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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ドライヤー
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/10 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
A45D20/10 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024100063
(22)【出願日】2024-06-21
【審査請求日】2024-07-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518250014
【氏名又は名称】株式会社next innovation
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜本 厚
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210144050(CN,U)
【文献】特開2023-158661(JP,A)
【文献】国際公開第2016/072031(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に外部の気体を吸引する吸引部と、前記吸引部が吸引した気体を加熱する加熱部と、前記加熱部が加熱した気体を放出する放出部と、を備え、
前記吸引部と、前記加熱部とは、分離して設けられ、
前記加熱部は、両端が前記吸引部及び前記放出部に向く筒体と、前記筒体の内周面に当接する薄膜発熱体と、前記筒体の内側の断面を閉鎖する閉鎖部とを有し、
前記閉鎖部は、前記筒体の端面で前記吸引部と相対して設けられているドライヤー。
【請求項2】
前記筒体の外周面から突出する放熱部が複数設けられている請求項に記載のドライヤー。
【請求項3】
前記放熱部は、前記筒体の径方向に対して湾曲して設けられている請求項に記載のドライヤー。
【請求項4】
前記吸引部は、吸引した気体を排出する通気路を有し、
前記通気路は、前記放熱部の流路に向けて配置されている請求項に記載のドライヤー。
【請求項5】
前記吸引部は、筒型の吸引容器と、前記吸引容器に保持されている駆動部と、前記駆動部と接続して前記吸引容器の内部に空気の流動を起こすファンと、を有し、
前記吸引容器は、前記駆動部を支持する駆動支持部と、吸引した気体を端部から排出する通気路とを有し、前記通気路は、前記駆動支持部の周辺に配置されている請求項に記載のドライヤー。
【請求項6】
前記吸引部及び前記加熱部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、蓄電部を有し、前記蓄電部の電力を前記吸引部及び前記加熱部に供給する請求項1に記載のドライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力を低減しながらも使用性能が高いヘアドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライヤーはヒータとモータとを同時に動作させる機器であるため、家電製品としては消費電力が高い。一方、単にヒータやモータを出力が低いものに変更すると髪を乾燥させる目的を十分に達成することができない。これに対して、ヒータの取付を工夫することで高効率にするドライヤーが例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-158661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のドライヤーは、流通する気体の加熱にあたって、環状発熱体を両面で挟み込むように当接させる放熱アセンブリを有する。とはいえこのような放熱アセンブリは、加熱する気体が流通する断面積が大きくなるため、熱にムラが出やすく、また空気加熱の効率が下がる。またアセンブリを保持するための筐体が複雑な構造となり、設計や製造の難易度が上がり単価が上昇するという点等で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、シンプルな構造で空気加熱の効率を向上させ、消費電力を抑えながらも適切に空気加熱が可能なドライヤーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本願発明は、筐体の内部に外部の気体を吸引する吸引部と、前記吸引部が吸引した気体を加熱する加熱部と、前記加熱部が加熱した気体を放出する放出部と、を備え、前記加熱部は、両端が前記吸引部及び前記放出部に向く筒体と、前記筒体の内周面に当接する薄膜発熱体と、前記筒体の内側の断面を閉鎖する閉鎖部とを有する。
このような構成によって、空気の流れる流路を制限して流速を高めるととともに、流通する空気の体積に対する加熱部との接触面積を増やして加熱の効率を高められる。
【発明の効果】
【0007】
上記課題を解決する本発明は、シンプルな構造で空気加熱の効率を向上させ、消費電力を抑えながらも適切に空気加熱が可能なドライヤーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る、ドライヤーの斜視図及び正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る、ドライヤーの断面模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る、ドライヤーの分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る、筒体及び放熱部の説明斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る、閉鎖部に係る説明図である。
図6】本発明の変更例に係る、筒体及び放熱部の説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係るドライヤーXについて説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施例の順に詳述する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。また、出願書類中の「略」は、その後に続く形状に面取りや丸め加工がなされていること、また形状を構成する要素がその構成の目的や効果を阻害しない範囲内で変形や長さ変更されているものを含むことを意味する概念である。
【0010】
《第一の実施形態》
ドライヤーXは、筐体1の内部に外部の気体を吸引する吸引部2と、吸引部2が吸引した気体を加熱する加熱部3と、加熱部3が加熱した気体を放出する吹き出し部4と、吸引部2の吸引度合及び加熱部3の加熱度合を制御する制御部5を備え、吸引部2が吸引した外気を加熱部3で加熱して吹き出し部4で放出する。ドライヤーXにおいて、この気体が通るルートを流路Tとする。
【0011】
筐体1は、図1図3に示すように外気を取り込む筒型の取り込み部11と、吸引部2を格納する筒型の部分を一体に有し、使用者が把持するために突出する部分を有する把持部12と、端部に吹き出し部4を含み、加熱部3を格納する筒型の材であるノズル部13と、を有する。
取り込み部11と、把持部12と、ノズル部13とは、それぞれが有する筒型部分の径が略同一になるように設けられ、把持部12が挟まれて位置するように取り込み部11とノズル部13と接続される。接続の方法としては、例えば接着剤で接合する方法があるが、筒部分同士がお互いに篏合することや、ネジによって螺合するようにしてもよい。一方筐体1は軸線を含む方向に切断されて設けられ、各部がネジ留めされてもよい。
【0012】
吸引部2は、図2に示すように、取り込み部11から外気を吸引し、吹き出し部4に向けた流れを流路Tに生じさせる部分である。吸引部2は、取り込み部11及び/又は把持部12の筒状部分の中に取り付けられる吸引容器21と、吸引容器21の内部で固定され、駆動することで流路Tの内部に流れを生じさせる駆動部22とを有する。実施形態では、駆動部22は回転駆動をし、この部分にファン23が設けられていることで、軸流ファンとして流路Tに吹き出し部4に向かう方向への流れを生じさせる。変更例として、駆動部22は、シロッコファンやターボファンとしてもよい。
【0013】
加熱部3は、ノズル部13の内部に取り付けられ、両端が吸引部2及び吹き出し部4に向く筒体31と、筒体31の内周面に貼り付けられる発熱体である薄膜発熱体32と、前記筒体の内側断面を閉鎖する閉鎖部33と、筒体31の外周面において複数が突出して伸びるように設けられる放熱部34とを有する。放熱部34は、その先端がノズル部13の内周面と接触することで固定され、複数の放熱部34とノズル部13の間に形成される空間が流路Tとなる。加熱部3のうち、筒体31と放熱部34は熱伝導性が高い金属で設けられていることが好ましく、例えばアルミニウムやアルミニウムを含む合金で設けられている。
【0014】
吹き出し部4は、ノズル部13の先端に設けられている部分であって、筒体31の直上に設けられる円盤部材41と、円盤部材41から距離を空けて設けられ、径をノズル部13の径と同一としてノズル部13の端部と接続する円環部材42とを有し、この2材を接続する隔壁が等間隔に設けられ、隔壁の間の領域が連通孔43となる。このように中心部が閉鎖され、その周りに筐体1の内部と連通する連通孔43が設けられることで、連通孔43から加熱された気体が放出されるようにしている。
【0015】
制御部5は、吸引部2及び加熱部3と電気的に接続し、駆動部22や薄膜発熱体32の制御を行う。制御部5は、制御回路50と、制御回路50に信号を伝達する制御スイッチ51と、電力を貯留する蓄電部52とが電気的に接続されている。制御回路50は、制御スイッチ51の信号に応じて蓄電部52の電力を吸引部2及び加熱部3に供給する。
また、制御部5は、少なくとも制御回路50と蓄電部52が流路Tから離れて把持部12の内部に格納されていることで、オーバーヒートを防いでいる。
【0016】
取り込み部11は、コップ型の部品であって、外気を吸引するために複数の孔を有する。複数の孔は網であってもよく、取り込み部11の端面及び周面の何れにも設けられていてもよい。また、取り込み部11の内周面にはフィルタが設けられることで、内部へのゴミの侵入を防ぐことが好ましい。
【0017】
把持部12は、取り込み部11及びノズル部13と接続する筒である接続部分121と、接続部分121の外周面から突出する筒である把持部分122と、を有する。接続部分121の内部空間と把持部分122の内部空間は互いに連通するように設けられている。実施形態において、把持部分122の径は接続部分121よりも大きく、長さは長く設けられていることで、使用者が把持しやすくなる。
【0018】
接続部分121の内部には、主に吸引部2が格納され、把持部分122の内部には、主に制御部5が格納される。把持部12に重量がある部品が集中して格納されることで、全体の重心を中心に寄せて持ちやすくしている。
【0019】
ノズル部13は、把持部12の端面と接続する筒型の部材であって、吹き出す方向を画定する。ノズル部13の内部には主に加熱部3が格納される。実施形態において、放熱部34がノズル部13の内周面と接触することによって、加熱部3が所定位置に保持される。また、ノズル部13の先端には吹き出し部4が篏合して設けられている。
【0020】
吸引容器21は、駆動部22ないしファン23を所定位置に保持する部材であって、接続部分121の内周面と篏合して保持されるように設けられている全体的に筒型の部材である。吸引容器21は、所定位置に隔壁が設けられ、中心軸付近で駆動部22を支持固定する駆動支持部211と、ファン23を回転可能に格納する空間であるファン格納部212と、軸方向に平行に設けられ、ファン23から流れる空気を流通させる通気路213と、が区分けされて設けられている。
【0021】
駆動支持部211は、内部形状を駆動部22と略同一とする部分であって、駆動部22を篏合させた状態で支持する。駆動支持部211は、ファン格納部212と隣接して設けられ、ファン格納部212との間に駆動部22の回転軸が貫通する孔が設けられている。
【0022】
ファン格納部212は、ファン23よりも径が大きい筒型の部分であり、取り込み部11に向く一端は開放されるか整流装置を有し、他端には隔壁が設けられる。この隔壁の中心には、駆動支持部211に向けて貫通する孔が設けられ、外周縁の付近には通気路213が設けられ、ここを通して流体が移送されるようにしている。
【0023】
通気路213は、駆動支持部211の外周面と吸引容器21の本体内周面を径方向で結ぶ隔壁によって形成された、吸引容器21のノズル部13側の端部とファン格納部212を通じる流通路であり、駆動支持部211の外周を取り囲むように等間隔に配置されている。通気路213は、吸引容器21のノズル部13側の端部とファン格納部212を貫通し、空気の流路Tとして作用する。
【0024】
駆動部22は、駆動支持部211によって支持されており、制御部5から伝達される電力によってファン格納部212まで伸びる回転軸が回転してファン23と協働して空気の流れを起こす。駆動部22は、ファン23よりも下流に設けられ、駆動支持部211と当接し、さらに通気路213において径方向に伸びる隔壁があることで、駆動部22の廃熱も流通空気の加熱に利用できるようにしている。実施形態において駆動部22はBLDCモータであり、消費電力をさらに低減させる。
【0025】
ファン23はその回転軸とファン格納部212の軸が一致するように設けられており、回転することで取り込み部11からノズル部13に向かう方向の流れを生じさせる。ファン23の最大径は、少なくとも駆動支持部211の径よりも大きく、通気路213に空気を効率よく移送できるようにし、低出力でも流路Tを狭めることで排出される気体の流速を高められる。
【0026】
筒体31は、ノズル部13の内周の径よりも小さくノズル部13の内部に格納できるようにしている。その厚さは、少なくとも8mm以下、好ましくは5mm以下とすることで筒体31自体の熱容量を小さくして放熱部34に効率的に熱移送できるようにしている。
【0027】
薄膜発熱体32は、筒体31の内周面に当接しており、制御部5から伝達される電力によって加熱される、いわゆるフィルムヒータである。実施形態において、薄膜発熱体32は、筒体31の内周面で丸められた状態で耐熱性の接着剤等によって貼り付けられているが、単に平板状に戻ろうとする復元力によって筒体31の内周面と当接していてもよい。また、開いた状態(平板状になった状態)における薄膜発熱体32の高さは筒体31の高さと略等しいか少し短く、その幅は筒体31の内径と等しいか少し短い。これにより、薄膜発熱体32は、筒体31の内周面の略全体と当接し、薄膜発熱体32の熱を効率的に放熱部34に伝達できる。
【0028】
閉鎖部33は、筒体31の断面を塞ぐことによって流路Tを画定し、風の流れが筒体31の内側に向かうことを防止することで、加熱の効率を高める。実施形態において閉鎖部33は、図5(a)に示すように筒体31の取り込み部11側の端面の全体を覆うように設けられる薄板部材であって、把持部12に近い側の周縁に、薄膜発熱体32に電力を供給する導線を貫入させるための導線孔331を有する。
閉鎖部33は、筒体31端部の周縁全体を覆い、当接するように配置され、筒体31の断面のうち、少なくとも80%以上を覆い、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の略全体を覆うことで、筒体31の内側に気体が流入することを防ぐ。これにより、流路Tを画定して流速を早め、熱効率を高められる。
【0029】
閉鎖部33は、図5(b)に示すように、複数の帯状の可撓性部材が筒体31の端面あるいは外周面で接続し、隙間なく配列するようにしてもよく、帯状の材の間から薄膜発熱体32に電力を供給する導線が貫通するようにしてもよい。
【0030】
実施形態では、駆動部22は、ファン格納部212からノズル部13の方向に突出して設けられ、駆動部22の外径と、筒体31の内径が略同一になるようにしている。これにより、吸引容器21と加熱部3との間で、駆動部22によって加熱部3の中心軸に向かう流れが遮られ、気体が誘導されるようにしている。
またこの場合、誘導の性能を高めるために駆動部22の外径よりも、筒体31の内径を大きくしてもよい。
なお、駆動部22の一部が筒体31に貫入し、これが閉鎖部33となっていてもよく、吸引容器21の駆動支持部211の端面が筒体31の端面と接触するようにして、吸引容器21を閉鎖部33としてもよい。これによれば、閉鎖部33を設けることなく筒体31を閉鎖して、部品点数を削減して構造を簡略化できる。
【0031】
接続部分121と把持部分122の内部は連通するところ、実施形態においてこの連通部分は吸引容器21と重複することで、導線が貫通する部分を除き閉鎖されており、流路T以外に気体が流入しないようにして、流れの効率性を高めている。
【0032】
放熱部34は、筒体31の外周面から、筒体31と一体に突出して設けられている部分であって、構成する突出体が等間隔に複数設けられている。実施形態では放熱部34は20以上の突出体341を有し、それぞれが筒体31の径方向に対して湾曲している。突出体341が湾曲することで、放熱部34と流路Tを流れる気体との接触面積を増やし、気体が熱を受け取りやすくしている。湾曲の方向及び変形度合は何れの突出部分においても一定であり、筒体31の高さ方向で断面形状は変化しないため、加熱部3の内部で流速が低下しにくくなっている。
【0033】
突出体341は突出する方向に対して幅が略変化しないように設けられ、熱の分布を均一にしている。突出体341同士の間隔は、筒体31の近傍においては突出体341の幅と略同一であるが、筒体31から離れるに従って拡幅している。これにより、先端付近の流量を大きくして熱交換しやすくする。
【0034】
また、突出体341の先端は、ノズル部13の内周面と当接するように設けられ、加熱部3を所定位置に支持する。突出体341の端部は丸め加工がされ、ノズル部13との接触面積を増やすことによって、安定支持に繋げている。
また、ノズル部13の内周面は断熱性の高いガラスウールやセラミック繊維で設けられていることが好ましく、これにより気体の温度をより高められる。
ノズル部13において、複数の突出体341の間の空間のみが流路Tとなるため、気体の体積当たりの接触面積を増加させ気体の加熱効率を大きく高められる。
【0035】
連通孔43はノズル部13の先端において流路Tの内外を連通するものである。連通孔43は、放熱部34の軸方向の直上に設けられていることで、放熱部34によって加熱された空気を遮ることなく排出し、さらに筒体31から径方向で離れて設けられていることで、筒体31の内部の空気が放出されないようにしている。すなわち、流路を絞って流速を高めるとともに、加熱の効率を高めている。
【0036】
制御回路50は、制御スイッチ51の操作に応じて電力を分配する装置である。制御回路50は、単純な電子回路でもマイコンであってもよい。
なお、制御部5には、温度センサや水を検知するセンサが設けられ、制御回路50は、センサから得られた値が閾値を超えた際に停止する信号が送られるようにしてもよい。
【0037】
制御スイッチ51は、把持手の側面に設けられるボタンであって、制御回路50と電気的に接続されている。制御スイッチ51は、少なくとも、駆動部22の出力を操作することができるスイッチと、薄膜発熱体32のオンオフを操作することができるボタンを備えることが好ましく、これにより早く髪を乾かすことや、冷風の供給ができるようになる。
【0038】
蓄電部52は、電力を貯蓄する部分であって、把持部12の下端に格納されている。蓄電部52としては、リチウムイオン電池が想定され、外部から充電できるように設けられている。ドライヤーXは熱効率が高く、低出力のモータでも流速を高めることができるため、蓄電部52によっても毛髪等の乾燥を容易にできる。
【0039】
以下、図面を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。本発明は、ドライヤーXで髪の毛を乾かす使用者によって実施される。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0040】
使用者は、吹き出し部4を自身の髪に向けて制御スイッチ51を押す。これにより、制御回路50より、蓄電部52の電力が駆動部22及び薄膜発熱体32に供給される。このとき、薄膜発熱体32によって発生した熱は筒体31ないし放熱部34に移動する。駆動部22及びファン23が動作すると、取り込み部11から吹き出し部4に向けて流路Tに沿う流れが生じる。ここで、流路Tの断面積はファン23の面積よりも小さいため、早い流速の流れが生じる。そして、流路Tを流れる空気は、筒体31、放熱部34及びノズル部13の間に形成される空間を通ったときに空気が効率的に加熱され、吹き出し部4から温かい空気が供給される。
【0041】
上記によって、使用者は加熱された空気を自身の髪に当てることができる。使用者は、制御スイッチ51の操作によって、薄膜発熱体32に供給される電力をなくして、冷風を供給することができる。このとき、放熱部34の表面積が大きいため、空気によって熱を奪いやすくして、温風から冷風への切り替えの時間を短縮することができる。
【0042】
加熱部3の変更例として、筒体31に設けられる放熱部34の形状を図6のようにしてもよい。即ち、変更例に係る放熱部34は、中途位置で分岐して突出する分岐突出体342と、分岐突出体342の間に設けられる副突出体343と、を等間隔に複数有する。
【0043】
分岐突出体342は、筒体31の径方向に対して湾曲して設けられている突出体であって、副突出体343の先端よりも筒体31の軸中心から離れた位置で二股以上に分岐する。分岐突出体342の幅は何れの位置においても略一定であり、体積に対する表面積を一定として熱のムラを軽減する。また、分岐突出体342の先端部は丸め加工がなされており、ノズル部13の内周面と当接して、固定されるように設けられている。
【0044】
副突出体343は、隣接する二つの分岐突出体342の中間において、筒体31の径方向と軸が一致するように設けられている突出体であって、突出高さが分岐突出体342よりも低くなるようにし、分岐突出体342との間に所定の間隔を形成している。
【0045】
変更例では上述のようにして、突出体同士に所定間隔で隙間を形成し、流路Tにおける空気の放熱部34との接触面積を大きくしている。詳述すると、分岐突出体342によって径方向に離れた位置での接触面積を大きくし、また、副突出体343によって、分岐突出体342同士の距離が離れていても筒体31付近における接触面積を大きくしている。
【0046】
また、加熱部3は、両端が吸引部2及び吹き出し部4に向く筒体31と、筒体31の内周面に当接する薄膜発熱体32と、筒体31の内側の断面を閉鎖する閉鎖部33とを有することで、空気の流れる流路Tを制限して流速を高めるととともに、流通する空気の体積に対する加熱部3との接触面積を増やして加熱の効率を高めることができる。
【0047】
また、閉鎖部33は、筒体31において、吸引部2に近い側の端面に設けられていることで、筒体31の内部に気体が侵入しないようにして流速向上の効果をさらに高める。
【0048】
また、筒体31の外周面から突出する放熱部34が複数設けられていること、また、放熱部34は、筒体31の径方向に対して湾曲して設けられていることで、さらに接触面積を大きくして加熱の効率を高める。
【0049】
また、吸引部2は、吸引した気体を排出する通気路213を有し、通気路213は、放熱部34に向けて配置されていることで流速が減衰せずに放出できるようにしている。
【0050】
また、吸引部2は、筒型の吸引容器21と、吸引容器21に保持されている駆動部22と、駆動部22と接続して吸引容器21の内部に空気の流動を起こすファン23と、を有し、吸引容器21は、駆動部22を支持する駆動支持部211と、吸引した気体を端部から排出する通気路213とを有し、通気路213は、駆動支持部211の周辺に配置されていることで、吸引部2をコンパクトにして放熱部34に向けた効率的な流れを起こす。
【0051】
また、吸引部2及び加熱部3を制御する制御部5を備え、制御部5は、蓄電部52を有し、蓄電部52の電力を吸引部2及び加熱部3に供給することで、外部電源に接続せずともドライヤーXの利用が可能となる。特に、上述の構成によって流れや加熱の効率性が高まり、消費電力を少なくできるため、この構成を達成することができる。
【符号の説明】
【0052】
X ドライヤー
T 流路
1 筐体
11 取り込み部
12 把持部
121 接続部分
122 把持部分
13 ノズル部
2 吸引部
21 吸引容器
211 駆動支持部
212 ファン格納部
213 通気路
22 駆動部
23 ファン
3 加熱部
31 筒体
32 薄膜発熱体
33 閉鎖部
331 導線孔
34 放熱部
341 突出体
342 分岐突出体
343 副突出体
4 吹き吹き出し部
41 円盤部材
42 円環部材
43 連通孔
5 制御部
50 制御回路
51 制御スイッチ
52 蓄電部
【要約】
【課題】
シンプルな構造で空気加熱の効率を向上させ、消費電力を抑えながらも適切に空気加熱が可能なドライヤーを提供することを目的とする。
【解決手段】
上記課題を解決する本願発明は、筐体1の内部に外部の気体を吸引する吸引部2と、吸引部2が吸引した気体を加熱する加熱部3と、加熱部3が加熱した気体を放出する吹き出し部4と、吸引部2の吸引度合及び加熱部3の加熱度合を制御する制御部5を備え、加熱部3は、両端が吸引部2及び吹き出し部4に向く筒体31と、筒体31の内周面に当接する薄膜発熱体32と、筒体31の内側の断面を閉鎖する閉鎖部33とを有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6