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  • 特許-海苔加工食品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】海苔加工食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20241204BHJP
【FI】
A23L17/60 103A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023092445
(22)【出願日】2023-06-05
【審査請求日】2024-05-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505455417
【氏名又は名称】株式会社イツワ工業
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直人
【審査官】伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-134070(JP,A)
【文献】特開2004-147648(JP,A)
【文献】特開2002-119256(JP,A)
【文献】特開2022-027054(JP,A)
【文献】登録実用新案第3124648(JP,U)
【文献】特開2003-038133(JP,A)
【文献】特開昭62-151165(JP,A)
【文献】特開昭64-051066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔簀に抄製した海苔生地をマイクロ波によって含水率5~7%に急速乾燥させた後に油を用いて加熱し、その後、蒸気を当てながら油切りすることを特徴とする海苔加工食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔加工食品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、海苔加工食品の製造においては、乾燥海苔製造装置で連続して製造された乾燥海苔を原料として用いている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
乾燥海苔の製造においては、海苔簀の搬送経路上に、海苔簀に海苔生地を抄製する抄製装置と、抄製された海苔生地を温風で乾燥させる乾燥装置とを設け、海苔簀を搬送しながら抄製装置で抄製した海苔生地を乾燥装置で乾燥させることで、連続して乾燥海苔を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-68号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の海苔加工食品の製造方法では、乾燥海苔製造装置の乾燥装置で海苔生地を温風を用いて時間をかけてゆっくりと乾燥させ乾燥海苔を製造しているために、含水率が10%程になっている。
【0006】
そのため、乾燥海苔製造装置で連続して製造された乾燥海苔を原料として用いて海苔加工食品を製造すると、含水率が高くて、歯ごたえの悪い海苔加工食品となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、海苔加工食品の製造方法において、海苔簀に抄製した海苔生地をマイクロ波によって含水率5~7%に急速乾燥させた後に油を用いて加熱し、その後、蒸気を当てながら油切りすることにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、海苔加工食品の製造方法において、海苔簀に抄製した海苔生地を含水率7%以下に急速乾燥させた後に油を用いて加熱し、その後、温風を当てながら油切りすることにしているために、歯切れが良好な海苔加工食品を製造することができる。
【0012】
特に、前記海苔生地をマイクロ波で急速乾燥させることにした場合には、短時間で歯切れが良好な海苔加工食品を製造することができる。
【0013】
また、海苔簀の搬送経路上に、海苔簀に海苔生地を抄製する抄製装置と、抄製された海苔生地を温風で乾燥させる乾燥装置とを設け、海苔簀を搬送しながら抄製装置で抄製した海苔生地を乾燥装置で乾燥させることで、連続して乾燥海苔を製造し、その際に乾燥装置の稼働直後又は乾燥条件変更直後の所定時間に抄製装置で抄製された海苔生地を用いて海苔加工食品を製造することにした場合には、乾燥装置の稼働直後又は乾燥条件変更直後から乾燥装置が安定した状態となるまでの間を利用して海苔加工食品の原料を製造することができるとともに、その後は安定した状態の乾燥装置で乾燥海苔を均質に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】海苔加工食品の製造方法を示す説明図。
図2】乾燥海苔製造装置を示す平面説明図。
図3】同側面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る海苔加工食品の製造方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1図3に示すように、海苔加工食品は、乾燥海苔製造装置1で乾燥海苔を製造する過程(途中)において生成される海苔生地を用いて製造することができる。
【0017】
乾燥海苔製造装置1は、筐体2の内部に搬送装置3を設けている。ここで、搬送装置3は、左右に並べた複数枚(ここでは、8枚)の海苔簀4を着脱自在に取付けた簀枠5を間欠的に搬送するものであり、前側筐体6に設けた無端状の前側搬送機構7と後側筐体8に設けた無端状の後側搬送機構9とを連動させて駆動するようになっている。
【0018】
この搬送装置3は、前側搬送機構7の上部側において前側搬送機構7で海苔簀4が装着された簀枠5を水平にした状態で前方から後方に向けて搬送した後に、簀枠5を前側搬送機構7の上部後端部から後側搬送機構9の上部前端部に受渡し、後側搬送機構9の上部側において簀枠5を垂直にした状態で前方から後方に向けて搬送した後に後側搬送機構9の下部側において後方から前方に向けて搬送し、その後、簀枠5を後側搬送機構9の下部前端部から前側搬送機構7の下部後端部に受渡し、前側搬送機構7の下部側において簀枠5を水平にした状態で後方から前方に向けて搬送するようにしている。これにより、搬送装置3は、前側搬送機構7の上部前方から上部後方、後側搬送機構9の上部前方から上部後方、同じく後側搬送機構9の下部後方から下部前方、前側搬送機構7の下部後方から下部前方に海苔簀4を簀枠5ごと循環して搬送させる搬送経路を形成している。
【0019】
乾燥海苔製造装置1では、搬送装置3による海苔簀4の搬送経路に沿って抄製装置10、脱水装置11、乾燥装置12、剥離装置13、海苔簀洗浄装置14を順に配置して、搬送装置3によって循環搬送される海苔簀4に抄製された海苔生地を脱水し乾燥させて乾燥海苔を製造する。
【0020】
しかも、本発明に係る乾燥海苔製造装置1では、海苔簀4の搬送経路上の抄製装置10よりも上流側に空の加工用海苔簀15を搬送装置3(前側搬送機構7)に搬入するための搬入装置16を設けるとともに、搬送経路上の抄製装置10(脱水装置11)よりも下流側に抄製装置10で海苔生地を抄製した加工用海苔簀15を搬送装置3(前側搬送機構7)から搬出するための搬出装置17を設けている。
【0021】
なお、これら搬送装置3、抄製装置10、脱水装置11、乾燥装置12、剥離装置13、海苔簀洗浄装置14、搬入装置16、搬出装置17は、制御装置で連動して制御されている。
【0022】
ここで、抄製装置10は、前側筐体6の上部前側に配置されており、生海苔と水分とからなる海苔原料を搬送装置3が停止中に各海苔簀4の上面に所定量供給して各海苔簀4に海苔生地を所定形状に抄製するものである。
【0023】
脱水装置11は、前側筐体6の上部後側に配置されており、搬送装置3が停止中に各海苔簀4に抄製された海苔生地にスポンジ等を押圧して海苔生地の脱水を行うものである。
【0024】
乾燥装置12は、後側筐体8の側部に複数台(ここでは、6台)の乾燥機を前後に並べて配置しており、各乾燥機で発生した温風の熱によって各海苔簀4に抄製された海苔生地を乾燥させるものである。
【0025】
剥離装置13は、前側筐体6の下部後側に配置されており、乾燥装置12で乾燥させた乾燥海苔を搬送装置3が停止中に各海苔簀4から剥離して回収するものである。
【0026】
海苔簀洗浄装置14は、前側筐体6の下部前側に配置されており、各海苔簀4の上下面を洗浄するものである。
【0027】
搬入装置16は、搬送装置3で搬送される簀枠5に装着された海苔簀4の上部に、空の加工用海苔簀15を載置するものである。
【0028】
搬入装置16は、筐体2の側部に複数の加工用海苔簀15を上下に重ねて収容したストッカー18を設けるとともに、搬送装置3で搬送される簀枠5とストッカー18との間で加工用海苔簀15を移送する移送機構19を設けている。
【0029】
そして、搬入装置16は、ストッカー18の上方に移送機構19を移動させ、移送機構19によってストッカー18から1枚の加工用海苔簀15を吸着して取出させ、移送機構19を簀枠5のいずれかの海苔簀4の上方に移動させ、搬送装置3が停止している間に移送機構19の吸着を解除して海苔簀4の上部に加工用海苔簀15を載置する。これにより、加工用海苔簀15は、搬送装置3によって簀枠5(海苔簀4)とともに搬送され、抄製装置10によって所定量の海苔生地が抄製された後に脱水装置11で海苔生地が脱水される。
【0030】
搬出装置17は、搬送装置3で搬送される簀枠5のいずれかの海苔簀4の上部に載置され抄製装置10による抄製と脱水装置11による脱水とが行われた加工用海苔簀15を搬送装置3から搬出するものである。
【0031】
搬出装置17には、急速乾燥装置20が接続されており、搬出装置17は、搬送装置3で簀枠5(海苔簀4)とともに搬送される加工用海苔簀15を急速乾燥装置20に移送する移送機構21を設けている。
【0032】
そして、搬出装置17は、移送機構21を加工用海苔簀15の上方に移動させ、搬送装置3が停止している間に移送機構21で加工用海苔簀15を吸着して取出させ、移送機構21を急速乾燥装置20に移動させるとともに吸着を解除して加工用海苔簀15を急速乾燥装置20に搬入する。
【0033】
急速乾燥装置20は、加工用海苔簀15に抄製された海苔生地にマイクロ波を照射することによって、海苔生地を2~5分で含水率5~7%まで急速に乾燥させるようにしている。
【0034】
本発明に係る海苔加工食品の製造方法では、上記乾燥海苔製造装置1で乾燥海苔を製造する際に、一部の海苔生地を上記急速乾燥装置20で急速乾燥させて海苔加工食品を製造するようにしている。
【0035】
乾燥海苔製造装置1では、搬送装置3による海苔簀4(簀枠5)の搬送経路上に、海苔簀4に海苔生地を抄製する抄製装置10と、抄製された海苔生地を温風で乾燥させる乾燥装置12とが設けられており、図1に示すように、搬送装置3によって海苔簀4を連続して搬送しながら抄製装置10で抄製した海苔生地を脱水装置11で脱水した後に乾燥装置12で通常乾燥させることで、連続して乾燥海苔を製造する。
【0036】
ところが、海苔生地を乾燥装置12で通常乾燥(温風により40~80℃で2~3時間かけて乾燥)させた場合、含水率が10%前後の乾燥海苔が製造される。この乾燥海苔は、一般的に流通する海苔としては食感が良好なものになる。しかし、この乾燥海苔では、時間をかけてゆっくりと乾燥するために、海苔の葉体の収縮率が小さく、歯切れの良好な海苔とは言えず、そのまま乾燥海苔を原料として海苔加工食品とするには不向きである。
【0037】
また、乾燥海苔製造装置1では、乾燥装置12を稼働させた直後や乾燥装置12の乾燥条件(温度や湿度や乾燥時間など)の設定を変更した直後においては、乾燥装置12が設定した温度や湿度や乾燥時間などの乾燥条件を満たす状態となるまでにある程度の時間を要し、その時間内では乾燥装置12の乾燥条件が不安定な状態となっている。
【0038】
そこで、乾燥装置12を稼働させた直後や乾燥装置12の乾燥条件の設定を変更した直後の所定時間においては、乾燥海苔製造装置1の搬入装置16を駆動させ、搬送装置3で搬送される海苔簀4の上部に加工用海苔簀15を載置し、図1に示すように、乾燥海苔製造装置1の搬送装置3によって加工用海苔簀15を連続して搬送しながら抄製装置10で抄製した海苔生地を脱水装置11で脱水した後に、搬出装置17を駆動させ、搬送装置3で搬送される海苔簀4の上部に載置された加工用海苔簀15だけを搬出して急速乾燥装置20に搬入し、加工用海苔簀15に抄製された海苔生地を急速乾燥装置20で急速に乾燥させる。
【0039】
その後、急速乾燥装置20で急速乾燥させた海苔生地に食塩等の調味料を付着させ、食用油で揚げる加工を施す。なお、急速乾燥させた海苔生地は、油を用いて加熱して固化(撓らない程度に硬化)させることができればよく、油で揚げたり炒めたりすればよい。
【0040】
その後、油で揚げた海苔生地に温風を当てて、水分と油分とを十分に除去して、海苔加工食品を製造する。たとえば、熱湯を貯留した容器の上方開口に網を設け、網に海苔生地を1~5分程度載置しておくことで、熱湯から蒸発する蒸気の対流によって海苔生地に温風を当てながら、海苔生地に含有(付着)される水分や油分を容器へと滴下させることができる。なお、海苔生地に温風を強制的に吹き付けてもよい。
【0041】
この海苔加工食品は、原料として2~5分で含水率5~7%まで急速乾燥させた海苔生地を用いているために、海苔の葉体の収縮率が大きくなり、歯切れが良好な海苔加工食品となる。なお、乾燥時間が短すぎると海苔生地の乾燥が不十分であり、乾燥時間を10分以上とすると海苔の葉体の収縮率が小さくなる。また、海苔生地の含水率が5%より低いと乾燥後に脆く粉砕されてしまい、海苔生地の含水率が7%より高いと海苔加工食品の歯切れが悪くなる。
【0042】
特に、乾燥装置12を稼働させた直後や乾燥装置12の乾燥条件の設定を変更した直後において、不安定な状態の乾燥装置12を用いて不均質な乾燥海苔を大量に製造することなく、良質な海苔加工食品を製造することができる。なお、乾燥装置12の稼働直後又は乾燥条件変更直後の所定時間は、予め設定した時間でもよく、乾燥装置12に設けた各種センサーで乾燥条件が安定したのを確認するまでの時間でもよい。
【0043】
また、従来においては、味付け海苔等の食品添加物を添加した乾燥海苔を製造する場合に、乾燥海苔を製造した後に、乾燥海苔の表面に食品添加物を添加し、その後、再度乾燥させていた。そのため、乾燥工程が2回に必要となり、製造にコストや時間や労力を要していた。
【0044】
そこで、上記海苔加工食品の製造においては、上記乾燥海苔製造装置1の乾燥工程よりも前に海苔原藻と水分とからなる湿った状態の海苔原料に食品添加物を添加することにして、乾燥工程を1回だけにすることで、製造に要するコストや時間や労力を低減することにした。
【0045】
すなわち、上記乾燥海苔製造装置1において、海苔原料を貯留する原料タンク22と抄製装置10とを接続する供給管23の中途部に海苔原料に食品添加物を添加するための添加装置24を接続している。
【0046】
添加装置24は、供給管23の中途部に調整バルブ25を介して食品添加物を貯留するための添加物タンク26を接続している。原料タンク22、添加装置24(調整バルブ25、添加物タンク26)は、制御装置に接続されており、制御装置によって駆動制御されている。
【0047】
そして、制御装置は、通常の乾燥海苔(食品添加物が添加されていない乾燥海苔)を製造する場合には、調整バルブ25を閉塞させた状態にして、原料タンク22から海苔原料だけを抄製装置10へと供給し、抄製装置10で海苔原料だけを抄製し、脱水装置11で脱水して乾燥装置12で乾燥するようにしている。
【0048】
一方、制御装置は、食品添加物を添加した乾燥海苔を製造する場合には、調整バルブ25を流量調整させた状態にして、原料タンク22から供給される海苔原料に予め設定した所定量の食品添加物を添加して抄製装置10へと供給し、搬入装置16を駆動させ、搬送装置3で搬送される海苔簀4の上部に加工用海苔簀15を載置し、搬送装置3によって加工用海苔簀15を連続して搬送しながら抄製装置10で食品添加物を含有する海苔原料を抄製し、脱水装置11で脱水した後に、搬出装置17を駆動させ、搬送装置3で搬送される海苔簀4の上部に載置された加工用海苔簀15だけを搬出して急速乾燥装置20に搬入し、加工用海苔簀15に抄製された海苔生地を急速乾燥装置20で急速に乾燥させる。
【0049】
ここでは、抄製前かつ乾燥前の海苔原料に食品添加物を添加しているが、これに限られず、乾燥前の海苔原料に食品添加物を添加できればよい。たとえば、乾燥海苔製造装置1の海苔原料の搬送経路上で抄製装置10や脱水装置11よりも下流側で搬出装置17よりも上流側に海苔原料に食品添加物を添加するための添加装置を設けてもよい。添加装置は、食品添加物を貯留するための添加物タンクから供給される食品添加物を抄製された海苔原料に添加するようになっていればよく、食品添加物を海苔原料の上方から噴霧してもよく、食品添加物をローラーや刷毛等で海苔原料の上側表面に塗布してもよい。この場合も、制御装置は、通常の乾燥海苔(食品添加物が添加されていない乾燥海苔)を製造する場合には、添加装置を停止させた状態にして、海苔原料を抄製装置10へと供給し、抄製装置10で海苔原料を抄製し、脱水装置11で脱水し、添加装置で海苔原料に食品添加物を添加させずに、乾燥装置12で乾燥するようにし、一方、制御装置は、食品添加物を添加した乾燥海苔を製造する場合には、添加装置を稼働させた状態にして、搬入装置16を駆動させ、搬送装置3で搬送される海苔簀4の上部に加工用海苔簀15を載置し、搬送装置3によって加工用海苔簀15を連続して搬送しながら海苔原料を抄製装置10へと供給し、抄製装置10で海苔原料を抄製し、脱水装置11で脱水し、添加装置で海苔原料に食品添加物を添加した後に、搬出装置17を駆動させ、搬送装置3で搬送される海苔簀4の上部に載置された加工用海苔簀15だけを搬出して急速乾燥装置20に搬入し、加工用海苔簀15に抄製された海苔生地を急速乾燥装置20で急速に乾燥させる。
【0050】
なお、食品添加物としては、味付け海苔を製造するための調味料に限られず、保存料や甘味料や着色料や香料などでもよい。たとえば、乾燥海苔の味を良くすることを目的として調味料や甘味料を用いてもよく、乾燥海苔の色や艶を良くすることを目的として着色料を用いてもよく、乾燥海苔の消費期限を延ばす目的で保存料を用いてもよく、乾燥海苔の香りを良くすることを目的として香料を用いてもよい。
【0051】
また、海苔原料に応じて制御装置で添加装置を稼働させて海苔原料に食品添加物を添加するか否かを制御することもできる。たとえば、海苔簀4に抄製する前又は後の海苔原料(海苔原藻)の画像を撮影し、画像処理して、海苔原料(海苔原藻)の色や艶などが予め設定した基準値を超える場合には、制御装置で添加装置の稼働を停止させて通常の乾燥海苔(食品添加物が添加されていない乾燥海苔)を製造し、一方、基準値を下回る場合には、制御装置で添加装置を稼働させて添加物を添加した乾燥海苔を製造するように制御してもよい。また、海苔原藻の味や香りなどをセンサーで検出し、その検出値に基づいて同様の制御を行うようにしてもよい。
【0052】
以上に説明したように、上記海苔加工食品の製造方法は、海苔簀(加工用海苔簀15)に抄製した海苔生地を含水率7%以下に急速乾燥させた後に油を用いて加熱する構成となっている。
【0053】
そのため、上記構成の海苔加工食品の製造方法では、歯切れが良好な海苔加工食品を製造することができる。
【0054】
また、上記海苔加工食品の製造方法は、海苔生地をマイクロ波で急速乾燥させる構成となっている。
【0055】
そのため、上記構成の海苔加工食品の製造方法では、短時間で歯切れが良好な海苔加工食品を製造することができる。
【0056】
また、上記海苔加工食品の製造方法は、海苔簀4(加工用海苔簀15)の搬送経路上に、海苔簀4(加工用海苔簀15)に海苔生地を抄製する抄製装置10と、抄製された海苔生地を温風で乾燥させる乾燥装置12とを設け、海苔簀4(加工用海苔簀15)を搬送しながら抄製装置10で抄製した海苔生地(海苔簀4)を乾燥装置12で乾燥させることで、連続して乾燥海苔を製造し、その際に乾燥装置12の稼働直後又は乾燥条件変更直後の所定時間に抄製装置10で抄製された海苔生地(加工用海苔簀15)を用いて海苔加工食品を製造する構成となっている。
【0057】
そのため、上記構成の海苔加工食品の製造方法では、乾燥装置12の稼働直後又は乾燥条件変更直後から乾燥装置12が安定した状態となるまでの間を利用して海苔加工食品の原料を製造することができるとともに、その後は安定した状態の乾燥装置12で乾燥海苔を均質に製造することができる。
【0058】
また、上記海苔加工食品の製造方法は、海苔原藻と水分とからなる海苔原料(乾燥させる前の海苔原料)に食品添加物を添加した後に乾燥させる構成となっている。
【0059】
そのため、上記構成の海苔加工食品の製造方法では、食品添加物を添加した乾燥海苔を1回の乾燥工程だけで製造することができ、製造に要するコストや時間や手間を低減させることができる。
【0060】
また、従来において色落ちした海苔原藻や摘み取り回数が多くなり味や香りの少ない海苔原藻は、商品価値が低く原価割れのおそれがあることから、生産者の採算が合わず、海洋廃棄していたが、上記海苔加工食品の製造方法により商品価値を高めることができ、生産者の採算に合う乾燥海苔を製造することができる。
【0061】
また、上記海苔加工食品の製造方法は、食品添加物を海苔簀に抄製した海苔原料の表面に付着させた後に乾燥させる構成となっている。
【0062】
そのため、上記構成の海苔加工食品の製造方法では、抄製した海苔原料の表面に食品添加物を良好に付着させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 乾燥海苔製造装置 2 筐体
3 搬送装置 4 海苔簀
5 簀枠 6 前側筐体
7 前側搬送機構 8 後側筐体
9 後側搬送機構 10 抄製装置
11 脱水装置 12 乾燥装置
13 剥離装置 14 海苔簀洗浄装置
15 加工用海苔簀 16 搬入装置
17 搬出装置 18 ストッカー
19 移送機構 20 急速乾燥装置
21 移送機構 22 原料タンク
23 供給管 24 添加装置
25 調整バルブ 26 添加物タンク
【要約】
【課題】歯切れの良好な海苔加工食品を製造すること。
【解決手段】本発明では、海苔加工食品の製造方法において、海苔簀に抄製した海苔生地を含水率7%以下に急速乾燥させた後に油を用いて加熱し、その後、温風を当てながら油切りすることにした。また、前記海苔生地をマイクロ波で急速乾燥させることにした。さらに、海苔簀の搬送経路上に、海苔簀に海苔生地を抄製する抄製装置と、抄製された海苔生地を温風で乾燥させる乾燥装置とを設け、海苔簀を搬送しながら抄製装置で抄製した海苔生地を乾燥装置で乾燥させることで、連続して乾燥海苔を製造し、その際に乾燥装置の稼働直後又は乾燥条件変更直後の所定時間に抄製装置で抄製された海苔生地を用いて海苔加工食品を製造することにした。
【選択図】図1
図1
図2
図3