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特許7598217ユーザ分析およびコンテンツ選択の装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ユーザ分析およびコンテンツ選択の装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/85 20140101AFI20241204BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20241204BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20241204BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20241204BHJP
【FI】
A63F13/85
A63F13/79
A63F13/53
A63F13/35
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020171842
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2021065699
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】1915423.6
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】506379415
【氏名又は名称】ソニー インタラクティブ エンタテインメント ヨーロッパ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー アレクサンダー ディンズデール スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】ポール テレンス マリガン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジョン ニコラス ジョーンズ
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-218102(JP,A)
【文献】特開2001-231904(JP,A)
【文献】特開2009-100906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測する、各ステップがコンピュータにより実行される方法であって、
前記特定のゲーム目標を完了した他のユーザコーパスについて、
前記ユーザコーパス内のユーザが完了した先行する所定の数の他のゲーム目標に関する複数のゲーム目標完了時間の十分位数を決定するステップと、
前記ユーザコーパス内の各ユーザについて前記複数のゲーム目標完了時間の十分位数から代表的な完了時間の十分位数を導出するステップと、
前記代表的な十分位数の値を入力変数として使用し、かつ前記特定のゲーム目標に関する対応するゲーム目標完了時間を出力変数として使用して、時間帯分類を生成するステップと、
前記特定のユーザについて、
前記特定のユーザが完了した前記先行する所定の数の他のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間の十分位数を決定するステップと、
前記特定のユーザについて前記複数のゲーム目標完了時間の十分位数から代表的な完了時間の十分位数を導出するステップと、
前記特定のユーザの前記代表的な完了時間の十分位数を前記生成された時間帯分類への入力として使用して、前記特定のユーザの時間帯分類を特定するステップと、
前記特定された時間帯分類に基づいて、前記特定のユーザにおける前記特定のゲーム目標に関する予測されたゲーム目標完了時間データを出力するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記時間帯分類が、条件付き推論ツリーを使用する動的時間帯分類である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対応するゲーム目標完了時間における2つ以上の平均を中心としたそれぞれの分布が信頼閾値で検出されたときに、ツリー構造の分割が形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記代表的な完了時間の十分位数が、前記先行する所定の数のゲーム目標完了時間の十分位数の平均である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記代表的な完了時間の十分位数が、一連の前記先行する所定の数のゲーム目標完了時間の十分位数に基づく予測された十分位数の値である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
先行する所定の数の他のゲーム目標に関する前記ゲーム目標完了時間の十分位数が、
i.仮定された中立な十分位数の値と、
ii.前記特定のユーザが前記特定のゲームで完了したゲーム目標の数が前記所定の数より少ない場合、
別のゲームでのゲーム目標の完了からの十分位数と、
からなるリストから選択される1つまたは複数を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1つまたは複数の時間帯分類に関して、
前記それぞれの時間帯分類に分類された他のユーザコーパスについて、
前記ユーザコーパス内のユーザが完了した先行する所定の数の他のゲーム目標に関する複数のゲーム目標ゲーム変数の十分位数を決定するステップであって、前記ゲーム変数が完了時間以外の変数である、ステップと、
前記ユーザコーパス内の各ユーザについて前記複数のゲーム目標ゲーム変数の十分位数から代表的なゲーム変数の十分位数を導出するステップと、
前記代表的な十分位数の値を入力変数として使用し、かつ前記特定のゲーム目標に関する対応するゲーム目標ゲーム変数を出力変数として使用して、ゲーム変数帯分類を生成するステップと、
前記特定のユーザについて、
前記対応するゲーム変数について、前記特定のユーザが完了した前記先行する所定の数の他のゲーム目標に関するゲーム目標ゲーム変数の十分位数を決定するステップと、
前記特定のユーザについて前記複数のゲーム目標ゲーム変数の十分位数から代表的なゲーム変数の十分位数を導出するステップと、
前記特定のユーザの前記代表的なゲーム変数の十分位数を前記生成されたゲーム変数帯分類への入力として使用して、前記特定のユーザのゲーム変数帯分類を特定するステップと
を含み、
前記特定のユーザにおける前記特定のゲーム目標に関する予測されたゲーム目標完了時間データを出力する、前記ステップが、前記特定された時間帯分類に基づき、ゲーム変数帯分類が、前記特定された時間帯分類に対して生成されている場合、前記特定されたゲーム変数帯分類にも基づく、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ゲーム目標が、所定の数のクラスに分類され、
代表的なゲーム変数の十分位数が、ゲーム目標の各クラスについて、前記それぞれのクラスにおける先行する所定の数の他のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間の十分位数に基づいて導出される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記他のユーザコーパスが、
i.前記特定のユーザとの人口統計学的類似性と、
ii.前記特定のユーザとのゲームの好みの類似性と、
iii.前記特定のユーザとの与えられたトロフィーの類似性と、
iv.前記特定のユーザとのゲームプレイスタイルの類似性と
からなるリストから選択された1つまたは複数に従って最初にフィルタリングされる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記他のユーザコーパスが、
i.前記特定のユーザのゲーム内状態との前記特定のゲームにおけるゲーム内状態の類似性と、
ii.前記先行する所定の数の他の完了したゲーム目標の順序における類似性と
からなるリストから選択された1つまたは複数に従って最初にフィルタリングされる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
予測されたゲーム目標完了時間データを出力する、前記ステップが、
前記特定のゲーム目標に関する開始条件に到達するためのゲーム内の予測された時間を含むステップ
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
予測されたゲーム目標完了時間データを出力する、前記ステップが、
i.前記ゲームを開始する前に、前記予測されたゲーム目標完了時間データを前記ゲームのアイコンに関連付けて表示するステップと、
ii.前記ゲームを開始する前に、前記予測されたゲーム目標完了時間データをゲームの情報パネル内に表示するステップと、
iii.前記予測されたゲーム目標完了時間データを前記開始されたゲーム内で表示するステップと、
iv.前記特定のユーザが指定されたプレイ持続時間を有する場合、前記プレイ持続時間の所定の許容範囲内の予測されたゲーム目標完了時間データを有するゲームを起用または強調表示するステップと、
v.前記特定のユーザが指定されたプレイ持続時間を有する場合、ゲームを開始するために選択すると、アクティブ化された前記プレイ持続時間の所定の許容範囲内の予測されたゲーム目標完了時間を有するゲーム目標を有するゲームを起動するステップと
からなるリストから選択された1つまたは複数を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法をコンピュータシステムに実行させるように適合されたコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測するように動作可能なサーバであって、
特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測する要求を受信するように動作可能な受信機と、
前記特定のゲーム目標を完了した他のユーザコーパスに関するデータを記憶するように動作可能なメモリと、
前記コーパスについて、前記ユーザコーパス内のユーザが完了した先行する所定の数の他のゲーム目標に関する複数のゲーム目標完了時間の十分位数を決定するように動作可能なプロセッサと、
前記コーパスについて、前記ユーザコーパス内の各ユーザについて前記複数のゲーム目標完了時間の十分位数から代表的な完了時間の十分位数を導出するように動作可能なプロセッサと、
前記コーパスについて、前記代表的な十分位数の値を入力変数として使用し、かつ前記特定のゲーム目標に関する対応するゲーム目標完了時間を出力変数として使用して、時間帯分類を生成するように動作可能なプロセッサと、
前記特定のユーザについて、前記特定のユーザが完了した前記先行する所定の数の他のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間の十分位数を決定するように動作可能なプロセッサと、
前記特定のユーザについて、前記特定のユーザについて前記複数のゲーム目標完了時間の十分位数から代表的な完了時間の十分位数を導出するように動作可能なプロセッサと、
前記特定のユーザの前記代表的な完了時間の十分位数を前記生成された時間帯分類への入力として使用して、前記特定のユーザの時間帯分類を特定するように動作可能なプロセッサと、
要求しているクライアントに対して、前記特定された時間帯分類に基づいて、前記特定のユーザにおける前記特定のゲーム目標に関する予測されたゲーム目標完了時間データを出力するように動作可能な送信機と
を備える、サーバ。
【請求項15】
請求項14に記載のサーバと、
エンタテインメントデバイスであって、
特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測する要求を送信するように動作可能な送信機と、
前記特定のユーザにおける前記特定のゲーム目標に関する予測されたゲーム目標完了時間データを受信するように動作可能な受信機と
を備え、
前記エンタテインメントデバイスが、
i.前記ゲームを開始する前に、前記予測されたゲーム目標完了時間データを前記ゲームのアイコンに関連付けて表示するために出力するステップと、
ii.前記ゲームを開始する前に、前記予測されたゲーム目標完了時間データをゲームの情報パネル内に表示するために出力するステップと、
iii.前記予測されたゲーム目標完了時間データを前記開始されたゲーム内で表示するために出力するステップと、
iv.前記特定のユーザが指定されたプレイ持続時間を有する場合、前記プレイ持続時間の所定の許容範囲内の予測されたゲーム目標完了時間データを有するゲームを起用または強調表示するステップと、
v.前記特定のユーザが指定されたプレイ持続時間を有する場合、ゲームを開始するために選択すると、アクティブ化された前記プレイ持続時間の所定の許容範囲内の予測されたゲーム目標完了時間を有するゲーム目標を有するゲームを起動するステップと
からなるリストから選択された1つまたは複数を実行するプロセスを実行するように動作可能である、エンタテインメントデバイスと
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ分析およびコンテンツ選択の装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオゲームは、あらゆる人口統計学的属性の人々によってプレイされ、このため、多くの異なるライフスタイルを持つ人々によってプレイされている。例えば、1日中ゲームをプレイすることに専念できる人もいれば、時折短時間しかゲームをプレイできない人もいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それにもかかわらず、人々は、利用できる時間が限られていながらも、多様なゲームで充実したゲーム体験を依然として望む。
【0004】
本発明は、この問題に対処すること、またはこの問題を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測する方法が、請求項1に従って提供される。
【0006】
別の態様では、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測するように動作可能なサーバが、請求項14に従って提供される。
【0007】
別の態様では、システムが、請求項15に従って提供される。
【0008】
本発明のさらなるそれぞれの態様および特徴は、添付の特許請求の範囲において定義される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を例として説明する。
【0010】
図1】本説明の実施形態によるエンタテインメントデバイスの概略図である。
図2】本説明の実施形態による、ゲーム目標に関するゲーム目標完了時間の概略図である。
図3】本説明の実施形態による、ゲーム目標に関する予測されたゲーム目標完了時間に関するゲーム内変数の線形回帰分析の概略図である。
図4】本説明の実施形態による、ユーザコーパスについての代表的な十分位数の条件付き推論ツリーの概略図である。
図5】本説明の実施形態による、t検定によって検出された分布の有意な分割の概略図である。
図6】本説明の実施形態による、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測するためのシステムの概略図である。
図7】本説明の実施形態による、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ユーザ分析およびコンテンツ選択の装置および方法を開示する。以下の説明では、本発明の実施形態を十分に理解できるように、いくつかの特定の詳細が提示される。ただし、当業者には明らかなことながら、これらの特定の詳細は、本発明を実施するために使用することは必須ではない。逆に、当業者に知られている特定の詳細は、明確化のために必要に応じて省略されている。
【0012】
ユーザ分析およびコンテンツ選択の方法を実装する装置は、プレイ可能なビデオゲームをホストするためのユーザのビデオゲームコンソールデバイス、そのようなユーザのビデオゲームコンソールとネットワークを介して通信するように動作可能なサーバ、またはこれら2つの組み合わせの形態をとることができる。
【0013】
このため、説明の目的で、ユーザ分析およびコンテンツ選択の方法を実装する装置は、適切なソフトウェア命令の下で動作する、Sony(登録商標)PlayStation4(登録商標)またはPlayStation5(登録商標)エンタテインメントデバイスの形をとることができる。
【0014】
図1は、Sony(登録商標)PlayStation4(登録商標)エンタテインメントデバイスの全体的なシステムアーキテクチャを概略的に示している。システムユニット10には、システムユニットに接続可能な様々な周辺機器が設けられている。
【0015】
システムユニット10は、単一のチップであるアクセラレーテッドプロセッシングユニット(APU)20を備え、APU20は、中央処理ユニット(CPU)20Aとグラフィックス処理ユニット(GPU)20Bとを備える。APU20は、ランダムアクセスメモリ(RAM)ユニット22にアクセスできる。
【0016】
APU20は、場合によりI/Oブリッジ24を介して、バス40と通信し、I/Oブリッジ24は、APU20とは別個のコンポーネントであってもAPU20の一部であってもよい。
【0017】
バス40には、ハードディスクドライブ37などのデータストレージコンポーネント、および互換性のある光ディスク36A上のデータにアクセスするように動作可能なブルーレイ(登録商標)ドライブ36が接続される。加えて、RAMユニット22は、バス40と通信することができる。
【0018】
場合により、バス40には補助プロセッサ38も接続される。補助プロセッサ38は、オペレーティングシステムを実行またはサポートするために提供され得る。
【0019】
システムユニット10は、オーディオ/ビジュアル入力ポート31、イーサネット(登録商標)ポート32、ブルートゥース(登録商標)ワイヤレスリンク33、Wi-Fi(登録商標)ワイヤレスリンク34、または1つもしくは複数のユニバーサルシリアルバス(USB)ポート35を介して、必要に応じて周辺機器と通信する。オーディオおよびビデオは、HDMI(登録商標)ポートなどのAV出力39を介して出力され得る。
【0020】
周辺機器としては、PlayStation Eye(登録商標)などのモノスコピックまたはステレオスコピックビデオカメラ41、PlayStation Move(登録商標)などのワンドスタイルのビデオゲームコントローラ42およびDualShock4(登録商標)などの従来のハンドヘルドビデオゲームコントローラ43、PlayStation Portable(登録商標)およびPlayStation Vita(登録商標)などのポータブルエンタテインメントデバイス44、キーボード45および/またはマウス46、例えば遠隔制御の形態のメディアコントローラ47、ならびにヘッドセット48が挙げられる。プリンタまたは3Dプリンタ(図示せず)などの他の周辺機器も同様に考慮され得る。
【0021】
GPU20Bは、場合によりCPU20Aと組み合わせて、AV出力39を介して出力するためのビデオ画像およびオーディオを生成する。場合により、オーディオは、オーディオプロセッサ(図示せず)と組み合わせて、またはオーディオプロセッサ(図示せず)によって代わりに生成され得る。
【0022】
ビデオおよび場合によりオーディオは、テレビジョン51に提示され得る。テレビジョンでサポートされている場合、ビデオは立体視であってもよい。オーディオは、ステレオ、5.1サラウンドサウンドまたは7.1サラウンドサウンドなどのいくつかのフォーマットのうちの1つでホームシネマシステム52に提示され得る。ビデオおよびオーディオは、ユーザ60が装着するヘッドマウントディスプレイユニット53に同様に提示されてもよい。
【0023】
稼働時には、エンタテインメントデバイスは、FreeBSD9.0から派生したものなどのオペレーティングシステムをデフォルトとする。オペレーティングシステムは、CPU20A、補助プロセッサ38、またはこれら2つの混合形態上で実行され得る。オペレーティングシステムは、PlayStation Dynamic Menuなどのグラフィカルユーザインターフェースをユーザに提供する。メニューにより、ユーザはオペレーティングシステムの機能にアクセスでき、ゲームおよび場合により他のコンテンツを選択できる。
【0024】
次に図2を参照すると、本説明の実施形態は、プレイヤーがゲーム内の所与のタスク(すなわち、ゲーム目標)を完了するのにかかる時間を推定することに関する。完了時間の推定は、プレイヤーが、自分のスケジュールに最適であり得るタスクを判断したり、特定の期間プレイしたいと述べたユーザに適切に時間調整されたタスクを起用または選択したり、プレイに時間制限が(例えば、ペアレンタルコントロールに起因して)課せられているユーザのために適切に時間調整されたタスクを起用または選択したりできるようにするのに役立つ。以下では、「タスク」、「ゲーム目標」、「クエスト」、および「サブクエスト」という用語は、定義された開始条件および終了条件を有するゲームの一部を意味するために交換可能に使用される。
【0025】
図2は、例示的なゲーム(この場合はHorizon Zero Dawn(登録商標))における特定のタスクの完了時間の分布を示している。完了時間は絶対時間ではなくゲーム内の経過時間であるため、例えば、ゲーム内の経過時間は合計で25分でありながらも、数日間にわたるいくつかのゲームセッションにわたる場合がある。
【0026】
図2から、分布は幅広い時間にわたることが分かる。そのため、単純に平均完了時間(10分54秒)を取りあげると、これが当てはまらないプレイヤーが多数存在することになる。この場合の平均絶対誤差(すなわち、短すぎるか長すぎるかにかかわらず、誤差の大きさの平均)は6分13秒である。これは元の推定と同様の大きさであり、その推定を不十分なものにしている。
【0027】
したがって、明らかに、タスクを完了したプレイヤーの平均時間は、任意の所与の個々のプレイヤーのプレイ持続時間の予測子としては不十分である。
【0028】
完了時間をより良く推定するのに寄与するのはゲームプレイの他の側面である場合もあり、例えば、ユーザの正確さ(例えば、より正確な射撃は敵をより迅速に倒すことを意味する)、またはユーザが収集したオブジェクトの数(例えば、ユーザがより多くの財宝を集めるのに時間を費やしている場合、このことが、タスクに時間がかかるようにしている可能性がある)などである場合もある。
【0029】
例示的なゲームであるHorizon Zero Dawn(登録商標)において、予測のための入力を提供するために、10,000人のプレイヤーについて、いくつかのタスクについてのプレイヤーの完了時間、および各所与のサブセクションが開始されるポイントまでに記録された変数の集合を含むデータを収集した。
【0030】
非限定的な例として、使用した変数は次のとおりである。
【0031】
【表1】
【0032】
ゲームが異なれば変数も異なり得るが、これらの変数は、敵を倒す速度および/または習熟度、非戦闘活動の量(例えば、アイテムの収集、非プレイヤーキャラクターとの相互作用)、および過去のクエスト完了速度に関する基本的なグループに含まれ得ることが理解されよう。
【0033】
上記の変数により、線形回帰モデルを使用して、これらの入力変数と出力変数(クエスト完了時間)との間の関係を特定した。モデルは、すべての入力変数を考慮し、誤差を(実際のクエスト完了時間と予測されたクエスト完了時間との間の誤差を可能な限り)減らす重みの集合を見つけることを全体的な目標として、最も良くフィットする線の傾きに影響を与える重みをそれぞれに割り当てる。
【0034】
図3は、線形回帰モデルに基づく予測を示しており、理想的な結果を対角線で示す。上記の変数と目標完了時間との間には何らかの関係があることが分かるが、ノイズが多く、いくつかの予測が実際の完了時間からかなり離れた状態で、理想的な結果を中心としてはまばらにクラスター化されているだけである。
【0035】
クエスト自体の平均完了時間に基づく場合の6.22分と比べると、これらの予測の平均絶対誤差は6.01分であった。
【0036】
これは、この特定のタスクの予測の問題が非常に難しい可能性があることを示している。
【0037】
重要な要素は、プレイヤーコホート内のプレイヤーだけでなく、潜在的に個々のプレイヤーにとっても、プレイヤーがいつどこでプレイしているか、プレイヤーの気分、環境内の他の気を散らすもの晴らしなどに応じて、クエストを完了するための潜在的に豊かで魅力的な環境と、そのクエストに関与するときのプレイヤーの様々なスタイルおよび行動とを提供することの組み合わせから生じる固有の変動性である。これらの要素のいくつかは、測定または予測することが不可能または非現実的であり得るため、行われる予測には常にある程度の誤差が存在する可能性がある。
【0038】
しかしながら、それにもかかわらず、予測をさらに改善することは依然として可能であり得る。
【0039】
上記の線形回帰技法を調べたところ、モデルの予測力の大部分は、「最新の10個のクエストにわたるクエスト速度の十分位数」の入力変数に由来することが分かった。換言すれば、(より広いプレイヤーコーパスに関して)プレイヤーが最近目標を完了した速度は、将来のゲーム目標完了時間を予測するための最良の個別のメトリックであった。
【0040】
したがって、本説明の一実施形態では、ユーザが、例えば、高速、中速、または低速のどのプレイヤーカテゴリに分類されるかを特定することを意図して時間帯分類が実行される。その後、クエストの完了時間は、対応する高速、中速、または低速のプレイヤーコホートについてのクエストの平均完了時間を使用して予測され得る。
【0041】
これにより、クエスト完了時間の最も強力な予測因子の1つ、つまり過去のクエスト完了時間をより小さな範囲に分離することにより、各カテゴリ範囲内で発生する推定誤差もより小さくなるはずである。
【0042】
時間帯分類は、ランダムフォレスト技法を使用して実行され得る。
【0043】
ただし、代替的に、条件付き推論ツリーを使用して時間帯分類を実行することもできる。特に、条件付き推論ツリーを使用して動的時間帯分類を実行することができる。
【0044】
条件付き推論ツリーは、入力変数の値内で分割点を繰り返し探索するタイプの決定木であり、対応する出力変数(例えば、後に予測される変数)の統計的信頼閾値に達した場合にのみ分割する。最良の分割点(例えば、重要度スコアが最も高いもの)が見つかると、その分割の両側のデータ内でこのプロセスを繰り返し、統計的信頼閾値を満たすさらなる分割を探す。
【0045】
分割が見つからなくなるまで、このプロセスを続ける。このプロセスは、再帰分割として知られている。
【0046】
この手法は、最近の目標に対するプレイヤーの完了速度に関連するスコアを分析し、これらの値内でその目標の完了時間に大きな違いがある分割点を分離する分割を探索することにより、所与のゲーム目標(例えば、クエスト、部分クエスト、レベルクリア、ボスバトル、または測定可能な開始ステータス/条件および終了状態/完了条件を伴う任意の同様のゲーム目標)に使用され得る。これについては、本明細書で詳しく後述する。
【0047】
再帰分割が完了すると、最終的な分割点は、成績の「バケット」または出力ノードを形成し、これが予測に使用され得る。次に、各ゲーム目標のバケットおよび主要なメトリックは、所与のプレイヤーの要求に応じてパーソナライズされた時間の推定を生成するために保存され使用され得る。
【0048】
この技法の利点は、分割点の生成により出力ノードが動的に作成されるため、予測のスケールまたは品質が、利用可能なデータのスケールまたは品質とともに向上し得ることである。例えば、システムは、ノイズの多いデータが提供された場合には単一の予測(全体の中央値)を提供するが、様々な異なるプレイヤーグループについて、データがこれらの存在を示している場合は、非常に詳細で正確な予測を提供する。
【0049】
換言すれば、プレイヤーの能力、スタイル、または状況とゲーム目標完了時間との間に(おそらく、例えば、ゲーム自体の固有のランダムな特性に起因して)強い対応関係がないゲームの場合、大きな分割なく、本技法は前述のように全体の平均に帰すことができるが、プレイヤーコホート内で能力、スタイル、または状況とゲーム目標完了時間との間に強い対応関係がある場合、これは分類ツリーに反映され、プレイヤーコホートの異なるサブセットに対応するゲーム目標完了時間予測データが作成される。
【0050】
同じプロセスを所与のプレイヤーに適用して適切な対応するサブセットを特定することにより、プレイヤーコホートのそのサブセットにおける平均完了時間に基づいて、完了時間をより正確に予測できる。
【0051】
上述のように、N個の以前のクエストの集合におけるプレイヤーの相対的な完了時間の成績は特定の予測された値であった。このように、本説明の実施形態では、時間帯分類のための入力変数は、これらの相対的な完了時間の成績に基づくべきであるが、これに限定されない。場合により、代替的な変数、または1つもしくは複数の変数の値に従って重み付けされたこの変数の変形も同様に検討できる。
【0052】
相対的な完了時間などの時間ベースの変数の場合、異なる目標には異なる時間がかかること、さらに、絶対的な完了時間の分布は、異なるクエストでは大幅に異なり得ることが理解されよう。したがって、例えば最新のN個のクエスト完了時間に基づいて完了時間を予測することが望ましい場合、それらをお互いに比較できるように、それぞれのクエストからの値を正規化することが好ましい。
【0053】
そのため、プレイヤーが以前の目標を完了した実際の時間を使用する代わりに、同じ目標を完了した他のプレイヤーと比較して、目標を完了した速度に基づいて、プレイヤーは十分位数(1から10までのランク付けされた値)に配置される。
【0054】
これにより、以前のN個のクエストについてN個の十分位数のスコアが得られる。Nの値は任意の適切な数であり得る。最初、ゲームでは、所与のプレイヤーが完了しているクエストはなく、この場合、「中立」十分位数(十分位数5)がN個のクエストに対して仮定され得る(ただし、本明細書で後述する変形実施形態も参照されたい)。ゲームが進むにつれて、完了したクエストの数はNのターゲット値まで、またそれを超えて増加し、古い値に置き換わる。Nは、例えば1~100の任意の適切な値であり得る。しかしながら、より好ましくは、Nの値は、4~20であり、またはより好ましくは6~15であり、またはより好ましくは8~12であり、またはより好ましくは10である。このようにして、N(例えば、N=10)個の十分位数のスコアは、コーパス/コホート内の他のプレイヤーと比較した、ゲーム内におけるプレイヤーによるゲーム目標の相対的な完了速度の最近の履歴を表す。
【0055】
次に、プレイヤーは、現在のNの十分位数のスコアの平均によって特徴付けられる。これにより、例えば、プレイヤーの最新の10個の十分位数が(4、2、4、2、3、1、1、9、1、2)である場合、これらの平均の十分位数のスコアは2.9になり、これが、次に試行されるクエストの予測された十分位数のスコアとして使用され得る。
【0056】
N+1番目のクエスト(調査中のクエスト)の十分位数の値の上昇傾向または下降傾向を予測するために、N個の十分位数への直線あてはめまたは曲線適あてはめなどの他の分析も実行できることが理解されよう。上昇傾向は、ユーザがゲームの平均学習曲線よりも速く上達している場合(例えば、ゲームの初期、またはゲーム中に新しい能力が導入された場合)に存在する場合があり、またゲームの初期に、十分位数の値が仮定されているがプレイヤーを過小評価している場合に関連する場合もある。下降傾向は、ユーザが仲間と比較して困難を経験している場合に存在する場合があり(例えば、ゲームの後半で、戦闘がより複雑である、またはパズルがより難しい場合)、またゲームの初期に、十分位数の値が仮定されているがプレイヤーを過大評価している場合に関連する場合もある。
【0057】
このように、例えば、上記の最新の10個の十分位数は、第9十分位数に1つの外れ値があるにもかかわらず、第4十分位数のわずかに上から第1十分位数のわずかに下への概して上昇傾向を示している。この場合、直線あてはめが、次に試行されるクエストの十分位数のスコアを、平均の2.9ではなく、1.9になると予測することができる。これは、調査中のクエストにおけるユーザの相対的な成績のより正確な予測であり得る。
【0058】
これにより、所与のゲーム目標を開始しようとしている時点で、任意のプレイヤーの指標となる/代表的な十分位数のスコアを決定できる。したがって、所与のプレイヤーの完了時間を予測するために、ゲーム目標を完了したプレイヤーコホートの代表的な十分位数のスコアを条件付き推論ツリーへの入力として使用し、ゲーム目標の実際の完了時間を出力として使用できる。
【0059】
次に、条件付き推論ツリーは、プレイヤーコホートについて入力された指標となる十分位数のスコア内の分割点を繰り返し探索し、出力変数(実際の完了時間)の統計的信頼閾値(有意性検定)に達した場合にのみ分割する。上記のように、分割が見つからなくなるまで、最初の分割の両側で再帰的に分割を再度探索する。
【0060】
図4を参照すると、図4は、プレイヤーコホートについて入力された代表的な十分位数のスコアの例示的な集合のための技法によって生成された再帰木を示している。ノード[1]において、データは出力データの有意性検定(本明細書で後述)に基づいて2つの集合に分割され、平均十分位数は≦5.51または>5.51であった。ツリーは左側のブランチに進み、ノード[2]において再びサブセットに分割され、平均十分位数は≦4.83または>4.83であった。ツリーは再び左側のブランチから始まり、ノード[3]においてもう一度サブセットに分割され、平均十分位数は≦3.99または>3.99であった。ツリーは再び左側のブランチから始まり、今回はそれ以上の分割は検出されず、その結果、11.7分の平均出力ゲーム目標完了時間に対応する入力された指標となる十分位数のスコアが≦3.99のサブセットについて第1の出力ノード[4](または本明細書の他の場所で記載されている「バケット」)が得られた。
【0061】
次に、ツリーは、ノード[3]の右側のブランチに戻り、ここでもそれ以上分割されず、その結果、15.2分の平均出力ゲーム目標完了時間に対応する、入力された代表的な十分位数のスコアが>3.99および≦4.83のサブセットについて別の出力ノード[5]が得られた。
【0062】
次に、ツリーは、ノード[2]の右側のブランチに戻り、この場合、ここでもそれ以上分割されず、その結果、18.4分の平均出力ゲーム目標完了時間に対応する、入力された代表的な十分位数のスコアが>4.83および≦5.51のサブセットについて別の出力ノード[6]が得られた。
【0063】
図4に示すように、再帰は継続され、ゲーム目標を完了するのに平均で徐々に長い時間で入力されたコホートのサブセットについてさらに3つの出力ノード[9]、[10]、[11]を生成する。
【0064】
ノード[1]、[2]、[3]、[7]、および[8]のそれぞれにおける分割を、統計的有意性検定を使用して決定した。これにより、他方の側の完了時間とは異なる分割の片側の完了時間の信頼度スコアが提供される。検定は、完了時間の違いと利用可能なデータポイントの数(入力された代表的な十分位数の値)の両方を考慮することが好ましい。
【0065】
完了時間に影響を与える寄与要素の上述の複雑さを考えると、完了時間はほぼ正規分布していると仮定できる。したがって、t検定と呼ばれる既知の有意性検定を使用できる。例えば、次を参照されたい。
http://statstutordevelopment.lboro.ac.uk/resources/uploaded/unpaired-t-test.pdf.
【0066】
これにより、候補となる分割点(例えば、所与の十分位数の値)が検定され、結果として得られる各グループ(すなわち、分割の左右のグループ)について、グループのサイズと、これらのグループの完了時間の平均および標準偏差とが使用されて、2つのグループが異なる平均完了時間を有するp値(確率)が計算される。
【0067】
図5は、分割点の左側および右側のグループの分布がそれぞれ異なるそのような分割を示している。
【0068】
p値が所定の閾値に達したとき(確率の定義のされ方に応じて、p値は閾値を上回ったり下回ったりし得る。例えば、異なる結果の確率は高くなるはずである、または同様に、類似の結果の確率は低くなるはずである)、分割が特定され、分割の左側のグループと右側のグループとが分離される。大まかに言えば、平均値の間のドロップオフ率(標準偏差に対応)と、統計的有意性、ひいてはこれらの値の信頼性(平均および標準偏差を生成するために使用されるグループサイズに対応)を考えると、p値は、グループに個別の平均値が存在する可能性を特徴付ける。
【0069】
分割点は、場合により、順次探索され得る(例えば、平均速度の十分位数の各個別の値ごとに)。あるいは、探索の速さを潜在的に上げるために、これらの値を繰り返し区分けすることによって分割点が探索され得る。中央の値(集合を1/2まで進んだ値)にジャンプし、分割を検出する。分割がある場合は、その半分の中央(集合を1/4まで進んだ値)に戻り、分割を検出する。分割がない場合は、その四半分の中央(集合を3/8まで進んだ値)にジャンプし、分割を検出し、以下同様に、分割を示す集合の最初の値が見つかるまで続ける。次に、このプロセスは、結果として得られる左グループと右グループとに対して繰り返され得る。この手法は、通常、候補となる分割の値の数を大幅に減らす。
【0070】
いずれにせよ、結果は、平均十分位数のそれぞれの範囲における「バケット」または出力ノードの集合である。これは、平均十分位数がそれぞれのバケットに含まれるプレイヤーの対応する完了時間の結果のそれぞれの平均および標準偏差を含む。
【0071】
図4のツリーの場合、結果は次のとおりである。
【0072】
【表2】
【0073】
これにより、以前のN個の目標で平均十分位数のスコアが3.99未満であった(換言すれば、平均で、平均完了時間のコホートの上位39.9%に入っていた)プレイヤーAの場合、11.7分の時間でターゲット目標を完了すると予測される一方で、平均十分位数のスコアが6.34を超えるプレイヤーBの場合、27.1分でターゲット目標を完了すると予測される。
【0074】
さらに、この手法は、各バケット内の時間の分布について下位四分位数および上位四分位数を生成し、それにより、異なる平均完了率によって変化する、ユーザがゲーム目標を完了するための現実的な時間範囲を提供できることが理解されよう。
【0075】
このように、プレイヤーAは9~14分の時間で目標を完了すると予測でき、プレイヤーBは22~33分の時間で目標を完了すると予測できる。
【0076】
これにより、ゲーム目標を完了するのにかかる時間を現実的に評価できる。
【0077】
全体の平均は6.22分であることに比べて、条件付き推論ツリーを使用したこの動的時間帯分類手法の平均絶対誤差は4.6分である。これはかなりの改善を表している。
【0078】
しかしながら、(この例における)バケット9、10、または11にないプレイヤーの平均絶対誤差はさらに改善される。これらのプレイヤーは、ゲームの内部および外部の両方のより多数の遅延の影響および原因がプレイヤーの時間全体に寄与する可能性がある、低速のプレイヤーであることが理解されよう。高速のプレイヤーである(この例における)バケット4、5、および6のプレイヤーの場合、ゲーム目標の完了時間は、主に外部の中断や持続的なエラーのないゲームの成績に基づく可能性が高くなるため、ゲームプレイとより直接的に相関する。このため、集中力のあるプレイヤーまたは熟練したプレイヤーの完了時間の推定値の平均絶対誤差は、4.6分よりもはるかに優れている可能性がある。
【0079】
このため、平均絶対誤差の全体的な改善に加えて、本手法は、目標をより迅速に完了する可能性が高いユーザの完了時間の予測のための平均絶対誤差のさらなる改善を提供することができる。これは、関連する全体的な完了時間の一部としての平均予測誤差が、グローバルな平均から導出された平均予測誤差よりもバケット間でより一貫していることも意味する。
【0080】
変形実施形態
上記の例は、以前のN個のクエストのN個の十分位数のスコアの平均に基づいている。前述のように、場合により、入力変数は、以前のN個のクエストのN個の十分位数のスコアの傾向を捉えるためのN+1番目の十分位数のスコアの直線予測または他の予測であり得、これにより、ゲーム目標(N+1番目のクエスト)に関してプレイヤーコホートをより正確に定義できるため、分類および分割の決定に関するより良い統計値が提供され、その結果、より多くの分割および/またはより良い位置にある分割が得られるため、バケット/出力ノードごとの予測における平均絶対誤差をさらに削減できる。
【0081】
次に、現在のプレイヤーの分析は、同様に、ゲーム目標完了時間の統計値を取得するための関連する出力ノード/バケットを特定するために、N+1番目の十分位数のスコアの直線予測または他の予測に基づき得る。
【0082】
同様に、場合により、上記のように、以前のN個のクエストの完了時間は、N+1番目のクエストの完了時間の強力な予測子であるが、唯一の予測子ではない。したがって、完了時間の十分位数と、発射されたショットに対するキルの比率、受けたダメージ、収集されたオブジェクトなど、またはより一般的には目的を完了する際のプレイヤーの効率の指標などの何らかの他のメトリックとの組み合わせに基づく入力値が、条件付き推論ツリーを生成するために、平均または予測された完了時間の十分位数と組み合わせて使用され得る。このため、例えば、上記のメトリックは、効率スコアを生成するために使用され、平均に対して正規化され(例えば、平均が1に等しくなるように)、平均完了時間の十分位数を掛けて、入力された値の分布内の効率的なプレイヤーを昇格させ、非効率的なプレイヤーを降格させることができる。
【0083】
あるいは、条件付き推論ツリーは、本明細書で上述したように平均または予測された完了時間の十分位数に基づき得るが、バケットが閾値期間を超える場合、そのバケットに対応するユーザコホートは、統計的に有意なサブセットが存在する場合、コホートを1つまたは複数のサブセットにさらに分離するために、上記のプレイヤー効率の指標などのさらなるメトリックに基づく第2の条件付き推論ツリーの対象となる。
【0084】
このため、例えば、第1のバケット[4]の四分位数の範囲は8.7~14であり、比較的小さいが、それにもかかわらず0分(またはより現実的には、「プロ」プレイヤーの最速時間もしくは時間範囲)から最大約14分までの潜在的な値の範囲をカバーする。これは、バケット5、6、9、および10と比較して比較的広い範囲である。
【0085】
このため、第1のバケット[4]に対応するグループは、この補足的な条件付き推論ツリープロセスの対象となり、例えば2つのサブグループに分割され、例えば、その結果、平均完了時間はそれぞれ8分および13分になり、四分位数はそれぞれ小さい範囲にわたり、それにより、これらのグループの予測精度が向上する。
【0086】
同様に、最後の四半分のバケット[11]は、約25分以降のほとんどの時間をカバーする。これは、データセットによっては長い時間であり得る(例えば、多くのプレイヤーが最大1時間かかり得る)。このため、ここでも、この最後のバケット[11]に対応するグループは、この補足的な条件付き推論ツリープロセスの対象となり得、例えば、集中して目標を完了しようとするが、それがうまく行われない(例えば、ヒット率が低い、またはダメージのレベルが高い)人々と、集中して目標を完了していない人々(例えば、集中せずに、目標に直接関係のない大量の財宝を収集する)とを潜在的に区別するいくつかのサブグループに分割する。これにより、ここでも、低速のプレイヤーの予測精度が向上し得る。
【0087】
上述のように、すべてのクエスト/ゲーム目標が同じであるとは限らず、このために、条件付き推論ツリーへの入力から完了までの絶対時間の固有の差を取り除くために、完了時間の十分位数が計算される。ただし、同様に、すべてのクエスト/ゲーム目標が同じであるとは限らないため、ゲーム目標の性質に応じて、所与のゲーム目標内の異なる要因が完了時間に寄与する可能性がある。
【0088】
このため、例えば、4つの財宝を集めることに関するクエストは、パズルを解くのが得意な人や特に目敏い人々によってうまく行われ得るが、戦場で50人の敵を排除することに関するクエストは、反射神経または正確さが優れている人々によってうまく行われ得る。したがって、このような様々なクエストを比較的ランダムな順序(またはユーザが選択可能な順序)で提示するゲームでは、より多くの財宝を見つけることと関係があるのか、それともより多くの敵を倒すことと関係があるのかに応じて、次のクエストの予定完了時間を必ずしも反映していないN個の十分位数の集合が生成され得る。
【0089】
したがって、場合により、異なるタイプのクエストに対して異なるN個の十分位数の集合を計算でき、クエストは単純なカテゴリに従って分類される。カテゴリは、オブジェクト/人々の捜索、場所への到達、敵を倒すことなどを含むことができ、そのため、完了時間が予測されるクエストに適した十分位数の集合を、本明細書の他の場所で説明されている技法のいずれかに従って使用するために選択できる。
【0090】
また、以前にゲーム目標を完了した大規模なプレイヤーコホートに基づいて条件付き推論ツリー分析を行うことにより、統計的にロバストな分析が可能になるが、上記のグローバルな平均値によく似て、そのようなすべてのプレイヤーコホート、またはそのようなプレイヤーのランダムなサブセットは、グローバルな平均的プレイヤーを効果的にモデリングすることも理解されよう。このため、場合により、プレイヤーの数の増加に起因してレコードの数が増加するにつれて、コホートを形成するためにプレイヤーのターゲットサブセットを選択することが可能である。これは、プレイヤーおよび/またはゲームの観点から行うことができる。
【0091】
プレイヤーの観点からは、これには、要求しているプレイヤー自身の登録年齢と同様の年齢のプレイヤーを選択することが含まれ得る。同様に、同様のプレイスタイルを持つプレイヤーを選択することも含まれ得る。これは、それぞれのライブラリにおけるゲームの重複の程度、または最近プレイしたゲームの重複の程度から、および/またはプレイヤーに与えられたトロフィー(またはトロフィーのクラス)の重複に基づいて推測できる。トロフィーは、通常、乱闘を好むか狙撃を好むか、もしくは戦闘を好むか隠密行動を好むかなど、ゲーム内の様々な行動を反映している。
【0092】
ゲームの観点からは、これは、例えば単純なキャラクタークラスレベルで行うことができる。プレイヤーがマジシャンや野蛮人などの様々なキャラクタークラスを選択できるゲームでは、所与のクエストは、例えば異なる能力のために、または敵を倒すのに熟練しているがパズルを解くのに熟練していない、もしくはその逆であるために、目標まで異なるルートをたどる必要があるため、これらの異なるキャラクタークラスに対して異なる実効難易度になる可能性がある。このため、現在のプレイヤーのキャラクタークラスと同様のキャラクタークラスを持つプレイヤーのサブセットのコーパスは、ランダムまたは全プレイヤーコーパスよりもプレイ完了時間のより良い推定を提供する条件付き推論ツリーをもたらすと期待され得る。コーパスの選択されたメンバーのゲーム内状態が現在のプレイヤーの状態に近い可能性があるほど、より良く表現された結果になることが理解されよう。このため、場合により、統計的に有意なコーパス(すなわち、条件付き推論ツリーから良好な結果を提供するのに十分なサイズのコーパス)は、ゲーム内状態または状況がユーザに最も近いプレイヤーを優先的に選択し、この初期ポイントから選択範囲を広げることによって所望のコーパスサイズが達成されるまで成長され得る。
【0093】
当然のことながら、これは、所与のユーザについての条件付き推論ツリーの特注のコーパス選択および生成を意味し、多くのユーザに提供される場合、計算コストが高くなり得ることが理解されよう。このため、ユーザ自身が好ましい近似に、例えば、年齢のみ、またはキャラクタークラスのみ、またはキャラクタークラスおよびレベル、または現在のクラス、レベル、および装備された武器、または有限集合のコーパスおよび条件付き推論ツリーを事前に生成し、後で現在のプレイヤーについての予測を生成するために選択できる任意の適切な組み合わせに同様に分類され得る。
【0094】
上記と同様に、ユーザの平均または予測された十分位数は、以前のN個のクエストの完了の十分位数に基づく。次に、これは、調査中のゲーム目標を完了したプレイヤーコーパスについて同様の平均または予測された十分位数に基づいて成長した条件付き推論ツリーで使用される。ただし、現在のプレイヤーと同じ順序で同じ以前のN個のクエスト(および調査中の次のクエスト)を完了した確率は小さい可能性がある。このため、平均または予測された十分位数は、最後に完了したN個のクエストに基づき得るが、これらはすべて同じクエストであるとは限らない。そのため、結果として得られる十分位数の集合は、最も良く表現されたものではない可能性がある。このため、場合により、条件付き推論ツリーの生成に使用されるコーパスは、クエストの完了シーケンスが現在のプレイヤーのシーケンスに最も近いプレイヤーのサブセットから形成されてもよく、すべてのクエストが同じ状態で開始されることが優先され、その結果、コーパス内のプレイヤーの閾値数より少なくなる場合、コーパスに十分な数のプレイヤーが存在するまで、クエストの違いが最も少ないプレイヤーをさらに追加し、好ましくは(例えば、十分位数を予測する場合)、N個のクエストの集合内の最も古いクエストの中から追加する(例えば、最も古いクエスト、次に最も古いクエスト、などの変形を伴ってプレイヤーを追加する)。この手法では、クエストがN個の十分位数のレコードに特定可能に関連付けられる必要があることが理解されよう。
【0095】
繰り返すが、これは、所与のユーザについての条件付き推論ツリーの特注のコーパス選択および生成を意味し、多くのユーザに提供される場合、計算コストが高くなる可能性があることが理解されよう。しかしながら、ゲームは、多くの場合、明確な進行経路を持つように構成されているか、特定の場所に関連付けられたいくつかのクエストを有し得るため、特定のシーケンスまたはクエストの組み合わせが一般的となる。したがって、条件付き推論ツリーは、最も一般的なクエストシーケンスまたは(予測ではなく平均が必要な場合)クエストの組み合わせを有するプレイヤーコーパスに対して生成され得る。次に、現在のユーザの最も近いフィッティングシーケンスまたは最新のN個のクエストの組み合わせに対応する条件付き推論ツリーが、次のクエストの完了時間を予測するために選択され得る。
【0096】
クエスト/ゲーム目標が分類され得る場合、原則として、所与のクラスのクエスト/ゲーム目標のN個の十分位数の集合が、場合により、複数のゲームから組み立てられ得る。これは、例えば、プレイヤーが1つのゲーム内で、代表的な平均または予測を取得するのに十分なクエストを完了していない場合に役立つ(例えば、所定の割合を超えるN個の十分位数を仮定する必要がある場合、例えば、十分位数5)。同様に、あるゲームからのユーザの平均または予測された十分位数を、場合により、別のゲームの仮定される十分位数の集合の代わりに使用することができる。例えば、あるゲームの最初のN個の実際の十分位数を、新しいゲームの最初の仮定される初期十分位数として使用できる。これらのインポートされた十分位数の代表的な性質を改善するために、それらは同じジャンルのゲームから、またはシリーズのゲームの場合は、シリーズの以前にプレイされたゲームから選択され得る。
【0097】
クエスト/ゲーム目標について記録された完了時間は、通常、開始条件および終了条件がいつ発生するかに基づく。しかしながら、ユーザが必要な開始条件にすぐに到達しない場合がある。例えば、クエストが、最初に非プレイヤーキャラクターと話したり、ゲーム内のユーザから離れている可能性のある特定のアイテムを装備したりすることを必要とし得る。したがって、予測された完了時間には、ゲーム目標の開始条件に到達するための予測された時間、例えば、ゲーム環境を横断して開始条件に到達する(または高速移動メカニズムを使用して最も近いウェイポイントに到達してからゲーム環境を横断して開始条件に到達する)、または関連アイテムを装備するのに予想される時間などを含む期間が追加され得る。
【0098】
同様に、ユーザがクエストを部分的に完了し、現在プレイを再開している場合、その経過時間は予測された完了時間から削除できる。経過時間が予測された時間を既に超えている場合、または最も遅い十分位数内に既にある場合、場合により、予測は行われない。
【0099】
上記の変形の任意の適切な組み合わせを一緒に使用できることが理解されよう。
【0100】
出力
所与のゲームの結果は、ゲーム内の専用のクエスト選択メニュー内で提供され得る。このため、例えば、ユーザがアクティブなまたは利用可能なクエストを選択するとき、ユーザがクエストを完了するための予測された時間も提供され得、ユーザは、どのクエストを推し進めるかに関する情報に基づいた選択を行うことができる。
【0101】
代替的または追加的に、所与のゲームの結果が、エンタテインメントデバイスのオペレーティングシステムによって利用可能にされたそのゲームのアイコンと併せて提供され得る。例えば、1つまたは複数のゲーム目標の名前が、予測された完了するまでの時間とともにアイコンの近くに提供され得る。
【0102】
代替的または追加的に、所与のゲームの結果は、そのゲームのアイコンにカーソルを重ねたとき、またはそのゲームのアイコンが選択されたときに、さらなる詳細(例えば、獲得したトロフィー、ゲームをプレイしている他の友人など)がプレイヤーに提供され、それによりユーザがその時点でゲームをプレイするか否かを評価するのに役立つ追加情報を提供するように、提供され得る。
【0103】
ゲーム内で現在利用可能なクエストの数は多い可能性があり、それらのすべてをこのやり方で評価または表示しないことが好ましい場合がある。したがって、ゲーム内で現在開いているクエスト(すなわち、ユーザが完了するためにアクティブに選択されたクエスト)が優先される場合があり、例えば、開始条件がゲーム内でユーザに地理的に近いクエスト、またはプレイヤーが位置を変えずに開始できるクエストなどが優先される場合があり、これは、これらが時間推定の精度を下げる干渉要因の範囲を最小化するためである。
【0104】
場合により、ユーザはゲーム自体またはオペレーティングシステムのユーザインターフェース内で好ましいプレイ時間を指定できる場合がある(例えば、ユーザは30分しか利用できないことを知っている場合がある、またはペアレンタルコントロールがプレイ時間制限を設定する)。したがって、ゲームまたはオペレーティングシステムは、30分以内に完了することができるクエスト、例えば、プレイヤーの予測された平均または好ましくは上位四分位数が30分未満のゲームを優先し得る。上位四分位数を使用すると、平均絶対誤差が非ゼロである場合、プレイヤーが指定された時間内にクエストを完了できない可能性が低くなる。通常、完了時間または上位四分位数がターゲット時間に最も近いがそれより短いものが最も優先される。
【0105】
場合により、ユーザが(自分自身で、またはペアレンタルコントロールの結果として)好ましいプレイ時間を指定する場合、完了するのにこの好ましいプレイ時間がかかると予測されるクエスト/目標を備えたゲームをプレイヤーに強調表示して、選択できるようにすることができる。これにより、利用可能なプレイ時間が既に短い可能性がある場合に、ユーザが適切なアクティビティを探してゲーム中を探す必要が少なくなる。
【0106】
場合により、ユーザがプレイ時間を指定する場合(またはユーザの代わりに、例えばペアレンタルコントロールによってプレイ時間が指定される場合)、ゲームは、ゲームを開いて関連するゲーム目標を自動的にアクティブにするオプションをユーザに提供することができる。その後、ゲームは従来の方法で続行でき、ゲーム内のメカニズムをなんでも使用して、アクティブなゲーム目標の完了をこのゲーム目標に向けるように案内することができる。
【0107】
このため、例示的な実施形態では、ユーザは、エンタテインメントデバイスに、例えば、プレイする時間が30分ある(またはペアレンタルコントロールに基づいて30分有し得る)ことを伝えることができる。エンタテインメントデバイスは、完了するのに30分かかるゲーム目標を備えたゲームを起用および/または強調表示する。場合により、クエストの開始に到達するまでにかかる時間を考慮し、場合により、既に開いているか、ユーザのゲーム内の場所の近くにあるクエスト/目標を優先し、場合により、そのクエストをアクティブにした状態で(例えば、最新のゲームセーブを使用して)ゲームを開く。
【0108】
最後に、本明細書における「十分位数」への言及は単に代表的なものであり、四分位数または百分位数など、入力値を正規化するための任意の適切な区分が考慮され得ることが理解されよう。このため、本明細書における「十分位数」への言及は、適切な代替的な区分と同等であると理解されたい。
【0109】
システム
次に図6を参照すると、上記の技法を実施するためのシステムが、インターネットなどのネットワーク500を介して複数のクライアントエンタテインメントデバイス10A、10B、…、10Mに接続されたサーバ610を備え得る。
【0110】
ゲーム目標完了テレメトリがクライアントエンタテインメントデバイスからサーバにアップロードされ、それにより上記の技法で使用されるプレイヤーコーパスが作成される。
【0111】
テレメトリは、通常、タスク/クエスト/目標ID、および場合によりゲームIDを含み、例えばタスク/クエスト/目標IDがすべてのゲームで一意であるとは限らず、またテレメトリは完了時間を含む。例えば、ユーザの人口統計学的属性に基づいて、またはゲーム状況において、コーパスのさらなるフィルタリングを使用する上記の技法の実施形態では、適切な情報もテレメトリの一部として送信され得る。
【0112】
次に、特定のエンタテインメントデバイス、例えば10Aが、そのデバイスに現在ログオンしているユーザについての目標完了時間予測を要求する(異なるユーザが同じデバイスにログオンして同じゲームをプレイする可能性があるため、デバイスにログインするユーザごとにそれぞれの個別のデータを保存できる)。
【0113】
ユーザが既にゲーム内にいる場合、ゲーム内でユーザが既に利用できるクエストは、タスク/クエスト/目的ID、および場合により必要に応じてゲームIDを使用してサーバに特定され得る。サーバ全体の負荷を軽減するために、場合により、上位のQ個のクエスト(例えば、Qは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、または任意の適切な数)のみがサーバに送信される。これらは、例えば、既に開いているクエスト、開始条件がユーザにとってローカルであるクエスト、またはコアとなるゲームクエストとして特定されるクエスト(すなわち、ゲームを完了するために最終的に完了する必要があるクエスト)を含み得る。これにより生成されるクエストがQ個未満の場合、ワイルドカード要求をランダムに選択して、サーバに送信されるリストに追加することもできる。
【0114】
加えて、ユーザの平均十分位数または予測された十分位数も取得される。これは、様々なやり方で実行され得る。エンタテインメントデバイスは、要求の一部として、以前に完了したN個のクエストのゲーム目標IDを提供することができ、これらのクエストのユーザの完了時間または以前に計算された十分位数は、サーバのストアからサーバによって呼び出され得る、またはエンタテインメントデバイスによってサーバに送信もされ得る。あるいは、サーバは、ユーザの進行状況を追跡し続け、最新のN個のクエストの十分位数の値を、絶対完了時間または計算された十分位数、あるいはその両方として送信するためにさらに特定する必要なしに維持することができる(ユーザの十分位数は、他のプレイヤーの結果が受信されると変わり得るため、ユーザの十分位数は、最新のN個のクエストの値の記録の一部である限り、記録された完了時間から定期的に再計算され得ることが理解されよう)。あるいは、エンタテインメントデバイスは、予測プロセスの一部としてサーバから以前に計算された十分位数を受け取っている場合があるため(以下で説明)、これらをサーバに直接提供するか、必要に応じて平均または予測された十分位数を計算して提供する。
【0115】
いずれにせよ、サーバは、上記の技法のいずれかを必要に応じて使用して、所与のユーザにおける所与のクエストの完了時間を予測する要求を、そのユーザの以前のN個のクエストの仮定された、もしくは実際の十分位数、またはそれらの十分位数に基づく平均または予測とともに取得する。
【0116】
次に、サーバは、特定のクエストを既に完了し、完了時間が分かっているプレイヤーコーパスからのデータと、先行するN個のクエストの平均または予測された十分位数とを使用し、本明細書で説明される条件付き推論ツリー技法を使用して、1つ以上の出力ノードの完了統計値を生成する。次に、本明細書で上述したように、先行するN個のクエストに対するユーザ自身の対応する平均または予測された十分位数を使用して、例えば下位四分位数および上位四分位数に基づいて、予測された平均時間および/または時間範囲を取得することができる。
【0117】
ゲーム内の各クエストについて、十分な数のプレイヤーコーパスが利用可能になると、条件付き推論ツリーを事前に生成でき、定期的にのみ更新できることが理解されよう(例えば、クエストについて閾値数の新しいレコードが取得された場合)。このため、原則として、各要求に応じて条件付き推論ツリーを再計算する必要はなく、条件付き推論ツリーが生成されると、要求に関連付けられた平均または予測された十分位数を迅速かつ効率的に使用して、関連する出力ノードを特定し、これにより予測を取得できる。
【0118】
本明細書に記載の変形手法のいずれかがサーバによって使用され得、これらが先行するクエストの特定などの追加情報を必要とする場合、これらもテレメトリに含まれ得ることが理解されよう。
【0119】
ここでも、これらの技法のいくつかでは、条件付き推論ツリーを事前に生成でき、定期的にのみ更新できることが理解されよう。
【0120】
サーバが要求された1つまたは複数のクエストの予測された平均時間および/または時間範囲を取得すると、これらを、要求しているクライアントデバイスに返すことができる。
【0121】
次に、要求しているクライアントデバイスは、本明細書で上述したようにこれらを使用して、ゲームアイコン、またはアイコンが操作された後のゲーム情報パネルを拡張したり、ゲーム内クエストメニューにデータを入力またはランク付けしたり、予測された時間をターゲットゲームプレイ期間と比較して、ターゲットゲームプレイ期間に厳密に一致するゲーム内のクエスト(例えば、上位四分位数がターゲットゲームプレイ期間の所定の許容範囲内にある)またはライブラリ内のそのようなクエストを含むゲームを強調表示し、また場合により、例えばユーザがゲームを選択したときに、そのようなクエストが自動的にアクティブ化された状態でゲームを開く。
【0122】
次に図7を参照すると、本発明の要約実施形態では、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測する方法が、
第一に、特定のゲーム目標を完了した他のユーザコーパスについて、
-第1のステップs710において、ユーザコーパス内のユーザが完了した先行する所定の数の他のゲーム目標に関する複数のゲーム目標完了時間の十分位数(例えば、本明細書で上述したように、N個の十分位数)を決定するステップと、
-第2のステップs720において、本明細書で上述したように、ユーザコーパス内の各ユーザについて複数のゲーム目標完了時間の十分位数から代表的な完了時間の十分位数を導出するステップと、
-第3のステップs730において、例えば図4を参照して本明細書で上述したように、代表的な十分位数の値を入力変数として使用し、かつ特定のゲーム目標に関する対応するゲーム目標完了時間を出力変数として使用して、時間帯分類を生成するステップと、
を含む。
第二に、特定のユーザについて、
-第4のステップs740において、特定のユーザが完了した先行する所定の数の他のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間の十分位数を決定するステップと、
-第5のステップs750において、特定のユーザについて複数のゲーム目標完了時間の十分位数から代表的な完了時間の十分位数を導出するステップと、
-第6のステップs760において、特定のユーザの代表的な完了時間の十分位数を生成された時間帯分類への入力として使用して、特定のユーザの時間帯分類を特定するステップと、
-第7のステップs770において、特定された時間帯分類に基づいて、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関する予測されたゲーム目標完了時間データを出力するステップと
を含む。
【0123】
当業者には明らかなことであるが、本明細書および特許請求の範囲に記載されている方法および/または装置の様々な実施形態の動作に対応する上記の方法の変形は、本開示の範囲内に含まれると見なされ、限定されないが、次を含む。
-時間帯分類は、本明細書で上述したように、条件付き推論ツリーを使用する動的時間帯分類である。
-ツリー構造の分割は、対応するゲーム目標完了時間における2つ以上の平均を中心としたそれぞれの分布が、例えばt検定に関連して本明細書で上述したように、信頼閾値で検出されたときに形成される。
-代表的な完了時間の十分位数は、先行する所定の数のゲーム目標完了時間の十分位数の平均である、または
-代表的な完了時間の十分位数は、一連の先行する所定の数のゲーム目標完了時間の十分位数に基づく予測された十分位数の値(例えば、上述の線形予測)である。
-先行する所定の数の他のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間の十分位数は、仮定される中立十分位数の値(例えば、本明細書で上述した十分位数5)と、特定のユーザが特定のゲームで完了したゲーム目標の数が所定の数よりも少ない場合、本明細書で上述した、異なるゲームにおけるゲーム目標の完了からの十分位数とからなるリストから選択された1つまたは複数を含む。
-上述のように、生成された時間帯分類の特定の出力ノードに対応するユーザコーパスについて、異なるゲーム内変数の新しい帯分類を生成する。
-例えば、1つまたは複数の時間帯分類に関して、それぞれの時間帯分類に分類された他のユーザコーパスについて、ユーザコーパス内のユーザが完了した先行する所定の数の他のゲーム目標に関する複数のゲーム目標ゲーム変数の十分位数を決定するステップであって、ゲーム変数が完了時間以外の変数である、ステップと、ユーザコーパス内の各ユーザについて複数のゲーム目標ゲーム変数の十分位数から代表的なゲーム変数の十分位数を導出するステップと、代表的な十分位数の値を入力変数として使用し、特定のゲーム目標に関する対応するゲーム目標ゲーム変数を出力変数として使用して、ゲーム変数帯分類を生成するステップと、特定のユーザについて、対応するゲーム変数について、特定のユーザが完了した先行する所定の数の他のゲーム目標に関するゲーム目標ゲーム変数の十分位数を決定するステップと、特定のユーザについて複数のゲーム目標ゲーム変数の十分位数から代表的なゲーム変数の十分位数を導出するステップと、特定のユーザの代表的なゲーム変数の十分位数を生成されたゲーム変数帯分類への入力として使用して、特定のユーザのゲーム変数帯分類を特定するステップとを含み、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関する予測されたゲーム目標完了時間データを出力するステップが、特定された時間帯分類に基づき、ゲーム変数帯分類が、特定された時間帯分類に対して生成されている場合、特定されたゲーム変数帯分類にも基づく。
-ゲーム目標は、所定の数のクラスに分類され、代表的なゲーム変数の十分位数が、ゲーム目標の各クラスについて、それぞれのクラスにおける先行する所定の数の他のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間の十分位数に基づいて導出される。
-他のユーザコーパスは、特定のユーザとの人口統計学的類似性と、特定のユーザとのゲームの好みの類似性と、特定のユーザとの与えられたトロフィーの類似性と、前記特定のユーザとのゲームプレイスタイルの類似性とからなるリストから選択された1つまたは複数に従って最初にフィルタリングされる。
-他のユーザコーパスは、特定のユーザのゲーム内状態との特定のゲームにおけるゲーム内状態の類似性と、先行する所定の数の他の完了したゲーム目標の順序における類似性とからなるリストから選択された1つまたは複数に従って最初にフィルタリングされる。
-特定のゲーム目標に関する開始条件に到達するためのゲーム内の予測された時間を含むステップを含む、予測されたゲーム目標完了時間データを出力するステップ。
-予測されたゲーム目標完了時間データを出力するステップが、ゲームを開始する前に、予測されたゲーム目標完了時間データをゲームのアイコンに関連付けて表示するステップと、ゲームを開始する前に、予測されたゲーム目標完了時間データをゲームの情報パネル内に表示するステップと、予測されたゲーム目標完了時間データを開始されたゲーム内で表示するステップと、特定のユーザが規定されたプレイ持続時間(例えば、ユーザが提供した好ましいプレイ持続時間、ペアレンタルコントロールが設定したプレイ持続時間)を有する場合、プレイ持続時間の所定の許容範囲内の予測されたゲーム目標完了時間データを有するゲームを(例えば、オプションのリスト内で)起用または強調表示するステップと、特定のユーザが規定されたプレイ持続時間(同様に、例えば、プレイヤーが設定した、またはプレイヤーに課せられた持続時間)を有する場合、ゲームを開始するために選択すると、アクティブ化されたプレイ持続時間の所定の許容範囲内の予測されたゲーム目標完了時間を有するゲーム目標を有するゲームを起動するステップとからなるリストから選択された1つまたは複数を含む。
【0124】
上記の方法は、ソフトウェア命令によって、または専用ハードウェアの包含または置換によって適用可能であるように適切に適合された従来のハードウェア上で実行され得ることが理解されよう。
【0125】
よって、従来の同等のデバイスの既存の部分への必要な適応は、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、ハードディスク、ソリッドステートディスク、PROM、RAM、フラッシュメモリ、またはこれらもしくは他の記憶媒体の任意の組み合わせなどの非一時的機械可読媒体に記憶されたプロセッサ実装可能命令を含むコンピュータプログラム製品の形で実装されてもよいし、ASIC(特定用途向け集積回路)またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)または従来の同等のデバイスへの適応に使用するのに適した他の構成可能な回路としてハードウェアで実現されてもよい。これとは別に、そのようなコンピュータプログラムが、イーサネット、無線ネットワーク、インターネット、またはこれらもしくは他のネットワークの任意の組み合わせなどのネットワーク上でデータ信号を介して送信され得る。
【0126】
したがって、本発明の要約実施形態では、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測するように動作可能なサーバ610(任意の適切なサーバであるが、説明の目的で、非限定的な例として、サーバとして動作するPlayStation4(登録商標))であって、(例えば、クライアントデバイス10A…10Mのうちの1つから)特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測する要求を受信するように動作可能な受信機(イーサネット(登録商標)ポート32など)と、特定のゲーム目標を完了した他のユーザコーパスに関するデータを記憶するように動作可能なメモリ(RAM22またはHDD37など)と、コーパスについて、ユーザコーパス内のユーザが完了した先行する所定の数の他のゲーム目標に関する複数のゲーム目標完了時間の十分位数を決定するように(例えば、適切なソフトウェア命令の下で)動作可能なプロセッサ(CPU20Aなど)と、コーパスについて、ユーザコーパス内の各ユーザについて複数のゲーム目標完了時間の十分位数から代表的な完了時間の十分位数を導出するように(例えば、適切なソフトウェア命令の下で)動作可能なプロセッサ(CPU20Aなど)と、コーパスについて、代表的な十分位数の値を入力変数として使用し、かつ特定のゲーム目標に関する対応するゲーム目標完了時間を出力変数として使用して、時間帯分類を生成するように(例えば、適切なソフトウェア命令の下で)動作可能なプロセッサ(CPU20Aなど)と、特定のユーザについて、特定のユーザが完了した先行する所定の数の他のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間の十分位数を決定するように(例えば、適切なソフトウェア命令の下で)動作可能なプロセッサ(CPU20Aなど)と、特定のユーザについて、特定のユーザについて複数のゲーム目標完了時間の十分位数から代表的な完了時間の十分位数を導出するように(例えば、適切なソフトウェア命令の下で)動作可能なプロセッサ(CPU20Aなど)と、特定のユーザの代表的な完了時間の十分位数を生成された時間帯分類への入力として使用して、特定のユーザの時間帯分類を特定するように(例えば、適切なソフトウェア命令の下で)動作可能なプロセッサ(CPU20Aなど)と、要求しているクライアントに対して、特定された時間帯分類に基づいて、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関する予測されたゲーム目標完了時間データを出力するように動作可能な送信機(イーサネット(登録商標)ポート32など)とを備える、サーバ610。
【0127】
適切なソフトウェア命令の下で、本明細書および特許明請求の範囲に記載されている技法のいずれかを実行するようにサーバを動作可能にし得ることが理解されよう。
【0128】
同様に、要約実施形態では、システムが上記サーバとエンタテインメントデバイス(非限定的な例として、Sony Playrstation4(登録商標)など)とを備え、エンタテインメントデバイスが、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関するゲーム目標完了時間を予測する要求を(例えばサーバに)送信するように動作可能な送信機(イーサネット(登録商標)ポート32またはWifi(登録商標)34など)と、特定のユーザにおける特定のゲーム目標に関する予測されたゲーム目標完了時間データを受信するように動作可能な受信機(イーサネット(登録商標)ポート32またはWifi(登録商標)34など)とを備え、エンタテインメントデバイスが、ゲームを開始する前に、予測されたゲーム目標完了時間データをゲームのアイコンに関連付けて表示するために出力するステップと、ゲームを開始する前に、予測されたゲーム目標完了時間データをゲームの情報パネル内に表示するために出力するステップと、予測されたゲーム目標完了時間データを開始されたゲーム内で表示するために出力するステップと、特定のユーザによって好ましいプレイ持続時間が提供された場合、好ましいプレイ持続時間の所定の許容範囲内の予測されたゲーム目標完了時間データを有するゲームをディスプレイのための出力において強調表示するステップと、特定のユーザによって好ましいプレイ持続時間が提供された場合、ゲームを開始するために選択すると、アクティブ化された好ましいプレイ持続時間の所定の許容範囲内の予測されたゲーム目標完了時間を有するゲーム目標を有するゲームを起動するステップとからなるリストから選択された1つまたは複数を実行するプロセスを実行するように動作可能である。これは、出力オプションの網羅的ではないリストであり得ることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7