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特許7598280運用支援装置、運用支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-03
(45)【発行日】2024-12-11
(54)【発明の名称】運用支援装置、運用支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
G05B23/02 X
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021057240
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154289
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宗平 博史
(72)【発明者】
【氏名】福本 哲也
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-152430(JP,A)
【文献】特開2012-099063(JP,A)
【文献】特開2006-185120(JP,A)
【文献】特開2007-219987(JP,A)
【文献】特開2006-011527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 -23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器の複数の制御パラメータの目標値が自動設定され、前記機器の複数の制御パラメータが、自動設定された前記目標値となるように、前記機器が自動で制御され、設定された目標値を、作業員によって手動設定で変更可能なプラントの運用支援装置であって、
過去の所定期間における、前記手動設定が行われたタイミングである手動設定タイミングの情報を、手動設定された目標値に係る前記制御パラメータ毎に取得する手動設定タイミング取得部と、
前記手動設定タイミングに基づき、前記所定期間において前記手動設定に要した時間である手動制御時間を、手動設定された目標値に係る前記制御パラメータ毎に算出する手動制御時間算出部と、
前記手動制御時間を示す手動制御情報を手動設定された目標値に係る前記制御パラメータ毎に生成する手動制御情報生成部と、
を含む、運用支援装置。
【請求項2】
前記手動制御時間算出部は、第1制御パラメータが手動設定されたタイミングであって、その直前に手動設定された前記制御パラメータが前記第1制御パラメータ以外の制御パラメータである第1タイミングと、前記第1タイミングから連続して前記第1制御パラメータが手動設定されたタイミングであって、その直後に手動設定された前記制御パラメータが前記第1制御パラメータ以外の制御パラメータである第2タイミングとの間の時間である、操作拘束時間に基づき、前記第1制御パラメータの前記手動制御時間を算出する、請求項1に記載の運用支援装置。
【請求項3】
前記手動制御時間算出部は、前記所定期間内に、前記操作拘束時間が複数存在する場合には、前記操作拘束時間の合計値を、前記手動制御時間として算出する、請求項2に記載の運用支援装置。
【請求項4】
前記手動設定タイミング取得部は、前記手動設定を行った作業員の情報も取得し、
前記手動制御時間算出部は、前記作業員及び前記制御パラメータ毎に、前記手動制御時間を算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の運用支援装置。
【請求項5】
前記手動制御情報生成部は、前記制御パラメータ毎の前記手動制御時間を示す画像データを、前記手動制御情報として生成する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の運用支援装置。
【請求項6】
前記手動設定は、前記制御パラメータの目標値を設定する制御である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の運用支援装置。
【請求項7】
複数の機器の複数の制御パラメータの目標値が自動設定され、前記機器の複数の制御パラメータが、自動設定された前記目標値となるように、前記機器が自動で制御され、設定された目標値を、作業員によって手動設定で変更可能なプラントの運用支援方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
過去の所定期間における、前記手動設定が行われたタイミングである手動設定タイミングの情報を、手動設定された目標値に係る前記制御パラメータ毎に取得するステップと、
前記手動設定タイミングに基づき、前記所定期間において前記手動設定に要した時間である手動制御時間を、手動設定された目標値に係る前記制御パラメータ毎に算出するステップと、
前記手動制御時間を示す手動制御情報を手動設定された目標値に係る前記制御パラメータ毎に生成するステップと、
を、コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運用支援装置、運用支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラントが安全かつ安定な稼働を維持し続けるためには、プラントの各機器を適切に運用する必要がある。例えば特許文献1には、プラントを構成する機器について劣化度の高いものの修復優先度を高め、将来の機器の更新や修繕にかかるライフサイクルコストを最小とする保全計画を提示する旨が記載されている。
【0003】
ところで、近年のプラントでは、設備を構成する多数の機器について自動制御回路が組み込まれ自動化が進んできており、全自動化されたプラントも登場している。このような自動化されたプラントでも、例えば自動制御回路による機器の制御が適切でなくなった場合には、作業員によって手動で機器の制御(すなわち手動介入)が行われることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-67042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような、手動介入も許容する自動化されたプラントにおいては、プラントの運用を適切に支援することが求められている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プラントの運用を適切に支援可能な解析装置、解析方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の運用支援装置は、複数の制御パラメータが自動設定されることで作動し、作業員によって前記制御パラメータが手動設定されることでも作動可能なプラントの運用支援装置であって、過去の所定期間における、前記手動設定が行われたタイミングである手動設定タイミングの情報を、前記制御パラメータ毎に取得する手動設定タイミング取得部と、前記手動設定タイミングに基づき、前記所定期間において前記手動設定に要した時間である手動制御時間を、前記制御パラメータ毎に算出する手動制御時間算出部と、前記手動制御時間を示す手動制御情報を生成する手動制御情報生成部と、を含む。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の運用支援方法は、複数の制御パラメータが自動設定されることで作動し、作業員によって前記制御パラメータが手動設定されることでも作動可能なプラントの運用支援方法であって、過去の所定期間における、前記手動設定が行われたタイミングである手動設定タイミングの情報を、前記制御パラメータ毎に取得するステップと、前記手動設定タイミングに基づき、前記所定期間において前記手動設定に要した時間である手動制御時間を、前記制御パラメータ毎に算出するステップと、前記手動制御時間を示す手動制御情報を生成するステップと、を含む。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示のプログラムは、複数の制御パラメータが自動設定されることで作動し、作業員によって前記制御パラメータが手動設定されることでも作動可能なプラントの運用支援方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、過去の所定期間における、前記手動設定が行われたタイミングである手動設定タイミングの情報を、前記制御パラメータ毎に取得するステップと、前記手動設定タイミングに基づき、前記所定期間において前記手動設定に要した時間である手動制御時間を、前記制御パラメータ毎に算出するステップと、前記手動制御時間を示す手動制御情報を生成するステップと、を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プラントの運用を適切に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係るプラントの模式的なブロック図である。
図2図2は、手動制御に関する情報の一例を示す図表である。
図3図3は、本実施形態に係る運用支援装置の模式的なブロック図である。
図4図4は、手動制御時間を説明するための例を示す図である。
図5図5は、手動制御情報の一例を示す模式図である。
図6図6は、手動制御情報の他の一例を示す模式図である。
図7図7は、手動制御情報の他の一例を示す模式図である。
図8図8は、運用支援装置の処理フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
(プラント)
図1は、本実施形態に係るプラントの模式的なブロック図である。本実施形態に係る運用支援装置10は、プラント100の運用を支援するものである。プラント100は、自動で作動する全自動化プラントであり、作業員による手動制御(手動介入)によっても作動するものである。具体的には、プラント100は、図1に示すように、機器102と、自動制御回路104と、手動制御受付部106と、手動制御情報取得部108とを含む。なお、プラント100は、例えば汚泥の焼却設備などであるが、それに限られず任意の設備であってよい。
【0014】
機器102は、プラント100に設けられる機器を指し、例えばプラント100が汚泥の焼却設備である場合には、焼却炉などを指す。プラント100には、複数の機器102が設けられているが、プラント100に設けられる機器102の数や種類は任意であり、プラント100の種類に応じて適宜決まる。
【0015】
自動制御回路104は、機器102を自動で制御する制御回路である。自動制御回路104は、機器102の制御パラメータPが、設定された目標値となるように、プラント100の機器を制御する。制御パラメータPは、制御の対象となるパラメータを指す。例えば機器102が焼却炉である場合、制御パラメータPは、焼却炉の出口温度、焼却炉への汚泥の投入量、燃料量、空気量などを指す。なお、1つの機器102についての制御パラメータPの数(種類)は、1つであっても複数であってもよい。すなわち、制御パラメータPの種類や数は、任意であり、プラント100の種類に応じて適宜決まる。
【0016】
自動制御回路104は、自動制御時においては、制御パラメータPの目標値も自動で設定して、制御パラメータPが自動で設定された目標値に到達するように、機器102を制御する。
【0017】
なお、図1では、1つの自動制御回路104が複数の機器102を制御する構成となっているが、それに限られず、機器102毎に自動制御回路104が設けられていてもよい。また、自動制御回路104の構成も任意であってよい。
【0018】
手動制御受付部106は、作業員の操作を受け付ける入力装置(ユーザインターフェース)である。作業員は、手動制御する際に、手動制御受付部106に制御パラメータPの目標値を手動で入力(手動設定)する。これにより、プラント100は、自動制御から手動制御に切り替わり、自動制御回路104は、制御パラメータPが手動制御受付部106に入力された目標値に到達するように、機器102を制御する。
【0019】
図2は、手動制御に関する情報の一例を示す図表である。手動制御情報取得部108は、手動制御に関する情報を取得し、記録するデータロガー(コンピュータ)である。作業員による制御パラメータPの目標値が手動制御受付部106に入力されたら、手動制御情報取得部108は、手動制御に関する情報を検出して記憶部に記録する。手動制御情報取得部108は、手動制御に関する情報として、手動設定された制御パラメータPの情報(目標値が手動で設定された制御パラメータPを示す情報)と、手動設定されたタイミングである手動設定タイミングとを取得する。なお、手動制御に関する情報は、手動設定された制御パラメータPの目標値を示す情報も含んでもよい。手動制御情報取得部108は、作業員によって制御パラメータPの目標値が設定される度に、手動制御に関する情報を取得する。図2では、手動制御情報取得部108が、2020年10月1日22時1分5秒(手動設定タイミング)において制御パラメータPBの目標値がX1に手動設定された旨、22時5分0秒において制御パラメータPAの目標値がY1に手動設定された旨、22時8分0秒において制御パラメータPAの目標値がY2に手動設定された旨、22時15分0秒において制御パラメータPAの目標値がY3に手動設定された旨、22時16分0秒において制御パラメータPBの目標値がX2に手動設定された旨を、手動制御に関する情報として取得した旨が示されている。ただし、図3の記載は一例である。
【0020】
手動制御情報取得部108は、後述の運用支援装置10とは別のハードウェアであるが、それに限られず、運用支援装置10が、手動制御情報取得部108の機能を有していてもよい。
【0021】
(運用支援装置)
図3は、本実施形態に係る運用支援装置の模式的なブロック図である。運用支援装置10は、コンピュータであるともいえ、図3に示すように、入力部20と、出力部22と、通信部24と、記憶部26と、制御部28とを備える。
【0022】
入力部20は、ユーザによる操作を受け付ける機構(ユーザインターフェース)であり、例えばマウスやキーボードなどであってよい。出力部22は、情報を出力する装置であり、例えば画像を表示するディスプレイであってよい。
【0023】
通信部24は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。運用支援装置10は、無線通信で外部の装置と通信を行うが、有線通信でもよく、通信方式は任意であってよい。
【0024】
記憶部26は、制御部28の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部26が記憶する制御部28用のプログラムは、運用支援装置10が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0025】
制御部28は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部28は、手動設定タイミング取得部30と、手動制御時間算出部32と、手動制御情報生成部34とを含む。制御部28は、記憶部26からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、手動設定タイミング取得部30と手動制御時間算出部32と手動制御情報生成部34とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部28は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、手動設定タイミング取得部30と手動制御時間算出部32と手動制御情報生成部34との処理の少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0026】
(手動設定タイミング取得部)
手動設定タイミング取得部30は、プラント100についての、過去の所定期間における手動設定タイミングの情報を、制御パラメータP毎に取得する。すなわち、手動設定タイミング取得部30は、過去の所定期間内において、それぞれの制御パラメータPについての、手動設定されたタイミングを示す情報を取得する。本実施形態では、手動設定タイミング取得部30は、通信部24を介して、手動制御情報取得部108から手動設定タイミングの情報を取得する。図2の例では、手動設定タイミング取得部30は、制御パラメータPAについての手動設定タイミングの情報として、手動制御パラメータPAの手動設定タイミングが、2020年10月1日22時5分0秒、22時8分0秒、22時8分0秒である旨の情報と、手動制御パラメータPBの手動設定タイミングが、2020年10月1日22時1分5秒、22時16分0秒である旨の情報とを取得する。なお、過去の所定期間は、任意に設定されてよい。
【0027】
(手動制御時間算出部)
図4は、手動制御時間を説明するための例を示す図である。手動制御時間算出部32は、手動設定タイミングに基づき、所定期間において手動制御に要した時間である手動制御時間を、制御パラメータP毎に算出する。本実施形態においては、手動制御時間算出部32は、同じ制御パラメータPが連続して手動設定されている時間である操作拘束時間Lに基づき、手動制御時間を算出する。操作拘束時間Lは、その制御パラメータPを手動制御するために作業員が拘束された時間ともいえる。以下、図4を用いて、操作拘束時間Lについて具体的に説明する。図4は、手動設定タイミングt1で制御パラメータPBが手動設定され、手動設定タイミングt2、t3、t4、t5、t6で制御パラメータPAが手動設定され、手動設定タイミングt7、t8、t9で制御パラメータPBが手動設定され、手動設定タイミングt10で制御パラメータPAが手動設定された例を示している。時系列で互いに隣り合う手動設定タイミングの間(t1とt2との間、t2とt3との間、・・・、及びt9とt10との間)においては、制御パラメータPの手動設定が行われていない。すなわち例えば、手動設定タイミングt2は、手動設定タイミングt1の直後に制御パラメータの手動設定が行われたタイミングといえる。
【0028】
図4の例においては、制御パラメータPAは、手動設定タイミングt2から手動設定タイミングt6まで連続して手動設定されている。すなわち、手動設定タイミングt2は、制御パラメータPAの一連の手動設定が開始(又は再開)されたタイミングであり、言い換えれば、手動設定タイミングt2は、制御パラメータPAが手動設定されたタイミングであって、その直前の手動設定タイミングt1に手動設定された制御パラメータが、制御パラメータPAとは別の制御パラメータ(ここでは制御パラメータPB)となっている。手動制御時間算出部32は、制御パラメータPAの手動設定が開始(又は再開)された手動設定タイミングt2を、制御パラメータPAについての操作拘束時間Lの開始タイミングとして設定する。なお、仮に、手動設定タイミングt2の直前の手動設定タイミングが存在しない場合(すなわち所定期間において最初に手動設定された場合)にも、手動設定タイミングt2を操作拘束時間Lの開始タイミングとして扱ってよい。
【0029】
図4の例において、手動設定タイミングt6は、制御パラメータPAの一連の手動設定タイミングのうちの最後の手動設定タイミングである。言い換えれば、手動設定タイミングt6は、手動設定タイミングt2から連続して制御パラメータPAが手動設定されたタイミングであり(すなわち、手動設定タイミングt2と手動設定タイミングt6との間では制御パラメータPA以外の制御パラメータが手動設定されておらず)、かつ、その直後の手動設定タイミングt7に手動設定された制御パラメータが、制御パラメータPAとは別の制御パラメータ(ここでは制御パラメータPB)となっている。手動制御時間算出部32は、このように、連続する手動設定タイミングのうちの最後の手動設定タイミングt6を、制御パラメータPAについての操作拘束時間Lの終了タイミングとして設定する。なお、仮に、手動設定タイミングt6の直後の手動設定タイミングが存在しない場合(すなわち所定期間において最後に手動設定された場合)にも、手動設定タイミングt6を操作拘束時間Lの最後の手動設定タイミングタイミングとして扱ってよい。
【0030】
図4の例において、手動制御時間算出部32は、制御パラメータPAの連続設定が開始された手動設定タイミングt2から、制御パラメータPAの連続設定の最後の手動設定タイミングt6までの時間を、制御パラメータPAについての操作拘束時間Lとして算出する。同様に、図4の例においては、制御パラメータPBは、手動設定タイミングt7から手動設定タイミングt9まで連続して手動設定されているため、手動制御時間算出部32は、手動設定タイミングt7から手動設定タイミングt9までの時間を、制御パラメータPBについての操作拘束時間Lとして算出する。
【0031】
なお、制御パラメータPAの手動設定が終わった後に別の制御パラメータPBが手動設定され、その後に制御パラメータPAの手動設定が再度行われる場合もあるため、同じ制御パラメータPAの操作拘束時間Lが、異なる時間帯に複数存在する場合もある。そのため、手動制御時間算出部32は、所定期間の全期間にわたって、制御パラメータP毎に操作拘束時間Lを算出し、所定期間内における制御パラメータPAについての操作拘束時間Lの合計値を、その制御パラメータPAの手動制御時間として算出する。
【0032】
(手動制御情報生成部)
手動制御情報生成部34は、手動制御時間を示す手動制御情報を生成する。手動制御情報生成部34は、所定時間における制御パラメータP毎の手動制御時間を示す情報を、手動制御情報として生成する。手動制御情報生成部34は、生成した手動制御情報を出力する。手動制御情報生成部34は、手動制御情報を出力部22に出力させてもよいし、別の装置に手動制御情報を出力(送信)してもよい。このように手動制御時間を示す手動制御情報を生成することで、制御パラメータP毎の手動制御時間を対比して、プラント100の運用を適切に支援できる。
【0033】
図5は、手動制御情報の一例を示す模式図である。本実施形態では、手動制御情報生成部34は、制御パラメータP毎の手動制御時間を示す画像データを、手動制御情報として生成する。図5の例では、手動制御情報生成部34は、所定期間における制御パラメータP毎の手動制御時間を棒グラフとして表示する画像データを、手動制御情報として生成している。この場合、手動制御情報生成部34は、手動制御情報として生成した画像データを、出力部22に表示させてよい。手動制御情報を画像データとする場合、手動制御情報生成部34は、制御パラメータP毎の手動制御時間を1画面で表示可能なように、手動制御情報を生成することが好ましい。1画面で制御パラメータP毎の手動制御時間を示すことにより、制御パラメータP毎の手動制御時間の対比が容易となり、プラント100の運用をより適切に支援できる。なお、手動制御情報は、図5に示すような画像データであることに限られず、制御パラメータP毎の手動制御時間を示す任意の情報であってよい。
【0034】
図6は、手動制御情報の他の一例を示す模式図である。手動制御情報生成部34は、図6に示すように、作業員及び制御パラメータP毎の手動制御時間を示す情報を、手動制御情報として生成してもよい。この場合、手動設定タイミング取得部30は、手動設定を行った作業員の情報も取得し、手動制御時間算出部32は、作業員及び制御パラメータP毎に、手動制御時間を算出する。すなわち、手動制御時間算出部32は、制御パラメータP毎の手動制御時間を、その制御パラメータPの手動設定を行った作業員毎に区分して、作業員毎に、制御パラメータP毎の手動制御時間を算出する。そして、手動制御情報生成部34は、例えば、制御パラメータP毎の手動制御時間を作業員毎に示す画像データを、手動制御情報として生成する。このように手動制御時間を作業員毎に示すことで、例えば作業員の習熟度なども把握して、プラント100の運用をより適切に支援できる。
【0035】
図7は、手動制御情報の他の一例を示す模式図である。手動制御情報生成部34は、図7に示すように、手動設定された目標値と操作拘束時間Lとの関係を示す情報を、手動制御情報として生成してもよい。すなわちこの場合、手動設定タイミング取得部30は、手動設定された制御パラメータPの目標値の情報も取得する。手動制御情報生成部34は、それぞれの操作拘束時間Lについて、連続する手動設定タイミングのうちの最後の手動設定タイミング(図4の例では手動設定タイミングt6)で設定された目標値の情報を取得する。そして、手動制御情報生成部34は、図7に示すように、最後の手動設定タイミングでの目標値毎(図7の例では目標値S1、S2、S3、S4)の操作拘束時間Lを示す画像データを、手動制御情報として生成する。すなわち例えば、目標値S1についての操作拘束時間Lは、制御パラメータPを目標値S1に到達させるために要した時間といえる。このように最後の手動設定タイミングでの目標値毎に操作拘束時間Lを分類することで、どのような目標値にした場合に操作拘束時間Lが長くなったかを確認できるため、プラント100の運用をより適切に支援できる。なおこの場合、手動制御情報生成部34は、最後の手動設定タイミングでの目標値が同じとなる操作拘束時間Lが複数ある場合には、それらの操作拘束時間Lを合計して、その目標値についての操作拘束時間Lとしてよい。
【0036】
(処理フロー)
以上説明した運用支援装置10の処理フローを説明する。図8は、運用支援装置の処理フローを説明するフローチャートである。図8に示すように、運用支援装置10は、手動設定タイミング取得部30により、過去の所定期間における手動設定タイミングの情報を制御パラメータP毎に取得し(ステップS10)、手動制御時間算出部32により、手動設定タイミングに基づき、手動制御時間を制御パラメータP毎に算出し(ステップS12)、手動制御情報生成部34により、手動制御時間に基づき、手動制御時間を示す手動制御情報を生成する(ステップS14)。
【0037】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る運用支援装置10は、複数の制御パラメータPが自動設定されることで作動し、作業員によって制御パラメータPが手動設定されることでも作動可能なプラント100の運用を支援する装置であり、手動設定タイミング取得部30と、手動制御時間算出部32と、手動制御情報生成部34とを含む。手動設定タイミング取得部30は、過去の所定期間における、手動設定が行われたタイミングである手動設定タイミングの情報を、制御パラメータP毎に取得する。手動制御時間算出部32は、手動設定タイミングに基づき、所定期間において手動設定に要した時間である手動制御時間を、制御パラメータP毎に算出する。手動制御情報生成部34は、手動制御時間を示す手動制御情報を生成する。
【0038】
ここで、自動制御されつつ手動介入も受け付けるプラント100は、自動設定された制御パラメータPが適合的でなくなった場合などには(すなわち自動設定された制御パラメータPの目標値に適合できない場合などには)、プラント100を適切に作動させるために、制御パラメータPを手動設定して手動介入する必要がある。手動介入を行ってもプラント100の継続運転が阻害されることはないが、動制御が継続できていれば不要であった手動設定を行なっているため、作業員の作業負荷が増加し、その分の費用も増加する。従って、このようなプラント100を適切に運用するためには、プラント100を適切に作動させつつ、手動介入の度合いを少なくすることが求められる。それに対し、本実施形態に係る運用支援装置10は、過去において手動設定(手動介入)に要した手動制御時間を算出し、手動制御時間を示す手動制御情報を生成する。そのため、未来のプラント100の運用の際に手動制御情報を参照することで、例えば、プラント100を適切に作動させつつ手動介入の度合いを少なくするための運用方針を検討することができるため、手動運転介入による自動運転中断の面を考慮して、プラント100の運用を適切に支援できる。すなわち例えば、制御パラメータP毎の手動制御時間を参照することで、優先して手動設定を行う機器や制御パラメータPを選定する(すなわち手動介入に優先順位をつける)ことが可能となり、プラント100を適切に運用できる。また、本実施形態では時間が区切られた所定期間における手動制御時間を示しているため、例えば8:00~18:00(日勤)と18:00~8:00(夜勤)を区切って分析するようにして、昼間にベテランを配置し夜間を無人化や少人化するなどし、人手不足を補う等の検討に利用することができる。
【0039】
また、手動制御時間算出部32は、第1タイミング(図4の例では手動設定タイミングt2)と第2タイミング(図4の例では手動設定タイミングt6)との間の時間である操作拘束時間Lに基づき、第1制御パラメータ(図4の例では制御パラメータPA)の手動制御時間を算出する。第1タイミングは、第1制御パラメータ(図4の例では制御パラメータPA)が手動設定されたタイミングであって、その直前に手動設定された制御パラメータPが第1制御パラメータ以外の制御パラメータ(図4の例では制御パラメータPB)となるタイミングである。第2タイミングは、第1タイミングから連続して第1制御パラメータが手動設定されたタイミングであって、その直後に手動設定された制御パラメータPが第1制御パラメータ以外の制御パラメータP(図4の例では制御パラメータPB)となるタイミングである。手動介入による作業員の負荷は、例えば手動設定された回数などにも影響されるが、本発明者は、鋭意研究の結果、操作拘束時間Lが作業員の負荷に与える影響が大きいことを見出した。そのため、操作拘束時間Lに基づき手動制御時間を算出することで、手動介入による作業員の負荷を可視化することが可能となり、プラント100の運用を適切に支援できる。
【0040】
また、手動制御時間算出部32は、所定期間内に操作拘束時間Lが複数存在する場合には、操作拘束時間Lの合計値を、手動制御時間として算出する。運用支援装置10は、操作拘束時間Lの合計値を手動制御時間とすることで、制御パラメータP毎の手動介入による作業員の負荷をより適切に可視化して、プラント100の運用を適切に支援できる。
【0041】
また、手動設定タイミング取得部30は、手動設定を行った作業員の情報も取得し、手動制御時間算出部32は、作業員及び制御パラメータP毎に、手動制御時間を算出する。作業員毎に手動制御時間を算出することで、例えば作業員の習熟度などを抽出して、プラント100の運用を適切に支援できる。
【0042】
また、手動制御情報生成部34は、制御パラメータP毎の手動制御時間を示す画像データを、手動制御情報として生成する。手動制御時間を示す画像データを生成することで、その画像を参照しつつプラント100の運用を検討することが可能となるため、プラント100の運用を適切に支援できる。
【0043】
また、手動設定は、制御パラメータPの目標値を設定する制御である。すなわち、いわゆるSV(Set Variable)値が手動設定される。運用支援装置10は、このようにSV値が手動設定されるプラント100についての手動制御時間を示すことで、プラント100の運用を適切に支援できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
10 運用支援装置
30 手動設定タイミング取得部
32 手動制御時間算出部
34 手動制御情報生成部
100 プラント
102 機器
P 制御パラメータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8