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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】車載電池筐体構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20241204BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20241204BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20241204BHJP
   B62D 21/00 20060101ALI20241204BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20241204BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241204BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241204BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20241204BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20241204BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K11/06
B62D25/08 J
B62D21/00 Z
B62D25/20 H
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6561
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021021908
(22)【出願日】2021-02-15
(65)【公開番号】P2022124252
(43)【公開日】2022-08-25
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】原 俊之
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕
(72)【発明者】
【氏名】木村 真一
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-128138(JP,A)
【文献】特開2020-121583(JP,A)
【文献】特開2017-114190(JP,A)
【文献】特開2014-015061(JP,A)
【文献】特開2017-226353(JP,A)
【文献】特開2011-134615(JP,A)
【文献】特開2016-196207(JP,A)
【文献】特開2014-221624(JP,A)
【文献】特開2021-167150(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0226765(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0106484(KR,A)
【文献】特開2013-014312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00 - 6/12
B60K 7/00 -16/00
B62D 17/00 -25/08
B62D 25/14 -29/04
H01M 10/52 -10/667
H01M 50/20 -50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池筐体と、車両構造部材と、を具備し、
前記電池筐体は、電池を内蔵すると共に、筐体下部と、筐体蓋部と、を有し、
前記筐体蓋部は、前記筐体下部よりも後方側に突出する後端突出部と、前記筐体下部よりも前方側に突出する前端突出部と、を有し、
前後方向視において、前記車両構造部材と、前記筐体蓋部とが重畳し、
車体フロアに設けられ、前記電池筐体の前記筐体下部を嵌め込むことが可能な車体フロア開口部と、を更に備え、
前記車体フロア開口部に、前記筐体下部を嵌め込むことで固定し、前記車体フロアの下方に前記筐体下部を臨ませることを特徴とする車載電池筐体構造。
【請求項2】
電池筐体と、車両構造部材と、を具備し、
前記電池筐体は、電池を内蔵すると共に、筐体下部と、筐体蓋部と、を有し、
前記筐体蓋部は、前記筐体下部よりも後方側に突出する後端突出部と、前記筐体下部よりも前方側に突出する前端突出部と、を有し、
前後方向視において、前記車両構造部材と、前記筐体蓋部とが重畳し、
前記電池に吹き付けられる冷却風を導くダクトと、を更に具備し、
前記筐体蓋部は、車両前後方向に沿って伸びる中空部材である前後方向中空部材と、車両幅方向に沿って伸びる中空部材である幅方向中空部材と、を有し、
前記冷却風は、前記ダクト、前記前後方向中空部材および前記幅方向中空部材を経由し、前記電池に吹き付けられることを特徴とする車載電池筐体構造。
【請求項3】
前記電池は、前記筐体蓋部に吊下固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載電池筐体構造。
【請求項4】
前記車両構造部材は、前記後端突出部の前方側に配置されたクロスメンバであることを特徴とする請求項1から請求項の何れかに記載の車載電池筐体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電池筐体構造に関し、特に、衝突事故発生時にバッテリスタックを衝撃から保護することができる車載電池筐体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車には、車両に駆動力を与えるモータを回転させるために、モータに電力を供給する大容量の車両用電池が搭載されている。この車両用電池は、十分な連続走行距離を確保する為に、重量が大きく更に占有容積が大きい。従って、この車両用電池は、例えばシートの下方やリアフロアの下方等に配置されている。
【0003】
特許文献1には、バッテリを保護する車体構造が記載されている。具体的には、バッテリの上方位置に、上部補強部材が架け渡すよう配設されている。上部補強部材が設けられることで、後突時に車両後方から入力された荷重を前方へ分散し、車両後部に搭載されたバッテリを保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-014312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、車両後部に搭載されたバッテリを保護する上部補強部材は、衝突時にバッテリを保護するための専用部材であるため、車体構成が複雑になり重量増とコスト高を招く課題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、より簡素な構成で衝突時の衝撃からバッテリを保護することができる車載電池筐体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車載電池筐体構造は電池筐体と、車両構造部材と、を具備し、前記電池筐体は、電池を内蔵すると共に、筐体下部と、筐体蓋部と、を有し、前記筐体蓋部は、前記筐体下部よりも後方側に突出する後端突出部と、前記筐体下部よりも前方側に突出する前端突出部と、を有し、前後方向視において、前記車両構造部材と、前記筐体蓋部とが重畳し、車体フロアに設けられ、前記電池筐体の前記筐体下部を嵌め込むことが可能な車体フロア開口部と、を更に備え、前記車体フロア開口部に、前記筐体下部を嵌め込むことで固定し、前記車体フロアの下方に前記筐体下部を臨ませることを特徴とする。
本発明の車載電池筐体構造は、電池筐体と、車両構造部材と、を具備し、前記電池筐体は、電池を内蔵すると共に、筐体下部と、筐体蓋部と、を有し、前記筐体蓋部は、前記筐体下部よりも後方側に突出する後端突出部と、前記筐体下部よりも前方側に突出する前端突出部と、を有し、前後方向視において、前記車両構造部材と、前記筐体蓋部とが重畳し、前記電池に吹き付けられる冷却風を導くダクトと、を更に具備し、前記筐体蓋部は、車両前後方向に沿って伸びる中空部材である前後方向中空部材と、車両幅方向に沿って伸びる中空部材である幅方向中空部材と、を有し、前記冷却風は、前記ダクト、前記前後方向中空部材および前記幅方向中空部材を経由し、前記電池に吹き付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態にかかる車載電池筐体構造によれば、より簡素な構成で衝突時の衝撃からバッテリを保護することができる。具体的には、前後方向視において、車両構造部材と、略板状に水平に伸びる筐体蓋部とが重畳することで、車両衝突が発生した際に、前端突出部と後端突出部とを有する筐体蓋部が、車両構造部材に当接して反力が発生する。よって、電池筐体に収められた電池を、衝突衝撃から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る車載電池筐体構造を備えた車両を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る車載電池筐体構造を備えた車両の後部構造を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る車載電池筐体構造を備えた車両の後部構造を示す分解斜視図である。
図4A】本発明の実施の形態に係る車載電池筐体構造を示す側方断面図である。
図4B】本発明の実施の形態に係る車載電池筐体構造を示す前方断面図である。
図5A】本発明の実施の形態に係る車載電池筐体構造を示す図であり、電池筐体を示す斜視図である。
図5B】本発明の実施の形態に係る車載電池筐体構造を示す図であり、筐体蓋部を示す斜視図である。
図6A】本発明の実施の形態に係る車載電池筐体構造を示す図であり、電池筐体を示す分解斜視図である。
図6B】本発明の実施の形態に係る車載電池筐体構造を示す図であり、車載電池筐体構造を示す前方断面図である。
図7A】本発明の他の形態に係る車載電池筐体構造を示す図であり、電池筐体を示す斜視図である。
図7B】本発明の他の形態に係る車載電池筐体構造を示す分解斜視図である。
図7C】本発明の他の形態に係る車載電池筐体構造を示す側方断面図である。
図8A】本発明の更なる他の形態に係る車載電池筐体構造を示す図であり、電池筐体を示す斜視図である。
図8B】本発明の更なる他の形態に係る車載電池筐体構造を示す分解斜視図である。
図8C】本発明の更なる他の形態に係る車載電池筐体構造を示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本形態に係る車載電池筐体構造14、および、車載電池筐体構造14を備えた車両10を説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では上下前後左右の各方向を用いて説明するが、左右とは車両10の前方を向いた場合の左右である。
【0011】
図1は、車載電池筐体構造14を備えた車両10を後側上方から見た斜視図である。ここでは、車両10の車体11の後端を覆うリアゲートを省いて図示している。車両10としては、EV(Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等を採用できる。
【0012】
車体11の車室内後方には後方シート12が配設され、その後方に収納スペース13が形成されており、収納スペース13に、後述する電池17および車載電池筐体構造14が配置されている。
【0013】
図2は、車載電池筐体構造14を備えた車両10の後部構造を示す斜視図である。ここでは、フロア凹部31に収納される電池17を図示していない。
【0014】
先ず、上記した車載電池筐体構造14が配置される車両後部の構成を説明する。車体11の車体フロア22を部分的に凹状とすることでフロア凹部31が形成されている。車体フロア22の後端には後面パネル30が取りつけられており、後面パネル30の後方には接続部材29を介してパンパビーム27が配置されている。パンパビーム27は、衝突時に変形することで衝撃を吸収する部材である。以下では、ポール28が車両10の後端に後方から衝突(後突)するポール衝突が発生した場合を一例に、車載電池筐体構造14の機能を説明する。また、車体フロア22を横断するように、車両構造部材であるクロスメンバ16が架設されている。本実施形態に係る車載電池筐体構造14は、車体11において、後面パネル30とクロスメンバ16との間に配置され、後突が発生した際の衝撃から電池17を保護する。
【0015】
図3は、車載電池筐体構造14を備えた車両10の後部構造を示す分解斜視図である。
【0016】
車載電池筐体構造14は、電池筐体15と、車両構造部材であるクロスメンバ16と、を具備している。電池筐体15は、電池17を内蔵すると共に、筐体下部18と、筐体蓋部19と、を有している。
【0017】
筐体下部18は、筐体本体部181と、筐体支持部182と、を有する。筐体本体部181は、ここでは図示しない電池17を収納する収納容器である。筐体本体部181は、合成樹脂やアルミダイキャスト部材から一体成型されたものである。筐体支持部182は、筐体本体部181の前端および後端に取り付けられ、左右方向に伸びる略棒状の部材であり、筐体本体部181に対して左右方向に突出している。筐体支持部182の左右方向に突出する部分は、車体フロア22の上面に取り付けられる。
【0018】
筐体蓋部19は、筐体下部18の上面開口を塞ぐ略板状の部材である。後述するように、筐体蓋部19は、後突が発生した際に、電池17を衝撃から保護する機能も有する。
【0019】
図4Aは車両10の後部構成を示す側方断面図であり、図2の切断面線A-Aに対応している。図4Bは前方断面図であり、図2の切断面線B-Bに対応している。
【0020】
図4Aは車載電池筐体構造14の断面図であり、ポール衝突が発生した際の状況を示している。また、後突が発生した後のポール28を一点鎖線で示している。
【0021】
筐体蓋部19は、後端突出部20と、前端突出部21と、を有している。後端突出部20は、電池筐体15の後端を、筐体下部18の後面よりも後方側に突出させた部位である。前端突出部21は、電池筐体15の前端を、筐体下部18の前面よりも前方側に突出させた部位である。このようにすることで、ポール衝突が発生した際に、電池筐体15に作用する衝撃を、筐体蓋部19で受けとめ、筐体下部18および電池17を、衝撃から保護する。
【0022】
また、本実施形態では、前後方向視において、クロスメンバ16と、筐体蓋部19とが、少なくとも一部分重畳する。ここでは、前後方向視の方向をハッチングが付された矢印で示している。ここでは、筐体蓋部19の上端がクロスメンバ16の上端よりも下方に配置され、筐体蓋部19の下端がクロスメンバ16の下端よりも上方に配置されている。
【0023】
ポール衝突が発生すると、ポール28は、車体11に後端側から侵入し、筐体蓋部19の後端である後端突出部20に衝撃を与える。上記したように、筐体蓋部19の後端突出部20は、筐体下部18の後面よりも後方に突出しているので、ポール28は、筐体蓋部19の後端突出部20に衝撃を与える一方、筐体下部18の後面には大きな衝撃は作用しない。
【0024】
次に、ポール28により押された筐体蓋部19は前方に向かって移動し、筐体蓋部19の前端突出部21が、クロスメンバ16の後面に接触する。クロスメンバ16は、車体11の剛性を担う車両構造部材であり、十分な反力を発生させる。よって、ポール衝突に伴う筐体蓋部19の移動はクロスメンバ16で阻止される。
【0025】
上記のことから、ポール衝突が発生した際、ポール衝突に伴う衝撃は、略板状の部材である筐体蓋部19が、クロスメンバ16に衝突することで、筐体下部18への直接荷重が緩和される。よって、筐体下部18の変形が最小化され、電池17をポール衝突から保護することができる。
【0026】
図5Aは電池筐体15を示す斜視図であり、図5Bは筐体蓋部19を示す斜視図である。
【0027】
図5Aを参照して、筐体蓋部19は、筐体支持部182と、前後方向中空部材25と、幅方向中空部材26と、を有している。前後方向中空部材25および幅方向中空部材26は、後述するように、電池17を冷却するための空気が流通する経路としても機能する。
【0028】
前後方向中空部材25は、車両前後方向に沿って伸びる中空部材である。前後方向中空部材25は、車両幅方向に沿って複数が配置されている。前後方向中空部材25の前端および後端は、筐体支持部182により支持されている。
【0029】
幅方向中空部材26は、車両幅方向に沿って伸びる中空部材である。ここでは、幅方向中空部材26は、前後方向中空部材25の後端側に配置されている。
【0030】
図5Bを参照して、前後方向中空部材25の下面を開口することで、開口部35が形成されている。開口部35は、ここでは図示しない電池17の、上方側に形成されている。
【0031】
再び図5Aを参照して、幅方向中空部材26の下方には、ここでは図示しない電池17が固定されるが、電池17の左方側にジャンクションボックス32が配置され、電池17の右方側にコントロールユニット33が配置される。
【0032】
図6Aは電池筐体15を示す分解斜視図であり、図6Bは車載電池筐体構造14を示す前方断面図である。筐体蓋部19は、電池17を衝突衝撃から保護し、更に、電池17を冷却するための空気が流通する風路としても機能する。
【0033】
図6Aを参照して、幅方向中空部材26には挿入部37が形成されている。挿入部37は、幅方向中空部材26の前面を前方に向かって突出させた送風口である。挿入部37は、前後方向中空部材25の各々に対応して形成される。挿入部37は、前後方向中空部材25の後端開口に挿入される。また、幅方向中空部材26の左端開口は、ここでは図示しないダクトに接続され、電池17に吹き付けられる冷却風が送風される。ここで、冷却風は、外気、室内空気、車載空調機により冷却された冷却空気等である。
【0034】
前後方向中空部材25の後端開口は幅方向中空部材26の挿入部37が接続され、前後方向中空部材25の前端開口は蓋部材36により塞がれている。
【0035】
筐体蓋部19を経由した空気により、電池17を冷却する機能を説明する。先ず、ここでは図示しないダクトを経由した空気は、左方から幅方向中空部材26に送風される。その後、空気は、幅方向中空部材26の挿入部37から、各々の前後方向中空部材25の内部に送風される。
【0036】
図6Bを参照して、幅方向中空部材26に送風された空気は、開口部35を経由して電池17に吹き付けられる。具体的には、空気は、電池17同士の間に送風される。このようにすることで、電池17を冷却することができる。また、各々の電池17の上方に形成された開口部35から送風されるので、各々の電池17を効果的に冷却することができる。
【0037】
また、図6Aを参照して、電池17は、筐体蓋部19に吊下固定される。具体的には、ネジなどの締結手段を介して、前後方向中空部材25の下面に、電池17の上端が吊下固定されている。このようにすることで、前後方向中空部材25が、筐体蓋部19の一部を構成すると共に、冷却風を流通させる送風路として機能し、更に、電池17を吊下固定するための支持部材としても機能している。よって、車載電池筐体構造14を構成する部品点数を削減し、コストを低減することができる。
【0038】
図7の各図は、他の形態に係る車載電池筐体構造14を示す図である。図7Aは電池筐体15を示す斜視図であり、図7Bは車載電池筐体構造14を示す分解斜視図であり、図7Cは車載電池筐体構造14を示す側方断面図である。ここに示す車載電池筐体構造14の構成は、図3等に示したものと基本的には同様であり、電池筐体15を収容する構成が異なる。
【0039】
具体的には、図7Aおよび図7Bを参照して、車体フロア22に車体フロア開口部23が形成されている。車体フロア開口部23は、電池筐体15の筐体下部18を嵌め込むことが可能な形状を呈しており、ここでは略矩形状を呈している。車体フロア開口部23に、電池筐体15の筐体下部18を嵌め込むことで固定している。これにより、車体フロア22の下方に、筐体下部18を臨ませる。
【0040】
また、筐体下部18は、ダイカスト成形されたアルミニウム等の金属板や、一体成型された合成樹脂板から形成することができる。筐体下部18は、車体フロア開口部23に落とし込むように配置することができる。
【0041】
図7Cを参照して、このようにすることで、筐体下部18の下方部分を車外に配置することができる。また、一体成型された筐体下部18は、防水性が高いため、一般的には必要とされる防水パンを不要にし、車載電池筐体構造14の構成部材を減少させ、低コストを実現することができる。
【0042】
図8の各図は、更なる他の形態に係る車載電池筐体構造14を示す図である。図8Aは電池筐体15を示す斜視図であり、図8Bは車載電池筐体構造14を示す分解斜視図であり、図8Cは車載電池筐体構造14を示す側方断面図である。ここに示す車載電池筐体構造14の構成は、図7に示したものと基本的には同様であり、電池筐体15を収容する構成が異なる。
【0043】
具体的には、図8Aおよび図8Bに示すように、筐体下部18の内部が、区画壁40により、前後方向に2つに区分されており、前方側に電池収納領域39が形成され、後方側にサブトランク38が形成されている。
【0044】
車体フロア開口部23は、車体フロア22の骨格部以外の大部分を開口することで形成されている。車体フロア開口部23には、筐体下部18が落とし込まれるように収容されている。
【0045】
区画壁40は、筐体下部18を構成する他の部分と一体的に形成された部位である。電池収納領域39は、筐体下部18の内部領域であって、区画壁40により前方側に区画される部分であり、電池17が収納される。サブトランク38は、筐体下部18の内部領域であって、区画壁40により後方側に区画される部分であり、レンチ等の車載工具を収納することができる。
【0046】
図8Cを参照して、筐体蓋部19の後端突出部20は、区画壁40よりも後方側に配置される。このようにすることで、前述したポール衝突が発生した際に、ポール衝突の衝撃を筐体蓋部19およびクロスメンバ16で受け止め、電池収納領域39に収容される電池17を効果的に保護することができる。
【0047】
前述した本実施形態により、以下のような主要な効果を奏することができる。
【0048】
図4Aを参照して、車載電池筐体構造14によれば、前後方向視において、車両構造部材であるクロスメンバ16と、筐体蓋部19とが重畳することで、車両衝突が発生した際に、前端突出部21と後端突出部20とを有する筐体蓋部19が、クロスメンバ16に当接して反力が発生し、これにより電池筐体15に収められた電池17を衝突衝撃から保護することができる。
【0049】
更に、図7Cを参照して、車体フロア22の下方に筐体下部18を臨ませることで、筐体下部18を下方に下げることが出来る。よって、前後方向視において、クロスメンバ16と筐体蓋部19とを重畳させることができる。
【0050】
更に、図5Aを参照して、筐体蓋部19を構成する前後方向中空部材25および幅方向中空部材26を、冷却風を送風するための風路として用いることができる。よって、電池17を冷却するための風路を構成する部材を、簡素化することができる。
【0051】
更に、図5Aを参照して、筐体蓋部19により電池17を吊下固定することで、電池17を固定するための専用部材を不要にでき、電池17を固定するための構成を簡素化することができる。
【0052】
更に、図4Aを参照して、車両10の後部に衝突事故が発生した際に、後端突出部20が衝突物により前方に押され、更に、後端突出部20がクロスメンバ16に当接する。このようにすることで、筐体蓋部19の下方に収納された電池17を衝突が発生した際の衝撃から保護することができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、上記した各形態は相互に組み合わせることができる。
【0054】
例えば、図6Aを参照して、本実施形態では前後方向視において、筐体蓋部19の厚み方向の全てをクロスメンバ16と重畳させることができるが、必ずしも筐体蓋部19の厚み方向の全てが重畳する必要は無い。例えば、筐体蓋部19が部分的にクロスメンバ16の上端から上方にはみ出しても良い。更には、筐体蓋部19が部分的にクロスメンバ16の下端から下方にはみ出しても良い。このような構成であっても、後突が発生した際に、筐体蓋部19がクロスメンバ16により支持され、筐体蓋部19により筐体下部18および電池17を保護することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 車両
11 車体
12 後方シート
13 収納スペース
14 車載電池筐体構造
15 電池筐体
16 クロスメンバ
17 電池
18 筐体下部
181 筐体本体部
182 筐体支持部
19 筐体蓋部
20 後端突出部
21 前端突出部
22 車体フロア
23 車体フロア開口部
25 前後方向中空部材
26 幅方向中空部材
27 パンパビーム
28 ポール
29 接続部材
30 後面パネル
31 フロア凹部
32 ジャンクションボックス
33 コントロールユニット
35 開口部
36 蓋部材
37 挿入部
38 サブトランク
39 電池収納領域
40 区画壁



図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C