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特許7598271蓄電池制御装置、蓄電システム、及び蓄電池制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】蓄電池制御装置、蓄電システム、及び蓄電池制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241204BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241204BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/02 J
H01M10/44 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021041766
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022141451
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】大野 ちひろ
(72)【発明者】
【氏名】荘田 隆博
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-1006(JP,A)
【文献】特開2022-1007(JP,A)
【文献】特開2020-22342(JP,A)
【文献】特開2020-171164(JP,A)
【文献】特開2020-171165(JP,A)
【文献】特開2000-354333(JP,A)
【文献】特開2013-31249(JP,A)
【文献】特開2013-31247(JP,A)
【文献】特開2010-232104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電システムを制御する蓄電池制御装置であって、
前記蓄電システムは、
直列に接続され、各々、電流制限値が設定される複数の蓄電池と、
各々、前記蓄電池をバイパスすることにより、当該蓄電池を遮断する複数のバイパス回路と
を備え、
前記蓄電池制御装置は、前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の入力電力又は出力電力が、全ての前記蓄電池を前記バイパス回路により遮断せずに接続する場合に比して大きくなるように、前記バイパス回路による前記蓄電池の遮断及び接続を制御する蓄電池制御装置。
【請求項2】
前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の前記入力電力又は前記出力電力が、最大となるように、前記バイパス回路による前記蓄電池の遮断及び接続を制御する請求項1に記載の蓄電池制御装置。
【請求項3】
前記蓄電池制御装置は、前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の入力電流又は出力電流を、前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池に設定される前記電流制限値の中の最小値以下に制御する請求項1又は2に記載の蓄電池制御装置。
【請求項4】
前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の前記入力電力又は前記出力電力は、前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池に設定される前記電流制限値の中の最小値と、前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の電圧の総和との積である請求項3に記載の蓄電池制御装置。
【請求項5】
他の前記蓄電池に比して前記電流制限値が相対的に小さい前記蓄電池を優先的に前記バイパス回路により遮断することにより、前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の入力電力又は出力電力が、全ての前記蓄電池を前記バイパス回路により遮断せずに接続する場合に比して大きくなることを実現する請求項3又は4に記載の蓄電池制御装置。
【請求項6】
直列に接続された複数の蓄電池と、
各々、前記蓄電池をバイパスすることにより、当該蓄電池を遮断する複数のバイパス回路と、
前記バイパス回路を制御し、前記蓄電池に電流制限値を設定する蓄電池制御装置と
を備え、
前記蓄電池制御装置は、前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の入力電力又は出力電力が、全ての前記蓄電池を前記バイパス回路により遮断せずに接続する場合に比して大きくなるように、前記バイパス回路による前記蓄電池の遮断及び接続を制御する蓄電システム。
【請求項7】
蓄電システムを制御する蓄電池制御装置を用いて行う蓄電池制御方法であって、
前記蓄電システムは、
直列に接続され、各々、電流制限値が設定される複数の蓄電池と、
各々、前記蓄電池をバイパスすることにより、当該蓄電池を遮断する複数のバイパス回路と
を備え、
前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の入力電力又は出力電力が、全ての前記蓄電池を前記バイパス回路により遮断せずに接続する場合に比して大きくなるように、前記バイパス回路による前記蓄電池の遮断及び接続を制御する蓄電池制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池制御装置、蓄電システム、及び蓄電池制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のバッテリが直列に接続されたバッテリ装置の充放電を制御するシステムとして、各バッテリの状態に基づいて充放電を避けるバッテリを選択し、その充放電を避けるバッテリをバイパスして他のバッテリから充放電させるものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-31247号公報
【文献】特開2013-31249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記システムにおいて、複数のバッテリ(以下、蓄電池という)を充電していく場合、全ての蓄電池を直列に接続した状態で充電し、満充電になった蓄電池からバイパスされていくことが想定される。しかしながら、複数の蓄電池の劣化状態に差異があること等を理由として、複数の蓄電池の充電状態に差異がある場合、複数の蓄電池にその充電状態等に応じて設定される電流制限値にも差異が生じ、複数の蓄電池に設定される電流制限値の中の最小値の電流により複数の蓄電池の充電が行われる。ここで、充電時の電流制限値は、蓄電池が満充電に近づくほど小さく設定され、蓄電池が全放電に近づくほど大きく設定される。このため、全ての蓄電池を直列に接続した状態で充電していく場合、最大の充電電力での充電が実行されず、充電効率が低くなる場合がある。
【0005】
上記システムにおいて、複数の蓄電池を放電していく場合、全ての蓄電池を直列に接続した状態で放電し、全放電になった蓄電池からバイパスされていくことが想定される。しかしながら、複数の蓄電池の劣化状態に差異があること等を理由として、複数の蓄電池の充電状態に差異がある場合、複数の蓄電池に設定される電流制限値にも差異が生じ、複数の蓄電池に設定される電流制限値の中の最小値の電流により複数の蓄電池の放電が行われる。ここで、放電時の電流制限値は、蓄電池が満充電に近づくほど大きく設定され、蓄電池が全放電に近づくほど小さく設定される。このため、全ての蓄電池を直列に接続した状態で放電していく場合、最大放電電力での放電が実行されず、高出力が得られない場合がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、複数の蓄電池が直列に接続された蓄電システムにおいてより大きな入出力を実現することができる蓄電池制御装置、蓄電システム、及び蓄電池制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蓄電池制御装置は、蓄電システムを制御する蓄電池制御装置であって、前記蓄電システムは、直列に接続され、各々、電流制限値が設定される複数の蓄電池と、各々、前記蓄電池をバイパスすることにより、当該蓄電池を遮断する複数のバイパス回路とを備え、前記蓄電池制御装置は、前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の入力電力又は出力電力が、全ての前記蓄電池を前記バイパス回路により遮断せずに接続する場合に比して大きくなるように、前記バイパス回路による前記蓄電池の遮断及び接続を制御する。
【0008】
また、本発明の蓄電システムは、直列に接続された複数の蓄電池と、各々、前記蓄電池をバイパスすることにより、当該蓄電池を遮断する複数のバイパス回路と、前記バイパス回路を制御し、前記蓄電池に電流制限値を設定する蓄電池制御装置とを備え、前記蓄電池制御装置は、前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の入力電力又は出力電力が、全ての前記蓄電池を前記バイパス回路により遮断せずに接続する場合に比して大きくなるように、前記バイパス回路による前記蓄電池の遮断及び接続を制御する。
【0009】
また、本発明の蓄電池制御方法は、蓄電システムを制御する蓄電池制御装置を用いて行う蓄電池制御方法であって、前記蓄電システムは、直列に接続され、各々、電流制限値が設定される複数の蓄電池と、各々、前記蓄電池をバイパスすることにより、当該蓄電池を遮断する複数のバイパス回路とを備え、前記バイパス回路により遮断せずに接続する前記蓄電池の入力電力又は出力電力が、全ての前記蓄電池を前記バイパス回路により遮断せずに接続する場合に比して大きくなるように、前記バイパス回路による前記蓄電池の遮断及び接続を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バイパス回路により遮断されずに接続される蓄電池の入力電力又は出力電力が、全ての蓄電池がバイパス回路により遮断されずに接続される場合に比して大きくなるように、接続される蓄電池が選択されるので、複数の蓄電池が直列に接続された蓄電システムにおいてより大きな入出力を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電池制御装置を備える蓄電システムの概略を示す図である。
図2図2は、図1に示す蓄電池制御装置による充電制御について説明するためのフローチャートである。
図3図3は、図1に示す蓄電池制御装置による放電制御について説明するためのフローチャートである。
図4図4は、図1に示す蓄電池制御装置による充電制御の変形例について説明するためのフローチャートである。
図5図5は、図1に示す蓄電池制御装置による放電制御の変形例について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電池制御装置100を備える蓄電システム1の概略を示す図である。この図に示すように、蓄電システム1は、複数の蓄電池セルC1~Cnと、複数のバイパス回路B1~Bnと、蓄電池制御装置100とを備える。複数の蓄電池セルC1~Cnは、直列に接続された車載用あるいは定置用の電源系統10を構成する。特に限定するわけではないが、本実施形態の蓄電池セルC1~Cnは、中古電池を再生したものであり、各蓄電池セルC1~Cnの劣化度に差がある。蓄電池セルC1~Cnは、例えば、リチウムイオンバッテリ、リチウムイオンキャパシタ等の二次電池であり、外部系統ESから電力を供給されて充電され、充電された電力を放電して外部系統ESに電力を供給する。
【0014】
蓄電システム1は、複数の電圧測定部12と、電流測定部13と、電池温度測定部14と、電流制限部15とを備える。電圧測定部12は、各蓄電池セルC1~Cnの正負極端子間に接続されている。この電圧測定部12は、各蓄電池セルC1~Cnの端子間の電圧Vを測定する。
【0015】
電流測定部13は、電源系統10の電流経路に設けられている。この電流測定部13は、電源系統10の充放電電流を測定する。また、電源系統10には、電池温度測定部14が設けられている。この電池温度測定部14は、電源系統10の温度Tを測定する。また、電流制限部15は、後述の電流制御部104から制御信号に応じて電源系統10の入出力電流を制限する。
【0016】
各バイパス回路B1~Bnは、蓄電池セルC1~Cn毎に設けられている。バイパス回路B1~Bnは、バイパス線BLと、スイッチS1,S2とを備える。バイパス線BLは、各蓄電池セルC1~Cnをバイパスする電力線である。スイッチS1は、バイパス線BLに設けられている。このスイッチS1は、例えば機械的スイッチである。スイッチS2は、各蓄電池セルC1~Cnの正極とバイパス線BLの一端との間に設けられている。このスイッチS2は、例えば半導体スイッチである。
【0017】
始端の蓄電池セルC1と終端の蓄電池セルCnとは外部系統ESに接続されている。全てのバイパス回路B1~BnにおいてスイッチS1がオープンになりスイッチS2がクローズになった場合に、全ての蓄電池セルC1~Cnと外部系統ESとの間での充放電が可能になる。他方で、何れかのバイパス回路B1~BnにおいてスイッチS2がオープンになり、スイッチS1がクローズになった場合に、当該バイパス回路B1~Bnに対応する蓄電池セルC1~Cnがバイパスされる。
【0018】
蓄電池制御装置100は、各蓄電池セルC1~Cnと各バイパス回路B1~Bnとに接続され、各蓄電池セルC1~Cnの監視及び制御と各バイパス回路B1~Bnの切り替え制御とを実行する。本実施形態の蓄電池制御装置100は、各蓄電池セルC1~Cnの電圧Vと充電電流制限値Ic及び放電電流制限値Idとに基づいて、各バイパス回路B1~Bnを切り替える。
【0019】
蓄電池制御装置100は、測定値取得部101と、電流制限値算出部102と、記憶部103と、電流制御部104と、バイパス制御部105とを備える。
【0020】
測定値取得部101は、電圧測定部12と電流測定部13と電池温度測定部14とに接続されている。この測定値取得部101は、電圧測定部12と電流測定部13と電池温度測定部14とから測定値を取得して記憶部103に記憶させる。
【0021】
電流制限値算出部102は、測定値取得部101が取得した測定値に基づいて各蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Ic及び放電電流制限値Idを算出する。充電電流制限値Icは、各蓄電池セルC1~Cnの劣化を抑えたり、損傷を防止したりする観点から設定される充電電流の上限値である。また、放電電流制限値Idは、同様の観点から設定される放電電流の上限値である。充電電流制限値Icは、各蓄電池セルC1~Cnが満充電に近いほど小さい値に設定され、各蓄電池セルC1~Cnが全放電に近いほど大きい値に設定される。他方で、放電電流制限値Idは、各蓄電池セルC1~Cnが全放電に近いほど小さい値に設定され、各蓄電池セルC1~Cnが満充電に近いほど大きい値に設定される。
【0022】
電流制限値算出部102は、従来から公知の種々の方法により、各蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Ic及び放電電流制限値Idを算出する。充電電流制限値Icの算出方法としては、下記(1)式に基づいて算出する方法を例示でき、放電電流制限値Idの算出方法としては、下記(2)式に基づいて算出する方法を例示できる。
OCV+r・Ic=VCE …(1)
OCV-r・Id=VDE …(2)
【0023】
OCVは、各蓄電池セルC1~Cnの開回路電圧であり、電流制限値算出部102が、各蓄電池セルC1~Cnの電圧V、電流値I、温度T等に基づいて従来公知の種々の方法により算出する値である。また、rは、各蓄電池セルC1~Cnの内部抵抗であり、電流制限値算出部102が、各蓄電池セルC1~Cnの電圧V、電流値I、温度T等に基づいて従来公知の種々の方法により算出する値である。さらに、VCEは、各蓄電池セルC1~Cnの充電終止電圧であり、VDEは、放電終止電圧である。
【0024】
電流制限値算出部102は、現在の開回路電圧OCVと内部抵抗rとを算出し、算出した値に応じた充電電流制限値Ic、放電電流制限値Idを、上記(1),(2)式に基づいて算出する。なお、充電電流制限値Ic及び放電電流制限値Idは、Cレートで規定してもよい。また、予め、SOC(State of Charge)と充電電流制限値Icとの相関関係を規定するテーブルやSOCと放電電流制限値Idとの相関関係を規定するテーブルを作成して記憶部103に記憶させておき、現在のSOCに対応する充電電流制限値Icや放電電流制限値Idをテーブルから導出するようにしてもよい。
【0025】
ここで、複数の蓄電池セルC1~CnのSOCやSOH(State of Health)や内部抵抗、温度等に差異がある場合には、複数の蓄電池セルC1~Cnの開回路電圧OCVに差異が生じ、複数の蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Icや放電電流制限値Idに差異が生じる。複数の蓄電池セルC1~Cnの何れに対しても、充電電流制限値Icを超える充電電流を入力させたり放電電流制限値Idを超える放電電流を出力させたりすることはできない。そのため、電流制御部104は、バイパス回路B1~Bnにより遮断されずに接続される蓄電池セルC1~Cnの充電電流を、当該蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Icとして電流制限値算出部102により算出された値の中の最小値以下に制御する。また、電流制御部104は、バイパス回路B1~Bnにより遮断されずに接続される蓄電池セルC1~Cnの放電電流を、当該蓄電池セルC1~Cnの放電電流制限値Idとして電流制限値算出部102により算出された値の中の最小値以下に制御する。
【0026】
ここで、バイパス回路B1~Bnにより遮断する蓄電池セルC1~Cnとバイパス回路B1~Bnにより遮断せずに接続する蓄電池セルC1~Cnとの組み合わせは多数存在する。バイパス制御部105は、遮断する蓄電池セルC1~Cnと遮断せずに接続する蓄電池セルC1~Cnとの多数の組み合わせについて、充電電力制限値Pcと放電電力制限値Pdとを算出する。充電電力制限値Pcは、接続する蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Icの中の最小値と、接続する蓄電池セルC1~Cnの電圧Vの総和との積である。また、放電電力制限値Pdは、接続する蓄電池セルC1~Cnの放電電流制限値Idの中の最小値と、接続する蓄電池セルC1~Cnの電圧Vの総和との積である。
【0027】
例えば、3個の蓄電池セルC1~C3が直列に接続されている場合において、蓄電池セルC1,C2,C3の電圧Vが、それぞれ3V,3V,4Vであり、蓄電池セルC1,C2,C3の充電電流制限値Icが、それぞれ10A,10A,1Aであったと仮定する。この場合、全ての蓄電池セルC1~C3を接続すると、充電電力制限値Pcは、蓄電池セルC1~C3の充電電流制限値Icの最小値(1A)と蓄電池セルC1~C3の電圧Vの総和(10V)との積(10W)となる。それに対して、バイパス回路B3により蓄電池セルC3を遮断し、蓄電池セルC1,C2を接続すると、充電電力制限値Pcは、蓄電池セルC1,C2の充電電流制限値Icの最小値(10A)と蓄電池セルC1,C2の電圧Vの総和(6V)との積(60W)となる。即ち、充電電流制限値Icが最小の蓄電池セルC3を遮断する場合の充電電力制限値Pcは、全ての蓄電池セルC1~C3を接続する場合の充電電力制限値Pcよりも大きくなる。なお、放電電力制限値Pdについても同様である。
【0028】
そこで、バイパス制御部105は、電源系統10の充電時には、上記の多数の蓄電池セルC1~Cnの組み合わせについて、充電電力制限値Pcを算出し、算出した充電電力制限値Pcが最大となる組み合わせを選択し、選択した組み合わせの蓄電池セルC1~Cnが接続されるように、バイパス回路B1~Bnによる蓄電池セルC1~Cnの遮断及び接続を制御する。また、バイパス制御部105は、電源系統10の放電時には、上記の多数の蓄電池セルC1~Cnの組み合わせについて、放電電力制限値Pdを算出し、算出した放電電力制限値Pdが最大となる組み合わせを選択し、選択した組み合わせの蓄電池セルC1~Cnが接続されるように、バイパス回路B1~Bnによる蓄電池セルC1~Cnの遮断及び接続を制御する。
【0029】
ここで、接続する蓄電池セルC1~Cnの選択に際して、充電電力制限値Pcが最大となる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択することは必須ではなく、全ての蓄電池セルC1~Cnを接続する場合に比して充電電力制限値Pcが大きくなる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択すればよい。例えば、充電電力制限値Pcが最大となる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせに劣化の度合いが大きい蓄電池セルCxが含まれているような場合には、当該蓄電池セルCxを除外して、当該組み合わせに次いで充電電力制限値Pcが大きくなる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択すること等も可能である。
【0030】
また、接続する蓄電池セルC1~Cnの選択に際して、放電電力制限値Pdが最大となる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択することは必須ではなく、全ての蓄電池セルC1~Cnを接続する場合に比して放電電力制限値Pdが大きくなる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択すればよい。例えば、放電電力制限値Pdが最大となる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせに劣化の度合いが大きい蓄電池セルCyが含まれているような場合には、当該蓄電池セルCyを除外して、当該組み合わせに次いで放電電力制限値Pdが大きくなる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択すること等も可能である。
【0031】
図2は、図1に示す蓄電池制御装置100による充電制御について説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、蓄電システム1が充電モードに設定されると開始されてステップ1に移行する。
【0032】
ステップ1において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS1,S2をOFFにする。次に、ステップ2において、電流制限値算出部102は、全ての蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Icを算出する。
【0033】
次に、ステップ3において、バイパス制御部105は、電流制限値算出部102により算出された全ての蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Icと、電圧測定部12により測定された全ての蓄電池セルC1~Cnの電圧Vとに基づいて、上記の多数の蓄電池セルC1~Cnの組み合わせについての充電電力制限値Pcを算出する。次に、ステップ4において、バイパス制御部105は、多数の蓄電池セルC1~Cnの組み合わせの中から充電電力制限値Pcが最大となる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択する。
【0034】
次に、ステップ5において、バイパス制御部105は、選択した蓄電池セルC1~Cnの中に除外すべき蓄電池セルC1~Cnが含まれているか否かを判定する。除外すべき蓄電池セルC1~Cnが含まれている場合にはステップ6に移行し、除外すべき蓄電池セルC1~Cnが含まれていない場合にはステップ7に移行する。
【0035】
ステップ6において、バイパス制御部105は、選択されている蓄電池セルC1~Cnの組み合わせに次いで充電電力制限値Pcが大きい蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択する。ステップ6からステップ5に移行する。
【0036】
ステップ7において、バイパス制御部105は、選択されている蓄電池セルC1~Cnが接続され、選択されていない蓄電池セルC1~Cnが遮断されるように、バイパス回路B1~Bnを制御する。次に、ステップ8において、電流制御部104は、接続されている蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Icの中の最小値以下の電流を、接続されている蓄電池セルC1~Cnに入力する。
【0037】
次に、ステップ9において、バイパス制御部105は、全ての蓄電池セルC1~Cnの中で充電終止電圧CCVに達した(充電が完了した)蓄電池セルC1~Cnが存在するか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップ10に移行し、本ステップにおいて否定判定がされた場合にはステップ2に移行する。
【0038】
ステップ10において、バイパス制御部105は、全ての蓄電池セルC1~Cnの電圧Vが充電終止電圧CCVに達したか(充電が完了したか)否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップ12に移行し、本ステップにおいて否定判定がされた場合にはステップ11に移行する。
【0039】
ステップ11において、バイパス制御部105は、充電が完了した蓄電池セルC1~Cnが遮断されるように対応するバイパス回路B1~Bnを制御する。ステップ11からステップ2に移行する。
【0040】
一方、ステップ12において、電流制御部104は、充電を停止する。次に、ステップ13において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS1,S2をOFFにする。次に、ステップ14において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS2をONにする。以上で、図2に示す処理を終了する。
【0041】
ここで、例えば、外部系統ESが太陽光発電システムを備え、この太陽光発電システムにより発電された電力を蓄電池セルC1~Cnに充電していく場合、日中の充電量を増やす必要がある。このような場合には、充電電力制限値Pcを可能な限り大きくして充電の効率を向上させる必要がある。そこで、本実施形態の蓄電システム1では、バイパス回路B1~Bnにより遮断されずに接続される複数の蓄電池セルC1~Cnの充電電力制限値Pcが、全ての蓄電池セルC1~Cnがバイパス回路B1~Bnにより遮断されずに接続される場合に比して大きくなるように、接続される蓄電池セルC1~Cnの組み合わせが選択される。従って、蓄電システム1における充電電力制限値Pcを可能な限り大きくすることができ、蓄電システム1における単位時間当たりの充電量がより高い高効率な充電を実現することができる。
【0042】
特に、本実施形態の蓄電システム1では、例えば劣化の進行が著しい等の理由から電源系統10から遮断すべき蓄電池セルC1~Cnが存在する場合を除いて、電源系統10の充電電力制限値Pcが最大となるように、バイパス回路B1~Bnにより遮断せずに接続する蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択する。これによって、蓄電システム1における充電電力制限値Pcを最大限大きくすることができ、蓄電システム1における充電の効率を最大限向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態の蓄電システム1では、バイパス回路B1~Bnにより遮断せずに接続する蓄電池セルC1~Cnの充電電力制限値Pcが、接続する蓄電池セルC1~Cnに設定される充電電流制限値Icの中の最小値と、接続する蓄電池セルC1~Cnの電圧Vの総和との積である。ここで、各蓄電池セルC1~Cnの電圧Vが高いほど各蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Icが低くなる傾向がある。そのため、各蓄電池セルC1~Cnの電圧Vにのみ基づいて、接続する蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択する場合、充電電力制限値Pcが小さくなる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択する場合がある。それに対して、本実施形態の蓄電システム1では、各蓄電池セルC1~Cnの電圧Vの総和と充電電流制限値Icとの積である充電電力制限値Pcに基づいて、接続する蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択するので、充電電力制限値Pcが最大となるような組み合わせを選択することが可能である。
【0044】
図3は、図1に示す蓄電池制御装置100による放電制御について説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、蓄電システム1が放電モードに設定されると開始されてステップ101に移行する。
【0045】
ステップ101において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS1,S2をOFFにする。次に、ステップ102において、電流制限値算出部102は、全ての蓄電池セルC1~Cnの放電電流制限値Idを算出する。
【0046】
次に、ステップ103において、バイパス制御部105は、電流制限値算出部102により算出された全ての蓄電池セルC1~Cnの放電電流制限値Idと、電圧測定部12により測定された全ての蓄電池セルC1~Cnの電圧Vとに基づいて、上記の多数の蓄電池セルC1~Cnの組み合わせについての放電電力制限値Pdを算出する。次に、ステップ104において、バイパス制御部105は、多数の蓄電池セルC1~Cnの組み合わせの中から放電電力制限値Pdが最大となる蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択する。
【0047】
次に、ステップ105において、バイパス制御部105は、選択した蓄電池セルC1~Cnの中に除外すべき蓄電池セルC1~Cnが含まれているか否かを判定する。除外すべき蓄電池セルC1~Cnが含まれている場合にはステップ106に移行し、除外すべき蓄電池セルC1~Cnが含まれていない場合にはステップ107に移行する。
【0048】
ステップ106において、バイパス制御部105は、選択されている蓄電池セルC1~Cnの組み合わせに次いで放電電力制限値Pdが大きい蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択する。ステップ106からステップ105に移行する。
【0049】
ステップ107において、バイパス制御部105は、選択されている蓄電池セルC1~Cnが接続され、選択されていない蓄電池セルC1~Cnが遮断されるように、バイパス回路B1~Bnを制御する。次に、ステップ108において、電流制御部104は、接続されている蓄電池セルC1~Cnの放電電流制限値Idの中の最小値以下の電流を、接続されている蓄電池セルC1~Cnから出力する。
【0050】
次に、ステップ109において、バイパス制御部105は、全ての蓄電池セルC1~Cnの中で放電終止電圧に達した(放電が完了した)蓄電池セルC1~Cnが存在するか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップ110に移行し、本ステップにおいて否定判定がされた場合にはステップ102に移行する。
【0051】
ステップ110において、バイパス制御部105は、全ての蓄電池セルC1~Cnの電圧Vが放電終止電圧に達したか(放電が完了したか)否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップ112に移行し、本ステップにおいて否定判定がされた場合にはステップ111に移行する。
【0052】
ステップ111において、バイパス制御部105は、放電が完了した蓄電池セルC1~Cnが遮断されるように対応するバイパス回路B1~Bnを制御する。ステップ111からステップ102に移行する。
【0053】
一方、ステップ112において、電流制御部104は、放電を停止する。次に、ステップ113において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS1,S2をOFFにする。次に、ステップ114において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS2をONにする。以上で、図3に示す処理を終了する。
【0054】
ここで、例えば、電動車において、蓄電システム1に接続された外部系統ES(負荷)の要求出力が、蓄電システム1の放電電力制限値Pdより高い場合には、出力制限モードに設定される。このような場合には、放電電力制限値Pdを可能な限り大きくして放電時の出力をより大きくする必要がある。そこで、本実施形態の蓄電システム1では、バイパス回路B1~Bnにより遮断されずに接続される複数の蓄電池セルC1~Cnの放電電力制限値Pdが、全ての蓄電池セルC1~Cnがバイパス回路B1~Bnにより遮断されずに接続される場合に比して大きくなるように、接続される蓄電池セルC1~Cnの組み合わせが選択される。従って、蓄電システム1における放電電力制限値Pdを可能な限り大きくすることができ、蓄電システム1における単位時間当たりの放電量が大きい高出力運転を実現することができる。
【0055】
特に、本実施形態の蓄電システム1では、例えば劣化の進行が著しい等の理由から電源系統10から遮断すべき蓄電池セルC1~Cnが存在する場合を除いて、電源系統10の放電電力制限値Pdが最大となるように、バイパス回路B1~Bnにより遮断せずに接続する蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択する。これによって、蓄電システム1における放電電力制限値Pdを最大限大きくすることができ、蓄電システム1における放電時の出力を最大限大きくすることができる。
【0056】
また、本実施形態の蓄電システム1では、バイパス回路B1~Bnにより遮断せずに接続する蓄電池セルC1~Cnの放電電力制限値Pdが、接続する蓄電池セルC1~Cnに設定される放電電流制限値Idの中の最小値と、接続する蓄電池セルC1~Cnの電圧Vの総和との積である。ここで、各蓄電池セルC1~Cnの電圧Vが低いほど各蓄電池セルC1~Cnの放電電流制限値Idが低くなる傾向がある。そのため、各蓄電池セルC1~Cnの電圧Vにのみ基づいて、接続する蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択する場合、放電電力制限値Pdが小さい組み合わせを選択する場合がある。それに対して、本実施形態の蓄電システム1では、各蓄電池セルC1~Cnの電圧Vの総和と放電電流制限値Idとの積である放電電力制限値Pdに基づいて、接続する蓄電池セルC1~Cnの組み合わせを選択するので、放電電力制限値Pdが最大となるような組み合わせを選択することが可能である。
【0057】
図4は、図1に示す蓄電池制御装置100による充電制御の変形例について説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、蓄電システム1が充電モードに設定されると開始されてステップ201に移行する。
【0058】
ステップ201において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS1,S2をOFFにする。次に、ステップ202において、電流制限値算出部102は、全ての蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Icを算出する。
【0059】
次に、ステップ203において、バイパス制御部105は、複数の蓄電池セルC1~Cnの中から充電電流制限値Icが最小となる蓄電池セルCminを除外し、それ以外の蓄電池セルC1~Cnを選択する。ステップ203からステップ204に移行する。
【0060】
ステップ204において、バイパス制御部105は、選択されている蓄電池セルC1~Cnが接続され、充電電流制限値Icが最小の蓄電池セルCminが遮断されるように、バイパス回路B1~Bnを制御する。次に、ステップ205において、電流制御部104は、接続されている蓄電池セルC1~Cnの充電電流制限値Icの中の最小値以下の電流を、接続されている蓄電池セルC1~Cnに入力する。
【0061】
次に、ステップ206において、バイパス制御部105は、全ての蓄電池セルC1~Cnの中で充電終止電圧CCVに達した(充電が完了した)蓄電池セルC1~Cnが存在するか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップ207に移行し、本ステップにおいて否定判定がされた場合にはステップ202に移行する。
【0062】
ステップ207において、バイパス制御部105は、全ての蓄電池セルC1~Cnの電圧Vが充電終止電圧CCVに達したか(充電が完了したか)否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップ209に移行し、本ステップにおいて否定判定がされた場合にはステップ208に移行する。
【0063】
ステップ208において、バイパス制御部105は、充電が完了した蓄電池セルC1~Cnが遮断されるように対応するバイパス回路B1~Bnを制御する。ステップ208からステップ202に移行する。
【0064】
一方、ステップ209において、電流制御部104は、充電を停止する。次に、ステップ210において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS1,S2をOFFにする。次に、ステップ211において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS2をONにする。以上で、図4に示す処理を終了する。
【0065】
以上説明したように、この変形例の充電制御では、複数の蓄電池セルC1~Cnの中で充電電流制限値Icが最小の蓄電池セルCminをバイパスし、それ以外の蓄電池セルC1~Cnを直列接続する。これにより、全ての蓄電池セルC1~Cnを直列接続する場合に比して、蓄電システム1における充電電力制限値Pcを大きくすることを実現できる。
【0066】
図5は、図1に示す蓄電池制御装置100による放電制御の変形例について説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、蓄電システム1が放電モードに設定されると開始されてステップ301に移行する。
【0067】
ステップ301において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS1,S2をOFFにする。次に、ステップ302において、電流制限値算出部102は、全ての蓄電池セルC1~Cnの放電電流制限値Idを算出する。
【0068】
次に、ステップ303において、バイパス制御部105は、複数の蓄電池セルC1~Cnの中から放電電流制限値Idが最小となる蓄電池セルCminを除外し、それ以外の蓄電池セルC1~Cnを選択する。ステップ303からステップ304に移行する。
【0069】
ステップ304において、バイパス制御部105は、選択されている蓄電池セルC1~Cnが接続され、放電電流制限値Idが最小の蓄電池セルCminが遮断されるように、バイパス回路B1~Bnを制御する。次に、ステップ305において、電流制御部104は、接続されている蓄電池セルC1~Cnの放電電流制限値Idの中の最小値以下の電流を、接続されている蓄電池セルC1~Cnから出力する。
【0070】
次に、ステップ306において、バイパス制御部105は、全ての蓄電池セルC1~Cnの中で放電終止電圧に達した(放電が完了した)蓄電池セルC1~Cnが存在するか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップ307に移行し、本ステップにおいて否定判定がされた場合にはステップ302に移行する。
【0071】
ステップ307において、バイパス制御部105は、全ての蓄電池セルC1~Cnの電圧Vが放電終止電圧に達したか(放電が完了したか)否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定がされた場合にはステップ309に移行し、本ステップにおいて否定判定がされた場合にはステップ308に移行する。
【0072】
ステップ308において、バイパス制御部105は、放電が完了した蓄電池セルC1~Cnが遮断されるように対応するバイパス回路B1~Bnを制御する。ステップ308からステップ302に移行する。
【0073】
一方、ステップ309において、電流制御部104は、放電を停止する。次に、ステップ310において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS1,S2をOFFにする。次に、ステップ311において、バイパス制御部105は、全てのバイパス回路B1~BnのスイッチS2をONにする。以上で、図5に示す処理を終了する。
【0074】
以上説明したように、この変形例の放電制御では、複数の蓄電池セルC1~Cnの中で放電電流制限値Idが最小の蓄電池セルCminをバイパスし、それ以外の蓄電池セルC1~Cnを直列接続する。これにより、全ての蓄電池セルC1~Cnを直列接続する場合に比して、蓄電システム1における充放電電力を大きくすることを実現できる。
【0075】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0076】
例えば、上記実施形態では、バイパス機能を有する単一の電源系統10を備える蓄電システム1を例に挙げて本発明を説明したが、本発明は、バイパス機能を有する複数の電源系統10を備える蓄電システムにも適用可能である。
【0077】
また、上記実施形態では、放電時に放電電流を放電電流制限値Idの最小値以下に制御したが、必須ではない。例えば、負荷が軽くなるのに伴って自然に放電電流が小さくなるようにし、モータ等の負荷が正しく制御されない場合や短絡等により放電電流制限値を超える放電電流が流れてしまった場合には、放電電流を放電電流制限値Idの最小値以下に制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 :蓄電システム
100 :蓄電池制御装置
B1~Bn :バイパス回路
C1~Cn :蓄電池セル
Cmin :蓄電池セル
Ic :充電電流制限値(電流制限値)
Id :放電電流制限値(電流制限値)
Pc :充電電力(入力電力)
Pd :放電電力(出力電力)
V :電圧
図1
図2
図3
図4
図5