(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20241204BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241204BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
G09F9/00 304B
G09F9/00 346D
H05K7/20 B
H04N5/64 541J
(21)【出願番号】P 2021031301
(22)【出願日】2021-03-01
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】木原 正行
【審査官】▲瀬▼戸井 綾菜
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-248689(JP,A)
【文献】特開2008-216508(JP,A)
【文献】特開2019-198016(JP,A)
【文献】国際公開第2020/017210(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0016032(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0196492(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0196496(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G06F 1/20
H05K 7/20
H04N 5/64-5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの背面における端部側に配設された第1回路基板と、
前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側に位置する発熱源を有した第2回路基板と、
前記第1回路基板及び前記第2回路基板が配設された表示パネルの背面上の位置とは異なる位置に配設された放熱板と、
前記表示パネルの背面と前記放熱板の一部の間に設けられた粘着層と、
を備え、
前記表示パネルの背面と前記放熱板の間の前記粘着層の占有率は、前記第2回路基板の方向に向けて小さくなることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記粘着層は、前記第2回路基板側に突起が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記突起の先端は、丸みを帯びていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記粘着層は、粘着テープであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記粘着層は、粘着層本体とドットを有し、
前記ドットは、前記第2回路基板側に向けて
前記ドットの占有率が小さくなるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記粘着層は、印刷物であることを特徴とする請求
項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2回路基板は、前記表示パネルの底面側に配設されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1回路基板は、前記表示パネルの表示を制御するソース基板であり、前記第2回路基板は、前記第1回路基板と前記表示パネルを接続する接続基板であり、前記発熱源は、前記表示パネルを駆動するためのソースドライバであることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルは、有機発光ダイオード素子を用いた有機ELパネルであることを特徴とする請求項1~8いずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、有機ELパネル等の表示パネルを備えた表示装置においては、表示パネルの温度上昇によって表示パネルの特性が変化して、表示装置の表示品質が低下することがある。そのため、特許文献1の表示装置においては、表示パネルの背面にバックカバーが接合されており、バックカバーは、表示パネルの背面の略全域を覆っている。
【0003】
特許文献1の表示装置においては、バックカバーの背面の端部側に表示パネルの表示を制御する第1回路基板が配設されている。表示パネルと第1回路基板との間には、第2回路基板が接続されており、第2回路基板は、表示パネルを駆動するための駆動ICを有している。発熱源である駆動ICは、放熱部材としての支持フレームに熱接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、表示パネルの背面に第1回路基板が接合された状態で、パネルメーカーから表示パネルが納入されることがある。このような場合には、表示装置を組み付ける際に、バックカバーが、表示パネルの背面側における第1回路基板よりも表示パネルの端部側の反対側に位置することになり、発熱源である駆動ICから伝わる第1回路基板周辺の熱を十分に放熱させることができない。その結果、表示パネルにおける端部側とそれ以外の部分との温度差が大きくなり、表示パネルの輝度ムラが目立って、表示装置の表示品質の低下を招くという問題がある。
【0006】
そこで、本開示は上記問題に鑑み、表示パネルの背面に配置されている熱源基板境界近傍の温度勾配の低減を図ることにより、表示パネルの輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る表示装置は、画像を表示する表示パネルと、前記表示パネルの背面における端部側に配設された第1回路基板と、前記第1回路基板よりも前記表示パネルの端部側に位置する発熱源を有した第2回路基板と、前記第1回路基板及び前記第2回路基板が配設された表示パネルの背面上の位置とは異なる位置に配設された放熱板と、前記表示パネルの背面と前記放熱板の一部の間に設けられた粘着層と、を備え、前記表示パネルの背面と前記放熱板の間の前記粘着層の占有率は、前記第2回路基板の方向に向けて小さくなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本開示によれば、表示パネルの背面に配置されている熱源基板境界近傍の温度勾配の低減を図り、表示パネルの輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る表示装置の正面図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1実施形態に係る表示装置に備える粘着層を模式的に示した正面図である。
【
図4】
図4は、
図3におけるB-B線に沿った拡大断面図である。
【
図5】
図5は、
図3におけるC-C線に沿った拡大断面図である。
【
図6】
図6は、参考例の表示装置の表示パネル底面側の表面の温度分布を示した図である。
【
図7】
図7は、本開示の第1実施形態における表示装置の表示パネル底面側の表面の温度分布を示した図である。
【
図8】
図8は、本開示の第1実施形態における表示装置の表示パネル左右中央部の垂直方法断面の温度変化を示した図である。
【
図9】
図9は、粘着層の占有率が変化する近傍を示した図である。
【
図10】
図10は、本開示の第1実施形態に備える粘着層の変形例を模式的に示した正面図である。
【
図11】
図11は、本開示の第2実施形態に備える粘着層を模式的に示した正面図である。
【
図12】
図12は、本開示の第2実施形態における表示装置の表示パネル底面側の表面の温度分布を示した図である。
【
図13】
図13は、本開示の第2実施形態における表示装置の表示パネル底面側の表面の温度分布を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。図面に記載した通り、表示装置10の幅方向の一方側を左側、表示装置10の幅方向の他方側を右側、表示装置10の高さ方向の一方側を上側、表示装置10の高さ方向の他方側を下側と称する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本開示の解決手段として必須であるとは限らない。
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る表示装置10は、表示パネル12、第1回路基板、第2回路基板、放熱板40、及び粘着層50を備える。まず、表示装置10の全体の構成から説明する。
【0012】
図1は、本開示の実施形態1に係る表示装置10の正面図である。
図1に示すように、本開示の実施形態1に係る表示装置10は、例えば、テレビジョン受像機、モニタディスプレイ、又はその他の機器に表示パネルモジュールとして組み込まれる。表示装置10は、画像を表示する矩形の表示パネル12を備えており、表示パネル12は、左右方向に延びている。表示パネル12は、自発光型の表示パネルであり、具体的には、有機発光ダイオード素子を用いた有機ELパネルである。換言すれば、表示装置10は、有機ELパネルを備える表示パネルモジュール(OLEDモジュール)である。有機ELパネルである表示パネル12は、EL基板と、カラーフィルタが形成されたCF基板(ガラス基板)と、EL基板とCF基板との間に配設された樹脂層とを有しているが、これらの要素の詳細な図示及び説明は省略する。
【0013】
表示装置10は、表示パネル12を囲むように保持する矩形枠状のフレーム14を備えており、フレーム14は、例えば、アルミニウム又は鉄等の熱伝導率の高い金属により構成されている。
【0014】
図1に示すように、表示パネル12の背面における端部側に第1回路基板として、表示パネル12の表示を制御するためのソース基板24が配設されている。ソース基板24は、左右方向に延びており、表示パネル12の背面に両面テープ等の固定部材(接合部材)26によって接合されている。ソース基板24は、コンデンサ、抵抗、及びダイオード等の電子部品(不図示)を実装したプリント回路基板である。
【0015】
また、
図1に示すように、表示パネル12の背面側には、第2回路基板として複数のフレキシブル基板28が左右方向に間隔を置いて配設されている。フレキシブル基板28は、
図5に示すように、第1回路基板よりも表示パネル12の端部側に位置する。各フレキシブル基板28は、表示パネル12とソース基板24を接続する接続基板である。各フレキシブル基板28の一端部側には、表示パネル12に接続するための第1接続端子(不図示)が形成されている。各フレキシブル基板28の他端部側には、ソース基板24に接続するための第2接続端子(不図示)が形成されている。各フレキシブル基板28は、表示パネル12を駆動するためのソースドライバ30を有している。各ソースドライバ30は、ソース基板24よりも表示パネル12の底面側(下端部側)に位置しており、表示パネル12を駆動するための駆動信号を表示パネル12に供給する。各ソースドライバ30は、表示装置10の稼働中に発熱源になる。複数のソースドライバ30は、左右方向(幅方向)に間隔を置いて配置されている。発熱源である各ソースドライバ30は、ソース基板24に熱を伝える。
【0016】
表示パネル12の背面と各ソースドライバ30との間には、断熱部材32が設けられている。複数の断熱部材32は、複数のソースドライバ30と同様に、左右方向に間隔を置いて配置されている。各断熱部材32は、例えば、高発泡シリコンフォーム又はポリウレタンフォーム等の多孔質材料により構成されている。
【0017】
ここで、第2回路基板はソースドライバ30を有しているため、それが発熱源となり、ソースドライバ30の熱がソース基板24に伝わり、そして表示パネル12へと伝わる。表示パネル12の背面側に、ソースドライバ30及びソース基板24が設けられていない箇所では、放熱板40より上記熱を放熱する。そうすると、ソースドライバ30及びソース基板24が設けられている箇所の表示パネル12の表面と、放熱板40が設けられている箇所の表示パネル12の表面との間で大きな温度勾配が生じ、輝度ムラが目立つという問題が生じる。そこで、表示パネル12の背面と放熱板40の一部の間に設けられた粘着層50を備え、当該粘着層50の占有率は、第2回路基板の方向に向けて小さくすることで、表示パネル12全体の均熱化を図り、表示パネル12の輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質を高めることができる。以下、第1実施形態に係る表示装置10について詳述する。
【0018】
図2は、本開示の第1実施形態に係る表示装置10に備える粘着層50を模式的に示した正面図である。
図2に示した粘着層50を、
図3-5に示すように表示パネル12の背面と放熱板40の一部に設ける。そして、
図3-5に示すように、表示パネル12の背面と放熱板40の間の粘着層50の占有率は、第2回路基板に配置された方向に向けて小さくなることを特徴とする。
【0019】
図3に示すように、粘着層50の一部がソース基板24付近まで延在している箇所と、延在していない箇所が存在する。また、表示パネル12の背面において、粘着層50の占有率がフレキシブル基板28の方向に向けて小さくなっている。
【0020】
その詳細を断面図で説明する。
図4は、
図3におけるB-B線に沿った拡大断面図である。また、
図5は、
図3におけるC-C線に沿った拡大断面図である。
図4では粘着層50がフレキシブル基板28(第2回路基板)の方向に向けて、ソース基板24(第1回路基板)付近まで延在しているが、
図5では粘着層50がフレキシブル基板28(第2回路基板)の方向に向けて、ソース基板24(第1回路基板)付近まで延在していない。つまり、表示パネル12と放熱板40の間に非粘着層領域Sが存在する。このようにして、表示パネル12の背面と放熱板40の間の粘着層50の占有率は、第2回路基板の方向に向けて小さくなる。
【0021】
粘着層50と放熱板40が設けられている領域では、放熱板40によってソースドライバ30から伝わるソース基板24の熱を放出しやすくなり表示パネル12表面の温度は小さくなるが、粘着層50と放熱板40が設けられていない領域では、放熱板40によって放熱できないので表示パネル12表面の温度は高くなる。よって、放熱板40が設けられている領域と放熱板40が設けられていない領域の表示パネル12表面の温度差は大きくなる。
【0022】
そこで、表示パネル12と放熱板40の間に非粘着層領域Sを設け、粘着層50の占有率を第2回路基板の方向に向けて小さくすることで、放熱板40が設けられている領域でも非粘着層領域Sによって、放熱板40からの放熱を小さくすることができ、放熱板40が設けられている領域と放熱板40が設けられていない領域の表示パネル12表面の温度差を小さくすることができる。このようにして、第1実施形態に係る表示装置10は、効率よく表示パネル12全体の均熱化を図り、表示パネル12の輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質をより高めることができる。
【0023】
図2に示すように、粘着層50は、第2回路基板側に突起51が複数設けられていることが好ましい。このようにすれば、効率よく表示パネル12全体の均熱化を図り、表示パネル12の輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質をより高めることができる。また、
図2に示す突起51の長さLは1cm~10cmが好ましく、さらに好ましくは3cm~7cmである。1cm未満の場合、非粘着層領域Sが小さくなり、表示パネル12全体の均熱化の効果が小さくなる傾向にある。一方、10cmより大きい場合、放熱板40との粘着が弱くなり、十分に放熱板40を表示パネル12に貼り付けることが困難になる傾向にある。
【0024】
また、思想上、粘着層50の厚みを表示パネル12の上下方向で変化させることも考えられるが、厚みを変化させた粘着層50を用意することは製造する上で困難である。そこで、第1実施形態に係る表示装置10によれば、粘着層の占有率を第2回路基板の方向に向けて小さくしているので、表示パネル12の表面の温度勾配を小さくすることができ、なおかつ容易に製造することができる。
【0025】
粘着層50は、粘着テープであることが好ましい。このようにすれば、表示パネル12と放熱板40を容易に取り付けることができる。
【0026】
粘着層50に熱伝導性材料を混入させてもよい。また、粘着層50に混入させた熱伝導性材料の含有量を表示パネル12上面側に多くするようにしてもよい。このようにすれば、放熱板40が設けられている領域内でも、さらに温度勾配を小さくすることができる。
【0027】
なお、粘着層50は、粘着テープに代えて後述する印刷物とすることもできる。係る場合、粘着層50はスクリーン印刷等により形成すればよい。
【0028】
図6は、参考例の表示装置の表示パネル12底面側の表面の温度分布を示した図である。
図6の参考例の表示装置の構成としては、
図2に示すような粘着層50の突起51を有しておらず、
図5に示すような非粘着層領域Sがない。また、
図6の参考例の表示装置の構成としては、
図3におけるB-B線及びC-C線の断面図が、いずれも
図4に示すような構成となっており、粘着層がソース基板24付近まで存在するようになっている。また、
図7は、本開示の第1実施形態における表示装置10の表示パネル12底面側の表面の温度分布を示した図である。
【0029】
図6に示すように、参考例の表示装置では、非粘着層領域Sが無いので、ソースドライバ30から伝わるソース基板24(第1回路基板)の熱を放熱板のエッジ部から急峻に放熱するので、丸で囲んだ部分の表示パネル12底面側の表面の温度勾配が大きいことが分かる。
【0030】
一方、
図7に示すように、本開示の第1実施形態における表示装置10では、ソースドライバ30から伝わるソース基板24(第1回路基板)の熱を緩やかに放熱させることができ、丸で囲んだ部分の表示パネル12底面側の表面の温度勾配が小さいことが分かる。
【0031】
図8は、本開示の第1実施形態における表示装置10の表示パネル12左右中央部の垂直方法断面の温度変化を示した図である。
図9は、粘着層50の占有率が変化する近傍を示した図である。すなわち、
図8において、垂直方向座標-0.35から-0.25mにおける温度分変化を示した図である。実線は第1実施形態に係る表示装置10の表示パネル12の温度変化を示す。一方、点線は、参考例の表示装置の表示パネルの温度変化を示す。
【0032】
図8において、最も温度が高い座標にはソースドライバ30が表示パネル12の背面に位置する。そして、ソースドライバ30から表示パネル12上面側に向けて温度が低くなる。
図8及び
図9から示されるように、参考例の表示装置の表示パネル12では、ソースドライバ30から表示パネル12上面側に向けての温度変化が大きいことが分かる。一方、第1実施形態に係る表示装置10の表示パネル12では、ソースドライバ30から表示パネル12上面側に向けての温度変化が小さいことが分かる。
【0033】
このように、本開示の第1実施形態における表示装置10では、表示パネル12全体の均熱化を図り、表示パネル12の輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質を高めることができる。
【0034】
図10は、本開示の第1実施形態に備える粘着層50の変形例を模式的に示した正面図である。
図10に示すように、粘着層52の突起51の先端は、丸みを帯びていることが好ましい。このようにすれば、表示パネル12と放熱板40が剥離しにくくなり、表示パネル12全体の均熱化を図り、表示パネル12の輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質をより高めることができる。
【0035】
第2回路基板は、表示パネル12の底面側に配設されていてもよい。熱は表示パネル12の上面側に伝わりやすくなるが、表示パネル12の底面側は空気の対流現象が発達していないため、熱移動は熱伝導によるものが支配的であり、係る場合でも、粘着層52と非粘着層領域Sの比率が徐々に変化するので、熱伝導率も徐々に変化して表示パネル12全体の均熱化を図り、表示パネル12の輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質を高めることができる。
【0036】
以上のように、本開示の第1実施形態における表示装置10では、表示パネル12全体の均熱化を図り、表示パネル12の輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質を高めることができる。
【0037】
[第2実施形態]
次に第2実施形態を説明する。
図11は、本開示の第2実施形態に備える粘着層53を模式的に示した正面図である。
図11に示すように、粘着層53は、粘着層本体54とドット55を有し、ドット55は第2回路基板側に向けて小さくなるように設けられている。第2実施形態は、粘着層53にドット55を有することが特徴である。本開示の第2実施形態に備える粘着層53の占有率も、第2実施形態に備える粘着層53と同様に第2回路基板の方向に向けて小さくなる。なお、粘着層本体54は矩形をしている。
【0038】
このようにすれば、表示パネル12の背面と放熱板40の間の粘着層53の占有率が第2回路基板の方向に向けて徐々に小さくでき、表示パネル12全体の均熱化を図り、表示パネル12の輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質をより高めることができる。
【0039】
上記粘着層53は、印刷物であることが好ましい。ドット55形状は1つの点同士がはなれているので、このようにすれば粘着層53を容易に形成することができる。
【0040】
図12は、本開示の第2実施形態における表示装置の表示パネル底面側の表面の温度分布を示した図である。本開示の第2実施形態における表示装置では、ソースドライバから伝わるソース基板(第1回路基板)の熱を緩やかに放熱させることができ、表示パネル底面側の表面の温度勾配が小さいことが分かる。
【0041】
また、
図13は、本開示の第2実施形態における表示装置の表示パネル底面側の表面の温度分布を示した図である。
図13から示されるように、第2実施形態に係る表示装置の表示パネルでは、ソースドライバから表示パネル上面側に向けての温度変化が参考例の表示装置の表示パネルのものより小さいことが分かる。
【0042】
以上のように、本開示の第2実施形態における表示装置では、表示パネルの背面に配置されている熱源基板境界近傍の温度勾配の低減を図り、表示パネルの輝度ムラを目立たなくして、表示装置の表示品質を高めることができる。
【0043】
なお、上記のように本開示の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本開示の範囲に含まれるものとする。
【0044】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、表示装置の構成、動作も本開示の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 表示装置、12 表示パネル、14 フレーム、24 ソース基板(第1回路基板)、26 固定部材、28 フレキシブル基板(第2回路基板)、30 ソースドライバ(発熱源)、32 断熱部材、40 放熱板、50、52、53 粘着層、51 突起、54 粘着層本体、55 ドット、L 突起の長さ、S 非粘着層領域