(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】逆止弁及び該逆止弁を備えた圧力検出装置
(51)【国際特許分類】
F16K 15/14 20060101AFI20241204BHJP
G01L 19/06 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
F16K15/14 A
G01L19/06 102
(21)【出願番号】P 2020211039
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】木村 夕成
(72)【発明者】
【氏名】江藤 昌也
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0178474(US,A1)
【文献】実開昭49-135611(JP,U)
【文献】実開昭60-184466(JP,U)
【文献】特開2008-134251(JP,A)
【文献】特開2020-176727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/14
G01L 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の負圧源と倍力装置とを接続する空気経路に設けられる逆止弁(10)であって、
前記倍力装置側と前記負圧源側を連通させる連通路(13f)を形成するベース部材(13)と、
弁座(14a)と、
前記連通路(13f)内に収容され、前記弁座(14a)に着座している状態で前記負圧源側から前記倍力装置側に向けての空気の流れを遮断する一方で、前記弁座(14a)から離座している状態で前記倍力装置側から前記負圧源側に向けての空気の流れを通過させる弁体(15)と、を備え、
前記弁座(14a)は、前記弁体(15)よりも軟質な材料で形成されている
とともに、前記弁体(15)が前記弁座(14a)に着座している状態で該弁体が変形したときに前記弁座(14a)よりも内側の位置で該弁体に当接する当接部(14c)を備える
逆止弁。
【請求項2】
前記逆止弁(10)は、
前記ベース部材(13)と前記弁体(15)との間をシールするシール部(14b)を備え、
前記弁体(15)は、該弁体の移動方向に連通する連通孔(15a)を該弁体の中央部分に備え、
前記ベース部材(13)は、前記連通孔(15a)に挿入されて前記弁体(15)を位置決めする位置決め部(13c)を備えており、
前記シール部(14b)は、前記位置決め部(13c)を囲うように設けられており、
前記シール部(14b)が前記弁体(15)と前記ベース部材(13)とにより挟持されて保持される
請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記弁座(14a)と前記シール部(14b)とを連結する連結部(14d)を備え、
前記弁座(14a)と前記シール部(14b)が一体に成形されている
請求項2に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記弁座(14a)は、前記ベース部材(13)と別体化されている
請求項1~
3のいずれか1項に記載の逆止弁。
【請求項5】
前記弁座(14a)は、前記ベース部材(13)に一体化されている
請求項1~
3のいずれか1項に記載の逆止弁。
【請求項6】
前記弁座(14a)は、ゴム材料またはエラストマ材料を含む
請求項1~
5のいずれか1項に記載の逆止弁。
【請求項7】
前記弁体(15)は、プラスチック材料または金属材料を含む
請求項1~
6のいずれか1項に記載の逆止弁。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の逆止弁(10)を備え、圧力を検出する
圧力検出装置(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の負圧源と倍力装置とを接続する空気経路に設けられる逆止弁及び該逆止弁を備えた圧力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両(例えば、自動車等)の負圧源(例えば、エンジンのインテークマニホールド等)と倍力装置とを接続する空気経路に設けられる逆止弁として、例えば、負圧源側と倍力装置側を連通させる通路を形成するハウジングに弁座が形成され、該ハウジング内に配置された弁体が弁座に着座される構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような逆止弁では、弁体が弾性体により形成されて、その弾性力により弁座に着座されるようになっており、例えば、負圧源側で圧力が異常に高まった場合に、弁体が過剰に変形して、弁体と弁座の密閉性が低下してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、弁体の過剰な変形を低減することができる逆止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る逆止弁は、車両の負圧源と倍力装置とを接続する空気経路に設けられる逆止弁(10)であって、前記倍力装置側と前記負圧源側を連通させる連通路(13f)を形成するベース部材(13)と、弁座(14a)と、前記連通路(13f)内に収容され、前記弁座(14a)に着座している状態で前記負圧源側から前記倍力装置側に向けての空気の流れを遮断する一方で、前記弁座(14a)から離座している状態で前記倍力装置側から前記負圧源側に向けての空気の流れを通過させる弁体(15)と、を備え、前記弁座(14a)は、前記弁体(15)よりも軟質な材料で形成されているとともに、前記弁体(15)が前記弁座(14a)に着座している状態で該弁体が変形したときに前記弁座(14a)よりも内側の位置で該弁体に当接する当接部(14c)を備える構成である。
【0007】
このような構成によれば、弁座(14a)が弁体(15)よりも軟質な材料で形成されているので、車両の負圧源側で圧力上昇が生じた場合に該圧力上昇により弁体にかかる押圧力を、弁体で過剰な変形が生じる前に弁座で吸収して低減することができ、弁体の変形を低減することができる。
【0008】
本発明に係る圧力検出装置は、車両の負圧源と倍力装置とを接続する空気経路に設けられる逆止弁(10)であって、前記倍力装置側と前記負圧源側を連通させる連通路(13f)を形成するベース部材(13)と、弁座(14a)と、前記連通路(13f)内に収容され、前記弁座(14a)に着座している状態で前記負圧源側から前記倍力装置側に向けての空気の流れを遮断する一方で、前記弁座(14a)から離座している状態で前記倍力装置側から前記負圧源側に向けての空気の流れを通過させる弁体(15)と、を備え、前記弁座(14a)は、前記弁体(15)よりも軟質な材料で形成されている逆止弁(10)を備えるとともに、前記弁体(15)が前記弁座(14a)に着座している状態で該弁体が変形したときに前記弁座(14a)よりも内側の位置で該弁体に当接する当接部(14c)を備える構成である。
【0009】
このような構成によれば、圧力検出装置(20)が備える逆止弁は、弁座(14a)が弁体(15)よりも軟質な材料で形成されているので、車両の負圧源側で圧力上昇が生じた場合に該圧力上昇により弁体にかかる押圧力を、弁体で過剰な変形が生じる前に弁座で吸収して低減することができ、弁体の変形を低減することができる。
【0010】
尚、本発明は、本発明の請求項に記載された発明特定事項のみを有するものであって良いし、本発明の請求項に記載された発明特定事項とともに該発明特定事項以外の構成を有するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】圧力検出装置及び逆止弁について説明するための図である。
【
図2】圧力検出装置及び逆止弁について説明するための図である。
【
図3】逆止弁の弁体について説明するための図である。
【
図4】逆止弁の弁座部材について説明するための図である。
【
図5】弁体及び弁座部材について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る逆止弁及び該逆止弁を備える圧力検出装置の実施形態の例について図面を用いて説明する。尚、以下で説明する実施形態の構成、動作等は、一例であり、本発明は、そのような構成、動作等である場合に限定されず、本発明の範囲内で適宜変更することができる。また、以下では、同一の又は類似する説明を、適宜簡略化又は省略する場合がある。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付することを省略するか、又は同一の符号を付す場合がる。また、細かい構造について図示を適宜簡略化又は省略する場合がある。
【0013】
[圧力検出装置について]
本実施形態に係る逆止弁10を備える圧力検出装置20について、
図1及び
図2に基づいて説明する。
図1は、圧力検出装置20の斜視図であり、
図2は、
図1における中心軸線F1及び中心軸線F2を通る平面での断面を含む圧力検出装置20の斜視図である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、圧力検出装置20は、車両(図示略、例えば、自動車等)の負圧源(図示略、例えば、エンジンのインテークマニホールド等)側と当該車両のブレーキの倍力装置(図示略)側とを連通させる連通路11(後述の第1連通路12d、収容連通路13f、第2連通路13gをまとめて連通路11と呼ぶ。)を形成する第1ベース部材12及び第2ベース部材13を備える。
【0015】
第1ベース部材12は、負圧源に続く空気経路が接続される負圧源側接続部12aと、後述の第2ベース部材13の第2連結部13aに連結される第1連結部12bと、該第1ベース部材12と第2ベース部材13とが連結されている状態で後述の弁体15を保持する保持部12c(
図2等参照)とを備える。
【0016】
負圧源側接続部12aと第1連結部12bとは空気の流路方向に延びるように設けられた円筒状の第1連通路12dで連通されている。また、保持部12cは、第1ベース部材12と第2ベース部材13とが連結されている状態で後述の弁体15の連通孔15aの縁部分に当接して第2ベース部材13側へ押圧して保持するようになっている。
【0017】
第2ベース部材13は、前述の第1ベース部材12の第1連結部12bに連結される第2連結部13aと、倍力装置に続く空気経路が接続される倍力装置側接続部13bと、後述の弁体15の連通孔15aに挿入されて該弁体15を位置決めする位置決め部13cと、圧力を検出する圧力センサ素子及び該圧力センサ素子(図示略)による圧力の検出信号を出力する電気回路(図示略)が収容される回路収容部13dと、当該電気回路と圧力検出装置20の外部の装置とを接続するワイヤハーネスが接続されるコネクタ部13eとを備える。
【0018】
第2連結部13aには、空気の流路方向に延びるように円筒状の収容連通路13fが設けられるとともに、該収容連通路13fの中心軸線に沿って流路方向に延びるように位置決め部13cが設けられており、後述するように、収容連通路13fには、逆止弁10の弁体15及び弁座部材14を位置決め部13cにより位置決めして収容できるようになっている。
【0019】
また、倍力装置側接続部13bには、空気の流路方向に延びるように円筒状の第2連通路13gが前述の第1連通路12dと同じ内径で形成されて設けられている。該第2連通路13gは、第1ベース部材12と第2ベース部材13とが連結されている状態で、第2連通路13gの中心軸線F2が、前述の第1連通路12dの中心軸線F1の延長線と垂直に交差するように形成されている(
図2参照)。
【0020】
また、収容連通路13fと第2連通路13gとは、第1連通路12d及び第2連通路13gの内径よりも小さな内径に形成された複数の連通孔13hにより連通されている。複数の連通孔13hは、位置決め部13cを囲うように各連通孔13hの中心が同一円の円周上に配置されて設けられている。また、複数の連通孔13hの周壁により、位置決め部13cと第2ベース部材13とは連結されて形成されている。
【0021】
回路収容部13d内に配置される圧力センサ素子は、第2ベース部材13の第2連通路13g内の圧力を検出する。また、回路収容部13d内に配置される電気回路は、圧力センサ素子により検出された圧力の値を圧力検出装置20の外部の装置へ検出信号としてコネクタ部13eを介して出力するようになっている。検出信号により出力される圧力の値は予め設定されたゲージ圧または絶対圧として出力される。
【0022】
このように、本実施形態の圧力検出装置20は、第2連通路13g内の圧力を圧力センサ素子により検出するようになっている。そして、第2連通路13gと収容連通路13fとが複数の連通孔13hを介して連通されるようになっており、複数の連通孔13hよりも倍力装置側において圧力センサ素子により圧力が検出されるようになっている。
【0023】
また、本実施形態の圧力検出装置20は、第1ベース部材12及び第2ベース部材13を備え、第1ベース部材12に設けられた第1連通路12d、第2ベース部材13に設けられた収容連通路13f及び第2連通路13gにより、負圧源側と倍力装置側とを連通させる連通路11が形成されるようになっている。そして、連通路11内の収容連通路13fに弁体15、弁座部材14が収容されて逆止弁10が構成される。また、収容連通路13fの逆止弁10よりも第2連通路13g側には、複数の連通孔13hが形成されて、当該収容連通路13fと第2連通路13gとが連通される。当該複数の連通孔13hは、逆止弁10の一の弁体15により開通及び遮断されるようになっている。
【0024】
[逆止弁について]
本実施形態に係る逆止弁10について、
図1~
図5に基づいて説明する。
図3は、弁体15の斜視図であり、
図3は、弁座部材14の斜視図であり、
図5は、
図2における弁座部材14及び弁体15付近の拡大図である。
【0025】
図1及び
図2に示すように、逆止弁10は、圧力検出装置20の収容連通路13fの内部に収容される弁座部材14及び弁体15を備える。
【0026】
図3に示すように、弁座部材14は、弁座14aと、該弁座14aよりも小径に形成された環状のシール部14bと、第1ベース部材12と弁体15との間をシールするシール部14bと、弁体15が弁座14aに着座している状態で該弁体15が過剰に変形したときに該弁体15に当接する当接部14cと、弁座14aとシール部14bと当接部14cを連結する連結部14dとを備える。弁座14a、シール部14b、当接部14c、連結部14dは、弁体15よりも軟質な材料(例えば、ゴム材料、エラストマ材料等)により一体に形成されている。また、弁座部材14は、第2ベース部材13とは別体化されている。尚、弁座部材14は、例えば、いわゆるオーバーモールディング技術等により第2ベース部材13と一体に成形されていても良い。
【0027】
弁座14aは、後述の弁体15の外縁部分の形状に対応するように環状に形成されており、弁体15の外径よりも小径であり、かつ後述の弁体15の連通孔15aの外径よりも大径に形成されている。また、弁座14aの高さは、倍力装置側の圧力が負圧源側よりも低い状態であるときには弁体15の外縁部分に該弁座14aが当接して空気の流れを遮断する一方、倍力装置側の圧力が負圧源側よりも高い状態であるときには弁体15の外縁部分に弁座14aが当接せずに空気の流れを通過させるように設定されている。
【0028】
シール部14bは、後述の弁体15の内縁部分の形状に対応するように環状に形成されており、弁座14aよりも小径であり、かつ後述の弁体15の連通孔15aの外径よりも大径に形成されている。また、シール部14bの高さは、該弁座部材お14及び弁体15が収容連通路13fの内部に収容されている状態であり、かつ前述の第1ベース部材12及び第2ベース部材13が連結されている状態において、シール部14bが弁体15に当接し、前述の第1ベース部材12の保持部12cにより弁体15を介してシール部14bが第2ベース部材13側へ押圧されるようになっている。また、シール部14bの内径は、弁体15の連通孔15aの外径と略等しく形成されており、位置決め部13cにより当該シール部14bの位置決めがされるようになっている。
【0029】
当接部14cは、弁座14a及びシール部14bの間の位置に形成される。また、当接部14cは、前述の第2ベース部材13の複数の連通孔13hに対応して形成されており、該複数の連通孔13hを塞がない位置に配置されて、かつ該連通孔13hを塞がない形状に形成される。また、当接部14cの高さは、弁座14a及びシール部14bの高さよりも低く形成されており、弁体15が過剰に変形したときに該弁体15と当接部14cが当接するようになっている。
【0030】
連結部14dは、弁座14a、シール部14b、当接部14cを連結し、これらの位置関係を固定するようになっている。
【0031】
図4に示すように、弁体15は、弁座14aよりも硬質な材料(例えば、プラスチック材料、金属材料等)により円盤状に形成され、該弁体15の中央部分に連通孔15aが設けられている。また、弁体15は、負圧源側と倍力装置側との圧力差に応じて所定量変形して弁座14aに着座または弁座14aから離座するようになっており、弁座14aに着座している状態で負圧源側から倍力装置側に向けての空気の流れを遮断する一方で、弁座14aから離座している状態で倍力装置側から前記負圧源側に向けての空気の流れを通過させるようになっている。
【0032】
図5に示すように、弁座部材14は、環状のシール部14bに第2ベース部材13の位置決め部13cが挿入されることにより、第2ベース部材13に対して位置決めされて取りけられる。これにより、シール部14bは、位置決め部13cを囲うように配置されることになる。また、弁体15は、該弁体15の連通孔15aに第2ベース部材13の位置決め部13cが挿入されることにより、第2ベース部材13に対して位置決めされて取りけられる。
【0033】
そして、弁座部材14と弁体15が位置決めされた状態で第1ベース部材12と第2ベース部材13とが連結されることで、第1ベース部材12の保持部12cが連通孔15aの外縁側の弁体15に当接して該弁体15及び弁座部材14を第2ベース部材13側へ押圧して保持するようになっている。これにより、弁体15と第2ベース部材13との間が弁座部材14のシール部14bによりシールされるようになっている。
【0034】
倍力装置側の圧力が負圧源側の圧力よりも高いときには、弁体15は、負圧源側に所定量変形して弁座14aから離座している状態となり、倍力装置側から前記負圧源側に向けての空気の流れ(順方向流れ)を通過させる。一方、倍力装置側の圧力が負圧源側の圧力よりも低いときには、弁体15は、倍力装置側と負圧源側との圧力差による変形が生じず、弁座14aに着座している状態となり、負圧源側から倍力装置側に向けての空気の流れ(逆方向流れ)を遮断する。
【0035】
このように、本実施形態の逆止弁10は、倍力装置側と前記負圧源側を連通させる収容連通路13fを形成する第2ベース部材13と、収容連通路13f内に収容され、弁座14aを構成する弁座部材14及び弁座14aに着座または離座する弁体15を備え、弁座14aは、弁体15よりも軟質な材料で形成されている。
【0036】
尚、本実施形態では、逆止弁10は、圧力検出装置20内の空気経路である連通路11に備えられる構成であるが、逆止弁10は、圧力検出装置20外の空気経路に備えられる構成、例えば、圧力検出装置20と逆止弁10とが別体として設けられる構成等でも良い。
【0037】
[作用効果について]
従来、車両(例えば、自動車等)の負圧源(例えば、エンジンのインテークマニホールド)と倍力装置とを接続する空気経路に設けられる逆止弁として、負圧源側と倍力装置側を連通させる通路を形成するハウジングに弁座が形成され、該ハウジング内に配置された弁体が弁座に着座される構成であり、該弁体が弾性体により形成されて、その弾性力により弁座に着座される構成のものがある。このような構成の逆止弁では、負圧源側で圧力が異常に高まった場合に、弁体が過剰に変形して、弁体と弁座の密閉性が低下してしまう虞がある。
【0038】
これに対して、本実施形態の逆止弁10は、車両の負圧源と倍力装置とを接続する空気経路に設けられる逆止弁10であって、倍力装置側と負圧源側を連通させる収容連通路13fを形成する第2ベース部材13と、弁座14aと、収容連通路13f内に収容され、弁座14aに着座している状態で負圧源側から倍力装置側に向けての空気の流れを遮断する一方で、弁座14aから離座している状態で倍力装置側から負圧源側に向けての空気の流れを通過させる弁体15と、を備え、弁座14aは、弁体15よりも軟質な材料で形成されている構成である。このような構成によれば、弁座14aが弁体15よりも軟質な材料で形成されているので、車両の負圧源側で異常な圧力上昇が生じた場合に該圧力上昇により弁体15にかかる押圧力を、弁体15で過剰な変形が生じる前に弁座14aで吸収して低減することができ、弁体15の過剰な変形を低減することができる。
【0039】
本実施形態の逆止弁10は、第2ベース部材13と弁体15との間をシールするシール部14bを備え、弁体15は、該弁体15の移動方向(変形方向)に連通する連通孔15aを該弁体15の中央部分に備え、第2ベース部材13は、連通孔15aに挿入されて弁体15を位置決めする位置決め部13cを備えており、シール部14bは、位置決め部13cを囲うように設けられており、シール部14bが弁体15と第2ベース部材13とにより挟持されて保持される構成である。このような構成によれば、弁体15と第2ベース部材13との間の密封性を高めて、倍力装置側の圧力の保持性能を向上させることができる。
【0040】
本実施形態の逆止弁10は、弁体15が弁座14aに着座している状態で該弁体15が過剰に変形したときに弁座14aよりも内側の位置で該弁体15に当接する当接部14cを備える構成である。このような構成によれば、負圧源側で異常な圧力上昇が生じて弁体15が所定量変形したときに、当接部14cが弁体15に当接して弁体15の変形量を制限することができる。
【0041】
本実施形態の逆止弁10の弁座部材14は、弁座14aとシール部14bとを連結する連結部(14d)を備え、弁座14aとシール部14bが一体に成形されている構成である。このような構成によれば、弁体15と第2ベース部材13とをシールするシール部14bを弁座14aと連結部14dにより連結して共通部品とすることができる。
【0042】
本実施形態の逆止弁10の弁座部材14は、例えば、ゴム材料またはエラストマ材料により形成される構成である。このような構成によれば、弁座14aに弁体15が着座している状態であるときに、弁座14aと弁体15の密着性を高めることができる。
【0043】
本実施形態の逆止弁10の弁体15は、例えば、プラスチック材料または金属材料により形成される構成である。このような構成によれば、負圧源側で異常な圧力上昇が生じたときに、弁体15の変形量を低減することができる。
【0044】
本実施形態の圧力検出装置20は、逆止弁(10)を備え、該逆止弁(10)は、倍力装置側と負圧源側を連通させる収容連通路13fを形成する第2ベース部材13と、弁座14aと、収容連通路13f内に収容され、弁座14aに着座している状態で負圧源側から倍力装置側に向けての空気の流れを遮断する一方で、弁座14aから離座している状態で倍力装置側から負圧源側に向けての空気の流れを通過させる弁体15と、を備え、弁座14aは、弁体15よりも軟質な材料で形成されており、当該逆止弁(10)よりも倍力装置側に圧力を検出する圧力センサ素子が配置される構成である。このような構成によれば、弁座14aが弁体15よりも軟質な材料で形成されており、車両の負圧源側で異常な圧力上昇が生じた場合に該圧力上昇により弁体15にかかる押圧力を、弁体15で過剰な変形が生じる前に弁座14aで吸収して低減して弁体15の過剰な変形を低減することができるので、圧力検出装置20における倍力装置側の圧力の保持性能を向上させて、当該逆止弁(10)よりも倍力装置側に配置された圧力センサ素子に過剰な圧力がかかることを防止できる。
【0045】
尚、本実施形態では、弁座部材14は、第2ベース部材13とは別体に形成されている構成であるが、弁座部材14は、第2ベース部材13と一体化されている構成でも良い。このような構成によれば、弁体とベース部材とをシールする部分を共有化の部品で形成することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態の例を説明してきたが、本発明はこの実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
10 逆止弁
12 第1ベース部材
13 第2ベース部材(ベース部材)
14 弁座部材
14a 弁座
15 弁体
20 圧力検出装置