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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20241204BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
E02F3/43 C
E02F9/20 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020199621
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087604
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】阿部 聡司
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-331660(JP,A)
【文献】特開平03-204203(JP,A)
【文献】特開平10-048306(JP,A)
【文献】特開2020-028055(JP,A)
【文献】特開2006-333069(JP,A)
【文献】特開昭61-288630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0279134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/43
E02F 9/20 - 9/22
H01Q 3/00
G01S 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、前記走行体に対して旋回自在に設けられる旋回体とを有する建設機械であって、
前記走行体に対する前記旋回体の旋回角度を検出する旋回角度検出部と、
基地局装置に追従可能に設けられ、前記基地局装置との間でビームフォーミングを用いた通信を行う通信機と、
前記通信機から前記基地局装置に向ける前記ビームフォーミングの指向性方向に追従するようにフィードバック制御を行い、前記通信機から送信される電波の指向角を制御する第1のビームフォーミング制御と、前記旋回角度検出部により検出された旋回角度に基づいて、前記通信機から前記基地局装置に送信される電波の指向角を制御する第2のビームフォーミング制御とを行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、操作信号により旋回動作を判定すると、前記旋回角度検出部により検出された旋回角度βを取得し、前記旋回角度βが予め設定された所定旋回角度以上のときには、前記旋回角度βに基づいてビームフォーミングの指向角として(-β)を算出し、算出した前記ビームフォーミングの指向角(-β)を用いて前記指向角を(-β)とする前記第2のビームフォーミング制御を実施し、前記旋回動作が判定されないと前記第1のビームフォーミング制御を実施することを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記電波はミリ波である請求項1に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関し、特に遠隔操縦に適した建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの建設機械は、災害救助現場、災害復旧現場、建物解体現場などにおいてオペレータの安全を確保するニーズが存在しており、その解決策の一つとして、遠隔地から油圧ショベルを操縦する(すなわち、遠隔操縦)技術が注目されている。遠隔操縦の場合、オペレータは油圧ショベルに搭乗せずに作業現場から離れた場所から、油圧ショベルに搭載されたカメラにより撮像されて伝送された映像に基づいて操縦作業を行う。そして、オペレータが遠隔地の油圧ショベルを違和感なく操縦し、作業効率を上げるためには、高精細な映像を低遅延(リアルタイム)に伝送し、操縦と映像とのタイムラグをなくす必要がある。
【0003】
近年、第5世代移動通信システム(いわゆる5G)が注目されている。そこで、5Gがもつ高速大容量、低遅延、多数同時接続の特徴を生かして油圧ショベル遠隔操縦の環境を改善することが検討されている。しかしながら、5Gはミリ波を使用するため、電波の直進性や指向性が高く、障害物に起因した速度低下などが発生しやすい。安定した通信を維持するためには、電波の指向性の方向を変えるビームフォーミングの活用が期待されている。
【0004】
ビームフォーミングでは、基地局と移動局との位置関係に基づいて電波のビームを追従させるのが求められている。特にミリ波帯における通信では、より遠距離で安定した通信を行うために基地局だけでなく、移動局側もビームフォーミングを行い、基地局側に指向性を向ける必要がある。そして、ビームフォーミングの追従方法として、例えば特許文献1に記載されたように受信状況をフィードバックする方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-122037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の方法では、フィードバック制御を行う必要があるため、ビームフォーミングの追従速度に限界がある。また、油圧ショベルの遠隔操縦や高精細な映像伝送のためにミリ波を利用した場合、油圧ショベルに移動局を搭載し、基地局側にビームフォーミングで追従することで通信を安定化する方法が考えられる。しかし、油圧ショベルは旋回動作を行うため、通信機のアンテナも同時に旋回する。これによって、ビームフォーミングの指向性方向の追従するためのフィードバックが追い付かなくなり、アンテナの指向性にズレが発生する。その結果、通信状況が悪化し、通信速度の低下や途切れなどが起きてしまう。
【0007】
本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、通信状況を改善することができる建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る建設機械は、走行体と、前記走行体に対して旋回自在に設けられる旋回体とを有する建設機械であって、前記走行体に対する前記旋回体の旋回角度を検出する旋回角度検出部と、基地局装置に追従可能に設けられ、前記基地局装置との間でビームフォーミングを用いた通信を行う通信機と、前記旋回角度検出部により検出された旋回角度に基づいて、前記通信機から前記基地局装置に送信される電波のビームフォーミングを制御する制御部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る建設機械では、制御部は、旋回角度検出部により検出された旋回角度に基づいて、通信機から前記基地局装置に送信される電波のビームフォーミングを制御する。このようにすることで、旋回動作に起因した基地局装置に対するビームフォーミングの指向性の方向ズレを防止することができる。その結果、基地局装置に向けるビームフォーミングの追従を維持することができるので、通信状況を改善することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信状況を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る油圧ショベルを示す側面図である。
図2】実施形態に係る油圧ショベルのシステムを示す構成図である。
図3】旋回角度を説明するための平面図である。
図4】走行時のビームフォーミングの追従を説明するための平面図である。
図5】旋回時のビームフォーミングの追従問題点を説明するための平面図である。
図6】制御部の制御処理を示すフローチャートである。
図7】制御部の制御処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る建設機械の実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、重複説明は省略する。また、以下では、建設機械として油圧ショベルの例を挙げて説明するが、本発明は油圧ショベルに限定されず、クレーンなどの建設機械にも適用される。
【0013】
図1は実施形態に係る油圧ショベルを示す側面図であり、図2は実施形態に係る油圧ショベルのシステムを示す構成図である。本実施形態に係る油圧ショベル10は、油圧ショベル10の下部に配置されて走行する走行体11と、走行体11の上部に旋回自在に設けられる旋回体12と、旋回体12に設けられる作業フロント13と、基地局装置20(図4及び図5参照)と通信する通信機14と、油圧ショベル10全体の制御を行う制御部15とを備えている。この油圧ショベル10では、例えば5Gで利用されているようなミリ波や通信容量を増やすMassive MIMOのような技術が使われている。
【0014】
旋回体12は、運転室121、機械室122及びカウンタウェイト123を有する。運転室121は、旋回体12の左側部に設けられている。機械室122は、運転室121の後方に設けられている。カウンタウェイト123は、機械室122の後方、すなわち旋回体12の最後部に設けられている。
【0015】
作業フロント13は、旋回体12の前部の中央に配置されている。作業フロント13は、ブーム131、アーム132、バケット133、ブーム131を駆動するためのブームシリンダ134、アーム132を駆動するためのアームシリンダ135、及びバケット133を駆動するためのバケットシリンダ136を有する。ブームシリンダ134と、アームシリンダ135と、バケットシリンダ136とは、それぞれ油圧アクチュエータによって構成されている。
【0016】
旋回体12には、旋回モータ124が配置されている。旋回モータ124を駆動すると、旋回体12は走行体11に対して回転(言い換えれば、旋回)することになる。また、走行体11には、左走行モータ111と右走行モータ112とがそれぞれ配置されている。これらの走行モータ111,112を駆動すると、左右の履帯113がそれぞれ駆動される。これによって、走行体11は前進又は後進することができる。なお、旋回モータ124、左走行モータ111及び右走行モータ112は、それぞれ油圧アクチュエータから構成されている。
【0017】
旋回モータ124、左走行モータ111、右走行モータ112、及び上述したブームシリンダ134、アームシリンダ135、バケットシリンダ136は、油圧ポンプ(図示せず)によって吐出され、更に流量制御弁16を介して供給された圧油によってそれぞれ駆動されている。これによって、油圧ショベル10は旋回動作、走行動作及び掘削動作を行うことができる。なお、これらの油圧アクチュエータ、油圧ポンプ及び流量制御弁は、制御部15によってそれぞれ制御されている。
【0018】
また、旋回体12には、旋回角度センサ125が取り付けられている。旋回角度センサ125は、特許請求の範囲に記載の「旋回角度検出部」に相当するものであって、例えばポテンショメータであり、走行体11に対する旋回体12の旋回角度θを検出し、検出した旋回角度θを制御部15に出力する。旋回角度θは、例えば図3に示すように、走行体11の進行方向を基準とし、走行体11と旋回体との相対角度である。
【0019】
通信機14は、基地局装置20に追従可能に設けられ、基地局装置20との間でビームフォーミングを用いた通信を行っている。すなわち、通信機14は、ビームフォーミング機能を有しており、基地局装置20に送信される電波にビームフォーミング処理を行い、更にビームフォーミング処理した電波を基地局装置20に向けて送信することができる。また、通信機14は、基地局装置20によりビームフォーミング処理されて送信された電波を受信することができる。
【0020】
なお、基地局装置20に送信される電波はミリ波であることが好ましい。この場合、ミリ波が持つ高い直進性及び指向性、大容量通信に適する特徴を利用し、データの伝送をスムーズに実現できるので、油圧ショベル10の遠隔操縦の環境を改善することができる。
【0021】
そして、通信機14が基地局装置20に向けるビームフォーミングの追従としては、例えば上記特許文献1(特開2017-122037号公報)に記載された方法や、その他の周知された技術を用いることができる。
【0022】
通信機14は、例えばパッチアレイアンテナ141を有するように構成されている。そして、パッチアレイアンテナ141が平板状の場合、その平面が旋回体12の旋回面と平行になるように旋回体12の上部に配置されるのが好ましい。このようにすれば、旋回体12の旋回動作によるパッチアレイアンテナ141への影響を抑制し、安定した通信環境を確保することができる。
【0023】
通信機14は、制御部15によって制御されている。具体的には、通信機14は、その送信及び受信のみならず、通信機14から送信される電波のビームフォーミングも制御部15に制御されている。例えば、電波のビームフォーミングの絞り幅、指向角などが制御部15によって制御されている。ここでの指向角とは、ビームフォーミングの指向性を示す方角を意味し、特に水平方向における方角を指す。
【0024】
制御部15は、例えば演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、演算のためのプログラムを記憶した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、演算経過の保存や一時的な制御変数を保存する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなるマイクロコンピュータにより構成されており、記憶されたプログラムの実行によって算出や判定などの処理を行う。
【0025】
本実施形態に係る油圧ショベル10には、油圧ショベル10の周囲の映像を撮像するカメラ(図示せず)が搭載されても良い。例えば、3次元の映像を撮像できる3Dカメラが複数搭載されるのが好ましい。これらの3Dカメラによって撮像された映像は、通信機14によるビームフォーミングを介して基地局装置20に送信(言い換えれば、伝送)されるようになっている。このように複数の3Dカメラを搭載することで、油圧ショベル10の遠隔操縦を実現しやすくなる。
【0026】
ここで、図4及び図5を基に本発明に至った経緯を説明する。図4及び図5において、破線で又は二点鎖線で示す楕円142は、通信機14によってビームフォーミングされた指向性を有するビーム(言い換えれば、電波)を模式的に表すものであり、破線で示す楕円201は、基地局装置20によってビームフォーミングされた指向性を有するビーム(言い換えれば、電波)を模式的に表すものである。なお、ビーム142及びビーム201の楕円範囲は、ビームフォーミングされた電波の範囲を限定するものではない。
【0027】
また、図4及び図5に示すように、ビーム142の方向とビーム201の方向とが一致している場合(すなわち、ビーム142とビーム201とが重なる場合)には、通信機14と基地局装置20との通信状況が安定し、通信速度が出やすい状態である。
【0028】
一般的には、油圧ショベル10は基地局装置20からかなり離れた現場で稼働している。そのため、図4に示すように、油圧ショベル10が走行(ここでは前進)するとき、油圧ショベル10と基地局装置20との距離L1に対して油圧ショベル10の走行距離L2が小さいため、走行によって生じた油圧ショベル10と基地局装置20との相対角度αはさほど大きくなく、走行によるビームフォーミングの指向角は大きく変わらない。従って、通信機14は従来の方法に基づいて基地局装置20に向けるビームフォーミングの追従を行うことができる。
【0029】
一方、油圧ショベル10は、旋回動作も多く行っている。図5に示すように、油圧ショベル10が旋回するときに、旋回速度が走行速度よりも速いので、ビームフォーミングの指向角に大きく影響する。このため、油圧ショベル10の旋回動作によってビームフォーミングの指向角は大きく変わり、油圧ショベル10の走行のみを想定するビームフォーミング制御では、追従できなくなる可能性が高い。その結果、通信速度の低下、通信の瞬断による映像などの途切れ、遅延などが発生してしまう。
【0030】
そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ねった結果、油圧ショベル10の旋回動作をビームフォーミングの指向角の制御に反映することで、基地局装置20に向けるビームフォーミングの追従を維持することができ、安定した通信を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0031】
従って、本実施形態では、制御部15は、旋回角度センサ125によって検出された旋回角度に基づいて、通信機14から基地局装置20に送信される電波のビームフォーミングを制御するように構成されている。より具体的には、制御部15は、通信機14から基地局装置20に向けて送信される電波のビームフォーミングの指向角を制御する。
【0032】
次に、図6に基づいて制御部15によるビームフォーミングの指向角の制御を説明する。図6に示す制御処理は、例えば所定の周期で繰り返し実行される。
【0033】
まず、ステップS11では、制御部15は、通信機14に対して通常のビームフォーミング制御を行う。ここでの通常のビームフォーミング制御は、上述した従来の方法に基づいて基地局装置20に向けるビームフォーミングの追従を行う制御である。
【0034】
ステップS11に続くステップS12では、油圧ショベル10が旋回動作をしているか否かが判定される。このとき、制御部15は、入力された操作信号に基づいて判定を行う。操作信号は、オペレータが運転室121に配置された操作レバー(図示せず)を直接に操作する場合、操作レバーから入力される。一方、オペレータが遠隔操縦を行う場合、操作信号は遠隔操縦を行うコントローラ(図示せず)から送信(入力)される。
【0035】
制御部15は、入力された操作信号の中に旋回に関する信号の有無で旋回動作をしているかを判定する。そして、油圧ショベル10が旋回動作をしていると判定された場合、制御処理はステップS13に進む。ステップS13では、制御部15は、旋回角度センサ125から出力された旋回角度βを取得する(図5参照)。
【0036】
ステップS13に続くステップS14では、制御部15は、取得した旋回角度βに基づいてビームフォーミングの指向角(ここでは、-β)を算出し、算出した指向角を通信機14に通知する。
【0037】
ステップS14に続くステップS15では、制御部15は、ビームフォーミングの指向角(ここでは、-β)を用いて通信機14から送信されたビームフォーミングを制御する。これによって、通信機14は、指向角-βを有するビームフォーミングを基地局装置20に送信する。ステップS15が終わると、一連の制御処理は終了する。
【0038】
本実施形態の油圧ショベル10では、制御部15は、旋回角度センサ125によって検出された旋回角度に基づいて、通信機14から送信されるビームフォーミングの指向角を制御する。このようにすることで、旋回動作に起因した基地局装置20に対するビームフォーミングの指向性の方向ズレを防止することができ、基地局装置20に向けるビームフォーミングの追従を維持することができるので、通信状況を改善することができる。
【0039】
そして、このように通信状況を改善することによって、油圧ショベル10に搭載されたカメラで撮像した映像をリアルタイムに基地局装置20に伝送することができるので、映像の途切れや画質の低下、再送信による映像遅延などを防ぐことができる。更に、オペレータが伝送された映像に基づいて、油圧ショベル10の遠隔操縦の信号を基地局装置20を介して油圧ショベル10に瞬時に送信する。その結果、映像と操縦とのタイムラグをなくすことができ、油圧ショベル10の遠隔操縦をスムーズに実現でき、作業効率を向上することができる。
【0040】
なお、制御部15の制御処理は上述した内容に限定されず、様々な変形例が考えられる。例えば図7に示す変形例では、旋回角度βを取得するステップS13と通信機へ指向角を通知するステップS14との間に、旋回角度βが所定旋回角度θ以上か否かを判定するステップS13’が更に設けられている。
【0041】
すなわち、図7に示すように、ステップS13に続くステップS13’では、制御部15は、ステップS13で取得した旋回角度βが予め設定された所定旋回角度θ以上か否かを判定する。ここでの所定旋回角度θは、例えばビームフォーミングの指向角と旋回角度との関係により、通信に影響が生じない範囲で設定された値である。
【0042】
そして、旋回角度βが所定旋回角度θより小さいと判定された場合、上述ステップS15のようなビームフォーミングの制御が行われず、制御処理は終了する。一方、ステップS13’において旋回角度βが所定旋回角度θ以上であると判定された場合、制御はステップS14に進む。ステップS14では、制御部15は、取得した旋回角度βに基づいてビームフォーミングの指向角を算出し、算出した指向角を通信機14に通知する。
【0043】
ステップS14に続くステップS15では、制御部15は、上述したようにビームフォーミングを制御する。そして、ステップS15が終わると、一連の制御処理は終了する。
【0044】
このように旋回角度を予め設定された所定旋回角度と比較し、旋回角度が所定旋回角度より小さい場合にビームフォーミングの制御を行わないようにすることで、制御部15の処理負担を軽減する効果を期待できる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0046】
10 油圧ショベル
11 走行体
12 旋回体
13 作業フロント
14 通信機
15 制御部
20 基地局装置
121 運転室
122 機械室
124 旋回モータ
125 旋回角度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7