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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】衛生用薄葉紙収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20241204BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20241204BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B65D83/08 A
B65D25/52 F
A47K7/00 H
B65D83/08 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020174501
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022065795
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 侑平
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0263813(US,A1)
【文献】特開2015-000170(JP,A)
【文献】実開平05-075181(JP,U)
【文献】特開2011-167335(JP,A)
【文献】特開2016-000620(JP,A)
【文献】特開2014-005079(JP,A)
【文献】特開2007-112458(JP,A)
【文献】特開平09-149863(JP,A)
【文献】特開平09-301483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 25/52
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が含浸されたロール状の衛生用薄葉紙が内部に収納され、その衛生用薄葉紙を取り出す開口部を有する容器本体と、
前記容器本体の前記開口部を開閉自在とし、前記容器本体を密閉することができる蓋体と、
を備えた衛生用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体内には、対向する内側面間に着脱可能に掛け渡される保持軸が備えられており、
前記保持軸は、前記ロール状の衛生用薄葉紙のロールの軸心の中空部に挿通された状態で前記容器本体内に掛け渡されて、前記ロール状の衛生用薄葉紙を保持するように構成されており、
前記蓋体と前記容器本体のいずれか一方には、前記容器本体内から引き出された前記ロール状の衛生用薄葉紙と接触させて、その衛生用薄葉紙を切断するための切断部が設けられており、
前記容器本体の前記開口部の周縁部には、前記容器本体に対し前記蓋体が閉じられた際に、その蓋体の周縁部が嵌入する溝部が形成されており、
前記溝部には、前記溝部と前記蓋体の周縁部との密着性を高め、当該衛生用薄葉紙収納容器の密閉性を高めるための潤滑剤が塗布されており、
前記容器本体の開口部を閉じるように前記蓋体が閉められ、前記蓋体の周縁部が前記溝部に嵌入した状態で、前記容器本体と前記蓋体の間が密封されることで、当該衛生用薄葉紙収納容器の内部に収納されている前記ロール状の衛生用薄葉紙の乾燥を防ぐように構成されていることを特徴とする衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項2】
前記蓋体は、前記容器本体に回動可能に軸支されており、
前記切断部は、前記蓋体が前記容器本体に軸支されている側とは反対側であって、前記ロール状の衛生用薄葉紙が引き出される側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項3】
前記切断部は、当該衛生用薄葉紙収納容器の内壁面にスペーサーを介して前記内壁面と平行に取り付けられており、
前記切断部は前記内壁面から離間した位置にあって、前記蓋体が開かれた状態では前記切断部の刃が前記蓋体または前記容器本体の縁から前記内壁面と平行な方向に突き出す配置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項4】
前記切断部の刃は、その両側よりも中央側の方が凸となる形状に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項5】
前記保持軸は、前記容器本体内から前記ロール状の衛生用薄葉紙が引き出される際、前記ロール状の衛生用薄葉紙を回転可能に保持するように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【請求項6】
前記保持軸は長手方向に伸縮可能に構成され、その両端部には突起が設けられており、
前記容器本体の前記対向する内側面には、前記保持軸が伸長した状態で前記突起が係止される係止凹部が設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の衛生用薄葉紙収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットシートやウェットティッシュ等の衛生用薄葉紙を収納する衛生用薄葉紙収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の床やトイレ、あるいは人体などを拭くための衛生用薄葉紙を収納する衛生用薄葉紙収納容器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この衛生用薄葉紙収納容器には、複数枚の衛生用薄葉紙が積層されて収納されるようになっており、容器の蓋を開けて上側の衛生用薄葉紙から順に取り出して使用することができる。
【0003】
また、衛生用薄葉紙収納容器として、開口部を有する容器本体の内部にロール状の衛生用薄葉紙を収容し、その容器本体の開口部を覆うように取り付けられる蓋体には衛生用薄葉紙を引き出すための取出孔を有する取出部が配設されており、取出孔から引き出される衛生用薄葉紙に抵抗を掛けて、衛生用薄葉紙に設けられたミシン目にて切り離す構成のものが知られている(例えば、特許文献2参照。)
この衛生用薄葉紙収納容器に収納されたロール状の衛生用薄葉紙は、例えば、ロールの中心側から引き出され、1枚ずつ切り離されて使用されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-112458号公報
【文献】特開2019-112130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の衛生用薄葉紙収納容器のように、複数枚の衛生用薄葉紙を積層して収納している場合、衛生用薄葉紙に含浸されている薬液が蒸散し易く、衛生用薄葉紙が比較的乾き易いという問題があった。
これに対し、上記特許文献2の衛生用薄葉紙収納容器のように、ロール状の衛生用薄葉紙を収納した方が、複数枚の衛生用薄葉紙を積層して収納するよりも衛生用薄葉紙に含浸されている薬液が蒸散し難いが、この衛生用薄葉紙収納容器に収納されたロール状の衛生用薄葉紙は1枚ずつ切り離されるようになっているので、複数枚分の衛生用薄葉紙を長く引き出すことは困難であり、所望する長さに引き出した衛生用薄葉紙を折り重ねて使用するようなことはできないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ロール状の衛生用薄葉紙を好適に引き出して使用することができる衛生用薄葉紙収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
液体が含浸されたロール状の衛生用薄葉紙が内部に収納され、その衛生用薄葉紙を取り出す開口部を有する容器本体と、
前記容器本体の前記開口部を開閉自在とし、前記容器本体を密閉することができる蓋体と、
を備えた衛生用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体内には、対向する内側面間に着脱可能に掛け渡される保持軸が備えられており、
前記保持軸は、前記ロール状の衛生用薄葉紙のロールの軸心の中空部に挿通された状態で前記容器本体内に掛け渡されて、前記ロール状の衛生用薄葉紙を保持するように構成されており、
前記蓋体と前記容器本体のいずれか一方には、前記容器本体内から引き出された前記ロール状の衛生用薄葉紙と接触させて、その衛生用薄葉紙を切断するための切断部が設けられており、
前記容器本体の前記開口部の周縁部には、前記容器本体に対し前記蓋体が閉じられた際に、その蓋体の周縁部が嵌入する溝部が形成されており、
前記溝部には、前記溝部と前記蓋体の周縁部との密着性を高め、当該衛生用薄葉紙収納容器の密閉性を高めるための潤滑剤が塗布されており、
前記容器本体の開口部を閉じるように前記蓋体が閉められ、前記蓋体の周縁部が前記溝部に嵌入した状態で、前記容器本体と前記蓋体の間が密封されることで、当該衛生用薄葉紙収納容器の内部に収納されている前記ロール状の衛生用薄葉紙の乾燥を防ぐように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記蓋体は、前記容器本体に回動可能に軸支されており、
前記切断部は、前記蓋体が前記容器本体に軸支されている側とは反対側であって、前記ロール状の衛生用薄葉紙が引き出される側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記切断部は、当該衛生用薄葉紙収納容器の内壁面にスペーサーを介して前記内壁面と平行に取り付けられており、
前記切断部は前記内壁面から離間した位置にあって、前記蓋体が開かれた状態では前記切断部の刃が前記蓋体または前記容器本体の縁から前記内壁面と平行な方向に突き出す配置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記切断部の刃は、その両側よりも中央側の方が凸となる形状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記保持軸は、前記容器本体内から前記ロール状の衛生用薄葉紙が引き出される際、前記ロール状の衛生用薄葉紙を回転可能に保持するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の衛生用薄葉紙収納容器において、
前記保持軸は長手方向に伸縮可能に構成され、その両端部には突起が設けられており、
前記容器本体の前記対向する内側面には、前記保持軸が伸長した状態で前記突起が係止される係止凹部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロール状の衛生用薄葉紙を好適に引き出して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の蓋体が開けられた状態を示す前方斜視図である。
図2】本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の蓋体が開けられ、保持軸が取り出された状態を示す前方斜視図である。
図3】本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の蓋体が開けられた状態を示す後方斜視図である。
図4】本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の蓋体が閉められた状態を示す前方斜視図である。
図5】本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の蓋体が閉められた状態を示す後方斜視図である。
図6図1のVI-VI線における断面図であり、容器内部にロール状の衛生用薄葉紙が収納されている状態を示している。
図7】本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器の蓋体が開けられ、ロール状の衛生用薄葉紙が引き出された状態を示す前方斜視図である。
図8】衛生用薄葉紙収納容器の変形例を示す前方斜視図である。
図9】衛生用薄葉紙収納容器の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る衛生用薄葉紙収納容器の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、以下においては図1などに示すように、前後方向、左右方向及び上下方向を定めて説明する。すなわち、衛生用薄葉紙収納容器100の蓋体20が備えられた側を「上」、その反対側を「下」、容器本体10と蓋体20とが接続されている側を「後」、その反対側を「前」、容器の前面を正面視した状態における右手側を「右」、容器の前面を正面視した状態における左手側を「左」とする。
【0017】
[実施形態の構成]
{全体構成}
本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器100は、例えば、図1図7に示すように、上部に開口部10cが設けられ、水や薬液などの液体が含浸されたロール状の衛生用薄葉紙Pを収納するための容器本体10と、容器本体10の後面部10a側に回動可能に備えられ、開口部10cを開閉自在とする蓋体20と、容器本体10内にて対向する内側面間に着脱可能に掛け渡される保持軸60と、蓋体20の内側に設けられている切断部70等を備えている。
保持軸60は、図6図7に示すように、ロール状の衛生用薄葉紙Pのロールの軸心の中空部に挿通された状態で容器本体10内に掛け渡されて、ロール状の衛生用薄葉紙Pを保持するようになっている。
切断部70は、ロール状の衛生用薄葉紙Pを任意の長さに切断するために設けられている。
【0018】
[容器本体および蓋体]
衛生用薄葉紙収納容器100は、容器本体10に対し蓋体20が閉じられた状態で、その内部にウェットシートやウェットティッシュなどのロール状の衛生用薄葉紙Pを収容する筐体状の容器である。
容器本体10は、有底角筒形状に形成されており、その下面に底部10dが設けられ、上面には開口部10cが設けられている。
蓋体20は、後述するように、容器本体10を密閉することができる形状を有している。
この蓋体20を開いた状態で、容器本体10の開口部10cから衛生用薄葉紙Pを取り出すことができる。
なお、容器本体10と蓋体20は、PP(ポリプロピレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PE(ポリエチレン)、PPとPEの混合体などの樹脂が、ブロー成形、射出成形(コールドランナー、ホットランナー)など一般的な製造方法によって成形される。
また、容器本体10と蓋体20とで構成されている衛生用薄葉紙収納容器100は、前後方向に好ましくは90mmから150mm、さらに好ましくは100mmから120mm、左右方向に好ましくは100mmから200mm、さらに好ましくは140mmから160mm、上下方向に好ましくは60mmから130mm、さらに好ましくは90mmから110mmの大きさとなるように形成されている。また、各面の厚みは、好ましくは0.5mmから3mm、さらに好ましくは1mmから2mmである。
この大きさ及び厚みであれば、実使用に問題ない強度を達成し、好適に衛生用薄葉紙Pを収容することができる。
【0019】
(回動部)
容器本体10の後面部10aの開口部10c近傍には、容器ヒンジ部11が形成されており、蓋体20の後面側には、蓋ヒンジ部21が形成されている。
この収納容器では、一対の容器ヒンジ部11の間に蓋ヒンジ部21が挟まれて軸着されている。
例えば、容器ヒンジ部11の軸穴に蓋ヒンジ部21の軸突起を係入して、容器ヒンジ部11と蓋ヒンジ部21とを組み付けることによって、容器ヒンジ部11と蓋ヒンジ部21とが連結されてなる回動部50が構成される。
この回動部50を介して、蓋体20が容器本体10に対して回動可能に配設されている。つまり、回動部50を介して、蓋体20は容器本体10に回動可能に軸支されている。
【0020】
(付勢部材)
容器本体10と蓋体20の間であって、回動部50近傍の収納容器の内側には、例えば、樹脂製の板バネである付勢部材30が配設されている。
具体的には、容器本体10の後面部10a内側の開口部10c近傍に設けられているバネ固定部31に付勢部材30の一端部が固定され、蓋体20の内側に設けられているバネ固定部32に付勢部材30の他端部が固定された態様で、付勢部材30が衛生用薄葉紙収納容器100内に配設されている。
なお、容器本体10の後面部10aの幅方向略中央に、容器本体10の前面部10bに向かって突き出している突出部40が設けられており、その突出部40の上端部分にバネ固定部31が設けられている。
この付勢部材30が蓋体20を容器本体10から離間させる方向に付勢することで、蓋体20が回動部50を軸心に回動するように押し上げられて開口部10cが開くようになっている。
【0021】
(係合部・係止部)
容器本体10の前面部10bの開口部10c近傍には、係合部13が形成されており、蓋体20の前面側には、係止部23が形成されている。
そして、蓋体20の前面側が容器本体10の前面部10bに接触された際に、係合部13が係止部23と係合することにより、蓋体20が容器本体10側に係着されて、開口部10cを閉じるようになっている。
【0022】
また、容器本体10の前面部10bであって係合部13の近傍には、前方に突出する挟持部12が設けられており、挟持部12には、係合解除部材14がその配置を変更可能に軸支されて配設されている。
そして、係合解除部材14と挟持部12を挟持すると、係合解除部材14の一端部14aが挟持部12に近接する方向に揺動する。このように係合解除部材14を揺動させるようにその配置を変更させると、係合解除部材14の他端部14bが蓋体20の押上突起24を押し上げて、係止部23と係合部13の係合が解除されるようになっている。
つまり、係合解除部材14と挟持部12を挟持して、係合解除部材14を揺動させることにより、係止部23と係合部13の係合を解除すると、付勢部材30の付勢力によって、蓋体20が押し上げられて開くようになっている。
【0023】
また、容器本体10の開口部10cの周縁部4には、容器本体10に対し蓋体20が閉じられた際に、蓋体20の周縁部3(インナーリング)が嵌入する溝部5が形成されている。
容器本体10の周縁部4の溝部5に、蓋体20の周縁部3が嵌入した際、溝部5の内面に周縁部3の外面が密着するようになっている。
そして、容器本体10の開口部10cを閉じるように蓋体20を閉め、蓋体20の周縁部3が溝部5に嵌入した際、開口部10cの全周に亘って溝部5の内面と周縁部3の外面が密着することで、容器本体10と蓋体20の間を密封することができるので、衛生用薄葉紙収納容器100の密閉性を確保することができる。
【0024】
特に、インナーリングとして機能し、溝部5に嵌入される周縁部3は、柔軟性を有することが好ましい。周縁部3の柔軟性が高いほど、溝部5と周縁部3の嵌合性は向上し、容器の密閉性が高くなる。
なお、周縁部3が溝部5に嵌入する寸法は、1.0mm~8.0mmが好ましく、3.0mm~6.0mmであればより好ましい。
【0025】
また、蓋体20の周縁部3(インナーリング)が嵌入する溝部5には、潤滑剤(例えば、シリコンオイル等)が塗布されていることが好ましい。溝部5に潤滑剤が塗布されていれば、溝部5から周縁部3が抜け易くなるので、付勢部材30の付勢力によって蓋体20を開き易くなる。
また、溝部5に潤滑剤が塗布されていれば、その潤滑剤によって溝部5と周縁部3の隙間が塞がれるので、溝部5と周縁部3の密着性が高まり、容器の密閉性がより高くなる。
【0026】
[保持軸]
保持軸60は、比較的太い第1軸体61に比較的細い第2軸体62が挿入されてなる構造を有しており、保持軸60の内部であって第1軸体61と第2軸体62との間には、例えばコイルバネなどの伸縮部材が配設されている。このように構成されている保持軸60は、長手方向に伸縮可能になっている。
この保持軸60の両端部には突起60aが設けられており、その突起60aを容器本体10内において対向する内側面に突き当てた状態で、保持軸60が容器本体10の内側面間に掛け渡されるようになっている。
具体的には、容器本体10の左側面部10Lの内側面と右側面部10Rの内側面には、それぞれ係止凹部10hが設けられており、保持軸60が伸長した状態で両端部の突起60aが係止凹部10hに挿し込まれて係止されることで、その保持軸60が容器本体10内に掛け渡されるようになっている。
また、容器本体10内に掛け渡された保持軸60は、容器本体10の底面(底部10d)と略平行に配置されている。
【0027】
そして、図6図7に示すように、保持軸60をロール状の衛生用薄葉紙Pのロールの軸心の中空部に挿通して、その保持軸60を容器本体10内に掛け渡すようにして、衛生用薄葉紙収納容器100(容器本体10)にロール状の衛生用薄葉紙Pを収納することができる。
特に、保持軸60は、ロール状の衛生用薄葉紙Pを回転可能に保持しているので、容器本体10内からロール状の衛生用薄葉紙Pを好適に引き出すことができる。本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器100では、容器の前面側に衛生用薄葉紙Pを引き出すようになっている。
【0028】
[切断部]
切断部70は、容器本体10内から引き出されたロール状の衛生用薄葉紙Pと接触させて、その衛生用薄葉紙Pを切断するための部材である。
切断部70は、例えば、金属製或いは樹脂製の長尺な平板状部材であって、長辺側の縁に鋸歯状の刃(ジグザグ状の刃)が形成されている。
この切断部70は、蓋体20が容器本体10に軸支されている側とは反対側となる容器の前面側の内壁面に取り付けられており、蓋体20が開かれた状態で、切断部70の刃が蓋体20の縁から突き出して露出するように配置されている。
なお、換言すれば、切断部70は、蓋体20が容器本体10に軸支されている側とは反対側であって、ロール状の衛生用薄葉紙Pが引き出される側の内壁面に取り付けられている。
【0029】
具体的には、図6に示すように、切断部70は、蓋体20の内壁面にスペーサー71を介して取り付けられており、切断部70は蓋体20の内壁面から離間した位置に取り付けられている。例えば、切断部70は内壁面から2~3mmの間隔をあけた位置に取り付けられている。
切断部70が、蓋体20の内壁面から所定間隔をあけた配置に取り付けられていることで、蓋体20を開閉する際に切断部70が容器本体10と接触しないようになっており、切断部70が蓋体20の開閉を妨げないようになっている。
【0030】
そして、ユーザーが容器本体10から衛生用薄葉紙Pを引き出して、切断部70によって衛生用薄葉紙Pを切り離すようにすれば、ユーザーは所望する長さの衛生用薄葉紙Pを衛生用薄葉紙収納容器100から取り出して使用することができる。
例えば、容器本体10内からロール状の衛生用薄葉紙Pを任意の長さ引き出した後に蓋体20を下げ、衛生用薄葉紙Pを蓋体20と容器本体10とで挟むようにしつつ、その衛生用薄葉紙Pを蓋体20側に引き上げるようにして切断部70で切り裂くようにすれば、容易に衛生用薄葉紙Pを切断することができ、その衛生用薄葉紙Pを衛生用薄葉紙収納容器100から取り出して使用することができる。
【0031】
<実施形態の作用>
上述した衛生用薄葉紙収納容器100では、保持軸60をロール状の衛生用薄葉紙Pのロールの軸心の中空部に挿通し、その保持軸60を容器本体10内に掛け渡すようにして、衛生用薄葉紙収納容器100内にロール状の衛生用薄葉紙Pを収納することができる。
また、上述した衛生用薄葉紙収納容器100の蓋体20には、衛生用薄葉紙Pを切断するための切断部70が設けられており、容器本体10から引き出した衛生用薄葉紙Pを任意の箇所で切り離すことができる。
そして、保持軸60はロール状の衛生用薄葉紙Pを回転可能に保持しているので、容器本体10内からロール状の衛生用薄葉紙Pを好適に引き出すことができ、任意の長さ引き出した衛生用薄葉紙Pを蓋体20の切断部70によって切断することができるので、ユーザーは所望する長さの衛生用薄葉紙Pを衛生用薄葉紙収納容器100から取り出して使用することができる。
例えば、僅かな汚れをさっと拭き取るような場合は、比較的短く衛生用薄葉紙Pを引き出して切り離し、衛生用薄葉紙Pを二つ折りにして、或いは折り畳まずに使用することができる。
また例えば、こびり付いた汚れをしっかりと拭き取るような場合は、比較的長く衛生用薄葉紙Pを引き出して切り離し、衛生用薄葉紙Pを三つ折りや四つ折りなどにして使用することができる。
つまり、厚手の衛生用薄葉紙Pが必要な場合は、長めに衛生用薄葉紙Pを取り出して、それを折り重ねて使用するようにすればよい。
【0032】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、液体が含浸されたロール状の衛生用薄葉紙Pが内部に収納され、その衛生用薄葉紙Pを取り出す開口部10cを有する容器本体10と、容器本体10の開口部10cを開閉自在とし、容器本体10cを密閉することができる蓋体20と、を備えた衛生用薄葉紙収納容器100において、容器本体10内には対向する内側面間に着脱可能に掛け渡される保持軸60が備えられており、その保持軸60はロール状の衛生用薄葉紙Pのロールの軸心の中空部に挿通された状態で容器本体10内に掛け渡されて、ロール状の衛生用薄葉紙Pを回転可能に保持するように構成されているとともに、蓋体20には、容器本体10内から引き出されたロール状の衛生用薄葉紙Pと接触させて、その衛生用薄葉紙Pを切断するための切断部70が設けられている。
【0033】
本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器100は、このような構成を有しているので、容器本体10内からロール状の衛生用薄葉紙Pを好適に引き出し、任意の長さに衛生用薄葉紙Pを切断することができる。
そして、僅かな汚れを拭き取るような場合には、短めに衛生用薄葉紙Pを引き出して切り離し、薄手の衛生用薄葉紙Pとして使用することができる。
また、こびり付いた汚れを擦り取るような場合には、長めに衛生用薄葉紙Pを引き出して切り離し、それを折り重ねて厚手の衛生用薄葉紙Pとして使用することができる。
【0034】
特に、この衛生用薄葉紙収納容器100は、薬液が含浸されたロール状の衛生用薄葉紙Pを収納するようにしたことで、薬液が含浸された複数枚の衛生用薄葉紙を積層して収納する場合よりも、薬液が蒸散し難く衛生用薄葉紙Pが乾燥し難いので、ウェットタイプの衛生用薄葉紙Pを収納する容器として好適に使用することができる。
【0035】
<比較試験>
次に、衛生用薄葉紙からの薬液の蒸散し易さについて比較した結果を説明する。
衛生用薄葉紙収納容器100として、図1図2に示した形状であって、PP製の容器本体10と蓋体20とを有する容器を準備した。
衛生用薄葉紙としては、NBKP/LBKP=40/60、目付量が86[g/m]、2プライの水解紙に、当社使用の洗浄薬液を200%含浸させたものを使用した。
この衛生用薄葉紙収納容器100に、以下の実施例1と比較例1の条件で衛生用薄葉紙を収納して、その衛生用薄葉紙から薬液が蒸散して減少するのを測定した。
【0036】
実施例1では、上記水解紙を、幅130mm×長さ800mmに長めにカットしたものを保持軸60に巻き付け、その保持軸60を容器本体10内に掛け渡すようにして、衛生用薄葉紙収納容器100に衛生用薄葉紙のサンプルを収納した。
比較例1では、上記水解紙を、幅130mm×長さ100mmにカットしたものを8枚重ねにし、それを容器本体10の底に載置するようしにして、衛生用薄葉紙収納容器100に衛生用薄葉紙のサンプルを収納した。この比較例1では保持軸60を用いていない。
【0037】
実施例1のサンプルを収納した衛生用薄葉紙収納容器100と、比較例1のサンプルを収納した衛生用薄葉紙収納容器100の重量を測定した後、それぞれの収納容器を60℃の恒温槽内に保管し、所定時間(ここでは1時間)毎に重量測定を行い、薬液の減少率を測定した。
実施例1では、1時間後の減少率は0.1%、2時間後の減少率は0.3%、3時間後の減少率は0.4%であった。
比較例1では、1時間後の減少率は0.2%、2時間後の減少率は0.4%、3時間後の減少率は0.7%であった。
このように実施例1よりも比較例1の方が薬液の減少率が高いことが確認された。
つまり、衛生用薄葉紙収納容器100に、ロール状の衛生用薄葉紙を収納した方が、複数枚の衛生用薄葉紙を積層して収納するよりも、衛生用薄葉紙に含浸されている薬液が蒸散し難いことの確認が取れた。
【0038】
以上のように、本実施形態の衛生用薄葉紙収納容器100であれば、ウェットタイプのロール状の衛生用薄葉紙Pを好適に収納することができる。
そして、この衛生用薄葉紙収納容器100は、ロール状の衛生用薄葉紙Pを保持軸60によって回転可能に保持しているので、容器内からロール状の衛生用薄葉紙Pを好適に引き出すことができ、所望する長さの衛生用薄葉紙Pを引き出して切断部70にて切り離すようにして使用することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図8に示すように、切断部70の刃は、その両側よりも中央側の方が凸となる形状に形成されていてもよい。
切断部70の刃の中央側が凸となっていれば、その凸部分を衛生用薄葉紙Pの幅方向中央側に食い込ませた後、切断部70によって衛生用薄葉紙Pを両側に引き裂くように好適に切断することができる。
ここでは、切断部70の中央側の凸部分が角状に尖っている態様で図示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、切断部70の中央側の凸部分が円弧状に突き出した態様であってもよい。
【0040】
また、例えば、図9に示すように、容器本体10側に切断部70が設けられていてもよい。
ここでの切断部70は、蓋体20が容器本体10に軸支されている側とは反対側となる容器の前面側の内壁面に取り付けられており、蓋体20が開かれた状態で、切断部70の刃が容器本体10の縁から突き出して露出するように配置されている。
この切断部70は、容器本体10の内壁面にスペーサー71を介して取り付けられており、切断部70は容器本体10の内壁面から離間した位置に取り付けられている。例えば、切断部70は内壁面から2~3mmの間隔をあけた位置に取り付けられている。
このような衛生用薄葉紙収納容器100であっても、容器本体10内からロール状の衛生用薄葉紙Pを好適に引き出し、任意の長さに衛生用薄葉紙Pを切断することができる。
【0041】
なお、以上の実施の形態においては、切断部70は鋸歯状の刃を有しているとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、切断部70の刃は、断面視して縁側が薄くなるように形成された定規の縁状の刃や、ナイフ状の刃などであってもよい。
【0042】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
10 容器本体
10a 後面部
10b 前面部
10c 開口部
10d 底部
10L 左側面部
10R 右側面部
10h 係止凹部
11 容器ヒンジ部
20 蓋体
21 蓋ヒンジ部
30 付勢部材
40 突出部
50 回動部
60 保持軸
60a 突起
61 第1軸体
62 第2軸体
70 切断部
71 スペーサー
100 衛生用薄葉紙収納容器
P 衛生用薄葉紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9