち対のローラホルダ6の後端部に対向する側面には調整作動体となるコッター14をねじ止めしてある。コッター14は対のローラホルダ6に対して調整作用をする役割を有している。各コッター14は、図3図4及び図10に示すように、上部が四角形状の取付け部14aと下部がほぼ鍵形に屈折された形状の調整作動部14bとからなる。コッター14は取付け部14aを介して調整ブラケット12の両側面にねじ止めされている。コッター14の調整作動部14bの垂下部の下端がスライド部14b1となっている。スライド部14b1の内面は、図3及び図4に示すように、ガイドボックス1の両側面に接している。スライド部14b1の外面は図6に示すようにスライド面14b11となっている。図6に示すように、対のローラホルダ6の後端部6aに面しているスライド部14b1の外面が曲面形状を形成しているスライド面14b11となっている。スライド部14b1のスライド面14b11は圧延材の進入方向に向かって曲面を形成する形状を構成している。主副双方のガイドローラ3,4の各芯間と両スライド面14b11の曲面とが対応している。図6の例では、両スライド面14b11は互いに対の副ガイドローラ4に向けて次第に接近する方向に曲面を形成している。
図6に示すように、スライド部14b1のスライド面14b11には対のローラホルダ6の後端部6aに設けてある伝達体であるプレッシャー体15が当接されている。
当接状態を具体的に説明すれば、各プレッシャー体15にはアール面15aをそれぞれ形成してあり、各アール面が対向するスライド部14b1のスライド面14b11にスライド可能に当接されている。図2及び図9に示す引張ばね8が、上述したように常時対のローラホルダ6の後端部6a間が狭くなるようにローラホルダにばね力を付与している。このばね力により、プレッシャー体15がスライド部14b1のスライド面14b11に押圧状態で接している。
スライド部14b1とプレッシャー体15とは相対的移動関係にある。
【0012】
図2図9及び図10において、従動調整体13である調整歯部保有体は平面形状がT状の板状とされている。調整歯部保有体13は、後端に設けてある連結部13aが調整ブラケット12の内部に嵌合され、ねじにより固定されている。連結部13aには調整操作軸11のねじ込みを可能にするためのねじ孔13a1を開けてある(図9参照)。ねじ孔13a1は調整ブラケット12のねじ孔12aと連通している。調整歯部保有体13の底部には図5に示すように前後に長いガイド凸部13bを設けてある。ガイド凸部13bは図11(ア),(イ)に示すようにガイドボックス1の上部1aに前後に長く形成されているガイド長溝1a1内に移動可能に嵌め込まれている。そして、調整歯部保有体13は、調整ブラケット12に連結部13aを介して接続されているため、調整ブラケット及び調整歯部保有体は共にこの調整ブラケットの移動方向と同じ方向である前後方向に移動可能である。移動の過程では、調整ブラケット12及び調整歯部保有体13は、ガイド凸部13b及びガイド長溝1a1を通じてガイドボックス1の上部1a上を円滑に移動することができる。
また、図9及び図10に示す調整歯部保有体13は、その先端部の両側面に歯部となるラック13cをそれぞれ設けてある。各ラック13cには偏芯車16である偏芯歯車がそれぞれ対向している。
図2図7図9及び図10において、偏芯歯車16は支点軸7の軸心から偏芯して位置している偏芯軸部7bを回転中心としている。偏芯歯車16の回転に伴って、偏芯位置している副ガイドローラ4は偏芯的に回転してその位置を移動する。
なお、図11(ア)~(ウ)において、1a2は偏芯軸部7b用の挿通孔であり、1a3は軸19用の挿通孔であり、18cは偏芯歯車16の収納用の孔、18dは軸19用の挿通孔である。
また、図8図10において、連動介在体17であるラックピニオンは調整歯部保有体13の先端部両側に配置され、軸19を中心として回転可能である。各ラックピニオン17は一方で各ラック13cと歯合し、他方で偏芯歯車16と歯合している。各ラックピニオン17は、調整歯部保有体13の前後移動に伴い両側のラック13cを通じて偏芯歯車16を回転動作させるものである。すなわち、調整歯部保有体13の前後移動に伴い両側のラック13cも前後移動し、これらのラックの移動動作に伴ってラックピニオン17が移動方向に応じて回転することになり、両ラックピニオンの回転に連動して偏芯歯車16も回転する。
コッター14のスライド部14b1、プレッシャー体15及びローラホルダ6は調整歯部保有体13の動きを主ガイドローラ3に伝えるための連動手段を構成している。また、ラック13c、偏芯歯車16及びラックピニオン17は調整歯部保有体13の動きを副ガイドローラ4に伝えるための連動手段を構成している。
【0013】
図12を参照して、調整操作軸11と、対の主ガイドローラ3及び対の副ガイドローラ4との関係を説明する。この関係を要約すれば、調整操作軸11の回転により、対の主ガイドローラ3及び対の副ガイドローラ4における各芯間寸法が同じ寸法を保持しつつ調整される。
図12において、プレッシャー体15のアール面15aがスライド部14b1のスライド面14b11上の同図(ア)に示す位置(以下「調整前段階の位置」という。)にある時、対の主ガイドローラ3及び対の副ガイドローラ4のそれぞれの芯間寸法が互いに同一の芯間寸法「2α」となるようにスライド面14b11が曲面を形成してある。
芯間寸法「2α」(α+α)について説明する。プレッシャー体15のアール面15aが図12(ア)に示す調整前段階の位置にある時、対の主ガイドローラ3及び対の副ガイドローラ4のそれぞれの芯から圧延材の通過線LNに至る寸法はいずれも同一寸法「α」に設定されている。
プレッシャー体15のアール面15aが調整前段階の位置にある時、対の主ガイドローラ3及び対の副ガイドローラ4のそれぞれの芯間寸法は「2α」に設定されている。アール面15aが調整前段階の位置からスライド部14b1のスライド面14b11上をスライドして図12(イ)の位置まで移動する過程では、調整操作軸11を回して調整ブラケット12(図9)を後退させると、スライド部14b1も後退し、スライド部と相対関係のある両プレッシャー体15が同図(イ)上下方向に拡がり、両アール面15aがスライド面14b11をスライドしながら拡がるため、対のローラホルダ6が支点軸7(図2)を中心として互いに反対向方向{同図(イ)鎖線矢印方向}に揺動し、対の主ガイドローラ3の芯間寸法は「2β」(β+β)に調整される。また、上記の移動の過程では、調整歯部保有体13のラック13cが後退するから、各ラックピニオン17がラック上を互いに反対向方向{図12(イ)実線矢印方向}に回転し、互いに反対向方向{同図(イ)点線矢印方向}に回転する偏芯歯車16を通じて偏芯歯車に対して偏芯している対の副ガイドローラ4がローラ偏芯支持軸10を中心として互いに反対向方向に回転し、芯間寸法は「2β」(β+β)に調整される。
対の主ガイドローラ3及び対の副ガイドローラ4のそれぞれの芯間寸法が「2β」となるようにスライド面14b11が曲面を形成してある。
また、図12において、プレッシャー体15のアール面15aが調整前段階の位置にある時、調整操作軸11を回してスライド部14b1のアール面15aが調整前段階の位置からスライド部14b1が同図(ウ)の位置までスライドして移動する過程では、調整ブラケット12(図9)の前進を通じてスライド部を前進させると、各アール面が拡がるため、ローラホルダ6が支点軸7(図2)を中心として互いに対向方向{同図(ウ)鎖線矢印方向}に揺動し、対の主ガイドローラ3の芯間寸法は「2γ」(γ+γ)に調整される。
上記の移動の過程では、調整歯部保有体13のラック13cが前進するから、各ラックピニオン17がラック上を互いに対向方向{図12(ウ)実線矢印方向}に回転し、互いに対向方向{同図(ウ)点線矢印方向}に回転する偏芯歯車16を通じて偏芯歯車に対して偏芯している対の副ガイドローラ4がローラ偏芯支持軸10を中心として互いに対向方向に回転し、芯間寸法は「2γ」(γ+γ)に調整される。
対の主ガイドローラ3及び対の副ガイドローラ4のそれぞれの芯間寸法が互いに「2γ」となるようにスライド面14b11が曲線を形成してある。
【0014】
次に、主副双方のガイドローラ3,4の芯間寸法の調整方法について、図2図6図9及び図12に基づいて説明する。
<1>調整開始前・・・図12(ア)
調整開始前における主副双方のガイドローラ3,4の芯間寸法の状態は図12(ア)に示すとおりである。
対の主ガイドローラ3及び対の副ガイドローラ4における各芯間が同じ寸法「2α」を保持している。
<2>拡大調整・・・図12(イ)
主副双方のガイドローラ3,4の芯間寸法を拡大するための調整作用について説明する。
<2-1>主ガイドローラ3の芯間寸法の拡大調整
調整操作軸11を反時計方向に回すと、調整ブラケット12が後方(図9右方向)に移動する。調整ブラケット12の後退に伴ってこの調整ブラケットの両側に取り付けられているコッター14も後方に従動する。コッター14の後退に伴いスライド部14b1及びスライド面14b11も後退する。すると、ローラホルダ6の後端に取り付けられているプレッシャー体15はスライド部14b1との間で相対的移動関係にあるから、図12(イ)に示すように引張ばね8(図9)のばね力によりスライド面14b11を押圧しながら相対的に前進する。各プレッシャー体15が互いに通過線LN方向へ狭まる過程で、ローラホルダ6は支点軸7の偏芯軸部7b(図1)を中心として互いに反対向方向に揺動し、対のローラホルダの後端側は互いに接近し、先端部側が離れて行き、対の主ガイドローラ3の芯間は拡大される。
このように調整操作軸11を反時計方向に回して各スライド面14b11に対する各プレッシャー体15が互いに狭まる方向へのスライドに対応して、対のローラホルダ6を介して対の主ガイドローラ3の芯間寸法「2α」が拡大した芯間寸法「2β」に調整される。
<2-2>副ガイドローラ4の芯間寸法の拡大調整
図2図9及び図12(ア)に示す調整操作軸11を用いてその軸心を中心として反時計方向に回すと、調整ブラケット12が後方に移動し、この調整ブラケットの移動に伴って連結されている調整歯部保有体13も後方に移動する。後方移動により、両側のラック13cを介してそれぞれのラックに噛み合っている各ラックピニオン17が反対向方向に回転する。両ラックピニオン17に噛み合っている各偏芯歯車16も互いに反対向方向に回転する。このため、各偏芯歯車16は偏芯軸部7bの軸心を中心として回転するから、偏芯軸部に対して偏芯状態に位置しているローラ偏芯支持軸10を回転中心とする副ガイドローラ4は偏芯移動する。この結果、対の副ガイドローラ4の芯間寸法は拡大される。
調整操作軸11を反時計方向に回して各ラック13c上を回転しながら後退する各ラックピニオン17及びこれらのラックピニオンと噛み合っている偏芯歯車16の回転に対応して偏芯回転する対の副ガイドローラ4の芯間寸法「2α」が拡大した芯間寸法「2β」に調整される。
<3>狭小調整・・・図12(ウ)
主副双方のガイドローラ3,4の芯間寸法を狭小にするための調整作用について説明する。
<3-1>主ガイドローラ3の芯間寸法の狭小調整
調整操作軸11を時計方向に回すと、調整ブラケット12が前方(図9左方向)に移動する。調整ブラケット12の前進に伴ってコッター14も前方に従動する。コッター14の前進に伴いスライド部14b1も前進するから、図12(ウ)に示すように各プレッシャー体15はスライド面14b11と相対的移動関係にあるから、同図上下に拡がる。プレッシャー体15は引張ばね8(図9)のばね力に抗してスライド面14b11を押圧しながら拡がる。プレッシャー体15が互いに拡がる過程で、対のローラホルダ6は支点軸7の偏芯軸部7b(図1)を中心として互いに対向方向に回転し、対のローラホルダの後端側は互いに離間し、先端部側が接近して行き、対の主ガイドローラ3の芯間は狭くなる。
このように調整操作軸11を時計方向に回してスライド面14b11に対するプレッシャー体15が拡がるのに対応して、対のローラホルダ6を介して主ガイドローラ3の芯間寸法「2α」が狭小した芯間寸法「2γ」に調整される。
<3-2>副ガイドローラ4の芯間寸法の狭小調整
図2及び図9に示す調整操作軸11を用いてその軸心を中心として時計方向に回すと、調整ブラケット12が前方(図9左方向)に移動し、調整歯部保有体13も前方に移動する。この前方移動により、両側のラック13cを介してそれぞれのラックに噛み合っている各ラックピニオン17が互いに対向方向に回転する。このため、各ラックピニオン17に噛み合っている各偏芯歯車16は互いに対向する方向に回転する。各偏芯歯車16は偏芯軸部7bを中心として回転するから、偏芯軸部に対して偏芯状態に位置しているローラ偏芯支持軸10を回転中心とする副ガイドローラ4は偏芯移動する。この結果、対の副ガイドローラ4の芯間寸法は狭くなる。
<3-3>このように調整操作軸11を時計方向に回して各ラック13c上を回転しながら後退する各ラックピニオン17及びこれらのラックピニオンと噛み合っている偏芯歯車16の回転に対応して偏芯回転する対の副ガイドローラ4の芯間寸法「2α」が狭小した芯間寸法「2γ」に調整される。
<4>主副双方のガイドローラ3,4の芯間寸法の拡大及び縮小の調整に関しては、調整操作軸11を回して、主副双方のガイドローラそれぞれの芯間寸法を同時に調整する。
調整操作軸11の回転により、対の主ガイドローラ3及び対の副ガイドローラ4における各芯間寸法は同じ寸法を保持しつつ調整される。
【0015】
本発明におけるローラーガイドの他の実施例について図13図21を参照して説明する。
この他の実施例におけるローラーガイドG2の特徴は芯間調整機構102にある。特に、芯間調整機構102における連動介在体117を偏芯車116に取り付けて、連動介在体が従動調整体113の前後移動を偏芯車に伝達することにある。
連動構成を除くローラーガイドG2における他の構成は、ローラーガイドG1におけるそれと実質的に異ならないので、ローラーガイドG1と共通するローラーガイドG2の構造及び作用に関しては詳細な説明を省略するが、必要に応じて概略説明をする。
【0016】
図17及び図18において、ローラーガイドG2の芯間調整機構102は調整操作軸111、主移動調整体112、従動調整体113、調整作動体114、伝達体115、偏芯車116及び連動介在体117を備えている。
図14及び図17に示す調整操作軸111は、前記調整操作軸11と同一構成であり、ガイドボックス101の後端(図17右端)の上部101a(図16)側に挿入され、軸心を中心として回転可能である。調整操作軸111の後端部がガイドボックス101の後端外に突出され、先端部側がガイドボックス内に突出されている。そして、図17に示すように調整操作軸111の先端部は主移動調整体112である調整ブラケットのねじ孔112aにねじ込まれ、この調整操作軸と調整ブラケットとは相対的移動関係にある。調整操作軸111をその軸心を中心とする回転操作によって、調整ブラケット112は調整操作軸の軸方向に沿って前後に移動することができる。
【0017】
図17及び図18に示す調整ブラケット112は、その構成及び作用が図9に示す調整ブラケット12のそれらと同様であり、ガイドボックス101に配置されている。調整ブラケット112は、上述したように相対的な移動関係にある調整操作軸111をその軸心を中心とする時計方向又は反時計方向の回転操作により、調整操作軸の軸方向に沿って前後に移動可能である。
また、調整ブラケット112を挟んで調整ブラケットの両側面(図17上下両面)には調整作動体114となるコッターをねじ止めしてある。各コッター114は前記コッター14と構成及び作用が異ならない。図13図16及び図17に示すようにコッター114は取付け部114aを介して従動調整体113の両側面にねじ止めされている。コッター114の調整作動部114bの垂下部の下端がスライド部114b1(図17点線図示。)となっている。スライド部114b1の内面はガイドボックス101の両側面に接し、外面はスライド面114b11(図17点線図示。)となっている。スライド面114b11が主副双方のガイドローラ103,104に向けて下がっている曲面である。
スライド部114b1には、図17に示すように対のローラホルダ106の後端部106aに設けてある伝達体115であるプレッシャー体が当接されている。図13及び図17に示す引張ばね108が、常時対のローラホルダ106の後端部106a間が狭くなるようにローラホルダにばね力を付与している。このため、プレッシャー体115がスライド部114b1のスライド面114b11を押圧状態に接している。
このように、プレッシャー体115は前記プレッシャー体15と異ならない構成及び作用を備えている。
なお、主副双方のガイドローラ103,104の各芯間と両スライド面114b11の曲面とが対応している。
【0018】
図15及び図17において、従動調整体113である移動調整プレートは、後端に設けてある連結部113aが調整ブラケット112にその内部に嵌合されねじ止めされている。連結部113aには調整操作軸111のねじ込みを可能にするためのねじ孔113a1を開けてある。ねじ孔113a1は調整ブラケット112のねじ孔112aと連通している。図20に示す移動調整プレート113の底部には前記ガイド凸部13bに対応する前後に長いガイド凸部113bを設けてあって、同図に示すようにガイドボックス101上に形成されているガイド長溝101a1内に移動可能に嵌め込まれている。調整ブラケット112及び移動調整プレート113はその移動の過程において、ガイド凸部113b及びガイド長溝101a1を通じてガイドボックス101上を円滑に移動することができる。
また、図17及び図18において、移動調整プレート113の先端部の両側に対の調整スリット113cをそれぞれ設けてある。両調整スリット113cは、対のローラホルダ106の先端に向かって互いに閉じる方向又は開く方向に配置された細長い孔である。図示の例では、両調整スリット113cが移動調整プレート113の進行方向の移動に基づいてその先端部側が互いに閉じるように、後端部側が開くようにそれぞれ形成されている。各調整スリット113cは対向方向にわずかに接近状態に湾曲した細孔である。各細孔における対向する内面113c1が調整操作軸111の回転量と主副双方のガイドローラ103,104の芯間寸法とが比例関係になるような曲面を形成している。
図17図19に示すように、移動調整プレート113の両調整スリット113cに対してその下方には偏芯車116がそれぞれ形成されている。偏芯車116は支点軸107に偏芯して設けてある偏芯軸部107bを回転中心としている。各偏芯車116には偏芯ピン117が上方に突出され、偏芯ピンのそれぞれが調整スリット113c内を挿通している。偏芯ピン117は偏芯車116の回転に伴って偏芯軸部107bを中心として回転する。偏芯ピン117の移動は移動調整プレート113のそれと相対的な関係があり、調整スリット113c内を移動可能である。
調整スリット113c、偏芯ピン117及び偏芯車116の関係について図17及び図18に基づいて説明する。
移動調整プレート113が後退すれば、各調整スリット113cも後退するから、この後退に伴って調整スリット内に挿入起立されている各偏芯ピン117は内側(対向側)に押される。このため、図17の上方に位置する偏芯車116は偏芯ピン117を通じて時計方向に、下方に位置する偏芯車は偏芯ピンを通じて反時計方向にそれぞれ偏芯回転する。
移動調整プレート113が前進すれば、調整スリット113cも前進するから、この前進に伴って偏芯ピン117は外側に押される。このため、図17の上方に位置する偏芯車116は偏芯ピン117を通じて反時計方向に、下方に位置する偏芯車は偏芯ピンを通じて時計方向にそれぞれ偏芯回転する。
エントリーガイド105、偏芯ピース107a及びローラ支持軸109はエントリーガイド5、偏芯ピース7a及びローラ支持軸9にそれぞれ対応する。
【0019】
図21を参照して、調整操作軸111と、対の主ガイドローラ103及び対の副ガイドローラ104との関係を説明する。
図21において、プレッシャー体115のアール面115aがスライド部114b1のスライド面114b11上の同図(ア)に示す位置(以下「調整前段階の位置」という。)にある時、対の主ガイドローラ103及び対の副ガイドローラ104のそれぞれの芯間寸法が互いに同一の芯間寸法「2a」となるようにスライド面114b11が曲面を形成してある。換言すれば、アール面115aが調整前段階の位置にある時、対の主ガイドローラ103及び対の副ガイドローラ104のそれぞれの芯から圧延材の通過線LNに至る寸法はいずれも同一寸法「a」に設定されている。
アール面115aが調整前段階の位置から図21(イ)の位置までスライドして移動する過程では、調整操作軸111を回して調整ブラケット112(図17)を後退させると、各スライド部114b1も後退して、アール面が各スライド部のスライド面114b11上をスライドしながら前進して同図(イ)の位置に至ると、ローラホルダ106がローラ偏芯支持軸110を中心として互いに反対向方向{同図(イ)鎖線矢印方向}に回転して、対の主ガイドローラ103の芯間寸法は「2b」(b+b)に調整される。芯間寸法が互いに「2b」となるようにスライド面114b11が曲面を形成している。
上記過程では調整操作軸111を回して調整ブラケット112(図17)を後退させると、移動調整プレート113及び調整スリット113cも後退するから、各偏芯ピン117が互いに対向方向{図21(イ)実線矢印方向}に回転し、互いに反対向方向{同図(イ)点線矢印方向}に回転する偏芯車116を通じて、偏芯回転する対の副ガイドローラ104がローラ偏芯支持軸110を中心として互いに反対向方向に回転して芯間寸法は「2b」(b+b)に調整される。芯間寸法が互いに「2b」となるようにスライド面114b11が曲面を形成している。
また、図21において、アール面115aが調整前段階の位置にある時、調整操作軸111を回して調整前段階の位置から同図(ウ)の位置までスライドする過程では、調整ブラケット112(図17)を前進させると、各スライド部114b1も前進して、両アール面が各スライド部のスライド面114b11上をスライドしながら同図上下方向に拡がり図21(ウ)の位置に至ると、ローラホルダ106がローラ偏芯支持軸110を中心として互いに対向方向{同図(ウ)鎖線矢印方向}に回転して、対の主ガイドローラ103の芯間寸法は「2c」(c+c)に調整される。
上記過程では調整操作軸111を回して調整ブラケット112(図17)を前進させると、移動調整プレート113及び各調整スリット113cは前進するから、偏芯ピン117が互いに反対向方向{図12(ウ)実線矢印方向}に回転しながら前進するため対向方向{同図(ウ)点線矢印方向}に回転する偏芯車116を通じて対の副ガイドローラ104がローラ偏芯支持軸110を中心として互いに対向方向に回転して芯間寸法は「2c」(c+c)に調整される。芯間寸法が互いに「2c」となるようにスライド面114b11が曲面を形成している。
【0020】
次に、主副双方のガイドローラ103,104の芯間寸法の調整方法について、図17及び図21に基づいて説明する。
<1>調整開始前・・・図21(ア)
調整開始前における主副双方のガイドローラ103,104の芯間寸法の状態は図21(ア)に示すようにいずれも同一の芯間寸法「2a」に設定されている。
<2>拡大調整・・・図21(イ)
主副双方のガイドローラ103,104の芯間寸法を拡大するための調整作用について説明する。
<2-1>主ガイドローラ103の芯間寸法の拡大調整
図17に示す調整操作軸111を反時計方向に回すと、調整ブラケット112が後方(同図右方向)に移動する。調整ブラケット112の後退に伴ってコッター114も後方に従動する。コッター114の後退に伴いスライド面114b11を有するスライド部114b1も図21(イ)右方に後退する。対のローラホルダ106の後端にそれぞれ取り付けられているプレッシャー体115は、スライド部114b1とは相対的移動関係にあるから、後退するスライド部のスライド面114b11を同図(イ)に示すように引張ばね108(図17)のばね力により押圧しながら前進し互いが次第に拡がって行く。プレッシャー体115の相対的前進の過程で、対のローラホルダ106はローラ偏芯支持軸110を中心として反対向方向に揺動し、対のローラホルダの後端側は接近し、先端部側が離間し、対の主ガイドローラ103の芯間寸法は「2b」に拡大される。
<2-2>副ガイドローラ104の芯間寸法の拡大調整
図17に示す調整操作軸111を用いてその軸心を中心として反時計方向に回すと、調整ブラケット112が後方(同図右方向)に移動し、この調整ブラケットの後退に伴って連結されている移動調整プレート113も後方に従動する。移動調整プレート113の後方移動すなわち図21(イ)右方移動により、両側の調整スリット113c内に挿入されている偏芯ピン117を介して各偏芯車116が互いに対向方向に回転する。換言すれば、偏芯ピン117を立ち上げている各偏芯車116は互いに対向方向に回転する。各偏芯車116は偏芯軸部107bを中心として回転するから、偏芯軸部に対して偏芯状態に位置しているローラ偏芯支持軸110を回転中心とする副ガイドローラ104は偏芯回転する。この結果、対の副ガイドローラ104の芯間寸法は「2b」に拡大される。
このように調整操作軸111を反時計方向に回して移動調整プレート113を後退移動させ、一方ではスライド部114b1及びプレッシャー体115を介しかつ対のローラホルダ106を通じて対の主ガイドローラ103の各芯間寸法の拡大調整を行い、他方では各調整スリット113c、各偏芯ピン117及び各偏芯車116を通じて対の副ガイドローラ104の各芯間寸法の拡大調整を行い、双方の調整が同時にされる。
<3>狭小調整・・・図21(ウ)
主副双方のガイドローラ103,104の芯間寸法を狭小にするための調整作用について説明する。
<3-1>主ガイドローラ103の芯間寸法の狭小調整
図17に示す調整操作軸111を時計方向に回すと、調整ブラケット112が前方(同図左方向)に移動する。調整ブラケット112の前進に伴ってこの調整ブラケットのコッター114も前方に従動する。コッター114の前進に伴い図21(ウ)に示すスライド部114b1も前進するから、ローラホルダ106の後端の両プレッシャー体115はスライド部114b1とは相対的移動関係にあるから、同図上下に拡がる。この相対的移動関係に基づいて各プレッシャー体115は引張ばね108(図17)のばね力に抗してスライド面114b11を押圧しながら拡がって行く。各プレッシャー体115の互いの距離が拡がりの過程で、対のローラホルダ106はローラ偏芯支持軸110を中心として互いに対向方向に揺動し、各ローラホルダの後端側は離間し、先端部側の対の主ガイドローラ103の芯間は狭くなる。
<3-2>副ガイドローラ104の芯間寸法の狭小調整
図17に示す調整操作軸111を用いてその軸心を中心として時計方向に回すと、調整ブラケット112が前方(同図左方向)に移動し、この調整ブラケットの移動に伴って移動調整プレート113も前方に従動する。移動調整プレート113の図21(ウ)の左方移動(前方移動)により、両調整スリット113c内に挿入されている偏芯ピン117を立ち上げている各偏芯車116が互いに反対向方向に回転する。反対向方向に回転する各偏芯車116に対して偏芯状態に位置しているローラ偏芯支持軸110を回転中心とする副ガイドローラ104は偏芯回転する。この結果、対の副ガイドローラ104の芯間寸法は狭くなる。
<3-3>このように調整操作軸111を時計方向に回して調整ブラケット112を介してスライド部114b1が前進移動し、プレッシャー体115を相対的に後退しながら図21上下に拡げさせることにより、一方ではスライド部114b1及びプレッシャー体115を介しかつ対のローラホルダ106を通じて対の主ガイドローラ103の各芯間寸法の狭小調整を行い、他方では各調整スリット113c、各偏芯ピン117及び各偏芯車116を通じて対の副ガイドローラ104の各芯間寸法の狭小調整を行い、双方の調整が同時にされる。
<4>調整操作軸111の回転量と、対の主ガイドローラ103及び対の副ガイドローラ104における各芯間寸法とは比例関係にあり、各芯間に関して調整操作軸の回転により同じ寸法を保持しつつ調整可能となる。
【0021】
芯間調整を説明する図12及び図21において、スライド部14b1のスライド面14b11及びスライド部114b1のスライド面114b11はいずれも両スライド面14b11及び両スライド面114b11はそれぞれ互いに対の副ガイドローラ4,104に向けて次第に接近する方向に曲面を形成している。しかし、図示する例に限られず、両スライド面14b11及び両スライド面114b11はそれぞれ互いに対の副ガイドローラ4,104に向けて次第に離れる方向に曲面を形成するようにしても良い。
主移動調整体12,112及び従動調整体13,113の往復動を主副双方のガイドローラ3,4,103,104に伝達する連動手段として、第1の実施例では従動調整体に設けてある歯部13c、偏芯歯車16及びラックピニオン17、第2の実施例としては調整スリット113c、偏芯車116及び偏芯ピン117を用いて形成したため、連動手段の構成が簡易になると共に連動作用が円滑になるが、これらの例に必ずしも限定されない。
調整作動体14,114であるコッターによって対のローラホルダ6,106を直接連動作用させても良いが、ローラホルダの後端部側に伝達体15,115であるプレッシャー体を取り付けて、各プレッシャー体を通じて対のローラホルダの作用を可能にすると、主副双方のガイドローラ3,4,103,104の調整が確実になる。
【符号の説明】
【0022】
G1,G2 ローラーガイド
R 圧延ロール
1,101 ガイドボックス
1a,101a ガイドボックスの上部
1a1,101a1 ガイド長溝
2,102 芯間調整機構
3,103 主ガイドローラ
4,104 副ガイドローラ
6,106 ローラホルダ
6a,106a ローラホルダの後端部
7,107 支点軸
7b,107b 偏芯軸部
9,109 ローラ支持軸
10,110 ローラ偏芯支持軸
11,111 調整操作軸
12,112 調整ブラケット(主移動調整体)
13 調整歯部保有体(従動調整体)
13c ラック(歯部)
14,114 コッター(調整作動体)
14b1,114b1 スライド部
14b11,114b11 スライド面
15,115 プレッシャー体(伝達体)
15a,115a アール面
16 偏芯歯車(偏芯車)
17 ラックピニオン(連動介在体)
113 移動調整プレート(従動調整体)
113c 調整スリット
113c1 調整スリットの内面
116 偏芯車
117 偏芯ピン(連動介在体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21