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特許7598223火災訓練装置、火災訓練システム、火災訓練方法、及び火災訓練プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】火災訓練装置、火災訓練システム、火災訓練方法、及び火災訓練プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20241204BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20241204BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20241204BHJP
【FI】
G09B9/00 M
G06F3/01 510
G06T19/00 600
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020182325
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072725
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-07-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月8日 JFEプロジェクトワン株式会社(旧社名:三井E&Sプラントエンジニアリング株式会社)のウェブサイトにて濃煙熱気実火災訓練装置VRについて公開。 http://www.jfe-project-one.co.jp/ http://www.jfe-project-one.co.jp/buisiness/vr.html
(73)【特許権者】
【識別番号】500561931
【氏名又は名称】JFEプロジェクトワン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】伊與 敬紀
(72)【発明者】
【氏名】後藤 昌
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-107194(JP,A)
【文献】特開2020-122962(JP,A)
【文献】板宮朋基 ほか,バーチャル火点を現実空間の任意の場所に配置できるAR消火訓練アプリの開発,第24回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集,2019年09月17日,5D-03
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 9/00
G06F 3/01
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災訓練を行うための火災訓練装置であって、
前記火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による前記中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定する状況設定手段と、
前記状況設定手段により設定された前記状況を仮想空間の映像として描画する描画手段とを備え、
前記描画手段により描画された前記仮想空間の映像を表示し、現実空間の位置及び向きを取得可能なヘッドマウントディスプレイが接続され、
前記描画手段は、
前記仮想空間の映像における視点の位置を、前記ヘッドマウントディスプレイにより取得された前記現実空間の位置及び向きに合わせ、
前記ロールオーバーの炎の箇所が訓練対象者に分かりやすいように炎色で光るパーティクルの流れにより表現し、又は記号の動きで示す
ことを特徴とする火災訓練装置。
【請求項2】
前記描画手段は、熱い燃焼ガスによる煙のパーティクルをぼかしながら炎に対応した軌跡で移動させ、滞留させるように描画して、外部から比較的冷たい空気が流入して煙と空気とが分離し、前記中性帯が形成される様子を描画する
ことを特徴とする請求項1に記載の火災訓練装置。
【請求項3】
前記描画手段は、放水される様子を描画する際に、水のパーティクルをぼかしながら放物線的に移動させ、煙のパーティクルとの衝突処理を行い、煙のパーティクルの軌跡を乱して、前記中性帯の箇所がなくなるように表現する
ことを特徴とする請求項1に記載の火災訓練装置。
【請求項4】
火災訓練の時間経過により、それぞれの前記状況にリアルタイムで変化させるようなシークエンスが設定され、
前記シークエンスに含まれる前記状況は、燃焼させる木材等の燃料の量や質、建物の密封性、建物内の状況、外部の気温や湿度に応じて設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の火災訓練装置。
【請求項5】
前記現実空間の位置の高さが、前記状況に応じた高さより高いことを検出し、危険な体勢であることを警告する警告手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の火災訓練装置。
【請求項6】
前記描画手段は、
前記火災訓練のナレーションを字幕表示する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の火災訓練装置。
【請求項7】
火災訓練を行うための火災訓練装置と、ヘッドマウントディスプレイとを含む火災訓練システムであって、
前記火災訓練装置は、
前記火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による前記中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定する状況設定手段と、
前記状況設定手段により設定された前記状況を仮想空間の映像として描画する描画手段とを備え、
前記ヘッドマウントディスプレイは、
前記描画手段により描画された前記仮想空間の映像を表示し、現実空間の位置及び向きを取得可能であり、
前記描画手段は、
前記仮想空間の映像における視点の位置を、前記ヘッドマウントディスプレイにより取得された前記現実空間の位置及び向きに合わせ、
前記ロールオーバーの炎の箇所が訓練対象者に分かりやすいように炎色で光るパーティクルの流れにより表現し、又は記号の動きで示す
ことを特徴とする火災訓練システム。
【請求項8】
火災訓練を行うための火災訓練装置により実行される火災訓練方法であって、
前記火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による前記中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定し、
設定された前記状況を仮想空間の映像として描画し、
前記仮想空間の映像における視点の位置を、ヘッドマウントディスプレイにより取得された現実空間の位置及び向きに合わせ、
前記ロールオーバーの炎の箇所が訓練対象者に分かりやすいように炎色で光るパーティクルの流れにより表現し、又は記号の動きで示す
ことを特徴とする火災訓練方法。
【請求項9】
火災訓練を行うための火災訓練装置により実行される火災訓練プログラムであって、
前記火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による前記中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定させ、
設定された前記状況を仮想空間の映像として描画させ、
前記ロールオーバーの炎の箇所が訓練対象者に分かりやすいように炎色で光るパーティクルの流れにより表現し、又は記号の動きで示す機能を前記火災訓練装置のコンピュータに実行させるための火災訓練プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に消防関係者等の訓練対象者向けに火災訓練を行うための火災訓練装置、火災訓練システム、火災訓練方法、及び火災訓練プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、消防関係者等の訓練対象者向けの火災訓練装置が存在する。
たとえば、従来の火災訓練装置として、特許文献1を参照すると、火災現場に準じた臨場感で濃煙と熱気を体感させることができる濃煙熱気実火災訓練装置が記載されている。特許文献1の火災訓練装置は、安全性や汎用性にも配慮しつつ、消火技術向上や防災技術向上に資することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-34024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、装置内で実際に木材を燃やすことで非常に高温になるため、初心者にすぐ訓練させるのは難しかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の問題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の火災訓練装置は、火災訓練を行うための火災訓練装置であって、前記火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による前記中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定する状況設定手段と、前記状況設定手段により設定された前記状況を仮想空間の映像として描画する描画手段とを備え、前記描画手段により描画された前記仮想空間の映像を表示し、現実空間の位置及び向きを取得可能なヘッドマウントディスプレイが接続され、前記描画手段は、前記仮想空間の映像における視点の位置を、前記ヘッドマウントディスプレイにより取得された前記現実空間の位置及び向きに合わせ、前記ロールオーバーの炎の箇所が訓練対象者に分かりやすいように炎色で光るパーティクルの流れにより表現し、又は記号の動きで示すことを特徴とする。
本発明の火災訓練装置は、前記描画手段は、熱い燃焼ガスによる煙のパーティクルをぼかしながら炎に対応した軌跡で移動させ、滞留させるように描画して、外部から比較的冷たい空気が流入して煙と空気とが分離し、前記中性帯が形成される様子を描画することを特徴とする。
本発明の火災訓練装置は、前記描画手段は、放水される様子を描画する際に、水のパーティクルをぼかしながら放物線的に移動させ、煙のパーティクルとの衝突処理を行い、煙のパーティクルの軌跡を乱して、前記中性帯の箇所がなくなるように表現することを特徴とする。
本発明の火災訓練装置は、火災訓練の時間経過により、それぞれの前記状況にリアルタイムで変化させるようなシークエンスが設定され、前記シークエンスに含まれる前記状況は、燃焼させる木材等の燃料の量や質、建物の密封性、建物内の状況、外部の気温や湿度に応じて設定されることを特徴とする。
本発明の火災訓練装置は、前記現実空間の位置の高さが、前記状況に応じた高さより高いことを検出し、危険な体勢であることを警告する警告手段を更に備えることを特徴とする。
本発明の火災訓練装置は、前記描画手段は、前記火災訓練のナレーションを字幕表示することを特徴とする。
本発明の火災訓練システムは、火災訓練を行うための火災訓練装置と、ヘッドマウントディスプレイとを含む火災訓練システムであって、前記火災訓練装置は、前記火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による前記中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定する状況設定手段と、前記状況設定手段により設定された前記状況を仮想空間の映像として描画する描画手段とを備え、前記ヘッドマウントディスプレイは、前記描画手段により描画された前記仮想空間の映像を表示し、現実空間の位置及び向きを取得可能であり、前記描画手段は、前記仮想空間の映像における視点の位置を、前記ヘッドマウントディスプレイにより取得された前記現実空間の位置及び向きに合わせ、前記ロールオーバーの炎の箇所が訓練対象者に分かりやすいように炎色で光るパーティクルの流れにより表現し、又は記号の動きで示すことを特徴とする。
本発明の火災訓練方法は、火災訓練を行うための火災訓練装置により実行される火災訓練方法であって、前記火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による前記中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定し、設定された前記状況を仮想空間の映像として描画し、前記仮想空間の映像における視点の位置を、ヘッドマウントディスプレイにより取得された現実空間の位置及び向きに合わせ、前記ロールオーバーの炎の箇所が訓練対象者に分かりやすいように炎色で光るパーティクルの流れにより表現し、又は記号の動きで示すことを特徴とする。
本発明の火災訓練プログラムは、火災訓練を行うための火災訓練装置により実行される火災訓練プログラムであって、前記火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による前記中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定させ、設定された前記状況を仮想空間の映像として描画させ、前記ロールオーバーの炎の箇所が訓練対象者に分かりやすいように炎色で光るパーティクルの流れにより表現し、又は記号の動きで示す機能を前記火災訓練装置のコンピュータに実行させるためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定し、設定された状況を仮想空間の映像として描画することで、消防関係者等の訓練対象者が初心者であっても、すぐ訓練させることが可能な教育ツールとしての火災訓練装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る火災訓練システムのシステム構成図である。
図2図1に示す火災訓練システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る火災訓練処理のフローチャートである。
図4図3に示す火災訓練処理の画面例である。
図5図3に示す火災訓練処理の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態>
〔訓練システムXのシステム構成〕
まず、図1により、本発明の実施の形態に係る訓練システムXのシステム構成の説明を行う。本実施形態に係る訓練システムXは、火災訓練装置1に、HMD2及びコントローラー3が接続されて構成されている。
【0010】
火災訓練装置1は、消防関係者等の訓練対象者向けに火災訓練を行うための装置である。本実施形態において、火災訓練装置1は、制御演算手段と記録媒体とを備えた情報処理装置である。火災訓練装置1は、例えば、携帯型又は据え置き型のPC(Personal Computer)、ワークステーション、スマートフォンやタブレット端末のような携帯端末等であってもよい。
本実施形態においては、火災訓練装置1は、特許文献1に記載されたような装置と同様の広さの部屋、又はその管理室等に載置されて、HMD2と接続されてもよい。
【0011】
HMD2は、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)、SR(Substitutional Reality)等の「XR」表示を行うためのヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display)や眼鏡等に取り付けてレンズや網膜に投影するタイプの他装着型AR装置である(以下、単に「HMD」という。)。
【0012】
HMD2は、表示手段、音声出力手段、及び位置取得手段を備えている。
このうち、表示手段は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機EL(Organic EL)若しくはOLED(Organic light-emitting diode)ディスプレイ、マイクロLEDアレイ、MEMSレーザープロジェクター、その他網膜投影型ディスプレイ等である。本実施形態においては、立体視が可能なように、左右二つの表示手段が備えられている例について説明する。
音声出力手段は、ヘッドフォンやイヤフォン等と、D/A(Digital to Analog)コンバーター等である。音声出力手段は、火災訓練装置1で生成された音声を、レビューワーが聞こえるように出力可能である。
位置取得手段は、三次元加速度センサー、ジャイロ、カメラ、レーダー、ライダー(Light Detection and Ranging、LIDAR)、赤外線センサー、GPS(Global Positioning System)、その他の部屋位置特定センサー等である。位置取得手段により、HMD2は、これを装着したレビューワーの三次元空間上の位置、向き、速度、加速度等の情報を取得することが可能である。
【0013】
コントローラー3は、HMD2に対応づけられて、三次元空間上の位置、向き、速度、加速度、ボタンの押下等を検知可能なコントローラーである。このため、コントローラー3は、複数のボタンやパッドを含んでいる。さらに、コントローラー3は、HMD2と同様に、各種の位置取得手段を含んでいる。
【0014】
加えて、火災訓練装置1は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、近距離ネットワーク、携帯電話網等の外部ネットワークと接続可能である。
【0015】
(火災訓練装置1の制御構成)
次に、火災訓練装置1の制御構成について説明する。火災訓練装置1は、制御部10、画像処理部11、記憶部12、入力部13、表示部14、及び接続部15を備えている。各部は共通のバスで接続されても、更に各部の間で専用のバスで接続されてもよい。
【0016】
制御部10は、火災訓練装置1の全体を制御する制御演算部である。制御部10は、例えば、一般的なCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等であってもよい。
【0017】
画像処理部11は、画像処理等を実行する制御演算部である。画像処理部11は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等を含んでいてもよい。また、画像処理部11は、Direct X(登録商標)、Open GL規格等の各種三次元データのレンダリング、シェーダー(Shader)演算等を高速に実行可能であってもよい。また、画像処理部11は、レイトレーシング(Ray Tracing)法やラジオシティ(Radiosity)法等の演算を支援するアクセレレーターとして機能してもよい。また、画像処理部11は、構造や強度計算等の物理演算の支援機能を備えていてもよい。また、画像処理部11は、ポリゴンの分割や法線の演算等の支援機能を備えていてもよい。画像処理部11は、例えば、プログラマブルシェーダー(shader)を実行可能である。
【0018】
記憶部12は、各種データが格納される一時的でない記録媒体である。記憶部12は、例えば、各種RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、eMMC(embedded Multi Media Card)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)、光学記録媒体等である。ここで、記憶部12のRAM等の高速にアクセスされる記録媒体に関しては、制御部10と直接接続されていてもよい。記憶部12には、OS(Operating System)及び各種アプリケーションソフトウェア等(以下、単に「アプリ」という。)が格納されている。本実施形態においては、このアプリの一例である火災訓練プログラムも格納されている。
【0019】
入力部13は、火災訓練装置1のユーザーが各種指示を行うための機器である。入力部13は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチパネル、デジタイザー、3Dマウス、ステレオカメラ等である。
【0020】
表示部14は、火災訓練装置1の各種データを表示する機器である。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL若しくはOLEDディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等の各種ディスプレイであってもよい。
なお、入力部13と表示部14とは、一体となったタッチパネル、デジタイザー等として構成されていてもよい。
【0021】
接続部15は、HMD2と接続するための、例えば、USB(Universal Serial Bus)、Thunderbolt(登録商標)、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)、その他の独自インターフェイス等の接続インターフェイスである。これに加えて、接続部15は、外部ネットワークとの接続のためのインターフェイスを含んでいてもよい。
【0022】
〔訓練システムXの制御構成〕
次に、図2により、本実施形態の訓練システムXの制御構成について説明する。
本実施形態の火災訓練装置1の制御部10は、状況設定手段100、描画手段110、警告手段120、及び報知手段130を備える。
記憶部12は、状況データ200及び映像設定データ210を格納する。
【0023】
状況設定手段100は、火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定する。ここで、中性帯について説明すると、火災初期では、燃焼により生成された煙等による高温層が火災室上部に形成され、空気層が火災室下部に形成され、二層に分かれる特徴がある。本実施形態の中性帯は、その流入する空気と流出する高温層との境界で、両空間の圧力差が0となる高さの水平面等である。一方、本実施形態のロールオーバーは、火や炎の先端が実際に燃えている物質の前に吹き出す現象をいう(例えば、<URL=”http://www.g-web.com/JVFA/shouka/index.html”>を参照。)。中性帯の崩壊は、形成されている中性帯が噴霧放水等により崩壊する現象を示す。
【0024】
描画手段110は、状況設定手段100により設定された状況を仮想空間の映像として描画する。この描画された映像は、ヘッドマウントディスプレイであるHMD2に表示される。描画手段110は、描画手段110は、この仮想空間を、表示部14及び/又はHMD2の表示手段へ表示されるようにする。
この際、描画手段110は、仮想空間の映像における視点の位置を、HMD2により取得された現実空間の位置及び向きに合わせることが可能である。また、描画手段110は、仮想空間を、HMD2にて実際のスケール(大きさ)で閲覧できるよう表示してもよい。
【0025】
警告手段120は、現実空間の位置の高さが、状況に応じた高さより高いことを検出し、危険な体勢であることを警告する。具体的には、例えば、警告手段120は、中性帯より上の煙の箇所に、HMD2の装着者(訓練対象者)の頭の位置がある場合に、警告を行う。
【0026】
報知手段130は、火災訓練の時間経過による温度変化を算出して報知する。報知手段130は、例えば、仮想空間上のメッセージボックス上に、時間と温度とを実時間(リアルタイム)で描画させる。
【0027】
加えて、本実施形態において、HMD2は、描画手段110により描画された仮想空間の画像を表示手段に表示する。さらに、HMD2は、位置取得手段により、現実空間(三次元空間)上での位置、向き、速度、加速度等(以下、「位置向き等」という。)の情報を取得可能である。HMD2は、例えば、6DoF(six degrees of freedom)の位置向き等を取得可能であってもよい。
また、コントローラー3も、現実空間(三次元空間)上での位置向き等、ボタンの押下の情報を取得可能である。すなわち、コントローラー3のボタンの押下を検出することで、レビューワーの指示を取得可能である。
【0028】
状況データ200は、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による中性帯の崩壊等の状況を示すデータである。状況データ200は、火災訓練の時間経過により、それぞれの状況にリアルタイムで変化させるようなシークエンスが設定されていてもよい。この際、燃焼させる木材等の燃料の量や質、建物の密封性、その他の建物内の状況、外部の気温や湿度等に応じて、複数のシークエンスを設定したり、シークエンスに含まれる胃状況を変更したりすることも可能である。加えて、状況データ200は、訓練の管理者に設定された各状況に対応する設定データを含んでいてもよい。さらに加えて、状況データ200は、各状況におけるナレーションの文字データ、音声データ等も含んでいてもよい。
【0029】
映像設定データ210は、描画手段110で描画される映像の元データを含む。本実施形態において、映像設定データ210の元データは、例えば、特許文献1に記載の濃煙熱気実火災訓練装置の実写映像に基に作成されたCG(Computer Graphics)のデータを含んでいてもよい。具体的に、例えば、映像設定データ210は、複数視点で濃煙熱気実火災訓練装置内にて実際の燃焼状況を撮像した実写映像データに基づいて作成された、HMD2にてパノラマ再生や立体再生可能なCGのデータを含んでいてもよい。さらに、元データは、例えば、状況設定手段100により設定された各状況に対応したCGのデータを含んでいてもよい。さらに加えて、元データは、実際の火事や火災訓練等による汚れ、歪み、へこみ等が再現されていてもよい。
【0030】
加えて、映像設定データ210は、ポリゴン(多角形)やパーティクル(点)の立体座標と面座標等を含む3Dデータ等を含んでいてもよい。この3Dデータは、例えば、仮想空間上の火災訓練装置の内部のポリゴンのデータ、各ポリゴンの素材(テクスチャー)データ、配置データ、強度や燃えやすさのデータ、スケール(大きさ)のデータ、その他のデータ等を含んでいてもよい。加えて、3Dデータは、煙のパーティクルの移動(軌跡)データ、炎のパーティクル(軌跡)の移動データ、中性帯の中性帯設定データ、放水による中性帯の消失を描画するための消失設定データ等を含む。すなわち、映像設定データ210は、複数の画像データ、面データ、点データ、移動指示データ等の仮想空間に関するデータを含む。
さらに、映像設定データ210は、描画後の画像データ、映像データを含んでいてもよい。
【0031】
ここで、火災訓練装置1の制御部10は、記憶部12に記憶された制御プログラムを実行することで、状況設定手段100、描画手段110、警告手段120、及び報知手段130として機能させられる。この制御プログラムは、各種OS、Unity(登録商標)等の三次元グラフィック表示用ミドルウェア、及び本実施形態の火災訓練プログラム等のアプリを含む。
また、上述の火災訓練装置1の各部は、本発明の火災訓練方法を実行するハードウェア資源となる。
なお、上述の機能構成の一部又は任意の組み合わせをICやプログラマブルロジックやFPGA(Field-Programmable Gate Array)等でハードウェア的、回路的に構成してもよい。
【0032】
〔訓練システムXによる火災訓練処理〕
次に、図3図7を参照して、本実施形態に係る訓練システムXによる火災訓練処理の説明を行う。
本実施形態の火災訓練処理においては、火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による前記中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定する。そして、設定された前記状況を仮想空間の映像として描画する。本実施形態の火災訓練処理においては、仮想空間として、現実の三次元空間を模して三次元CG(Computer Graphics)で描画(Rendering)可能な空間を用いる例について説明する。この本実施形態の仮想空間は、縦(奥行き)、横、高さ方向が設定されている。
【0033】
本実施形態の火災訓練処理は、主に火災訓練装置1の制御部10が、記憶部12に記憶された火災訓練プログラム(アプリ)を、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、図3のフローチャートを参照して、火災訓練処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0034】
(ステップS101)
まず、状況設定手段100が、状況設定処理を行う。
状況設定手段100は、表示部14にGUI(Graphical User Interface)のメニューを表示し、コントローラー3や入力部13からの訓練対象者又は訓練の管理者の指示を取得する。状況設定手段100は、取得した指示により、火災訓練のシークエンス等の設定を行う。この際、状況設定手段100は、火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による中性帯の崩壊のいずれかの状況が生じるように設定することが可能である。加えて、状況設定手段100は、取得した指示により、火災訓練のナレーションを字幕表示する設定を行うことも可能である。
【0035】
図4(a)の画面例300は、HMD2の表示手段に、仮想空間内に描画された火災訓練装置の内部が表示され、訓練が開始された直後の画面の例を示す。
【0036】
(ステップS102)
次に、状況設定手段100が、HMD情報取得処理を行う。
状況設定手段100は、HMD2からの現実空間の位置向き等のデータを取得する。ここで、本実施形態においては、訓練対象者は、火災訓練装置1の載置されている部屋内を自由に移動することが可能である。HMD2からは、この訓練対象者の移動に対応した位置向き等のデータを取得可能である。
さらに、状況設定手段100は、コントローラー3のボタンの押下の情報を取得することも可能である。このボタンは、噴霧放水を指示するボタン、仮想空間内を移動するボタン等を含む。
【0037】
(ステップS103)
次に、警告手段120が、警告が必要か否かを判定する。
警告手段120は、HMD2から取得した位置向き等のデータから、訓練対象者の頭の現実空間の位置の高さ、又はこれに対応した仮想空間内の高さ(以下、単に「頭の高さ」という。)が、状況に応じた高さより高いか否かを判定する。具体的には、警告手段120は、状況に応じた高さとして、仮想空間内に高温の煙が存在している高さよりも、頭の高さが高い位置であった場合に、これを検出して、Yesと判定する。より具体的には、警告手段120は、中間帯が形成されている場合には、頭の高さがこれよりも上の位置にあった場合、Yesと判断する。または、警告手段120は、中間帯が崩壊している場合、高温の煙内に頭の高さがある場合にも、Yesと判断することも可能である。警告手段120は、それ以外の場合には、Noと判断する。
Yesの場合、警告手段120は、処理をステップS104に進める。
Noの場合、警告手段120は、処理をステップS105に進める。
【0038】
(ステップS104)
警告が必要であった場合、警告手段120が警告処理を行う。
警告手段120は、注意喚起し、危険な体勢であることを警告する。
警告手段120は、例えば、HMD2の表示手段に「頭が高いです」等とワーニングのダイアログボックスを表示し、音声出力手段からブザー音等を出力させることが可能である。
【0039】
(ステップS105)
ここで、報知手段130が、報知処理を行う。
報知手段130は、火災訓練の開始から時間経過による温度変化を算出する。この上で、報知手段130は、例えば、HMD2の表示手段に、時間経過による装置内の温度変化を字幕で表示する。
また、報知手段130は、音声出力手段から、時間と温度との関係についてのナレーションを音声出力することも可能である。これにより、訓練対象者は、火災における時間と温度の関係を学ぶことができる。
【0040】
図4(b)の画面例301は、HMD2の表示手段に、時間と温度の変化を示すダイアログボックスDが表示された例を示している。このダイアログボックスDでは、訓練開始からの時刻と温度が表示されている。
【0041】
(ステップS106)
次に、描画手段110が、描画処理を行う。
描画手段110は、設定されたシークエンスに対応した状況を仮想空間の映像として描画する。この際、描画手段110は、仮想空間の映像における視点の位置を、HMD2により取得された現実空間の位置向き等に合わせることが可能である。また、描画手段110は、コントローラー3や入力部13からの指示により、視点の位置や向きを移動させてもよい。さらに、描画手段110は、これらの仮想空間の映像の描画を、画像処理部11により高速に実行させることが可能であってもよい。
加えて、描画手段110は、火災訓練のナレーションを、ビルボード描画されたダイアログボックス等により字幕表示することが可能である。
これにより、HMD2の表示手段は、描画手段110により描画された仮想空間の映像を表示する。
【0042】
図5により、この描画処理の表示について具体的に説明する。
図4(a)の画面例302は、中性帯が形成されるシーンを再現した映像の例を示す。描画手段110は、炎色で光るパーティクルをぼかしながら移動させることで炎を描画することが可能である。加えて、描画手段110は、熱い燃焼ガスによる煙のパーティクルをぼかしながらこの炎に対応した軌跡で移動させて、滞留させるように描画可能である。これにより、描画手段110は、外部から比較的冷たい空気が流入して煙と空気とが分離し、中性帯が形成され様子を描画可能である。この画面例においても、訓練開始からの時間が表示されている。
【0043】
図4(b)の画面例303は、ロールオーバーが発生するシーンを再現した映像の例を示す。このロールオーバーは、火災初期段階において、燃焼ガスが酸素と混合して天井に蓄積され、天井で燃焼が始まる現象である。描画手段110は、このロールオーバーの炎を、炎色で光るパーティクルの流れにより表現することが可能である。この画面例では、このロールオーバーの炎の箇所が訓練対象者に分かりやすいように「<<<」の記号の動きで示している。
【0044】
図4(c)の画面例304は、噴霧放水により中間帯が崩壊した映像の例を示す。描画手段110は、訓練参加者がコントローラー3や入力部13からのボタンの押下等の指示により、放水される様子を描画する。この描画は、水のパーティクルをぼかしながら放物線的に移動させることで表現可能である。この際、描画手段110は、煙のパーティクルとの衝突処理を行い、これにより、煙のパーティクルの軌跡を乱して、中間帯の箇所がなくなるように表現することが可能である。一方、炎については、同様の衝突処理で消滅させて消火を表現することが可能である。
【0045】
この描画手段110の描画に合わせて、状況設定手段100は、特許文献1に記載の濃煙熱気実火災訓練装置による火災訓練時の音声を録音したものを、HMD2の音声出力手段から音声出力し、臨場感を持たせることも可能である。さらに、状況設定手段100は、CGにより再現されている現象を音声出力手段からナレーションで説明し、教育効果を高めることも可能である。
加えて、描画手段110は、建物の崩壊、床抜け等のシミュレーションを行うことも可能である。この場合、仮想空間の部屋のポリゴンを変化させて描画させる。
これらの描画の際、描画手段110は、各種プログラマブルシェーダーを実行して、頂点や描画を調整することが可能である。描画手段110は、ポリゴンのスケール変換、座標系の変換、オブジェクト単位での変換、マテリアル、テクスチャー関係の変換等も行うことが可能である。
【0046】
さらに、描画手段110は、表示部14で表示するための俯瞰映像を描画することも可能である。この際、描画手段110は、俯瞰映像に訓練対象者のアバター(分身)のオブジェクトを描画することも可能である。すなわち、アバターのオブジェクトは、HMD2用には描画されず、表示部14に表示される俯瞰映像で描画されるようにしてもよい。この俯瞰映像において、視点や視線方向等は、入力部13等から指示可能である。
【0047】
(ステップS107)
次に、状況設定手段100が、火災訓練が終了したか否かを判定する。状況設定手段100は、設定された火災訓練のシークエンス等が終了した場合、Yesと判定する。または、状況設定手段100は、コントローラー3や入力部13にて、訓練対象者が火災訓練の終了の指示をしたことを検出した場合、Yesと判断する。状況設定手段100は、それ以外の場合には、Noと判断する。
Yesの場合、状況設定手段100は、処理をステップS102に戻して、火災訓練を続ける。
Noの場合、状況設定手段100は、火災訓練処理を終了する。
これにより、本実施形態に係る火災訓練処理を終了する。
【0048】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、消防隊員等の訓練対象者に対しては、濃煙及び熱気を体験するホット・トレーニング設備である濃煙熱気実火災訓練装置が火災訓練に用いられていた。このような火災訓練装置では、装置内で実際に木材を燃やすことで非常に高温になるため、まったくの初心者では対応が難しいことがあった。このため、特許文献1の火災訓練装置では、初心者については、それなりに机上演習等を行ってから、実際の訓練を行わせる必要があった。
【0049】
これに対して、本発明の実施の形態に係る火災訓練装置1は、火災訓練の進行に応じて、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による中性帯の崩壊のいずれかの状況を設定する状況設定手段100と、状況設定手段100により設定された状況を仮想空間の映像として描画する描画手段110とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、火災性状や訓練の流れ、危険等を事前に体験することができ、初心者でもすぐに安全な火災訓練を実現することができる。このため、初心者に対して、火災性状を安全に学ぶため、訓練させることが可能な教育ツールとして使用できる。さらに、プロフェッショナル向けの火災訓練で重要な中性帯が形成されるシーン、ロールオーバーが発生するシーン、及び噴霧放水による中性帯が崩壊するシーンを再現することで、訓練対象者に、実践的な訓練内容を習得させることが可能となる。
すなわち、仮想空間に濃煙熱気実火災訓練装置を再現し、訓練を模擬体験することで、実機訓練前のイメージトレーニングとなる。このため、訓練対象者に、安全に濃煙熱気実火災訓練装置を使用させるための教育ツールとして活用できる。
【0050】
本発明の実施の形態に係る火災訓練システムXは、HMD2は、描画手段110により描画された仮想空間の映像を表示し、現実空間の位置及び向きを取得可能であり、描画手段110は、仮想空間の映像における視点の位置を、HMD2により取得された現実空間の位置及び向きに合わせることを特徴とする。
このように構成することで、仮想空間内で自由に移動して、消火訓練を体験することができ、臨場感を高めることができる。この際、特許文献1に記載の濃煙熱気実火災訓練装置のCG等を用いることで、没入感を更に高めることができる。この上で、各現象をナレーション等で説明し、教育効果を高めることも可能となる。
すなわち、濃煙熱気実火災訓練装置内を撮影した映像設定データ210を基に、煙や炎の動きを実際の軌跡に沿って描画して、実際の火災訓練を忠実に再現することが可能である。これにより、濃煙熱気実火災訓練装置のディティールを再現しリアリティを追求しつつ、実機に近い空間で安全な教育を実現することができる。
【0051】
本発明の実施の形態に係る火災訓練装置1は、現実空間の位置の高さが、状況に応じた高さより高いことを検出し、危険な体勢であることを警告する警告手段120を更に備えることを特徴とする。
このように構成することで、頭を上げると注意喚起し、危険な体勢であることを教えることができる。これにより教育効果を高め、濃煙熱気実火災訓練装置により実際に木材を燃焼させる火災訓練での危険度を低減させることができる。
【0052】
本発明の実施の形態に係る火災訓練装置1では、火災訓練の時間経過による温度変化を算出して報知する報知手段130を更に備えることを特徴とする。
このように構成することで、時間経過による装置内の温度変化を伝えることで、火災訓練で重要な時間と温度の関係を学ぶことが可能となる。
【0053】
本発明の実施の形態に係る火災訓練装置1では、描画手段110は、火災訓練のナレーションを字幕表示することを特徴とする。
このように構成することで、HMD2から音声を出力しなくても、ナレーションを字幕表示させて、音声なしでも火災訓練を行うことができる。すなわち、臨場感を高めてHMD2で音声出力される音を大きくした場合等でも、適切に訓練させることが可能となる。
【0054】
<他の実施の形態>
なお、上述の実施の形態では、火災訓練装置1とHMD2とが別々である例について記載した。
しかしながら、例えば、Oculus Quest(登録商標)等の火災訓練装置1とHMD2とが一体型の装置を用いることも可能である。すなわち、この一体型になった装置にて上述の火災訓練プログラムを実行することで、火災訓練システムとして機能させるような構成も可能である。さらに、この一体型の火災訓練システム自体に、バッテリーを内蔵していてもよい。
これにより、別途、火災訓練装置1の情報処理装置としての配線やPC、電源等を用意しなくても、場所を選ばず、仮想空間内での火災訓練を実現可能となる。
【0055】
また、上述の実施の形態においては、HMD2を用いてXR表示する例について説明した。しかしながら、表示部14のみを用いて、HMD2を用いない構成であってもよい。この場合、俯瞰映像のみを表示するようにしても、表示部14にアバターからの視点映像を表示するようにしてもよい。さらに、コントローラー3を用いない構成であってもよい。この場合、入力部13により各種処理を実行してもよい。
【0056】
また、上述の実施の形態では、特許文献1に記載の濃煙熱気実火災訓練装置の内部を基にCGを作成した例について記載した。
しかしながら、実際の火災現場の映像を基にCGを作成したり、シークエンス毎に異なるCGを作成したりしてもよい。または、上述の炎や煙のパーティクルの軌跡についても、流体力学演算にて実際の火災現場の状況等に基づいてシミュレーションして描画するように構成してもよい。または、単に濃煙熱気実火災訓練装置と同じ大きさの壁面にカメラ画像をテクスチャー等で貼り付けて閲覧できるような仮想空間を描画するように構成してもよい。
このように構成することで、柔軟な構成に対応可能となる。
【0057】
また、上述の実施の形態では、中性帯の形成、ロールオーバーの発生、及び放水による中性帯の崩壊について再現する例について記載した。
しかしながら、これ以外の火災による現象、例えば、バックドラフトやフラッシュオーバー等を再現できてもよい。さらに、火災による爆発や家屋倒壊、床抜け等をシミュレーションすることも可能である。これらのシミュレーションでは、画像処理部11により、構造や強度計算等の物理演算を行うことも可能である。さらに加えて、被災者の救助等についてのシークエンスを用意することも可能である。
【0058】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 火災訓練装置
2 HMD
3 コントローラー
10 制御部
11 画像処理部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 接続部
100 状況設定手段
110 描画手段
120 警告手段
130 報知手段
200 状況データ
210 映像設定データ
300、301、302、303、304 画面例
D ダイアログボックス
X 火災訓練システム
図1
図2
図3
図4
図5