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特許7598209画像処理装置、その制御方法、プログラム、および記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】画像処理装置、その制御方法、プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20241204BHJP
   B65H 1/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B65H7/14
B65H1/00 501C
B65H1/00 501E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020121474
(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2022018390
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 泰司
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-070137(JP,A)
【文献】特開2017-211634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68,7/00-7/20,
43/00-43/08
G03G 13/45,15/00,15/36,21/00,21/02,
21/14,21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を給送する給送手段と、
前記給送手段によって給送される前記記録媒体の属性についての測定値を取得し、取得した前記測定値に基づいて、給送される前記記録媒体の種類を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、給送される前記記録媒体の種類の選択をユーザに要求する要求手段と、
前記推定手段によって推定された前記記録媒体の種類の候補が1つである場合に、ユーザによる選択なしに当該候補を給送される前記記録媒体の種類として設定し、前記推定手段によって推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、ユーザによる前記記録媒体の種類の選択に基づいて給送される前記記録媒体の種類を設定する、設定手段と、
を有し、
前記属性は、記録媒体の正反射光強度、拡散反射光強度、および厚みのうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記推定手段は、記録媒体の種類と、前記属性についての基準値とが対応付けられた属性情報とに基づいて、給送される前記記録媒体の種類を推定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記属性情報は、記録媒体の種類と複数の属性についての基準値とが対応付けられた情報であり、
前記推定手段は、前記給送手段によって給送される前記記録媒体の前記複数の属性についての測定値を取得し、
前記複数の属性についての前記測定値と、前記複数の属性についての前記基準値とに基づいて、給送される前記記録媒体の種類の候補を推定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記属性情報は、記録媒体の種類と複数の基準値とが対応付けられた情報であり、
前記推定手段は、前記測定値と、記録媒体の種類ごとの前記複数の基準値の平均値とに基づいて、給送される前記記録媒体の種類の候補を推定することを特徴とする請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記属性情報は、記録媒体の種類と複数の基準値とが対応付けられた情報であり、
前記推定手段は、
給送される前記記録媒体の測定値を取得し、
前記測定値と、前記複数の基準値の平均値との距離が短い順に、給送される前記記録媒体の種類の候補を推定する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記推定手段は、
前記測定値との距離が最も短い第1の平均値を有する前記複数の基準値の分散が第1の閾値より小さい場合であって、
前記測定値と前記第1の平均値との第1の距離と、前記第1の平均値の次に前記測定値との距離が短い第2の平均値と前記測定値との第2の距離と、の差が第2の閾値より小さい場合に、
前記第1の平均値を有する前記複数の基準値に対応する記録媒体の種類を候補として、前記給送される記録媒体の種類の候補が1つであると推定することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の距離および前記第2の距離は、標準ユークリッド距離であることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
給送される前記記録媒体の種類の候補が1つであると前記推定手段が推定した場合、または給送される前記記録媒体の種類の選択をユーザから受け付けた場合に、前記測定値を前記基準値として前記属性情報に追加することで前記属性情報を更新する更新手段をさらに有することを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記属性情報は、記録媒体の種類と、属性についての複数の基準値と、前記複数の基準値が前記属性情報に追加された順番とが対応付けられた情報であり、
前記更新手段は、前記測定値を前記基準値として前記属性情報に追加する場合に、前記設定手段が設定した記録媒体の種類に対応する前記複数の基準値の個数が所定の数を超える場合、前記属性情報に最も前に追加された前記複数の基準値のうちのいずれかを消去することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記要求手段は、ユーザに情報を通知する通知部に前記候補をユーザに選択可能に通知させることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記要求手段は、前記推定手段によって推定された前記記録媒体の種類の候補が1つである場合に、前記通知部にユーザが記録媒体の種類を選択するための通知を行わせずに、前記設定手段が設定した記録媒体を示す情報を給送される前記記録媒体の種類として通知させ、前記推定手段によって推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、前記通知部に前記候補をユーザに選択可能に通知させた後、前記設定手段が設定した前記記録媒体を示す情報を給送される前記記録媒体の種類として通知させることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
記録媒体を給送する給送部を備える画像処理装置の制御方法であって、
前記給送部によって給送される前記記録媒体の属性についての測定値を取得し、取得した前記測定値に基づいて、給送される前記記録媒体の種類を推定する推定工程と、
前記推定工程において推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、給送される前記記録媒体の種類の選択をユーザに要求する要求工程と、
前記推定工程において推定された前記記録媒体の種類の候補が1つである場合に、ユーザによる選択なしに当該候補を給送される前記記録媒体の種類として設定し、前記推定工程において推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、ユーザによる前記記録媒体の種類の選択に基づいて給送される前記記録媒体の種類を設定する、設定工程と、
を含み、
前記属性は、記録媒体の正反射光強度、拡散反射光強度、および厚みのうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
記録媒体を給送する給送部を備える画像処理装置を制御するコンピュータに、
前記給送部によって給送される前記記録媒体の属性についての測定値を取得し、取得した前記測定値に基づいて、給送される前記記録媒体の種類を推定する推定工程と、
前記推定工程において推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、給送される前記記録媒体の種類の選択をユーザに要求する要求工程と、
前記推定工程において推定された前記記録媒体の種類の候補が1つである場合に、ユーザによる選択なしに当該候補を給送される前記記録媒体の種類として設定し、前記推定工程において推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、ユーザによる前記記録媒体の種類の選択に基づいて給送される前記記録媒体の種類を設定する、設定工程と、
を実行させ
前記属性は、記録媒体の正反射光強度、拡散反射光強度、および厚みのうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
記録媒体を給送する給送部を備える画像処理装置を制御するコンピュータに、
前記給送部によって給送される前記記録媒体の属性についての測定値を取得し、取得した前記測定値に基づいて、給送される前記記録媒体の種類を推定する推定工程と、
前記推定工程において推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、給送される前記記録媒体の種類の選択をユーザに要求する要求工程と、
前記推定工程において推定された前記記録媒体の種類の候補が1つである場合に、ユーザによる選択なしに当該候補を給送される前記記録媒体の種類として設定し、前記推定工程において推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、ユーザによる前記記録媒体の種類の選択に基づいて給送される前記記録媒体の種類を設定する、設定工程と、
を実行させ
前記属性は、記録媒体の正反射光強度、拡散反射光強度、および厚みのうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とするプログラムを格納する記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に給送される記録媒体の測定値を元に記録媒体の種類を推定する画像処理装置、その制御方法、プログラム、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置において、用紙の搬送量やインクの使用量をその用紙種に最適な設定とするために、用紙を取り付ける際に用紙種類を指定することがある。従来、用紙種類は、ユーザが手動で取りつけられた用紙種類を指定する必要があった。しかしながら、ユーザによる用紙種類の選択操作の負担を軽減するために、用紙種類を画像処理装置が自動で判定する場合がある。自動で判定する画像処理装置の例として、用紙の反射光に加えて透過光の測定値も使用して用紙種を判別する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6355066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光の反射率や透過率などの属性の値が近い複数の用紙種が存在し、画像処理装置がこれらの属性の値に基づいて用紙種を自動識別する設定においてはこのような複数の用紙種をうまく識別できず、十分な精度が得られない場合があった。このような場合、記録媒体の種類を自動識別する処理において、複数の記録媒体の種類の候補の中から誤った記録媒体の種類が識別される場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明による画像処理装置は、
記録媒体を給送する給送手段と、
前記給送手段によって給送される前記記録媒体の属性についての測定値を取得し、取得した前記測定値に基づいて、給送される前記記録媒体の種類を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、給送される前記記録媒体の種類の選択をユーザに要求する要求手段と、
前記推定手段によって推定された前記記録媒体の種類の候補が1つである場合に、ユーザによる選択なしに当該候補を給送される前記記録媒体の種類として設定し、前記推定手段によって推定された前記記録媒体の種類の候補が複数ある場合に、ユーザによる前記記録媒体の種類の選択に基づいて給送される前記記録媒体の種類を設定する、設定手段と、
を有し、
前記属性は、記録媒体の正反射光強度、拡散反射光強度、および厚みのうちの少なくともいずれかを含む
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、給送される記録媒体の種類を自動識別する処理において、複数の記録媒体の種類の候補の中から誤った記録媒体の種類が識別されることを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態1に係る画像処理装置の構成を示す図。
図2】本発明の実施形態1に係る画像処理装置の上下段のロール紙管の位置と、光学センサの位置を示す図。
図3】本発明の実施形態1に係る画像処理装置の表示例を示す図。
図4】本発明の実施形態1に係る属性の基準値の分布の例を示す図。
図5】本発明の実施形態1に係る候補表示を求めるフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0009】
<第1の実施形態>
[装置構成]
図1は、本実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示す図である。なお、本実施形態において、画像処理装置は、印刷機能のみを有したものを示すが、これに限定するものではない。例えば、画像処理装置は、原稿上の画像を読取る読取装置をさらに備えて複写機として機能するものや他の機能を加えた複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)であってもよい。
【0010】
図1において、画像処理装置100は、プリンタコントローラ120、プリンタエンジン150、HDD161、および入出力装置162を含んで構成される。また、画像処理装置100は、後述するホストインタフェース(I/F)を介してネットワーク191に接続し、ネットワーク191を介してホストコンピュータ190と通信可能である。
【0011】
プリンタコントローラ120は、HDD I/F121、入出力装置I/F122、ROM I/F125、およびメモリコントローラ126を有する。また、プリンタコントローラ120は、ホストI/F127、CPU(Central Processing Unit)128、プリンタエンジンI/F(PRN I/F)129、および画像処理部130を有する。これらは、システムバス132を介して相互通信可能に接続される。さらに、プリンタコントローラ120は、FlashROM123及びRAM124を有し、それぞれROM I/F125およびメモリコントローラ126を介してシステムバス132に接続される。
【0012】
CPU128は、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)などの中央演算処理部であり、プログラムの実行やハードウェアの起動により画像処理装置100全体の動作を制御する制御部として動作する。FlashROM123は、CPU128が実行するためのプログラムや画像処理装置100の各種動作に必要な各種データを格納するためのメモリである。RAM124は、CPU128のワークエリアとして用いられたり、種々の受信データの一時格納領域として用いられたり、各種設定データを記憶させたりするためのメモリである。
【0013】
画像処理部130は、各種画像処理を行い、例えば、画像処理装置100で扱う印刷データ(例えば、ページ記述言語で表されたデータ)を画像データ(ビットマップ画像データ)へ展開(変換)する処理やその他の画像処理を行う。また、画像処理部130は、入力された印刷データに含まれる画像データの色空間(たとえばYCbCr)を、標準的なRGB色空間(たとえばsRGB)に変換する。また、画像処理部130は、画像データに対し、有効な(画像処理装置100が印刷処理可能な)画素数への解像度変換、画像解析、画像補正等、様々な画像処理を必要に応じて施すことができる。これらの画像処理によって得られた画像データは、RAM124またはHDD161に格納される。
【0014】
プリンタエンジン150は、画像形成を行う印刷部である。プリンタエンジン150は、インクジェットヘッド151、カッタユニット152、搬送モータ153、プリンタコントローラ120とのインターフェース(CNT I/F)154、および光学センサ155を備える。各部位は、システムバス156を介して接続されている。
【0015】
インクジェットヘッド151は、画像の印刷を行う印刷部であり、画像データに基づいてシート上に画像を印刷する。インクジェットヘッド151は、例えば、複数色分の印刷ヘッドを複数保持し、シートの搬送に同期させて、印刷ヘッドからインクを吐出させてシート状の記録媒体に画像を形成することができる。なお、本実施形態に係る画像処理装置は、記録材としてインクを用いたインクジェット方式のプリンタを例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。本発明は、サーマルプリンタ(昇華型、熱転写型など)、ドットインパクトプリンタ、LEDプリンタ、レーザープリンタなどの電子写真方式など、様々な印刷方式の印刷装置に適用可能である。また、本実施形態では、インクジェットヘッド151によって画像の記録が行われる記録媒体としてシート状の紙を想定するが、布、プラスチック・フィルム等であってもよい。また、本実施形態では、シート状の紙を巻き回したロール状記録媒体(ロール紙)を想定しているが、巻き回されていない記録媒体でもよい。
【0016】
カッタユニット152は、本実施形態において印刷用の記録媒体として用いられるロール紙を切断する機構である。カッタユニット152は、画像印刷後のロール紙を所定の長さにカットする。なおカッタユニット152で切断した際に紙粉が飛び散る用紙種の場合は、カット時の紙粉飛散防止のために、カット位置にカット屑軽減ラインを引く設定をFlashROM123に記憶させておく。また、カット屑軽減ライン設定とは独立して、用紙種毎にカッタユニット152の動作設定をFlashROM123に記憶させておくことができる。カッタユニット152を使って切断ができない用紙種の場合には、ユーザがハサミで切るためにカッタユニット152を動かさない設定(ユーザカット)をFlashROM123に記憶させておく。ユーザがロール紙を押さえながら切らないとカットする直線が曲がってしまう用紙種の場合には、ユーザの操作でカッタユニット152が動く設定(イジェクトカット)をFlashROM123に記憶させておく。ユーザカット、イジェクトカットの設定を行わない用紙種の場合は、カッタユニット152で自動的にカットする設定(オートカット)がFlashROM123に記憶される。
【0017】
搬送モータ153は、ロール紙を搬送させる搬送ローラを駆動させるためのモータであり、CPU128によって制御される。光学センサ155は、記録媒体の光学的特性を測定するための測定手段であり、発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)、正反射光受光素子、拡散光受光素子等を含んで構成される反射型光学センサである。画像処理装置100は、光学センサ155を使用し、プラテン上にある用紙の正反射光、拡散反射光の強度や、用紙の厚みなどの属性値を測定する。
【0018】
入出力装置162は、ユーザが種々の操作を行うためのハードキーやパネル、またユーザに種々の情報を表示(通知)するための通知部を含む。また、入出力装置162は、ユーザへの情報の表示は音声発生器からの音響情報に基づく音響(ブザー、音声等)を出力することによって行ってもよい。記録媒体の給送時において、ユーザは入出力装置162を使用して、用紙種選択を行い、正しい用紙種を画像処理装置100に伝えることにより、画像処理装置100は、用紙種毎に最適化された搬送を行うことができる。
【0019】
HDD161は、不揮発性の記憶領域であり、CPU128が実行するためのプログラム、印刷データ、画像処理装置100の各種動作に必要な設定情報を記憶させたり、読み出したりすることが可能である。なお、HDD161に代えて、フラッシュメモリなど、その他の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0020】
なお、本実施形態では、入出力装置162は画像処理装置100の内部に存在するが、これに限定されず、例えばネットワーク191を介して外付けの構成として接続されてもよい。また、ホストコンピュータ190が入出力装置162としての機能を備えていてもよい。また、画像処理装置は、入出力装置162の他に、ネットワーク191等を介して他の入出力装置が更に接続可能であってもよい。
【0021】
ホストコンピュータ190は、例えば、印刷データの供給源となる外部装置であり、プリンタドライバがインストールされている。画像処理装置100は、ホストコンピュータ190の代わりに、例えば、画像読取用のリーダ、デジタルカメラ、スマートフォンなど、印刷データの供給源となるようなデータ提供装置が設けられてもよい。各機器と画像処理装置100との接続形態は、ネットワーク191を介したものに限定するものではなく、例えば、無線通信にて直接接続されてもよい。
【0022】
図2は、本実施形態に係る画像処理装置100の断面の概略図である。ここでは、ロール紙の搬送(給送)に係る部分を示している。本実施形態に係る画像処理装置100は、2つのロール紙管201および202を備え、それぞれ異なる種類のロール紙を設置することが可能である。上段ロール紙管201から給送されるロール紙204が搬送ローラ205aおよび205bにより搬送され、光学センサ155によりプラテンの周辺でロール紙204の属性値が測定される場所の位置関係を、図2では示している。インクジェットヘッド151は、上段ロール紙管201から搬送されたロール紙204上にインクを吐出することで画像が印刷される。また、画像処理装置100内には、上段から下段のロール紙に切り替え動作を行った後は、下段ロール紙管202からもロール紙を供給することが可能である。この場合、搬送ローラ205c、205d、および205bによって下段ロール紙管202からロール紙が給送される。なお、本実施形態では、記録媒体を給送するための給送部として機能する搬送ローラ205a~205dを搬送ローラ205と称する。
【0023】
画像処理装置100は、記録媒体の給送時に、光学センサ155によりロール紙204の正反射光強度、拡散反射光強度を測定する。印刷を終えたロール紙は、カッタユニット152によってユーザがデータで指定した長さに切断される。
【0024】
なお、図2に示す構成は一例であり、対応可能なロール紙の数(ロール紙管の数)、ロール紙管と記録ヘッドとの位置関係、光学センサ155の配置位置などは変化してよい。また、本実施形態に係る画像処理装置100はロール紙を用いた構成について説明しているが、本発明は、カット紙を用いる画像処理装置に適用されてもよい。また、画像処理装置に配置される搬送ローラの個数も変化してよい。
【0025】
[表示例]
本実施形態に係る画像処理装置100では、例えば上段ロール紙管201または下段ロール紙管202にロール紙の取り付けを行う際には、画像処理装置100が用紙種を自動選択するか、または、ユーザが用紙種の選択を行うか、どちらかの処理が必要である。
【0026】
図3(a-1)~図3(b-2)は、給紙動作における、入出力装置162のパネル表示の流れを示す図である。
【0027】
図3(a-1)~図3(a-3)は、推定した用紙種候補の中からユーザが用紙種を選択する場合の流れを示し、図3(b-1)~(b-2)は、画像処理装置100が用紙種を推定して自動選択する場合の流れを示す。
【0028】
上段ロール紙を給紙する場合、ユーザは上段ロール紙管201からロール紙204の先端を、上段ロール紙管に最も近い搬送ローラ205aまで手で運ぶ。画像処理装置100は、搬送ローラ205aのところへロール紙204が運ばれてきたことを検出すると、搬送ローラ205aを少し回転させ、ロール紙204を少し引き込む。一例では、搬送ローラ205aにローラ間のニップ圧を検出するセンサを備える場合には、画像処理装置100は当該センサの出力に基づいて、搬送ローラ205aのところへロール紙204が運ばれてきたことを検出してもよい。別の例では、搬送ローラ205aの付近に、記録媒体の有無を検出するための光学センサを備える場合には当該光学センサからの出力に基づいて搬送ローラ205aのところへロール紙204が運ばれてきたことを検出してもよい。あるいは、ユーザが画像処理装置100に搬送ローラの205の回転を指示する入力を受け付けるよう構成される場合には、当該入力に基づいて搬送ローラ205aのところへロール紙204が運ばれてきたことを検出してもよい。
【0029】
その後、画像処理装置100は、搬送ローラ205aの回転を止め、図3(a-1)の画面301または図3(b-1)の画面307を入出力装置162のパネルに表示し、ユーザの給紙開始のボタン押下を待つ。画面301または307に表示されている給紙開始ボタン302または308が押されると、画像処理装置100は、再び搬送ローラ205aおよび205bを回転させ、光学センサ155のところまで、ロール紙204を搬送する。その後、画像処理装置100は、光学センサ155を使用して、ロール紙204の正反射光強度、拡散反射光強度を測定する、すなわち測定値を取得する。
【0030】
測定値に基づく推定の結果、用紙種の候補が一つである場合には、推定した用紙種で自動選択し、用紙種選択のための画面303を表示せずに、図3(b-2)に示す待機画面309を表示する。すなわち、用紙種の推定の結果、用紙種の候補が一つに絞れた場合には、ユーザから用紙種の選択を要求せずに推定した用紙種に対応する設定を使用して印刷する。
【0031】
一方、測定値に基づく推定の結果、用紙種の候補が複数ある場合には、図3(a-2)に示す用紙種選択画面303を表示して、ユーザによる選択操作を待つ。ユーザが用紙種選択画面303にて、用紙種を選択すると、給紙動作が完了し、図3(a-3)に示す待機画面306を表示する。すなわち、用紙種の推定の結果、用紙種の候補が一つに絞れなかった場合には、ユーザに用紙種の選択を要求する用紙種選択画面を表示し、ユーザからの用紙種が選択されるまで待機する。そして、ユーザからの用紙種の選択を受け付けると、受け付けた用紙種に対応する設定を使用して印刷する。
【0032】
図3(a-2)の用紙種選択画面303は、用紙種の選択時に表示される画面の構成例である。用紙種選択画面303において、候補表示304の領域と、用紙種リスト305の領域を含んで構成される。
【0033】
候補表示304は、光学センサで測定したロール紙の測定結果に基づいて、結果と類似度が近い用紙種ほど上位となるように用紙種の候補を表示する領域である。図3(a-2)においては、候補表示304に表示される用紙の候補数として3種類が提示されている例を示しているが、入出力装置162の表示領域のスペースがあれば更に増やしてもよい。図3(a-2)の例では、用紙種の候補として、「フォト光沢」、「光沢プレミアム」、および「候補がありません(候補なし)」が表示されている。
【0034】
用紙種リスト305は、画像処理装置100のロール紙管に設置可能な用紙種のリストを示す。ここでは、ロール紙管に設置可能な用紙種のカテゴリとして「普通紙」と「光沢紙」とが示されており、これらのカテゴリを指定すると更に詳細な分類が表示され、個々の用紙種が選択可能となる。なお、図3(a-2)の例に示す「普通紙」と「光沢紙」は、大まかな用紙種の分類の一例であり、これに限定するものではない。また、入出力装置162の表示領域のスペースがあれば、更に多くの分類を表示してもよい。
【0035】
図3(a-2)に示した例では、候補表示304のリストにおいて、給紙されたロール紙204の用紙種として推定した結果、最も類似度の高い用紙種の候補である「フォト光沢」の文字を反転してリストの最上位に表示している。なお、上位の用紙種を表示するための表示方法は図3(a-2)の例に限定するものではない。例えば、類似度の高い用紙種の文字サイズを大きくしてもよいし、目立つような色で表示してもよい。別の例では、類似度と対応する色で表示してもよい。例えば、正規化した類似度が0.9以上の場合は赤色、0.7以上0.9未満の場合はオレンジ色、0.5以上0.7未満の場合は黄色で表示してもよい。あるいは、正規化した類似度に対応した濃淡で、例えば類似度が高いほど濃い色で用紙種に関する情報をグラデーション表示してもよい。別の例では、用紙種と関連付けて類似度を表示してもよい。
【0036】
ここで、本実施形態で使用する候補選択のための判定距離Jを算出する計算式を以下に示す。本実施形態において、判定距離Jが小さい値であるほど、2つのロール紙の用紙種の類似度が近いことを表す。つまり、ある用紙種の代表値と、画像処理装置100に給紙しようとしている用紙種との類似の度合いを算出し、その類似度が高い順番に所定の数の用紙種を候補として優先的に表示する。なお、本実施形態では、2つのロール紙管を備える画像処理装置を例に挙げているが、更に多くのロール紙管を備える場合は、それぞれのロール紙管に設置されたロール紙に対する判定距離Jを算出してもよい。
【0037】
本実施形態において、光学センサ155で測定した正反射光強度の属性値、拡散反射光強度の属性値をそれぞれ、SA、DAとする。また、比較していくリストのN番目の用紙種の代表値となる正反射光強度の属性値、拡散反射光強度の属性値をそれぞれSN、DNとする。そして、以下の計算により求められる値を、測定値に対する用紙種Nの判定距離とする。なおα、βは判定距離を算出する際に使用する係数であり、任意の値が設定されるものとする。また、係数α、βの値は例えば、Flash ROM123等の記憶部に保持されているものとする。VNS、VNDは、用紙種Nの代表値を算出する元となっている各属性値のサンプルデータ(基準値)の分散である。ここでは、用紙種Nの代表値は、基準値の平均値であるものとして説明を行うが、代表値は基準値に基づいて決定されればよく、例えば中央値であってもよい。
【0038】
本実施形態では、各成分の差分の二乗の総和という標準ユークリッド距離を求める計算式に、係数を掛けており、正反射光強度、拡散反射光強度のいずれをどの程度重視するかを変化させることが可能である。例えば、正反射光強度が大きな影響を与える場合にはαの係数を大きくすると判定精度が良くなる。また、ユーザがα、βの値を決めることにより、判定距離に使用する要素をユーザが選択できるようにすることも可能である。
【0039】
【数1】
【0040】
図4(a)および図4(b)は、画像処理装置100が、判定距離Jがどのようなときに用紙種類を自動選択するかを説明する図である。図4(a)においては、星印のマーカ400が測定値(SA,DA)を示し、×印のマーカが各グループのサンプルデータ(基準値)を示し、四角のマーカ401~404が各グループのサンプルデータの平均によって求められる、代表値である。例えば、マーカ401で示される代表値(S1,D1)を有する正反射光強度の属性値と乱反射項強度の属性値のサンプリングのグループG1は、マーカ401を含む楕円内に位置する複数の基準値を含む。グループG1の分散は、楕円の大きさで示される。同様に、別の用紙種類についてのサンプリングのグループG2の代表値(S2,D2)をマーカ402で示し、グループG3の代表値(S3,D3)をマーカ403で示し、グループG4の代表値(S4,D4)をマーカ404で示す。なお、図4(a)、図4(b)の例では、比較対象の用紙種類が四種類であるものとして説明を行うが、用紙種類はこれに限定されない。なお、サンプルデータ(属性情報)は、画像処理装置100のFlash ROM123に予め記憶されている各用紙種の実際の測定値データであり、用紙の種類とその基準値とが対応付けられた情報である。ユーザが実際に給紙する場合の測定値もこの属性情報に追加されてもよく、この場合、属性情報は、用紙の種類と、基準値と、属性情報に追加された順番とが対応付けられた情報である。
【0041】
図4(a)の場合、グループG1について、(SA-S1)および(DA-D1)が最も小さいが、グループG1の分散自体も小さい。一方、グループG2について、グループG1と比較して(SA-S2)および(DA-D2)は大きくなるが、基準値の広がりが大きいためにそれぞれの属性値の分散(V2S、V2D)も大きい。したがって、式(1)のグループG1の代表値と測定値との距離J1と、グループG2の代表値と測定値との距離J2とを比較すると、グループG1だけが標準ユークリッド距離の小さい候補とは言えなくなる。このような場合は、画面303を入出力装置162に表示し、ユーザの用紙種選択操作が無い限り、画面303のまま待った状態となる。
【0042】
図4(b)の場合、グループG2について、グループG1と比較して(SA-S2)および(DA-D2)が大きく、分散(V2S、V2D)が図4(a)の場合と比較して小さい。このため、測定値と、グループG1の代表値との間の標準ユークリッド距離J1が、測定値とグループG2~G4の代表値との間の標準ユークリッド距離J2~J4よりも十分に小さく、グループG1だけが候補であると判定することができる。このような場合、画面303を入出力装置162に表示せず、類似度の最も高い用紙種を自動選択し、給紙されたロール紙の用紙種として設定し、給紙動作を完了する。上述した動作条件を以下に式で書く。
【0043】
i番目のグループGiの分散をVi、それぞれの基準値の正反射光強度、拡散反射光強度の属性値の分散をそれぞれ、ViS、ViDとし、用紙種類を自動選択するためのグループの分散の限界値(閾値)をVLとすると、
【0044】
【数2】
【0045】
ここで、測定値(SA,DA)に最も近い代表値を有する用紙種のグループをグループG1とすると、
【0046】
【数3】
【0047】
また、測定値(SA,DA)に最も近い用紙種の代表値の標準ユークリッド距離をJM1、二番目に近い用紙種の代表値の標準ユークリッド距離をJM2とし、JM1とJM2との差の限界値(閾値)をJLとすると、
【0048】
【数4】
【0049】
この式(3)および式(4)の両方の条件を満たした場合に、用紙種選択を自動で行う。ここで、分散の閾値VLならびに測定値に最も近い用紙種の代表値と測定値との距離JM1と測定値に二番目に近い用紙種の代表値と測定値との距離JM2との距離の差の閾値JLは、例えばあらかじめ設定された固定値であってもよい。しかしながら一例では、VLおよびJLは、VL=JM2-V2など、Flash ROM123に格納されたサンプルデータに基づいて計算される値であってもよい。
【0050】
また、本実施形態では(1)式のような各要素成分を分散で除算する標準ユークリッド距離を判定に使用したが、分散での標準化を行わない単なる各要素成分の平方の和を用いる通常のユークリッド距離を使用してもよい。
【0051】
[処理フロー]
図5は、用紙種の推定結果を一つの用紙種とするかどうかの手順を示すフローチャートである。本処理フローは、例えば、画像処理装置100のCPU128がHDD161等に保持されたプログラムを読み出してRAM124に展開して実行することにより実現される。また、図5に示す処理は、上段ロール紙管201または下段ロール紙管202にロール紙がセットされたことを検出し、図3(a-1)または図3(b-1)の給紙開始ボタン302または308を押下した場合に開始される。
【0052】
S501にて、画像処理装置100は、ロール紙204をプラテン上に給紙して、光学センサ155によってロール紙204の正反射光強度SA、拡散反射光強度DAを測定して測定値を取得する。
【0053】
続いて、S502にて、画像処理装置100は、用紙種カウンタNを"1"に初期化する。用紙種カウンタNは、RAM124に設けられるものとする。用紙種カウンタの最大値は、画像処理装置100が内部に保持していて設定可能な用紙種数に対応しており、ここでは用紙種カウンタの値は各用紙種の識別子に対応している。
【0054】
続いて、S503にて、画像処理装置100は、表示候補となる三つの用紙種の標準ユークリッド距離を格納する変数JM1、JM2、JM3の値を初期化する。ここで初期化にて用いられる値としては、現実的には発生しない大きな値を代入してよい。本実施形態では、図3の候補表示303にて3つの候補を示すため、3つの変数を用いる。したがって、候補表示303に表示する数に応じて、ここでのJMの数は変動する。また、本実施形態において、これらは、JM1≦JM2≦JM3の関係にあるものとする。
【0055】
続いて、S504にて、画像処理装置100は、入出力装置162に表示する用紙種の候補の識別子を格納する変数HM1、HM2、HM3をクリア(初期化)する。変数HM1、HM2、HM3はそれぞれ、RAM124に記憶されるものとする。ここでの初期化は、例えば、"0"が代入されてもよいし、空となるように初期化してもよい。
【0056】
続いて、S505にて、画像処理装置100は、用紙種カウンタNの値が用紙種数Maxよりも大きいか否かを判定する。用紙種類数Maxは、画像処理装置100が対応可能な用紙種の数の上限を示す。例えば、画像処理装置100が10種類の用紙種に対応可能である場合、用紙種類数Maxは"10"となる。用紙種カウンタNの値が用紙種数Maxよりも大きいと判定された場合(S505にてYES)、画像処理装置100は処理をS514に進める。この場合、全ての用紙種に対して判定距離Jの算出が完了したことを意味する。用紙種カウンタNの値が用紙種数Max以下と判定された場合(S505にてNO)、画像処理装置100は処理をS506に進める。
【0057】
S506にて、画像処理装置100は、光学センサ155で測定した正反射光強度SA、拡散反射光強度DAと、N番目の用紙種の代表値として正反射光強度SNおよび拡散反射光強度DN、並びにその分散VNSおよびVNDから判定距離JNを特定する。判定距離JNは、上記の式(1)に基づき求められる。
【0058】
S507にて、画像処理装置100は、S506にて求めたJNとJM3とを比較する。比較の結果、JNがJM3以上である場合は(S507にてNO)、画像処理装置100は処理をS513に進め、JNがJM3未満である場合は(S507にてYES)、処理をS508に進める。
【0059】
S508にて、画像処理装置100は、S506にて求めたJNとJM2とを比較する。比較の結果、JNがJM2以上である場合は(S508にてNO)、画像処理装置100は処理をS512に進め、JNがJM2未満である場合は(S508にてYES)処理をS509に進める。
【0060】
S509にて、画像処理装置100は、S506にて求めたJNとJM1を比較する。比較の結果、JNがJM1以上である場合は(S509にてNO)、画像処理装置100は処理をS511に進め、JNがJM1未満である場合は(S509にてYES)処理をS510に進める。
【0061】
S510にて、画像処理装置100は、N種類の用紙種の比較の結果、N番目の用紙種HNと、式(1)で求められる距離JNとを測定値と最も距離が短い用紙種の情報JM1、HM1として記憶する。そのために画像処理装置100は、Nを最小距離の用紙種番号を記憶するNMに代入し、JM2の値をJM3に代入し、JM1の値をJM2に代入した後、JNの値をJM1に代入する。また、S514で用紙種の推定結果を一つの用紙種とするかどうかの判定に使用するために、分散VNを最小距離の用紙種の分散値を記憶するVMに代入し、用紙種H2の値をH3に、用紙種H3の値をH2に代入する。その後、S513に進む。
【0062】
S511にて、画像処理装置100は、N番目までの用紙種の比較の結果、N番目の用紙種が、式(1)で求められる距離JNおよび用紙種HNを2番目に短い用紙種の情報JM2、HM2として記憶する。そのために、JM2の値をJM3に代入した後、JNの値をJM2に代入する。また、画像処理装置100は、H2の値をH3に代入し、H2にN番目の用紙種を示す情報HNを記憶させる。その後、画像処理装置100は処理をS513に進める。
【0063】
S512にて、画像処理装置100は、N番目までの用紙種の比較の結果、N番目の用紙種が、式(1)で求められる距離JNおよび用紙種HNを3番目に短い用紙種の情報JM3、HM3として記憶する。そのために、JNの値をJM3に代入する。H3にN番目の用紙種を示す情報を記憶させる。その後、画像処理装置100は処理をS513に進める。
【0064】
S513にて、画像処理装置100は、用紙種カウンタNにN+1を代入し(すなわち、Nの値を1つ増やし)、処理をS505に戻す。
【0065】
S514にて、画像処理装置100は、(3)式と(4)式を両方とも満たすかどうかを判定する。判定の結果、両方とも満たす場合には(S514にてYES)、画像処理装置100は処理をS515に進め、少なくともいずれかを満たさない場合は(S514にてNO)処理をS517に進める。
【0066】
S515にて、画像処理装置100は、H1に記憶している用紙種の類似度が高いとして、推定結果をH1の用紙種のみの一種類とし、その用紙種類を自動選択する。その後、画像処理装置100は処理をS516に進める。
【0067】
S516にて、画像処理装置100は、測定値SA、DAを用紙種H1のサンプルデータ(基準値)として登録とし、代表値S1およびD1並びにそれらの分散V1SおよびV1Dを再計算する。その後、画像処理装置100は処理をS520に進める。
【0068】
S517にて、画像処理装置100は、用紙種HM1、HM2、HM3を入出力装置162に表示する。その後、画像処理装置100は処理をS518に進める。
【0069】
S518にて、画像処理装置100は、ユーザが入出力装置162に表示された選択肢の中から選択した紙種Uを取得し、処理をS519に進める。
【0070】
S519にて、画像処理装置100は、測定値SA、DAを用紙種Uの基準値とし、代表値SUおよびDU並びにそれらの分散VUSおよびVUDを再計算する。その後、画像処理装置100は処理をS520に進める。
【0071】
S520にて、画像処理装置100は、S515またはS518で給送される用紙の種類であるとして設定した用紙種の分散を計算するためのサンプルデータの保存領域に空きがあるかどうかを調べる。空きがない場合は、画像処理装置100は処理をS521に進め、空きがある場合は、処理をS522に進める。S521にて、画像処理装置100は、決定した用紙種の分散計算用サンプルデータのうち、一番古いデータを消去して、処理をS522に進める。なお、一例では、それぞれの紙種ごとに保存しておく用紙種の基準値の個数があらかじめ決められていてもよい。この場合、設定した用紙種の基準値の個数が上限を超える場合には、設定した用紙種と同じグループの基準値のうち、最も古いデータを消去するようにしてもよい。
【0072】
S522にて、画像処理装置100は決定した用紙種の分散計算用サンプルデータに測定データを追加して属性情報の更新を行い、図5に示す処理を終了し、図3(a-3)または図3(b-2)の画面を表示する。
【0073】
なお、今まで述べた距離Jの要素に、ロール紙の厚みの次元を加えて3次元の値から距離を計算とすることも可能である。
【0074】
以上、本実施形態では、用紙種の候補が二つ以上ある場合には、ユーザに用紙種の選択をさせる。これによって、用紙種を自動識別する処理において、誤った用紙種が識別されることを減らすことができる。また、用紙種の推定結果が一つしかないような用紙種が明らかな場合は、ユーザの用紙種類の選択操作を要求しない。これによって用紙種類選択操作の負担を軽減することができる。
【0075】
<その他の実施形態>
図4の例では、正反射光強度および拡散反射光強度の測定値は1つであるものとして説明を行った。しかしながら、正反射光強度および拡散反射光強度の測定値の複数あってもよい。例えば、ロール紙204の搬送中に、光学センサ155がロール紙の複数個所を測定することで、正反射光強度および拡散反射光強度の複数の測定値を取得してもよい。この場合、図5のS501では、給送される記録媒体の属性を複数回測定し、測定した複数の測定値から代表値を計算し、代表値を測定値(SA,DA)としてもよい。これによって、紙粉などの異物や記録媒体のしわなどによって光学センサによる1つの測定値に異常値が含まれても推定精度の劣化を抑えることができる。
【0076】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0077】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0078】
100:画像処理装置、120:プリンタコントローラ、128:CPU、150:プリンタエンジン、152:カッタ、155:光学センサ、201:上段ロール紙管、202:下段ロール紙管、301:用紙種選択画面、302:候補表示、303:用紙種リスト
図1
図2
図3
図4
図5